説明

血液凝固測定および試験のためのキュベットベースの装置

凝血時間を測定するための装置は、凝血検出器具と、凝血検出器具と共に用いられるキュベットとを含む。キュベットは、血液サンプルレセプタの入口と、凝血時間測定を行うための少なくとも1つのテストチャネル、少なくとも1つの親水性の表面部分を有し血液サンプルレセプタの入口および少なくとも1つのテストチャネルと連通するサンプリングチャネル、ならびに少なくとも1つの親水性の表面部分を有しサンプリングチャネルと連通する排液チャネルを含むチャネル構成と、サンプリングチャネルと連通する通気開口部とを含む。光学センサの露出により、必要な体積の血液サンプルを少なくとも1つのテストチャネルの中に引き込む、凝血検出器具のポンプモジュールが始動される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2008年7月16日に出願された米国仮出願第61/081,290号に基づく優先権を主張するものであり、この開示の全体を参照により本明細書に組み入れる。
【0002】
本発明は、血液凝固を測定および試験するための装置および方法に関する。より詳細には、本発明は、自動定量血液サンプル充填能力を有する血液凝固測定および試験のためのキュベットベースの装置に関する。
【背景技術】
【0003】
多くの人々は、自分の血液の治療上の凝固時間を維持するために抗凝固薬を取り入れる。人により、抗凝固薬のピーク抗凝固薬効果は、多くの時間および/または日数だけ遅延することがあり、効果の持続時間は、ピーク後さらに4〜5日間にわたって存続することがある。したがって、抗凝固薬を取り入れる人々は、自分が取り入れている抗凝固薬の量を自分が監視および調節できるように、自分の血液の凝固時間を綿密に監視することが重要である。
【0004】
人の血液中の抗凝固薬の有効な量を求める一般的な方法は、プロトロンビン時間(PT)試験を行うことである。PT試験は、血液のサンプルが固まるのにどれだけの長さがかかるかを測定するものである。結果として、血液中の抗凝固薬または止血薬レベルは、凝血を形成するのに要する時間の長さに正比例する。
【0005】
凝固時間測定および試験を行うための多くのデバイスおよび装置が存在する。これらの装置のうちのいくつかは、持ち運び可能であり、人が自宅で作動させるのに十分に簡単なものである。こうした装置の例は、Gavin他に付与され本発明の譲受人であるInternational Technidyne Corporationに譲渡された「PORTABLE TEST APPARATUS AND ASSOCIATED METHOD OF PERFORMING A BLOOD COAGULATION TEST」と題する米国特許第5,534,226号(特許文献2)に記載されている。この特許に記載された装置は、使い捨てのキュベットおよび試験デバイスを含む。作動時には、血液サンプルがキュベットのカップ状の供給容器の中に入れられ、血液サンプルがキュベットの中に引き込まれ、血液サンプルの凝固時間が測定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国仮出願第61/081,290号
【特許文献2】米国特許第5,534,226号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
こうした装置に関連する問題は、測定および試験のためにキュベットの中に引き込まれる血液サンプルの体積が、試験デバイスおよびサンプルカップ除去技術の両方によって制御されることである。そのうえ、カップ状の供給容器は、使うのに厄介なものである。
【0008】
したがって、血液凝固を測定および試験するための改善された装置への必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
凝血検出器具と共に用いるためのキュベットが本明細書に記載される。このキュベットは、血液サンプルレセプタの入口と、凝血時間測定を行うための少なくとも1つのテストチャネル、血液サンプルレセプタの入口および少なくとも1つのテストチャネルと連通するサンプリングチャネル、ならびにサンプリングチャネルと連通する排液チャネルを含むチャネル構成と、サンプリングチャネルと連通する通気開口部とを備える。少なくともサンプリングチャネルおよび排液チャネルの各々は、親水性の、少なくとも1つの表面部分、コーティング、インサート、またはライナ、およびそれらの任意の組合せを有する。親水性のその少なくとも1つの表面部分を備えたサンプリングチャネル、通気開口部、および親水性のその少なくとも1つの表面部分を備えた排液チャネルが共同して、血液レセプタの入口に堆積された必要な体積の血液サンプルをサンプリングチャネルの中に自動的に引き込む。より詳細には、凝血検出器具、キュベットの少なくとも1つのテストチャネル、およびキュベットの通気開口部を越えて延びるサンプリングチャネルの区域内の圧縮された空気が、排液チャネルと共同して、血液サンプルの前縁を血液レセプタの入口からサンプリングチャネルの中に引き込み、サンプリングチャネル内に引き戻して、凝血検出器具の光学センサを露出させる。血液サンプルが引き戻されて光学センサが露出される時点でのサンプリングチャネル内の血液サンプルの体積は、必要な体積と等しい。光学センサの露出により、必要な体積の血液サンプルを少なくとも1つのテストチャネルの中に引き込む、凝血検出器具のポンプモジュールが始動される。
【0010】
凝血時間を測定するための装置が本明細書に記載される。この装置は、凝血検出器具と、凝血検出器具と共に用いられるキュベットとを備える。凝血検出器具は、ポンプモジュールと少なくとも1つの圧力センサとを備える。キュベットは、血液サンプルレセプタの入口と、凝血時間測定を行うための少なくとも1つのテストチャネル、血液サンプルレセプタの入口および少なくとも1つのテストチャネルと連通するサンプリングチャネル、ならびにサンプリングチャネルと連通する排液チャネルを含むチャネル構成と、サンプリングチャネルと連通する通気開口部とを備える。少なくともサンプリングチャネルは、親水性の、少なくとも1つの表面部分、コーティング、インサート、またはライナ、およびそれらの任意の組合せを有する。親水性のその少なくとも1つの表面部分を備えたサンプリングチャネル、通気開口部、および排液チャネルが共同して、血液レセプタの入口に堆積された必要な体積の血液サンプルをサンプリングチャネルの中に自動的に引き込み、凝血検出器具のポンプモジュールが始動されるときに必要な体積の血液サンプルが少なくとも1つのテストチャネルの中に引き込まれる。キュベットの少なくとも1つのテストチャネル、凝血検出器具のポンプモジュールおよび少なくとも1つの圧力センサが共同して、必要な体積の血液サンプルに対する凝血時間測定を行う。
