説明

血液試料分析用マイクロチューブリーダー装置およびマイクロチューブを読取る方法

【課題】血液試料の分析のためにマイクロチューブを読取る方法および装置に関する。
【解決手段】本発明による方法は、後方照明された分析マイクロチューブのカラー写真を取込み、かつ写真の画像のカラー情報を使用して画像の関係領域を識別し、他の可能アーチファクトの結果を解釈し、かつ異常試料および/またはカラー特性の反応変化により特徴付けられる反応を検出することを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液試料の分析のために所謂カード組込み式のマイクロチューブを読取る装置および方法を開示する。
【背景技術】
【0002】
サンプル、特に血液試料の分析のためのマイクロチューブの使用は、臨床セクタで普及しており、適宜ゲルを保持する個別マイクロチューブ内の試料の、適宜試薬との反応結果を評価するために使用される。
【0003】
分析用試料がゲル含有マイクロチューブへ注入されかつ分析に必要な試薬が添加された後に、特定期間に必要プロセスが実行された後に、専門臨床医は、異なるカラー(colour領域がゲル塊内に形成されているか否か、カラー塊の分布、マイクロチューブの底の堆積物、浮遊物等を観察して、マイクロチューブ内容物の目視検査により検査結果を評価する。
【0004】
しかしながら、今日、試料分析のためのマイクロチューブの使用は、特に、試験結果の必要評価を行うときに、マイクロチューブの観察に専門家の過剰介入を必要とする。同様に、試験で得られた結果の系統的評価は殆ど行われない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特記なし
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、マイクロチューブ試験結果を読取る可能性のより良い使用を可能にする手段を提供し、かつ試験結果を読取りかつ解釈する方法の高レベルの自動化を可能にすることにより、上述の欠点を克服することを課題とする。本発明は、更に、マイクロチューブ評価を容易に前進させる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
課題を達成するために、本発明は次の構成による装置に基礎を置く。即ち、本発明による装置は、サポート上に取付けたカードに分析マイクロチューブのカラー画像を取込むためのカメラを有し、かつ後方照明手段および中間グリッドを照明源と前記マイクロチューブ間に有することを特徴とする。
【0008】
後方照明手段は、マイクロチューブの初期状態の解釈および得られた結果の解釈を促進するために特別に意図されたマークによるパターンを有する。
【0009】
好適形態の装置において、前記照明源と前記マイクロチューブ間の中間グリッドのパターンは、そのパターン、マイクロチューブ、カメラ、または他の同様手段を移動させることにより前記画像の関係領域内に存在してもまたは存在しなくてよい。
【0010】
好適形態の装置において、前記カメラを支持する組立体、および前記グリッドおよびマイクロチューブのサポートは、試料の自動分析用装置または分離した読取り装置にユニットとして取付けことのできる組立体を形成する。
【0011】
本発明による血液試料の分析のためにマイクロチューブを読取る方法は、
後方照明された分析マイクロチューブのカラー写真を撮り、かつ
写真の画像のカラー情報を使用して画像の関係領域を識別し、他の可能アーチファクトの結果を解釈し、かつ異常試料および/またはカラー特性の反応における変化により特徴付けられる反応を検出する、ことを特徴とする。
【0012】
好適方法において、反応におけるレベル、光吸収、カラー、および分析マイクロチューブにおける反応画像の形態分布を評価するために、背景グリッドの存在において、前記画像を目視によりまたは自動的に評価する。
【0013】
好適方法において、前記マイクロチューブの初期特徴を評価して、好適には垂直の背景グリッドが出現/消失する程度を評価することにより、不純物、泡および他のアーチファクトの存在しないこと、かつレベルが試料を受ける前に正確であることを確認する。
【0014】
好適方法において、前記反応の濁度を、好適には水平のグリッドが出現/消失する程度を使用して評価する。
【0015】
このようにして、本発明による装置は次の事項の自動化を可能にする。
i)使用前にマイクロチューブをチエックかつ評価する、例えばゲル内容または他の特性特徴について。
ii)結果を解釈する。特に、血液試料の分析において、
−溶血の結果、
−脂肪血の評価、
