説明

蛍光染料化合物、結合体およびそれらの使用

【課題】約600nmを超える長い波長の光により励起可能である蛍光染料化合物の提供。
【解決手段】化学的及び光活性的に安定であり、約600nmを超える波長を有する光により励起可能な蛍光染料化合物であり、アクセプター染料に共有結合されたドナー染料を含む移動染料、例えば、下記式で示される化合物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本教示は、一般に、蛍光染料、連結可能形態の蛍光染料、エネルギー移動染料および蛍光染料で標識された試薬、ならびにそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
蛍光標識を利用する生物学的分析物の非放射性検出は、現代の分子生物学において重要な技術である。放射性標識の必要性をなくすことによって、安全性が高められ、試薬の廃棄に関する環境的な影響および費用が大いに減少される。そのような非放射性蛍光検出を利用する方法の例としては、4色自動DNA配列決定、オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション法、およびポリメラーゼ連鎖反応産物の検出、イムノアッセイなどが挙げられる。
【0003】
多くの適用において、複数の空間的に重複する分析物の独立した検出を達成するために、複数のスペクトル的に識別可能な蛍光標識を用いることが有利である(例えば、シングルチューブマルチプレックスDNAプローブアッセイ(single−tube multiplex DNA probe assay)および4色自動DNA配列決定法)。マルチプレックスDNAプローブアッセイの場合、スペクトル的に識別可能な蛍光標識を用いることによって、反応チューブの数が減少され得、それによって実験プロトコルが単純化され、用途特異的な試薬キットの製造が容易になる。4色自動DNA配列決定の場合、多色蛍光標識により単一のレーンでの複数の塩基の分析が可能になり、それによってスループットが単色法よりも増大し、レーン間の電気泳動移動度のばらつきに関連する不確実性が減少する。
【0004】
4色自動DNA配列決定適用に適した現在利用可能なマルチプレックス染料セットは、そのセットを構成するすべての染料から蛍光放射を適切に励起するために青色または青緑色のレーザー光(例えば、アルゴンイオンレーザー)を必要とする。市販の自動DNA配列決定システムにおいて青色または青緑色のレーザーの使用は、多くの場合そのようなレーザーの費用の高さおよび制限された寿命が原因で不利である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
それゆえ、上記制約を満たし、かつ約600nmを超える波長を有する光により励起可能である蛍光染料化合物が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、例えば、以下を提供する:
(項目1)
以下:
【化1】


から選択される構造を含む、化合物であって、
ここで、
〜RおよびR〜R16は、それぞれ別個に、−H、ハロゲン、フッ素、塩素、臭素、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、−COH、−COR、−SOH、−SOR、−CHCOH、−CHCOR、−CHSOH、−CHSOR、−CHNH、−CHNHR、−NO、C〜Cアルキル、置換C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、置換C〜Cアルコキシ、C〜Cアルコキシアリール、置換C〜Cアルコキシアリール、フェニル、置換フェニル、ビフェニル、置換ビフェニル、ベンジル、置換ベンジル、ベンゾイル、置換ベンゾイル、結合および連結基から選択され、ここで、Rは、C〜Cアルキル、置換C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、置換C〜Cアルコキシ、C〜Cアルコキシアリール、置換C〜Cアルコキシアリール、フェニル、置換フェニル、ビフェニル、置換ビフェニル、ベンジル、置換ベンジル、ベンゾイル、置換ベンゾイル、結合および連結基から選択される;そして
およびRは、別々に、C〜CアルキルおよびC〜C置換アルキルから選択され、RおよびRは、一緒になって、C〜Cシクロアルキル、C〜C不飽和シクロアルキル、C〜C置換シクロアルキルおよびC〜C置換不飽和シクロアルキルから選択される;
但し、該化合物が構造(I)を含む場合、R、R、RまたはRの少なくとも1個は、−Hではない、化合物。
(項目2)
およびRが、それぞれ別個に、ハロゲン、フッ素、塩素および臭素から選択される、項目1に記載の化合物。
(項目3)
およびRが、フッ素である、項目1または2のいずれかに記載の化合物。
(項目4)
およびRが、塩素である、項目1または2のいずれかに記載の化合物。
(項目5)
およびRが、臭素である、項目1または2のいずれかに記載の化合物。
(項目6)
が、−Hであり、そしてRが、−H、−COH、−COR、−SOH、−SOR、−CHCOH、−CHCOR、−CHSOH、−CHSOR、−CHNH、および−CHNHRから選択される、項目1に記載の化合物。
(項目7)
が、−Hであり、そしてRが、−H、−SOH、−SOR、−CHCOH、−CHCOR、−CHNH、および−CHNHRから選択される、項目1に記載の化合物。
(項目8)
上記化合物が、構造(I)を含み、RおよびRが、それぞれ別個に、ハロゲン、フッ素、塩素および臭素から選択され、そしてRが、−COH、−COR、−SOH、−SOR、−CHCOH、−CHCOR、−CHSOH、−CHSOR、−CHNH、−CHNHRおよび−NOから選択される、項目1に記載の化合物。
(項目9)
上記化合物が、構造(I)を含み、そしてRが、−SOH、−SOR、−CHNH、−CHNHR、および−NOから選択される、項目1〜8のいずれか1項に記載の化合物。
(項目10)
上記化合物が、構造(I)を含み、そしてRが、−SOHおよび−SORから選択される、項目1〜8のいずれか1項に記載の化合物。
(項目11)
上記化合物が、構造(I)を含み、そしてRが、−CHNHおよび−CHNHRから選択される、項目1〜8のいずれか1項に記載の化合物。
(項目12)
が、−SOHである、項目8〜10のいずれか1項に記載の化合物。
(項目13)
が、−SORである、項目8〜10のいずれか1項に記載の化合物。
(項目14)
が、−CHNH−である、項目8、9または11のいずれか1項に記載の化合物。
(項目15)
が、−CHNHRである、項目8、9または11のいずれか1項に記載の化合物。
(項目16)
Rが、
【化2】


である、項目9〜11、13または15のいずれか1項に記載の化合物。
(項目17)
Rが、連結基である、項目9〜11、13または15のいずれか1項に記載の化合物。
(項目18)
上記化合物が、構造(I)を含み、Rが、−SOHであり、そしてRが、−CHNHである、項目1、6または7のいずれか1項に記載の化合物。
(項目19)
上記化合物が、構造(I)を含み、Rが、−SOHであり、そしてRが、−CHNHRである、項目1、6または7のいずれか1項に記載の化合物。
(項目20)
Rが、置換ベンゾイルである、項目19に記載の化合物。
(項目21)
Rが、
【化3】


である、項目19または20のいずれか1項に記載の化合物。
(項目22)
Rが、連結基である、項目19に記載の化合物。
(項目23)
〜RおよびR〜R16の少なくとも1個が、SOHである、項目に記載の化合物。
(項目24)
およびRが、メチルである、項目1〜23のいずれか1項に記載の化合物。
(項目25)
およびRが、−Hである、項目1〜24のいずれか1項に記載の化合物。
(項目26)
上記化合物が、構造(II)を含み、Rが、−H、−COH、−COR、−SOH、−SOR、−CHCOH、−CHCOR、−CHSOH、−CHSOR、−CHNH、−CHNHRおよび−NOから選択され、そしてRおよびR〜R10が、−Hである、項目1〜5のいずれか1項に記載の化合物。
(項目27)
が、−SOH、−SOR、−CHNH、−CHNHR、および−NOから選択される、項目26に記載の化合物。
(項目28)
が、−SOHおよび−SORから選択される、項目26に記載の化合物。
(項目29)
が、−CHNHおよび−CHNHRから選択される、項目26に記載の化合物。
(項目30)
が、−SOHである、項目26に記載の化合物。
(項目31)
が、−SORである、項目26に記載の化合物。
(項目32)
が、−CHNHである、項目26に記載の化合物。
(項目33)
が、−CHNHRである、項目26に記載の化合物。
(項目34)
Rが、
【化4】


である、項目26〜29、31または33のいずれか1項に記載の化合物。
(項目35)
Rが、連結基である、項目26〜29、31または33のいずれか1項に記載の化合物。
(項目36)
上記化合物が、構造(II)を含み、Rが、−H、−COH、−COR、−SOH、−SOR、−CHCOH、−CHCOR、−CHSOH、−CHSOR、−CHNH、−CHNHRおよび−NOから選択され、そしてRおよびR10〜R12が、−Hである、項目6または7のいずれか1項に記載の化合物。
(項目37)
が、−SOHであり、そしてRが、−CHNHである、項目36に記載の化合物。
(項目38)
が、−SOHであり、そしてRが、−CHNHRである、項目36に記載の化合物。
(項目39)
Rが、
【化5】


である、項目36に記載の化合物。
(項目40)
Rが、連結基である、項目36に記載の化合物。
(項目41)
上記化合物が、構造(II)を含み、R10が、−H、−COH、−COR、−SOH、−SOR、−CHCOH、−CHCOR、−CHSOH、−CHSOR、−CHNH、−CHNHRおよび−NOから選択され、そしてR、RおよびR11〜R12が、−Hである、項目1〜7のいずれか1項に記載の化合物。
(項目42)
10が、−SOH、−SOR、−CHNH、−CHNHR、および−NOから選択される、項目41に記載の化合物。
(項目43)
10が、−SOHおよび−SORから選択される、項目41に記載の化合物。
(項目44)
10が、−CHNHおよび−CHNHRから選択される、項目41に記載の化合物。
(項目45)
10が、−SOHである、項目41に記載の化合物。
(項目46)
10が、−SORである、項目41に記載の化合物。
(項目47)
10が、−CHNHである、項目41に記載の化合物。
(項目48)
10が、−CHNHRである、項目41に記載の化合物。
(項目49)
Rが、
【化6】


である、項目41〜44、46または48のいずれか1項に記載の化合物。
(項目50)
Rが、連結基である、項目41〜44、46または48のいずれか1項に記載の化合物。
(項目51)
上記化合物が、構造(II)を含み、R10が、−H、−COH、−COR、−SOH、−SOR、−CHCOH、−CHCOR、−CHSOH、−CHSOR、−CHNH、−CHNHRおよび−NOから選択され、そしてR、RおよびR11〜R12が、−Hである、項目6または7のいずれか1項に記載の化合物。
(項目52)
が、−SOHであり、そしてR10が、−CHNHである、項目51に記載の化合物。
(項目53)
が、−SOHであり、そしてR10が、−CHNHRである、項目51に記載の化合物。
(項目54)
Rが、
【化7】


である、項目53に記載の化合物。
(項目55)
Rが、連結基である、項目53に記載の化合物。
(項目56)
上記化合物が、構造(II)を含み、R11が、−H、−COH、−COR、−SOH、−SOR、−CHCOH、−CHCOR、−CHSOH、−CHSOR、−CHNH、−CHNHRおよび−NOから選択され、そしてR、R〜R10およびR12が、−Hである、項目1〜7のいずれか1項に記載の化合物。
(項目57)
11が、−SOH、−SOR、−CHNH、−CHNHR、および−NOから選択される、項目56に記載の化合物。
(項目58)
11が、−SOHおよび−SORから選択される、項目56に記載の化合物。
(項目59)
11が、−CHNHおよび−CHNHRから選択される、項目56に記載の化合物。
(項目60)
11が、−SOHである、項目56に記載の化合物。
(項目61)
11が、−SORである、項目56に記載の化合物。
(項目62)
11が、−CHNHである、項目56に記載の化合物。
(項目63)
11が、−CHNHRである、項目56に記載の化合物。
(項目64)
Rが、
【化8】


である、項目56〜59、61または63のいずれか1項に記載の化合物。
(項目65)
Rが、連結基である、項目56〜59、61または63のいずれか1項に記載の化合物。
(項目66)
上記化合物が、構造(II)を含み、R11が、−H、−COH、−COR、−SOH、−SOR、−CHCOH、−CHCOR、−CHSOH、−CHSOR、−CHNH、−CHNHRおよび−NOから選択され、そしてR、R〜R10およびR12が、−Hである、項目6または7のいずれか1項に記載の化合物。
(項目67)
が、−SOHであり、そしてR11が、−CHNHである、項目66に記載の化合物。
(項目68)
が、−SOHであり、そしてR11が、−CHNHRである、項目66に記載の化合物。
(項目69)
Rが、
【化9】


