説明

蛍光タンパク質を使用する断層撮影イメージングのための方法およびシステム

光断層撮影用のシステムが、蛍光タンパク質を中に有する標本に向かって励起光を投射するように適合された見かけの光源を含み、励起光が標本に進入し、標本内で固有光になり、固有光は、蛍光タンパク質からの蛍光を励起するように適合され、固有光および蛍光は、拡散性である。光断層撮影の方法は、見かけの光源を用いて励起光を生成するステップを含み、固有光および蛍光は、拡散性である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に光断層撮影に関し、より詳細には、蛍光タンパク質を使用して、生標本から定量的な3次元の分子および生物情報を抽出するための方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
蛍光タンパク質(FP)は、様々な生物医学的応用分野にとって重要なレポーター分子である。いくつかの既存の応用分野では、人工的なFPが、落射蛍光(epi−fluorescence)、共焦点(顕微鏡法)、または反射(動物全体)撮像によって検出される。
【0003】
落射蛍光、共焦点顕微鏡法は、標本に向かって投射された、または標本から反射されたコヒーレント(非拡散)光に依存する。顕微鏡法は、実質的にコヒーレントな光を必要とするため、この技法は、標本内に浅く(たとえば、1mm未満)撮像することが可能であるにすぎない。より深い撮像深さでは、光は拡散することが知られており、そのより深い撮像深さで顕微鏡法は無効になる。
【0004】
反射蛍光撮像は、生体内の腫瘍、特に表面付近に、または外科的に露出された器官内に移植されたものを検出および追跡する上で有用であることが示されている。しかし、反射蛍光撮像は固有の制限を有する。というのは、得られた画像が、複数の深さからの蛍光信号の重ね合わせであり、それにより画像がぼける傾向があるからである。さらに、反射蛍光撮像は、断層撮影でなく、深さ情報を取り出さず、蛍光活性の絶対定量を可能にしない。これは、一部には生物組織内での非線形の光の減衰および伝播によるものであり、わずか数ミリメートルの深さで、反射蛍光撮像を適用する可能性を半定量的撮像に制限する。
【0005】
組織内のより深いところで光学的シグネチャを撮像することは、しばしば、先進の光励起/光検出装置および技法の適用、ならびに様々な投射で獲得されたデータを組み合わせるための断層撮影原理の使用を必要とする。回折光源を用いた撮像の進歩により、内在的に、または外来的に与えられた光コントラストを使用して組織を調査するいくつかの研究が行われている。具体的には、拡散光断層撮影(DOT)は、拡散性媒体に関連する断層撮影画像を、その拡散性媒体内での吸収または散乱の存在下で提供することができる技法である。たとえば、DOTは、脳血流撮像(cerebral hemodynamic imaging)および乳房組織の撮像に適用されている。1つの例示的なDOT法およびシステムは、たとえば、その出願が本発明の譲受人に譲渡される、2004年2月5日に出願されたVasilis NtziachristosおよびJorge Ripollによる「Method and System for Free Space Optical Tomography of Diffuse Media」という名称の国際特許出願PCT/USO4/03229に述べられている。
【0006】
近赤外範囲内の波長を有する光は、いわゆる「近赤外ウィンドウ(near−infrared window)」内で組織吸収が少ないため、数センチメートル程度の距離について、組織を介して伝播することができることが示されている。近赤外(NIR)ウィンドウにより、生標本内部での特定の生化学的事象を視覚化するためのNIR蛍光技法の開発が可能になった。
【0007】
また、NIR蛍光信号を処理するための様々な関連する方法も開発されている。具体的には、適切な撮像システムの開発により、蛍光分子断層撮影(FMT)、すなわちNIR蛍光プローブまたはマーカを使用して深い組織内で分子シグネチャを解像する技法の適用が可能になった。深部腫瘍内の酵素活性の生体内3次元撮像に使用されるFMTが実証されている。
【0008】
従来のNIR光断層撮影における一般的な仮定は、NIRウィンドウによってもたらされるように、拡散性媒体内の伝播は散乱が多いが、吸収が比較的少ないということである。この仮定により、「拡散近似」を用いて「輸送方程式」に関連付けられた「拡散方程式」の導出が可能になり、これは組織内のNIR光子伝播をモデル化するための効果的なツールを提供する。輸送方程式は、たとえば、K.M.CaseおよびP.F.Zweifelの「Linear Transport Theory」Addison−Wesley、MA(1967年)、ならびにK.FurutsuおよびY.Yamadaの「Diffusion Approximation for a Dissipative Random Medium and the Applications」Phys.Rev.E50、3634(1994年)に述べられている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
周知のように、現在使用可能な蛍光タンパク質はすべて、可視範囲内の波長を有する励起光を使用する。さらに、従来の蛍光タンパク質は、励起されたとき可視蛍光を発する。従来の蛍光タンパク質によってもたらされるような可視光を使用する断層撮影画像は、著しい減衰を引き起こす、生物組織内を伝播する可視光の比較的高い吸収によって複雑化される。吸収が(たとえば、可視光について)高いと、上述の従来の拡散近似は有効でない。
【0010】
他方、輸送方程式に対する(上述の拡散近似以外の)より先進の解が生成され、NIR光断層撮影に適用されている。それらの先進の解は、上述の拡散近似の欠点(inadequacy)を克服する。しかし、輸送方程式に対するそれらの先進の解は、概して計算コストがかかり、多数の励起光源を有しデータセットが大きくなる断層撮影システムにとって非実用的なものとなる。
【0011】
断層撮影に必要な複数の画像を提供するために、多数の従来の光断層撮影システムは、単一の光要素を使用して標本に対して様々な角度や位置で投射するために、光源アセンブリの一部として光スイッチを使用する。光スイッチは、エネルギー損失を生じることが知られている。さらに、多数の光断層撮影システムは、室温で、または光を集めるために余り低くない冷却でCCDカメラを使用する。室温または余り低くないように冷却されたCCDカメラは、比較的高いレベルの暗(熱)雑音を示すことが知られており、これは得られた光断層撮影画像の品質を制限する傾向がある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一態様によれば、光断層撮影用のシステムが、蛍光タンパク質を中に有する標本に向かって励起光を投射するように適合された見かけの光源(apparent light source)を含み、励起光が標本に進入し、標本内で固有光になる。固有光は、蛍光タンパク質からの蛍光を励起するように適合される。固有光および蛍光は、拡散性(diffuse)である。いくつかの実施形態では、励起光および蛍光のうち少なくとも1つは、可視波長範囲内の波長を有する。
【0013】
本発明の他の態様によれば、光断層撮影の方法は、蛍光タンパク質を中に有する標本に向かって励起光を投射するように適合された見かけの光源を用いて励起光を生成するステップを含み、励起光が標本に進入し、標本内で固有光になる。固有光は、蛍光タンパク質からの蛍光を励起するように適合される。固有光および蛍光は、拡散性である。いくつかの実施形態では、励起光および蛍光のうち少なくとも1つは、可視波長範囲内の波長を有する。
【0014】
本発明の他の態様によれば、光断層撮影用のシステムが、複数の光路を標本に向かって導くように見かけの光源を選択的に移動するための少なくとも1つの選択的に移動可能な構成要素を含む。
【0015】
本発明の前述の特徴、ならびに本発明それ自体は、以下の、図面の詳細な説明から、より十分に理解することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本撮像方法およびシステムについて述べる前に、いくつかの導入概念および用語について述べる。本明細書では、「ファントム」は、撮像される試験対象を指す。ファントムは、典型的には、生組織に似た拡散性の光伝播特性を有する製造物品、たとえばプラスチック小片である。他の例として、ファントムは、蛍光タンパク質、すなわち蛍光マーカを発現する細胞を中に有するバイアルとすることができる。
【0017】
本明細書では、「見かけの光源」という用語を使用し、それぞれが見かけの光源を提供する、複数の物理的位置または角度に対する単一の光源の複数の投射について述べる。
本明細書では、「励起」光という用語を使用し、撮像される標本に進入する前に、その標本に向かって移動する、励起光源によって生成された光(たとえば、見かけの光源)について述べる。標本内に進入した後で、その光は、本明細書では「固有」光と呼ばれる。固有光は、標本内で吸収および散乱を受け、標本を出て行くこともできる。
【0018】
標本を出た固有光は、励起光源によって生成された同じ波長にある。励起光および固有光は、単色とすることができ、あるいは、たとえば白色光として、より広いスペクトルをカバーすることができる。
【0019】
いくつかの実施形態では、標本を出て行く固有光は、(たとえば、下記で述べる図1Aの反射撮像において)概して標本の、光源と同じ側に配置された光検出器によって受け取られる。他の実施形態では、標本を出て行く固有光は、(たとえば、下記で述べる図1の透光撮像において)標本を通過した後で、概して標本の、光源と反対側に配置された光検出器デバイスによって受け取られる。どちらの場合にも、励起光は、標本に進入し、標本の内部から反射した、または標本を通過したとき、固有光になる。
