薬液供給装置
【課題】薬液容器の薄膜部が、排出口を塞ぐのを確実に防止することかできる薬液供給装置を提供する。
【解決手段】本発明は、薬液を収容し、当該薬液の排出口を有する薬液容器と、排出口に接続され、前記薬液容器内の薬液を外部へと導く薬液排出機構と、薬液容器及び薬液排出機構を支持する支持体と、を備え、薬液容器は、使用前の初期状態において、排出口を塞ぐ薄膜部を有しており、薬液排出機構は、前記薄膜部を破断するために差し込まれる連通管を備え、当該連通管は、開口縁部から軸方向に延びる少なくとも一つの切欠部を有しており、使用前の薬液容器に前記連通管が差し込まれるとき、当該連通管の開口縁部が、薄膜部が形成されている位置よりも前記薬液容器内に入り込むように構成されることで、薄膜部が前記排出口から離脱する。
【解決手段】本発明は、薬液を収容し、当該薬液の排出口を有する薬液容器と、排出口に接続され、前記薬液容器内の薬液を外部へと導く薬液排出機構と、薬液容器及び薬液排出機構を支持する支持体と、を備え、薬液容器は、使用前の初期状態において、排出口を塞ぐ薄膜部を有しており、薬液排出機構は、前記薄膜部を破断するために差し込まれる連通管を備え、当該連通管は、開口縁部から軸方向に延びる少なくとも一つの切欠部を有しており、使用前の薬液容器に前記連通管が差し込まれるとき、当該連通管の開口縁部が、薄膜部が形成されている位置よりも前記薬液容器内に入り込むように構成されることで、薄膜部が前記排出口から離脱する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、芳香用、便器の洗浄用などに用いられる薬液を供給する薬液供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
便器を洗浄したり、芳香効果を得るための薬液供給装置は、取付対象となる便器のタイプによって種々のものが提案されている。例えば、貯水タンクを有するタイプに対しては、タンク上部の手洗い部に配置される薬液供給装置が提案されており、この装置は、手洗い部に供給される水とともに、貯水タンク内に薬液を供給するように構成されている。一方、タンク上部に手洗い部がないものや、貯水タンク自体を設けないタイプの便器も販売されており、これに対しては、便器のリムに直接取り付ける薬液供給装置が提案されている。
【0003】
このような薬液供給装置としては、例えば、特許文献1に示されるような装置がある。この装置では、薬液容器からプレート上に供給される薬液を、流水によってさらうことで、便器の内壁面に薬液を供給している。これによって、便器が洗浄されるとともに、薬液に含まれる芳香剤により、芳香効果も得ることができる。
【特許文献1】特表2002−518611号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記薬液供給装置で用いられる薬液容器には、薬液が排出される排出口に薄膜部が設けられている。そして、使用時には、先端が斜めに切りかかれた連通管を、薄膜部に突き刺し、排出口から薬液を連通管内に排出するようにしている。この際、連通管の開口端部は、斜めに切りかかれているため、薄膜部を完全に離脱させることはできない。そのため、薄膜部が再び排出口を塞がないように、連通管の開口には、棒状の突起が設けられており、この突起によって薄膜部が排出口を塞がないように、支持している。
【0005】
しかしながら、薄膜部の少なくとも一部は、依然として排出口と接続されているため、突起が設けられていたとしても、薬液の排出を妨げるおそれがある。すなわち、薄膜部が排出口を完全に塞がなかったとしても、排出口を覆うような位置にあれば、薬液が排出口から排出されるのが妨げられ、薬液を便器に適切に供給することができないという問題がある。なお、このような問題は、便器の洗浄に用いられる装置だけでなく、薬液容器から薬液を排出することで、芳香、洗浄などを行う装置全般に共通する問題である。
【0006】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、薬液容器の薄膜部が、排出口を塞ぐのを確実に防止することができる薬液供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る薬液供給装置は、上記問題を解決するためになされたものであり、薬液を収容し、当該薬液の排出口を有する薬液容器と、前記排出口に接続され、前記薬液容器内の薬液を外部へと導く薬液排出機構と、前記薬液容器及び薬液排出機構を支持する支持体と、を備え、前記薬液容器は、使用前の初期状態において、前記排出口を塞ぐ薄膜部を有しており、前記薬液排出機構は、前記薄膜部を破断するために差し込まれる連通管を備え、当該連通管は、開口縁部から軸方向に延びる少なくとも一つの切欠部を有しており、使用前の前記薬液容器に前記連通管が差し込まれるとき、当該連通管の開口縁部が、前記薄膜部が形成されている位置よりも前記薬液容器内に入り込むように構成されることで、前記薄膜部が前記排出口から離脱する。
【0008】
この構成によれば、使用前の薬液容器に連通管が差し込まれたとき、連通管の開口縁部が、薄膜部が形成されている位置よりも薬液容器内に入り込むので、薄膜部を排出口から離脱させることができる。その結果、薄膜部が排出口を塞ぐのを確実に防止することができる。この際、薬液容器に差し込まれた連通管の外側に薬液が残留するおそれがあるが、連通管には、開口縁部から切欠部が形成されているため、連通管の外側の薬液は、切欠部を介して連通管内へ排出される。したがって、薬液が残留するのを防止することができる。なお、仮に、離脱した薄膜部が連通管の開口を塞いだとしても、切欠部から薬液を排出することができる。
【0009】
また、切欠部の奥端部は、薄膜部が形成されていた位置の近傍で、当該形成されていた位置よりも薬液容器内に入り込んだ位置にあるようにすることができる。例えば、薄膜部の形成位置よりも外部で、連通管の外周面と、薬液容器の排出口との間に隙間が形成される場合には、切欠部から薬液が漏れるおそれがあるが、上記のように構成することで、薬液の漏れを確実に防止することができる。なお、切欠部の奥端部は、薬液を容器内にできるだけ残さないようにするという観点から、薄膜部の形成位置にできるだけ近い位置に配置されることが望ましく、上記「近傍」という文言は、薬液の残留をできるだけ少なくできるような位置を意味する。
【0010】
連通管の開口端部の形状は、特には限定されないが、例えば、先端が鋭利になるように当該連通管を径方向に斜めに切りとった形状にすることができる。こうすることで、連通管を薄膜部に差し込むときに、力を作用させ易くなり、薄膜部を容易に破断することができる。
【0011】
本発明は、例えば、薬液として芳香剤を用い、芳香剤の供給装置として用いることができるほか、水洗トイレに配置し、便器の洗浄・芳香に用いることができる。
【0012】
例えば、支持体を、水洗トイレにおける貯水タンク上部の手洗い部に配置するように構成し、薬液排出機構から排出された薬液を、当該手洗い部に供給される水とともに排出孔を介して前記貯水タンク内に薬液を供給することができる。
【0013】
上記のような手洗い部に配置するタイプとして用いる場合、支持体に、薬液排出機構の下方に、水が流入可能な流入空間が形成されるような形状を有するとともに、当該流入空間と隣接する位置に固形薬剤を収納可能な収納部を設け、支持体に、収納部と外部とを連通する開口を形成することができる。このような構成により、薬液のみならず、固形薬剤から溶出した薬剤を便器に供給することができる。例えば、薬液を洗浄・芳香剤とし、固形薬剤を漂白剤とすることができる。
【0014】
この構成によれば、薬液排出機構の下方に水が流入する流入空間が形成され、この流入空間に隣接するように、固形薬剤の収納部が形成されている。したがって、排水孔に向かう水が、流入空間を経てスムーズに排水孔へ流れ込むため、排水孔付近の水はけがよくなり、手洗い部から水があふれ出るといった問題や手洗い部に水がたまり、固形薬剤が水没し、極度に薬剤が早く減量したり不均一に減量するような問題を生じることがない。また、薬液排出機構の下方で、水がスムーズに排水孔へ向かうため、水が逆流して薬液排出機構内に流れ込むのを防止することができ、その結果、薬液が薄まって早期に排出されるのを防止することができる。さらに、固形薬剤の収納部が流入空間と隣接しているので、手洗い部を流れる水を下から拾って入水させることができ、容器上部に水の当たらない手洗いなどにおいても適切な薬剤の溶出を得ることができる。なお、上記開口は、収納部に水が流れ込み、また排出できるような位置であれば、いずれの位置に形成してもよいが、例えば、薬液排出機構よりも下方など、装置のできるだけ下方に形成することが好ましい。
【0015】
また、この装置に配置される固形薬剤は、平面視において、第1の方向の長さが、これと直交する第2の方向の長さよりも長い外形を有するようにすることができる。こうすることで、支持体内での固形薬剤の配置の自由度が高くなり、例えば、より水と接触しやすい位置に配置することができる。このような固形薬剤の形状としては、例えば、平面視が長方形、楕円などにすることができる。
【0016】
さらに、薬液排出機構から排出された薬液を支持体の外部へ案内する案内部材を設けることができる。このとき、案内部材を、流入空間へ延ばすことが好ましい。流入空間は、手洗い部の表面と薬液排出機構との間に形成され、水が流れ込みやすいため、この空間に案内部材を配置すると、水が接触しやすくなり、案内部材に供給される薬液をさらいやすくなる。このため、薬液を効率よく貯水タンクへ供給することができる。また、案内部材を手洗い部の排出孔に挿入されるようにすると、さらに水との接触が確実になり、薬液を効率よく貯水タンクへ供給できる。
【0017】
また、上記のように手洗い部に配置するタイプのみならず、便器のリムに取り付けるタイプとして用いることもできる。この場合、薬液容器、薬剤排出機構、及び前記支持体を便器のリムに吊り掛けるための吊掛部材をさらに設け、支持体が、薬液排出機構から排出された薬液を、便器内を流れる流水と接触可能に支持するように構成することができる。
【0018】
