説明

薬剤分包装置

【課題】 客観性の高い指標に基づいて基準設定値を設定することにより、適切なタイミングで新たな薬剤の充填を促す警告を発することが可能な薬剤分包装置を提供する。
【解決手段】 薬剤分包装置100は、処方データを登録する登録手段1と、薬剤が収容された複数の薬剤容器21が装着され処方データに対応する量の薬剤を供給する薬剤供給手段2と、薬剤供給手段から供給される薬剤を1分包ずつ包装する分包手段3と、各薬剤容器の使用実績を記憶するための記憶手段4と、登録手段に登録された処方データに基づいて、薬剤供給手段と分包手段とを駆動させると共に、記憶手段に各薬剤容器の使用実績を記憶させる制御手段5とを備えている。制御手段は、記憶手段に記憶された各薬剤容器の使用実績に基づいて、所定の警告を発するための薬剤の在庫量の基準となる各錠剤容器の基準設定値を演算し、当該演算した基準設定値を記憶する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤分包装置に関し、特に、適切なタイミングで新たな薬剤の充填を促す警告を発することが可能な薬剤分包装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、錠剤が収容された複数の錠剤容器を錠剤供給手段の適宜の位置にそれぞれ装着し、当該錠剤供給手段から処方データに対応する錠剤を選択的に供給して1分包ずつ自動的に包装する錠剤分包装置が種々提案されている。
【0003】
この種の錠剤分包装置のうち、各錠剤容器に収容された錠剤の在庫数が残り少なくなった際に新たな錠剤の充填を促すべく、各錠剤容器に収容された錠剤の在庫数が所定の基準設定値以下となった場合に警告を発する構成としたものが提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0004】
しかしながら、特許文献1、2等に提案された従来の錠剤分包装置においては、客観性の高い指標に基づいて、警告を発する基準となる基準設定値を決定しているとは言い難い。より具体的に説明すれば、特許文献1では、基準設定値(特許文献1では「設定在庫数」と称している)を経験値に基づいて設定することが開示されているに過ぎない。また、特許文献2に至っては、基準設定値をランクを分けて設定(特許文献2では、「補給不要条件」、「補給余裕条件」、「補給必要条件」、「絶対補給条件」と称している)することが開示されているに過ぎず、具体的にどのような指標に基づいて各基準設定値を設定するかについては開示も示唆もされていない。
【0005】
実際に稼働している錠剤分包装置において、各錠剤の使用頻度は、錠剤の種類の他、曜日や時期等によってもかなり変動するものである。従って、従来のように客観性に乏しい指標(薬剤師の経験や勘など)によって基準設定値を決定したのでは、適切なタイミングで新たな錠剤の充填を促す警告を発することができない場合があるという問題がある。より具体的に説明すれば、例えば、使用頻度の低い錠剤(錠剤容器)について基準設定値を大きく設定してしまったがために、まだ充填が不要であるにも関わらず早期に充填を促す警告が発せられ、頻繁な充填作業に伴う分包作業の効率低下や、錠剤容器に長期に亘って錠剤が収容され続けることに伴う錠剤の劣化を招いてしまう場合があるといった問題がある。また、逆に使用頻度の高い錠剤(錠剤容器)について基準設定値を小さく設定してしまったがために、早期に充填が必要であるにも関わらず充填を促す警告が発せられない結果、分包作業の途中で錠剤容器内の錠剤が空になり、分包作業を中断しなければならない事態を招く場合があるといった問題がある。
【特許文献1】特公平5−60948号公報
【特許文献2】実公平7−48481号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、斯かる従来技術の問題を解決するべくなされたものであり、客観性の高い指標に基づいて基準設定値を設定することにより、適切なタイミングで新たな薬剤(錠剤の他、散薬や注射薬等を含む)の充填を促す警告を発することが可能な薬剤分包装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するべく、本発明は、処方データに対応する薬剤を選択的に供給して分包する薬剤分包装置であって、処方データを登録する登録手段と、薬剤が収容された複数の薬剤容器がそれぞれ所定位置に装着され、前記登録手段に登録された処方データに対応する薬剤が収容された薬剤容器を選択して前記処方データに対応する量の薬剤を供給する薬剤供給手段と、前記薬剤供給手段から供給される薬剤を1分包ずつ包装する分包手段と、前記各薬剤容器の使用実績を記憶するための記憶手段と、前記登録手段に登録された処方データに基づいて、前記薬剤供給手段と前記分包手段とを駆動させると共に、前記記憶手段に前記各薬剤容器の使用実績を記憶させる制御手段とを備え、前記制御手段は、前記記憶手段に記憶された各薬剤容器の使用実績に基づいて、所定の警告を発するための薬剤の在庫量の基準となる各薬剤容器の基準設定値を演算し、当該演算した基準設定値を記憶するように構成されていることを特徴とする薬剤分包装置を提供するものである。
