説明

血管の封止装置

【課題】新規な構成の双極性電気外科器具を提供する。
【解決手段】組織をクランプ、把握、操作、および封止するための双極性電気外科器具は、第1および第2のシャフト(各々は、ジョー部材110、120およびハンドルを有する)を備える。ハンドルは、第1の位置から互いに対してジョー部材の移動を行うための操作可能である。第1位置で、ジョー部材が第2の位置に対して互いに対して間隔を置いて配置される関係で配置され、第2位置で、ジョー部材が共動してその間に組織を握る。この双極性器具は、ジョー部材の1つに連結される第1の電位と、ジョー部材の他方に連結される第2の電位とを有する電気エネルギーの供給源に、ジョー部材が、封止を行うため、その間に保持された組織を通じてエネルギーを選択的に伝導するように連結可能である。第1の電位および第2の電位は第1のシャフトを通じてジョー部材に伝達される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本出願は、Philip Mark Tetzlaffらにより1999年10月22日に出願された米国特許出願番号09/425,696の一部継続出願である。この一部継続出願は、PhilipMarkTetzlaffらにより1998年10月23日に
出願された米国特許出願番号09/178,027の一部係属出願である。これらの出願の各々の内容全体 が、本明細書中に参考として援用される。
【0002】
(背景)
本開示は、開放外科手順のために使用する鉗子に関する。さらに特定すると、本開示は、組織を封止するために機械的クランプ圧と電流との組み合わせを適用する鉗子に関する。
【背景技術】
【0003】
(技術分野)
止血剤または鉗子は、簡単なプライヤー様器具であり、これは、そのジョー間での機械的な作用を使用して血管を締め付け、そしてこれは、組織を握り、切り裂き、そして/またはクランプ留めするために、開放外科手順で通常使用されている。電気外科用鉗子は、組織および血管を加熱して組織を凝固、焼灼および/または封止することにより止血を行うために、機械的クランプ留め作用および電気的エネルギーの両方を利用する。
【0004】
ある種の外科手順には、血管または血管組織を封止および切断することが必要である。いくつかの学術論文には、電気外科を使用して小血管を封止する方法が開示されている。StudiesonCoagulation and the Development
of an Automatic Computerized Bipolar Coagu
lator(J.Neurosurg.,75巻、1991年7月)という表題の論文は、小血管を封止するのに使用される双極性凝固器を記述している。この論文は、2〜2.5mmより大きい直径の動脈を安全に凝固することが不可能であることを述べている。第二の論文は、AutomaticallyControlledBipolar Electrocoagulation−「COA−COMP」(Neurosurg.Rev.(1984),pp.187〜190)という表題であるが、血管壁の焦げを避け得るように血管への電気外科力を伝達する方法を記載している。
【0005】
電気外科鉗子を利用することにより、外科医は、組織に加えられる電気外科エネルギーの強度、周波数および持続時間を制御することによって、焼灼、凝固/乾燥、出血の減少もしくは遅延をし得るか、そして/または血管を封止し得る。一般に、電気外科鉗子の電気的構成は、以下の2つの分類で分類分けされ得る:1)単極性電気外科鉗子;および2)双極性電気外科鉗子。
【0006】
単極性鉗子は、クランピングエンドエフェクタと連結した1つの能動電極(active electrode)と、代表的には外部で患者に取り付けられている、遠隔患者リ
ターン電極(remotepatient return electrode)もしくはパッドとを使用する。電気外科エネルギーが印加されると、そのエネルギーは、能動電極から手術部位へと患者を通って移動し、リターン電極へと移動する。
【0007】
双極性電気外科鉗子は、2つのほぼ対向する電極を使用する。それらの電極は、エンドエフェクターの対向する内面上に配置されており、そして両方とも電気外科発電機に電気的に連結している。各電極は、異なる電位に荷電される。組織は電気エネルギーの導体であるので、エフェクターを使用してそれらのエフェクター間の組織を掴むと、その電気エネルギーは、その組織を通って選択的に伝達し得る。
【0008】
大きい血管を適切に封止するために、2つの主な機械的パラメータ(血管に加えられる圧力および電極間の間隙距離)を正しく制御しなければならない。それらの両方は、封止される血管の厚さに影響する。さらに特定すると、圧力を正しく加えることは、血管の壁に対抗するため、十分な電気外科エネルギーを組織に通すのに十分に低い値に組織インピーダンスを低くするため、組織加熱中の膨張力に打ち勝つため、そして良好な封止の指標である末端組織厚さに寄与するために、重要である。融着血管壁は、0.001インチと0.005インチの間で最適であることが決定されている。この範囲より低いと、その封止は、断ち切られ得るか引き裂かれ得、そしてこの範囲より高いと、管腔は、正しくまたは効果的には封止されないかもしれない。
【0009】
血管が小さくなるほど、組織に加えられる圧力は、関係が少なくなる傾向にあるのに対して、導電面間の間隙距離は、効果的な封止に重要となってくる。言い換えれば、起動中に2個の導電面が触れる機会は、血管が小さくなるにつれて、大きくなる。
【0010】
電気外科方法は、血管壁に大きい閉鎖力を加えることが可能である器具と連結され、適当な電気外科出力曲線を使用して大きい血管を封止し得る。小血管を凝固するプロセスは、電気外科血管封止とは基本的に異なると考えられている。本明細書中の目的のために、「凝固」とは、その組織細胞が破裂し乾いている組織を乾燥するプロセスとして定義される。血管封止とは、組織内のコラーゲンを液化してそれが融合した塊へ再形成するようにするプロセスとして定義される。それゆえ、小血管の凝固は、それらを永久的に閉じるのに十分である。大きい血管は、永久的な閉鎖を確実に行うように、封止する必要がある。
【0011】
多数の双極性電気外科鉗子が、種々の開放外科手順のために過去に提唱されてきた。しかし、これらの設計のうちのいくつかは、均一に再現可能な圧力を血管に提供しないかもしれず、そして有効でない封止または非均一な封止を生じ得る。例えば、Willisの米国特許第2,176,479号、Hiltebrandtの米国特許第4,005,714号および同第4,031,898号、Boebelらの米国特許第5,827,274号、同第5,290,287号および同第5,312,433号、Lottickの米国特許第4,370,980号、同第4,552,143号、同第5,026,370号および同第5,116,332号、Sternらの米国特許第5,443,463号、Eggersらの米国特許第5,484,436号およびRichardsonらの米国特許第5,951,549号は、全て、血管または組織を凝固、切断および/または封止する電気外科用器具に関する(以下それぞれ、特許文献1〜13とする)。
