説明

薬剤取揃支援システム

【課題】搬送先が同一である複数の薬剤トレイに補充しなければならない管理薬剤を、まとめて管理薬剤容器に取り揃えようとするとき、管理薬剤の取り揃え間違いの可能性が低い薬剤取揃支援システムを提供する。
【解決手段】薬剤取揃支援システム21は、一般薬剤が払い出された薬剤トレイ22および管理薬剤容器24を搬出する薬剤払出機23と、ディスプレイ30を有し管理薬剤を保管する薬剤保管庫25と、患者ごとに付与された患者ID、搬送先情報、処方箋情報および搬送先情報の搬送先を同一とした複数の処方箋情報にある管理薬剤の名称情報、個数情報をまとめて示す管理薬剤補充情報を関連づけて記録するデータ管理部26と、を備え、薬剤保管庫25は、容器IDに関連づけられた管理薬剤補充情報をデータ管理部26より取得してディスプレイ30に表示する構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤トレイへ患者への薬剤を準備する薬剤取揃支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
処方箋に対応した薬剤を取り揃えることを支援する薬剤取揃支援システムがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図20は、従来の薬剤取揃支援システム1の構成図を示す。この薬剤取揃支援システム1は、図20に示すように処方箋情報を分割された画面3に表示する。トレイ2は、画面3の処方箋情報の表示に対応して区切られている。具体的には、処方箋情報は、画面3に表示された9個の領域に分割して表示されており、トレイ2はこの画面3の9個の領域に対応して9個の領域に区分されている。
【0004】
薬剤を取り揃える場合を説明する。まず、作業者が、画面3上の処方箋情報の表示を見ながら、薬剤を薬剤棚から持参して、画面3上に表示されているウィンドウ領域に対応するトレイ2の領域に設置する。作業者がトレイ2の領域に薬剤を設置すると、トレイ2のタグリーダ(図示せず)は、薬剤の瓶等に貼付されたタグを読み取る。このタグの情報に基づき、情報処理装置(図示せず)は、トレイ2に設置された薬剤が、取り揃えるべき薬剤であるか、また、この薬剤の有効期限が過ぎていないか、を判断する。そして、判断結果を画面3に表示する。
【0005】
なお、薬剤取揃支援システム1で扱われる薬剤は、一般薬剤以外に、劇薬および保冷の必要な管理薬剤がある。一般薬剤は薬剤棚に保管され、管理薬剤は薬剤保管庫に保管される。一般薬剤と管理薬剤とは分けて管理されるため、薬剤取揃支援システム1で一般薬剤と管理薬剤とを取り揃えるには、あらかじめ処方箋にある管理薬剤を薬剤保管庫より管理薬剤容器に取り揃え、その管理薬剤容器を薬剤取揃支援システム1の近傍に運ぶ必要がある。
【0006】
また、処方箋が複数ある場合、薬剤の取り揃えを効率よく行うために、複数の処方箋にある管理薬剤を管理薬剤容器へまとめて取り揃え、その管理薬剤容器を薬剤トレイ2へ運ぶことが考えられる。その場合、処方指示を印刷した複数の処方箋の用紙を見て、作業者が管理薬剤を管理薬剤容器に取り揃える。
【0007】
なお、大規模な病院施設では、薬剤の取り揃えは薬剤部で一括して行われる場合がある。その場合、管理薬剤容器の搬送先は複数あるので、管理薬剤容器を搬送先ごとに分けて、作業者が複数の処方箋の用紙を見て、搬送先毎の複数の管理薬剤を搬送先用の管理薬剤容器に取り揃える。そして、搬送先毎の管理薬剤容器はそれぞれの搬送先であるナースステーションへ運ばれ、患者用の薬剤トレイへ管理薬剤容器から管理薬剤を補充し、薬剤の取り揃えが行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−70803号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、搬送先が同一である管理薬剤をまとめて管理薬剤容器に取り揃えようとすると、作業者は管理薬剤の取り揃えを間違い易いという課題がある。
【0010】
なぜなら、処方箋は同一フォーマットで作成されると共に、類似する薬剤名が多いためである。そのため、複数の処方箋の印刷用紙を用いて、管理薬剤を管理薬剤容器に取り揃えようとすると、その用紙のひとつを紛失する場合や、同じ用紙を繰り返して読む場合などがある。そのような場合、管理薬剤の間違いが起こる可能性がある。
【0011】
また、搬送先が複数ある場合には、ある搬送先用の管理薬剤容器に別の搬送先用の管理薬剤が混入する可能性がある。
【0012】
本発明は、従来の課題を解決し、管理薬剤の取り揃え間違いの可能性が低い薬剤取揃支援システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記従来の課題を解決するために、本発明の薬剤取揃支援システムは、処方箋情報に応じて薬剤収納体に一般薬剤を払い出す薬剤払出機と、劇薬および保冷が必要な薬剤である管理薬剤を保管する薬剤保管庫と、搬送先が同一である複数の前記処方箋情報に含まれる管理薬剤の名称情報、個数情報をまとめた管理薬剤補充情報を作成するデータ管理部と、を備え、前記データ管理部は、受信した管理薬剤容器の容器IDを、前記複数の処方箋情報から作成された前記管理薬剤補充情報と関連づけて記録し、前記薬剤保管庫は、検出された前記管理薬剤容器の前記容器IDに関連づけられた前記管理薬剤補充情報をディスプレイに表示することを特徴とする。
【0014】
また、前記従来の課題を解決するために、本発明の別の薬剤取揃支援システムは、処方箋情報に応じて薬剤収納体へ一般薬剤を払い出す薬剤払出機と、劇薬および保冷が必要な薬剤である管理薬剤を保管する薬剤保管庫と、搬送先が同一である複数の前記処方箋情報から管理薬剤の名称情報、個数情報をまとめた管理薬剤補充情報を作成して搬送先情報と関連付けるデータ管理部と、を備え、前記薬剤保管庫は、前記薬剤保管庫で搬送先情報が入力されると、前記搬送先情報に関連づけられた前記管理薬剤補充情報をディスプレイに表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明の薬剤取揃支援システムによれば、管理薬剤の取り揃え間違いを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態1における薬剤取揃支援システムの概略構成図
【図2】本実施の形態1における薬剤取揃支援システムの基本動作を説明する説明図
【図3】本実施の形態1における薬剤払出機の動作のフローチャート
【図4】本実施の形態1における薬剤トレイの上面図
【図5】本実施の形態1における管理薬剤容器の斜視図
【図6】本実施の形態1におけるデータ管理部の管理表を示す図
【図7】本実施の形態1における薬剤保管庫の正面図
【図8】本実施の形態1における薬剤保管庫の動作のフローチャート
【図9】本実施の形態1における薬剤保管庫のディスプレイの画面を示す図
【図10】本実施の形態1における薬剤の取り揃えが終了した薬剤保管庫のディスプレイの画面を示す図
【図11】本発明の実施の形態2における薬剤取揃支援システムの概略構成図
【図12】本発明の実施の形態3における薬剤取揃支援システムの概略構成図
【図13】本発明の実施の形態4における薬剤取揃支援システムの基本動作の説明図
【図14】本実施の形態4における薬剤払出機の動作のフローチャート
【図15】本実施の形態4における薬剤保管庫の動作のフローチャート
【図16】本実施の形態4における薬剤保管庫のディスプレイの画面を示す図
【図17】本発明の実施の形態5における薬剤取揃支援システムの概略構成図
【図18】本実施の形態5における薬剤保管庫である薬剤常温庫の正面図
【図19】本実施の形態5における薬剤取揃支援システムの基本動作の説明図
【図20】従来の薬剤取揃支援システムの構成図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、同じ構成要素には同じ符号を付しており、説明を省略する場合もある。また、図面は理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示している。
【0018】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における薬剤取揃支援システムの概略構成図である。図2は、本実施の形態1における薬剤取揃支援システムの基本動作を説明する説明図である。
【0019】