である、項目68に記載の化合物。
(項目70)
Rが、連結基である、項目68に記載の化合物。
(項目71)
上記化合物が、構造(II)を含み、R12が、−H、−COH、−COR、−SOH、−SOR、−CHCOH、−CHCOR、−CHSOH、−CHSOR、−CHNH、−CHNHRおよび−NOから選択され、そしてRおよびR〜R11が、−Hである、項目1〜7のいずれか1項に記載の化合物。
(項目72)
12が、−SOH、−SOR、−CHNH、−CHNHR、および−NOから選択される、項目71に記載の化合物。
(項目73)
12が、−SOHおよび−SORから選択される、項目71に記載の化合物。
(項目74)
12が、−CHNHおよび−CHNHRから選択される、項目71に記載の化合物。
(項目75)
12が、−SOHである、項目71に記載の化合物。
(項目76)
12が、−SORである、項目71に記載の化合物。
(項目77)
12が、−CHNHである、項目71に記載の化合物。
(項目78)
12が、−CHNHRである、項目71に記載の化合物。
(項目79)
Rが、
【化10】


である、項目71〜74、76または78のいずれか1項に記載の化合物。
(項目80)
Rが、連結基である、項目71〜74、76または78のいずれか1項に記載の化合物。
(項目81)
上記化合物が、構造(II)を含み、R12が、−H、−COH、−COR、−SOH、−SOR、−CHCOH、−CHCOR、−CHSOH、−CHSOR、−CHNH、−CHNHRおよび−NOから選択され、そしてR、R〜R11が、−Hである、項目6または7のいずれか1項に記載の化合物。
(項目82)
が、−SOHであり、そしてR12が、−CHNHである、項目81に記載の化合物。
(項目83)
が、−SOHであり、そしてR12が、−CHNHRである、項目81に記載の化合物。
(項目84)
Rが、
【化11】


である、項目83に記載の化合物。
(項目85)
Rが、連結基である、項目83に記載の化合物。
(項目86)
〜R12が、−Hである、項目26〜85のいずれか1項に記載の化合物。
(項目87)
およびRが、メチルである、項目26〜86のいずれか1項に記載の化合物。
(項目88)
およびRが、−NOであり、そしてRおよびRが、メチルである、項目1〜5または8のいずれか1項に記載の化合物。
(項目89)
上記化合物が、構造(III)を含み、そしてRおよびRが、−Hである、項目1、6または7のいずれか1項に記載の化合物。
(項目90)
が、−Hである、項目89に記載の化合物。
(項目91)
13、R15およびR16が、−Hである、項目89〜90のいずれか1項に記載の化合物。
(項目92)
が、−SOHである、項目91に記載の化合物。
(項目93)
が、−Hである、項目91に記載の化合物。
(項目94)
14が、−CHNHである、項目91〜93のいずれか1項に記載の化合物。
(項目95)
14が、−CHNHRである、項目91〜93のいずれか1項に記載の化合物。
(項目96)
Rが、
【化12】


である、項目95に記載の化合物。
(項目97)
Rが、連結基である、項目95に記載の化合物。
(項目98)
14が、−Hである、項目92〜93のいずれか1項に記載の化合物。
(項目99)
14が、−SOHである、項目91に記載の化合物。
(項目100)
14が、−Hである、項目91に記載の化合物。
(項目101)
が、−CHNHである、項目91または99〜100のいずれか1項に記載の化合物。
(項目102)
が、−CHNHRである、項目91または99〜100のいずれか1項に記載の化合物。
(項目103)
Rが、
【化13】


である、項目102に記載の化合物。
(項目104)
Rが、連結基である、項目102に記載の化合物。
(項目105)
が、−Hである、項目99に記載の化合物。
(項目106)
およびRが、メチルである、項目89〜105のいずれか1項に記載の化合物。
(項目107)
上記化合物が、構造(IV)を含む、項目1、6または7に記載の化合物。
(項目108)
10が、−SOHである、項目107に記載の化合物。
(項目109)
10が、−Hである、項目107に記載の化合物。
(項目110)
14が、−CHNHである、項目107〜109のいずれか1項に記載の化合物。
(項目111)
14が、−CHNHRである、項目107〜109のいずれか1項に記載の化合物。
(項目112)
Rが、
【化14】


である、項目111に記載の化合物。
(項目113)
Rが、連結基である、項目111に記載の化合物。
(項目114)
14が、−Hである、項目107〜109のいずれか1項に記載の化合物。
(項目115)
、R、R、R11、R12、R13、R15およびR16が、−Hである、項目107〜14のいずれか1項に記載の化合物。
(項目114)
14が、−SOHである、項目107に記載の化合物。
(項目115)
14が、−Hである、項目107に記載の化合物。
(項目116)
10が、−CHNHである、項目114または115のいずれか1項に記載の化合物。
(項目117)
10が、−CHNHRである、項目114または115のいずれか1項に記載の化合物。
(項目118)
Rが、
【化15】


である、項目117に記載の化合物。
(項目119)
Rが、連結基である、項目117に記載の化合物。
(項目120)
14が、−Hである、項目107または114に記載の化合物。
(項目121)
、R、R、R11、R12、R13、R15およびR16が、−Hである、項目114〜120のいずれか1項に記載の化合物。
(項目122)
およびRが、メチルである、項目114〜121のいずれか1項に記載の化合物。
(項目123)
アクセプター染料に共有結合されたドナー染料を含む、エネルギー移動染料であって、ここで、該ドナー染料は、第一波長で光を吸収して、それに応答して励起エネルギーを放射でき、該アクセプター染料は、該ドナー染料により放射された該励起エネルギーを吸収して、それに応答して第二波長で蛍光を発することができ、該ドナー染料または該アクセプター染料の1つは、項目1〜122のいずれか1項に記載の化合物である、
エネルギー移動染料。
(項目124)
上記ドナー染料が、リンカーを介して、上記アクセプター染料に共有結合されている、項目123に記載のエネルギー移動染料。
(項目125)
上記リンカーが、非ヌクレオチドである、項目124に記載のエネルギー移動染料。
(項目126)
上記リンカーが、ヌクレオチドである、項目124に記載のエネルギー移動染料。
(項目127)
上記アクセプター染料が、以下:
【化16】


から選択される構造を含む化合物である、項目123〜126のいずれか1項に記載のエネルギー移動染料であって、
ここで、
〜RおよびR〜R16は、それぞれ別個に、−H、ハロゲン、フッ素、塩素、臭素、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、−COH、−COR、−SOH、−SOR、−CHCOH、−CHCOR、−CHSOH、−CHSOR、−CHNH、−CHNHR、−NO、C〜Cアルキル、置換C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、置換C〜Cアルコキシ、C〜Cアルコキシアリール、置換C〜Cアルコキシアリール、フェニル、置換フェニル、ビフェニル、置換ビフェニル、ベンジル、置換ベンジル、ベンゾイル、置換ベンゾイル、結合および連結基から選択され、ここで、Rは、C〜Cアルキル、置換C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、置換C〜Cアルコキシ、C〜Cアルコキシアリール、置換C〜Cアルコキシアリール、フェニル、置換フェニル、ビフェニル、置換ビフェニル、ベンジル、置換ベンジル、ベンゾイル、置換ベンゾイル、結合および連結基から選択される;そして
およびRは、別々に、C〜CアルキルおよびC〜C置換アルキルから選択され、そしてRおよびRは、一緒になって、C〜Cシクロアルキル、C〜C不飽和シクロアルキル、C〜C置換シクロアルキルおよびC〜C置換不飽和シクロアルキルから選択される、エネルギー移動染料。
(項目128)
上記ドナー染料が、5−カルボキシフルオレセイン(5−FAM)、6−カルボキシフルオレセイン(6−FAM)、ローダミングリーン(R110)、5−カルボキシローダミン、6−カルボキシローダミン、N,N’−ジエチル−2’,7’−ジメチル−5−カルボキシ−ローダミン(5−R6G)、N,N’−ジエチル−2’,7’−ジメチル−6−カルボキシローダミン(6−R6G)、N,N,N’,N’−テトラメチル−5−カルボキシローダミン(5−TAMRA)、Cy3、N,N,N’,N’−テトラメチル−5−カルボキシローダミン(6−TAMRA)、5−カルボキシ−X−ローダミン(5−ROX)、6−カルボキシ−X−ローダミン(6−ROX)、5−カルボキシ−2’,4’,5’,7’,4,7−ヘキサクロロフルオレセイン、6−カルボキシ−2’,4’,5’,7’,4,7−ヘキサクロロフルオレセイン、5−カルボキシ−2’,7’−ジカルボキシ−4’,5’−ジクロロ−フルオレセイン、6−カルボキシ−2’,7’−ジカルボキシ−4’,5’−ジクロロフルオレセイン、5−カルボキシ−2’,4’,5’,7’−テトラクロロフルオレセイン、1’,2’−ベンゾ−4’−フルオロ−7’,4,7−トリクロロ−5−カルボキシフルオレセイン、1’,2’−ベンゾ−4’−フルオロ−7’,4,7−トリクロロ−6−カルボキシフルオレセインおよび1’,2’,7’,8’−ジベンゾ−4,7−ジクロロ−5−カルボキシフルオレセインから選択される、項目127に記載のエネルギー移動染料。
(項目129)
以下の構造を含む、標識ヌクレオシドまたはヌクレオチド化合物:
NUC−L−D
ここで、NUCは、ヌクレオシド、ヌクレオチド、修飾ヌクレオシドまたは修飾ヌクレオチドを含み、Lは、結合またはリンカーを含み、該結合またはリンカーは、NUCおよびDを共有結合し、そしてDは、項目1〜128のいずれか1項に記載の化合物を含む、
標識ヌクレオシドまたはヌクレオチド化合物。
(項目130)
Lが、X、R、R、R、R、RおよびR10から選択されるD上の位置で、Dに結合される、項目129に記載の標識ヌクレオシドまたはヌクレオチド化合物。
(項目131)
NUCがプリン塩基を含む場合、該連結部分が、該プリンの8位に結合され、NUCが7−デアザプリン塩基を含む場合、該連結部分が、該7−デアザプリンの7位に結合され、そして、NUCがピリミジン塩基を含む場合、該連結部分が、該ピリミジンの5位に結合される、項目129〜130のいずれか1項に記載の標識ヌクレオシドまたはヌクレオチド化合物。
(項目132)
NUCが、ウラシル、シトシン、デアザアデニン、およびデアザグアノシンからなる群から選択される塩基を含む、項目129〜131のいずれか1項に記載の標識ヌクレオシドまたはヌクレオチド。
(項目133)
以下の構造:
【化17】


を含む、項目129〜132のいずれか1項に記載の標識ヌクレオシドまたはヌクレオチド。
(項目134)
以下の工程を包含する、ポリヌクレオチド配列決定方法:
i)以下のように、第一、第二、第三および第四クラスのポリヌクレオチドの混合物を形成する工程:
第一クラスの各ポリヌクレオチドは、3’末端ジデオキシアデノシンを含み、そして第一染料で標識されている;
第二クラスの各ポリヌクレオチドは、3’末端ジデオキシシチジンを含み、そして第二染料で標識されている;
第三クラスの各ポリヌクレオチドは、3’末端ジデオキシグアノシンを含み、そして第三染料で標識されている;そして
第四クラスの各ポリヌクレオチドは、3’末端ジデオキシチミジンを含み、そして第四染料で標識されている;
ここで、該第一、第二、第三または第四染料の少なくとも1種は、項目1〜128のいずれか1項に記載の染料化合物である;
該染料の他のものは、該染料からおよび互いから、スペクトル的に分解可能である;
ii)該ポリヌクレオチドを電気泳動的に分離して、それにより、類似の大きさのポリヌクレオチドのバンドを形成する工程;
iii)該バンドを、該染料に蛍光を発せさせることができる照射ビームで照射する工程;および
iv)該染料の蛍光スペクトルにより、該バンドにある該ポリヌクレオチドのクラスを同定する工程。
(項目135)
さらに、内部標準として、第五染料を含む、項目134に記載の方法。
(項目136)
以下の工程を包含する、ポリヌクレオチド配列決定方法:
i)以下のように、第一、第二、第三および第四クラスのポリヌクレオチドと、内部標準としての第五染料とを含有する混合物を形成する工程:
第一クラスの各ポリヌクレオチドは、3’末端ジデオキシアデノシンを含み、そして第一染料で標識されている;
第二クラスの各ポリヌクレオチドは、3’末端ジデオキシシチジンを含み、そして第二染料で標識されている;
第三クラスの各ポリヌクレオチドは、3’末端ジデオキシグアノシンを含み、そして第三染料で標識されている;そして
第四クラスの各ポリヌクレオチドは、3’末端ジデオキシチミジンを含み、そして第四染料で標識されている;
ここで、該第五染料は、項目1〜128のいずれか1項に記載の染料化合物である;
該染料の他のものは、該染料からおよび互いから、スペクトル的に分解可能である;
ii)該ポリヌクレオチドを電気泳動的に分離して、それにより、類似の大きさのポリヌクレオチドのバンドを形成する工程;
iii)該バンドを、該染料に蛍光を発せさせることができる照射ビームで照射する工程;および
iv)該染料の蛍光スペクトルにより、該バンドにある該ポリヌクレオチドのクラスを同定する工程。
(項目137)
以下を包含する、フラグメント分析方法:
i)標識ポリヌクレオチドフラグメントを形成する工程であって、該フラグメントは、項目1〜87のいずれか1項に記載の染料化合物で標識されている;
ii)該標識ポリヌクレオチドフラグメントをサイズ依存分離プロセスにかける工程;および
iii)該分離プロセスに引き続いて、該標識ポリヌクレオチドフラグメントを検出する工程。
(項目138)
以下の構造を含む、標識ポリヌクレオチド:
NUC−L−D
ここで、NUCは、ポリヌクレオチドを含み、Lは、結合またはリンカーを含み、該結合またはリンカーは、NUCおよびDを共有結合し、そしてDは、項目1〜128のいずれか1項に記載の化合物を含む、
標識ポリヌクレオチド。
【0007】
構造(1)に基づいた赤色蛍光放射染料は、化学的および光活性的に非常に安定であり、そして長い波長の光により励起可能であることが発見された。
【0008】
【化18】



