説明

蛍光体ナノ粒子配合物

光変換に用いるための、半導体シード化ナノ粒子材料および非量子閉じ込め蛍光体粒子材料を備える物質の配合物、及びそのような配合物を備える光変換層である。様々な実施形態において、球状のコア/シェルシードナノ粒子(SNP)またはナノロッドシードナノ粒子(RSNP)が、蛍光体材料と結合して、緑及び赤の両方の波長領域の蛍光体発光の再吸収及びSNP発光の再吸収が共に小さい物質の配合物を提供する。ある実施形態において、SNPまたはRSNPは、蛍光体粒子と混合される前に、第一のホスト材料内に封止される。様々な実施形態において、SNP/RSNP−蛍光体混合物または封止されたSNP/RSNP−蛍光体混合物は、ホストマトリックスに組み込まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2010年1月28日に出願された「蛍光体ナノ粒子配合物」と題する特許文献1及び2010年1月28日に出願された「所定の色を発する光源」と題する特許文献2の優先権を主張するものであり、そのどちらも、本明細書において参照によってその全体が組み込まれている。
【0002】
本発明の実施形態は、概して光変換材料を含む発光デバイス、特に発光ダイオード(LED)を備える発光デバイスに用いられる光変換材料に関し、変換材料は、光変換及び光調整のための半導体ナノ粒子及び希土類元素に基づく蛍光体配合物を含む。
【背景技術】
【0003】
LEDは、高いエネルギー効率及び長い寿命に関して、白熱灯や蛍光灯に対して優れた利点を提供する。LEDは、ディスプレイ、自動車、看板の照明、家庭内の照明及び街路灯を含む様々な応用分野へ応用可能である。LEDは、製造に用いられる無機半導体複合物に依存して、様々なスペクトル領域の単色光を発することができる。しかしながら、「白色」光は、照明産業の非常に大きな部分に要求されるが、従来のLEDを用いて作り出すことができない。白色光を作り出す現在の解決方法は、様々な色(例えば、赤、緑及び青、または「RGB」)の3つまたはそれ以上のLEDを使用すること、またはLEDの紫外光(UV)または青色発光から、幅広い白色スペクトルの発光を生成する蛍光体材料(例えば、セリウムYAG)の色変換層を使用することを含む。しかしながら、そのような白色光は、ほとんど常に理想的ではなく、多くの場合、改善及び修正を必要としうる望ましくない、または不快な特性を有する。
【0004】
ディスプレイ用途としては、狭い半値幅のスペクトル発光を有する3つまたはそれ以上の基本色を有することが重要であり、そのような発光はLED(半値幅が典型的には30nmよりも小さい)で得られた。このことにより、大きな色域をカバーすることができる。「色域」とは、通常、3色の混色によって得ることができる色度の範囲として定義される。3つまたはそれ以上の異なるLEDを使用するという解決方法は、高価であり、ある応用分野に対しては複雑である。それゆえ、1種類のLEDで大きな色域のカバーを提供する光源を有することが望ましい。
【0005】
LEDを利用して幅広いスペクトルの光源を提供する1つの方法は、LEDの光を幅広いスペクトルにおいてより長い波長を有する光に変換する蛍光体を利用することである。例えば、緑の波長の幅広い範囲に渡る光を発する蛍光体は、狭い青のスペクトルを生成するLEDからの青で照らされることができる。そこで、蛍光体によって生成された緑色光は、白色光源の成分として用いられる。いくつかの蛍光体を配合することにより、原理的に、光変換効率が顕著に高い蛍光体が提供されて、幅広いスペクトルの白色光源を実現することができる。さらなる詳細は、非特許文献1に記載されている。
【0006】
不運なことに、照明の設計者は、そこから選択すべき蛍光体の任意のセットを持ち合わせていない。顕著な光変換効率を有する希土類元素を含む従来の蛍光体は数が限られている。これらの蛍光体の発光スペクトルは、容易に変更することができない。さらに、波長の関数として、発光が一定でないという点で、スペクトルは理想的ではない。従って、いくつかの蛍光体を配合することによってさえも、最適な白色光源は得られない。
【0007】
参照によってその全体が本明細書に組み込まれている特許文献3、4及び5は、量子ドット(quantum dot:QD)及び非量子蛍光体材料の両方を利用し、デバイスの光源から発せられた元の光の少なくともある程度をより長い波長の光に変換し、出力光の色特性を変化させる、出力光を発光するデバイスおよび方法を開示している。QDは高いQYを有し、大きさによって調整可能な中心発光波長(central emission wavelength:CWL)を有する狭い発光スペクトルを有する。QD及び蛍光体の両方を配合することで、光の品質を向上させることができる。QDの追加は、改善を提供することができるが、高い自己吸収によって損なわれる。つまり、QDの追加は、励起されたときに発せられる光を吸収する。このことによって、光変換としての全エネルギー効率が低下する。さらに、そして最も重要なことに、QDはまた、蛍光体の発光も再吸収し、エネルギー効率を低下させ、また、色比率の計画が非常に難しいような出力スペクトルを偏移させる。
【0008】
さらには、ある応用分野においては、近接して詰め込まれたQDのクラスタが好適である。近接して詰め込まれたQDクラスタは、非特許文献2によれば、蛍光共鳴エネルギー移送(Fluorescence Resonant Energy Transfer:FRET)として知られる現象を示す。FRETは、近接して位置し、より長い波長を発光するアクセプタQDに比べてより短い(例えば、より青い)波長を発光するドナーQDの間で発生する。ドナー発光遷移双極子モーメントとアクセプタ吸収遷移双極子モーメントとの間に、双極子―双極子相互作用が存在する。FRET過程の効率は、ドナーの吸収の、アクセプタの発光に対するスペクトルの重畳に依存する。量子ドット間のFRET距離は、典型的には10nmまたはそれよりも小さい。FRET過程の効率は、距離に対して非常に敏感である。FRETは、色の変化(赤の偏移)及び光変換の効率における損失につながる。従って、光変換材料におけるQDのクラスタ化を防ぐための試みがこれまでなされてきた。