この種のタイプの装置においても、上記第1の発明と同様に、薄膜部が排出口を塞ぐのを確実に防止することができるとともに、薬液が容器内に残留するのを防止することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る薬液供給装置によれば、薬液容器の薄膜部が、排出口を塞ぐのを確実に防止することかできる。また、薬液排出用の切欠部を設けていることから、容器内に残留する薬液をできるだけ少なくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る薬液供給装置の第1実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1は本実施形態に係る薬液供給装置の側面図、図2は図1の断面図、図3は図1のA−A線断面図、図4は図1の底面図である。
【0021】
図1に示すように、この薬液供給装置は、水洗トイレにおける貯水タンク上部の手洗い部Xに配置されるものである。貯水タンクの手洗い部Xは、一般的にすり鉢状に形成され、中央の底面に貯水タンク内部と連通する排水孔Yが形成されている。そして、この装置は、排水孔Yを塞ぐように、配置される。装置の上方には、図示を省略する水の給水部が設けられ、ここから給水される水が、装置から供給される薬液をさらい、薬液とともに、排水孔Yへ流れ込むようになっている。そして、排水孔Yから流れ込んだ薬液は貯水タンクにためられた後、便器に水を流すときに排出され、便器を洗浄する。以下、この装置の構造について詳述する。
【0022】
図1から図4に示すように、この装置は、芳香洗浄剤等の薬液を収容する薬液容器1と、この薬液容器1を支持するカップ状の支持体2と、を備えており、薬液容器1が支持体2の上部開口を塞ぐように配置されている。支持体2の内部には、薬液容器1から流れ出た薬液を支持体2の底面側へと供給する薬液排出機構3、及び固形薬剤4が配置されている。
【0023】
図2及び図3に示すように、支持体2には、2つの領域が形成されており、同図の右側の第1領域21に、薬液を排出する薬液排出機構3が配置され、左側の第2領域22は固形薬剤4が配置される収納部を形成している。第2領域22の底面は、第1領域21の底面よりも下方に位置しており、両領域の間には、段差が形成されている。これにより、第1領域21の底面の下方には段差による空間Z(流入空間)が形成されている。そして、これら両領域21,22の上方は、薬液容器1によって覆われている。また、支持体2の下面には、薬液排出機構3から薬液を下方に案内する板状の案内部材5が取り付けられており、上述した空間内を下方へ延びている。この案内部材5は、装置が手洗い部Xに設置されたときに、排水孔Yに挿入されるようになっている。また、第1領域の下面には、支持体2を手洗い部上で支持するための一対の脚部23が設けられている。
【0024】
薬液容器1は、透明のドーム状に形成され、外部から芳香洗浄剤などの薬液の残量が確認できるようになっている。容器1の下部は、下方にいくにしたがって細くなっており、最下部に排出口を有している。そして、この排出口には、キャップ11が取り付けられている。このキャップ11は、環状の本体部111と、その中央の穴を塞ぐ薄膜部112とで構成されており、使用に際して、薄膜部112には、薬液排出機構3の上部が差し込まれ、破断される。
【0025】
続いて、薬液排出機構3について図5も参照しつつ説明する。図5は、薬液排出機構を構成する上部材の平面図(a)及び断面図(b)である。図2に示すように、薬液排出機構3は、上側に配置される上部材31と、下側に配置される下部材32とで構成されており、下部材32は、支持体2と一体的に形成されている。上部材31は、平面視略円形に形成されており、下方が開放している。一方、下部材32は、平面略円状に形成され、その周囲に上方に突出する壁部材321が形成されており、上部材31の下部開口を塞ぐようになっている。そして、上部材31と下部材32とが組み合わされることで、両者の間には、薬液を保持する緩衝空間33が形成される。以下、上部材31及び下部材32についてさらに詳細に説明する。
【0026】
図2及び図5に示すように、上部材31の上面中央部には、先端が斜めに切りかかれて鋭利な円筒状の連通管311が設けられている。また、連通管311の右側には溝312を介して半円状の隆起部313が設けられており、この隆起部313の上面に4つの空気流通孔314が形成されている。一方、連通管311の左側、つまり第2領域22を向く側には、固形薬剤4を保持する円弧状の保持部315が設けられている。連通管311は、上述した薬液容器1のキャップ11に突き刺され、薄膜部112を破断させる役割を果たし、その側部の溝312にキャップ11の本体部111が嵌るようになっている。また、連通管311の壁面には、2箇所において開口縁部3112の上端から下方へ延びる切欠部3111が形成されており、この切欠部3111によって薬液の流出が助長される。この点については、後述する。さらに、連通管311の内部底面には、下部材32側へ延びる円筒状の固定管316と、その近傍に配置された複数の薬液連通孔317とが形成されている。そして、これら薬液連通孔317と、上述した空気流通孔314とは、緩衝空間33と連通している。
【0027】
続いて、下部材32について図6も合わせて説明する。図6は下部材の一部斜視図(a)及びその平面図(b)ある。図5に示すように、下部材32の中央には、上部材31の固定管316に嵌合する円筒状の案内管322と、その周囲を囲むように設けられた円形の固定壁323とが設けられている。そして、案内管322と固定壁323との間の隙間には、上述した固定管316の壁面が嵌るようになっている。案内管322の上部開口は、斜めに切り取られた形状となっており、その開口の低い側から案内管322の外周面に沿って上下方向に延びる案内溝324が形成されている。ここで、図6に示すように、案内管322は固定管316の内部に嵌っているため、固定管316の内壁面と、案内溝324とで薬液の通路が形成される。また、案内管322と固定壁323との隙間の底面と、固定管316の下端部との隙間にも薬液が通過する空間が形成される。
【0028】
より詳細に説明すると、この隙間の底面においては、案内溝324の両側の各約90度が薬液の延長路325を構成するとともに、案内溝324とは反対側には、約90度に亘る円弧状の一対の流出孔326が形成されている。そして、延長路325を通過した薬液が流出孔326から排出される。流出孔326の下端の開口縁部には、上述した案内部材5が取り付けられて、流出孔326から排出された薬液は、案内部材5を伝って下方へ案内されるようになっている。ここで、案内部材5についてより詳細に説明すると、図1及び図4に示すように、平面視において、約120度の間隔を開けて放射状に延びる3つの案内部材片51からなり、これらが下方に延びている。各案内部材片51は、板状に形成され、その表面には下方に延びる多数の溝が形成されており、薬液はこの溝を伝って排出孔Yへと流れ出すようになっている。また、平面視で、案内部材5は、薬液供給装置のほぼ中心付近に配置されている。
【0029】
次に、固形薬剤が配置されている第2領域22について説明する。図3に示すように、この第2領域22には、楕円の長径に沿う側面が第1領域21側を向くように固形薬剤4が配置される。そして、第2領域22の底面及び側面には、複数の開口221が形成され、この開口221を介して水が流入・流出する。また、第2領域22の底面には、複数の突起が形成されている。より詳細には、図2及び図3に示すように、固形薬剤4の左側及び長径側の両端部と当接する3つの板状部222と、これら板状部222の間に配置され、板状部222より上方に位置する2つの突起部223とが設けられている。また、固形薬剤の右側は、上述した上部材31の保持部(第1保持片)315によって保持される。図2に示すように、保持部315は、固形薬剤4の上端部を保持し、板状部(第2保持片)222と突起部(第2保持片)223は、固形薬剤4の下端部を保持するようになっている。
【0030】
続いて、上記のように構成された薬液供給装置の動作について説明する。まず、薬液容器の取付について図7を参照しつつ説明する。上述したように、薬液容器1の排出口には、薄膜部112が設けられたキャップ11が取り付けられており、上部材31の連通管311が薄膜部112に差し込まれる。このとき、図7(b)に示すように、連通管311が完全に差し込まれた状態、つまり、上部材31の溝部312の底面に、キャップ11の本体部111が当接したときには、連通管311の斜めに切りかかれた先端開口の最も低い部分(線Pの位置)が、薄膜部112(線Qの位置)を突き抜けて、これよりも上方に位置するようになっている。こうして、薄膜部112はキャップ11から離脱し、薬液容器1内の薬液は連通管311に流れ込む。
【0031】
次に、薬液の流れについて説明する。連通管311によりキャップ11の薄膜部112が破断されると、薬液は、薬液容器1から薬液排出機構3へと流れ出て、一部は連通管311及び薬液連通孔317を介して緩衝空間33内に流れ込む。一方、残りの薬液は、図6に示すように、案内溝324を通過して下方へ流れた後、延長路325及び流出孔326を介して案内部材5へ流れ出る。そして、この薬液は、案内部材5の溝を伝って下方に流れながら、一部は案内部材5上で保持される。
【0032】
ここで、上述した緩衝空間33の機能について説明する。この緩衝空間33は、温度変化によって薬液容器1内に圧力変化が生じた場合の緩衝作用をなす。例えば、温度が上昇して薬液容器1が暖められた場合には、容器1内の空気が膨張し容器1内部は正圧になる。この場合、薬液容器1内の薬液は押し出されて排出されるが、この薬液は案内溝324のほか、薬液連通孔317を介して緩衝空間33内にも流れ込むため、薬液が案内溝324から過剰に流出されるのが防止される。一方、流水によって冷やされるなどして薬液容器1の温度が低下し、薬液容器1内の空気が収縮して負圧になると、薬液は、空気流通孔314を介して空気の圧力が作用している緩衝空間33から薬液連通孔317を介して薬液容器1内に吸い込まれる。その結果、支持体側に流入してきた水の薬液容器1への吸い上げや薬液の排出が制限されるのを防止することができる。このように、緩衝空間33は、温度変化によって薬液容器1内に圧力変化が生じた場合であっても、ほとんどの薬液が薬液容器1と緩衝空間33との間で流通するため、容器1内の薬液が過剰に流出したり、或いは流出が制限されるのを防止することができる。
【0033】
