説明

蚊幼生体脱皮阻害剤徐放装置

【課題】建物の近辺にある蚊が産卵する水たまり、例えば雨水桝、樋、側溝、小さな池等の水たまりに入れておくことにより、蚊の幼虫が成体にならず、長期間にわたり蚊の発生を抑えることができる装置を提供する。
【解決手段】ピリプロキシフェン(pyriproxyfen)を無害の色素で着色させて3、多孔性素材である珪藻土2に吸着させ、表面を凸凹にした塊状物4の中央に穴5をあけて、その穴にヒモ1を通した物体をつくり、蚊が産卵する水の中へ入れて、薬剤が少しづつ溶け出すようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は建物まわりの蚊が産卵する水たまり、例えば雨水桝、樋、側溝、小さな池等の中で蚊が幼生(ボウフラ)から成虫になる過程を阻害する幼若ホルモン類縁体のピリプロキシフェン(pryriproxyfen)を多孔性素材である珪藻土に吸着せしめ、これを上記の水たまりに投入することにより、上記のピリプロキシフェンが徐々に水に溶けていき、蛹化、成虫化の変態阻害作用で殺虫効果を持続的に発現する。
更に、本発明は長期間にわたり薬の有効濃度が持続するものであり特に梅雨の時期、蚊が多く発生するが雨の多い時に水が新しく変わっても効果が減ずることなく殺虫効果を発現する。
また、紐をつけることにより強い水流の場合にも流されないようにすることもできる。
【背景技術】
【0002】
これまで昆虫の趨光性(phototaxis)を利用して、高電圧で殺虫する装置や、殺虫剤を噴霧させて蚊を死滅させる方法が取られている。
また、蚊が嫌う臭いを分散させて寄せつけない装置や機器は多数あるが、蚊の発生に対してはほとんど認むべき効果がない現状である。
よくある蚊の対策製品としては次のようなものがある。
1.蚊取り線香
2.電撃殺虫灯
3.超音波式虫除け器
4.ハーブによる虫除けバンダナ
などがある。これらがダメな理由としては、
(A)殺虫効果が不完全
(B)忌避剤で、しかも局所以外は防御できない
(C)散歩などの移動中は防御しない
といった状況が考えられ、結局、蚊に刺される量や確立を減らすことはできても完全な駆除はできない。
更に殺虫剤の場合には人体に危険を及ぼす可能性もある。
最近、ボウフラから成虫への変態を止める昆虫の生理性物質、幼若ホルモン類縁体であるピリプロキシフェンが発泡体の固体として開発されているが、その効果は短期間であり、一旦雨が降り、水が流れてゆくと薬剤も流されて無効となる。
そこで長期間にわたっても少しずつ徐々に薬剤が水に溶け、効果が持続的に発現するものを発明する必要性がある。
この発明の塊を蚊の発生する部位に入れておくと、幼生(ボウフラ)から成虫とならない。水に流されることなく、しかも徐放性であるが故に夏の蚊の発生する初期に処置すれば以後、蚊の発生は大幅に防止できる。
【発明の概要】
建物のまわりの蚊が産卵する水たまり、例えば雨水桝、樋、側溝、小さな池など、水のたまるところは多い。ここでボウフラから蚊が生まれる。蚊を殺す殺虫剤や上記のピリプロキシフェンなどを入れておくと一時的には効果があるが雨が降り、水が増し、流れが強くなると薬は流されてしまい効果がなくなる。
そこで投入した部位にとどまり、長期間にわたって薬効を発現する素材を発明した。
【発明が解決しようとする課題】
雨が降り、水量が増すと、水に流されたりして薬の効果が減退する。
そこで長期間にわたり雨が降って水量があっても効果が発現できる塊状の薬剤である。
【解決するための手段】
【0003】
多孔性の素材である珪藻土に幼若ホルモン類縁体である液状のピリプロキシフェンを無害の色素で着色、混合して珪藻土に十分に浸透させて一体化させて塊状をつくる。
その塊を水の中に入れておく。水流がきついところは紐をつけて解決する。
少々の水の流れにも流されることなく、徐々に上記のピリプロキシフェンが溶け出してゆき、長期間にわたり薬の効果が発現できる塊状の薬剤である。
【発明の効果】
【0004】
本発明を蚊が産卵する水たまりに入れておくと、幼若ホルモン類縁体であるピリプロキシフェンが長期間にわたり、徐々に水に溶けてゆき、蚊の蛹化、成虫化の変態阻害作用で殺虫効果を持続的に発現する。着色することにより、薬が切れたかどうかを人間の目で確認することができると共に、ヒモでつるすことにより、強い水流に流されることはない。
更にいつでも回収し、新しいものに交換することができる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】本発明の正面図
【図2】本発明の側面図
【図3】本発明の一部切欠断面図
【発明を実施するための形態】
【0006】
蚊が産卵する建物のまわりの水たまりに本考案をつるしておく。
【実施例】
【0007】

