説明

薬剤投与装置

【課題】薬剤の投与量を正確に制御できる薬剤投与装置を提供すること。
【解決手段】本発明は、カプセルに収容された薬剤を、人間を含む哺乳動物の生体組織内に投与する薬剤投与装置1であって、貫通穴4を介して外部と連通するルーメンを有する細長い躯体2と、カプセル11をルーメン内の貫通穴4に対応した位置まで移送するカプセル移送機構と、ルーメン内の貫通穴に対応する位置まで移送されたカプセル11の外皮を破って、カプセルに収容された薬剤を解放する針15とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、人間を含む哺乳動物の生体組織内に薬剤を投与する薬剤投与装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
人間を含む哺乳動物の生体組織内に薬剤を投与する場合は、血流中に薬剤を投与して血流を介して薬剤を体内に取り入れる方法と、目的とする生体組織(例えば腫瘍)に直接薬剤を投与する方法がある。
【0003】
このうち生体組織に直接薬剤を投与する方法では、生体組織に対してカテーテルを穿刺し、体外の薬剤リザーバからポンプ等で薬剤をカテーテル内に送り出し、カテーテル先端から組織内に薬剤を直接投与している。このようなカテーテルは、内部にルーメンを有する細長い管状を有しており、体内に挿入される部分には、薬剤の吐出などを目的として内部のルーメンと外部とを連通する貫通穴が設けられている(たとえば、特許文献1参照)。この貫通穴は、カテーテル先端の針の先端に設けられる場合もあるが、カテーテルの側面に1つまたは複数個設けられる場合もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2003−504132号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、薬剤の投与量は生体組織の薬液吸収速度に依存しており、血流中に薬剤を投与する場合と比較して格段に少ない数十μリットル程度の微量の薬剤しか投与できない。さらに、この投与可能な量を超えて薬剤を投与した場合には、薬剤が生体組織から漏れ出てしまい、他の生体組織にも薬剤が触れてしまう可能性があるので、薬剤の投与量は正確に制御する必要がある。
【0006】
従来では、ポンプを制御することによって薬剤の投与量の調整を行っていた。この場合、薬剤の投与量を増やす場合にはポンプの送出圧力を高め、投与量を減らす場合にはポンプの送出圧力を減らしていた。そして、ポンプから薬剤投与部位まではある程度の距離があるため、カテーテルは数cmから数十cm程度の長さがあることが通常である。
【0007】
しかしながら、この従来の方法では、微量の薬剤投与の正確な制御は困難であった。これは、正確に微量の薬剤の吐出量を制御できる程の微妙なポンプ制御は容易ではなかったためである。また、従来の方法では、カテーテルの長さや曲がり具合によって薬剤投与ごとにポンプの圧力とカテーテルからの薬剤の吐出量との関係が微妙に変わってくるため、事前に個々のケースに合わせて条件出しをするという煩雑な処理を行う必要があった。そして、薬剤被投与対象(人間を含む哺乳類)の姿勢が変化すると重力の方向が変わり、薬剤の投与量に影響してしまうという問題があった。さらに、薬剤投与対象の運動によりカテーテルの屈曲具合(屈曲部位、曲がり度合い)が動的に変化し、これが薬剤の投与量に影響してしまうという問題があった。
【0008】
この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、薬剤の投与量を正確に制御できる薬剤投与装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、この発明にかかる薬剤投与装置は、カプセルに収容された薬剤を、人間を含む哺乳動物の生体組織内に投与する薬剤投与装置であって、貫通穴を介して外部と連通するルーメンを有する細長い躯体と、前記カプセルを前記ルーメン内の前記貫通穴に対応する位置まで移送するカプセル移送機構と、前記ルーメン内の前記貫通穴に対応する位置まで移送された前記カプセルの外皮を破って、前記カプセルに収容された薬剤を解放するカプセル破砕部材と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
また、この発明にかかる薬剤投与装置は、上記の発明において、前記カプセル破砕部材は、針であることを特徴とする。
【0011】
また、この発明にかかる薬剤投与装置は、上記の発明において、前記カプセル破砕部材は、破砕後のカプセル外皮を捕捉するフック部を有していることを特徴とする。
【0012】
また、この発明にかかる薬剤投与装置は、上記の発明において、前記躯体の先端に、取り外し自在に装着される先端部材をさらに備え、前記カプセル破砕部材は、前記先端部に配設されていることを特徴とする。
【0013】
また、この発明にかかる薬剤投与装置は、上記の発明において、前記カプセル破砕部材は、前記カプセルを破砕するときに前記カプセルに振動を印加することを特徴とする。
【0014】
また、この発明にかかる薬剤投与装置は、上記の発明において、前記カプセル移送機構は、少なくとも一部は前記躯体のルーメン内に前後移動自在に収容され、前記カプセルを収容するカプセルホルダと、前記カプセルホルダに収容されたカプセルの後方に位置するプッシャと、前記躯体に対して前記プッシャが前進することは許すが後退することは禁止する態様で、前記躯体と前記プッシャを係合させる第1の係合機構と、前記カプセルホルダに対して前記プッシャが前進することは許すが後退することは禁止する態様で、前記カプセルホルダと前記プッシャを係合させる第2の係合機構と、を備えたことを特徴とする。
