血液サンプリング装置
別体の血管アクセス装置から血液サンプルを採取するのに有用な血液サンプリング装置がここで説明される。血液サンプリング装置は、別体の血管アクセス装置内に部分的に挿入されるよう形状が定められ且つ寸法付けられた本体を含む。本体は、その内部に画成されたリザーバを含み、リザーバは診断のための血液検査に用いるに十分な血液を収容するに足る内容積を有する。本体はまた、それに配設された気体透過性排気部を含み、気体透過性排気部はリザーバと気体連通する。別体の血管アクセス装置に接続されると、血液サンプリング装置は、血液が別体の血管アクセス装置からリザーバに流入しながら、且つ気体が気体透過性排気部を介して出て行きながら、血液を採取する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の開示は、血管アクセス装置を用いる血液サンプリングに関するものである。血液サンプリングは、患者からの少なくとも1滴の血液の引き抜きを含む一般的な健康管理処置である。血液サンプルは一般に、入院患者、在宅患者および救急外来患者から、手掌での採血(finger stick)、踵での採血(heel stick)あるいは静脈穿刺のいずれかを行うことによって採取される。採取に応じ、血液サンプルは1以上の血液検査レベルを経て分析される。
【背景技術】
【0002】
血液検査は、疾病、ミネラル含有量(mineral content)、薬効(drug effectiveness)および臓器機能(organ function)など、患者の生理学的状態および生化学的状態を判定するものである。血液検査は、患者の位置から離れた距離にある試験室で行われることもあるし、治療のポイント(point of care)すなわち患者の近くの位置で行われることもある。治療ポイントの血液検査の一例は患者の血糖レベルの日常的検査であり、これは手掌での採血を通じた血液の抽出および診断用カートリッジへの機械的な採血を要する。その後、診断用カートリッジが血液サンプルを分析し、患者の血糖レベルの読み取り値を臨床医に提供する。血液ガス電解質レベル,リチウムレベル,イオン化カルシウムレベルを分析する他の装置も入手可能である。さらに、治療用装置のいくつかのポイントは、急性冠症候群(ACS)および深部静脈血栓症/肺塞栓症(DVT/PE)のためのマーカを確認する。
【0003】
治療ポイントでの検査および診断の急速な進歩があるにも拘らず、血液サンプリング技術は比較的不変のままである。血液サンプルはしばしば、皮下注射器、あるいは、針またはカテーテルアセンブリの近位端に結合させた真空チューブを使用して引き抜かれる。いくつかの事例では、臨床医は、患者に挿入されたカテーテルを通して血液を引き抜くべくカテーテルに挿入される針およびシリンジを用いることで、カテーテルシステムから血液を採取する。これらの手順は、検査に先立って採取した血液が典型的には引き抜かれる中間装置としての真空チューブおよび針を利用する。従って、これらの処理は、血液サンプルの取得、準備および検査の過程において多数の装置を集中的に利用する手段である。さらに、必要とされる各々の装置によって、検査プロセスの時間およびコストが加わる。従って、より効率的な血液サンプリングおよび検査装置並びに方法が要望されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、当該技術分野における問題および要望、すなわち現在入手可能な血液サンプリング装置および方法では未だ十分に解決されていない問題および要望に応じてなされたものである。従って、本発明の装置および方法は、より効率的な血液サンプリングおよび診断を提供するべく開発されたものである。
【0005】
本発明の血液サンプリングシステムおよび方法は、診断に用いる血液サンプルをIV挿入の直後に得るために必要とされるコンポーネントの数を著しく減らすものである。血液サンプリング装置の実施形態は、通常の静脈アクセスの間に、血液サンプルを取得し、準備し、および直接検査する特徴部を組み合わせたものである。これらの実施形態は、プロセスの工程数を減じ、サンプリングと検査結果の取得との間の時間を短縮することにより、全体的な血液サンプリングプロセスを臨床医にとって容易なものとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一形態では、血液サンプリング装置は本体を有し、該本体は、カテーテル,針など別体の(separate)血管アクセス装置に部分的に挿入されるよう形状が定められ且つ寸法付けられている。本体はさらに、その内部にリザーバを画成しており、リザーバは診断のための血液検査に用いるのに十分な血液を収容するに足る内容積を有する。気体透過性のある排気部(vent)が本体に配設され、リザーバと気体連通することで、気体を排気部から流出させつつ、患者の血圧の力で血液がリザーバ内に流入できるようになる。
【0007】
完成品(implementations)は次の特徴の1以上を含むことができる。診断用の試薬をリザーバ内に配することができる。搭載型(on-board)の診断用カートリッジをリザーバと流体連通させることができる。本体は、リザーバの内容物を圧縮に応じて吐出するよう形状が定められ、且つ寸法付けられた圧縮部を含むことができる。リザーバは複数のチャンバを含むことができる。リザーバが複数のチャンバを含む場合、複数のチャンバの少なくとも1つが診断用の試薬を含むことができる。リザーバは血液の保存料(preservative)を含むことができる。リザーバは、本体が別体の血管アクセス装置に部分的に挿入されたときに別体の血管アクセス装置と流体連通する遠位側開口を含むことができる。本体は別体の血管アクセス装置内に挿入するための雄形ルアー(luer)アダプタを含むことができ、遠位側開口を雄形ルアーアダプタに対する遠位側開口とすることができる。雄形ルアーアダプタは、その内部に配置された吸い上げ材(wicking material)を含んでいてもよい。本体は別体の血管アクセス装置内に挿入するための雄形ルアーアダプタを含むことができる。
【0008】
他の形態では、血液サンプリング装置は本体を有し、該本体は、別体の血管アクセス装置に部分的に挿入されるよう形状が定められ、且つ寸法付けられている。本体はその内部にリザーバを画成しており、リザーバは少なくとも1μLの内容積を有する。気体透過性排気部が本体に配設され、リザーバと気体連通する。そして、診断用コンポーネントがリザーバと流体連通する。
【0009】
完成品は次の特徴の1以上を含むことができる。診断用コンポーネントは搭載型診断用カートリッジ含むことができる。診断用コンポーネントはリザーバ内に配された診断用の試薬を含むことができる。リザーバは複数のチャンバを含むことができ、複数のチャンバの少なくとも2つが別の(separate)診断用コンポーネントを含むことができる。
【0010】
さらに他の形態では、血液サンプリング装置は別体の血管アクセス装置に部分的に挿入されるよう形状が定められ、且つ寸法付けられた本体を含む。本体はその内部に画成されたリザーバおよび圧縮部を有する。本体の圧縮部は、それが圧縮されたときにリザーバの内容物を吐出するよう形状が定められ、且つ寸法付けられている。リザーバは少なくとも1μLの内容積を有する。気体透過性のある排気部が本体に配設される。完成品は、次の特徴の1以上を含むことができる。リザーバの内容積を10mL未満とすることができ、あるいは、いくつかの実施形態では内容積は2mL未満である。そして、リザーバを血液保存料と流体連通させることができる。
【0011】
さらなる形態では、排気可能な血液サンプリング装置を用いる血液サンプリング方法は、患者の脈管構造内に血管アクセス装置を部分的に挿入することを含む。次に、本方法は、血液サンプリング装置を血管アクセス装置内に挿入することを含む。血液サンプリング装置は、別体の血管アクセス装置に部分的に挿入されるよう形状が定められ、且つ寸法付けられた本体と;該本体内に画成され、診断のための血液検査に用いるのに十分な血液を収容するに足る内容積を有するリザーバと;本体に配設され、リザーバと気体連通する気体透過性のある気体排出部(gas vent)と、を含む。本方法は、最後に、患者の脈管構造から血液サンプリング装置内への血液の流入を生じさせ、リザーバを血液で満たすことを含む。完成品はさらに、血圧および吸い上げの少なくとも一方によって流れを生じさせることを含んでいてもよい。
【0012】
本発明のこれらおよび他の特徴並びに利点は、本発明の実施形態に組み込まれ得るものであり、以下の説明および添付の特許請求の範囲からより十分に明らかとなるか、あるいはまた、後述するような本発明の実施によって学習され得る。本発明は、すべての有利な特徴およびすべての利点が本発明のあらゆる実施形態に組み込まれているいることを必須とするものではない。
【0013】
本発明の上述のおよび他の特徴並びに利点が得られる態様を容易に理解できるようにする目的で、添付の図面に示された本発明の具体的な実施形態を参照することにより、先に簡単に説明した本発明のより詳細な説明が提供される。図面は本発明の典型的な実施形態を示すものであり、従って本発明の範囲を限定するものとして考察されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】代表的な実施形態に係る血管アクセス装置の管外システムおよび血液サンプリング装置の斜視図である。
【図2】代表的な実施形態に係る血管アクセス装置の管外システムおよび血液サンプリング装置の上面側斜視図である。
【図3】代表的な実施形態に係る血管アクセス装置の他の管外システムおよび血液サンプリング装置の斜視図である。
【図4】代表的な実施形態に係る血管アクセス装置の他の管外システムおよび血液サンプリング装置の斜視図である。
【図5】代表的な実施形態に係る血液サンプリング装置の断面図である。
【図6A】代表的な実施形態に係る血液サンプリング装置の斜視図である。
【図6B】代表的な実施形態に係る他の血液サンプリング装置の斜視図である。
【図7A】代表的な実施形態に係る血管アクセス装置の管外システムおよび血液サンプリング装置の使用時における斜視図である。
【図7B】代表的な実施形態に係る血管アクセス装置の管外システムおよび血液サンプリング装置の使用時における斜視図である。
【図7C】代表的な実施形態に係る血液サンプリング装置およびテストストリップの使用時における斜視図である。
【図8】代表的な実施形態に他の血液サンプリング装置の断面図である。
【図9】代表的な実施形態に係る、1以上の診断用試薬を有する他の血液サンプリング装置の断面図である。
【図10】代表的な実施形態に係る、複数のチャンバを有する他の血液サンプリング装置の断面図である。
【図11A】代表的な実施形態に係る、複数のチャンバを有する他の血液サンプリング装置の断面図であり、当該断面は図11Bの11A線に沿って取ったものである。
【図11B】代表的な実施形態に係る、複数のチャンバを有する他の血液サンプリング装置の断面図であり、当該断面は図11Aの11B線に沿って取ったものである。
【図12A】代表的な実施形態に係る血液サンプリング装置の遠位端における断面図である。
【図12B】代表的な実施形態に係る血液サンプリング装置の遠位端における端面図である。
【図13A】代表的な実施形態に係る血液サンプリング装置の遠位端における断面図である。
【図13B】代表的な実施形態に係る血液サンプリング装置の遠位端における端面図である。
