薬剤導入シートおよびキット
【課題】歯間の隣接面に容易に挿入可能であり、且つ、十分な量の薬剤をカリエス部に保持可能な薬剤導入シートおよびこれを備えるキットを提供する。
【解決手段】歯間に挿入可能な板状の基板シート11と、基板シート11の表面と裏面の少なくとも一方に形成され、弾性変形可能な機能層12とを備え、機能層12には、歯に付着される薬剤が吸収されている薬剤導入シート1を採用する。また、このような薬剤導入シート1と、薬剤導入シート1の少なくとも一方の端部に設けられ、薬剤導入シート1を保持する保持部とを備える薬剤導入キットを採用する。
【解決手段】歯間に挿入可能な板状の基板シート11と、基板シート11の表面と裏面の少なくとも一方に形成され、弾性変形可能な機能層12とを備え、機能層12には、歯に付着される薬剤が吸収されている薬剤導入シート1を採用する。また、このような薬剤導入シート1と、薬剤導入シート1の少なくとも一方の端部に設けられ、薬剤導入シート1を保持する保持部とを備える薬剤導入キットを採用する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤導入シートおよびこれを備えるキットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、口腔内のカリエス部を診断する手段として、オーラルヘルスケア物質を含浸させた層が設けられたストリップを口腔内に挿入する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。このストリップには、歯と歯の隙間とほぼ同じ間隔で固定具が設けられており、この固定具は、歯と歯の隙間に嵌合するようになっている。また、ストリップは、口腔内の湿気、化学物質、または酵素類の作用により軟化し、伸張可能である。
【0003】
また、従来、初期う蝕に含まれる水分を吸水するシートを口腔内に挿入する方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。このシートは、隣接する歯と歯の隙間をリング等で拡張し、その隙間に吸水シートを挿入できるように、やや薄めに形成されており、さらに挿入用ガイドなどによって挿入しやすくした形状である。
【0004】
また、従来、ウェッジなどのスペーサーを挿入することで、歯間を拡張し、蛍光物質を歯間のカリエス部に誘導する方法が知られている(例えば、特許文献3参照)。この方法では、金属片、プラスチック片、紙片、シリンジによって、蛍光物質をカリエス部に誘導するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2004−538085号公報
【特許文献2】特開平11−14624号公報
【特許文献3】米国特許出願公開第2008/0038686号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1には、オーラルヘルスケア物質層が設けられたストリップにより、歯の表面にオーラルヘルスケアを放出することが記載されている。また、一定間隔で設けられた固定部が歯と歯の間に嵌合することで、接着機能が得られることが記載されている。しかしながら、歯と歯の間への薬剤の導入については述べられておらず、また、蛍光物質についても触れられていない。
【0007】
また、特許文献2には、初期う蝕に含まれる微量な水分を検出可能な水分吸水シートと、歯間拡張リングとの併用によって、歯間にシートを挿入することが記載されている。しかしながら、シート自体の強度が弱いため、歯間を拡張しなければ、隣接面にはシートを挿入できず、その作業が煩雑であるという不都合がある。
【0008】
また、特許文献3に開示されている技術によれば、プラスチック片や金属片など一定の厚さをもったシートを隣接面に挿入しているため、隣接面の広範囲にわたって薬剤を密着させることは困難であるという不都合がある。
【0009】
すなわち、特許文献1から3に開示されている技術によれば、隣接面カリエス部に対して十分な量の薬剤をカリエス部に誘導する具体的な手段が示されていなかった。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、歯間の隣接面に十分な量の薬剤をカリエス部に保持可能な薬剤導入シートおよびこれを備えるキットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の手段を採用する。
本発明の第1の態様は、歯間に挿入可能な板状の基板シートと、該基板シートの表面と裏面の少なくとも一方に形成され、弾性変形可能な機能層とを備え、前記機能層には、歯に付着される薬剤が吸収されている薬剤導入シートである。
【0012】
本発明の第1の態様によれば、薬剤導入シートを歯間に挿入する際には、基板シートの表面と裏面の少なくとも一方に形成された機能層が弾性変形する。そして、薬剤導入シートを歯間に挿入した後には、機能層がその弾性力によって歯の隣接面に押し当てられる。これにより、機能層に含まれた薬剤を歯の隣接面に付着させたまま保持することができ、歯間の隣接面に形成されたカリエス部に十分な量の薬剤を所望の時間に渡って付着させることができる。
【0013】
上記の第1の態様において、前記基板シートと前記機能層の厚さの合計が50μm以内であることとしてもよい。
基板シートと機能層の厚さの合計を50μm以内とすることで、薬剤導入シートを歯間に挿入する際の作業性を向上することができる。
【0014】
上記の第1の態様において、前記機能層は、高分子材料から構成されていることとしてもよい。
機能層を高分子材料で構成することで、薬剤の吸水性を向上することができ、薬剤導入シートを歯間に挿入した際に、歯間の隣接面に形成されたカリエス部に十分な量の薬剤を誘導することができる。
【0015】
上記の第1の態様において、前記機能層は、多孔質材料から構成されていることとしてもよい。
機能層を多孔質材料で構成することで、薬剤の吸水性を向上することができ、薬剤導入シートを歯間に挿入した際に、歯間の隣接面に形成されたカリエス部に十分な量の薬剤を誘導することができる。
【0016】
上記の第1の態様において、前記機能層は、液体を含浸することで膨張することとしてもよい。
このようにすることで、薬剤導入シートを歯間に挿入した際に、口腔内の唾液等の水分によって機能層を膨張させ、機能層を歯間の隣接面に押し当てる力を大きくすることができ、薬剤導入シートを歯間に挿入した際の保持力を向上することができる。
【0017】
上記の第1の態様において、前記機能層には、所定温度でゾル状態からゲル状態に変化する温度応答性ポリマー水溶液が吸収されていることとしてもよい。
このようにすることで、薬剤導入シートを歯間に挿入した際に、例えば口腔内の温度(35℃〜37℃)で、機能層に吸収された温度応答性ポリマー水溶液をゾル状態からゲル状態に変化させることができる。これにより、歯間の隣接面に形成されたカリエス部に薬剤を留まらせることができ、カリエス部に十分な量の薬剤を長時間に渡って付着させることができる。
【0018】
上記の第1の態様において、前記機能層は、前記基板シートの中央部に形成されていることとしてもよい。
このようにすることで、薬剤導入シートを歯間に挿入した際に、歯間のカリエス部に確実に機能層を接触させることができる。
【0019】
上記の第1の態様において、前記薬剤は、カリエス部に特異的に付着する蛍光薬剤であることとしてもよい。
これにより、歯間のカリエス部に蛍光薬剤を付着させ、その観察および診断を容易に行うことができる。
