説明

薬物送達システム及び方法

鎮静/鎮痛システムに使用するための薬物送達システムを提供する。この薬物送達システムは、第1のボーラスインターフェイス(20)と、その第1のボーラスインターフェイス(20)の後に現れる第2のボーラスインターフェイス(25)と、その第2のボーラスインターフェイス(25)の後に現れる第3のボーラスインターフェイス(60)と、薬物送達ディスプレイとを含む。第1のボーラスインターフェイス(20)は、薬物送達システムから患者にボーラス投与したいか使用者に尋ねる。使用者が「yes」と答えた場合は、第2のボーラスインターフェイス(25)が、使用者がそのボーラスを承認するか尋ねる。そのボーラスが所定の範囲外の場合は、第3のボーラスインターフェイス(60)が現れ、ボーラスが所定の範囲外であるが使用者が続行したいか確認する。薬物送達ディスプレイが、薬物送達または他の患者の状態を表示することができる。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
関連出願に対するクロスリファレンス
本願は、言及することを以ってその開示内容の全てを本明細書の一部とする、2002年9月16日出願の米国仮特許出願第60/411077号の利益及び優先権を主張するものである。また、本願のクロスリファレンスには、言及することを以って本明細書の一部とする1999年6月3日出願の同時係属中の米国特許出願第09/324,759号及び2001年11月1日出願の米国特許出願第60/330,853号が含まれる。
【0002】
発明の技術分野
本発明は、薬物送達に関連し、詳細には、患者モニタリング/薬物送達システムに一体化されたボーラス薬物送達に関する。
【0003】
発明の背景
鎮静/鎮痛システムは、資格を持つ麻酔科医がいてもいなくても薬物の過剰摂取のリスクが低減されるように、苦痛、不快、または他の恐怖を感じる(不安を煽る)医療処理または外科処置を受ける患者に鎮静薬、鎮痛薬、及び/または麻酔薬を投与するために開発された。一般に麻酔装置に関連した潜在的な失敗モードの数が減少し、鎮静/鎮痛システムの病因及び移動環境での使用が安全になったため、例えばCRNA(公認登録看護麻酔師)、訓練を受けた医師、または他の有資格オペレーターなどの訓練された麻酔科医以外の者が鎮静/鎮痛システムを操作することができる。鎮静/鎮痛システムは、鎮静及び鎮痛を実施するのが望ましい処置に対しても麻酔科医を雇うまたは呼ぶ余裕のない小さな開業医に十分な麻酔を提供することができる。このような目的に合わせられた鎮静/鎮痛システムの出現により、このような開業医に、麻酔装置が要求するオペレーターの決定事項は減少するが「医師が最も良く知っている(physician knows best)」という理念に従った最終的には医師が決定できる患者モニタリングシステムに組み込まれた薬物送達システムが提供される。麻酔装置に関連した手動操作が減り、麻酔科医がいなくても移動施設で鎮静/鎮痛システムを使用することができ、患者に低コストで容易に鎮静手段が提供される。
【0004】
鎮静及び麻酔が始まった当初から、医療処置による苦痛、不快感、または不安を患者から取り除くために様々な薬物送達が開発されてきた。胃腸学の分野で一般に使用されている1つの方法では、患者にボーラス薬物投与が順次実施される。このような場合、まず、患者に最初のボーラス薬物注入が実施される。送達される薬物の量は、例えば身長及び体重などの所定の身体パラメータを考慮して患者に対して、適切な鎮静及び/または鎮痛に必要な薬物の量の推定に基づいている。更に、患者が不安または苦痛を感じていることに医師が気付くとその医療処置の間、ボーラス薬物注入が定期的に行われる。このような方式でボーラス薬物注入する場合は通常、患者が適切なレベルの鎮静及び/鎮痛を得られるように医師は目標薬物レベルよりも多く投与する必要がある。目標薬物レベルよりも多く投与すると、例えば起動閉塞やヘモグロビンの不飽和などの副作用が患者に引き起こし得る薬物過剰投与となる場合がある。このようなボーラス薬物注入ではまた、患者が強い不安及び/または苦痛を感じるまで医師が次のボーラス薬物注入を行わない薬物過少投与が起きる場合もある。
【0005】
患者の薬物過服用及びその副作用を低減するために様々な薬物送達のための装置及び方法が開発されてきた。鎮静薬、鎮痛薬、及び麻酔薬などの薬物の目標制御注入(TCI)を維持するために既存の薬物送達システムにマイクロコンピュータやプログラム可能なコントローラが組み込まれてきた。間欠ボーラス投与のみに依存するシステムとは異なり、TCIシステムは、制御された比率で薬物を送達して一定レベルの薬物の効果を維持しようとする。TCIの比率は、例えば伸長、体重、年齢、性別、及び薬物投与の過去の記録などの患者の身体パラメータの分析によって推定する場合が多い。TCIシステムは、患者の薬物の状態を一定に維持するのにある程度成功しているが、患者を所望の鎮静レベルまたは一般的な麻酔レベルにするのに相当な時間がかかる。場合によっては、医師は患者のリスクを最小限するために苦痛を伴う処置に関連した苦痛や不安に迅速に対処しなければならないため、患者が鎮静するまでの無駄な待ち時間が問題となる。加えて、患者が鎮静するまでの無駄な待ち時間によって医療施設の使用及び医療スタッフの時間が無駄になる。
【0006】
迅速な患者の鎮静または鎮痛の必要性に応えて、TCIシステムは通常、組織化された最初のボーラス薬物送達すなわち最初の注入率増大を含む。最初のボーラス薬物送達を含むTCIシステムでは、通常はボーラス注入を実施する。注入率の目標閾値に迅速に達するのに必要な薬物量は、例えば身長及び体重などの患者の身体パラメータに基づいて推定される。最初のボーラス送達の後、計算した所望の薬物量を、目標薬物レベルに達するように患者に送達する。患者が目標鎮静レベルに達するまでにかかる時間を短縮するために用いる第2の方法では、通常は、時間に関係して第1の注入率が第2の注入率よりも相当高い2つの注入率を有するシステムを用いる。第1の注入率は、患者が目標閾値に迅速に達するように医師が推定する率であり、目標閾値に達すると、鎮静または鎮痛を所望のレベルに維持するために第2の注入率に切り替えられる。
