説明

蛍光標識化スフィンゴシン1−リン酸Sアナログ体

【課題】生体内情報伝達に関与しているスフィンゴ脂質の細胞内での挙動を解明するために有用な蛍光標識基部位を有し、かつリン酸エステル部分が加水分解されにくいスフィンゴシン類縁体を提供する。
【解決手段】一般式(I)


(式中、Qは水素原子またはアミノ基の保護基またはアシル基であり、Q2は水素原子または水酸基の保護基であり、Wは蛍光標識基であり、Xは炭素数1〜15のアルキレン基であり、Yは 水酸基または置換基を有してもよい低級アルコキシ基であり、Zは水酸基、置換基を有してもよい低級アルコキシ基または酸素アニオンであり、Zが酸素アニオンの場合にはYと一体となってイオン対を形成していてもよい。QおよびQは一体となって環を形成していてもよい。)で表される蛍光標識化スフィンゴシン1−リン酸Sアナログ体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプロテインキナーゼC阻害、細胞増殖、細胞分化など様々な生体内情報伝達に関与しているスフィンゴ脂質の細胞内での挙動を解明するために必要な蛍光標識基を導入したスフィンゴシン類縁体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
スフィンゴミエリンの代謝物であるスフィンゴ脂質は、細胞死、細胞分化、細胞増殖、プロテインキナーゼC阻害などの様々な生体内情報伝達に関与していることから大きな注目を集めている。そして、多くの研究者により、これら脂質の関係する現象の解明が積極的に行われている。
【0003】
そのスフィンゴ脂質の1つであるスフィンゴシンは主に酵母細胞に存在するが、これは哺乳動物細胞においてシグナル分子として知られているスフィンゴシンに対応しており、多くの研究が行われている。しかしながら、スフィンゴシンの細胞内での存在場所や発現に至る経路、作用機序などの情報は充分に得られていない。
【0004】
現在、この代謝機構を解明するものとして、C6−NBDフィトスフィンゴシンやC12−NBDフィトスフィンゴシンという化合物が市販されているが、これは副鎖であるアシル基に蛍光標識基ユニットがあり、この部分は加水分解酵素により切断されるため、フィトスフィンゴシンが代謝されたフィトスフィンゴシン−1−リン酸の細胞内の局在場所や代謝物の挙動を解明するためには有用ではない。
【0005】
このような問題を解決するために代謝をうけない主鎖に蛍光標識基を導入した化合物も開発されている。例えば、特許文献1には、スフィンゴシン類縁体のアルキル基末端に蛍光標識基を導入した化合物が記載されている。また、特許文献2には、フィトスフィンゴシン類縁体のアルキル基末端に蛍光標識基を導入した化合物が記載されている。さらに、スフィンゴシン1−リン酸Sアナログ体として、特許文献3の実施例には炭素数5のアルキル基を有するものが記載されている。
【特許文献1】特開2003−261794号公報
【特許文献2】特開2004−269381号公報
【特許文献3】特開2004−175735号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1および2に記載されている化合物は細胞内でリン酸エステル部分が加水分解されるため、受容体との複合体の挙動観測が困難であるという問題を有している。
【0007】
なお、特許文献3に記載されているアルキル基を有するスフィンゴシン1−リン酸Sアナログ体はスフィンゴミエナーゼの触媒部位に作用し、基質に対して拮抗的に阻害する天然型類似の誘導体物質の製造を目的としたものであり、詳細な説明に記載されている製造過程では、リチウムアセチリドとしてアルキニル基を導入した後、バーチ還元することによりアルケニル基に変換しており、これらの方法では蛍光標識基をはじめ、一般的な官能基を導入することはできない。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、スフィンゴシンの細胞内での存在場所や代謝機構を解明するために有用な、リン酸エステル部分が加水分解されにくい蛍光標識基部位を有するスフィンゴシン類縁体を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の蛍光標識化スフィンゴシン1−リン酸Sアナログ体は、一般式(I)
【化1】

【0010】
(式中、Qは水素原子またはアミノ基の保護基またはアシル基であり、Q2は水素原子または水酸基の保護基であり、Wは蛍光標識基であり、Xは炭素数1〜15のアルキレン基であり、Yは 水酸基または置換基を有してもよい低級アルコキシ基であり、Zは水酸基、置換基を有してもよい低級アルコキシ基または酸素アニオンであり、Zが酸素アニオンの場合にはYと一体となってイオン対を形成していてもよい。QおよびQは一体となって環を形成していてもよい。)で表されることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の蛍光標識化スフィンゴシン1−リン酸Sアナログ体は、蛍光標識基部位を有し、かつリン酸エステル部分が加水分解されにくいので、スフィンゴシン−1−リン酸の細胞内の局在場所や代謝物の挙動を解明、スフィンゴシン−1−リン酸の受容体との複合体の挙動を解明するのに有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の蛍光標識化スフィンゴシン1−リン酸Sアナログ体は、一般式(I)
【化2】

