説明

蛍光に基づくADPの検出システム

溶液中のヌクレオチドを検出するか、または少なくとも二つのヌクレオチドの混合物の溶液中における一つのヌクレオチドを示差的に検出するための方法およびキットであって、溶液にキレート剤を加える、およびキレート剤の添加時に作成されるかもしくは変更される信号を分光検出システムを用いて検出する工程を含んでいる、方法およびキット。信号の検出の前に、溶液にランタニドを加えることもできる。分光検出システムは、好ましくは蛍光に基づくシステムである。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はヌクレオチド検出の分野に関する。特に、本発明は、ヌクレオチドの示差分光検出に関する。
【背景技術】
【0002】
ここ二、三年、タンパク質キナーゼは、製薬会社にとって薬物開発のための標的となってきている。製薬工業における全標的の20%までが、現在はキナーゼであると推定されている。この興味の理由は、キナーゼが基本的な細胞のプロセスにおいて重要な役割を果たしているという事実に関係があるからである。キナーゼ活性の撹乱は、ヒトにおける疾患を引き起こすかもしくは疾患の指標となることができ、そしてキナーゼの分子または受容体を薬物で標的化することにより疾患の進行を変更することができる。
【0003】
キナーゼは、リン酸基をATP(アデノシン三リン酸)から基質へ転移させる酵素(生化学的触媒)である。リン酸基転移の結果として、ATPは脱リン酸化されてADP(アデノシン二リン酸)を形成する。一旦基質がインビボでリン酸化されると、生化学的経路が活性化される。単一のキナーゼは多数の基質を有し、どの基質がリン酸化されているかに依存して、異なる経路が活性化される。従って、基質の選択性は、キナーゼの重要な特性である。キナーゼが行う生化学的反応が以下に示される:
ATP+キナーゼ+基質 + ADP+キナーゼ+基質−P (1)
【0004】
この反応の要件の一つは、基質が、ATPの分子からキナーゼ酵素により転移されたリン酸基を受容することができる水酸基を有することである。かくして、ポリペプチドまたはタンパク質に対する基質は、一般的に、チロシン(チロシンキナーゼ)またはセリン/トレオニン(セリン/トレオニンキナーゼ)を受容体アミノ酸として含有する。
【0005】
臨床現場におけるキナーゼ活性の検出は、人の健康の種々の状態を評価するのに重要な役割を果たしている。クレアチンキナーゼ(CK)は、例えば、ミオサイトの細胞質の中に高濃度で存在する“漏出”酵素であって、神経筋の疾患の評価のために最も広く使用される酵素である。CKの検出のための現在の方法は、種々の他の酵素の使用を含む多数の工程を伴っている。
【0006】
薬物の発見および薬物のプロファイリングの目的のためのキナーゼ活性の検出は、製薬工業にとって興味あるチャレンジを提示する。産業界で現在使用されている、多数の酵素での共役検出システムは、興味のある酵素以外の酵素に対する薬物の効果を除外するための対比スクリーニングが必要であるので実用的ではない。例えば、CK阻害剤を探索する際に、共役酵素であるヘキソキナーゼ(HK)は、HKがそれ自身のATP結合部位を有するので、CKのATP結合部位と相互作用する薬物により影響を受ける。
【0007】
キナーゼの阻害剤を探索する研究者達が、彼らの薬物発見プログラムにおいて伝統的に使用してきている一つのアプローチは、キナーゼ活性を監視する手段として基質のリン酸化を検出することである。厄介な問題は、全てのキナーゼに対する基質が様々であり、単一のキナーゼが同一の基質内においてさえ多数のリン酸化部位を有し得ることである。どのような場合にも、アッセイの開発は、アッセイのための最適条件を見出すために為されるべきであって、これは非常に時間を浪費するものである。基質のリン酸化を検出するために現在使用されている方法は、リン酸化された基質の検出が特異的な抗体を用いて為されるELISAに基づくアッセイである。ELISAに基づくシステムは、高感度を示すが、多くの工程が要求され、典型的なアッセイには何時間もかかり、多くの操作を必要とし、誤差の機会を増大させている。
【0008】
キナーゼ活性を監視するために現在使用されているもう一つの方法は、アッセイが進行するにつれて、ATPの減少の検出および定量化をすることである。この方法は、蓄積されると、キナーゼ活性を阻害する生成物−この場合にはADP−の生産により制限されている。そのような方法論の応用が、広範なアッセイの開発を必要としている。
【0009】
