説明

蛇籠(じゃかご)単位体及び蛇籠単位体から成る蛇籠網

課題:本発明は蛇籠単位体のための螺旋複撚り構造により形成される蛇籠単位体、及び該蛇籠単位体を左右及び上下両方向に互いに連続して繰返し連結させた蛇籠網に関する。本発明の蛇籠単位体の螺旋複撚り構造は、2本の長手方向の鉄線を、中心線となる1本の横断方向の鉄線上を通過させる前後に、螺旋状に反対方向に回転させることを特徴とする。
解決方法:本発明により、上記のように構築した蛇籠単位体のための複数の螺旋複撚り構造を相互に連結することにより形成した蛇籠単位体、及び複数の蛇籠単位体を互いに左右方向及び上下方向に連続的に繰返し連結することにより形成した蛇籠網を提供する。従って、本発明により従来の蛇籠網製造方法を完全に自動化でき、それにより従来の製造方法より2〜3倍生産効率を向上できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土又は石で充填するバスケット又はケージとして知られる蛇籠網に関し、さらに詳しくは、2本の長手方向の鉄線及び1本の横断方向の鉄線により形成する新規な蛇籠単位体、及び該蛇籠単位体を左右及び上下両方向に連続して配列させた蛇籠網に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、蛇籠又は蛇籠網は土又は石で充填するバスケット又はケージとしてよく知られており、蛇籠又は蛇籠網は2本の特別な亜鉛鍍金鉄線又はさらにその上にポリ塩化ビニル(PVC)コーティングを施した2本の鉄線を屈曲させて、其々を矩形状にした基本単位体、又は2本の鉄線を鉄線が相互に重なり合うように撚り六角形にした基本単位体を有する。それらの中、六角形蛇籠は2本の鉄線が形成する固い撚り構造を有し、その結果矩形蛇籠より強度が高く強いという特徴がある。そのため、六角形蛇籠が最近では矩形蛇籠より好まれている。
【0003】
図1に示すように、六角形蛇籠は、2本の鉄線が互いに撚り構造を形成し、相互に分岐し、その後他の隣接する鉄線と組み合わさり別の同じ撚り構造を形成し、次に、再度相互に分岐する。その後以前の隣接する鉄線又は他の隣接する鉄線と組み合わさりさらなる同じ撚り構造を形成する。その方法によりこの工程を連続的に繰返す。その結果、かかる六角形の基本単位体が左右及び上下両方向に形成され、相互に連続した結合関係が、単位体間に左右及び上下両方向に確立されて、鉄線が網目状になった大きな蛇籠が作られる。この時、蛇籠の製造工程の観点から、2本の鉄線を上側スライダによりガイドする上側鉄線Aと下側スライダによりガイドする下側鉄線Bとに区別できる。
【0004】
さらに、図2にはそうした従来の六角形蛇籠の改良版を示す。この改良された蛇籠は、上側及び下側鉄線A及びBの撚り構造に横断方向の追加鉄線Cを挿通して六角形のサイズを半分にして形成され、それにより蛇籠により小さい充填物を充填できる。
【0005】
現在では、こうした六角形蛇籠は六角形の網目構造を使用して各種用途で使用されている。こうした六角形蛇籠は土木構造物及び構築構造物の分野において最も幅広く使用されている。そうした分野では、例えば、蛇籠の斜面(勾配)を形成して、岩石の崩れ及び落下の危険がある場合に、土石の切断面を保護する。或いは、道路又は崖の護岸工事が必要な場合に、蛇籠網を組立て、サイズが100〜300mmの砂利又は廃棄石(砕石)を充填して護岸を構築する。さらに、洗掘現象がダム又は河川保護構造物において発生した又は発生するかも知れない場合、蛇籠網を組立て、充填物を充填して、ダム又は河川保護構造物における洗掘現象を防ぐ。
【0006】
特に、護岸等を土木構造物及び構築構造物として構築する際には、護岸用の充填物は砂利又は砕石となる。そのため、地盤から浸透してくる地下水が充填物間の空隙を自由に流れるため、自然の排水溝となる。これにより、水圧が護岸壁面内部で発生する可能性を廃除できる。従って、水圧による崩壊を防止できるという効果がある。その結果、最近、蛇籠の護岸は他の土木構造物及び構築構造物より安全性が高いことが認められ、また優れた機能を有すると評価されている。