【0013】
(式中、Qは水素原子またはアミノ基の保護基またはアシル基であり、Q2は水素原子または水酸基の保護基であり、Wは蛍光標識基であり、Xは炭素数1〜15のアルキレン基であり、Yは 水酸基または置換基を有してもよい低級アルコキシ基であり、Zは水酸基、置換基を有してもよい低級アルコキシ基または酸素アニオンであり、Zが酸素アニオンの場合にはYと一体となってイオン対を形成していてもよい。QおよびQは一体となって環を形成していてもよい。)で表されることを特徴とする。
【0014】
本発明における低級アルコキシ基とは、枝分かれを有していてもよい炭素数1から8のアルキルオキシ基であり、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、t−ブチルオキシ基、ペンチルオキシ基等を例示することができる。
【0015】
低級アルコキシ基の置換基としては特に制限はないが、たとえば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、水酸基、低級アルコキシ基、アミノ基、アンモニウム基等を例示することができ、Zが酸素アニオンの場合にはYと一体となってイオン対を形成していてもよく、例えば、実施例5の生成物(15)に示すように、Z(酸素アニオン)がY(アンモニウム基を置換基として有するアルコキシ基)と一体となってイオン対を形成していてもよい。
【0016】
本発明のアミノ基の保護基としては、公知のアミノ基の保護基はいずれも使用でき、たとえばメトキシカルボニル基、t−ブトキシキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、アセチル基、トリフルオロアセチル基、ベンジル基等を挙げることができる。
【0017】
本発明の水酸基の保護基としては、公知の水酸基の保護基はいずれも使用でき、たとえばトリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、メトキシメチル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、p−メトキシベンジル基等を例示することができる。
【0018】
およびQが一体となって環を形成している保護基の例としては、ジフェニルマレイミド環、フタルイミド環、ジチアコハク酸イミド環、テトラメチルジシラザシクロペンタン環、テトラメチルジシライソインドリン環等を例示することができる。
【0019】
本発明の蛍光標識基は、アミノ基と結合することが可能な蛍光標識ユニットであれば何ら限定されることはなく、たとえば、7−ニトロベンゾ−2−オキサ−1,3−ジアゾール基、7−ニトロベンゾ[1,2,5]オキサジアゾール基、アントラセニル基、ダンシル基等を例示することができる。
【0020】
本発明の一般式(I)で表される化合物は、ビニル基を有するチオアミノアルコール類からたとえばメタセシス反応を利用し、下記反応式に示すように、水酸基やアミノ基を保護・脱保護・官能基変換することにより容易に製造することができる。
【化3】

【0021】
メタセシス反応には、既存の各種メタセシス触媒が好適に用いられるが、中でもルテニウムカルベン錯体が、反応効率の点で好ましい。
【0022】
上記メタセシス反応は、反応に関与しない溶媒中で行うことが好ましく、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン等のハロゲン化溶媒等を例示することができる。
【0023】
メタセシス反応温度は、0℃ないし150℃の温度範囲から適宜選択することができるが、反応速度ならびに経済的観点から室温ないし80℃の範囲が好ましい。
以下、本発明を実施例および参考例によりさらに詳しく説明する。
【実施例】
【0024】
(参考例1)
【化4】

【0025】
(2S)-N-メチル-N-メトキシ-3-ベンジルチオ-2-t-ブトキシカルボニルアミノ−プロピオンアミド(1)(3.00 g, 8.46 mmol)のTHF(32.55 ml)溶液に、室温でマグネシウムブロマイドの1.0M THF溶液(33.85 ml, 33.85 mmol)を滴下した。30分攪拌した後、反応混合物を2N HCl と氷の混合物に滴下し、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮を行った。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー (ヘキサンに9〜25%の酢酸エチルを溶かしたもの) により精製し、(2S)-1-ベンジルチオ-2-t-ブトキシカルボニルアミノ-4-ペンテン-3-オン(2)(2.11 g, 78%)を得た。(2S)-1-ベンジルチオ-2-t-ブトキシカルボニルアミノ-4-ペンテン-3-オンのIR 、1H NMR、13C NMRデータを以下に示す。
【0026】
IR( NaCl neat ) = 3376, 2982, 1682, 1510, 1277, 1163 cm-1
1H NMR (CDCl3, 400MHz) δ: 7.28 ( m, 5H ), 6.44 ( dd, J= 17.3, 10.5 Hz, 1H ), 6.33 ( dd, J= 17.3, 1.2 Hz, 1H ), 5.84 ( dd, J= 10.2, 1.2 Hz, 1H ), 5.46-5.37 ( brm, 1H ), 4.75 ( m, 1H ), 3.73 ( s, 2H ), 2.89 ( dd, J= 13.7, 5.6 Hz, 1H ), 2.67 ( dd, J= 13.9, 6.1 Hz, 1H ), 1.46 ( s, 9H )
13C NMR (CDCl3, 100MHz) δ: 196.7, 155.0, 137.5, 132.7, 130.2, 128.8, 128.4, 127.0, 79.8, 56.3, 36.4, 32.6, 28.1
【0027】
(参考例2)
【化5】