【0007】
このようなシステムは、著しい薬物過剰投与や薬物過少投与が起こることなく患者を迅速に鎮静及び麻酔することにある程度成功しているが、一定の薬物注入率が好ましくない医療処置も多数存在する。例えば、心臓の電気除細動などの特に激しい痛みを伴う多くの医療処置では、極めて短いが激しい疼痛刺激を伴うという特徴を有する。従って、この種の医療処置では、患者の不安感、苦痛、及び不快の記憶を最小限にするために薬物レベルを短時間上昇させる必要がある。現在のTCIシステムは、患者の不安感及び/または苦痛が変動するまたはそれらの様式が異なる医療処置で患者の鎮静または鎮痛にある程度の成功を収めているが、短時間であるが激しい苦痛や不安を伴う医療処置を受ける患者の苦痛及び/または不安感を取り除くように最適に制御することができない。このような激しい苦痛や不安を伴う医療処置では、薬物レベルを急速に上昇させた後に、計算した正確な増大レベルの薬物が投与されるのが好ましい。
【0008】
アストラ・ゼネカ(Astra-Zeneca)のDIPRIFUSOR(登録商標)が目標制御注入システムであり、薬物送達率が、患者の血中で薬物が所望の濃度になるようにデザインされた薬物動態学モデルに基づいている。目標血中濃度に達したら、効果部位(例えば、脳)における薬物濃度が徐々に血中の薬物濃度と平衡に達する。DIPRIFUSOR(登録商標)は更に、投与薬物が目標血中濃度に迅速に達するように処置の開始時に使用者がボーラス注入を行う開始時ボーラス薬物送達機能を有する。DIPRIFUSOR(登録商標)などのTCIシステムは、患者及び医師の要求する鎮静及び鎮痛にある程度成功しているが、患者の効果部位(例えば、脳など)が所望の濃度に達するのに必要な時間が長過ぎる場合が多い。このような既存のシステムで見られる効果部位の所望の濃度への到達の遅れは、効果部位が血中の薬物濃度と平衡に達する(すなわち、血中の薬物濃度が標的効果部位の濃度と等しいレベルに維持される)のに相当な時間が必要なためである。例えば、胃腸の処置の場合、鎮静用プロポフォールなどの薬物の脳における所望の治療効果部位の濃度が4.0μg/ccの場合、多くの既存のシステムは、血中に投与する薬物濃度が最大で4.0μg/ccの率で薬物を注入する。このような場合、効果部位の濃度が血中薬物濃度と平衡になるのに数分かかってしまう。従って、患者の脳の効果部位濃度を所望のレベルに急速に上昇させることができる目標制御注入モデルが要望されている。
【0009】
本発明の要約
本発明は、一体型患者モニタリングシステムの利点を有する、患者を迅速に所望の鎮静または麻酔レベルに導く薬物送達システムを提供する。この薬物送達システムでは、薬物の過剰投与及び過少投与のリスクが低減されると共に、医師が医療処置中の任意の時点で計算された正確な用量の薬物を安全かつ高率的に投与することができる。本発明はまた、例えば脳などの患者の重要な部分の効果部位濃度の指標として目標注入レベルを決定する、患者モニタリングシステムに組み込まれた薬物送達システムを提供する。本発明は更に、医療処置の任意の時点で増大した薬物用量を安全に送達するためのシステムを提供する。この場合、増大した薬物用量は、容量的な用量または目標血中濃度ではなく、効果部位における推定濃度の増大についてである。本発明は更に、医療処置中の任意の時点で増大した薬物用量を送達するために容易にアクセスできる手段を提供する。従来のシステムでは、通常は医療処置の開始時のみにボーラス薬物注入が可能である。
【0010】
本発明の詳細な説明
本発明を詳細に説明する前に、本発明の適用及び使用が添付の図面及び後述の説明で例示される構造及び構成の詳細に限定されるものではないことを理解されたい。本発明の例示的な実施形態は、他の実施形態、変更形態、及び変形形態で具現したり、これらの形態に組み入れることができ、様々な方法で実施することができるであろう。更に、特段の記載がない限り、ここで用いる用語及び表現は、読者が分かり易いように本発明の例示的な実施形態を説明するためのものであって本発明を限定するためではない。
【0011】
図1に、本発明の一実施形態を示すブロック図が例示されている。図示されている鎮静/鎮痛システム22は、ユーザーインターフェイス12、ソフトウエア制御コントローラ14、周辺装置15、電源16、外部通信装置10、患者インターフェイス17、及び薬物送達装置19を含み、患者に鎮静効果及び/または鎮静効果を付与するために使用者13によって操作される。鎮静/鎮痛システム23の一例が、言及することを以ってその開示内容の全てを本明細書の一部とする1999年6月3日出願の同時係属中の米国特許出願第09/324,759号に開示されている。ユーザーインターフェイス12の実施形態が、言及することを以ってその開示内容の全てを本明細書の一部とする2001年11月1日出願の米国特許出願第60/330,853号に開示されている。
【0012】
図2に、ユーザーインターフェイス12に組み入れることができる第1のボーラス送達インターフェイス20の一実施形態が例示されている。第1のボーラス送達インターフェイス20は、タッチスクリーン、ソフトボタンインターフェイス、ハードボタンインターフェイス、または他の好適なインターフェイス手段に表示されるプロンプトとすることができる。第1のボーラス送達インターフェイス20はまた、タッチスクリーンインターフェイスの一部とし、第1のボーラス送達インターフェイスを常に表示することができる。第1のボーラス送達インターフェイスの別の実施形態では、ユーザーインターフェイス12に組み込まれたハードボタンを用意し、ハードボタンを押すと第1のボーラス送達インターフェイス20がプロンプトされる。本発明は更に、触れると第1のボーラス送達インターフェイス20がプロンプトされる小さなボーラスアイコンを例えばタッチスクリーンインターフェイス20に設けるなど、第1のボーラス送達インターフェイス20をプロンプトする複数の手段を含む。
