説明

薬物送達デバイス用の駆動アセンブリ及び薬物送達デバイス

近位端(11)及び遠位端(12)、及び近位端(11)と遠位端(12)の間に伸びる縦軸(A)を備えるハウジング(10)、ハウジング(10)に対して回転可能である回転スリーブ(40)、及びハウジング(10)に対して軸方向に可動であるピストンロッド(50)を含んでなる、薬物送達デバイス(100)用の駆動アセンブリ。ピストンロッド(50)は、回転スリーブ(40)が第1の方向(D1)に回転するとき、ハウジング(10)に対して遠位方向に回転可能で可動であるように、そして回転スリーブ(40)が第1の方向(D1)と反対に第2の方向(D2)に回転するとき、ハウジング(10)に対して軸方向に動かないように回転スリーブ(40)と機械的協動関係にある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬物送達デバイスに好適な駆動アセンブリ及び薬物送達デバイスに関する。
【0002】
当該薬物送達デバイスは、正式な医学訓練のない使用者が薬物又は薬物の正確なそして事前に定義された用量を投与するのに必要な場合に適用し得る。特に、当該デバイスは、薬物が短期又は長期間にわたって定期的又は非定期的ベースで投与される場合に適用し得る。
【0003】
本発明の目的は改良操作性を備える駆動アセンブリを提供することである。本発明の更なる目的は、使い易いそして薬物の正確な送達が可能な薬物送達デバイスを提供することである。
【0004】
本目的は、請求項1に記載の駆動アセンブリ及び請求項15に記載の薬物送達デバイスによって達成される。有利な実施態様は従属クレームの対象である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
第1の態様によれば、薬物送達デバイスに好適な駆動アセンブリはハウジングを含む。ハウジングは近位端及び遠位端を含む。縦軸は近位端と遠位端の間に伸びる。駆動アセンブリは更に回転スリーブを含む。回転スリーブはハウジングに対して回転可能である。駆動アセンブリはピストンロッドを含む。ピストンロッドはハウジングに対して軸方向に可動である。ピストンロッドは、回転スリーブが例えば薬物の用量を送達するためにハウジングに対して第1の方向に回転するとき、ハウジングに対して遠位方向において可動であるように回転スリーブと機械的に協動して、例えば係合している。ピストンロッドは、回転スリーブが例えば薬物の用量を設定し又は選択するために第1の方向と反対に第2の方向に回転するとき、例えばハウジングに対して近位方向に静止して又は本質的に静止しているように回転スリーブと機械的協動関係にある。軸方向運動はハウシングの縦軸に沿っての動きであってよい。
【0006】
本駆動アセンブリの利点は、ハウジングに対してピストンロッドの軸方向運動のために、回転スリーブに対してピストンロッドの非常に高い機械的安定性を達成することができることである。その結果として、駆動アセンブリの非常に高い機械的安定性を達成することができる。
【0007】
回転スリーブはハウジングに対して軸方向変位に抗して固定し得る。ピストンロッドはハウジングに対して回転運動に抗して固定し得る。
【課題を解決するための手段】
【0008】
有利な実施態様では、駆動部材はハウジングに対して軸方向に可動である。駆動部材は駆動アセンブリの一部分であってよい。回転スリーブは、駆動部材が回転スリーブに対して軸方向に変位する場合に、ハウジングに対して回転できるように駆動部材と機械的に協動して、例えば係合している。
【0009】
回転スリーブは、駆動部材が駆動部材及び回転スリーブの機械的相互作用により遠位方向に又は近位方向に変位する場合に、ハウジングに対して回転できるように配置される。好ましくは、駆動部材は軸方向に案内される。駆動部材はハウジングにスプライン結合され得る。例えば使用者により駆動部材に加えられる軸力は、ハウジングに対して回転スリーブの回転運動へ変換される。その力は、回転スリーブが第1の方向に回転している場合に、ハウジングに対してピストンロッドの遠位方向運動へ変換することができる。
【0010】
これには、ハウジングに対して回転スリーブの回転運動へ駆動部材での軸力の単純変換が可能という利点がある。更に、駆動部材の軸方向運動は非常に精密なようにコントロールされ得る。従って、薬物の正確な投薬が容易になる。更にこのことは、その動作中に必要な駆動部材の回転運動はないので、薬物送達デバイスの使用者にとって非常に便利であり得る。
【0011】
更なる有利な実施態様では、回転スリーブは、駆動部材が遠位方向に変位するとき、ハウジングに対して第1の方向に回転し、そして駆動部材が近位方向に変位する場合に第2の方向に回転する。
【0012】
これには、薬物の用量の選択は、駆動部材が近位方向に変位するとき、簡単な方法で行なえるという利点がある。更に、薬物の送達は、駆動部材が遠位方向に変位するとき、簡単な方法で行なえる。更に、駆動部材の軸方向運動は、薬物の選択並びに用量の注射を非常に簡単にコントロールすることを可能にする。従って、用量違いの適用の非常に低いリスクにより薬物の非常に正確な投与が容易になる。
【0013】
更なる有利な実施態様では、駆動部材及び回転スリーブはねじ山によって係合している。好ましくは、駆動部材は回転スリーブの係合デバイスと係合する内側ねじ山を有する。あるいは、回転スリーブは駆動部材の係合デバイスと係合する外側ねじ山を有してもよい。
【0014】
ねじ山は、ハウジングに対する回転スリーブの回転運動へ駆動部材の軸方向運動の変換のために、駆動部材と回転スリーブを連結する好適な手段である。
【0015】
更なる有利な実施態様によれば、回転スリーブは半径方向への突出部を含む。突出部はハウジングの2つのセクションの間で軸方向に配置される。2つのセクションは回転スリーブの軸方向運動を防止する。
【0016】
これには、回転スリーブの軸方向運動が簡単な方法で防止することができ、そして回転スリーブの回転運動だけが可能であるという利点がある。