【0009】
いくつかの実施態様では、本教示は、以下から選択される構造を含む新規蛍光染料を提供する:
【0010】
【化19】


ここで、
〜RおよびR〜R16は、それぞれ別個に、−H、ハロゲン、フッ素、塩素、臭素、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、−COH、−COR、−SOH、−SOR、−CHCOH、−CHCOR、−CHSOH、−CHSOR、−CHNH、−CHNHR、−NO、C〜Cアルキル、置換C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、置換C〜Cアルコキシ、C〜Cアルコキシアリール、置換C〜Cアルコキシアリール、フェニル、置換フェニル、ビフェニル、置換ビフェニル、ベンジル、置換ベンジル、ベンゾイル、置換ベンゾイル、結合または連結基であり得、ここで、Rは、C〜Cアルキル、置換C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、置換C〜Cアルコキシ、C〜Cアルコキシアリール、置換C〜Cアルコキシアリール、フェニル、置換フェニル、ビフェニル、置換ビフェニル、ベンジル、置換ベンジル、ベンゾイル、置換ベンゾイル、結合または連結基であり得る;そして
およびRは、別々に、C〜Cアルキル、C〜C置換アルキルであり得、RおよびRは、一緒になって、C〜Cシクロアルキル、C〜C不飽和シクロアルキル、C〜C置換シクロアルキルまたはC〜C置換不飽和シクロアルキルであり得る;
但し、該化合物が構造(I)を含む場合、R、R、RまたはRの少なくとも1個は、−Hではない。必要に応じて、R〜RおよびR〜R16の少なくとも1個は、−SOHであり得る。
【0011】
いくつかの実施態様では、本教示は、アクセプター染料に共有結合されたドナー染料を含むエネルギー移動染料を提供し、ここで、該ドナー染料は、第一波長で光を吸収して、それに応答して励起エネルギーを放射でき、そして該アクセプター染料は、該ドナー染料により放射された該励起エネルギーを吸収して、それに応答して第二波長で蛍光を発することができる。いくつかの実施態様では、前記ドナー染料は、結合、非ヌクレオチドリンカーまたはヌクレオチドリンカー(すなわち、ポリヌクレオチド、リボ核酸など)により、前記アクセプター染料に共有結合できる。いくつかの実施態様では、前記リンカーは、前記ドナー染料と前記アクセプター染料との間の効率的なエネルギー移動を促進するように働くことができる。いくつかの実施態様では、前記ドナー染料およびアクセプター染料の少なくとも1種は、本教示の染料である。
【0012】
いくつかの実施態様では、本教示は、以下の構造を含む標識ヌクレオシドおよび/またはヌクレオチドを提供する:
NUC−L−D
ここで、NUCは、ヌクレオシド、ヌクレオチド、修飾ヌクレオシドまたは修飾ヌクレオチドを含み、Lは、結合またはリンカーを含み、そしてDは、本教示の染料化合物を含む。いくつかの実施態様では、NUCおよびDは、連結部分Lにより共有結合でき、ここで、Lは、R〜RおよびR〜R16の1つにて、Dに結合できる。いくつかの実施態様では、NUCがプリン塩基を含む場合、該連結部分は、該プリンの8位に結合でき、NUCが7−デアザプリン塩基を含む場合、該連結部分は、該7−デアザプリンの7位に結合でき、そして、NUCがピリミジン塩基を含む場合、該連結部分は、該ピリミジンの5位に結合できる。
【0013】
いくつかの実施態様では、本教示は、オリゴヌクレオチド分析方法を提供し、該方法は、上で述べた構造の染料で標識された1セットの標識オリゴヌクレオチドフラグメントを形成する工程、該標識オリゴヌクレオチドフラグメントをサイズ依存分離プロセス(例えば、電気泳動)にかける工程、および該分離プロセスに引き続いて、該標識オリゴヌクレオチドフラグメントを検出する工程を包含する。
【0014】
本発明のこれらのおよび他の特徴および利点は、以下の説明、図面および添付の特許請求の範囲を参照して、さらによく理解される。
【0015】
ここで、本教示の代替実施態様を詳細に言及するが、それらの例は、添付の図面で説明されている。本教示は、代替実施態様に関連して記述されているものの、それらは、本教示をこれらの実施態様に限定するとは解釈されないことが分かる。逆に、本教示は、全ての代替物、改良および均等物を含むと解釈され、これらは、添付の特許請求の範囲で規定した本発明内に含まれ得る。
【0016】
本願において、単数の使用は、特に明記しない限り、複数を含む。本願において、「または」の使用は、特に明記しない限り、「および/または」を意味する。さらに、「含む(comprising)」との用語だけでなく、他の形態(例えば、「を含む(comprise)」)は、「含む(comprising)」が追加の要素を含む可能性を残しているという点で、包含的であると見なされる。
【0017】
本教示の化合物を規定するのに使用される化学構造は、各所定の構造が表され得る可能な共鳴構造の1つの各描写であることが理解される。さらに、共鳴構造とは、定義によれば、単に、電子の非局在化を表わすのに当業者により使用される図解描写にすぎず、本教示は、いずれの様式でも、所定構造のための1つの特定の共鳴構造を示すことに限定されないことが理解される。
【0018】
一般に、本教示は、蛍光標識として、エネルギー移動染料の成分として、ヌクレオシド、ヌクレオチドおよびポリヌクレオチドの結合体において、分析バイオテクノロジーの領域でこのような染料および試薬を利用する方法において、有用な蛍光染料化合物を包含する。本教示の化合物は、蛍光核酸分析(例えば、自動DNA配列決定およびフラグメント分析)、ハイブリダイゼーションアレイにおけるプローブハイブリダイゼーションの検出、核酸増幅産物の検出などの領域において、特定の用途が見いだされ得る。
【0019】
いくつかの実施態様では、本教示は、以下から選択される構造を含む新規蛍光染料を提供する:
【0020】
【化20】


ここで、
〜RおよびR〜R16は、それぞれ別個に、−H、ハロゲン、フッ素、塩素、臭素、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、−COH、−COR、−SOH、−SOR、−CHCOH、−CHCOR、−CHSOH、−CHSOR、−CHNH、−CHNHR、−NO、C〜Cアルキル、置換C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、置換C〜Cアルコキシ、C〜Cアルコキシアリール、置換C〜Cアルコキシアリール、フェニル、置換フェニル、ビフェニル、置換ビフェニル、ベンジル、置換ベンジル、ベンゾイル、置換ベンゾイル、結合または連結基であり得、ここで、Rは、C〜Cアルキル、置換C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、置換C〜Cアルコキシ、C〜Cアルコキシアリール、置換C〜Cアルコキシアリール、フェニル、置換フェニル、ビフェニル、置換ビフェニル、ベンジル、置換ベンジル、ベンゾイル、置換ベンゾイル、結合または連結基であり得る;そして
およびRは、別々に、C〜Cアルキル、C〜C置換アルキルであり得、RおよびRは、一緒になって、C〜Cシクロアルキル、C〜C不飽和シクロアルキル、C〜C置換シクロアルキルまたはC〜C置換不飽和シクロアルキルであり得る;
但し、該化合物が構造(I)を含む場合、R、R、RまたはRの少なくとも1個は、−Hではない。必要に応じて、R〜RおよびR〜R16の少なくとも1個は、−SOHであり得る。本明細書中で記述した化合物のいずれかは、フェノール酸素脱プロトン化形態だけでなく全ての可能な共鳴構造を含み得ることが理解される。
【0021】
いくつかの実施態様では、本教示の染料化合物は、以下の構造:
【0022】
【化21】


を含み得る。
【0023】
いくつかの実施態様では、本教示の染料化合物は、以下の構造:
【0024】
【化22】


を含み得る。
【0025】
いくつかの実施態様では、本教示の染料化合物は、以下の構造:
【0026】
【化23】


を含み得る。
【0027】
いくつかの実施態様では、本教示の染料化合物は、以下の構造:
【0028】
【化24】


を含み得る。
【0029】
いくつかの実施態様では、RおよびRは、それぞれ別個に、ハロゲン、フッ素、塩素または臭素であり得る。いくつかの実施態様では、RおよびRは、フッ素であり得る。いくつかの実施態様では、RおよびRは、塩素であり得る。いくつかの実施態様では、RおよびRは、臭素であり得る。
【0030】
いくつかの実施態様では、Rは、−Hであり得、そしてRは、−H、−COH、−COR、−SOH、−SOR、−CHCOH、−CHCOR、−CHSOH、−CHSOR、−CHNH、および−CHNHRであり得、ここで、Rは、上で定義したとおりである。いくつかの実施態様では、Xは、−Hであり得、そしてXは、−H、−SOH、−SOR、−CHCOH、−CHCOR、−CHNH、および−CHNHRであり得、ここで、Rは、上記のように定義される。
【0031】
いくつかの実施態様では、本教示の染料化合物は、構造(I)を含み、ここで、R〜RおよびRは、それぞれ別個に、−H、−COH、−COR、−SOH、−SOR、−CHCOH、−CHCOR、−CHSOH、−CHSOR、−CHNH、−CHNHRまたは−NOであり得、ここで、Rは、上記のように定義され、但し、該化合物が構造(I)を含む場合、R〜RまたはRの少なくとも1個は、−Hではない。いくつかの実施態様では、R〜RおよびRは、それぞれ別個に、−SOH、−SOR、−CHNH、−CHNHRまたは−NOであり得、ここで、Rは、上で定義したとおりである。いくつかの実施態様では、R〜RおよびRは、それぞれ別個に、−SOHまたは−SORであり得、ここで、Rは、上で定義したとおりである。いくつかの実施態様では、R〜RおよびRは、それぞれ別個に、−CHNHまたは−CHNHRであり得、ここで、Rは、上で定義したとおりである。
【0032】
いくつかの実施態様では、本教示の染料化合物は、構造(I)を含み、ここで、RおよびRは、それぞれ別個に、ハロゲン、フッ素、塩素または臭素であり得、そしてR〜RおよびRは、それぞれ別個に、−H、−COH、−COR、−SOH、−SOR、−CHCOH、−CHCOR、−CHSOH、−CHSOR、−CHNH、−CHNHR、−NO、C〜Cアルキル、置換C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、置換C〜Cアルコキシ、C〜Cアルコキシアリール、置換C〜Cアルコキシアリール、フェニル、置換フェニル、ビフェニル、置換ビフェニル、ベンジル、置換ベンジル、ベンゾイル、置換ベンゾイル、結合または連結基であり得、ここで、Rは、上記のように定義されるが、但し、該化合物が構造(I)を含む場合、R〜RまたはRの少なくとも1個は、−Hではない。いくつかの実施態様では、RおよびRは、それぞれ別個に、ハロゲン、フッ素、塩素または臭素であり得、そしてR〜RおよびRは、それぞれ別個に、−SOH、−SOR、−CHNH、−CHNHRまたは−NOであり得、ここで、Rは、上で定義したとおりである。いくつかの実施態様では、RおよびRは、フッ素であり、そしてR〜RおよびRは、それぞれ別個に、−SOH、−SOR、−CHNH、−CHNHRまたは−NOであり得、ここで、Rは、上で定義したとおりである。いくつかの実施態様では、RおよびRは、塩素であり、そしてR〜RおよびRは、それぞれ別個に、−SOH、−SOR、−CHNH、−CHNHRまたは−NOであり得、ここで、Rは、上で定義したとおりである。いくつかの実施態様では、RおよびRは、臭素であり、そしてR〜RおよびRは、それぞれ別個に、−SOH、−SOR、−CHNH、−CHNHRまたは−NOであり得、ここで、Rは、上で定義したとおりである。
【0033】
いくつかの実施態様では、本教示の染料化合物は、構造(I)を含み得、ここで、Rは、−Hであり得、そしてRは、−H、−SOH、−SOR、−CHCOH、−CHCOR、−CHNHまたは−CHNHRであり得、ここで、Rは、上記のように定義され、そしてR〜RおよびRは、それぞれ別個に、−SOH、−SOR、−CHNH、−CHNHRまたは−NOであり得、ここで、Rは、上で定義したとおりである。いくつかの実施態様では、Rは、−Hであり得、そしてRは、−H、−SOHまたは−SORであり得、そしてR〜RおよびRは、それぞれ別個に、−CHNHまたは−CHNHRであり得、ここで、Rは、上で定義したとおりである。
【0034】
いくつかの実施態様では、本教示の染料化合物は、以下の構造:
【0035】
【化25】


