説明

蛍光表示管と蛍光表示管の駆動方法

【課題】蛍光表示管の駆動回路において、アノード駆動電圧の有無を検出してグリッド駆動電圧の供給・供給停止を自動的に設定すること。
【解決手段】NAND回路451〜4512は、アノード駆動電圧波形生成部441〜448と省電力設定レジスタ40から供給されるアノード駆動電圧と省電力設定電圧に基づいて、省電力モードのときのアノード駆動電圧の有無を判別し、アノード駆動電圧が全て「0」になると「0」を出力する。そのときAND回路421〜4212は閉じて、グリッドドライバ431〜4312、グリッドG1〜G12に対するグリッド駆動電圧波形生成部511〜5112の出力(グリッド駆動電圧)の供給を停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、蛍光表示管と蛍光表示管の駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図7、図8により、従来の蛍光表示管とその動作について説明する。
まず図7について説明する。
図7(a)は、一般的に用いられている蛍光表示管の駆動回路のブロック図で、K1桁〜K12桁の表示が可能な蛍光表示管の例である。蛍光表示管は、アノード電極・グリッド群AG、電子源用のフィラメントFを備えている。アノード電極・グリッド群AGは、K1〜K12の桁毎にアノード電極群A1〜A12(図7(b1))、メッシュ状のグリッドG1〜G12(図7(b2))を備えている。各アノード電極群A1〜A12は、蛍光体を塗布したセグメント型の複数のアノード電極を備えている。アノード電極群A1〜A12とグリッドG1〜G12は、桁毎に対向している。したがって各桁のアノード電極群、例えばアノード電極群A1の複数のアノード電極は、グリッドG1に対向しており、フィラメントFからアノード電極群A1の複数のアノード電極へ到達する電子は、グリッドG1によって制御される。即ちフィラメントFの電子は、グリッドG1にグリッド駆動電圧を印加するとアノード電極へ到達し、グリッド電圧を印加しないと到達しない。
【0003】
グリッドドライバ部22gは、グリッドG1〜G12をG1,G2,・・・,G12の順に走査して時分割的にパルス状のグリッド駆動電圧を各グリッドに印加する。アノードドライバ部22aは、グリッドの走査に同期してアノード電極群A1〜A12をA1,A2,・・・,A12の順に走査して時分割的にパルス状のアノード駆動電圧をアノード電極に印加する。アノード駆動電圧は、CPU等からなる制御部11に格納されている表示データに対応して生成する。
フィラメントF、グリッドG1〜G12、アノード電極群A1〜A12は、図7(c)のように配置されていて、フィラメントFから放出された電子は、グリッドG1〜G12により引き出され、対向するアノード電極群A1〜A12を照射する。例えばグリッドG1にグリッド駆動電圧を印加すると、フィラメントFから放出された電子は、アノード電極群A1に到達してアノード電極群A1の複数のアノード電極の内、表示データに対応して選択されたアノード電極にアノード駆動電圧が印加され、そのアノード電極の蛍光体が発光する。アノード電極群A2〜A12についても同様である。
【0004】
図8は、従来一般に行われているダイナミック駆動方式におけるグリッド駆動電圧の印加手順を説明する図で、で、図8(a)は、アノード電極群の構成を示し(図7(b1)と同じ)、図8(b)と図8(c)は、グリッドG1〜G12にグリッド駆動電圧を印加するときのタイミングチャートを示す。
図8(b)は、通常の駆動方式のタイミングチャートで、グリッドG1〜G12には、タイミングT1,T2,・・・、T12の順にグリッド駆動電圧が印加され、T1〜T12の周期で繰り返す。
図8(b)の駆動方式は、例えばK1桁、K2桁を表示しないとき(K1桁、K2桁のアノード電極群を点灯しないとき)にも、タイミングT1、T2においてグリッドG1,G2にグリッド駆動電圧を印加するから、表示に寄与しない無駄な電力を消費することになる。
【0005】
そこで図8(b)の駆動方式における無駄な電力を低減するため、図8(c)のように、タイミングT1、T2においてグリッドG1,G2に印加するグリッド駆動電圧の供給を停止する駆動方式が提案されている(特許文献1参照)。