上記のように装置が設置された後、便器内に水が流されると、流された水は、手洗い部Xの排出孔Yへ向かって流れる。その過程で、流水は、図1に示すように、第1領域21の下方の空間Zに流れつつ、案内部材5上の薬液をさらい、排出孔Yから貯水タンクへ流入する。また、流水の一部は、第2領域22の開口221へ流入し、固形薬剤4に接触する。これによって固形薬剤4が溶出し、漂白剤として流水とともに、開口221から流れ出し、排出孔Yを介して、貯水タンクへ流入する。その後、便器の使用により、貯水タンクから薬液及び漂白剤が便器に流れ出し、洗浄、漂白が行われる。
【0034】
上記構成では、薬液排出機構3の下方に水が流入する空間Zが形成され、この空間Zに隣接するように、固形薬剤4の収納部が形成されている。したがって、排水孔Yに向かう水が、空間Zを経てスムーズに排水孔Yへ流れ込むため、排水孔Y付近の水はけがよくなり、手洗い部Xから水があふれ出るといった問題や手洗い部Xに水がたまり、固形薬剤4が水没し、極度に薬剤が早く減量したり不均一に減量するような問題を生じることがない。また、薬液排出機構3の下方で、水がスムーズに排水孔Yへ向かうため、水が逆流して薬液排出機構3内に流れ込むのを防止することができ、その結果、薬液が薄まって早期に排出されるのを防止することができる。さらに、固形薬剤4の収納部が空間Zと隣接しているので、手洗い部Yを流れる水を下から拾って入水させることができ、容器上部に水の当たらない手洗いなどにおいても適切な薬剤の溶出を得ることができる。なお、案内部材5を排水孔Yに挿入すると、排水孔Y付近の水はけが悪くなるが、上記のように空間Zを設けているため、このような水はけの悪化を防止することができる。
【0035】
なお、案内部材5から薬液供給機構4を逆流して薬液容器1内に入り込むおそれもあるが、これについては次のように対処される。すなわち、本実施形態に係る装置では、薬液は、案内溝324、延長路325、流出孔326を介して案内部材5上に流れ出る。特に、延長路325は水平に延びているため、案内部材5を介して上方に逆流した水は、一旦水平に延びる延長路325を通過した後、さらに垂直に延びる案内溝324を通過しなければ、薬液容器1には到達しない。このように、この装置では、案内部材5から薬液容器1に至る垂直方向の経路の中に水平に延びる経路を配置しているので、水の進入を防止することができる。
【0036】
以上のように、本実施形態によれば、薬液容器1に連通管311が差し込まれたとき、連通管311の開口縁部が、薄膜部112の形成位置から薬液容器1内に入り込んだ位置にあるため、薄膜部112をキャップ11から確実に離脱させることができる。その結果、薄膜部112が排出口を塞ぐのを確実に防止することができる。このとき、連通管311の開口は、薄膜部112よりも上方に位置するため、連通管311の外周面側に薬液が残留し、薬液の排出が阻害されるおそれがあるが、連通管311の壁面には切欠部3111が形成されているため、薬液はこの切欠部3111を介して薬液排出機構3側へ流れ出る(図7(b)参照)。したがって、薬液の残量が少なくなっても、薬液の排出が可能になる。なお、切欠部3111の下端である奥端部(線Rの位置)は、薄膜部112が配置されていた位置の近傍(線Q)で、それよりも上方に位置するように構成されており、これによって、薬液がキャップ11と、連通管311の隙間から漏れるのを防止している。
【0037】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る薬液供給装置の第2実施形態について図面を参照しつつ説明する。図8は本実施形態に係る薬液供給装置の斜視図、図9は図8の断面図、図10は図9のA−A線における図8の断面図、図11は図1の平面図、図12は図8の分解斜視図である。
【0038】
この薬液供給装置は、便器のリムに吊り掛けて使用されるものであり、図8〜図12に示すように、薬液が収容された薬液容器1と、これを下方から支持する支持体2と、装置をリムに吊り掛けるための吊掛部材3とを有している。また、支持体2の内部には、薬液容器1から流れ出た薬液を支持体2の底面へと供給する薬液排出機構4が配置されている。以下、上述した各部材をさらに詳細に説明する。
【0039】
図12に示すように、薬液容器1は、透明のドーム状に形成され、下面に排出口11を有している。そして、この排出口11には、キャップ13が取り付けられている。このキャップ13は、環状の本体部131と、その中央の穴を塞ぐ薄膜部132とで構成されており、使用に際しては、薄膜部132を破断させて薬液を排出させる。
【0040】
図11及び図12に示すように、支持体2は、底面を構成する支持プレート(支持部材)21と、その周囲を囲む壁体22とを有している。支持プレート21は、平面視略矩形状の基部211と、その一辺に揺動自在に連結された可動部212とで構成されており、可動部212が設けられている辺以外の3辺に、上述した壁体22がコ字状に設けられている。したがって、支持体2は、一辺の壁が切り欠かれて開放するカップ状に形成されており、この開放部分23から基部211の一部及び可動部212が突出するように構成されている。そして、後述するように、この開放部分23から支持体2内に流水が流れ込むようになっている。
【0041】
また、基部211の中央には、上方へ延びる支柱24が取り付けられており、この支柱24と後述するカバー部材411との間の空間に、吊掛部材3が上下動可能に取り付けられている。吊掛部材3は、弾性変形可能に2箇所で折り曲げられた帯状に形成されており、初期状態では、図8のように折り畳まれている。また、吊掛部材3は、上下動可能に構成されているため、装置とリムとが干渉しないように、リムに対する薬液容器1及び支持体2の高さを調整することができる。
【0042】
次に、支持プレート21についてさらに詳細に説明する。図9に示すように、本実施形態の支持プレート21においては、基部211と可動部212とが樹脂などで一体的に形成されており、基部211が可動部212側に向かって約6度で下方に傾斜している。これにより、後述するように、排出された薬液がリム側へ流れやすいようにしている。基部211の傾斜角度αは、これ以外に設定することも可能であり、例えば、0〜45度にすることができ、3〜30度であることが好ましい。
【0043】
そして、支持プレート21の裏面には、基部211と可動部212との境界線に沿って溝213が形成されている。したがって、この溝213によって基部211と可動部212との境界が薄膜状になるため、可動部212が基部211に対して揺動可能となっている。また、溝213は支持プレート21の裏面に形成されているため、可動部212を下方に傾斜させようとすると、溝213において対向する側壁面同士が当接し、これによって下方への傾斜が規制される(図9(a))。一方、上方への傾斜も可能であり、力を付与すれば、可動部212を上方へ揺動させることができる。但し、上方への傾斜も次のように規制されている。図8及び図9に示すように、基部211の両側には、略矩形状の側板214が取り付けられており、この側板214において、可動部212側を向く垂直に延びる端面が、可動部212と当接可能となっている。すなわち、可動部212を、傾斜角βが90度以上に傾斜させようとすると、側板214の端面と可動部212とが接触し、可動部212がそれ以上傾斜しないようになっている(図9(b))。なお、初期状態では、可動部212は基部211に対して、約30°の傾斜角度βで上方に傾斜しており、この状態から境界部分の弾性変形によって、基部211に対し約0〜90°程度の範囲で傾斜が可能となっている。以上のように構成された支持体2には、基部211の周縁、壁体22に複数の流水孔25が形成されており、開放部分23から流入した流水がこれら流水孔25を介して、支持体2から排出されるようになっている(図8及び図12参照)。
【0044】
続いて、薬液排出機構4について説明する。図9〜図12に示すように、薬液排出機構4は、薬液容器1と支持プレート21との間に配置されており、上側に配置される上部材41と、下側に配置される下部材42とで構成されている。上部材41は、平面視楕円型の筒状に形成されており、下方が開放している。一方、下部材42は、平面視楕円状の板状部421と、その周囲に上下方向に延びるように形成された低い壁部材423とで構成されており、上部材41の下部開口を塞ぐように配置される。そして、上部材41と下部材42とが組み合わされることで、両者の間には、薬液を保持する緩衝空間43が形成される。以下、上部材41及び下部材42についてさらに詳細に説明する。
【0045】
図9及び図12に示すように、上部材41の側面には、上方に延びるレール状のカバー部材411が取り付けられており、このカバー部材411は、上述した通り、支柱24に当接し、吊掛部材3を収容する空間を形成する。また、上部材41の上面中央部には、先端が斜めに切りかかれて鋭利な円筒状の連通管412が設けられるとともに、上面の端部には合計4つの空気流通孔413が形成されている。連通管412は、上述した薬液容器1のキャップ13に突き刺され、薄膜部132を破断させる役割を果たす。そして、その壁面には、開口縁部4122から軸方向に延びる切欠部4121が形成されている。また、連通管412の周縁には、環状の溝417が形成されており、この溝413にキャップ13の本体部131が嵌るようになっている。一方、図9に示すように、連通管412の内部底面には、下部材42側へ延びる円筒状の固定管414と、その近傍に配置された複数の薬液連通孔415とが形成されている。そして、これら薬液連通孔415と、上述した空気流通孔413とは、緩衝空間43と連通している。
【0046】
続いて、下部材42について図13及び図14も合わせて説明する。図13は下部材の下面からの見た斜視図(a)、平面図(b)、正面図(c)、及び底面図(d)、図14は下部材の一部斜視図(a)及びその平面図(b)ある。まず、図12に示すように、下部材42の中央には、上部材41の固定管414に嵌合する円筒状の案内管424と、その周囲を囲むように設けられた円形の固定壁425とが設けられている。そして、案内管424と固定壁425との間の隙間には、上述した固定管414が嵌るようになっている。案内管424の上部開口は、斜めに切り取られた形状となっており、その開口の低い側から案内管424の外周面に沿って上下方向に延びる案内溝426が形成されている。ここで、図13及び図14に示すように、案内管424は固定管414の内部に嵌っているため、固定管414の内壁面と、案内溝426とで薬液の通路(案内路)が形成される。また、案内管424と固定壁425との隙間の底面と、固定管414の下端部との隙間にも薬液が通過する空間、つまり延長路427が形成される。より詳細に説明すると、上記隙間の底面においては、案内溝426の両側の各約90度が薬液の延長路427を構成するとともに、案内溝426とは反対側には、約180度に亘る半円形の流出孔428が形成されている。そして、延長路427を通過した薬液が流出孔428から支持プレート21側へ流れ出るようになっている。なお、各延長路427の容積は、0.05〜0.3mm3であることが好ましく、0.07〜0.15mm3であることがさらに好ましい。また、延長路427の断面積は、0.02〜0.1mm2であることが好ましく、0.03〜0.05mm2であることがさらに好ましい。