【0015】
また、この発明にかかる薬剤投与装置は、上記の発明において、前記躯体と前記カプセルホルダとの間に設けられた弾性部材をさらに備え、前記弾性部材は、前記躯体に対して前記カプセルホルダが前記貫通穴に対応する位置以上に前進すると前記カプセルホルダを前記躯体に対して後方に付勢することを特徴とする。
【0016】
また、この発明にかかる薬剤投与装置は、上記の発明において、前記カプセルホルダは、前記カプセルの先端位置を規定する当接面を有することを特徴とする。
【0017】
また、この発明にかかる薬剤投与装置は、上記の発明において、前記カプセルホルダが、先頭の前記カプセルが前記貫通穴に対応する位置まで移送された分、前記躯体に対して相対的に移動した場合にクリック感を伝達するクリック機構をさらに備えたことを特徴とする。
【0018】
また、この発明にかかる薬剤投与装置は、上記の発明において、前記第1の係合機構および前記第2の係合機構は、前記躯体の後端側に位置していることを特徴とする。
【0019】
また、この発明にかかる薬剤投与装置は、上記の発明において、前記カプセル移送機構は、前記ルーメン中に収容されて前記ルーメン内を自走で前進することを特徴とする。
【0020】
また、この発明にかかる薬剤投与装置は、上記の発明において、前記カプセル移送機構は、ローラーで駆動されるロッドであることを特徴とする。
【0021】
また、この発明にかかる薬剤投与装置は、上記の発明において、前記カプセル移送機構は、流体に加圧する加圧ユニットであることを特徴とする。
【0022】
また、この発明にかかる薬剤投与装置は、上記の発明において、前記カプセル移送機構は、前記カプセルの移送経路の壁面を振動させるものであることを特徴とする。
【0023】
また、この発明にかかる薬剤投与装置は、上記の発明において、複数のカプセルを一列に収容可能に構成されていることを特徴とする。
【0024】
また、この発明にかかる薬剤投与装置は、上記の発明において、複数のカプセルを収容するレザバと、前記カプセルを前記レザバから前記カプセル移送機構に移送する第2のカプセル移送機構と、をさらに備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
この発明にかかる薬剤投与装置は、貫通穴を介して外部と連通するルーメンを有する細長い躯体と、前記カプセルを前記ルーメン内の前記貫通穴に対応する位置まで移送するカプセル移送機構と、前記ルーメン内の前記貫通穴に対応する位置まで移送された前記カプセルの外皮を破って、前記カプセルに収容された薬剤を解放するカプセル破砕部材とを備え、所定量の薬剤を収容したカプセルを破砕することによって躯体先端から生体組織に薬剤を投与するため、一度に吐出する薬剤の量を正確に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は、本実施の形態1にかかる薬剤投与装置の主要部分の一例を示す図である。
【図2】図2は、図1に示す薬剤投与装置を使用する様子を示す斜視図である。
【図3】図3は、図1に示す薬剤投与装置先端の主要部の分解斜視図である。
【図4】図4は、図1に示す薬剤投与装置において採用される係合機構の斜視図である。
【図5】図5は、図1に示す薬剤投与装置基端の主要部の断面図である。
【図6】図6は、図5に示す領域Aの拡大図である。
【図7】図7は、図1に示す薬剤投与装置による薬剤投与処理を説明するための断面図である。
【図8】図8は、図1に示す薬剤投与装置先端の断面図である。
【図9】図9は、図1に示す薬剤投与装置先端の主要部の他の例を示す断面図である。
【図10】図10は、実施の形態1の変形例1にかかる薬剤投与装置先端の主要部の断面図である。
【図11】図11は、実施の形態1の変形例2にかかる薬剤投与装置の斜視図である。
【図12】図12は、実施の形態2にかかる薬剤投与装置先端の主要部の断面図である。
【図13】図13は、実施の形態2にかかる薬剤投与装置201を使用する様子を示す斜視図である。
【図14】図14は、図12に示す薬剤投与装置における移送機構の一例を示す断面図である。
【図15】図15は、図12に示す薬剤投与装置における移送機構の他の例を示す断面図である。
【図16】図16は、図12に示す薬剤投与装置における移送機構の他の例を示す断面図である。
【図17】図17は、図12に示す薬剤投与装置における移送機構の他の例を示す断面図である。
【図18】図18は、図12に示す薬剤投与装置先端の主要部の他の例を示す断面図である。
【図19】図19は、図12に示す薬剤投与装置基端の主要部の他の例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照して、この発明を実施するための形態として、人間を含む哺乳動物の生体組織内に穿刺されて薬剤を投与する薬剤投与装置について説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付している。
【0028】
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態1にかかる薬剤投与装置の主要部分の一例を示す図である。図1に示すように、本実施の形態1にかかる薬剤投与装置1は、細長い躯体2を有し、その先端3の側面には開口した貫通穴4が設けられている。貫通穴4は、メッシュ(例えばチタンメッシュ)の各織目によって形成される。躯体2は、例えば、シリコン、テフロン(登録商標)、ポリ塩化ビニール、ポリエチレンなどの生体適合性のある柔軟な素材で形成されている。また、躯体2の基端側には、操作部5が設けられており、操作部5の基端にはノブ6が設けられている。操作部5やノブ6は例えば、プラスチックやステンレスで形成できる。