【0008】
斯かる発明によれば、各薬剤容器の使用実績(各薬剤容器に収容された薬剤の使用実績に相当する)が記憶手段に記憶され、制御手段が、前記記憶手段に記憶された各薬剤容器の使用実績に基づいて、所定の警告を発するための薬剤の在庫量の基準となる各薬剤容器の基準設定値を演算し、当該演算した基準設定値を記憶するように構成される。すなわち、薬剤師の経験や勘等に頼った主観的で個人差のある指標とは異なり、記憶手段に実績として記憶された客観性の高い指標(各薬剤の使用実績)に基づいて基準設定値が演算され記憶(設定)される(例えば、使用実績の少ない薬剤容器については基準設定値が小さく設定される一方、使用実績の多い薬剤容器については基準設定値が大きく設定される)ため、適切なタイミングで警告(新たな薬剤の充填を促す警告)を発することが可能である。
【0009】
なお、各薬剤容器の使用実績は、登録手段に登録された処方データ(1処方毎に用いる薬剤の種類や分量等)に基づいて、供給される薬剤の分量(錠剤の場合は個数)を1処方毎に且つ各薬剤容器毎に算出した統計データとして記憶手段に記憶される。また、制御手段による各薬剤容器の基準設定値の演算方法としては、例えば、前記記憶された各薬剤容器の使用実績のうち、過去の所定期間(例えば、1ヶ月、1週間、1日等)の使用実績を抽出し、当該抽出した使用実績に基づいて、例えば1日当たり(充填作業は1日の分包作業終了後に実施されることが多いため1日当たりとするのが好ましいが、1処方当たりや3処方当たりなど処方単位当たりとしても良い)に用いられる薬剤の平均分量(錠剤の場合は、錠剤の平均個数)を算出し、これに必要に応じて余裕代α(数処方当たりに用いられる薬剤の平均分量や、100錠などの一律の分量)を加算した値を各薬剤容器の基準設定値とすることが考えられる。なお、演算した各薬剤容器の基準設定値は、定期的(1ヶ月毎など、前記使用実績を抽出する所定期間に合致させることが好ましい)に更新する(演算し直して更新記憶する)ことが好ましい。
【0010】
前記制御手段は、前記各薬剤容器の基準設定値と前記各薬剤容器に収容された薬剤の在庫量とを比較して、前記在庫量が前記基準設定値以下となったときに所定の警告を発するように構成することが可能である。
【0011】
斯かる構成において、基準設定値と比較する各薬剤容器に収容された薬剤の在庫量(錠剤の場合は、在庫数)は、例えば、分包手段による分包動作の開始前に、予め各薬剤容器に収容された薬剤の分量を登録手段等に登録しておき、処方データに基づいて供給される薬剤の分量を逐次減算すると共に、充填した薬剤の分量を登録手段等に登録して逐次加算することにより算出することが可能である。
【0012】
なお、各薬剤容器に収容された薬剤の在庫量と基準設定値とを比較するタイミング(警告を発するタイミング)は、例えば、登録手段に登録された処方データについての分包手段による分包動作が終了した後とすることが可能である。すなわち、前記制御手段は、前記登録手段に登録された処方データについての前記分包手段による分包動作が終了した後に、前記各薬剤容器に収容された薬剤の在庫量を演算し、当該演算した薬剤の在庫量と前記基準設定値とを比較し、前記在庫量が前記基準設定値以下となったときに所定の警告を発するように構成することが可能である。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る薬剤分包装置によれば、薬剤師の経験や勘等に頼った主観的で個人差のある指標とは異なり、記憶手段に実績として記憶された客観性の高い指標(各薬剤の使用実績)に基づいて基準設定値が演算され記憶(設定)されるため、適切なタイミングで警告(新たな薬剤の充填を促す警告)を発することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、添付図面を適宜参照しつつ、本発明に係る薬剤分包装置の一実施形態について説明する。なお、本実施形態では、錠剤を分包する錠剤分包装置を例に挙げて説明するが、本発明はこれに限るものではなく、他の薬剤(散薬や注射薬等)に対しても同様に適用可能である。