説明

蛍光体ペースト組成物

【課題】スクリーン印刷性、貯蔵安定性に優れ、かつ、低温で脱脂可能な蛍光体ペースト組成物の提供。
【解決手段】(メタ)アクリル樹脂、蛍光体、有機溶剤及びイミダゾール系化合物を含有する蛍光体ペースト組成物であって、前記イミダゾール系化合物は、下記化学式(1)等で表される蛍光体ペースト組成物。


は、C2n+1(nは、5以上の整数)、又は、C2n−1(nは、5以上の整数)を示し、R及びRは、H、C2n+1(nは、1〜5の整数)、又は、C2nOH(nは、1〜5の整数)を示し、Rは、H、又は、C2n+1(nは、1〜5の整数)を示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクリーン印刷性、貯蔵安定性に優れ、かつ、低温でバインダー樹脂を脱脂することが可能な蛍光体ペースト組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
蛍光体ペースト組成物に用いるバインダー樹脂としては、エチルセルロース等のセルロース系樹脂を用いることが一般的である。しかし、蛍光体を分散させ、スクリーン印刷でパターンを印刷後、焼成によりバインダー樹脂の脱脂を行い、蛍光体層を得るというプロセスを考慮した場合、セルロース系樹脂は脱脂を行うために500℃以上で焼成しなければならない。したがって、生産工程で大きなエネルギーが必要となったり、焼成時間が長くなったりする等の問題があった。
【0003】
これに対して、バインダー樹脂として、熱分解性に優れ、低温で脱脂することが可能な(メタ)アクリル系樹脂を用いる方法が検討されている。しかしながら、(メタ)アクリル系樹脂を用いた場合、蛍光体ペースト組成物は、粘着性が非常に強くなるため、スクリーン印刷をすると(メタ)アクリル系樹脂による延糸がスクリーン印刷版に発生することがあり、スクリーン印刷に適した蛍光体ペースト組成物を得ることは困難であった。
(メタ)アクリル系樹脂の配合割合を減らせば粘着性を低減させることができるが、それに伴い蛍光体ペースト組成物の粘度が著しく低下する。したがって、蛍光体を分散させたときに蛍光体が沈降したり凝集したりすることがあり貯蔵安定性が十分ではなかった。特に、赤色蛍光体は、YBO:Eu、(Y,Gd)BO:Eu等の無機化合物であり、他の色の蛍光体等と比較すると比重が高く、赤色蛍光体を分散させた蛍光体ペースト組成物の貯蔵安定性は、非常に悪かった。
【0004】
そこで、良好なスクリーン印刷性と貯蔵安定性とを両立させるために、高分子量の(メタ)アクリル系樹脂の分子量を少量配合する方法が検討された。しかし、(メタ)アクリル系樹脂の分子量を高くすると、アクリル系樹脂の配合割合が少量でも蛍光体ペースト組成物の粘度を増加させることができるが、(メタ)アクリル系樹脂の添加量が少量であっても、スクリーン印刷時に(メタ)アクリル系樹脂による延糸が発生してしまうという問題があった。
【0005】
例えば、特許文献1では、脂肪酸アミド、水添ひまし油、ポリアミノ酸等のチクソトロピー剤を添加する方法が開示されている。しかしながら、これらのチクソトロピー剤は、いずれもペースト組成物の粘度を増加させるための添加剤であり、そもそもスクリーン印刷に適した粘度のペースト組成物を得ることが困難であった。
【0006】
特許文献2では、蛍光体やガラス粉末等の無機粉末の分散性を向上させるために、ステアリン酸等のカルボキシル基を1個以上有する化合物を添加する方法が開示されている。カルボキシル基を1個以上有する化合物を添加することにより、カルボキシル基が無機粉末の表面に吸着して表面の電位を中和、又は、水素結合部位を不活性化し、カルボキシル基以外の部分の立体効果によって無機粉末の凝集を抑制することにより、ペースト組成物における無機粉末の分散性を向上させている。しかしながら、この方法では、長期間の貯蔵安定性を維持することは困難であった。特に、粘度の低いペースト組成物に対して赤色蛍光体等の比重が高い蛍光体を分散させた場合には、時間とともにペースト組成物の粘度が著しく変化し、貯蔵安定性が悪かった。
【0007】
特許文献3では、蛍光体ペーストにおける蛍光体の分散性を向上させるために、(ビス(2−ヒドロキシエチル)アルキルアミン等のヒドロキシアルキル基と窒素原子とを含有する化合物からなる非イオン性界面活性剤を添加する方法が開示されている。
しかしながら、特許文献3の実施例にて開示されている蛍光体ペーストは、粘度が4.4Pa・s〜5.0Pa・sであるため、このような蛍光体ペーストでは分散された直後の蛍光体は良好な分散性を示すが、時間が経つとともに蛍光体が沈降するという問題点があった。