【0009】
コア/シェルナノ粒子(NP)が知られている。これらは、ある種類の材料の「コア」が他の材料の「シェル」によって覆われたヘテロ構造によって特徴づけられた個々のナノ粒子である。ある場合において、シェルは、「シード」として提供されるコア上に成長し、「シード成長」NPまたはSNPとして知られるコア/シェルNPとなる。「シード」または「コア」という語句は、ヘテロ構造に含まれる最も内側の半導体材料を示している。図1は、既知のコア/シェル粒子の概略図を示している。図1Aは、ほぼ球体のシェルが対称的に配置され、類似した球状のコアを覆うQDを示している。図1Bは、細長いシェル内に非対称的に配置されたコアを有する棒状の(「ナノロッド」)SNP(RSNP)を示している。ナノロッドという語句は、棒状の形状を有するナノ結晶、つまり、結晶の第1軸(「長さ」)に沿い、他の2軸に沿っては非常に小さい寸法を保ったまま成長し延長されることにより形成されたナノ結晶を示す。ナノロッドは、非常に小さな(典型的には10nmよりも小さい)直径及び6nmから約500nmまでの範囲を有しうる長さを有する。
【0010】
典型的には、コアは、ほぼ球状の形状を有する。しかしながら、疑似ピラミッド、立方8面体、及びその他のような様々な形状のコアを用いることができる。典型的なコアの直径は、約1nmから約20nmの範囲にある。図1Cは、ほぼ球形のシェルが対称的に配置されほぼ球形のコアを覆う、QDを示している。粒子全体の直径はd2であり、コアの直径d1よりもずっと大きい。d1と比較したd2の大きさの程度は、コア/シェルNPの光学吸収に影響を及ぼす。
【0011】
知られているように、SNPは、より高い量子収率(quantum yield:QY)及びより良い耐久性のようなより優れた光学的な特性及び化学的な特性を提供することができる追加的な外部シェルを含みうる。配合物は、応用分野によって要求されるような発色を提供するように調整されうる。RSNPの場合には、第一のシェルの長さは、概して10nmから200nmの間の範囲でよく、特に15nmから160nmの間の範囲にあることができる。他の2つの次元(棒形状の半径方向の軸)における第一のシェルの厚さは、1nmから10nmの範囲でありうる。追加的なシェルの厚さは、概して0.3nmから20nmの間の範囲でありえ、特に0.5nmから10nmの間の範囲でありうる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許仮出願公開第61/299018号明細書
【特許文献2】米国特許仮出願公開第61/299012号明細書
【特許文献3】米国特許第7102152号明細書
【特許文献4】米国特許第7495383号明細書
【特許文献5】米国特許第7318651号明細書
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Z.Liuら著、“Status and prospects for phosphor−based white LED Packaging”,Xiaobing Front.Optoelectron.China 2009,2(2):119−140
【非特許文献2】Joseph R.Lakowicz,“Principles of Fluorescence Spectroscopy”,2nd edition,Kluwer Academic/Plenum Publishers,New York,1999,pp.367−443
【非特許文献3】L.Carbone et al,“Synthesis and Micrometer−Scale Assembly of Colloidal CdSe/CdS Nanorods Prepared by a Seeded Growth Approach” Nano Letters,2007,7(10),pp2942−2950
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
既知の従来のQD蛍光体配合物を含む、上述した既知の光変換材料の多数の欠陥の観点から、ナノ粒子蛍光体配合物及びそのような欠陥によって悪影響を受けないような配合物を含む材料の成分が必要とされ、好適である。特に、小さくてナノ粒子による蛍光体の発光の再吸収を無視でき、ナノ粒子の自己吸収が小さく、そのため高い変換効率及び究極的な色域制御につながるナノ粒子蛍光体配合物を有することが必要とされ、好適である。加えて、このような配合は変換材料内のクラスタ化及び高充填化によるFRETを無視できるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の実施形態は、少なくとも一つの蛍光体種を少なくとも一つの半導体ナノ粒子種、具体的にはSNPまたはRSNPと配合させる材料または材料の成分(配合物または混合物とも称される)を開示する。本明細書で用いられるように、「蛍光体―SNP配合物」、「蛍光体―RSNP配合物」、「蛍光体―SNP混合物」または「蛍光体―RSNP混合物」は、少なくとも一つの型(「種」)の蛍光体と少なくとも一つのSNPまたはRSNP種を少なくとも一つ配合したどのような配合物も意味する。結果的に得られる材料は、自己保持する、マトリックスに組み込まれまたは配合される、及び/またはリガンドのような追加的な材料を含む、バルク材料、粉体材料、厚いまたは薄い膜材料であってもよい。本明細書で用いられるように、「蛍光体」という語句は、微粒子形状の蛍光体材料であって、通常Ce、Eu、Erのようなまたはその他の希土類元素の原子またはイオン種である発光中心を有するものを指す。一般的な蛍光体の例は、ガーネット系蛍光体、ケイ酸系蛍光体、オルトケイ酸系蛍光体、チオガレート系蛍光体、硫化物系蛍光体及び窒化物系蛍光体を含む。本発明の配合物に用いることができる蛍光体粒子は、量子閉じ込め効果を示さない。非量子閉じ込め蛍光体粒子は、シリカによって覆われたまたは覆われていない蛍光体粒子でありうる。