図8(c)の駆動方式は、グリッドG1、G2のグリッド駆動電圧の供給を停止するため、事前に図7の制御部11のメモリ等にそのグリッド駆動電圧の供給停止を設定しておき、タイミングT1、T2においてグリッド駆動電圧が供給されないように構成してある。
【0006】
【特許文献1】特開平2000−11926号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の図8(c)の駆動方式は、事前に表示内容を検討して表示しない桁を選定し、その桁のグリッド駆動電圧の供給停止を図7の制御部11に設定しなければならないから、その選定や設定の作業が面倒である。また表示内容により表示の期間中短期間だけ表示するような表示頻度の低い桁もあるが、その桁は、事前にグリッド駆動電圧の供給停止を設定できないから、その短期間以外の期間は無駄な電力を消費することになる。
本願発明は、前記問題点に鑑み、常時表示する表示頻度の高い桁や短期間だけ表示する表示頻度の低い桁が混在する表示内容であっても、表示に使用しない桁を自動的に検出してその桁の省電力設定を自動的に行なうことができる蛍光表示管及び蛍光表示管の駆動方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明は、その目的を達成するため、請求項1に記載の蛍光表示管の駆動方法は、フィラメント、複数のグリッド及び複数のアノード電極群を備え、グリッドとアノード電極群は、桁毎に対向し、桁毎にグリッドとアノード電極群を走査してグリッドにグリッド駆動電圧を供給しアノード電極群のアノード電極にアノード駆動電圧を供給する蛍光表示管の駆動方法において、アノード駆動電圧検出回路は、省電力設定部の省電力設定電圧とアノード駆動電圧又は表示データを用いて省電力設定時にアノード駆動電圧又は表示データの全て「0」を検出すると、該当する桁のグリッド駆動電圧供給回路を閉じてグリッドへのグリッド駆動電圧の供給を停止することを特徴とする。
請求項2に記載の蛍光表示管の駆動方法は、請求項1に記載の蛍光表示管の駆動方法において、前記アノード駆動電圧検出回路はNAND回路からなり、前記グリッド駆動電圧供給回路はAND回路からなり、NAND回路には省電力設定電圧を直接入力しアノード駆動電圧又は表示データをインバートして入力し、AND回路にはグリッド駆動電圧とNAND回路の出力を入力することを特徴とする。
請求項3に記載の蛍光表示管は、フィラメント、複数のグリッド及び複数のアノード電極群を備え、グリッドとアノード電極群は、桁毎に対向し、桁毎にグリッドとアノード電極群を走査してグリッドにグリッド駆動電圧を供給しアノード電極群のアノード電極にアノード駆動電圧を供給する蛍光表示管において、省電力設定部、アノード駆動電圧検出回路及びグリッド駆動電圧供給回路を備え、アノード駆動電圧検出回路は、省電力設定部の省電力設定電圧とアノード駆動電圧又は表示データを用いて省電力設定時にアノード駆動電圧又は表示データの全て「0」を検出すると、該当する桁のグリッド駆動電圧供給回路を閉じてグリッドへのグリッド駆動電圧の供給を停止することを特徴とする。
請求項4に記載の蛍光表示管は、請求項3に記載の蛍光表示管において、前記アノード駆動電圧検出回路はNAND回路からなり、前記グリッド駆動電圧供給回路はAND回路からなり、NAND回路には省電力設定電圧を直接入力しアノード駆動電圧又は表示データをインバートして入力し、AND回路にはグリッド駆動電圧とNAND回路の出力を入力することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本願発明は、常時表示に使用する表示頻度の高い桁、短期間だけ表示に使用する表示頻度の低い桁、表示しない桁が混在するような表示内容であっても、アノード駆動電圧の有無を自動的に判別して、アノード駆動電圧が全て0の場合は、該当する桁のグリッドへのグリッド駆動電圧の供給を停止し、アノード駆動電圧が一つでも0でない場合は、該当する桁のグリッドへグリッド駆動電圧を供給する。したがって本願発明は、省電力モードか非省電力モードかを選択するだけ、省電力モードを選択したときは、表示内容に関係なくアノード駆動電圧又は表示データの有無を自動的に検出して、グリッド駆動電圧の供給、供給停止を自動的に行うから、汎用性の高い省電力設定が可能になる。