したがって、蛍光体ペーストの粘着性を低減させてスクリーン印刷性の改善をし、なおかつ、良好な貯蔵安定性を確保するという相反する目的を両立させることは非常に困難であった。
【特許文献1】特開2000−144124号公報
【特許文献2】特開2003−257314号公報
【特許文献3】特開2003−292947号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記現状に鑑み、スクリーン印刷性、貯蔵安定性に優れ、かつ、低温でバインダー樹脂を脱脂することが可能な蛍光体ペースト組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、(メタ)アクリル樹脂、蛍光体、有機溶剤及びイミダゾール系化合物を含有する蛍光体ペースト組成物であって、前記イミダゾール系化合物は、下記化学式(1)又は下記化学式(2)で表される蛍光体ペースト組成物である。
【0010】
【化1】

は、C2n+1(nは、5以上の整数)、又は、C2n−1(nは、5以上の整数)を示し、Rは、H、C2n+1(nは、1〜5の整数)、又は、C2nOH(nは、1〜5の整数)を示し、Rは、H、C2n+1(nは、1〜5の整数)、又は、C2nOH(nは、1〜5の整数)を示し、Rは、H、又は、C2n+1(nは、1〜5の整数)を示す。
【0011】
【化2】

は、C2n+1(nは、5以上の整数)、又は、C2n−1(nは、5以上の整数)を示し、Rは、H、C2n+1(nは、1〜5の整数)、又は、C2nOH(nは、1〜5の整数)を示し、Rは、H、C2n+1(nは、1〜5の整数)、又は、C2nOH(nは、1〜5の整数)を示し、Rは、H、又は、C2n+1(nは、1〜5の整数)を示す。
以下に本発明を詳述する。
【0012】
本発明者らは、鋭意検討の結果、(メタ)アクリル樹脂、有機溶剤を含有するバインダー樹脂組成物に、蛍光体、特定の構造を有するイミダゾール系化合物を添加することによって、スクリーン印刷性、貯蔵安定性に優れ、かつ、低温でバインダー樹脂を脱脂できる蛍光体ペースト組成物を作製することが可能となることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明者らが発見するまで、イミダゾール系化合物は増感剤として一般的に用いられてきたが、ペースト組成物が含有する蛍光体や、ガラス粉末等の無機粉末を分散させるための分散剤として用いられていなかった。本発明者らは、特定の構造を有するイミダゾール系化合物を蛍光体ペースト組成物の添加剤として用いることによって、蛍光体、特に比重の高い赤色蛍光体を含有する蛍光体ペースト組成物の優れた貯蔵安定性を発揮させることができることを見出した。
なお、本発明の蛍光体ペースト組成物が貯蔵安定性に優れるのは、蛍光体ペースト組成物中で蛍光体とともに、イミダゾール系化合物が蛍光体の沈降を抑制する構造を形成するためと思われる。
【0013】
本発明の蛍光体ペースト組成物は、下記化学式(1)又は下記化学式(2)で表されるイミダゾール系化合物を含有する。
【0014】
【化3】

は、C2n+1(nは、5以上の整数)、又は、C2n−1(nは、5以上の整数)を示し、Rは、H、C2n+1(nは、1〜5の整数)、又は、C2nOH(nは、1〜5の整数)を示し、Rは、H、C2n+1(nは、1〜5の整数)、又は、C2nOH(nは、1〜5の整数)を示し、Rは、H、又は、C2n+1(nは、1〜5の整数)を示す。
【0015】
【化4】

は、C2n+1(nは、5以上の整数)、又は、C2n−1(nは、5以上の整数)を示し、Rは、H、C2n+1(nは、1〜5の整数)、又は、C2nOH(nは、1〜5の整数)を示し、Rは、H、C2n+1(nは、1〜5の整数)、又は、C2nOH(nは、1〜5の整数)を示し、Rは、H、又は、C2n+1(nは、1〜5の整数)を示す。
【0016】
本明細書において、イミダゾール系化合物とは、上記化学式(1)で表されるイミダゾリン化合物(ジヒドロイミダゾール)、及び、上記化学式(2)で表されるイミダゾール化合物を意味する。
なかでも、本発明の蛍光体ペースト組成物は、上記化学式(1)で表されるイミダゾール系化合物を含有することが好ましい。
【0017】