【図14A】代表的な実施形態に係る血液サンプリング装置の遠位端における断面図である。
【図14B】代表的な実施形態に係る血液サンプリング装置の遠位端における端面図である。
【図15】代表的な実施形態に係る、搭載型診断用カートリッジを有する血液サンプリング装置の上面図である。
【図16】代表的な実施形態に係る、搭載型診断用カートリッジを有する他の血液サンプリング装置の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の現在好適な実施形態は、図面を参照することによって最も良く理解され、ここで同様の参照番号は同一または機能的に同様のエレメントを示している。本発明のコンポーネントは、ここでは概して図面に説明され且つ例示されるように、広範な種々異なる構成に対して配置および設計できることが容易に理解される。よって、図面に表されたような以下のより詳細な説明は、特許請求の範囲に記載された発明の範囲を限定することを企図したものではなく、本発明の現在好適な実施形態の代表的なものに過ぎない。
【0016】
本発明は、種々の管外システムから血液サンプルを採取し得る血液サンプリング装置に関連する。図1から図4は種々の管外システムを示しており、これとともに血液サンプリング装置を使用することができる。血液サンプリングシステム102はこれらに示されたシステムに制限されることなく、簡単な針からより複雑な管外装置までの範囲にわたる、他の管外システムとともに用い得ることが理解される。これらの図から、血液サンプリング装置102は、患者から診断用血液サンプルを引き抜くのに必要なコンポーネントの数を減じ得ることが明らかである。これは、血液サンプリング装置が、血液サンプルを採取する特徴部、保存する特徴部、および検査する特徴部を単一の装置内に備えているからである。
【0017】
図1を参照するに、Becton, Dickinson and CompanyによるBDNEXIVATM Closed IV(静脈内) Catheter Systemなどの管外システム100を、血液サンプリング装置102を用いてアクセスさせることができる。システム100の一例は、図1に示すように、管内針116;針上抹消管内カテーテル(over-the-needle, peripheral intravascular catheter)114;2つのポート120を有するY型アダプタ104およびクランプ110と一体の延長チューブ108(ここではカテーテルとしても参照される);ルアー(Luer)アクセス装置すなわちポート106;および受動型針遮蔽機構112など、複数の血管アクセス装置を含む。2以上の血管アクセス装置を接続するのに用いられるどのようなアダプタであっても、Y型アダプタ104の代わりに使用することができる。
【0018】
図示されるように、血液サンプリング装置102は、Y型アダプタ104のポート120に挿入されてそこから血液サンプルを採取する。あるいは、図2に示すように、いくつかの実施形態においては、血液サンプリング装置102は、Y型アダプタ104のポート120に直接挿入されるのではなく、ルアーアクセス装置に挿入される。図示されるように、いくつかの実施形態においては、血液サンプリング装置102は遠位端を有し、これはルアーアクセスポートなどの別体の血管アクセス装置に挿入されるよう形状が定められ且つ寸法付けられている。いくつかの実施形態においては、遠位端は雄形カプラである。いくつかの実施形態においては、遠位端は雄形ルアーコネクタである。
【0019】
導入針116が管外システム100から引き抜かれた後、Y型アダプタ104の双方のポートが閉鎖される。この時点で血液はシステム100内に収容される。そして、一体型の延長チューブ108上のクランプ110は血液サンプリング装置102に対する血液の流れを選択的に制限ないしは解消する。クランプ110が延長チューブ108を開放しているとき、血液は血液サンプリング装置102に流入し、適切な血液サンプルに対して十分な血液を内部リザーバに充填する。概して、適切な血液サンプルは0.1μL〜200mLの間の血液を含む。
【0020】
図3は他の管外システム150を示し、これは延長チューブを介してではなく、近位端において血液サンプリング装置102により直接的にアクセスされる。管外システム150は、管内針116;針上抹消管内カテーテル114;および受動型針遮蔽機構112を含む。針遮蔽機構112の近位端にはポート118が含まれ、これを通して血液サンプリング装置102が挿入される。挿入に応じ、血液が管内カテーテル114を通って血液サンプリング装置102の内部リザーバに流入するとき、血液サンプリング装置102は患者からの血液サンプルを受容することができる。
【0021】
図4を参照するに、代替的な他の管外システム200が示され、これは血液サンプリング装置202にアクセスされて血液サンプルを得るものである。管外システム200は、患者の脈管系と流体連通を行うのに用いられる。導入針116が管外システム200から引き抜かれると、血液サンプリング装置202の遠位端203が管外システム200に挿入され、カテーテル214を通して血液を引き、血液サンプリング装置202内に引き込む。いくつかの実施形態において、管外システム200は内側空洞(不図示)を有し、管外システム200にアクセスするために血液サンプリング装置202がその空洞に挿入される。
【0022】
管外システムへの挿入に応じ、血液サンプリング装置102は血液を引き込む。いくつかの実施形態においては、血液は静脈圧下で血液サンプリング装置102に流入する。図1を参照するに、いくつかの実施形態において、血液サンプリング装置102はそれに配設された気体透過性排気部(図5に示される)を有し、患者の静脈圧によって、管外システム100を通した血液サンプリング装置102への血液の流入を生じさせることが可能となっている。血液がシステム100に入るとき、気体透過性排気部によって空気が血液サンプリング装置102から出て行き、血液の引き込みが可能となる。従って、気体透過性排気部は、血液サンプリング装置102が患者の血圧によって専ら駆動されることを可能にする。
【0023】
他の実施形態において、血液は、少なくとも一部に他の駆動力源を用いる血液サンプリング装置に引き込まれる。例えば、いくつかの実施形態では、血液サンプリング装置は真空力を用いて血液を引き込む真空チューブである。他の実施形態では、ポンプまたはシリンジを用いる血液サンプリング装置内に引き込まれる。他の実施形態では、血液サンプリング装置は、その遠位端内に配設された吸い上げ手段を介して血液を受容する。いくつかの実施形態では、吸い上げ材はミクロ流体工学的物質(micro fluidics)を含む。
【0024】
血液サンプリング装置が適切な血液サンプルを採取した後、サンプルを分析することができる。図1を続いて参照するに、クランプ110がY型アダプタ104および血液サンプリング装置102への血液の流れを止めることで、血液サンプリング装置を管外システム100から取り外すことができる。いくつかの場合、血液サンプリング装置102は分析のために試験室に送られることになる。いくつかの実施形態では、血液サンプリング装置の本体は少なくとも部分的に圧縮可能なものであり、血液は検査、特に治療ポイントでの検査のために搾り出されることになる。いくつかの実施形態では、血液サンプリング装置は、その内部での診断用検査の実施を可能とする診断用試薬を含む。さらに他の実施形態では、血液サンプリング装置は、搭載型診断用カートリッジを含み、血液サンプルを分析し、診断結果を搭載型診断用カートリッジ上に表示する。これらの種々の実施形態については後に詳述する。
【0025】
図5を参照するに、血液サンプリング装置300の断面が示され、これは内部リザーバ302を画成する本体312を表している。本体312およびリザーバ302は種々の形状および寸法を有し得る。いくつかの実施形態では、リザーバは、標準的な血液サンプルの容量あるいは単一滴の血液に対応して、少なくとも0.1μL〜10mLの容量を有する。いくつかの実施形態では、リザーバの容量は200mLまでである。容量200mLのリザーバであれば、異なる複数の血液検査に対して十分に多量の血液サンプルを収容することが可能となるであろう。他の実施形態では、リザーバ容量は20mL未満あるいは200mL超である。
【0026】
いくつかの実施形態では、本体312は、上述したように、管外システムに挿入するために形状が定められ且つ寸法付けられている。いくつかの実施形態では、本体の遠位端は図6A〜図7Cに示されるもののような細長いステムないしはカニューレの形態の雄形カプラ356を含み、これは別体の血管アクセス装置に選択的に挿入される。いくつかの実施形態では、雄形カプラは雄形ルアーコネクタである。図示のように、本体312の遠位端は、ねじ山308および雄形カプラ306を有する雄形ルアーコネクタを含む。この遠位端は、ルアーアダプタ106,Yアダプタ104,カテーテルアセンブリ,カテーテルナブ(catheter nub),針,カテーテルなどの別体の血管アクセス装置、または図1〜図4に示したもののような他の血管アクセス装置に、少なくとも一部を挿入するために形状が定められ且つ寸法付けられている。
【0027】
先に論じたように、いくつかの実施形態では、本体312には気体透過性排気部304が配置され、それを通した気流の通過を許容する一方、それを通した血液などの流体の通過を阻止している。この気体透過性排気部304はリザーバ304と流体連通する。排気部は疎水性のものでも親水性のものでもよく、また、ガラス、ポリエチレン・テレフタレート(PET)、超極細繊維材料、または、DuPont社が提供するTYVEK(登録商標)材料などの高密度ポリエチレン材料で作製された他の合成材料とすることができる。図示のように、気体透過性排気部304は本体312の近位端に配設されている。しかし他の実施形態では、気体透過性排気部304は本体312の他の面または部分に配置される。例えば、いくつかの実施形態では、気体透過性排気部304は本体312の側面に配設される。さらに、2以上の気体透過性排気部304を本体312に配設することもできる。例えば、2以上のチャンバがリザーバ302に含まれる場合、各チャンバが各別の気体透過性排気部304を有することができる。
【0028】
図6Aは、圧縮可能な本体部分362をもつ本体を有する血液サンプリング装置350を示す。ここで用いられる「圧縮可能」という用語は、リザーバ内の流体のサンプルを排出する目的でリザーバ容積のサイズを減らすためのいかなる手段に対しても参照される。例えば、圧縮可能な部分は、雄形カプラ356を除いて全体的に可撓性のある本体を含むことができる。あるいは、圧縮可能な部分は、より剛性のある部分が互いに押圧されたときに撓むよう、本体の制限された部分に限定されるものであってもよい。他の場合には、圧縮可能な部分は、本体に配設されたプランジャを含むとともに、リザーバの部分を成す。プランジャ(不図示)は、内向きの外力に応答し、本体内で内向きに移動することでリザーバの内容積を減少させ、これによって血液サンプルが排出される。いくつかの実施形態では、圧縮を円滑に行うために、本体は、その把持および圧縮を容易にする2つの対向グリップすなわちパッド364を含んでいる。パッド364は剛性のあるものでもよいし、圧縮性のあるものでもよい。
【0029】