本願発明は、入出力装置の押ボタン等によって省電力モードを選択(設定)するだけで、アノード駆動電圧が検出されない桁のグリッドのグリッド駆動電圧の供給を自動的に停止するから、従来のように事前に表示内容を検討して、表示しない桁を一々確認して省電力設定を行う必要がない。したがって本願発明は、表示内容に関係なく省電力モードを簡単に設定でき、また表示内容の検討を誤って必要な桁の表示を欠落させてしまうこともない。
【0010】
本願発明は、表示期間中短期間だけ表示する桁が含まれている場合、その桁のグリッドに短期間だけグリッド駆動電圧を供給(印加)し、その短期間以外の期間は、グリッド駆動電圧を供給(印加)しないから省電力効果が大きくなる。
本願発明は、省電力設定部にON,OFF(1,0)を設定するだけでよいから、省力設定部は簡単になり、従来のように非表示桁の設定データを格納するメモリを必要としない。そして本願発明は、省電力設定時のアノード駆動電圧又は表示データ有無の検出にNAND回路を用い、グリッド駆動電圧供給回路にAND回路を用いるから、従来の駆動回路用ICにNAND回路とAND回路を付加するだけでよい。したがって本発明は、蛍光表示管の駆動回路用ICを安価に作製できる。
本願発明の蛍光表示管は、省電力設定の可能な駆動回路を備えているから、無駄な電力を低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1〜図6により本願発明の実施例を説明する。なお図1〜6に共通な部分は同じ符号を使用している。
【実施例】
【0012】
図1は、12桁の表示が可能な蛍光表示管のアノード電極群とグリッドの配置、及び各桁のアノード電極群のアノード電極やグリッドに接続されている配線を示す。なお図1(a2)は、K2〜K12桁の各桁の7個のセグメント電極Se1〜Se7の配置を示す。
図1(b)において、K2〜K12桁の各桁のセグメント電極Se1〜Se12は、アノード配線S1〜S7に接続され、K1桁のREC,USR,MP3,2個の矢印は、夫々アノード配線S1〜S5に接続され、K5桁の「コロン」は、アノード配線S8に接続されている。図1(c)において、グリッドG1〜G12には、グリッド配線g1〜g12が接続されている。
【0013】
図2は、図1の蛍光表示管の駆動回路を示す。
図2において、31は、CPU、32は、キーや押ボタンを備えた入力装置、33は、CPU31からのデータに基づいてグリッドG1〜G12及びアノード電極群A1〜A12へ供給する駆動電圧の生成、その駆動電圧の供給・供給停止等を制御する制御部である。
グリッド駆動電圧波形生成部411〜4112は、CPU31から送られて来るグリッド駆動データに基づいてグリッドG1〜G12に対応するパルス状のグリッド駆動電圧(グリッド駆動電圧波形)を生成する。そのグリッド駆動電圧は、AND回路421〜4212を介してグリッドドライバ431〜4312へ供給される。グリッドドライバ431〜4312は、グリッド配線g1〜g12を介してグリッドG1〜G12へパルス状のグリッド駆動電圧を印加する。
【0014】
アノード駆動電圧波形生成部441〜448は、CPU31から送られて来る表示データに基づいて、アノード電極群A1〜A12の各アノード電極(セグメント)に対応するパルス状のアノード駆動電圧(アノード駆動電圧波形)を生成する。そのアノード駆動電圧は、NAND回路451〜4512と、アノードドライバ461〜468へ供給される。アノードドライバ461〜468は、アノード配線S1〜S8を介してセグメント電極Se1〜Se7,REC,USR,MP3,2個の矢印,コロン等のアノード電極へパルス状のアノード駆動電圧を印加する。
【0015】
NAND回路451〜4512には、アノード駆動電圧の他に、省電力設定レジスタ40からパルス状の省電力設定電圧が供給される。省電力設定部(省電力設定レジスタ)40は、CPU31から送られて来る省電力設定データに基づいて、省電力設定(1)、又は非省電力設定(0)を表すパルス状の省電力設定電圧(省電力設定電圧波形)を生成する。省電力の設定、非設定は、入力装置32によって行う。