【0017】
更なる有利な実施態様によれば、ピストンロッドは外面に配置された少なくとも1つの案内トラックを備えた外面を有する。回転スリーブは案内トラックに配列され可動の案内ピースを含む。
【0018】
好ましくは、1つの案内トラックはピストンロッドの外面に配置される。
【0019】
これには、案内トラック及び案内ピースが、非常に優れた機械的連結特性を有するスロット付きガイド(slotted guide)として協動するのに簡単に設計することができるという利点がある。
【0020】
更なる実施態様によれば、案内トラックはピストンロッドの外面にジグザグ様の線を形成する。ジグザグ様の線は軸方向に伸びる。
【0021】
これには、ピストンロッドは、回転スリーブが第1の方向に回転しているとき、ハウジングに対して遠位方向に可動であり、そして回転スリーブがハウジングへ第1の方向と反対に第2の方向で回転しているとき、ハウジングに対して軸方向で静止しているという利点がある。
【0022】
更なる有利な実施態様によれば、案内トラックは第1のセクション及び第2のセクションを含む。第1のセクションは縦軸に対して垂直である。第2のセクションは縦軸に対して傾斜している。
【0023】
これには、ピストンロッドは、回転スリーブが第1の方向に回転しているとき、ハウジングに対して遠位方向に可動であり、そして回転スリーブがハウジングへ第1の方向と反対に第2の方向で回転しているとき、ハウジングに対して軸方向で静止しているという利点がある。
【0024】
更なる有利な実施態様によれば、第1のセクションはピストンロッドの軸方向運動を防止するように設計される。第1のセクションは回転スリーブの回転角運動を制限する縦軸に対して垂直な伸長部を有してよい。特に、ピストンロッドに対して第2の方向における回転スリーブの回転運動は第1のセクションの角拡張により制限されてよい。
【0025】
更なる有利な実施態様によれば、第2のセクションは第1の方向における回転スリーブの回転運動を、例えば第2のセクションにおける回転スリーブ及びピストンロッドの機械的相互作用により、ピストンロッドの軸方向運動に変換するように設計される。
【0026】
更なる有利な実施態様では、案内トラックは少なくとも1つのプライミングセクションを含む。プライミングセクションは第1のセクションの1つと第2のセクションの1つの間に配置される。
【0027】
これには、プライミング動作は、用量の選択が開始された後、及び薬物の投薬が始められる前に行うことができるという利点がある。これは薬物送達デバイスの異なる部材の間の正確な機械的合わせを容易にし、その結果として用量精度を増加し得る。
【0028】
更なる有利な実施態様では、案内トラックは少なくとも1つのエンドセクション(end section)を含む。少なくとも1つのエンドセクションはピストンロッドの軸方向運動を制限するように設計される。
【0029】
これには、ピストンロッドの更なる遠位方向運動を防止することができるという利点がある。
【0030】
更なる有利な実施態様では、ピストンロッドはハウジングに対してスプライン係合する。
【0031】
これには、軸方向におけるピストンロッドの動きを非常に正確な方式で行うことができるという利点がある。
【0032】
第2の態様によれば、薬物送達デバイスに好適な駆動アセンブリはハウジングを含む。ハウジングは近位端及び遠位端を含む。縦軸は近位端と遠位端の間で伸びる。駆動アセンブリは更に回転スリーブを含む。回転スリーブはハウジングに対して回転可能である。駆動アセンブリはピストンロッドを含む。ピストンロッドはハウジングに対して軸方向に可動である。
【0033】
ピストンロッドは外面に配置された案内トラックを備えた外面を有する。回転スリーブは案内トラックに配列され可動の案内ピースを含む。案内トラック及び案内ピースはスロット付きガイドとして協動するように設計される。
【0034】
これには、案内トラック及び案内ピースが、回転スリーブに対してピストンロッドの優れた案内を可能にするスロット付きガイドとして協動するのに簡単に設計することができるという利点がある。
【0035】
第3の態様によれば、薬物送達デバイスは駆動アセンブリを含む。薬物送達デバイスは薬物含有カートリッジを含む。ピストンロッドは薬物を投薬するのに薬物含有カートリッジに配置される栓と相互作用する。
【0036】
用語「薬物」又は「薬剤」は、この文脈においては等価表現として使われる。
【0037】
本明細書で使用する用語「薬物」又は「薬剤」は、好ましくは少なくとも1つの薬学的に活性な化合物を含む医薬製剤を意味し、
ここで一実施態様において、薬学的に活性な化合物は、最大で1500Daまでの分子量を有し、及び/又は、ペプチド、蛋白質、多糖類、ワクチン、DNA、RNA、抗体、酵素、抗体、ホルモン、若しくはオリゴヌクレオチド、又は上記の薬学的に活性な化合物の混合物であり、
ここで更なる実施態様において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病、又は糖尿病性網膜症などの糖尿病関連の合併症、深部静脈又は肺血栓塞栓症などの血栓塞栓症、急性冠症候群(ACS)、狭心症、心筋梗塞、癌、黄斑変性症、炎症、枯草熱、アテローム性動脈硬化症、及び/又は、関節リウマチの治療、及び/又は、予防に有用であり、
ここで更なる実施態様において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病、又は糖尿病性網膜症などの糖尿病に関連する合併症の治療、及び/又は、予防のための、少なくとも1つのペプチドを含み、
ここで更なる実施態様において、薬学的に活性な化合物は、少なくとも1つのヒトインスリン、又はヒトインスリン類似体若しくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP−1)、又はその類似体若しくは誘導体、又はエキセンジン−3又はエキセンジン−4、若しくはエキセンジン−3又はエキセンジン−4の類似体若しくは誘導体を含む。
