説明

蛍光ランプ

【課題】蛍光ランプの寿命末期における電極部の異常加熱を抑制することを目的とする。
【解決手段】電極部30は、一対の導入線21,22を備えたステム20と、フィラメント31と、一対のリード線32,33と、ガラス部材36,37,38,39と、から構成されている。リード線32,33は、ステムに備えられた導入線と溶接されている。ガラス部材36と38とは、溶接部34を挟み込むように、また、ガラス部材37と39とは、溶接部35を挟み込むように加熱溶融され、それぞれ溶接部34と35を覆うように封着している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛍光ランプの寿命末期に発生する電極部の異常加熱を抑制することができる蛍光ランプに関する。
【背景技術】
【0002】
蛍光ランプは、点灯時に、リード線を通じてフィラメントに数十kHzの高周波電流が投入される。点灯回路には、蛍光ランプの寿命末期に発振を停止する検知機構が付与されているのが一般的である。しかし、何らかの原因で検知機構が働かず、フィラメントに大きな電力が投入され、電極部が異常に加熱されることがある。
【0003】
電極部の異常な加熱を防止するため、特許文献1には、一対のリード線封止部の間のフレアステム頂部を覆うように、絶縁物をフレアステムに設け、絶縁物の各穴にリード線をそれぞれ挿入し、リード線に対して多少動くように固定する手法が開示されている。これにより、導電性物質がステム上および絶縁物上に堆積して導電路が形成され、この導電路に電流が流れることにより異常に加熱する事態を防止できる。
【0004】
また、特許文献2には、フレアステムを気密に貫通させて支持されているニッケルなどからなる一対の導入線の各々に、棒状の遮蔽物としてのガラス部材をフィラメントの中心軸に対してほぼ平行となるように、かつ、ガラス部材間に所定の隙間が生じるように配設する手法が開示されている。これにより、ステム頂部および導入線間に導電性の飛散物が付着堆積することを防止する。また、各ガラス部材の表面には導電性の飛散物が多く付着堆積するが、各ガラス部材は一対の導入線にガラス部材間に所定の隙間が生じるようにそれぞれ配設されているため、電気的に分断され、導電性の飛散物により導電経路が形成されることを抑制する。
【0005】
また、特許文献3には、フレアステムに、ニッケル等からなる電気導入線である一対のインナーリード線を軸方向に気密に貫通させて固定し、インナーリード線の内端部に電極であるフィラメントを架け渡して支持し、そして、インナーリード線の少なくとも一方の軸方向中間部にガラス部材であるガラス部材をほぼフィラメントに平行にそれぞれ固着させる手法が開示されている。これにより、フィラメントから飛散する電極物質がフレアステムの頂面上に堆積する量を低減する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−345596号公報
【特許文献2】特開2004−158207号公報
【特許文献3】特開2005−302386号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
蛍光ランプの寿命末期に発生する異常加熱の原因は、ステム頂部に堆積した導電性物質により通電回路が形成され、この通電回路に電流が流れることが原因となるものと、リード線とステムに備えられている導入線との溶接部からの放電による発熱とが知られている。ステム頂部に伝導性物質が堆積することを防止する方法は、従来から検討されているが、溶接部からの放電を防止する方法は検討されていない。
特許文献1乃至3に記載の技術は、導電性物質がステム頂部に堆積することを防ぐことにより、ステム頂部に堆積した導電性物質により通電経路が形成されることを防止できる。しかし、第2の原因である、蛍光ランプの寿命末期における、リード線とステムに備えられた導入線との溶接部位から生じる放電に起因して電極部が異常に加熱されることは抑制できない。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、蛍光ランプの寿命末期における電極部の異常な加熱を抑制することができる蛍光ランプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明に係る蛍光ランプは、フィラメントと、前記フィラメントの両端部に一端部が接合された一対のリード線と、突出して配置された一対の導電性部材を有し、当該一対の導電性部材の突出部に前記一対のリード線の他端部が接続されたステムと前記一対のリード線の他端部と前記一対の導電性部材との接合部の少なくとも1つを封止する絶縁部材と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、蛍光ランプの寿命末期における電極部の異常加熱を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係る環状蛍光ランプの構成を示す外観図である。
【図2】環状蛍光ランプの電極部を示す図である。
【図3】リード線とステムに備えられた導入線とを接合した溶接部にガラス部材がそれぞれ装着され、溶接部はガラス部材によって覆われている状態を示す図である。
【図4】溶接部にガラス部材が段違いに装着された状態を示す図である。
【図5】溶接部に一対のガラス部材が装着された状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[第一の実施形態]