【0016】
発明者は、一般にSNP、特にRSNPが、照明の応用分野において、蛍光体と配合するのに非常によりよい選択に貢献する優れた光学特性を有することを発見した。具体的に、発明者は、本発明の蛍光体―SNP及び蛍光体RSNP配合物を用いることにより、SNPによる蛍光体発光の再吸収効果、及びSNPによるSNP発光の自己吸収効果が小さく、制御された色及び高効率につながることを発見した。加えて、蛍光体―SNPクラスタ及び高充填を含む配合物において、FRET及びその望ましくない結果が抑制される。RSNPは、フォトルミネセンス(PL)自己吸収が非常に低く、また蛍光発光の吸収も小さく、そのため、特に光学的に緻密な層において、よりエネルギー効率が良い。本発明の蛍光体―SNP及び蛍光体RSNP配合物は、低い自己吸収及び再吸収を有する。
【0017】
ある実施形態において、SNP/RSNP材料は、蛍光体に対して0.1から10重量%のSNPまたはRSNPの混合物を形成する、上に挙げたような蛍光体材料と配合される。この混合物は、さらに、ホスト材料、典型的にはシリコーンに挿入され、応用分野の好適な光学特性に従って封止材に対して変換材料が重量で5から50%混合されることができる。ある実施形態において、蛍光体―SNPまたは蛍光体―RSNP配合物を備える層は、光源の発光スペクトルを変調するのに用いられる。ある実施形態において、光源はLEDである。
【0018】
ある実施形態において、SNP−蛍光体混合物は、少なくとも一つの蛍光体層及び少なくとも一つのSNPまたはRSNP層を備える層状構造が含まれうる。さまざまなSNP及びRSNP光変換層が、同一の発明者による、「所定の色の発光を有する発光デバイス」と題する、本発明と同時に出願された同時係属PCT特許出願中に開示されており、この同時係属PCT特許出願は、本出願と同一の優先権を主張し、その全体が参照によって本明細書に組み込まれている。蛍光体層は、単一の蛍光体種(「型」)またはいくつかの蛍光体種の混合物を含みうる。代替的に、蛍光体層は、複数の副層を含むことができ、それぞれの副層が異なる蛍光体種を含みうる。蛍光体層は、蛍光体粒子の大きさによって限定される最小の厚さを有しうる。SNP/RSNP層は、単一の型のSNPまたはRSNP、いくつかのSNPまたはRSNP種の混合物、またはそれぞれの副層が異なるSNPまたはRSNP種を含む複数の副層を含みうる。ある実施形態において、積層構造は、交互に配置された蛍光体及びRSNPの層を備えうる。RSNP層(蛍光体を含まない)の厚さは、500μmよりも小さく、より好適には50μmよりも小さく、あるいは、緻密に充填された層では、1μmよりも小さく、0.2μmよりも小さいものでさえもありうる。混合された蛍光体―SNP層の厚さは、数mmから数十μm、またはさらに数μmの範囲とすることができ、主に、蛍光体粒子の大きさ及び必要な光学特性によって制約される。
【0019】
LEDの発光の変調を含む実施形態において、単一の層または積層構造は、LED上に形成されることができる。代替的に、単一層又は積層構造は、LED上に直接配置された、または空気、真空、または充填材料によってLEDから間隔を空けられた、離隔された別個の層または積層構造でありうる。充填材料(例えば、シリコーンまたはエポキシ)は、熱絶縁及び/または光学散乱層としての役割を果たしうる。
【0020】
LED発光スペクトルの変調は、幅広いスペクトルの色の出力光、例えば、高い演色性(colour rendering index:CRI)及び好適な相関色温度(correlated colour temperature:CCT)を有する「白色」光を作り出すことができる、照明の目的のためでありうる。幅広いスペクトルの色の出力光は、LEDによって生成された元の光のいくつかを、より長い波長の光に変換することによって作り出される。赤色に強さまたは強度を追加することは、CCTがより低い(例えば、2700から3500K)「より暖かい」光を得るために重要である。しかし、青から緑への遷移におけるようなスペクトルの「平滑な」特定領域もまた、CRIを改善しうる。LED発光の変調はまた、光学ディスプレイの目的のためにも用いられうる。発明された光変換材料はまた、特定の光を必要とする農業分野への応用や、照明の他の領域の応用分野にも用いられうる。
【0021】
本発明の態様、実施形態及び特徴は、後述する本発明の詳細な説明から、添付する図面と共に考慮されて明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】(A)コアQD/シェルQDである既知のコア/シェル粒子の概略図であり、(B)RSNPである既知のコア/シェル粒子の概略図であり、(C)SNPである既知のコア/シェル粒子の概略図である。
【図2】棒状のRSNPと球状のQD材料の間の、600nmの付近における光学吸収と発光の比較を示す。
【図3】後述する方法に従って準備され、それぞれの場合に異なる全体寸法及びほぼ類似した発光スペクトルを有する赤色発光するRSNP(CdSe/CdS)を備える、3種類のRSNP層の規格化された吸収曲線を示す。
【図4】(A)適合するホストAに挿入されたRSNPのミクロン及びサブミクロンビーズを概略的に示し、(B)ホストB、例示的にはシリコーンに、蛍光体粒子と共に配合されて埋め込まれた、図4Aのビーズを概略的に示す。
【図5】(A)本発明の実施形態に従う発光デバイスを概略的に示しており、改善された白色光が、蛍光体―SNP配合物を備える単一層によって作り出され、(B)本発明の他の一実施形態に従う発光デバイスを概略的に示しており、改善された白色光が、二つの離隔された層によって作り出され、第一の層が蛍光体粒子を備え、第二の層が蛍光体―SNP配合物を備え、(C)本発明の他の一実施形態に従う発光デバイスを概略的に示しており、改善された白色光が、LED素子上に直接堆積されたSNP/蛍光体/ホスト混合物によって作り出される。