【0038】
インスリン類似体は、例えば、Gly(A21)、Arg(B31)、Arg(B32)ヒトインスリン;Lys(B3)、Glu(B29)ヒトインスリン;Lys(B28)、Pro(B29)ヒトインスリン;Asp(B28)ヒトインスリン;ヒトインスリンであり、ここで、B28位におけるプロリンは、Asp、Lys、Leu、Val又はAlaで代替され、そして、B28位において、Lysは、Proで代替されてもよく;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28−B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリン、及びDes(B30)ヒトインスリンである。
【0039】
インスリン誘導体は、例えば、B29−N−ミリストイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−パルミトイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−ミリストイルヒトインスリン;B29−N−パルミトイル ヒトインスリン;B28−N−ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28−N−パルミトイル−LysB28ProB29ヒトインスリン;B30−N−ミリストイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30−N−パルミトイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29−N−(N−パルミトイル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(N−リトコリル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)−des(B30)ヒトインスリン、及びB29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。
【0040】
エキセンジン−4は、例えば、エキセンジン−4(1−39)、H−His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser−NH2配列のペプチドを意味する。
【0041】
エキセンジン−4誘導体は、例えば、以下の化合物リスト:
H−(Lys)4−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−(Lys)5−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);又は
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−(1−39);
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);
ここで、基−Lys6−NH2は、エキセンジン−4誘導体のC−末端と連結してもよく;
【0042】
又は以下の配列のエキセンジン−4誘導体:
H−(Lys)6−desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2
desAsp28,Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−(Lys)6−desPro36,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−Asn−(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2
H−desAsp28 Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−des Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2
desMet(O)14,Asp28,Pro36,Pro37,Pro38 エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−Asn−(Glu)5,desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−Lys6−desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25, Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2
H−desAsp28,Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−(Lys)6−des Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(S1−39)−(Lys)6−NH2
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
又は前述のいずれかのエキセンジン−4誘導体の薬学的に許容可能な塩若しくは溶媒和物;
から選択される。
【0043】
ホルモンは、例えば、ゴナドトロピン(ホリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン (ソマトロピン)、デスモプレッシン、テルリプレッシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、ロイプロレリン、ブセレリン、ナファレリン、ゴセレリンなどのRote Liste、2008年版、50章に表示されている脳下垂体ホルモン又は視床下部ホルモン又は規制活性ペプチド及びそれらの拮抗剤である。
【0044】