【0011】
同じく本明細書に記載されるのは、キュベットのテストチャネル内に収容された血液サンプルの凝血時間を自動的に測定するための凝血検出器具である。この凝血検出器具は、キュベットのテストチャネルと連通するためのポンプモジュールと、圧力センサと、中央処理装置とを備える。中央処理装置は、血液サンプルをキュベットのテストチャネル内で前後にポンプする圧力交互モードでポンプモジュールを作動させるための命令を実行する。凝血形成中に、血液サンプルの粘度が増加して、ポンプモジュールのポンプ圧を時間と共に増加させる。中央処理装置は、圧力交互モードでのポンプモジュールの最初の作動時に圧力センサからベースラインポンプ圧を取得するための命令と、圧力センサから付加的なポンプ圧を時間と共に取得するための命令と、各々の付加的なポンプ圧とベースラインポンプ圧との間のポンプ圧力差値を求めるための命令と、各々のポンプ圧力差値を所定の閾値と比較するための命令と、ポンプ圧力差値が所定の閾値を上回るときに血液サンプルの凝血時間を示すための命令とを実行し、示された凝血時間は、所定の閾値を超えたポンプ圧力差値を求めるために用いられる付加的なポンプ圧の測定とベースラインポンプ圧の測定との間にわたる時間の継続を含む。
【0012】
種々の図面における同様の参照番号および名称は同様の要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】血液凝固または凝血時間を測定するためのキュベットベースの装置の実施形態の概略図である。
【図2A】使い捨てキュベットの実施形態の概略的な平面図である。
【図2B】図2Aの線2B〜2Bに沿って見た断面図である。
【図2C】図2Aの線2C〜2Cに沿って見た断面図である。
【図3A】図2Aに示された使い捨てキュベットの血液サンプル試験部の拡大図である。
【図3B】図3Aの線3B〜3Bに沿って見た断面図である。
【図4】図2Aに示された使い捨てキュベットの定量血液サンプリング部の拡大図である。
【図5】圧力プロフィールと凝血検出グラフを示す図である。
【図6A】使い捨てキュベットの別の実施形態の概略的な平面図である。
【図6B】使い捨てキュベットのさらなる実施形態の概略的な平面図である。
【図7A】使い捨てキュベットのさらなる実施形態の斜視図である。
【図7B】図7Aにおける丸で囲まれた領域7Bの拡大図である。
【図7C】図7Bにおける線7C〜7Cに沿って見た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1を参照すると、血液凝固または凝血時間を測定するためのキュベットベースの装置10の実施形態の概略図が示されている。装置10は、一般に、使い捨てキュベット100と凝血検出器具200とを備える。装置10は、血液のサンプル(全血または血漿)を使い捨てキュベット100の特定の位置上に堆積させ、使い捨てキュベット100を凝血検出器具200に作動的に結合することによって血液凝固時間を測定するために用いられてもよい。キュベット100は、キュベット100の特定の位置に堆積された(試験されるべき)必要な体積の血液サンプルをそれ自身で自動的に選択または充填する。凝血検出器具200は、キュベット100内の凝血薬との血液サンプルの自動混合を促進し、血液サンプルと接触することなく、使い捨てキュベット100内で凝血薬と混合された選択された体積の血液サンプルの凝血時間を自動的に測定する。測定の完了後に、キュベット100は、凝血検出器具200から取り外されまたは除去され、廃棄されてもよい。凝血検出器具200は血液サンプルと接触しないので、別のキュベット100が、凝血検出器具200の滅菌または他の洗浄なしに、別の血液サンプルを測定するための凝血検出器具200に作動的に結合されてもよい。
【0015】
さらに図1を参照すると、凝血検出器具200は、空気圧式ポンプモジュール210、ポンプモジュール210を駆動するためのモータ220、キュベット100に空気圧で結合するためにポンプモジュール210から延びる複数のチューブ230、チューブ230内の空気圧を測定するための各チューブ230と関連付けられた圧力センサ240、および、キュベット100内のサンプリングチャネルを光学的に感知するための光学センサ250を備える。一実施形態において、光学センサ250はLED/光センサを含むが、これに限定されない。凝血検出器具200はまた、限定ではなしに、光学センサ250から受信した信号を介してモータ220、したがってポンプモジュール220の作動を制御し、圧力センサ240によって感知された圧力に基づいて凝血時間を求めるための命令を実行する中央処理装置260(CPU)と、測定された凝血時間または測定に関係する他のデータを表示するためのディスプレイ(図示せず)と、前に行われた測定を保存するためのメモリ270と、凝血検出器具200を作動させ、ディスプレイを制御し、および/またはメモリ270から保存されたデータにアクセスするためのボタン、ノブ、および/またはスイッチ(図示せず)とを備える。
【0016】
ここで図2A〜図2Cを参照すると、使い捨てキュベット100の実施形態の概略的な平面図が集合的に示されている。キュベット100は、一般に平坦な上面111および下面112を画定する実質的に平坦な本体110を備える。キュベット本体110は、典型的に、モールディングのようなあらゆる適切な形成方法を用いて剛性の透明な疎水性または親水性プラスチック材料から形成される。疎水性プラスチック材料は、限定ではなしに、ポリスチレンおよびポリテトラフルオロエチレンを含んでもよく、親水性プラスチック材料は、限定ではなしに、アクリロニトリルスチレン、アクリロニトリルスチレンアクリレートを含んでもよい。キュベット本体110はまた、他のタイプの剛性の透明な疎水性または親水性材料から形成されてもよい。キュベット本体110は、その下面112内に形成された開チャネルの構成を含む。開チャネルは、キュベット本体110の下面112に取り外し不可能に取り付けられた薄い基体120によって覆われシールされる。キュベット本体110が親水性材料から形成されない、すなわち疎水性材料から形成されるとき、チャネル構成のチャネルの各々は、親水性の少なくとも1つの表面を有する、および/または親水性のコーティングを有する、および/またはキュベット100の自動充填機能を促進するその中に配置された(例えば、チューブまたはライナとして形成され、それによりチャネル(単数または複数)を完全にまたは部分的にライニングする)親水性のインサートを有する。
【0017】