いくつかの実施形態では、異なる血液検査で異なる量の血液を要することがあるので、リザーバは、特定の血液検査に対して、または特定の血液検査の数に対して必要とされる量の血液を保持するよう寸法付けられる。いくつかの実施形態では、寸法の異なる複数の血液サンプリング装置を有する1セットの血液サンプリング装置が臨床医に提供される。従って、図6Aおよび図6Bは、より小さい血液サンプリング装置350およびより大きい血液サンプリング装置400を示している。これらの装置350および400は、雄形カプラ356および406と、圧縮可能な本体部分362および412と、パッド364および414と、気体透過性排気部354および404と、遠位側ルーメン360および410と、を含む。以下では、説明を簡略化するために図6Aの実施形態のみについて参照を行う。
【0030】
図7A〜図7Cは、圧縮可能な本体部分364を有する血液サンプリング装置350を用いた血液のサンプリングおよび検査のプロセスを示す。操作時には、図7A〜図7Bに示すように、血液サンプリング装置350の雄形カプラ356が別体の血管アクセス装置450内に選択的に挿入される。例えば、別体の血管アクセス装置450は、アダプタ126と、スリット124を有する隔膜122をもつルアーアダプタ106とを有したものとして示されている。雄形カプラ356が隔膜122内に挿入されると、血液サンプリング装置350が別体の血管アクセス装置450ひいては患者の脈管構造と流体連通する。血液が別体の血管アクセス装置450を通り血液サンプリング装置350に向かって流れるにつれ、気体は血液サンプリング装置350の気体透過性排気部354を通って出て行く。このようにして血液が血液サンプリング装置350内に流入し、リザーバ302が充填される。
【0031】
図7Cに示すように、血液がリザーバ302に受容されると、血液サンプリング装置350が別体の血管アクセス装置から取り外され、臨床医によって圧縮されることで、血液の一部または全部をリザーバから放出することができる。血液サンプルは、図示のテストストリップ454上や診断用カートリッジ内に放出されるか、または、血液サンプリング装置350内に保持されて分析のために試験室に移送することができる。
【0032】
いくつかの実施形態においては、本体は圧縮可能な部分を有しておらず、剛性のあるものとされる。その場合、血液サンプルを抽出するために、いくつかの実施形態では吸い上げ手段が血液サンプリング装置内に挿入されて、そこから吸い上げを行う。他の実施形態では、単に血液が血液サンプリング装置の遠位側開口の外に注ぎ出される。他の場合には、遠位側開口からの血液の流出が可能となるよう、気体透過性膜が穿孔される。
【0033】
いくつかの血液サンプルは直ちに検査されないこともあり得るので、いくつかの実施形態では、血液サンプリング装置が1以上の保存料をリザーバ302内に収納していることで、後の検査のために血液を保存するようにされる。ここで図8を参照するに、リザーバ302内に収納された1以上の保存料512を有する血液サンプリング装置500の断面が示されている。血液がリザーバに入ると、保存料と混合する。種々の保存料をリザーバ302に包含させことができる。例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)をリザーバ302内に配置することで、血液中のカルシウムをキレートして凝固を防ぐことができる。凝固時間が検査されるのであれば、EDTAを用いる代わりにクエン酸類を包含させてもよい。他の実施形態では、リザーバ302内にヘパリンが包含される。さらに他の実施形態では、リザーバの内部に他の種類の保存料が包含される。
【0034】
さらに、いくつかの実施形態では、血液サンプリング装置は、臨床医または試験室の技術者に対し、サンプルが取られてからどれだけの時間が経過したかの表示を提供する時間インジケータ520を含む。いくつかの実施形態では、リザーバの外側に、経過時間および/または温度に基づき色が変化する変色ステッカなどの時間インジケータ520が設けられる。他の実施形態では、時間インジケータ520は、期限切れなどにより血液サンプルがもはや有用なものではなくなる時間の経過を提示する。いくつかの実施形態では、時間インジケータ520はリザーバ内に配設され、血液サンプルとの接触により始動される。
【0035】
加えて、あるいは代替的に、血液サンプリング装置内で血液サンプルを検査することができる。いくつかの実施形態では、リザーバ302は、その内部に配されて血液サンプルと反応し、臨床医に視覚的表示を提供する1以上の診断用試薬を含む。診断用試薬は疾病、ミネラル含有量、薬効および臓器機能など、患者の生理学的状態および生化学的状態を表すことができる。図9を参照するに、いくつかの実施形態では、リザーバ302は1以上の診断用試薬552、554、556、558、560および562を含み、その各々によって。異なる生理学的状態および/または生化学的状態についての検査を行うことができる。例えば、一実施形態では、リザーバは8つの診断用試薬を含むことができ、試薬の各々が基礎的な生化学的検査(basic metabolic panel)の要素の1つ、すなわちナトリウム、カリウム、塩化物、重炭酸塩、血中尿素窒素(BUN)、マグネシウム、クレアチニンおよびグルコースの1つを測定する。いくつかの実施形態では、試薬は非可視的結果を提供し、これは機械によって読み取られ、試験室内で処理され得る。使用の明瞭化のために、血液サンプリング装置の外装を透明または半透明とし、マークを含むことで、そのマーク近傍に配された試薬の種類を提示することができる。このように、血液サンプリング装置600は治療ポイントでの診断用ツールを提供し得るものである。
【0036】
いくつかの実施形態では、異なる診断用試薬が各別に(separate)保持されることで、より正確な結果を得ることを可能にする。従って、図10に示すように、いくつかの実施形態では、リザーバ622は本体の分割部分によって分離された複数のチャンバ608,610,612を含み、1以上のチャンバに試薬614および616が含まれるようにされている。加えて、いくつかの実施形態では、1以上のチャンバが保存料を含むことができる。チャンバ608,610,612の各々が気体透過性排気部604に流体連通しているので、リザーバ622に流入する血液がチャンバ608,610,612の各々に流入する。血液がチャンバに入ると、内部にある試薬と混合する。混合に応じ、試薬は、付加的なツールまたはそれ以上の遅延を必要とすることなく、臨床医に対し診断情報を提供することができる。
【0037】
いくつかの実施形態では、リザーバチャンバ608,610,612は遠位側の流れ制限器620によっても分離される。流れ制限器620は、それを通過するときの流体の速度を制限することによって、各チャンバとの間の流体連通を制限する。従って、血液がフィルタを通過して試薬と混合するにつれ、血液は部分的に、チャンバから出て行くことが流れ制限器620により制限されるとともに、他のリザーバチャンバに入って行くことが流れ制限器620により制限される。いくつかの実施形態では、流れ制限器620は連続する多孔質フィルタを含み、これはリザーバ断面にわたっており、それを通過するときの流体の速度を制限する。流れ制限器の代替的な実施形態が図12A〜図14Bに示されている。各コンテナ内において不必要に血液が曝露されるのを防止するために、試薬の反応プロセスまたはプロセス群の期間中、臨床医は血液サンプリング装置をその近位端(気体透過性排気部604を有するものとして示されている端部)上で直立した状態にセットすることができる。あるいは、いくつかの実施形態においては、血液サンプリング装置550は、遠位側開口を覆って血液の曝露を防ぐキャップを含む。
【0038】
図11A〜図11Bは他のリザーバチャンバの構成を示す。いくつかの実施形態では、リザーバ622は、本体652の放射状分割部分654によって分離される複数のチャンバ656,658,660,662,664および668に分割されている。いくつかの実施形態では、各チャンバは気体透過性排気部672と流体連通する。他の実施形態では、上述のように、チャンバの各々は分離した気体透過性排気部(不図示)と流体連通する。従って、いくつかの実施形態では、本体は2以上の気体透過性排気部を含んでいる。
【0039】
いくつかの実施形態では、本体652の分割部分654は雄形カプラ306に向け遠位方向に延在する。他の実施形態では、本体652の分割部分654は雄形カプラ306内に延在し、血液サンプリング装置650内に入った直後に、血液が種々のチャンバ内に隔離されるようにされている。さらに他の実施形態では、本体652の分割部分654は雄形カプラ306内に部分的にのみ延在している。さらに別の実施形態では、本体652の分割部分654は雄形カプラ306にまでは延在せず、図10に示したものと同様、リザーバ302の近位端と遠位端との間で部分的にのみ延在している。さらに、いくつかの実施形態では、図10および図12A〜図14Bに示したもののように、チャンバへの入口は流れ制限器620を含み、チャンバに対する部分的なバリアを形成している。
【0040】
図12A〜図14Bを参照するに、いくつかの実施形態では、血液サンプリング装置の遠位端は流れ制限器を含み、これは本体に一体に形成された固形(solid)バリア704を備える。固形バリア704は、それを通る1以上の穴またはチャネルを含み、いくらかの流体が血液サンプリング装置内に流入できるようにしている。1以上の穴は、表面張力だけでリザーバ内に流体を保持し得る。例えば、図12A〜図12Bは、固形バリア704を備えた流れ制限器を示し、当該バリアはそれを通る単一の穴706を有している。穴706は、静脈圧がない状態では、それを通る血液の流れに抵抗するように形状が定められ且つ寸法付けられている。いくつかの実施形態では、穴は0.1から0.5mmの範囲内の直径を有する。他の実施形態では、穴は0.2から0.3mmの範囲内の直径を有する。従って、作動時には静脈圧が血液サンプリング装置への血液の流入を生じさせることになる。内部リザーバに入ると、付加的な圧力がない状態では、血液は流れ制限器の穴から概ね流出しなくなる。穴またはチャネルは、流れ制限器に切削または成形されたものとすることができる。
【0041】
図13A〜図13Bを参照するに、いくつかの実施形態では、流れ制限器754は固形バリア704であり、当該バリアはそれを通る複数の穴756を有している。複数の穴756は流れ制限器754を通る流量を増大させ得る。加えて、いくつかの実施形態では、流れ制限器754は各チャンバに対する穴を含み、各穴が分離チャンバに流体を向けるようになっている。その場合、流れ制限器は各内部チャンバへの遠位側バリアを形成する。
【0042】
いくつかの実施形態では、流れ制限器は雄形カプラ702内に配設される。そのような位置付けにより、血液サンプリング装置が別体の血管アクセス装置から取り外されたとき、流れ制限器は、雄形カプラ702内に配設されない場合には生じ得る血液の曝露を防止する。他の実施形態では、上述したように、流れ制限器は血液サンプリング装置のリザーバに対して配設される。
【0043】
図14A〜図14Bを参照するに、いくつかの実施形態では、流れ制限器754は雄形カプラ802にわたっている固形バリア808と、雄形カプラ802に成形または切り込まれた1以上のチャネル806とを備える。いくつかの実施形態では、切り込まれたチャネル806は0.1から0.5mmの範囲内の長さおよび幅を有する。これらのチャネルは図12A〜図13Bを参照して説明した穴と同様に機能し、血液サンプリング装置への血液の進入を可能とするとともに、血液サンプリング装置からの血液の移動を制限する。
