説明

血管の封着機および分割機

【課題】血管組織を効果的かつ一貫して封着し分離する電気外科器具を開発すること。
【解決手段】組織の封着および分離の少なくとも一方を実施するための電気外科用器具であって、ハウジング20に装着されたシャフト12を有するハウジング、第二ジョー部材120に対して移動可能な第一ジョー部材110であって、該第一ジョー部材は、該シャフトに装着され、そして第一開放位置から第二閉鎖位置に相対的に移動可能であり、第一開放位置では、該ジョー部材は、互いに間隔を開けた関係で配置され、該第二閉鎖位置では、該ジョー部材は、その間で組織をつかむように協同する、第一ジョー部材、該第一位置および該第二位置の間で該ジョー部材を移動させるための、ドライブロッドアセンブリ21および該ドライブロッドアセンブリを作動するために該ハウジングに装着させたハンドルアセンブリ40を備える、電気外科用器具。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(背景)
本開示は、内視鏡外科的処置を実行する電気外科用器具および方法に関し、さらに特定すると、本開示は、開放または内視鏡双極電気外科用鉗子ならびに組織を封着および/または切断する方法に関する。
【技術分野】
【0002】
(技術分野)
止血剤または鉗子は、簡単なプライヤー様器具であり、これは、そのジョー間での機械的な作用を使用して血管を締め付け、通例、組織を握り、切り裂き、そして/またはクランプ留めするために、開放外科的処置で使用されている。電気外科用鉗子は、組織および血管を加熱して組織を凝固、焼灼および/または封着することにより止血を行うために、機械的クランプ留め作用および電気的エネルギーの両方を利用する。
【0003】
過去数十年にわたって、内視鏡および内視鏡器具(これらは、小さい穿刺様切開部を通って、臓器にアクセスする)を使って、生命の維持に重要な器官および体腔へのアクセスを獲得する伝統的な開放方法を称賛する外科医が増えている。内視鏡器具は、カニューレまたはポート(これは、外套針と共に作製されている)を通って患者に挿入される。カニューレの典型的な大きさは、3ミリメートルから12ミリメートルの範囲である。通常、小さいカニューレが好ましいが、これにより、理解できるように、最終的には、カニューレを通って適合する外科用器具を製造しようとしなければならない器具製造業者は、設計上の難題に直面する。
【0004】
ある種の内視鏡外科的処置には、血管または血管組織を切断することが必要である。しかしながら、空間的に限られているために、外科医は、血管を縫合したり出血を抑える他の伝統的な方法(例えば、横に切開した血管のクランプ留めおよび/または縛り)を実行したりするのが困難となり得る。血管は、直径2ミリメートル未満の範囲では、しばしば、標準的な電気外科技術を使用して閉じられ得る。しかしながら、もし、それより大きい血管が切断されたなら、外科医は、その内視鏡処置を開放外科的処置に切り替えて、それにより、腹腔鏡検査の有利な点を捨てる必要があり得る。
【0005】
いくつかの学術誌の論文には、電気外科を使用して小血管を封着する方法が開示されている。Studies on Coagulation and the Development of an Automatic Computerized Bipolar Coagulator(J.Neurosurg.,75巻、1991年7月)の表題の論文は、小血管を封着するのに使用される双極凝固器を記述している。この論文は、2〜2.5mmより大きい直径の動脈を安全に凝固することが不可能であることを述べている。第二の論文は、Automatically Controlled Bipolar Electrocoagulation−「COA−COMP」(Neurosurg.Rev.(1984),pp.187〜190)の表題であるが、血管壁の焦げを避けるように血管への電気外科動力の伝達を停止する方法を記述している。
【0006】
上述のように、電気外科鉗子を利用することにより、外科医は、ジョー部材を通って組織に加えられる電気外科エネルギーの強度、周波数および持続時間を制御することによって、焼灼、凝固/乾燥および/または単に出血を少なくするか遅くできる。各ジョー部材の電極は、これらのジョー部材が組織を握るときに電気エネルギーが組織を通って選択的に移動できるように、異なる電位に荷電される。
【0007】
大きい血管を正しく封着するために、2つの主な機械的パラメータ(血管に加えられる圧力および電極間の間隙距離)を正しく制御しなければならない。それらの両方は、封着した血管の厚さの影響を受ける。さらに特定すると、圧力を正しく加えることは、血管の壁を対向させるために、十分な電気外科エネルギーを組織に通すのに十分に低い値に組織インピーダンスを低くするために、組織加熱中の膨張力に打ち勝つために、そして良好な封着の指標である末端組織厚さに寄与するために、重要である。典型的な融合血管壁は、0.001インチと0.005インチの間で最適であることが決定されている。この範囲より低いと、その封着は、断ち切られるか引き裂かれ、そしてこの範囲より高いと、管腔は、正しくまたは効果的には封着されない。
【0008】
血管が小さくなるほど、組織に加えられる圧力は、関係が少なくなる傾向にあるのに対して、導電面間の間隙距離は、効果的な封着に重要となってくる。言い換えれば、2個の導電面が起動中に触れる機会は、血管が小さくなるにつれて、大きくなる。
【0009】
電気外科方法は、血管壁に大きい閉鎖力を加えることができる器具と連結され、適当な電気外科出力曲線を使用して大きい血管を封着し得る。小血管を凝固するプロセスは、基本的に、電気外科血管封着とは異なると考えられている。本明細書中の目的のために、「凝固」とは、その組織細胞が破裂し乾いた組織を乾燥するプロセスとして定義される。血管封着とは、融合した塊に再編成するように、組織内のコラーゲンを液化するプロセスとして定義される。それゆえ、小血管の凝固は、それらを永久的に閉じるのに十分である。大きい血管は、永久的な閉鎖を確実に行うように、封着する必要がある。
【0010】
Willisの米国特許第2,176,479号、Hiltebrandtの米国特許第4,005,714号および第4,031,898号、Boebelらの米国特許第5,827,274号、第5,290,287号および第5,312,433号、Lottickの米国特許第4,370,980号、第4,552,143号、第5,026,370号および第5,116,332号、Sternらの米国特許第5,443,463号、Eggersらの米国特許第5,484,436号およびRichardsonらの米国特許第5,951,549号は、全て、血管または組織を凝固、切断および/または封着する電気外科用器具に関する。しかしながら、これらの設計の一部は、血管に対して、均一に再現可能な圧力を与えないかもしれず、その結果、無効または不均一な封着を生じ得る。
【0011】
これらの器具の多くは、ブレード部材または剪断部材を含み、これらは、単に、機械的および/または電気機械的な様式で組織を切断するので、相対的に、血管封着の目的には無効である。他の器具は、適当な封着厚さを獲得するのにクランプ圧だけに頼っており、間隙公差ならびに/または平行度および平面度の要件(これらは、もし正しく制御されたなら、一貫した有効な組織封着を保証できるパラメータである)を考慮して設計されていない。例えば、クランプ圧だけを制御することによって封着した組織の厚さを十分に制御することは、以下の2つの理由のいずれかのために、困難であることが公知である:1)もし、加える力が大きすぎるなら、2本の極が触れて、組織を通ってエネルギーが移動されず、無効な封着を生じるおそれがある;または2)もし、加える圧力が低すぎるなら、組織は、起動および封着前に早く移動しすぎるか、および/または厚くて信頼性の低いシールが形成され得る。
【0012】
上述のように、大きい血管を正しく効果的に封着するために、対向しているジョー部材間で、さらに大きい閉鎖力が必要である。これらのジョー間で大きい閉鎖力を加えるには、典型的には、各ジョーに対して、その旋回軸の周りで大きく移動させる必要があることが知られている。これらのジョー部材が、典型的には、ピン(これは、各ジョー部材の旋回軸に対して、小モーメントアームを有するように位置付けられている)で固着されているので、このことは、難題である。大きい力は、小モーメントアームと共に、これらのピンを剪断し得るので、望ましくない。結果として、設計者は、金属ピンを備えた器具を設計することにより、および/またはこれらの閉鎖力を少なくとも部分的に取り除いて機械の故障の可能性を少なくする器具を設計することにより、いずれかによって、これらの大きい閉鎖力を補償しなければならない。理解できるように、もし、機械旋回ピンを使用するなら、これらの機械ピンは、ジョー部材間の代替電流経路として作用する(そうすれば、有効な封着に悪影響を及ぼし得る)ことを避けるために、絶縁しなければならない。
【0013】
電極間の閉合力を高めると、他の望ましくない影響を及ぼし得る。例えば、それにより、対向電極は、互いに密に接触し得、その結果、短絡を起こし得、また、小さい閉鎖力は、圧縮中および起動前に、組織の早すぎる移動を起こし得る。
【0014】
典型的には、特に、内視鏡電気外科的処置に関して、一旦、血管が封着されると、外科医は、手術部位から封着器具を取り除いて、カニューレを介して新しい器具で置き換え、新しく形成した組織シールに沿って血管を正確に切離しなければならない。理解できるように、この追加工程は、(特に、かなりの数の血管を封着するときに)時間がかかるだけでなく、組織封着線の中心に沿った切離器具の誤整列または誤配置が原因で、封着線に沿った組織の分離が正確でなくなり得る。
【0015】
ナイフまたはブレード部材(これは、組織シールを形成した後、組織を効果的に切離する)を組み込んだ器具を設計する試みがなされている。例えば、Foxらの米国特許第5,674,220号は、透明な血管封着器具を開示しており、これは、長手軸方向に往復運動するナイフを含み、このナイフは、一旦封着した組織を切離する。この器具は、複数の開口部を含み、これらにより、封止および切離プロセス中にて、組織を直接視覚化できるようになる。この直接的な視覚化により、ユーザーは、血管封着時に起こることが公知である、目に見える望ましくない特定の効果(熱の拡散、焦げなど)を少なくするかおよび/または限定するために、閉鎖力およびジョー部材間の間隙距離を目で見て手動で調節できるようになる。理解できるように、この器具を使って有効な組織シールを作り出すことが全体的に成功するかどうかは、血管を均一かつ一貫して有効に封着して理想的な切断面に沿ってシールで組織を分離するために適当な閉鎖力、間隙距離およびナイフの往復運動長を判断する際のユーザーの技能、視力、器用さ、および経験に大いに頼っている。
【0016】
Austinらの米国特許第5,702,390号は、三角形電極を含む血管封止器具を開示しており、この電極は、組織を封着する第一位置から、組織を切断する第二位置へと回転可能である。この場合もやはり、ユーザーは、組織を封着し切断する種々の影響を制御するために、直接的な視覚化および技能に頼らなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