一実施形態において、薄い基体120の少なくとも上面121、すなわち、キュベット本体110の下面112と接触する表面は、親水性であるかまたは親水性の特性を有する。基体120の上面121の親水性の特性は、凝血検出器具200による凝固時間測定のためのキュベット100上に堆積された血液サンプルの必要な体積の選択を促進する。他の実施形態において、血液サンプルの必要な体積の選択は、親水性材料からキュベット本体110を形成することによって達成される。
【0018】
薄い基体120は、一実施形態において、クリアな親水性感圧接着剤の層122aで片側がコーティングされた透明なフィルム122である。親水性接着剤の層122aは、基体120の上面121を形成し、基体120をキュベット本体110の下面112に取り外し不可能に取り付ける。透明なフィルム122は、一実施形態において、透明なポリエステル材料を含んでもよい。
【0019】
代替的な実施形態において、透明なフィルム122は親水性材料から形成される。こうした基体は、キュベット本体110の下面112に塗布された接着剤の層により(基体120の上面121がキュベット本体110の下面112と合致された状態で)キュベット本体110の下面112に取り付けられてもよい。代替的に、こうした基体は、ヒートシール法を用いてキュベット本体110の下面112に取り付けられてもよい。
【0020】
さらに図2A〜図2Cを参照すると、キュベット本体110の下面に形成されたチャネル構成は、一般に、サンプリングチャネル130、1つまたは複数のテストチャネル140、および少なくとも1つの排液チャネル150を備える。サンプリングチャネル130の第1端131は、キュベット本体110の第1端または前端113に形成されたサンプル堆積領域160と連通する。キュベット本体110の前端113におけるサンプル堆積領域160と、基体120の露出された下にある部分とが、血液サンプルレセプタおよび入口161(レセプタの入口161)を形成し、その上にすべての血液サンプルが堆積される。サンプリングチャネル130は、キュベット本体110の下面においてレセプタの入口161から長手方向に延び、その第2端で、キュベット本体110の下面に形成された1つまたは複数のテストチャネル140と合流する。
【0021】
図2A〜図2Cに示されたチャネル構成は、レセプタの入口161のちょうど下流でサンプリングチャネル130から分岐し、排液チャネル150をサンプリングチャネル130に流体接続するジャンパチャネル170をさらに含む。排液チャネル150の末端は、入ってきた血液によって排液チャネル150およびジャンパチャネル170内から押し退けられた「デッド」空気が外部環境に通気されることを可能にする、キュベット本体110の中に横方向に形成された排液チャネル通気孔151と連通する。排液チャネル通気孔151は、キュベット本体110の上面111において外部環境に通じ、キュベット本体110の下面において基体120によって閉鎖される。
【0022】
図2A〜図2Cに示されたチャネル構成は、ジャンパチャネル170の下流のサンプリングチャネル130から分岐した通気チャネル180をさらに含む。通気チャネル180は、入ってきた血液によってサンプリングチャネル130および通気チャネル180内から押し退けられた「デッド」空気が外部環境に通気されることを可能にする、キュベット本体110の中に横方向に形成された通気開口部181と連通する。通気開口部181は、キュベット本体110の上面111において外部環境に通じ、キュベット本体110の下面において基体120によって閉鎖される。
【0023】
図2Cに示されるように、キュベット本体110の下面112に形成されたサンプリングチャネル130(ならびに、ジャンパチャネル170、排液チャネル150、および通気チャネル180)は、滑らかな上面Tと滑らかな側面Sとを有する。サンプリングチャネル130(ならびに、ジャンパチャネル170、排液チャネル150、および通気チャネル180)の下面Bは、同じく滑らかな基体120の上面121(例えば、親水性の接着剤層122aまたは親水性のフィルム122の上面)によって形成される。
【0024】
キュベット本体110は、いくつかの実施形態において、疎水性材料から形成される。こうした実施形態において、サンプリングチャネル130、通気チャネル180、ジャンパチャネル170、および排液チャネル150の各々は、それぞれ、キュベット100の自動サンプルサイジング機能を促進する、親水性の少なくとも1つの表面を含み、および/または親水性のコーティングを有し、および/またはその中に配置された親水性のインサートを有する。
【0025】
他の実施形態において、キュベット本体110は親水性材料から形成される。こうした実施形態における1つまたは複数のテストチャネル140の各々は、キュベット100によって行われるべき自動充填または自動サンプルサイジング機能が必要とされない場合に、疎水性の少なくとも1つの表面を含み、および/または疎水性のコーティングを有し、および/またはその中に配置された疎水性のインサートを有する。
【0026】
凝血検出器具200による測定のためにキュベット100によって選択された必要な体積の血液サンプルは、レセプタの入口161上に堆積された血液サンプルから得られる。この体積のサイズは、サンプリングチャネル130の有効容積によって決定される。サンプリングチャネル130の有効容積は、レセプタの入口161に隣接する点Aから通気チャネル180に隣接する点Bまで測定された、サンプリングチャネル130の幅、サンプリングチャネル130の高さ、およびサンプリングチャネル130の長さによって決定される。サンプリングチャネル130を排液チャネル150に接続するジャンパチャネル170は、サンプリングチャネル130が完全に充填されるまで排液チャネル150の充填を遅延させる。遅延の持続時間は、レセプタの入口161上に堆積された血液サンプルからの血液が排液チャネル150の中に引き込まれる前にサンプリングチャネル130の中に引き込まれることを保証する、ジャンパチャネル170と排液チャネル150との交差部Iと、ジャンパチャネル170の長さおよび排液チャネル150の横断面積(CSA)に対するジャンパチャネル170のCSAとによって制御される。遅延時間は、ジャンパチャネル170の横断面積および長さによって決定される。遅延の持続時間は、ジャンパチャネル170を長くすること、および/またはジャンパチャネル170の横断面積(幅および高さ)を排液チャネルのCSAに対して減少させて、ジャンパチャネル170を通る流れの抵抗を増加させることによって増加されてもよい。したがって、自動血液サンプル体積サイジング中に、ジャンパチャネル170と排液チャネル150との交差部Iは抵抗器のように働く。血液サンプルがキュベットのレセプタの入口161に適用または堆積されると、血液サンプルがサンプリングチャネル130およびジャンパチャネル170に実質的に同時に入る。血液サンプルはサンプリングチャネル130内で前方に動くが、該血液サンプルはまたジャンパチャネル170にも充満し、次いでジャンパチャネル170と排液チャネル150との交差部Iにおいて止まる。サンプリングチャネル130は、平衡状態に達するまで充填し続ける。レセプタの入口161内に残っているサンプルが、次いで、血液サンプルをジャンパチャネル170から排液チャネル150の中に付勢する。排液チャネル150の親水性の力が、レセプタの入口161内に残っている血液サンプルを取り出しおよび抜き取る。
