説明

蛍光ランプ及び表示装置

【課題】ガラス管の一端部分と他端部分とにおける蛍光体粒子混合物の組成に差異が生じることを確実に抑制することができる構成を有する蛍光ランプを提供する。
【解決手段】蛍光ランプは、ガラス管11、及び、ガラス管11の内面に形成され、青色発光蛍光体粒子と赤色発光蛍光体粒子と緑色発光蛍光体粒子とが混合された蛍光体粒子混合物から成る蛍光体粒子層15から構成されており、青色発光蛍光体粒子の平均比重は4.0±0.4であり、赤色発光蛍光体粒子の平均比重は4.0±0.4であり、緑色発光蛍光体粒子の平均比重は4.0±0.4であり、蛍光体粒子層を構成する蛍光体粒子混合物の比重は4.0±0.4である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛍光ランプ、及び、係る蛍光ランプを備えた表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パーソナルコンピュータ等に使用される液晶表示装置のバックライト光源として、長寿命で熱発生の少ない冷陰極型の蛍光ランプが多用されている。この蛍光ランプにおいては、図1の(A)に模式的な断面図を示すように、ガラス管11の両端部は、例えば銅クラッド鉄合金から成るジュメット線12とビードガラス13とによって封止されている。そして、ガラス管11の内部に位置するジュメット線12の先端部には、タングステンやハフニウムといった金属粉末単体あるいはこれらの混合体を焼結した焼結金属、ニッケル、ニオブ等から成る電極14が取り付られている。また、ガラス管11の内面には蛍光体粒子層15が形成され、ガラス管11の内部には、ネオンガスやアルゴン等の混合希ガスが封入され、あるいは又、水銀が拡散封入されている。
【0003】
この蛍光ランプの製造にあっては、通常、青色発光蛍光体粒子と赤色発光蛍光体粒子と緑色発光蛍光体粒子とが混合された蛍光体粒子混合物を含んだ蛍光体スラリーをガラス管の内面に流すことで、蛍光体スラリー層を形成する。ところで、使用する青色発光蛍光体粒子、赤色発光蛍光体粒子及び緑色発光蛍光体粒子のそれぞれの比重には大きな差がある。従って、蛍光体スラリーをガラス管の内面に流したとき、蛍光体粒子の比重の差に起因して、蛍光体スラリー中の青色発光蛍光体粒子、赤色発光蛍光体粒子及び緑色発光蛍光体粒子の流動状態に差異が生じる。即ち、比重の高い蛍光体粒子は先に流れ、比重の低い蛍光体粒子は流れが遅い。その結果、ガラス管11の一端部分の内面に形成された蛍光体粒子層の部分を構成する蛍光体粒子混合物(以下、便宜上、「ガラス管の一端部分における蛍光体粒子混合物」と呼ぶ場合がある)の組成(青色発光蛍光体粒子、赤色発光蛍光体粒子及び緑色発光蛍光体粒子の割合を意味し、以下においても同じ意味で用いる)と、ガラス管11の他端部分の内面に形成された蛍光体粒子層の部分を構成する蛍光体粒子混合物(以下、便宜上、「ガラス管の他端部分における蛍光体粒子混合物」と呼ぶ場合がある)の組成との間に差異が生じてしまい、発光色がガラス管11の一端部分と他端部分との間で異なるといった現象が生じる。そして、このような発光色の相違は、液晶表示装置における表示ムラとして認識される。
【0004】
【特許文献1】特開2003−45329
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
蛍光ランプを構成するガラス管11の内面に蛍光体スラリーを塗布したときに塗布ムラが発生することを防止する技術が、例えば、特開2003−45329に開示されている。しかしながら、この特開2003−45329に開示された技術を用いても、ガラス管の一端部分における蛍光体粒子混合物の組成と、ガラス管の他端部分における蛍光体粒子混合物の組成との間に差異が生じるといった現象の発生を抑制することは困難である。
【0006】