省電力レジスタ40に省電力設定をしてあるとき、アノード駆動電圧波形生成部441〜448の出力が全て「0」になると、NAND回路451〜4512の出力は「1」になるから、AND回路421〜4212は開いて、グリッド駆動電圧波形生成部411〜4112のグリッド駆動電圧をグリッドドライバ431〜4312へ供給する。グリッドドライバ431〜4312は、グリッドG1〜G12へグリッド駆動電圧を印加する。アノード駆動電圧波形生成部441〜448の出力が全て又は一部「1」になると、NAND回路451〜4512の出力は「0」になるから、AND回路421〜4212は閉じて、グリッド駆動電圧のグリッドドライバ431〜4312への供給を停止する。
【0016】
次に図3により具体的表示例について説明する。
図3は、省電力設定をしないとき(非省電力設定モード)の駆動例で、図3(a)は表示例を、図3(b)はグリッド駆動電圧のタイミングチャートを、図3(c)はアノード駆動電圧のタイミングチャートを示す。
図3(a)は、「REC」、「13:67」を表示する例で、12桁のアノード電極群の内、K1桁、K3〜K6桁、即ち1桁目と3〜6桁目のアノード電極群を使って表示する。この表示例の場合、K1桁、K3〜K6桁のアノード電極群は、表示に使用するが、K2桁、K7〜K12桁のアノード電極群は、表示に使用しない。
図3(a)の表示を非省電力設定モードで駆動すると、図2のグリッド配線g1〜g12には、図3(b)のように、タイミングT1,T2,・・・,T12においてパルス状のグリッド駆動電圧が供給される。一方アノード配線S1〜S8には、図3(c)のように、タイミングT1,T3,T4,T5,T6においてパルス状のアノード駆動電圧が供給される。したがって非省電力設定モードで駆動する場合には、表示に使用しないK2桁、K7〜K12桁のグリッドにも駆動電圧が印加される。
【0017】
図4は、図3と同じ表示例について、省電力設定したとき(省電力設定モード)のグリッドとアノードの駆動電圧のタイミングチャートを示す。
省電力設定モードの場合、グリッド駆動電圧は、図4(b)のようにタイミングT1、T3、T4、T5、T6においてグリッド配線g1,g3,g4,g5,g6に供給されが、他のグリッド配線には供給されない。一方アノード駆動電圧は、図4(c)のようにタイミングT1,T3,T4,T5,T6においてアノード配線S1〜S8に供給される(図3(c)と同じ)。
【0018】
図5は、図2のNAND回路451〜4512とAND回路421〜4212の動作を説明する図で、NAND回路452とAND回路422を例示してある。図5(a)は、回路図、図5(b)は、NAND回路452の入力と出力の関係を示す真理値表である。
NAND回路452には、前記のように、省電力設定レジスタ40から省電力設定電圧が供給され、アノード駆動電圧波形生成部441〜447からアノード駆動電圧が供給される。省電力設定レジスタ40の出力は、そのまま直接NAND回路452に入力し、アノード駆動電圧波形生成部441〜447の出力は、インバートして(NOT回路を介して)NAND回路452に入力する。
【0019】
図5(b)において、省電力設定レジスタ40の出力は、そのレジスタ40に省電力が設定されているとき「1」、設定されていないとき(非省電力設定のとき)「0」になる。アノード駆動電圧波形生成部441〜447の出力は、出力があるとき(アノード駆動電圧があるとき)「1」、ないとき「0」になる。
図5(b)において、NAND回路452の出力X52が「0」になると(イ3の場合)、AND回路422の出力X22は、「0」になる。したがって(イ3)の場合、グリッド駆動電圧波形生成部412の出力(グリッド駆動電圧)は、グリッドドライバ432へ供給されない。即ちグリッドG2には、グリッド駆動電圧が印加されない。なお(イ3)の例は、図4(a)のK2桁の状態(非表示の状態)に相当する。(イ3)以外の(イ1)、(イ2)、(ロ1)〜(ロ3)の場合、NAND回路452の出力X52は、「1」になるから、グリッド駆動電圧波形生成部412の出力(グリッド駆動電圧)は、グリッドドライバ432へ供給される。即ちグリッドG2にグリッド駆動電圧が印加される。
【0020】
以上のように省電力設定してあるとき(省電力設定モードのとき)には、グリッド駆動電圧波形生成部412の出力が全て「0」になると、グリッドG2にグリッド駆動電圧は印加されない。そしてグリッド駆動電圧波形生成部412の出力が一つでも「1」のときには、グリッドG2にグリッド駆動電圧が印加される。