【0007】
その上、蛇籠網を使用する土木構造物及び構築構造物においては、周囲の土砂等が徐々に充填物間の空隙中の空間に充填され、それにより周囲の植物が発芽、成長できる土壌及び環境が提供される。そのため、蛇籠網を使用した構造物は、環境保全の観点から、コンクリート護岸又は石による補強壁等の同様な構造物と比較して、環境により優しい。その結果、蛇籠網を使用する構造物は、最近では欧州を含めた先進諸国で環境に優しい土木構造物及び構築構造物として幅広く使用されている。
【0008】
しかしながら、蛇籠網が上記のように環境より優しいとしても、蛇籠網には下記のようなその基本的構成に関する制限によるいくつかの重要な問題がある。まず、こうした従来の蛇籠網では、長手方向の両鉄線A及びBを連続的に供給できず、一方の鉄線を切断しその後供給する。これは、従来の蛇籠網の螺旋状の撚り構造が一方向にのみ連続的に進行するため、上側鉄線Aを比較的短く切断しその後供給して、それにより撚り構造を、下側鉄線Bと共に上側鉄線Aを、基準として下側鉄線Bを固定しながら、連続的に螺旋状に一方向に回転させて形成せねばならないという理由による。現在では、上側鉄線Aは“ばね鉄線”と呼ばれ、下側鉄線Bより著しく短くなるように切断後、通常使用されている。
【0009】
さらに、こうした従来の蛇籠網の製造に関しては、完全に自動化した工程ではなく、断続的にのみ自動化した工程が使用可能である。これは、従来の蛇籠網製造方法では、短く切断した上側鉄線Aを採用しており、複数の上側鉄線Aを通常、単独の下側鉄線Bを使用して蛇籠網を完全に製造するまで供給せねばならず、上側鉄線Aについての其々結び作業を該下側鉄線Bに対して手作業で行なわねばならないという理由による。その結果、従来の蛇籠網製造に関しては、製造工程を完全に自動化できないという短所がある。
【0010】
さらに、熟練した労働者が従来の蛇籠網製造に関しては必要となる。これは、従来の蛇籠網製造の際に、上側鉄線Aをその製造中に繰返し上側スライダに連結させねばならず、こうした連結作業のために製造工程の自動化が困難で、熟練した労働者の手技が要求されるといった理由による。
【0011】
加えて、従来の蛇籠網製造方法では生産性が極めて低いという重要な短所がある。これは、従来の蛇籠網製造工程が断続的に、部分的に自動化した工程によって行なわれ、少なくとも2人又は3人の熟練した労働者が蛇籠網のサイズによっては必要となり、そうした熟練した労働者でさえも上述した連結工程を行なうのに必ず少なくとも20〜30分を要するという理由による。
【0012】
製造工程に関するこれらの問題は従来の蛇籠網自体の構成の結果から生じるので、蛇籠網の又は蛇籠網の各単位体の連結構造を根本的に変えない限り、そうした問題に関して解決できない制限が存在することになる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
最近一般的に幅広く使用される従来の蛇籠網の場合、その製造工程の観点から熟練した労働者が必ず必要であり、多くの断続的な連結工程を製造工程中に行なわねばならない。その結果、その生産性が極めて低いという短所がある。
【0014】
従って、本発明の目的は螺旋複撚り構造を提供することであり、該構造では2本の長手方向の鉄線及び1本の横断方向の鉄線を製造工程において互いに組織的に連結し、それにより前部の螺旋撚り構造及び後部の螺旋撚り構造を反対方向で形成する。
【0015】
本発明の別の目的は、継続的な工程を通して螺旋複撚り構造を製造することにより新規な蛇籠単位体を提供することである。
【0016】