従って、本発明の目的は、ガラス管の一端部分における蛍光体粒子混合物の組成と、ガラス管の他端部分における蛍光体粒子混合物の組成との間に差異が生じることを確実に抑制することができる構成を有する蛍光ランプ、及び、係る蛍光ランプを備えた表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するための本発明の第1の態様に係る蛍光ランプは、
(A)ガラス管、及び、
(B)ガラス管の内面に形成され、青色発光蛍光体粒子と赤色発光蛍光体粒子と緑色発光蛍光体粒子とが混合された蛍光体粒子混合物から成る蛍光体粒子層、
から構成された蛍光ランプであって、
青色発光蛍光体粒子の平均比重は4.0±0.4であり、
赤色発光蛍光体粒子の平均比重は4.0±0.4であり、
緑色発光蛍光体粒子の平均比重は4.0±0.4であり、
蛍光体粒子層を構成する蛍光体粒子混合物の比重は4.0±0.4であることを特徴とする。
【0008】
上記の目的を達成するための本発明の第2の態様に係る蛍光ランプは、
(A)ガラス管、及び、
(B)ガラス管の内面に形成され、青色発光蛍光体粒子と赤色発光蛍光体粒子と緑色発光蛍光体粒子とが混合された蛍光体粒子混合物から成る蛍光体粒子層、
から構成された蛍光ランプであって、
ガラス管の一端部分の内面に形成された蛍光体粒子層の部分を構成する蛍光体粒子混合物の比重をρ1、ガラス管の他端部分の内面に形成された蛍光体粒子層の部分を構成する蛍光体粒子混合物の比重をρ2としたとき、
ρ1=4.0±0.4
ρ2=4.0±0.4
を満足し、且つ、
|ρ1−ρ2|≦0.4
を満足することを特徴とする。
【0009】
上記の目的を達成するための本発明の第1の態様に係る表示装置は、
(A)ガラス管、及び、
(B)ガラス管の内面に形成され、青色発光蛍光体粒子と赤色発光蛍光体粒子と緑色発光蛍光体粒子とが混合された蛍光体粒子混合物から成る蛍光体粒子層、
から構成された蛍光ランプであって、
青色発光蛍光体粒子の平均比重は4.0±0.4であり、
赤色発光蛍光体粒子の平均比重は4.0±0.4であり、
緑色発光蛍光体粒子の平均比重は4.0±0.4であり、
蛍光体粒子層を構成する蛍光体粒子混合物の比重は4.0±0.4である蛍光ランプを備えていることを特徴とする。
【0010】
上記の目的を達成するための本発明の第2の態様に係る表示装置は、
(A)ガラス管、及び、
(B)ガラス管の内面に形成され、青色発光蛍光体粒子と赤色発光蛍光体粒子と緑色発光蛍光体粒子とが混合された蛍光体粒子混合物から成る蛍光体粒子層、
から構成された蛍光ランプであって、
ガラス管の一端部分の内面に形成された蛍光体粒子層の部分を構成する蛍光体粒子混合物の比重をρ1、ガラス管の他端部分の内面に形成された蛍光体粒子層の部分を構成する蛍光体粒子混合物の比重をρ2としたとき、
ρ1=4.0±0.4
ρ2=4.0±0.4
を満足し、且つ、
|ρ1−ρ2|≦0.4
を満足する蛍光ランプを備えていることを特徴とする。
【0011】
本発明の第1の態様若しくは第2の態様に係る蛍光ランプ、あるいは又、本発明の第1の態様若しくは第2の態様に係る表示装置(以下、これらを総称して、単に、本発明と呼ぶ場合がある)においては、ガラス管の一端部分の内面に形成された蛍光体粒子層の部分を構成する蛍光体粒子混合物(便宜上、「ガラス管の一端部分における蛍光体粒子混合物」と呼ぶ場合がある)からの発光色の色度座標を(x1,y1)、ガラス管の他端部分の内面に形成された蛍光体粒子層の部分を構成する蛍光体粒子混合物(便宜上、「ガラス管の他端部分における蛍光体粒子混合物」と呼ぶ場合がある)からの発光色の色度座標を(x2,y2)としたとき、
[(x2−x12+(y2−y120.5≦0.03
望ましくは、
[(x2−x12+(y2−y120.5≦0.02
を満足することが好ましい。尚、色度座標は、CIE 1931 色度図に規定されている。尚、[(x2−x12+(y2−y120.5の値を、以下の説明において、「色度差ΔE」と呼ぶ場合がある。
【0012】
