説明

蛍光ランプ、バックライトユニット、および液晶表示装置

【課題】高い輝度維持率を有しつつ、従来よりも初期輝度を向上することができる蛍光ランプ等を提供すること。
【解決手段】ガラス容器16と、当該ガラス容器16内面側に形成された蛍光体層22とを有する蛍光ランプであって、蛍光体層22が、複数の蛍光体粒子24と、蛍光体粒子24を被覆すると共に、蛍光体粒子24間を架橋するように連結する連結体26とを含む蛍光ランプにおいて、連結体26を、紫外線を受けて励起発光するもので形成した。連結体26は、金属酸化物(例えば、酸化イットリウム)に付活剤(例えば、ユウロピウム)が添加されてなるもので形成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛍光ランプ、光源として当該蛍光ランプを有するバックライトユニット、および当該バックライトユニットを備えた液晶表示装置に関し、特に、蛍光体層の改良技術に関する。
【背景技術】
【0002】
蛍光ランプの中でも、管状をしたガラス容器の内面側に蛍光体層が形成され、両端部に内部電極として冷陰極が設けられてなる冷陰極蛍光ランプは細径化に適している。このため、薄型化(小型化)が要求されるバックライトユニットの光源として好適に用いられている。
また、バックライトユニットの光源用途としては、特に長寿命であること、すなわち、輝度維持率に優れていることが要求される。経時的に生じる輝度低下の要因の一つとして、蛍光体の劣化と水銀の消耗とが挙げられる。蛍光体の劣化と水銀の消耗は、以下のようにして発生すると考えられている。
【0003】
従来、蛍光体層は、無数の蛍光体粒子と、これらの蛍光体粒子同士を連結する、例えば、CBB(アルカリ土類金属ホウ酸塩)のみからなる連結体とで構成されている。CBBは蛍光体粒子よりも小さな粒状をし、蛍光体粒子に点接触で付着して蛍光体粒子間を連結する。このため、蛍光体粒子表面の大部分は、CBBから露出していると考えられている。
【0004】
蛍光体層は、冷陰極蛍光ランプの点灯時に発生する水銀イオンの衝撃にさらされる。上記従来の蛍光体層の場合、蛍光体粒子は露出部分で水銀イオンの衝撃を受け、その結晶構造が非発光の結晶構造に変化する。また、蛍光体粒子やCBBを叩いた水銀イオンの中には、そのまま当該蛍光体粒子内やCBB内に留まるものがある。これにより、紫外線発光に寄与する水銀が徐々に消耗されることとなる。
【0005】
そこで、特許文献1には、上記CBBに代え、金属酸化物を用いて蛍光体層を形成してなる蛍光ランプが開示されている。金属酸化物は、一般的に、水銀イオンの侵入を阻止する特性を有するからである。特許文献1には、「蛍光体層が、複数の蛍光体粒子と、この蛍光体粒子の接触部分(連結部分)に付着し、かつ蛍光体粒子の表面が部分的に露出するように配置された金属酸化物とを含む。」(括弧内は、本願出願人において追記した。)旨記載されている。すなわち、特許文献1の蛍光体層において、蛍光体粒子は、連結部分の表面と連結部分以外の表面の少なくとも一部が金属酸化物で覆われている。
【0006】
特許文献1の蛍光体粒子は、連結部以外の表面が水銀イオンの侵入を阻む金属酸化物で覆われており、露出部分が上記従来の蛍光体粒子よりも少ない。このため、水銀イオンの衝撃による劣化も、蛍光体粒子内に水銀が留まることによる水銀の消耗も少なくなる。また、連結体が金属酸化物で形成されているため、当該連結体部分における水銀の消耗も少なくなる。これにより、上記従来の蛍光ランプよりも輝度維持率に優れたものとなる。
【特許文献1】特再表WO2002/047112号公報(「発明の開示」欄)
【特許文献2】特開2002−164018号公報
【特許文献3】特開2002−83569号公報
【特許文献4】特開平6−287552号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、金属酸化物は僅かではあるが可視光を吸収する性質があるため、特許文献1の蛍光ランプでは初期輝度が低下してしまう。
なお、上記と同様の問題は、内部電極に代えて、ガラス容器の外周に外部電極を設けてなる外部電極蛍光ランプ(EEFL)においても生じうる。