【0029】
この薬剤投与装置1は、カプセルに収容された薬剤を、人間を含む哺乳動物の生体組織内に投与するものである。図2は、図1に示す薬剤投与装置1を使用する様子を示す斜視図である。図2に示すように、薬剤投与装置1の先端3が、人間を含む哺乳動物の表皮7の下にある臓器8の腫瘍9に位置するまで穿刺される。その後、操作者は、矢印Y1のようにノブ6を押下する。このノブ6が押下されることによって、躯体2の中に収容されている薬剤カプセルの外皮が破られ、カプセル内に収容されている薬剤が矢印Y2のように貫通穴4から解放される。その結果、薬剤が薬剤投与装置1の貫通穴4から吐出されて生体組織(腫瘍)に吸収される。図3以降においては、ノブ6の1回の押下で1つのカプセルが破砕される場合を例に説明する。ただし、ノブ6の1回の押下で複数のカプセルを破砕するように構成してもよい。
【0030】
図3は、薬剤投与装置1先端の主要部の分解斜視図である。なお、説明のため、図3においては、図1に示す操作部5は図示していない。また、図4は、薬剤投与装置1において採用される係合機構の斜視図である。
【0031】
図3に示すように、細長い躯体2は、内部にルーメン10を有し、このルーメン10は貫通穴4を介して外部と連通している。躯体2のルーメン10内には、カプセル11を収容するカプセルホルダ12が、躯体2に対し前後移動自在に収容されている。また、カプセル11の後方にはプッシャ13が位置している。なお、カプセルホルダ12は全てルーメン10中に収容されている必要はなく、少なくとも一部が収容されていればよい。
【0032】
躯体2の先端には、先端部材14が装着されている。この先端部材14は、躯体2先端から、取り外し自在にねじ込み等で装着されている。先端部材14には、カプセル破砕部材として機能する針15が設けられている。この針15は、先端にフック部16を有している。
【0033】
また、薬剤投与装置1は、カプセル11をルーメン10の貫通穴4に対応した位置まで移送するカプセル移送機構を有している。このカプセル移送機構は、前述したカプセルホルダ12およびプッシャ13に加え、第1の係合機構と、第2の係合機構とを有する。
【0034】
第1の係合機構は、プッシャ13が、躯体2に対して、躯体2の先端方向へ前進することは許すが、躯体2の基端方向へ後退することは禁止する態様で躯体2とプッシャ13を係合させる。そして、第2の係合機構は、プッシャ13が、カプセルホルダ12に対して、カプセルホルダ12の先端方向へ前進することは許すが、カプセルホルダ12の基端方向へ後退することは禁止する態様でカプセルホルダ12とプッシャ13を係合させる。
【0035】
まず、具体的に第1の係合機構について説明する。第1の係合機構は、躯体2のルーメン10の内壁に設けられた溝20と、プッシャ13に固着された第1ラッチ部材21とによって構成される。第1ラッチ部材21は、ステンレス等の弾性部材で形成されている。そして、第1ラッチ部材21は、躯体2への装着時に、溝20に収容された状態で躯体2と係合する。なお、躯体2のルーメン10の内壁には、溝20に連続するガイド溝26が設けてある。
【0036】
溝20の側面には、鋸歯状の凹凸が形成されており、図4(1)に示すように、第1ラッチ部材21側面には、この溝20の凹凸のひと山と係合する三角形の突起22が形成されている。この凹凸および突起22の形状は、前方側(躯体2の先端側)が斜度の緩い斜面で、後方側(躯体2の基端側)が斜度のきつい斜面となっている。このため、第1ラッチ部材21は、係合状態において、溝20に対して前方(躯体2の先端方向)に向かう力が印加されると撓むことにより相対的に前方に進むことができる。これに対し、第1ラッチ部材21は、溝20に対して後方(躯体2の基端方向)に向かう力が印加されても撓まないので、相対的に後方に進むことはできない。その結果、溝20が設けられた躯体2に対して、第1ラッチ部材21が設けられたプッシャ13は、前進することは許されるが後退することは禁止される。
【0037】
なお、第1ラッチ部材21と躯体2の間にはカプセルホルダ12が位置するので、カプセルホルダ12には第1ラッチ部材21と溝20との係合を妨げないように逃げ穴23が設けられている。第1ラッチ部材21は、プッシャ13のほぞ穴23aに脚24を挿入し嵌合することによりプッシャ13に固定される。そして、第1ラッチ部材21には、カプセルホルダ12の前後方向の動きを妨げないように、カプセルホルダ12の肉厚分のスペーサ25が脚24の基端部に設けられている。
【0038】
次に、第2の係合機構について説明する。第2の係合機構は、カプセルホルダ12の側面に設けられた開口30と、プッシャ13に固着された第2ラッチ部材31とによって構成される。第2ラッチ部材31は、ステンレス等の弾性部材で形成されている。
【0039】
第2の係合機構は、カプセルホルダ12に対してプッシャ13が前進することは許すが後退することは禁止する態様で、カプセルホルダ12とプッシャ13を係合させている。具体的には、図4(3)に示すように、開口30の側面には、鋸歯状の凹凸が形成されており、図4(2)に示すように、第2ラッチ部材31側面には、この開口30の凹凸のひと山と係合する三角形の突起32が形成されている。この凹凸および突起32の形状は、前方側(躯体2の先端側)が斜度の緩い斜面で、後方側(躯体2の基端側)が斜度のきつい斜面となっている。このため、第2ラッチ部材31は、係合状態において、矢印Y3のように、開口30に対して前方に向かう力が印加されると撓むことにより相対的に前方に進むことができる。これに対し、第2ラッチ部材31は、開口30に対して後方に向かう力が印加されても撓まないので、矢印Y4のように、相対的に後方に進むことはできない。この結果、第2ラッチ部材31が設けられたプッシャ13は、開口30が設けられたカプセルホルダ12に対して、前進することは許されるが後退することは禁止されることとなる。