本発明において、ガラス管の実効長(L)及びガラス管の内径は、蛍光ランプに要求される仕様に基づき決定すればよいが、ガラス管の実効長(L)は0.5m以上であり、ガラス管の内径は1.5mm乃至3.0mmである構成を例示することができる。尚、ガラス管の実効長Lとは、内面に蛍光体粒子層を実質的に形成すべきガラス管の部分の長さを意味し、ガラス管の全長(L’)よりも短い。
【0013】
本発明の第1の態様に係る蛍光ランプあるいは表示装置にあっては、蛍光体粒子層を構成する蛍光体粒子混合物の比重ρは4.0±0.4を満足しているが、この蛍光体粒子層を構成する蛍光体粒子混合物の比重ρを測定する蛍光体粒子層の部分は、ガラス管の一端部分の内面に形成された蛍光体粒子層の部分、及び、ガラス管の他端部分の内面に形成された蛍光体粒子層の部分とすることが望ましい。そして、この場合、これらの蛍光体粒子層の部分における比重測定値の平均値を、蛍光体粒子層を構成する蛍光体粒子混合物の比重ρとすればよい。
【0014】
本発明の第1の態様に係る蛍光ランプあるいは表示装置にあっては、ガラス管の一端部分における蛍光体粒子混合物の比重をρ1、ガラス管の他端部分における蛍光体粒子混合物の比重をρ2としたとき、|ρ1−ρ2|≦0.4を満足することが望ましい。
【0015】
ここで、本発明において、ガラス管の実効長をLとしたとき、ガラス管の一端部分の内面に形成された蛍光体粒子層の部分とは、例えば、ガラス管の一端(より具体的には、ガラス管の内面に蛍光体粒子層を形成すべきガラス管の部分の一方の端部)から中央側へ0.02L乃至0.04Lの所に位置する蛍光体粒子層の部分を意味し、ガラス管の他端部分の内面に形成された蛍光体粒子層の部分とは、例えば、ガラス管の他端(より具体的には、ガラス管の内面に蛍光体粒子層を形成すべきガラス管の部分の他方の端部)から中央側へ0.02L乃至0.04Lの所に位置する蛍光体粒子層の部分を意味する。
【0016】
本発明において、蛍光体粒子の比重(青色発光蛍光体粒子の比重ρB,赤色発光蛍光体粒子の比重ρR,緑色発光蛍光体粒子の比重ρG)あるいは密度は、ピクノメーター(比重瓶)を用いる方法に基づき、測定することができる。また、蛍光体粒子層を構成する蛍光体粒子混合物の比重(ρ)あるいは密度は、ガラス管の上述した所定の部分の内面に位置する蛍光体粒子層を削り取り、得られた蛍光体粒子混合物の比重あるいは密度を上記の方法に基づき測定することで得ることができる。
【0017】
本発明において、蛍光ランプを構成するガラス管は、600゜C程度の耐熱性を有する硬質ガラスから作製されていることが好ましい。蛍光ランプの形状は、直線状(直管状)、「U」字状、連続した「U」字状、「S」字状、連続した「S」字状、「W」字状等、蛍光ランプに要求される仕様に基づき決定すればよい。
【0018】
本発明における青色発光蛍光体粒子として、比重(ρB)3.8のBaMgAl1017:Eu(以後BAM:Euと呼ぶ場合がある)を例示することができる。また、赤色発光蛍光体粒子として、比重(ρR)4.3のYVO4:Eu(以後YVOと呼ぶ場合がある)を例示することができる。更には、緑色発光蛍光体粒子として、比重(ρG)3.8のBaMgAl1017:Eu,Mn(以後BAM:Eu,Mnと呼ぶ場合がある)を例示することができる。本発明において、それぞれの色を発光する蛍光体粒子は、1種類の蛍光体粒子から構成されていてもよいし、2種類以上の蛍光体粒子から構成されていてもよい。前者の場合、それぞれの色を発光する蛍光体粒子を構成する1種類の蛍光体粒子の比重が、平均比重ρB,ρR,ρGとなる。一方、後者の場合、それぞれの色を発光する蛍光体粒子を構成する2種類以上の蛍光体粒子(I種類の蛍光体粒子)のそれぞれの比重をρi(但し、i=1,2・・・I)、それぞれの割合をwi(但し、i=1からIまでのwiの合計は「1」である)としたとき、平均比重は、Σ(ρi・wi)で表すことができる。ここで、記号「Σ」は、i=1からIまでの総和を意味する。例えば、緑色発光蛍光体粒子として、比重3.8(=ρG-1)のBAM:Eu,Mn[割合wG-1]と、比重5.2(=ρG-2)のLaPO4:Ce,Tb(以後LaPと呼ぶ場合がある)[割合wG-2]との混合品を用いることもでき、この場合には、緑色発光蛍光体粒子全体として(即ち、BAM:Eu,Mn蛍光体粒子とLaP蛍光体粒子との混合品として)、その平均比重ρG(=ρG-1・wG-1+ρG-2・wG-2、但し、wG-1+wG-2=1)が4.0±0.4を満足する必要がある。