それゆえ、血管組織を効果的かつ一貫して封着し分離する電気外科器具であって、当該技術分野で公知の前記問題点の多くを解決する器具を開発することが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記課題を解決するために、本発明は、例えば、以下を提供する:
(項目1)
組織の封着および分離の少なくとも一方を実施するための電気外科用器具であって、該器具は、以下の部分:
ハウジングに装着されたシャフトを有する、ハウジング;
第二ジョー部材に対して移動可能な第一ジョー部材であって、該第一ジョー部材は、該シャフトに装着され、そして第一開放位置から第二閉鎖位置に相対的に移動可能であり、第一開放位置では、該ジョー部材は、互いに間隔を開けた関係で配置され、該第二閉鎖位置では、該ジョー部材は、その間で組織をつかむように協同する、第一ジョー部材;
該第一位置および該第二位置の間で該ジョー部材を移動させるための、ドライブロッドアセンブリ;および
該ドライブロッドアセンブリを作動するために該ハウジングに装着させたハンドルアセンブリであって、該ハンドルアセンブリは、4本棒機械リンク装置を備える、ハンドルアセンブリ;
を備える、電気外科用器具。
(項目2)
上記第一ジョー部材および第二ジョー部材が、互いに対して旋回可能な様式で移動可能であり、上記ハンドルアセンブリの4本棒機械リンク装置が、カム様ピストンと協同する上記ハウジングに対して移動可能であるハンドルを備え、上記ドライブアセンブリの運動をもたらす、項目1に記載の電気外科用器具。
(項目3)
上記4本棒機械リンク装置の上記ハンドルおよび上記カム様ピストンが、バネと協同して、上記ジョー部材間でつかまれる組織に対して均一な閉鎖圧力を作り出す、項目2に記載の電気外科用器具。
(項目4)
上記ハンドルが、互いに対して上記ジョー部材を選択的にロックするように、上記ハウジング内でロック可能である、項目2に記載の電気外科用器具。
(項目5)
上記電気外科用器具が、組織を分離するためのナイフアセンブリをさらに備え、該ナイフアセンブリが、上記4本棒機械リンク装置を移動すると、ロック配置からアンロック配置とへ変化可能である、項目1に記載の電気外科用器具。
(項目6)
上記ハンドルが、フランジを備え、該フランジが、上記ハウジング内に配置された規定内部寸法を有するチャンネルに往復運動され、該フランジが、上記ジョー部材を互いに選択的にロックし、そして上記ナイフアセンブリをアンロックするように、該チャンネルの該規定内部寸法と協同する寸法にされる、項目5に記載の電気外科用器具。
(項目7)
上記ナイフアセンブリが、上記ジョー部材が閉鎖位置に配置される場合、上記ハンドルアセンブリから独立して操作可能である、項目5に記載の電気外科用器具。
(項目8)
少なくとも1本のジョー部材が、そこを通って少なくとも部分的に規定された長手軸チャンネルを備え、該長手軸チャンネルが、組織を分離する切断面に沿って、上記ナイフアセンブリの往復運動を可能にする、項目5に記載の電気外科用器具。
(項目9)
上記ナイフアセンブリが、実質的に平らな前縁を備える、項目8に記載の電気外科用器具。
(項目10)
組織の封着および分離の少なくとも一方を実行する電気外科用器具であって、該器具は、以下:
ハウジングに装着されたシャフトを有するハウジングであって、該シャフトは、長手軸を規定する、ハウジング;
互いに対して対向する関係で、該シャフトに旋回可能に装着された、第一ジョー部材および第二ジョー部材であって、該ジョー部材は、第一開放位置から第二開放位置に相対的に移動可能であり、該第一開放位置では、該ジョー部材は、互いに間隔を開けた関係で配置され、該第二閉鎖位置では、該ジョー部材は、その間で組織をつかむように協同する、第一ジョー部材および第二ジョー部材;
該第一位置および第二位置の間で該ジョー部材を移動させるための、ドライブロッドアセンブリ;
該ハウジングに装着され、該長手軸の周りで、該ジョー部材を回転させるための、回転アセンブリ;
組織を分離するために、該ハウジングに装着されたナイフアセンブリ;ならびに
該ドライブロッドアセンブリを作動するために該ハウジングに装着されたハンドルアセンブリであって、該ハンドルアセンブリは、ハンドルおよびカム様ピストンを備える4本棒機械リンク装置を備え、バネと協同して、上記ジョー部材間でつかまれる組織に対して均一な閉鎖圧力を作り出す、ハンドルアセンブリ、
を備える、電気外科用器具。
(要旨)
本発明の開示は、組織をクランプ留めし、封着し、そして分割する電気外科用鉗子に関する。さらに特定すると、本開示は、電気外科用鉗子に関し、これは、対向ジョー部材間の組織に加えられる全体的なクランプ圧力の一貫性を生じ、対向ジョー部材間の間隙距離を調節し、起動中に対向ジョー部材が短絡する可能性を少なくし、この鉗子は、非導電性ストップ部材(これは、組織の起動および分割中またはその前にて、組織を操作し、つかみ、そして保持するのを助ける)、および独特の設計の電気ケーブル経路を提供し、これは、この器具の本体を通って、対向ジョー部材に至り、組織の操作、封着および分割中に起動が不規則になる可能性を少なくする。
【0019】
ここで開示した電気外科用器具は、ハウジングに装着されたシャフトを有する、ハウジングを備え、このハウジングは、互いに対して対向する様式で、一対の第一ジョー部材および第二ジョー部材と接続される。このジョー部材は、互いに第一開放位置から第二閉鎖位置に相対的に移動可能であり、この第一開放位置では、ジョー部材は、互いに間隔を開けた関係で配置され、この第二閉鎖位置では、ジョー部材は、その間で組織をつかむように協同する。この装置はまた、ドライブアセンブリと協同するハンドルアセンブリを備え、第一位置および第二位置から第一ジョー部材および第二ジョー部材への運動をもたらす。
【0020】
上記ハンドルアセンブリは、ハウジングに対して相対的に移動可能であり、そしてカム様ピストンと協同する、ハンドルを有する4本棒機械リンク装置を備え、ドライブアセンブリの運動をもたらす。好ましくは、このハンドルおよびカム部材は、バネと協同して、ジョー部材間でつかまれる組織に対して均一な閉鎖圧力を作り出す。
【0021】
一つの実施形態において、ハンドルは、好ましくは、互いに対してジョー部材を選択的にロックするように、前記ハウジング内でロック可能である。例えば、ハンドルは、ハウジング内に配置された規定内部寸法を有するチャンネルに往復運動されるフランジを備え得る。このフランジは、好ましくは、ジョー部材を互いに選択的にロックするように、チャンネルの規定内部寸法と協同する寸法にされる。
【0022】
一つの実施形態において、この電気外科用器具は、組織を分離するためのナイフアセンブリをさらに備える。好ましくは、このナイフアセンブリは、4本棒機械リンク装置を移動すると、ロック配置からアンロック配置とへ変化可能である。例えば、このハンドルのフランジは、ジョー部材を互いに選択的にロックし、フランジのチャネルへの往復運動によりナイフアセンブリをアンロックするように、チャンネルの規定内部寸法と協同する寸法にされる。
【0023】
なお別の実施形態において、少なくとも1本のジョー部材が、そこを通って少なくとも部分的に規定された長手軸チャンネルを備え、この長手軸チャンネルが、組織を分離する理想的な切断面に沿って、前記ナイフアセンブリの往復運動を可能にする。好ましくは、このナイフアセンブリは、ジョー部材が第二閉鎖位置に配置される場合、ハンドルアセンブリから独立して操作可能である。一つの実施形態において、このナイフアセンブリは、実質的に平らな前縁を備える。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本発明の器具の種々の実施形態は、図面を参照して、本明細書中で記述されている。
【図1A】図1Aは、内視鏡双極鉗子の左斜視図であり、これは、本開示に従って、ハウジング、シャフトおよびエンドエフェクタアセンブリを示している。
【図1B】図1Bは、本開示による開放双極鉗子の左斜視図である。
【図2】図2は、図1の鉗子の上面図である。
【図3】図3は、図1の鉗子の右側面図である。
【図4】図4は、図1の鉗子の右斜視図であり、これは、長手方向軸「A」の周りでのエンドエフェクタアセンブリの回転を示している。
【図5】図5は、図1の鉗子の正面図である。
【図6】図6は、図5で指示した詳細領域の拡大図であり、これは、一対の対向ジョー部材を詳述するエンドエフェクタアセンブリの拡張図を示す。
【図7】図7は、図1で指示した詳細領域の左拡大斜視図であり、これは、エンドエフェクタアセンブリの他の拡張図を示す。
【図8】図8は、図3で指示した詳細領域の右拡大側面図であり、これは、想像線で示したエンドエフェクタアセンブリの一対のカムスロットを伴う。
【図9】図9は、図3の鉗子を僅かに拡大した断面図であり、これは、ハウジングの内部作動部品を示している。
【図10】図10は、図9で示した詳細領域の拡大断面図であり、これは、エンドエフェクタアセンブリ内に配置されたナイフアセンブリの初期位置を示している。
【図11】図11は、カバープレートなしのハウジングおよびその中に配置された鉗子の内部作動部品を示す左拡大斜視図である。
【図12】図12は、エンドエフェクタアセンブリ、ナイフアセンブリおよびシャフトの分解斜視図である。
【図13】図13は、ハウジングおよびその内部作動部品の分解斜視図であり、そのハウジングへのシャフトおよびエンドエフェクタアセンブリの装着は、破線で図示されている。
【図14】図14は、部品を分離したエンドエフェクタアセンブリの大きく拡大した上部斜視図であり、これは、上部ジョー部材を通る電気ケーブルの給送経路を示している。
【図15】図15は、図9で指示した詳細領域の長手軸方向断面図である。
【図16】図16は、電気ケーブル用の給送経路を示すエンドエフェクタアセンブリの拡大上部斜視図であり、この給送経路は、対向ジョー部材とナイフアセンブリの近位付属品を通って、長手軸方向に往復運動するナイフチューブ(これは、シャフト内に配置されている)に至る。
【図17】図17は、電気ケーブル用の給送経路を示すエンドエフェクタアセンブリの拡大上部斜視図であり、この給送経路は、長手軸方向に配置されたチャンネル(これは、シャフトの外周内で規定されている)に沿っている。
【図18A】図18Aは、カバープレートなしのハウジングの大きく拡大した側面斜視図であり、これは、電気ケーブル用の給送経路を示し、この給送経路は、そのハウジングの遠位末端に隣接した回転アセンブリを通る。
【図18B】図18Bは、カバープレートなしのハウジングの大きく拡大した側面斜視図であり、これは、電気ケーブル用の給送経路を示し、この給送経路は、そのハウジング内に取り付けられたシャフトを備えた回転アセンブリを通る。
【図19】図19は、回転アセンブリの大きく拡大した後面図であり、これは、内部に配置したストップ部材を示す。
【図20】図20は、本開示の鉗子の斜視図であり、これは、カニューレを通って管状血管または束を握り、そして封着する位置で、示されている。
【図21】図21は、ハウジング内に配置された4本棒ハンドルアセンブリの内部協同運動の僅かに拡大した断面図であり、これは、ジョー部材の互いに対する運動を引き起こす。
【図22】図22は、4本棒ハンドルアセンブリの起動時におけるフランジの初期移動(これは、想像図で示されている)を示す大きく拡大した断面図である。