【0047】
図13に示すように、下部材42における壁部材423の下端の両端には、一対の脚部429が取り付けられており、この脚部429によって下部材42の下面と、支持プレート21との間に空間が形成される。この空間が後述するように、薬液及び流水の通路となる。また、下部材42の下面には、上述した流出孔428の両端を結ぶ突片431と、この突片431の両端から延びる一対の突条部432とが形成されている。そして、各突条部432は、互いに離間するように、可動部212側へ斜め方向に延びるとともに、図13(c)に示すように、先端にいくにしたがって、下部材42下面からの突出高さが大きくなっている。すなわち、図9に示すように、各突条部432は、先端にいくにしたがって、支持プレート21との隙間が小さくなっていき、最も先端では、支持プレート21と接触している。
【0048】
次に、上記のように構成された薬液供給装置の使用方法について図15及び図16も参照しつつ説明する。図15は薬液容器の取付を示す断面図であり、図16は薬液供給装置の取り付け状態を示す側面図である。まず、薬液容器1を上部材41上に配置する。これにより、薬液容器1のキャップ13に連通管412が突き刺さり、薬液容器1が固定される。このとき、図15(b)に示すように、連通管412が完全に差し込まれた状態、つまり、上部材41の溝部417の底面に、キャップ13の本体部131先端が当接したときには、連通管412の斜めに切りかかれた先端開口の最も低い部分(線Pの位置)が、薄膜部132(線Qの位置)を突き抜けて、これよりも上方に位置するようになっている。このような位置関係により、薄膜部132は、キャップ13から確実に離脱するため、容器1の排出口を塞ぐのを確実に防止することができる。このように、連通管412の開口は、薄膜部132よりも上方に位置するため、薬液の排出が阻害されるおそれがあるが、連通管412の壁面には開口縁部4122から切欠部4121が形成されているため、薬液はこの切欠部4121を介して薬液排出機構4側へ流れ出る。したがって、薬液の残量が少なくなっても、薬液の排出が可能になる。なお、切欠部4121の下端(線Rの位置)は、薄膜部132よりも上方に位置するように構成されており、これによって、薬液がキャップ13と、連通管412の隙間から漏れるのを防止している。
【0049】
続いて、この装置を便器のリムに取り付ける際には、吊掛部材3を、支柱24から引き出して高さを調整しつつ、図8の状態からコ字状に押し広げる。そして、図15(a)に示すように、リムRを挟むように配置する。このとき、可動部212は、便器の内壁面に当接するのであるが、基部211に対して揺動可能となっているため、基部211と便器内壁面Sとの距離に応じて、傾斜する。すなわち、図15(a)に示すように基部211と便器内壁面Sとの距離が小さい場合、可動部212は、便器内壁面Sに押しつけられながら、大きく傾斜し、便器内壁面Sとの隙間を埋める。一方、距離が大きい場合には、図15(b)に示すように、傾斜角βは小さくなるが、いずれの場合でも、基部211と便器内壁面Sとの隙間は埋められる。その結果、基部211に流れ出た薬液を効率よくさらって、便器へ流すことができるため、便器の形状にかかわらず、優れた洗浄効果を得ることができる。
【0050】
続いて、薬液の流れについて説明する。連通管412によりキャップ13の薄膜部132が破断されると、薬液は、薬液容器1から薬液排出機構4へと流れ出て、一部は連通管412及び薬液連通孔415を介して緩衝空間43内に流れ込む。一方、残りの薬液は、図13及び図14に示すように、案内溝426を通過して下方へ流れた後、延長路427及び流出孔428を介して下部材42の下面側に流れ出る。そして、この薬液は、突片431及び突条部432を伝って、可動部212側へ移動し、支持プレート21と突条部432との接触部分において、支持プレート21上へ移る。支持プレート21の基部211は、やや下方に傾斜しているので、薬液は下方へ流れ、可動部212との境界部分に蓄積される。このとき、薬液に含まれる芳香剤が揮散し、芳香効果が得られる。なお、緩衝空間43の機能及び動作については、第1実施形態と同じである。
【0051】
上記のように装置が設置された後、便器内に水が流されると、流された水は、図15に示すように、リムRの内側から便器内壁面Sを伝い、可動部212によって基部211側へ案内される(矢印X)。そして、基部211と可動部212との境界部分に貯まった薬液をさらいつつ、流水孔25から外部へ流れ出したり、或いは、装置内で壁体22などにぶつかりながら跳ね返り、開放部分23から装置の外部へ流れ出す。こうして、薬液は流水とともに、便器内壁面Sに供給され、便器の清浄が行われる。
【0052】
以上のように、本実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。すなわち、薄膜部が排出口を塞ぐのを確実に防止することができるとともに、薬液が容器内に残留するのを防止することができる。
【0053】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。例えば、薬液容器1、薬液排出機構3の構成は、上記実施形態に限定されるものではなく、薬液容器1から支持体の外部に薬液を供給できるものであれば、その他の構成は、特には限定されない。また、上記第1実施形態で用いる固形薬剤は、漂白剤であるが、その他、着色剤、洗剤、除菌剤、抗菌剤、撥水剤、親水化剤、芳香剤等を使用することもできる。また、本発明でいう固形薬剤は、成分を熱で溶融混合し冷却成型する方法や粉末を液体のバインダーと共に混練成型する方法や粉末をバインダーと共に打錠等により固化する方法などにより製造される一般的な固形薬剤のほか、ゲル状のものも含む。
さらに、第1実施形態では、薬液と固形薬剤を収納した薬液供給装置について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、薬液のみを収納する装置にも適用することができる。すなわち、上記実施形態の装置から固形薬剤を取り除いたような装置である。また、手洗い部に取り付けられるもの、リムに取り付けられるような便器に取り付けられるもの以外にも、例えば、芳香剤などの、薄膜部を有する薬液容器を備えた薬液供給装置全般に適用することができる。
【0054】
上記各実施形態では、連通管の開口を径方向に斜めに切り欠いているが、これに限定されるものではなく、例えば、図17に示すように、連通管の開口端部を、複数の鋭利な凸部を有するようにすることができ、例えば、鋸状に形成することができる。この場合、凸部間の凹部が上述した切欠部を構成する。そして、この凹部の奥端部が薄膜部の位置していた位置の近傍でそれよりも上方にあることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明に係る薬液供給装置の第1実施形態を示す側面図である。
【図2】図1の縦断面図である。
【図3】図1のA−A線断面図である。
【図4】図1の底面図である。
【図5】上部材の平面図及び縦断面図である。
【図6】下部材の一部斜視図、及びその平面図である。
【図7】薬液容器の取付を説明する縦断面図である。
【図8】本発明に係る薬液供給装置の第2実施形態を示す斜視図である。
【図9】図8の断面図である。
【図10】図9のA−A線における図1の断面図である。
【図11】図8の平面図である。
【図12】図8の分解斜視図である。
【図13】下部材の斜視図、平面図、正面図及び底面図である。
【図14】下部材の一部斜視図、及び平面図である。
【図15】薬液容器の取付を説明する縦断面図である。
【図16】図8の薬液供給装置の使用状態を示す側面図である。
【図17】図8の薬液供給装置における連通管の他の例を示す側面図である。
【符号の説明】
【0056】
1 薬液容器
2 支持体
3 薬液供給機構
4 固形薬剤
Z 流入空間
【技術分野】
【0001】
本発明は、芳香用、便器の洗浄用などに用いられる薬液を供給する薬液供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
便器を洗浄したり、芳香効果を得るための薬液供給装置は、取付対象となる便器のタイプによって種々のものが提案されている。例えば、貯水タンクを有するタイプに対しては、タンク上部の手洗い部に配置される薬液供給装置が提案されており、この装置は、手洗い部に供給される水とともに、貯水タンク内に薬液を供給するように構成されている。一方、タンク上部に手洗い部がないものや、貯水タンク自体を設けないタイプの便器も販売されており、これに対しては、便器のリムに直接取り付ける薬液供給装置が提案されている。
【0003】
このような薬液供給装置としては、例えば、特許文献1に示されるような装置がある。この装置では、薬液容器からプレート上に供給される薬液を、流水によってさらうことで、便器の内壁面に薬液を供給している。これによって、便器が洗浄されるとともに、薬液に含まれる芳香剤により、芳香効果も得ることができる。
【特許文献1】特表2002−518611号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記薬液供給装置で用いられる薬液容器には、薬液が排出される排出口に薄膜部が設けられている。そして、使用時には、先端が斜めに切りかかれた連通管を、薄膜部に突き刺し、排出口から薬液を連通管内に排出するようにしている。この際、連通管の開口端部は、斜めに切りかかれているため、薄膜部を完全に離脱させることはできない。そのため、薄膜部が再び排出口を塞がないように、連通管の開口には、棒状の突起が設けられており、この突起によって薄膜部が排出口を塞がないように、支持している。