【0019】
本発明において、青色発光蛍光体粒子、赤色発光蛍光体粒子、緑色発光蛍光体粒子の混合割合(蛍光体粒子混合物の組成)は、蛍光ランプの中央部での発光色度が、発光色の色度座標において、例えば(0.275,0.275)となるような混合割合とすることが好ましい。一例として、
青色発光蛍光体粒子: 5〜40重量%
赤色発光蛍光体粒子:25〜75重量%
緑色発光蛍光体粒子:20〜60重量%
とすることが好ましく、このような混合割合とすることで白色を表示することができる。但し、青色発光蛍光体粒子、赤色発光蛍光体粒子及び緑色発光蛍光体粒子の合計は100重量%である。尚、例えば、緑色発光蛍光体粒子としてBAM:Eu,MnとLaPとの混合品を用いる場合、LaPの混合割合は全体の18重量%以下であることが望ましい。
【0020】
本発明における蛍光ランプには、冷陰極蛍光ランプ及び熱陰極蛍光ランプが包含される。また、本発明の表示装置において、例えば、蛍光ランプはバックライト光源として表示装置に組み込まれ、係る表示装置として液晶表示装置を挙げることができる。バックライトの方式として、直下方式(反射板方式とも呼ばれる)、エッジライト方式(導光体方式あるいはサイドライト方式とも呼ばれる)を挙げることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の第1の態様に係る蛍光ランプあるいは表示装置にあっては、青色発光蛍光体粒子、赤色発光蛍光体粒子及び緑色発光蛍光体粒子のそれぞれの平均比重が規定され、しかも、蛍光体粒子層を構成する蛍光体粒子混合物の比重が規定されている。また、本発明の第2の態様に係る蛍光ランプあるいは表示装置にあっては、ガラス管の一端部分及び他端部分の内面に形成された蛍光体粒子層の部分を構成する蛍光体粒子混合物の比重ρ1,ρ2の値、及び、これらの比重の差が規定されている。従って、青色発光蛍光体粒子と赤色発光蛍光体粒子と緑色発光蛍光体粒子とが混合された蛍光体粒子混合物を含んだ蛍光体スラリーをガラス管の内面に流して蛍光体スラリー層を形成するとき、蛍光体スラリー中の青色発光蛍光体粒子、赤色発光蛍光体粒子及び緑色発光蛍光体粒子の流動状態に差異が生じ難い。それ故、ガラス管の一端部分における蛍光体粒子混合物の組成と、ガラス管の他端部分における蛍光体粒子混合物の組成との間に差異が生じ難い。即ち、従来の技術と異なり、発光色がガラス管の一端部分と他端部分との間で異なるといった現象が生じ難く、均一な発光状態の蛍光ランプを得ることができるので、液晶表示装置における表示ムラが発生し難い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面を参照して、実施例に基づき本発明を説明する。
【実施例1】
【0023】
実施例1は、本発明の第1の態様及び第2の態様に係る蛍光ランプ及び表示装置に関する。実施例1における表示装置は、具体的には、液晶表示装置であり、蛍光ランプは液晶表示装置のバックライト光源として用いられる。
【0024】
即ち、実施例1の蛍光ランプは、その模式的な断面図を図1の(A)に示すように、
(A)ガラス管11、及び、
(B)ガラス管11の内面に形成され、青色発光蛍光体粒子と赤色発光蛍光体粒子と緑色発光蛍光体粒子とが混合された蛍光体粒子混合物から成る蛍光体粒子層15、
から構成された蛍光ランプである。
【0025】
そして、青色発光蛍光体粒子の平均比重は4.0±0.4であり、赤色発光蛍光体粒子の平均比重は4.0±0.4であり、緑色発光蛍光体粒子の平均比重は4.0±0.4であり、蛍光体粒子層を構成する蛍光体粒子混合物の比重は4.0±0.4である。