多糖類としては、例えば、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリン、又は超低分子量ヘパリン、若しくはその誘導体などのグルコアミノグリカン、又はスルホン化された、例えば、上記多糖類のポリスルホン化形体、及び/又は、薬学的に許容可能なその塩がある。ポリスルホン化低分子量ヘパリンの薬学的に許容可能な塩の例としては、エノキサパリンナトリウム塩がある。
【0045】
薬学的に許容可能な塩は、例えば、酸付加塩及び塩基塩がある。酸付加塩としては、例えば、HCl又はHBr塩がある。塩基塩は、例えば、アルカリ又はアルカリ土類金属、例えば、Na+、又は、K+、又は、Ca2+から選択されるカチオン、又は、アンモニウムイオンN+(R1)(R2)(R3)(R4)を有する塩であり、ここで、R1〜R4は互いに独立に、水素;場合により置換されるC1−C6アルキル基;場合により置換されるC2−C6アルケニル基;場合により置換されるC6−C10アリール基、又は場合により置換されるC6−C10ヘテロアリール基である。薬学的に許容される塩の更なる例は、“Remington's Pharmaceutical Sciences”17編、Alfonso R.Gennaro(編集),Mark
Publishing社,Easton, Pa., U.S.A.,1985 及び Encyclopedia of Pharmaceutical Technologyに記載されている。
【0046】
薬学的に許容可能な溶媒和物としては、例えば、水和物がある。
【0047】
本発明の代表的実施態様が概略図を用いて下記で説明される。これらは次のとおりである:
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】透視図において実施態様に記載の駆動アセンブリの部材を概略的に示す。
【図2】透視図において実施態様に記載の駆動アセンブリの駆動部材、回転スリーブ及びピストンロッドを概略的に示す。
【図3】縦断面図において実施態様に記載の駆動アセンブリを備えた薬物送達デバイスの断面を概略的に示す。
【図4】平面側面図において実施態様に記載のピストンロッドの断面を概略的に示す。
【図4A】平面側面図において更なる実施態様に記載のピストンロッドの断面を概略的に示す。
【図4B】平面側面図において更なる実施態様に記載のピストンロッドの断面を概略的に示す。
【図4C】平面側面図において更なる実施態様に記載のピストンロッドの断面を概略的に示す。
【図4D】平面側面図において更なる実施態様に記載のピストンロッドの断面を概略的に示す。
【図5】薬物送達デバイスを概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0049】
図1及び2は駆動アセンブリを示す。駆動アセンブリは好ましくは薬物送達デバイス100(図5参照)の一部である。好ましくは、薬物送達デバイス100は薬物を注射し得るペン型薬物送達デバイスである。好ましくは、薬物送達デバイス100はプリセット用量を投薬するように構成される固定用量デバイスである。駆動アセンブリはハウジング10(図3及び5参照)を含む。更に、駆動アセンブリは駆動部材20及び回転スリーブ40を含む。加えて、駆動アセンブリはピストンロッド50を含む。
【0050】
好ましくは、ハウジング10は近位端11と遠位端12の間で伸びる。ハウジング10は中空シリンダー形状を有してよい。好ましくは、ハウジング10は第1のセクション14及び第2のセクション16を含む。第1のセクション14はスリーブ様の形状を有する。第2のセクション16はディスク様の形状を有する。第2のセクション16は第1のセクション14に固定して連結される。
【0051】
ハウジング10は遠位端12に連結手段を含んでよい。ハウジング10は遠位端12に配置された連結手段を含んでよい。遠位端12における連結手段はハウジング10をカートリッジホルダ102(図5参照)と連結するためであり得る。カートリッジホルダ102は第2のセクション16と相互作用する。第2のセクション16は、カートリッジホルダ102の特定位置を得るためのカートリッジホルダ102に対する中間エレメントとして作用する。
【0052】
縦軸Aは近位端11と遠位端12の間で伸びる。縦軸Aは基本的にはハウジング10の中心を通して伸びる。ハウジング10の表面は基本的には縦軸Aに沿って伸びる。ハウジング10は、例えば薬物の投薬回数又は残存用量を示し得る表示部を備えるための開口部を含んでよい。
【0053】
駆動部材20は好ましくは軸方向に伸びている内側ねじ山21を含む(図3)。駆動部材20の内側ねじ山21は、縦軸A又は縦軸Aと平行な軸であるこの経路の中心軸でラセン経路を従動する。他の実施態様では、回転スリーブ40は駆動部材20の係合デバイスと係合する外側ねじ山を有する。駆動部材20はハウジング10に対して軸方向に変位性で、それによりねじ山21を介する回転スリーブ40の回転運動を可能にする。好ましくは回転スリーブ40に対する駆動部材20のいずれの軸方向運動も回転スリーブ40の回転運動に変換される。
【0054】
駆動部材20はハウジング10にスプライン係合する。駆動部材20は好ましくは軸方向に伸びている少なくとも1つの溝22を含む。溝22はハウジング10と例えばタブ(tab)と係合している。タブはハウジング10の部材であり、又はハウジング10にロックされる。ハウジング10と係合している溝22は、ハウジング10に対して相対的な駆動部材20の軸方向運動を確実にすることができる。他の実施態様では、ハウジング10は溝を含み、そして駆動部材20は溝と係合しているタブを含む。
【0055】
駆動部材20は、好ましくは更なる部材と駆動部材20を連結するための連結手段を含む。例えば、用量ボタン24は駆動部材20に連結される。用量ボタン24は、駆動部材20に対して遠位又は近位方向において用量ボタン24に加えられる力を伝達し得る。用量ボタン24は、薬物の用量を投与するためにハウジング10に対して遠位方向に押し込まれてよい。用量ボタン24は、薬物の用量を設定するためにハウジング10に対して近位方向に引っ張られてよい。別の実施態様では、薬物の用量を投与するための力は直接駆動部材20に加えられる。本実施態様では、別個の用量ボタン24は必要ではない。その力は使用者により用量ボタン24に手動で加えられる力であってよい。