【0005】
しかしながら、薄膜部の少なくとも一部は、依然として排出口と接続されているため、突起が設けられていたとしても、薬液の排出を妨げるおそれがある。すなわち、薄膜部が排出口を完全に塞がなかったとしても、排出口を覆うような位置にあれば、薬液が排出口から排出されるのが妨げられ、薬液を便器に適切に供給することができないという問題がある。なお、このような問題は、便器の洗浄に用いられる装置だけでなく、薬液容器から薬液を排出することで、芳香、洗浄などを行う装置全般に共通する問題である。
【0006】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、薬液容器の薄膜部が、排出口を塞ぐのを確実に防止することができる薬液供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る薬液供給装置は、上記問題を解決するためになされたものであり、薬液を収容し、当該薬液の排出口を有する薬液容器と、前記排出口に接続され、前記薬液容器内の薬液を外部へと導く薬液排出機構と、前記薬液容器及び薬液排出機構を支持する支持体と、を備え、前記薬液容器は、使用前の初期状態において、前記排出口を塞ぐ薄膜部を有しており、前記薬液排出機構は、前記薄膜部を破断するために差し込まれる連通管を備え、当該連通管は、開口縁部から軸方向に延びる少なくとも一つの切欠部を有しており、使用前の前記薬液容器に前記連通管が差し込まれるとき、当該連通管の開口縁部が、前記薄膜部が形成されている位置よりも前記薬液容器内に入り込むように構成されることで、前記薄膜部が前記排出口から離脱する。
【0008】
この構成によれば、使用前の薬液容器に連通管が差し込まれたとき、連通管の開口縁部が、薄膜部が形成されている位置よりも薬液容器内に入り込むので、薄膜部を排出口から離脱させることができる。その結果、薄膜部が排出口を塞ぐのを確実に防止することができる。この際、薬液容器に差し込まれた連通管の外側に薬液が残留するおそれがあるが、連通管には、開口縁部から切欠部が形成されているため、連通管の外側の薬液は、切欠部を介して連通管内へ排出される。したがって、薬液が残留するのを防止することができる。なお、仮に、離脱した薄膜部が連通管の開口を塞いだとしても、切欠部から薬液を排出することができる。
【0009】
また、切欠部の奥端部は、薄膜部が形成されていた位置の近傍で、当該形成されていた位置よりも薬液容器内に入り込んだ位置にあるようにすることができる。例えば、薄膜部の形成位置よりも外部で、連通管の外周面と、薬液容器の排出口との間に隙間が形成される場合には、切欠部から薬液が漏れるおそれがあるが、上記のように構成することで、薬液の漏れを確実に防止することができる。なお、切欠部の奥端部は、薬液を容器内にできるだけ残さないようにするという観点から、薄膜部の形成位置にできるだけ近い位置に配置されることが望ましく、上記「近傍」という文言は、薬液の残留をできるだけ少なくできるような位置を意味する。
【0010】
連通管の開口端部の形状は、特には限定されないが、例えば、先端が鋭利になるように当該連通管を径方向に斜めに切りとった形状にすることができる。こうすることで、連通管を薄膜部に差し込むときに、力を作用させ易くなり、薄膜部を容易に破断することができる。
【0011】
本発明は、例えば、薬液として芳香剤を用い、芳香剤の供給装置として用いることができるほか、水洗トイレに配置し、便器の洗浄・芳香に用いることができる。
【0012】
例えば、支持体を、水洗トイレにおける貯水タンク上部の手洗い部に配置するように構成し、薬液排出機構から排出された薬液を、当該手洗い部に供給される水とともに排出孔を介して前記貯水タンク内に薬液を供給することができる。
【0013】
上記のような手洗い部に配置するタイプとして用いる場合、支持体に、薬液排出機構の下方に、水が流入可能な流入空間が形成されるような形状を有するとともに、当該流入空間と隣接する位置に固形薬剤を収納可能な収納部を設け、支持体に、収納部と外部とを連通する開口を形成することができる。このような構成により、薬液のみならず、固形薬剤から溶出した薬剤を便器に供給することができる。例えば、薬液を洗浄・芳香剤とし、固形薬剤を漂白剤とすることができる。
【0014】
この構成によれば、薬液排出機構の下方に水が流入する流入空間が形成され、この流入空間に隣接するように、固形薬剤の収納部が形成されている。したがって、排水孔に向かう水が、流入空間を経てスムーズに排水孔へ流れ込むため、排水孔付近の水はけがよくなり、手洗い部から水があふれ出るといった問題や手洗い部に水がたまり、固形薬剤が水没し、極度に薬剤が早く減量したり不均一に減量するような問題を生じることがない。また、薬液排出機構の下方で、水がスムーズに排水孔へ向かうため、水が逆流して薬液排出機構内に流れ込むのを防止することができ、その結果、薬液が薄まって早期に排出されるのを防止することができる。さらに、固形薬剤の収納部が流入空間と隣接しているので、手洗い部を流れる水を下から拾って入水させることができ、容器上部に水の当たらない手洗いなどにおいても適切な薬剤の溶出を得ることができる。なお、上記開口は、収納部に水が流れ込み、また排出できるような位置であれば、いずれの位置に形成してもよいが、例えば、薬液排出機構よりも下方など、装置のできるだけ下方に形成することが好ましい。
【0015】
また、この装置に配置される固形薬剤は、平面視において、第1の方向の長さが、これと直交する第2の方向の長さよりも長い外形を有するようにすることができる。こうすることで、支持体内での固形薬剤の配置の自由度が高くなり、例えば、より水と接触しやすい位置に配置することができる。このような固形薬剤の形状としては、例えば、平面視が長方形、楕円などにすることができる。
【0016】
さらに、薬液排出機構から排出された薬液を支持体の外部へ案内する案内部材を設けることができる。このとき、案内部材を、流入空間へ延ばすことが好ましい。流入空間は、手洗い部の表面と薬液排出機構との間に形成され、水が流れ込みやすいため、この空間に案内部材を配置すると、水が接触しやすくなり、案内部材に供給される薬液をさらいやすくなる。このため、薬液を効率よく貯水タンクへ供給することができる。また、案内部材を手洗い部の排出孔に挿入されるようにすると、さらに水との接触が確実になり、薬液を効率よく貯水タンクへ供給できる。
【0017】
また、上記のように手洗い部に配置するタイプのみならず、便器のリムに取り付けるタイプとして用いることもできる。この場合、薬液容器、薬剤排出機構、及び前記支持体を便器のリムに吊り掛けるための吊掛部材をさらに設け、支持体が、薬液排出機構から排出された薬液を、便器内を流れる流水と接触可能に支持するように構成することができる。
【0018】
この種のタイプの装置においても、上記第1の発明と同様に、薄膜部が排出口を塞ぐのを確実に防止することができるとともに、薬液が容器内に残留するのを防止することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る薬液供給装置によれば、薬液容器の薄膜部が、排出口を塞ぐのを確実に防止することかできる。また、薬液排出用の切欠部を設けていることから、容器内に残留する薬液をできるだけ少なくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る薬液供給装置の第1実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1は本実施形態に係る薬液供給装置の側面図、図2は図1の断面図、図3は図1のA−A線断面図、図4は図1の底面図である。
【0021】
図1に示すように、この薬液供給装置は、水洗トイレにおける貯水タンク上部の手洗い部Xに配置されるものである。貯水タンクの手洗い部Xは、一般的にすり鉢状に形成され、中央の底面に貯水タンク内部と連通する排水孔Yが形成されている。そして、この装置は、排水孔Yを塞ぐように、配置される。装置の上方には、図示を省略する水の給水部が設けられ、ここから給水される水が、装置から供給される薬液をさらい、薬液とともに、排水孔Yへ流れ込むようになっている。そして、排水孔Yから流れ込んだ薬液は貯水タンクにためられた後、便器に水を流すときに排出され、便器を洗浄する。以下、この装置の構造について詳述する。
【0022】
図1から図4に示すように、この装置は、芳香洗浄剤等の薬液を収容する薬液容器1と、この薬液容器1を支持するカップ状の支持体2と、を備えており、薬液容器1が支持体2の上部開口を塞ぐように配置されている。支持体2の内部には、薬液容器1から流れ出た薬液を支持体2の底面側へと供給する薬液排出機構3、及び固形薬剤4が配置されている。
【0023】
図2及び図3に示すように、支持体2には、2つの領域が形成されており、同図の右側の第1領域21に、薬液を排出する薬液排出機構3が配置され、左側の第2領域22は固形薬剤4が配置される収納部を形成している。第2領域22の底面は、第1領域21の底面よりも下方に位置しており、両領域の間には、段差が形成されている。これにより、第1領域21の底面の下方には段差による空間Z(流入空間)が形成されている。そして、これら両領域21,22の上方は、薬液容器1によって覆われている。また、支持体2の下面には、薬液排出機構3から薬液を下方に案内する板状の案内部材5が取り付けられており、上述した空間内を下方へ延びている。この案内部材5は、装置が手洗い部Xに設置されたときに、排水孔Yに挿入されるようになっている。また、第1領域の下面には、支持体2を手洗い部上で支持するための一対の脚部23が設けられている。
【0024】
薬液容器1は、透明のドーム状に形成され、外部から芳香洗浄剤などの薬液の残量が確認できるようになっている。容器1の下部は、下方にいくにしたがって細くなっており、最下部に排出口を有している。そして、この排出口には、キャップ11が取り付けられている。このキャップ11は、環状の本体部111と、その中央の穴を塞ぐ薄膜部112とで構成されており、使用に際して、薄膜部112には、薬液排出機構3の上部が差し込まれ、破断される。
【0025】