【0026】
あるいは又、ガラス管11の一端部分11Aの内面に形成された蛍光体粒子層の部分15Aを構成する蛍光体粒子混合物の比重をρ1、ガラス管11の他端部分11Bの内面に形成された蛍光体粒子層の部分15Bを構成する蛍光体粒子混合物の比重をρ2としたとき、ρ1=4.0±0.4、ρ2=4.0±0.4を満足し、且つ、|ρ1−ρ2|≦0.4を満足する。
【0027】
また、実施例1の表示装置は、上記の特徴を有する蛍光ランプを備えている。
【0028】
そして、実施例1の蛍光ランプあるいは表示装置に備えられた蛍光ランプにあっては、ガラス管の一端部分における蛍光体粒子混合物からの発光色の色度座標を(x1,y1)、ガラス管の他端部分における蛍光体粒子混合物からの発光色の色度座標を(x2,y2)としたとき、
色度差ΔE=[(x2−x12+(y2−y120.5≦0.02
を満足している。
【0029】
実施例1においては、具体的には、青色発光蛍光体粒子、赤色発光蛍光体粒子、緑色発光蛍光体粒子として、以下の表1に示す蛍光体粒子を用いた。尚、表1中、丸印(○)は、丸印が付された蛍光体粒子を使用したことを意味する。バインダとしてニトロセルロースを用い、酢酸ブチル:ニトロセルロースの重量比を49:1とした分散液を準備した。そして、青色発光蛍光体粒子と赤色発光蛍光体粒子と緑色発光蛍光体粒子とを混合した蛍光体粒子混合物の重量と分散液の重量比が1:1となるように、蛍光体粒子混合物を分散液中に分散させることで、蛍光体スラリーを調製した。また、内径2.0mm、外径3.0mm、全長(L’)100.5cm、実効長(L)100cmの硬質ガラスから成るガラス管を使用した。尚、全長(L’)、実効長(L)に関しては、図1の(A)を参照のこと。ここで、蛍光体粒子混合物における青色発光蛍光体粒子、赤色発光蛍光体粒子、緑色発光蛍光体粒子の混合割合(蛍光体粒子混合物の組成)は、蛍光ランプの中央部での発光色度が、発光色の色度座標において、(0.275,0.275)となるような混合割合に調整した。例えば、
青色発光蛍光体粒子: 5〜40重量%
赤色発光蛍光体粒子:25〜75重量%
緑色発光蛍光体粒子:20〜60重量%
とし、合計で100重量%となるように、青色発光蛍光体粒子、赤色発光蛍光体粒子、緑色発光蛍光体粒子を調合、混合すれば、所望の色度差ΔE及び所望の比重差(Δρ=|ρ1−ρ2|)において、白色を表示することができる。尚、以上に説明した各種の事項は、後述する実施例2あるいは比較例においても適用され、また、以上に説明した各種の操作を、後述する実施例2あるいは比較例においても実行した。
【0030】

【0031】
実施例1においては、図1の(B)に示すように、図示しないヒータ等によって加熱され、温度調節された容器21中の蛍光体スラリー20にガラス管11の下端部を浸漬し、次いで、真空ポンプ22及び電磁弁23を作動させることによって、減圧弁24及び吸引ヘッド25を介してガラス管11内を減圧する。ガラス管11内が減圧されると、容器21中の蛍光体スラリー20が上昇する。蛍光体スラリー20の液面が所定の高さまで達したならば、液面計26によって蛍光体スラリー20の液面が検知され、電磁弁23が遮断されて、ガラス管11内の圧力が大気圧へと戻される結果、蛍光体スラリー20の液面が自然下降する。こうして、青色発光蛍光体粒子と赤色発光蛍光体粒子と緑色発光蛍光体粒子とが混合された蛍光体粒子混合物を含んだ蛍光体スラリーをガラス管11の内面に流すことで、ガラス管11の内面に蛍光体スラリー層が形成される。その後、ガラス管11を電気炉内に搬入し、大気雰囲気の電気炉内を約600゜Cに加熱すると共に、ガラス管11に25リットル/分の空気(温度約600゜C)を流し、ガラス管11の内面に形成された蛍光体スラリー層を焼成することで、青色発光蛍光体粒子と赤色発光蛍光体粒子と緑色発光蛍光体粒子とが混合された蛍光体粒子混合物から成る蛍光体粒子層15を、ガラス管11の内面に形成することができる。
【0032】