本発明のさらなる目的は、蛇籠単位体を左右及び上下両方向に連続的に配列させた蛇籠網を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は新規の連結構造を有する蛇籠単位体、及び該蛇籠単位体を左右及び上下両方向に連続的及び繰返し配列させた蛇籠網に関する。
【0018】
本発明の蛇籠単位体には:1)第k番目の横断方向の鉄線Cを含む1つの螺旋複撚り構造;2)第(k+1)番目の横断方向の鉄線Ck+1を含む2つの螺旋複撚り構造;3)第(k+2)番目の横断方向の鉄線Ck+2を含む1つの螺旋複撚り構造、を備える。本発明において、螺旋複撚り構造とは、2本の長手方向の鉄線を互いに組合せ、1本の横断方向の鉄線の前後で反対の撚り方向を有する前部及び後部の螺旋撚り構造を形成する構造をいう。
【0019】
本発明では、第k番目の螺旋複撚り構造を以下のようにして形成する:1‐i)第n番目の上側鉄線A及び第n番目の下側鉄線Bを互いに組合せて一方向に回転させ、前部の螺旋撚り構造を形成する、1‐ii)第k番目の横断方向の鉄線Cを、前部の螺旋撚り構造の第n番目の上側鉄線Aと第n番目の下側鉄線Bとの間を横断させて挿通する、1‐iii)第n番目の上側鉄線A及び第n番目の下側鉄線Bを、中心線となる第k番目の横断方向の鉄線C上を通過後に、該一方向と反対方向に回転させ、それにより後部の螺旋撚り構造を形成する。
【0020】
本発明では、第(k+1)番目の螺旋複撚り構造を以下のようにして形成する:2‐i)第n番目の上側鉄線Aを隣接する第(n+1)番目の下側鉄線Bn+1と組合せ、第(n−1)番目の上側鉄線An−1を第n番目の下側鉄線Bと組合せ、それら鉄線の組合せを次に一方向に回転させ、其々前部の螺旋撚り構造を形成する、ii)第(k+1)番目の横断方向の鉄線Ck+1を、其々の前部の螺旋撚り構造で組合せた2本の長手方向の鉄線の間に横断的に挿通する、2‐iii)組合せた2本の長手方向の鉄線を、中心線となる第(k+1)番目の横断方向の鉄線Ck+1上を通過後に、該一方向と反対方向に回転させ、それにより後部の螺旋撚り構造を形成する。
【0021】
本発明では、第(k+2)番目の螺旋複撚り構造を以下のようにして形成する:3‐i)第n番目の上側鉄線Aを再び第nの下側鉄線Bと組合せ、それらを次に一方向に回転させて、前部の螺旋撚り構造を形成する、3‐ii)第(k+2)番目の横断方向の鉄線Ck+2を、前部の螺旋撚り構造で組合せた上側鉄線Aと下側鉄線Bとの間に横断的に挿通する、3‐iii)組合せた上側鉄線A及び下側鉄線Bを、中心線となる第(k+2)番目の横断方向の鉄線Ck+2上を通過後、該一方向と反対方向に再び回転させ、それにより後部の螺旋撚り構造を形成する。
【0022】
本発明の蛇籠網は、基本単位体として蛇籠単位体を採用し、上述した一連の工程を連続して繰返し行なうことで、連続的に繰返し該蛇籠単位体を左右及び上下両方向に連結することにより、全体として網形状となっている。
【0023】
ここでは、上側鉄線A及び下側鉄線Bは、蛇籠網製造装置の上側スライダ及び下側スライダに挿入する長手方向の鉄線を指し、横断方向の鉄線Cは、上側鉄線A及び下側鉄線Bにより形成する撚り構造に横断的に挿通する横断方向の鉄線を指す。全ての鉄線は相対的位置にある鉄線を指す。
【0024】
さらに、nはここでは上側鉄線A及び下側鉄線B間での相対的位置関係及び、0を含む正整数を示し、kは横断方向の鉄線C間での相対的位置関係及び、0を含む正整数を示す。
【0025】
本発明の蛇籠網は、各蛇籠単位体の前部及び後部の螺旋撚り構造が、中心線となる横断方向の鉄線の前後で反対の撚り方向を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
上述したように、本発明の蛇籠網には、組織的に上側及び下側鉄線と横断方向の鉄線を連結することにより形成した前部及び後部の螺旋撚り構造を有しており、該前部及び後部の螺旋撚り構造を中心線である横断方向の鉄線の前後で反対方向に撚るが、横断方向の鉄線によって解撚を防止するようにもなっている。