【0013】
本発明の一実施形態では、第1のボーラス送達インターフェイス20は、使用者13がボーラス薬物送達を希望するか使用者13に問合わせる第1のテキストボックス24を含む。第1のテキストボックス24は、使用者13に問合わせるために任意の好適なテキスト及び/または記号を含むことができる。例えば、ボーラス用量を例示するアイコンを使用者13に表示して、その使用者13がその問合わせを却下または承認することができる。本発明は更に、複数の言語でテキスト表示できる多言語能力を備えた鎮静/鎮痛システム23を提供することを含む。本発明は更に、第1のテキストボックス24を第1のキー21及び/または第2のキー22に組み入れることを含む。第1のキー21は、使用者13がボーラス薬物注入を希望する場合に使用者13に第1のキー21を押すまたは他の方法で知らせるように命令することができ、第2のキー22は、使用者13がボーラス薬物注入を希望しない場合に使用者13に第2のキー22を押すまたは他の方法で知らせるように命令することができる。
【0014】
第1のボーラス送達インターフェイス20の第1のキー21及び/または第2のキー22は、タッチスクリーンディスプレイの一部であるタッチスクリーンボタン、音声命令に応答するボタン、ソフトボタン、ハードボタン、または鎮静/鎮痛システム23に命令を入力する他の任意の好適な手段とすることができる。本発明の一実施形態では、第1のキー21は、使用者13の肯定的な応答を第1のテキストボックス24に表示された問合わせに伝達することを含み、第2のキー22は、使用者13の否定的な応答を第1のテキストボックス24に表示された問合わせに伝達することを含む。第1のキー21及び/または第2のキー22は、例えば第1のキー21に書かれた「Yes」などの意味を持つテキスト表示、または否定的な応答を示す第2のキー22に書かれた「×」などの意味を持つアイコン表示を有することができる。第1のテキストボックス24、第1のキー21、及び第2のキー22は、第1のボーラス送達インターフェイス20及び/またはユーザーインターフェイス12の任意の好適な位置に配置することができる。本発明の一実施形態では、鎮静/鎮痛システム23は、あらゆる適切な訓練を受けた臨床医、例えば適切な訓練を受けた胃腸病専門医などが、患者18が意識下鎮静に達する薬物レベルで運転することができる。本発明の別の実施形態では、鎮静/鎮痛システム23は、麻酔の適切な訓練を受けたあらゆる者、例えば公認登録看護麻酔師(CRNA)や麻酔科医などが、患者18が麻酔下の薬物レベルで運転することができる。
【0015】
図3に、ユーザーインターフェイス12に組み入れることができる第2のボーラス送達インターフェイス25の一実施形態が例示されている。第2のボーラス送達インターフェイス25は、タッチスクリーン、ソフトボタンインターフェイス、ハードボタンインターフェイス、または他の好適なインターフェイス手段に表示されるプロンプトとすることができる。第2のボーラス送達インターフェイス25はまた、タッチスクリーンインターフェイスの一部とし、第1のボーラス送達インターフェイスを常に表示することができる。第2のボーラス送達インターフェイス25は、第1のボーラス送達インターフェイス20に関連したボーラス薬物送達に対する肯定的な応答の後でプロンプトされる。
【0016】
本発明の一実施形態では、第2のボーラス送達インターフェイス25は、使用者13がボーラス薬物注入を希望するか使用者13に問合わせる第2のテキストボックス28を含む。第2のテキストボックス28は、使用者13に問合わせるために任意の好適なテキスト及び/または記号を含むことができる。例えば、ボーラス用量の承認を例示するアイコンを使用者13に表示して、その使用者13がその問合わせを却下または承認することができる。本発明は更に、複数の言語でテキスト表示できる多言語能力を備えた鎮静/鎮痛システム23を提供することを含む。本発明は更に、第2のテキストボックス28を第1のキー26及び/または第2のキー27に組み入れることを含む。第1のキー26は、使用者13がボーラス薬物注入の承認を希望する場合に使用者13に第1のキー26を押すまたは他の方法で知らせるように命令することができ、第2のキー27は、使用者13がボーラス薬物注入の承認を希望しない場合に使用者13に第2のキー27を押すまたは他の方法で知らせるように命令することができる。
【0017】
第2のボーラス送達インターフェイス25の第1のキー26及び/または第2のキー27は、タッチスクリーンディスプレイの一部であるタッチスクリーンボタン、音声命令に応答するボタン、ソフトボタン、ハードボタン、または鎮静/鎮痛システム23に命令を入力する他の任意の好適な手段とすることができる。本発明の一実施形態では、第1のキー26は、使用者13の肯定的な応答を第2のテキストボックス28に表示された問合わせに伝達することを含み、第2のキー27は、使用者13の否定的な応答を第2のテキストボックス28に表示された問合わせに伝達することを含む。第1のキー26及び/または第2のキー27は、例えば第1のキー26に書かれた「Yes」などの意味を持つテキスト表示、または否定的な応答を示す第2のキー27に書かれた「×」などの意味を持つアイコン表示を有することができる。第2のテキストボックス28、第1のキー26、及び第2のキー27は、第2のボーラス送達インターフェイス25及び/またはユーザーインターフェイス12の任意の好適な位置に配置することができる。本発明の一実施形態では、使用者13が初めの薬物送達リクエストを承認するまで患者18にボーラス薬物注入が行われない。確認プロンプトを設けることは、臨床医による誤ったボーラス薬物注入の信号送信の防止に役立つ。本発明は更に、第1のボーラス送達インターフェイス20とは異なる位置に第2のボーラス送達インターフェイス25を表示することを含む。このような構成では、臨床医はボーラス薬物注入を確認するためにユーザーインターフェイス12の別の部分を見る必要がある。ボーラス送達インターフェイスを異なった位置に設けることは、インターフェイスのボタンを素早く押すことによるボーラス注入の誤った確認の防止に役立つ。