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態に係る薬剤分包装置(錠剤分包装置)の概略外観図であり、図2は、図1に示す薬剤分包装置(錠剤分包装置)のシステム構成図である。図1又は図2に示すように、本実施形態に係る錠剤分包装置100は、処方データを登録する登録手段1(1a、1b)と、錠剤が収容された複数の錠剤容器21がそれぞれ所定位置に装着され、登録手段1に登録された処方データに対応する錠剤が収容された錠剤容器21を選択して前記処方データに対応する量の錠剤を供給する錠剤供給手段2と、錠剤供給手段2から供給される錠剤を1分包づつ包装する分包手段3と、各錠剤容器21の使用実績を記憶するための記憶手段4と、登録手段1に登録された処方データに基づいて、錠剤供給手段2と分包手段3とを駆動させると共に、記憶手段4に各錠剤容器21の使用実績を記憶させる制御手段5とを備えている。また、本実施形態に係る錠剤分包装置100は、後述する所定の警告を発する手段として、各錠剤容器21の装着位置に設けられた表示手段(LED等)6を備えている。
【0016】
登録手段1は、入力した処方データ等を記憶するためのハードディスクなど書換可能な記憶媒体を具備しており、制御手段5によってデータの読み書きが行われる。また、登録手段1は、処方データ等を入力するための入力手段としてタッチパネル1aやキーボード1bを具備している。なお、登録手段1には、各錠剤容器21の装着位置、当該各錠剤容器21に収容された錠剤の種類・初期個数等の対応関係が予め登録されている。
【0017】
錠剤容器21は、公知の物と同様に、すり鉢状の底部を備えたカセット式の錠剤収容ケ−スと、当該収容ケースの底部に回転自在に取り付けられ、外周部に複数の錠剤ポケットを有するロータと、前記収容ケースのカバーとから形成されていおり、棚状の薬剤供給手段2に対して前後に抜き差しすることにより脱着可能に装着されている。
【0018】
記憶手段4も、登録手段1と同様に、ハードディスクなど書換可能な記憶媒体を具備しており、制御手段5によってデータの読み書きが行われる(登録手段1が記憶手段4の機能を奏するように構成することも可能である)。
【0019】
制御手段5は、ROMに記憶された所定のプログラムを実行するCPUを具備しており、前述のように、錠剤供給手段2及び分包手段3の駆動制御、登録手段1及び記憶手段4のデータ読み書き制御の他、表示手段6の点滅表示制御等を行う機能をも奏するように構成されている。
【0020】
以下、斯かる構成を有する錠剤分包装置100の動作について説明する。
【0021】
図3は、本実施形態に係る薬剤分包装置(錠剤分包装置)100を用いた分包作業における一連の動作を概略的に示すフロー図である。図3に示すように、分包作業は、まず最初に登録手段1に処方データを登録することから開始される(図3のS1)。より具体的には、タッチパネル1aに処方データを入力するための所定の画面が表示され、当該画面において、分包する錠剤の種類や個数等の処方データを入力することにより、当該入力した処方データが登録されることになる。
【0022】
上記のようにして処方データを登録した後、制御手段5の「スタート」キー(図示せず)を押すことにより、制御手段5は、錠剤供給手段2及び分包手段3を駆動させ、分包動作を実行する(図3のS2)。より具体的には、制御手段5が、登録手段1に登録された処方データの他、登録手段1に予め登録された各錠剤容器21の装着位置と当該各錠剤容器21に収容された錠剤の種類との対応関係を読み取り、これにより、処方データ(錠剤の種類)に対応する錠剤が収容された錠剤容器21を選択して供給するように錠剤供給手段2を駆動させ、供給された錠剤を分包するように分包手段3を駆動させる。
【0023】
なお、制御手段5は、上記のように錠剤供給手段2と分包手段3とを駆動させると共に、記憶手段4に各錠剤容器21の使用実績を記憶させるように構成されている。すなわち、制御手段5は、登録された処方データに基づいて供給される錠剤の個数を1処方毎に且つ各錠剤容器21毎に算出した統計データ(例えば、第1の処方では錠剤容器Aに収容された錠剤aを10個、錠剤容器Bに収容された錠剤bを20個、錠剤容器Cに収容された錠剤cを0個供給し、第2の処方では錠剤容器Aに収容された錠剤aを0個、錠剤容器Bに収容された錠剤bを10個、錠剤容器Cに収容された錠剤cを20個供給した等)を記憶手段4に記憶させる。
【0024】