キナーゼアッセイの進行を監視するために伝統的に使用されている検出システムは、蛍光分光測定、蛍光偏光(Panvera, Molecular Devices, Chromagen)、時間分解蛍光(Cis−Bio)、吸光度分光測定(MDS Pharma Services, Upstate)、発光分光測定(Promega)のような分光技法、およびシンチレーション(Perkin Elmer, Amersham)またはクロマトグラフィー(Caliper)のような非分光技法を利用している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明者等は、アッセイでのヌクレオチド(複数を含む)の検出のための技術を開発してきた。そのような技術は、例えば、キナーゼアッセイにおけるキナーゼ活性のような、アッセイにおける生化学的活性を監視する手段として使うことができる。それは、二リン酸化ヌクレオシドの濃度が経時的に変化する、任意の活性を研究する機構を提供する分光検出システムである。このような分光検出システムを使用して、例えば、使用される基質と無関係に、二リン酸化ヌクレオシドまたは三リン酸化ヌクレオシドのモノリン酸化ヌクレオシドまたは二リン酸化ヌクレオシドへのそれぞれの変換、またはその逆の変換を監視することができる。具体的な二リン酸化ヌクレオシドはADPであって、具体的な三リン酸化ヌクレオシドはATPである。現在使用されている検出方法の替わりに、この技術を使用して、現在では利用可能な検出方法が全く無い基質に対するキナーゼ標的(複数を含む)をスクリーニングすることができる。臨床または他の状況において、この方法論を使用することにより、ATPを利用し、ADPを産生させる酵素の活性を検出および/または監視をすることができた。
【0011】
ATPおよびADPは、どのようなキナーゼ反応においても常に存在する。かくして、ATPの消費および/またはADPの生産を監視することを基本とするシステムは、基質とは無関係に、任意のキナーゼ反応の監視をすることができる。ADPは反応が開始する前の反応液中には存在しないので、ADP産生の監視はキナーゼの活性を監視する有効な方法となり得る。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者等は、キレート剤の添加により増強され得るATPおよびADPの分光スペクトルに相違があることを明確にした。更に具体的には、特定の状況下では、図1で立証されているように、ADPおよびATPの分子の螢光スペクトルにおいて、約450〜550nmにおける蛍光発光には可なり一貫した相違がある。本発明者等はこれに加えて、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)のようなキレート剤の存在下において、図2に示されるように、ATP蛍光が対応して増加することなく、ADP蛍光が450〜550nmの範囲において相当に増加することを測定した。同様に、図3に示されるように、キレート剤のエチレングリコール−ビス(2−アミノエチルエーテル)−N,N,N',N−四酢酸(EGTA)の存在下において、ATP蛍光の増加を伴うことなく、ADP蛍光は大きく増加する。
【0013】
図4は、500nmにおける蛍光の強度が、EDTAの溶液に加えられたADPの量に比例することを示している。
【0014】
本明細書において使用されるように、用語“キレート剤”とは、共役的にまたは非共役的に、金属に配位することができる少なくとも一つの官能基を有する任意の分子を指す。キレート剤は多座配位であるか、または単座配位様式で配位し得る。キレート剤は、ポルフィリンのような大環状であってもよい。キレート剤は、パイ電子を供与するか、または共有することにより金属と配位することができる。分光検出を増加するようにさらに誘導体化されたキレート剤も含まれる。キレート剤の官能基は、マイナスもしくはプラスに荷電されているか、または中性であってもよい。適当な官能基の例としては、カルボキシラト、チオラト、ヒドリド、シアノ、カルボナト、チオカルカメート、チオカルボキシラト、チオホスフィナトアミノ、ホホロ、ヒドラジノ、ニトリロ、ヒドラジド、オキシム、およびチオエーテルが挙げられる。
【0015】
キレート剤の具体例としては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、エチレン、およびエチレングリコール−ビス(2−アミノエチルエーテル)−N,N,N',N'−四酢酸(EGTA)が挙げられる。
【0016】
ADP−EDTA相互作用からEDTAの競合的置換が、450〜500nmの範囲における増加した蛍光を消滅させることを示す実験が実施された。図5に示されるように、Mg2+またはCa2+が反応混合液に加えられるときには、500nmにおける蛍光の減少があり、このことは金属がADPおよびEDTAの相互作用を崩壊させることを示唆している。同じく、図6に示されるように、反応混合液に加えられる過剰のATPは、ADP−EDTA相互作用を減衰させている。この結果は、ATPがEDTAとも直接に相互作用し得ること、しかし相互作用がこれらの条件下では蛍光の増加を引き起こしていないことを示唆している。
【0017】
適当な分光測定技法には、蛍光分光測定、紫外/赤外吸収・透過分光測定、発光分光測定、ラマン分光測定、および燐光分光測定が含まれる。最も好ましいのは蛍光分光測定である。適当な蛍光分光測定技法は、試料の、例えば、キセノンランプでの励起、検出感度を増加するために蛍光寿命を用いるレーザー誘起蛍光、望まれる信号を増強しそしてバックグラウンドノイズを低下させて、感度を改良する蛍光分極、および時間分解蛍光を含んでいる。
【0018】