図1、図2に示すように、本実施の形態1の薬剤取揃支援システム21は、薬剤払出機23と、ディスプレイ30を有し管理薬剤を保管する薬剤保管庫25と、データ管理部26と、を備える。
【0020】
薬剤払出機23は、内部に薬剤トレイ(薬剤収納体)22および管理薬剤容器24を保持し、処方箋情報に応じて薬剤トレイ22へ一般薬剤を払い出す機器である。一般薬剤が払い出された薬剤トレイ22および管理薬剤容器24は、薬剤払出機23から搬出される。
【0021】
また、データ管理部26は、患者毎の処方指示や院内情報に基づいて、患者ID、処方箋情報、搬送先情報を取得して記録する。また、データ管理部26は、搬送先情報の搬送先が同一のものについて、複数の処方箋情報にある管理薬剤の名称情報、個数情報をまとめた管理薬剤補充情報を作成して記録する。
【0022】
そして、薬剤払出機23は、データ管理部26より処方箋情報を受信し、それら処方箋情報に応じて薬剤トレイ22へ搬送先を同一とする一般薬剤を払い出す。さらに、薬剤払出機23は、搬出する管理薬剤容器24の容器IDを検出してデータ管理部26へ送信する。
【0023】
データ管理部26は、薬剤払出機23より受信した容器IDを、管理薬剤補充情報と関連づけて記録する。ここで、管理薬剤補充情報とは、薬剤払出機23へ送信された搬送先が同一である複数の処方箋情報と関連づけられた情報であり、同時に、データ管理部26で容器IDと間連づけられた情報である。そして、管理薬剤容器24の容器IDを検出すると、薬剤保管庫25は、容器IDに関連づけられた管理薬剤補充情報をデータ管理部26より取得してディスプレイ30に表示する。なお、薬剤管理庫25は、図7に示すように、データ管理部26から取得した情報を表示する保管庫管理部52と、管理薬剤を保管する棚を含む保管庫保冷棚部51と、によって構成されている。図7ではこれらを一体的に図示しているが、ディスプレイ30を含む保冷庫管理部52は、棚を含む保管庫保冷棚部51と分離して、保管庫保冷棚部51と別の場所に設置してあっても良い。
【0024】
そして、管理薬剤補充情報が薬剤保管庫25のディスプレイ30に表示されるので、管理薬剤容器24に間違いなく管理薬剤を取り揃えることができる。また、このとき、管理薬剤容器24に、搬送先が同一である複数の薬剤トレイ22に補充すべき管理薬剤を間違いなく取り揃えることもできる。
【0025】
次に、図2を用いて、薬剤取揃支援システム21の基本的な動作について説明する。
【0026】
薬剤払出機23は、データ管理部26より取得した管理情報(患者ID、処方箋情報、など)に従い、患者毎に薬剤トレイ22へ一般薬剤を払い出す。このとき、薬剤払出機23は、搬送先が同一である処方箋情報を取得し続ける。そして、搬送先が同一である複数の薬剤トレイ22を、連続して搬出する。搬送先が同一である複数の薬剤トレイ22を搬出した後に、続けて管理薬剤容器24を搬出する。このとき、薬剤払出機23は、薬剤トレイ22のトレイIDを検出し、患者IDと関連づけてトレイIDと払出情報をデータ管理部26に送信する。また、搬出する管理薬剤容器24の容器IDを検出し、容器IDと搬送先が同一である複数の患者ID(もしくは搬送先が同一である複数のトレイID)を関連づけてデータ管理部26へ送信する。そして、データ管理部26では、管理薬剤補充情報と管理薬剤容器24の容器IDとが、関連づけて記録される。なお、ここでは、搬出時の管理薬剤容器24は空の状態である。
【0027】
管理薬剤容器24が搬出されると、作業者は、搬送先が同一である複数の薬剤トレイ22と管理薬剤容器24とを、搬送カート31に積む。
【0028】
このように、搬送先が同一である複数の薬剤トレイ22と管理薬剤容器24とが連続して薬剤払出機23から搬出されるので、一つの搬送カート31に、まとめて搭載しておくことができる。なお、搬出される順番としては、管理薬剤容器24を搬出した後に、薬剤トレイ22を搬出してもよい。この順にすることで、管理薬剤容器24の大きさを事前に把握することができ、その後に搬出される複数の薬剤トレイ22に対応する処方箋情報の管理薬剤の量を、管理薬剤容器24の大きさぴったりにすることも可能となる。すなわち、管理薬剤の管理の効率を上げることができる。
【0029】
この搬送カート31は薬剤保管庫25が存在する場所に運ばれ、搬送カート31に搭載されている管理薬剤容器24は薬剤保管庫25へ運ばれる。管理薬剤容器24を薬剤保管庫25のテーブル29に載せると、テーブル29に内蔵されたRFIDリーダ29aが、管理薬剤容器24のRFIDタグ47より容器IDを検出する。すると、薬剤保管庫25は、データ管理部26へ問合せ、この管理薬剤容器24に取り揃えを必要とする管理薬剤補充情報を取得し、ディスプレイ30にその管理薬剤補充情報を表示する。なお、管理薬剤補充情報のディスプレイ30への表示は、あらかじめデータ管理部26から取得しておいた管理薬剤補充情報を用いて表示しても良い。
【0030】
この管理薬剤補充情報は、搬送カート31に積んだ複数の薬剤トレイ22それぞれに補充が必要な管理薬剤の情報である。そして、作業者は、管理薬剤補充情報に従い管理薬剤を管理薬剤容器24に取り揃える。
【0031】
この管理薬剤補充情報に従って薬剤の取り揃えを行なうことで、管理薬剤容器24に、搬送先が同じ薬剤トレイ22それぞれに補充すべき管理薬剤を間違いなく取り揃えることができる。
【0032】
以下、薬剤取揃支援システム21を用いた薬剤の取り揃えについて詳細を説明する。図3は、本実施の形態1における薬剤取揃支援システム21の薬剤払出機23の動作のフローチャートである。
【0033】
まず、医局の処方箋作成端末(図示せず)で作成された処方箋情報は、患者IDを加えて、データ管理部26へ通信回線27を経由して送信される。そして、データ管理部26は、患者の患者ID、処方箋情報を関連づけて記録する。さらに、患者IDを基に医局のデータベース(図示せず)を検索して、患者の入院場所をを示す搬送先情報を取得して関連づけて記録する。
【0034】
薬剤払出機23は、同一搬送先の患者ID、処方箋情報などをデータ管理部26より取得する(ステップS01)。
【0035】
次に、薬剤払出機23は、保管している薬剤トレイ22のトレイIDを検出する(ステップS02)。図4は、本実施の形態1における薬剤トレイ22の上面図である。薬剤トレイ22はRFIDタグ41を有し、このRFIDタグ41にトレイIDの情報が記録されている。そして、薬剤払出機23の内部に組込んだRFIDリーダ(図示せず)で、RFIDタグ41を読み取りトレイIDを検出する。
【0036】
次に、薬剤払出機23は、ステップS02でトレイIDを検出した薬剤トレイ22へ処方箋情報に従い一般薬剤を払い出す(ステップS03)。
【0037】
そして、一般薬剤が払い出された薬剤トレイ22のトレイIDと薬剤トレイ22へ払い出した薬剤の情報を示す払出情報を患者IDと共にデータ管理部26へ送信する(ステップS04)。データ管理部26は、トレイIDおよび払出情報を患者IDと共に受信して、トレイIDおよび払出情報を患者IDに関連付けて記録する。
【0038】
薬剤払出機23は、ステップS01で取得した搬送先が同一である患者の処方箋情報に対する一般薬剤の払出が、終了したか否かを判定する(ステップS05)。それらの払い出しが終了していなければ、ステップS02に戻る。それらの払い出しが終了していれば、次のステップS06へ進む。
【0039】
そして、薬剤払出機23内に保管している管理薬剤容器24の容器IDを検出する(ステップS06)。図5に本実施の形態1における管理薬剤容器24の斜視図を示す。管理薬剤容器24は、内部に収納空間を有する収納部45と、取り外し可能な蓋部46と、収納部45の下部に埋め込んだRFIDタグ47とを有する。RFIDタグ47に、それぞれの管理薬剤容器24に付与された容器IDが記録されている。また、管理薬剤容器24は、保冷機能を有する保冷容器であり、収納部45、蓋部46の内部に断熱材を内蔵している。また、管理薬剤容器24は、収納部45の収納空間に保冷材を入れて、収納部45の開口を蓋部46で閉じることにより、収納空間を低温に保持することもできる。ステップS06において、薬剤払出機23は、内部に組込んだRFIDリーダ(図示せず)で、RFIDタグ47を読み取り、容器IDを検出する。
【0040】