−凝固の結果、
−ゲル/浮遊液の変化、または
−その他、
を決定することにより結果を解釈し、
iii)異常試料を、特にカラー強度(カラー明度)、および浮遊液中の光の分散について、検出する。
【0016】
要約すれば、本発明は、試料について試験を実施する前後において、カメラにより分析用マイクロチューブのカラー画像を撮り、後方照明によりマイクロチューブ画像上に一つの背景グリッドまたは複数のグリッドを重ね、そのようにして完全に自動化されかつ赤血球により運ばれない凝血を識別することができるマイクロチューブにおける血液試料の分析のためのシステムを提供する。従って、本発明の課題は、特許請求の範囲に記載の請求項1から4の方法および請求項5から7の装置により達成される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明による装置を形成する必須手段の構成を図示する。
【図2】マイクロチューブの初期状態を決定するときに、検査される領域を表示するマイクロチューブを図示する。
【図3】カラーを検出しかつマイクロチューブの最終検査のレベルを検出する領域を示す図2と同様の図である。
【図4】画像を得るときにマイクロチューブ上に重ねられる照明コントラストパターンを示す。
【図5】溶血作用の理解を容易にするために装置により撮影された溶血試料の連続写真を示す。
【図6】脂肪血作用の理解を改善するための脂肪血試料の連続写真を示す。
【図7】マイクロチューブ背後に設置された暗線を使用してゲルレベルを評価する方法を理解するための二つのマイクロチューブの実際の写真を示す。
【図8】陰性反応および部分的陽性反応の例として二つのマイクロチューブの実際の写真を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図面は、本発明による血液試料の分析用マイクロチューブリーダー装置を図示し、カラー画像2を得るためにカメラが支持プレート1の上方に、図示されていない後方照明装置と共に、設置され、かつ透明または半透明フレーム4が、試験前および試験結果が出る前に、マイクロチューブの自動的評価を目的として特別のグリッドを有するパターンを位置決めするために、設けられる。小プレート3は、マイクロチューブに対応しない領域に形成されて撮影された画像上での反射作用を減少させる。図4はパターンプレート5を示し、パターンプレート5は、フレーム4に取り付けられることができ、かつ後方照明によりフレーム4の前に設置されるマイクロチューブ上に重なるグリッドを有する透明または半透明領域6を、担持して、パターン内のマークが試験結果の人間による解釈または自動的解釈のガイドラインを提供できるように構成される。単に例示とし、マークは二つのマイクロチューブのために示され、その各々が垂直マーク7および8を有し、かつ対の水平マーク9および10を有し、対応する試料により試験が行われる前後に系統的に観察できるようにし、そのようにして、人間による手動評価または装置それ自体による自動評価のための手段を補助する。この装置は試料分析のために自動装置に組込まれまたは読取り装置に組込まれる。
【0019】
本発明による装置および方法の使用により、図2に示されたようなマイクロチューブの初期検査が実行可能であり、図2においてマイクロチューブは11で示され、マイクロチューブには不正確なピペット操作によりまたは他の理由で悪影響を受けた初期ゲルレベル12が検出でき、かつゲル13の均一性は、例えば、泡の存在を検出することにより検出され得る。
【0020】
図3は、対応する分析の実施後の、他のマイクロチューブ14を示し、マイクロチューブ14は、最後に検査されるときに、不正確にピペット操作されることにより悪影響を受ける上領域15の全投与量レベルの暴露を可能にし、同様に領域16、17および18のカラー強度の検出、マーク20および21を含む領域19の濁度の検出を可能にする。
【0021】
図5は、22、23、24、25、26および27でそれぞれ示された溶血試料の種々の写真を示す。各写真は、溶血試料について異なる評価を有する二つのマイクロチューブを示し、10μlの全質量に対する溶血細胞のパーセンテージを示す。写真22における100%から写真27に示された0%までの変化が示され、結果として本発明が、人間による手動でまたは自動的な方法により溶血細胞のパーセンテージを評価するために使用できることが理解され得る。
【0022】
図6は、脂肪血試料28、29、30、31および32の写真を示し、水平線33または他の同様グリッドに基づいて背景グリッドに対してコントラストとなるマイクロチューブ内の濁度を介して脂肪血の容易評価を可能にする。写真28から写真32により理解されるように、背景線に対して濁度の透明化グラデーションがあり、結果として分析された血液試料内の脂肪血のレベルが評価できる。