こうして得られたガラス管11において、評価のために、ガラス管の一端部分の内面に形成された蛍光体粒子層の部分15A、及び、ガラス管の他端部分の内面に形成された蛍光体粒子層の部分15Bを削り取った。より具体的には、ガラス管の一端から3cm±1cm(0.02L乃至0.04L)の所に位置する蛍光体粒子層の部分15A、及び、ガラス管の他端から3cm±1cm(0.02L乃至0.04L)の所に位置する蛍光体粒子層の部分15Bを削り取った。そして、削り取った蛍光体粒子層の部分15A,15Bを構成する蛍光体粒子混合物に水銀ランプを照射し、輝度色度計で色度を測定した。また、削り取った蛍光体粒子層の部分15A,15Bを構成する蛍光体粒子混合物の比重(ρ1,ρ2)を測定した。得られた蛍光体粒子混合物の色度座標、色度差ΔE、比重(ρ1,ρ2)、比重差Δρを表2に示す。尚、以上の操作を、後述する実施例2及び比較例においても、同様に行った。
【0033】
こうして得られたガラス管11に基づき、周知の方法で蛍光ランプ(図1の(A)参照)を組み立て、更には、この蛍光ランプを液晶表示装置のバックライト光源として組み込んだところ、液晶表示装置において表示ムラは全く認識されなかった。
【0034】
比較例の蛍光ランプを作製した。この比較例にあっては、表1に示す蛍光体粒子を用いた。即ち、この比較例においては、緑色発光蛍光体粒子としてLaPを用い、赤色発光蛍光体粒子としてY23:Euを用いた。そして、ガラス管11の内面に実施例1と同様の方法で蛍光体粒子層を形成した後、実施例1と同様の方法で評価を行った。その結果を表2に示す。尚、こうして得られたガラス管に基づき、周知の方法で蛍光ランプを組み立て、更には、この蛍光ランプを液晶表示装置のバックライト光源として組み込んだところ、液晶表示装置において表示ムラが認識された。
【実施例2】
【0035】
実施例2は実施例1の変形である。実施例2においては、青色発光蛍光体粒子、赤色発光蛍光体粒子、緑色発光蛍光体粒子として、表1に示す蛍光体粒子を用いた。ここで、実施例2においては、緑色発光蛍光体粒子としてBAM:Eu,MnとLaPとの混合品を用いており、LaPの混合割合を全体の18重量%以下としている。尚、緑色発光蛍光体粒子全体として(即ち、BAM:Eu,Mn蛍光体粒子とLaP蛍光体粒子との混合品として)、その平均比重ρGは4.5である。
【0036】
そして、ガラス管11の内面に実施例1と同様の方法で蛍光体粒子層を形成した後、実施例1と同様の方法で評価を行った。その結果を表2に示す。尚、得られたガラス管11に基づき、周知の方法で蛍光ランプを組み立て、更には、この蛍光ランプを液晶表示装置のバックライト光源として組み込んだところ、実施例1と同様に、液晶表示装置において表示ムラは全く認識されなかった。
【0037】
以上、本発明を好ましい実施例に基づき説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例にて説明した蛍光ランプの構成や構造、製造に使用した材料や部材の構成、仕様等は例示であり、適宜、変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】図1の(A)は、蛍光ランプの模式的な断面図であり、図1の(B)は、ガラス管の内面に蛍光体スラリーを塗布する方法を模式的に示す図である。
【符号の説明】
【0039】
11・・・ガラス管、11A・・・ガラス管の一端部分、11B・・・ガラス管の他端部分、12・・・ジュメット線、13・・・ビードガラス、14・・・電極、15・・・蛍光体粒子層、15A・・・ガラス管の一端部分の内面に形成された蛍光体粒子層の部分、15B・・・ガラス管の他端部分の内面に形成された蛍光体粒子層の部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ガラス管、及び、
(B)ガラス管の内面に形成され、青色発光蛍光体粒子と赤色発光蛍光体粒子と緑色発光蛍光体粒子とが混合された蛍光体粒子混合物から成る蛍光体粒子層、