【0018】
本発明の一実施形態では、ボーラス薬物注入は、患者18の効果部位の薬物濃度を急速に上昇させるために好適な割合で実施することができる。例えば、1回のボーラス薬物注入の開始により、薬物送達装置19が、患者18の効果部位濃度が0.5μg/cc上昇するのに十分な薬物を送達する。使用者13が0.5μg/ccを超えるボーラス注入を希望する場合は、使用者13は、ボーラス薬物送達インターフェイスを再びプロンプトして、効果部位濃度を更に0.5μg/cc上昇させる第2のボーラス注入を承認する必要がある。患者18の効果部位濃度を順次上昇させることを目的とするボーラス注入システムを提供することにより、本発明は、使用者13が潜在的に危険な薬物用量を誤って入力したり、承認する可能性を低くすることができる。目標の効果部位濃度に達するのに必要な薬物量についてのプログラミングをコントローラ14に組み入れることができ、コントローラ14は適切な薬物用量を正確に投与するために薬物注入の薬物動態学モデル及び患者のパラメータに依存することができる。
【0019】
鎮静/鎮痛システム23は、身長、体重、性別、及び年齢などの患者の身体パラメータを考慮した予めプログラムされた安全な薬物レベルを含む。医療処置では、時には予めプログラムされた安全薬物レベルの範囲外にした方が良い場合もあるが、予めプログラムされた安全範囲を超えた薬物注入レベルで投与されていることを使用者13に警告するプロンプトを表示するのが有益であろう。
【0020】
図4に、ユーザーインターフェイス12に組み入れることができる第3のボーラス送達インターフェイス60の一実施形態が例示されている。第3のボーラス送達インターフェイス60は、タッチスクリーン、ソフトボタンインターフェイス、ハードボタンインターフェイス、または他の好適なインターフェイス手段に表示されるプロンプトとすることができる。本発明の一実施形態では、第3のボーラス送達インターフェイス60は、患者18の身体パラメータに基づいて予めプログラムされた安全薬物レベルの範囲外のボーラス薬物送達の確認の後で鎮静/鎮痛システム23によって自動的にプロンプトされる。
【0021】
本発明の一実施形態では、第3のボーラス送達インターフェイス60は、使用者13が予めプログラムされた安全薬物レベルの範囲外のボーラス薬物送達を承認するか使用者13に問合わせる第3のテキストボックス63を含む。第3のテキストボックス63は、使用者13に問合わせるために任意の好適なテキスト及び/または記号を含むことができる。例えば、ボーラス用量が予めプログラムされた安全薬物レベルの範囲外であることを例示するアイコンを使用者13に表示し、その使用者13が表示されたその問合わせを却下または承認することができる。本発明は更に、複数の言語でテキスト表示できる多言語能力を備えた鎮静/鎮痛システム23を提供することを含む。本発明は更に、第3のテキストボックス63を第1のキー61及び/または第2のキー62に組み入れることを含む。第1のキー61は、予めプログラムされた安全薬物レベルの範囲外のボーラス薬物注入の承認を使用者13が希望する場合に、使用者13に第1のキー61を押すまたは他の方法で知らせるように命令することができ、第2のキー62は、予めプログラムされた安全薬物レベルの範囲外のボーラス薬物注入の承認を使用者13が希望しない場合に、使用者13に第2のキー62を押すまたは他の方法で知らせるように命令することができる。第3のボーラス送達インターフェイス60の第3のテキストボックス63は更に、患者の身体パラメータを考慮して提案される最大薬物レベルを示すアイコンまたはテキスト、例えば、「ボーラス注入レベルが、70歳の患者に対して提案された予めプログラムされた安全レベルの薬物の範囲外であるが、ボーラス薬物注入を承認するか?」を含む。使用者13がそのボーラス薬物注入を承認すると、その注入が開始される。
【0022】
本発明の別の実施形態では、第3のボーラス送達インターフェイス60は、ボーラス薬物注入のリクエストが予めプログラムされた範囲外であるためボーラス注入を実施しないことを使用者に示すことができる第3のテキストボックス63を含む。例えば、鎮静/鎮痛システム23は、患者18の現在の薬物濃度が20μg/ccである時に使用者13がボーラス薬物注入をしようとした場合に、標的部位の薬物濃度が20μg/ccを超えないように予めプログラムすることができる。本発明の一実施形態では、使用者13は閾値を超えてボーラス薬物注入を実施することができない。使用者13がボーラス注入ができなくなる点である閾値は、任意の好適な点とすることができるが、患者18の年齢、性別、身長、体重、または他の身体パラメータによって異なる。例えば、使用者13は、体重90.9kg(200ポンド)の23歳の男性に対しては20μg/ccの閾値を超えて薬物を投与することができず、体重54.5kg(120ポンド)の70歳の女性に対しては18μg/ccの閾値を超えて薬物を投与することができない。
【0023】
本発明は、複数のテキストボックス及び/またはボタンを有する複数のボーラス送達インターフェイスを含む。ボーラス送達インターフェイスは、任意の好適なユーザーインターフェイス12と共に用いることができる。本発明の別の実施形態は、使用者13が投与する所望のボーラスレベルを入力できるボーラス送達インターフェイスを含む。例えば、使用者13は、ボーラス注入する薬物の量をリクエストするボーラス送達インターフェイスを起動する。使用者13は、タッチスクリーン、キーパッド、音声認識システム、または他の好適な入力手段によって好適なボーラス薬物量を入力することができ、次いで、使用者13がその薬物注入レベルを確認するように促される。
【0024】