【0020】
本明細書では、「発せられた」光という用語を使用し、生物組織によって、または生物組織内で生成された光について述べる。本明細書では、「蛍光(fluorescence light)」または「蛍光(fluorescent light)」という用語を使用し、固有光に応答して蛍光タンパク質の励起を介して生成された、ある形態の発光について述べる。
【0021】
本明細書では、「画像」という用語を使用し、基礎となる「画像データ」がデジタルカメラによって、またはコンピュータシステムによって生成された視覚的表現について述べる。しかし、本明細書ではまた、「画像」という用語を使用して画像データを指すことも理解されよう。
【0022】
本明細書では、「拡散」という用語を使用し、標本内部で伝播するとき、その標本内での光子の吸収とは独立して、数回の散乱事象(たとえば、10回を超える散乱事象)に遭遇した光子を有する光について述べる。散乱事象の回数は、10を超えることも、10未満とすることもできる。
【0023】
本発明の方法およびシステムについては、拡散光伝播が優勢である生物組織内で伝播する可視光に適用されるように下記で述べる。しかし、本方法およびシステムは、拡散光伝播が優勢である任意の媒体内で伝播する任意の形態の光、たとえば、生物組織内で十分深い遠方に伝播するNIR光、たとえば可視励起光およびNIR蛍光(発光)にも等しく十分に適用される。また、本方法およびシステムは、コヒーレント伝播が優勢である媒体内で伝播する光にも適用することができる。
【0024】
本発明の方法およびシステムについては、可視蛍光を発する蛍光タンパク質に適用され、約400nmから700nmの可視波長範囲内で特定の利益をもたらすように本明細書で述べられているが、本方法およびシステムはまた、他の波長を有する光、たとえば、約700nmから100nmの近赤外(NIR)範囲内の蛍光にも適用することができる。また、本方法およびシステムは、励起光が1つの波長範囲内、たとえば可視範囲内にあり、蛍光タンパク質によって発せられた蛍光が別の波長範囲内、たとえばNIR範囲内にあるシステムにも等しく十分に適用される。本方法およびシステムはまた、励起光と蛍光タンパク質によって発せられた蛍光とが共にNIR範囲内にある、または共に可視範囲内にある場合にも適用される。また、400nmから1000nmの波長範囲を超える光を使用することもできる。
【0025】
図1を参照すると、蛍光タンパク質を使用する光撮像用のシステム10は、複数の見かけの光源(図示せず)を提供するために、撮像光源12と、光誘導デバイス14とを含む。見かけの光源は、標本18に対して様々な位置で励起光22a〜22cをもたらす。3つのそのような位置が示されているが、見かけの光源位置を3つより多くすることも、3つより少なくすることもできる。励起光22a、22cは、標本18上に入射し、進入したとき固有光になり、固有光24a、24bとして標本18を出て行く。固有光24a、24bは、任意選択の選択可能な光フィルタ28を通過し、任意選択の映像増倍管30を通過し、光検出器32によって受け取られる。励起光22bもまた標本18内に入り、標本18内で蛍光タンパク質20上に入射する。励起光22bに応答して、蛍光タンパク質20は蛍光26を発し、蛍光26もまた、任意選択の選択可能な光フィルタ28を通過し、任意選択の映像増倍管30を通過し、光検出器32によって受け取られる。
【0026】
任意選択の白色光源40がさらに、他の光路(図示せず)を提供するように標本を照明することができ、それらの光路は、標本の表面から反射し、やはり任意選択の選択可能な光フィルタ28を通過し、任意選択の映像増倍管30を通過し、光検出器32によって受け取られる。
【0027】
いくつかの実施形態では、固有光24a、24b、蛍光26、および白色光源40からの白色光は、光検出器によって同時に受け取られる。この構成では、固有光24a、24b、蛍光26、および白色光源40からの白色光は、異なる光を光検出器32に、同時に、または別々の時間で送るために、選択可能なフィルタ28によって分離することができる。このために、選択可能なフィルタの通過帯域を、異なる時間で、固有光、蛍光、白色光の波長の中央に合わせることができる。
【0028】
他の実施形態では、固有光24a、24b、蛍光26、および白色光源40からの白色光のいずれか1つ、または複数が、他の固有光24a、24b、蛍光26、および白色光源40からの白色光と異なる時間で受け取られる。たとえば、1つの特定の実施形態では、固有光24a、24bが最初に受け取られ、その時間に、撮像光源12は消灯される。蛍光26は、固有光24a、26bがもはや存在しなくなった後で受け取られる。蛍光26が発せられなくなった後で、白色光源40がオンになり、白色光が受け取られる。
【0029】
光検出器32は、受け取られた光をデジタルデータ32a(本明細書では画像データとも呼ばれる)に変換するように動作する。イメージプロセッサ34は、デジタルデータ32aを受け取り、画像46を生成する。いくつかの実施形態では、画像46は、断層撮影画像である。
【0030】
イメージプロセッサ34は、拡散方程式プロセッサ38を有する順問題(FP)プロセッサ36を含むことができる。順問題プロセッサ36および拡散方程式プロセッサ38の機能は、たとえば図4と共に、下記でより十分に述べる。ここでは、順問題プロセッサ36は、標本内の光伝播のモデル(予想される光)を、光検出器によって受け取られた光と比較すると言えば十分である。受け取られた光と、(光伝播モデルによって与えられた)予想される光との差は、標本内の蛍光タンパク質20と関連付けられる。拡散方程式プロセッサ38は、上述の光伝播モデルを提供するために使用することができる「輸送方程式」に関連付けられた「拡散方程式」内で使用される修正拡散係数を提供する。
【0031】
いくつかの実施形態では、修正拡散係数により、約400nmから700nmの波長を有する可視波長領域内の光について、モデルで光伝播を予測することが可能になる。他の実施形態では、修正拡散係数により、約700nmから1000nmの波長を有する近赤外波長領域内の光について、モデルで光伝播を予測することが可能になる。さらに他の実施形態では、修正拡散係数により、400nm〜1000nmの範囲の外側の波長を有する光について、モデルで光伝播を予測することが可能になる。
【0032】
また、システム10は、見かけの光源を所定の光路に向けて送るための光方向コントローラ44を含むことができる。システム10はまた、撮像チャンバ16を移動し、より多くの見かけの光源を提供するように使用することができる、光方向コントローラ44の代わりの、またはそれと組み合わせられた任意選択のチャンバ位置コントローラ42を含むことができる。すなわち、固有光は、より多くの所定の光路に沿って標本18を通過する。
【0033】
システム10は、撮像光源12によって生成された光が、標本18を通過し、本質的に標本18の他方の側で受け取られる透光撮像システムを提供することを理解されたい。
次に図1Aを参照すると、図1の同様の要素が同様の符号を有して示されているシステム70と、選択可能なフィルタ28と、映像増倍管32と、光検出器32とが、概して標本18の、撮像光源12および光誘導デバイス14と同じ側で位置決めされる。この特定の構成の場合、固有光72a、72bは、反射光として光検出器32によって受け取られる。本質的には、励起光22a〜22cは、標本18内に入り、反射して、あるいは、より具体的には散乱して受光器32に戻る。蛍光74もまた、光検出器32によって受け取られる。システム70は、画像76を生成する。
【0034】
システム70は、撮像光源12によって発せられた光が、標本18内に入り、本質的に標本18の同じ側で受け取られる反射撮像システムを提供することを理解されたい。他の実施形態では、光誘導デバイス14と光検出器32の間の角度は、約90度である。
【0035】
次に図2を参照すると、装置100は、レーザ102と、光ファイバ104と、光スイッチ106とを含み、これらは組合せで、標本110がその上に配置される撮像プレート108を有する撮像チャンバ112に向かって導かれる複数の見かけの光源を生成する。撮像チャンバは、マッチング液114で充填することができる。選択可能なフィルタ115およびCCDカメラ116は、標本110を通過する固有光と、標本110によって発せられる蛍光とを受け取る。上述のように、選択可能なフィルタは、固有画像が生成されるか、それとも蛍光画像が生成されるかに応じて、固有光または蛍光の波長の中央に選択的に合わせられる通過帯域を有する。光スイッチ106は、コンピュータ122によって制御することができる。コンピュータ122はまた、CCDコントローラ118を介してCCDカメラ116を制御することができる。イメージプロセッサ120は、CCDコントローラ118を介してデジタルデータ116aを受け取る。グラフィカルディスプレイ124は、得られた画像情報を表示することができる。
【0036】
レーザ102は、図1および図1Aの撮像光源12に対応し、光スイッチ106は、図1および図1Aの光誘導デバイス14に対応し、撮像チャンバ112は、図1および図1Aの撮像チャンバ16に対応し、CCDカメラ116は、図1および図1Aの光検出器32に対応し、イメージプロセッサ120は、図1および図1Aのイメージプロセッサ34に対応することを理解されたい。
【0037】
ここでは、標本110は、撮像チャンバ112内で配置されたマウスとして示されている。レーザ102は、励起光(図示せず)を送り、励起光は、標本110に進入し、標本110内で蛍光タンパク質(図示せず)を励起し、蛍光(図示せず)を生成する。CCDカメラ116は、レーザ光を(標本110を通過した)固有光として受け取り、また、標本100内から発せられた蛍光を、選択可能なフィルタ115を介して受け取る。
【0038】