【0028】
(2S)-1-ベンジルチオ-2-t-ブトキシカルボニルアミノ-4-ペンテン-3-オン(2)(8.38 g, 26.08 mmol)のエタノール(130.38 ml)とTHF(30.00 ml)の混合溶液に、-78 ℃でリチウムトリ−t−ブトキシアルミニウムハイドライド(14.58 g, 57.37 mmol)を加え、同温にて15分攪拌した。反応混合物に2N HCl を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮を行った。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー (ヘキサンに9〜33%の酢酸エチルを溶かしたもの) により精製し、(2S,3R)-1-ベンジルチオ-2-t-ブトキシカルボニルアミノ-3-ヒドロキシ-4-ペンテン(3) (8.28 g, 98%)を得た。(2S,3R)-1-ベンジルチオ-2-t-ブトキシカルボニルアミノ-3-ヒドロキシ-4-ペンテンのIR 、1H NMR、13C NMRデータを以下に示す。
【0029】
IR( KBr disk ) = 3351, 2982, 1686, 1528, 1292, 1173, 1013 cm-1
1H NMR (CDCl3, 400MHz) δ: 7.28 ( m, 5H ), 5.79 ( ddd, J= 17.3, 10.5, 5.6 Hz, 1H ), 5.30 ( ddd, J= 17.3, 1.5, 1.5 Hz, 1H ), 5.20 ( ddd, J= 10.5, 1.5, 1.5 Hz, 1H ), 4.90-4.77 ( brm, 1H ), 4.27 ( m, 1H ), 3.82 ( m, 1H ), 3.73 ( s, 2H ), 2.83-2.75 ( brm, 1H ), 2.63 ( dd, J= 13.9, 4.9 Hz, 1H ), 2.54 ( dd, J= 13.9, 7.8 Hz, 1H ), 1.46 ( s, 9H )
13C NMR (CDCl3, 100MHz) δ: 156.3, 137.9, 136.6, 128.9, 128.5, 127.1, 116.9, 79.9, 74.5, 54.0, 36.4, 31.6, 28.3,
【0030】
(参考例3)
【化6】

【0031】
リチウム(0.63 g, 90.37 mmol)の液体アンモニア(338.90 ml)溶液に、-78 ℃で(2S,3R)-1-ベンジルチオ-2-t-ブトキシカルボニルアミノ-3-ヒドロキシ-4-ペンテン(3)(7.31 g, 22.59 mmol)のTHF(112.97 ml)溶液を加え、3時間還流した。反応混合物に塩化アンモニウムを加え、室温にてアンモニアを濃縮した後水を加え酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮を行った。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー (ヘキサンに9〜33%の酢酸エチルを溶かしたもの) により精製し、(2S,3R)-1-メルカプト-2-t-ブトキシカルボニルアミノ-3-ヒドロキシ-4-ペンテン(4)(5.22 g, 99%)を得た。(2S,3R)-1-メルカプト-2-t-ブトキシカルボニルアミノ-3-ヒドロキシ-4-ペンテンのIR 、1H NMR、13C NMRデータを以下に示す。
【0032】
IR( KBr disk ) = 3358, 2980, 1688, 1530, 1171 cm-1
1H NMR (CDCl3, 400MHz) δ: 5.90 ( ddd, J= 17.3, 10.5, 5.6 Hz, 1H ), 5.37 ( ddd, J= 17.3, 1.5, 1.5 Hz, 1H ), 5.27 ( ddd, J= 10.5, 1.5, 1.5 Hz, 1H ), 4.99-4.88 ( brm, 1H ), 4.31 ( m, 1H ), 3.88 ( m, 1H ), 2.77 ( dd, J= 8.5, 6.6 Hz, 1H ), 2.75 ( dd, J= 8.8, 4.7 Hz, 1H ), 1.46 ( s, 9H )
13C NMR (CDCl3, 100MHz) δ: 156.0, 137.0, 117.1, 79.9, 73.9, 56.0, 28.3, 25.2
【0033】
(参考例4)
【化7】

【0034】
(2S,3R)-1-メルカプト-2-t-ブトキシカルボニルアミノ-3-ヒドロキシ-4-ペンテン(4)(1.00 g, 4.29 mmol)のDMF(21 ml)溶液に0 oCでジメチルアミノピリジン(0.52 g, 4.29 mmol)、トリエチルアミン(1.51ml, 10.72 mmol)、t−ブチルジメチルシリルクロライイド(1.62 g, 10.72 mmol)を順次加えた。そのままの温度で3時間攪拌した後、反応混合物に氷を加え、ジエチルエーテルで抽出した。有機層を飽和食塩水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮を行った。残渣のTHF(10.41 ml)溶液に-78 ℃でテトラブチルアンモニウムフルオリド(1.07 g, 4.07 mmol)のTHF溶液を加え、同温にて10分間攪拌した。反応混合物に塩化アンモニウムを加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮を行った。残渣の水(21.53 ml)とアセトニトリル(85.72 ml)の混合溶媒に、室温にてトリブチルホスフィン(1.06 ml, 4.27 mmol)を加え1時間攪拌した。反応混合物に塩化アンモニウムを加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮を行った。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー (ヘキサンに1〜9%の酢酸エチルを溶かしたもの) により精製し、(2S,3R)-1-メルカプト-2-t-ブトキシカルボニルアミノ-3-t-ブチルジメチルシリルオキシ-4-ペンテン(5) ( 0.77 g, 52%)を得た。
【化8】