【0020】
本発明の第2の態様は、上記の薬剤導入シートと、該薬剤導入シートの少なくとも一方の端部に設けられ、前記薬剤導入シートを保持する保持部とを備える薬剤導入キットである。
このような薬剤導入キットによれば、保持部を掴んで口腔内の歯間に薬剤導入シートを挿入することができ、その作業性を向上することができる。
【0021】
上記の第2の態様において、前記保持部は、前記薬剤導入シートに脱着可能に設けられていることとしてもよい。
このようにすることで、口腔内の歯間に薬剤導入シートを挿入した後に、薬剤導入シートから保持部を取り外すことができる。これにより、口腔内のスペースを確保するとともに、保持部を複数の薬剤導入シートで兼用して、その製造コストを低減することができる。
【0022】
上記の第2の態様において、前記保持部には、前記薬剤を貯蔵する貯蔵部が設けられていることとしてもよい。
このようにすることで、口腔内の歯間に薬剤導入シートを挿入した後に、貯蔵部に貯蔵された薬剤を歯間のカリエス部に対して徐放することができ、カリエス部に十分な量の薬剤を長時間に渡って付着させることができる。また、例えば薬剤に温度応答性ポリマー水溶液を使用する場合、薬剤導入シートを歯間に挿入した後に薬剤を放出することで、薬剤導入シートを歯間に挿入している最中に、温度応答性ポリマー水溶液がゲル化してしまうことを防止することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、歯間の隣接面に容易に挿入可能であり、且つ、十分な量の薬剤をカリエス部に保持できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る薬剤導入シートの斜視図である。
【図2】図1の薬剤導入シートの横断面図である。
【図3】図1の薬剤導入シートの機能層が膨張する状態を説明する図である。
【図4】図1の薬剤導入シートを歯間に挿入した状態を説明する図である。
【図5】図4の薬剤導入シートが膨張した状態を説明する図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る薬剤導入シートの斜視図である。
【図7】図6の薬剤導入シートの作用を説明する図である。
【図8】図6の薬剤導入シートを歯間に挿入する状態を説明する図である。
【図9】図8の薬剤導入シートが膨張した状態を説明する図である。
【図10】図8の薬剤導入シートの作用を説明する図である。
【図11】図10のA部の部分拡大図である。
【図12】本発明の第3の実施形態に係る薬剤導入シートユニットを示しており、(a)は斜視図、(b)は横断面図である。
【図13】本発明の第3の実施形態に係る保持部を示しており、(a)は斜視図、(b)は横断面図である。
【図14】本発明の第3の実施形態に係る薬剤導入キットの横断面図である。
【図15】図14の薬剤導入キットの適用例を示す斜視図である。
【図16】図12の薬剤導入シートユニットを挿入する口腔内の上視図である。
【図17】図14の取り付け部と保持部とを嵌合させる状態を示す図である。
【図18】図17の薬剤導入キットを歯間に挿入する状態を示す図である。
【図19】図18の取り付け部から保持部を取り外す状態を示す図である。
【図20】第1の変形例に係る薬剤導入キットの側面図である。
【図21】第2の変形例に係る薬剤導入キットを示しており、(a)は斜視図、(b)は横断面図である。
【図22】第3の変形例に係る薬剤導入キットの側面図である。
【図23】図22の薬剤導入キットの薬剤注入時の状態を説明する図である。
【図24】図22の薬剤導入キットの機能層への薬剤供給時の状態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
[第1の実施形態]
以下、本発明の第1の実施形態に係る薬剤導入シート1について、図面を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る薬剤導入シート1は、歯35と歯36との間(歯間)に挿入されることで、歯間の隣接面に形成されたカリエス部に薬剤を導入するシートである。薬剤導入シート1は、歯間に挿入することができるように、例えば縦10mm×横20mm×厚さ50μm程度の大きさを有している。ここで、厚さを50μm以内とすることで、薬剤導入シート1を歯間に挿入する際の作業性を向上することができる。
【0026】
薬剤導入シート1は、図2に示すように、歯間に挿入可能な板状の基板シート11と、基板シート11の表面および裏面に形成された機能層12とを備えている。
基板シート11は、歯間に挿入できるように所定の強度を有する板状のシートであり、その両面に機能層12が形成されている。基板シート11は、具体的には、ポリエチレン、ポリオレフィン系フィルム、ポリエステル、ポリカーボネートフィルム、ポリスチレンフィルムなどから構成されている。
【0027】
機能層12は、吸水性および弾性を有しており、歯に付着される薬剤が吸収されている。
機能層12は、例えば高分子材料から構成されている。機能層12を高分子材料で構成することで、薬剤の吸水性を向上することができ、薬剤導入シート1を歯間に挿入した際に、歯間の隣接面に形成されたカリエス部に十分な量の薬剤を誘導することができる。
【0028】
また、機能層12は、図3に示すように、液体を含浸することで膨張する性質を有している。これにより、薬剤導入シート1を歯間に挿入した際に、口腔内の唾液等の水分によって機能層12を膨張させ、機能層12を歯間の隣接面に押し当てる力を大きくすることができ、薬剤導入シート1を歯間に挿入した際の保持力を向上することができる。
【0029】
機能層12に吸収されている薬剤は、具体的には、HiLyte Fluor, Qdot, Indocyanine Green(ICG), Doxorubicin, Riboflavin, Chlorophyll, Porphyrin, Osteosense, Gold nanoshell, Bacteriochlorophyllからなる色素と、少なくともポリアクリル酸、メタクリル酸、2−アクリロイルエタンスルホン酸等の高分子材料と、ヒアルロン酸、カラギーナン、カルボキシメリツセルロースナトリウム塩、アルギン酸の多糖類と、コラーゲン、ゼラチン等のたんぱく質とから構成されており、カリエス部に特異的に付着する。
【0030】
上記構成を有する薬剤導入シート1を歯間に挿入した際の作用について説明する。
図4に示すように、薬剤導入シート1を歯35と歯36との間(歯間)に挿入する際には、基板シート11の表面および裏面に形成された機能層12が弾性変形する。したがって、歯間を拡張する歯間拡張リング等の器具を用いることなく、容易に薬剤導入シート1を歯間に挿入することができる。
【0031】
そして、薬剤導入シート1を歯間に挿入した後には、機能層12がその弾性力によって歯35および歯36の隣接面に押し当てられる。また、機能層12が口腔内の唾液等の水分を吸収することで、図5に示すように、機能層12の高分子材料が膨張し、歯35と歯36との隙間一杯に薬剤導入シート1が広がる。
【0032】
これにより、機能層12に含まれた薬剤を歯35および歯36の隣接面に付着させたまま保持することができる。この状態において、機能層12に含有されている色素が、高分子材料と一緒に水に溶けて色素水溶液となり、この色素水溶液が徐放されることで、歯35および歯36の隣接面全体にかつ均一に色素を導入することが可能となる。これにより、歯35および歯36の隣接面に形成されたカリエス部に十分な量の薬剤を、所望の時間に渡って付着させることができる。