登録された処方データについての分包動作が終了(図3のS3)すれば、制御手段5は、後述する所定の警告を発する基準となる基準設定値を更新するか否かを判断する。より具体的には、制御手段5は、予め登録手段1等によって登録された更新タイミング(例えば、1ヶ月毎など)に現在時点が到達したか否かを判断し、更新タイミングに到達していれば、記憶手段4に記憶された各錠剤容器21の使用実績に基づいて、各錠剤容器21の基準設定値を新たに演算(図3のS4)し、更新して記憶(設定)するように構成されている。一方、更新タイミングに到達していなければ、過去に演算し記憶された各錠剤容器21の基準設定値を用いて、後述するように各錠剤容器21の錠剤在庫数との比較(図3のS7)を行う。
【0025】
図4は、基準設定値の演算方法の一例を説明するための説明図である。図4に示すように、制御手段5は、記憶手段4に記憶された各錠剤容器21の使用実績(供給した錠剤の個数を1処方毎に且つ各錠剤容器21毎に算出した統計データ)のうち、過去の所定期間(図4に示す例では更新タイミングに合致するように1ヶ月に設定しているが、本発明はこれに限るものではなく、1週間や1日等に設定することも可能である)の使用実績を抽出し、当該抽出した使用実績に基づいて1日当たりに用いられる錠剤の平均個数を算出し、これに余裕代α(数処方当たりに用いられる薬剤の平均分量や、100錠などの一律の分量)を加算した値を各錠剤容器21の基準設定値としている。従って、図4に示すように、使用実績の多い錠剤容器A(錠剤aが収容)については基準設定値が大きく設定される一方、使用実績の少ない錠剤容器B(錠剤bが収容)については基準設定値が小さく設定されることになる。なお、図4に示す例では、充填作業が1日の分包作業終了後に実施されることが多いという理由により、1日当たりに用いられる錠剤の平均個数に余裕代αを加算した値を基準設定値としているが、本発明はこれに限るものではなく、余裕代αを加算せずに1日当たりに用いられる錠剤の平均個数を基準設定値としたり、1処方当たりや3処方当たりなど処方単位当たりに用いられる錠剤の平均個数を基準設定値とすることも可能である。
【0026】
次に、制御手段5は、各錠剤容器21に収容された現在の(分包動作終了後の)錠剤の在庫数を演算する(図3のS6)。より具体的に説明すれば、前述したように登録手段1には各錠剤容器21に収容された錠剤の初期個数(N0)が予め登録されており、制御手段5は、前記登録された初期個数(N0)を読み取り、これから処方データに基づいて供給された錠剤の個数(N1)を逐次減算すると共に、後述する充填作業で充填し登録手段1に登録された錠剤の個数(N2)を読み取り、これを逐次加算することにより、現在の錠剤在庫数(N)を各錠剤容器21毎に演算する。すなわち、制御手段5は、N=N0−N1+N2の演算を行う。そして、演算した現在の錠剤在庫数Nは、登録手段1に登録され、次回に錠剤在庫数を演算するタイミングで初期個数として用いられる。なお、本実施形態では、供給された錠剤の個数(N1)を処方データに基づいて算出(すなわち、計算によって算出)しているが、本発明はこれに限るものではなく、錠剤容器21の装着箇所に適宜のセンサから構成された錠剤個数カウンタを配設し、当該錠剤個数カウンタによって実際に計数した錠剤の供給個数を用いることも可能である。
【0027】
次に、制御手段5は、上記のようにして演算した各錠剤容器21に収容された錠剤の在庫数と、前記演算し記憶された(或いは過去に演算し記憶された)基準設定値とを比較し(図3のS7)、前記在庫数が前記基準設定値以下となったときに所定の警告を発する(図3のS8)。より具体的に説明すれば、本実施形態では、前記在庫数が前記基準設定値以下となった錠剤容器21の装着位置に設けられた表示手段6を点滅表示し、これにより当該錠剤容器21に錠剤の充填が必要であることを告知するように構成されている。なお、本実施形態では、警告を発する手段として、各錠剤容器21の装着位置に設けられた表示手段6を点滅表示する構成について説明したが、本発明はこれに限るものではなく、点灯表示したり、充填が必要な錠剤容器21の装着位置に設けられた表示手段のみを消灯(充填の必要が無いときには全ての表示手段を点灯)したりする構成を採用することも可能である。また、充填が必要である錠剤容器21の装着位置が識別できるようにタッチパネル1aに警告表示したり、或いは、音声によって警告するなど、種々の態様を採用することが可能である。
【0028】
上記の警告が発せられた後、錠剤分包装置100のオペレータは、適宜のタイミングで錠剤の充填作業を行えばよい。例えば、前述したように、本実施形態では、1日当たりに用いられる錠剤の平均個数に余裕代αを加算した値を基準設定値としているため、警告が発せられた後、平均して1日の分包作業が終了するまで、該当する錠剤容器21に収容された錠剤が空にならないと推測される。従って、1日の分包作業が全て終了した後に充填作業を行えば良いことになるため、作業効率の点で好都合である。なお、1処方当たりや3処方当たりなど処方単位当たりに用いられる錠剤の平均個数を基準設定値とした場合には、前記処方単位分(1処方分や3処方分など)の分包作業が終了するまでの間の、オペレータが都合の良いタイミングで充填作業を行えばよい。