【0027】
キュベットが3つのテストチャネル140を備える一実施形態において、サンプリングチャネル130は、幅約0.055インチ、高さ約0.014インチ、および長さ約0.9インチを有し、通気チャネル180は、幅約0.010インチ、高さ約0.012インチ、および長さ約0.140インチを有し、ジャンパチャネル170は、幅約0.010インチ、高さ約0.012インチ、および長さ約0.25インチを有し、排液チャネル150は、幅約0.066インチ、高さ約0.014インチ、および長さ約2.24インチを有する。こうしたキュベットの3つのテストチャネル140の各々は、幅約0.030インチおよび高さ約0.010インチを有する。外側の2つのテストチャネルの各々の長さは約1.69インチであり、内側のテストチャネルは約1.634インチである。キュベットの他の実施形態におけるサンプリングチャネル、ジャンパチャネル、排液チャネル、およびテストチャネルは、他の適切な寸法を有してもよい。
【0028】
図6Aは、参照番号300で表されたキュベットの別の実施形態を示す。キュベット300は、サンプリングチャネルと通気開口部との間に延びる通気チャネルが、サンプリングチャネル130の中に直接通じる通気開口部381に置き換えられたこと以外は、図2Aに示されたキュベット100と実質的に同一のものである。
【0029】
図6Bは、参照番号400で表されたキュベットのさらなる実施形態を示す。キュベット400は、排液チャネル450がサンプリングチャネル130と直接連通し、それによりジャンパチャネルを省略すること以外は、図2Aに示されたキュベット100と実質的に同一のものである。加えて、排液チャネル450は、排液チャネル450の充填を遅延するように機能する、排液チャネル450への入口の直後に配置された1つまたは複数のくびれ部452を含む。
【0030】
図7A〜図7Cは、参照番号500で表されたキュベットのさらなる実施形態を集合的に示す。1つまたは複数の開テストチャネル140が、開サンプリングチャネル130、通気チャネル180、ジャンパチャネル170、および排液チャネル150が形成される本体110の下面112にではなく本体110の上面111に形成されること以外は、キュベット500は図2Aに示されたキュベット100と実質的に同一のものである。加えて、キュベット本体110の上面111における1つまたは複数の開テストチャネル140は、キュベット本体110の上面111に取り外し不可能に取り付けられた疎水性の特性をもつ薄い基体530(例えば、基体530は、疎水性の接着剤コーティングを含み、または疎水性のフィルムである)によって覆われシールされ、キュベット本体110の下面112における開サンプリングチャネル130、通気チャネル180、ジャンパチャネル170、および排液チャネル150は、キュベット本体110の下面112に取り外し不可能に取り付けられた親水性の特性をもつ薄い基体520(例えば、基体520は、親水性の接着剤コーティングを含み、または親水性のフィルムである)によって覆われシールされる。図7Bおよび図7Cにおいて見られるように、サンプリングチャネル103と1つまたは複数のテストチャネル140への入口540は、互いから横方向にオフセットされる。キュベット本体110の上面111に形成された接続チャネル550は、サンプリングチャネル103の末端と連通する第1端550aと、1つまたは複数のテストチャネル140への入口540と連通する第2端550bとを有する。接続チャネル550の第1端550aは、親水性の基体520によって覆われシールされる。その第2端550bを含む接続チャネル550の残りの部分は、疎水性の基体530によって覆われシールされる。接続チャネル550は、サンプリングチャネル130によって正確に収集された体積の血液サンプルを1つまたは複数のテストチャネル140に移動させる。
【0031】
一実施形態において、1つまたは複数のテストチャネル140は、メノーラー形の(menorah-shaped)構成140mの3つのテストチャネル140の分岐アレイを備える(図2A、図3A、図4、図6A、および図6Bにおいて見られる)。テストチャネル140 mのメノーラー形のアレイは、選択された体積の血液を3つの個別の血液サンプルに均等に分け、それによりキュベット100が3つまでの異なる血液試験を行うのに用いられることを可能にする。キュベットにおいて行われてもよい血液試験の例は、本発明の譲受人であるInternational Technidyne Corporationに譲渡された「PORTABLE TEST APPARATUS AND ASSOCIATED METHOD OF PERFORMING A BLOOD COAGULATION TEST」と題する米国特許第5,534,226号を参照されたい。米国特許第5,534,226号の開示の全体を引用により本明細書に組み入れる。キュベット100の他の実施形態における分岐アレイは、2つのテストチャネル140または3つ以上のテストチャネル140を含んでもよい。
【0032】
図2A、図3A、図4、図6A、および図6Bをさらに参照すると、各テストチャネル140の末端または末端縁は、キュベット本体110の中を通して形成された駆動孔(drive aperture)141と連通する。駆動孔141は、キュベット本体110の上面112において外部環境に通じており、キュベット本体110の下面において基体120によって閉鎖される。キュベット100が凝血検出器具200に作動的に結合されるときにチャネルの構成と凝血検出器具200の空気圧式ポンプモジュール210が空気システムを形成するように、キュベット100が図1に示すように凝血検出器具200に作動的に結合されるときに、ポンプモジュール210から延びる複数のチューブ230がキュベット本体110の1つまたは複数の駆動孔141とシール係合する。
【0033】