【0027】
そのため、本発明の蛇籠網における上側及び下側鉄線及び横断方向の鉄線は相互に固く連結する。従って、より固い網目構造が確立できるという効果がある。
【0028】
さらに、本発明の蛇籠網における各蛇籠単位体の各複撚り構造は反対に撚った構造を有しており、上側スライダ及び下側スライダを、各蛇籠単位体を製造する際に初期位置まで戻すことができ、その結果、該スライダはただ一方向のみに回転しない。従って、蛇籠網全体の製造を完全に自動化できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
これ以降では、本発明について添付図を参照して詳細に記述する。しかしながら、添付図は本発明の技術的意図をより詳細に記述する目的で単に例示したものであり、本発明の技術的意図はそれらに限定されないことは明らかである。
【0030】
図3は、本発明の蛇籠網を構成する蛇籠単位体の螺旋複撚り構造10の部分的拡大図であり、第n番目の上側鉄線A及び第n番目の下側鉄線Bを左右方向に、第kの横断方向の鉄線Cを上下方向に示している。
【0031】
図4は蛇籠網100を示しており、該蛇籠網では蛇籠単位体の螺旋複撚り構造10を連続的に繰返し互いに左右及び上下両方向に結合させている。そのため、図4が示すのは、図3で示した蛇籠単位体の螺旋複撚り構造を連続的及び繰返して左右及び上下両方向に互いに結合させているところである。
【0032】
本発明の蛇籠単位体には、第k番目の蛇籠単位体である螺旋複撚り構造10を含む。図3では、特に第k番目の蛇籠単位体である螺旋複撚り構造10を示しており、本発明の基本的な技術的意図を良く説明している。
【0033】
本発明では、第k番目の蛇籠単位体の螺旋複撚り構造10は、第k番目の横断方向の鉄線Cに関して設ける2つの螺旋撚り構造を備え、第n番目の上側鉄線A及び第n番目の下側鉄線Bを含む。第n番目の上側鉄線A及び下側鉄線Bを互いに組合せ、次に一方向に回転させて、前部の螺旋撚り構造を形成する。この時、第n番目の上側鉄線Aは蛇籠網製造装置の第n番目のスライダに挿入する長手方向の鉄線を指し、第n番目の下側鉄線Bは蛇籠網製造装置の第n番目のスライダに挿入する長手方向の鉄線を指す。A及びBは同位置にある、相対する鉄線を指す。さらに、一方向での回転はここでは時計回り又は反時計回りの回転でもよい。一方向に回転する場合、回転角を、上側鉄線A及び下側鉄線Bが地面に関して垂直状態から開始する場合、180度についての整数倍(即ち、πxp、pは0以外の整数)とするのが好ましい。より好適には、整数pは10以下である。
【0034】
本発明では、蛇籠単位体の螺旋複撚り構造10には、第k番目の横断方向の鉄線Cを含み、該鉄線Cを該撚り構造に、前部の螺旋撚り構造の進行方向に関して横断方向に挿通し、上側鉄線Aと下側鉄線Bとの間に位置させる。この時、横断方向の鉄線Cを用いて、上側鉄線A及び下側鉄線Bの回転方向を逆にした後、上下側鉄線A及びBを引き続き進行させる転換点を提供する。その結果、横断方向の鉄線Cを用いて、前部の螺旋撚り構造と対称的な後部の螺旋複撚り構造を作成できる。単に蛇籠網の補強手段として機能する従来の蛇籠単位体の螺旋複撚り構造に対して、横断方向の鉄線Cには補強手段としての機能に加えて、前部及び後部の螺旋撚り構造の解撚を防止する機能を備える。
【0035】