【0035】
次いで、得られた(2S,3R)-1-メルカプト-2-t-ブトキシカルボニルアミノ-3-t-ブチルジメチルシリルオキシ-4-ペンテン(5)(0.10 g, 0.288 mmol)の塩化メチレン(5.76 ml)溶液に、0 oCで四臭化炭素(0.24g, 0.719 mmol)と亜リン酸エステル(0.085 ml, 0.719 mmol)、2,-6ルチジン(0.076 ml, 0.576 mmol)を順次加え、同温にて1時間攪拌した。反応混合物を濃縮し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー (ヘキサンに5〜33%の酢酸エチルを溶かしたもの) により精製し、(2S,3R)-1-ジメチルホスホリルチオ-2-t-ブトキシカルボニルアミノ-3-t-ブチルジメチルシリルオキシ-4-ペンテン(6) ( 0.078 g, 59%)を得た。(2S,3R)-1-ジメチルホスホリルチオ-2-t-ブトキシカルボニルアミノ-3-t-ブチルジメチルシリルオキシ-4-ペンテンのIR 、1H NMR、13C NMRデータを以下に示す。
【0036】
IR( NaCl neat ) = 3324, 2955, 2259, 1713, 1254, 1024 cm-1
1H NMR (CDCl3, 400MHz) δ: 5.80 ( ddd, J= 15.6, 10.5, 5.4 Hz, 1H ), 5.29 ( dd, J= 15.6, 1.2 Hz, 1H ), 5.19 ( dd, J= 10.5, 1.2 Hz, 1H ), 5.22-5.16 ( brm, 1H ), 4.34 ( m, 1H ), 3.80 ( d, J= 12.7 Hz, 3H ), 3.78 ( d, J= 12.7 Hz, 3H ), 3.75 (m, 1H ), 3.03 ( ddd, J= 16.4, 13.7, 3.9 Hz, 1H ), 2.92 ( m, 1H ), 1.46 ( s, 9H )
13C NMR (CDCl3, 100MHz) δ: 155.3, 137.5, 116.4, 79.2, 74.6, 55.9, 53.8 ( Jc-p= 5.8 ), 53.7( Jc-p= 5.8 ), 30.0, 28.3, 25.7, 18.0, -4.6, -5.2
【0037】
(参考例5)
【化9】

【0038】
(2S,3R)-1-ジメチルホスホリルチオ-2-t-ブトキシカルボニルアミノ-3-t-ブチルジメチルシリルオキシ-4-ペンテン(6)(0.235 g, 0.516 mmol)のTHF(5.16 ml)溶液に、室温で2N HCl 水溶液(2.06 ml)を加え6時間攪拌した。反応混合物に飽和炭酸水素ナトリウムを加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮を行った。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー (ヘキサンに12〜67%の酢酸エチルを溶かしたもの) により精製し、(2S,3R)-1-ジメチルホスホリルチオ-2-t-ブトキシカルボニルアミノ-3-ヒドロキシ-4-ペンテン(7) (0.176 g, 75%)を得た。(2S,3R)-1-ジメチルホスホリルチオ-2-t-ブトキシカルボニルアミノ-3-ヒドロキシ-4-ペンテンのIR 、1H NMR、13C NMRデータを以下に示す。
【0039】
IR( NaCl neat ) = 3376, 2978, 1699, 1526, 1246, 1029 cm-1
1H NMR (CDCl3, 400MHz) δ: 5.89 ( ddd, J= 16.9, 10.5, 5.5 Hz, 1H ), 5.36 ( d, J= 17.4 Hz, 1H ), 5.25 ( d, J= 10.6 Hz, 1H ), 5.27-5.22 ( brm, 1H ), 4.23 ( m, 1H ), 3.81 ( d, J= 11.9 Hz, 3H ), 3.79 ( d, J= 11.9 Hz, 3H ), 3.81 ( m, 1H ), 3.39 ( brm, 1H ), 3.19 ( m, 2H), 1.44 ( s, 9H )
13C NMR (CDCl3, 100MHz) δ: 156.0, 136.7, 117.2, 79.9, 73.9, 54.2 ( Jc-p= 5.8 ), 54.1 ( Jc-p= 5.8 ), 31.0, 28.3
【0040】
(参考例6)
【化10】