上記化学式(1)において、Rは、C2n+1(nは、5以上の整数)、又は、C2n−1(nは、5以上の整数)で示される構造であるが、Rは、C2n+1(nは、5〜30の整数)、又は、C2n−1(nは、5〜30の整数)で示される構造であることが好ましい。nが5未満であると、蛍光体ペースト組成物の貯蔵安定性が得られないことがあり、nが30を越えるとアルキル基又はアルケニル基の鎖長が長いため、低温で焼成した場合に、残渣が発生することがある。
更に、Rは、C2n+1(nは、10〜20の整数)、又は、C2n−1(nは、10〜20の整数)で示される構造であり、かつ、直鎖構造であることがより好ましい。上記化学式(1)において、Rが直鎖構造である場合、貯蔵安定性に優れる蛍光体ペースト組成物を得ることができる。
【0018】
上記化学式(1)において、Rは、H、C2n+1(nは、1〜5の整数)、又は、C2nOH(nは、1〜5の整数)で示される構造であれば特に限定されないが、なかでも、H、又は、COHであることが好ましい。
【0019】
上記化学式(1)において、Rは、H、C2n+1(nは、1〜5の整数)、又は、C2nOH(nは、1〜5の整数)で示される構造であれば特に限定されないが、なかでも、Hであることが好ましい。
【0020】
上記化学式(1)において、Rは、H、又は、C2n+1(nは、1〜5の整数)で示される構造であれば特に限定されないが、なかでも、Hであることが好ましい。
【0021】
上記化学式(2)において、Rは、C2n+1(nは、5以上の整数)、又は、C2n−1(nは、5以上の整数)で示される構造であるが、Rは、C2n+1(nは、5〜30の整数)、又は、C2n−1(nは、5〜30の整数)で示される構造であることが好ましい。nが5未満であると、蛍光体ペースト組成物の貯蔵安定性が得られないことがあり、nが30を越えるとアルキル基又はアルケニル基の鎖長が長いため、低温で焼成した場合に、残渣が発生することがある。
更に、Rは、C2n+1(nは、10〜20の整数)、又は、C2n−1(nは、10〜20の整数)で示される構造であり、かつ、直鎖構造であることがより好ましい。上記化学式(2)において、Rが直鎖構造である場合、貯蔵安定性に優れる蛍光体ペースト組成物を得ることができる。
【0022】
上記化学式(2)において、Rは、H、C2n+1(nは、1〜5の整数)、又は、C2nOH(nは、1〜5の整数)で示される構造であれば特に限定されないが、なかでも、H、又は、COHであることが好ましい。
【0023】
上記化学式(2)において、Rは、H、C2n+1(nは、1〜5の整数)、又は、C2nOH(nは、1〜5の整数)で示される構造であれば特に限定されないが、なかでも、Hであることが好ましい。
【0024】
上記化学式(2)において、Rは、H、又は、C2n+1(nは、1〜5の整数)で示される構造であれば特に限定されないが、なかでも、Hであることが好ましい。
【0025】
上記イミダゾール系化合物の具体例としては特に限定されず、上記化学式(1)で表されるイミダゾール系化合物としては、例えば、2−(8−ヘプタデセニル)−2−イミダゾリン−1−エタノール(R:C14−CH=CH−C17、R:COH、R:H、R:H)、2−ウンデシルイミダゾリン(R:C1123、R:H、R:H、R:H)、2−ヘプタデシルイミダゾリン(R:C1735、R:H、R:H、R:H)等が挙げられる。なかでも、2−(8−ヘプタデセニル)−2−イミダゾリン−1−エタノールを用いた場合、貯蔵安定性に優れる蛍光体ペースト組成物を得ることができるため、好適に用いることができる。
【0026】
上記化学式(2)で表されるイミダゾール系化合物としては、2−(8−ヘプタデセニル)−2−イミダゾール−1−エタノール(R:C14−CH=CH−C17、R:COH、R:H、R:H)、2−ウンデシルイミダゾール(R:C1123、R:H、R:H、R:H)、2−ヘプタデシルイミダゾール(R:C1735、R:H、R:H、R:H)等を挙げられる。
【0027】
本発明の蛍光体ペースト組成物における上記イミダゾール系化合物の含有量としては特に限定されないが、好ましい下限は0.01重量%、好ましい上限は10重量%である。上記イミダゾール系化合物の含有量が0.01重量%未満であると、蛍光体ペースト組成物の貯蔵安定性が充分に得られないことがあり、10重量%を超えると、低温で焼成した場合に残渣が発生することがある。上記イミダゾール系化合物の含有量のより好ましい下限は0.1重量%、より好ましい上限は5重量%である。
【0028】
本発明の蛍光体ペースト組成物は、バインダー樹脂として(メタ)アクリル樹脂を含有する。