を含み得る。
【0036】
いくつかの実施態様では、本教示の染料化合物は、以下の構造:
【0037】
【化26】


を含み得る。
【0038】
いくつかの実施態様では、本教示の染料化合物は、以下の構造:
【0039】
【化27】


を含み得る。
【0040】
いくつかの実施態様では、Rは、置換ベンゾイルであり得る。いくつかの実施態様では、Rは、連結基であり得る。いくつかの実施態様では、Rは、トリフルオロアセチルであり得る。いくつかの実施態様では、Rは、以下の構造:
【0041】
【化28】


を含み得る。
【0042】
いくつかの実施態様では、Rは、以下の構造:
【0043】
【化29】


を含み得、Xはスクシンイミドであり得る。
【0044】
いくつかの実施態様では、Rは、
【0045】
【化30】


であり得る。
【0046】
いくつかの実施態様では、RおよびRは、メチルであり得る。いくつかの実施態様では、RおよびRの少なくとも1個は、−NOであり得、そしてRおよびRは、メチルであり得る。
【0047】
いくつかの実施態様では、本教示の染料化合物は、構造(II)を含み得、ここで、RおよびRは、それぞれ別個に、ハロゲン、フッ素、塩素または臭素であり得、Rは、−COH、−COR、−SOH、−SOR、−CHCOH、−CHCOR、−CHSOH、−CHSOR、−CHNH、−CHNHRまたは−NOであり得る。いくつかの実施態様では、本教示の染料化合物は、構造(II)を含み得、ここで、RおよびRは、それぞれ別個に、ハロゲン、フッ素、塩素または臭素であり得、そしてR、RおよびR〜R12のいずれかは、−COH、−COR、−SOH、−SOR、−CHCOH、−CHCOR、−CHSOH、−CHSOR、−CHNH、−CHNHR、−NO、C〜Cアルキル、置換C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、置換C〜Cアルコキシ、C〜Cアルコキシアリール、置換C〜Cアルコキシアリール、フェニル、置換フェニル、ビフェニル、置換ビフェニル、ベンジル、置換ベンジル、ベンゾイル、置換ベンゾイル、結合または連結基であり得、ここで、Rは、上で定義したとおりである。
【0048】
いくつかの実施態様では、本教示の染料化合物は、構造(II)を含み得、ここで、RおよびRは、それぞれ別個に、ハロゲン、フッ素、塩素または臭素であり得、Rは、−COH、−COR、−SOH、−SOR、−CHCOH、−CHCOR、−CHSOH、−CHSOR、−CHNH、−CHNHRまたは−NOであり得、そしてR10〜R12は、−Hであり得、ここで、Rは、上で定義したとおりである。いくつかの実施態様では、本教示の染料化合物は、構造(II)を含み得、ここで、RおよびRは、それぞれ別個に、ハロゲン、フッ素、塩素または臭素であり得、R10は、−COH、−COR、−SOH、−SOR、−CHCOH、−CHCOR、−CHSOH、−CHSOR、−CHNH、−CHNHRまたは−NOであり得、そしてRおよびR11〜R12は、−Hであり得、ここで、Rは、上で定義したとおりである。いくつかの実施態様では、本教示の染料化合物は、構造(II)を含み得、ここで、RおよびRは、それぞれ別個に、ハロゲン、フッ素、塩素または臭素であり得、R11は、−COH、−COR、−SOH、−SOR、−CHCOH、−CHCOR、−CHSOH、−CHSOR、−CHNH、−CHNHRまたは−NOであり得、そしてR〜R10およびR12は、−Hであり得、ここで、Rは、上で定義したとおりである。いくつかの実施態様では、本教示の染料化合物は、構造(II)を含み得、ここで、RおよびRは、それぞれ別個に、ハロゲン、フッ素、塩素または臭素であり得、R12は、−COH、−COR、−SOH、−SOR、−CHCOH、−CHCOR、−CHSOH、−CHSOR、−CHNH、−CHNHRまたは−NOであり得、そしてR〜R11は、−Hであり得、ここで、Rは、上で定義したとおりである。
【0049】
いくつかの実施態様では、本教示の染料化合物は、構造(II)を含み得、ここで、Rは、−Hであり得、そしてRは、−H、−SOH、−SOR、−CHCOH、−CHCOR、−CHNHまたは−CHNHRであり得、ここで、Rは、上記のように定義され、Rは、−COH、−COR、−SOH、−SOR、−CHCOH、−CHCOR、−CHSOH、−CHSOR、−CHNH、−CHNHRまたは−NOであり得、そしてR10〜R12は、−Hであり得、ここで、Rは、上で定義したとおりである。いくつかの実施態様では、本教示の染料化合物は、構造(II)を含み得、ここで、Rは、−Hであり得、そしてRは、−H、−SOH、−SOR、−CHCOH、−CHCOR、−CHNHまたは−CHNHRであり得、ここで、Rは、上記のように定義され、R10は、−COH、−COR、−SOH、−SOR、−CHCOH、−CHCOR、−CHSOH、−CHSOR、−CHNH、−CHNHRまたは−NOであり得、そしてRおよびR11〜R12は、−Hであり得、ここで、Rは、上で定義したとおりである。いくつかの実施態様では、本教示の染料化合物は、構造(II)を含み得、ここで、Rは、−Hであり得、そしてRは、−H、−SOH、−SOR、−CHCOH、−CHCOR、−CHNHまたは−CHNHRであり得、ここで、Rは、上記のように定義され、R11は、−COH、−COR、−SOH、−SOR、−CHCOH、−CHCOR、−CHSOH、−CHSOR、−CHNH、−CHNHRまたは−NOであり得、そしてR〜R10およびR12は、−Hであり得、ここで、Rは、上で定義したとおりである。いくつかの実施態様では、本教示の染料化合物は、構造(II)を含み得、ここで、Rは、−Hであり得、そしてRは、−H、−SOH、−SOR、−CHCOH、−CHCOR、−CHNHまたは−CHNHRであり得、ここで、Rは、上記のように定義され、R12は、−COH、−COR、−SOH、−SOR、−CHCOH、−CHCOR、−CHSOH、−CHSOR、−CHNH、−CHNHRまたは−NOであり得、そしてR〜R11は、−Hであり得、ここで、Rは、上で定義したとおりである。
【0050】
いくつかの実施態様では、R〜R12のいずれかは、−SOH、−SOR、−CHNH、−CHNHRまたは−NOであり得、ここで、Rは、上で定義したとおりである。いくつかの実施態様では、R〜R12のいずれかは、−SOHまたは−SORであり得、ここで、Rは、上で定義したとおりである。いくつかの実施態様では、R〜R12のいずれかは、−CHNHまたは−CHNHRであり得、ここで、Rは、上で定義したとおりである。
【0051】
いくつかの実施態様では、本教示の染料化合物は、以下の構造:
【0052】
【化31】


を含み得、ここで、RおよびRは、水素、フッ素、塩素または臭素であり得る。
【0053】
いくつかの実施態様では、本教示の染料化合物は、以下の構造:
【0054】
【化32】


を含み得、ここで、RおよびRは、水素、フッ素、塩素または臭素であり得る。
【0055】
いくつかの実施態様では、本教示の染料化合物は、以下の構造:
【0056】
【化33】


を含み得、ここで、RおよびRは、水素、フッ素、塩素または臭素であり得る。
【0057】
いくつかの実施態様では、本教示の染料化合物は、以下の構造:
【0058】
【化34】


を含み得、ここで、RおよびRは、水素、フッ素、塩素または臭素であり得る。
【0059】
いくつかの実施態様では、本教示の染料化合物は、以下の構造:
【0060】
【化35】


を含み得る。
【0061】
いくつかの実施態様では、本教示の染料化合物は、以下の構造:
【0062】
【化36】


を含み得、ここで、Rは、上で定義したとおりである。
【0063】
いくつかの実施態様では、本教示の染料化合物は、以下の構造:
【0064】
【化37】


を含み得る。
【0065】
いくつかの実施態様では、本教示の染料化合物は、以下の構造:
【0066】
【化38】


を含み得、ここで、Rは、上で定義したとおりである。
【0067】
いくつかの実施態様では、Rは、置換ベンゾイルであり得る。いくつかの実施態様では、Rは、連結基であり得る。いくつかの実施態様では、Rは、トリフルオロアセチルであり得る。いくつかの実施態様では、Rは、以下の構造:
【0068】
【化39】


を含み得る。
【0069】
いくつかの実施態様では、Rは、以下の構造:
【0070】
【化40】


を含み得、Xは、スクシンイミドであり得る。
【0071】
いくつかの実施態様では、Rは、
【0072】
【化41】


であり得る。
【0073】
いくつかの実施態様では、本教示の化合物は、構造(III)を含む。いくつかの実施態様では、RおよびRは、−Hであり得る。いくつかの実施態様では、Rは、−Hであり得る。いくつかの実施態様では、R13、R15およびR16は、−Hであり得る。いくつかの実施態様では、Rは、−SOHであり得る。いくつかの実施態様では、Rは、−Hであり得る。いくつかの実施態様では、R14は、−CHNHであり得る。いくつかの実施態様では、R14は、−CHNHRであり得る。いくつかの実施態様では、Rは、
【0074】
【化42】


であり得る。
【0075】
いくつかの実施態様では、Rは、以下の構造:
【0076】
【化43】


を含み得、Xは、スクシンイミドであり得る。
【0077】
いくつかの実施態様では、Rは、
【0078】
【化44】


であり得る。
【0079】
いくつかの実施態様では、Rは、連結基であり得る。いくつかの実施態様では、R14は、−Hであり得る。いくつかの実施態様では、R14は、−SOHであり得る。いくつかの実施態様では、R14は、−Hであり得る。いくつかの実施態様では、Rは、−CHNHであり得る。いくつかの実施態様では、Rは、−CHNHRであり得る。いくつかの実施態様では、Rは、
【0080】
【化45】


であり得る。
【0081】
いくつかの実施態様では、Rは、以下の構造:
【0082】
【化46】


を含み得、Xは、スクシンイミドであり得る。
【0083】
いくつかの実施態様では、Rは、
【0084】
【化47】


であり得る。
【0085】
いくつかの実施態様では、Rは、連結基であり得る。いくつかの実施態様では、Rは、−Hであり得る。いくつかの実施態様では、RおよびRは、メチルであり得る。
【0086】
いくつかの実施態様では、本教示の化合物は、構造(IV)を含む。いくつかの実施態様では、R10は、−SOHであり得る。いくつかの実施態様では、R10は、−Hであり得る。いくつかの実施態様では、R14は、−CHNHであり得る。いくつかの実施態様では、R14は、−CHNHRであり得る。いくつかの実施態様では、Rは、
【0087】
【化48】


であり得る。
【0088】
いくつかの実施態様では、Rは、以下の構造:
【0089】
【化49】


を含み得、Xは、スクシンイミドであり得る。
【0090】
いくつかの実施態様では、Rは、
【0091】
【化50】


であり得る。
【0092】
いくつかの実施態様では、Rは、連結基である。いくつかの実施態様では、R14は、−Hであり得る。いくつかの実施態様では、R、R、R、R11、R12、R13、R15およびR16は、−Hであり得る。いくつかの実施態様では、R14は、−SOHであり得る。いくつかの実施態様では、R14は、−Hであり得る。いくつかの実施態様では、R10は、−CHNHであり得る。いくつかの実施態様では、R10は、−CHNHRであり得る。いくつかの実施態様では、Rは、
【0093】
【化51】