必要に応じて、ランタニド(複数を含む)のような金属(複数を含む)が、ヌクレオチド−キレート剤相互作用の、分光測定特性、特に蛍光分光測定特性を変化させるために使用することができる。三次複合体が特定の有機分子、キレート剤、およびランタニドの間に形成されることが知られている[Diamandis EP, Christopoulos TK. Anal. Chem., 1990, 14:1149, Anal. Christopoulos TK, Diamandis EP. Chem. 1992, 64: 342(出典明示により本明細書の一部とする)]。これらの三次複合体の形成時には、強化された蛍光信号が観察された。これまでに、分光信号が強化された、そのような複合体は、ヌクレオシド類またはヌクレオチド類およびキレート剤ならびにランタニド類との間では観察されていなかった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下の実験的実施例は、本発明の使用を例示している。
実験
実験の詳細
分光蛍光計
蛍光信号により作成されるピークは典型的には幅広くて、励起および/または発光の波長を正確に選択する能力は、使用する機器および蛍光検出システム、または読取り装置の検定に大きく依存している。本明細書において説明される実験のためには、単一のウエル読取り装置を持つSpex FluoroMax分光蛍光計(認識番号2093、Spex Industries, New Jersey)が0.1nmの通過帯域をもって使用された。或る場合には、Molecular Devices FLEXstationプレート読取り装置(認識番号FX 01090、California)を使用したが、それは10nmの通過帯域を有していて、それ故にSPEX Fluoromax走査装置のように正確には蛍光信号を検出できない。
【0020】
試薬
以下の試薬が、本明細書において記載された実験で使用された。
ADP(A−2754 Sigma Ultra、ロット番号073k7007、アデノシン5'−二リン酸ナトリウム塩);
ATP(A−7699 Sigma Ultra、ロット番号053k7042、アデノシン5'−三リン酸二ナトリウム塩);
EGTA(E0396 Sigma Ultra、エチレングリコール−ビス(2−アミノエチルエーテル)−N,N,N',N'−四酢酸);
EDTA Sigma−Aldrich(E2−628−2、エチレンジアミン四酢酸);
HEPES(J848、AMRESCO、4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−1−エタンスルホン酸);
CaCl(C−4901、Sigma、脱水塩化カルシウム);および
MgCl(M8266、Sigma、無水塩化マグネシウム)
【0021】
略語
rfu=相対蛍光単位
【0022】
実験1:450〜550nmの範囲におけるATPおよびADPの蛍光スペクトルでの相違
10mMのHEPES pH8.0緩衝液中の5mMのADPまたはATPのいずれかを含有する溶液を、SPEX Fluoromax蛍光走査装置を用いて400〜600nmの範囲内で蛍光発光について分析した。この実験のために使用された励起波長は405nmであった。この実験によれば、約500nmにおいて測定されたADPおよびATPの間には弱い蛍光発光の相違があることが示されている。
【0023】
実験2:EDTAおよびEGTAの、ATPと比較したADPとの選択的相互作用
50mMのEDTAの存在下もしくは不在下において、10mMのHEPES pH8.0緩衝液中の10mMのADPまたは10mMのATPを含有する溶液について、SPEX Fluoromaxを用いて蛍光走査を実施した。図2に示されるように、ADPを含有する溶液の蛍光スペクトルは、EDTAの存在下において大きく強化されている。これとは対照的に、ATPはEDTAの存在下において蛍光の増加を示していない。同様に、図3に示されるように、EGTAの存在下においてADP蛍光の増加があるが、これはATP蛍光には見られない。475nmで見られるピークは、バックグラウンドスペクトルの部分である。
【0024】
実験3:EDTAの存在下におけるADP滴定
50mMのEDTAの溶液を、10mMのHEPES pH8.0緩衝液中、ADPで滴定した。Molecular Devices FlexStationプレート読取り装置で500nmにおける蛍光を読み取った。図4に示されるように、EDTA溶液のADPでの滴定の結果得られるデータの点は、二ログ単位にわたり直線となる。100μMの濃度以下のADPは、使用された手法の検出限界を超えていた。
【0025】
実験4:ADPおよびEDTAを含有する溶液へのCa2+およびMg2+の添加
この実験では、10mMのHEPES pH8.0緩衝液中に1mMのADPおよび30mMのEDTAを含有する溶液へのCa2+およびMg2+の添加の効果を検査した。図5に示されるように、EDTAの存在下においてADPにより作成される蛍光発光信号は、30mMのMg2+またはCa2+の添加により逆転することが判明し、このことはMg2+およびCa2+がADPのEDTAとの相互作用と競合することを示している。蛍光は500nmにおいて監視された。
【0026】
実験5:ADPおよびEDTAを含有する溶液のATPでの滴定