【図23】図23は、4本棒ハンドルアセンブリの移動に反応して得られるコイルバネの圧縮運動を示す大きく拡大した側面図である。
【図24】図24は、図23のコイルバネの近位圧縮の結果としてエンドエフェクタアセンブリのカム様ドライブピンの近位運動を示す大きく拡大した側面図であり、これは、次に、対向ジョー部材を閉鎖配置に移動させる。
【図25】図25は、カニューレ内で起動するように構えたナイフアセンブリを示す大きく拡大した断面図である。
【図26】図26は、その間で管状血管を圧縮した閉鎖配置の対向ジョー部材を示す上部斜視図である。
【図27】図27は、管状血管の封着部位の拡大斜視図であり、これは、封着後に管状血管を分割するのに好ましい切断線「B−B」を示す。
【図28】図28は、図27の線28−28に沿って取り出した封着部位の長手軸方向断面である。
【図29】図29は、カバープレートのないハウジングの側面図であり、これは、引き金アセンブリの起動時でのナイフチューブの長手軸方向往復運動を示す。
【図30】図30は、器具の遠位末端の大きく拡大した断面図であり、これは、引き金アセンブリの起動時でのナイフアセンブリの長手軸方向往復運動を示す。
【図31】図31は、図28の好ましい切断線「B−B」に沿った封着部位を通るナイフアセンブリの往復運動後の管状血管の長手軸方向断面図である。
【図32】図32は、予め規定した出口経路に沿ったハンドルアセンブリの再始動時でのフランジの運動を示す大きく拡大した側面図であり、これは、次に、対向ジョー部材を開き、そして管状血管を解放する。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(詳細な説明)
さて、図1〜6を参照すると、種々の外科的手順と併用する双極鉗子10の1実施形態が示されており、これは、一般に、ハウジング20、ハンドルアセンブリ30、回転アセンブリ80、引き金アセンブリ70およびエンドエフェクタアセンブリ100を含み、これらは、相互に協働して、管状血管および血管組織420(図20)を握り、封着し、そして分割する。図面の過半数は、内視鏡外科的手順と関連して使用する双極鉗子10を描写しているものの、開放鉗子10’もまた、伝統的な開放外科的手順と関連して使用が企図されており、図1Aで一例として示されている。本明細書の目的のために、この内視鏡形式のものが詳述されているが、しかしながら、開放鉗子10’もまた、下記のように、同じまたは類似した動作部品および機構を含むことが企図される。
【0026】
さらに特定すると、鉗子10は、シャフト12を含み、これは、遠位末端14(これは、エンドエフェクタアセンブリ100と機械的に係合する寸法にされている)および近位末端16(これは、ハウジング20と機械的に係合する)を有する。好ましくは、シャフト12は、その遠位末端14で二股に分かれて、末端14aおよび14bを形成し、これらは、図7および12で最もよく見えるように、エンドエフェクタアセンブリ100を受容する寸法にされている。シャフト12の近位末端16は、ノッチ17a(図23および29を参照)および17b(図11、12および13を参照)を含み、これらは、以下でさらに詳細に記述するように、回転アセンブリ80の対応している戻り止め83a(図18A)および83b(図13で幻影で示す)と機械的に係合する寸法にされている。図面および以下の記述では、「近位」との用語は、伝統的に、鉗子10のうち、ユーザーに近い末端をいうのに対して、「遠位」との用語は、ユーザーから遠い末端をいう。
【0027】
図1Aで最もよく見えるように、鉗子10はまた、電気インターフェイスまたはプラグ300を含み、これは、鉗子10を電気外科エネルギー源(例えば、発電機(図示せず))と接続する。プラグ300は、一対のプロング部材302aおよび302bを含み、これらは、鉗子10を電気外科エネルギー源に機械的および電気的に接続する寸法にされている。プラグ300からスリーブ99には、電気ケーブル310が伸長しており、このスリーブは、ケーブル310を鉗子10に確実に接続する。図9、11および18Aで最もよく見えるように、ケーブル310は、内部で、ケーブル導線310aおよび310bに分割され、これらは、以下でさらに詳細に説明するように、それぞれ、それらの各給送経路を通り、鉗子10を通って、エンドエフェクタアセンブリ100へと電気外科エネルギーを伝達する。
【0028】
ハンドルアセンブリ30は、固定ハンドル50および可動ハンドル40を含む。固定ハンドル50は、ハウジング20と一体的に結合しており、そして、ハンドル40は、以下でさらに詳細に説明するように、鉗子10の操作に関して、固定ハンドル50に対して移動可能である。回転アセンブリ80は、好ましくは、ハウジング20の遠位末端303(図18A)に装着され、そして縦軸「A」の周りで、いずれかの方向で、約180度で回転可能である。
【0029】
図2および13で最もよく見えるように、ハウジング20は、2個のハウジング半分20aおよび20bから形成され、これらは、それぞれ、複数のインターフェイス307a、307bおよび307c(図13)を含み、これらのインターフェイスは、ハウジング20を形成し鉗子10の内部動作部品を囲むように、互いに機械的に整列し係合する寸法にされている。理解できるように、上で述べた固定ハンドル50は、ハウジング20に一体的に結合され、ハウジング半分20aおよび20bを組み立てると、まとまった形になる。
【0030】
超音波溶接目的のために、ハウジング半分20aおよび20bの周辺の種々の地点(例えば、エネルギー方向/偏向地点)で、複数の追加インターフェイス(図示せず)が配置され得ると想定される。また、ハウジング半分20aおよび20b(および下記の他の部品)が当該技術分野で公知の任意の様式で共に組み立てられ得ることも、考慮される。例えば、整列ピン、スナップ様インターフェイス、タングおよび溝インターフェイス、ロッキングタブ、接着剤ポートなどは、全て、組立目的のために、単独でかまたは組み合わせてかのいずれかで利用され得る。
【0031】
同様に、回転アセンブリ80は、2個の半分80aおよび80bを含み、これらは、組み立てたとき、シャフト12の近位末端16を取り囲んで係合し、必要に応じて、エンドエフェクタアセンブリ100の選択的な回転を可能にする。半分80aは、一対の戻り止め89a(図13)を含み、これらは、半分80b内に配置された一対の対応ソケット89b(これは、図13では、幻影で示されている)を係合する寸法にされている。可動ハンドル40および引き金アセンブリ70は、好ましくは、単一構造であり、その組立プロセス中にて、ハウジング20および固定ハンドル50に操作可能に接続される。
【0032】
上述のように、エンドエフェクタアセンブリ100は、シャフト12の遠位末端14に装着され、そして一対の対向ジョー部材110および120を含む。ハンドルアセンブリ30の可動ハンドル40は、最終的に、ドライブロッド32に接続され、これは、共に、ジョー部材110および120を開放位置から閉鎖位置へと移動するように機械的に協働し、開放位置では、ジョー部材110および120は、互いに間隔を開けた関係で配置され、また、閉鎖位置では、ジョー部材110および120は、その間で組織420(図20)を握るように協同する。このことは、図9〜11および20〜29に関連して、以下でさらに詳細に説明する。
【0033】
鉗子10は、特定の目的に依存して完全にかまたは部分的に使い捨て可能であるように、または特定の結果を達成するために設計され得ると想定される。例えば、エンドエフェクタアセンブリ100は、選択的かつ取り外し可能に、シャフト12の遠位末端14と係合可能であり得るか、および/またはシャフト12の近位末端16は、選択的かつ取り外し可能に、ハウジング20およびハンドルアセンブリ30と係合可能であり得る。これらの2つの場合のいずれかにおいて、鉗子10は、「部分的に使い捨て」または「リポーザブル(reposable)」であると考えられ、すなわち、必要に応じて、古いエンドエフェクタアセンブリ100は、選択的に、新しいまたは異なるエンドエフェクタアセンブリ100(またはエンドエフェクタアセンブリ100およびシャフト12)と交換される。
【0034】
さて、図1A〜13に関して記述されているように、本開示のさらに詳細な特徴に目を向けると、可動ハンドル40は、アパーチャ42が規定され、そこを通って、ユーザーは、固定ハンドル50に対して、ハンドル40を握り移動することが可能となる。ハンドル40はまた、人間工学に基づいて機能強化した握り要素45を含み、これは、アパーチャ42の内部周端に沿って配置され、この周端は、起動中の可動ハンドル40を握り易くするように設計されている。握り要素45は、ハンドル40を握り易くするために、1個以上の隆起、ホタテ貝模様および/またはリブ43a、43bおよび43cを含み得ると想定される。図11で最もよく見えるように、可動ハンドル40は、固定ハンドル50に対する第一位置から、固定ハンドル50と近接した第二位置へと旋回軸69の周りで選択的に移動可能であり、これにより、以下で説明するように、ジョー部材110および120は、互いに移動する。
【0035】
図11で最もよく見えるように、ハウジング20は、ドライブアセンブリ21を取り囲み、これは、可動ハンドル40と協同して、ジョー部材110および120を、開放位置からクランプ位置、すなわち、閉鎖位置へと移動させ、開放位置では、ジョー部材110および120は、互いに間隔を開けた関係で配置され、また、閉鎖位置では、ジョー部材110および120は、その間で組織を握るように協同する。ハンドルアセンブリ30は、一般に、4本棒機械リンク装置として特徴付けることができ、これは、以下の要素から構成される:可動ハンドル40、リンク65、カム様リンク36およびベースリンク(これは、固定ハンドル50および一対の旋回点37および67bで統合されている)。ハンドル40の移動により、4本棒リンク装置が起動され、これは、次に、対向ジョー部材110および120を互いに対して移動してその間で組織を握るために、ドライブアセンブリ21を起動する。4本棒機械リンク装置を使用すると、ユーザーは、ドライブアセンブリ21の操作パラメータに関して以下でさらに詳細に説明するように、組織420に対してジョー部材110および120を圧縮するとき、著しく機械的に有利となると想定される。本開示は、4本棒機械リンク装置として示しているものの、当該技術分野で公知のように、ジョー部材110および120の相対運動を起こす他のリンク装置を企図している。
【0036】
好ましくは、固定ハンドル50は、チャンネル54(これは、本明細書中で定義されている)を含み、これは、可動ハンドル40から近位に伸長しているフランジ92を受容する寸法にされている。好ましくは、フランジ92は、固定端90(これは、可動ハンドル40に固着されている)およびt形自由端93(これは、ハンドル50のチャンネル54内に受容し易い寸法にされている)を含む。フランジ92は、ユーザーが、ジョー部材110および120を互いに対して開放位置から閉鎖位置へと選択的、進行的および/または漸進的に移動できる寸法にされていると想定される。また、例えば、フランジ92は、ラッチ様インターフェイスを含み得、これは、可動ハンドル40をロックして係合し、従って、ジョー部材110および120は、特定の目的に依存して、互いに対して、選択的で漸進的な位置にあると考えられる。ハンドル50(およびジョー部材110および120)に対してハンドル40の移動を制御および/または制限するために、他の機構(例えば、油圧、半油圧、線形アクチュエータ、気体補助機構および/または歯車システム)もまた、使用され得る。