であり得る。
【0094】
いくつかの実施態様では、Rは、以下の構造:
【0095】
【化52】


を含み得、Xは、スクシンイミドであり得る。
【0096】
いくつかの実施態様では、Rは、
【0097】
【化53】


であり得る。
【0098】
いくつかの実施態様では、Rは、連結基であり得る。いくつかの実施態様では、R14は、−Hであり得る。いくつかの実施態様では、R、R、R、R11、R12、R13、R15およびR16は、−Hであり得る。いくつかの実施態様では、RおよびRは、メチルであり得る。
【0099】
本明細書中で使用する「置換」とは、1個またはそれ以上の水素原子を、1個またはそれ以上の非水素原子、官能基または部分で置き換えた分子を意味する。例えば、非置換アミンは、−NHであるのに対して、置換アミンは、−NHCHであり得る。代表的な置換基には、ハロゲン、フッ素、塩素、臭素、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜C分枝アルキル、C〜Cアルケン、C〜C環状アルケン、C〜C分枝アルケン、C〜Cアルキン、C〜C分枝アルキン、サルフェート、スルホネート、スルホン、アミノ、アンモニウム、アミド、ニトリル、C〜Cアルコキシ、フェノキシ、置換フェノキシ芳香族、フェニル、多環式芳香族、富電子複素環、および連結基が挙げられるが、これらに限定されない。
【0100】
本明細書中で使用する「連結基」とは、エネルギー移動染料対の試薬または一部分に結合された「相補的官能基」と反応できる部分を意味し、このような反応は、この染料をエネルギー移動染料対の試薬または一部分に接続する「連鎖」を形成する。適当な連結基には、その相補的官能基がアミンであるときはいつでも、イソチオシアネート、塩化スルホニル、4,6−ジクロロトリアジニル、スクシンイミジルエステル、または他の活性カルボキシレートが挙げられるが、これらに限定されない。適当な連結基は、その相補的官能基がスルフヒドリルであるときはいつでも、マレイミド、ハロアセチル、ヨードアセチル、ハロアセトアミドまたはヨードアセトアミドが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、R.Haugland,Molecular Probes Handbook of Fluorescent Probes and Research Chemicals,Molecular probes,Inc.(1992)を参照のこと。
【0101】
さらに、本教示の染料分子を種々の分子または基質(すなわち、ヌクレオチド、ヌクレオシド、オリゴヌクレオチド、ペプチド、他の染料分子、連結部分など)に共有結合するのに適当な種々の相補的連結基/相補的官能基対は、当該技術分野で公知であることが理解される。多種多様な状況において連結基/相補的官能基対として使用するのに適当な相補的求電子試薬および求核試薬の例は、表1で示されており、この場合、指示された求電子試薬種および求核試薬種の反応により、指示された共有結合が生じる。共有結合が形成される条件は、周知である。
【0102】
【表1−1】

【0103】
【表1−2】


活性化エステルは、当該技術分野で理解されているように、一般に、式−COXを有し、ここで、Xは、良好な脱離基、例えば、オキシスクシンイミジル(−ONC)、オキシスルホスクシンイミジル(−ONC−SOH)、1−オキシベンゾトリアゾイル(−OC);または式−OR”のアリールオキシ基(ここで、R”は、アリール、または1個またはそれ以上の同一または異なる電子吸引置換基(例えば、−NO、−F、−Cl、−CNまたは−CF)で置換されたアリールである)であり、式−OCORまたは−OCNRNHRの無水物または混合無水物を形成するのに使用され、ここで、RおよびRは、同一または異なり得、(C〜C)アルキル、(C〜C)パーフルオロアルキルまたは(C〜C)アルコキシ;あるいはシクロヘキシル、3−ジメチルアミノプロピル、またはN−モルホリノエチルである。
【0104】
**アシルアジドはまた、イソシアネートに再構成できる。
【0105】
本教示の染料を所定分子または基質に共有結合するのに使用される求核試薬または求電子試薬の選択は、染料分子が結合される分子または基質上の相補的官能基の種類に依存し得る。結合される分子または基質上に存在し得る相補的官能基の種類には、アミン、チオール、アルコール、フェノール、アルデヒド、ケトン、リン酸、イミダゾール、ヒドラジン、ヒドロキシルアミン、一置換および二置換アミン、ハロゲン化物、エポキシド、スルホン酸エステル、カルボン酸またはカルボキシレートが挙げられるが、これらに限定されない。
【0106】
いくつかの実施態様では、本教示に関連して使用するのに適当な求核試薬は、アミン、フェノール、アニリン、チオールまたはアルコール、あるいはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施態様では、この求核試薬は、アミンを含む。いくつかの実施態様では、この求核試薬は、第一級アミンを含む。いくつかの実施態様では、この求核試薬は、第二級アミンを含む。
【0107】
いくつかの実施態様では、この求電子試薬は、アクリルアミド、カルボン酸の活性化エステル、アシルアジド、アシルニトリル、ハロゲン化アシル、アルデヒド、ハロゲン化アルキル、無水物、ハロゲンアリール、アジド、アジリジン、ボロネート、カルボン酸またはカルボキシレート、ジアゾアルカン、ハロアセトアミド、ハロトリアジン、ヒドラジン、イミドエステル、イソシアネート、イソチオシアネート、マレイミド、ホスホロアミダイトまたはマイケルアクセプター(すなわち、α,β−不飽和エステル、α,β−不飽和アルデヒドなど)またはハロゲンスルホニルを含む。
【0108】
いくつかの実施態様では、この求電子試薬は、カルボン酸の活性化エステルまたはカルボキシレート、スクシンイミジルエステル、ハロアセトアミド、ハロゲン化アシル、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化スルホニル、イソチオシアネート、マレイミドまたはアジドパーフルオロベンズアミド基を含む。いくつかの実施態様では、この連結基は、N−ヒドロキシスクシンイミジル(NHS)エステルであり、この相補的官能基は、アミンである。NHSエステルを形成するために、連結基としてカルボン酸部分を含む本教示の染料は、例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)およびN−ヒドロキシスクシンイミドと反応される。あるいは、NHSエステルを形成するために、連結基としてカルボン酸部分を含む本教示の染料分子と結合される分子または基質は、例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)およびN−ヒドロキシスクシンイミドと反応される。
【0109】
構造(I)を含む本教示の化合物を調製するための代表的な合成スキームは、図1で示されている。例えば、Corey,P.F.,米国特許第4,810,636号で記載された合成手順を指針として使用して、当業者は、塩基の存在下にて、(2)型の4−ヒドロキシアニリン化合物と第三級アルコール(4)(例えば、2−(4’−ヒドロキシフェニル)−2−プロパノール)とを反応でき、化合物(5)が形成される。あるいは、当業者は、4−ヒドロキシアニリン化合物(2)を酸化でき、(3)型のN−クロロイミン化合物を形成され、これは、塩基の存在下にて、第三級アルコール(4)(例えば、2−(4’−ヒドロキシフェニル)−2−プロパノール)と反応でき、化合物(5)が形成される。次いで、化合物(5)は、還元剤(例えば、亜ジチオン酸ナトリウム)と反応でき、第二級アミン化合物(6)が形成される。次いで、化合物(6)は、酸(例えば、2N HCl)で処理することに続いて、例えば、過ヨウ素酸ナトリウムで酸化することにより、環化によって、化合物(7)に変換できる。いくつかの実施態様では、存在する置換パターンに依存して、化合物(7)は、必要に応じて、さらに誘導体化できる。例えば、化合物(7)は、必要に応じて、例えば、クロロスルホン酸との反応により、スルホン化できる。
【0110】
あるいは、化合物(7)は、酸(例えば、濃硫酸)の存在下にて、または類似の確立した条件下で、アミノメチル化剤(例えば、N−(ヒドロキシメチル)トリフルオロアセトアミド)との反応により、アミノメチル化できる。
【0111】
構造(II)を含む本教示の化合物を調製するための代表的な合成スキームは、図2で示されている。Coreyで記載されたものと類似のスキームに従って、(2)型の4−ヒドロキシアニリン化合物は、塩基の存在下にて、第三級アルコール(8)(例えば、2−(4’−ヒドロキシナフタレン−2−イル)−2−プロパノール)と反応でき、化合物(9)が形成される。あるいは、4−ヒドロキシアニリン化合物(2)は、公知の条件を使用して酸化でき、(3)型のN−クロロイミン化合物が形成され、これは、塩基の存在下にて、第三級アルコール(8)と反応でき、化合物(9)が形成される。次いで、化合物(9)は、還元剤(例えば、亜ジチオン酸ナトリウム)と反応でき、第二級アミン化合物(10)が形成される。次いで、化合物(10)は、酸(例えば、2N HCl)で処理することに続いて、例えば、過ヨウ素酸ナトリウムで酸化することにより、環化によって、化合物(11)に変換できる。いくつかの実施態様では、存在する置換パターンに依存して、化合物(11)は、必要に応じて、さらに誘導体化できる。例えば、化合物(11)は、必要に応じて、例えば、クロロスルホン酸との反応により、スルホン化できる。
【0112】
構造(III)を含む本教示の化合物を調製するための代表的な合成スキームは、図3で示されている。Coreyで記載されたものと類似のスキームに従って、(12)型の化合物は、塩基の存在下にて、第三級アルコール(4)と反応でき、化合物(14)が形成される。あるいは、化合物(12)は、公知条件を使用して、酸化でき、(13)型のN−クロロイミンが形成され、これは、塩基の存在下にて、第三級アルコール(4)と反応でき、化合物(14)が形成される。次いで、化合物(14)は、還元剤(例えば、亜ジチオン酸ナトリウム)と反応でき、第二級アミン化合物(15)が形成される。次いで、化合物(15)は、酸(例えば、2N HCl)で処理することに続いて、例えば、過ヨウ素酸ナトリウムで酸化することにより、環化によって、化合物(16)に変換できる。いくつかの実施態様では、存在する置換パターンに依存して、化合物(16)は、必要に応じて、さらに誘導体化できる。例えば、化合物(16)は、必要に応じて、例えば、クロロスルホン酸との反応により、スルホン化できる。
【0113】
構造(IV)を含む本教示の化合物を調製するための代表的な合成スキームは、図4で示されている。Coreyで記載されたものと類似のスキームに従って、(12)型の化合物は、塩基の存在下にて、第三級アルコール(8)と反応でき、化合物(17)が形成される。あるいは、化合物(12)は、公知条件を使用して、酸化でき、(13)型のN−クロロイミン化合物が形成され、これは、塩基の存在下にて、第三級アルコール(8)と反応でき、化合物(17)が形成される。次いで、化合物(17)は、還元剤(例えば、亜ジチオン酸ナトリウム)と反応でき、第二級アミン化合物(18)が形成される。次いで、化合物(18)は、酸(例えば、2N HCl)で処理することに続いて、例えば、過ヨウ素酸ナトリウムで酸化することにより、環化によって、化合物(19)に変換できる。いくつかの実施態様では、存在する置換パターンに依存して、化合物(19)は、必要に応じて、さらに誘導体化できる。例えば、化合物(19)は、必要に応じて、例えば、クロロスルホン酸との反応により、スルホン化できる。
【0114】
本教示の代表的な化合物を調製するための合成スキームは、図5で示されている。Coreyで記載されたものと類似のスキームに従って、(20)型のクロロイミン化合物は、塩基の存在下にて、第三級アルコール(21)と反応でき、化合物(22)が形成される。次いで、化合物(22)は、還元剤(例えば、亜ジチオン酸ナトリウム)と反応でき、第二級アミン化合物(23)が形成される。次いで、化合物(23)は、酸(例えば、2N HCl)で処理することに続いて、例えば、過ヨウ素酸ナトリウムで酸化することにより、環化によって、化合物(24)に変換できる。さらに、化合物(24)は、例えば、クロロスルホン酸との反応により、スルホン化でき、本教示の染料(25)が得られる。あるいは、化合物(24)は、酸(例えば、濃硫酸)の存在下にて、あるいは類似の確立された条件で、アミノメチル化剤(例えば、N−(ヒドロキシメチル)トリフルオロアセトアミド)との反応により、アミノメチル化でき、化合物(26)が形成される。染料(26)は、文献手順(Corey,P.F.,米国特許第4,810,636号、1989年3月7日;Coreyら、Angew Chem Int.Ed.Engl 30(1991))により、例えば、ラネーニッケル/Hでの還元により、脱ハロゲン化でき、次いで、酸化剤(過ヨウ素酸ナトリウム)と反応させることにより、酸化でき、本教示の染料(27)が得られる。染料(27)は、例えば、クロロスルホン酸との反応により、スルホン化でき、本教示の染料(28)が得られる。
【0115】
当業者が、この第三級アルコールとして、2−(4’−ヒドロキシナフタレン−2−イル)−2−プロパノールを使用する場合、文献手順(Haworthら、J.Chem Soc,Abstracts、pp.10−13(1943))に従って、調製できる。図6を参照のこと。具体的には、コハク酸ベンジル(29)(これは、Sigma−Aldrich Chemical Company(Milwaukee,WI)から市販されている)は、冷塩化アセチルに懸濁でき、ビス無水物コハク酸ベンジル誘導体が得られる。この無水物誘導体は、ニトロベンゼン中にて、AlClで、テトラロン中間体に環化できる。このテトラロン中間体は、臭素化および酸触媒臭素脱離により、2段階で芳香族化でき、4−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸(30)が得られる。4−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸化合物(30)は、エタノールおよびHCl中でのFisherエステル化により、そのエチルエステル誘導体に変換できる。最後に、確立された文献手順(J.Am.Chem.Soc,v.108,4119(1986))を使用して、4−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸エチルは、塩化メチルマグネシウム(3.3当量)と反応でき、第三級アルコールである2−(4’−ヒドロキシナフタレン−2−イル)−2−プロパノール(31)が得られる。
【0116】
本教示の代表的な化合物を調製するための合成スキームは、図7で示されている。Coreyで記載されたものと類似のスキームに従って、N−クロロイミン化合物(20)は、塩基の存在下にて、第三級アルコール(31)と反応でき、化合物(32)が形成される。次いで、化合物(32)は、還元剤(例えば、亜ジチオン酸ナトリウム)と反応でき、第二級アミン化合物(33)が形成される。次いで、化合物(33)は、酸(例えば、2N HCl)で処理することに続いて、例えば、過ヨウ素酸ナトリウムで酸化することにより、環化によって、化合物(34)に変換できる。
【0117】
代表的な化合物(34)を本教示のさらに別の化合物に変換するための合成スキームは、図8で示されている。いくつかの実施態様では、染料(34)は、例えば、クロロスルホン酸との反応により、スルホン化でき、本教示の染料(35)が得られる。染料(35)は、文献手順(Corey,P.F.,米国特許第4,810,636号、1989年3月7日;Coreyら、Angew Chem Int.Ed.Engl.30(1991))により、例えば、ラネーニッケル/Hでの還元により、脱ハロゲン化でき、次いで、酸化剤(過ヨウ素酸ナトリウム)と反応させることより、酸化でき、本教示の染料(36)が得られる。染料(36)は、酸(例えば、濃硫酸)の存在下にて、あるいは類似の確立された条件で、N−(ヒドロキシメチル)トリフルオロアセトアミドで処理することにより、アミノメチル化でき、本教示の化合物(37)が得られる。あるいは、染料(34)は、酸(例えば、濃硫酸)の存在下にて、あるいは類似の確立された条件で、N−(ヒドロキシメチル)トリフルオロアセトアミドで処理することにより、アミノメチル化でき、化合物(38)が得られる。上記のように、化合物(38)は、脱ハロゲン化でき、次いで、文献手順により、酸化でき、化合物(39)が得られる。最後に、化合物(39)は、例えば、クロロスルホン酸との反応により、スルホン化でき、本教示の染料(40)が得られる。さらに、当業者は、蛍光特性(すなわち、発光波長)を調整するために、化合物(37)または(40)のアミン官能基が、必要に応じて、脱保護でき、また、必要に応じて、置換アミンに変換でき、および/または化合物(37)または(40)が、必要に応じて、確立された手順を使用して、ハロゲン化できることを認識する。
【0118】
本教示に関連して使用するのに適当な(3)型のN−クロロイミン化合物(これらは、例えば、図1および2で示されている)は、業者から得ることができるか、および/または多数の4−ヒドロキシアニリン化合物(これらは、市販されているか、または当該技術分野で公知であるか、いずれかである)から確立された文献手順を使用して調製できる。適当な4−ヒドロキシアニリン化合物の例には、以下が挙げられるが、これらに限定されない:
【0119】
【化54】