【0029】
なお、充填作業に際しては、例えば電子天秤等を用いて、充填する錠剤の個数(N2)を計数し、前述したように錠剤在庫数(N)の演算に供するべく、錠剤を充填した薬剤容器21及び前記計数した錠剤の個数(N2)を登録手段1に登録する必要がある。
【0030】
以上に説明したように、本実施形態に係る錠剤分包装置100は、各錠剤容器21の使用実績(各錠剤容器21に収容された錠剤の使用実績)が記憶手段4に記憶され、制御手段5が記憶手段に4記憶された各錠剤容器21の使用実績に基づいて各錠剤容器21の基準設定値を演算記憶し、各錠剤容器21に収容された錠剤の在庫数と比較して、前記在庫数が前記基準設定値以下となったときに所定の警告を発するように構成されている。すなわち、薬剤師の経験や勘等に頼った主観的で個人差のある指標とは異なり、記憶手段4に実績として記憶された客観性の高い指標(各錠剤の使用実績)に基づいて基準設定値が演算記憶(設定)されるため、適切なタイミングで新たな錠剤の充填を促す警告を発することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る薬剤分包装置(錠剤分包装置)の概略外観図である。
【図2】図2は、図1に示す薬剤分包装置(錠剤分包装置)のシステム構成図である。
【図3】図3は、図1及び図2に示す薬剤分包装置(錠剤分包装置)を用いた分包作業における一連の動作を概略的に示すフロー図である。
【図4】図4は、図1及び図2に示す薬剤分包装置(錠剤分包装置)における基準設定値の演算方法の一例を説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0032】
1・・・登録手段
2・・・薬剤供給手段(錠剤供給手段)
3・・・分包手段
4・・・記憶手段
5・・・制御手段
6・・・表示手段
21・・・薬剤容器(錠剤容器)
100・・・薬剤分包装置(錠剤分包装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処方データに対応する薬剤を選択的に供給して分包する薬剤分包装置であって、
処方データを登録する登録手段と、
薬剤が収容された複数の薬剤容器がそれぞれ所定位置に装着され、前記登録手段に登録された処方データに対応する薬剤が収容された薬剤容器を選択して前記処方データに対応する量の薬剤を供給する薬剤供給手段と、
前記薬剤供給手段から供給される薬剤を1分包ずつ包装する分包手段と、
前記各薬剤容器の使用実績を記憶するための記憶手段と、
前記登録手段に登録された処方データに基づいて、前記薬剤供給手段と前記分包手段とを駆動させると共に、前記記憶手段に前記各薬剤容器の使用実績を記憶させる制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記記憶手段に記憶された各薬剤容器の使用実績に基づいて、所定の警告を発するための薬剤の在庫量の基準となる各薬剤容器の基準設定値を演算し、当該演算した基準設定値を記憶するように構成されていることを特徴とする薬剤分包装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記各薬剤容器の基準設定値と前記各薬剤容器に収容された薬剤の在庫量とを比較して、前記在庫量が前記基準設定値以下となったときに所定の警告を発するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の薬剤分包装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記登録手段に登録された処方データについての前記分包手段による分包動作が終了した後に、前記各薬剤容器に収容された薬剤の在庫量を演算し、当該演算した薬剤の在庫量と前記基準設定値とを比較し、前記在庫量が前記基準設定値以下となったときに所定の警告を発するように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の薬剤分包装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−176186(P2006−176186A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−373430(P2004−373430)
【出願日】平成16年12月24日(2004.12.24)
【出願人】(593129342)高園産業株式会社 (232)
【Fターム(参考)】