【0041】
四臭化炭素( 0.953 g, 2.87 mmol )のピリジン( 2.10 ml )溶液に0 ℃で、亜リン酸エステル( 0.43 ml, 2.87 mmol )を加え、続いて(2S,3R)-1-メルカプト-2-t-ブトキシカルボニルアミノ-3-t-ブチルジメチルシリルオキシ-4-ペンテン(5)( 300 mg, 0.836 mmol )のピリジン( 2.09 ml )溶液を加えた後、同温にて3時間攪拌し、反応混合物を濾過し、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮を行った。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー (ヘキサンに9〜25%の酢酸エチルを溶かしたもの) により精製し、(2S,3R)-1-[(2-ブロモエチル)-メチルホスホリルチオ]-2-t-ブトキシカルボニルアミノ-3-t-ブチルジメチルシリルオキシ-4-ペンテン(10)( 332 mg, 72% )を得た。(2S,3R)-1-[(2-ブロモエチル)-メチルホスホリルチオ]-2-t-ブトキシカルボニルアミノ-3-t-ブチルジメチルシリルオキシ-4-ペンテンのIR 、1H NMR、13C NMRデータを以下に示す。
【0042】
IR( NaCl neat ) = 3327, 2957, 2857, 1711, 1522, 1254, 1017 cm-1
1H NMR (CDCl3, 400MHz) δ: 5.79 ( ddd, J= 16.9, 10.5, 5.2 Hz, 1H ), 5.30 ( d, J= 17.2 Hz, 1H ), 5.20 ( d, J= 10.5 Hz, 1H ), 5.17-5.09 ( brm, 1H ), 4.43-4.27 ( m, 3H ), 3.82 ( d, J= 12.6 Hz, 3/2H ), 3.80 ( d, J= 12.6 Hz, 3/2H ), 3.76 ( m, 1H ), 3.54 ( t, J= 6.5 Hz, 2/2H ), 3.52 ( d, J= 5.5 Hz, 2/2H ), 3.071 ( ddd, J= 17.2, 13.7, 7.3 Hz, 1/2H ), 3.065 ( m, 1/2H ), 2.935 ( ddd, J= 16.2, 13.7, 10.1 Hz, 1/2H ), 2.935 ( ddd, J= 17.2, 13.7, 10.1 Hz, 1/2H ), 1.44 ( s, 9/2H ), 1.43 ( s, 9/2H ), 0.90 ( s, 9H ), 0.05 ( s, 3H ), 0.01 (s, 3H )
13C NMR (CDCl3, 100MHz) δ: 155.3, 137.4, 116.6, 79.4, 74.7 ( 1/2C ), 74.6 (1/2C ), 66.2 ( Jc-p= 4.5 Hz ), 44.8, 54.0 ( Jc-p= 5.4 Hz ), 30.3 (1/2C ), 30.1 ( 1/2C ), 20.1 ( m ), 28.3, 25,7, 18.0, -4.6, -5.2
【0043】
(参考例7)
【化11】

【0044】
(2S,3R)-1-[(2-ブロモエチル)-メチルホスホリルチオ]-2-t-ブトキシカルボニルアミノ-3-t-ブチルジメチルシリルオキシ-4-ペンテン(10)(0.326 g, 0.594 mmol)のメタノール(5.94 ml)溶液に、室温で2N HCl 水溶液(1.19 ml)を加え4時間攪拌した。反応混合物に飽和炭酸水素ナトリウムを加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮を行った。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー (ヘキサンに9〜50%の酢酸エチルを溶かしたもの) により精製し、(2S,3R)-1-[(2-ブロモエチル)-メチルホスホリルチオ]-2-t-ブトキシカルボニルアミノ-3-ヒドロキシ-4-ペンテン(12) (0.213 g, 83%)を得た。(2S,3R)-1-[(2-ブロモエチル)-メチルホスホリルチオ]-2-t-ブトキシカルボニルアミノ-3-ヒドロキシ-4-ペンテンのIR 、1H NMR、13C NMRデータを以下に示す。
【0045】
IR( NaCl neat ) = 3403, 2978, 1701, 1524, 1248, 1171, 1017 cm-1
1H NMR (CDCl3, 400MHz) δ: 5.89 ( ddd, J= 16.9, 10.6, 5.7 Hz, 1H ), 5.38 ( d, J= 17.2 Hz, 1H ), 5.27 ( d, J= 10.6 Hz, 1H ), 5.23-5.15 ( brm, 1H ), 3.13 ( m, 3H ), 4.26 ( m, 1H ), 3.87 ( m, 1H ), 3.85 ( d, J= 12.6 Hz, 3/2H ), 3.83 ( d, J= 12.6 Hz, 3/2H ), 3.87 ( m, 1H ), 3.563 ( t, J= 6.1 Hz, 2/2H ), 3.559 ( t, J= 6.1 Hz, 2/2H ), 3.21-3.04 ( m, 2H ), 1.451 ( s, 9/2 ), 1.447 ( s, 9/2 )
13C NMR (CDCl3, 100MHz) δ: 155.8, 136.8, 116.9, 79.6, 73.8, 66.4 ( Jc-p= 5.8 Hz ), 55.2, 54.2 ( Jc-p= 5.8 Hz ), 31.1 ( 1/2C ), 31.0 ( 1/2C ), 29.1 ( m ), 28.2
【0046】
(実施例1)
【化12】