【0120】
【化55】



【0121】
当業者は、上記4−ヒドロキシアニリン化合物のいずれかが、直接または不安定な可能性がある官能基に何らかの保護をした後、N−クロロイミンに変換できることを理解する。当該技術分野で公知の4−ヒドロキシアニリン化合物に適当なさらに別の例は、Chemical Abstracts Service(CAS),SciFinderなどのような利用可能なデータベースで構造を検索することにより、発見できる。
【0122】
本教示に関連して使用するのに適当な(12)型のN−クロロイミン化合物(これらは、例えば、図3で示されている)は、業者から得ることができるか、および/または多数の4−ヒドロキシ−アミノナフタレン化合物(これらは、市販されているか、または当該技術分野で公知であるか、いずれかである)から確立された文献手順を使用して調製できる。適当な4−ヒドロキシ−アミノナフタレン化合物の例には、以下が挙げられるが、これらに限定されない:
【0123】
【化56】



【0124】
当業者は、上記4−ヒドロキシ−アミノナフタレン化合物のいずれかが、直接または不安定な可能性がある官能基に何らかの保護をした後、N−クロロイミンに変換できることを理解する。当該技術分野で公知の4−ヒドロキシ−アミノナフタレン化合物に適当なさらに別の例は、Chemical Abstracts Service(CAS),SciFinderなどのような利用可能なデータベースで構造を検索することにより、発見できる。
【0125】
(8)型の適当な第三級アルコール化合物(これらは、例えば、図2で示されている)は、図6で描写した様式と類似の様式で、適当な4−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸化合物から調製できる。当該技術分野で公知の適当な4−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸化合物の例には、以下が挙げられるが、これらに限定されない:
【0126】
【化57】



【0127】
当業者は、上記4−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸化合物のいずれかが、本教示の化合物を合成するために直接使用できるか、あるいは不安定な可能性がある官能基に何らかの保護をした後、使用できることを理解する。当該技術分野で公知の4−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸化合物に適当なさらに別の例は、Chemical Abstracts Service(CAS),SciFinderなどのような利用可能なデータベースで構造を検索することにより、発見できる。
【0128】
いくつかの実施態様では、本教示は、式I〜IVの染料化合物を取り込むエネルギー移動染料を包含する。一般に、本発明のエネルギー移動染料は、アクセプター染料に共有結合されたドナー染料を含み、該ドナー染料は、第一波長で光を吸収して、それに応答して励起エネルギーを放射でき、そして該アクセプター染料は、該ドナー染料により放射された該励起エネルギーを吸収して、それに応答して第二波長で蛍光を発することができる。いくつかの実施態様では、前記ドナー染料は、リンカーを介して、前記アクセプター染料に共有結合できる。いくつかの実施態様では、前記リンカーは、前記ドナー染料と前記アクセプター染料との間の効率的なエネルギー移動を促進するのに有効であり得る。いくつかの実施態様では、上記リンカーは、非ヌクレオチドであり得る。いくつかの実施態様では、前記リンカーは、ヌクレオチドリンカー(例えば、ポリヌクレオチド)であり得る。このようなエネルギー移動染料の構造、合成および使用の詳細な論述については、例えば、Mathiesらの米国特許第5,728,528号、Leeらの米国特許第5,863,727号、Glazerらの米国特許第5,853,992号、Waggonerらの米国特許第6,008,373号、Nampalliらの米国特許出願公報第2004/0126763号A1,KumarらのPCT公報第WO 00/13026A1号およびPCT公報第WO 01/19841A1号(これらの各々の内容は、エネルギー移動染料の構造、エネルギー移動染料の合成、エネルギー移動染料リンカー、代替ドナー染料、代替アクセプター染料およびエネルギー移動染料のスペクトル特性を開示する全てについて、本明細書中で参考として援用されている)を参照のこと。
【0129】
いくつかの実施態様では、本教示に関連して使用するのに適当なリンカーは、以下の一般構造:
【0130】
【化58】


を含み得、
ここで、カルボニルは、ドナー染料またはアクセプター染料のいずれかに共有結合でき、R11は、非置換アルケン、置換アルケン、非置換ジエン、置換ジエン、非置換トリエン、置換トリエン、非置換アルキン、置換アルキン、少なくとも1個の不飽和結合を有する非置換5員または6員環、少なくとも1個の不飽和結合を有する置換5員または6員環、あるいは非置換または置換縮合環構造(これは、このカルボニル炭素原子に結合されている)を含む部分であり得、そしてR12は、ドナー染料およびアクセプター染料の両方が示されるように、リンカーをドナー染料またはアクセプター染料に結合できる官能基を含む部分である。
【0131】
このリンカーにおいてR11として使用できる適当な5員または6員環の例には、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、フラン、チオフラン、ピロール、ピラゾール、イソイミダゾール、ピラン、ピロン、ベンゼン、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、トリアジン、ピラジンおよびオキサジンが挙げられるが、これらに限定されない。縮合環構造の例には、インデン、ベンゾフラン、チオナフタレン、インドールおよびナフタレンが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施態様では、このリンカーは、以下の構造:
【0132】
【化59】


を有する。
【0133】
いくつかの実施態様では、このリンカーは、X〜X位置、R〜R位置またはR〜R10位置の1つにて、本教示の染料に結合する。いくつかの実施態様では、このリンカーは、結合であり得る。適当な追加のリンカーには、ポリヌクレオチド、リボ核酸などが挙げられる。
【0134】
いくつかの実施態様では、このドナー染料またはアクセプター染料の1つは、本教示に従った染料であり、そして他の染料は、シアニン、フタロシアニン、スクアライン(squaraine)、bodipy、フルオレセイン、ローダミン、伸長ローダミン(extended rhodamine)またはジベンゾローダミン染料であり得る。
【0135】
本教示のエネルギー移動染料との連結で使用するのに適当な染料の例には、5−カルボキシフルオレセイン、6−カルボキシフルオレセイン、ローダミングリーン(R110)、5−カルボキシローダミン、6−カルボキシローダミン、N,N’−ジエチル−2’,7’−ジメチル−5−カルボキシ−ローダミン(5−R6G)、N,N’−ジエチル−2’,7’−ジメチル−6−カルボキシローダミン(6−R6G)、N,N,N’,N’−テトラメチル−5−カルボキシローダミン(5−TAMRA)、N,N,N’,N’−テトラメチル−5−カルボキシローダミン(6−TAMRA)、5−カルボキシ−X−ローダミン(5−ROX)、6−カルボキシ−X−ローダミン(6−ROX)、5−カルボキシ−2’,4’,5’,7’,4,7−ヘキサクロロフルオレセイン、6−カルボキシ2’,4’,5’,7’,4,7−ヘキサクロロ−フルオレセイン、5−カルボキシ−2’,7’−ジカルボキシ−4’,5’−ジクロロフルオレセイン、6−カルボキシ−2’,7’−ジカルボキシ−4’,5’−ジクロロ−フルオレセイン、5−カルボキシ−2’,4’,5’,7’−テトラクロロフルオレセイン、1’,2’−ベンゾ−4’−フルオロ−7’,4,7−トリクロロ−5−カルボキシフルオレセイン、1’,2’−ベンゾ−4’−フルオロ−7’,4,7−トリクロロ−6−カルボキシ−フルオレセイン、1’,2’,7’,8’−ジベンゾ−4,7−ジクロロ−5−カルボキシフルオレセインだけでなく、表2で示した他の市販染料が挙げられるが、これらに限定されない。
【0136】
【表2−1】