上記(メタ)アクリル樹脂としては、低温(400℃以下)で脱脂することができる(メタ)アクリル樹脂であれば特に限定されないが、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、n−ステアリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレートモノマーの単独重合体や、上記(メタ)アクリレートモノマーと、ポリプロピレンオキシド、ポリメチルエチレンオキシド、ポリエチルエチレンオキシド、ポリトリメチレンオキシド、及び、ポリテトラメチレンオキシド等のポリオキシアルキレン構造を有する(メタ)アクリレートモノマーとの共重合体を用いることができる。ここで、例えば(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートを意味する。
なかでも、(メタ)アクリル樹脂の含有量を低減しながら、スクリーン印刷性に適した蛍光体ペースト組成物の粘度を得ることができることから、ガラス転移温度(Tg)が高く、かつ、低温で脱脂することができるメチルメタクリレートモノマーを重合体成分として含有していることが好ましく、特にメチルメタクリレートモノマーの単独重合体であるポリメチルメタクリレートが好適である。
【0029】
上記(メタ)アクリル樹脂は、分子末端のみに水素結合性官能基を少なくとも1個以上有することが好ましい。水素結合性官能基が(メタ)アクリル樹脂の分子側鎖に存在すると、(メタ)アクリル樹脂と有機溶剤とが相溶し、後述する適度な相分離状態が発現しにくくなり、蛍光体ペースト組成物の粘度が低下してしまう。スクリーン印刷に適した粘度を得るために(メタ)アクリル樹脂の含有量を増やした場合、スクリーン印刷時に延糸が発生する等の問題が発生する。一方、水素結合性官能基が(メタ)アクリル樹脂の分子側鎖には存在せず、分子末端のみに存在することにより、(メタ)アクリル樹脂と有機溶剤とが相溶せず適度な相分離(ミクロ相分離)を発現し、(メタ)アクリル樹脂の含有量が少ない場合でも、充分な粘度は有したまま蛍光体ペースト組成物の粘着力が低下するため、スクリーン印刷時に(メタ)アクリル樹脂による延糸が発生したりせずスクリーン印刷性が向上する。
【0030】
上記水素結合性官能基としては特に限定されず、例えば、水酸基、カルボキシル基、アミノ基等が挙げられる。なかでも、(メタ)アクリル樹脂の熱分解性への影響が少ない等の理由から、水酸基、カルボキシル基が好適である。
【0031】
上記(メタ)アクリル樹脂のポリスチレン換算による数平均分子量の好ましい下限は5000、好ましい上限は50000である。数平均分子量が5000未満であると、(メタ)アクリル樹脂と有機溶剤とが適度な相分離(ミクロ相分離)を発現することができないためにスクリーン印刷に必要な粘度が得られないことがあり、50000を超えると、(メタ)アクリル樹脂と有機溶剤とが完全に相分離してしまい、また、本発明の蛍光体ペースト組成物の粘着力が高くなり、スクリーン印刷性に問題が生じることがある。上記(メタ)アクリル樹脂の数平均分子量のより好ましい上限は40000であり、更に好ましい上限は30000である。特に、(メタ)アクリル樹脂の数平均分子量が5000〜30000であると、スクリーン印刷時に鮮明な印刷パターンが得られるため好ましい。
従来の蛍光体ペースト組成物では、スクリーン印刷が可能な粘度を保つために、比較的高い分子量の(メタ)アクリル樹脂を用いていた。これに対し、本発明の蛍光体ペースト組成物では、蛍光体ペースト組成物を適度に相分離(ミクロ相分離)させることにより数平均分子量が5000〜50000の範囲内である(メタ)アクリル樹脂を使用した場合でも良好なスクリーン印刷性を発揮できるようになっただけでなく、焼成後の(メタ)アクリル樹脂の残渣を少なくすることが可能となった。
なお、ポリスチレン換算による数平均分子量の測定は、カラムとして、例えば、SHOKO社製カラムLF−804を用いてGPC測定を行うことで得ることができる。
【0032】
なお、本発明の蛍光体ペースト組成物に用いるバインダー樹脂として、重合反応後の(メタ)アクリル樹脂を精製せずに用いる場合には、低分子量成分であるモノマーやオリゴマー等が蛍光体ペースト組成物に含まれないことが好ましい。低分子量成分であるモノマーやオリゴマー等が蛍光体ペースト組成物に含まれる場合、モノマーやオリゴマー等が可塑剤として作用し、蛍光体ペースト組成物の粘度を低下させることがある。
【0033】
上記(メタ)アクリル樹脂の分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量=Mw/Mn)は3以下であることが好ましく、より好ましくは2.5以下である。