本発明では、蛇籠単位体の螺旋複撚り構造10には、中心線となる横断方向の鉄線C上を通過している上側鉄線A及び下側鉄線Bにより形成される後部の螺旋撚り構造を含む。この時、後部の螺旋撚り構造を上述した一方向とは反対の方向に逆回転で形成する。そのため、前部の螺旋撚り構造を時計回りで形成する場合、後部の螺旋撚り構造を反時計回りで形成する。前部の螺旋撚り構造を反時計回りで形成する場合、後部の螺旋撚り構造を時計回りで形成する。後部の螺旋撚り構造の回転方向が完全に横断方向の鉄線で逆になっている状態では、その回転角を、上側鉄線A及び下側鉄線Bが地上に関して垂直状態から開始する場合、180度についての整数倍(即ち、πx(−q)、qは0以外の整数)とするのが好ましい。より好適には、整数qは10以下である。前部の螺旋撚り構造における回転数pを後部の螺旋撚り構造における回転数qと同じにするのがより好ましい。
【0036】
加えて、本発明の蛇籠単位体には第(k+1)番目の蛇籠単位体の螺旋複撚り構造10k+1を備える(図4)。この時、第(k+1)番目の蛇籠単位体には2つの螺旋複撚り構造10k+1を有し、各該撚り構造10k+1にも複撚り構造を有する。第(k+1)番目の蛇籠単位体の螺旋複撚り構造10k+1について、第n番目の上側鉄線Aを隣接する第(n+1)番目の下側鉄線Bn+1の位置に移動させ、次に組合せ、一方で第(n−1)番目の上側鉄線An−1を第n番目の下側鉄線Bの位置に移動させ、次に別の組合せとする。かかる状態で、其々の鉄線の組合せを進行させる。この時、第n番目の上側鉄線Aを第(n+1)番目の下側鉄線Bn+1と組合せ、それらを一方向に回転させて前部の螺旋撚り構造を形成し、一方で第(n−1)番目の上側鉄線An−1も第nの下側鉄線Bと組合せて、それらを一方向に回転させて前部の螺旋撚り構造を形成する。もちろん、一方向は時計回り又は反時計回り方向でもよい。他方、一方向の回転角を、上側鉄線Aと下側鉄線Bn+1が地上に関して垂直状態から開始する場合、及び上側鉄線An−1及び下側鉄線Bも地上に関して垂直状態から開始する場合、180度について整数倍(即ち、πxp、pは0以外の整数)とするのが好ましい。より好適には、整数pは10以下である。
【0037】
さらに、本発明の蛇籠単位体には、第(k+1)番目の横断方向の鉄線Ck+1を備え、該横断方向の鉄線Ck+1を前部の螺旋撚り構造の進行方向に関して横断的に挿通し、同時に上側鉄線Aと下側鉄線Bn+1との間及び上側鉄線An−1と下側鉄線Bとの間に位置させる。この時、横断方向の鉄線Ck+1を用いて、上側鉄線Aと下側鉄線Bn+1、及び上側鉄線An−1と下側鉄線Bを、それらの回転方向を逆にした後に其々引き続き進行させる転換点を提供する。その結果、横断方向の鉄線Ck+1を用いて、前部の螺旋撚り構造と対称的な後部の螺旋撚り構造を作成できる。
【0038】
さらに、本発明の蛇籠単位体には、中心線となる横断方向の鉄線Ck+1に関して前部の螺旋撚り構造と対称的な後部の螺旋撚り構造を含む。この時、後部の螺旋撚り構造を上述した一方向と反対方向に逆回転して形成する。他方、各後部の螺旋撚り構造の回転方向は完全に横断方向の鉄線Ck+1で逆になっており、その回転角を、上側鉄線A及び下側鉄線Bn+1が地上に関して垂直状態から開始する場合、180度について整数倍(即ち、πx(−q)、qは0以外の整数)とするのが好ましい。より好適には、整数qは10以下である。もちろん、上側鉄線An−1及び下側鉄線Bが地上に関して垂直状態から開始する場合でも、それは当てはまる。より好適には、前部の螺旋撚り構造での回転数pは、後部の螺旋撚り構造での回転数qと同じである。
【0039】
加えて、本発明の蛇籠単位体はさらに第(k+2)番目の蛇籠単位体の螺旋複撚り構造10k+2を備える。螺旋複撚り構造10k+2も複撚り構造を有する。第(k+2)番目の蛇籠単位体の螺旋複撚り構造10k+2について、第n番目の上側鉄線Aを再度第n番目の下側鉄線Bの位置に移動しそれと組み合わせる。かかる状態で、鉄線の組み合わせを進行させる。
【0040】