【0040】
なお、図4(2)に示すように、第2ラッチ部材31にも、第1の係合機構における第1ラッチ部材21と同様に、突起32と脚34が設けられている。ただし、第2ラッチ部材31には、第2ラッチ部材31とカプセルホルダ12の間に介在する部材はないため、スペーサは設けられていない。
【0041】
次に、図1に示す操作部5およびノブ6の構造について説明する。図5は、操作部5およびノブ6の構造を説明するための断面図であり、図1に示す薬剤投与装置1基端の主要部の断面図である。図5(1)に示すように、操作部5は、内部にルーメンを有し、そのルーメンにノブ6の一部が前進後退可能に収容されている。
【0042】
操作部5には、躯体2の基端がシリコン製のオーリング等の弾性部材41を介してきつく嵌合している。また、ノブ6にはカプセルホルダ12の基端が同じく弾性部材41を介してきつく嵌合している。この弾性部材41の作用により、操作者が力を入れて引き抜くことによって、躯体2から操作部5を、および、カプセルホルダ12からノブ6を取り外すことができる。また、躯体2に操作部5を取り付ける場合、および、カプセルホルダ12にノブ6を取り付ける場合のいずれも、操作者が力を入れて押し込む必要がある。そして、ノブ6の先端側はフランジ42が設けられており、このフランジ42が、カプセルホルダ12の基端位置を位置決めしている。また、フランジ42の周囲にはスカート43が設けられている。
【0043】
このように、操作部5は躯体2にきつく嵌合しており、ノブ6はカプセルホルダ12にきつく嵌合しているため、操作部5およびノブ6のいずれも薬剤投与作業中に抜けてしまうことはない。そして、操作部5は躯体2に固定され、ノブ6はカプセルホルダ12に固定されているため、両者は相互に前進後退可能となっている。
【0044】
また、操作部5およびノブ6には、先頭のカプセル11がルーメン10の貫通穴4に対応する位置までに移送された場合に、クリック感を操作者に伝達するクリック機構が設けられている。このクリック機構は、カプセルホルダ12が、先頭のカプセル11が貫通穴4に対応した位置まで移送された分、躯体2に対して相対的に移動した場合に、クリック感を操作者に伝達するようになっている。
【0045】
図6は、図5に示す領域Aの拡大図である。図6に示すように、クリック機構は、操作部5のルーメン内壁に設けた溝44とボール46とによって構成される。溝44には、先端側に凹部45が設けられており、この凹部45の基端側には斜面47が形成されている。そして、ボール46は、ノブ6のスカート43に対して径方向に若干移動可能であり、外側に向けて、たとえばバネ46aで付勢されている。
【0046】
図5(1)は、ノブ6が押下されていない状態(ホームポジション)を示している。この場合、ボール46は、溝44には収容されているものの、凹部45にまでは到達していない。
【0047】
図5(2)は、ノブ6が押下され、躯体2に対してカプセルホルダ12が相対的に、ルーメン10の貫通穴4に対応した位置までカプセル11が移送される位置まで前進した状態を示している。この場合、ボール46は、矢印Y5のように凹部45にまで到達し、凹部45内に収容される。そして、ボール46が凹部45に収容されるタイミングで、ボール46がバネ46aの付勢によって矢印Y6のように径方向に外側に飛び出し、このボール46が飛び出して凹部45壁面に当たる衝撃によって、ノブ6を押下した操作者の手にクリック感が伝達される。
【0048】
そして、溝44の軸方向の長さは、躯体2に対してカプセルホルダ12が前進後退できるストローク長によって規定される。具体的には、溝44の長さから、溝44に収容されるノブ6の先端部の長さL(図6参照)を減じた値が、ストローク長となる。実施の形態1では、ストローク長は、カプセル11の軸方向の長さとほぼ同等にして、1回の押下で1個のカプセルが破砕されるようにしている。もちろんこれに限らず、溝44の軸方向の長さを、所定数分のカプセル11の軸方向の長さとすることによって、1回の押下で複数個のカプセル11が破砕されるようにしてもよい。
【0049】
このような構成において、操作者は、使用前の準備として、カプセルホルダ12に対して基端側から所定数のカプセル11を挿入し、最後にプッシャ13を挿入する。図3に示すように、カプセルホルダ12の先端には突起18が設けられ、突起18の後面は、カプセル11の先端位置を規定する当接面19(図7参照)となっている。したがって、カプセル11は当接面19によってカプセルホルダ12の先端側から脱落することはない。
【0050】
次に、操作者は、プッシャ13に第1ラッチ部材21と第2ラッチ部材31とを取り付け、躯体2のルーメン10にカプセルホルダ12を挿入し、躯体2の先端に先端部材14を取り付ける。そして、操作者は、操作部5およびノブ6を薬剤投与装置1の基端に取り付けて準備を完了する。なお、躯体2のルーメン10の内壁には、溝20に連なってガイド溝26が設けてある。このガイド溝26によって、第1ラッチ部材21がスムーズに溝20に導かれる。
【0051】
次に、薬剤投与装置1による薬剤投与処理について説明する。図7は、薬剤投与装置1による薬剤投与処理を説明するための断面図であり、薬剤投与装置1先端の主要部の断面図である。