【0012】
これらの器具の多くは、ブレード部材または剪断部材を含み、これらの部材は、単に、機械的様式および/または電気機械的な様式で組織を切断し、血管封止の目的には比較的有効でない。他の器具は、適当な封止厚さを得るのにクランプ圧だけに頼っており、間隙公差ならびに/または平行度および平坦度の要件(これらは、もし正しく制御されたなら、一貫した有効な組織封止を保証し得るパラメータである)を考慮して設計されていない。例えば、クランプ圧だけを制御することによって生じる封止した組織の厚さを十分に制御することは、以下の2つの理由のうちのいずれかのために、困難であることが公知である:1)もし、加える力が大きすぎるなら、2本の極が触れて、組織を通ってエネルギーが移動せず、有効でない封止を生じる可能性がある;または2)もし、加える圧力が低すぎるなら、厚くて信頼性の低い封止が生じ得る。
【0013】
上述のように、大きい血管を正しく効果的に封止するために、対向しているジョー部材間で、さらに大きい閉鎖力が必要である。これらのジョー間で大きい閉鎖力を加えるには、典型的には、各ジョーに対して、そのピボットの周りで大きなモーメントが必要であることが知られている。これらのジョー部材が、典型的には、ピン(これは、各ジョー部材のピボットに対して、小モーメントアームを有するように位置付けられている)で固着されているので、このことは、難題を示す。大きい力は、これらのピンを剪断し得るので、小モーメントアームと共に望ましくない。結果として、設計者は、金属ピンを備えた器具を設計すること、および/またはこれらの閉鎖力を少なくとも部分的に取り除いて機械の故障の可能性を少なくする器具を設計することのいずれかによって、これらの大きい閉鎖力を補償しなければならない。理解し得るように、もし、金属ピボットピンを使用するなら、これらの金属ピンは、このピンがジョー部材間の代替電流経路(有効な封止に悪影響を及ぼし得る)として作用することを避けるために、絶縁しなければならない。
【0014】
電極間の閉合力を高めると、他の望ましくない影響を有し得る。例えば、それにより、対向電極は、互いに密に接触し得、その結果、短絡を起こし得、そして、小さい閉鎖力は、圧縮中および起動前に、組織の早すぎる移動を起こし得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】米国特許第2,176,479号明細書
【特許文献2】米国特許第4,005,714号明細書
【特許文献3】米国特許第4,031,898号明細書
【特許文献4】米国特許第5,827,274号明細書
【特許文献5】米国特許第5,290,287号明細書
【特許文献6】米国特許第5,312,433号明細書
【特許文献7】米国特許第4,370,980号明細書
【特許文献8】米国特許第4,552,143号明細書
【特許文献9】米国特許第5,026,370号明細書
【特許文献10】米国特許第5,116,332号明細書
【特許文献11】米国特許第5,443,463号明細書
【特許文献12】米国特許第5,484,436号明細書
【特許文献13】米国特許第5,951,549号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
従って、対抗するジョー部材間での大きな閉鎖力を可能にし、対抗するジョー部材が起動中に短絡する機会を減少し、そして起動前および起動中に組織を操作、把握、および保持することを補助する装置を提供することによって、血管組織を有効に封止しかつ上記の問題を解決する双極性鉗子を開発する必要が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0017】
(要約)
本開示は、開放手術における使用のための双極性電気外科器具に関し、これは、第1および第2のシャフトを含み、このうちの1つは、電気外科エネルギーの供給源に連結可能である。各々シャフトは、その遠位端から延びるジョー部材、およびその近位端に配置され、第1の開放位置から互いに対して上記ジョー部材の移動を行うためのハンドルを有し、ここで、このジョー部材は、第2の閉鎖位置に対して互いに対して間隔を置いて配置される関係で配置され、ここで、このジョー部材は共動してその間に組織を握る。電気エネルギーの供給源は、個々のジョー部材における第1および第2の電位を与え、その結果、このジョー部材は、封止を行うために、その間に保持された組織を通じて選択的にエネルギーを伝導し得る。
【0018】
好ましくは、この第1および第2の電位は、上記第1のシャフトを通って上記ジョー部材において創製される。例えば、1つの実施形態では、第1の電位は、この第1の電位に第1のジョー部材を連結する遠位コネクタとの電気的インターフェースとなるターミナル端部を有するリード線によって上記第1のシャフトを通じて伝達される。第2の電位は、第2のジョー部材を第2の電位に連結する第1のシャフト内に配置されるチューブにより上記第1のシャフトを通って伝達される。
【0019】
上記第1および第2のジョー部材はピボットピンの回りに連結される。好ましくは、遠位コネクタが、ジョー部材の間に配置され、そして起動の間にこれらジョー部材の電気伝導性封止面からのストレイ電流の発出を防ぐような寸法である一連のフランジを含む。
【0020】
好ましくは、この遠位コネクタは、上記ターミナル端部とジョー部材との間の電気的中継として作用するスプリングワッシャまたはウェィブワッシャを含む。1つの実施形態では、このスプリングワッシャは、斜面を備え、上記ターミナル端部とジョー部材との間の電気的インターフェースを増大する。すなわち、斜面を有することは、上記第1の位置から第2の位置へのジョー部材の移動の間に、上記スプリングワッシャの上記ターミナル端部に対する回転を引き起こし、これは、自己洗浄、上記ターミナル端部とジョー部材との間の増大した稼動電気的接触を提供する。
【0021】
好ましくは、遠位コネクタは、絶縁性物質から作製され、そして上記第1の電位および第2の電位を電気的に絶縁するためにジョー部材間に配置される。1つの実施形態では、上記遠位コネクタは、その中に、上記リード線のターミナル端部の少なくとも1部分を収容する寸法である規定された、少なくとも1つの凹部を有する第1の面を含む。
【0022】
なお、別の実施形態では、ジョー部材の1つは、操作のすべての角度の間で、すなわち、上記ジョー部材が第1の位置、第2の位置に配置されるとき、および/またはそれらの間の操作移動の間、上記ターミナル端部のむき出しを防ぐような寸法であるスカートを含む。