【0023】
図7は、二つのマイクロチューブ34および35を示し、マイクロチューブ34および35は、マイクロチューブ背後のパターン内に現れる暗線を使用してゲルのレベルをチエックするために使用できる。
【0024】
図8は、図7のマイクロチューブに類似の二つのマイクロチューブの実際の写真を示し、マイクロチューブ36および37は、陰性反応を示す領域38、およびマイクロチューブ37内の一部陽性反応をそれぞれ示す。
【0025】
従って、本発明はマイクロチューブを読取りかつ血液試料を分析するための装置、およびそのプロセスを自動化するためにその装置の使用を更に全体的に可能にする方法を開示する。本発明による方法は、試験が実施される前後に試料の分析のためにマイクロチューブを読取ること含み、カラー画像を形成し同時に特定グリッドまたは実施される試験のタイプに調整できる複数のグリッドを持つパターンを有するマイクロチューブカードの後方を照明することにより読取り、特に、マイクロチューブが初期に適正状態を確立するパラメタが想定範囲内の値であることをチエックするために、分析に使用する前のマイクロチューブカード内のマイクロチューブの自動的読取りを可能にする。本発明による方法は、更に、試験が試料について一旦実施された後に、種々の領域のカラー、および溶血、濁度(脂肪血)等の他の特定タイプの結果を評価するために他の特定パラメタの評価を含む。得られた画像は、カラーおよび光吸収性(濁度)情報に基づいて処理され装置に取込まれたカラー画像を自動化された方法で分析を評価するためにデータに変換される。
【0026】
本発明は特許請求の範囲に記載され、かつ明細書、特許請求の範囲、および図面により提供される情報に基づいて多くの変化が本発明の範囲に含まれ得ることは、当業者に理解されるべきである。
【符号の説明】
【0027】
1 支持プレート
2 画像
3 小プレート
4 フレーム
5 パターンプレート
7,8 垂直マーク
9,10 水平マーク
11 マイクロチューブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液試料の分析のためにマイクロチューブを読取る方法であって、
後方照明された分析マイクロチューブのカラー写真を撮り、かつ
写真の画像のカラー情報を使用して画像の関係領域を識別し、他の可能アーチファクトの結果を解釈し、かつ異常試料および/またはカラー特性の反応における変化により特徴付けられる反応を検出する、ことを特徴とする血液試料の分析のためにマイクロチューブを読取る方法。
【請求項2】
反応におけるレベル、光吸収、カラー、および分析マイクロチューブにおける反応画像の形態分布を評価するために、背景グリッドの存在において、前記画像を目視によりまたは自動的に評価する、請求項1の血液試料の分析のためにマイクロチューブを読取る方法。
【請求項3】
前記マイクロチューブの初期特徴を評価して、好適には垂直の背景グリッドが出現/消失する程度を評価することにより、不純物、泡および他のアーチファクトの存在しないこと、かつレベルが試料を受ける前に正確であることを確認する、請求項2の血液試料の分析のためにマイクロチューブを読取る方法。
【請求項4】
前記反応の濁度を、好適には水平のグリッドが出現/消失する程度を使用して評価する、請求項2の血液試料の分析のためにマイクロチューブを読取る方法。
【請求項5】
サポート内に取付けたカードに分析マイクロチューブのカラー画像を取込むためのカメラを有し、かつ後方照明手段および中間グリッドを照明源と前記マイクロチューブ間に有する、ことを特徴とする血液試料の分析用マイクロチューブリーダー装置。
【請求項6】
前記照明源と前記マイクロチューブ間の中間グリッドのパターンは、そのパターン、マイクロチューブ、カメラ、または他の同様手段を移動させることにより前記画像の関係領域内に存在してもまたは存在しなくてよい、請求項5の血液試料の分析用マイクロチューブリーダー装置。
【請求項7】
前記カメラを支持する組立体、および前記グリッドおよびマイクロチューブのサポートは、試料の自動分析用装置または分離した読取り装置にユニットとして取付けることのできる組立体を形成する、請求項5の血液試料の分析用マイクロチューブリーダー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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