ATPはEDTAの存在下において蛍光発光するようには見えないが、ADPは蛍光発光するので、EDTA−ADPで誘発される蛍光に対するATPの存在の効果を検査した。10mMのHEPES pH8.0緩衝液200μl中に5mMのADPおよび10mMのEDTAを含有する溶液に、増加する濃度のATPを加えた。410nmの励起波長を用いて500nmにおいて、蛍光を読み取った。試料をFlexStation(Molecular Devices)プレート読取り装置の上で読み取った。図6に示されるように、10mMのATPは、ADPおよびEDTAの間の相互作用を完全に壊している。この観察により、ATPがEDTAと直接に相互作用することができることを示唆している;しかしながら、ATPは、これらの条件下では蛍光の増加を引き起こさない。
【0027】
実験6:EDTAで滴定されるADPの溶液
この実験では、10mMのHEPES pH8.0緩衝液中、種々の濃度におけるADPおよびATPの一連の溶液を50mMのEDTAで処理した。HEPES−EDTAを対照として使用した。図7は、対照の蛍光読取りをそれぞれのデータ点から差し引いたデータを示している。
【0028】
これらの実験は、ADP−キレート剤の検出の感度が蛍光分光法では、約1μMであることを証明している。
【0029】
実験7:ヌクレオチドの蛍光に対するEDTAの効果
ATP、ADP、グアニジン二リン酸(GDP)、およびグアニジン三リン酸(GTP)の各5mM溶液の蛍光スペクトルを、50mMのEDTAの不在下および存在下において測定した。蛍光発光信号を450〜600nmの間で解析した。図8に示されるように、EDTAの存在下におけるADPのみが、強化された蛍光を示しており、490〜500nmの間で蛍光のピークを有する。
【0030】
実験8:キレート剤の存在下においてヌクレオチドにより作成された蛍光信号を変更するためのランタニドの使用
ランタニド金属、キレート剤、およびヌクレオチドの間で形成される三次複合体の使用を確立して、キレート剤の存在下においてヌクレオチドにより作成される蛍光信号を変更するために、以下の実験を行う。
【0031】
(i)テルビウムの存在下および不在下において、および増加する濃度のヌクレオチド(ATP、ADP)の存在下もしくは不在下において、EDTAをインキュベートする。SPEX Fluoromax蛍光走査装置を使用して、蛍光発光を監視する。
【0032】
(ii)ユーロピウムと共に、そして増加する濃度のヌクレオチド(ATP、ADP)の存在下もしくは不在下において、EDTAをインキュベートする。SPEX Fluoromax蛍光走査装置を使用して、蛍光発光を監視する。
【0033】
(iii)サリチル酸のような有機分子、EDTA、およびユーロピウムの間で複合体を形成させて、蛍光を増大させる。増加する濃度のヌクレオチドの添加による効果を、SPEX Fluoromax蛍光走査装置の使用により監視する。
【0034】
8(i)、8(ii)、または8(iii)で得られた結果が与えられれば、ADP濃度の経時変化を監視するための条件が最適化されるであろう。
【0035】
本発明の好ましい実施態様が例示されて説明されてきたが、以下の請求項により定義されるように、本発明の精神および範囲から逸脱すること無しに、種々の変更および修飾を本発明では行うことができることが理解されるであろう。
【0036】
本発明の組み合わされた要素の種々の実施例が説明されてきたが、これらは網羅的であることを意図するものではなく、一つの実施態様の特徴が別の特徴と組み合わされ、そしてそのような他の組合せは、ここに開示されている本発明の範囲内に包含されるものと理解すべきである。
【0037】
本明細書において言及された全ての出版物および他の文書は、あたかもそれらの全体の内容が本明細書において複製されたように、引用することにより本願明細書に取り込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】図1は、対照として使用されたHEPESと重ね合わせた、ADPおよびATPの蛍光スペクトルを示す。
【図2】図2は、対照として使用されたHEPES−EDTAと重ね合わせた、EDTAの存在下におけるADP(ADP−EDTA)およびEDTAの存在下におけるATP(ATP−EDTA)の蛍光スペクトルを示す。
【図3】図3は、対照として使用されたHEPES−EGTAと重ね合わせた、EGTAの存在下におけるADP(ADP−EGTA)およびEGTAの存在下におけるATP(ATP−EGTA)の蛍光スペクトルを示す。
【図4】図4は、ADPでの滴定時の50mMのEDTA溶液の500nmにおいて読み取られた、蛍光データの結果を示す。
【図5】図5は、EDTAの存在下におけるCa2+およびMg2+での滴定時のADPを示す蛍光データの結果を示す。
【図6】図6は、EDTAの存在下におけるATPでの滴定時のADPを示す蛍光データの結果を表す。
【図7】図7は、50mMのEDTAの添加時に異なる濃度の一連のADPおよびATPの溶液を示す蛍光データの結果を表す。
【図8】図8は、対照として使用されたHEPESまたはHEPES−EDTAと重ね合わせた、EDTAの存在下および不在下における選択されたヌクレオチドの蛍光スペクトルを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)溶液にキレート剤を加える工程、および(b)キレート剤の添加時に作成されるか、または変更される信号を分光検出システムを用いて検出する工程を含んで成る、溶液中のヌクレオチドを検出する方法。