ここで図3Aおよび図3Bを参照すると、キュベット本体110の下面に形成されたテストチャネル140の各々は、サンプリングチャネル130、ジャンパチャネル170、および排液チャネル150の上部、側部、および底部壁と同様の滑らかな上部、側部、および底部壁(各テストチャネル140の底部壁は基体120の滑らかな上面121によって形成されている)をもつ端部区域142aと、上部壁TTおよび側部壁STがテクスチャ付けされた中間区域142bとを含む。1つの限定ではない実施形態において、テクスチャ付けは、フラットローレットのアヤ目(flat knurl cross-hatch)を含んでもよい。他の実施形態において、1つまたは複数のテストチャネル140の中間区域142bにおけるテクスチャ付けは、上部壁上にのみまたは側部壁の一方または両方上にであってもよい。テクスチャ付けされた区域の長さは、試験の間、テストチャネル140のこの区域内に血液サンプルBLDが常に残るように選択される。凝血をトリガし加速するための無水凝血促進試薬(図示せず)は、テクスチャ付けが位置する各テストチャネル140に配置される。各テストチャネル140における試薬は、同じであってもよく、または異なっていてもよい。したがって、一実施形態において、試薬Aがテストチャネルの各々にあってもよい。別の実施形態において、試薬Aがテストチャネルのうちの2つにあってもよく、試薬Bがテストチャネルのうちの1つにあってもよい。さらに別の実施形態において、試薬Aがテストチャネルのうちの1つにあってもよく、試薬Bがテストチャネルのうちの1つにあってもよく、試薬Cがテストチャネルのうちの1つにあってもよい。血液サンプルがテストチャネル140の中に引き込まれるときに、試薬が再水和し血液と混合される。各テストチャネル140のテクスチャ付けされた壁は、キュベットの製造中に該キュベット上への試薬堆積を改善し、これより先で説明されるように血液サンプルの凝血時間の測定時に血液サンプルがその中で相互に動かされまたは振動されるので、凝血測定感度を増加させる。代替的な実施形態において、1つまたは複数のテストチャネル140のテクスチャ付けされた中間区域は、テストチャネル140が細くされるくびれ領域(図示せず)によって置き換えられてもよい。
【0034】
図4を参照しながらキュベット100の自動定量充填機能をここでさらに詳しく説明する。定量充填の前に、図1に示すように、凝血検出器具200のポンプモジュール210から延びる複数のチューブ230がキュベット本体110の1つまたは複数の駆動孔141とシール係合し、それによりキュベット100のチャネルの構成と凝血検出器具200の空気圧式ポンプモジュール210とによって成る空気システムを形成するように、キュベット100は凝血検出器具200に作動的に結合されなければならない。自動定量充填機能は、血液サンプルがキュベット100のレセプタの入口161上に堆積されたときに開始される。血液サンプルは、指穿刺後の指、針、点滴注入器、ピペット、キャピラリチューブ、またはあらゆる他の適切な堆積デバイスによってレセプタの入口161上に堆積されてもよい。サンプリングチャネル130の少なくとも一部は親水性であるため、この部分の親水性によって、レセプタの入口161上に堆積された血液サンプルをすべての通気チャネル180が充填されることになるまでサンプリングチャネル130の中に最初に引き込む力Fsが生成される。通気チャネル180および通気チャネル180とレセプタの入口161との間に延びるサンプリングチャネル130の区域のデッドエアが、サンプリングチャネル130のこの区域と通気チャネル180に血液BLDが充填される際に、通気チャネル180の通気開口部181を通って通気される。通気チャネル180の中に引き込まれた血液は通気開口部181をシールする。それと同時に、ジャンパチャネルの親水性の力Fjが血液をジャンパチャネルの中に引き込む。通気チャネル180が充填されると、力Fsが、サンプリングチャネル130内の血液BLDが通気チャネル180を通り越してサンプリングチャネル130の領域131の下にまたは上に位置する凝血検出器具200の光学センサ250を覆うように、より多くの血液を、レセプタの入口161上に堆積された血液サンプルからサンプリングチャネル130の中に引き込み続ける。Fs>FpおよびFw<<Fsであり、ここでFpは体積が圧縮されたデッドエアの圧力であり、Fwは親水性の排液チャネル150の少なくとも一部によって生成された親水性の力であることから、通気チャネル180を通り越した血液BLDは、通気チャネル180を越えて延びるサンプリングチャネル130の区域、テストチャネル140、および凝血検出器具200のチューブ230、ならびにポンプモジュール210内に収容されたデッドエアの体積を圧縮する。血液は、テストチャネル140内で平衡状態Fs=Fp+Fwに達したときに、サンプリングチャネル130内でテストチャネル140の方に流れるのを止める。
【0035】
平衡状態に到達した後で、ジャンパチャネルと排液チャネルとの交差部Iおよびジャンパチャネル170によって遅延された血液が、排液チャネル150に到達する。排液チャネル150は、血液と親水性の表面との間の接触ラインに比例する値まで増加する力Fwを生成し、該力Fwが、レセプタの入口161に残っている付加的な血液を排液チャネル150の中に最初に引き込む。排液チャネル150に過剰の血液サンプルBLDが充填されるので、入ってきた血液BLDによって排液チャネル150の中に配置され押し退けられたデッドエアが、排液チャネルの通気孔151を通って外部環境に通気される。残っている血液サンプルがレセプタの入口161から抜き取られると、力Fw+FpがFsよりも大きくなり、したがって、サンプリングチャネル130における血液BLDの前縁Eが通気チャネル180の方に引き戻され始める。
【0036】
サンプリングチャネル130における血液BLDの前縁Eは、力Fw+Fpによって引き戻され続け、光学センサ250を露出させる。光学センサ250が露出された瞬間にサンプリングチャネル130内に配置された血液サンプルBLDの体積が必要な体積である。その結果、露出された光学センサ250によって凝血検出器具200のポンプモジュール210が直ちに始動され、この必要な体積の血液サンプルBLDをテストチャネル140の中に引き込んで、血液サンプルBLDがテクスチャ付けされたテストチャネル140の区域に配置されるようにする。力Fwと力Fsとの比がサンプルの引き戻し速度を決定する。一般に、より広い排液チャネル150は、より強い引き戻しを有する。1つの限定ではない実施形態において、力Fwと力Fsとの比は1.2に等しい。前述の力は、キュベット本体110、基体120の材料特性、複数のチャネルのサイズおよび/または幾何学的形状によって調節されてもよいことが当業者には分かるであろう。サンプリングチャネル130の血液サンプルの通り越し機能および引き戻し機能はまた、凝血検出器具200のチューブ230およびポンプモジュール210内のデッドエアの体積によって調節および制御されてもよい。
【0037】