以下、本発明の第一実施形態に係る蛍光ランプ10について図面を参照して説明する。蛍光ランプ10は、図1に示すように、樹脂等からなる口金1と、口金ピン2と、環状の蛍光管3とから構成されている。
【0013】
環状蛍光ランプ10の蛍光管3内部には、図2に示すように、電極部30が設けられ、環状蛍光ランプ10の本体には図示しない点灯回路が設けられている。
【0014】
電極部30は、図3に示すように、一対の導入線21,22を備えたステム20と、フィラメント31と、一対のリード線32,33と、ガラス部材36,37,38,39と、から構成されている。
【0015】
ステム20を、一対の導入線21と22が貫通し、ステム20の頂部から突出している。
【0016】
導入線22の一端とリード線32の一端、及び導入線21の一端とリード線33一端とは、溶接されている。
【0017】
ガラス部材36,37,38,39は、それぞれ、円柱形であり、ガラス部材36と38とは同一の長さを有し、ガラス部材37と39とも同一の長さを有する。ガラス部材36と38とは、溶接部34を挟み込むように、また、ガラス部材37と39とは、溶接部35を挟み込むように加熱溶融され、それぞれ溶接部34と35を覆うように封着している。
【0018】
また、ガラス部材36,37,38,39は、フィラメント31とほぼ平行に配置され、ガラス部材36,38とガラス部材37,39とは離間している。
【0019】
この構成によれば、溶接部34と35が誘電率の高いガラスにより封止されているので、溶接部で放電が発生しない。このため、放電による異常加熱が抑えられる。
【0020】
また、ガラス部材36,37,38,39が、フィラメント31とほぼ平行に配置されているので、フィラメント31から蒸発飛散した導電性物質がガラス部材36,37,38,39上に堆積し、ステム20に堆積して通電することが防止される。また、ガラス部材36及び38とガラス部材37及び39との間には、空間が配置されているので、ガラス部材36,37,38,39に導電性物質が堆積しても、リード線32と33との間が導通する事態が防止される。
【0021】
[第二の実施形態]
上記第一実施形態においては、2つの溶接部34,35をそれぞれガラス部材36及び38、ガラス部材37及び39により封止したが、必ずしも両端部を封止しなくてもよい。
【0022】
例えば、図4に示すように、一方の溶接部34のみを封止するようにしてもよい。
【0023】
また、図4に示すように、フィラメントからの飛散物質がステム頂部に堆積しないように、覆いをフィラメントに配置してもよい。
【0024】
また、ガラス部材41及び43の先端部、ガラス部材42及び44の先端部は、オーバーラップしており、ステム20の頂部がフィラメント側から見て露出しないように、配置されていてもよい。
【0025】
[第三の実施形態]
第一実施形態においては、溶接部34と35を、個別に封止したが、図5に示すように、これらを共通のガラス部材で封止してもよい。
【0026】
なお、上記実施形態では、ガラス部材が円柱形である場合について説明したが、このガラス部材は円柱形に限定されず、角柱状、平板形や、球状、矩形状や、ガラス部材の途中を曲げるなどの種々の応用及び変形が可能である。
【0027】
また、溶接部の封止の材質もガラスに限定されず、誘電率と耐熱性の高い絶縁物質、例えば、セラミック等でもよい。
【0028】
さらに、本発明の蛍光ランプの形状は直管形やU字形など、環状以外の形であっても構わない。
【符号の説明】
【0029】
1 口金
2 口金ピン
3 蛍光管
10 蛍光ランプ
20 ステム
21,22 導入線
30 電極部
31 フィラメント
32,33 リード線
34,35 リード線溶接部
36,37,38,39,41,42,43,44,51,52 ガラス部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィラメントと、
前記フィラメントの両端部に一端部が接合された一対のリード線と、
突出して配置された一対の導電性部材を有し、当該一対の導電性部材の突出部に前記一対のリード線の他端部が接続されたステムと、
前記一対のリード線の他端部と前記一対の導電性部材との接合部の少なくとも1つを封止する絶縁部材と、
を備えたことを特徴とする、蛍光ランプ。
【請求項2】
前記絶縁部材は、前記一対のリード線と前記一対の導電性部材との一対の前記接合部をそれぞれ覆う2つの封止部材から構成される、
ことを特徴とする、請求項1に記載の蛍光ランプ。
【請求項3】
前記絶縁部材は、前記一対のリード線と前記一対の導電性部材との一対の前記接合部を封止する一つの封止部材から構成される、
ことを特徴とする、請求項1に記載の蛍光ランプ。
【請求項4】
さらに、前記一対のリード線上に配置された第2の絶縁部材を備える、
ことを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の蛍光ランプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−205497(P2010−205497A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−48308(P2009−48308)
【出願日】平成21年3月2日(2009.3.2)
【出願人】(300022353)NECライティング株式会社 (483)
【Fターム(参考)】