【0023】
好ましくは、上記リード線は、固体または複数ストランドの電気伝導性材料から作製される内部コア、例えば、銅/アルミニウムワイヤを含み、これは、絶縁性の非導電性コーティング、例えば、プラスチックにより取り囲まれる。1つの実施形態では、この電気伝導性材料のターミナル端部または遠位端は、平坦化され、すなわち、「平坦形態」であり、そして上記遠位コネクタの表面から延びるボスを実質的に取り巻くような寸法である。好ましくは、このボスは、上記ピボットピンから上記リード線のターミナル端部を電気的に絶縁するように設計されている。
【0024】
別の実施形態では、少なくとも1つの非伝導性停止部材が、上記ジョー部材の1つの電導性封止面上に配置される。この停止部材は、組織が起動の間にジョー部材間に保持されるとき、このジョー部材間の距離、すなわち、ギャップを制御/調節するように設計されている。
より特定すれば、本願発明は以下の項目に関し得る。
(項目1)
開放手術における使用のための双極性電気外科器具であって、以下:
第1および第2のシャフトであって、各々は、その遠位端から延びるジョー部材と、その近位端に配置され、第1の位置から第2の位置への互いに対する上記ジョー部材の移動を行うためのハンドルとを有し、ここで、上記第1の位置では、上記ジョー部材が、互いに対して間隔を置いて配置される関係で配置され、ここで、上記第2の位置では、上記ジョ
ー部材が共動してその間に組織を握る、シャフト;
第1および第2の電位を有する電気エネルギーの供給源であって、上記第1の電位は、上記ジョー部材の一方に連結され、そして上記第2の電位は、上記ジョー部材が、封止を行うため、その間に保持された組織を通じてエネルギーを選択的に伝導し得るように、上記ジョー部材の他方に連結される、供給源を備え、そして
ここで、上記第1および第2の電位が、上記第1のシャフトを通じて上記ジョー部材に伝達される、双極性電気外科器具。
(項目2)
上記第1の電位が、上記ジョー部材の1つを上記第1の電位に連結する遠位コネクタとの電気的インターフェースとなるターミナル端部を有するリード線により上記第1のシャフトを通じて伝達される、項目1に記載の開放手術における使用のための双極性電気外科器具。
(項目3)
上記第2の電位が、上記他方のジョー部材を上記第2の電位に連結する上記第1のシャフト内に配置されたチューブにより上記第1のシャフトを通じて伝達される、項目2に記載の開放手術における使用のための双極性電気外科器具。
(項目4)
上記遠位コネクタが、上記ターミナル端部と上記ジョー部材との間の電気的中継として作用するスプリングワッシャを備える、項目2に記載の開放手術における使用のための双極性電気外科器具。
(項目5)
上記スプリングワッシャが、上記ターミナル端部と上記ジョー部材との間の電気的インターフェースを増大するような寸法である、項目4に記載の開放手術における使用のための双極性電気外科器具。
(項目6)
上記スプリングワッシャが、上記第1の位置から第2の位置への上記ジョー部材の移動の間に上記ターミナル端部に対して回転する寸法であり、自己洗浄、上記ターミナル端部と上記ジョー部材との間の増大された電気的接触を提供する、項目5に記載の開放手術における使用のための双極性電気外科器具。
(項目7)
上記遠位コネクタが、絶縁性物質から製造され、そして上記第1および第2の電位を電気的に絶縁するために上記ジョー部材の間に挿入される、項目2に記載の開放手術における使用のための双極性電気外科器具。
(項目8)
上記遠位コネクタが、その中に規定された、上記ターミナル端部の少なくとも一部分を収容する寸法である、少なくとも1つの凹部を有する第1の面を備える、項目7に記載の開放手術における使用のための双極性電気外科器具。
(項目9)
上記ジョー部材の少なくとも1つが、上記ジョー部材が上記第1の位置、上記第2の位置およびそれらの間の作動的移動の間に配置されるとき、上記ターミナル端部の露出を防ぐような寸法であるスカートを備える、項目7に記載の開放手術における使用のための双極性電気外科器具。
(項目10)
上記ターミナル端部が平坦形態のワイヤを含む、項目2に記載の開放手術における使用のための双極性電気外科器具。
(項目11)
上記ジョー部材が、ピボットにより連結され、そして上記平坦形態ワイヤが、上記ピボットを収容する上記遠位コネクタから延びるボスを実質的に取り巻くような寸法である、項目10に記載の開放手術における使用のための双極性電気外科器具。
(項目12)
上記ジョー部材が、ピボットにより連結され、そして上記遠位コネクタが、そこから伸び、上記ピボットから上記ターミナル端部を電気的に絶縁するように設計されているボスを備える、項目2に記載の開放手術における使用のための双極性電気外科器具。
(項目13)
上記リード線が、上記チューブを通じて上記遠位コネクタに供給され、そして上記リード線が、起動の間に、上記チューブからワイヤ様電気コンダクタを絶縁するための上記ワイヤ様電気コンダクタを取り囲む絶縁コーティングを備える、項目3に記載の開放手術における使用のための双極性電気外科器具。
(項目14)
開放手術における使用のための双極性電気外科器具であって、以下:
第1および第2のシャフトであって、各々は、その遠位端から延びるジョー部材と、その近位端に配置され、第1の位置から第2の位置への互いに対する上記ジョー部材の移動を行うためのハンドルとを有し、ここで、上記第1の位置では、上記ジョー部材が、互いに対して間隔を置いて配置される関係で配置され、ここで、上記第2の位置では、上記ジョー部材が共動してその間に組織を握り、上記ジョー部材の各々が導電性の封止面を含む、シャフト;
上記ジョー部材の一方に連結された第1の電位と、上記ジョー部材の他方に、上記ジョー部材が、封止を行うため、その間に保持された組織を通じてエネルギーを選択的に伝導し得るように連結された第2の電位とを有する、電気エネルギーの供給源;
上記第1のシャフトを通じて上記ジョー部材に伝達される第1および第2の電位であって、ここで、上記第1の電位は、スプリングワッシャとの電気的インターフェースをとるターミナル端部を有するリード線により伝達され、上記スプリングワッシャは、上記ターミナル端部と上記ジョー部材との間の電気的中継として作用する、電位;ならびに
組織が上記ジョー部材の間に保持されるとき、上記ジョー部材の間の距離を制御する、上記ジョー部材の少なくとも1つの電気伝導性封止面上に配置された、少なくとも1つの非伝導性停止部材、を備える、器具。
(項目15)
上記第2の電位が、上記他方のジョー部材を上記第2の電位に連結する上記第1のシャフト内に配置されたチューブにより上記第1のシャフトを通じて伝達される、項目14に記載の開放手術における使用のための双極性電気外科器具。