【0052】
図7(1)は、薬剤投与装置1の初期状態を示している。この図7(1)に示すように、薬剤投与装置1には、先端部材14とカプセルホルダ12の突起18の間に、弾性部材であるバネ35が配設されている。このバネ35は、カプセルホルダ12が、躯体2に対し、ルーメン10の貫通穴4に対応した位置よりも先端方向に前進すると、カプセルホルダ12を躯体2に対して後方の基端方向に付勢する。
【0053】
図7(2)は、操作者が操作部5においてノブ6を押下し、カプセルホルダ12を躯体2に対して前進させた場合を示す図である。前述したように、プッシャ13は、第2の係合機構によって、カプセルホルダ12に対して基端方向への後退は禁止されている。そして、プッシャ13は、突起18で前進を阻まれたカプセル11がプッシャ13の前に位置するため、カプセルホルダ12に対して先端方向へ前進することもできない。
【0054】
この結果、プッシャ13は、矢印Y10のように、カプセルホルダ12と一緒に躯体2に対して先端方向へ前進し、各カプセル11も突起18とプッシャ13とに挟まれる態様でカプセルホルダ12と一緒に躯体2に対して先端方向へ前進する。このとき、プッシャ13は躯体2に対して先端方向に前進する。このプッシャ13の前進移動は、第1の係合機構によって許容されている。したがって、カプセルホルダ12とカプセル11とプッシャ13とは、相対的に静止したまま、躯体2に対して前進する。すなわち、カプセルホルダ12とカプセル11とプッシャ13とは、一体となって躯体2に対して前進し、躯体2の先端側に移動する。
【0055】
そして、カプセルホルダ12が躯体2に対して先端方向に前進し、先頭のカプセル11aが貫通穴4に対応した位置まで前進した結果、針15が、先頭にあるカプセル11aの外皮を破り、カプセル11a内に収容された薬剤を解放する。この薬剤は、図6(3)の矢印Y11に示すように、貫通穴4より吐出され、投与対象の組織に投与される。なお、この場合、針15に振動を与えて破砕を助力してもよい。たとえば、超音波振動させることによって、針15に振動を与えてもよい。
【0056】
図7(3)は、操作者によってノブ6に対する押下を解除されることによって、バネ35の反発力により、躯体2に対してカプセルホルダ12が後退した場合について示している。
【0057】
この場合、プッシャ13は、第1の係合機構によって、躯体2に対して基端側に後退することを禁止されているので、カプセルホルダ12とともに後退することはできない。この結果、プッシャ13は、躯体2に対しては静止することなる。したがって、プッシャ13は、矢印Y12のように基端側に後退するカプセルホルダ12に対しては相対的に前進することになり、この前進にともないカプセル11bを前に押し出す作用をする。その結果、後続のカプセル11が順送りされてカプセル1つ分だけ前進し、破砕した先頭のカプセル11aがあった位置に次のカプセル11bが来ることとなる。そして、針15のフック部16の作用により、破砕したカプセル11aの外皮111aは針15に捕捉されたまま留まる。
【0058】
次に、カプセル11aの次のカプセル11bを破砕する処理について説明する。図7(4)および図7(5)は、次の押下でカプセル11bが破砕される状態を説明するための図である。図7(4)に示すように、操作者による次のノブ6の押下によって、カプセルホルダ12を躯体2に対して前進させた場合、矢印Y13のように、カプセルホルダ12とカプセル11bとプッシャ13とは、一体となって躯体2に対して前進し、躯体2の先端側に移動する。
【0059】
そして、先頭のカプセル11bが貫通穴4に対応した位置まで前進した結果、針15がカプセル11bの外皮を破り、カプセル11b内に収容された薬剤を解放する。この薬剤は、図7(5)の矢印Y14のように貫通穴4より吐出される。
【0060】
次いで、操作者によってノブ6に対する押下を解除されることによって、バネ35の反発力により、矢印Y15のように躯体2に対してカプセルホルダ12が後退する。この場合、プッシャ13は、第1の係合機構の作用により、カプセルホルダ12とともに後退せず、躯体2とともに静止する。このため、プッシャ13は矢印Y15のように基端側に後退するカプセルホルダ12に対しては相対的に前進することになり、この前進にともないカプセル11cを前に押し出す作用をする。その結果、後続のカプセル11が順送りされてカプセル1つ分だけ前進し、破砕した先頭のカプセル11bがあった位置に次のカプセル11cが来ることとなる。なお、破砕したカプセル11bの外皮111bは針15に捕捉されたまま留まる。
【0061】
このように、本実施の形態1にかかる薬剤投与装置1においては、操作者がノブ6を一回押下するたびに収容されたカプセル11が1個ずつ外皮を破砕されて、中の薬剤が解放され、生体組織に向けて吐出される。薬剤投与装置1においては、カプセル11に収容される薬剤量は一定のため、様々な条件下でも、簡単な操作で、正確な量の薬剤を安定して投与できる。なお、薬剤投与装置1においては、先端部の側面に貫通穴4があるため、比較的広い範囲に薬剤を投与することができる。
【0062】
そして、本実施の形態1にかかる薬剤投与装置1においては、ポンプを使用せずとも薬剤投与が可能であり、たとえばカプセル11内部の容量を数μリットル程度の微量値に設定することもできる。もちろん、本実施の形態1にかかる薬剤投与装置1においては、ポンプを使用しないため、ポンプ圧力制御の事前の条件出しを行う必要もない。また、薬剤投与装置1においては、所定量の薬剤を収容したカプセル11を充填し、先端からカプセル11の外皮を破砕して薬剤を吐出するため、薬剤被投与対象(人間を含む哺乳類)の姿勢や薬剤投与対象の運動による躯体2の屈曲具合によらず、一度に吐出する薬剤の量を正確に制御することができる。