第3のボーラス送達インターフェイス60の第1のキー61及び/または第2のキー62は、タッチスクリーンディスプレイの一部であるタッチスクリーンボタン、音声命令に応答するボタン、ソフトボタン、ハードボタン、または鎮静/鎮痛システム23に命令を入力する他の任意の好適な手段とすることができる。本発明の一実施形態では、第1のキー61は、使用者13の肯定的な応答を第3のテキストボックス63に表示された問合わせに伝達することを含み、第2のキー62は、使用者13の否定的な応答を第3のテキストボックス63に表示された問合わせに伝達することを含む。第1のキー61及び/または第2のキー62は、例えば第1のキー61に書かれた「Yes」などの意味を持つテキスト表示、または否定的な応答を示す第2のキー62に書かれた「×」などの意味を持つアイコン表示を有することができる。第3のテキストボックス63、第1のキー61、及び第2のキー62は、第3のボーラス送達インターフェイス60及び/またはユーザーインターフェイス12の任意の好適な位置に配置することができる。
【0025】
図5に、薬物送達ディスプレイ30の一実施形態が例示されている。薬物送達ディスプレイ30は、ユーザーインターフェイス12と一体にすることもできるし、ユーザーインターフェイス12と別にすることもできる。薬物送達ディスプレイ30は、そのアイコンに使用者13が触れることができるように、タッチスクリーンディスプレイとしてユーザーインターフェイス12に組み入れることができる。薬物送達ディスプレイ30はまた、使用者13がハードボタン、ソフトボタン、音声命令、または他の任意の好適な入力手段を介してデータを入力できるように他の任意のビジュアルインターフェイスに組み入れることもできる。薬物送達ディスプレイ30の実施形態は、単に例示目的であって本発明の範囲を限定するものではない。
【0026】
本発明の一実施形態では、薬物送達ディスプレイ30は、過去の薬物データ33、現在の薬物データ43、及び予想される薬物データ35を含む。過去の薬物データ33は、グラフの形態で表示することができ、使用者13が、医療処置全体または医療処置中のサンプリング部分の薬物注入レベルの変化を確認することができる。例えば、過去の薬物データ33は、使用者13が患者18に投与した薬物の注入経過がはっきりと分かるように、医療処置の過去20分間、過去10分間、または任意の好適な時間の情報を表示するようにプログラムすることができる。データは更に、基本的な数字、臨界点に数字が表示されたグラフ、または任意の好適なデータ表示手段で表すことができる。現在の薬物データ43は、患者18に投与される薬物の現在推定される標的部位の濃度の数値とすることができる。現在の薬物データ43は、そこに表示されている数値データの意味を使用者13に示すために語「現在の」を例示することを含む。本発明の一実施形態の予想される薬物データ35は、使用者13が決定した注入割合及び患者18の身体パラメータに基づいて将来の薬物の効果部位濃度を推定するようにコントローラ14をプログラミングすることを含む。予想薬物データ35は、例えば5分などの任意の好適な時間について計算することができる。
【0027】
薬物送達ディスプレイ30は更に、過去のタイムライン40、現在のバー42、及び予想タイムライン41を含むことができる。過去のタイムライン40は、例えば毎分ごとなどの任意の好適な時間にハッシュマークが設けられた直線状のタイムライン40を含むことができる。この場合、任意の好適な時間を数字で表すことができ、例えば医療処置における現時点の20分前を示すハッシュマークが、その下に「−20」または「−20分」の表示を有することができる。本発明の一実施形態の現在のバー42は、過去の薬物データ33と予想薬物データ35を分割する目に見えるバーである。現在のバー42は、任意の好適な形式でデザインすることができるが、例えば固有の色にするなど、過去の薬物データ33及び予想薬物データ35から容易に識別できるようにするのが好ましい。現在のバー42には、「0」、「現在」、または他の任意の好適な表示、すなわち現在のバー42が患者18に投与される薬物の現在の効果部位の濃度を例示していることを使用者13に知らせることができる表示を設けることができる。予想タイムライン41は、コントローラ14が患者18に投与される薬物の将来の効果部位の濃度を推定するようにプログラムされた好適な任意の時間を示すことができる。予想される特定の時間の患者の事象を示すハッシュマークも本発明に含まれ、このようなハッシュマークは、例えば毎分ごとなど好適な任意の時間に表示することができる。過去のタイムライン40、現在のバー42、予想タイムライン41は、薬物送達ディスプレイ30及び/またはユーザーインターフェイス12の任意の好適な位置に配置することができる。
【0028】
薬物送達ディスプレイ30は更に、薬物レベル軸34、薬物ラベル31、及び薬物単位32を含むことができる。本発明の一実施形態の薬物レベル軸34は、患者18に投与される薬物の効果部位の濃度の指標とすることができる。薬物単位32は、例えば、薬物データが示されているμg/ccなどの単位を表示することができる。薬物レベル軸34は、例えば、1μg/ccの各増分を数字で示し0.5μg/ccの各増分をハッシュマークで示すなど、薬物注入の任意の好適な増分を用いる任意の好適な方式でデザインすることができる。ディスプレイ30は更に、薬物レベル軸34に関連したグラフ線を含むことができる。効果部位の濃度に一致するこのグラフ線は、過去の薬物データ33及び/または予想薬物データ35を通ることができる。薬物ラベル31は、患者18に投与するために鎮静/鎮痛システム23に使用する薬物の組成、一般名、及び/またはブランド名を使用者13に示すことができる。本発明の一実施形態では、鎮静/鎮痛システム23は、鎮静/鎮痛処置に用いる例えば薬物のバーコードラベルを読取るようにデザインされている。このようなバーコードは、薬物送達ディスプレイ30に表示する薬物データを表す。
【0029】