次に、薬剤払出機23は、管理薬剤容器24より検出した容器IDをデータ管理部26へ送信する(ステップS07)。データ管理部26は、この容器IDを、直前に薬剤払出機23へ送信された複数の処方箋情報もしくは直前に薬剤払出機23から送られてきた患者IDや処方箋情報と関連づける。これにより、データ管理部26は、管理薬剤容器24の容器IDを搬送先が同一の複数の処方箋情報から作成された管理薬剤補充情報と関連づけて記録する。
【0041】
その後、薬剤払出機23は管理薬剤容器24を搬出する(ステップS08)。このようにして薬剤払出機23は一連の動作を完了する。
【0042】
そして、搬出された薬剤トレイ22と、管理薬剤容器24とが図1の払出棚28より取り出されると、薬剤払出機23は、新たな同一搬送先の患者IDや処方箋情報をデータ管理部26より取得して、ステップS01〜ステップS08の動作を繰り返す。
【0043】
図6は、本実施の形態1におけるデータ管理部26の管理表48を示す図である。
【0044】
データ管理部26は、薬剤払出機23より受信したトレイID、容器IDを、図6に示すように患者IDに対応させて管理表48に記録する。さらに、データ管理部26は、薬剤払出機23に連続して払出動作させる複数の患者IDや処方箋情報にある管理薬剤の名称情報、個数情報をまとめた管理薬剤補充情報を作成して記録する。ここで、管理薬剤補充情報は、搬送先を同一とした複数の患者IDや処方箋情報である。また、薬剤払出機23より受信した管理薬剤容器24の容器IDは、患者IDや処方箋情報と関連づけられているので、データ管理部26は容器IDを管理薬剤補充情報と関連づけて記録する。
【0045】
図1に示すように、本実施の形態1において、薬剤払出機23の払出棚28に、薬剤トレイ22、管理薬剤容器24が載っている状態は、薬剤トレイ22、管理薬剤容器24が薬剤払出機23より搬出された状態であり、すぐにでも、薬剤トレイ22、管理薬剤容器24を取り出すことができる。
【0046】
作業者は、これら薬剤トレイ22と管理薬剤容器24とを搬送カート31に積載する。搬送カート31は、薬剤トレイ22、管理薬剤容器24を搭載する収納部にRFIDタグリーダ(図示せず)を有しており、このRFIDタグリーダで、収納された薬剤トレイ22のRFIDタグ41より薬剤トレイ22のトレイIDを検出する。さらに、RFIDタグリーダは、収納された管理薬剤容器24の容器IDも検出する。そして、搬送カート31は、無線通信により、トレイID、容器ID、搬送カート31が個別に有するカートIDをデータ管理部26へ送信する。データ管理部26は、トレイIDと容器IDとカートIDを関連づけて記録する。作業者は、薬剤トレイ22に補充する必要のある管理薬剤を管理薬剤容器24に取り揃えるため、管理薬剤容器24を搬送カート31より取出し薬剤保管庫25へ運ぶ。
【0047】
図7に薬剤保管庫25の構成図を示す。薬剤保管庫25は、保冷を必要とする管理薬剤61を内部に収納して冷却保管する保管庫保冷棚部51と、保管庫保冷棚部51の薬剤を管理する薬剤庫管理部52とを有する。薬剤庫管理部52はタッチパネル機能を有するディスプレイ30を有する。
【0048】
保管庫管理部52は、ディスプレイ30の側面より突出した支持部54の上方に設置したパンチルトカメラ(カメラレンズを上下左右に移動させることが可能なカメラ)55と、支持部54の下方に設置したICカードリーダ56と、ディスプレイ30の下部に設置したバーコードリーダ57およびトレイ用カメラ58とを有する。さらに、保管庫管理部52は、テーブル29の内部に設けたRFIDリーダ29aと、保管庫保冷棚部51のドアの施錠を行なう電子錠59と、薬剤保管庫25の各種情報を記録する制御器63とを有する。なお、制御器63は、薬剤保管庫25で管理薬剤61の取り揃えが認められた作業者の作業者情報を記録する。
【0049】
ICカードリーダ56は作業者のICカードを読取り、このICカードリーダ56で検出された作業者情報を、制御器63に記録されている作業者情報と比較する。そして、作業者情報が制御器63に記録されていて作業を許可することが可能であれば、薬剤保管庫25の使用を許可する。
【0050】
パンチルトカメラ55は、作業者がICカードをICカードリーダ56に読取らせたことを制御のトリガとして、作業者の顔の画像を撮影する。そして、制御器63に撮影画像データをICカードの識別情報および撮影時刻と共に記録する。これにより、作業者の顔を含む画像をエビデンス(証拠)として残す。なお、よりセキュリティを高めるために、制御器63によってパンチルトカメラ55の撮影画像に作業者の顔が含まれるか否かを自動チェックし、顔が含まれていない場合には、薬剤保管庫25の使用を不許可にし、再度のICカード認証を要求するようにしても良い。
【0051】
バーコードリーダ57は、保管庫保冷棚部51の中にある管理薬剤に印刷または貼付されたバーコードを読み取り、薬剤情報を検出するためのものである。バーコードリーダ57で読取られた薬剤情報を利用して、取り揃える管理薬剤の確認、保管庫保冷棚部51の中にある管理薬剤の在庫管理が行なわれる。
【0052】
トレイ用カメラ58は、保冷を必要とする管理薬剤を管理薬剤容器24に取り揃えた後に、管理薬剤容器24にある管理薬剤を撮影し、取り揃え薬剤の証拠写真を撮影するためのものである。
【0053】
保管庫保冷棚部51は収納棚60および複数の電子棚札62を有する。そして、管理薬剤61は、種類ごとに分けられて、収納棚60のそれぞれの配置エリアに並べられる。また、電子棚札62は、配置エリアごとに収納棚60に取り付けられる。そして、取り揃えを必要とする管理薬剤61の名前がディスプレイ30に表示されると、ディスプレイ30に表示された管理薬剤61が並んだ配置エリアの電子棚札62が光る。たとえば、取り揃えが必要な管理薬剤の電子棚札62に、薬剤名と取揃必要個数を表示する。このように電子棚札62が光ることで、作業者による管理薬剤61の取出し間違いの可能性を減少させることができる。
【0054】
図8は、本実施の形態1における薬剤保管庫25を用いた管理薬剤取揃動作のフローチャートである。
【0055】
まず、管理薬剤を管理薬剤容器24に取り揃えるために、作業者は管理薬剤容器24を薬剤保管庫25に運ぶ。そして、管理薬剤容器24をテーブル29に置く。
【0056】
作業者は、本人のICカードをICカードリーダ56にかざす。すると、薬剤保管庫25の薬剤庫管理部52は、ICカードリーダ56を用いて、作業者のICカードの認証と作業者の顔の撮影を行う(ステップS11)。ICカードリーダ56は、作業者のICカードの作業者情報を読み取り、制御器63に登録されている作業者情報とを比較する。同時に、パンチルトカメラ55は、ICカードの認証動作を制御のトリガとして作業者の顔の撮影を行う。ICカードの作業者情報と撮影画像は、制御器63にデータとして保存される。
【0057】
続いて、ステップS11で読み取ったICカードの作業者情報より、作業の許可、不許可を決める(ステップS12)。具体的には、ICカードの作業者情報が制御器63に登録されていれば、薬剤保管庫25の使用を許可する。作業者情報が制御器63に登録されていない場合には、薬剤保管庫25の使用を不許可にし、警告表示をディスプレイ30に表示する。また、制御器63は、パンチルトカメラ55の撮影画像を分析し、人間の顔特徴が認識できないときは、たとえ作業者情報が登録されていても、薬剤保管庫25の使用を不許可にし、再度のカード認証を要求する制御を行う。
【0058】
薬剤保管庫25は、RFIDリーダ29aを用いて、テーブル29に置かれた管理薬剤容器24の容器IDをRFIDタグ41より検出する(ステップS13)。
【0059】
薬剤保管庫25は、管理薬剤容器24の容器IDを、データ管理部26へ送信する(ステップS14)。
【0060】
薬剤保管庫25より容器IDを受信すると、データ管理部26は受信した容器IDを基に管理表48(図6に示す)を検索する。そして、その容器IDに対応した管理薬剤補充情報および管理薬剤容器24の搬送先情報を抽出し、抽出した管理剤補充情報および搬送先情報を薬剤保管庫25へ送信する。薬剤保管庫25は、データ管理部26より管理薬剤補充情報および搬送先情報を受信する(ステップS15)。
【0061】
そして、薬剤保管庫25の制御器63は、受信した管理薬剤補充情報および搬送先情報を記録し、かつ、ディスプレイ30に表示する(ステップS16)。図9は、本実施の形態1における薬剤保管庫25のディスプレイ30の画面を示す図である。データ管理部26より送られた管理薬剤補充情報に基づいて、テーブル29に置かれた管理薬剤容器24に補充が必要な薬剤名(保冷薬K、保冷薬M)と個数が、薬剤保管庫25のディスプレイ30に表示される。さらに、搬送先情報(5F)も表示される。なお、薬剤保管庫25は、事前に管理薬剤補充情報や容器IDを含む情報をデータ管理部26より取得しておいて、管理薬剤容器24の容器IDが検出された時に、容器IDに対応した管理薬剤補充情報をディスプレイ30に表示しても良い。