(項目16)
上記第1の電位および第2の電位を電気的に絶縁するために、上記ジョー部材の間に配置された絶縁体をさらに備える、項目14に記載の開放手術における使用のための双極性電気外科器具。
(項目17)
上記ターミナル端部が、平坦形態ワイヤを備える、項目14に記載の開放手術における使用のための双極性電気外科器具。
(項目18)
上記スプリングワッシャが、上記第1の位置から第2の位置への上記ジョー部材の移動の間に上記ターミナル端部に対して回転するように寸法決めされ、自己洗浄、上記ターミナル端部と上記ジョー部材との間の増大された電気的接触を提供する、項目14に記載の開放手術における使用のための双極性電気外科器具。
(項目19)
開放手術における使用のための双極性電気外科器具であって、以下:
第1および第2のシャフトであって、各々は、その遠位端から延びるジョー部材と、その近位端に配置され、第1の位置から第2の位置への互いに対する上記ジョー部材の移動を行うためのハンドルとを有し、ここで、上記第1の位置では、上記ジョー部材が、互いに対して間隔を置いて配置される関係で配置され、ここで、上記第2の位置では、上記ジョー部材が共動してその間に組織を握り、上記ジョー部材の各々が導電性の封止面を含む、シャフト;少なくとも1つのジョー部材の電気伝導性面の1つの上に配置された少なくとも1つの停止部材;ならびに
上記ジョー部材の1つの電気伝導性封止面に連結された第1の電位と、上記ジョー部材の他方の電気伝導性面に、上記ジョー部材が、封止を行うため、電気伝導性封止面の間に保持された組織を通じてエネルギーを選択的に伝導し得るように連結された第2の電位とを有する、電気エネルギーの供給源;を備え、
ここで、上記第1の電位および第2の電位が、上記第1のシャフトを通じて上記ジョー部材に伝達される、器具。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本発明の器具の種々の実施形態は、添付の図面を参照して記載される。
【図1】本発明による鉗子の左からの斜視図である。
【図2】開放形態で示される図1の鉗子の端部エフェクターアセンブリの拡大斜視図である。
【図3】閉鎖形態で示される図1の鉗子の端部エフェクターアセンブリの拡大斜視図である。
【図4A】本発明による鉗子の分解図である。
【図4B】端部エフェクターアセンブリに電気エネルギーを供給するための、遠位電気コネクタの電気的連結を示す、図4Aの端部エフェクターアセンブリの拡大分解図である。
【図5】その上に着座した遠位コネクタを備えた鉗子の下部ジョー部材の上からの拡大斜視図である。
【図6】組織構造物を捕らえて示される図1の鉗子の右からの斜視図である。
【図7】端部エフェクターアセンブリに電気エネルギーを供給するための近位電気インターフェース/コネクタを示す、図4Aに詳細に示される領域の拡大図である。
【図8】図6の鉗子の断面図であり、第1の電位を有する第1のリード線の電気供給パスを示し、そして第2の電位を有する第2のリード線を備えた図7の近位電気インターフェースの電気的連結を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(詳細な説明)
ここで、図1−4を参照して、開放手術手順とともに用いる使用のための鉗子10は、細長いシャフト部分12aおよび12bを備え、各々は、それぞれ、近位端16aおよび16b、ならびに遠位端14aおよび14bを有する。図面において、そして以下の記載において、用語「近位」は、従来のように、ユーザーにより近接している鉗子10の端部をいい、その一方、用語「遠位」は、ユーザーからより遠い端部をいう。
【0027】
この鉗子10は、シャフト12aおよび12bの遠位端14aおよび14bに各々取り付けられる端部エフェクターアセンブリ100を備える。以下により詳細に説明されるように、この端部エフェクターアセンブリ100は、ピボットピン150の回りに回動可能に連結されている一対の対向するジョー部材110および120を備える。
【0028】
好ましくは、各シャフト12aおよび12bは、それらの近位端16aおよび16bに配置されたハンドル17aおよび17bを備え、それらの各々は、それぞれ、指穴18aおよび18bを規定し、それを通ってユーザーの指を収容する。認識され得るように、指穴18aおよび18bは、シャフト12aおよび12bの動きを互いに対して容易にし、それは、次に、開放位置(図2)からジョー部材110および120を回動し、ここで、これらジョー部材110および120は、握り位置または閉鎖位置(図3)に向かって互いに対し、間隔を置いて配置される関係で配置され、ここで、これらジョー部材110および120は共動してそれらの間に組織400を握る(図6)。
【0029】
好ましくは、ラチェット30が、回動の間に種々の位置で互いに対して上記ジョー部材110および120を選択的にロックするために備えられる。図6に最も良く示されるように、第1のラチェットインターフェース、例えば、30aが、シャフト部材12aの近位端16aから第2のラチェットインターフェース30bに向かって、各ラチェット30aおよび30bの内部の内部に面する面が、組織400の回りへの閉鎖に際し、互いに接するようにほぼ垂直に並んで延びる。好ましくは、各ラチェットインターフェース30aおよび30bは、複数のフランジ32aおよび32bを含み、これらは、各ラチェットインターフェース30aおよび30bの内側に面する面から、これらラチェットインターフェース30aおよび30bが少なくとも1つの位置で連結するように突出する。図6に示される実施形態では、これらラチェットインターフェース30aおよび30bは、いくつかの異なる位置で連結する。
【0030】
好ましくは、共動するラチェットインターフェース30aおよび30bに伴う各位置は、シャフト部材12aおよび12bにおいて、特異的、すなわち、一定のひずみエネルギーを保持し、これは、次に、ジョー部材110および120に特異的な閉鎖力を伝達する。ラチェット30は、ユーザーが上記ジョー部材間で所望の量の閉鎖力を容易かつ迅速に確認かつ制御することを可能にする目盛りまたはその他の視覚的表示を含み得ることが考案される。ラチェットシステムまたは類似のシステムなしの設計は、ユーザーがハンドル17aおよび17bに一定の力を付与することによってジョー部材110および120を一緒に保持することを必要とし得、これは、一致しない結果を生じ得る。
【0031】
図1に最も良く示されるように、シャフトの1つ、例えば、12bは、鉗子10を電気手術電源(図示せず)のような電気手術エネルギー供給発生器に連結するように設計されている近位シャフトコネクタ19を含む。より詳細には、近位シャフトコネクタ19は、カバー19aおよびシャフト12bから近位方向に延びるフランジ19bにより形成される。好ましくは、カバー19aおよびフランジ19bは、機械的に共動し、電気手術ケーブル210を鉗子10に、ユーザーが必要に応じて電気手術エネルギーを選択的に付与し得るように取り付ける。