図5は、NAND回路452とAND422の例であるが、他のNAND回路とAND回路についても同じである。なお図2のNAND回路455は、アノード駆動電圧波形生成部448から「コロン」に関する駆動電圧が供給されるから、その点が他のNAND回路と相違しているが、動作は、他のNAND回路と同じである。
【0021】
図5のNAND回路452は、省電力設定レジスタ(省電力設定部)40の出力(省電力設定電圧)とアノード駆動電圧波形生成部441〜447の出力(アノード駆動電圧)の有無を検出し、省電力設定時にアノード駆動電圧の全て「0」を検出する回路であるから、その検出が可能な回路であれば、NAND回路でなくてもよい。そこで本願は、その検出が可能な回路をアノード駆動電圧検出回路と呼ぶ。
またAND回路422は、NAND回路452の出力が「1」のとき開いてグリッドG2へグリッド駆動電圧を供給し、NAND回路452の出力が「0」のとき閉じてグリッドG2へのグリッド駆動電圧の供給を停止する回路であるから、グリッドへグリッド駆動電圧の供給・供給停止ができる回路であれば、AND回路でなくてもよい。そこで本願は、グリッドへグリッド駆動電圧の供給・供給停止が可能な回路をグリッド駆動電圧供給回路と呼ぶ。
なおNAND回路452へ供給するアノード駆動電圧は、そのアノード駆動電圧に対応する表示データであってもよい。
【0022】
本実施例は、図4の表示例の場合、省電力設定を行うだけで(省電力設定レジスタ40に「1」を設定するだけで)、自動的にK2桁、K7〜K12桁のグリッドへのグリッド駆動電圧の供給を停止できるから、従来のように事前にK2桁、K7〜K12桁のグリッド駆動電圧の供給停止を設定する必要がない。また表示の内容により、或る桁、例えばK7,K8桁を短期間だけ表示する場合もあるが、その場合、本実施例は、短期間だけNAND回路457,458の出力が「1」に変わり、AND回路427,428の出力も「1」に変わって、グリッドドライバ437,438にグリッド駆動電圧を供給するが、その短期間以外の期間にK7桁、K8桁のグリッドにグリッド駆動電圧を供給することはないから、省電力効果が大きくなる。また本実施例は、事前に表示内容を検討してK7,K8桁を表示する期間があるか否かを確認する必要がないから、省電力の設定作業が簡単になり、かつ検討を誤ってK7,K8桁の表示を欠落させてしまうこともない。
【0023】
本実施例は、常時表示に使用するような表示頻度の高い桁、短期間だけ表示に使用するような表示頻度の小さい桁、表示に使用しない桁等が混在する表示内容であっても、アノード駆動電圧の有無を自動的に判別して、アノード駆動電圧が全て0の場合には、該当する桁のグリッドのグリッド駆動電圧の供給を停止し、アノード駆動電圧が一つでも0でない場合(「1」が含まれる場合)には、該当する桁のグリッドにグリッド駆動電圧を供給する。したがって本実施例は、表示内容に関係なくアノード駆動電圧の有無を自動的に判別して、グリッドへのグリッド駆動電圧の供給、供給停止を自動的に行うから、省電力設定が容易になり、汎用性の高い省電力設定が可能になる。
【0024】
蛍光表示管の駆動回路は、一般にIC化されていて、そのICは、蛍光表示管の真空容器(気密容器)の内部に取付ける場合と、真空容器の外部の基板等に取付ける場合とがある。いずれの場合も、駆動回路或いは駆動回路ICを備えた蛍光表示管と呼ばれている。図2の制御部33もIC化して、そのICを蛍光表示管の真空容器(気密容器)の内部に取付ける場合と、真空容器の外部の基板等に取付ける場合とがある。
図6は、制御部33のICを真空容器(気密容器)の内部に取付けた蛍光表示管の例である。
真空容器は、ガラスのアノード基板51、アノード基板51に対向する基板52と側面部材53からなり、アノード基板51には、アノード電極群A(図1のA1〜A12に相当)を形成し、グリッドG(図1のG1〜G12に相当)、フィラメントF等を取付けてある。またアノード基板51には、図2の制御部33のIC60をダイボンデイングペースト等によって固定してある。IC60は、配線62によって外部端子61等に接続され、配線63(図2のグリッド配線g1〜g12、アノード配線S1〜S8に相当)によってアノード電極群A、グリッドGに接続されている。