【0033】
また、機能層12を、基板シート11の中央部に形成することで、薬剤導入シート1を歯間に挿入した際に、歯間のカリエス部17に確実に機能層12を接触させることができる。
なお、本実施形態において、機能層12が口腔内の唾液等の水分を吸収することで膨張すると説明したが、機能層12を膨張させるために、歯間に挿入した後に水やアルコール水溶液を薬剤導入シート1に散布することとしてもよい。
【0034】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態に係る薬剤導入シート2について、図面を参照して説明する。本実施形態の説明において、第1の実施形態に係る薬剤導入シート1と共通する点については説明を省略し、異なる点について主に説明する。
本実施形態に係る薬剤導入シート2は、図6に示すように、歯間に挿入可能な板状の基板シート11と、基板シート11の表面および裏面に形成(接着)された機能層12とを備えている。
【0035】
機能層12は、多数の孔を有するスポンジ状の多孔質材料で構成されており、吸水性および弾性を有している。この多孔質材料は、例えば1〜3mm程度の厚さを有している。
機能層12には、カリエス部7に特異的に反応する蛍光薬剤15と、所定温度でゾル状態からゲル状態に変化する温度応答性ポリマー16とが溶けた温度応答性ポリマー水溶液17が保持されている。
【0036】
温度応答性ポリマー水溶液17は、例えば、HylyteFluor, Qdot, IndocyanineGreen, Doxorubicin, Riboflavin, Chlorophyll, Porphyrin, Osteosense, Gold nanoshellなどからなる色素を含み、なおかつ、Polyethelene oxide, Poly copolymers, PEO-PPO-PEO triblock surfactants, Alkyl-PEO block surfactants, Poly(vinyl methyl ether), Poly(osyethelene vinyl ether), Hydrosypropyl acrylate, Hydroxypropyl methylcellulose, Hydroxypropyl cellulose, Methylcellulose, Poly(vinyl alcohol), Poly(N-substituted acrylamides), Poly(N-vinyl pyrrolidone), Poly(ethyl oxazoline), Poly(N-vinylisobutylamide), Poly(2-carboxyisopropylacrylamide), Poly(methacrylic acid)などの温度応答性を有する高分子材料を含む水溶液である。
【0037】
温度応答性ポリマー水溶液17は、例えば35℃〜37℃においてゾル状態からゲル状態に転移する転移温度を有している。これにより、温度応答性ポリマー水溶液17は、図7に示すように、35℃〜37℃に加温されることによって、温度応答性ポリマー16がゲル化し、蛍光薬剤15が水とともに徐放されるようになっている。
【0038】
上記構成を有する薬剤導入シート2を歯間に挿入した際の作用について説明する。
図8に示すように、歯36の歯35との隣接面には、カリエス部7が形成されている。
薬剤導入シート2を歯間に挿入する際には、基板シート11の表面および裏面に接着された機能層12が弾性変形する。すなわち、歯間を拡張する歯間拡張リング等の器具を用いることなく、容易に薬剤導入シート2を歯間に挿入することができる。
【0039】
そして、薬剤導入シート2を歯間に挿入した後には、図9に示すように、機能層12がその弾性力によって歯35および歯36の隣接面に押し当てられる。これにより、機能層12に含まれた蛍光薬剤15を歯35および歯36の隣接面に付着させたまま保持することができる。
【0040】
この状態において、高分子材料と一緒に機能層12に含有されている蛍光薬剤15が、水に溶けて色素水溶液となり、この色素水溶液が徐放されることで、図10に示すように、歯35および歯36の隣接面全体に対して均一に蛍光薬剤15を導入することが可能となる。
【0041】
また、カリエス部7に浸透した温度応答性ポリマー16が、口腔内温度によって温められ、転移温度に達する。転移温度に達した温度応答性ポリマー水溶液17は、ゲル化して、温度応答性ポリマー水溶液17内の蛍光薬剤15が、水と一緒にカリエス部7に徐放される。さらに、温度応答性ポリマー16が、図11に示すように、カリエス部7において口腔内の温度により温められてゲル化することで、蛍光薬剤15を長時間に渡ってカリエス部7に留まらせることができる。これにより、カリエス部7に十分な量の蛍光薬剤15を長時間に渡って付着させることができる。
【0042】
また、カリエス部7に導入する薬剤を、カリエス部7に特異的に付着する蛍光薬剤15とすることで、歯間のカリエス部7に蛍光薬剤15を付着させ、その観察および診断を容易に行うことができる。
【0043】
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態に係る薬剤導入キット3について、図面を参照して説明する。本実施形態の説明において、前述の各実施形態に係る薬剤導入シート1,2と共通する点については説明を省略し、異なる点について主に説明する。
【0044】
本実施形態に係る薬剤導入キット3は、第1の実施形態に係る薬剤導入シート1と、薬剤導入シート1を保持する保持部22とを備えている。なお、本実施形態では、一例として第1の実施形態に係る薬剤導入シート1を用いた例を説明するが、第2の実施形態に係る薬剤導入シート2を用いても同様の作用効果を得ることができる。
【0045】
本実施形態に係る薬剤導入キット3は、図12(a)および図12(b)に示す薬剤導入シートユニット20と、図13(a)および図13(b)に示す保持部22から構成されている。
薬剤導入シートユニット20は、図12(a)および図12(b)に示すように、第1の実施形態に係る薬剤導入シート1と、薬剤導入シート1の端部に設けられ、保持部22と嵌合する取り付け部21とを備えている。
【0046】
取り付け部21は、2枚の長方形状の板材で構成され、2枚の板材によって薬剤導入シート1の基板シート11部分を挟み込んで接着されることで、薬剤導入シート1の端部に固定されている。
取り付け部21は、図12(a)に示すように、薬剤導入シート1の長手方向に延びる角材であり、図12(b)に示すように、長方形の横断面を有している。
【0047】
保持部22は、図13(a)に示すように、取り付け部21よりも長い角材であり、端部を作業者が持つことができるようになっている。
保持部22は、図13(b)に示すように、保持部22の長手方向に延び、取り付け部21の横断面形状よりも大きな横断面形状を有する溝25が形成されている。この溝25の両側面には、保持部22の長手方向に直交する方向に延び、取り付け部21と嵌合する嵌合部26が設けられている。
【0048】
上記構成を有することで、図14に示すように、薬剤導入シート1に設けられた取り付け部21を保持部22の溝25に挿入することで、保持部22の嵌合部26に取り付け部21を嵌合させることができるようになっている。
また、この状態から取り付け部21に対して、保持部22を長手方向にスライドさせることで、取り付け部21から保持部22を取り外すことができるようになっている。