【0037】
図11で最もよく図示しているように、ハウジング20のハウジング半分20aおよび20bは、組み立てたとき、内部空洞52を形成し、これは、その中でt形フランジ末端93を往復運動するために入口経路53および出口経路58が形成されるように、固定ハンドル50内で、チャンネル54を予め規定する。一旦、組み立てると、2個の略三角形部材57aおよび57bは、互いに近接した関係で位置付けられ、その間でレールまたはトラック59を規定する。それぞれ、入口経路53および出口経路58に沿ってフランジ92を移動中に、t形末端93は、三角形部材57aおよび57bの特定の寸法に従って、2個の三角形部材57aおよび57bの間のトラック59に沿って乗り、これらの三角形部材は、理解できるように、固定ハンドル50に対するハンドル40の全体的な旋回運動の一部を予め決定する。
【0038】
一旦、起動すると、ハンドル40は、略アーチ形様式で、旋回軸69の周りで、固定ハンドル50に向かって移動して、それにより、リンク65は、旋回軸67aおよび67bの周りで近位に回転され、これらの旋回軸は、順に、略近位方向で、旋回軸37および69の周りで、カム様リンク36を回転させる。カム様リンク36の移動により、以下でさらに詳細に説明するように、ドライブアセンブリ21の移動が起こる。さらに、旋回軸67aおよび67bの周りでリンク65が近位回転すると、また、リンク65の遠位末端63は、選択的に起動するために、引き金アセンブリ70を取り外し(すなわち、「アンロック」)する。この機構は、ナイフアセンブリ200の操作と共に、図21〜29を参照して、詳細に説明されている。
【0039】
さて、図12に目を向けると、この図は、シャフト12およびエンドエフェクタアセンブリ100の分解図を示している。上述のように、シャフト12は、それぞれ、遠位末端14および近位末端16を含む。遠位末端14は、二股に分かれているが、末端14aおよび14bを含み、これらは、一緒になって、エンドエフェクタアセンブリ100を受容する空洞18を規定する。近位末端16は、一対のノッチ17a(図29)および17b(図11)を含み、これらは、回転アセンブリ80の対応する戻り止め83aおよび83b(図13)を係合する寸法にされている。理解できるように、回転アセンブリ80の起動により、シャフト12が回転され、これは、順に、エンドエフェクタアセンブリ100を回転して、組織420を操作し握る。
【0040】
シャフト12はまた、一対の縦方向に配向したチャンネル19a(図15)および19b(図12)を含み、これらは、以下の図14〜17を参照してさらに詳細に説明するように、それぞれ、その中で各ジョー部材120および110と最終的に接続するために、それぞれ、電気外科ケーブル導線310aおよび310bを運ぶ寸法にされている。シャフト12はまた、一対の縦方向に配向されたスロット197aおよび197bを含み、これらは、それぞれ、末端14aおよび14bで配置されている。スロット197aおよび197bは、その中でカムピン170を縦方向に往復運動させるのに好ましい寸法にされ、これにより、図23および24を参照して以下で説明するように、対向ジョー部材110および120は、開放位置から閉鎖位置へと移動する。
【0041】
シャフト12はまた、一対のソケット169aおよび169bを備え、これらは、遠位末端14aおよび14bで配置され、対応する旋回ピン160を受容する寸法にされている。以下で説明するように、旋回ピン160は、ジョー110および120を、二股遠位末端14aおよび14bの間のシャフト12に固定し、そしてカムピン170の縦方向運動によってジョー部材110および120が旋回ピン160の周りで開放位置から閉鎖位置へと回転するように、ジョー部材110および120を取り付ける。
【0042】
シャフト12は、好ましくは、その中で、ナイフチューブ34を滑り受容する寸法にされ、これは、図29〜31に関連して以下で説明するように、ナイフチューブ34が縦方向に移動してナイフアセンブリ200を起動し組織420を分割するように、ナイフアセンブリ200と係合する。ナイフチューブ34は、リム35(これは、その近位末端で位置している)および一対の対向ノッチ230aおよび230b(図25および30)(これらは、その遠位末端229で位置している)を備える。図13で最もよく示されているように、リム35は、対応するスリーブ78と係合する寸法にされ、これは、スリーブ78の遠位移動によってナイフチューブ34が並進運動するように、引き金アセンブリ70の遠位末端に配置され、このナイフチューブは、順に、ナイフアセンブリ200を起動する。ナイフチューブ34の頂上には、シール193が取り付けられ、ナイフチューブ34とシャフト12との間で位置付けられ得る。シール193は、シャフト12内でのナイフチューブ34の往復運動をし易くするか、および/または鉗子のさらに敏感な他の内部動作部品が手術中に望ましくない流体で充満することか保護する寸法にされ得ると想定される。シール193はまた、手術中に鉗子10を通る気腹圧の漏れを抑制/調節するのに使用され得る。シール193は、好ましくは、一対の対向ブッシング195aおよび195bを含み、これらは、シャフト12内でのナイフチューブ34の一貫した正確な形往復運動を保証する(図15を参照)。
【0043】
ノッチ230aおよび230bは、好ましくは、ナイフアセンブリ200の対応する鍵様インターフェイス211を係合する寸法にされ、これは、一対の対向戻り止め212aおよび212b、および一対の対向ステップ214aおよび214bを備える。図25および30で最もよく図示されているように、各戻り止めおよびステップの配置(例えば、212aおよび214a)は、それぞれ、対応するノッチ(例えば、230a)を確実に係合し、その結果、ステップ214aの遠位末端は、ナイフチューブ34の遠位末端229と接する。このようにしてナイフチューブ34がナイフアセンブリ200に係合することで、組織420を通るナイフチューブ34の正確で一貫した遠位並進運動が保証されると想定される。
【0044】
本開示から理解できるように、ナイフチューブ34およびナイフアセンブリ200は、好ましくは、ドライブアセンブリ21の操作とは無関係に作動するように、組み立てられる。しかしながら、以下でさらに詳細に記述するように、ナイフアセンブリ200は、起動の目的のために、ドライブアセンブリ21に従属しており、すなわち、(ハンドルアセンブリ30およびその内部動作部品を経由して)ドライブアセンブリ21を起動/移動すると、組織を選択的に分離するために、ナイフアセンブリ200が「アンロック」される。本明細書中の目的のために、ドライブアセンブリ21は、ドライブロッド32および圧縮機構24の両方からなり、この圧縮機構は、多数の協同要素を含み、これらは、図13を参照して、以下で記述されている。このようにしてドライブアセンブリ21を配列すると、組立目的のために、圧縮機構24内でドライブロッド32を選択的に係合し易くできると想定される。
【0045】
図面では、現在開示した鉗子10の使い捨て版が描写されているものの、ハウジング20は、取り外し機構(図示せず)を備え得、それにより、使い捨ての目的のために、ドライブロッド32が選択的に交換可能となると考えられる。この様式では、この鉗子は、「部分的に使い捨て」または「リポーザブル」であると考えられ、すなわち、シャフト12、エンドエフェクタアセンブリ100およびナイフアセンブリ200は、使い捨て可能および/または交換可能であるのに対して、ハウジング20およびハンドルアセンブリ30は、再使用可能である。
【0046】
図16および17に最もよく図示されるように、ドライブロッド32は、その遠位末端で、一対の面取したまたは円味を付けた縁部31aおよび31bを含み、これらは、好ましくは、ナイフキャリアまたはガイド220(これは、ナイフアセンブリ200の一部をなす)を通るドライブロッド32の往復運動をし易くする寸法にされている。ドライブロッド32の遠位先端には、ピンスロット39が配置され、これは、ナイフチューブ34内でドライブロッド32が長手方向に往復運動するとカムピン170が並進運動して旋回ピン160の周りでジョー部材110および120を回転させるように、カムピン170を収容する寸法にされている。図23および24に関して以下でさらに詳細に説明するように、カムピン170は、それぞれ、ジョー部材110および120のスロット172および174内に乗り、それにより、ジョー部材110および120は、組織420の周りで、開放位置から閉鎖位置へと回転される。
【0047】
ドライブロッド32の近位末端は、タブ33を含み、これは、好ましくは、対応する圧縮スリーブ28(これは、圧縮機構24内に配置されている)を係合する寸法にされている。(図21〜24に関して以下で説明するように)、スリーブ28が近位に移動すると、ドライブロッド32が往復運動し(すなわち、引っ張られ)、これは、順に、ジョー部材110および120を開放位置から閉鎖位置へと旋回させる。ドライブロッド32はまた、ドーナツ形のスペーサまたはOリング95を含み、これは、内視鏡処置中にて、気腹圧(pneumo−peritoneal pressure)を維持する寸法にされている。Oリング95はまた、手術流体(これは、鉗子10の内部動作部品に有害であり得る)が充満するのを防止し得ると想定される。Oリング95はまた、ナイフチューブ34内でドライブロッド32を均一かつ正確に往復運動し易くするために、摩擦係数が低い材料から作製される。
【0048】
上述のように、ナイフアセンブリ200は、エンドエフェクタアセンブリ100の対向ジョー部材110および120の間で配置されている。好ましくは、ナイフアセンブリ200およびエンドエフェクタアセンブリ100は、別個に作動可能であり、すなわち、引き金アセンブリ70は、ナイフアセンブリ200を起動し、そして、ハンドルアセンブリ30は、エンドエフェクタアセンブリ100を起動する。ナイフアセンブリ200は、二股ナイフ棒またはロッド210を含み、これは、2本のフォーク210aおよび210bと、ナイフキャリアまたはガイド220とを有する。ナイフフォーク210aおよび210bは、上記の鍵様インターフェイス211(これは、それぞれ、ステップ214a、214bおよび戻り止め212a、212bから構成され、ナイフチューブ34(上記)を係合するために、その近位末端で配置されている)および共通遠位末端206(これは、その上で、組織420を切離するブレード205を運ぶ)を含む。好ましくは、各フォーク210aおよび210bは、それぞれ、テーパ213aおよび213bを含み、これらは、合流して、共通遠位末端206を形成する。テーパ213aおよび213bは、以下でさらに詳細に説明されるように、そして、図30で図示しているように、エンドエフェクタアセンブリ100を通ってナイフブレード205が往復運動し易くすると想定される。
【0049】