続いて、薬液排出機構3について図5も参照しつつ説明する。図5は、薬液排出機構を構成する上部材の平面図(a)及び断面図(b)である。図2に示すように、薬液排出機構3は、上側に配置される上部材31と、下側に配置される下部材32とで構成されており、下部材32は、支持体2と一体的に形成されている。上部材31は、平面視略円形に形成されており、下方が開放している。一方、下部材32は、平面略円状に形成され、その周囲に上方に突出する壁部材321が形成されており、上部材31の下部開口を塞ぐようになっている。そして、上部材31と下部材32とが組み合わされることで、両者の間には、薬液を保持する緩衝空間33が形成される。以下、上部材31及び下部材32についてさらに詳細に説明する。
【0026】
図2及び図5に示すように、上部材31の上面中央部には、先端が斜めに切りかかれて鋭利な円筒状の連通管311が設けられている。また、連通管311の右側には溝312を介して半円状の隆起部313が設けられており、この隆起部313の上面に4つの空気流通孔314が形成されている。一方、連通管311の左側、つまり第2領域22を向く側には、固形薬剤4を保持する円弧状の保持部315が設けられている。連通管311は、上述した薬液容器1のキャップ11に突き刺され、薄膜部112を破断させる役割を果たし、その側部の溝312にキャップ11の本体部111が嵌るようになっている。また、連通管311の壁面には、2箇所において開口縁部3112の上端から下方へ延びる切欠部3111が形成されており、この切欠部3111によって薬液の流出が助長される。この点については、後述する。さらに、連通管311の内部底面には、下部材32側へ延びる円筒状の固定管316と、その近傍に配置された複数の薬液連通孔317とが形成されている。そして、これら薬液連通孔317と、上述した空気流通孔314とは、緩衝空間33と連通している。
【0027】
続いて、下部材32について図6も合わせて説明する。図6は下部材の一部斜視図(a)及びその平面図(b)ある。図5に示すように、下部材32の中央には、上部材31の固定管316に嵌合する円筒状の案内管322と、その周囲を囲むように設けられた円形の固定壁323とが設けられている。そして、案内管322と固定壁323との間の隙間には、上述した固定管316の壁面が嵌るようになっている。案内管322の上部開口は、斜めに切り取られた形状となっており、その開口の低い側から案内管322の外周面に沿って上下方向に延びる案内溝324が形成されている。ここで、図6に示すように、案内管322は固定管316の内部に嵌っているため、固定管316の内壁面と、案内溝324とで薬液の通路が形成される。また、案内管322と固定壁323との隙間の底面と、固定管316の下端部との隙間にも薬液が通過する空間が形成される。
【0028】
より詳細に説明すると、この隙間の底面においては、案内溝324の両側の各約90度が薬液の延長路325を構成するとともに、案内溝324とは反対側には、約90度に亘る円弧状の一対の流出孔326が形成されている。そして、延長路325を通過した薬液が流出孔326から排出される。流出孔326の下端の開口縁部には、上述した案内部材5が取り付けられて、流出孔326から排出された薬液は、案内部材5を伝って下方へ案内されるようになっている。ここで、案内部材5についてより詳細に説明すると、図1及び図4に示すように、平面視において、約120度の間隔を開けて放射状に延びる3つの案内部材片51からなり、これらが下方に延びている。各案内部材片51は、板状に形成され、その表面には下方に延びる多数の溝が形成されており、薬液はこの溝を伝って排出孔Yへと流れ出すようになっている。また、平面視で、案内部材5は、薬液供給装置のほぼ中心付近に配置されている。
【0029】
次に、固形薬剤が配置されている第2領域22について説明する。図3に示すように、この第2領域22には、楕円の長径に沿う側面が第1領域21側を向くように固形薬剤4が配置される。そして、第2領域22の底面及び側面には、複数の開口221が形成され、この開口221を介して水が流入・流出する。また、第2領域22の底面には、複数の突起が形成されている。より詳細には、図2及び図3に示すように、固形薬剤4の左側及び長径側の両端部と当接する3つの板状部222と、これら板状部222の間に配置され、板状部222より上方に位置する2つの突起部223とが設けられている。また、固形薬剤の右側は、上述した上部材31の保持部(第1保持片)315によって保持される。図2に示すように、保持部315は、固形薬剤4の上端部を保持し、板状部(第2保持片)222と突起部(第2保持片)223は、固形薬剤4の下端部を保持するようになっている。
【0030】
続いて、上記のように構成された薬液供給装置の動作について説明する。まず、薬液容器の取付について図7を参照しつつ説明する。上述したように、薬液容器1の排出口には、薄膜部112が設けられたキャップ11が取り付けられており、上部材31の連通管311が薄膜部112に差し込まれる。このとき、図7(b)に示すように、連通管311が完全に差し込まれた状態、つまり、上部材31の溝部312の底面に、キャップ11の本体部111が当接したときには、連通管311の斜めに切りかかれた先端開口の最も低い部分(線Pの位置)が、薄膜部112(線Qの位置)を突き抜けて、これよりも上方に位置するようになっている。こうして、薄膜部112はキャップ11から離脱し、薬液容器1内の薬液は連通管311に流れ込む。
【0031】
次に、薬液の流れについて説明する。連通管311によりキャップ11の薄膜部112が破断されると、薬液は、薬液容器1から薬液排出機構3へと流れ出て、一部は連通管311及び薬液連通孔317を介して緩衝空間33内に流れ込む。一方、残りの薬液は、図6に示すように、案内溝324を通過して下方へ流れた後、延長路325及び流出孔326を介して案内部材5へ流れ出る。そして、この薬液は、案内部材5の溝を伝って下方に流れながら、一部は案内部材5上で保持される。
【0032】
ここで、上述した緩衝空間33の機能について説明する。この緩衝空間33は、温度変化によって薬液容器1内に圧力変化が生じた場合の緩衝作用をなす。例えば、温度が上昇して薬液容器1が暖められた場合には、容器1内の空気が膨張し容器1内部は正圧になる。この場合、薬液容器1内の薬液は押し出されて排出されるが、この薬液は案内溝324のほか、薬液連通孔317を介して緩衝空間33内にも流れ込むため、薬液が案内溝324から過剰に流出されるのが防止される。一方、流水によって冷やされるなどして薬液容器1の温度が低下し、薬液容器1内の空気が収縮して負圧になると、薬液は、空気流通孔314を介して空気の圧力が作用している緩衝空間33から薬液連通孔317を介して薬液容器1内に吸い込まれる。その結果、支持体側に流入してきた水の薬液容器1への吸い上げや薬液の排出が制限されるのを防止することができる。このように、緩衝空間33は、温度変化によって薬液容器1内に圧力変化が生じた場合であっても、ほとんどの薬液が薬液容器1と緩衝空間33との間で流通するため、容器1内の薬液が過剰に流出したり、或いは流出が制限されるのを防止することができる。
【0033】
上記のように装置が設置された後、便器内に水が流されると、流された水は、手洗い部Xの排出孔Yへ向かって流れる。その過程で、流水は、図1に示すように、第1領域21の下方の空間Zに流れつつ、案内部材5上の薬液をさらい、排出孔Yから貯水タンクへ流入する。また、流水の一部は、第2領域22の開口221へ流入し、固形薬剤4に接触する。これによって固形薬剤4が溶出し、漂白剤として流水とともに、開口221から流れ出し、排出孔Yを介して、貯水タンクへ流入する。その後、便器の使用により、貯水タンクから薬液及び漂白剤が便器に流れ出し、洗浄、漂白が行われる。
【0034】
上記構成では、薬液排出機構3の下方に水が流入する空間Zが形成され、この空間Zに隣接するように、固形薬剤4の収納部が形成されている。したがって、排水孔Yに向かう水が、空間Zを経てスムーズに排水孔Yへ流れ込むため、排水孔Y付近の水はけがよくなり、手洗い部Xから水があふれ出るといった問題や手洗い部Xに水がたまり、固形薬剤4が水没し、極度に薬剤が早く減量したり不均一に減量するような問題を生じることがない。また、薬液排出機構3の下方で、水がスムーズに排水孔Yへ向かうため、水が逆流して薬液排出機構3内に流れ込むのを防止することができ、その結果、薬液が薄まって早期に排出されるのを防止することができる。さらに、固形薬剤4の収納部が空間Zと隣接しているので、手洗い部Yを流れる水を下から拾って入水させることができ、容器上部に水の当たらない手洗いなどにおいても適切な薬剤の溶出を得ることができる。なお、案内部材5を排水孔Yに挿入すると、排水孔Y付近の水はけが悪くなるが、上記のように空間Zを設けているため、このような水はけの悪化を防止することができる。
【0035】
なお、案内部材5から薬液供給機構4を逆流して薬液容器1内に入り込むおそれもあるが、これについては次のように対処される。すなわち、本実施形態に係る装置では、薬液は、案内溝324、延長路325、流出孔326を介して案内部材5上に流れ出る。特に、延長路325は水平に延びているため、案内部材5を介して上方に逆流した水は、一旦水平に延びる延長路325を通過した後、さらに垂直に延びる案内溝324を通過しなければ、薬液容器1には到達しない。このように、この装置では、案内部材5から薬液容器1に至る垂直方向の経路の中に水平に延びる経路を配置しているので、水の進入を防止することができる。
【0036】
以上のように、本実施形態によれば、薬液容器1に連通管311が差し込まれたとき、連通管311の開口縁部が、薄膜部112の形成位置から薬液容器1内に入り込んだ位置にあるため、薄膜部112をキャップ11から確実に離脱させることができる。その結果、薄膜部112が排出口を塞ぐのを確実に防止することができる。このとき、連通管311の開口は、薄膜部112よりも上方に位置するため、連通管311の外周面側に薬液が残留し、薬液の排出が阻害されるおそれがあるが、連通管311の壁面には切欠部3111が形成されているため、薬液はこの切欠部3111を介して薬液排出機構3側へ流れ出る(図7(b)参照)。したがって、薬液の残量が少なくなっても、薬液の排出が可能になる。なお、切欠部3111の下端である奥端部(線Rの位置)は、薄膜部112が配置されていた位置の近傍(線Q)で、それよりも上方に位置するように構成されており、これによって、薬液がキャップ11と、連通管311の隙間から漏れるのを防止している。