【0062】
図8のフローチャートに示すようにステップS16で管理薬剤補充情報が表示された後、薬剤保管庫25の電子錠59の施錠解除が行なわれる(ステップS17)。これにより、保管庫保冷棚部51の中にある管理薬剤61を取り出すことができる。
【0063】
薬剤保管庫25は、管理薬剤補充情報で指定されている保管庫保冷棚部51の中で、管理薬剤が配置されている場所の電子棚札62を点灯させる(ステップS18)。すなわち、保冷薬K、保冷薬Mの配置エリアにある電子棚札62が点灯し、薬剤名と必要取り出し個数を表示する。
【0064】
作業者は、ディスプレイ30に表示された管理薬剤61である保冷薬Kを2個、保冷薬Mを2個、保管庫保冷棚部51より取り出して、管理薬剤容器24に取り揃える。
【0065】
保管庫保冷棚部51より管理薬剤61を取出したときに、作業者は、管理薬剤61のバーコードをバーコードリーダ57に読み取らせる(ステップS19)。すなわち、作業者は、保管庫保冷棚部51より管理薬剤61をひとつずつ取出し、取出した管理薬剤61のバーコードをバーコードリーダ57で読取らせる。これにより、薬剤保管庫25の制御器63は、取り出された管理薬剤61のバーコードを検出する。
【0066】
読取られた管理薬剤61の薬剤が保冷薬Kであれば、図9に示すディスプレイ30の個数が2から1に減り、電子棚札62の必要取り出し個数も2から1に減る。制御器63は、管理薬剤取出情報として保冷薬Kの個数を0から1に増やす。また、読取らせた管理薬剤61の薬剤が保冷薬K、保冷薬Mいずれでもなければ、誤った管理薬剤61を保管庫保冷棚部51より取出したとして、ディスプレイ30に警告メッセージを表示する。取り揃えの必要な管理薬剤に関して、取り出しとバーコード検出を行う。
【0067】
取り揃えが必要な管理薬剤を必要個数分だけバーコードを検出すると、制御器63は取り揃え終了画面(図10参照)をディスプレイ30に表示する。すなわち、管理薬剤補充情報にある保冷薬Kを2個、保冷薬Mを4個のバーコードを検出すると、図10に示すように、管理薬剤の取り揃えが終了したことを示すメッセージと、取揃終了ボタンと、をディスプレイ30に表示する(ステップS20)。
【0068】
作業者は、管理薬剤容器24への管理薬剤61の取り揃えが終了すると、ディスプレイ30に表示された取揃終了ボタンのタッチ検出エリア64を押す。このとき、薬剤保管庫25は、タッチ検出エリア64が押されたことを制御のトリガとして、トレイ用カメラ58により管理薬剤容器24の収納空間にある管理薬剤61の撮影を行う(ステップS21)。トレイ用カメラ58で撮影された撮影画像情報は、制御器63に記録される。
【0069】
次に、薬剤保管庫25は、管理薬剤補充情報の薬剤の取り揃えが完了した補充完了時刻と、管理薬剤容器24の容器IDと、をデータ管理部26へ送信し、管理薬剤容器24のRFIDタグ47に補充薬剤の取揃完了を追加記録する(ステップS22)。データ管理部26では、受信した補充完了時刻と容器IDとにより、管理表48の容器IDに関連付けられたデータとして補充完了時刻を記録する。このようにして薬剤保管庫25での動作は終了する。
【0070】
作業者は、管理薬剤容器24に管理薬剤61を取り揃えた後、管理薬剤容器24の蓋を閉じて、管理薬剤容器24を搬送カート31に戻す。搬送カート31は、管理薬剤容器24のRFIDタグ47より容器IDを検出し、データ管理部26に送信する。そして、作業者は、搬送カート31を薬剤トレイ22の搬送先へ移動させる。たとえば、搬送先の病棟のナースステーションで、搬送カート31より管理薬剤容器24が取り出される。管理薬剤容器24の管理薬剤61は、一時的にナースステーションの保冷庫に収納され、適切な保冷温度で保管される。また、必要に応じて、管理薬剤61は薬剤トレイ22に補充される。
【0071】
このようにして、本実施の形態1の薬剤取揃支援システム21を用いることで、管理薬剤容器24に、搬送先が同じ複数の処方箋情報に必要な管理薬剤61を間違いなく取り揃えることができる。
【0072】
なお、ここでは、管理薬剤61と、保冷機能のある薬剤保管庫25を用いたが、管理薬剤として常温で保管する劇薬などの管理薬剤については、薬剤保管庫25の保管庫保冷棚部51を常温保管棚部としてもよい。
【0073】
なお、図8のフローチャートのステップS11やS12で、パンチルトカメラ55を用いて作業者の撮影が行われる。作業者の顔を確実に撮影したいので、薬剤保管庫25が撮影された画像を分析して、作業者の顔が写っていない場合、ステップS13に進めないようにすることが好ましい。また、作業者の画像より作業者の衣類の色、形状等をチェックして、作業者が特定のユニホームを着ていない場合、ステップS13に進めないようにするとよい。また、パンチルトカメラ55の前に作業者が立っていない場合もあるので、人体検知センサ(たとえば、焦電センサ)で作業者の位置を検出し、検出された位置にパンチルトカメラ55の方向を合わせて撮影すると、より確実に作業者の画像を取得することができる。また、パンチルトカメラ55の撮影画像において、ICカードリーダ56の近傍にある腕や肩を基点として顔位置を求めて、顔位置に顔特徴が無い場合はステップS13に進めないようにすることで、顔写真の画像がより確実に撮影されるようになる。
【0074】
(実施の形態2)
図11は、本発明の実施の形態2における薬剤取揃支援システム70の概略構成図である。
【0075】
本実施の形態2の薬剤取揃支援システム70は、管理薬剤容器24の搬送先と搬送カート71,73の搬送先を比較することで、管理薬剤を取り揃えた管理薬剤容器24を、間違えて異なる搬送先の搬送カート73に搭載することを防止できる。例えば、薬剤保管庫25で管理薬剤を取り揃え、管理薬剤容器24を運んできた搬送カート71に積み戻す場合、間違えて搬送先の異なる搬送カート73に積載することを防止する。なお、その他の部分は実施の形態1と同様なので、説明は省略する。
【0076】
図11に示すように、薬剤取揃支援システム70は、薬剤トレイ22を複数個搭載して移動する搬送カートを、備えている。管理薬剤を取り揃えられた管理薬剤容器24が搬送カートに71に搭載された場合に、搬送カート71は搭載された管理薬剤容器24の容器IDを検出する。搬送カート71は、検出された容器IDおよび搬送カート71のカートIDをデータ管理部26へ送信する。データ管理部26は、カートIDと関連づけられたカート搬送先情報を取得し、容器IDに間連づけられた管理薬剤容器24の搬送先情報を取得し、カート搬送先情報と容器IDの搬送先情報を比較する。なお、データ管理部26はカートIDと搬送先情報を対応づけられたカート管理表を有し、カートIDから搬送カート71のカート搬送先情報を得ることができる。
【0077】
このように、搬送カート71に搭載した管理薬剤容器24の搬送先である搬送先情報と、搬送カート71のカート搬送先情報とを比較することで、管理薬剤容器24が適切な搬送カート71に搭載されているか否かの判定をすることが可能となる。
【0078】
具体的には、搬送カート71に新たに管理薬剤容器24が積まれると、搬送カート71は、RFIDリーダ71aにより管理薬剤容器24のRFIDタグ47より容器IDを検出する。そして、搬送カート71は、検出した容器IDを搬送カート71の有するカートIDと共にデータ管理部26へ送信する。そして、データ管理部26は、搬送カート71の搬送先情報と容器IDの搬送先情報とを比較して、搬送先が同一であるか否かを判定する。そして、搬送先が同一であるか否かの判定結果は、データ管理部26より搬送カート71へ送信される。搬送カート71は、搬送先が同一でない(不同一)とする判定結果を受信すると、搬送カート71に搭載された容器IDと搬送カート71の搬送先が異なることを作業者へ知らせる警告用の点灯部72を点滅させる。このとき。、搬送先が同一であれば点灯部72を消灯する。
【0079】
このように本実施の形態2の薬剤取揃支援システム70は、間違えて搬送先の異なる搬送カート71に管理薬剤容器24を積載すると、点灯部72が点滅して、作業者に間違った搬送カート73管理薬剤容器24の積載していることを知らせる。よって、管理薬剤容器24を搬送先の異なる搬送カート73に搭載する間違いを防止することができる。