本発明の一実施形態では、薬物送達ディスプレイ30は更に、数値目標注入レベル36、テキストボックス37、バイアル量38、及び送達アイコン39を含む。目標注入レベル36は、使用者13が所望する投与薬物の目標効果部位濃度の数値とすることができる。テキストボックス37は、目標注入レベル36の意味及び/または目標レベル36を計算する単位を表示する。バイアル量38は、鎮静/鎮痛システム23に使用する薬物のバイアル、シリンジ、または他の薬物送達装置に残っている薬物の量を示すアイコン、数値、及び/またはテキストとすることができる。バイアル量38は、例えば薬物バイアルの形態とすることができる。この場合、バイアルの液体を示す表示は、バイアル量に一致するハッシュマークによって測られる。例えば、プロポフォールの50ccバイアルを鎮静/鎮痛システム23に含めることができる。この場合、バイアル量38に付されたハッシュマークは、そのバイアルに残っている薬物の量を示す数値を有することができる。バイアルが空になっていく時、バイアルに残っている薬物の量については残っている薬物を示す1つの色が適当なハッシュマークに一致し、使用された薬物の量は、好ましくはバイル量の色とは異なる第2の色によって示される。送達アイコン39は、フラッシュする、回転する、または他の好適な方法で薬物送達機構が適切に動作していることを示す目に見える表示とすることができる。
【0030】
一例が図5に示されている本発明の特定の実施形態では、48、49、50、及び51などのボーラス薬物注入が外科処置中の任意の時点で実施される。このようなボーラス薬物注入は、過去のデータディスプレイ33に表示することができる。過去のデータディスプレイ33及び/または予想データディスプレイ35は、例えば、最初の注入モード44、第1レベル送達モード45、ステップアップモード46、及び第2レベル送達モード47などの様々な薬物送達モードに分けることができる。医療処置の開始時は、最初の注入モード44に従って、使用者13が、例えばプロポフォールなどの薬物の目標効果部位濃度を入力することができ、鎮静/鎮痛システム23が、所望のレベルに達するようにゆっくりと一定の比率で薬物を増大させる、またはより迅速に所望の効果部位濃度に達するように高い注入割合の後、低い注入割合で注入にする。最初の注入モード44の任意の時点で、使用者13は、第1のボーラス薬物注入48を実施することができる。第1のボーラス薬物注入は、患者の効果部位の濃度を0.5μg/cc上昇させるのに必要な薬物量である。効果部位濃度0.0μg/ccから始める場合は、使用者13は、患者18の効果部位の濃度が0.5μg/ccまで上昇するように第1のボーラス薬物注入48を命令することができる。コントローラ14が、投与する薬物の薬物動態モデル及び患者18の身体パラメータに基づいて、効果部位の濃度を0.5μg/ccまで上昇させるのに必要な薬物用量を決定する。次いで、適切な用量の薬物が鎮静/鎮痛システム23によって送達される。この第1のボーラス薬物注入48が実施された後は、予めプログラムされた目標薬物注入割合に即座に低下する。このような方式でボーラス薬物を送達することにより、使用者13が薬物注入の増量を停止しない可能性が低くなるため、患者18が薬物を過剰摂取する可能性が低下する。患者の身体パラメータに基づいて効果部位の濃度の形でボーラス薬物注入を測定することにより、特定の鎮静効果または麻酔効果を得るために必要な実際の薬物用量を正確に推定でき、これにより薬物の過剰投与及び過少投与が起こりにくくなる。
【0031】
第1レベル送達モード45で投与される第2のボーラス薬物注入49によって例示されているように、患者18の効果部位が目標濃度に達したら更にボーラス薬物注入を実施することができる。これは、特に苦痛を伴う処置で患者18の快適性、鎮静、または麻酔を維持するために薬物レベルを短時間上昇させる必要があるが、その短時間を超えて薬物レベルを維持する必要がないと使用者13が認めた時に実施することができる。第2のボーラス薬物抽入49は更に、ボーラス薬物抽入が例えば効果部位の濃度を1μg/cc上昇させるのに実質的に十分なボーラス抽入などの任意の好適なレベルにどのようにボーラス薬物を抽入するかを例示している。本発明の一実施形態では、これは、それぞれが効果部位濃度を0.5μg/cc上昇させることができる2つのボーラス薬物抽入を承認することで達成される。
【0032】
医療処置の任意の時間に使用者13がボーラス薬物抽入を実施できるようにすることで、使用者13が、例えば心臓の電気除細動などのある種の医療処置中に起こり得る短期の激しい苦痛に対して増量した薬物を投与することができる。ボーラス抽入により、目標ボーラス抽入に達すると急速に低下し始める患者の効果部位濃度の短時間の上昇を達成することができる。このような方式での薬物送達により、短時間のみ必要な薬物レベルの上昇が不所望に継続する可能性が減少する。ボーラス抽入機能を備えた鎮静/鎮痛システムを使用者13に提供することで、短時間の激しい苦痛や不快感の際の患者の快適性が高まり、また鎮静または鎮痛を維持することができる。ボーラス抽入機能により、ボーラス抽入のピーク後に患者の目標効果部位濃度が急速に低下するため患者の過剰摂取が防止され、患者の安全が確保される。
【0033】
本発明に従って、ステップアップモード46で投与される第3のボーラス薬物送達50及び第2レベル送達モード47で投与される第4のボーラス薬物送達51によって例示されているように、予めプログラムされた制限内の任意の量の薬物抽入を医療処置中の任意の時間に実施することができる。第3のボーラス薬物送達50は、鎮静/鎮痛システム23が次の目標効果部位濃度レベルに向かってゆっくりと上昇する時に使用者13がどのようにボーラス抽入を開始するかを示す一例を表している。第4のボーラス薬物送達51は、鎮静/鎮痛システム23が所定の効果部位濃度を維持している時に使用者13がどのようにボーラス抽入を開始するか示す一例を表している。
【0034】
ボーラス薬物注入48、49、50、及び51などが、一例としてグラフとして過去のデータディスプレイ33に例示されている。ボーラス薬物抽入は、数値、音声、または他の好適な表示手段でも例示することができ、薬物送達ディスプレイ30及び/またはユーザーインターフェイス12の任意の位置に表示することができる。