【0032】
このケーブル210の近位端は、上記電気手術エネルギー発生器に電気的および機械的に係合するような寸法である、一対の突起物202aおよび202bを有するプラグ200を含む。図8に関して以下により詳細に説明されるように、このケーブル210の遠位端は、シャフト12bの近位シャフトコネクタ19に、複数の指様クランプ部材77aおよび77b、ならびに対向する指76aおよび76bを有するケーブルクリンプにより固定される。ケーブル210の内部は、一対のリード線210aおよび210bを収容し、これらは、以下により詳細に説明されるように、上記電気手術発生器からジョー部材110および120に異なる電位を伝導する。
【0033】
図2−4Bに最も良く見られるように、端部エフェクターアセンブリ100の2つの対向するジョー部材110および120は、それらの間に組織400を握るために開放位置から閉鎖位置までピン150の回りで回動可能である。ジョー部材110および120は、ほぼ対称であり、そしてピボットピン150の回りの容易な回転を可能にするように共動する類似の要素特徴を含み、組織400を握ることおよび封止することを行う。結果として、またそうでないことが注記されなければ、ジョー部材110およびそれにともなう稼動特徴は、本明細書に最初に詳述され、そしてジョー部材120に関する類似の要素特徴がその後に簡単に要約される。
【0034】
ジョー部材110は、絶縁された外部ハウジング114を含み、これは、電気伝導性封止面112および近位方向に延びるフランジ130に機械的に係合するような寸法であり、このフランジ130は、図4A、4Bおよび5に関して以下により詳細に記載されている遠位コネクタ300を着座するような寸法である。好ましくは、外部絶縁ハウジング114は、ジョー部材110の全長に沿って伸び、組織400の封止および/または偶発的焼成の間の交流または漂遊電流の経路を減少させる。フランジ130の内側に面する面は、起動に際し、電気手術エネルギーを電気的に伝導性の封止面112に伝導する電気電導性プレート134(図4B)を含む。
【0035】
同様に、ジョー部材120は類似の要素を含み、これは:電気伝導性封止面122に係合する外部ハウジング124;遠位コネクタ300の対向する面に着座する近位方向に延びるフランジ140;起動に際し、電気手術エネルギーを電気伝導性封止面122に伝導する電気伝導性プレート144を含む。
【0036】
ジョー部材の1つ、例えば、110は、電気伝導性封止面112(および/または122)の内側に面する面上に配置される少なくとも1つの停止部材150を含む。好ましくは、この停止部材(単数または複数)は、組織400を握ること、および操作を容易にするように設計され、そして封止の間に対向するジョー部材110と120との間のギャップ「G」(図6)を規定する。これらおよびその他の想定される停止部材150の詳細な論議、ならびに取付け、配置、設置のための種々の製造およびアセンブルプロセス、および/または電気伝導性封止面112、122にこの停止部材150を固定することは、その全体が本明細書に参考として援用される「非導電性停止部材を備えた双極性電気手術鉗子」と題する同時所有の同時係属中の米国特許出願第号に記載されている。
【0037】
図4Aは、鉗子10の種々の要素の分解図およびそれらの間の内部稼動関係を示す。より詳細に、かつ上記の図1−3に関して上記した要素に加え、好ましくは、シャフト12aは中空であり、それを通って配置される長軸方向のチャネル15aを規定し、これは、その中にチューブ60aを収容するような寸法である。チューブ60aは、近位端64a、遠位端62a、およびそれらの間に配置される少なくとも1つの機械的インターフェース61aを含む。シャフト12aはまた、カバープレート50を含み、これは、シャフト12aの外面を通って規定されるアパーチャ/キャビティ45a内のスナップフィット係合のために設計されている。カバープレート50は、一連の対向するフランジ51aおよび51bを含み、これらは、そこから伸びて、以下に記載のように、シャフト12a内にチューブ60aを固定するような寸法である。第2のフランジ52が、このカバープレート50をシャフト12aに取り付ける。
【0038】
アセンブリの間に、チューブ60aの近位端部64aは、チャネル15a内にスライド可能に組み込まれる。その結果、機械的インターフェース61aは、カバープレート50と係合するために支えられる(poise)。次いで、カバープレート50は、キャビティ45aにスナップフィットし(snap)、その結果、フランジ51aおよび51bは、チューブ60aをシャフト12a内に固定する。シャフト12aのキャビティ45aは、チューブ60aの外面に沿って配置されて、シャフト12aに対してチューブ60aの回転を制限/防止する機械的インターフェース61aを係合する、少なくとも1つの移動止め(示さず)を備え得ることが想定される。この共働的関係は、図8において、シャフト12bの移動止め75aおよび75bならびにインターフェース(例えば、ノッチ)61bに関して、例示により示される。この場合、フランジ51aおよび51b(図8におけるカバープレート40のフランジ42aおよび42bに非常に似ている)は、図8において、ノッチ61a内の安定な係合にて移動止め75aおよび75bを保持して、チャネル15a内のチューブ60aの回転運動および/または長手軸方向の運動を防止する。
【0039】
好ましくは、チューブ60aの最近位端部は、スリット様インターフェース65aを備える。このインターフェースは、キャビティ45a内のシャフト12aの内面から延びる対応するつまみ(tongue)88aを機械的に係合する。つまみ88aはまた、シャフト12a内のチューブ60aの回転運動を防止することが想定される。あるいは、スリット65aは、チューブ60aの半径方向の収縮および拡張を可能にして、チューブ60aとシャフト12aとの間に摩擦ばめ係合を促進するように形成され得る。他のインターフェースはまた、シャフト12aおよびチューブ60aの係合(例えば、スナップフィット、スプリングロック、ロッキングタブ、ネジ様インターフェース、つまみおよび溝など)を容易にすることが想定される。
【0040】