【0047】
(2S,3R)-1-ジメチルホスホリルチオ-2-t-ブトキシカルボニルアミノ-3-ヒドロキシ-4-ペンテン(7)(30 mg, 0.879 mmol)の ジクロロメタン(1.76 ml)溶液に室温で11-(7-ニトロベンゾ[1,2,5]オキサジアゾール-4-イルアミノ)-1-ウンデセン(11)( 117 mg, 0.352 mmol )を加え、続いてトリシクロホスフィン[1,3-ビス(2,4,6-トリメチルフェニル)-4,5-ジヒドロイミダゾル-2-イリデン](ベンジリデン)ルテニウム(IV)ジクロリド( 2 mg, 0.00264 mmol )を加え、反応混合物を2時間還流した。反応混合物を減圧濃縮した後、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサンに12〜67%の酢酸エチルを溶かしたもの)により分離・精製し、(2S,3R,4E)-1-ジメチルホスホリルチオ-2-t-ブトキシカルボニルアミノ-3-ヒドロキシ-14-(7-ニトロベンゾ[1,2,5]オキサジアゾール-4-イルアミノ)-4-テトラデセン(8) (48 mg, 85%)を得た。(2S,3R,4E)-1-ジメチルホスホリルチオ-2-t-ブトキシカルボニルアミノ-3-ヒドロキシ-14-(7-ニトロベンゾ[1,2,5]オキサジアゾール-4-イルアミノ)-4-テトラデセンのIR 、1H NMR、13C NMRデータを以下に示す。
【0048】
IR( KBr disk ) = 3407, 2928, 1701, 1586, 1530, 1300, 1022 cm-1
1H NMR (CDCl3, 400MHz) δ: 8.49 ( d, J= 8.7 Hz, 1H ), 6..44-6.38 ( brm, 1H ), 6.17 ( d, J= 8.7 Hz, 1H ), 5.75 ( dt, J= 15.1, 7.3 Hz, 1H ), 5.48 ( dd, J= 15.1, 7.3 Hz, 1H ), 5.21-5.15 ( brm, 1H ), 4.13 ( m, 1H ), 3.83 ( d, J= 11.5 Hz, 3H ), 3.79 ( d, J= 11.5 Hz, 3H ), 3.81 (m, 1H ), 3.48 ( dt, J= 6.8, 6.4 Hz, 2H ), 3.14 ( m, 2H ), 2.04 ( dt, J= 7.3, 6.4 Hz, 2H ), 1.80 ( tt, J= 7.3, 7.3 Hz, 2H ), 1.59 ( s, 9H ), 1.48-1.22 ( m, 12H )
13C NMR (CDCl3, 100MHz) δ: 155.9, 144.23, 144.16, 143.9, 136.6, 134.4, 128.3, 123.1, 98.5, 79.7, 73.8, 55.6, 54.14( Jc-p= 5.8 ), 54.09 ( Jc-p= 5.8 ), 44.0, 32.1, 31.1, 29.2, 29.1, 29.0, 28.9, 28.8, 28.2, 26.8
【0049】
(実施例2)
【化13】

【0050】
(2S,3R,4E)-1-ジメチルホスホリルチオ-2-t-ブトキシカルボニルアミノ-3-ヒドロキシ-14-(7-ニトロベンゾ[1,2,5]オキサジアゾール-4-イルアミノ)-4-テトラデセン(8)(108 mg, 0.167 mmol)のジクロロメタン(0.83 ml)溶液に室温でトリメチルシリルブロミド(0.22 ml, 1.67 mmol)を加え2時間攪拌し、反応混合物を減圧濃縮した。残渣にメタノール(0.83 ml)を加え室温にて1時間攪拌し、反応混合物を減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー (クロロホルムに9〜33%のメタノールを溶かしたもの) により精製し、(2S,3R,4E)-1-ホスホリルチオ-2-t-ブトキシカルボニルアミノ-3-ヒドロキシ-14-(7-ニトロベンゾ[1,2,5]オキサジアゾール-4-イルアミノ)-4-テトラデセン(9)(70 mg, 80%)を得た。(2S,3R,4E)-1-ホスホリルチオ-2-t-ブトキシカルボニルアミノ-3-ヒドロキシ-14-(7-ニトロベンゾ[1,2,5]オキサジアゾール-4-イルアミノ)-4-テトラデセンのIR 、1H NMR、13C NMRデータを以下に示す。
【0051】
IR( KBr disk ) = 3414, 2924, 1586, 1499, 1300 cm-1
1H NMR (CD3OD, 400MHz) δ: 8.44 ( d, J= 8.9 Hz, 1H ), 6.28 ( d, J= 8.9 Hz, 1H ), 5.83 ( dt, J= 15.6, 6.9 Hz, 1H ), 5.44 ( dd, J= 15.3, 6.6 Hz, 1H ), 4.28 ( dd, J= 5.7, 5.7 Hz, 1H ), 3.48 ( m, 2H ), 3.29 ( m, 1H ), 3.01 ( ddd, J= 15.9, 15.9, 3.9 Hz, 1H ), 2.85 ( ddd, J= 31.4, 16.2, 8.9 Hz, 1H ), 2.05 ( dt, J= 7.1, 6.9 Hz, 2H ), 1.73 ( tt, J= 7.1, 7.1 Hz, 2H ), 1.45-1.23 ( m, 12H )
13C NMR (CDCl3, 100MHz) δ: 146.6, 145.8, 145.4, 138.6, 137.0, 127.9, 122.7, 99.6, 72.2, 58.8, 44.9, 33.4, 30.54, 30.45, 30.35, 30.26, 30.08, 29.3, 29.0( Jc-p= 511.4 ), 28.0
【0052】
(実施例3)
【化14】