上記の課題に鑑み、本発明は、高い輝度維持率を有しつつ、従来よりも初期輝度を向上することができる蛍光ランプ、光源として当該蛍光ランプを有するバックライトユニット、および当該バックライトユニットを備えた液晶表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、本発明に係る蛍光ランプは、ガラス容器と、当該ガラス容器内面側に形成された蛍光体層とを有する蛍光ランプであって、前記蛍光体層は、複数の蛍光体粒子と、前記蛍光体粒子を被覆すると共に、蛍光体粒子間を架橋するように連結する連結体とを含み、当該連結体は、紫外線を受けて励起発光することを特徴とする。
また、前記連結体は、金属酸化物に付活剤が添加されてなるもので形成されていることを特徴とする。
【0009】
ここで、前記金属酸化物には、酸化イットリウム(Y)または酸化ランタン(La)を用いることができる。
また、前記付活剤は、ユウロピウム、セリウム、テルビウム、ガドリニウム、チタン、ジルコニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、モリブデン、タングステン、ランタン、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、およびルテチウムから選択される少なくとも一つを用いることができる。
【0010】
また、前記ガラス容器はソーダガラスからなり、前記ガラス容器内面には、前記蛍光体層との間に、保護層が形成されていることを特徴とする。
上記の目的を達成するため、本発明に係るバックライトユニットは、光源として、上記する蛍光ランプを有することを特徴とする。
上記の目的を達成するため、本発明に係る液晶表示装置は、前記バックライトユニットが前記蛍光ランプを収納する外囲器を有していて、液晶表示パネルと、前記外囲器が前記液晶表示パネルの背面に配されている当該バックライトユニットとを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る蛍光ランプによれば、連結体によって蛍光体粒子を被覆しているので、水銀イオンの衝撃に起因する蛍光体粒子の劣化を可能な限り防止でき、かつ水銀が蛍光体粒子に留まることを可能な限り抑制できるので、高い輝度維持率が実現できる。さらに、従来は発光しなかった連結体自身が励起発光するので、初期輝度が従来よりも向上することとなる。
【0012】
本発明に係るバックライトユニットは、上記蛍光ランプを光源に有し、本発明係る液晶表示装置は、当該バックライトユニットを備えるので、上記したのと同様の効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1(a)は、実施の形態1に係る冷陰極蛍光ランプ10の概略構成を示す縦断面図である。なお、本図を含む全ての図において、各構成部材間の縮尺は統一していない。
冷陰極蛍光ランプ10は、円形断面を有するガラス管の両端部がリード線12、14で気密封止されてなるガラス容器16を有する。ガラス容器16は、硬質のホウケイ酸ガラスからなり、その全長は720mm、外径は3mm、内径は2mmである。
【0014】
また、ガラス容器16の内部には、約2mgの水銀(不図示)と、アルゴン(Ar)ガスとネオン(Ne)ガスといった複数種の希ガスからなる混合ガス(不図示)が封入されている。
リード線12、14は、それぞれ、タングステンからなる内部リード線12A、14Aとニッケルからなる外部リード線12B、14Bの継線である。ガラス管は両端部共、内部リード線12A、14A部分で気密封止されている。内部リード線12A、14A、外部リード線12B、14Bは、共に円形断面を有している。内部リード線12A、14Aの線径は1mm、全長は3mmで、外部リード線12B、14Bの線径は0.8mm、全長は10mmである。
【0015】
ガラス容器16の端部に支持された内部リード線12A、14Aのガラス容器16内部側端部には、それぞれ、電極18、20がレーザ溶接等によって接合されている。電極18、20は、有底筒状をしたいわゆるホロー型電極であり、ニオブ棒を加工したものである。電極18、20として、ホロー型の電極を採用したのは、ランプ点灯中の放電によって生じる電極におけるスパッタリングの抑制に有効であるからである(詳細は、特開2002−289138号公報等を参照。)。
【0016】
電極18、20は同じ形状をしており、図1(b)に示す各部の寸法は、電極長L1=5mm、外径p1=1.70mm、肉厚t=0.10mm、(内径p2=1.50mm)である。