図6の蛍光表示管は、省電力設定が可能な制御部33のICを備えているから、無駄な電力を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施例に係る蛍光表示管のアノード電極群とグリッドの配置、それらに接続されている配線を示す。
【図2】本願発明の実施例に係る蛍光表示管の駆動回路を示す。
【図3】図1の蛍光表示管の表示例、その表示例に対応する非省電力設定時のグリッド駆動電圧とアノード駆動電圧のタイミングチャートを示す。
【図4】図1の蛍光表示管の表示例、その表示例に対応する省電力設定時のグリッド駆動電圧とアノード駆動電圧のタイミングチャートを示す。
【図5】図2の蛍光表示管の駆動回路のNAND回路の動作を説明する図である。
【図6】図2の制御部のICを内蔵した蛍光表示管を示す。
【図7】従来の蛍光表示管の駆動回路、アノード電極群とグリッドの配置、それらの構成を示す。
【図8】従来の蛍光表示管のグリッド駆動電圧とアノード駆動電圧のタイミングチャートを示す。
【符号の説明】
【0026】
31 CPU
32 入力装置
33 制御部
40 省電力設定レジスタ(省電力設定部)
411〜4112 グリッド駆動電圧波形生成部
421〜4212 AND回路
431〜4312 グリッドドライバ
441〜448 アノード駆動電圧波形生成部
451〜4512 NAND回路
461〜468 アノードドライバ
A1〜A12 アノード電極群
F フィラメント
G1〜G12 メッシュ状のグリッド
K1〜K12 表示の桁数
Se1〜Se7 アノード電極群のセグメント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィラメント、複数のグリッド及び複数のアノード電極群を備え、グリッドとアノード電極群は、桁毎に対向し、桁毎にグリッドとアノード電極群を走査してグリッドにグリッド駆動電圧を供給しアノード電極群のアノード電極にアノード駆動電圧を供給する蛍光表示管の駆動方法において、アノード駆動電圧検出回路は、省電力設定部の省電力設定電圧とアノード駆動電圧又は表示データを用いて省電力設定時にアノード駆動電圧又は表示データの全て「0」を検出すると、該当する桁のグリッド駆動電圧供給回路を閉じてグリッドへのグリッド駆動電圧の供給を停止することを特徴とする蛍光表示管の駆動方法。
【請求項2】
請求項1に記載の蛍光表示管の駆動方法において、前記アノード駆動電圧検出回路はNAND回路からなり、前記グリッド駆動電圧供給回路はAND回路からなり、NAND回路には省電力設定電圧を直接入力しアノード駆動電圧又は表示データをインバートして入力し、AND回路にはグリッド駆動電圧とNAND回路の出力を入力することを特徴とする蛍光表示管の駆動方法。
【請求項3】
フィラメント、複数のグリッド及び複数のアノード電極群を備え、グリッドとアノード電極群は、桁毎に対向し、桁毎にグリッドとアノード電極群を走査してグリッドにグリッド駆動電圧を供給しアノード電極群のアノード電極にアノード駆動電圧を供給する蛍光表示管において、省電力設定部、アノード駆動電圧検出回路及びグリッド駆動電圧供給回路を備え、アノード駆動電圧検出回路は、省電力設定部の省電力設定電圧とアノード駆動電圧又は表示データを用いて省電力設定時にアノード駆動電圧又は表示データの全て「0」を検出すると、該当する桁のグリッド駆動電圧供給回路を閉じてグリッドへのグリッド駆動電圧の供給を停止することを特徴とする蛍光表示管。
【請求項4】
請求項3に記載の蛍光表示管において、前記アノード駆動電圧検出回路はNAND回路からなり、前記グリッド駆動電圧供給回路はAND回路からなり、NAND回路には省電力設定電圧を直接入力しアノード駆動電圧又は表示データをインバートして入力し、AND回路にはグリッド駆動電圧とNAND回路の出力を入力することを特徴とする蛍光表示管。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−258188(P2009−258188A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−104168(P2008−104168)
【出願日】平成20年4月12日(2008.4.12)
【出願人】(000201814)双葉電子工業株式会社 (201)
【Fターム(参考)】