キュベット100の自動凝血試験機能を、ここで図3Aおよび図5を参照しながら、より詳細に説明する。ポンプモジュール210が血液サンプルをキュベット100の1つまたは複数のテストチャネル140の中に引き込んだ後で、ポンプモジュール210がキュベット100のテストチャネル140内に正圧および負圧を交互に生じるポンピングモードに自動的に切り替わる。交互の正圧および負圧(ポンプ圧)は、図3Aに示すように、血液サンプルBLDを1つまたは複数のテストチャネル140のテクスチャ付けされた区域(またはくびれ領域)にわたって前後に相互に移動させ、それにより血液サンプルを無水試薬と混合する。試薬が再水和し血液サンプルBLDと混合されるので、血液凝固カスケードがトリガされ加速される。血液サンプルBLD中のフィブリン形成により、血液サンプルBLDの粘度が時間と共に増加する。粘度の増加は、一実施形態において、各テストチャネル140内のポンプ圧を時間と共に測定することによって検出されてもよい。図5のグラフに示されるように、ポンプ圧は、最初のポンプ圧値(ポンプ圧ベースラインΔPベースライン)で開始し、凝血する間に血液の粘度が増加するので時間と共に増加する。凝血検出器具200の圧力センサ240は、ポンプ圧を時間と共に測定し、凝血検出器具200のCPU260がこのデータを最初の圧力ベースラインΔPベースラインと比較する。血液サンプルの凝血時間は、圧力値が事前に設定された閾値を超えるかまたはこれに等しいときに求められてもよい。一実施形態において、凝血時間は、
ΔP終点-ΔPベースライン≧閾値
であり、ここでΔP終点は凝固終点のピークツーピーク圧である。
【0038】
事前に設定される閾値は、固定のものであってもよく、または動的なものであってもよい。一実施形態において、動的な閾値は、
ΔPベースライン+(0.3×ΔPベースライン)
である。
【0039】
一般に、1つまたは複数のテストチャネル140の親水性は、キュベット100の凝血性能を妨げながら、キュベット100の堅牢な自動定量血液サンプル充填機能の一助となるであろう。テストチャネル140の寸法、幾何学的形状、テクスチャ付けの度合い/くびれのサイズ、ならびにキュベット本体110および基体120の親水性特性のバランスを適切に取ることにより、必要な凝血性能をもつキュベット100が提供されるであろう。
【0040】
ポンプモジュール210のポンププロフィール、すなわち、ポンピング速度およびストロークもまた、凝血性能に影響することがある。例えば、1ポンプステップ当たり20ミリ秒(ms)よりも高い、テストチャネルにおいて20ul毎秒に等しいポンプ速度、または55ステップを上回る、0.044に等しいポンプストロークは、弱い凝血(国際標準比>4.0)が変形する機会を増加させることがあり、これが転じて、より低い凝血検出精度をもたらすことがある。一実施形態において、ポンププロフィールは、1ポンプステップ当たり40msであり、ポンプ方向(正圧および負圧を生じる)ごとに36ステップである。
【0041】
例示的な図面および具体的な実施形態が記述および図示されたが、本発明の範囲は説明された特定の実施形態に限定されないことが理解される。したがって、実施形態は、制限するものではなく例示的なものとみなされるべきであり、以下の特許請求の範囲に記載の本発明およびそれらの構造上および機能上の均等物の範囲から逸脱することなく、当業者によってこれらの実施形態に変形がなされてもよいことを理解されたい。
【符号の説明】
【0042】
10 装置
100 使い捨てキュベット
110 キュベット本体
111 キュベット本体110の上面
112 キュベット本体110の下面
113 キュベット本体110の前端
120 基体
130 サンプリングチャネル
140 テストチャネル
141 駆動孔
150 排液チャネル
151 排液チャネル通気孔
160 サンプル堆積領域
161 レセプタの入口
170 ジャンパチャネル
180 通気チャネル
181 通気開口部
200 凝血検出器具
210 空気圧式ポンプモジュール
220 モータ
230 チューブ
240 圧力センサ
250 光学センサ
260 中央処理装置
270 メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
凝血検出器具と共に用いるためのキュベットであって、
本体を備え、前記本体が、
血液サンプルレセプタの入口と、
チャネル構成であり、
凝血時間測定を行うための少なくとも1つのテストチャネル、
前記血液サンプルレセプタの入口および前記少なくとも1つのテストチャネルと連通し、親水性の少なくとも1つの表面部分、コーティング、インサートまたはライナ、およびそれらの任意の組合せを少なくとも有する、サンプリングチャネル、ならびに
前記サンプリングチャネルと連通する排液チャネル
を備えるチャネル構成と、
前記サンプリングチャネルと連通する通気開口部と
を含み、前記サンプリングチャネル、前記通気開口部、および前記排液チャネルが共同して、前記血液レセプタの入口に堆積された必要な体積の血液サンプルを前記サンプリングチャネルの中に自動的に引き込む、キュベット。
【請求項2】
前記サンプリングチャネルと前記通気開口部との間の前記共同が、親水性の前記サンプリングチャネルの前記少なくとも1つの表面部分によって生成される力を含み、前記力が、前記血液サンプルレセプタの入口に堆積された前記血液サンプルからの血液を前記サンプリングチャネルの中に引き込み、入ってきた前記血液によって前記サンプリングチャネルから押し退けられた空気を、前記通気開口部を通じて通気する、請求項1に記載のキュベット。
【請求項3】
前記チャネル構成が、前記通気開口部を前記サンプリングチャネルに接続する通気チャネルをさらに備える、請求項1に記載のキュベット。
【請求項4】
前記チャネル構成が、前記サンプリングチャネルが充填されるまで前記排液チャネルの充填を遅延させるための、前記排液チャネルと関連する部材をさらに備える、請求項1に記載のキュベット。
【請求項5】
前記チャネル構成が前記本体の表面に形成される、請求項1に記載のキュベット。
【請求項6】
前記本体の前記表面に形成された前記チャネル構成の少なくとも一部を閉鎖しシールするための基体をさらに備える、請求項5に記載のキュベット。
【請求項7】
前記基体が、親水性の前記サンプリングチャネルの前記少なくとも1つの表面部分を形成する、請求項6に記載のキュベット。
【請求項8】
前記基体が、親水性の表面をもつフィルムを備え、前記基体の前記親水性の表面が、親水性の前記サンプリングチャネルの前記少なくとも1つの表面部分を形成する、請求項6に記載のキュベット。
【請求項9】
前記基体が、フィルムと、前記フィルム上に配置された親水性材料の層とを備え、前記親水性材料が、親水性の前記サンプリングチャネルの前記少なくとも1つの表面部分を形成する、請求項6に記載のキュベット。
【請求項10】
前記親水性材料が、前記基体を前記本体に取り付ける接着剤である、請求項9に記載のキュベット。
【請求項11】