また、ガラス容器16内面には、厚み約16μmの蛍光体層22が形成されている。
図2(a)は、蛍光体層22の拡大図を、図2(b)は、図2(a)に示すC部における蛍光体層22部分の断面図をそれぞれ示している。
【0017】
蛍光体層22は、複数の蛍光体粒子24と、蛍光体粒子24を被覆すると共に、蛍光体粒子24間を架橋するように連結する連結体26とを含む。
蛍光体粒子24の各々は、赤色発光するユウロピウム付活酸化イットリウム(Y:Eu3+)蛍光体、緑色発光するセリウム・テルビウム付活リン酸ランタン(LaPO:Ce3+,Tb3+)蛍光体および青色発光するユウロピウム付活アルミン酸バリウム・マグネシウム(BaMgAl1627:Eu2+)蛍光体といった3種類の希土類蛍光体の内のいずれかの蛍光体からなり、各色蛍光体粒子は、所定の比率で混合されている。
【0018】
連結体26は、アルカリ土類金属ホウ酸塩(以下、「CBB」という。)と、酸化イットリウム(Y2O3)に3価のユウロピウムイオン(Eu3+)を添加(ドーピング)してなるもの(以下、「ユウロピウム付活酸化イットリウム連結剤」という。)と、をその成分に有している。連結体26を構成する前記両成分共に、蛍光体粒子24同士を連結すると共に、蛍光体粒子24をガラス容器16内壁に固着する機能を有する。
【0019】
この機能の他に、ユウロピウム付活酸化イットリウム連結剤は、ランプ点灯中に電離してイオン化された水銀(水銀イオン)の侵入を阻止する機能を有している。これにより、水銀イオンの衝撃から蛍光体粒子が保護されることとなる。また、ユウロピウム付活酸化イットリウム連結剤は、水銀から発せられる185nmと254nmといった2つの波長の紫外線の内、波長185nmの紫外線は遮断し(少なくとも70%を遮断)、波長254nmの紫外線は透過する(透過率約85%)。波長185nmの紫外線は蛍光体を劣化させる。波長254nmの紫外線が専ら蛍光体を励起して可視光に変換される。
【0020】
従来、連結体を構成する金属酸化物からなる連結剤としては、既述したように、酸化イットリウムが単体で用いられている。本実施の形態では、これに付活剤として3価のユウロピウムイオンを添加(ドーピング)することにより、連結体を赤色に発光させることとした。したがって、従来、可視光を(僅かではあるが)吸収するだけであった連結体が自ら発光することとなるため、従来よりも(初期)輝度が向上することとなる。また、連結体26の表層は、放電空間に直面しているので、紫外線を多く受けることとなり、高い輝度で発光する。
【0021】
また、本例では連結体が赤色に発光するので、従来よりも赤色蛍光体粒子を減量し、その分、緑色蛍光体粒子および/または青色蛍光体粒子を増量することができる。特に、緑色蛍光体を増量することにより、比視感度の高い波長領域の発光色成分が増えることから、発光効率(放射の視感度)が向上することとなる。
ユウロピウム付活酸化イットリウム連結剤に対し、連結体26を構成するもう一方の連結剤であるCBBは、専ら連結体26の連結力を増強するために添加されている。なお、CBBも、波長254nmの紫外線に対して透光性を有する。
【0022】
後述する製法によって形成される蛍光体層22において、複数個の(無数にある)蛍光体粒子24の内、図2(b)に符号24Aで示す蛍光体粒子のように、連結体26でその表面全体が完全に包囲されているものもあれば、図示はしないが、表面の一部が露出している蛍光体粒子も存在するものと推察されている。
また、連結体26は蛍光体粒子24間を架橋するように連結しているので、蛍光体層22は適当に空隙25を有する。この空隙25の存在によって、放電で生じた紫外線が蛍光体層22の厚み方向ある程度の深さまで達することができるので、蛍光体層22が全体的に効率よく発光することとなる。
【0023】
次に、上記構成からなる冷陰極ランプ10の製造工程の内、蛍光体層22の形成に関わる工程について図3を参照しながら説明する。蛍光体層22の形成方法は、次に述べる懸濁液の構成が異なる以外は、基本的に前記特許文献1に記載の方法と同様である。したがって、その詳細については省略し要点のみについて説明する。
先ず、図3に示す工程Dでは、ガラス容器16の素材であるガラス管30の内面に蛍光体粒子を含む懸濁液を付着させる。
【0024】