【0137】
【表2−2】

【0138】
【表2−3】



【0139】
いくつかの実施態様では、本教示は、以下の構造を含む標識ヌクレオシドおよび/またはヌクレオチドを提供する:
NUC−L−D
ここで、NUCは、ヌクレオシド、ヌクレオチド、修飾ヌクレオシドまたは修飾ヌクレオチドを含み、Lは、結合またはリンカーを含み、そしてDは、本教示の染料化合物を含む。いくつかの実施態様では、NUCおよびDは、リンカーLにより結合でき、ここで、Lは、X〜X、R〜RまたはR〜R10の1つにて、Dに結合できる。いくつかの実施態様では、NUCがプリン塩基を含む場合、該リンカーは、該プリンの8位に結合でき、NUCが7−デアザプリン塩基を含む場合、該リンカーは、該7−デアザプリンの7位に結合でき、そして、NUCがピリミジン塩基を含む場合、該リンカーは、該ピリミジンの5位に結合できる。このようなヌクレオシドおよびヌクレオチド試薬は、酵素合成により形成されたポリヌクレオチド(例えば、PCR増幅、Sanger型ポリヌクレオチド配列決定、およびニック翻訳反応に関連して使用されるヌクレオチド三リン酸)の標識化に関連して、特に有用であり得る。
【0140】
ヌクレオシド標識化が、公知のリンカー、連結基および関連する相補的な官能基を用いる多くの公知の標識化技術のいずれかによって達成され得ることが理解される。一般に、リンカーは、(i)オリゴヌクレオチド−標的ハイブリダイゼーションを妨げず、(ii)関連する酵素(例えば、ポリメラーゼ、リガーゼなど)に適合し、そして(iii)染料の蛍光特性に不利に影響しない、はずである。本教示に関連して使用するのに適している例示的な塩基標識化手順として、例えば、Gibsonら、Nucleic Acids Research,15:6455−6467(1987);Gebeyehuら、Nucleic Acids Research,15:4513−4535(1987);Haralambidisら、Nucleic Acids Research,15:4856−4876(1987);Nelsonら、Nucleosides and Nucleotides,5(3):233−241(1986);Bergstromら、JACS,111:374−375(1989);ならびに米国特許第4,855,225号、同第5,231,191号および同第5,449,767号を参照のこと。
【0141】
いくつかの実施形態において、適切なリンカーは、アセチレンアミドまたはアルケンアミドリンカーであり得、ここで、染料とヌクレオシドもしくはヌクレオチド塩基との間の結合は、例えば、染料の活性化N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)エステルとヌクレオシドもしくはヌクレオチドのアルキニルアミノ誘導体化塩基またはアルケニルアミノ誘導体化塩基との反応によって形成され得る。いくつかの実施形態において、標識ヌクレオシドまたはヌクレオチドは、以下の構造:
【0142】
【化60】


を含み得る。
【0143】
いくつかの実施形態において、標識ヌクレオシドまたはヌクレオチドは、以下の構造:
【0144】
【化61】


を含み得、ここで、Xは、
【0145】
【化62】


(式中nは、1〜5の範囲である)、
【0146】
【化63】


(式中nは、1〜5の範囲である)、
【0147】
【化64】


および
【0148】
【化65】


であり得;ここで、Rは、−H、または低級アルキルであり得、そしてRは、−H、低級アルキルまたは保護基であり得る。例えば、Khanら、米国特許出願番号08/833,854(1997年4月10日出願)を参照のこと。
【0149】
アルキニルアミノ誘導体化ヌクレオシドの合成は、例えば、Hobbsらの欧州特許第0 251 786 B1、およびHobbsらJ.Org.Chem.,54:3420(1989)によって教示されている。簡単に述べると、アルキニルアミノ誘導体化ヌクレオチドは、適切なハロジデオキシヌクレオシド(通常は、Hobbsら(前掲)によって教示されるような5−ヨードピリミジンおよび7−ヨード−7−デアザプリンジデオキシヌクレオシド)とCu(I)とをフラスコに入れ、アルゴンをフラッシュして空気を除去し、乾燥DMFを添加し、その後アルキニルアミン、トリエチルアミンおよびPd(0)を添加することによって形成され得る。その反応混合物は、数時間または薄層クロマトグラフィーがハロジデオキシヌクレオシドの消費を示すまで攪拌される。保護されていないアルキニルアミンが使用される場合、アルキニルアミノヌクレオシドは、反応混合物を濃縮し、カップリング反応で生成したヒドロハライドを中和するために水酸化アンモニウムを含む溶離溶媒を用いるシリカゲルクロマトグラフィーによって精製することによって単離され得る。保護されたアルキニルアミンが使用される場合、メタノール/塩化メチレンが反応混合物に添加され得、その後炭酸水素塩形態の強塩基性アニオン交換樹脂が添加され得る。次いで、スラリーが約45分間攪拌され、濾過され得、樹脂がさらなるメタノール/塩化メチレンでリンスされ得る。合わせた濾液が濃縮され、シリカゲルでメタノール−塩化メチレン勾配を用いるフラッシュクロマトグラフィーによって精製され得る。三リン酸塩が標準的な技術によって得られる。
【0150】
いくつかの実施形態において、本教示のヌクレオシドおよび/またはヌクレオチドは、天然の糖(すなわち、−リボース、2’−デオキシリボースなど)または糖アナログを含む。本明細書で使用される場合、用語「糖アナログ」とは、糖リボースのアナログを指す。例示的なリボース糖アナログとしては、5つ以上もしくは5つ未満の環原子を有する置換フラノースまたは非置換フラノース(例えば、エリスロースおよびヘキソース)ならびに置換または非置換の3〜6炭素非環式糖が挙げられるが、これらに限定されない。典型的な置換フラノースおよび非環式糖は、1以上の炭素原子が1以上の同じかもしくは異なる−R、−OR、−NRRまたはハロゲン基で置換されているものであり、ここで、各Rは独立して、−H、(C〜C)アルキルまたは(C〜C14)アリールである。5つの環原子を有する置換フラノースの例としては、2’−デオキシリボース、2’−(C〜C)アルキルリボース、2’−(C〜C)アルコキシリボース、2’−(C〜C14)アリールオキシリボース、2’,3’−ジデオキシリボース、2’,3’−ジデヒドロリボース、2’−デオキシ−3’−ハロリボース、2’−デオキシ−3’−フルオロリボース、2’−デオキシ−3’−クロロリボース、2’−デオキシ−3’−アミノリボース、2’−デオキシ−3’−(C〜C)アルキルリボース、2’−デオキシ−3’−(C〜C)アルコキシリボース、2’−デオキシ−3’−(C〜C14)アリールオキシリボース、3’−(C〜C)アルキルリボース−5’−三リン酸、2’−デオキシ−3’−(C〜C)アルキルリボース−5’−三リン酸、2’−デオキシ−3’−(C〜C)アルコキシリボース−5’−三リン酸、2’−デオキシ−3’−(C〜C14)アリールオキシリボース−5’−三リン酸、2’−デオキシ−3’−ハロリボース−5’−三リン酸、2’−デオキシ−3’−アミノリボース−5’−三リン酸、2’,3’−ジデオキシリボース−5’−三リン酸または2’,3’−ジデヒドロリボース−5’−三リン酸が挙げられるが、これらに限定されない。さらにまた、糖アナログとしては、以下の構造:
【0151】
【化66】


を有するいわゆるロックド核酸(LNA)、およびWengelら、WO99/14226(参考として本明細書に援用される)に記載されるものが挙げられる。
【0152】
いくつかの実施形態において、本教示のヌクレオシドおよび/またはヌクレオチドは、以下の構造:
【0153】
【化67】


を有し得、ここで、Bはヌクレオシドまたはヌクレオチド塩基(例えば、ウラシル、シトシン、デアザアデニンまたはデアザグアノシン)を含み;別々に見なされるWおよびWは、−OHまたはポリメラーゼ媒介性のテンプレート指向性重合(polymerzation)をブロックし得る基(例えば、−H、フッ素など)であり得;Wは、OH、または一リン酸、二リン酸もしくは三リン酸またはリン酸アナログであり得;そしてDは、本教示の染料化合物である。いくつかの実施形態において、本教示のヌクレオチドは、存在する場合関連する対イオン含む構造を有するジデオキシヌクレオチド三リン酸であり得、
【0154】
【化68】


存在する場合関連する対イオンを含む。
【0155】
標識ジデオキシヌクレオチド(上記のようなもの)は、蛍光検出を利用するSanger型DNA配列決定法において鎖終結因子としての特定の適用を見出す。
【0156】
いくつかの実施形態において、本教示のヌクレオチドは、以下の構造:
【0157】
【化69】