【0056】
回転スリーブ40は外面42を有する。外面42は、軸方向に伸びる係合デバイス43を含み、そして駆動部材20のねじ山21と係合している。ねじ山21及び係合デバイス43は、回転スリーブ40の回転運動へ駆動部材20の軸方向運動の変換を可能にする。回転スリーブ40の回転運動は、第1の方向D1で又は第1の方向D1に対して反時計回りの第2の方向D2で行うことができる。特に、第1の方向D1における回転スリーブ40の回転運動は、駆動部材20の遠位方向運動であるハウジング10に対して遠位方向D3における駆動部材20の動きによって達成することができる。従って、第2の方向D2における回転スリーブ40の回転運動は、近位方向D4においてハウジング10に対する駆動部材20の軸方向近位運動によって達成することができる。
【0057】
回転スリーブ40は、半径方向に伸びる突出部44、例えば半径方向外向き指向フランジを含む。突出部44はハウジング10の第1のセクション14と第2のセクション16の間に配置されるので(図3参照)、ハウジング10に対する回転スリーブ40の軸方向運動を防止することができる。従って、回転スリーブ40は第1の方向D1及び第2の方向D2においてだけ回転運動を行うことができる。
【0058】
回転スリーブ40は、半径方向、特にハウジング10の縦軸Aに向いて回転スリーブ40の内面から突出する案内ピース45を有する。案内ピース45はピストンロッド50と係合している。
【0059】
ピストンロッド50は外面52を有する。案内トラック53はピストンロッド50の外面52に配置される。好ましくは、回転スリーブ40の案内ピース45は案内トラック53に配置される。好ましくは、案内ピース45は案内トラック53において可動である。案内ピース45及び案内トラック53の係合は回転スリーブ40とピストンロッド50の間の安定した連結結合を可能にする。
【0060】
好ましくは、案内ピース45は図4及び図4Aに示すように円正方形断面を有する。これは案内トラック53において案内ピース45の滑らかで安定した動きを可能にする。
【0061】
図4は詳細図においてピストンロッド50の案内トラック53を示す。案内ピース45及び案内トラック53は係合される。案内トラック53は曲がってよいピストンロッド50の外面52に伸びる。回転スリーブ40及びピストンロッド50の機能を説明するために、案内トラック53の経路が図4の平面図で示される。案内トラック53は、ピストンロッド50が遠位方向に動く場合に案内ピース45に沿って動き得る。
【0062】
図4、4A及び4Bにおいて特に見られるように、案内トラック53は好ましくは、ピストンロッド50の外面52上にジグザグ様の線のように形成される。好ましくは、案内トラック53を形成するジグザグ様の線は、特に案内トラック53の範囲の主方向が関係している範囲まで軸方向に伸びている。
【0063】
案内トラック53は連続セグメントを有し、案内トラック53の連続セグメントの各々は第1のセクション54及び第2のセクション55を含む。第1のセクション54の1つ及び第2のセクション55の1つの連続セグメントの各々は、「V」のように形成される。「V」のように形成されるこれらの連続セグメントの一個が図4B、4C及び4Dに示される。第1のセクション54は、縦軸Aに対して便宜的に垂直に又は本質的に垂直に伸びて、そして用量設定セクションとして作用している。案内ピース45は用量設定中に第1のセクション54に進む(travel)。第2のセクション55は縦軸Aに対して斜めに伸び、用量投薬セクションとして作用している。セグメントの第1のセクション54が軸Aに対して斜めになっている場合、そのセグメントの第2のセクション55は好ましくは軸Aに対して更に斜めである。しかしながら、第1のセクション54は軸Aに対して垂直に伸びることが好ましい。案内ピース45は用量投薬中に第2のセクション55に移動する。第2のセクション55は第1の経路P1を画成し、そして第1のセクション54は第2の経路P2を画成する。第1の経路P1及び第2の経路P2は案内ピース45を案内するように設計される。一般的に、第1のセクション54及び第2のセクション55は案内トラック53に沿って交互に配列され、それにより案内トラック53に対してジグザグの線を形成する。
【0064】
他の実施態様では、案内トラック53は異なる軸方向伸長をする第2のセクション56、57を有する。軸Aで突起部に見られる第2のセクションの1つ56の角度は、軸Aで突起部に見られる第2のセクションのもう1つ57の角度と異なってよい。その結果として、第2のセクションの1つ56の長さは第2のセクションのもう1つ57の長さと異なってよい。傾斜した第2のセクション55の軸方向伸長はピストンロッド50の軸方向変位を画成するので、第2のセクション56、57の長さは、第2のセクション55で案内ピース45の移動中に注射される薬物の用量を決定する。
【0065】
図4の実施態様では、第1のセクション54の一つの一端と第2のセクション55の一つの隣接端の間に、プライミングセクション58が配置される。プライミングセクション58は、第1のセクション54との相互作用から第2のセクション55との相互作用まで案内ピース45の移行中に、案内ピース45に対して案内トラック53の小さな軸方向運動を可能にする。小さな軸方向運動は、案内ピース45がプライミングセクション58と相互作用する場合に、第1の方向D1における回転スリーブ40の回転を軸方向運動に変換することによってもたらされ得る。用量送達中にピストンロッド50の軸方向運動と比べて小さくてよい小さな軸方向運動のために、案内ピース45が第2の方向D2において回転スリーブ40の後続の回転中に本セグメントの第2のセクション55と相互作用し得るように、案内ピース45及び案内トラック53は互いに対して相対的に位置してよい。