特定の一実施形態では、レーザ102は、約200mW連続波(CW)電力でレーザ光を発するアルゴン(Ar)レーザであり、約488nmの波長を有する。そのレーザ光を使用し、標本110内の蛍光タンパク質、たとえば緑色蛍光タンパク質または黄色蛍光タンパク質を励起することができる。
【0039】
特定の一実施形態では、光ファイバ104は、直径100μmのマルチモード光ファイバである。レーザ102は、光スイッチ106により、標本110に対して様々な物理的位置で、複数の見かけの光源を提供する。特定の一実施形態では、光スイッチは、31本の見かけの光源を提供する。しかし、他の実施形態では、31本より多い、または31本より少ない見かけの光源を提供することができる。
【0040】
光スイッチ106が示されているが、他の実施形態では、光スイッチ106は、図3により詳しく示されている光走査ヘッド(または光スキャナ)と置き換えることができる。
光スイッチ106は、標本110に対して様々な角度または位置で見かけの光源を提供し、それによって、対応する様々な画像をイメージプロセッサ120で形成することを可能にし、それらの画像は、断層撮影プロセスにおいて、イメージプロセッサ120で組み合わせることができる。
【0041】
光スイッチ106は、対応する複数の選択可能な、固定された物理的な場所に光を向けて送るように適合された、複数の選択可能な光ファイバ経路(図示せず)を含み、位置および数が選択的に固定される見かけの光源を提供することは理解されよう。
【0042】
特定の一実施形態では、ここではマウスとして示されている生組織が、光学的マッチング液114と接触して、撮像プレート108上で配置される。マッチング液114については、さらに下記で述べる。マッチング液を使用し、迷光の影響を低減する。しかし、他の実施形態では、マッチング液が使用されない。
【0043】
動作時には、たとえば、図4に関連して述べられているように、(見かけの光源のそれぞれに由来する)固有光が、また標本110内の蛍光タンパク質によって発せられた光が、CCDカメラによって受け取られ、その後、イメージプロセッサ120によって断層撮影法で処理される。
【0044】
特定の一実施形態では、CCDカメラ116は、暗雑音が低減された冷却型CCDカメラである。たとえば、CCDカメラ116は、低温冷却ユニットを有するRoper Scientific、Princeton Instruments CCDカメラとして設けることができる。
【0045】
動作中には、光スイッチ106は、得られた各画像が、新しい見かけの光源の新しい位置(すなわち、光スイッチ106内の異なる光路)に対応するように、CCDコントローラ118によって制御およびトリガされ、したがって、励起と検出の適正な同期を達成する。各見かけの光源位置ごとに1回獲得されて、各回の獲得は、N個の画像で構成される。したがって、512×512ピクセルのCCDカメラを仮定すると、各測定値セットごとの最大データ数は、N×512×512である。しかし、後続の処理のためにイメージプロセッサ120によって使用される検出器(すなわち、ピクセル)の数は、見かけの光源のそれぞれに関連付けられた視野に応じて、512×512ピクセルの完全なグループより少なくすることができる。また、使用されるピクセルの数は、画像処理に必要とされる計算時間を削減するために、削減することができる。
【0046】
特定の一実施形態では、CCDカメラ116および選択可能なフィルタ115は、標本110に対して他の角度でより多くの画像を達成するために、たとえば矢印140、142によって表された方向で、標本110の周りで選択的に移動可能である。他の実施形態では、CCDカメラ116から幾分オフラインの光スキャナ117で、標本に対して他の角度で画像を提供することができる。
【0047】
標本110は、撮像プレート108上で水平に配置し、カバーガラス(図示せず)で圧縮することができる。次いで、撮像チャンバ112は、特定の一実施形態ではイントラリピッドおよびインディアインク溶液で構成されるマッチング液114で充填される。マッチング液114は、光学特性を合致させ、チャンバ内で屈折率および拡散波の不整合を低減する傾向がある。特定の一実施形態では、マッチング液114は、イントラリピッド1%、インク2.1%で構成され、これは、μ=1.25cm−1およびμ’=16.7cm−1に対応し、ただし、それぞれμは吸収係数であり、μ’は換算散乱係数である。換算散乱係数については、下記でさらに述べる。
【0048】
次に図3を参照すると、光スキャナ150は、図2の光スイッチ106の代わりに使用することができ、また、図2の光スキャナ117として使用することができる。特定の一実施形態では、光スキャナ150は、概して直交する軸の周りで旋回する2つのガルバノメータ制御型ミラー(ここでは、図を見やすくするために、1つのガルバノメータ制御型ミラー156が示されている)と、レーザビーム156を撮像チャンバ162の入力ウィンドウ上に走査および集束し、複数の見かけの光源を、ここでは光線160aおよび160bによって表されたそれぞれ異なる物理的位置で送るための走査レンズ158とを含むことができる。特定の一実施形態では、走査レンズ158は、テレセントリックレンズである。特定の一実施形態では、フィールド平面162(たとえば、図2の撮像チャンバ112)部での光線直径は、約300μmである。単一の光源(図示せず)を使用することができ、これはファイバカプラ152によって受け取られる。
【0049】
光スキャナ150は、従来の光スイッチ、たとえば図2の光スイッチ106の光学的損失に比べて、光学的損失が少ない。したがって、光スキャナ150は、より低損失の見かけの光源システムを提供する。さらに、光スキャナ150の場合、走査領域、光線形状、ならびに見かけの光源の数および見かけの光源の位置は、固定された数の光路が固定された位置にある図2の光スイッチ106と異なり、実質的に無限に変えることができる。また、より高い光パワーと、より広い光波長範囲(可視光から近赤外(NIR)光)を達成することができる。
【0050】
光スキャナ150は、それだけには限らないが、より低いエネルギー損失、いくつかの見かけの光源にわたって均一な応答、ならびに改善された信頼性および頑健性を含めて、光スイッチに優る様々な利点を有する。また、走査領域、ならびにいくつかの見かけの光源および見かけの光源の空間構成は、ソフトウェア制御することができ、したがって、走査される標本の特性に従って変えることができる。さらに、パワーのより高い照明と、より広い光波長範囲(たとえば、400から1000ナノメートル)を達成することができる。
【0051】
次に図4を参照すると、光断層撮影の方法200は、励起光が生成され、標本に向かって伝達されるステップ202で始まる。いくつかの実施形態、たとえば断層撮影画像が得られる実施形態では、励起光が、標本に対して異なる位置に対応する複数の見かけの光源から送られる。
【0052】
いくつかの実施形態では、その複数の光源が、その複数の見かけの光源部で、概して同時に励起光を送る。他の実施形態では、複数の見かけの光源が、励起光を順次送る。
ブロック204では、固有光が受け取られる。上述のように、固有光は、標本内を出入りした励起光に対応する。固有光は、光検出器、たとえば図1の光検出器32で受け取ることができる。いくつかの実施形態では、受け取られた固有光が徹照光(transillumination light)に対応し、光検出器と見かけの光源は、本質的に標本の両側にある。他の実施形態では、受け取られた固有光が反射光に対応し、光検出器と見かけの光源は、本質的に標本の同じ側にある。
【0053】
ブロック206では、蛍光が受け取られる。蛍光は、固有光に応答して、標本内の蛍光タンパク質によって発せられる。蛍光は、たとえば図1の光検出器32で受け取ることができる。いくつかの実施形態では、蛍光と固有光は、たとえば、蛍光を固有光から分離するように適合された光フィルタ(たとえば、図1の28)を用いて、同時に受け取られる。他の実施形態では、蛍光は、やはり光フィルタを用いて、励起光が消灯された後で受け取られる。
【0054】
ブロック208では、受け取られた固有光が、第1の画像情報、たとえば図1のデジタルデータ32aに変換される。ブロック210では、受け取られた蛍光が、やはりデジタルデータ32aとすることができる第2の画像情報に変換される。
【0055】
ブロック212では、標本内の光伝播を予測するためにモデルが生成される。そのモデルは、たとえば下記の式(4)におけるように、下記でより十分に述べる修正拡散係数を有し、下記の式(6)におけるように修正波数を有する拡散方程式に基づくものとすることができる。
【0056】
ブロック212で生成された光モデルは、同質媒体、すなわち、光異質性を有していない媒体内での伝播に関連付けることができる。他の実施形態では、より先進のモデルをも使用し、背景の光異質性に関する情報を解決(resolve)し、次いでそれを使用することができる。
【0057】
下記の考察から、組織内の光伝播は、修正拡散係数を有する修正拡散方程式を使用することによってモデル化することができ、修正拡散係数は、たとえば、生物組織内で伝播する可視光の場合のように、媒体が比較的高い吸収を有する拡散性媒体について光伝播の特性を予測するように適合されることが明らかになろう。下記で修正拡散係数について述べているので、修正拡散方程式は、たとえば、拡散性であることが知られている、比較的高い可視光吸収を有する生物組織内での可視光の伝播を予測することができる。しかし、修正拡散方程式はまた、拡散性媒体内で移動する他の波長を有する光、たとえば、生物組織内で伝播する近赤外光の伝播を正確に予測するのに適している。
【0058】
一般的な拡散方程式は、放射輸送方程式から導出することができる。媒体内部で伝播するレーザ励起光(固有光)によって生成される固有光照射野と、位置
【0059】
【数1】