分子量分布が3を超えると、低分子量成分であるモノマーやオリゴマー等が可塑剤として作用し、蛍光体ペースト組成物に充分な粘度が得られない場合や、高分子量成分を含有することで、(メタ)アクリル樹脂による延糸が発生する場合があり、スクリーン印刷時に問題が発生することがある。
【0034】
本発明の蛍光体ペースト組成物における(メタ)アクリル樹脂の含有量としては特に限定されないが、好ましい下限は5重量%、好ましい上限は25重量%である。上記(メタ)アクリル樹脂の含有量が5重量%未満であると、蛍光体ペースト組成物に充分な粘度が得られず、貯蔵安定性が充分に得られないことがあり、25重量%を超えると、蛍光体ペースト組成物の粘度や粘着性が高くなりすぎてスクリーン印刷時に問題が発生することがある。
【0035】
上記(メタ)アクリル樹脂の分子末端のみに水素結合性官能基を導入する方法としては、例えば、水素結合性官能基を有する連鎖移動剤のもとで、上述した(メタ)アクリレートモノマーをフリーラジカル重合法、リビングラジカル重合法、イニファーター重合法、アニオン重合法、リビングアニオン重合法等の従来公知の方法で(共)重合する方法や、水素結合性官能基を有する重合開始剤のもとで、上述した(メタ)アクリレートモノマーをフリーラジカル重合法、リビングラジカル重合法、イニファーター重合法、アニオン重合法、リビングアニオン重合法等の従来公知の方法で(共)重合する方法が挙げられる。なお、これらの方法は併用してもよい。
また、(メタ)アクリル樹脂の分子末端のみに水素結合性官能基が導入されたことは、例えば、13C−NMRにより確認することができる。
【0036】
上記連鎖移動剤としては、上記水素結合性官能基を有する連鎖移動剤であれば特に限定されず、例えば、水素結合性官能基として水酸基を有するメルカプトプロパンジオール、水素結合性官能基としてカルボキシル基を有するチオグリセロール、メルカプトコハク酸、メルカプト酢酸、水素結合性官能基としてアミノ基を有するアミノエタンチオール等が挙げられる。
【0037】
上記重合開始剤としては、上記水素結合性官能基を有する重合開始剤であれば特に限定されず、例えば、P−メンタンヒドロペルオキシド(日本油脂社製「パーメンタH」)、ジイソプロピルベンゼンヒドロペルオキシド(日本油脂社製「パークミルP」)、1、2、3、3−テトラメチルブチルヒドロペルオキシド(日本油脂社製「パーオクタH」)、クメンヒドロペルオキシド(日本油脂社製「パークミルH−80」)、t−ブチルヒドロペルオキシド(日本油脂社製「パーブチルH−69」)、過酸化シクロヘキサノン(日本油脂社製「パーヘキサH」)、1、1、3、3−テトラメチルブチルヒドロパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、t−アミルヒドロパーオキサイド、Disuccinic acid peroxide(パーロイルSA)等が挙げられる。
【0038】
本発明の蛍光体ペースト組成物は、蛍光体を含有する。
上記蛍光体としては特に限定されず、例えば、CRT用蛍光体、ランプ用蛍光体、PDP用蛍光体、X線用蛍光体、蓄光蛍光体等、様々な用途に用いられるものが挙げられる。具体的には例えば、赤色蛍光体としては、Y:Eu、YS:Eu、YBO:Eu、(Y,Gd)BO:Eu、Y(P,V)O;Eu、GdBO:Eu、YSiO:Eu、YAl12:Eu、ScBO:Eu、LuBO:Eu、Zn(PO:Mn等;緑色蛍光体としては、SrSiCl:Eu、ZnS:Cu,Al、LaPO:Ce,Tb、CaMgSi:Eu、(Ba,Sr,Mg)O・aAlMn、(Y、Gd)BO:Tb、ZnSiO:Mn、BaAl1219:Mn、BaMgAl1017:Mn、BaMgAl1017:Mn,Eu、BaMgAl1423:Mn、CaAl1219:Mn、SrAl1219:Mn、YBO:Tb、LuBO:Tb、GdBO:Tb、GdS:Tb、ScBO:Tb、SrSiCl:Eu等;青色蛍光体としては、ZnS:Ag,Al、(SrCaBaMg)(POCl:Eu、BaMgAl1017:Eu、BaMgAl1423:Eu、YSiO:Ce、CaWO、CaWO:Pb、(Ca,Sr)MgSi:Eu、(Ca,Sr)MgSi:Eu、(Ca,Sr)MgSi:Eu等;青緑色蛍光体としては、SrAl1425:Eu,Dy等;白色蛍光体としては、Ca10(POFCl:Sb,Mn等が挙げられる。
【0039】
本発明の蛍光体ペースト組成物は、上記赤色蛍光体を含有する場合にも、好適に用いることができる。