各フォーク210aおよび210bはまた、テーパ付きショルダー部221aおよび221bを含み、これらは、その外周に沿って配置され、この外周は、それぞれ、対応するスロット223aおよび223bと係合する寸法にされており、そしてナイフキャリアまたはガイド220に配置されている(図16を参照)。このショルダー部221a、221bとスロット223a、223bとの配置は、起動後、ブレード205の全体的な遠位移動を制限および/または調節するように設計され得ると想定される。各フォーク210aおよび210bはまた、それぞれ、アーチ形ノッチ215aおよび215bを含み、これらは、その内向き縁部に沿って配置され、この内向き縁部は、組立中にジョー部材110および120の間で配置されたローラーまたはブッシング216を挿入し易くする寸法にされている。
【0050】
上述のように、ナイフアセンブリ200はまた、ナイフキャリアまたはガイド220を含み、これは、その近位末端で、対向バネタブ222aおよび222bを含み、そして、その遠位末端で、それぞれ、上部および下部ナイフガイド224aおよび224bを含む。各バネタブ(例えば、222b)の向かい合った内面は、好ましくは、ドライブロッド32(図16)の対応する面取した縁部(例えば、31b)と噛み合って係合し、その向かい合った外面は、好ましくは、シャフト12の内周と摩擦嵌め係合する寸法にされている。図12で最もよく見えるように、ナイフキャリア220はまた、その間で規定されたドライブロッドチャンネル225を含み、これは、ジョー部材110および120の開放および閉鎖中にて、ドライブロッド32の往復運動が可能な寸法にされている。ナイフガイド220はまた、レスト226aおよび226bを含み、これらは、そこから側方に伸長して、閉鎖位置にあるときのジョー部材110および120の近位末端132、134と接する。
【0051】
ナイフガイド224aおよび224bは、好ましくは、それぞれ、そこに位置しているスロット223aおよび223bを含み、これらは、組織420を通ってナイフブレード205を一貫して正確に往復運動させるために、起動中に、そこに沿って、ナイフフォーク210aおよび210bを案内する。スロット223aおよび223bはまた、起動中のナイフアセンブリ200の望ましくない側方運動を制限すると想定される。好ましくは、ナイフキャリア220は、組み立てたとき、ショルダー部221aおよび221bを僅かに超える地点で位置付けられる。
【0052】
ナイフアセンブリ200はまた、ローラーまたはブッシング216を含み、これは、起動中に、フォーク210aおよび210bがローラーまたはブッシング216の上を滑って組織420を通るナイフアセンブリ200の容易で正確な往復運動を保証するように、各フォーク210aおよび210bの内部周端と噛み合う寸法にされる。ブッシング216はまた、対応ジョー部材110および120の間に据え付けられる寸法にされ、好ましくは、旋回ピン160により、その間で固定される。上述のように、アーチ形ノッチ215aおよび215bにより、組立中のブッシング216の挿入がし易くなる。
【0053】
エンドエフェクタアセンブリ100は、対向ジョー部材110および120を含み、これらは、シャフト12の二股末端14aおよび14bの間で規定された空洞18内で据え付けられる。ジョー部材110および120は、略対称であり、類似の部品機構を含み、これらは、協同して、旋回ピン160の周りで容易に回転でき、組織420の封着および分割を行う。結果として、他に述べられていなければ、ジョー部材110およびそれに結合した操作機構だけが、本明細書中で詳細に記述されているが、理解できるように、これらの機構の多くは、同様に、ジョー部材120に当てはまる。
【0054】
さらに特定すると、ジョー部材110は、旋回フランジ166を含み、これは、アーチ形内面167を有し、この内面は、上記のようにドライブロッド32を往復運動すると、ブッシング216および旋回ピン160の周りでジョー部材110を回転できる寸法にされる。旋回フランジ166はまた、カムスロット172を含み、これは、ドライブロッド32の長手方向運動によりカムピン170がカムスロット172に沿って乗るように、カムピン170に係合する寸法にされる。カムスロット172は、特定の目的に依存して、または特定の結果を得るために、異なる回転経路が可能な寸法にされ得ると想定される。例えば、共有に係る係属中の米国特許出願第09/177,950号(その内容は、本明細書中で参考として援用されている)は、2段カムスロット配置を記述しており、これは、理解できるように、これらのジョー部材に対して旋回点の周りで独特の回転経路を提供する。
【0055】
旋回フランジ166はまた、陥凹部165を含み、これは、好ましくは、ジョー部材110および120の間でブッシング216の1自由端を固定する寸法にされている。陥凹部165の内周は、好ましくは、ジョー部材110をシャフト12に固定するために、そこを通って旋回ピン160を受容する寸法にされている。ジョー部材120は、類似の陥凹部175(図14)を含み、これは、ブッシング216およびジョー部材120の対向末端をシャフト12に固定する。
【0056】
ジョー部材110はまた、ジョーハウジング116、絶縁基板または絶縁体114および導電面112を含む。ジョーハウジング116は、そこに規定された溝部(図示せず−ジョー部材120の溝部179を参照)を含み、これは、絶縁体114の外周に沿って配置されたリッジ様インターフェイス161を係合する寸法にされている。絶縁体114は、好ましくは、導電封着面112を確実に係合する寸法にされている。これは、打ち抜き加工により、オーバーモールディングにより、打ち抜き加工した導電封着プレートをオーバーモールディングすることにより、および/または金属射出成形したシールプレートをオーバーモールディングすることにより、達成され得る。これらの製造技術の全てにより、導電面112(これは、絶縁基板114により、実質的に取り囲まれている)を有する電極が製造される。絶縁体114、導電封着面112および外部非導電ジョーハウジング116は、好ましくは、組織封着に関係する公知の望ましくない効果(例えば、フラッシュオーバー、熱の拡散および迷走電流の散逸)を制限するおよび/または少なくする寸法にされている。
【0057】
好ましくは、導電封着面112はまた、ピンチトリム119(図25)を含み得、これは、導電面112が絶縁基板114へと確実に係合するのを容易にし、また、全体的な製造プロセスを簡単にする。導電封着面112はまた、外部周端(これは、半径を有する)を含み得、そして、絶縁体114は、隣接縁部(これは、一般に、この半径と接線方向であるか、および/または半径に沿って合流する)に沿って、導電封着面112と合流すると想定される。好ましくは、そのインターフェイスでは、導電面112は、絶縁体114に対して一段高くされる。これらの実施形態および他の想定される実施形態は、本願と同時に出願され共有に係る係属中の出願番号第[203−2898]号(これは、「ELECTROSURGICAL INSTRUMENT WHICH REDUCES COLLATERAL DAMAGE TO ADJACENT TISSUE」の表題であり、Johnsonらによる)および本願と同時に出願され共有に係る係属中の出願番号第[203−2657]号(これは、「ELECTROSURGICAL INSTRUMENT WHICH IS DESIGNED TO REDUCE THE INCIDENCE OF FLASHOVER」の表題であり、Johnsonらによる)で論述されている。これらの両方の出願の全内容は、本明細書によって、本明細書中において、参考として援用される。
【0058】
絶縁体114はまた、内向きフィンガー162を含み、これは、旋回フランジ166と接し、そして近位組織拡散を制限/低下するかおよび/または起動中に残りのエンドエフェクタアセンブリ100から導電封着面112を単離するように設計されている。好ましくは、導電面112および絶縁体114は、組み立てると、長手方向に配向したチャンネル168a、168bを形成し、これらは、そこを通って、ナイフブレード205が往復運動するように規定される。さらに特定すると、図14で最もよく図示されているように、絶縁体114は、第一チャンネル168bを含み、これは、導電封着面112上の第二チャンネル168aと整列して、完全ナイフチャンネルを形成する。ナイフチャンネル168a、168bは、好ましい切断面「B−B」に沿ったナイフブレード205の長手方向往復運動をし易くして、形成された組織シール425に沿って、組織420を効果的かつ正確に引き離す(図27、28および31を参照のこと)。
【0059】
上述のように、ジョー部材120は、類似の要素を含み、これには、以下が挙げられる:旋回フランジ176であって、これは、アーチ形内面177、カムスロット174および陥凹部175を有する;ジョーハウジング126であって、これは、溝部179を含み、この溝部は、絶縁体124の外周に沿って配置されたリッジ様インターフェイス171を係合する寸法にされている;絶縁体124であって、これは、内向きフィンガー172を含み、このフィンガーは、旋回フランジ176と接している;および導電封着面122であって、これは、絶縁体124を確実に係合する寸法にされている。同様に、導電面122および絶縁体124は、組み立てたとき、長手方向に配向されたチャンネル178a、178bを形成し、これらは、ナイフブレード205を往復運動するために、そこを通って規定されている。
【0060】
好ましくは、ジョー部材110および120は、電気外科エネルギーが組織420を通って効果的に移動してシール425を形成できるように、互いから電気的に分離されている。例えば、図14および15で最もよく図示されているように、各ジョー部材(例えば、110)は、そこを通って配置された独特の設計の電気外科ケーブル経路を含み、これは、電気外科エネルギーを導電封着面112、122に伝達する。さらに特定すると、ジョー部材110は、旋回フランジ166の頂上に配置されたケーブルガイド181aを含み、これは、ケーブル導線310aをアパーチャ188の方へと向け、このアパーチャは、ジョーハウジング116を通って配置されている。アパーチャ188は、順に、絶縁体114内に配置されたウィンドウ182を通って、導電封着面112の方へと、ケーブル導線310aを向ける。第二ケーブルガイド181bは、ウィンドウ182を通って、予め規定したケーブル経路に沿って、ケーブル導線310aを固定し、そしてケーブル導線310aの終端310a’を、クリンプ様電気コネクタ183(これは、導電封着面112の反対側に配置された)に向ける。好ましくは、ケーブル導線310aは、そのケーブル経路に沿って、ゆるいが確実に保持されて、ジョー部材110が旋回軸169の周りで回転できるようにする。
【0061】
理解できるように、これは、エンドエフェクタアセンブリ100およびジャフと12の残りの作動部品から導電封着面112を切り離す。ジョー部材120は、その中およびそこを通って配置された類似のケーブル経路を含み、これは、同様の寸法のケーブルガイド、アパーチャおよび電気コネクタ(これらは、添付の図面で図示されていない)を含む。
【0062】