【0049】
上記構成を有する薬剤導入キット3の作用について説明する。
ここでは、図15に示すように、12枚の薬剤導入シートユニット20が、ケース28に収納されている場合を一例として説明する。この例では、ケース28から保持部22によって薬剤導入シートユニット20を1枚ずつ取り出し、取り出した薬剤導入シートユニット20を、図16に示すように、口腔内の歯間にそれぞれ挿入する。
【0050】
この場合において、まず、図17に示すように、保持部22を薬剤導入シート1の長手方向に操作して、薬剤導入シートユニット20の取り付け部21を、保持部22の溝25に挿入し、取り付け部21と保持部22とを嵌合させる。
【0051】
次に、図18に示すように、保持部22の端部を持って、口腔内の歯35と歯36との間に薬剤導入シート1を挿入する。
薬剤導入シート1を歯間に挿入後は、図19に示すように、保持部22を薬剤導入シート1の長手方向(ユーザから見て手前方向)に操作して、保持部22を取り付け部21から取り外す。
【0052】
以上のように、本実施形態に係る薬剤導入キット3によれば、保持部22を掴んで口腔内の歯間に薬剤導入シート1を挿入することができ、その作業性を向上することができる。
また、保持部22を、薬剤導入シートユニット20に脱着可能とすることで、口腔内の歯間に薬剤導入シート1を挿入した後に、薬剤導入シート1から保持部22を取り外すことができる。これにより、口腔内のスペースを確保するとともに、保持部22を複数の薬剤導入シート1で兼用して、その製造コストを低減することができる。
【0053】
なお、取り付け部21は、保持部22と嵌合可能であればよく、4つの角が面取りされた横断面形状を有していてもよく、三角形や五角形等の多角形形状を有していてもよい。さらに、取り付け部21は、必ずしも薬剤導入シート1の長手方向全体にわたって延びている必要はなく、例えば薬剤導入シート1の長手方向の端部2箇所に設けられていることとしてもよい。
【0054】
[第1の変形例]
以下に、本実施形態の第1の変形例に係る薬剤導入キット4について説明する。
本変形例に係る薬剤導入キット4は、図20に示すように、薬剤導入シートユニット20の取り付け部21が、薬剤導入シート1の長手方向に横断面が小さくなるようなテーパ形状を有している。
【0055】
また、保持部22に設けられた溝25は、取り付け部21の形状に合わせて、先端部から基端部に向かって横断面が小さくなるように形成されている。
このように溝25を形成することで、保持部22と薬剤導入シートユニット20との脱着作業、特に保持部22を薬剤導入シートユニット20から取り外す作業を容易に行うことができ、その作業性を向上することができる。
【0056】
[第2の変形例]
以下に、本実施形態の第2の変形例に係る薬剤導入キットについて説明する。
本変形例に係る薬剤導入キットは、図21(a)および図21(b)に示すように、薬剤導入シートユニット20の取り付け部21が円形の横断面形状を有し、半径方向外方に突起する突起部31が設けられている。
また、保持部22に設けられた溝25は、取り付け部21の形状に合わせて、突起部31が嵌合する溝32が形成されている。
【0057】
このように取り付け部21(突起部31)および溝32を形成することで、取り付け部21を保持部22の溝25に挿入した際に、突起部31が、保持部22に対して薬剤導入シートユニット20が取り付け部21の中心軸線回りに回転してしまうことを防止する係止手段として機能する。
【0058】
本変形例に係る薬剤導入キットによれば、取り付け部21が円形の横断面形状を有しているため、薬剤導入シートユニット20を歯間の隣接面に挿入する際に、取り付け部21が口腔内の軟組織に接触した場合のケガを防止するとともに、その際の痛みを緩和することができる。
【0059】
[第3の変形例]
以下に、本実施形態の第3の変形例に係る薬剤導入キット6について説明する。
本変形例に係る薬剤導入キット6は、図22に示すように、保持部22には、薬剤を貯蔵する貯蔵部41が設けられている。
【0060】
保持部22には、機能層12および貯蔵部41と連通し、貯蔵部41に貯蔵されている薬剤を薬剤導入シート1の機能層12に供給する空洞部42が設けられている。
また、貯蔵部41の周囲には、作業者の体温が貯蔵部41内の薬剤に伝わることを防止する断熱材43が設けられている。
【0061】
上記構成を有する薬剤導入キット6の作用について説明する。
図23に示すように、作業者が保持部22を握ることで、貯蔵部41の内部に封入されている薬剤が押し出され、薬剤は空洞部42に送られる。
そして、図24に示すように、空洞部42を送られてきた薬剤は、薬剤導入シート1の機能層12に供給され、機能層12に薬剤が浸潤する。
【0062】
以上のように、本変形例に係る薬剤導入キット6によれば、口腔内の歯間に薬剤導入シート1を挿入した後に、貯蔵部41に貯蔵された薬剤を歯間のカリエス部に対して徐放することができ、カリエス部に十分な量の薬剤を長時間に渡って付着させることができる。また、例えば薬剤に温度応答性ポリマー水溶液を使用する場合、薬剤導入シート1を歯間に挿入した後に薬剤を放出することで、薬剤導入シート1を歯間に挿入している最中に、温度応答性ポリマー水溶液がゲル化してしまうことを防止することができる。
【0063】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
例えば、各実施形態において、機能層12は、基板シート11の表面および裏面に形成されているとして説明したが、基板シート11の一方の面のみに形成されていることとしてもよい。
【符号の説明】
【0064】
1,2 薬剤導入シート
3,4,6 薬剤導入キット
7 カリエス部
11 基板シート
12 機能層
15 蛍光薬剤
16 温度応答性ポリマー
17 温度応答性ポリマー水溶液
20 薬剤導入シートユニット
21 取り付け部
22 保持部
25 溝
31 突起部
41 貯蔵部
42 空洞部
43 断熱材
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤導入シートおよびこれを備えるキットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、口腔内のカリエス部を診断する手段として、オーラルヘルスケア物質を含浸させた層が設けられたストリップを口腔内に挿入する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。このストリップには、歯と歯の隙間とほぼ同じ間隔で固定具が設けられており、この固定具は、歯と歯の隙間に嵌合するようになっている。また、ストリップは、口腔内の湿気、化学物質、または酵素類の作用により軟化し、伸張可能である。
【0003】
また、従来、初期う蝕に含まれる水分を吸水するシートを口腔内に挿入する方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。このシートは、隣接する歯と歯の隙間をリング等で拡張し、その隙間に吸水シートを挿入できるように、やや薄めに形成されており、さらに挿入用ガイドなどによって挿入しやすくした形状である。
【0004】
また、従来、ウェッジなどのスペーサーを挿入することで、歯間を拡張し、蛍光物質を歯間のカリエス部に誘導する方法が知られている(例えば、特許文献3参照)。この方法では、金属片、プラスチック片、紙片、シリンジによって、蛍光物質をカリエス部に誘導するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2004−538085号公報