【0044】
図15および図6の参照を行うと、これらの図は搭載型診断用カートリッジを有する血液サンプリング装置を示している。診断用カートリッジは治療ポイントでの診断装置であり、血液サンプルを受容し、1以上の生理学的状態および生化学的状態についてその血液を検査する。診断用カートリッジは、小型であることから治療ポイントで使用することができ、これによって臨床医には検査結果が速やかに提供される。検査が完了した後、搭載型診断用カートリッジは1以上の検査結果を臨床医に対して表示する。従って臨床医は、血液サンプルを取ってから数分以内に検査結果を得ることになる。搭載型診断用カートリッジの例には、Abbott Group of companiesから提供されるi-STAT(登録商標)検査カートリッジが含まれる。これらの装置は、表示技術を用いるデジタル式の単回使用型(disposable)妊娠検査において用いられているものと同様のディスプレイを含み得るものであり、比較的経済的なものである(例えばClearblue社から提供されるClearblue Easy Digital Pregnancy Test)。
【0045】
よって、搭載型診断用カートリッジは、治療ポイントで比較的短時間に臨床医が血液サンプルの電子的分析を得ることを可能にする。図15および図16を参照するに、いくつかの実施形態では、血液サンプリング装置900および950は、内部流体リザーバ902を画成するとともに雄形カプラ906を有する本体910を備えている。血液サンプリング装置900はさらに、ディスプレイ902を有する搭載型診断用カートリッジ904を含む。搭載型診断用カートリッジ904は、流体連通チャネルを介して、あるいはリザーバ902に接触して直接的に、血液を受容する。よって、リザーバ内の血液は搭載型診断用カートリッジ904に送達され、その内部で分析される。
【0046】
いくつかの実施形態では、搭載型診断用カートリッジ904は血液サンプリング装置900の本体910に一体化されている。他の実施形態では、搭載型診断用カートリッジ904は本体910に対し選択的に連結され、本体910から選択的に取り外される。従って、いくつかの実施形態において本体910は、搭載型診断用カートリッジ904を選択的に取り外し可能に受容するために、スロット、ラッチ、クリップまたはチャネルを含んでいる。
【0047】
上述したように、搭載型診断用カートリッジ904は内部分析能力を採用している。よっていくつかの実施形態では、搭載型診断用カートリッジ904は内部回路基板;電池などの電源;および、血液を成分に分離して血液の分析を行うのに必要な適切なコンポーネントを含む。分析結果を表示するために、搭載型診断用カートリッジ904はディスプレイを含む。いくつかの実施形態では、ディスプレイはLCD型のディスプレイ954(図16に示される)である。他の実施形態では、ディスプレイは色を変化させて分析の結果を示す変色構造物である。
【0048】
搭載型診断用カートリッジ904を有する血液サンプリング装置は、血液サンプルを取得し、準備し、および直接的に検査する医療技術の特徴部を、単一の、使用が容易な装置に組み合わせている。かかる装置により、プロセスの工程数が減り、そしてサンプリングから検査結果の取得までの時間が短縮される。
【0049】
以上の説明より、血液サンプルを患者から採取するのに血液サンプリング装置を利用できることがわかる。従って、排気可能な血液サンプリング装置を用いる血液サンプリング用の方法は、まず、患者の脈管構造内へ血管アクセス装置を挿入することを含んでいる。図1〜図4に示したように、血液サンプリング装置は、カテーテル、針チップ(needle tip)およびその他の雌形ルアー接続部を有する装置を含む種々の血管アクセス装置内に部分的に挿入されるよう形状が定められ、且つ寸法付けられている。
【0050】
次に、血液サンプリング装置は血管アクセス装置内に挿入される。いくつかの実施形態では、血液サンプリング装置は、その本体の遠位側の雄形カプラを含み、ねじ山付きの雄形ルアーコネクタを含んでいる。他の実施形態では、遠位側の雄形カプラは内部ルーメンを有する突起(projection)を備えるが、ねじ山は有していない。
【0051】
最後に、患者の脈管構造から血液サンプリング装置への血液の流れを生じさせることで、血液サンプリング装置が血液で満たされる。いくつかの実施形態では、血液は患者の静脈圧の力によってリザーバ内へ流入し、リザーバと流体連通する気体透過性排気部を含むことによってこれが促進される。静脈圧は血液をリザーバ内に押しやり、気体透過性排気部はそれを通してリザーバ内の気体が出て行くのを許容する。他の実施形態では、血液はリザーバ内の真空の力によってリザーバ内へ流入する。さらに他の実施形態では、血液は血液サンプリング装置の本体に連結されたシリンジによる力でリザーバ内へ流入する。
【0052】
よって、本血液サンプリング装置および血液サンプリングのための方法は、IV挿入後に直ちに診断用血液サンプルを得るために必要なコンポーネントの数を大幅に低減する。ここで説明したように、血液サンプリング装置は、通常の静脈アクセスの間に血液サンプルを取得し、準備し、および直接的に検査する特徴部を組み合わせることができる。これらの実施形態は、プロセスの工程数を減らすことによって、また、サンプリングから検査結果を得るまでの時間を短縮することによって、臨床医が血液サンプリングプロセスの全体を容易に行えるようにするものである。
【0053】
本発明は、ここで広く説明され、添付の特許請求の範囲に記載されたような、その構造、方法またはその他の本質的な特徴から逸脱することなく、他の具体的な形態においても実施し得るものである。説明した実施形態は、すべての点で例示的なものとして考察されるべきであり、限定のためのものとして考察されるべきではない。従って、本発明の範囲は、以上の説明によってではなく、添付の特許請求の範囲によって表される。特許請求の範囲に記載された発明と等価な範囲および意義に至るすべての変更は、それらの範囲に包含される。
【技術分野】
【0001】
本発明の開示は、血管アクセス装置を用いる血液サンプリングに関するものである。血液サンプリングは、患者からの少なくとも1滴の血液の引き抜きを含む一般的な健康管理処置である。血液サンプルは一般に、入院患者、在宅患者および救急外来患者から、手掌での採血(finger stick)、踵での採血(heel stick)あるいは静脈穿刺のいずれかを行うことによって採取される。採取に応じ、血液サンプルは1以上の血液検査レベルを経て分析される。
【背景技術】
【0002】
血液検査は、疾病、ミネラル含有量(mineral content)、薬効(drug effectiveness)および臓器機能(organ function)など、患者の生理学的状態および生化学的状態を判定するものである。血液検査は、患者の位置から離れた距離にある試験室で行われることもあるし、治療のポイント(point of care)すなわち患者の近くの位置で行われることもある。治療ポイントの血液検査の一例は患者の血糖レベルの日常的検査であり、これは手掌での採血を通じた血液の抽出および診断用カートリッジへの機械的な採血を要する。その後、診断用カートリッジが血液サンプルを分析し、患者の血糖レベルの読み取り値を臨床医に提供する。血液ガス電解質レベル,リチウムレベル,イオン化カルシウムレベルを分析する他の装置も入手可能である。さらに、治療用装置のいくつかのポイントは、急性冠症候群(ACS)および深部静脈血栓症/肺塞栓症(DVT/PE)のためのマーカを確認する。
【0003】
治療ポイントでの検査および診断の急速な進歩があるにも拘らず、血液サンプリング技術は比較的不変のままである。血液サンプルはしばしば、皮下注射器、あるいは、針またはカテーテルアセンブリの近位端に結合させた真空チューブを使用して引き抜かれる。いくつかの事例では、臨床医は、患者に挿入されたカテーテルを通して血液を引き抜くべくカテーテルに挿入される針およびシリンジを用いることで、カテーテルシステムから血液を採取する。これらの手順は、検査に先立って採取した血液が典型的には引き抜かれる中間装置としての真空チューブおよび針を利用する。従って、これらの処理は、血液サンプルの取得、準備および検査の過程において多数の装置を集中的に利用する手段である。さらに、必要とされる各々の装置によって、検査プロセスの時間およびコストが加わる。従って、より効率的な血液サンプリングおよび検査装置並びに方法が要望されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、当該技術分野における問題および要望、すなわち現在入手可能な血液サンプリング装置および方法では未だ十分に解決されていない問題および要望に応じてなされたものである。従って、本発明の装置および方法は、より効率的な血液サンプリングおよび診断を提供するべく開発されたものである。
【0005】
本発明の血液サンプリングシステムおよび方法は、診断に用いる血液サンプルをIV挿入の直後に得るために必要とされるコンポーネントの数を著しく減らすものである。血液サンプリング装置の実施形態は、通常の静脈アクセスの間に、血液サンプルを取得し、準備し、および直接検査する特徴部を組み合わせたものである。これらの実施形態は、プロセスの工程数を減じ、サンプリングと検査結果の取得との間の時間を短縮することにより、全体的な血液サンプリングプロセスを臨床医にとって容易なものとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一形態では、血液サンプリング装置は本体を有し、該本体は、カテーテル,針など別体の(separate)血管アクセス装置に部分的に挿入されるよう形状が定められ且つ寸法付けられている。本体はさらに、その内部にリザーバを画成しており、リザーバは診断のための血液検査に用いるのに十分な血液を収容するに足る内容積を有する。気体透過性のある排気部(vent)が本体に配設され、リザーバと気体連通することで、気体を排気部から流出させつつ、患者の血圧の力で血液がリザーバ内に流入できるようになる。
【0007】
完成品(implementations)は次の特徴の1以上を含むことができる。診断用の試薬をリザーバ内に配することができる。搭載型(on-board)の診断用カートリッジをリザーバと流体連通させることができる。本体は、リザーバの内容物を圧縮に応じて吐出するよう形状が定められ、且つ寸法付けられた圧縮部を含むことができる。リザーバは複数のチャンバを含むことができる。リザーバが複数のチャンバを含む場合、複数のチャンバの少なくとも1つが診断用の試薬を含むことができる。リザーバは血液の保存料(preservative)を含むことができる。リザーバは、本体が別体の血管アクセス装置に部分的に挿入されたときに別体の血管アクセス装置と流体連通する遠位側開口を含むことができる。本体は別体の血管アクセス装置内に挿入するための雄形ルアー(luer)アダプタを含むことができ、遠位側開口を雄形ルアーアダプタに対する遠位側開口とすることができる。雄形ルアーアダプタは、その内部に配置された吸い上げ材(wicking material)を含んでいてもよい。本体は別体の血管アクセス装置内に挿入するための雄形ルアーアダプタを含むことができる。
【0008】