【0080】
(実施の形態3)
図12は、本発明の実施の形態3における薬剤取揃支援システム80の概略構成図である。
【0081】
薬剤取揃支援システム80は、薬剤トレイ22と管理薬剤容器24を搬送先が異なる組み合わせで、搬送カート83に搭載する間違いを防止することができる。例えば、薬剤保管庫25で管理薬剤を取り揃えた管理薬剤容器24を搬送カート81に積み戻す場合、搬送先の異なる薬剤トレイ22を搭載した搬送カート83に間違えて積載することを防止する。なお、その他の部分は実施の形態1と同様なので、説明は省略する。
【0082】
図12に示すように、本実施の形態3の薬剤取揃支援システム80は、薬剤トレイ22を複数個搭載して移動することができる搬送カート81を備えている。薬剤払出機23は、処方箋情報に応じて一般薬剤が払い出された患者毎の薬剤トレイ22のトレイIDを、患者IDや処方箋情報と関連づけてデータ管理部26に記録している。搬送先が同一の複数の処方箋情報から作成された管理薬剤補充情報に基づいて、管理薬剤容器24に管理薬剤61を取り揃えている。データ管理部26は、管理薬剤容器24の容器IDと処方箋情報に関連づけられた搬送先情報を関連づけて記録している。搬送カート81で、搭載された薬剤トレイ22のトレイIDおよび管理薬剤容器24の容器IDが検出されると、検出されたトレイIDおよび容器IDがデータ管理部26へ送信される。搬送カート81より送信されたトレイIDおよび容器IDの組み合わせと、データ管理部26に記録されたトレイIDおよび容器IDの間連づけられた組合せとが比較される。
【0083】
これにより、薬剤トレイ22と管理薬剤容器24を搬送先が異なる組み合わせで、搬送カート81に搭載する間違いを防止することができる。
【0084】
具体的には、搬送カート81に新たに管理薬剤容器24が積まれると、搬送カート81は、RFIDリーダ81aにより管理薬剤容器24のRFIDタグ47より容器IDを検出する。搬送カート81は薬剤トレイ22のRFIDタグ41よりトレイIDをその搭載時に検出している。搬送カート81は、検出した容器IDを既に搭載されているトレイIDと共にデータ管理部26へ送信する。データ管理部26は、搬送カート81より受信した容器IDとトレイIDの組合せを、図6に示す管理表48で関連づけられている容器IDとトレイIDの組み合わせと比較し、それらの組み合わせが同一であるか否かを判定する。そして、容器IDとトレイIDの組み合わせの判定結果は、データ管理部26より搬送カート81へ送信される。搬送カート81は、組み合わせ判定結果が不同一である場合には、搬送カート81に搭載された容器IDと搬送カート81のトレイIDの搬送先が異なることを、作業者へ知らせる警告用の点灯部82を点滅させる。組み合わせ判定結果が同一である場合には、点灯部82を消灯した状態とする。
【0085】
このように本実施の形態3の薬剤取揃支援システム80は、搬送カート81に搬送先の異なる管理薬剤容器24を積載すると、点灯部82が点滅して、作業者に管理薬剤容器24を間違った搬送カート81に積載していることを知らせる。よって、管理薬剤容器24を搬送先の異なる薬剤トレイ22と一緒に搬送カート81に搭載する間違いを防止することができる。
【0086】
(実施の形態4)
図13は、本発明の実施の形態4における薬剤取揃支援システム91の基本動作を説明する説明図である。
【0087】
薬剤取揃支援システム91は、ディスプレイ30に表示される搬送先を選択することで、ディスプレイ30に管理薬剤補充情報を表示するシステムである。これにより、管理薬剤容器24に、搬送先が同じ複数の薬剤トレイ22に補充すべき管理薬剤を間違いなく取り揃えることができる。なお、その他の部分は実施の形態1と同様なので、説明は省略する。
【0088】
本実施の形態4の薬剤取揃支援システム91は、内部に薬剤トレイ22を保持し、患者毎の処方箋情報に応じて薬剤トレイ22へ一般薬剤を払い出す薬剤払出機23と、ディスプレイ30を有し管理薬剤を保管する薬剤保管庫25と、データ管理部26とを備える。
【0089】
データ管理部26は、患者毎の処方指示や院内情報に基づいて、患者ID、処方箋情報、搬送先情報を取得して記録する。また、データ管理部26は搬送先情報の搬送先を同一とする複数の処方箋情報にある管理薬剤の名称情報、個数情報をまとめた管理薬剤補充情報を作成して記録する。データ管理部26は、管理薬剤補充情報と搬送先情報を組み合わせて、薬剤保管庫25にデータ送信する。薬剤保管庫25は、データ管理部26の作成した複数の管理薬剤補充情報と搬送先情報を組み合わせて保存し、適時ディスプレイ30に表示する。
【0090】
そして、薬剤払出機23は、データ管理部26より搬送先を同一とする複数の患者IDや処方箋情報を取得し、患者毎の処方箋情報に応じて個別の薬剤トレイ22へ一般薬剤を払出す。薬剤保管庫25は、薬剤保管庫25で搬送先情報が入力されると、搬送先情報に関連づけられた管理薬剤補充情報をディスプレイ30に表示する構成である。
【0091】
この構成により、搬送先が同一である複数の薬剤トレイ22に補充する管理薬剤の名称情報、個数情報がまとまって薬剤保管庫25のディスプレイ30に表示されるので、作業者は、複数の処方箋情報より個別に管理薬剤の名称、個数を読み取らなくてもよい。よって、管理薬剤容器24に、搬送先が同一の複数の薬剤トレイ22に補充すべき管理薬剤の取り揃え間違いを防止することができる。
【0092】
次に、図13の薬剤取揃支援システム91の基本的な動作について説明する。
【0093】
薬剤払出機23は、データ管理部26より取得した管理情報(患者ID、処方箋情報、など)に従い、患者毎に薬剤トレイ22へ一般薬剤を払い出す。このとき、搬送先を同一とした処方箋情報をまとめて取得し、その後に、個別の処方箋情報に従って一般薬剤を患者毎の薬剤トレイ22へ払い出す。そして、搬送先が同じ複数の処方箋情報に対応した複数の薬剤トレイ22を連続して搬出する。
【0094】
作業者は、搬送先を同じとする薬剤トレイ22を搬送カート31に搭載し、搬送カート31に管理薬剤を補充するために、薬剤保管庫25の所へ移動する。薬剤保管庫25の内部もしくは近傍に配置されている容器保管部(図示せず)より、管理薬剤容器24を取り出し、テーブル29に管理薬剤容器24を置く。
【0095】
作業者は、ディスプレイ30に表示されている搬送先情報から搬送カート31の搬送先に相当する表示を選択する。たとえば、搬送カート31の搬送先が5Fのナースステーションであれば、作業者はディスプレイ30に表示された「5F」のタッチ検出エリアを押す。すると、ディスプレイ30に、搬送先が5Fの管理薬剤補充情報が表示される。
【0096】
この管理薬剤補充情報は、搬送先を5Fとする搬送カート31に積んだ複数の薬剤トレイ22に補充が必要な管理薬剤の情報である。そして、作業者は、管理薬剤補充情報の表示に従い管理薬剤を管理薬剤容器24に取り揃える。このように、管理薬剤補充情報の表示に従って薬剤の取り揃えを行なうことで、管理薬剤容器24に、搬送先が同一である薬剤トレイ22に補充すべき管理薬剤を、間違いなく取り揃えることができる。
【0097】
以下、本実施の形態4の薬剤取揃支援システム91を用いた薬剤の取り揃えについて詳細を説明する。図14は、本実施の形態4における薬剤取揃支援システム91の薬剤払出機23の動作のフローチャートである。
【0098】
医局の処方箋作成端末で作成された処方箋情報は、患者IDを加えて、データ管理部26へ通信回線27を経由して送信される。そして、データ管理部26は、患者の患者ID、処方箋情報を関連づけて記録する。さらに、患者IDを基に医局のデータベース(図示せず)を検索して、患者の入院場所を示す搬送先情報を取得して関連づけて記録する。
【0099】
薬剤払出機23は、同一搬送先の患者ID、処方箋情報などをデータ管理部26より取得して、患者毎の薬剤トレイに患者毎の処方箋情報に応じて一般薬剤を払い出す。なお、ステップS21〜ステップS25の動作は、図3に示したステップS01〜S05の動作とそれぞれ同じであり、詳細な説明を省略する。
【0100】
薬剤払出機23より搬送先を同一とする複数の薬剤トレイ22が搬出された後、作業者はこれらの薬剤トレイを、搬送カート31に積載する。作業者は、この搬送カート31の薬剤トレイ22に補充する必要のある管理薬剤を集めるために、搬送カート31を薬剤保管庫25へ移動する。
【0101】