【0053】
(2S,3R)-1-[(2-ブロモエチル)-メチルホスホリルチオ]-2-t-ブトキシカルボニルアミノ-3-ヒドロキシ-4-ペンテン(12)(207 mg, 0.477 mmol)の ジクロロメタン(4.77 ml)溶液に室温で11-(7-ニトロベンゾ[1,2,5]オキサジアゾール-4-イルアミノ)-1-ウンデセン(11)( 634 mg, 1.906 mmol )を加え、続いてトリシクロホスフィン[1,3-ビス(2,4,6-トリメチルフェニル)-4,5-ジヒドロイミダゾル-2-イリデン](ベンジリデン)ルテニウム(IV)ジクロリド( 12 mg, 0.0143 mmol )を加え、反応混合物を2時間還流した。反応混合物を減圧濃縮した後、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサンに9〜50%の酢酸エチルを溶かしたもの)により分離・精製し、(2S,3R,4E)-1-[(2-ブロモエチル)-メチルホスホリルチオ]-2-t-ブトキシカルボニルアミノ-3-ヒドロキシ-14-(7-ニトロベンゾ[1,2,5]オキサジアゾール-4-イルアミノ)-4-テトラデセン(13) (315 mg, 90%)を得た。(2S,3R,4E)-1-[(2-ブロモエチル)-メチルホスホリルチオ]-2-t-ブトキシカルボニルアミノ-3-ヒドロキシ-14-(7-ニトロベンゾ[1,2,5]オキサジアゾール-4-イルアミノ)-4-テトラデセンのIR 、1H NMR、13C NMRデータを以下に示す。
【0054】
IR( NaCl neat ) = 3337, 2928, 1701, 1586, 1300, 1013 cm-1
1H NMR (CDCl3, 400MHz) δ: 8.50 ( d, J= 8.7 Hz, 1H ), 6.42-6.33 ( brm, 1H ), 6.17 ( d, J= 8.7 Hz, 1H ), 5.75 ( dt, J= 15.4, 6.6 Hz, 1H ), 5.48 ( dd, J= 15.4, 6.6 Hz, 1H ), 5.19-5.09 ( brm, 1H ), 4.37 ( m, 2H ), 4.17 ( m, 1H ), 3.85 ( d, J= 12.6 Hz, 3/2H ), 3.827 ( d, J= 12.6 Hz, 3/2H ), 3.83 ( m, 1H ), 3.561 ( t, J= 6.4 Hz, 2/2H ), 3.556 ( t, J= 6.4 Hz, 2/2H ), 3.49 ( td, J= 7.1, 6.2 Hz, 1H ), 3.21-3.00 ( m, 2H ), 2.04 ( dt, J= 7.1, 6.8 Hz, 2H ), 1.81 ( tt, J= 7.3, 7.3 Hz, 2H ), 1.443 ( s, 9/2H ), 1.439 ( s, 9/2H ), 1.48-1.25 ( m, 12H )
13C NMR (CDCl3, 100MHz) δ: 155.9, 144.2, 143.9, 136.6, 134.5, 128.2, 123.3, 98.4, 79.7, 73.8, 66.5 ( Jc-p= 5.7 Hz ), 55.5, 54.3 ( Jc-p= 6.8 Hz ), 44.0, 31.3, 29.6, 29.2, 29.2-29.1 ( m ), 29.1, 29.0, 28.9, 28.8, 28.3, 26.8
【0055】
(実施例4)
【化15】

【0056】
(2S,3R,4E)-1-[(2-ブロモエチル)-メチルホスホリルチオ]-2-t-ブトキシカルボニルアミノ-3-ヒドロキシ-14-(7-ニトロベンゾ[1,2,5]オキサジアゾール-4-イルアミノ)-4-テトラデセン(13)(102 mg, 0.138 mmol)のジクロロメタン(1.38ml)溶液に0 ℃でトリフルオロ酢酸(0.28 ml)を同温にて加え、1.5時間攪拌した。反応混合物に1NNaOHを加えpH9とした後、同温にて塩化パルミトイル(76 mg, 0.0276 mmol)を加え20分攪拌した。反応混合物に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を飽和食塩水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮を行った。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー (クロロホルムに0〜5%のメタノールを溶かしたもの) により精製し、(2S,3R,4E)-1-[(2-ブロモエチル)-メチルホスホリルチオ]-2-ヘキサデカノイルアミン-3-ヒドロキシ-14-(7-ニトロベンゾ[1,2,5]オキサジアゾール-4-イルアミノ)-4-テトラデセン(14)( 92 mg, 76% )を得た。(2S,3R,4E)-1-[(2-ブロモエチル)-メチルホスホリルチオ]-2-ヘキサデカノイルアミン-3-ヒドロキシ-14-(7-ニトロベンゾ[1,2,5]オキサジアゾール-4-イルアミノ)-4-テトラデセンのIR 、1H NMR、13C NMRデータを以下に示す。
【0057】
IR( NaCl neat ) = 3291, 2924, 2853, 1586, 1300, 1015 cm-1
1H NMR (CDCl3, 400MHz) δ: 8.49 ( d, J= 8.4 Hz, 1H ), 6.56-6.54 ( brm, 1H ), 6.17 ( d, J= 8.7 Hz, 1H ), 5.74 ( dt, J= 15.3, 6.9 Hz, 1H ), 5.46 ( dd, J= 15.3, 6.6 Hz, 1H ), 4.35 ( m, 2H ), 4.18 ( m, 1H ), 3.83 ( d, J= 12.9 Hz, 3/2H ), 3.82 ( d, J= 12.9 Hz, 3/2H ), 3.55 ( t, J= 6.1 Hz, 2/2H ), 3.54 ( t, J= 6.1 Hz, 2/2H ), 3.49 ( td, J= 7.1, 6.4 Hz, 1H ), 3.12 ( m, 2H ), 2.23 ( m, 2H ), 2.03 ( dt, J= 6.6, 6.6 Hz, 2H ), 1.81 ( tt, J= 7.1, 7.1 Hz, 2H ), 1.62 ( tt, J= 7.3, 7.3 Hz, 2H ), 1.45 ( tt, J= 6.6, 6.6 Hz, 2H ), 1.40-1.17 ( m, 34H ), 0.87 ( t, J= 6.8 Hz, 3H )
13C NMR (CDCl3, 100MHz) δ: 174.4 ( 1/2 ), 144.2, 143.9, 136.6, 134.5, 128.2, 123.3, 98.4, 74.2 ( 1/2 ), 74.1 ( 1/2 ), 66.8 ( Jc-p= 5.8 Hz ), 54.9 ( m ), 54.5 ( Jc-p= 6.7 Hz ), 44.0, 36.6, 35.9, 32.1, 31.8, 30.6, 29.6, 29.5, 29.4, 29.33, 29.27, 29.2, 29.1, 29.0, 28.9, 28.8, 28.3, 26.8, 25.7, 25.5, 22.6, 14.0
【0058】
(実施例5)
【化16】