他の形態では、血液サンプリング装置は本体を有し、該本体は、別体の血管アクセス装置に部分的に挿入されるよう形状が定められ、且つ寸法付けられている。本体はその内部にリザーバを画成しており、リザーバは少なくとも1μLの内容積を有する。気体透過性排気部が本体に配設され、リザーバと気体連通する。そして、診断用コンポーネントがリザーバと流体連通する。
【0009】
完成品は次の特徴の1以上を含むことができる。診断用コンポーネントは搭載型診断用カートリッジ含むことができる。診断用コンポーネントはリザーバ内に配された診断用の試薬を含むことができる。リザーバは複数のチャンバを含むことができ、複数のチャンバの少なくとも2つが別の(separate)診断用コンポーネントを含むことができる。
【0010】
さらに他の形態では、血液サンプリング装置は別体の血管アクセス装置に部分的に挿入されるよう形状が定められ、且つ寸法付けられた本体を含む。本体はその内部に画成されたリザーバおよび圧縮部を有する。本体の圧縮部は、それが圧縮されたときにリザーバの内容物を吐出するよう形状が定められ、且つ寸法付けられている。リザーバは少なくとも1μLの内容積を有する。気体透過性のある排気部が本体に配設される。完成品は、次の特徴の1以上を含むことができる。リザーバの内容積を10mL未満とすることができ、あるいは、いくつかの実施形態では内容積は2mL未満である。そして、リザーバを血液保存料と流体連通させることができる。
【0011】
さらなる形態では、排気可能な血液サンプリング装置を用いる血液サンプリング方法は、患者の脈管構造内に血管アクセス装置を部分的に挿入することを含む。次に、本方法は、血液サンプリング装置を血管アクセス装置内に挿入することを含む。血液サンプリング装置は、別体の血管アクセス装置に部分的に挿入されるよう形状が定められ、且つ寸法付けられた本体と;該本体内に画成され、診断のための血液検査に用いるのに十分な血液を収容するに足る内容積を有するリザーバと;本体に配設され、リザーバと気体連通する気体透過性のある気体排出部(gas vent)と、を含む。本方法は、最後に、患者の脈管構造から血液サンプリング装置内への血液の流入を生じさせ、リザーバを血液で満たすことを含む。完成品はさらに、血圧および吸い上げの少なくとも一方によって流れを生じさせることを含んでいてもよい。
【0012】
本発明のこれらおよび他の特徴並びに利点は、本発明の実施形態に組み込まれ得るものであり、以下の説明および添付の特許請求の範囲からより十分に明らかとなるか、あるいはまた、後述するような本発明の実施によって学習され得る。本発明は、すべての有利な特徴およびすべての利点が本発明のあらゆる実施形態に組み込まれているいることを必須とするものではない。
【0013】
本発明の上述のおよび他の特徴並びに利点が得られる態様を容易に理解できるようにする目的で、添付の図面に示された本発明の具体的な実施形態を参照することにより、先に簡単に説明した本発明のより詳細な説明が提供される。図面は本発明の典型的な実施形態を示すものであり、従って本発明の範囲を限定するものとして考察されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】代表的な実施形態に係る血管アクセス装置の管外システムおよび血液サンプリング装置の斜視図である。
【図2】代表的な実施形態に係る血管アクセス装置の管外システムおよび血液サンプリング装置の上面側斜視図である。
【図3】代表的な実施形態に係る血管アクセス装置の他の管外システムおよび血液サンプリング装置の斜視図である。
【図4】代表的な実施形態に係る血管アクセス装置の他の管外システムおよび血液サンプリング装置の斜視図である。
【図5】代表的な実施形態に係る血液サンプリング装置の断面図である。
【図6A】代表的な実施形態に係る血液サンプリング装置の斜視図である。
【図6B】代表的な実施形態に係る他の血液サンプリング装置の斜視図である。
【図7A】代表的な実施形態に係る血管アクセス装置の管外システムおよび血液サンプリング装置の使用時における斜視図である。
【図7B】代表的な実施形態に係る血管アクセス装置の管外システムおよび血液サンプリング装置の使用時における斜視図である。
【図7C】代表的な実施形態に係る血液サンプリング装置およびテストストリップの使用時における斜視図である。
【図8】代表的な実施形態に他の血液サンプリング装置の断面図である。
【図9】代表的な実施形態に係る、1以上の診断用試薬を有する他の血液サンプリング装置の断面図である。
【図10】代表的な実施形態に係る、複数のチャンバを有する他の血液サンプリング装置の断面図である。
【図11A】代表的な実施形態に係る、複数のチャンバを有する他の血液サンプリング装置の断面図であり、当該断面は図11Bの11A線に沿って取ったものである。
【図11B】代表的な実施形態に係る、複数のチャンバを有する他の血液サンプリング装置の断面図であり、当該断面は図11Aの11B線に沿って取ったものである。
【図12A】代表的な実施形態に係る血液サンプリング装置の遠位端における断面図である。
【図12B】代表的な実施形態に係る血液サンプリング装置の遠位端における端面図である。
【図13A】代表的な実施形態に係る血液サンプリング装置の遠位端における断面図である。
【図13B】代表的な実施形態に係る血液サンプリング装置の遠位端における端面図である。
【図14A】代表的な実施形態に係る血液サンプリング装置の遠位端における断面図である。
【図14B】代表的な実施形態に係る血液サンプリング装置の遠位端における端面図である。
【図15】代表的な実施形態に係る、搭載型診断用カートリッジを有する血液サンプリング装置の上面図である。
【図16】代表的な実施形態に係る、搭載型診断用カートリッジを有する他の血液サンプリング装置の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の現在好適な実施形態は、図面を参照することによって最も良く理解され、ここで同様の参照番号は同一または機能的に同様のエレメントを示している。本発明のコンポーネントは、ここでは概して図面に説明され且つ例示されるように、広範な種々異なる構成に対して配置および設計できることが容易に理解される。よって、図面に表されたような以下のより詳細な説明は、特許請求の範囲に記載された発明の範囲を限定することを企図したものではなく、本発明の現在好適な実施形態の代表的なものに過ぎない。
【0016】
本発明は、種々の管外システムから血液サンプルを採取し得る血液サンプリング装置に関連する。図1から図4は種々の管外システムを示しており、これとともに血液サンプリング装置を使用することができる。血液サンプリングシステム102はこれらに示されたシステムに制限されることなく、簡単な針からより複雑な管外装置までの範囲にわたる、他の管外システムとともに用い得ることが理解される。これらの図から、血液サンプリング装置102は、患者から診断用血液サンプルを引き抜くのに必要なコンポーネントの数を減じ得ることが明らかである。これは、血液サンプリング装置が、血液サンプルを採取する特徴部、保存する特徴部、および検査する特徴部を単一の装置内に備えているからである。
【0017】
図1を参照するに、Becton, Dickinson and CompanyによるBDNEXIVATM Closed IV(静脈内) Catheter Systemなどの管外システム100を、血液サンプリング装置102を用いてアクセスさせることができる。システム100の一例は、図1に示すように、管内針116;針上抹消管内カテーテル(over-the-needle, peripheral intravascular catheter)114;2つのポート120を有するY型アダプタ104およびクランプ110と一体の延長チューブ108(ここではカテーテルとしても参照される);ルアー(Luer)アクセス装置すなわちポート106;および受動型針遮蔽機構112など、複数の血管アクセス装置を含む。2以上の血管アクセス装置を接続するのに用いられるどのようなアダプタであっても、Y型アダプタ104の代わりに使用することができる。
【0018】
図示されるように、血液サンプリング装置102は、Y型アダプタ104のポート120に挿入されてそこから血液サンプルを採取する。あるいは、図2に示すように、いくつかの実施形態においては、血液サンプリング装置102は、Y型アダプタ104のポート120に直接挿入されるのではなく、ルアーアクセス装置に挿入される。図示されるように、いくつかの実施形態においては、血液サンプリング装置102は遠位端を有し、これはルアーアクセスポートなどの別体の血管アクセス装置に挿入されるよう形状が定められ且つ寸法付けられている。いくつかの実施形態においては、遠位端は雄形カプラである。いくつかの実施形態においては、遠位端は雄形ルアーコネクタである。
【0019】
導入針116が管外システム100から引き抜かれた後、Y型アダプタ104の双方のポートが閉鎖される。この時点で血液はシステム100内に収容される。そして、一体型の延長チューブ108上のクランプ110は血液サンプリング装置102に対する血液の流れを選択的に制限ないしは解消する。クランプ110が延長チューブ108を開放しているとき、血液は血液サンプリング装置102に流入し、適切な血液サンプルに対して十分な血液を内部リザーバに充填する。概して、適切な血液サンプルは0.1μL〜200mLの間の血液を含む。
【0020】
図3は他の管外システム150を示し、これは延長チューブを介してではなく、近位端において血液サンプリング装置102により直接的にアクセスされる。管外システム150は、管内針116;針上抹消管内カテーテル114;および受動型針遮蔽機構112を含む。針遮蔽機構112の近位端にはポート118が含まれ、これを通して血液サンプリング装置102が挿入される。挿入に応じ、血液が管内カテーテル114を通って血液サンプリング装置102の内部リザーバに流入するとき、血液サンプリング装置102は患者からの血液サンプルを受容することができる。
【0021】
図4を参照するに、代替的な他の管外システム200が示され、これは血液サンプリング装置202にアクセスされて血液サンプルを得るものである。管外システム200は、患者の脈管系と流体連通を行うのに用いられる。導入針116が管外システム200から引き抜かれると、血液サンプリング装置202の遠位端203が管外システム200に挿入され、カテーテル214を通して血液を引き、血液サンプリング装置202内に引き込む。いくつかの実施形態において、管外システム200は内側空洞(不図示)を有し、管外システム200にアクセスするために血液サンプリング装置202がその空洞に挿入される。
【0022】
管外システムへの挿入に応じ、血液サンプリング装置102は血液を引き込む。いくつかの実施形態においては、血液は静脈圧下で血液サンプリング装置102に流入する。図1を参照するに、いくつかの実施形態において、血液サンプリング装置102はそれに配設された気体透過性排気部(図5に示される)を有し、患者の静脈圧によって、管外システム100を通した血液サンプリング装置102への血液の流入を生じさせることが可能となっている。血液がシステム100に入るとき、気体透過性排気部によって空気が血液サンプリング装置102から出て行き、血液の引き込みが可能となる。従って、気体透過性排気部は、血液サンプリング装置102が患者の血圧によって専ら駆動されることを可能にする。
【0023】