チューブ60aの遠位端部62aは、好ましくは、ジョー部材120を係合するように寸法が合わせられる(すなわち、遠位端部62aは、ジョー部材120内のチューブ60aの簡単で安定な摩擦ばめ係合を促進するスリット様インターフェース66aを備える。より具体的に、かつ上記に示されるように、ジョー部材120は、フランジ130から近位に延びるスリーブ128を有する、近位に延びるフランジ130を備える。スリーブ128は、遠位端部62a内のスリーブ128の挿入の際に、スリット様インターフェース66aが半径方向に外側に拡張し、ジョー部材120をチューブ60aに安定にロックするような寸法に合わせられる。繰り返すと、同じ目的を果たす他の取り付け方法もまた、想定される(例えば、スナップロック、ロッキングタブ、スプリングロック、ネジ様インターフェース、つまみおよび溝など)。
【0041】
本開示により認識され得るように、シャフト12bの配置は、図4B、7および8に最もよく示されるシャフト12aとはわずかに異なる。より具体的には、シャフト12bはまた、このシャフトを貫通するチャネル15bを規定するために中空であり、チャネル15bにてチューブ60bを受け入れるように寸法が合わせられる。チューブ60bは、近位端部64bおよび遠位端部62bを備える。これら端部は、シャフト12aに関してそれらの対をなす構成要素(counterpartcomponent)とほぼ同様の様式にて取り付けられる。例えば、チューブ60bの近位端部64bは、チューブ60bの外面に配置された機械的インターフェース61bが、カバープレート40との係合のために支えられるように、チャネル15b内にスライド可能に組み込まれる(図4Aおよび8)。
【0042】
好ましくは、そして鉗子10が、1つのシャフト(例えば、12b)内にかつこのシャフトに沿って電気的インターフェースおよび接続の全てを組み込むように独特に設計されているので、シャフト12bは、以下に記載されるように、鉗子10と関連した種々の電気的接続を収容かつ固定するために規定される、わずかに大きなキャビティ45bを備える。例えば、カバープレート40は、種々の内部に配置された電気的接合の組み込みを考慮しなければならないという、大部分は空間的な事項に起因して、カバープレート50とはわずかに異なった寸法に合わせられる。しかし、カバープレート40は、1対のフランジ42aおよび42bが、上記と同様な様式にてチューブ60bをシャフト12b内に固定するように、シャフト12bの頂部で確かにカチッとはまる。例えば、図8は、シャフト12bのキャビティ45b内に配置された1対の移動止め75aおよび75bを示す。このキャビティは、シャフト12bに対してチューブ60bの回転を制限/防止するために、チューブ60bの外面に沿って配置された、多くの対応する機械的インターフェース61bを係合する。アセンブルされると、各フランジ42aおよび42bは、それぞれ、対応する溝73aおよび73bに押し込まれる。これらフランジは、ノッチ61b内の安定な係合にて移動止め75aおよび75bを効果的に維持/保持して、チャネル15b内のチューブ60bの回転運動および/または長手軸方向の運動を防止する。
【0043】
チューブ60bの端部64bはまた、スリット様インターフェース65bを備える。このインターフェースは、キャビティ45b内のシャフト12bの内面から延びる、対応するつまみ88bを機械的に係合する。つまみ88aはまた、シャフト12b内のチューブ60bの回転運動を防止することが想定される。あるいは、スリット65bは、チューブ60bの半径方向の収縮および拡張を可能にして、チューブ60bとシャフト12bとの間の摩擦ばめ係合を促進するように形成され得る。
【0044】
チューブ60aとは異なり、チューブ60bは、ジョー部材110に電気外科エネルギーを伝達するために、電気ダクトとして設計され、このことは、図7および8に関して以下により詳細に説明される。チューブ60bの遠位端62bは、好ましくは、ジョー部材110を係合するような寸法にされる。すなわち、遠位端62bは、スリット様のインターフェース66bを備え、このインターフェースは、ジョー部材110とのチューブ60bの単純なしっかりとした摩擦ばめ係合を促進する。このことは、図4Bに最良に示されており、この図は、ジョー部材110の、近位に延びるフランジ130(ここから、末端スリーブ138が延びている)を示す。末端スリーブ138は、末端スリーブ138を遠位端62bに挿入する際に、スリット様のインターフェース66bが半径方向外向きに延び、そしてジョー部材110をチューブ60bにしっかりとロックするような寸法にされる。
【0045】
理解され得るように、末端部138は、少なくとも部分的に、導電性材料から作製され、その結果、作動の際に、電気外科的電位が、チューブ60bから末端スリーブ138を通って、プレート134を通り、そして導電性封止プレート112に伝導される。上記のように、ジョー部材110の外側絶縁ハウジング114は、意図された電気経路にわたって、漂遊電流および組織の偶発火傷を、効果的に排除する。
【0046】
図4Bに最良に示されるように、ジョー部材110は、フランジ130から近位に延びるレースウェイ135を備え、このレースウェイはその最近位端において、末端スリーブ138を備える。末端スリーブ138は、上記のように、シャフト12b内に配置された伝導性チューブ60bに接続される。レースウェイ135は、以下の2つの目的で働く:1)末端スリーブ138から、導電性プレート134を通って、導電性封止面112へと電気導通状態を提供するため;および2)以下に記載されるように、リード線210aを遠位コネクタ300に案内するためのチャネルを提供するため。
【0047】
絶縁された外側ハウジング114は、導電性封止面112をしっかりと係合するような寸法にされる。このことは、スタンピングすること、オーバーモールティングすること、スタンピングされた導電性封止プレートをオーバーモールディングすること、および/または金属射出成形された封止プレートをオーバーモールディングすることによって、達成され得ることが予測される。これらの製造技術の全てが、絶縁された外側ハウジング114に実質的に囲まれた導電性表面112を有する電極を作製する。
【0048】
ジョー部材はまた、導電性封止表面112と外側絶縁ハウジング114との間に配置された、第二の絶縁体(図示せず)を備え得ることが、予測される。絶縁された外側ハウジング114および導電性封止表面112(ならびに使用される場合には、他の絶縁体)は、好ましくは、組織の封止に対する所望でない公知の効果(例えば、フラッシュオーバー、熱拡散および漂遊電流分布)の多くを制限および/または減少するような寸法にされる。
【0049】