【0060】
部の蛍光タンパク質により媒体内部で生成される蛍光照射野は共に、独立して計算され、次いで、正規化Bornフィールド(拡散近似)を計算するために使用される。下記でより十分に述べるように、修正拡散方程式は、順問題で使用し、媒体内部の蛍光タンパク質の画像を提供することができる。
【0061】
共に高い吸収を反映する修正拡散係数と修正伝播波数を共に有する、位置
【0062】
【数2】

【0063】
部の見かけの光源による、光検出器位置
【0064】
【数3】

【0065】
部で検出された、媒体内で伝播する光についてのBornフィールド
【0066】
【数4】

【0067】
は、
【0068】
【数5】

【0069】
によって与えられ、ただし、
【0070】
【数6】

【0071】
および
【0072】
【数7】

【0073】
は、それぞれ励起(λ)(レーザ)波長および放射(λ)(蛍光)波長での測定値であり、
【0074】
【数8】

【0075】
は、信号を介したブリードであり、Θは、たとえば図1の選択可能なフィルタ28に関連する帯域通過フィルタ減衰係数であり、Sは、励起(λ)波長および放射(λ)波長での計器利得差(たとえば、光検出器利得差)を反映する利得項であり、
【0076】
【数9】

【0077】
は、蛍光タンパク質吸収係数と蛍光量子収量との積であり、
【0078】
【数10】

【0079】
は、高い吸収を反映する、それぞれλとλでの修正光子波伝播波数であり、vは、媒体内での光の速度であり、
【0080】
【数11】

【0081】
は、λでの高い吸収の存在下における修正拡散係数であり、
【0082】
【数12】

【0083】
は、λでの、媒体内の位置
【0084】
【数13】

【0085】
での確立された光子フィールドについて説明する項であり、
【0086】
【数14】

【0087】
は、位置
【0088】
【数15】

【0089】
部での蛍光タンパク質から光検出器までの放射光子波の伝播を説明する拡散近似に対するグリーン関数解である。関数
【0090】
【数16】

【0091】
は、
【0092】
【数17】

【0093】
によって与えられる。
上記の式(1)は、本質的にUincによって正規化される。式(1)において正規化を使用する利点は、位置依存性の寄与がなくされ、また、このフィールドは、蛍光タンパク質が存在する場合ですら計算することができることである。これは、蛍光タンパク質を与える前に背景測定が必要でないことを意味し、これは生体内研究にとって重要である。
【0094】
拡散性の光伝播の吸収依存性を媒体吸収から独立して表すための有用な方法は、拡散係数を
【0095】
【数18】

【0096】
と書くことによるものであり、ただし、αは、概して媒体の吸収、散乱、異方性に依存する定数である。係数μ’は、換算散乱係数であり、μは、吸収係数である。換算散乱係数μ’は、μ’=(1−g)μと書くことができ、ただし、μは、散乱係数である。高い吸収を反映する修正拡散係数Dαについての式は、放射輸送方程式からの導出を介して見つけられ、
【0097】
【数19】

【0098】
を得ることができ、ただし、gは、異方性係数である。ここで、Dαは、異方性媒体内での散乱実験の際に重要な数量である換算散乱係数μ’を用いて表される。式(4)と、標準的な拡散係数Dについて最も一般的に使用される式との1つの主な差は、一般的に使用される式では、αの値が推測的にα=0またはα=1に固定されることである。しかし、αのより包括的(generic)な式は、考慮されるスペクトル領域に応じて異方性係数gを適切に選択することによって、背景吸収の変動する程度を反映することができる。適切な値は、解析によって、または実験によって見つけることができる。αのための式は、式(4)および式(3)から、
【0099】
【数20】

【0100】
として見つけられる。
αの典型的な値は、0.2から0.6に及ぶ。生物組織内で伝播する可視光については、生物組織にとって典型的であるg〜0.8の異方性係数を仮定して、αは、0.50から0.55程度である。gに伴うαの依存性は小さいものであり、現実的な生物学的値(0.5と0.9の間のg)内でのgの値の変化は、αの値を少し変化させるにすぎない。
【0101】
従来の拡散係数が使用された場合(すなわち、α=0またはα=1の場合)、拡散近似では、吸収の高い媒体について不正確な結果が生まれる。これは、長い間、高い吸収の存在下で(たとえば、生物組織内で伝播する可視光について)拡散近似が失敗すると考えられてきた理由である。しかし、式4の修正拡散係数が使用されたとき、拡散近似は、依然として正確なままである。このために、修正波数は、
【0102】
【数21】