前記少なくとも1つのテストチャネルに配置された凝血試薬をさらに備える、請求項1に記載のキュベット。
【請求項12】
前記少なくとも1つのテストチャネルが、少なくとも1つのテクスチャ付けされた表面を有する区域を含む、請求項1に記載のキュベット。
【請求項13】
前記少なくとも1つのテストチャネルがくびれ部を含む、請求項1に記載のキュベット。
【請求項14】
前記本体が、疎水性材料、親水性材料、または疎水性材料と親水性材料との組合せのうちの1つから形成される、請求項1に記載のキュベット。
【請求項15】
前記排液チャネルが、親水性の、少なくとも1つの表面部分、コーティング、インサート、またはライナ、およびそれらの任意の組合せを有する、請求項1に記載のキュベット。
【請求項16】
前記少なくとも1つのテストチャネルが、親水性のまたは疎水性の、少なくとも1つの表面部分、コーティング、インサート、またはライナ、およびそれらの任意の組合せを有する、請求項1に記載のキュベット。
【請求項17】
前記通気チャネルが、親水性の、少なくとも1つの表面部分、コーティング、インサート、またはライナ、およびそれらの任意の組合せを有する、請求項3に記載のキュベット。
【請求項18】
前記排液チャネルと関連する前記部材がジャンパチャネルまたはくびれ部を含む、請求項4に記載のキュベット。
【請求項19】
前記ジャンパチャネルまたは前記くびれ部が、親水性の、少なくとも1つの表面部分、コーティング、インサート、またはライナ、およびそれらの任意の組合せを有する、請求項18に記載のキュベット。
【請求項20】
前記チャネル構成が、前記排液チャネルを前記サンプリングチャネルに接続するジャンパチャネルをさらに備え、前記ジャンパチャネルが、前記サンプリングチャネルが充填されるまで前記排液チャネルの前記充填を遅延させるためのものである、請求項1に記載のキュベット。
【請求項21】
凝血時間を測定するための装置であって、
A)凝血検出器具であり、
ポンプモジュール、および
少なくとも1つの圧力センサ
を備える凝血検出器具と、
B)前記凝血検出器具と共に用いるためのキュベットと
を備え、前記キュベットが
本体を備え、前記本体が、
i)血液サンプルレセプタの入口と、
ii)チャネル構成であり、
a)前記キュベットが前記凝血検出器具に作動的に結合されるときに前記ポンプモジュールと連通するための少なくとも1つのテストチャネル、
b)血液サンプルレセプタの入口および前記少なくとも1つのテストチャネルと連通し、親水性の少なくとも1つの表面部分、コーティング、インサートまたはライナ、およびそれらの任意の組合せを少なくとも有する、サンプリングチャネル、ならびに
c)前記サンプリングチャネルと連通する排液チャネル
を備えるチャネル構成と、
iii)前記サンプリングチャネルと連通する通気開口部と
を含み、
前記凝血検出器具内の圧縮された空気と前記少なくとも1つのテストチャネル、前記サンプリングチャネル、前記通気開口部、および前記排液チャネルが共同して、血液レセプタの入口に堆積された必要な体積の血液サンプルを前記サンプリングチャネルの中に自動的に引き込み、
前記キュベットの前記少なくとも1つのテストチャネル、ならびに前記凝血検出器具の前記ポンプモジュールおよび前記少なくとも1つの圧力センサが共同して、前記必要な体積の血液サンプルに対する凝血時間測定を行う、装置。
【請求項22】
前記サンプリングチャネルと前記通気開口部との間の前記共同が、親水性の前記サンプリングチャネルの前記少なくとも1つの表面部分によって生成される力を含み、前記力が、前記血液サンプルレセプタの入口に堆積された前記血液サンプルからの血液を前記サンプリングチャネルの中に引き込み、入ってきた前記血液によって前記サンプリングチャネルから押し退けられた空気を、前記通気開口部を通じて通気する、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記チャネル構成が、前記通気開口部を前記サンプリングチャネルに接続する通気チャネルをさらに備える、請求項21に記載の装置。
【請求項24】
前記チャネル構成が、前記サンプリングチャネルが充填されるまで前記排液チャネルの充填を遅延させるための、前記排液チャネルと関連する部材をさらに備える、請求項21に記載の装置。
【請求項25】
前記チャネル構成が前記本体の表面に形成される、請求項21に記載の装置。
【請求項26】
前記本体の前記表面に形成された前記チャネル構成の少なくとも一部を閉鎖しシールするための基体をさらに備える、請求項25に記載の装置。
【請求項27】
前記基体が、親水性の前記サンプリングチャネルの前記少なくとも1つの表面部分を形成する、請求項26に記載の装置。
【請求項28】
前記基体が、親水性の表面をもつフィルムを備え、前記基体の前記親水性の表面が、親水性の前記サンプリングチャネルの前記少なくとも1つの表面部分を形成する、請求項26に記載の装置。
【請求項29】
前記基体が、フィルムと前記フィルム上に配置された親水性材料の層とを備え、前記親水性材料が、親水性の前記サンプリングチャネルの前記少なくとも1つの表面部分を形成する、請求項26に記載の装置。
【請求項30】
前記親水性材料が、前記基体を前記本体に取り付ける接着剤である、請求項29に記載の装置。
【請求項31】
前記少なくとも1つのテストチャネルに配置された凝血試薬をさらに備える、請求項21に記載の装置。
【請求項32】
前記少なくとも1つのテストチャネルが、少なくとも1つのテクスチャ付けされた表面を有する区域を含む、請求項21に記載の装置。
【請求項33】
前記少なくとも1つのテストチャネルがくびれ部を含む、請求項21に記載の装置。
【請求項34】
前記本体が、疎水性材料、親水性材料、または疎水性材料と親水性材料との組合せのうちの1つから形成される、請求項21に記載の装置。
【請求項35】
前記排液チャネルが、親水性の、少なくとも1つの表面部分、コーティング、インサート、またはライナ、およびそれらの任意の組合せを有する、請求項21に記載の装置。
【請求項36】
前記少なくとも1つのテストチャネルが、親水性のまたは疎水性の、少なくとも1つの表面部分、コーティング、インサート、またはライナ、およびそれらの任意の組合せを有する、請求項21に記載の装置。
【請求項37】
前記通気チャネルが、親水性の、少なくとも1つの表面部分、コーティング、インサート、またはライナ、およびそれらの任意の組合せを有する、請求項23に記載の装置。
【請求項38】
前記排液チャネルと関連する前記部材がジャンパチャネルまたはくびれ部を含む、請求項24に記載の装置。
【請求項39】
前記ジャンパチャネルまたはくびれ部が、親水性の、少なくとも1つの表面部分、コーティング、インサート、またはライナ、およびそれらの任意の組合せを有する、請求項38に記載の装置。