【0037】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る薬液供給装置の第2実施形態について図面を参照しつつ説明する。図8は本実施形態に係る薬液供給装置の斜視図、図9は図8の断面図、図10は図9のA−A線における図8の断面図、図11は図1の平面図、図12は図8の分解斜視図である。
【0038】
この薬液供給装置は、便器のリムに吊り掛けて使用されるものであり、図8〜図12に示すように、薬液が収容された薬液容器1と、これを下方から支持する支持体2と、装置をリムに吊り掛けるための吊掛部材3とを有している。また、支持体2の内部には、薬液容器1から流れ出た薬液を支持体2の底面へと供給する薬液排出機構4が配置されている。以下、上述した各部材をさらに詳細に説明する。
【0039】
図12に示すように、薬液容器1は、透明のドーム状に形成され、下面に排出口11を有している。そして、この排出口11には、キャップ13が取り付けられている。このキャップ13は、環状の本体部131と、その中央の穴を塞ぐ薄膜部132とで構成されており、使用に際しては、薄膜部132を破断させて薬液を排出させる。
【0040】
図11及び図12に示すように、支持体2は、底面を構成する支持プレート(支持部材)21と、その周囲を囲む壁体22とを有している。支持プレート21は、平面視略矩形状の基部211と、その一辺に揺動自在に連結された可動部212とで構成されており、可動部212が設けられている辺以外の3辺に、上述した壁体22がコ字状に設けられている。したがって、支持体2は、一辺の壁が切り欠かれて開放するカップ状に形成されており、この開放部分23から基部211の一部及び可動部212が突出するように構成されている。そして、後述するように、この開放部分23から支持体2内に流水が流れ込むようになっている。
【0041】
また、基部211の中央には、上方へ延びる支柱24が取り付けられており、この支柱24と後述するカバー部材411との間の空間に、吊掛部材3が上下動可能に取り付けられている。吊掛部材3は、弾性変形可能に2箇所で折り曲げられた帯状に形成されており、初期状態では、図8のように折り畳まれている。また、吊掛部材3は、上下動可能に構成されているため、装置とリムとが干渉しないように、リムに対する薬液容器1及び支持体2の高さを調整することができる。
【0042】
次に、支持プレート21についてさらに詳細に説明する。図9に示すように、本実施形態の支持プレート21においては、基部211と可動部212とが樹脂などで一体的に形成されており、基部211が可動部212側に向かって約6度で下方に傾斜している。これにより、後述するように、排出された薬液がリム側へ流れやすいようにしている。基部211の傾斜角度αは、これ以外に設定することも可能であり、例えば、0〜45度にすることができ、3〜30度であることが好ましい。
【0043】
そして、支持プレート21の裏面には、基部211と可動部212との境界線に沿って溝213が形成されている。したがって、この溝213によって基部211と可動部212との境界が薄膜状になるため、可動部212が基部211に対して揺動可能となっている。また、溝213は支持プレート21の裏面に形成されているため、可動部212を下方に傾斜させようとすると、溝213において対向する側壁面同士が当接し、これによって下方への傾斜が規制される(図9(a))。一方、上方への傾斜も可能であり、力を付与すれば、可動部212を上方へ揺動させることができる。但し、上方への傾斜も次のように規制されている。図8及び図9に示すように、基部211の両側には、略矩形状の側板214が取り付けられており、この側板214において、可動部212側を向く垂直に延びる端面が、可動部212と当接可能となっている。すなわち、可動部212を、傾斜角βが90度以上に傾斜させようとすると、側板214の端面と可動部212とが接触し、可動部212がそれ以上傾斜しないようになっている(図9(b))。なお、初期状態では、可動部212は基部211に対して、約30°の傾斜角度βで上方に傾斜しており、この状態から境界部分の弾性変形によって、基部211に対し約0〜90°程度の範囲で傾斜が可能となっている。以上のように構成された支持体2には、基部211の周縁、壁体22に複数の流水孔25が形成されており、開放部分23から流入した流水がこれら流水孔25を介して、支持体2から排出されるようになっている(図8及び図12参照)。
【0044】
続いて、薬液排出機構4について説明する。図9〜図12に示すように、薬液排出機構4は、薬液容器1と支持プレート21との間に配置されており、上側に配置される上部材41と、下側に配置される下部材42とで構成されている。上部材41は、平面視楕円型の筒状に形成されており、下方が開放している。一方、下部材42は、平面視楕円状の板状部421と、その周囲に上下方向に延びるように形成された低い壁部材423とで構成されており、上部材41の下部開口を塞ぐように配置される。そして、上部材41と下部材42とが組み合わされることで、両者の間には、薬液を保持する緩衝空間43が形成される。以下、上部材41及び下部材42についてさらに詳細に説明する。
【0045】
図9及び図12に示すように、上部材41の側面には、上方に延びるレール状のカバー部材411が取り付けられており、このカバー部材411は、上述した通り、支柱24に当接し、吊掛部材3を収容する空間を形成する。また、上部材41の上面中央部には、先端が斜めに切りかかれて鋭利な円筒状の連通管412が設けられるとともに、上面の端部には合計4つの空気流通孔413が形成されている。連通管412は、上述した薬液容器1のキャップ13に突き刺され、薄膜部132を破断させる役割を果たす。そして、その壁面には、開口縁部4122から軸方向に延びる切欠部4121が形成されている。また、連通管412の周縁には、環状の溝417が形成されており、この溝413にキャップ13の本体部131が嵌るようになっている。一方、図9に示すように、連通管412の内部底面には、下部材42側へ延びる円筒状の固定管414と、その近傍に配置された複数の薬液連通孔415とが形成されている。そして、これら薬液連通孔415と、上述した空気流通孔413とは、緩衝空間43と連通している。
【0046】
続いて、下部材42について図13及び図14も合わせて説明する。図13は下部材の下面からの見た斜視図(a)、平面図(b)、正面図(c)、及び底面図(d)、図14は下部材の一部斜視図(a)及びその平面図(b)ある。まず、図12に示すように、下部材42の中央には、上部材41の固定管414に嵌合する円筒状の案内管424と、その周囲を囲むように設けられた円形の固定壁425とが設けられている。そして、案内管424と固定壁425との間の隙間には、上述した固定管414が嵌るようになっている。案内管424の上部開口は、斜めに切り取られた形状となっており、その開口の低い側から案内管424の外周面に沿って上下方向に延びる案内溝426が形成されている。ここで、図13及び図14に示すように、案内管424は固定管414の内部に嵌っているため、固定管414の内壁面と、案内溝426とで薬液の通路(案内路)が形成される。また、案内管424と固定壁425との隙間の底面と、固定管414の下端部との隙間にも薬液が通過する空間、つまり延長路427が形成される。より詳細に説明すると、上記隙間の底面においては、案内溝426の両側の各約90度が薬液の延長路427を構成するとともに、案内溝426とは反対側には、約180度に亘る半円形の流出孔428が形成されている。そして、延長路427を通過した薬液が流出孔428から支持プレート21側へ流れ出るようになっている。なお、各延長路427の容積は、0.05〜0.3mm3であることが好ましく、0.07〜0.15mm3であることがさらに好ましい。また、延長路427の断面積は、0.02〜0.1mm2であることが好ましく、0.03〜0.05mm2であることがさらに好ましい。
【0047】
図13に示すように、下部材42における壁部材423の下端の両端には、一対の脚部429が取り付けられており、この脚部429によって下部材42の下面と、支持プレート21との間に空間が形成される。この空間が後述するように、薬液及び流水の通路となる。また、下部材42の下面には、上述した流出孔428の両端を結ぶ突片431と、この突片431の両端から延びる一対の突条部432とが形成されている。そして、各突条部432は、互いに離間するように、可動部212側へ斜め方向に延びるとともに、図13(c)に示すように、先端にいくにしたがって、下部材42下面からの突出高さが大きくなっている。すなわち、図9に示すように、各突条部432は、先端にいくにしたがって、支持プレート21との隙間が小さくなっていき、最も先端では、支持プレート21と接触している。
【0048】
次に、上記のように構成された薬液供給装置の使用方法について図15及び図16も参照しつつ説明する。図15は薬液容器の取付を示す断面図であり、図16は薬液供給装置の取り付け状態を示す側面図である。まず、薬液容器1を上部材41上に配置する。これにより、薬液容器1のキャップ13に連通管412が突き刺さり、薬液容器1が固定される。このとき、図15(b)に示すように、連通管412が完全に差し込まれた状態、つまり、上部材41の溝部417の底面に、キャップ13の本体部131先端が当接したときには、連通管412の斜めに切りかかれた先端開口の最も低い部分(線Pの位置)が、薄膜部132(線Qの位置)を突き抜けて、これよりも上方に位置するようになっている。このような位置関係により、薄膜部132は、キャップ13から確実に離脱するため、容器1の排出口を塞ぐのを確実に防止することができる。このように、連通管412の開口は、薄膜部132よりも上方に位置するため、薬液の排出が阻害されるおそれがあるが、連通管412の壁面には開口縁部4122から切欠部4121が形成されているため、薬液はこの切欠部4121を介して薬液排出機構4側へ流れ出る。したがって、薬液の残量が少なくなっても、薬液の排出が可能になる。なお、切欠部4121の下端(線Rの位置)は、薄膜部132よりも上方に位置するように構成されており、これによって、薬液がキャップ13と、連通管412の隙間から漏れるのを防止している。
【0049】