【0103】
として定義しなければならない。ただし、ωは、変調周波数である(連続波励起光についてω=0)。式4の修正拡散係数を式6の伝播波数と組み合わせると、高い吸収の存在下での、たとえば、生物組織内で伝播する可視光についての撮像に適切な、拡散近似に対するグリーン関数解を導出することができる。
【0104】
上述のモデル(式1および後続の例示的な式)は、見かけの光源の特性、たとえばそれらの位置および強度を利用することができる。
ブロック214では、第1の画像情報と第2の画像情報と光伝播モデルが、たとえば、いわゆる「順問題」で組み合わされる。標本が内部蛍光タンパク質を有し、したがって、内部が同質でない場合、ブロック214の組合せは、測定値=(理論的な予測)×(未知の分布)という形態の「画像問題」または「順問題」を生成し、ただし、その測定値は、ブロック204〜210で光検出器32(図1)によって提供され、理論的な予測は、ブロック212で、概して式(1)〜(6)に従って、イメージプロセッサ34(図1)によって提供される。未知の分布は、蛍光タンパク質によって発せられる蛍光に対応する。イメージプロセッサ34は、標本18(図1)内の蛍光タンパク質20(図1)の物理的位置および特性を確立するために、未知の分布について解くことができる。
【0105】
ブロック216では、標本内の蛍光タンパク質濃度についてのマップが生成される。いくつかの実施形態では、マップは、断層撮影画像である。マップを生成するために、上述の順問題モデルが「逆転」され、上述の未知の分布について解く。
【0106】
蛍光タンパク質マップを生成する際には、当該のボリュームを、それぞれがいくつか(たとえば651個)のボクセルを含む複数の軸方向(水平)層(たとえば21層)に区分することができる。ボクセルサイズは、視野の寸法および区分の数に基づいて選択される。
【0107】
当該のボリュームは、3次元でいくつかのボクセルに区分することができる。これらは、3次元で互いに隣接して積み重ねられた立方体に似て、水平、垂直、または横方向の層として見ることができる。ボクセルのそれぞれは、未知の量の蛍光タンパク質と、未知の減衰とを有する。ボクセルのそれぞれにおける蛍光および減衰が既知であるならば、測定後の画像を予測することができるであろう。しかし、各ボクセルにおける蛍光および減衰は既知でない。したがって、上述の順問題を解き(逆転し)、蛍光タンパク質のマップを見つけることができる。
【0108】
いくつかの実施形態では、画像のわかりやすさを向上するために、標本の白色光画像を蛍光タンパク質濃度のマップ上に重ね合わせることが望ましい可能性がある。このために、ブロック218で、標本を白色光源によって照明することができ、白色光は、ブロック220で受け取ることができ、白色光画像は、ブロック222で生成することができる。
【0109】
ブロック222で生成された白色光画像は、ブロック224において、ブロック216で生成された蛍光タンパク質マップと重ね合わせることができる。このために、特定の一実施形態では、白色光画像が、蛍光タンパク質のマップと見当合わせ(register)または位置合わせされる。
【0110】
白色光画像を蛍光タンパク質のマップと位置合わせするために、見かけの光源の画像を、たとえばファントムを介して作成し、見かけの光源座標を決定することを可能にすることができる。この手順は、断層撮影画像上に重ね合わせることができる白色光画像の相互見当合わせを改善し、相対的な位置誤差を低減する。
【0111】
次に図5を参照すると、固有光の31個の画像300は、標本に光を導く31本の見かけの光源、およびそこから徹照光として受け取られる固有光に対応する。見かけの光源は、光を標本に、1本ずつ、または同時に、あるいは任意の組合せで導く。
【0112】
画像300は、光源(たとえば、図1の12)からの励起光の波長の中央に合わせられた帯域通過フィルタ(たとえば、図1の28)を使用して生成することができる。
次に図5Aを参照すると、蛍光の31個の画像310は、光を標本に導く31本の見かけの光源、およびそこから受け取られる、発せられた蛍光に対応する。見かけの光源は、光を標本に、1本ずつ、または同時に、あるいは任意の組合せで導く。蛍光は、見かけの光源が標本に光を導きつつある間に、または見かけの光源が標本に光を導いた後で受け取ることができる。図5の固有光画像と図5Aの蛍光画像は、たとえば図4のブロック214で組み合わせられる。
【0113】
画像310は、蛍光タンパク質(たとえば、図1の20)からの発せられた光の波長の中央に合わせられた帯域通過フィルタ(たとえば、図1の28)を使用して生成することができる。
【0114】
測定値(または画像)300、310を使用し、式(1)によって説明されるフィールド
【0115】
【数22】