具体的には、懸濁液32の入ったタンク34を準備する。懸濁液32は、有機溶媒としての酢酸ブチルの中に、所定量の蛍光体粒子、カルボン酸イットリウム[Y(C2n+1COO)]、カルボン酸ユウロピウム[Eu3+(C2n+1COO)]、CBBの粒子、増粘剤としてニトロセルロース(NC)を加えたものである。
そして、ガラス管30を、垂直に立て下端部を懸濁液32に浸した状態で保持する。不図示の真空ポンプの吸引力によって、ガラス管30の上端からガラス管30内を排気して、ガラス管30内を負圧にして懸濁液32を吸い上げる。ガラス管30内の液面が上端に至る途中(所定の高さ)で吸い上げを止めて、ガラス管30を懸濁液32から引き上げる。
これにより、ガラス管30内周の所定領域に、懸濁液32が膜状に付着する。
【0025】
ガラス管30内に乾燥した温風(25〜30℃)を吹き込んで、膜状に付着した懸濁液32を乾燥させた(この工程は不図示)後、工程Dにおいて懸濁液32の吸い込み側となった端部付近の乾燥膜を一部除去する(工程E)。
次に、工程Fに示すように、ガラス管30を石英管36に挿入して横たわらせ、当該石英管36に空気38を送り込みながら、石英管36外部からバーナー40で加熱して、約5分間、焼成(シンター)をする。バーナー40による加熱温度は、ガラス管30内周面が650〜750℃となる程度に調整される。
【0026】
この焼成の際の熱分解よって、カルボン酸イットリウムとカルボン酸ユウロピウムから、連結剤となるガラス状をしたユウロピウム付活酸化イットリウム(Y:Eu3+)が形成される。なお、このとき、酸化イットリウムとユウロピウムの他に、一般式CnH2n+2で表される炭化水素が生成される。
また、上記焼成工程において、CBB粒子は溶融してガラス状の膜を形成することとなる。
【0027】
以上説明したようにして、蛍光体層22(図1,2)が形成されることとなる。
また、本願発明者は、蛍光体粒子の総重量を「100」とした場合における、酸化イットリウムの総重量比「A」およびCBBの総重量比「B」の異なる蛍光ランプを作製して、下記の観点から試験および観察を行い、「A」と「B」の好ましい範囲を画定した。ここでは、詳細なデータは省略し、結果のみを記載することとする。
【0028】
(i) 蛍光ランプに外から衝撃が加わった際に生じる蛍光体層の脱落の有無について試験を行った(衝撃試験)。
この結果、「0.1≦A」または「0.1≦B」で、かつ、「0.4≦(A+B)」であれば、蛍光体層の脱落が生じにくいことが判明した。
(ii) ガラス容器を外部から観察した際に薄茶色に変色し、これが原因で輝度が低下することを、本願発明者が見出した。これは以下の原因によるものと推察される。上述したように、製造工程における焼成(シンター)工程において、一般式C2n+2で表される炭化水素が生成される。一方で、CBBが溶融してガラス状になるのであるが、このときに、当該CBBが前記炭化水素を取り込んでしまって茶色に変色するものと思われる。
【0029】
ここで、結着剤にCBBのみを用いた従来の蛍光ランプに対して3%を超えて輝度が低下するものを不合格とし、輝度低下が3%以下に止まるものを合格とした。
その結果、輝度低下を防止するといった観点からは、「A≦0.6」または「B≦0.6」で、かつ、「(A+B)≦0.7」であればよいことが判明した。
以上、蛍光体層の脱落防止、輝度低下防止の両観点から、酸化イットリウムとCBBとを「0.1≦A≦0.6」(または、「0.1≦B≦0.6」)かつ、「0.4≦(A+B)≦0.7」となる範囲で混合して連結体を構成すればよいこととなる。
(実施の形態2)
図4は、実施の形態2に係る外部電極蛍光ランプ50の概略構成を示す半断面図である。
【0030】
外部電極蛍光ランプ50は、ソーダガラスからなるガラス管の両端が気密封止されてなるガラス容器52を有する。ガラス容器52の全長は、740mm、外径は、4.0mm、内径は、3.0mmである。
ガラス容器52の両端部外周には、第1外部電極54と第2外部電極56が形成されている。第1および第2外部電極54,56は、幅(ガラス容器の管軸方向の長さ)が20mmで、ガラス容器52の全周に渡って形成されている。なお、図示はしないが、両外部電極54,56は2層構造をしている。当該2層の内、ガラス容器52に近い方は、銀(Ag)ペースト膜であり、遠い方は、鉛(Pb)フリー半田膜である。銀ペースト膜、鉛フリー半田膜は、スクリーン印刷によってガラス容器52外周に形成される。なお、両外部電極54,56は、2層構造に限らず、いずれか1層のみの構造としても構わない。また、両外部電極54,56は、上記したものに限らず、例えば、銅、アルミニウム等からなる金属テープをガラス容器52外周に巻回し接着して形成しても構わない。