【0059】
(2S,3R,4E)-1-[(2-ブロモエチル)-メチルホスホリルチオ]-2-ヘキサデカノイルアミノ-3-ヒドロキシ-14-(7-ニトロベンゾ[1,2,5]オキサジアゾール-4-イルアミノ)-4-テトラデセン(14)( 42mg, 0.0479 mmol )のメタノール( 1.00 ml )溶液にトリメチルアミン( 1.00 ml )を加え、室温にて一日攪拌した。反応混合物を濃縮し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー (クロロホルムに13%のメタノールを溶かしたものからクロロホルムに4.3%の水と26.6%のメタノールを溶かしたものまで変化させて) により精製し、(2S,3R,4E)-1-ホスホリルコリン-2-ヘキサデカノイルアミノ-3-ヒドロキシ-14-(7-ニトロベンゾ[1,2,5]オキサジアゾール-4-イルアミノ)-4-テトラデセン(15)( 28 mg, 70% )を得た。(2S,3R,4E)-1-ホスホリルコリン-2-ヘキサデカノイルアミノ-3-ヒドロキシ-14-(7-ニトロベンゾ[1,2,5]オキサジアゾール-4-イルアミノ)-4-テトラデセンのIR 、1H NMR、13C NMRデータを以下に示す。
【0060】
IR( KBr neat ) = 3422, 2924, 2853, 1655, 1586, 1460, 1300, 1256, 1078 cm-1
1H NMR (CDCl3, 400MHz) δ: 8.50, ( d, J= 8.9 Hz, 1H ), 7.93 ( brd, J= 8.5 Hz, 1H ), 6.33 ( d, J= 9.0 Hz, 1H ), 5.68 ( dt, J= 15.3, 6.6 Hz, 1H ), 5.45 ( dd, J= 15.4, 7.1 Hz, 1H ), 4.30 ( m, 2H ), 4.02 ( ddd, J= 6.9, 6.9, 6.9 Hz, 1H ), 3.98 ( m, 1H ), 3.69 ( m, 2H ), 3.52 ( m, 2H ), 3.14 ( ddd, J= 13.8, 12.3, 3.7 Hz, 1H ), 2.84 ( ddd, J= 13.8, 8.7, 2.8 Hz, 1H ), 2.19 ( t, J= 7.6 Hz, 2H ), 2.01 ( dt, J= 6.9, 6.9 Hz, 2H ), 1.78 ( tt, J= 7.3, 7.3 Hz, 2H ), 1.59 ( tt, J= 7.3, 7.3 Hz, 2H ), 1.46-1.22 ( m, 36H ), 0.88 ( t, J= 6.6 Hz, 3H )
13C NMR (CDCl3, 100MHz) δ: 176.2, 146.7, 145.8, 145.6, 138.6, 134.8, 130.9, 122.8, 99.6, 75.1, 67.5, 60.5 ( Jc-p= 5.8 Hz ), 56.1 ( Jc-p= 2.9 Hz ), 54.8, 44.8, 37.4, 33.4, 33.1, 32.7, 30.79, 30.76, 30.68, 30.59, 30.58, 30.55, 30.54, 30.46, 30.43, 30.42, 30.31, 29.3, 28.1, 27.2, 23.7, 14.5

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)
【化1】

(式中、Qは水素原子またはアミノ基の保護基またはアシル基であり、Q2は水素原子または水酸基の保護基であり、Wは蛍光標識基であり、Xは炭素数1〜15のアルキレン基であり、Yは 水酸基または置換基を有してもよい低級アルコキシ基であり、Zは水酸基、置換基を有してもよい低級アルコキシ基または酸素アニオンであり、Zが酸素アニオンの場合にはYと一体となってイオン対を形成していてもよい。QおよびQは一体となって環を形成していてもよい。)で表される蛍光標識化スフィンゴシン1−リン酸Sアナログ体。

【公開番号】特開2007−99710(P2007−99710A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−293183(P2005−293183)
【出願日】平成17年10月6日(2005.10.6)
【出願人】(000180586)株式会社ケミクレア (20)
【出願人】(503092180)学校法人関西学院 (71)
【復代理人】
【識別番号】100111040
【弁理士】
【氏名又は名称】渋谷 淑子
【Fターム(参考)】