図15〜17はまた、シャフト12の外周に沿って、そして各ジョー部材110および120を通って、現在開示した給送経路(これは、両方の電気外科ケーブル導線310aおよび310b用である)を示す。さらに特定すると、図15は、電気外科ケーブル導線310aおよび310b(これらは、それぞれ、シャフト12に沿って、チャンネル19aおよび19b内で配置されている)の断面を示す。図16および17は、シャフト12の対向チャンネル19aおよび19bから、それぞれ、ジョー部材110および120の旋回フランジ166および176を通るケーブル導線310aおよび310bの給送経路を示す。シャフト12からジョー部材110および120までのケーブル導線310aおよび310b用のこの独特のケーブル給送経路は、各ジョー部材100および120を電気的に切り離すだけでなく、ジョー部材110および120が、ケーブル導線310aおよび310bが張りつめたりもつれることなく、旋回ピン160の周りで旋回できるようにすると考えられている。さらに、クリンプ様電気コネクタ183(およびジョー部材120の対応するコネクタ)は、その製造および組立プロセスを著しく容易にし、組織420を通るエネルギーの移動に対して、一貫した密な電気接続を保証すると想定されている。図17で最もよく示されているように、シャフト12の外面は、熱収縮配管500などで覆われ得、これは、ケーブル導線310aおよび310bを過度の摩耗および引き裂きから保護し、そしてケーブル導線310aおよび310bをそれらの各チャンネル19aおよび19b内で確保する。
【0063】
図18Aおよび18Bは、回転アセンブリ80を通るケーブル導線310aおよび310bの給送経路を示しており、これにより、再度、ユーザーは、その給送経路が独特であることから、鉗子10の使用中にて、さらに融通が利くようになる。さらに特定すると、図18Aは、回転アセンブリ80の半分80aを通るケーブル導線310aの給送経路を示し、そして、図18Bは、ケーブル導線310aおよび310bが器具ハウジング20aを通り、回転アセンブリ80の半分80aを通り、シャフト12のチャンネル19aおよび19bに至るときのケーブル導線310aおよび310bの経路を示す。図18Aは、回転アセンブリ80の半分80aを通るケーブル導線310aの給送経路を示しているにすぎないが、しかしながら、理解できるように、ケーブル導線310b(図19で切断して示されている)は、同じ様式で、回転アセンブリ80の半分80b内に位置付けられている。
【0064】
図18Aで最もよく図示されているように、ケーブル導線310aおよび310bを過度にもつれまたはねじれさせることなく、時計方向または反時計方向で、(回転アセンブリ80の回転によって)シャフト12を回転させるような様式で、回転アセンブリ80の各半分80aおよび80bを通って、ケーブル導線310aおよび310bが給送されると想定される。さらに特定すると、各ケーブル導線(例えば、310a)は、回転アセンブリ80の各半分80aを通って巻き付けられて、スラック−ループ321aおよび321bを形成し、これらは、長手軸「A」のいずれかの側を横断する。スラック−ループ321aは、軸「A」の一方の側を横切ってケーブル導線310aを向け直し、そして、スラックループ321bは、軸「A」を横切って、ケーブル導線310aを戻す。この様式で回転アセンブリ80を通ってケーブル導線310aおよび310bを給送すると、ユーザーは、ケーブル導線310aおよび310bの過度のもつれまたはねじれ(これは、効果的な封着には有害であり得る)なしに、シャフト12およびエンドエフェクタアセンブリ100を回転できるようになると想定される。好ましくは、このループ様ケーブル給送経路により、ユーザーは、ケーブル導線310aおよび310bを引っ張ることなく、いずれかの方向で、約180度で、エンドエフェクタアセンブリ100を回転できるようになる。現在開示したケーブル導線給送経路は、ケーブル導線310aおよび310bを、いずれかの方向で、約178度回転すると想定される。
【0065】
図19は、その内部の特徴を強調するために、軸「A」に沿って見たときの回転アセンブリ80の半分80aの内部図を示す。より詳細には、好ましくは、少なくとも1個のストップ88が、各回転半分80aおよび80b内に配置され、これは、いずれかの方向での回転アセンブリ80の全体的な回転運動を約180度までに制御するように作動する。ストップ部材88は、ケーブル導線310aおよび310bの一方または両方を過度に張りつめ得る回転アセンブリ80の予定外の過剰回転を防止するために、外部フランジ309の周囲に沿って配置された対応するノッチ309cと連動する大きさである。
【0066】
図18Bは、ハウジング20aから回転アセンブリ80を通ってシャフト12に至る電気ケーブル導線310aおよび310bの給送経路を示す。ケーブル導線310aおよび310bは、鉗子10の各部分を通って、一連のケーブルガイド部材311a〜311g(これらは、ハウジング20および回転アセンブリ80を通る種々の位置に配置されている)を経由して向けられると想定される。以下で説明するように、一連の機械インターフェイス(例えば、309a、309b(図13)および323a、323b(図13))もまた、ハウジング20および回転アセンブリ80を通ってケーブル310aおよび310bを誘導する際に寄与する大きさであり得る。
【0067】
ハウジング20、回転アセンブリ80、引き金アセンブリ70およびハンドルアセンブリ30の分解図を示す図13に戻ると、これらの種々の部品の全ては、シャフト12およびエンドエフェクタアセンブリ100と共に、その製造プロセス中に組み立てられて、部分的および/または完全に使い捨て可能な鉗子10を形成すると想定される。例えば、上述のように、シャフト12および/またはエンドエフェクタアセンブリ100は、使い捨て可能であり得、従って、ハウジング20および回転アセンブリ80と選択的/解除可能に係合可能であり、部分的に使い捨て可能な鉗子10を形成するか、および/または鉗子10全体が、使用後に使い捨て可能であり得る。
【0068】
ハウジング20は、好ましくは、2個のハウジング半分20aおよび20bから形成され、これらは、それぞれ、一連の機械インターフェイス307a、307b、307cおよび308a、308b、308cを経由して互いに係合し、鉗子10の内部作動部品(これらは、本明細書中で記述されている)を収容する内部空洞300を形成する。本明細書中の目的のために、ハウジング半分20aおよび20bは、ほぼ対称であり、他に述べられていなければ、ハウジング半分20aに関して記述された部品は、ハウジング半分20bの一部をなす類似の部品を有する。
【0069】
ハウジング半分20aは、それぞれ、近位末端301aおよび遠位末端303aを含む。近位末端301aは、好ましくは、電気スリーブ99(これは、電気外科ケーブル310(図1)をハウジング20内で確保する)を受容する大きさである。図9および21で最もよく示されているように、対になったケーブル310は、2つの電気外科ケーブル導線310aおよび310bに分割され、これらは、引き続いて、ハウジング20を通って給送され、最終的に、対向ジョー部材110および120に異なる電位を伝達する。上述のように、シャフト12の外周に沿って配置されたチャンネル19aおよび19bにケーブル導線310aおよび310bを向けるために、ハウジング20および回転アセンブリ80の全体にわたって、種々のケーブルガイド311a〜311gが配置されている。
【0070】
遠位末端303aは、組み立てたときに遠位末端303aおよび303bがカラー303(図13)(これは、ハウジング20から遠位に伸長している)を形成するように、ほぼアーチ形状である。カラー303の各遠位末端303a、303bは、外部フランジ309a、309bおよび陥凹部323a、323bを含み、これらは、協同して、それぞれ、対応する機械ショルダー84a、84b(図29)およびフランジ87a、87b(これらは、回転アセンブリ80内に配置されている)を係合する。理解できるように、フランジ309a、309bとショルダー84a、84bとの連動係合、および陥凹部323a、323bとフランジ87a、87bとの連動係合は、組み立てたときにカラー303の周りで回転アセンブリ80の周りが自由に回転することを可能にする寸法である。上述のように、ケーブル導線310aおよび310bが張りつめるのを避けるために、ストップ部材88およびノッチは、機械的に連動して、回転アセンブリ80の回転運動を制限する。
【0071】
カラー303の各遠位末端303a、303bはまた、それぞれ、その中で規定された内部空洞317aおよび317b(図9および21)を含み、これは、その中に収容されたシャフト12、ナイフチューブ34ならびにケーブル導線310aおよび310bの自由な回転運動を許容する寸法である。複数の戻り止め89a(これらは、回転アセンブリ80内に配置されている)は、対応する複数のソケット89b(図13)(これらは、回転半分80b内に配置されている)と係合して、回転アセンブリ80をカラー303の頂上にて回転関係で構える。
【0072】
ハウジング半分20aはまた、複数のハブ様旋回マウント329a、331aおよび333aを含み、これらは、以下でさらに詳細に説明するように、この器具の操作に関して、ハウジング半分20b上に配置されている対向ハブ様旋回マウント(これは、図13で幻影で示されている)と協同して、それぞれ、旋回ピン37、67bおよび77(これらは、下記の異なる作動部品と結合されている)の自由端を係合する。好ましくは、これらのマウント329a、331aおよび333aの各々は、各旋回要素(すなわち、それぞれ、カムリンク36、ハンドルリンク65および引き金アセンブリ70)の回転の定点を提供する。
【0073】
図11および13で最もよく見えるように、固定ハンドル50(これは、ハウジング20を組み立てると、形作られる)は、ホタテ貝様外面51およびその中に規定される内部空洞52を含む。図11の議論に関して上述のように、固定ハンドル50のこれらの要素および他の内部要素は、可動ハンドル40と協同して、4本棒機械リンク装置を起動し、これは、順に、対向ジョー部材110および120を互いに対して移動してその間で組織420を握るように、ドライブアセンブリ21を起動する。
【0074】
ハンドルアセンブリ30(これは、上記固定ハンドル50および可動ハンドル40を含む)はまた、カムリンク36を含み、これは、ほぼ三角形である。このカムリンクは、上部ピストン38、固定旋回軸37およびハンドル旋回軸69を含む。カムリンクは、ハウジング半分20aおよび20bの間で、ハウジング20の内部空洞300内に組み立てられる。より詳細には、固定旋回軸37は、対向ハウジング半分20aおよび20bの間で、固定マウント329aおよび329b内に、回転して取り付けられ、そして、ハンドル旋回軸69は、アパーチャ68aおよび68bを通って、ハンドル40の二股末端内に、回転して取り付けられる。カムピストン38は、ハンドル40の移動によりピストン38がコイルバネ22に対して近位に回転するように、圧縮タブ25と接した関係で、ドライブアセンブリ70(これは、ドライブアセンブリ70の議論に関して、以下でさらに詳細に説明する)を通って規定された縦チャンネル25c内で構えられる。その操作機構に関係するこれらの詳細および他の詳細は、図21〜29を参照して、以下で議論される。