【図6】(A)455nmのLED上に堆積され、例1に記載されたように準備された層によって提供された、光学スペクトルを示し、(B)図6Aに示されたスペクトルのCIE座標を示すCIE1931図を示す。
【図7】表面発光するLED上に堆積された例2に記載されたように準備された材料を有する、青色LEDのスペクトルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(定義)
「コア材料」という語句は、コアが形成される半導体材料を指す。材料は、II−VI族、III−V族、IV−VI族、I−III−VI族半導体、またはそれらの配合物でありうる。例えば、シード/コア材料は、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、ZnO、GaAs、GaP、GaAs、GaSb、HgS、HgSe、HgTe、InAs、InP、InSb、AlAs、AlP、AlSb、CuS、CuSe、CuInS、CuInSe、Cu(ZnSn)S、Cu(InGa)S、それらの合金、及びそれらの混合物から選択されうる。
【0024】
「シェル材料」という語句は、非球体の細長いシェルのそれぞれが形成される半導体材料を指す。材料は、II−VI族、III−V族、IV−VI族、I−III−VI族半導体、またはそれらの配合物でありうる。例えば、シェル材料は、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、ZnO、GaAs、GaP、GaAs、GaSb、GaN、HgS、HgSe、HgTe、InAs、InP、InSb、AlAs、AlP、AlSb、CuS、CuSe、CuInS、CuInSe、Cu(ZnSn)S、Cu(InGa)S、それらの合金、及びそれらの混合物から選択されうる。
【0025】
「ホスト材料」という語句は、SNPまたはその他の適したナノ粒子を蛍光体材料とともに組み込むマトリックス材料を指す。マトリックス材料は、シリコーン、ポリマー(モノマーのような液体または半固体前駆材料から形成される)、エポキシ、ガラスまたはシリコーンとエポキシの複合体でありうる。具体的な(しかし限定的でない)ポリマーの例は、フッ化ポリマー、ポリアクリルアミドポリマー、ポリアクリル酸ポリマー、ポリアクリロニトリルポリマー、ポリアニリンポリマー、ポリベンゾフェノンポリマー、ポリ(メチルメタクリレート)ポリマー、シリコーンポリマー、アルミニウムポリマー、ポリビスフェノールポリマー、ポリブタジエンポリマー、ポリジメチルシロキサンポリマー、ポリエチレンポリマー、ポリイソブチレンポリマー、ポリプロピレンポリマー、ポリスチレンポリマー及びポリビニルポリマー、ポリビニル―ブチラルポリマー、またはパーフルオロシクロブチルポリマーを含む。シリコーンは、ゲル、弾性体及び樹脂を含んでもよく、ゲルであるダウコーニング(登録商標)OE−6450、弾性体であるダウコーニング(登録商標)OE−6520、ダウコーニング(登録商標)OE−6550、ダウコーニング(登録商標)OE−6630、樹脂であるダウコーニング(登録商標)OE−6635、ダウコーニング(登録商標)OE−6665、Nusil LS−6143及びその他のNusil製品、Momentive RTV615、Momentive RTV656及びその他の販売元からの多くのその他の製品を含みうる。
【0026】
「リガンド」という語句は、ナノ粒子を覆う外表面を指す。被覆は、SNPを不動態化して、凝集または集合を防ぐ。リガンドは共通に、ホスフィン、酸化トリオクチルホスフィン(TOPO)、トリオクチルホスフィン(TOP)、トリブチルホスフィン(TBP)のような酸化ホスフィン、ドデシルホスホン酸(DDPA)、トリデシルホスホン酸(TDPA)、オクタデシルホスホン酸(ODPA)、またはヘキシルホスホン酸(HPA)のようなホスホン酸、ドデシルアミン(DDA)、テトラデシルアミン(TDA)、ヘキサデシルアミン(HDA)またはオクタデシルアミン(ODA)のようなアミン、ヘキサデカンチオールまたはヘキサンチオールのようなチオール、メルカプトプロピオン酸またはメルカプトウンデカン酸のようなメルカプトカルボキシル酸、及びオレイン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸のようなその他の酸を用いる。
【0027】
(詳細な説明)
ここで、図2A及びBを参照する。図2A及びBは、CdSe/ZnSコア/シェル量子ドットナノ粒子を含む既知の層、並びに緑色発光するRSNP層(図1A)及びオレンジ色発光するRSNP層(図1B)を含む本発明の実施形態に従う2種類の層の吸収と発光の比較を示す。QD層と、450nmの励起波長に調整された吸収を有するRSNP層と、の吸収及び規格化された発光の間の比較である。緑色のRSNP層は、4×27nm(直径×長さ)の大きさを備え、半値幅(FWHM)が29nmである540nmの中心波長(CWL)またはピーク波長で発光するCdSe/CdSコア/シェルRSNPを含んでいた。オレンジ色のRSNP層は、5×40nmの大きさで、CWLが600nm、FWHMが28nmであるCdSe/CdS RSNPを含んでいた。オレンジ色及び緑色の発光層はともに、同じように準備され、共に厚さ190μm、直径42mmであった。
【0028】
QD及びRSNPの元のナノ粒子両方のPL量子収率(QY)は、類似しており、50%程度であった。これは典型的な値である。他の準備されたサンプルでは、QYは5から100%の範囲であり、より頻繁には20から90%であり、さらにより頻繁には50から80%の間の範囲であった。吸収は相対光学密度(optical density:OD)単位で測定され、示される大きさは、便宜的に[0 1]の範囲に規格化されている。特に、図1Aに示される緑色の発光層に関して、発光波長範囲(例えば520から550nm)におけるQD層のODは、RSNP層のそれと比べて10倍高い(0.64対0.065)。図2Bのオレンジ色の発光層に関してODの差は、さらに高い(0.575対0.037であり、約15倍)。他の例(図示されない)においては、QD層の発光範囲におけるODは、SNP層のそれよりも3から30倍高いことが分かった。従って、自己吸収による損失は、QD層の場合に顕著で、SNP層の場合に無視できる。この特性は、量子ドットに基づく既存の層よりもはるかに優れた製品を提供する本発明の様々なSNP層(緻密に充填されているか否以下に関わらず)において用いられる。