【特許文献2】特開平11−14624号公報
【特許文献3】米国特許出願公開第2008/0038686号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1には、オーラルヘルスケア物質層が設けられたストリップにより、歯の表面にオーラルヘルスケアを放出することが記載されている。また、一定間隔で設けられた固定部が歯と歯の間に嵌合することで、接着機能が得られることが記載されている。しかしながら、歯と歯の間への薬剤の導入については述べられておらず、また、蛍光物質についても触れられていない。
【0007】
また、特許文献2には、初期う蝕に含まれる微量な水分を検出可能な水分吸水シートと、歯間拡張リングとの併用によって、歯間にシートを挿入することが記載されている。しかしながら、シート自体の強度が弱いため、歯間を拡張しなければ、隣接面にはシートを挿入できず、その作業が煩雑であるという不都合がある。
【0008】
また、特許文献3に開示されている技術によれば、プラスチック片や金属片など一定の厚さをもったシートを隣接面に挿入しているため、隣接面の広範囲にわたって薬剤を密着させることは困難であるという不都合がある。
【0009】
すなわち、特許文献1から3に開示されている技術によれば、隣接面カリエス部に対して十分な量の薬剤をカリエス部に誘導する具体的な手段が示されていなかった。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、歯間の隣接面に十分な量の薬剤をカリエス部に保持可能な薬剤導入シートおよびこれを備えるキットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の手段を採用する。
本発明の第1の態様は、歯間に挿入可能な板状の基板シートと、該基板シートの表面と裏面の少なくとも一方に形成され、弾性変形可能な機能層とを備え、前記機能層には、歯に付着される薬剤が吸収されている薬剤導入シートである。
【0012】
本発明の第1の態様によれば、薬剤導入シートを歯間に挿入する際には、基板シートの表面と裏面の少なくとも一方に形成された機能層が弾性変形する。そして、薬剤導入シートを歯間に挿入した後には、機能層がその弾性力によって歯の隣接面に押し当てられる。これにより、機能層に含まれた薬剤を歯の隣接面に付着させたまま保持することができ、歯間の隣接面に形成されたカリエス部に十分な量の薬剤を所望の時間に渡って付着させることができる。
【0013】
上記の第1の態様において、前記基板シートと前記機能層の厚さの合計が50μm以内であることとしてもよい。
基板シートと機能層の厚さの合計を50μm以内とすることで、薬剤導入シートを歯間に挿入する際の作業性を向上することができる。
【0014】
上記の第1の態様において、前記機能層は、高分子材料から構成されていることとしてもよい。
機能層を高分子材料で構成することで、薬剤の吸水性を向上することができ、薬剤導入シートを歯間に挿入した際に、歯間の隣接面に形成されたカリエス部に十分な量の薬剤を誘導することができる。
【0015】
上記の第1の態様において、前記機能層は、多孔質材料から構成されていることとしてもよい。
機能層を多孔質材料で構成することで、薬剤の吸水性を向上することができ、薬剤導入シートを歯間に挿入した際に、歯間の隣接面に形成されたカリエス部に十分な量の薬剤を誘導することができる。
【0016】
上記の第1の態様において、前記機能層は、液体を含浸することで膨張することとしてもよい。
このようにすることで、薬剤導入シートを歯間に挿入した際に、口腔内の唾液等の水分によって機能層を膨張させ、機能層を歯間の隣接面に押し当てる力を大きくすることができ、薬剤導入シートを歯間に挿入した際の保持力を向上することができる。
【0017】
上記の第1の態様において、前記機能層には、所定温度でゾル状態からゲル状態に変化する温度応答性ポリマー水溶液が吸収されていることとしてもよい。
このようにすることで、薬剤導入シートを歯間に挿入した際に、例えば口腔内の温度(35℃〜37℃)で、機能層に吸収された温度応答性ポリマー水溶液をゾル状態からゲル状態に変化させることができる。これにより、歯間の隣接面に形成されたカリエス部に薬剤を留まらせることができ、カリエス部に十分な量の薬剤を長時間に渡って付着させることができる。
【0018】
上記の第1の態様において、前記機能層は、前記基板シートの中央部に形成されていることとしてもよい。
このようにすることで、薬剤導入シートを歯間に挿入した際に、歯間のカリエス部に確実に機能層を接触させることができる。
【0019】
上記の第1の態様において、前記薬剤は、カリエス部に特異的に付着する蛍光薬剤であることとしてもよい。
これにより、歯間のカリエス部に蛍光薬剤を付着させ、その観察および診断を容易に行うことができる。
【0020】
本発明の第2の態様は、上記の薬剤導入シートと、該薬剤導入シートの少なくとも一方の端部に設けられ、前記薬剤導入シートを保持する保持部とを備える薬剤導入キットである。
このような薬剤導入キットによれば、保持部を掴んで口腔内の歯間に薬剤導入シートを挿入することができ、その作業性を向上することができる。
【0021】
上記の第2の態様において、前記保持部は、前記薬剤導入シートに脱着可能に設けられていることとしてもよい。
このようにすることで、口腔内の歯間に薬剤導入シートを挿入した後に、薬剤導入シートから保持部を取り外すことができる。これにより、口腔内のスペースを確保するとともに、保持部を複数の薬剤導入シートで兼用して、その製造コストを低減することができる。
【0022】
上記の第2の態様において、前記保持部には、前記薬剤を貯蔵する貯蔵部が設けられていることとしてもよい。
このようにすることで、口腔内の歯間に薬剤導入シートを挿入した後に、貯蔵部に貯蔵された薬剤を歯間のカリエス部に対して徐放することができ、カリエス部に十分な量の薬剤を長時間に渡って付着させることができる。また、例えば薬剤に温度応答性ポリマー水溶液を使用する場合、薬剤導入シートを歯間に挿入した後に薬剤を放出することで、薬剤導入シートを歯間に挿入している最中に、温度応答性ポリマー水溶液がゲル化してしまうことを防止することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、歯間の隣接面に容易に挿入可能であり、且つ、十分な量の薬剤をカリエス部に保持できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る薬剤導入シートの斜視図である。
【図2】図1の薬剤導入シートの横断面図である。
【図3】図1の薬剤導入シートの機能層が膨張する状態を説明する図である。
【図4】図1の薬剤導入シートを歯間に挿入した状態を説明する図である。
【図5】図4の薬剤導入シートが膨張した状態を説明する図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る薬剤導入シートの斜視図である。
【図7】図6の薬剤導入シートの作用を説明する図である。
【図8】図6の薬剤導入シートを歯間に挿入する状態を説明する図である。
【図9】図8の薬剤導入シートが膨張した状態を説明する図である。
【図10】図8の薬剤導入シートの作用を説明する図である。