他の実施形態において、血液は、少なくとも一部に他の駆動力源を用いる血液サンプリング装置に引き込まれる。例えば、いくつかの実施形態では、血液サンプリング装置は真空力を用いて血液を引き込む真空チューブである。他の実施形態では、ポンプまたはシリンジを用いる血液サンプリング装置内に引き込まれる。他の実施形態では、血液サンプリング装置は、その遠位端内に配設された吸い上げ手段を介して血液を受容する。いくつかの実施形態では、吸い上げ材はミクロ流体工学的物質(micro fluidics)を含む。
【0024】
血液サンプリング装置が適切な血液サンプルを採取した後、サンプルを分析することができる。図1を続いて参照するに、クランプ110がY型アダプタ104および血液サンプリング装置102への血液の流れを止めることで、血液サンプリング装置を管外システム100から取り外すことができる。いくつかの場合、血液サンプリング装置102は分析のために試験室に送られることになる。いくつかの実施形態では、血液サンプリング装置の本体は少なくとも部分的に圧縮可能なものであり、血液は検査、特に治療ポイントでの検査のために搾り出されることになる。いくつかの実施形態では、血液サンプリング装置は、その内部での診断用検査の実施を可能とする診断用試薬を含む。さらに他の実施形態では、血液サンプリング装置は、搭載型診断用カートリッジを含み、血液サンプルを分析し、診断結果を搭載型診断用カートリッジ上に表示する。これらの種々の実施形態については後に詳述する。
【0025】
図5を参照するに、血液サンプリング装置300の断面が示され、これは内部リザーバ302を画成する本体312を表している。本体312およびリザーバ302は種々の形状および寸法を有し得る。いくつかの実施形態では、リザーバは、標準的な血液サンプルの容量あるいは単一滴の血液に対応して、少なくとも0.1μL〜10mLの容量を有する。いくつかの実施形態では、リザーバの容量は200mLまでである。容量200mLのリザーバであれば、異なる複数の血液検査に対して十分に多量の血液サンプルを収容することが可能となるであろう。他の実施形態では、リザーバ容量は20mL未満あるいは200mL超である。
【0026】
いくつかの実施形態では、本体312は、上述したように、管外システムに挿入するために形状が定められ且つ寸法付けられている。いくつかの実施形態では、本体の遠位端は図6A〜図7Cに示されるもののような細長いステムないしはカニューレの形態の雄形カプラ356を含み、これは別体の血管アクセス装置に選択的に挿入される。いくつかの実施形態では、雄形カプラは雄形ルアーコネクタである。図示のように、本体312の遠位端は、ねじ山308および雄形カプラ306を有する雄形ルアーコネクタを含む。この遠位端は、ルアーアダプタ106,Yアダプタ104,カテーテルアセンブリ,カテーテルナブ(catheter nub),針,カテーテルなどの別体の血管アクセス装置、または図1〜図4に示したもののような他の血管アクセス装置に、少なくとも一部を挿入するために形状が定められ且つ寸法付けられている。
【0027】
先に論じたように、いくつかの実施形態では、本体312には気体透過性排気部304が配置され、それを通した気流の通過を許容する一方、それを通した血液などの流体の通過を阻止している。この気体透過性排気部304はリザーバ304と流体連通する。排気部は疎水性のものでも親水性のものでもよく、また、ガラス、ポリエチレン・テレフタレート(PET)、超極細繊維材料、または、DuPont社が提供するTYVEK(登録商標)材料などの高密度ポリエチレン材料で作製された他の合成材料とすることができる。図示のように、気体透過性排気部304は本体312の近位端に配設されている。しかし他の実施形態では、気体透過性排気部304は本体312の他の面または部分に配置される。例えば、いくつかの実施形態では、気体透過性排気部304は本体312の側面に配設される。さらに、2以上の気体透過性排気部304を本体312に配設することもできる。例えば、2以上のチャンバがリザーバ302に含まれる場合、各チャンバが各別の気体透過性排気部304を有することができる。
【0028】
図6Aは、圧縮可能な本体部分362をもつ本体を有する血液サンプリング装置350を示す。ここで用いられる「圧縮可能」という用語は、リザーバ内の流体のサンプルを排出する目的でリザーバ容積のサイズを減らすためのいかなる手段に対しても参照される。例えば、圧縮可能な部分は、雄形カプラ356を除いて全体的に可撓性のある本体を含むことができる。あるいは、圧縮可能な部分は、より剛性のある部分が互いに押圧されたときに撓むよう、本体の制限された部分に限定されるものであってもよい。他の場合には、圧縮可能な部分は、本体に配設されたプランジャを含むとともに、リザーバの部分を成す。プランジャ(不図示)は、内向きの外力に応答し、本体内で内向きに移動することでリザーバの内容積を減少させ、これによって血液サンプルが排出される。いくつかの実施形態では、圧縮を円滑に行うために、本体は、その把持および圧縮を容易にする2つの対向グリップすなわちパッド364を含んでいる。パッド364は剛性のあるものでもよいし、圧縮性のあるものでもよい。
【0029】
いくつかの実施形態では、異なる血液検査で異なる量の血液を要することがあるので、リザーバは、特定の血液検査に対して、または特定の血液検査の数に対して必要とされる量の血液を保持するよう寸法付けられる。いくつかの実施形態では、寸法の異なる複数の血液サンプリング装置を有する1セットの血液サンプリング装置が臨床医に提供される。従って、図6Aおよび図6Bは、より小さい血液サンプリング装置350およびより大きい血液サンプリング装置400を示している。これらの装置350および400は、雄形カプラ356および406と、圧縮可能な本体部分362および412と、パッド364および414と、気体透過性排気部354および404と、遠位側ルーメン360および410と、を含む。以下では、説明を簡略化するために図6Aの実施形態のみについて参照を行う。
【0030】
図7A〜図7Cは、圧縮可能な本体部分364を有する血液サンプリング装置350を用いた血液のサンプリングおよび検査のプロセスを示す。操作時には、図7A〜図7Bに示すように、血液サンプリング装置350の雄形カプラ356が別体の血管アクセス装置450内に選択的に挿入される。例えば、別体の血管アクセス装置450は、アダプタ126と、スリット124を有する隔膜122をもつルアーアダプタ106とを有したものとして示されている。雄形カプラ356が隔膜122内に挿入されると、血液サンプリング装置350が別体の血管アクセス装置450ひいては患者の脈管構造と流体連通する。血液が別体の血管アクセス装置450を通り血液サンプリング装置350に向かって流れるにつれ、気体は血液サンプリング装置350の気体透過性排気部354を通って出て行く。このようにして血液が血液サンプリング装置350内に流入し、リザーバ302が充填される。
【0031】
図7Cに示すように、血液がリザーバ302に受容されると、血液サンプリング装置350が別体の血管アクセス装置から取り外され、臨床医によって圧縮されることで、血液の一部または全部をリザーバから放出することができる。血液サンプルは、図示のテストストリップ454上や診断用カートリッジ内に放出されるか、または、血液サンプリング装置350内に保持されて分析のために試験室に移送することができる。
【0032】
いくつかの実施形態においては、本体は圧縮可能な部分を有しておらず、剛性のあるものとされる。その場合、血液サンプルを抽出するために、いくつかの実施形態では吸い上げ手段が血液サンプリング装置内に挿入されて、そこから吸い上げを行う。他の実施形態では、単に血液が血液サンプリング装置の遠位側開口の外に注ぎ出される。他の場合には、遠位側開口からの血液の流出が可能となるよう、気体透過性膜が穿孔される。
【0033】
いくつかの血液サンプルは直ちに検査されないこともあり得るので、いくつかの実施形態では、血液サンプリング装置が1以上の保存料をリザーバ302内に収納していることで、後の検査のために血液を保存するようにされる。ここで図8を参照するに、リザーバ302内に収納された1以上の保存料512を有する血液サンプリング装置500の断面が示されている。血液がリザーバに入ると、保存料と混合する。種々の保存料をリザーバ302に包含させことができる。例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)をリザーバ302内に配置することで、血液中のカルシウムをキレートして凝固を防ぐことができる。凝固時間が検査されるのであれば、EDTAを用いる代わりにクエン酸類を包含させてもよい。他の実施形態では、リザーバ302内にヘパリンが包含される。さらに他の実施形態では、リザーバの内部に他の種類の保存料が包含される。
【0034】
さらに、いくつかの実施形態では、血液サンプリング装置は、臨床医または試験室の技術者に対し、サンプルが取られてからどれだけの時間が経過したかの表示を提供する時間インジケータ520を含む。いくつかの実施形態では、リザーバの外側に、経過時間および/または温度に基づき色が変化する変色ステッカなどの時間インジケータ520が設けられる。他の実施形態では、時間インジケータ520は、期限切れなどにより血液サンプルがもはや有用なものではなくなる時間の経過を提示する。いくつかの実施形態では、時間インジケータ520はリザーバ内に配設され、血液サンプルとの接触により始動される。
【0035】
加えて、あるいは代替的に、血液サンプリング装置内で血液サンプルを検査することができる。いくつかの実施形態では、リザーバ302は、その内部に配されて血液サンプルと反応し、臨床医に視覚的表示を提供する1以上の診断用試薬を含む。診断用試薬は疾病、ミネラル含有量、薬効および臓器機能など、患者の生理学的状態および生化学的状態を表すことができる。図9を参照するに、いくつかの実施形態では、リザーバ302は1以上の診断用試薬552、554、556、558、560および562を含み、その各々によって。異なる生理学的状態および/または生化学的状態についての検査を行うことができる。例えば、一実施形態では、リザーバは8つの診断用試薬を含むことができ、試薬の各々が基礎的な生化学的検査(basic metabolic panel)の要素の1つ、すなわちナトリウム、カリウム、塩化物、重炭酸塩、血中尿素窒素(BUN)、マグネシウム、クレアチニンおよびグルコースの1つを測定する。いくつかの実施形態では、試薬は非可視的結果を提供し、これは機械によって読み取られ、試験室内で処理され得る。使用の明瞭化のために、血液サンプリング装置の外装を透明または半透明とし、マークを含むことで、そのマーク近傍に配された試薬の種類を提示することができる。このように、血液サンプリング装置600は治療ポイントでの診断用ツールを提供し得るものである。
【0036】
いくつかの実施形態では、異なる診断用試薬が各別に(separate)保持されることで、より正確な結果を得ることを可能にする。従って、図10に示すように、いくつかの実施形態では、リザーバ622は本体の分割部分によって分離された複数のチャンバ608,610,612を含み、1以上のチャンバに試薬614および616が含まれるようにされている。加えて、いくつかの実施形態では、1以上のチャンバが保存料を含むことができる。チャンバ608,610,612の各々が気体透過性排気部604に流体連通しているので、リザーバ622に流入する血液がチャンバ608,610,612の各々に流入する。血液がチャンバに入ると、内部にある試薬と混合する。混合に応じ、試薬は、付加的なツールまたはそれ以上の遅延を必要とすることなく、臨床医に対し診断情報を提供することができる。