図15は、本実施の形態4における薬剤保管庫25の動作のフローチャートである。
【0102】
作業者は、本人のICカードをICカードリーダ56にかざす。すると、薬剤保管庫25は、ICカードリーダ56とパンチルトカメラ55を用いて、作業者のICカードを読取りと作業者の撮影を行う(ステップS31)。ICカードリーダ56の読取ったICカードの作業者情報は、制御器63に登録されている作業者情報と比較される。同時に、パンチルトカメラ55は、ICカードの認証動作を制御のトリガとして作業者の撮影を行う。ICカードの作業者情報と撮影画像は、制御器63にデータ保存される。
【0103】
ステップS31で読み取ったICカードの作業者情報が制御器63に登録されていれば、薬剤保管庫25の使用を許可する。作業者情報が制御器63に登録されていない場合には、薬剤保管庫25の使用を不許可にし、警告表示をディスプレイ30に表示する(ステップS32)。
【0104】
作業者の使用が許可された場合には、作業者は、薬剤保管庫25の容器保管部より管理薬剤容器24を取出し、薬剤保管庫25のテーブル29に置く。なお、薬剤保管庫25の容器保管部は保冷機能を持ち、管理薬剤容器24の収納部分は所定温度で保冷されている。また、作業者の使用が許可された場合には、データ管理部26で作成された複数の管理薬剤補充情報に対応する複数の搬送先情報が薬剤管理庫25のディスプレイ30に表示される。
【0105】
図16は、本実施の形態4における薬剤保管庫25のディスプレイ30に表示される搬送先情報の画面を示す図である。図16に示すように、データ管理部26で作成された管理薬剤補充情報の存在する搬送先がディスプレイ30に表示される。ここでは、管理薬剤補充情報の存在する搬送先は4F、5F、6Fのナースステーションである。
【0106】
作業者は、管理薬剤を取り揃える搬送先の文字エリアを押して、タッチパネル機能付きディスプレイ30から搬送先を入力する(ステップS33)。たとえば、作業者は「5F」の文字が表示されたタッチ検出エリア95を押すことにより、薬剤保管庫25は、タッチ検出エリア95が押されたことを検出し、搬送先「5F」が入力されたことを検知する。すなわち、作業者は、取り揃える管理薬剤の搬送先を薬剤保管庫25へ入力する。
【0107】
次に、薬剤保管庫25は、取得した搬送先情報をデータ管理部26へ送信する(ステップS34)。
【0108】
薬剤保管庫25より搬送先情報を受信すると、データ管理部26は受信した搬送先情報に基づいて図6に示す管理表48を検索する。そして、その搬送先情報を持つ管理薬剤補充情報を薬剤保管庫25へ送信する。薬剤保管庫25は、データ管理部26より管理薬剤補充情報を受信する(ステップS35)。
【0109】
そして、薬剤保管庫25は、受信した管理薬剤補充情報と、入力された搬送先情報を、ディスプレイ30に表示する(ステップS36)。なお、薬剤保管庫25は、データ管理部26が作成した管理薬剤補充情報と搬送先情報の組み合わせデータを事前に取得して制御器63に保存しておいて、搬送先の選択入力がされたときに、搬送先に対応した管理薬剤補充情報をディスプレイ30に表示するようにしてもよい。
【0110】
図15のフローチャートに示すように、ステップS36で管理薬剤補充情報が表示された後、保管庫保冷棚部51の電子錠の施錠解除が行なわれる(ステップS37)。これにより、保管庫保冷棚部51の中にある管理薬剤61を取り出すことができる。
【0111】
薬剤保管庫25は、管理薬剤補充情報で指定されている保管庫保冷棚部51の中の管理薬剤61が配置されている場所の電子棚札62が点灯する(ステップS38)。
【0112】
作業者は、ディスプレイ30に表示された管理薬剤61を保管庫保冷棚部51より取り出して、管理薬剤容器24に取り揃える。
【0113】
保管庫保冷棚部51より管理薬剤61を取出したときに、作業者は、管理薬剤61のバーコードをバーコードリーダ57に読み取らせる(ステップS39)。すなわち、作業者は、保管庫保冷棚部51より管理薬剤61をひとつずつ取出し、取出した管理薬剤61のバーコードをバーコードリーダ57で読取らせる。これにより、薬剤保管庫25の制御器63は、取り出された管理薬剤61のバーコードを検出する。取り揃えの必要な管理薬剤に関して、取り出しとバーコード検出を続ける。
【0114】
取り揃えが必要な管理薬剤を必要個数分だけバーコード検出すると、制御器63は取り揃え終了画面(たとえば、図10参照)をディスプレイ30に表示する。すなわち、管理薬剤補充情報の管理薬剤のすべてのバーコードを検出すると、管理薬剤の取り揃えが終了したことを示すメッセージと、取揃終了ボタンとをディスプレイ30に表示する(ステップS40)。
【0115】
作業者は、管理薬剤容器24への薬剤取揃が終了すると、ディスプレイ30に表示された取揃終了ボタンのタッチ検出エリア64を押す。このとき、薬剤保管庫25は、タッチ検出エリア64が押されたことをトリガとして、トレイ用カメラ58により管理薬剤容器24の収納空間にある管理薬剤61の撮影を行う(ステップS41)。トレイ用カメラ58で撮影された撮影画像情報は、制御器63に記録される。
【0116】
次に、薬剤保管庫25は、管理薬剤容器24の容器IDをRFIDタグリーダによって検出する(ステップS42)。
【0117】
次に、薬剤保管庫25は、管理薬剤補充情報の薬剤の取り揃えが完了した補充完了時刻と管理薬剤容器24の容器IDと搬送先情報をデータ管理部26へ送信し、管理薬剤容器24のRFIDタグ47に補充薬剤の取揃完了情報を追加記録する(ステップS43)。データ管理部26では、受信した補充完了時刻と容器IDと搬送先情報により、管理表48の搬送先情報に対応するデータとして容器IDと補充完了時刻を記録する。このようにして薬剤保管庫25での動作は終了する。
【0118】
管理薬剤容器24に管理薬剤を取り揃えた後、作業者は、管理薬剤容器24の蓋を閉じて、管理薬剤容器24を搬送カート31に戻す。搬送カート31は、管理薬剤容器24のRFIDタグ47より容器IDを検出し、データ管理部26に送信する。そして、搬送作業者は、搬送カート31を薬剤トレイ22の搬送先へ移動する。搬送先の病棟のナースステーションで、搬送カート31より管理薬剤容器24が取出される。管理薬剤容器24の管理薬剤61は、一時的にナースステーションの保冷庫に収納され、適切な保冷温度で保管される。また、必要に応じて、管理薬剤61は薬剤トレイ22に補充される。
【0119】
なお、薬剤取揃支援システム91は、管理薬剤を取り揃えた管理薬剤容器24を、異なる搬送先の搬送カート31に搭載する間違いを防止するために、管理薬剤容器24の搬送先と搬送カート31の搬送先を比較する構成にしてもよい。
【0120】
そのために、図13に示す薬剤取揃支援システム91は、管理薬剤容器24と、薬剤トレイ22を複数個搭載して移動する搬送カート31を、備えてもよい。そして、薬剤保管庫25で搬送先情報と対応づけられて検出された管理薬剤容器24の容器IDをデータ管理部26に送信し、この容器IDが搬送先情報と関連づけられてデータ管理部26に記録される。搬送カート31で、搭載された管理薬剤容器24の容器IDが検出されると、検出された容器IDと搬送カート31のカートIDがデータ管理部26へ送信される。データ管理部26で、カートIDよりカート搬送先情報を取得し、容器IDに間連づけられた搬送先情報とカート搬送先情報が比較される。
【0121】
搬送カート31は、データ管理部26より、搬送先が不同一であるとする判定結果を受信すると、搬送カート31の搬送先が異なることを作業者へ知らせる点灯部を点滅させる。搬送先が同一であれば点灯部を消灯した状態とする。
【0122】
このような構成とすることで、薬剤取揃支援システム91は、管理薬剤を取り揃えた管理薬剤容器24を、異なる搬送先の搬送カート31に搭載する間違いを防止することができる。
【0123】
なお、薬剤取揃支援システム91は、薬剤トレイ22と管理薬剤容器24を搬送先が異なる組み合わせで、搬送カート31に搭載する間違いを防止するために、搬送カート31に積載した管理薬剤容器24と薬剤トレイ22の搬送先を比較する構成にしてもよい。
【0124】