【0066】
案内トラック53は更に2つのエンドセクション59、図4及び4Aにおいて案内トラック53の上端で1つ及び下端で1つを含む。
【0067】
ピストンロッド50は更に案内エレメント60を含む。これによりピストンロッド50はハウジング10にスプライン係合する。これは回転なしに軸方向においてピストンロッド50の正確な動きを容易にする。
【0068】
図4Aの実施態様では、プライミングセクション58は案内トラック53の下端に配置し、傾斜セクションとして形成される。プライミングセクション58は案内ピース45に対して案内トラック53の軸方向運動を可能にする。この軸方向運動は、最初の用量送達に先立って案内ピース45がプライミングセクション58と相互作用する場合に、第1の方向D1における回転スリーブ40の回転を軸方向運動に変換することによってもたらされ得る。用量送達中にピストンロッド50の軸方向運動と比べて小さくてよいこの軸方向運動のために、案内ピース45が第2の方向D2において回転スリーブ40の後続の回転中に本セグメントの第2のセクション55と相互作用し得るように、案内ピース45及び案内トラック53は互いに対して相対的に位置してよい。
【0069】
図4Aの実施態様では、エンドセクション59は図4Aに対して一番上の第2のセクション55の近位端に直接配置される。これは最後の許容用量が投薬された直後に、ピストンロッド50の更なる設定動作を早くも防止することを可能にする。図4の実施態様では、後続の用量設定動作が許容され、一方で実施する必要がある後続の用量投薬動作は防止される。
【0070】
図4B及び4Cの実施態様では、案内ピース45はその近位端に傾斜切削を有する半円正方形断面を有する。傾斜切削の角度は図4B及び4Cで異なる。傾斜切削は案内トラック53における案内ピース45の滑らかで安定した動きを許容する。
【0071】
図4Dの実施態様では、案内ピース45は半円正方形断面を有する。案内ピース45のこの形状は案内トラック53における案内ピース45の安定した動きを許容する。
【0072】
更に、図4B、4C及び4Dの実施態様では、案内トラック53の第1のセクション54は、第1のセクション54の近位壁から伸びる楔形の突起部62を有する。突起部62は弾性的に変形可能である。突起部62は断面、特に第1のセクション54の軸方向伸長を減少させる。第1のセクション54は図4B、4C及び4Dの図で右から左の方向に先細りになってよい。突起部62は案内ピース45と機械的協動関係にある。特に楔形の突起部62と組み合わせた図4B、4C及び4Dの案内ピース45の形状は、案内トラック53において案内ピース45の予期せぬ後退を防止し得る。この理由は、案内ピース45が第1のセクション54から第2のセクション55までのその動作中に突起部62を通過した後に、右上エッジを有する案内ピース45の形状及び突起部62の形状は、案内ピース45が第2のセクション55へスナップしそしてそれ故第1のセクション54から第2のセクション55まで戻る案内ピース45の動きを防止する結果になるからである。
【0073】
加えて又は代わりに、図4B、4C及び4Dの実施態様では、凹部64は突起部62に隣接して第1のセクション54と第2のセクション55の間に配置される。案内ピース45が第1のセクション54から第2のセクション55までその動作中に突起部62を通過する場合に、凹部64は突起部62の可撓性を増加させる。その結果として、第1のセクション54から第2のセクション55まで案内ピース45の確実な通過が、第2のセクション55から第1のセクション54まで戻る案内ピース45の動きの阻止を妨害せずに可能である。
【0074】
図5は、薬物送達デバイス100を示す。薬物送達デバイス100は固定用量デバイス、特に固定した、非使用者変動性の、例えば一定の用量を投薬するためのデバイスであってよい。薬物送達デバイス100は、カートリッジホルダ102(図3)に配置される薬物含有カートリッジ101を含む。カートリッジ101は薬物103を保持する。薬物及び薬物はこの文脈では等価表現として使用される。薬物送達デバイス100は更にニードルデバイス104を含む。ニードルデバイス104は薬物含有カートリッジ101の遠位端に配置され、そして好ましくはそれに固定される。薬物103はニードルデバイス104を通して投薬することができる。薬物103は、インスリン、成長ホルモン、低分子量ヘパリン、及び/又はそれらのアナログ及び/又は誘導体を含んでよい。薬物103は流体であってよい。
【0075】
栓105はカートリッジ101の内側に配置される。栓105はカートリッジ101の内側で変位することができる。カートリッジ101に対して遠位方向における栓105の変位は薬物の投薬をもたらす。栓105の動きはピストンロッド50により作動する。ピストンロッドはベアリング70を介して栓105に作用する。好ましくは、ベアリング70はピストンロッド50と栓105との間に軸方向に配置される。あるいは、ベアリング70は、無しで済ませ得る。
【0076】
薬物含有カートリッジ101の近位端において、駆動アセンブリが配置される。薬物含有カートリッジ101は、好ましくはハウジング10の遠位端側でハウジング10に固定される。
【0077】
下記において、駆動アセンブリ及び薬物送達デバイスの機能は特に図4の実施態様の図で詳細に記載される:
【0078】
用量ボタン24の作動、好ましくはハウジング10に対して用量ボタン24の手動で作動する動きは、駆動アセンブリの一部である駆動部材20の直線変位をもたらす。駆動部材20は遠位方向に、例えば遠位端12、及びニードルデバイス104に向いてそれぞれ直線変位する。駆動部材20の直線変位は、第1又は第2の方向D1、D2の1つに回転スリーブ40の回転運動及びピストンロッド50の対応の変位をもたらす。注射相におけるピストンロッド50の変位は好ましくは直線状である。
【0079】