導電性封止表面112は、ピンチトリム(図示せず)を備え得ることもまた、予測される。このピンチトリムは、絶縁された外側ハウジング114への導電性表面112のしっかりとした係合を容易にし、そしてまた、製造プロセス全体を単純にする。導電性封止表面112は、半径を有する外周縁部を備え得、そして絶縁された外側ハウジング114は、導電性封止表面112と、この半径に対してほぼ接線方向である隣接する縁部に沿って対面すること、および/またはこの半径に沿って対面することもまた、企図される。好ましくは、インターフェースにおいて、導電性表面112は、絶縁された外側ハウジング114に対して上昇される。これらおよび他の予測される実施形態は、同時に出願された、同時係属中の、同一人に譲渡された、出願番号203−2898の、発明の名称「ELECTROSURGICALINSTRUMENTWHICH REDUCES COLL
ATERAL DAMAGE TO ADJACENT TISSUE」(Johnsonらによる)、および同時に出願された、同時係属中の、同一人に譲渡された、出願番号203−2657の、発明の名称「ELECTROSURGICALINSTRUMENT WHICH IS DESIGNED TO REDUCE THE INCIDENCE O
F FLASHOVER」(Johnsonらによる)に議論されている。
【0050】
図4Bの分解図に最良に示されるように、チューブ60bの内周は、好ましくは、そこを通してリード線210aを収容し、その結果、異なる電位がジョー部材120に効果的に伝達され得るような寸法にされる。より具体的に、そして上記のように、ケーブル210は、異なる電位を有する2つのリード線210aおよび210bを収容する。第一のリード線210aは、チューブ60bを通して配置され、そして以下にさらに詳細に記載されるように、第一の電位をジョー部材120に伝導する。第二のリード線210bは、近位コネクタ80(図7)(これは、リード線210bをチューブ60bに固定するための一連の電気クリンプ85、87および89を備える)においてチューブ60bと電気的にインターフェースする。その結果、チューブ60bは、上記のように、最終的にジョー部材110に接続するまで、そこを通して第二の電位を運ぶ。
【0051】
リード線210aは、好ましくは、絶縁性コーティング213を備え、この絶縁性コーティング213は、このリード線中に配置される内部コアまたは電気伝導体211(例えば、ワイヤ)を取り囲み、作動中に、この電気伝導体211をチューブ60bから絶縁する。このワイヤ211は、絶縁性非伝導性コーティング213(例えば、プラスチック)により取り囲まれた中実またはマルチストランドの電気伝導性材料(例えば、銅/アルミニウム)から作製され得ることが想定される。
【0052】
ワイヤ211は、末端部212を備え、この末端部212は、ジョー部材120と電気的に接続する寸法である。好ましくは、この末端部212は、以下に記載されるように、遠位コネクタ300からジョー部材120に向かって上向きに延びる対応するボス314を取り囲むように、ほぼアーチ形の形状で「平坦形態(flat−formed)」である。この遠位コネクタ300は、少なくとも2つの機能:(1)ジョー部材120からジョー部材110を絶縁すること;および(2)ジョー部材120へのリード線210aの持続的な電気的連結を提供すること、を果たすことが、想定される。
【0053】
より詳細には、この遠位コネクタ300は、一般に、ジョー部材110の電気伝導性面板134およびジョー部材120の電気伝導性面板144のプロフィール全体と一致するような形状にされ、その結果、組み立てられた場合、この遠位コネクタ300の他の外向きの外面302および304は、それぞれ、ジョー部材110および120の対応する面板134および114に接合する。この遠位コネクタ300の外向きの外面302は、ジョー部材110に対する旋回ピン151の周りのジョー部材120の旋回運動を容易にする滑走表面として作用することが想定される。好ましくは、この遠位コネクタ300は、プラスチックのような絶縁性基材、またはいくつかの他の非伝導性材料から作製される。
【0054】
この遠位コネクタは、ジョー部材120に向かって延びる一連のフランジ322および326、ならびにジョー部材110に向かって延びる一連の第2のフランジ324および328を備える。これらのフランジ322、324、326および328は、作動中、鉗子10の他の操作要素および患者を、電気伝導性面板134および144から広がる迷走電流から絶縁することが想定される。フランジ322および328はまた、作動中に封止表面112および122を越える組織400の拡大を制限/限定するような寸法にされ得る。フランジ326および324は、好ましくは、全ての角度の作動(ジョー部材110および120の旋回)の間、鉗子を絶縁するような寸法にされる。
【0055】
上記のように、遠位コネクタ300は、ボス314を備え、これは、リード線210aの末端部212を固定するような寸法にされたジョー部材120に向かって延びる。好ましくは、このボスは、リード線の末端部をピボットから電気的に絶縁するように設計される。このボス314は、好ましくは、旋回ピン151を収容するためのこれを通る開口部316を規定し、そしてピボット151の周りのジョー部材120の旋回運動およびジョー部材110に対するボス314の旋回運動を可能にする。
【0056】
一連の凹部312、318および319は、ボス314の周りおよびその近位に形成されて、それぞれ、平坦形態の末端部212、ワイヤ211およびリード線210aの絶縁部分を固定する。これはまた、リード線210aを遠位コネクタに固定し、そしてこのリード線210aの移動を制限する。いくつかの場合、少量のシリコーンまたは他の非伝導性材料が、追加のおよび/または代替の絶縁保護材として、ワイヤと末端部212との間の接合部に含まれることが好ましくあり得る。フランジ326が、遠位コネクタ300の頂上でのリード線210aの組立を容易にする、このフランジを通して配置されるノッチ(図示せず)を備え得ることもまた想定される。理解され得るように、このことは、チャネル318を通る挿入の後に、アーチ形末端部212を形成する工程を排除する。上記のように、少量のシリコーンなどが、末端部212が遠位コネクタ300内に設置された後に、絶縁のためにノッチの頂上/ノッチ内に加えられ得る。
【0057】
遠位コネクタの最も近位の部分は、フィンガー320を備え、これは、レースウェイ135内に形成されるチャネル137内に設置されるように寸法決めされ、その結果、この遠位コネクタ300は、旋回中にジョー部材110と共に動く。チャネル135は、成形プロセスの間に形成され得、続いて、このレースウェイ135が形成された後に穴をあけられるか、または任意の他の公知の形成方法によって穴をあけられる。ボス314の最上端は、好ましくは、面板144内で形成される対応する凹部(図示せず)内に設置されるような寸法にされる。同様に、図示しないが、ボス314の反対の端部が、面板134に向かって延び、そして面板134内に形成される凹部131内に設置されることが想定される。この凹部131は、ジョー部材110と遠位コネクタ300との係合を促進することが想定される。