【図11】図10のA部の部分拡大図である。
【図12】本発明の第3の実施形態に係る薬剤導入シートユニットを示しており、(a)は斜視図、(b)は横断面図である。
【図13】本発明の第3の実施形態に係る保持部を示しており、(a)は斜視図、(b)は横断面図である。
【図14】本発明の第3の実施形態に係る薬剤導入キットの横断面図である。
【図15】図14の薬剤導入キットの適用例を示す斜視図である。
【図16】図12の薬剤導入シートユニットを挿入する口腔内の上視図である。
【図17】図14の取り付け部と保持部とを嵌合させる状態を示す図である。
【図18】図17の薬剤導入キットを歯間に挿入する状態を示す図である。
【図19】図18の取り付け部から保持部を取り外す状態を示す図である。
【図20】第1の変形例に係る薬剤導入キットの側面図である。
【図21】第2の変形例に係る薬剤導入キットを示しており、(a)は斜視図、(b)は横断面図である。
【図22】第3の変形例に係る薬剤導入キットの側面図である。
【図23】図22の薬剤導入キットの薬剤注入時の状態を説明する図である。
【図24】図22の薬剤導入キットの機能層への薬剤供給時の状態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
[第1の実施形態]
以下、本発明の第1の実施形態に係る薬剤導入シート1について、図面を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る薬剤導入シート1は、歯35と歯36との間(歯間)に挿入されることで、歯間の隣接面に形成されたカリエス部に薬剤を導入するシートである。薬剤導入シート1は、歯間に挿入することができるように、例えば縦10mm×横20mm×厚さ50μm程度の大きさを有している。ここで、厚さを50μm以内とすることで、薬剤導入シート1を歯間に挿入する際の作業性を向上することができる。
【0026】
薬剤導入シート1は、図2に示すように、歯間に挿入可能な板状の基板シート11と、基板シート11の表面および裏面に形成された機能層12とを備えている。
基板シート11は、歯間に挿入できるように所定の強度を有する板状のシートであり、その両面に機能層12が形成されている。基板シート11は、具体的には、ポリエチレン、ポリオレフィン系フィルム、ポリエステル、ポリカーボネートフィルム、ポリスチレンフィルムなどから構成されている。
【0027】
機能層12は、吸水性および弾性を有しており、歯に付着される薬剤が吸収されている。
機能層12は、例えば高分子材料から構成されている。機能層12を高分子材料で構成することで、薬剤の吸水性を向上することができ、薬剤導入シート1を歯間に挿入した際に、歯間の隣接面に形成されたカリエス部に十分な量の薬剤を誘導することができる。
【0028】
また、機能層12は、図3に示すように、液体を含浸することで膨張する性質を有している。これにより、薬剤導入シート1を歯間に挿入した際に、口腔内の唾液等の水分によって機能層12を膨張させ、機能層12を歯間の隣接面に押し当てる力を大きくすることができ、薬剤導入シート1を歯間に挿入した際の保持力を向上することができる。
【0029】
機能層12に吸収されている薬剤は、具体的には、HiLyte Fluor, Qdot, Indocyanine Green(ICG), Doxorubicin, Riboflavin, Chlorophyll, Porphyrin, Osteosense, Gold nanoshell, Bacteriochlorophyllからなる色素と、少なくともポリアクリル酸、メタクリル酸、2−アクリロイルエタンスルホン酸等の高分子材料と、ヒアルロン酸、カラギーナン、カルボキシメリツセルロースナトリウム塩、アルギン酸の多糖類と、コラーゲン、ゼラチン等のたんぱく質とから構成されており、カリエス部に特異的に付着する。
【0030】
上記構成を有する薬剤導入シート1を歯間に挿入した際の作用について説明する。
図4に示すように、薬剤導入シート1を歯35と歯36との間(歯間)に挿入する際には、基板シート11の表面および裏面に形成された機能層12が弾性変形する。したがって、歯間を拡張する歯間拡張リング等の器具を用いることなく、容易に薬剤導入シート1を歯間に挿入することができる。
【0031】
そして、薬剤導入シート1を歯間に挿入した後には、機能層12がその弾性力によって歯35および歯36の隣接面に押し当てられる。また、機能層12が口腔内の唾液等の水分を吸収することで、図5に示すように、機能層12の高分子材料が膨張し、歯35と歯36との隙間一杯に薬剤導入シート1が広がる。
【0032】
これにより、機能層12に含まれた薬剤を歯35および歯36の隣接面に付着させたまま保持することができる。この状態において、機能層12に含有されている色素が、高分子材料と一緒に水に溶けて色素水溶液となり、この色素水溶液が徐放されることで、歯35および歯36の隣接面全体にかつ均一に色素を導入することが可能となる。これにより、歯35および歯36の隣接面に形成されたカリエス部に十分な量の薬剤を、所望の時間に渡って付着させることができる。
【0033】
また、機能層12を、基板シート11の中央部に形成することで、薬剤導入シート1を歯間に挿入した際に、歯間のカリエス部17に確実に機能層12を接触させることができる。
なお、本実施形態において、機能層12が口腔内の唾液等の水分を吸収することで膨張すると説明したが、機能層12を膨張させるために、歯間に挿入した後に水やアルコール水溶液を薬剤導入シート1に散布することとしてもよい。
【0034】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態に係る薬剤導入シート2について、図面を参照して説明する。本実施形態の説明において、第1の実施形態に係る薬剤導入シート1と共通する点については説明を省略し、異なる点について主に説明する。
本実施形態に係る薬剤導入シート2は、図6に示すように、歯間に挿入可能な板状の基板シート11と、基板シート11の表面および裏面に形成(接着)された機能層12とを備えている。
【0035】
機能層12は、多数の孔を有するスポンジ状の多孔質材料で構成されており、吸水性および弾性を有している。この多孔質材料は、例えば1〜3mm程度の厚さを有している。
機能層12には、カリエス部7に特異的に反応する蛍光薬剤15と、所定温度でゾル状態からゲル状態に変化する温度応答性ポリマー16とが溶けた温度応答性ポリマー水溶液17が保持されている。
【0036】
温度応答性ポリマー水溶液17は、例えば、HylyteFluor, Qdot, IndocyanineGreen, Doxorubicin, Riboflavin, Chlorophyll, Porphyrin, Osteosense, Gold nanoshellなどからなる色素を含み、なおかつ、Polyethelene oxide, Poly copolymers, PEO-PPO-PEO triblock surfactants, Alkyl-PEO block surfactants, Poly(vinyl methyl ether), Poly(osyethelene vinyl ether), Hydrosypropyl acrylate, Hydroxypropyl methylcellulose, Hydroxypropyl cellulose, Methylcellulose, Poly(vinyl alcohol), Poly(N-substituted acrylamides), Poly(N-vinyl pyrrolidone), Poly(ethyl oxazoline), Poly(N-vinylisobutylamide), Poly(2-carboxyisopropylacrylamide), Poly(methacrylic acid)などの温度応答性を有する高分子材料を含む水溶液である。