【0116】
を生成する。露出時間は、ダイナミックレンジが最大になるように、個々の画像間で変わる可能性がある。
次に図5Bを参照すると、見かけの光源の31個の画像320は、ファントムを介して光を導く31本の見かけの光源、およびそこから受け取られる光に対応する。見かけの光源は、光をファントムに、1本ずつ、または同時に、あるいは任意の組合せで導く。見かけの光源の画像は、たとえば、図4のブロック224に示されているように、白色光画像を蛍光タンパク質濃度のマップに見当合わせするために、任意選択で使用される。
【0117】
画像320は、白色光源(たとえば、図1の40)からの励起光の波長の中央に合わせられた帯域通過フィルタ(たとえば、図1の28)を使用して生成することができる。
次に図6および図6Aを参照すると、本発明の方法およびシステムによって提供される画像の一例が示されている。2つの異なる数、すなわち10個と10個の緑色蛍光タンパク質(GEP)発現腫瘍細胞が使用された。蛍光タンパク質は、細いガラス管内部に配置され、動物が犠牲にされた後で、動物の食道内に挿入された。動物は、撮像チャンバ(たとえば、図1の16)内部に配置され、次いで、撮像チャンバが、上述のマッチング液で充填された。撮像は、動物の胸部の周りの領域を徹照する31本の見かけの光源アレイを使用して行われた。
【0118】
最初に図6を参照すると、画像350は、10蛍光タンパク質のマップ352を含み、そのマップ上に、マウスの白色光画像354が重ね合わされる。
次に図6Aを参照すると、画像370は、10蛍光タンパク質のマップ372を含み、そのマップ上に、マウスの白色光画像374が重ね合わされる。
【0119】
次に図7を参照すると、光断層撮影用のシステム400は、たとえば図3に関連して述べたように、複数の見かけの光源を提供する光スキャナ412に結合されたレーザ源402を含む。また、システム400は、レーザ強度コントローラ406(LIC)を含む。LIC406は、レーザ源402の強度制御を行う。
【0120】
さらに、システム400は、映像増倍管420と、CCDカメラとを含む。選択可能な光フィルタ418は、見かけの光源によって伝達された励起光の波長で、または標本416内の蛍光タンパク質によって発せられた光の波長で帯域の中央に選択的に合わせられる。コンピュータ424は、LIC406および光スキャナ412を制御することができる。また、コンピュータは、イメージプロセッサとして、たとえば図1のイメージプロセッサ34として機能し、グラフィカルディスプレイ426上で画像を提供することができる。
【0121】
動作時には、光スキャナ412は、複数の見かけの光源を、標本416に対して対応する複数の位置で提供する。CCDカメラは、徹照光として標本416を通過する固有光を、また標本416内の蛍光タンパク質によって発せられた蛍光を共に収集する。CCDカメラは、受け取られた光をデジタルデータに変換し、コンピュータは、図4に関連して上述したようにそのデジタルデータを処理し、断層撮影画像をグラフィカルディスプレイ426上で提供する。
【0122】
この特定の実施形態では、断層撮影イメージングに必要な複数の画像が、光スキャナ412によって提供される複数の見かけの光源の位置に関連付けられ、撮像チャンバは、実質的に静止したままであるが、画像品質に影響を及ぼすために、軸417に沿って移動させることができる。
【0123】
次に図7Aを参照すると、図7の撮像チャンバ414は円筒450を含み、その円筒を、たとえば図2に関連して述べたように、マッチング液で充填することができる。撮像プレート454とカバーガラス456が、標本416を囲む。
【0124】
次に、図7の同様の要素が同様の符号を有して示されている図8を参照すると、光断層撮影用のシステム500は、標本510を保持する撮像チャンバ504を含む。撮像チャンバ504は、矢印506によって表されるように回転するように、また、軸508に沿って並進して移動するように適合される。システム500は、撮像チャンバ504を保持するために、回転ステージ502を含むことができる。
【0125】
図7に関連して述べられているように、断層撮影イメージングに必要な複数の画像が、光スキャナ412によって提供される複数の見かけの光源の位置に関連付けられる。さらに、撮像チャンバ504は、標本510の画像をさらに提供するために、たとえばコンピュータ424の制御下で回転して、また並進して移動させ、さらなる見かけの光源位置および/または角度を提供することができる。
【0126】
次に、図7および図8の同様の要素が同様の符号を有して示されている図8Aを参照すると、図8の撮像チャンバ504は、たとえば図7Aに示されている撮像チャンバ550と置き換えることができるが、矢印552によって表されるように回転して移動するように、また矢印554によって表されるように並進して移動するように適合することができる。
【0127】
また、撮像チャンバ550は、矢印556によって表される軸に沿って並進して移動することが可能であり、それにより、図8のCCDカメラ442によって得られる画像に影響を及ぼすことが可能になる。
【0128】
次に図9を参照すると、図7の同様の要素が同様の符号を有して示されている光断層撮影用の別のシステム600は、標本604が配置される概して円筒形の撮像チャンバ602を含む。撮像チャンバ602は、矢印606によって表されるように回転することができる。回転は、たとえば、コンピュータ608によって制御される回転ステージコントローラ612でコンピュータ制御することができる。図7のLIC406は示されていないが、システム600に含むことができる。
【0129】
図7に関連して述べられているように、断層撮影イメージングに必要な複数の画像が、光スキャナ412によって提供される複数の見かけの光源の位置に関連付けられる。さらに、撮像チャンバ602は、標本604の画像をさらに提供するために、たとえばコンピュータの制御下で回転させ、すなわち、さらなる見かけの光源位置および/または角度を提供することができる。
【0130】
円筒形撮像チャンバ602の利点は、画像品質に対して欠点を課すことなしに、回転と撮像アルゴリズムが共に簡単かつ高速であることである。
次に図10を参照すると、光断層撮影用のさらに別のシステム700は、光ファイバ712に光を送るレーザ源710を含む。光ファイバ712は、たとえば構造716によって、少なくとも2つの軸718、720に沿って選択的に移動可能である。また、システム700は、標本724が配置される概して円筒形の撮像チャンバ722を含む。撮像チャンバ722は、矢印723によって表されるように回転することができる。回転は、たとえば、コンピュータ740によって制御される回転ステージコントローラ744でコンピュータ制御することができる。さらに、少なくとも2つの軸718、720上でファイバ712の運動を実現する構造716の運動は、たとえば、コンピュータ740によって制御されるXYステージコントローラ746でコンピュータ制御することができる。図7のLIC406は示されていないが、システム700に含むことができる。
【0131】
上記のシステムの場合と同様に、標本724を通過する固有光、および標本724内から発せられた蛍光は、選択可能な光フィルタ734を通過し、映像増倍管736およびCCDカメラ738によって受け取られる。CCDカメラは、デジタルデータ738aをコンピュータ740に送り、コンピュータ740は、少なくとも図4のブロック208〜216に示されているプロセスを提供し、標本724内の蛍光タンパク質のマップをグラフィカルディスプレイ742上で提供する。
【0132】
別の光ファイバ714は、標本724の、光ファイバ712と反対側で第2の光源726を提供することができる。第2の光源726は、図4のブロック218からブロック224の白色光画像を提供するために使用される単一の白色光源とすることができる。他の実施形態では、第2の光源726を少なくとも2つの軸730、732で選択的に移動させ、たとえば図1Aに示されているものとほとんど同じ方法で、標本724の反射撮像で使用される別の複数の見かけの光源を提供することができる。
【0133】
図9のシステム600によって提供される同じ高品質3D画像を、図10のシステム700で達成することができる。しかし、システム700の利点は、透光モードだけでなく反射モードで動作することができ、任意の幾何形状、たとえば自由空間(すなわち、非接触およびマッチング液なし)の円筒形幾何形状を実施することができることである。
【0134】
次に、図10の同様の要素が同様の符号を有して示されている図10Aを参照すると、さらに多くの見かけの光源を達成するために、第3の光源760を設けることができる。いくつかの実施形態では、第3の光源760は、少なくとも2つの軸762、764に沿って選択的に移動可能であり、たとえば、第2の光源726で側方照明を、また第3の光源760で前方照明を共に提供する。
【0135】
側方照明および前方照明を使用し、低レベルの光信号、特に、そうでない場合には第1の光源719を使用する透光モードで大きな吸収によって隠されるはずの信号の収集効率を改善することができる。第1、第2、第3の光源719、726、760からそれぞれ得られる測定値は、断層撮影処理と組み合わせることができ、図4に関連して上述したものと同様の順問題を解くために使用することができる。
【0136】
次に図11を参照すると、別の撮像システム800は、励起光を生成するためのレーザ光源802と、単一の光ファイバ804とを含む。光ファイバ804は、光学スプリッタ806に結合され、光学スプリッタ806は、それぞれ励起光を搬送する複数の光ファイバ808a〜808Nに、また光ファイバ810に、励起光を分割する。光ファイバ808a〜808Nは、矢印814、816によって表された少なくとも2つの軸に沿って並進して移動することができる走査ヘッド812に結合する。特定の一実施形態では、光ファイバ808a〜808Nは、撮像チャンバ820(または撮像チャンバ)内に配置された標本822に向かって、励起光を同時に投射する見かけの光源を提供する。
【0137】
上述のシステムの場合と同様に、標本822を出て行く固有光と、また標本822内の蛍光タンパク質によって発せられた蛍光は、選択可能なフィルタ828を通過し、映像増倍管830を通過し、CCDカメラ832に入る。光は、CCDカメラ832によってデジタルデータ832aに変換され、そのデジタルデータは、コンピュータ834によって受け取られる。コンピュータ834は、たとえば図4のプロセス200によって、述べられているようにデジタルデータを処理し、断層撮影画像のグラフィカル表示をグラフィカルディスプレイ836上で提示することができる。
【0138】
白色光源826は、標本822から反射する白色光を生成し、選択可能なフィルタ828を介して、映像増倍管830を介して、CCDカメラ内に白色光を送る。図4に関連して述べられているように、標本822の白色光画像は、標本822内の蛍光タンパク質のマップと重ね合わせ、よりわかりやすい断層撮影画像を得ることができる。
【0139】
また、コンピュータ834は、XYステージコントローラ838を介して走査ヘッド812の位置を制御し、矢印814、816によって表された軸の周りで走査ヘッドを移動してより多くの見かけの光源を提供し、より良い蛍光タンパク質の断層撮影マップを得ることができる。