【0037】
いくつかの実施形態では、リザーバチャンバ608,610,612は遠位側の流れ制限器620によっても分離される。流れ制限器620は、それを通過するときの流体の速度を制限することによって、各チャンバとの間の流体連通を制限する。従って、血液がフィルタを通過して試薬と混合するにつれ、血液は部分的に、チャンバから出て行くことが流れ制限器620により制限されるとともに、他のリザーバチャンバに入って行くことが流れ制限器620により制限される。いくつかの実施形態では、流れ制限器620は連続する多孔質フィルタを含み、これはリザーバ断面にわたっており、それを通過するときの流体の速度を制限する。流れ制限器の代替的な実施形態が図12A〜図14Bに示されている。各コンテナ内において不必要に血液が曝露されるのを防止するために、試薬の反応プロセスまたはプロセス群の期間中、臨床医は血液サンプリング装置をその近位端(気体透過性排気部604を有するものとして示されている端部)上で直立した状態にセットすることができる。あるいは、いくつかの実施形態においては、血液サンプリング装置550は、遠位側開口を覆って血液の曝露を防ぐキャップを含む。
【0038】
図11A〜図11Bは他のリザーバチャンバの構成を示す。いくつかの実施形態では、リザーバ622は、本体652の放射状分割部分654によって分離される複数のチャンバ656,658,660,662,664および668に分割されている。いくつかの実施形態では、各チャンバは気体透過性排気部672と流体連通する。他の実施形態では、上述のように、チャンバの各々は分離した気体透過性排気部(不図示)と流体連通する。従って、いくつかの実施形態では、本体は2以上の気体透過性排気部を含んでいる。
【0039】
いくつかの実施形態では、本体652の分割部分654は雄形カプラ306に向け遠位方向に延在する。他の実施形態では、本体652の分割部分654は雄形カプラ306内に延在し、血液サンプリング装置650内に入った直後に、血液が種々のチャンバ内に隔離されるようにされている。さらに他の実施形態では、本体652の分割部分654は雄形カプラ306内に部分的にのみ延在している。さらに別の実施形態では、本体652の分割部分654は雄形カプラ306にまでは延在せず、図10に示したものと同様、リザーバ302の近位端と遠位端との間で部分的にのみ延在している。さらに、いくつかの実施形態では、図10および図12A〜図14Bに示したもののように、チャンバへの入口は流れ制限器620を含み、チャンバに対する部分的なバリアを形成している。
【0040】
図12A〜図14Bを参照するに、いくつかの実施形態では、血液サンプリング装置の遠位端は流れ制限器を含み、これは本体に一体に形成された固形(solid)バリア704を備える。固形バリア704は、それを通る1以上の穴またはチャネルを含み、いくらかの流体が血液サンプリング装置内に流入できるようにしている。1以上の穴は、表面張力だけでリザーバ内に流体を保持し得る。例えば、図12A〜図12Bは、固形バリア704を備えた流れ制限器を示し、当該バリアはそれを通る単一の穴706を有している。穴706は、静脈圧がない状態では、それを通る血液の流れに抵抗するように形状が定められ且つ寸法付けられている。いくつかの実施形態では、穴は0.1から0.5mmの範囲内の直径を有する。他の実施形態では、穴は0.2から0.3mmの範囲内の直径を有する。従って、作動時には静脈圧が血液サンプリング装置への血液の流入を生じさせることになる。内部リザーバに入ると、付加的な圧力がない状態では、血液は流れ制限器の穴から概ね流出しなくなる。穴またはチャネルは、流れ制限器に切削または成形されたものとすることができる。
【0041】
図13A〜図13Bを参照するに、いくつかの実施形態では、流れ制限器754は固形バリア704であり、当該バリアはそれを通る複数の穴756を有している。複数の穴756は流れ制限器754を通る流量を増大させ得る。加えて、いくつかの実施形態では、流れ制限器754は各チャンバに対する穴を含み、各穴が分離チャンバに流体を向けるようになっている。その場合、流れ制限器は各内部チャンバへの遠位側バリアを形成する。
【0042】
いくつかの実施形態では、流れ制限器は雄形カプラ702内に配設される。そのような位置付けにより、血液サンプリング装置が別体の血管アクセス装置から取り外されたとき、流れ制限器は、雄形カプラ702内に配設されない場合には生じ得る血液の曝露を防止する。他の実施形態では、上述したように、流れ制限器は血液サンプリング装置のリザーバに対して配設される。
【0043】
図14A〜図14Bを参照するに、いくつかの実施形態では、流れ制限器754は雄形カプラ802にわたっている固形バリア808と、雄形カプラ802に成形または切り込まれた1以上のチャネル806とを備える。いくつかの実施形態では、切り込まれたチャネル806は0.1から0.5mmの範囲内の長さおよび幅を有する。これらのチャネルは図12A〜図13Bを参照して説明した穴と同様に機能し、血液サンプリング装置への血液の進入を可能とするとともに、血液サンプリング装置からの血液の移動を制限する。
【0044】
図15および図6の参照を行うと、これらの図は搭載型診断用カートリッジを有する血液サンプリング装置を示している。診断用カートリッジは治療ポイントでの診断装置であり、血液サンプルを受容し、1以上の生理学的状態および生化学的状態についてその血液を検査する。診断用カートリッジは、小型であることから治療ポイントで使用することができ、これによって臨床医には検査結果が速やかに提供される。検査が完了した後、搭載型診断用カートリッジは1以上の検査結果を臨床医に対して表示する。従って臨床医は、血液サンプルを取ってから数分以内に検査結果を得ることになる。搭載型診断用カートリッジの例には、Abbott Group of companiesから提供されるi-STAT(登録商標)検査カートリッジが含まれる。これらの装置は、表示技術を用いるデジタル式の単回使用型(disposable)妊娠検査において用いられているものと同様のディスプレイを含み得るものであり、比較的経済的なものである(例えばClearblue社から提供されるClearblue Easy Digital Pregnancy Test)。
【0045】
よって、搭載型診断用カートリッジは、治療ポイントで比較的短時間に臨床医が血液サンプルの電子的分析を得ることを可能にする。図15および図16を参照するに、いくつかの実施形態では、血液サンプリング装置900および950は、内部流体リザーバ902を画成するとともに雄形カプラ906を有する本体910を備えている。血液サンプリング装置900はさらに、ディスプレイ902を有する搭載型診断用カートリッジ904を含む。搭載型診断用カートリッジ904は、流体連通チャネルを介して、あるいはリザーバ902に接触して直接的に、血液を受容する。よって、リザーバ内の血液は搭載型診断用カートリッジ904に送達され、その内部で分析される。
【0046】
いくつかの実施形態では、搭載型診断用カートリッジ904は血液サンプリング装置900の本体910に一体化されている。他の実施形態では、搭載型診断用カートリッジ904は本体910に対し選択的に連結され、本体910から選択的に取り外される。従って、いくつかの実施形態において本体910は、搭載型診断用カートリッジ904を選択的に取り外し可能に受容するために、スロット、ラッチ、クリップまたはチャネルを含んでいる。
【0047】
上述したように、搭載型診断用カートリッジ904は内部分析能力を採用している。よっていくつかの実施形態では、搭載型診断用カートリッジ904は内部回路基板;電池などの電源;および、血液を成分に分離して血液の分析を行うのに必要な適切なコンポーネントを含む。分析結果を表示するために、搭載型診断用カートリッジ904はディスプレイを含む。いくつかの実施形態では、ディスプレイはLCD型のディスプレイ954(図16に示される)である。他の実施形態では、ディスプレイは色を変化させて分析の結果を示す変色構造物である。
【0048】
搭載型診断用カートリッジ904を有する血液サンプリング装置は、血液サンプルを取得し、準備し、および直接的に検査する医療技術の特徴部を、単一の、使用が容易な装置に組み合わせている。かかる装置により、プロセスの工程数が減り、そしてサンプリングから検査結果の取得までの時間が短縮される。
【0049】
以上の説明より、血液サンプルを患者から採取するのに血液サンプリング装置を利用できることがわかる。従って、排気可能な血液サンプリング装置を用いる血液サンプリング用の方法は、まず、患者の脈管構造内へ血管アクセス装置を挿入することを含んでいる。図1〜図4に示したように、血液サンプリング装置は、カテーテル、針チップ(needle tip)およびその他の雌形ルアー接続部を有する装置を含む種々の血管アクセス装置内に部分的に挿入されるよう形状が定められ、且つ寸法付けられている。
【0050】
次に、血液サンプリング装置は血管アクセス装置内に挿入される。いくつかの実施形態では、血液サンプリング装置は、その本体の遠位側の雄形カプラを含み、ねじ山付きの雄形ルアーコネクタを含んでいる。他の実施形態では、遠位側の雄形カプラは内部ルーメンを有する突起(projection)を備えるが、ねじ山は有していない。
【0051】
最後に、患者の脈管構造から血液サンプリング装置への血液の流れを生じさせることで、血液サンプリング装置が血液で満たされる。いくつかの実施形態では、血液は患者の静脈圧の力によってリザーバ内へ流入し、リザーバと流体連通する気体透過性排気部を含むことによってこれが促進される。静脈圧は血液をリザーバ内に押しやり、気体透過性排気部はそれを通してリザーバ内の気体が出て行くのを許容する。他の実施形態では、血液はリザーバ内の真空の力によってリザーバ内へ流入する。さらに他の実施形態では、血液は血液サンプリング装置の本体に連結されたシリンジによる力でリザーバ内へ流入する。
【0052】
よって、本血液サンプリング装置および血液サンプリングのための方法は、IV挿入後に直ちに診断用血液サンプルを得るために必要なコンポーネントの数を大幅に低減する。ここで説明したように、血液サンプリング装置は、通常の静脈アクセスの間に血液サンプルを取得し、準備し、および直接的に検査する特徴部を組み合わせることができる。これらの実施形態は、プロセスの工程数を減らすことによって、また、サンプリングから検査結果を得るまでの時間を短縮することによって、臨床医が血液サンプリングプロセスの全体を容易に行えるようにするものである。
【0053】
本発明は、ここで広く説明され、添付の特許請求の範囲に記載されたような、その構造、方法またはその他の本質的な特徴から逸脱することなく、他の具体的な形態においても実施し得るものである。説明した実施形態は、すべての点で例示的なものとして考察されるべきであり、限定のためのものとして考察されるべきではない。従って、本発明の範囲は、以上の説明によってではなく、添付の特許請求の範囲によって表される。特許請求の範囲に記載された発明と等価な範囲および意義に至るすべての変更は、それらの範囲に包含される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