【0037】
温度応答性ポリマー水溶液17は、例えば35℃〜37℃においてゾル状態からゲル状態に転移する転移温度を有している。これにより、温度応答性ポリマー水溶液17は、図7に示すように、35℃〜37℃に加温されることによって、温度応答性ポリマー16がゲル化し、蛍光薬剤15が水とともに徐放されるようになっている。
【0038】
上記構成を有する薬剤導入シート2を歯間に挿入した際の作用について説明する。
図8に示すように、歯36の歯35との隣接面には、カリエス部7が形成されている。
薬剤導入シート2を歯間に挿入する際には、基板シート11の表面および裏面に接着された機能層12が弾性変形する。すなわち、歯間を拡張する歯間拡張リング等の器具を用いることなく、容易に薬剤導入シート2を歯間に挿入することができる。
【0039】
そして、薬剤導入シート2を歯間に挿入した後には、図9に示すように、機能層12がその弾性力によって歯35および歯36の隣接面に押し当てられる。これにより、機能層12に含まれた蛍光薬剤15を歯35および歯36の隣接面に付着させたまま保持することができる。
【0040】
この状態において、高分子材料と一緒に機能層12に含有されている蛍光薬剤15が、水に溶けて色素水溶液となり、この色素水溶液が徐放されることで、図10に示すように、歯35および歯36の隣接面全体に対して均一に蛍光薬剤15を導入することが可能となる。
【0041】
また、カリエス部7に浸透した温度応答性ポリマー16が、口腔内温度によって温められ、転移温度に達する。転移温度に達した温度応答性ポリマー水溶液17は、ゲル化して、温度応答性ポリマー水溶液17内の蛍光薬剤15が、水と一緒にカリエス部7に徐放される。さらに、温度応答性ポリマー16が、図11に示すように、カリエス部7において口腔内の温度により温められてゲル化することで、蛍光薬剤15を長時間に渡ってカリエス部7に留まらせることができる。これにより、カリエス部7に十分な量の蛍光薬剤15を長時間に渡って付着させることができる。
【0042】
また、カリエス部7に導入する薬剤を、カリエス部7に特異的に付着する蛍光薬剤15とすることで、歯間のカリエス部7に蛍光薬剤15を付着させ、その観察および診断を容易に行うことができる。
【0043】
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態に係る薬剤導入キット3について、図面を参照して説明する。本実施形態の説明において、前述の各実施形態に係る薬剤導入シート1,2と共通する点については説明を省略し、異なる点について主に説明する。
【0044】
本実施形態に係る薬剤導入キット3は、第1の実施形態に係る薬剤導入シート1と、薬剤導入シート1を保持する保持部22とを備えている。なお、本実施形態では、一例として第1の実施形態に係る薬剤導入シート1を用いた例を説明するが、第2の実施形態に係る薬剤導入シート2を用いても同様の作用効果を得ることができる。
【0045】
本実施形態に係る薬剤導入キット3は、図12(a)および図12(b)に示す薬剤導入シートユニット20と、図13(a)および図13(b)に示す保持部22から構成されている。
薬剤導入シートユニット20は、図12(a)および図12(b)に示すように、第1の実施形態に係る薬剤導入シート1と、薬剤導入シート1の端部に設けられ、保持部22と嵌合する取り付け部21とを備えている。
【0046】
取り付け部21は、2枚の長方形状の板材で構成され、2枚の板材によって薬剤導入シート1の基板シート11部分を挟み込んで接着されることで、薬剤導入シート1の端部に固定されている。
取り付け部21は、図12(a)に示すように、薬剤導入シート1の長手方向に延びる角材であり、図12(b)に示すように、長方形の横断面を有している。
【0047】
保持部22は、図13(a)に示すように、取り付け部21よりも長い角材であり、端部を作業者が持つことができるようになっている。
保持部22は、図13(b)に示すように、保持部22の長手方向に延び、取り付け部21の横断面形状よりも大きな横断面形状を有する溝25が形成されている。この溝25の両側面には、保持部22の長手方向に直交する方向に延び、取り付け部21と嵌合する嵌合部26が設けられている。
【0048】
上記構成を有することで、図14に示すように、薬剤導入シート1に設けられた取り付け部21を保持部22の溝25に挿入することで、保持部22の嵌合部26に取り付け部21を嵌合させることができるようになっている。
また、この状態から取り付け部21に対して、保持部22を長手方向にスライドさせることで、取り付け部21から保持部22を取り外すことができるようになっている。
【0049】
上記構成を有する薬剤導入キット3の作用について説明する。
ここでは、図15に示すように、12枚の薬剤導入シートユニット20が、ケース28に収納されている場合を一例として説明する。この例では、ケース28から保持部22によって薬剤導入シートユニット20を1枚ずつ取り出し、取り出した薬剤導入シートユニット20を、図16に示すように、口腔内の歯間にそれぞれ挿入する。
【0050】
この場合において、まず、図17に示すように、保持部22を薬剤導入シート1の長手方向に操作して、薬剤導入シートユニット20の取り付け部21を、保持部22の溝25に挿入し、取り付け部21と保持部22とを嵌合させる。
【0051】
次に、図18に示すように、保持部22の端部を持って、口腔内の歯35と歯36との間に薬剤導入シート1を挿入する。
薬剤導入シート1を歯間に挿入後は、図19に示すように、保持部22を薬剤導入シート1の長手方向(ユーザから見て手前方向)に操作して、保持部22を取り付け部21から取り外す。
【0052】
以上のように、本実施形態に係る薬剤導入キット3によれば、保持部22を掴んで口腔内の歯間に薬剤導入シート1を挿入することができ、その作業性を向上することができる。
また、保持部22を、薬剤導入シートユニット20に脱着可能とすることで、口腔内の歯間に薬剤導入シート1を挿入した後に、薬剤導入シート1から保持部22を取り外すことができる。これにより、口腔内のスペースを確保するとともに、保持部22を複数の薬剤導入シート1で兼用して、その製造コストを低減することができる。
【0053】
なお、取り付け部21は、保持部22と嵌合可能であればよく、4つの角が面取りされた横断面形状を有していてもよく、三角形や五角形等の多角形形状を有していてもよい。さらに、取り付け部21は、必ずしも薬剤導入シート1の長手方向全体にわたって延びている必要はなく、例えば薬剤導入シート1の長手方向の端部2箇所に設けられていることとしてもよい。
【0054】
[第1の変形例]
以下に、本実施形態の第1の変形例に係る薬剤導入キット4について説明する。
本変形例に係る薬剤導入キット4は、図20に示すように、薬剤導入シートユニット20の取り付け部21が、薬剤導入シート1の長手方向に横断面が小さくなるようなテーパ形状を有している。
【0055】
また、保持部22に設けられた溝25は、取り付け部21の形状に合わせて、先端部から基端部に向かって横断面が小さくなるように形成されている。