【0075】
リンク65はまた、ハンドルアセンブリ30と結合して、4本棒機械リンク装置の一体化部分を形成する。リンク65は、遠位末端63ならびに2本の旋回ピン67aおよび67bを含む。固定ハンドル50に向かってハンドル40を移動すると旋回点67aおよび67bの周りでリンク65が旋回するように、旋回ピン67aは、可動ハンドル40内に配置されたアパーチャ68aおよび68bを係合し、そして、旋回点67bは、ハウジング半分20aおよび20bの間で、固定マウント331aおよび331bを係合する。以下でさらに詳細に説明するように、遠位末端63は、引き金アセンブリ70用のロックアウトとして作用する。
【0076】
可動ハンドル40は、フランジ92を含み、これは、好ましくは、ピン46aおよび46bにより、可動ハンドル40に取り付けられるが、これらのピンは、それぞれ、ハンドル40内に配置されたアパーチャ41aおよび41bと、フランジ92内に配置されたアパーチャ91aおよび91bとを係合する。他の係合方法(スナップロック、スプリングタブなど)もまた、考慮される。フランジ92はまた、t形遠位末端93を含み、これは、図11に関して上述のように、固定ハンドル50内に配置された前規定チャンネル54内に乗る。t形末端93に関するさらなる特徴は、鉗子10の操作機構の詳細な議論において、以下で説明する。
【0077】
ドライブアセンブリ21は、好ましくは、ハウジング半分20aおよび20bの間で、ハウジング20内に配置される。上述のように、ドライブアセンブリ21は、先に記述したドライブロッド32および圧縮機構24を含む。圧縮機構24は、圧縮スリーブ27を含み、これは、バネマウント26内に、はめ込み式および/または滑動式に配置される。圧縮スリーブ27の遠位末端28は、圧縮スリーブ27の縦運動によってドライブロッド32が起動されるように、好ましくは、C形であり、ドライブロッド32の近位末端に配置されたタブ33を係合する寸法である。圧縮スリーブ27の近位末端は、バーベル形圧縮タブ25を係合する寸法であり、これは、バネマウント26の縦スロット25s内に配置される。圧縮スリーブ27はまた、縦スロットまたはチャンネル25cを含み、これは、スロット25sと縦方向に整列され、そして上記カムリンク36のカムピストン38を受容する寸法である。
【0078】
バネマウント26の近位末端は、円形フランジ23を含み、これは、一旦、圧縮機構24を組み立ててハウジング20(図11)内に据え付けられると、圧縮バネ22を曲げる寸法にされる。バネマウント26の遠位末端は、フランジ25fを含み、これは、バネマウント26のスロット25s内へのタブ25の遠位移動を制限し、そしてバネ22の対向末端を曲げる。
【0079】
図11で最もよく見えるように、一旦、組み立てると、バネ22は、ハンドルアセンブリ30を起動すると、バネマウント26の頂上に圧縮するように構えられる。より詳細には、(ハンドルアセンブリ30の移動によって)スロット25c内でカムピストン38を移動すると、スロット25sの頂上でタブ25が移動し、圧縮スリーブ27がバネマウント26内で往復運動して、バネ22を圧縮する。圧縮スリーブ27を近位に移動すると、ドライブロッド32が近位に移動され、組織420の周りで、ジョー部材110および120を閉じる(図26)。バネ22の圧縮は、ハウジング半分(例えば、20b)内に配置された1個以上のウィンドウ340を通して見られ得る。
【0080】
図13はまた、図12に関する上記のように、ナイフアセンブリ200を起動する引き金アセンブリ70を示す。より詳細には、引き金アセンブリ70は、袖口様遠位末端78を有するアクチュエータ73を含み、この遠位末端は、ナイフチューブ34の近位リム35を受容する寸法である。ドライブピン74は、アクチュエータ73の近位末端から側方に伸長する。引き金アセンブリ70はまた、人間工学に基づいて機能強化したフィンガータブ72を含み、これは、対向ウイング様フランジ72aおよび72bを有し、これらのフランジは、手術中にて、この引き金アセンブリの握りおよび発射を容易にすると想定される。
【0081】
図11で最もよく示されているように、圧縮スリーブ27は、鉗子10を組み立てたとき、アクチュエータ73内部で滑る寸法である。同様に、アクチュエータ73は、起動したとき、図12に関して上記のように、ナイフアセンブリ200を起動するために、圧縮スリーブ27の外周に沿って、遠位に滑り得る。ドライブピン74は、フィンガータブ72の二股テイル部内に配置された一対のガイドレール71aおよび71b(これは、それぞれ、末端76aおよび76bを含む)に沿って乗る寸法である。
【0082】
ヒンジまたは旋回ピン77は、マウント333aおよび333b内にて、ハウジング半分20aおよび20の間で、フィンガータブ72を取り付ける。アクチュエータ73およびナイフチューブ34の漸進的かつ一貫した縦方向往復運動を促進して、組織シール425(図27および28)に沿った信頼できる分離を保証するために、ねじれバネ75もまた、引き金アセンブリ70内に組み込まれ得る。言い換えれば、引き金アセンブリ70は、起動前、近位「プレロード」形状で構成される。これにより、ナイフアセンブリ200の正確かつ意図した往復運動を保証する。さらに、ねじれバネ75の「プレロード」形状は、ナイフアセンブリ200の自動的な反跳として作用し、必要に応じて、組織を通る繰り返し往復運動を可能にすると想定される。上述のように、フィンガータブ72の握りを強化するために、フィンガータブ72とウイングフランジ72aおよび72bとの頂上には、好ましくは、複数の握り要素71が組み込まれる。
【0083】
好ましくは、引き金アセンブリ70は、初期には、リンク65の遠位末端63(これは、ハンドルアセンブリ30の起動前、フィンガータブ72と接して、引き金アセンブリ70を「ロック」する)の独特の構造が原因で、発射を妨がれる。さらに、対向ジョー部材110および120は、引き金アセンブリ70をアンロックすることなく、回転され、部分的に開閉され得るが、これにより、理解できるように、ユーザーは、ナイフアセンブリ200の早すぎる起動なしに、組織420を握って操縦できるようになると想定される。下記のように、フランジ92のt形末端93がチャンネル54内で完全に往復運動されて予め規定したキャッチベースン62(以下で説明)内に据え付けられたときにのみ、リンク65の遠位末端63は、引き金アセンブリ70を起動させる位置へと移動する。
【0084】
鉗子10の内部作動部品の操作機構および相対運動は、図21〜29にて、幻影図および方向矢印で示されており、最もよく説明されている。上述のように、鉗子10を組み立てたとき、固定ハンドル50の空洞52内では、予め規定したチャンネル54が形成される。チャンネル54は、フランジ92およびその中のt形末端93を往復運動させるために、入口通路53および出口通路58を含む。一旦、組み立てられると、2個のほぼ三角形の部材57aおよび57bは、互いに対して密接して配置され、その間に配置されたトラック59を規定する。
【0085】
より詳細には、図21および22は、固定ハンドル50の方へのハンドル40の初期起動を示し、それにより、フランジ92の自由端93は、入口通路53に沿って、ほぼ近位で上方に移動される。入口通路および出口通路(それぞれ、53および58)に沿ったフランジ92の移動中にて、t形末端93は、2個の三角形部材57aおよび57bの間で、トラック59に沿って、乗る。
【0086】
ハンドル40が握られ、フランジ92が固定ハンドル50のチャンネル54に組み込まれるにつれて、カムリンク36は、4本棒機械リンク装置の機械的な利点によって、カムピストン38がタブ25(これは、このバネマウントのフランジ23に対して、バネ22を圧縮する)を偏向させるように、旋回軸37および69の周りで、ほぼ近位で、回転される(図23)。同時に、ドライブロッド32は、圧縮スリーブ27によって近位に引っ張られ、これにより、順に、カムピン170は、カムスロット172および174内を近位に移動され、ジョー部材110および120を互いに対して近づける(図24)。チャンネル197は、エンドエフェクタアセンブリ100の種々の作動部品の製造公差に関して、任意の寸法上の不一致を考慮する必要があるよりも僅かに大きい寸法にされ得ると想定される(図24)。
【0087】
4本棒機械リンク装置を利用すると、ユーザーは、コイルバネ22を特定の距離だけ選択的に圧縮することが可能となり、これは、順に、ドライブロット32に対して、特定の負荷を与えると想定される。ドライブロッド32の負荷は、カムピン170により、ジョー旋回軸160の周りのトルクに変換される。結果として、対向ジョー部材110および120には、特定の閉鎖圧力が伝達され得る。ハウジング20に配置されたウィンドウ340は、目盛り、視覚的目印または他の刻印を含み得、これらにより、ハンドルアセンブリ30の圧縮中にて、ユーザーは、フィードバックが得られることもまた、想定される。理解できるように、ユーザーは、それゆえ、特定の目的を果たすか特定の結果を達成するために組織420に加えられる進行的な閉鎖力を選択的に調節し得る。例えば、ユーザーは、フランジ93をキャッチベースン62でロックすることなく、組織の周りで、ジョー部材110および120を徐々に開閉し得ると想定される。ウィンドウ340は、特定の視覚的指示器を含み得、これは、キャッチベースン62内で係合する前のフランジ93の最近位位置と関係している。
【0088】
上述のように、ジョー部材110および120は、引き金アセンブリ70をアンロックすることなく封着が望ましくなるまで、組織420を操作するために、開閉され回転され得る。これにより、ユーザーは、起動および封着前に、鉗子10を配置および再配置できるようになる。より詳細には、図4で図示しているように、エンドエフェクタアセンブリ100は、回転アセンブリ80を回転することによって、縦軸「A」の周りで回転可能である。上述のように、ケーブル導線310aおよび310bが、回転アセンブリ80を通り、シャフト12に沿って、最終的に、ジョー部材110および120を通る独特の給送経路により、ユーザーは、ケーブル導線310aおよび310bのもつれや過度の張りつめを引き起こすことなく、時計方向および反時計方向の両方で、エンドエフェクタアセンブリ100を約180度回転できるようになると想定される。理解できるように、これにより、組織420の握りおよび操作が容易になる。
【0089】
好ましくは、組織の封着および切断中にて、組織の握りおよび操作をしやすくし、かつ対向ジョー部材110と120との間で間隙「G」(図24)を規定するために、導電性封着面112および122の向かい合っている内面で一連のストップ部材150a〜150cが使用される。これらのおよび他の想定ストップ部材150a〜150c、ならびにストップ部材150a〜150cを導電性封着面112、122に装着および/または固着するための種々の製造方法および組立方法の詳細な論述は、本願出願人に譲渡された同時係属中の米国特許出願第 号(これは、「VESSEL SEALER AND DIVIDER WITH NON−CONDUCTIVE STOP MEMBERS」の表題であり、Dycusらにより、その全体が、本明細書中で参考として援用されている)に記載されている。
【0090】