別体の血管アクセス装置内に部分的に挿入されるよう形状が定められ且つ寸法付けられた本体と、
前記本体内に画成された1以上のチャンバを含むリザーバであって、診断のための血液検査に用いるのに十分な血液を収容するに足る内容積を有するリザーバと、
前記本体に配設され、前記リザーバと気体連通する気体排出部と、
を具えたことを特徴とする血液サンプリング装置。
【請求項2】
前記リザーバの少なくとも1つのチャンバ内に配された診断用試薬をさらに具えたことを特徴とする請求項1に記載の血液サンプリング装置。
【請求項3】
前記リザーバの少なくとも1つのチャンバと流体連通する搭載型診断用カートリッジをさらに具えたことを特徴とする請求項1に記載の血液サンプリング装置。
【請求項4】
前記本体が圧縮可能な部分を備え、該部分は、圧縮されたときに、前記リザーバの少なくとも1つのチャンバから内容物を排出するよう形状が定められ且つ寸法付けられていることを特徴とする請求項1に記載の血液サンプリング装置。
【請求項5】
前記リザーバが少なくとも2つのチャンバを含むことを特徴とする請求項1に記載の血液サンプリング装置。
【請求項6】
前記リザーバが少なくとも1つのチャンバ内に保存料を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の血液サンプリング装置。
【請求項7】
前記本体が血液サンプリングからの経過時間のインジケータを含むことを特徴とする請求項1に記載の血液サンプリング装置。
【請求項8】
前記リザーバは遠位側開口を含み、該遠位側開口は、前記本体が前記別体の血管アクセス装置に部分的に挿入されたときに前記別体の血管アクセス装置と流体連通することを特徴とする請求項1に記載の血液サンプリング装置。
【請求項9】
前記本体は、前記別体の血管アクセス装置に挿入されるよう形状が定められ且つ寸法付けられている雄形ルアーアダプタを含み、前記遠位側開口は前記雄形ルアーアダプタの遠位側開口であることを特徴とする請求項8に記載の血液サンプリング装置。
【請求項10】
前記遠位側開口は、そこに配設された吸い上げ材を含むことを特徴とする請求項8に記載の血液サンプリング装置。
【請求項11】
前記遠位側開口は、流れ制限器を含むことを特徴とする請求項8に記載の血液サンプリング装置。
【請求項12】
前記本体は前記別体の血管アクセス装置に挿入するためのルアーアダプタを含むことを特徴とする請求項1に記載の血液サンプリング装置。
【請求項13】
別体の血管アクセス装置内に部分的に挿入されるよう形状が定められ且つ寸法付けられた本体と、
前記本体内に画成された1以上のチャンバを含み、該チャンバの各々が少なくとも0.1μLの内容積を有しているリザーバと、
前記本体に配設され、前記リザーバと気体連通する気体排出部と、
前記リザーバと流体連通する診断用コンポーネントと、
を具えたことを特徴とする血液サンプリング装置。
【請求項14】
前記診断用コンポーネントが、前記リザーバの少なくとも1つのチャンバと流体連通する搭載型診断用カートリッジを含むことを特徴とする請求項13に記載の血液サンプリング装置。
【請求項15】
前記診断用コンポーネントが、前記リザーバの少なくとも1つのチャンバ内に配された診断用試薬を含むことを特徴とする請求項13に記載の血液サンプリング装置。
【請求項16】
前記リザーバは複数のチャンバを含み、該複数のチャンバの少なくとも2つが別の診断用コンポーネントを含んでいることを特徴とする請求項13に記載の血液サンプリング装置。
【請求項17】
前記診断用コンポーネントが保存料を含んでいることを特徴とする請求項13に記載の血液サンプリング装置。
【請求項18】
別体の血管アクセス装置内に部分的に挿入されるよう形状が定められ且つ寸法付けられた本体であって、圧縮可能な部分を有する本体と、
前記本体内に画成された少なくとも0.1μLの内容積を有しているリザーバであって、前記本体の前記圧縮可能な部分が、圧縮時にリザーバ内容物の少なくとも一部を排出するよう形状が定められ且つ寸法付けられるようにされているリザーバと、
前記本体に配設され、前記リザーバと気体連通する気体排出部と、
を具えたことを特徴とする血液サンプリング装置。
【請求項19】
前記リザーバが10mL未満の内容積を有していることを特徴とする請求項17に記載の血液サンプリング装置。
【請求項20】
前記リザーバが血液保存料を含んでいることを特徴とする請求項17に記載の血液サンプリング装置。
【請求項1】
別体の血管アクセス装置内に部分的に挿入されるよう形状が定められ且つ寸法付けられた本体と、
前記本体内に画成された1以上のチャンバを含むリザーバであって、診断のための血液検査に用いるのに十分な血液を収容するに足る内容積を有するリザーバと、
前記本体に配設され、前記リザーバと気体連通する気体排出部と、
を具えたことを特徴とする血液サンプリング装置。
【請求項2】
前記リザーバの少なくとも1つのチャンバ内に配された診断用試薬をさらに具えたことを特徴とする請求項1に記載の血液サンプリング装置。
【請求項3】
前記リザーバの少なくとも1つのチャンバと流体連通する搭載型診断用カートリッジをさらに具えたことを特徴とする請求項1に記載の血液サンプリング装置。
【請求項4】
前記本体が圧縮可能な部分を備え、該部分は、圧縮されたときに、前記リザーバの少なくとも1つのチャンバから内容物を排出するよう形状が定められ且つ寸法付けられていることを特徴とする請求項1に記載の血液サンプリング装置。
【請求項5】
前記リザーバが少なくとも2つのチャンバを含むことを特徴とする請求項1に記載の血液サンプリング装置。
【請求項6】
前記リザーバが少なくとも1つのチャンバ内に保存料を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の血液サンプリング装置。
【請求項7】
前記本体が血液サンプリングからの経過時間のインジケータを含むことを特徴とする請求項1に記載の血液サンプリング装置。
【請求項8】
前記リザーバは遠位側開口を含み、該遠位側開口は、前記本体が前記別体の血管アクセス装置に部分的に挿入されたときに前記別体の血管アクセス装置と流体連通することを特徴とする請求項1に記載の血液サンプリング装置。
【請求項9】
前記本体は、前記別体の血管アクセス装置に挿入されるよう形状が定められ且つ寸法付けられている雄形ルアーアダプタを含み、前記遠位側開口は前記雄形ルアーアダプタの遠位側開口であることを特徴とする請求項8に記載の血液サンプリング装置。
【請求項10】
前記遠位側開口は、そこに配設された吸い上げ材を含むことを特徴とする請求項8に記載の血液サンプリング装置。
【請求項11】
前記遠位側開口は、流れ制限器を含むことを特徴とする請求項8に記載の血液サンプリング装置。
【請求項12】
前記本体は前記別体の血管アクセス装置に挿入するためのルアーアダプタを含むことを特徴とする請求項1に記載の血液サンプリング装置。
【請求項13】
別体の血管アクセス装置内に部分的に挿入されるよう形状が定められ且つ寸法付けられた本体と、
前記本体内に画成された1以上のチャンバを含み、該チャンバの各々が少なくとも0.1μLの内容積を有しているリザーバと、
前記本体に配設され、前記リザーバと気体連通する気体排出部と、
前記リザーバと流体連通する診断用コンポーネントと、
を具えたことを特徴とする血液サンプリング装置。
【請求項14】
前記診断用コンポーネントが、前記リザーバの少なくとも1つのチャンバと流体連通する搭載型診断用カートリッジを含むことを特徴とする請求項13に記載の血液サンプリング装置。
【請求項15】
前記診断用コンポーネントが、前記リザーバの少なくとも1つのチャンバ内に配された診断用試薬を含むことを特徴とする請求項13に記載の血液サンプリング装置。
【請求項16】
前記リザーバは複数のチャンバを含み、該複数のチャンバの少なくとも2つが別の診断用コンポーネントを含んでいることを特徴とする請求項13に記載の血液サンプリング装置。
【請求項17】
前記診断用コンポーネントが保存料を含んでいることを特徴とする請求項13に記載の血液サンプリング装置。
【請求項18】
別体の血管アクセス装置内に部分的に挿入されるよう形状が定められ且つ寸法付けられた本体であって、圧縮可能な部分を有する本体と、
前記本体内に画成された少なくとも0.1μLの内容積を有しているリザーバであって、前記本体の前記圧縮可能な部分が、圧縮時にリザーバ内容物の少なくとも一部を排出するよう形状が定められ且つ寸法付けられるようにされているリザーバと、
前記本体に配設され、前記リザーバと気体連通する気体排出部と、
を具えたことを特徴とする血液サンプリング装置。
【請求項19】
前記リザーバが10mL未満の内容積を有していることを特徴とする請求項17に記載の血液サンプリング装置。
【請求項20】
前記リザーバが血液保存料を含んでいることを特徴とする請求項17に記載の血液サンプリング装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図12A】
【図12B】
【図13A】
【図13B】
【図14A】
【図14B】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図12A】
【図12B】
【図13A】
【図13B】
【図14A】
【図14B】
【図15】
【図16】
【公表番号】特表2012−532683(P2012−532683A)
【公表日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−519728(P2012−519728)
【出願日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際出願番号】PCT/US2010/041366
【国際公開番号】WO2011/005956
【国際公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(595117091)ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー (539)
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
【住所又は居所原語表記】1 BECTON DRIVE, FRANKLIN LAKES, NEW JERSEY 07417−1880, UNITED STATES OF AMERICA
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際出願番号】PCT/US2010/041366
【国際公開番号】WO2011/005956
【国際公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(595117091)ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー (539)
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
【住所又は居所原語表記】1 BECTON DRIVE, FRANKLIN LAKES, NEW JERSEY 07417−1880, UNITED STATES OF AMERICA
【Fターム(参考)】
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