【0140】
特定の一実施形態では、走査ヘッド812は、矢印814、816によって表された少なくとも2つの軸に沿って走査することができ、走査ヘッド812に結合された光ファイバ808a〜808Nのすべてを同時に照明することができる。そのような実施形態の利点には、それだけには限らないが、特に、露出時間が長くなる低振幅の光信号の存在下での、より高速な断層撮影イメージングが含まれる。
【0141】
ファイバ808a〜808N間のクロストークは、伝播する光子の経路が重なり合わないように、個々のファイバ808a〜808N間の距離を適切に選択することによって最小限に抑えることができる。他の実施形態、特に露出時間を短くすることができるものでは、ファイバ808a〜808Nを1本ずつ照明し、ファイバ808a〜808N間のクロストークから雑音をなくすることができる。この実施形態では、光学スプリッタ806を、光スイッチ(たとえば、図2の106)によって置き換えることができる。代替の一実施形態では、単一のファイバを、矢印814、816によって表された軸に沿って走査することができる。
【0142】
次に、図11の同様の要素が同様の符号を有して示されている図11Aを参照すると、図11の走査ヘッド812は、複数の開口850a〜850Nを有し、そのそれぞれは、それぞれの見かけの光源に対応し、N個の見かけの光源を形成する。走査ヘッド812が、軸、たとえば矢印814、816によって表された軸に沿って移動されたとき、さらなる見かけの光源、たとえば別のN個の見かけの光源が形成される。
【0143】
本発明の方法およびシステムは、それだけには限らないが、DsRed蛍光タンパク質およびHcRed蛍光タンパク質を含めて、任意の蛍光タンパク質を使用することができる。これらの特定の蛍光タンパク質は、可視光スペクトルの赤色または近赤外領域内の蛍光を提供する。これらの特定の蛍光タンパク質により、品質のより高い蛍光タンパク質のマップが得られる。というのは、光の可視スペクトルの赤色領域は、可視光の他の波長に比べて、生物組織内で、効率のより高い、深い貫通深さを有し、より波長の長いNIRシステムより高い解像度を実現することができるからである。
【0144】
本発明の方法およびシステムは、(GFPのような)蛍光タンパク質を発現する腫瘍細胞と共に使用されたとき、腫瘍成長を研究し、転移形成を監視するために使用することができる。
【0145】
本発明の方法およびシステムは、特定の患者の標的治療に対して遺伝子送達および遺伝子療法の研究のために、GFP発現腫瘍細胞およびYFP発現ウィルス細胞と共に使用することができる。
【0146】
また、本発明の方法およびシステムは、マッチング液を必要とすることなしに任意の幾何形状を撮像するためのアルゴリズムを使用する撮像モダリティを利用することができる。光伝播をモデル化する、また順問題を解くためのアルゴリズムは、上記のシステム実施形態のすべてに適用することができる。
【0147】
本発明の方法およびシステムは、可視光を使用したとき、近赤外(NIR)光を使用する従来の断層撮影手法より高い空間解像度を実現することを理解されたい。
本発明の上述の実施形態によって提供される励起光と、得られた、発せられた蛍光は、連続波(CW)光、強度変調(IM)光、または時間分解(TR)光、あるいは両者の組合せとすることができる。本発明の方法およびシステムは、システムの力学(dynamics)についての情報を、時間の関数として提供することができ、得られた画像は、磁気共鳴撮像(MRI)、コンピュータ断層撮影イメージング(CT)、超音波または生物発光撮像など、別の撮像法によって得られた画像と相互見当合わせすることができる。
【0148】
この上述のシステムおよび方法は、比較的高い吸収係数(たとえば、>0.3cm−1)を有する、すなわち拡散性である媒体内において、少なくとも400nmから700nmの可視波長範囲内で、生体内蛍光タンパク質の3次元断層撮影イメージングを可能にする、適切な正規化と組み合わされた修正拡散近似を使用する。この修正拡散近似は、より複雑な輸送方程式の使用を必要としない。したがって、その修正解により、計算効率が得られる。
【0149】
上述のいくつかの実施形態では、非接触の組織照明および/または非接触の受光が使用され、上述の見かけの光源および/または光検出器は、走査される標本から離隔される。他の実施形態では、見かけの光源および/または光検出器は、標本と実質的に接触して配置される。
【0150】
上述の方法およびシステムは、様々な異なる蛍光タンパク質を使用することによって、様々な生物学的プロセスおよび分子プロセスに適用することができる。たとえば、様々な実施形態では、蛍光タンパク質を使用し、腫瘍成長、転移形成、遺伝子発現、治療効果を監視することができる。さらに、本方法およびシステムを使用し、細胞より小さいレベルでの活性に関連する情報を非侵襲的に生み出すために、非侵襲性の全体(whole−body)分子撮像を実現することができる。
【0151】
本発明の方法およびシステムにより、多数の疾病、たとえば癌、腫瘍成長、転移形成の基礎を形成する特定の分子および生物学的異常を見抜くことができる。また、本方法およびシステムを使用し、血管形成を撮像することができる。というのは、ヘモグロビンの高い吸収により、腫瘍細胞の蛍光背景に対して血管が対照をなすからである。さらに、本方法およびシステムを使用し、新規の標的療法の効力を分子レベルで評価することができる。次いでこれは、薬剤開発、薬剤試験、ならびに所与の患者において適切な療法や療法変更を選択することに対して影響を及ぼすことができる。さらに、本方法およびシステムは、生物系の手つかずの微環境における発症の研究を可能にする。さらに、本方法およびシステムは、新規の遺伝子送達戦略にとって有用である。本撮像方法およびシステムは、時間がかかる、また労力がかかる従来の基本的な科学技法の場合に現在可能であるものよりはるかに速く3次元情報を獲得することを可能にする。
【0152】
本発明の方法およびシステムは、癌、神経変性疾患、炎症性疾患、感染性疾患、および他の疾病を含む様々な疾病の管理(control)および撲滅を促進するように設計された多種多様な生物学的、免疫学的療法、および遺伝子療法において、広範な応用例を有する。さらに、本方法およびシステムは、組み合わされた設定におけるシームレスな疾病検出および治療のために、広範な応用例を有する。
【0153】
本明細書で引用されている参照はすべて、それらの全体を参照により本明細書に組み込む。
本発明の好ましい諸実施形態について述べたので、いまや、それらの概念を組み込む他の実施形態を使用することができることが、当業者には明らかとなろう。したがって、これらの実施形態は、開示されている実施形態に限定するべきではなく、添付の特許請求の範囲の精神および範囲によってのみ限定するべきであると思われる。
【図面の簡単な説明】
【0154】
【図1】透光撮像を提供する光断層撮影用のシステムを示すブロック図である。
【図1A】反射撮像を提供する光断層撮影用のシステムを示すブロック図である。
【図2】レーザ源、光ファイバ、光スイッチ、冷却CCDカメラ、イメージプロセッサを有する光断層撮影用のシステムを示すブロック図である。
【図3】一定の作動距離(WD)で平坦な光照射野を有する複数の見かけの光源を生成するために共に使用されるファイバカプラ、位置制御型ミラー、テレセントリックレンズを有する光スキャナのブロック図である。
【図4】本発明に従って断層撮影画像を提供するために使用されるプロセスを示す流れ図である。
【図5】図5は固有光(すなわち、標本に進入し出て行く見かけの光源からの励起光)を示す、図3の光スキャナによって提供される図1の31本の見かけの光源に対応する一連の31個の画像の図である。
【図5A】は図5の固有光に応答して標本内の蛍光タンパク質から発せられた蛍光を示す、図3の光スキャナによって提供される図1の31本の見かけの光源に対応する別の一連の31個の画像の図である。
【図5B】は標本を通過していないが同質なスラブ(すなわち、ファントム)を通過した透過光を示す、図3の光スキャナによって提供される図1の31本の見かけの光源に対応する別の一連の31個の画像の図である。
【図6】図6は緑色蛍光タンパク質(GFP)発現細胞を有するガラスバイアルが食道内に配置されたマウスの死骸の白色光画像が重ね合わされた蛍光画像の図である。
【図6A】はガラスバイアルが図6のバイアルより大きい数の細胞を有する、緑色蛍光タンパク質(GFP)発現細胞を有する別のガラスバイアルが食道内に配置されたマウスの死骸の白色光画像が重ね合わされた別の蛍光画像の図である。
【図7】平面撮像チャンバを有する光断層撮影用のシステムのブロック図である。
【図7A】図7のシステム内で使用される撮像チャンバを示すブロック図である。
【図8】回転式平面撮像チャンバを有する光断層撮影用の代替システムのブロック図である。
【図8A】図8のシステム内で使用することができる回転式平面撮像チャンバのブロック図である。
【図9】回転式円筒形撮像チャンバを有する光断層撮影用の別の代替システムのブロック図である。
【図10】回転式円筒形撮像チャンバと、選択的に移動可能な見かけの光源とを有する光断層撮影用の別の代替システムのブロック図である。
【図10A】回転式円筒形撮像チャンバ、および複数の光源を示すブロック図である。
【図11】見かけの光源のアレイを有する光走査ヘッドを有する光断層撮影用の別の代替システムのブロック図である。
【図11A】図11に示されている光走査ヘッドのブロック図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蛍光タンパク質を中に有する標本に向かって励起光を投射するように適合された見かけの光源を備え、前記励起光が前記標本に進入し、前記標本内で固有光になり、前記固有光が、前記蛍光タンパク質からの蛍光を励起するように適合され、前記固有光および前記蛍光が拡散性である光断層撮影用のシステム。
【請求項2】
前記励起光および前記蛍光のうち少なくとも1つが、可視波長範囲内の波長を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記蛍光が、可視波長範囲内の波長を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記蛍光が、可視波長範囲内の赤色部分の波長を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記蛍光が、近赤外(NIR)領域内の波長を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記標本を出て行く前記固有光を受け取るように適合され、前記標本を出て行く前記蛍光を受け取るように適合され、前記受け取られた固有光を第1の画像情報に変換するようにさらに適合され、前記受け取られた蛍光を第2の画像情報に変換するようにさらに適合された光検出器と、