【請求項40】
前記チャネル構成が、前記排液チャネルを前記サンプリングチャネルに接続するジャンパチャネルをさらに備え、前記ジャンパチャネルが、前記サンプリングチャネルが充填されるまで前記排液チャネルの前記充填を遅延させるためのものである、請求項21に記載の装置。
【請求項41】
キュベットのテストチャネル内に収容された血液サンプルの凝血時間を自動的に測定するための凝血検出器具であって、
前記キュベットの前記テストチャネルと連通するためのポンプモジュールと、
圧力センサと、
中央処理装置と
を備え、前記中央処理装置が、
血液サンプルの粘度を時間と共に増加させ、前記血液の粘度の増加が前記ポンプモジュールのポンプ圧を時間と共に増加させる圧力交互モードで前記ポンプモジュールを作動させるための命令と、
前記圧力交互モードでの前記ポンプモジュールの最初の作動時に前記圧力センサからベースラインポンプ圧を取得するための命令と、
前記圧力センサから付加的なポンプ圧を時間と共に取得するための命令と、
付加的な各々のポンプ圧と前記ベースラインポンプ圧との間のポンプ圧力差値を求めるための命令と、
ポンプ圧力差値を所定の閾値と比較するための命令と、
前記ポンプ圧力差値が前記所定の閾値に等しいかまたは前記所定の閾値を超えるときに前記血液サンプルの凝血時間を示すための命令とを実行し、
前記示された凝血時間が、前記所定の閾値を超えたポンプ圧力差値を求めるために用いられる前記付加的なポンプ圧の測定と前記ベースラインポンプ圧の測定との間にわたる時間の継続を含む、凝血検出器具。
【請求項42】
前記所定の閾値が、固定のものであってもよく、または動的なものであってもよい、請求項41に記載の凝血検出器具。
【請求項43】
前記ポンプモジュールが、前記圧力交互モードで前記キュベットの前記テストチャネル内に正圧および負圧を生じる、請求項41に記載の凝血検出器具。
【請求項44】
前記ポンプモジュールが、前記圧力交互モードで前記血液サンプルを前記テストチャネルのテクスチャ付けされた区域またはくびれ領域にわたって前後に相互に移動させ、それにより前記血液サンプルを、前記テストチャネルに配置され血液サンプルの凝血をトリガし加速する試薬と混合する、請求項41に記載の凝血検出器具。
【請求項45】
前記少なくとも1つのテストチャネルが3つのテストチャネルを含み、前記テストチャネルの各々において試薬をさらに含む、請求項1に記載のキュベット。
【請求項46】
前記試薬が、すべて同一のものである、異なるものである、またはその組合せである、請求項45に記載のキュベット。
【請求項47】
前記少なくとも1つのテストチャネルが3つのテストチャネルを含み、前記テストチャネルの各々において試薬をさらに含む、請求項21に記載の装置。
【請求項48】
前記試薬が、すべて同一のものである、異なるものである、またはその組合せである、請求項47に記載の装置。
【請求項49】
前記凝血検出器具、前記キュベットの前記少なくとも1つのテストチャネル、および前記キュベットの前記通気開口部を越えて延びる前記サンプリングチャネルの区域内の圧縮された空気が、前記排液チャネルと共同して、前記血液サンプルの前縁を前記血液レセプタの入口から前記サンプリングチャネルの中に引き込み、前記サンプリングチャネル内に引き戻させ、前記凝血検出器具の光学センサを露出させ、前記血液サンプルが引き戻されて前記光学センサが露出される時点での前記サンプリングチャネル内の前記血液サンプルの体積は必要な体積と等しく、前記光学センサの露出により、必要な体積の前記血液サンプルを前記少なくとも1つのテストチャネルの中に引き込む前記凝血検出器具の前記ポンプモジュールが始動される、請求項21に記載の装置。
【請求項50】
前記サンプリングチャネルおよび前記排液チャネルを閉鎖しシールするための親水性の特性をもつ第1基体と、
前記少なくとも1つのテストチャネルを閉鎖しシールするための疎水性の特性をもつ第2基体と
をさらに備える、請求項1に記載のキュベット。
【請求項51】
前記サンプリングチャネルおよび前記排液チャネルが前記キュベットの第1表面に形成され、前記第1基体が前記第1表面に取り付けられ、前記少なくとも1つのテストチャネルが前記キュベットの第2表面に形成され、前記第2基体が前記第2表面に取り付けられる、請求項50に記載のキュベット。
【請求項52】
前記第1および第2表面が互いに対向している、請求項51に記載のキュベット。
【請求項53】
前記チャネル構成が、
前記通気開口部を前記サンプリングチャネルに接続する通気チャネルと、
前記サンプリングチャネルが充填されるまで前記排液チャネルの前記充填を遅延するための、前記排液チャネルを前記サンプリングチャネルと接続するジャンパチャネルと
をさらに備え、前記第1基体が前記通気チャネルおよび前記ジャンパチャネルを閉鎖しシールする、請求項50に記載のキュベット。
【請求項54】
前記サンプリングチャネルおよび前記排液チャネルを閉鎖しシールするための親水性の特性をもつ第1基体と、
前記少なくとも1つのテストチャネルを閉鎖しシールするための疎水性の特性をもつ第2基体と
をさらに備える、請求項21に記載の装置。
【請求項55】
前記サンプリングチャネルおよび前記排液チャネルが前記キュベットの第1表面に形成され、前記第1基体が前記第1表面に取り付けられ、前記少なくとも1つのテストチャネルが前記キュベットの第2表面に形成され、前記第2基体が前記第2表面に取り付けられる、請求項54に記載の装置。
【請求項56】
前記第1および第2表面が互いに対向している、請求項55に記載の装置。
【請求項57】
前記チャネル構成が、
前記通気開口部を前記サンプリングチャネルに接続する通気チャネルと、
前記サンプリングチャネルが充填されるまで、前記排液チャネルの前記充填を遅延させるための、前記排液チャネルを前記サンプリングチャネルと接続するジャンパチャネルと
をさらに備え、前記第1基体が前記通気チャネルおよび前記ジャンパチャネルを閉鎖しシールする、請求項54に記載の装置。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【公表番号】特表2011−528439(P2011−528439A)
【公表日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−518893(P2011−518893)
【出願日】平成21年7月15日(2009.7.15)
【国際出願番号】PCT/US2009/050747
【国際公開番号】WO2010/009267
【国際公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(511013061)インターナショナル・テクニダイン・コーポレーション (1)
【Fターム(参考)】