一般に、赤色蛍光体は、他の蛍光体よりも比重が高いため、蛍光体ペースト組成物が赤色蛍光体を含有した場合には、赤色蛍光体が沈降しやすく、貯蔵安定性が充分ではなかった。これに対して、本発明の蛍光体ペースト組成物では、赤色蛍光体を含有した場合でも、赤色蛍光体が沈降することなく、貯蔵安定性に優れる。これは、本発明の蛍光体ペースト組成物において、上記イミダゾール系化合物が、赤色蛍光体の沈降を抑制する構造を形成するためと考えられる。
【0040】
上記蛍光体の含有量としては特に限定されないが、本発明の蛍光体ペースト組成物のうち(メタ)アクリル樹脂、有機溶剤等の成分(蛍光体及びイミダゾール系化合物以外の成分)からなるバインダー樹脂組成物100重量部に対して、好ましい下限が30重量部、好ましい上限が85重量部である。上記蛍光体の含有量が30重量部未満であると、得られる蛍光体ペースト組成物の粘度が低くなり貯蔵安定性が充分ではないことがある。上記蛍光体の含有量が85重量部を超えると、得られる蛍光体ペースト組成物において、蛍光体を分散させることが困難となる場合がある。
【0041】
本発明の蛍光体ペースト組成物は、有機溶剤を含有する。
上記有機溶剤は、分子中に水酸基又はアセトキシ基を少なくとも1個有することが好ましい。これにより、(メタ)アクリル樹脂と有機溶剤との適度な相分離(ミクロ相分離)を発現させやすくなり、スクリーン印刷に適した粘度を維持しながら(メタ)アクリル樹脂の配合割合を低減させることが容易となり、低温で脱脂することができる。
【0042】
上記有機溶剤は、沸点の好ましい下限が170℃、好ましい上限が280℃である。上記有機溶剤の沸点が170℃未満であると、スクリーン印刷中に有機溶剤が揮発してしまい、スクリーン印刷が困難になることがあり、280℃を超えると、本発明の蛍光体ペースト組成物を低温で焼成することができないことがある。上記有機溶剤の沸点のより好ましい下限は200℃、より好ましい上限は250℃である。
【0043】
上記有機溶剤としては特に限定されず、例えば、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、トリメチルペンタンジオールモノイソブチレート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、テルピネオール、テキサノール、イソホロン、乳酸ブチル、ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペート、ベンジルアルコール、フェニルプロピレングリコール、クレゾール等が挙げられる。
なかでも、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、テルピネオール、テキサノールが好適であり、更にそのなかでも、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、テルピネオール、テキサノールが特に好適であり、特に、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、テルピネオール、テキサノールが好適に用いられる。
なお、これらの有機溶剤は単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
【0044】
本発明の蛍光体ペースト組成物は、23℃においてB型粘度計を用いてプローブ回転数を10rpmに設定して測定したときの粘度の好ましい下限が8Pa・s、好ましい上限が40Pa・sである。粘度が8Pa・s未満であると、蛍光体ペースト組成物の粘度が低くなり、蛍光体が沈降して、貯蔵安定性に問題が発生することがある。粘度が40Pa・sを超えると、蛍光体ペースト組成物の粘着性が増加し、スクリーン印刷時に延糸が発生する場合がある。
【0045】
本発明の蛍光体ペースト組成物は、スクリーン印刷性に優れる。
従来の蛍光体ペースト組成物をスクリーン印刷すると、印刷パターンにかすれが生じたり、印刷ができなかったりする等の不具合を生じていた。これに対して、本発明の蛍光体ペースト組成物は、蛍光体の貯蔵安定性に優れることから、長期間保管した後であっても、きれいな印刷パターンを得ることができる。
【0046】
本発明の蛍光体ペースト組成物を製造する方法としては特に限定されず、従来公知の方法が挙げられ、例えば、各成分をボールミル、ブレンダーミル、3本ロール等の各種混合機を用いて混合する方法等が挙げられる。具体的には、例えば、上記(メタ)アクリル樹脂、上記有機溶剤を混合機を用いて混合し、バインダー樹脂組成物を作製した後、該バインダー樹脂組成物に上記蛍光体、上記イミダゾール系化合物を添加して更に混合機を用いて混合する方法等が挙げられる。