前記光検出器に結合され、光伝播モデルを生成するように適合されたイメージプロセッサであって、前記モデルが、拡散性媒体内での光伝播を予測するように適合され、さらに、前記イメージプロセッサが、前記第1の画像情報と前記第2の画像情報と前記光伝播モデルとを組み合わせるように適合され、前記蛍光タンパク質の画像を提供するようにさらに適合された、イメージプロセッサとをさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記イメージプロセッサが、前記固有光および前記蛍光のうち少なくとも1つに関連する修正拡散係数を有する拡散方程式を使用する拡散方程式プロセッサを含む、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記光検出器が、標本に対する複数の光路上で前記固有光および蛍光を受け取るように選択的に移動可能である、請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
標本に対する複数の光路上で、前記光検出器に前記固有光および蛍光を送るための光スキャナをさらに含む、請求項6に記載のシステム。
【請求項10】
前記見かけの光源が、前記標本に向かって複数の光路上で前記励起光を導くように前記見かけの光源を選択的に移動するための光誘導デバイスを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記光誘導デバイスが、前記標本に向かって前記複数の光路を提供するように前記見かけの光源を選択的に移動するための光スイッチを含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記光誘導デバイスが、前記標本に向かって前記複数の光路を提供するように前記見かけの光源を選択的に移動するための、移動可能なミラーを含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記光誘導デバイスが、前記見かけの光源を、少なくとも1つの見かけの光源並進軸に沿って並進して選択的に移動するように適合される、請求項10に記載のシステム。
【請求項14】
前記標本が、前記標本に対する複数の光路上で前記励起光を提供するように選択的に移動可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
標本が、標本回転軸の周りで回転して選択的に移動可能である、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
標本が、少なくとも1つの標本並進軸に沿って並進して選択的に移動可能である、請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
標本が、標本回転軸の周りで回転して選択的に移動可能であり、前記標本が、少なくとも1つの標本並進軸に沿って並進して選択的にさらに移動可能である、請求項14に記載のシステム。
【請求項18】
前記見かけの光源が、前記標本に向かって複数の光路上で前記励起光を導くように前記見かけの光源を選択的に移動するための光誘導デバイスを含み、前記標本が、前記標本に対する複数の光路上で前記励起光を提供するように選択的に移動可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
前記固有光が、徹照光として前記標本を通過する、請求項1に記載のシステム。
【請求項20】
前記固有光が、反射光として前記標本から反射する、請求項1に記載のシステム。
【請求項21】
光断層撮影の方法であって、蛍光タンパク質を中に有する標本に向かって前記励起光を投射するように適合された見かけの光源を用いて前記励起光を生成するステップを含み、前記励起光が前記標本に進入し、前記標本内で固有光になり、前記固有光が、前記蛍光タンパク質からの蛍光を励起するように適合され、前記固有光および前記蛍光が拡散性である方法。
【請求項22】
前記励起光および前記蛍光のうち少なくとも1つが、可視波長範囲内の波長を有する、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記蛍光が、可視波長範囲内の波長を有する、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記蛍光が、可視波長範囲内の赤色部分の波長を有する、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記蛍光が、近赤外(NIR)領域内の波長を有する、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
前記標本を出て行く前記固有光を受け取るステップと、
前記標本を出て行く前記蛍光を受け取るステップと、
前記受け取られた固有光を第1の画像情報に変換するステップと、
前記受け取られた蛍光を第2の画像情報に変換するステップと、
拡散性媒体内での光伝播を予測するように適合されたモデルを生成するステップと、
前記蛍光タンパク質の画像を提供するように、前記第1の画像情報と前記第2の画像情報と前記モデルとを組み合わせるステップとをさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項27】
前記固有光を受け取る前記ステップ、および前記蛍光を受け取る前記ステップが、標本に対する複数の光路上で前記固有光および蛍光を受け取るように適合された、選択的に移動可能な光検出器で、前記固有光を受け取るステップと、前記蛍光を受け取るステップとを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記モデルが、前記固有光および前記蛍光のうち少なくとも1つに関連する修正拡散係数を有する拡散方程式に対する解に従って生成される、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記標本に向かって複数の光路上で前記励起光を導くように前記見かけの光源を選択的に移動するステップをさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項30】
前記見かけの光源が、前記見かけの光源を選択的に移動するための光スイッチを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記見かけの光源が、前記見かけの光源を選択的に移動するための、選択的に移動可能なミラーを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記見かけの光源を選択的に移動する前記ステップが、少なくとも1つの見かけの光源並進軸に沿って並進して、前記見かけの光源を選択的に移動するステップを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
標本に対する複数の光路上で前記励起光を提供するように、前記標本を選択的に移動するステップをさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項34】
前記標本を選択的に移動する前記ステップが、標本回転軸の周りで回転して、前記標本を選択的に移動するステップを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記標本を選択的に移動する前記ステップが、少なくとも1つの標本並進軸に沿って並進して、前記標本を選択的に移動するステップを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記標本を選択的に移動する前記ステップが、
標本回転軸の周りで回転して、前記標本を選択的に移動するステップと、
少なくとも1つの標本並進軸に沿って並進して、前記標本を選択的に移動するステップとを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項37】
前記標本に向かって複数の光路上で前記励起光を導くように前記見かけの光源を選択的に移動するステップと、
前記標本に対する別の複数の光路上で前記励起光を提供するように前記標本を選択的に移動するステップとをさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項38】
前記固有光が、徹照光として前記標本を通過する、請求項21に記載の方法。
【請求項39】
前記固有光が、反射光として前記標本から反射する、請求項21に記載の方法。
【請求項40】
標本に向かって複数の光路を導くように見かけの光源を選択的に移動するための、少なくとも1つの選択的に移動可能な構成要素を備える光断層撮影用のシステム。
【請求項41】
前記選択的に移動可能な構成要素が、少なくとも1つの選択的に移動可能なミラーを含む、請求項40に記載のシステム。
【請求項42】
前記選択的に移動可能な構成要素が、選択的に移動可能な構造を含む、請求項40に記載のシステム。
【請求項43】
前記選択的に移動可能な構造に結合された光ファイバをさらに含む、請求項42に記載のシステム。

【図1】
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【図1A】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図6A】
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【図7】
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【図7A】
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【図8】
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【図8A】
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【図9】
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【図10】
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【図10A】
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【図11】
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【図11A】
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【公表番号】特表2007−528500(P2007−528500A)
【公表日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−502936(P2007−502936)
【出願日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【国際出願番号】PCT/US2005/007652
【国際公開番号】WO2005/089637
【国際公開日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【出願人】(503046334)ザ・ゼネラル・ホスピタル・コーポレーション (8)
【Fターム(参考)】