【請求項2】
ヌクレオチドがアデノシン二リン酸である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
分光検出システムが蛍光に基づくシステムである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
キレート剤がポリカルボキシレート分子である、請求項1、2又は3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
キレート剤がEDTA、EGTA、またはそれらの組合せである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
(a)溶液にキレート剤を加える工程、および(b)キレート剤の添加時に作成されるか、または変更される信号を分光検出システムを用いて検出する工程を含んで成る、少なくとも二つのヌクレオチドの混合物の溶液中における一つのヌクレオチドを示差的に検出する方法。
【請求項7】
ヌクレオチドがアデノシン二リン酸である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
アデノシン三リン酸が溶液中にある、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
キレート剤がポリカルボキシレート分子である、請求項6、7または8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
キレート剤がEDTA、EGTA、またはそれらの組合せである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
信号がアデノシン二リン酸およびEDTAもしくはEGTAまたはそれらの組合せの相互作用の結果である、請求項6〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
分光検出システムが、蛍光に基づくシステムである、請求項6〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
信号が蛍光に基づく信号である、請求項6〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
蛍光に基づく信号が、450および550nmの間で発生する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
1またはそれ以上のキレート剤を溶液に加える前のアデノシン二リン酸の蛍光に基づく信号と比較して、信号の強度が増加する、請求項7〜14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
キレート剤の添加後に信号の強度が増加する、請求項1または15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
キレート剤の添加後に信号のピーク強度が移動する、請求項1または15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
キレート剤の添加後に信号の強度が減少する、請求項1または15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
(a)適当な量のキレート剤、および(b)請求項1〜18のいずれか1項に記載の方法のいずれかを実施するための指示書を含むキット。
【請求項20】
工程(b)に先立って、溶液へのランタニドの添加をさらに含む、請求項1〜18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
ランタニドがテルビウムである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
ランタニドがユーロピウムである、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
(a)適当な量のキレート剤、(b)適当な量の少なくとも一つのランタニド、および(c)請求項20〜22のいずれか1項に記載の方法を実施するための指示書を含むキット。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2007−518094(P2007−518094A)
【公表日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−548477(P2006−548477)
【出願日】平成17年1月17日(2005.1.17)
【国際出願番号】PCT/IB2005/000290
【国際公開番号】WO2005/069725
【国際公開日】平成17年8月4日(2005.8.4)
【出願人】(506240540)エムディエス・ファーマ・サーヴィシーズ (1)
【Fターム(参考)】