【0047】
上記バインダー樹脂組成物は、23℃においてB型粘度計を用いてプローブ回転数を10rpmに設定して測定したときの粘度の好ましい下限が2Pa・s、好ましい上限が20Pa・sである。粘度が2Pa・s未満であると、得られる蛍光体ペースト組成物の粘度が低くなり、蛍光体が沈降して、貯蔵安定性に問題が発生することがある。粘度が20Pa・sを超えると、得られる蛍光体ペースト組成物において、蛍光体を充分に分散させることが困難となることがある。
【発明の効果】
【0048】
本発明によれば、スクリーン印刷性、貯蔵安定性に優れ、かつ、低温でバインダー樹脂を脱脂することが可能な蛍光体ペースト組成物を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0049】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
【0050】
(実施例1)
攪拌機、冷却器、温度計、湯浴及び、窒素ガス導入口を備えた2Lセパラブルフラスコに、メチルメタクリレート(MMA)100重量部、連鎖移動剤としてメルカプトプロパンジオール、有機溶剤としてジエチレングリコールモノブチルエーテル100重量部とを混合し、モノマー混合液を得た。
【0051】
得られたモノマー混合液を、窒素ガスを用いて20分間バブリングすることにより溶存酸素を除去した後、セパラブルフラスコ系内を窒素ガスで置換し攪拌しながら湯浴が沸騰するまで昇温した。重合開始剤の酢酸エチル溶液を加え、更に、重合中に重合開始剤の酢酸エチル溶液を数回添加した。
【0052】
重合開始から7時間後、室温まで冷却し重合を終了させた。これにより、末端に水酸基を有するポリメチルメタクリレート(PMMA)のジエチレングリコールモノブチルエーテル溶液を得た。得られた(メタ)アクリル樹脂について、カラムとしてSHOKO社製カラムLF−804を用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる分析を行ったところ、ポリスチレン換算による数平均分子量は表1のとおりであった。
このようにして得られたポリメチルメタクリレートのジエチレングリコールモノブチルエーテル溶液に対し、表1に記載した組成比になるようにジエチレングリコールモノブチルエーテルを更に添加し、高速分散機で分散させてバインダー樹脂組成物を作製した。
【0053】
得られたバインダー樹脂組成物に対して、イミダゾール系化合物として2−(8−ヘプタデセニル)−2−イミダゾリン−1−エタノール、蛍光体として(Y,Gd)BO:Eu(赤色蛍光体)を表1に記載した組成比になるよう添加し、高速撹拌装置を用いて充分混練し、3本ロールミルにてなめらかな状態に達するまで混練を行い、蛍光体ペースト組成物を作製した。
【0054】
(実施例2〜6、比較例1〜6)
表1、表2又は表3に記載した組成比になるように各成分を調整したこと以外は、実施例1と同様にしてバインダー樹脂組成物、及び、蛍光体ペースト組成物を作製した。
【0055】
【表1】

【0056】
【表2】

【0057】
【表3】

【0058】
(評価)
実施例1〜6及び比較例1〜6で作製した蛍光体ペースト組成物について、以下の方法により評価を行った。
結果は表4に示した。
【0059】
(1)貯蔵安定性(粘度変化率(%))
蛍光体を分散させた直後の蛍光体ペースト組成物を250mlポリエチレン容器に入れ、B型粘度計(BROOK FILED社製「DVII+Pro」)を用いて、温度23℃、回転数10rpmの条件下で、蛍光体ペースト組成物の粘度η10rpm(Pa・s)を測定した。その後、ポリエチレン容器に入れた蛍光体ペースト組成物を温度23℃、湿度50%の環境下で1カ月間保管した後、再びB型粘度計を用いて、温度23℃、回転数10rpmの条件下で、保管した蛍光体ペースト組成物の粘度η10rpm(Pa・s)を測定し、粘度変化率(%)を算出した。
以下の式により、粘度変化率(%)を算出した。
粘度変化率(%)=〔(η10rpm−η10rpm)/η10rpm〕×100
【0060】
(2)貯蔵安定性(沈殿物の有無)
蛍光体を分散させた直後の蛍光体ペースト組成物を250mlポリエチレン容器に入れ、容器の底に沈殿物が存在するか否かを目視で観察した。その後、ポリエチレン容器に入れた蛍光体ペースト組成物を温度23℃、湿度50%の環境下で1ヶ月間保管した後、再び容器の底に沈殿物が存在するか否かを目視で観察した。