【0008】

【0009】

【産業上の利用可能性】
【0010】
蚊は多くの重大な病気(日本脳炎、マラリア、デング熱、フィラリア等)を媒介する有害な虫である。
蚊の増殖には、人その他の生物の赤血球が必須で、そのため蚊は炭酸ガス、熱を発する哺乳類を刺して血液を吸引する。
つまり、雌の蚊のみが吸血し、これを素水たまり等に産卵する習性をもつ。
本発明は蚊の幼虫であるボウフラに幼若ホルモンとして作用し、蛹化、成虫化の変態阻害作用等により殺虫効果を発現するピリプロキシフェンと多孔性素材である珪藻土を混合させた塊状の薬剤を蚊が産卵する水たまりに入れておくと、長期間にわたり薬が徐々に浸出し、効果が発現する
ものである。雨が降って水の流れがきても紐のために流されることはない。
薬の効果は水 1tに対して10gで十分効果があることが証明されている。
常々たまる雨水桝、側溝などの底の水たまりは、約1l〜3lであり、0.01〜0.03gの薬の放出で十分効果が見込まれる。
なお、小さい池等の大きな水たまりには数個の塊を入れることにより解決できる。
またこの塊の大きさもいろいろとつくることで解決する。
このピリプロキシフェンは人体に無害であることが証明されており、いくら投入をしても環境汚染にはならない。
【符号の説明】
【0011】
▲1▼ 紐(ヒモ)
▲2▼ 珪藻土
▲3▼ 着色したピリプロキシフェン
▲4▼ 凸凹の表面の珪藻土
▲5▼ 穴
【解決するための手段】
【0012】
人間の目で水に溶けたかどうかを確認できるようにするために、珪藻土に無害の色素で着色したピリプロキシフェンを吸収させて、真ん中に穴をあけ、ヒモをつける。
【0013】
珪藻土の表面を凸凹にする。これはより多くの表面積をつくりピリプロキシフェンがより多く珪藻土に吸収することができ、また水に溶ける比率も高める効果がある。
【0014】
人体に無害の色素で着色することにより、ピリプロキシフェンが水に溶けたかどうかを人間の目で確認することが可能となる。
【0015】
ヒモでつるすことにより長期間にわたり、強い水流に流されることを防禦すると共に水に流され、側溝などのつまりの公害を防ぐと共に、ヒモにより回収して新しいものに交換することが容易になる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
幼若ホルモンとして作用し、蚊の蛹化、成虫化の変態阻害作用等により、殺虫効果を発現するピリプロキシフェン(pyriproxyfen)を無害の色素で着色させて、多孔性素材である珪藻土に吸着させ、表面を凸凹にした塊状の中央に穴をあけて、その穴にヒモを通した塊状である。
上記の塊状の薬剤を蚊が産卵する水の中へ入れておくと、水に徐々に少しづつ長期間にわたり、薬が水に溶け出すようにしたものであり、水量のある水の流れにもヒモをつけて水流に流されないようにした塊状の蚊幼生体阻害剤徐放装置である。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−168571(P2011−168571A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−52334(P2010−52334)
【出願日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(509310750)
【出願人】(509311713)
【出願人】(509310761)
【Fターム(参考)】