【0063】
さらに、薬剤投与装置1においては、ノブ6の押下の度にカプセルが1個ずつ順送りされるので、操作者は、ノブ6を所望の回数、押下するだけで、カプセル11の容量の整数倍の所望量の薬剤を正確に投与することができる。また、ノブ6の押下の度にクリック感が伝達されるので、操作者は、自分が何回押下したかを明瞭に意識でき、押下処理を所望回数分、正確に行うことができる。そして、薬剤投与装置1においては、針15ごと先端部材14を取り外すことができるため、針15に捕捉された外皮を廃棄することも容易である。
【0064】
なお、実施の形態1においては、ノブ6の1回の押下処理で複数個のカプセル11を破砕するように構成してもよい。また、カプセル破砕部材は、カプセル11を破砕できればよいため、針に限らず、ブレード、振動子、プレス等を採用してもよい。たとえば、図8に示すように、針15に振動を与える超音波振動子17aを先端部材14cに設けて、カプセル11を破砕するときにカプセルに振動を印加して破砕を助力する。この超音波振動子17aは、躯体2cの基端側に設けられた超音波制御ユニット17cと接続線17bを介して接続し、超音波制御ユニット17cの制御によって、超音波を発し針15に振動を与える。もちろん、針15を設けず、超音波振動子17aのみでカプセル11を破砕してもよい。
【0065】
また、薬剤を収容するカプセル11として、柔らかな材質(たとえばゼラチン)等で形成される軟カプセルを採用してもよく、また、これに限定されず、硬カプセルを採用してもよい。また、カプセル11は、外皮によって定義される閉空間内に薬剤を収容するものなら足り、その形状は問わない。
【0066】
また、本実施の形態1にかかる薬剤投与装置1においては、図9に示すように、カプセルの間に生理食塩水等の流体61を充填して、カプセル11の移動の円滑化を図ってもよい。
【0067】
(実施の形態1の変形例1)
次に、実施の形態1の変形例1について説明する。図10は、実施の形態1の変形例1にかかる薬剤投与装置先端の主要部の断面図である。図10(1)に示すように、実施の形態1の変形例1にかかる薬剤投与装置1aは、躯体側面ではなく、躯体2aの先端に貫通穴4aが設けられている。そして、躯体2aから取り外し自在に装着される先端部材14aには、先端にフック部16aを備えた針15aが設けられている。この針15aは、バネ35の内側でカプセル11を破砕するために、屈曲した形状となっている。なお、薬剤投与装置1aの基端は、薬剤投与装置1と同じ構造となっている。
【0068】
このため、薬剤投与装置1aにおいては、薬剤投与装置1と同様に、操作者によるノブ6の押下によって、カプセルホルダ12を躯体2aに対して前進させた場合、図10(2)の矢印Y10aのように、カプセルホルダ12とカプセル11bとプッシャ13とは、一体となって躯体2aに対して前進し、躯体2aの先端側に移動する。そして、先頭のカプセル11が貫通穴4aの位置まで前進した結果、針15aがカプセル11の外皮を破り、カプセル11内に収容された薬剤を解放する。この薬剤は、矢印Y11aのように貫通穴4aより吐出される。
【0069】
この薬剤投与装置1aにおいても、ノブ6の押下の度にカプセルが1個ずつ順送りされるので、操作者は、ノブ6を所望の回数、押下するだけで、カプセル11の容量の整数倍の所望量の薬剤を正確に投与することができるという、薬剤投与装置1と同様の効果を奏する。
【0070】
さらに、薬剤投与装置1aにおいては、先端に貫通穴4aを設けているため、比較的狭い範囲に薬剤を投与できるとともに、薬剤を投与する位置も狙いやすく、薬剤投与装置1aの意図しない軸周りの回動による投与位置のズレも発生しない。
【0071】
(実施の形態1の変形例2)
次に、実施の形態1の変形例2について説明する。図11は、実施の形態1の変形例2にかかる薬剤投与装置の斜視図である。図11に示すように、実施の形態1の変形例2にかかる薬剤投与装置1bは、躯体2b基端側の操作部5bの内部、すなわち、躯体2bの後端側に、第1の係合機構および第2の係合機構が位置するように構成されている。
【0072】
第1の係合機構として、躯体2bのルーメン10の内壁のうち基端側に、鋸歯状の凹凸が形成された溝20bが設けられている。なお、プッシャ13bには、この溝20bに対応する第1ラッチ部材(図示しない)が固着されている。また、カプセルホルダ12bには第1ラッチ部材と溝20bの係合を妨げないように逃げ穴(図示しない)が設けられている。
【0073】
そして、第2の係合機構として、カプセルホルダ12bの基端側に、側面が鋸歯状の凹凸が形成された開口30bと、プッシャ13bに固着された第2ラッチ部材(図示しない)とが設けられている。
【0074】
さらに、プッシャ13bの先端にロッド50が接続している。このロッド50は、躯体2b内を先端方向に延伸している。そして、ロッド50の先端の押出部分50bが、ノブ6の押下の度にカプセル11を1個ずつ順に先端側へ押し出す。
【0075】
このように、薬剤投与装置1bにおいても、カプセルが1個ずつ順送りされるので、操作者は、ノブ6を所望の回数、押下するだけで、カプセル11の容量の整数倍の所望量の薬剤を正確に投与することができるという、薬剤投与装置1と同様の効果を奏する。
【0076】
さらに、薬剤投与装置1bにおいては、第1の係合機構および第2の係合機構が、生体外に位置する操作部5b内、すなわち躯体2bの後端側に位置する。すなわち、薬剤投与装置1bにおいては、第1の係合機構および第2の係合機構が生体外に位置するため、係合動作に起因する振動が生体内で起こらないという効果を奏する。