このように溝25を形成することで、保持部22と薬剤導入シートユニット20との脱着作業、特に保持部22を薬剤導入シートユニット20から取り外す作業を容易に行うことができ、その作業性を向上することができる。
【0056】
[第2の変形例]
以下に、本実施形態の第2の変形例に係る薬剤導入キットについて説明する。
本変形例に係る薬剤導入キットは、図21(a)および図21(b)に示すように、薬剤導入シートユニット20の取り付け部21が円形の横断面形状を有し、半径方向外方に突起する突起部31が設けられている。
また、保持部22に設けられた溝25は、取り付け部21の形状に合わせて、突起部31が嵌合する溝32が形成されている。
【0057】
このように取り付け部21(突起部31)および溝32を形成することで、取り付け部21を保持部22の溝25に挿入した際に、突起部31が、保持部22に対して薬剤導入シートユニット20が取り付け部21の中心軸線回りに回転してしまうことを防止する係止手段として機能する。
【0058】
本変形例に係る薬剤導入キットによれば、取り付け部21が円形の横断面形状を有しているため、薬剤導入シートユニット20を歯間の隣接面に挿入する際に、取り付け部21が口腔内の軟組織に接触した場合のケガを防止するとともに、その際の痛みを緩和することができる。
【0059】
[第3の変形例]
以下に、本実施形態の第3の変形例に係る薬剤導入キット6について説明する。
本変形例に係る薬剤導入キット6は、図22に示すように、保持部22には、薬剤を貯蔵する貯蔵部41が設けられている。
【0060】
保持部22には、機能層12および貯蔵部41と連通し、貯蔵部41に貯蔵されている薬剤を薬剤導入シート1の機能層12に供給する空洞部42が設けられている。
また、貯蔵部41の周囲には、作業者の体温が貯蔵部41内の薬剤に伝わることを防止する断熱材43が設けられている。
【0061】
上記構成を有する薬剤導入キット6の作用について説明する。
図23に示すように、作業者が保持部22を握ることで、貯蔵部41の内部に封入されている薬剤が押し出され、薬剤は空洞部42に送られる。
そして、図24に示すように、空洞部42を送られてきた薬剤は、薬剤導入シート1の機能層12に供給され、機能層12に薬剤が浸潤する。
【0062】
以上のように、本変形例に係る薬剤導入キット6によれば、口腔内の歯間に薬剤導入シート1を挿入した後に、貯蔵部41に貯蔵された薬剤を歯間のカリエス部に対して徐放することができ、カリエス部に十分な量の薬剤を長時間に渡って付着させることができる。また、例えば薬剤に温度応答性ポリマー水溶液を使用する場合、薬剤導入シート1を歯間に挿入した後に薬剤を放出することで、薬剤導入シート1を歯間に挿入している最中に、温度応答性ポリマー水溶液がゲル化してしまうことを防止することができる。
【0063】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
例えば、各実施形態において、機能層12は、基板シート11の表面および裏面に形成されているとして説明したが、基板シート11の一方の面のみに形成されていることとしてもよい。
【符号の説明】
【0064】
1,2 薬剤導入シート
3,4,6 薬剤導入キット
7 カリエス部
11 基板シート
12 機能層
15 蛍光薬剤
16 温度応答性ポリマー
17 温度応答性ポリマー水溶液
20 薬剤導入シートユニット
21 取り付け部
22 保持部
25 溝
31 突起部
41 貯蔵部
42 空洞部
43 断熱材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯間に挿入可能な板状の基板シートと、
該基板シートの表面と裏面の少なくとも一方に形成され、弾性変形可能な機能層とを備え、
前記機能層には、歯に付着される薬剤が吸収されている薬剤導入シート。
【請求項2】
前記基板シートと前記機能層の厚さの合計が50μm以内である請求項1に記載の薬剤導入シート。
【請求項3】
前記機能層は、高分子材料から構成されている請求項1に記載の薬剤導入シート。
【請求項4】
前記機能層は、多孔質材料から構成されている請求項1に記載の薬剤導入シート。
【請求項5】
前記機能層は、液体を含浸することで膨張する請求項1に記載の薬剤導入シート。
【請求項6】
前記機能層には、所定温度でゾル状態からゲル状態に変化する温度応答性ポリマー水溶液が吸収されている請求項1に記載の薬剤導入シート。
【請求項7】
前記機能層は、前記基板シートの中央部に形成されている請求項1に記載の薬剤導入シート。
【請求項8】
前記薬剤は、カリエス部に特異的に付着する蛍光薬剤である請求項1に記載の薬剤導入シート。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれかに記載の薬剤導入シートと、
該薬剤導入シートの少なくとも一方の端部に設けられ、前記薬剤導入シートを保持する保持部とを備える薬剤導入キット。
【請求項10】
前記保持部は、前記薬剤導入シートに脱着可能に設けられている請求項9に記載の薬剤導入キット。
【請求項11】
前記保持部には、前記薬剤を貯蔵する貯蔵部が設けられている請求項9に記載の薬剤導入キット。
【請求項1】
歯間に挿入可能な板状の基板シートと、
該基板シートの表面と裏面の少なくとも一方に形成され、弾性変形可能な機能層とを備え、
前記機能層には、歯に付着される薬剤が吸収されている薬剤導入シート。
【請求項2】
前記基板シートと前記機能層の厚さの合計が50μm以内である請求項1に記載の薬剤導入シート。
【請求項3】
前記機能層は、高分子材料から構成されている請求項1に記載の薬剤導入シート。
【請求項4】
前記機能層は、多孔質材料から構成されている請求項1に記載の薬剤導入シート。
【請求項5】
前記機能層は、液体を含浸することで膨張する請求項1に記載の薬剤導入シート。
【請求項6】
前記機能層には、所定温度でゾル状態からゲル状態に変化する温度応答性ポリマー水溶液が吸収されている請求項1に記載の薬剤導入シート。
【請求項7】
前記機能層は、前記基板シートの中央部に形成されている請求項1に記載の薬剤導入シート。
【請求項8】
前記薬剤は、カリエス部に特異的に付着する蛍光薬剤である請求項1に記載の薬剤導入シート。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれかに記載の薬剤導入シートと、
該薬剤導入シートの少なくとも一方の端部に設けられ、前記薬剤導入シートを保持する保持部とを備える薬剤導入キット。
【請求項10】
前記保持部は、前記薬剤導入シートに脱着可能に設けられている請求項9に記載の薬剤導入キット。
【請求項11】
前記保持部には、前記薬剤を貯蔵する貯蔵部が設けられている請求項9に記載の薬剤導入キット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2011−183043(P2011−183043A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−53118(P2010−53118)
【出願日】平成22年3月10日(2010.3.10)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月10日(2010.3.10)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]