そのために、図13に示す薬剤取揃支援システム91は、管理薬剤容器24と、複数個の薬剤トレイ22を搭載して移動する搬送カート31を、備えてもよい。そして、薬剤保管庫25で搬送先情報に対応した管理薬剤を取り揃えた管理薬剤容器24の容器IDが検出されると、この容器IDが搬送先情報と関連づけられてデータ管理部26に記録される。薬剤払出機23は、患者IDに対応した処方箋情報に応じて一般薬剤を患者毎の薬剤トレイ22に払い出し、薬剤トレイ22のトレイIDを検出して、患者IDとトレイIDを組み合わせてデータ管理部26に送信する。これにより、データ管理部26は患者IDに対応づけられている搬送先情報をトレイIDに関連づけて記録する。搬送カート31は、搭載された薬剤トレイ22のトレイIDと管理薬剤容器24の容器IDを検出し、トレイIDと容器IDをデータ管理部26へ送信する。データ管理部26は、搬送カート31より送信されたトレイIDと容器IDの組み合わせと、データ管理部26に記録されているトレイIDと容器IDの組合せが比較される。
【0125】
搬送カート31は、データ管理部26より、組み合わせが不同一であるとする判定結果を受信すると、搬送カート31の搬送先が異なることを作業者へ知らせる点灯部を点滅させる。搬送先が同一であれば点灯部を消灯した状態とする。
【0126】
この構成により、薬剤トレイ22と管理薬剤容器24を搬送先が異なる組み合わせで、搬送カート31に搭載する間違いを防止することができる。
【0127】
(実施の形態5)
図17は、本発明の実施の形態5における薬剤取揃支援システム101の概略構成図である。薬剤取揃支援システム101は、冷却保管用の薬剤保管庫である薬剤保冷庫102と常温保管用の薬剤保管庫である薬剤常温庫103を有しており、保管条件の異なる複数の薬剤保管庫がある場合でも、それぞれの管理薬剤容器に、搬送先が同じ複数の薬剤トレイに補充すべきそれぞれの管理薬剤を間違いなく取り揃えることができるシステムである。
【0128】
薬剤取揃支援システム101は、薬剤払出機23と、データ管理部106と、薬剤保管庫として保冷状態の管理薬剤を保管する薬剤保冷庫102と、薬剤保管庫として常温状態の管理薬剤を保管する薬剤常温庫103とを備える。なお、薬剤保冷庫102は、管理薬剤を常温よりも低い温度で保冷保管することができる薬剤保管庫であり、保冷機構以外は図7に示した薬剤保管庫25と同じ構成である。なお、その他の部分は実施の形態1と同様なので、説明は省略する。
【0129】
データ管理部106は、管理薬剤補充情報として保冷薬剤補充情報と常温薬剤補充情報を作成して記録している。保冷薬剤補充情報は、搬送先を同一とした複数の処方箋情報に含まれる保冷管理薬剤の名称情報、個数情報をまとめた管理薬剤補充情報を意味する。また、常温薬剤補充情報は、搬送先を同一とした複数の処方箋情報に含まれる常温管理薬剤の名称情報および個数情報をまとめた管理薬剤補充情報を意味する。そして、薬剤保冷庫102で搬送先情報が入力されると、薬剤保冷庫102は、データ管理部106に作成され搬送先情報と関連づけられた保冷薬剤補充情報を、ディスプレイ30に表示する。薬剤常温庫103で搬送先情報が入力されると、薬剤常温庫103は、データ管理部106に作成され搬送先情報と関連づけられた常温薬剤補充情報を、ディスプレイ30に表示する。
【0130】
図18は、常温保管を行う薬剤保管庫である薬剤常温庫103の正面図である。図18に示す薬剤常温庫103は、常温管理を必要とする管理薬剤61を内部の棚に収納して常温保管する保管庫常温棚部105と、保管庫常温棚部105の管理薬剤を管理する保管庫管理部52とを有する。
【0131】
保管庫常温棚部105は収納棚60および複数の電子棚札62を有する。そして、収納棚60に常温管理する管理薬剤61を種類ごとに分けて、それぞれの配置エリアに並べられる。また、電子棚札62は、配置エリアごとに収納棚60に取り付けられる。
【0132】
次に、薬剤取揃支援システム91の基本的な動作について説明する。図19は、本実施の形態5における薬剤取揃支援システム101の基本動作を説明する説明図である。
【0133】
薬剤払出機23は、データ管理部106より取得した管理情報(患者ID、処方箋情報、など)に従い、患者毎に薬剤トレイ22へ一般薬剤を払い出す。このとき、搬送先を同一とした処方箋情報をまとめて取得し、その後に、個別の処方箋情報に従って一般薬剤を患者毎の薬剤トレイ22へ払い出す。そして、搬送先が同じ複数の処方箋情報に対応した複数の薬剤トレイ22を連続して搬出する。
【0134】
作業者は、搬送先を同じとする薬剤トレイ22を搬送カート31に積載し、保冷管理を必要とする管理薬剤を補充するために、搬送カート31を薬剤保冷庫102の所へ移動させる。薬剤保冷庫102の内部もしくは近傍に配置されている容器保管部(図示を省略)より、管理薬剤容器24を取出し、テーブル29に管理薬剤容器24を置く。
【0135】
作業者は、ディスプレイ30に表示されている搬送先情報から搬送カート31の搬送先に相当する表示を選択する。たとえば、搬送カート31の搬送先が5Fであれば、作業者はディスプレイ30に表示された「5F」の文字を表示するタッチ検出エリア95を押す。すると、ディスプレイ30に、搬送先が5Fの保冷薬剤補充情報が表示される。
【0136】
この保冷薬剤補充情報は、搬送先を5Fとする搬送カート31に積んだ複数の薬剤トレイ22に補充が必要な保冷の管理薬剤の情報である。そして、作業者は、保冷薬剤補充情報の表示に従い、管理薬剤を管理薬剤容器24に取り揃える。このように、保冷薬剤補充情報の表示に従って薬剤の取り揃えを行うことで、保冷薬用の管理薬剤容器24に、搬送先が同じ薬剤トレイ22に補充すべき保冷用の管理薬剤を間違いなく取り揃えることができる。
【0137】
次に、作業者は、搬送先を同じとする薬剤トレイ22に常温管理を必要とする管理薬剤を補充するために、薬剤常温庫103の所へ搬送カート31を移動させる。薬剤常温庫103の内部または近傍に配置されている容器保管部(図示を省略)より、管理薬剤容器24を取出し、テーブル29に管理薬剤容器24を置く。
【0138】
作業者は、ディスプレイに表示されている搬送先情報から搬送カート31の搬送先に相当する表示を選択する。たとえば、搬送カート31の搬送先が5Fであれば、作業者はディスプレイ30に表示された「5F」の文字を表示するタッチ検出エリア95を押す。すると、ディスプレイ30に、搬送先が5Fの常温薬剤補充情報が表示される。
【0139】
この常温薬剤補充情報は、搬送先を5Fとする搬送カート31に積んだ複数の薬剤トレイ22に補充が必要な常温の管理薬剤の情報である。そして、作業者は、常温薬剤補充情報に従い管理薬剤を管理薬剤容器24に取り揃える。このように、常温薬剤補充情報の表示に従って薬剤の取り揃えを行うことで、常温薬用の管理薬剤容器24に、搬送先が同じ薬剤トレイ22に、補充すべき常温用の管理薬剤を間違いなく取り揃えることができる。
【0140】
この構成により、薬剤取揃支援システム101は薬剤保冷庫102と薬剤常温庫103を有しており、複数の薬剤保管庫がある場合でも、管理薬剤容器24に、搬送先が同じ複数の薬剤トレイに補充すべき管理薬剤を間違いなく取り揃えることができる。
【0141】
なお、上述した薬剤取揃支援システム101は、薬剤保冷庫102で保冷薬剤補充情報を表示するために薬剤保冷庫102に搬送先情報を入力し、また、薬剤常温庫103で常温薬剤補充情報を表示するために搬送先情報を入力していた。しかしながら、本実施の形態5は、そのような場合に限定されるものではない。たとえば、保冷用の管理薬剤容器24の容器IDと搬送先の保冷薬剤補充情報を関連づけてデータ管理部に記録し、常温用の管理薬剤容器24の容器IDと搬送先の常温薬剤補充情報を関連づけてデータ管理部に記録する。薬剤保冷庫102は、管理薬剤容器24の容器IDを検出し、データ管理部の記録情報を取得して、容器IDに対応した保冷薬剤補充情報をディスプレイに表示させる。薬剤常温庫103は、管理薬剤容器24の容器IDを検出し、データ管理部の記録情報を取得して、容器IDに対応した常温薬剤補充情報をディスプレイに表示させる。このようにするならば、管理薬剤容器24の容器IDを検出することによって、自動的に対応する補充情報を表示できる。また、薬剤保冷庫102に常温用の管理薬剤容器を用いる間違いや薬剤常温庫103に保冷用の管理薬剤容器を用いる間違いを検知して、警告表示を行うことも可能である。
【0142】