用量の設定中に、使用者は駆動部材20を近位方向D4に引っ張る。ハウジング10に対する近位方向D4における駆動部材20の動きは第2の方向D2における回転スリーブ40の回転運動と相関するので、回転スリーブ40の案内ピース45は、図4に関して右から左へ第2の経路P2上で案内トラック53の第1のセクション54に沿って進む。図4に関して鏡像配置における案内トラックによる示されていない更なる実施態様では、第2の経路上で左から右へ案内トラックの第1のセクションに沿って進んでよい。案内ピース45の動きは案内トラック53を限定している2つの壁により制限される。案内トラック53の本セグメントの第1のセクション54と第2のセクション55の間で移行エリアの近くに又は移行エリアにおいて、案内ピース45が案内トラック53の壁、例えば案内トラック53の左の壁と接触するようになるまで、案内ピース45は第2の経路P2に沿って進む。
【0080】
第1のセクション54の1つから第2のセクション55の1つまで案内ピース45の移行中に、案内ピース45はプライミングセクション58を通過する。これにより遠位方向におけるピストンロッド50の小さな軸方向運動がもたらされる。ピストンロッド50のこの小さな軸方向運動の他に、ピストンロッド50は用量設定工程中にハウジング2に対して軸方向に動くことはできない。ピストンロッド50の小さな軸方向運動はハウジング10及びカートリッジ101に対してピストンロッド50の正確な機械的合わせをもたらし得る。その結果として、下記の投薬相中に薬物103の正確な投与が容易になる。更に、別の壁、例えば案内トラック53の右にある壁は、以前に通過した第1のセクション54に再入することを防止するように案内ピース45により機械的に協動することができるので、プライミングセクション58は、以下の工程段階中に開始点に戻って第2の経路P2に沿って案内ピース45の動きを防止し得る。第2の経路P2の終わりに、用量設定工程は完結する。
【0081】
用量を投薬するために、使用者は、遠位方向D3において薬物送達デバイス100の駆動部材20を押す。ハウジング10に対して遠位方向D3における駆動部材20の動きは、第1の方向D1における回転スリーブ40の回転運動と相関するので、回転スリーブ40の案内ピース45は図4について左から右まで第2のセクション55の第1の経路P1に従動する。案内ピース45の動きは案内トラック53を限定している2つの壁によって再度制限される。ここで案内ピース45の動きは案内トラック53の右の壁と協動する。従って、案内ピース45が本セグメントの第2のセクション55と案内トラック53の後続セグメントの第1のセクション54の間の移行エリアに到達するまで、案内ピース45は第1の経路P1に沿って進む。この動きの間に、ピストンロッド50は第2のセクション54の傾斜壁と相互作用する案内ピース45のために遠位方向に動く。それにより、薬物103は薬物含有カートリッジ101から投薬し得る。
【0082】
用量を設定して投薬する記載のサイクルが行われた後に、使用者は連続的な手順で用量を設定して投薬する記載の工程を行ってよく、ここで回転スリーブ40の案内ピース45は第1のセクション54の1つ及び第2のセクション55の1つを備えた連続的セグメントによって案内される。このように複数回投与の薬物が投薬され得る。
【0083】
案内トラック53のエンドセクション59は案内ピース45の動きを制限し、その結果としてハウジング10に対して相対的なピストンロッド50の動きを制限する。2つのエンドセクション59は連続的セクションの最大数を規定し、その結果として使用者により行うことができる用量設定及び用量投薬サイクルを規定する。特に、案内トラック53の近位端でのエンドセクション59は、最後の許容用量が投薬された後にピストンロッド50の投薬動作を防止することができる。
【0084】
図4Aの実施態様の駆動アセンブリ及び薬物送達デバイスの機能は、プライミングセクション58が案内トラック53の下端に配置され、傾斜断面のような形状を有するので図4の実施態様の機能と異なる。従って、ハウジング10及びカートリッジ101に対してピストンロッド50の正確な機械的合わせは、初回の用量投薬相中に薬物103の正確な投与を得ることができるように、初回の用量投薬に先立つ最初の用量設定と関連して一度だけ実施される。更に、案内トラック53の近位端においてエンドセクション59の異なる位置は、最後の許容用量が投薬された後にピストンロッド50の更なる設定動作を防止することができる。
【0085】
図4B、4C及び4Dの実施態様の駆動アセンブリ及び薬物送達デバイスの機能は、案内ピース45と楔形突起部62との間の機械的協動が、以下の工程段階中に開始点に戻って第2の経路P2に沿って案内ピース45の動きを防止し得る点で図4の実施態様の機能と異なる。案内ピース45が楔形突起部62を通過した後、案内ピース45は第2のセクション55へスナップし、そして既通過第1のセクション54への再入は第2のセクション55から第1のセクション54まで戻る通過をブロックする楔形突起部62によって防止され得る。
【0086】
参照番号
10 ハウジング
11 近位端
12 遠位端
14 第1のセクション
16 第2のセクション
20 駆動部材
21 ねじ山
22 溝
24 ボタン
40 回転スリーブ
42 外面
43 係合デバイス
44 突出部
45 案内ピース
50 ピストンロッド
52 外面
53 案内トラック
54 第1のセクション
55 第2のセクション
56 第2のセクション
57 第2のセクション
58 プライミングセクション
59 エンドセクション
60 案内エレメント
62 突起部
64 凹部
70 ベアリング
100 薬物送達デバイス
101 薬物含有カートリッジ
102 カートリッジホルダ
103 薬物
104 ニードルデバイス
105 栓

A 縦軸
D1 第1の方向
D2 第2の方向
D3 遠位方向
D4 近位方向
P1 第1の経路
P2 第2の経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