【0029】
図3は、「所定の色の発光を有する発光デバイス」と題する、同時係属PCT特許出願国際公開XXXX号の例1に記載されたように準備された3種類のRSNP層の規格化された吸収曲線を示す。RSNPは、非特許文献3に記載されたのと同様な以下に示す手順で合成され、異なる全体寸法及びほぼ類似した発光スペクトルを有するCdSe/CdS構造をそれぞれの場合において備える。発光スペクトルは、622nmの発光を有する5.8×16nmのRSNPに関する曲線300、625nmの発光を有する4.5×45nmのRSNPに関する曲線302及び628nmの発光を有する4.5×95nmのRSNPに関する曲線304である。これらの曲線は、それぞれの材料において再吸収が最小限であることを示している。吸収曲線は、455nmでODが1となるように規格化されている。455nmにおける吸収と発光波長における吸収との間の「吸収比」は、16、45及び95nmの長さのRSNPを有するRSNP層に関して、それぞれ1:5、1:12及び1:23である。このことは、RSNPの長さを変えることにより吸収比が「調整可能」であり、望ましくない再吸収効果を制御し、最小化できることを示している。この調整可能であることは、RSNP層において非常に便利である。なぜならば、このことによってRSNP層が光源および応用において望まれる青色光から赤色光へ変換する効果的なスペクトルアンテナとして働くことができるようになるからである。RSNP層のこの特殊な特性の結果である追加的なパラメータは、可視スペクトル(例えばCE:YAGによって発せられた緑―黄色及びRSNPによって発せられた赤色)の様々なスペクトル領域の間の光を、要求される特性(CCT及びCRIのような)を有する光を得るために、効果的にバランスさせることができるようにするものである。
【0030】
本明細書において開示された層内の材料の配合物は、半導体ナノ結晶、具体的にはII−VI族、III−V族及びI−III−VI族のグループからなる粒子、さらに具体的には2から7nmの直径のコア、8から500nmの長さ及び5から20nmの直径のシェルを有するII−VI族のRSNP、または、3nmよりも厚い層コアを覆う非常に厚いシェルを有する、結果的に8nmよりも大きな直径を有する粒子となる、II−VI族、III−V族またはI−III−VI族コアシェルナノ結晶を用いることにより実現することができる。RSNP材料は、SNPまたはRSNPの0.2から10%の重量パーセントで混合された、上に列挙した中からの蛍光体材料と配合される。この混合物は、さらにホスト材料に挿入することができ、ホスト材料は、好適な層の厚さ及び発光スペクトルの好適な光学特性に従う、典型的には重さで封止材に対して5から50%の変換材料を混合したシリコーンである。
【0031】
例示的な一手順において、ホストマトリックスは、固体でない形(例えば、ゲルとして)で準備される。SNP材料は、トルエンのような有機溶剤に溶解される。蛍光体粉体の重量で割ったSNP材料の重量は、0.2%から10%の間である。有機溶剤溶液中のSNPは、まず撹拌しながらホスト混合物に加えられる。蛍光体粉体が加えられ、SNP/蛍光体/ホスト混合物は撹拌されて、均質な混合物を得る。次いで、SNP/蛍光体/ホスト混合物は、泡または有機溶剤がなくなるまで真空処理される。次いで、混合物はLED上にディスペンスし、その後硬化処理する準備ができる。
【0032】
一成分材料(例えばシリコーン、エポキシ、ポリマー)は、硬化した材料を製造するために必要な全ての成分を含んでいる。それらは、硬化処理を開始し、高速化し、完全に終了させるために、空気中の水分、熱または紫外線の存在のような外部要因を用いる。また、内部のSNP及び蛍光体を混合するために、単一成分であるホストを用いることも可能である。ある特定の実施形態は、蛍光体及びSNP成分を、紫外線硬化性である一成分ホスト内に埋め込むものである。
【0033】
多くのホスト(例えばシリコーンやエポキシ)が、硬化処理が早期に開始することを防ぐために、反応成分を分離した二成分システムとして利用可能である。それらは、硬化を促進し、高速化するために熱の追加をしばしば用いる。我々は、非反応性の成分を「A成分」、反応性の成分を「B成分」として定義する。これらのシステムにおいて、我々はSNP材料を2成分システムのいずれかの成分、好適には非反応性の成分であるA成分に混合する。そのような実施形態において、A成分中のSNPは、長時間保存され、必要なときに蛍光体及びB成分との混合物を作り出すのに適用可能である。他の実施形態において、SNPは、ホストの反応性成分を非反応性成分に混合する間に、ホスト内に直接追加することもできる。
【0034】
他の一実施形態において、挿入手順は二つの段階に分割される。第一の段階において、リガンドによって覆われたSNPがホストA(例えば、ポリマー、シリコーン、クレイ、シリカなど)に挿入され、クラスタ、泡、及びSNPまたはリガンドとホストとの間の「余分な」化学的相互作用がない均質な混合物を提供する。次いでホストAは、その内部にNPを封止して(図4Aを参照)乾燥され、硬化される(例えば、重合、加熱、真空処理、紫外線硬化などを介して)。次いで、SNPが封止されたホストAは、ミクロン規模及びサブミクロン規模のビーズになるまで、機械的に研磨される。第二の段階において、ビーズは図4Bに示すように、互換性のある、または互換性のないホストB(例えば、ホストAと異なる、ポリマー、シリコーン、クレイ、シリカなど)と混合される。最終生成物は、ホストAによって封止され、ホストBに均質に挿入されたSNPビーズを含む。
【0035】