【0077】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。図12は、実施の形態2にかかる薬剤投与装置先端の主要部の断面図であり、図13は、実施の形態2にかかる薬剤投与装置201を使用する様子を示す斜視図である。
【0078】
図12に示すように、実施の形態2にかかる薬剤投与装置201の先端部は、実施の形態1において説明したカプセルホルダを設けず、躯体202のルーメンに直接、各カプセル11を装填し、後方の基端側からカプセル11を押してゆく構成を有する。
【0079】
この薬剤投与装置201においては、躯体202先端、すなわち、貫通穴4の手前部分に、突起51を設けることによって、所定力量以上でカプセル11が押された場合にのみ、先頭のカプセル11が突起51を乗り越えて破砕位置まで進出できるようにしている。そして、薬剤投与装置201においては、カプセル11に対する押圧力を制御して薬剤投与処理を行うこととなる。
【0080】
この薬剤投与装置201は、図13に示すように、体表または体内に装置全体が取り付けられた後に、薬剤投与を操作される。このように、薬剤投与装置201においては、体表または体内に装置全体を取り付けることによって、生体の行動自由性を確保することができる。
【0081】
そして、薬剤投与装置201の躯体202基端には、メインユニット52が設けられている。メインユニット52には、電源、制御部およびカプセル移送機構の一部などが収容される。
【0082】
次に、カプセル11を貫通穴4に対応した位置まで移送する移送機構について説明する。図14は、図12に示す薬剤投与装置201の基端部の断面図であり、薬剤投与装置201における移送機構の一例を示す断面図である。
【0083】
図14に示すように、薬剤投与装置201においては、躯体202内部のルーメンに収容されてルーメン内を自走で前進する自走式の押し子521を設けて、カプセル11を矢印Y21のように貫通穴4に対応した位置まで順に移送させる。この押し子521は、メインユニット52の制御部の制御によって、カプセル11を1個ずつ先端側に押出す。これによって、カプセル11は1個ずつ外皮を破砕され、カプセル11内部に収容されていた薬剤が貫通穴4を介して生体組織に吐出される。
【0084】
このように、実施の形態2にかかる薬剤投与装置201によれば、押し子521を制御することによって、一定量の薬剤を収容するカプセル11を1個ずつ破砕するため、正確な量の薬剤を安定して投与できるという、実施の形態1と同様の効果を奏する。さらに、実施の形態2によれば、実施の形態1と比較して、単純な構成で、薬剤投与装置を実現することができる。
【0085】
なお、薬剤投与装置201における移送機構として、図14に示す自走式の押し子521を採用した場合を例として説明したが、もちろんこれに限らない。たとえば、図15に示すように、ローラー522aで駆動されるロッド522bを用いて、矢印Y22のようにカプセル11を1個ずつ先端側に押出してもよい。この場合、ローラー522aの回転動作は、ロッド522bがカプセル11を1個ずつ先端側に押出せるように、メインユニット52の制御部によって制御される。図15に示す移送機構を採用した場合には、図14に示す場合と比較して、大きな力を精密に制御することができる。
【0086】
また、薬剤投与装置201における移送機構として、図16に示すように、流体に加圧するポンプ523a等の加圧ユニットを用いてもよい。この場合、ポンプ523aの加圧動作は、押出板523bがカプセル11を1個ずつ先端側に押出せるように、メインユニット52の制御部によって制御される。図16に示す移送機構を採用した場合には、矢印Y23のように流体を加圧して、矢印Y24のようにカプセル11を移送させているため、躯体202が屈曲した場合であっても、移送力に影響はないことから、躯体202の屈曲状態によらず正確なカプセル移送を行うことができる。
【0087】
また、薬剤投与装置201における移送機構として、図17に示すように、躯体202に取り付けた振動子524を採用してもよい。この場合、振動子524によって、カプセル移送経路の壁面である躯体202のルーメン表面を振動させることで、カプセル11を矢印Y25のように先端側に移送することができる。図17に示す移送機構を採用した場合には、多くのカプセル11が格納されても、スムーズに移送処理を行うことができる。さらに、この図17に示す移送機構は、前述した図14〜図16に示す他の移送機構と併用することも可能である。
【0088】
また、本実施の形態2にかかる薬剤投与装置201においては、図18に示すように、カプセルの間に生理食塩水等の流体61を充填して、カプセル11の移動の円滑化を図ってもよい。
【0089】
また、実施の形態2においては、躯体202aのルーメンに接続するレザバ53を設けて、このレザバ53から躯体202a内にカプセル11を新たに補充できるようにしてもよい。この場合、レザバ53に収容された各カプセル11は、自走式の押し子521bによって、レザバ53内を矢印Y26のように移送された後に、第2の移送機構54によって、矢印Y27のように躯体202aのルーメン55のカプセル移送機構である押し子521まで移送される。その後、カプセル11は、押し子521によって、矢印Y21bのように貫通穴4に対応した位置まで順に移送される。このような構成とすることによって、さらに多くのカプセル11を収容することが可能になる。なお、カプセル移送機構として、押し子521以外に、図15〜図17において説明した移送機構のいずれかを採用できる。また、第2の移送機構54として、図14〜図17において説明した移送機構のいずれかを採用することもできる。