−近位端(11)及び遠位端(12)、及び近位端(11)と遠位端(12)の間に伸びる縦軸(A)を備えるハウジング(10)、
−ハウジング(10)に対して回転可能である回転スリーブ(40)、及び
−ハウジング(10)に対して軸方向に可動であるピストンロッド(50)を含んでなる、薬物送達デバイス(100)用の駆動アセンブリであって、ピストンロッド(50)は、回転スリーブ(40)が第1の方向(D1)に回転するとき、ハウジング(10)に対して遠位方向に可動であるように、そして回転スリーブ(40)が第1の方向(D1)と反対に第2の方向(D2)に回転するとき、ハウジング(10)に対して軸方向に動かないように回転スリーブ(40)と機械的協動関係にある、上記駆動アセンブリ。
【請求項2】
駆動部材(20)は、ハウジング(10)に対して軸方向に可動であり、そして回転スリーブ(40)は、駆動部材(20)が回転スリーブ(40)に対して軸方向に変位するとき、ハウジング(10)に対して回転できるように駆動部材(20)と機械的協動関係にある、請求項1に記載の駆動アセンブリ。
【請求項3】
回転スリーブ(40)は、駆動部材(20)が遠位方向に変位するとき、ハウジング(10)に対して第1の方向(D1)に回転し、そして駆動部材(20)が近位方向に変位するとき、に第2の方向(D2)に回転する、請求項2に記載の駆動アセンブリ。
【請求項4】
駆動部材(20)及び回転スリーブ(40)が、ねじ山(21)による係合関係にある、請求項2又は3に記載の駆動アセンブリ。
【請求項5】
回転スリーブ(40)が、ハウジング(10)の2つのセクション(14、16)の間で軸方向に配置されている半径方向突出部(44)を含み、2つのセクションは回転スリーブ(40)の軸方向運動を防止する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の駆動アセンブリ。
【請求項6】
ピストンロッド(50)は、外面(52)に配置された少なくとも1つの案内トラック(53)を備えた外面(52)を有し、そして回転スリーブ(40)は案内トラック(53)に配列され可動である案内ピース(45)を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の駆動アセンブリ。
【請求項7】
案内トラック(53)は、ピストンロッド(50)の外面(52)にジグザグ様の線を形成し、ジグザグ様の線が本質的に軸方向に伸びる、請求項6に記載の駆動アセンブリ。
【請求項8】
案内トラック(53)が、第1のセクション(54)及び第2のセクション(55)を含み、第1のセクション(54)は縦軸(A)に対して垂直で第2のセクション(55)は縦軸(A)に対して傾斜している、請求項6又は7に記載の駆動アセンブリ。
【請求項9】
第1のセクション(54)は、ピストンロッド(50)の軸方向運動を防止するように設計され、そして回転スリーブ(40)の回転運動を制限する縦軸(A)に対して垂直な伸長部を有する、請求項8に記載の駆動アセンブリ。
【請求項10】
第2のセクション(55)は、第1の方向における回転スリーブの回転運動をピストンロッド(50)の軸方向運動に変換するように設計される、請求項8又は9に記載の駆動アセンブリ。
【請求項11】
案内トラック(53)が、1つの第1のセクション(54)と1つの第2のセクション(55)の間に配置される少なくとも1つのプライミングセクション(58)を含む、請求項8〜10のいずれか1項に記載の駆動アセンブリ。
【請求項12】
案内トラック(53)が、ピストンロッド(50)の軸方向運動を制限するように設計される少なくとも1つのエンドセクション(59)を含む、請求項6〜11のいずれか1項に記載の駆動アセンブリ。
【請求項13】
ピストンロッド(50)がハウジング(10)にスプライン係合する、請求項1〜12のいずれか1項に記載の駆動アセンブリ。
【請求項14】
−近位端(11)及び遠位端(12)、及び近位端(11)と遠位端(12)の間に伸びる縦軸(A)を備えるハウジング(10)、
−ハウジング(10)に対して回転可能である回転スリーブ(40)及び
−ハウジング(10)に対して軸方向に可動であるピストンロッド(50)を含んでなる、薬物送達デバイス(100)用の駆動アセンブリであって、ピストンロッド(50)は、外面(52)に配置された案内トラック(53)を備えた外面(52)を有し、回転スリーブ(40)は、案内トラック(53)に配列され可動である案内ピース(45)を含み、案内トラック(53)及び案内ピース(45)が、スロット付きガイドとして協動するように設計される、上記駆動アセンブリ。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか1項に記載の駆動アセンブリを備える薬物送達デバイス(100)であって、薬物送達デバイス(100)が、薬物含有カートリッジ(101)を含み、そしてピストンロッド(50)が、薬物含有カートリッジ(101)に配置されている栓(105)と相互作用して、薬物(103)を投薬する、上記薬物送達デバイス(100)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−512743(P2013−512743A)
【公表日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−542482(P2012−542482)
【出願日】平成22年12月6日(2010.12.6)
【国際出願番号】PCT/EP2010/068915
【国際公開番号】WO2011/069935
【国際公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(397056695)サノフィ−アベンティス・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (456)
【Fターム(参考)】