表1及び表2は、本発明に従って作られた様々な例示的な蛍光体+RSNP及び蛍光体+SNPの配合物の実施形態をまとめている。ある実施形態において、これらの配合物は、シリコーンやポリマーのようなホストマトリックス内に含まれうる。ある実施形態において、これらの配合物は、シリコーンやポリマーのようなホストマトリックスとともに層内に含まれうる。これらの配合は、発光及びディスプレイへの応用に好適な物理的パラメータ及び光学的性能を有する。表1及び2にまとめられた例示的な実施形態は、本発明をどのようにも限定すると考えられるべきではない。
【0036】
【表1】

【0037】
表1中の備考:
a)ARredは、455nmにおける吸収と、580から700nmの範囲の波長における最大吸収との比である。つまり、ARred=(Absorbance455nm/max(Absorbance580−700nm))である。
b)ARgreenは、455nmにおける吸収と、520から580nmの範囲の波長における最大吸収との比である。つまり、ARgreen=(Absorbance455nm/max(Absorbance520−580nm))である。
c)LC/Hostは、ホスト材料の重量で割った蛍光体―SNP混合物の重量を、パーセンテージで示したものである。
d)PL赤方偏移は、低いOD(<0.1)においてトルエン中で測定されたCWLと、蛍光体―SNP混合物に関して測定されたCWLとの間の、ナノメートル単位の差である。
e)好適な光学的及び機械的特性を有するシリコーンは、様々な商業的な供給者から選択することができる。
f)ポリマーは、定義において与えられたリストから選択することができる。
【0038】
【表2】

【0039】
表1における備考:
a)ARredは、455nmの吸収と、580から700nmの範囲の波長における最大吸収との比である。つまり、ARred=(Absorbance455nm/max(Absorbance580−700nm))である。
b)ARgreenは、455nmの吸収と、520から580nmの範囲の波長における最大吸収との比である。つまり、ARgreen=(Absorbance455nm/max(Absorbance520−580nm))。
c)ホストは、ポリマーに関する定義に与えられたリストに加えて、シリカ、エポキシまたはクレイから選択できる。
d)蛍光体は、定義に与えられたリストから選択できる。
e)LC/Hostは、マトリックスホスト材料の重量で割った蛍光体―SNP混合物の重量を、パーセンテージで示したものである。
f)好適な光学的及び機械的特性を有するホスト材料は、様々な商業的供給者から選択できる。
g)PL赤方偏移は、低いOD(<0.1)においてトルエン中で測定されたCWLと、蛍光体―SNP混合物に関して測定されたCWLとの間の、ナノメートル単位の差である。
h)ポリマー中のSNPのパーセンテージが低い場合、ホストに対して高いパーセンテージの光変換材を用い、またその逆である。
【0040】
図5Aは、本発明の一実施形態に従う発光デバイスを概略的に示しており、改善された白色光が、蛍光体―SNP配合物を備える単一の層によって作り出される。図5Bは、本発明の他の一実施形態に従う発光デバイスを概略的に示しており、改善された白色光が、蛍光体粒子を備える第一の層及び蛍光体―SNP配合物を備える第二の層の二つの離隔された層によって作り出される。図5Cは、本発明の一実施形態に従う、シリコーン変換層中にSNP及び蛍光体の混合物を含む発光デバイス500を概略的に示す。デバイス500は、青色または紫外線LED光源、光学スペーサ層(あるいはスペーサとして空気)504、ホスト変換層506中のSNP及び蛍光体の混合物、任意の封止層508、所望の方向へ光を抽出するための任意の透過光学素子510、光を平行にし、または収束する、レンズのような任意の屈折素子512、及びLED素子の背後及び周囲に配置され、大角度から修正された出力方向へ発光を集めて導くための任意の反射素子514、を含む。ある実施形態において、高いローディング比を有するSNP層の高い屈折率は、LEDチップからの光の抽出を増加させるために好適である。
【0041】
(例1:シリコーン中の蛍光体―RSNP配合物)
まず、638nmで発光する35×5.6nmのCdSe/CdS RSNPが、非特許文献3に記載された手順に類似した手順を用いて準備された。0.5gのRTV615A(Momentive,22 Corporate Woods Boulevard, Albany, NY 12211 USA)を、0.15gのRTV615Bとともに10分間撹拌した。4.0mgのRSNPを0.4mlのトルエンに溶解した。615mgの黄色の蛍光体(BYW01A,PhosphorTech,351 Thornton Rd Ste.130,Lithia Springs,GA 30122,USA)を、RSNPの蛍光体に対する重量比を4/615、つまり約0.65%になるように提供した。撹拌中に、RSNP溶液をシリコーンRTV混合物に加えた。次いで、BYW01A蛍光体を加え、RSNP/蛍光体/シリコーン溶液を15分間撹拌した。次いで、気泡が残らなくなるまで、RSNP/蛍光体/シリコーン溶液を真空処理した。次いで、溶液をガラス基板上に注ぎ、520μmの厚さのスペーサを間に介して他のガラス基板を用いて挟み込んだ。次いで、混合された変換材料を、100℃のホットプレート上に一時間置くと、溶液は固体となった。最終的な膜の厚さは520μmであった。
【0042】
一実施形態において、490μmの厚さを有する例1中のような配合物を、455nmのLED上に堆積した。図6に、この層とLEDの性能が示されている。図6Aは、455nmのLED上に堆積されたときの上述した変換材料によって提供される光学スペクトルを示している。図6Bは、図6Aに示されたスペクトルのCIE座標を示すCIE1931図を示している。光は、3080KのCCT及び86のCRIを有している。他のLEDと共に配合物のその他の混合比によって、様々な色、特に異なるCCT値を有する様々な白色光を有する光源を提供することができる。蛍光体のタイプ、RSNPのタイプ、大きさ及び形状、並びに蛍光体種とRSNP種の間の比は、所望の必要性に従って適合させることができる。例えば、赤色発光するRSNPをより多く追加すると、青色の蛍光体及びそれゆえ緑―黄色の蛍光体もまた減少し、赤色が増強されることになる。特に、CCTが5000Kより低く、CRIが70より大きい場合、またはCCTが3500より低くCRIが80より大きい場合でさえ、(図示されない)他の混合比によって提供することができる。