【0058】
この遠位コネクタ300はまた、バネワッシャーまたはウェーブワッシャー155を備え、これは好ましくは、末端部212の頂上のボス314を取り囲むように寸法決めされる。組み立てられた場合、このワッシャー155は、末端部212とジョー部材120の伝導性面板144との間に挟まれ/留められる。このワッシャー155は、末端部と面板144との間の接続を強化することが想定される。より詳細には、このワッシャー155は、好ましくは、このワッシャー155が、末端部212とジョー部材120との間の自己洗浄性の持続的な電気的接触を提供するような形状にされる。このワッシャー155は、ジョー部材110および120の旋回の間の、末端部212に対するワッシャー155の摩擦接触および相対移動に起因して、「自己洗浄」することが意図される。この自己洗浄作用は、ワッシャーがジョー部材110および120の旋回の間、末端部212および/または面板144をこすり、引っ掻きそして/または掘ることに起因し得る。
【0059】
ジョー部材110および120のそれぞれの外側ハウジングは、好ましくは、さらなるレセスまたは環状溝129を備え、このレセスまたは環状溝は、リング様絶縁体153bおよび153aをそれぞれ受容する。絶縁体153aおよび153bは、鉗子10が組み立てられた場合、ピボットピン150をジョー部材110および120から絶縁する。好ましくは、ピボットピン150は、組み立ての間、ジョー部材110および120を固定するようにピーニングされ、そして外側リム151aおよび151bを備え得、これらのうちの少なくとも1つは、図4Bで最も良く示されるように、ジョー部材110および120がピボットピン150の周りで組み立てられた後に、ピーニングされるかまたは形成される。
【0060】
起動時に、第1電気電位は、チューブ60bを通り、端末端部212へとリード線210aによって運ばれる。次いで、遠位コネクタ300のワッシャー155は、第1電位をフェースプレート144に伝導し、このフェースプレート144は、第1電位を、ジョー部材120の内向面上に配置される封止プレート122に運ぶ。第2電位は、リード線210bによって運ばれ、このリード線210bは、チューブ60bと(クリンプ85、87および89により)電気的にインターフェースをとって、第2電位を、ジョー部材110の端子スリーブ138に伝える。端子スリーブ138は、フェースプレート134を横切る封止表面112に電気的に接続する。
【0061】
図8は、シャフト12bの空洞45b内でのケーブル210の接続を示す。上述のように、一連のフィンガー様要素77aおよび77bならびにクリンプ76aおよび76bがシャフト12b内でケーブル210を固定(secure)する。好ましくは、ケーブル210は、シャフト12bに沿って配置される長手方向軸「A」に対して角度アルファ(α)で固定される。ケーブル210の内方向へ(すなわち、シャフト12aに向かって)角度を付けることによって、手術の間、鉗子10およびケーブル210の操作を容易にする(すなわち、鉗子10を出るときのケーブル210の角度の付いた配置は、操作の間のケーブルのもつれおよび/またはケーブルの衝突を減少させる傾向がある)ことが想定される。
【0062】
好ましくは、ジョー部材110および120のうちの少なくとも1つは、スカート様構造126および136をそれぞれ備え、このスカート様構造は、全ての角度の操作の間(すなわち、ジョー部材110および120が第1開位置、第2閉位置および/またはそれらの間の操作移動の間に配置される場合)、端子端部212またはワイヤ211の露出を妨げるような寸法である。
【0063】
鉗子10を使い捨て可能にすることによって、鉗子10は、損傷されにくくなることが想定される。なぜなら、この鉗子は、単回使用のためのみ意図され、従って、洗浄も滅菌も必要としないからである。結果として、重要な封止構成要素(例えば、導電性表面112および122、停止部材150、ならびに絶縁性ハウジング124および114)の機能性および一貫性は、均一な、良質の封止を保証する。
【0064】
前述および種々の図面を参照して、当業者は、本発明の開示の範囲から逸脱することなく、本開示に対して特定の改変がなされ得ることを認める。例えば、手術の間、鉗子10の操作を容易にするタング(tang)を備えることが好ましくあり得る。
【0065】
さらに、電気的接続が、好ましくは、下シャフト12bと一緒になり、そしてこの器具は右利きの使用に意図されるが、電気接続が、特定の目的に依存して、そして/または左利き使用者による操作を容易にするために、他のシャフト12a一緒になり得ることが企図される。
【0066】
収縮チューブが近位コネクタ80の上で使用され得、そして/または近位コネクタ80に付随する他の種々のハンダもしくはクリンプ接続85、87および89がリード線ワイヤ210bとインターフェースをとることも企図される。これは、組み立ての間のさらなる絶縁保護を提供する。鉗子10(および/または鉗子10との接続に使用される電気外科用発生器)がセンサーまたはフィードバック機構(図示せず)を備え得、このセンサーまたは機構が、ジョー部材110と120との間に把持される特定のサイズの組織400を効果的に封止するのに適切な量の電気外科用エネルギーを自動的に選択することもまた企図される。センサーまたはフィードバック機構はまた、封止の間、組織を横切るインピーダンスを測定し得、そして効果的な封止がジョー部材110と120との間に作製されたことの指標(視覚的および/または聴覚的)を提供し得る。
【0067】
本開示のいくつかの実施形態が図面で示されているものの、本開示は、当該分野が許容するできるだけ広い範囲であり、本明細書も同様に読み取るように解釈されるので、本開示は、これらの実施形態に限定するようには解釈されない。従って、上記記述は、限定としてではなく、好ましい実施形態の単なる例示として解釈すべきである。当業者は、添付の請求の範囲の範囲および精神内で、他の変更を想定している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−236076(P2012−236076A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−180582(P2012−180582)
【出願日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【分割の表示】特願2010−151311(P2010−151311)の分割
【原出願日】平成13年4月6日(2001.4.6)
【出願人】(507364377)コヴィディエン・アクチェンゲゼルシャフト (62)
【Fターム(参考)】