【0035】
図6に、鎮静/鎮痛システムを用いてボーラス薬物抽入を実施するための方法100の実施形態が例示されている。ステップ101は、鎮静/鎮痛システム23を開始すること、患者インターフェイス17を患者18に取り付けること、ボーラス薬物抽入の実施に必要な他の処置を実施することを含む。ステップ101の後、方法100はステップ102に進むことができる。ステップ102は、使用者13が第1の薬物送達インターフェイス20をプロンプトすることを含む。第1の薬物送達インターフェイス20をプロンプトするには、使用者13が、ハードボタン、ソフトボタン、またはタッチスクリーンのアイコンを押す、或いは第1の薬物送達インターフェイス20を起動するための他の任意の手段を用いることができる。更に、本発明は、ユーザーインターフェイス12に第1の薬物送達インターフェイス20を常に表示することができる。次いで、使用者13は、ボーラス薬物抽入を命令するために第1のキー21を選択する、または第1の薬物送達インターフェイス20をキャンセルするために第2のキー22を選択することができる。使用者13が第1の薬物送達インターフェイス20のキャンセルを選択すると方法100は進まない。使用者13がボーラス薬物抽入を選択すると方法100はステップ103に進む。
【0036】
本発明の一実施形態では、ステップ103は、第2の薬物送達インターフェイス25をプロンプト3することを含み、利用者13は患者18にボーラス抽入を実施するかについて承認を求められる。利用者13は、第2のキー27を選択してボーラス抽入をキャンセルする、または第1のキー26を選択してボーラス抽入を承認することができる。利用者13が初めのボーラス抽入リクエストをキャンセルすると、方法100は終了し再開することができる。使用者13が初めのボーラス抽入リクエストを承認すると、方法100は問合わせ104に進むことができる。
【0037】
本発明の一実施形態では、問合わせ104は、利用者13が承認したボーラス薬物抽入がコントローラ14にストアされている予めプログラムされた範囲外であるか否かを確認することを含む。コントローラ14が、そのリクエストが予めプログラムされた範囲外であると決定すると、方法100はステップ105に進むことができる。
【0038】
ステップ105は、第3の薬物送達インターフェイス60をプロンプトすることを含み、使用者13は、ボーラス注入が患者18の身体パラメータに基づいて一般的に許容される安全な薬物レベルの範囲外であることを知らされる。本発明の一実施形態では、使用者13は、例えば20μg/ccなどの予めプログラムされたレベルを超えたボーラス注入を実施することができない。本発明の別の実施形態では、使用者13は、ステップ106で示されているように予めプログラムされた安全な薬物レベルの範囲外のボーラス注入を承認するか決定する必要がある。本発明の一実施形態では、予めプログラムされた安全範囲外のボーラス注入は、第3の薬物送達インターフェイス60の第2のキー62を選択してキャンセルする、または第3の薬物送達インターフェイス60の第1のキー61を選択して承認することができる。使用者13がそのボーラス注入をキャンセルすると、方法100はボーラス注入を実施しないステップ107に進むことができる。使用者13がボーラス注入を承認すると、方法100はステップ108に進むことができる。問合わせ104でのボーラス注入が予めプログラムされた薬物送達の安全範囲内である場合も、方法100はステップ108に進むことができる。
【0039】
本発明の一実施形態では、ステップ108は、鎮静/鎮痛システム23の薬物送達装置19が、コントローラ14にストアされ計算されたパラメータに基づいて、患者18にボーラス薬物注入を実施する。本発明は、例えばプロポフォールなどの任意の好適な薬物の注入を含む。本発明は更に、効果部位が所望の薬物濃度に到達するべく薬物用量を送達するようにコントローラ14をプログラムすることを含む。ボーラス注入の後、方法100はステップ109に進むことができる。
【0040】
本発明の一実施形態では、ステップ109は、多量のボーラス注入を希望するかを使用者13に問合わせることを含む。本発明の一実施形態では、使用者13は、通常のボーラス注入を入力することができるが、1回の多量のボーラス注入に達するように複数回の注入をリクエストしなければならない。使用者13がボーラス注入を増量したい場合は、方法100はスップ102に進み、再び使用者13は多量のボーラス注入をリクエストし承認しなければならない。本発明は更に、ステップ108の前に多量のボーラス注入を開始したいか使用者13に問合わせることを含み、使用者13が通常のボーラス注入レベルを選択した後で、1回の多量のボーラス注入を実施することができる。使用者13がボーラス注入を増量したくない場合は、方法100はステップ110に進むことができる。
【0041】
本発明の一実施形態では、ステップ110は、薬物送達ディスプレイ30及び/またはユーザーインターフェイス12の薬物送達インターフェイスを最小化するまたは削除することを含む。ステップ110は更に、ボーラス注入を実施しないこと、及び/または鎮静/鎮痛システム23を停止することを含む。
【0042】
複数の実施形態を用いて本発明を説明してきたが、本出願者は、このような詳細に本発明の範囲及び概念を制限することを意図するものではない。当業者であれば、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更形態、変形形態、及び置換形態に想到するであろう。更に、本発明に関連した要素の構造は、そのような要素によって実行される機能を提供する手段として記載することもできる。従って、本発明は、添付の特許請求の範囲及び概念によってのみ制限されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明に従ったユーザーインターフェイスを備えた鎮静/鎮痛システムの一実施形態のブロック図である。
【図2】本発明に従った薬物送達プロンプトの一実施形態を示す模式図である。