【0043】
(例2:ポリマーに封止されたRSNPのシリコーンへの挿入)
例1に記載のように準備されたRSNPを、3%のローディング比(重量)でPVB内に埋め込み、細かく粉末化した。最終的な粉末の平均粒子の大きさは、15μmよりも小さかった。1.5gのRTV615A(Momentive,22 Corporate Woods Boulevard, Albany, NY 12211 USA)を、0.15gのRTV615Bと共に10分間撹拌した。撹拌中に、77mgのRSNP/PVB粉末をシリコーン混合物に加えた。345mgのイットリウム・アルミニウム・ガーネット蛍光体(BYW01A,PhosphorTech,351 Thornton Rd Ste.130,Lithia Springs,GA 30122,USA)を加え、溶液を15分間撹拌した。次いで、RSNP/蛍光体/シリコーンRTV溶液を、気泡が残らなくなるまで真空処理した。次いで、溶液を、ガラス基板上に注ぎ、他のガラス基板を用いて挟み込んだ。2つのガラス基板の間に250μmの厚さのスペーサを配置して、所望の厚さの膜を得た。次いで、サンドイッチ構造を100℃のホットプレート上に1時間置くと、溶液は固体となった。最終的な膜の厚さは、約250μmであった。図7は、455nmのLED上に堆積したときに上述した層によって提供される光学スペクトルを示す。光変換材料を塗布されたLEDの発光スペクトルのCIE色座標は、CIE xが0.35、CIE yが0.31であった。
【0044】
本発明が、その実施形態を参照して説明された。実施形態は、例示によって提供され、発明の範囲を限定することを意図されない。説明された実施形態は、異なる特徴を備え、その全てが、本発明の全ての実施形態において必ずしも必要とはされない。本発明のある実施形態は、特徴のうちのいくつかのみ、または特徴の可能な組み合わせを利用する。説明された本発明の実施形態の変形例及び説明された実施形態において記載されたのとは異なる特徴の組み合わせを備える本発明の実施形態が、当業者によってなされるであろう。本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲によってのみ限定される。
【0045】
本明細書において言及された全ての特許文献及び刊行物は、本明細書においては、本明細書内にその全てが組み込まれており、個々の特許文献または刊行物のそれぞれが、本明細書において参照によって組み込まれていると具体的に及び個々に示されたかのように、同程度に明細書に組み込まれる。加えて、本願のどの参照の引用または特定も、そのような参照が先行技術として利用可能であることを認めるものと解釈されるべきではない。
【符号の説明】
【0046】
300 622nmの発光を有する5.8×16nmのRSNPに関する発光スペクトル
302 625nmの発光を有する4.5×45nmのRSNPに関する発光スペクトル
304 628nmの発光を有する4.5×95nmのRSNPに関する発光スペクトル
500 発光デバイス
504 光学スペーサ層
506 ホスト変換層
508 封止層
510 透過光学素子
512、514 反射素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)蛍光体材料、及び
b)580から680nmの範囲に中心発光波長(CWL)を有する少なくとも1種類の半導体シード化ナノ粒子(SNP)材料、を備え、
前記蛍光体材料および前記SNP材料が、3.5:1より大きな、455nmにおける光学吸収の580から700nmの範囲の光学吸収の最大値に対する吸収比(AR)を提供するように、適切な量で混合される、光変換に用いるための材料配合物。
【請求項2】
前記適切な量が、前記SNPと前記蛍光体材料の間の重量比が0.1から10%の間であることを含む、請求項1に記載の材料配合物。
【請求項3】
前記SNPが、ナノロッドSNP(RSNP)である、請求項1に記載の材料配合物。
【請求項4】
前記ARが、7:1より大きい、請求項1に記載の材料配合物。
【請求項5】
2.5:1よりも大きな、455nmにおける吸収と520から580nmの波長範囲の吸収の最大値との間のARを有することをさらに特徴とする、請求項1に記載の材料配合物。
【請求項6】
6:1よりも大きな、455nmにおける吸収と520から580nmの波長範囲の吸収の最大値との間のARを有することをさらに特徴とする、請求項4に記載の材料配合物。
【請求項7】
どの前記SNPの表面にも結合されていない、少なくとも一つの種類の余分な有機リガンドをさらに備える、請求項1に記載の材料配合物。
【請求項8】
前記蛍光体及び前記SNPまたは前記RSNP材料を組み込むホストマトリックス材料をさらに備える、請求項1から7のいずれか一項に記載の材料配合物。
【請求項9】
前記ホストマトリックス材料が、シリコーン、エポキシまたはポリマーである、請求項8に記載の材料配合物。
【請求項10】
前記ホストマトリックス材料に対する前記蛍光体―SNP配合物の重量パーセンテージが、5から50%の範囲内にある、請求項8に記載の材料配合物。
【請求項11】
前記蛍光体材料が、希土類元素の発光中心を有する粒子を含む、請求項1に記載の材料配合物。
【請求項12】
前記蛍光体材料が、ガーネット系蛍光体、ケイ酸系蛍光体、オルトケイ酸系蛍光体、チオガレート系蛍光体、硫化物系蛍光体及び窒化物系蛍光体からなる群から選択される、請求項1に記載の材料配合物。
【請求項13】
前記SNP材料が、II−VI族半導体、III−V族半導体、IV−VI族半導体、及びI−III−VI族半導体からなる群から選択された材料を含む、請求項1に記載の材料配合物。