【0031】
また、ガラス容器52内には、所定量の水銀と所定圧の混合希ガスが封入されている。本例では、水銀が約2000μg、混合希ガスとして、約7kPa(20℃)のネオン・アルゴン混合ガス(Ne90%+Ar10%)が封入されている。
ガラス容器52内周面における、第1および第2外部電極54,56と対向する部分を含む略全面には、厚み10μmの保護層58が形成されている。
【0032】
保護層58の内側に積層して厚み18μmの蛍光体層60が形成されている。ガラス容器52の管軸方向における蛍光体層60の形成範囲は、第1外部電極54と第2外部電極56との間である。なお、蛍光体層60の一部が、第1外部電極54、第2外部電極56と対向するガラス容器52内周面部分にかかっていても構わない。
図5に、保護層58および蛍光体層60の拡大図を示す。
【0033】
蛍光体層60の構成は、基本的に実施の形態1の蛍光体層22(図2)と同様である。すなわち、蛍光体層60は、複数の蛍光体粒子24と、蛍光体粒子24を被覆すると共に、蛍光体粒子24間を架橋するように連結する連結体26とを含む。また、連結体26は蛍光体粒子24間を空隙25を有するように架橋して連結している。なお、蛍光体粒子24も実施の形態1と同様の蛍光体材料からなり、連結体26も実施の形態1と同様の成分を有する。
【0034】
保護層58は、酸化イットリウム(Y2O3)に3価のユウロピウムイオン(Eu3+)を添加(ドーピング)してなるもの(以下、「ユウロピウム付活酸化イットリウム保護剤」という。)をその成分に有している。保護層58は、例えば、ソーダガラスからなるガラス容器52から溶出するナトリウム成分が蛍光体粒子24を劣化させたり、当該ナトリウム成分と水銀が反応して(結合して)当該水銀が消耗したりするのを防止する目的で形成されている。
【0035】
保護層58のガラス容器52内面への形成は、懸濁液の構成が異なる以外は、基本的に実施の形態1における蛍光体層22と同様の方法で実現できる。保護層58を形成するための懸濁液は、実施の形態1の懸濁液から蛍光体粒子とCBBとを除いたものとなる。すなわち、保護層58のための懸濁液は、有機溶媒としての酢酸ブチルの中に、カルボン酸イットリウム[Y(C2n+1COO)]、カルボン酸ユウロピウム[Eu3+(C2n+1COO)]、増粘剤としてニトロセルロース(NC)を加えたものからなる。そして、実施の形態1の場合と同様にして、懸濁液をガラス管内面に付着(塗布)させた後、これを焼成(シンター)することによって、保護膜58が生成される。保護膜58は、図5に示すように、略隙間無くガラス容器52内面を被覆する。
【0036】
上記の構成からなる外部電極蛍光ランプ50において、インバータによって第1および第2外部電極54,56に高周波電圧が印加されると、ガラス容器52内の気密封止空間(放電空間)に放電現象が生じて紫外線が放出され、当該紫外線が蛍光体粒子24において可視光に変換されてガラス容器52外へ放出される。また、実施の形態2においても実施の形態1と同様、連結体26が赤色に発光するのであるが、これによる効果は上述した実施の形態1の場合と同様である。さらに、実施の形態2に係る外部電極型蛍光ランプ50では、保護層58も僅かながら赤色に発光するので、その分だけ輝度が向上することとなる。
【0037】
前記インバータとして、例えば、最大印加電圧2.5kV、動作周波数60kHzのものを用いることができる。上記放電は誘電体バリア放電である。すなわち、第1および第2外部電極54,56に高周波・高電圧の交流電圧を印加すると、誘電体であるガラス容器52において、第1および第2外部電極の直下のガラスに誘電分極が生じ、その部分の内壁が電極として作用する。これにより、ガラス容器52内に高電圧が導入されて、ガラス容器52内に誘電体バリア放電が生じるのである。このように、誘電体バリア放電とは、放電空間が誘電体(ガラス容器52)に囲まれていて、プラズマに電極が直接さらされない放電である。
【0038】