【符号の説明】
【0090】
1,1a,1b,201 薬剤投与装置
2,2a,2b,2c,202,202a 躯体
3 先端
4,4a 貫通穴
5,5b 操作部
6 ノブ
7 表皮
8 臓器
9 腫瘍
10,55 ルーメン
11,11a,11b,11c カプセル
12,12b カプセルホルダ
13,13b プッシャ
14,14a,14c 先端部材
15,15a 針
16,16a フック部
17a 超音波振動子
17b 接続線
17c 超音波制御ユニット
18,22,32,51 突起
19 当接面
20,20b,44 溝
21 第1ラッチ部材
23 逃げ穴
23a ほぞ穴
24,34 脚
25 スペーサ
26 ガイド溝
30,30b 開口
31 第2ラッチ部材
35,46a バネ
41 弾性部材
42 フランジ
43 スカート
45 凹部
46 ボール
47 斜面
50,522b ロッド
50b 押出部分
52 メインユニット
53 レザバ
54 第2の移送機構
61 流体
111a,111b 外皮
521,521b 押し子
522a ローラー
523a ポンプ
523b 押出板
524 振動子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カプセルに収容された薬剤を、人間を含む哺乳動物の生体組織内に投与する薬剤投与装置であって、
貫通穴を介して外部と連通するルーメンを有する細長い躯体と、
前記カプセルを前記ルーメン内の前記貫通穴に対応する位置まで移送するカプセル移送機構と、
前記ルーメン内の前記貫通穴に対応する位置まで移送された前記カプセルの外皮を破って、前記カプセルに収容された薬剤を解放するカプセル破砕部材と、
を備えたことを特徴とする薬剤投与装置。
【請求項2】
前記カプセル破砕部材は、針であることを特徴とする請求項1に記載の薬剤投与装置。
【請求項3】
前記カプセル破砕部材は、破砕後のカプセル外皮を捕捉するフック部を有していることを特徴とする請求項1に記載の薬剤投与装置。
【請求項4】
前記躯体の先端に、取り外し自在に装着される先端部材をさらに備え、
前記カプセル破砕部材は、前記先端部に配設されていることを特徴とする請求項3に記載の薬剤投与装置。
【請求項5】
前記カプセル破砕部材は、前記カプセルを破砕するときに前記カプセルに振動を印加することを特徴とする請求項1に記載の薬剤投与装置。
【請求項6】
前記カプセル移送機構は、
少なくとも一部は前記躯体のルーメン内に前後移動自在に収容され、前記カプセルを収容するカプセルホルダと、
前記カプセルホルダに収容されたカプセルの後方に位置するプッシャと、
前記躯体に対して前記プッシャが前進することは許すが後退することは禁止する態様で、前記躯体と前記プッシャを係合させる第1の係合機構と、
前記カプセルホルダに対して前記プッシャが前進することは許すが後退することは禁止する態様で、前記カプセルホルダと前記プッシャを係合させる第2の係合機構と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の薬剤投与装置。
【請求項7】
前記躯体と前記カプセルホルダとの間に設けられた弾性部材をさらに備え、
前記弾性部材は、前記躯体に対して前記カプセルホルダが前記貫通穴に対応する位置以上に前進すると前記カプセルホルダを前記躯体に対して後方に付勢することを特徴とする請求項6に記載の薬剤投与装置。
【請求項8】
前記カプセルホルダは、前記カプセルの先端位置を規定する当接面を有することを特徴とする請求項6に記載の薬剤投与装置。
【請求項9】
前記カプセルホルダが、先頭の前記カプセルが前記貫通穴に対応する位置まで移送された分、前記躯体に対して相対的に移動した場合に、クリック感を伝達するクリック機構をさらに備えたことを特徴とする請求項6に記載の薬剤投与装置。
【請求項10】
前記第1の係合機構および前記第2の係合機構は、前記躯体の後端側に位置していることを特徴とする請求項6に記載の薬剤投与装置。
【請求項11】
前記カプセル移送機構は、前記ルーメン中に収容されて前記ルーメン内を自走で前進することを特徴とする請求項1に記載の薬剤投与装置。
【請求項12】
前記カプセル移送機構は、ローラーで駆動されるロッドであることを特徴とする請求項1に記載の薬剤投与装置。
【請求項13】
前記カプセル移送機構は、流体に加圧する加圧ユニットであることを特徴とする請求項1に記載の薬剤投与装置。
【請求項14】
前記カプセル移送機構は、前記カプセルの移送経路の壁面を振動させるものであることを特徴とする請求項1に記載の薬剤投与装置。
【請求項15】
複数のカプセルを一列に収容可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の薬剤投与装置。
【請求項16】
複数のカプセルを収容するレザバと、
前記カプセルを前記レザバから前記カプセル移送機構に移送する第2のカプセル移送機構と、
をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の薬剤投与装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2011−147554(P2011−147554A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−10358(P2010−10358)
【出願日】平成22年1月20日(2010.1.20)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】