以下の基準により、容器の底に沈殿物が存在するか否かの評価を行った。
○:容器の底に沈殿物が観察されなかった。
×:容器の底に沈殿物が観察された。
【0061】
(3)スクリーン印刷性
蛍光体を分散させた直後の蛍光体ペースト組成物を250mlポリエチレン容器に入れ、温度23℃、湿度50%の環境下で1カ月間保管した。次いで、温度23℃、湿度50%の環境下で、保管した蛍光体ペースト組成物を用いて、スクリーン印刷を行った。
スクリーン印刷には、スクリーン印刷機(マイクロテック社製「MT−320TV」)、スクリーン製版(東京プロセスサービス社製「SX230°B」(乳剤20μm、スクリーン枠320mm×320mm))、印刷基板(ソーダーガラス150mm×150mm、厚み15mm)を用い、以下のスクリーン印刷機の条件でスクリーン印刷を行った。
ギャップ:2.0mm
スキージ速度:50mm/s
スクレッパー速度:50mm/s
スキージ圧:0.25MPa
スクレッパー圧:0.17MPa
背圧:0.10MPa
【0062】
図1にスクリーン印刷の態様を示す。図1に示す印刷パターン1は、スキージの移動方向に対して、水平方向に形成する印刷パターンである。図1に示す印刷パターン2は、スキージの移動方向に対して、斜め45°方向に形成する印刷パターンである。
図1に示す印刷パターン1及び印刷パターン2について、以下の基準により、スクリーン印刷性を評価した。
○:印刷パターンにかすれが見られなかった。
×:印刷パターンにかすれが見られた、又は、印刷できなかった。
【0063】
【表4】

【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明によれば、スクリーン印刷性、貯蔵安定性に優れ、かつ、低温でバインダー樹脂を脱脂することが可能な蛍光体ペースト組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】スクリーン印刷の態様の一例を示す模式図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(メタ)アクリル樹脂、蛍光体、有機溶剤及びイミダゾール系化合物を含有する蛍光体ペースト組成物であって、
前記イミダゾール系化合物は、下記化学式(1)又は下記化学式(2)で表されることを特徴とする蛍光体ペースト組成物。
【化1】

は、C2n+1(nは、5以上の整数)、又は、C2n−1(nは、5以上の整数)を示し、
は、H、C2n+1(nは、1〜5の整数)、又は、C2nOH(nは、1〜5の整数)を示し、
は、H、C2n+1(nは、1〜5の整数)、又は、C2nOH(nは、1〜5の整数)を示し、
は、H、又は、C2n+1(nは、1〜5の整数)を示す。
【化2】

は、C2n+1(nは、5以上の整数)、又は、C2n−1(nは、5以上の整数)を示し、
は、H、C2n+1(nは、1〜5の整数)、又は、C2nOH(nは、1〜5の整数)を示し、
は、H、C2n+1(nは、1〜5の整数)、又は、C2nOH(nは、1〜5の整数)を示し、
は、H、又は、C2n+1(nは、1〜5の整数)を示す。
【請求項2】
(メタ)アクリル樹脂は、ポリメチルメタクリレートであることを特徴とする請求項1記載の蛍光体ペースト組成物。
【請求項3】
蛍光体は、赤色蛍光体であることを特徴とする請求項1又は2記載の蛍光体ペースト組成物。
【請求項4】
23℃においてB型粘度計を用いてプローブ回転数を10rpmに設定して測定したときの粘度が8〜40Pa・sであることを特徴とする請求項1、2又は3記載の蛍光体ペースト組成物。
【請求項5】
有機溶剤は、分子中に水酸基又はアセトキシ基を少なくとも1個有し、かつ、沸点が170〜280℃であることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の蛍光体ペースト組成物。

【図1】
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【公開番号】特開2008−255274(P2008−255274A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−100619(P2007−100619)
【出願日】平成19年4月6日(2007.4.6)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】