【図3】本発明に従った薬物送達プロンプトの一実施形態を示す模式図である。
【図4】本発明に従った薬物送達プロンプトの別の実施形態を示す模式図である。
【図5】本発明に従った薬物送達ディスプレイの一実施形態を示す模式図である。
【図6】本発明に従ったボーラス薬物注入を実施するための方法の一実施形態のフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鎮静/鎮痛システムに用いるための、ユーザーインターフェイスを含む薬物送達システムであって、前記ユーザーインターフェイスが、
(a)第1のボーラス送達ユーザーインターフェイスと、
(b)前記第1のボーラス送達ユーザーインターフェイスで開始されるボーラスの承認を得るために、前記第1のボーラス送達ユーザーインターフェイスの後で現れる第2のボーラス送達ユーザーインターフェイスと、
(c)結果を使用者に知らせる薬物送達ディスプレイとを含むことを特徴とする薬物送達システム。
【請求項2】
更に、前記ボーラスの量が所定範囲外である場合に前記ボーラスの承認を得るために、前記第2のボーラス送達ユーザーインターフェイスの後で現れる第3のボーラス送達ユーザーインターフェイスを含むことを特徴とする請求項1に記載の薬物送達システム。
【請求項3】
前記第1のボーラス送達ユーザーインターフェイスが更に、テキストボックス、「Yes」ボタン、及び「キャンセル」ボタンを含むことを特徴とする請求項1に記載の薬物送達システム。
【請求項4】
前記第2のボーラス送達ユーザーインターフェイスが更に、テキストボックス、「Yes」ボタン、及び「キャンセル」ボタンを含むことを特徴とする請求項1に記載の薬物送達システム。
【請求項5】
前記第3のボーラス送達ユーザーインターフェイスが更に、テキストボックス、「Yes」ボタン、及び「キャンセル」ボタンを含むことを特徴とする請求項1に記載の薬物送達システム。
【請求項6】
前記薬物送達ディスプレイを用いてボーラス送達をグラフに示すことができることを特徴とする請求項1に記載の薬物送達システム。
【請求項7】
鎮静/鎮痛システムに用いるための、ユーザーインターフェイスを含む薬物送達システムであって、前記ユーザーインターフェイスが、
(a)第1のボーラス送達ユーザーインターフェイスと、
(b)前記第1のボーラス送達ユーザーインターフェイスで開始されるボーラスの承認を得るために、前記第1のボーラス送達ユーザーインターフェイスの後で現れる第2のボーラス送達ユーザーインターフェイスと、
(c)前記ボーラスの量が所定範囲外である場合に前記ボーラスの承認を得るために、前記第2のボーラス送達ユーザーインターフェイスの後で現れる第3のボーラス送達ユーザーインターフェイスと、
(d)結果を使用者に知らせる薬物送達ディスプレイとを含むことを特徴とする薬物送達システム。
【請求項8】
前記第1のボーラス送達ユーザーインターフェイスが更に、テキストボックス、「Yes」ボタン、及び「キャンセル」ボタンを含むことを特徴とする請求項7に記載の薬物送達システム
【請求項9】
前記第2のボーラス送達ユーザーインターフェイスが更に、テキストボックス、「Yes」ボタン、及び「キャンセル」ボタンを含むことを特徴とする請求項7に記載の薬物送達システム。
【請求項10】
前記第3のボーラス送達ユーザーインターフェイスが更に、テキストボックス、「Yes」ボタン、及び「キャンセル」ボタンを含むことを特徴とする請求項7に記載の薬物送達システム。
【請求項11】
前記薬物送達ディスプレイを用いてボーラス送達をグラフに示すことができることを特徴とする請求項7に記載の薬物送達システム。
【請求項12】
鎮静/鎮痛システムの薬物送達システムを開始する方法であって、
(a)第1のボーラス送達ユーザーインターフェイスを起動するステップと、
(b)第2のボーラス送達ユーザーインターフェイスを起動するステップと、
(c)ボーラスが、使用者によって予めプログラムされた所定範囲外であるか否かを決定するステップと、
(d)ボーラス注入を実施するステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項13】
ボーラスが使用者によって予めプログラムされた所定範囲外であるか否かを決定する前記ステップが、第3のボーラス送達ユーザーインターフェイスを起動するステップを含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
第3のボーラス送達ユーザーインターフェイスを起動する前記ステップにより、前記使用者が前記ボーラスをキャンセルまたは承認できることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
ボーラス注入を実施する前記ステップが、多量のボーラスを送達するように前記使用者を促すステップを含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項16】
多量のボーラスを送達するように前記使用者を促す前記ステップが、前記第1のボーラス送達ユーザーインターフェイスに戻るステップを含むことを特徴とする請求項15に記載の方法。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公表番号】特表2006−511253(P2006−511253A)
【公表日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−536531(P2004−536531)
【出願日】平成15年9月16日(2003.9.16)
【国際出願番号】PCT/US2003/028954
【国際公開番号】WO2004/024214
【国際公開日】平成16年3月25日(2004.3.25)
【出願人】(595057890)エシコン・エンド−サージェリィ・インコーポレイテッド (743)
【氏名又は名称原語表記】Ethicon Endo−Surgery,Inc.
【Fターム(参考)】