電極(外部電極)はプラズマに直接さらされないものの、主として外部電極の配置領域に対応するガラス容器の内周部分は、水銀イオン、ネオンイオン、およびアルゴンイオンの衝撃を受ける。保護層58は、当該衝撃からガラス容器を保護する機能も有している。
(実施の形態3)
図6は、実施の形態3に係るバックライトユニット100の概略構成を示す斜視図である。なお、図6は、後述する拡散板108、拡散シート110、およびレンズシート112を破断した図である。
【0039】
バックライトユニット100は、長方形をした反射板102と反射板102を囲む側板104とからなる外囲器106を有する。反射板102と側板104は共にPET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂からなる板材の一方の主表面(外囲器106として組み立てられた際に内側となる面)に銀などを蒸着した反射膜(不図示)が形成されているものである。
【0040】
前記外囲器106内には、光源として複数本(本例では8本)の冷陰極蛍光ランプ10が、前記反射板102の長辺と平行に短辺方向に等間隔で収納されている。なお、冷陰極蛍光ランプ10に代えて、外部電極蛍光ランプ50を用いても構わない。
また、前記外囲器106の開口部には、拡散板108、拡散シート110、およびレンズシート112が設けられている。
【0041】
次に、バックライトユニット100を、液晶表示装置の一例として示す液晶テレビに用いた例を示す。
図7は、当該液晶テレビ114を、その前面の一部を切り欠いた状態で示す図である。図7に示す液晶テレビ114は、液晶表示パネル116およびバックライトユニット100等を備える。
【0042】
液晶表示パネル116は、カラーフィルター基板、液晶、TFT基板等からなり、外部からの画像信号に基づき、駆動モジュール(不図示)で駆動されて、カラー画像を形成する。
バックライトユニット100の外囲器106は、液晶表示パネル116の背面に設けられ、背面から液晶表示パネル116を照射する。
【0043】
冷陰極蛍光ランプ10を点灯するためのインバータ118は、液晶テレビ114の筐体120内であって、外囲器106の外に配されている。
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明したが、本発明は上記した形態に限らないことは勿論であり、例えば、以下のような形態とすることもできる。
(1)上記実施の形態では、本発明を冷陰極蛍光ランプおよび外部電極蛍光ランプに適用した例を示したが、本発明はこれに限らず、例えば、熱陰極蛍光ランプに適用することも可能である。要は、紫外線で励起されて発光する(蛍光体粒子と連結体とからなる)蛍光体層を有する蛍光ランプであれば適用できるのである。
(2)上記実施の形態では、連結体や保護層を構成する金属酸化物の一例として酸化イットリウム(Y)を用いたが、これに限らず、酸化ランタン(La)を用いても構わない。
(3)また、上記金属酸化物に添加する付活剤は、ユウロピウムに限らず、例えば、セリウム、テルビウム、ガドリニウム、チタン、ジルコニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、モリブデン、タングステン、ランタン、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、およびルテチウムから選択して用いても構わない。なお、これらの中でも、ユウロピウム(Eu)、セリウム(Ce)、テルビウム(Tb)の使用が好適である。この3種類は、上掲した他の付活剤よりも発光効率が高いからである。また、同時に添加する付活剤は、一種類に限らず複数種類用いてもよい。
(4)既述したように、上記実施の形態では、連結体や保護層が赤色に発光するため、3種類の蛍光体粒子の内、赤色蛍光体粒子を減量して、緑色蛍光体粒子および青色蛍光体粒子を増量することができる。しかしながら、金属酸化物と付活剤の組み合わせによっては、赤色以外の他の色に発光する。その場合には、当該他の色の光の増加分に対応させて、3種類の蛍光体粒子の構成比率を変更するようにすればよい。
(5)保護層を形成する材料は上記実施の形態で示したものに限らず、例えば、アルミナ(Al)、シリカ(SiO)、イットリア(Y)、酸化チタン(TiO)等を用いることができる。