から構成された蛍光ランプであって、
青色発光蛍光体粒子の平均比重は4.0±0.4であり、
赤色発光蛍光体粒子の平均比重は4.0±0.4であり、
緑色発光蛍光体粒子の平均比重は4.0±0.4であり、
蛍光体粒子層を構成する蛍光体粒子混合物の比重は4.0±0.4であることを特徴とする蛍光ランプ。
【請求項2】
ガラス管の一端部分の内面に形成された蛍光体粒子層の部分を構成する蛍光体粒子混合物からの発光色の色度座標を(x1,y1)、ガラス管の他端部分の内面に形成された蛍光体粒子層の部分を構成する蛍光体粒子混合物からの発光色の色度座標を(x2,y2)としたとき、
[(x2−x12+(y2−y120.5≦0.02
を満足することを特徴とする請求項1に記載の蛍光ランプ。
【請求項3】
ガラス管の実効長は0.5m以上であり、ガラス管の内径は1.5mm乃至3.0mmであることを特徴とする請求項1に記載の蛍光ランプ。
【請求項4】
(A)ガラス管、及び、
(B)ガラス管の内面に形成され、青色発光蛍光体粒子と赤色発光蛍光体粒子と緑色発光蛍光体粒子とが混合された蛍光体粒子混合物から成る蛍光体粒子層、
から構成された蛍光ランプであって、
ガラス管の一端部分の内面に形成された蛍光体粒子層の部分を構成する蛍光体粒子混合物の比重をρ1、ガラス管の他端部分の内面に形成された蛍光体粒子層の部分を構成する蛍光体粒子混合物の比重をρ2としたとき、
ρ1=4.0±0.4
ρ2=4.0±0.4
を満足し、且つ、
|ρ1−ρ2|≦0.4
を満足することを特徴とする蛍光ランプ。
【請求項5】
ガラス管の一端部分の内面に形成された蛍光体粒子層の部分を構成する蛍光体粒子混合物からの発光色の色度座標を(x1,y1)、ガラス管の他端部分の内面に形成された蛍光体粒子層の部分を構成する蛍光体粒子混合物からの発光色の色度座標を(x2,y2)としたとき、
[(x2−x12+(y2−y120.5≦0.02
を満足することを特徴とする請求項4に記載の蛍光ランプ。
【請求項6】
ガラス管の実効長は0.5m以上であり、ガラス管の内径は1.5mm乃至3.0mmであることを特徴とする請求項4に記載の蛍光ランプ。
【請求項7】
(A)ガラス管、及び、
(B)ガラス管の内面に形成され、青色発光蛍光体粒子と赤色発光蛍光体粒子と緑色発光蛍光体粒子とが混合された蛍光体粒子混合物から成る蛍光体粒子層、
から構成された蛍光ランプであって、
青色発光蛍光体粒子の平均比重は4.0±0.4であり、
赤色発光蛍光体粒子の平均比重は4.0±0.4であり、
緑色発光蛍光体粒子の平均比重は4.0±0.4であり、
蛍光体粒子層を構成する蛍光体粒子混合物の比重は4.0±0.4である蛍光ランプを備えていることを特徴とする表示装置。
【請求項8】
(A)ガラス管、及び、
(B)ガラス管の内面に形成され、青色発光蛍光体粒子と赤色発光蛍光体粒子と緑色発光蛍光体粒子とが混合された蛍光体粒子混合物から成る蛍光体粒子層、
から構成された蛍光ランプであって、
ガラス管の一端部分の内面に形成された蛍光体粒子層の部分を構成する蛍光体粒子混合物の比重をρ1、ガラス管の他端部分の内面に形成された蛍光体粒子層の部分を構成する蛍光体粒子混合物の比重をρ2としたとき、
ρ1=4.0±0.4
ρ2=4.0±0.4
を満足し、且つ、
|ρ1−ρ2|≦0.4
を満足する蛍光ランプを備えていることを特徴とする表示装置。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2009−4390(P2009−4390A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−258099(P2008−258099)
【出願日】平成20年10月3日(2008.10.3)
【分割の表示】特願2004−147887(P2004−147887)の分割
【原出願日】平成16年5月18日(2004.5.18)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】