本発明を、最も好適な実施例と関連させて記述するが、該実施例では第n番目の上側鉄線Aを再度第n番目の下側鉄線Bの位置に移動させ、その後進行させる。この場合、蛇籠網製造装置の上側及び下側スライダがそれらの初期位置に戻り再度作動開始する場合と同じ効果を有するので、最も好適な実施例と考えられる。従って、第n番目の上側鉄線A及び第n番目の下側鉄線Bを、上述したのと同じ工程を繰返して進行させるが、それらの間に挿通する横断方向の鉄線が第(k+2)番目の横断方向の鉄線Ck+2であることのみが異なる。
【0041】
本発明の蛇籠単位体は、第k番目の蛇籠単位体の螺旋複撚り構造、第(k+1)番目の蛇籠単位体の2つの螺旋複撚り構造、及び第(k+2)番目の蛇籠単位体の螺旋複撚り構造とを互いに連続して連結させて作成できる。
【0042】
本発明の蛇籠網100は、本発明の一連の蛇籠単位体用の螺旋複撚り構造10、10k+1、10k+2、10k+・・・を左右及び上下両方向で連続して繰返し連結して蛇籠単位体を構築することにより、及び左右及び上下両方向に蛇籠単位体を連続して繰返し連結することにより完成できる。
【0043】
上述したように、本発明の蛇籠単位体は、蛇籠単位体の基本単位体として螺旋複撚り構造10に2つの螺旋撚り構造、即ち反対方向に回転させた前部及び後部の螺旋撚り構造を有することを特徴とする。これは、本質的に従来の蛇籠単位体とは、従来の蛇籠単位体では螺旋複撚り構造の前後両部の螺旋撚り構造を一方向のみに回転させる点において異なる。これにより、従来の製造方法では基本的には不可能であった、蛇籠網製造方法の完全自動化の実施が可能になる。
【0044】
さらに、本発明の蛇籠網100には、反対方向に回転させて形成した前部及び後部の螺旋撚り構造を有しており、その撚り構造は横断方向の鉄線Cにより解撚されない。従って、横断方向の鉄線Cは製造工程において前部及び後部の螺旋撚り構造を形成する基礎を提供すると同時に、前部及び後部の螺旋撚り構造の既存の状態を維持し、完成した蛇籠単位体の螺旋複撚り構造10においてそれらの解撚を防ぐ機能を果たす。
【0045】
本発明による蛇籠単位体及び該蛇籠単位体を使用した蛇籠網について特に上述したが、本発明の最も好適な実施例との関連においてのみ記述を行なっただけである。本発明はそれに限定されるものではなく、本発明の範囲は付記されたクレームによって定義される。さらに、当業者は、本発明の範囲から逸脱することなく本記述を読めば、各種の変形及び変更を施せることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】従来の六角形蛇籠の図と、その基本単位体を部分的に拡大した図である。
【図2】長手方向に補強用鉄線を有する改良した蛇籠の図と、その基本単位体を部分的に拡大した図である。
【図3】本発明の蛇籠単位体を構築するための螺旋複撚り構造の拡大図である。
【図4】複数の図3の螺旋複撚り構造から成る本発明の蛇籠網を示す図である。
【符号の説明】
【0047】
100 蛇籠網
10 螺旋複撚り構造
上側鉄線
下側鉄線
鉄線
p、q 回転数




【特許請求の範囲】
【請求項1】
蛇籠網の蛇籠単位体に特に適する螺旋複撚り構造であって、該構造は:
i)互いに組合せて一方向に回転させ、前部の螺旋撚り構造を形成する第n番目の上側鉄線(A)及び第n番目の下側鉄線(B)、
ii)前部の螺旋撚り構造の第n番目の上側鉄線(A)と第n番目の下側鉄線(B)との間を横断させて挿通する第k番目の横断方向の鉄線(C)、及び
iii)中心線となる第k番目の横断方向の鉄線(C)上を通過後に、前記一方向と反対方向に回転させ、それにより後部の螺旋撚り構造を形成する第n番目の上側鉄線(A)及び第n番目の下側鉄線(B)を備え、
kは横断方向の鉄線間での相対的位置関係を示し、0を含む正整数であり、nは上側鉄線及び下側鉄線間での相対的位置関係を示し、0を含む正整数であること、を特徴とする螺旋複撚り構造。
【請求項2】
2本の長手方向の鉄線及び1本の横断方向の鉄線を含む蛇籠単位体であって、該蛇籠単位体は:
1)第k番目の横断方向の鉄線(C)を含む1つの第k番目の螺旋複撚り構造;
2)第(k+1)番目の横断方向の鉄線(Ck+1)を含む2つの第(k+1)番目の螺旋複撚り構造;及び
3)第(k+2)番目の横断方向の鉄線(Ck+2)を含む1つの第(k+2)番目の螺旋複撚り構造を備え、
kは横断方向の鉄線間での相対的位置関係を示し、0を含む正整数であること、を特徴とする蛇籠単位体。
【請求項3】
前記第k番目の螺旋複撚り構造を以下のようにして形成する:
i)第n番目の上側鉄線(A)及び第n番目の下側鉄線(B)を互いに組合せて一方向に回転させ、前部の螺旋撚り構造を形成し、
ii)第k番目の横断方向の鉄線(C)を、前部の螺旋撚り構造の第n番目の上側鉄線(A)と第n番目の下側鉄線(B)との間を横断させて挿通し、
iii)第n番目の上側鉄線(A)及び第n番目の下側鉄線(B)を、中心線となる第k番目の横断方向の鉄線(C)上を通過後に、前記一方向と反対方向に回転させ、それにより後部の螺旋撚り構造を形成し、
kは横断方向の鉄線間での相対的位置関係を示し、0を含む正整数であり、nは上側鉄線及び下側鉄線間での相対的位置関係を示し、0を含む正整数であること、を特徴とする請求項1に記載の蛇籠単位体。
【請求項4】
前記第(k+1)番目の螺旋複撚り構造を以下のようにして形成する:
i)第n番目の上側鉄線(A)を隣接する第(n+1)番目の下側鉄線(Bn+1)と組合せ、第(n−1)番目の上側鉄線(An−1)を第n番目の下側鉄線(B)と組合せ、それら鉄線の組合せを次に一方向に回転させ、其々前部の螺旋撚り構造を形成し、
ii)第(k+1)番目の横断方向の鉄線(Ck+1)を、其々の前部の螺旋撚り構造で組合せた2本の長手方向の鉄線の間に横断的に挿通し、
iii)前記組合せた2本の長手方向の鉄線を、中心線となる第(k+1)番目の横断方向の鉄線(Ck+1)上を通過後に、前記一方向と反対方向に回転させ、それにより後部の螺旋撚り構造を形成し、
kは横断方向の鉄線間での相対的位置関係を示し、0を含む正整数であり、nは上側鉄線及び下側鉄線間での相対的位置関係を示し、0を含む正整数であること、を特徴とする請求項1に記載の蛇籠単位体。
【請求項5】
前記第(k+2)番目の螺旋複撚り構造を以下のようにして形成する:
i)第n番目の上側鉄線(A)を再び第nの下側鉄線(B)と組合せ、それらを次に一方向に回転させて、前部の螺旋撚り構造を形成し、
ii)第(k+2)番目の横断方向の鉄線(Ck+2)を、前部の螺旋撚り構造で組合せた上側及び下側鉄線(A、B)との間に横断的に挿通し、
iii)前記組合せた上側及び下側鉄線(A、B)を、中心線となる第(k+2)番目の横断方向の鉄線(Ck+2)上を通過後、前記一方向と反対方向に再び回転させ、それにより後部の螺旋撚り構造を形成し、
kは横断方向の鉄線間での相対的位置関係を示し、0を含む正整数であり、nは上側鉄線及び下側鉄線間での相対的位置関係を示し、0を含む正整数であること、を特徴とする請求項1に記載の蛇籠単位体。
【請求項6】
互いに連続的に繰返し左右及び上下両方向に連結する請求項2乃至5のいずれか1項に記載の蛇籠単位体を備えること、を特徴とする蛇籠網。





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−528455(P2007−528455A)
【公表日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−516932(P2006−516932)
【出願日】平成16年6月16日(2004.6.16)
【国際出願番号】PCT/KR2004/001441
【国際公開番号】WO2004/111345
【国際公開日】平成16年12月23日(2004.12.23)
【出願人】(505453686)
【出願人】(505453697)
【Fターム(参考)】