(6)上記実施の形態における蛍光体層は、その厚み方向、ほぼ全長に渡って連結体が存在したが、これに限らず、例えば、以下のような構成としても構わない。
【0044】
すなわち、ガラス容器内面(または、保護層の内側)に続けて蛍光体粒子のみからなる層(以下、「蛍光体粒子層」と言う。)を形成する。そして、蛍光体粒子層を覆い、一部が最上位にある蛍光体粒子間に入り込むように、連結体からなる層を形成する。この場合でも、蛍光体粒子層の少なくとも最上位に在る蛍光体粒子は、連結体で覆われ、かつ当該連結体で空隙を有するように架橋して連結される。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明に係る蛍光ランプは、高い輝度維持率を有しつつ、初期輝度が高いことが特に必要とされる、例えば、液晶表示装置におけるバックライトユニットの光源として好適に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】(a)は、実施の形態1に係る冷陰極蛍光ランプの縦断面図であり、(b)は、当該冷陰極蛍光ランプの構成部材の一つである電極の寸法を説明するための図である。
【図2】(a)は、上記冷陰極蛍光ランプにおける蛍光体層の拡大模式図であり、(b)は、(a)におけるC部の断面図である。
【図3】上記冷陰極蛍光ランプの製造工程の一部を示す図である。
【図4】実施の形態2に係る外部電極蛍光ランプの半断面図である。
【図5】上記外部電極蛍光ランプにおける保護層および蛍光体層の拡大模式図である。
【図6】実施の形態に係る直下方式のバックライトユニットの概略構成を示す一部を切り欠いた斜視図である。
【図7】上記バックライトユニットを使用した液晶テレビの概略構成を示す図である。
【符号の説明】
【0047】
10 冷陰極蛍光ランプ
16,52 ガラス容器
22 蛍光体層
24 蛍光体粒子
26 連結体
100 バックライトユニット
106 外囲器
114 液晶テレビ
116 液晶表示パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス容器と、当該ガラス容器内面側に形成された蛍光体層とを有する蛍光ランプであって、
前記蛍光体層は、複数の蛍光体粒子と、前記蛍光体粒子を被覆すると共に、蛍光体粒子間を架橋するように連結する連結体とを含み、
当該連結体は、紫外線を受けて励起発光することを特徴とする蛍光ランプ。
【請求項2】
前記連結体は、金属酸化物に付活剤が添加されてなるもので形成されていることを特徴とする請求項1記載の蛍光ランプ。
【請求項3】
前記金属酸化物は、酸化イットリウム(Y)または酸化ランタン(La)であることを特徴とする請求項2記載の蛍光ランプ。
【請求項4】
前記付活剤は、ユウロピウム、セリウム、テルビウム、ガドリニウム、チタン、ジルコニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、モリブデン、タングステン、ランタン、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、およびルテチウムから選択される少なくとも一つからなることを特徴とする請求項2または3記載の蛍光ランプ。
【請求項5】
前記ガラス容器はソーダガラスからなり、
前記ガラス容器内面には、前記蛍光体層との間に、保護層が形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の蛍光ランプ。
【請求項6】
光源として、請求項1〜5いずれか1項に記載の蛍光ランプを有することを特徴とするバックライトユニット。
【請求項7】
前記バックライトユニットは、前記蛍光ランプを収納する外囲器を有し、
液晶表示パネルと、
前記外囲器が前記液晶表示パネルの背面に配されている請求項6記載のバックライトユニットと、
を備えることを特徴とする液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−157401(P2007−157401A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−348403(P2005−348403)
【出願日】平成17年12月1日(2005.12.1)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】