を有するデオキシヌクレオチド三リン酸であり得、存在する場合関連する対イオンを含む。
【0158】
標識デオキシヌクレオチド(上記のようなもの)は、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応またはニックトランスレーションにおいて、ポリメラーゼ伸長産物を標識化するための試薬としての特定の適用を見出す。
【0159】
いくつかの実施形態において、本教示は、本教示の少なくとも1つの染料で標識されたポリヌクレオチドを提供し得る。そのような標識ポリヌクレオチドは、DNA配列決定プライマー、PCRプライマー、オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションプローブ、オリゴヌクレオチド連結プローブなどのようなものを含む多くの重要なコンテクストに有用である。
【0160】
いくつかの実施形態において、本教示の標識ポリヌクレオチドは、蛍光エネルギー移動がドナー染料およびアクセプター染料との間で起こるように配置された複数の染料を含み得る。そのような多染料エネルギー移動ポリヌクレオチドは、スペクトル的に調整可能な配列決定プライマーとして(例えば、Juら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 92:4347−4351(1995)を参照のこと)、またはハイブリダイゼーションプローブとして(例えば、Leeら、Nucleic Acids Research,21:3761−3766(1993))の適用を見出す。
【0161】
標識ポリヌクレオチドは、例えば、DNAポリメラーゼまたはリガーゼを用いて酵素的に(例えば、Stryer,Biochemistry,Chapter 24,W.H.Freeman and Company(1981)を参照のこと)、または化学合成によって(例えば、ホスホラミダイト法、亜リン酸トリエステル法などによって)(例えば、Gait,Oligonucleotide Synthesis,IRL Press(1990)を参照のこと)合成され得る。標識は、上記のような標識ヌクレオチド三リン酸モノマーを用いて酵素的合成の間に導入されても、上記のような標識非ヌクレオチドもしくはヌクレオチドホスホラミダイトを用いて化学的合成の間に導入されても、合成後に導入されてもよい。
【0162】
一般に、標識ポリヌクレオチドが酵素的合成を用いて作製される場合、以下の手順が使用され得る。テンプレートDNAが変性され、オリゴヌクレオチドプライマーがそのテンプレートDNAにアニーリングされる。デオキシヌクレオチド三リン酸の混合物(dGTP、dATP、dCTPおよびdTTPを含み、デオキシヌクレオチドのうちの少なくとも1つの画分が上記のような本発明の染料化合物で標識される)がその混合物に添加される。次に、ポリメラーゼ酵素が、そのポリメラーゼ酵素が活性である条件下で添加される。標識ポリヌクレオチドが、ポリメラーゼ媒介性鎖合成の間に標識されたデオキシヌクレオチドが取り込まれることによって形成される。代替的な酵素合成法において、1つのプライマーの代わりに2つのプライマーが使用され、一方のプライマーは標的の(+)鎖に相補的であり、他方は標的の(−)鎖に相補的であり、ポリメラーゼは、熱安定性ポリメラーゼであり、反応温度は変性温度と伸長温度との間でサイクルされ、それによって標的配列に対する標識された相補体がPCRにより指数関数的に合成される(例えば、PCR
Protocols,Innisら編、Academic Press(1990)を参照のこと)。
【0163】
標識ポリヌクレオチドは、ホスホラミダイト法を用いて化学的に合成され得る。ホスホラミダイト法によってポリヌクレオチドを形成するために使用される化学の詳細な説明は、例えば、Caruthersら、米国特許第4,458,066号および同第4,415,732号;Caruthersら、Genetic Enginnering,4:1−17(1982);Users Manual Model 392 and 394 Polynucleotide Synthesizers,6−1〜6−22頁,Applied Biosystems,Part No.901237(1991)に提供されている。
【0164】
ポリヌクレオチド合成のホスホラミダイト法は、その効率および迅速なカップリング反応ならびに出発物質の安定性のために、いくつかの実施形態において有利であり得る。合成は、固体支持体に結合された成長ポリヌクレオチド鎖を用いて行われ、その結果、液相中にある過剰な試薬は濾過によって容易に除去され得、それによって合成サイクル間の精製工程の必要性を排除する。
【0165】
以下に、ホスホラミダイト法を用いる典型的なポリヌクレオチド合成の工程を簡単に記載する。第一に、保護されたヌクレオチドモノマーを備える固体支持体が酸(例えば、トリクロロ酢酸)で処理されて、5’ヒドロキシル保護基が除去され、その後のカップリング反応のためにヒドロキシルがフリーにされる。次いで、その反応物に保護されたホスホラミダイトヌクレオシドモノマーおよび弱酸(例えば、テトラゾール)を同時に添加することによって、活性化中間体が形成される。弱酸は、反応性中間体を形成するホスホラミダイトの窒素をプロトン化する。ヌクレオシド添加は、30秒以内に完了する。次に、キャッピング工程が行われ、この工程は、ヌクレオシド付加が起きなかったいかなるポリヌクレオチド鎖も終結させる。キャッピングは、無水酢酸および1−メチルイミダゾールを用いて達成され得る。次いで、好ましい酸化剤としてヨウ素、および酸素ドナーとして水を用いる酸化によって、ヌクレオチド間結合が、亜リン酸塩からより安定なホスホトリエステルに変換される。酸化後、ヒドロキシル保護基がプロトン酸(例えば、トリクロロ酢酸またはジクロロ酢酸)を用いて除去され、鎖伸長が完了するまでこのサイクルが繰り返される。合成後、ポリヌクレオチド鎖が塩基(例えば、水酸化アンモニウムまたはt−ブチルアミン)を用いて支持体から切断される。切断反応はまた、任意のリン酸保護基(例えば、シアノエチル)を除去する。最後に、塩基中のポリヌクレオチド溶液を高温(例えば、55℃)で処理することによって、塩基の環外アミン上の保護基および染料上のヒドロキシル保護基が除去される。当業者は、上記の合成を行うために多様な試薬が使用され得ること、およびいくつかの状況において試薬が単一の反応における1よりも多い工程を行うために利用可能であることを認識する。
【0166】
任意のホスホラミダイトヌクレオシドモノマーは、上記のような染料標識されたホスホラミダイトであり得る。ヌクレオチドの5’末端位置が標識される場合、本発明の標識非ヌクレオチドホスホラミダイトが最後の濃縮工程の間に使用され得る。オリゴヌクレオチドの内部の位置が標識される場合、本発明の標識ヌクレオチドホスホラミダイトが任意の濃縮工程の間に使用され得る。
【0167】
合成の後、ポリヌクレオチドは、多くの位置(5’末端(例えば、Oligonucleotides and Analogs,Eckstein編、Chapter 8,IRL Press(1991)およびOrgelら、Nucleic Acids Research 11(18):6513(1983);米国特許第5,118,800号を参照のこと);ホスホジエステル骨格(例えば、Oligonucleotides and Analogs,Eckstein編、Chapter 9,IRL Press(1991)を参照のこと);または3’末端(例えば、Nelson,Nucleic Acids Research 20(23):6253−6259、ならびに米国特許第5,401,837号および同第5,141,813号を参照のこと)が挙げられる)で標識され得る。オリゴヌクレオチド標識化手順の概説について、R.Haugland,Excited States of Biopolymers,Steiner編、Plenum Press,NY(1983)を参照のこと。
【0168】
1つの合成後化学標識化法において、オリゴヌクレオチドは、以下のとおりに標識され得る。カルボキシ連結基を含む染料が、乾燥酢酸エチル中の約1当量の1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミドおよび約3当量のN−ヒドロキシスクシンイミドと室温で3時間反応させることによって、N−ヒドロキシスクシンイミドエステルに変換される。その反応混合物が5% HClで洗浄され、硫酸マグネシウムで乾燥され、濾過され、そして固体に濃縮され、これはDMSO中に再懸濁される。次いで、DMSO染料ストックが0.25M 炭酸水素/カーボネート緩衝液(pH9.4)中のアミノヘキシル誘導体化オリゴヌクレオチドに過剰(10〜20×)で添加され、6時間反応される(例えば、米国特許第4,757,141号)。緩衝液(例えば、0.1モル濃度の酢酸トリエチルアミン(TEAA))で溶出するサイズ排除クロマトグラフィーカラムを通すことによって、染料標識オリゴヌクレオチドが未反応の染料から分離される。粗製の標識オリゴヌクレオチドを含む画分は、勾配溶出を用いる逆相HPLCによってさらに精製される。
【0169】
以下の実施例は単に例示的であることが意味され、いかなる様式でも本教示を制限することを意味しないことが理解される。上の説明は、当業者に本教示をいかにして実施するかを教示するのに適切であるが、以下の実施例は、当業者へのさらなるガイダンスとして提供される。
【0170】
いくつかの実施形態において、本教示は、本明細書に記載されるいずれかの形態の本教示の少なくとも1つの化合物と、蛍光染料を含む少なくとも1つの他の成分とを含む混合物を提供する。例えば、本教示は、ポリヌクレオチドの混合物を提供し得、ここでその混合物の少なくとも1つのポリヌクレオチドは、本教示の化合物と、蛍光染料を含む少なくとも1つの他のポリヌクレオチドとを含む。本教示の蛍光染料を含む混合物成分は、本明細書に記載される方法のいずれかによって調製され得る。いくつかの実施形態において、本教示は、本明細書に記載されるいずれかの形態の本教示の少なくとも1つの化合物を備えるキットを提供する。
【実施例】
【0171】
(材料および方法)
特に明記しない限り、全ての試薬は、Sigma−Aldrich(Milwaukee,WI)から得、卸業者から受け取ったまま使用した。DDAO(1)は、Corey,P.F.,米国特許第4,810,636号で記載されているようにも調製した。NMRスペクトルは、Bruker 400 MHz Avance−NMR Spectrometerを使用して得た。質量スペクトルデータは、Applied Biosystems API 1500 Mass Spectrometerを使用して得た。蛍光データは、Perkin Elmer LS−50B Luminescence Spectrophotometerを使用して得た。UV/Visデータは、Hewlett Packard 8451A Diode Array Spectrophotometerを使用して得た。
【0172】
(実施例1:6−スルホ−DDAO(42)の合成)
【0173】
【化70】


DDAO(41)50mgの撹拌溶液(これは、ジクロロメタン(DCM)5mLに溶解し、そして0℃まで冷却した)に、クロロスルホン酸0.5mLを加えた。その反応物を、60℃で、一晩撹拌し、次いで、氷水に注いだ。未反応出発物質を酢酸エチル(EtOAc)で抽出し、次いで、生成物をn−ブタノールで抽出した。真空中で溶媒を除去して、黒く輝いた結晶として、45mgの6−スルホ−DDAO(42)を得た。
【0174】
【化71】



【0175】
(実施例2:N−(4−カルボキシベンゾイル)−アミノメチル DDAO(45)の合成)
【0176】
【化72】


DDAO(1.466ミリモル)450mgの濃硫酸(HSO)10mL撹拌溶液に、室温で、N−(ヒドロキシメチル)トリフルオロアセトアミド(2.929ミリモル)419mgを加えた。得られた混合物を、室温で、2時間撹拌した。その反応物を氷水100mLに注ぎ、そして10%メタノール/ジクロロメタン(MeOH/DCM)4×100mLで抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し(NaSO)、濾過し、そして減圧下にて乾燥状態まで蒸発させた。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(これは、2:20:78〜8:20:72のMeOH/酢酸エチル(EtOAc)/DCM)の勾配を使用する)で精製して、赤みがかった固形物として、456mgの化合物43を得た。
【0177】
【化73】



【0178】
化合物43(64mg、0.148ミリモル)のNH/MeOH(30mL)溶液を、室温で、20時間撹拌した。その反応物を、蒸発により、乾燥状態まで濃縮し、そしてMeOHと共に蒸発させた。固形物をMeOH/DCMから再結晶して、化合物44を得た。
【0179】
化合物44のジメチル−ホルムアミド(DMF)/DCM(1:1)6mL撹拌溶液に、室温で、塩化4−カルボキシエチ(carboxyethy)テレフタロイル118mg(0.594ミリモル)およびジイソプロピルエチルアミン0.2mLを加えた。得られた混合物を、室温で、3時間撹拌した。次いで、炭酸水素ナトリウム(NaHCO)飽和水溶液10mLおよびナトリウムメトキシド/MeOH(25%)溶液0.5mLを加えることにより、反応をクエンチした。次いで、その反応混合物をHO(20mL)で希釈し、そしてEtOAc(1×50mL)で抽出した。有機層をNaSOで乾燥し、濾過し、そして減圧下にて蒸発させた。次いで、残渣を、80℃で、45分間にわたって、水酸化リチウム(LiOH)/MeOH/HO(177mg/20mL/5ml)の溶液で処理した。次いで、その反応物を室温まで冷却し、減圧下にて蒸発させ、HO(30mL)に再溶解し、10%HCl(1.5mL)で酸性化し、そしてEtOAc(100mL)で抽出した。有機層をNaSOで乾燥し、濾過し、そして減圧下にて乾燥状態まで蒸発させた。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(これは、1:9〜8:2のMeOH/DCMの勾配を使用する)で精製して、固形物として、52mgの化合物45を得た。
【0180】
【化74】



【0181】
(実施例3:6,8−ジニトロ−DDAO(46)の合成)
【0182】
【化75】


DDAO50mgの溶液(これは、HSO/HNOの1:1溶液2mLに溶解した)を、室温で、一晩撹拌した。その反応物をEtOAcで抽出した。真空中で溶媒を除去し、そして粗生成物をEtOHから再結晶して、41mgのジニトロ−DDAO(46)を得た。
【0183】
(実施例4:N−(4−カルボキシ−2−スルホベンゾイル)−アミノメチル DDAO(47)の合成)
【0184】
【化76】


実施例2と同じ様式で、化合物43を調製した。化合物43(0.1ミリモル)43.3mgのNH/MeOH(20mL)溶液を、室温で、20時間撹拌した。その反応物を、蒸発により乾燥状態まで濃縮し、そしてDCMと共に蒸発させて、化合物44を得た。
【0185】
残渣(44)をDMF(5mL)に溶解し、そして室温で、ジイソプロピルエチルアミン(ヒューニッヒ塩基)200μLおよび無水物48(74mg、0.324ミリモル)で処理した。その反応物を、室温で、3時間撹拌し、次いで、10%HCl(1mL)でクエンチした。真空中で溶媒を除去し、残渣をHO(50mL)に再溶解し、そして10%MeOH/EtOAc(3×50mL)で抽出した。有機層をNaSOで乾燥し、濾過し、そして乾燥状態まで蒸発させた。
【0186】
次いで、残渣を、室温で、10分間にわたって、LiOH・HO/MeOH/HO(0.85g/100mL/20mL)の溶液20mLで処理した。その混合物を10%HCl(1mL)で酸性化し、そして飽和NaCl(50mL)で希釈した。この混合物を10%MeOH/EtOAc(2×100mL)で抽出し、次いで、有機層をトリエチルアミン0.5mLで処理し、乾燥状態まで蒸発させ、最後に、MeOHと共に蒸発させた。粗生成物を20%MeOH/DCM(50mL)に溶解し、そしてシリカゲルクロマトグラフィー(2×17.5cm、溶出勾配:20%、30%、50%、60%、70%および80%MeOH/DCM(各勾配段階で100mL、画分20mLを集める))で精製して、60mgの化合物47を得た。
【0187】
【化77】



【図面の簡単な説明】
【0188】
【図1】図1は、構造(I)を含む本教示の染料化合物を合成するための一般化合成経路を示す。
【図2】図2は、構造(II)を含む本教示の染料化合物を合成するための一般化合成経路を示す。
【図3】図3は、構造(III)を含む本教示の染料化合物を合成するための一般化合成経路を示す。
【図4】図4は、構造(IV)を含む本教示の染料化合物を合成するための一般化合成経路を示す。
【図5】図5は、構造(I)を含む本教示の染料化合物を合成するための潜在的合成経路を示す。
【図6】図6は、本教示の化合物を調製する際に有用な第三級アルコール(例えば、2−(4’−ヒドロキシナフタレン−2−イル)−2−プロパノール)中間体を合成するための代表的な合成経路を示す。
【図7】図7は、構造(II)を含む本教示の化合物を調製するための潜在的合成スキームを示す。
【図8】図8は、構造(II)を含む本教示の化合物を調製するための潜在的合成スキームを示す。
【図9】図9は、DDAOおよびいくつかの代表的な本教示の化合物の吸収スペクトルを示す。
【図10】図10は、DDAOおよびいくつかの代表的な本教示の化合物の発光スペクトルを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書中に記載されるような化合物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−41027(P2009−41027A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−233982(P2008−233982)
【出願日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【分割の表示】特願2007−532501(P2007−532501)の分割
【原出願日】平成17年9月16日(2005.9.16)
【出願人】(500069057)アプレラ コーポレイション (120)
【住所又は居所原語表記】850 Lincoln Centre Drive Foster City CALIFORNIA 94404 U.S.A.
【Fターム(参考)】