【請求項14】
前記SNPまたは前記RSNPが、CdSe/CdS、CdSeS/CdS、ZnSe/CdS、ZnCdSe/CdS、CdSe/CdZnS、CdTe/CdS、InP/ZnSe、InP/CdS、InP/ZnS及びCuInS/ZnSからなる群から選択される材料を有するコア/シェル構造を有する、請求項13に記載の材料配合物。
【請求項15】
前記SNPまたは前記RSNPが、CdSe/CdS/ZnS、CdSe/CdZnS/ZnS、ZnSe/CdS/ZnS、InP/ZnSe/ZnS、InP/CdS/ZnS及びInP/CdZnS/ZnSからなる群から選択される材料を有するコア/二重シェル構造を有する、請求項13に記載の材料配合物。
【請求項16】
約5nmよりも小さなフォトルミネセンス(PL)偏移を有することをさらなる特徴とし、前記PL偏移が、ODが0.1より小さいときにトルエン中のSNPについて測定されたCWLと変換層中で測定されたCWLとの間の差を表す、請求項1、5または6のいずれか一項に記載の材料配合物。
【請求項17】
a)蛍光体材料、
b)第一のホスト材料、及び、
b)580から680nmの範囲に中心発光波長(CWL)を有する少なくとも1種類の半導体シード化ナノ粒子(SNP)材料、を備え、
前記SNPのそれぞれが、前記第一のホスト材料に封止され、前記蛍光体材料及び封止された前記SNPが、3.5:1より大きな、455nmにおける光学吸収の、580から700nmの範囲の光学吸収の最大値に対する吸収比(AR)を提供するように適切な量で混合される、光変換に用いるための材料配合物。
【請求項18】
前記SNPと前記第一のホスト材料との間の重量パーセンテージが、0.5から10%の間であることを特徴とする、請求項17に記載の材料配合物。
【請求項19】
前記適切な量が、前記蛍光体に対する封止された前記SNPの重量比が1から50%の間であることを含む、請求項17に記載の材料配合物。
【請求項20】
前記SNPが、ナノロッドSNP(RSNP)である、請求項17に記載の材料配合物。
【請求項21】
前記ARが、7:1より大きい、請求項17に記載の材料配合物。
【請求項22】
2.5:1よりも大きな、455nmにおける吸収と520から580nmの波長範囲の吸収の最大値との間のARを有することをさらに特徴とする、請求項17に記載の材料配合物。
【請求項23】
6:1よりも大きな、455nmにおける吸収と520から580nmの波長範囲の吸収の最大値との間のARを有することをさらに特徴とする、請求項21に記載の材料配合物。
【請求項24】
どの前記SNPの表面にも結合されていない、少なくとも一つの種類の余分な有機リガンドをさらに備える、請求項17に記載の材料配合物。
【請求項25】
前記蛍光体及び封止された前記SNPまたは前記RSNP材料を組み込む第二のホスト材料をさらに備える、請求項17から25のいずれか一項に記載の材料配合物。
【請求項26】
前記第二のホスト材料が、ポリマー、エポキシまたはシリコーンである、請求項25に記載の材料配合物。
【請求項27】
前記第二のホスト材料に対する前記蛍光体―封止されたSNP配合物の重量パーセンテージが、5から50%の範囲内にある、請求項25に記載の材料配合物。
【請求項28】
前記蛍光体材料が、希土類元素の発光中心を有する粒子を含む、請求項17に記載の材料配合物。
【請求項29】
前記蛍光体材料が、ガーネット系蛍光体、ケイ酸系蛍光体、オルトケイ酸系蛍光体、チオガレート系蛍光体、硫化物系蛍光体及び窒化物系蛍光体からなる群から選択される、請求項17に記載の材料配合物。
【請求項30】
前記SNP材料が、II−VI族半導体、III−V族半導体、IV−VI族半導体、及びI−III−VI族半導体からなる群から選択される材料を含む、請求項17に記載の材料配合物。
【請求項31】
前記SNPまたは前記RSNPが、CdSe/CdS、CdSeS/CdS、ZnSe/CdS、ZnCdSe/CdS、CdSe/CdZnS、CdTe/CdS、InP/ZnSe、InP/CdS、InP/ZnS及びCuInS/ZnSからなる群から選択される材料を有するコア/シェル構造を有する、請求項30に記載の材料配合物。
【請求項32】
前記SNPまたはRSNPが、CdSe/CdS/ZnS、CdSe/CdZnS/ZnS、ZnSe/CdS/ZnS、InP/ZnSe/ZnS、InP/CdS/ZnS及びInP/CdZnS/ZnSからなる群から選択される材料を有するコア/二重シェル構造を有する、請求項30に記載の材料配合物。
【請求項33】
約8nmよりも小さなフォトルミネセンス(PL)偏移を有することをさらなる特徴とし、前記PL偏移が、ODが0.1より小さいときにトルエン中で測定されたCWLと変換層中で測定されたCWLとの間の差を表す、請求項17、22または23のいずれか一項に記載の材料配合物。
【請求項34】
請求項1から7または請求項9から15のいずれか一項に記載の物質の配合物を備える、光変換層。
【請求項35】
請求項17から24または26から32のいずれか一項に記載の物質の配合物を備える、光変換層。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公表番号】特表2013−518166(P2013−518166A)
【公表日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−550546(P2012−550546)
【出願日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際出願番号】PCT/IB2011/050368
【国際公開番号】WO2011/092647
【国際公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(503083166)イサム・リサーチ・デベロツプメント・カンパニー・オブ・ザ・ヘブルー・ユニバーシテイ・オブ・エルサレム・リミテッド (6)
【Fターム(参考)】