続いて、この装置を便器のリムに取り付ける際には、吊掛部材3を、支柱24から引き出して高さを調整しつつ、図8の状態からコ字状に押し広げる。そして、図15(a)に示すように、リムRを挟むように配置する。このとき、可動部212は、便器の内壁面に当接するのであるが、基部211に対して揺動可能となっているため、基部211と便器内壁面Sとの距離に応じて、傾斜する。すなわち、図15(a)に示すように基部211と便器内壁面Sとの距離が小さい場合、可動部212は、便器内壁面Sに押しつけられながら、大きく傾斜し、便器内壁面Sとの隙間を埋める。一方、距離が大きい場合には、図15(b)に示すように、傾斜角βは小さくなるが、いずれの場合でも、基部211と便器内壁面Sとの隙間は埋められる。その結果、基部211に流れ出た薬液を効率よくさらって、便器へ流すことができるため、便器の形状にかかわらず、優れた洗浄効果を得ることができる。
【0050】
続いて、薬液の流れについて説明する。連通管412によりキャップ13の薄膜部132が破断されると、薬液は、薬液容器1から薬液排出機構4へと流れ出て、一部は連通管412及び薬液連通孔415を介して緩衝空間43内に流れ込む。一方、残りの薬液は、図13及び図14に示すように、案内溝426を通過して下方へ流れた後、延長路427及び流出孔428を介して下部材42の下面側に流れ出る。そして、この薬液は、突片431及び突条部432を伝って、可動部212側へ移動し、支持プレート21と突条部432との接触部分において、支持プレート21上へ移る。支持プレート21の基部211は、やや下方に傾斜しているので、薬液は下方へ流れ、可動部212との境界部分に蓄積される。このとき、薬液に含まれる芳香剤が揮散し、芳香効果が得られる。なお、緩衝空間43の機能及び動作については、第1実施形態と同じである。
【0051】
上記のように装置が設置された後、便器内に水が流されると、流された水は、図15に示すように、リムRの内側から便器内壁面Sを伝い、可動部212によって基部211側へ案内される(矢印X)。そして、基部211と可動部212との境界部分に貯まった薬液をさらいつつ、流水孔25から外部へ流れ出したり、或いは、装置内で壁体22などにぶつかりながら跳ね返り、開放部分23から装置の外部へ流れ出す。こうして、薬液は流水とともに、便器内壁面Sに供給され、便器の清浄が行われる。
【0052】
以上のように、本実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。すなわち、薄膜部が排出口を塞ぐのを確実に防止することができるとともに、薬液が容器内に残留するのを防止することができる。
【0053】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。例えば、薬液容器1、薬液排出機構3の構成は、上記実施形態に限定されるものではなく、薬液容器1から支持体の外部に薬液を供給できるものであれば、その他の構成は、特には限定されない。また、上記第1実施形態で用いる固形薬剤は、漂白剤であるが、その他、着色剤、洗剤、除菌剤、抗菌剤、撥水剤、親水化剤、芳香剤等を使用することもできる。また、本発明でいう固形薬剤は、成分を熱で溶融混合し冷却成型する方法や粉末を液体のバインダーと共に混練成型する方法や粉末をバインダーと共に打錠等により固化する方法などにより製造される一般的な固形薬剤のほか、ゲル状のものも含む。
さらに、第1実施形態では、薬液と固形薬剤を収納した薬液供給装置について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、薬液のみを収納する装置にも適用することができる。すなわち、上記実施形態の装置から固形薬剤を取り除いたような装置である。また、手洗い部に取り付けられるもの、リムに取り付けられるような便器に取り付けられるもの以外にも、例えば、芳香剤などの、薄膜部を有する薬液容器を備えた薬液供給装置全般に適用することができる。
【0054】
上記各実施形態では、連通管の開口を径方向に斜めに切り欠いているが、これに限定されるものではなく、例えば、図17に示すように、連通管の開口端部を、複数の鋭利な凸部を有するようにすることができ、例えば、鋸状に形成することができる。この場合、凸部間の凹部が上述した切欠部を構成する。そして、この凹部の奥端部が薄膜部の位置していた位置の近傍でそれよりも上方にあることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明に係る薬液供給装置の第1実施形態を示す側面図である。
【図2】図1の縦断面図である。
【図3】図1のA−A線断面図である。
【図4】図1の底面図である。
【図5】上部材の平面図及び縦断面図である。
【図6】下部材の一部斜視図、及びその平面図である。
【図7】薬液容器の取付を説明する縦断面図である。
【図8】本発明に係る薬液供給装置の第2実施形態を示す斜視図である。
【図9】図8の断面図である。
【図10】図9のA−A線における図1の断面図である。
【図11】図8の平面図である。
【図12】図8の分解斜視図である。
【図13】下部材の斜視図、平面図、正面図及び底面図である。
【図14】下部材の一部斜視図、及び平面図である。
【図15】薬液容器の取付を説明する縦断面図である。
【図16】図8の薬液供給装置の使用状態を示す側面図である。
【図17】図8の薬液供給装置における連通管の他の例を示す側面図である。
【符号の説明】
【0056】
1 薬液容器
2 支持体
3 薬液供給機構
4 固形薬剤
Z 流入空間
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬液を収容し、当該薬液の排出口を有する薬液容器と、
前記排出口に接続され、前記薬液容器内の薬液を外部へと導く薬液排出機構と、
前記薬液容器及び薬液排出機構を支持する支持体と、を備え、
前記薬液容器は、使用前の初期状態において、前記排出口を塞ぐ薄膜部を有しており、
前記薬液排出機構は、前記薄膜部を破断するために差し込まれる連通管を備え、当該連通管は、開口縁部から軸方向に延びる少なくとも一つの切欠部を有しており、
使用前の前記薬液容器に前記連通管が差し込まれるとき、当該連通管の開口縁部が、前記薄膜部が形成されている位置よりも前記薬液容器内に入り込むように構成されることで、前記薄膜部が前記排出口から離脱する、薬液供給装置。
【請求項2】
前記切欠部の奥端部は、前記薄膜部が形成されていた位置の近傍で、当該形成されていた位置よりも薬液容器内に入り込んだ位置にある、請求項1に記載の薬液供給装置。
【請求項3】
前記連通管の開口縁部は、先端が鋭利になるように、当該連通管を径方向に斜めに切りとった形状をなしている、請求項1または2に記載の薬液供給装置。
【請求項4】
前記支持体は、水洗トイレにおける貯水タンク上部の手洗い部に配置され、
前記薬液排出機構から排出された薬液は、当該手洗い部に供給される水とともに排出孔を介して前記貯水タンク内に薬液を供給する、請求項1から3のいずれかに記載の薬液供給装置。
【請求項5】
前記支持体は、前記薬液排出機構の下方に、水が流入可能な流入空間が形成されるような形状を有するとともに、当該流入空間と隣接する位置に固形薬剤を収納可能な収納部を備えており、
前記支持体には、前記収納部と外部とを連通する開口が形成されている、請求項4に記載の薬液供給装置。
【請求項6】
前記薬液容器、薬剤排出機構、及び前記支持体を便器のリムに吊り掛けるための吊掛部材をさらに備える、
前記支持体は、前記薬液排出機構から排出された薬液を、便器内を流れる流水と接触可能に支持するように構成されている、1から3のいずれかに記載の請求項薬液供給装置。
【請求項1】
薬液を収容し、当該薬液の排出口を有する薬液容器と、
前記排出口に接続され、前記薬液容器内の薬液を外部へと導く薬液排出機構と、
前記薬液容器及び薬液排出機構を支持する支持体と、を備え、
前記薬液容器は、使用前の初期状態において、前記排出口を塞ぐ薄膜部を有しており、
前記薬液排出機構は、前記薄膜部を破断するために差し込まれる連通管を備え、当該連通管は、開口縁部から軸方向に延びる少なくとも一つの切欠部を有しており、
使用前の前記薬液容器に前記連通管が差し込まれるとき、当該連通管の開口縁部が、前記薄膜部が形成されている位置よりも前記薬液容器内に入り込むように構成されることで、前記薄膜部が前記排出口から離脱する、薬液供給装置。
【請求項2】
前記切欠部の奥端部は、前記薄膜部が形成されていた位置の近傍で、当該形成されていた位置よりも薬液容器内に入り込んだ位置にある、請求項1に記載の薬液供給装置。
【請求項3】
前記連通管の開口縁部は、先端が鋭利になるように、当該連通管を径方向に斜めに切りとった形状をなしている、請求項1または2に記載の薬液供給装置。
【請求項4】
前記支持体は、水洗トイレにおける貯水タンク上部の手洗い部に配置され、
前記薬液排出機構から排出された薬液は、当該手洗い部に供給される水とともに排出孔を介して前記貯水タンク内に薬液を供給する、請求項1から3のいずれかに記載の薬液供給装置。
【請求項5】
前記支持体は、前記薬液排出機構の下方に、水が流入可能な流入空間が形成されるような形状を有するとともに、当該流入空間と隣接する位置に固形薬剤を収納可能な収納部を備えており、
前記支持体には、前記収納部と外部とを連通する開口が形成されている、請求項4に記載の薬液供給装置。
【請求項6】
前記薬液容器、薬剤排出機構、及び前記支持体を便器のリムに吊り掛けるための吊掛部材をさらに備える、
前記支持体は、前記薬液排出機構から排出された薬液を、便器内を流れる流水と接触可能に支持するように構成されている、1から3のいずれかに記載の請求項薬液供給装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2009−84803(P2009−84803A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−252706(P2007−252706)
【出願日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(000186588)小林製薬株式会社 (518)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(000186588)小林製薬株式会社 (518)
【Fターム(参考)】
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