そのために、たとえば前述の実施の形態1の薬剤取揃支援システム21に示した方法により、データ管理部106は、搬送先情報を管理薬剤容器24の容器IDに関連づけて記録する。さらに、データ管理部106は、管理薬剤補充情報として、搬送先を同一とした複数の処方箋情報にある保冷管理を必要とする管理薬剤の名称情報、個数情報をまとめて示す保冷薬剤補充情報を記録する。さらに、搬送先を同一とした複数の処方箋情報にある常温管理を必要とする管理薬剤の名称情報および個数情報をまとめて示す常温薬剤補充情報を記録する。そして、薬剤保冷庫102で管理薬剤容器24の容器IDが検出されると、データ管理部106に記録され容器IDと間連づけられた保冷薬剤補充情報を薬剤保冷庫102のディスプレイに表示する。さらに、薬剤常温庫103で管理薬剤容器24の容器IDが検出されると、データ管理部106に記録され容器IDと間連づけられた常温薬剤補充情報を薬剤常温庫103のディスプレイ30に表示する。
【0143】
この構成により、薬剤取揃支援システムは薬剤保冷庫102と薬剤常温庫103を有し、管理温度の異なる複数の薬剤保管庫がある場合であっても、管理薬剤容器24に、搬送先が同じ複数の薬剤トレイに補充すべき管理薬剤を間違いなく取り揃えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0144】
本発明における薬剤取揃支援システムは、管理薬剤容器に、搬送先が同じ複数の薬剤トレイに補充すべき管理薬剤を間違いなく取り揃えることができ、搬送先であるナースステーション等が多数存在する大規模な病院施設等で有用である。
【符号の説明】
【0145】
21,70,80,91,101 薬剤取揃支援システム
22 薬剤トレイ
23 薬剤払出機
24 管理薬剤容器
25 薬剤保管庫
26,106 データ管理部
27 通信回線
28 払出棚
29 テーブル
29a,71a,81a RFIDリーダ
30 ディスプレイ
31,71,73,81,83 搬送カート
41,47 RFIDタグ
45 収納部
46 蓋部
48 管理表
51 保管庫保冷棚部
52 保管庫管理部
54 支持部
55 パンチルトカメラ
56 ICカードリーダ
57 バーコードリーダ
58 トレイ用カメラ
59 電子錠
60 収納棚
61 管理薬剤
62 電子棚札
63 制御器
64,95 タッチ検出エリア
72,82 点灯部
102 薬剤保冷庫
103 薬剤常温庫
105 保管庫常温棚部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処方箋情報に応じて薬剤収納体に一般薬剤を払い出す薬剤払出機と、
劇薬および保冷が必要な薬剤である管理薬剤を保管する薬剤保管庫と、
搬送先が同一である複数の前記処方箋情報に含まれる管理薬剤の名称情報、個数情報をまとめた管理薬剤補充情報を作成するデータ管理部と、を備え、
前記データ管理部は、受信した管理薬剤容器の容器IDを、前記複数の処方箋情報から作成された前記管理薬剤補充情報と関連づけて記録し、
前記薬剤保管庫は、検出された前記管理薬剤容器の前記容器IDに関連づけられた前記管理薬剤補充情報をディスプレイに表示する
薬剤取揃支援システム。
【請求項2】
前記薬剤払出機は、搬送先が同じ薬剤収納体を搬出した後に前記管理薬剤容器を搬出するか、または、前記管理薬剤容器を搬出した後に搬送先が同じ薬剤収納体を搬出する
請求項1に記載の薬剤取揃支援システム。
【請求項3】
前記薬剤収納体を複数個搭載して移動する搬送カートを、さらに備え、
前記搬送カートで、前記管理薬剤容器の容器IDが検出されると、検出された前記容器IDおよび前記搬送カートのカートIDが前記データ管理部へ送信され、
前記データ管理部で、前記カートIDよりカート搬送先情報を取得し、前記カート搬送先情報と前記容器IDに間連づけられた前記搬送先情報とが比較される
請求項1または請求項2に記載の薬剤取揃支援システム。
【請求項4】
前記薬剤収納体を複数個搭載して移動することができる搬送カートを、さらに備え、
前記薬剤払出機で、前記処方箋情報に応じて前記一般薬剤が払い出された前記薬剤収納体の収納体IDを、前記処方箋情報および前記搬送先情報と関連づけて前記データ管理部に記録し、
前記搬送カートで、前記薬剤収納体の前記収納体IDおよび前記管理薬剤容器の前記容器IDが検出されると、前記収納体IDおよび前記容器IDが前記データ管理部へ送信され、前記搬送カートより送信された前記収納体IDおよび容器IDの組み合わせと、前記データ管理部に記録された前記収納体IDおよび前記容器IDの間連づけが比較される
請求項1または請求項2に記載の薬剤取揃支援システム。
【請求項5】
前記薬剤保管庫として、保冷状態で保冷管理薬剤を保管する薬剤保冷庫と、常温状態で常温管理薬剤を保管する薬剤常温庫とを備え、
前記データ管理部は、前記管理薬剤補充情報として、搬送先を同一とする前記処方箋情報にある前記保冷管理薬剤の名称情報、個数情報をまとめた保冷管理薬剤補充情報と、搬送先を同一とする前記処方箋情報にある前記常温管理薬剤の名称情報および個数情報をまとめた常温管理薬剤補充情報を作成し、
前記薬剤保冷庫は、検出された前記管理薬剤容器の前記容器IDと間連づけられた前記保冷管理薬剤補充情報を前記薬剤保管庫のディスプレイに表示し、
前記薬剤常温庫は、検出された前記管理薬剤容器の前記容器IDと間連づけられた前記常温管理薬剤補充情報を前記薬剤常温庫のディスプレイに表示する
請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の薬剤取揃支援システム。
【請求項6】
処方箋情報に応じて薬剤収納体へ一般薬剤を払い出す薬剤払出機と、
劇薬および保冷が必要な薬剤である管理薬剤を保管する薬剤保管庫と、
搬送先が同一である複数の前記処方箋情報から管理薬剤の名称情報、個数情報をまとめた管理薬剤補充情報を作成して搬送先情報と関連付けるデータ管理部と、を備え、
前記薬剤保管庫は、前記薬剤保管庫で搬送先情報が入力されると、前記搬送先情報に関連づけられた前記管理薬剤補充情報をディスプレイに表示する
薬剤取揃支援システム。
【請求項7】
管理薬剤容器と前記薬剤収納体を複数個搭載して移動する搬送カートを備え、
前記薬剤保管庫で前記搬送先情報が入力されると、前記薬剤保管庫の近傍で検出された前記管理薬剤容器の容器IDを前記搬送先情報と関連づけて記録し、
前記搬送カートで、前記管理薬剤容器の前記容器IDが検出されると、検出された容器IDおよび前記搬送カートのカートIDに基づいて、前記カート搬送先情報と前記容器IDに間連づけられた前記搬送先情報とを比較して、これら情報の一致を確認する
請求項6に記載の薬剤取揃支援システム。
【請求項8】
管理薬剤容器と前記薬剤収納体を複数個搭載して移動する搬送カートを備え、
前記薬剤払出機で前記処方箋情報に応じて前記一般薬剤が払い出された前記薬剤収納体の収納体IDを、前記処方箋情報や前記患者情報や前記搬送先情報と関連づけて前記データ管理部に記録し、
前記薬剤保管庫で前記搬送先情報が入力されて、前記薬剤保管庫は近傍にある前記管理薬剤容器の容器IDを検出し、前記容器IDが前記搬送先情報と関連づけてデータ管理部に記録し、
前記搬送カートで、前記薬剤収納体の前記収納体IDおよび前記管理薬剤容器の前記容器IDが検出されると、検出された前記収納体IDおよび前記容器IDの組み合わせと、前記データ管理部に記録された前記収納体IDおよび前記容器IDの関連づけを比較して、これらの一致を確認する
請求項6に記載の薬剤取揃支援システム。
【請求項9】
前記薬剤保管庫として、保冷状態で保冷管理薬剤を保管する薬剤保冷庫と、常温状態で常温管理薬剤を保管する薬剤常温庫とを備え、
前記データ管理部は、前記管理薬剤補充情報として、前記保冷管理薬剤の名称情報、個数情報をまとめた保冷管理薬剤補充情報と、前記常温管理薬剤の名称情報および個数情報をまとめた常温管理薬剤補充情報を記録し、
前記薬剤保冷庫で前記搬送先情報が入力されると、前記データ管理部に記録された前記搬送先情報と関連づけられた前記保冷管理薬剤補充情報を前記薬剤保冷庫のディスプレイに表示し、
前記薬剤常温庫で前記搬送先情報が入力されると、前記データ管理部に記録された前記搬送先情報と関連づけられた前記常温管理薬剤補充情報を前記薬剤常温庫のディスプレイに表示する
請求項6〜請求項8のいずれか1項に記載の薬剤取揃支援システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2012−18560(P2012−18560A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−155649(P2010−155649)
【出願日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】