一旦、封着部位425の所望位置が決定され、ジョー部材110および120が正しく位置付けられると、ハンドル40は、フランジ92のt形末端93が予め規定したレール縁部61(これは、三角形部材57aおよび57bの頂上に位置している)を通り抜けるように、完全に圧縮され得る。一旦、末端93が縁部61を通り過ぎると、ハンドル40およびフランジ92の遠位移動(すなわち、解除)は、縁部61により、出口通路58内に位置しているキャッチベースン62に再び向けられる。さらに特定すると、ハンドル50に対するハンドル40の閉鎖圧力を僅かに低下させると、ハンドル40は、入口通路53の方へと僅かに遠位に戻るが、出口通路58の方へと再び向けられる。この時点で、ハンドル40と50との間の解除圧力または戻り圧力(これは、ドライブアセンブリ70の圧縮に関連した解除圧力に帰因しており、それと直接的に比例している)により、フランジ92の末端93は、キャッチベースン62内に据えられるかまたはロックされる。ここで、ハンドル40は、固定ハンドル50内の所定位置に固定され、これは、次いで、組織420に対して閉鎖位置で、ジョー部材110および120をロックする。
【0091】
この時点で、ジョー部材100および120は、組織420の周りで完全に圧縮される(図26)。さらに、鉗子10は、電気外科エネルギーの選択的適用、続いて組織420を分離する準備が出来ている。すなわち、t形末端93は、キャッチベースン62内に据え付けられ、リンク65は、引き金アセンブリ70の起動を可能にする位置へと移動される(図21および29)。
【0092】
フランジ92のt形末端93がキャッチベースン62内に据え付けられるにつれて、ドライブロッド32にかかる比例的な軸方向力が維持され、これは、次いで、組織420に対する対向ジョー部材110と120との間の圧縮力を維持する。エンドエフェクタアセンブリ100および/またはジョー部材110および120は、エンドエフェクタ100の特定の内部作動要素の機械的な故障を防止するために、過度のクランプ力の一部を取り除くように寸法決めされ得ると想定される。
【0093】
理解できるように、圧縮バネ22に付随した圧縮力と共に4本棒機械の利点を組み合わせると、組織420の周りでの一貫した均一かつ確実な閉鎖圧力を容易にしかつ保証する。
【0094】
組織420に適用される電気外科エネルギーの強度、頻度および持続時間を制御することにより、ユーザーは、出血を焼灼、凝固/乾燥、封着および/または単に低減もしくは遅延できる。上述のように、得られる封着組織の厚さおよびシール425の有効性を決定する際には、以下の2つの機械的な要因が重要な役割を果たす:すなわち、対向ジョー部材110と120との間に加えられる圧力、封着プロセス中におけるジョー部材110および120の対向封着面112、122の間の間隙距離「G」。しかしながら、得られる組織シール425の厚さは、力だけでは十分に制御できない。言い換えれば、力が大きすぎると、2本のジョー部材110および120は、接触してショートする可能性があり、結果として、組織420を通るエネルギー移動が殆んどなくなり、それにより、不良な組織シール425が得られる。力が小さすぎると、シール425は、厚すぎるようになる。
【0095】
正しい力を加えることもまた、以下の他の理由のために、重要である:血管の壁を向かい合わせにするため;組織のインピーダンスを、十分な電流が組織420を通ることができる十分に低い値に低下させるため;および必要な末端組織厚さ(これは、良好なシール425の指標である)の作製に寄与することに加えて、組織の加熱中の膨張力を克服するため。
【0096】
好ましくは、それぞれ、ジョー部材110、120の導電封着面112、122は、鋭い縁部での電流の集中を避け、かつ高い点の間でのアーク放電を避けるために、比較的に平坦である。さらに、かつ係合した際の組織420の反力に起因して、ジョー部材110および120は、好ましくは、曲げに抵抗するように製造される。例えば、ジョー部材110および120は、その幅に沿ってテーパを付けられ得、これは、以下の2つの理由のために、有利である:1)このテーパは、一定組織厚に対して、平行で、定圧を加える;2)ジョー部材110および120の近位部分が厚いと、組織420の反力に起因して曲げに抵抗できる。
【0097】
上述のように、少なくとも1本のジョー部材(例えば、110)は、ストップ部材(例えば、150a)を備え得、これは、2本の対向ジョー部材110および120の互いに対する移動を制限する(図6および7)。好ましくは、このストップ部材(例えば、150a)は、特定の材料特性(例えば、圧縮強度、熱膨張など)に従って、封着面112、122から所定距離だけ延び、封着中にて、一貫した正確な間隙距離「G」を生じる(図24)。好ましくは、封着中の対向封着面112と122との間の間隙距離は、約0.001インチ〜約0.005インチの範囲であり、さらに好ましくは、約0.002インチと約0.003インチの間である。
【0098】
好ましくは、ストップ部材150a〜150cは、絶縁材料(例えば、パリレン、ナイロンおよび/またはセラミック)から作製され、そしてジョー部材110および120の対向運動を上記間隙範囲内に制限するように寸法決めされている。ストップ部材150a〜150cは、特定の目的に依存して、または特定の結果を達成するために、ジョー部材110および120の一方または両方で配置され得ると想定される。ストップ部材150a〜150cの多くの異なる構成は、本願出願人に譲渡された同時係属中の米国特許出願第 号(これは、「VESSEL SEALER AND DIVIDER WITH NON−CONDUCTIVE STOP MEMBERS」の表題であり、Dycusらにより、その全体が、本明細書中で参考として援用されている)で詳細に論述されている。
【0099】
好ましくは、非導電性ストップ部材150a〜150cは、ジョー部材110および120上に成形され(例えば、オーバーモールディング、射出成形など)、ジョー部材110および120上に打ち抜き加工されるか、ジョー部材110および120上に堆積される(例えば、蒸着)。例えば、1つの技術には、ジョー部材110および120の表面上にセラミック材料を溶射して、ストップ部材150a〜150cを形成することを含む。いくつかの溶射技術が企図され、これは、導電面112、122の間の間隙距離を制御するために、種々の表面に広範囲の耐熱材料および絶縁材料を堆積させてストップ部材を作製することを含む。導電面112および122上にストップ部材150a〜150cを堆積する他の技術もまた企図される(例えば、スライドオン、スナップオン、接着剤、鋳物など)。
【0100】
さらに、ストップ部材150a〜150cは、ジョー部材110および120の向かい合った内面112、122から約0.001インチ〜約0.005インチ、好ましくは、約0.002インチ〜約0.003インチだけ突出するのが好ましいが、ある場合には、特定の目的に依存して、ストップ部材150a〜150cを多少突出させるのが好ましくあり得る。例えば、ストップ部材150a〜150cに使用する材料の型ならびにその材料がジョー部材110と120との間で大きい圧縮閉鎖力を吸収する性能は、変わり、従って、ストップ部材150a〜150cの全体的な寸法も同様に、所望の間隙距離「G」を生じるように、変わり得ると企図される。
【0101】
言い換えれば、有効な封着に必要な(望ましい)所望のまたは最終的な間隙距離「G」と共に、その材料の圧縮強度は、ストップ部材150a〜150cを形成する際に慎重に考慮されるパラメータであり、1つの材料は、同じ間隙距離または所望の結果を達成するために、別の材料とは寸法が異なり得る。例えば、ナイロンの圧縮強度は、セラミックとは異なり、従って、ナイロン材料は、対向ジョー部材110および120の閉鎖力を相殺し、かつセラミックストップ部材を利用するときと同じ所望の間隙距離「G」を得るために、寸法(例えば、厚さ)が異なり得る。
【0102】
図27および28で最もよく示されているように、ジョー部材110および120を横切りそして組織420を通って、エンドエフェクタアセンブリ100に選択的にエネルギーを移動するにつれて、組織シール425が形成され、これは、2つの組織半分420aおよび420bに切り離す。この時点で、他の公知の血管封着器具を使って、ユーザーは、組織シール425に沿って、組織半分420aおよび420bを分割するために、切断器具(図示せず)で、鉗子10を除去し交換しなければならない。理解できるように、このことは、時間がかかり、かつ面倒であり、理想的な組織切断面「B−B」に沿って、この切断器具の誤整列または置き違いに起因して、組織シール425を横切る不正確な組織分割が起こり得る。
【0103】
上で詳細に説明したように、本開示は、ナイフアセンブリ200を組み込み、これは、引き金アセンブリ70によって起動される際、正確かつ精密な様式で、理想的な組織面「B−B」に沿って、進行的かつ選択的に組織420を分割して、その間の組織間隙430と共に、効果的かつ確実に、組織420を2個の封着半分420aおよび420bに分割する(図31)。往復運動しているナイフアセンブリ200により、ユーザーは、カニューレまたは外套針ポート410によって切断器具を置き換えることなく、封着直後に、組織420を迅速に分離できるようになる。理解できるように、組織420の正確な封着および分割は、同じ鉗子を用いて達成される。組織シール425に沿った組織420の分離を容易にするために、ナイフブレード205はまた、同じかまたは代替の電気外科エネルギー源に連結され得ると想定される(図示せず)。
【0104】
さらに、ナイフブレード205のブレード先端207の角度は、特定の目的に依存して、多少は攻撃的な切断角度を与えるように寸法決めされ得ると想定される。例えば、ブレード先端207は、切断に付随した「組織小束」を少なくする角度で位置付けられ得る。さらに、ブレード先端207は、特定の目的に依存して、または特定の結果を得るために、異なるブレード形状(例えば、鋸歯状、ノッチ付き、穿孔付き、中空、凹面、凸面など)を有するように設計され得る。
【0105】
ブレード先端207は、比較的に鋭い前縁部を有すると想定されるが、ブレード先端207は、実質的に鈍端(blunt)または鈍端(dull)であり得ることもまた想定される。さらに特定すると、ジョー部材110と120との間の閉鎖力の組合せは、独特に設計されたストップ部材150a〜150cと一緒に、ジョー部材110と120との間で組織をしっかりと握把および保持して、たとえ先端207が実質的に鈍くても、ブレード先端207により、組織の切断が可能となる。理解できるように、ブレード先端207を鈍く設計すると、手術野に鋭利な物体を使用することに関係した懸念がなくなる。
【0106】
一旦、組織420が組織半分420aおよび420bに分割されると、ジョー部材110および120は、以下で説明するように、ハンドル40を再度握ることにより、開かれ得る。ナイフアセンブリ200は、一般に、進行的で単一方向様式(すなわち、遠位)で切断すると想定されているが、このナイフブレードは、同様に特定の目的に依存して、二方向で切断するように寸法決めされ得ると企図される。例えば、引き金バネ75の反跳に付随する力は、第二ブレード(図示せず)と共に利用され得、これは、このナイフアセンブリが反跳すると、散在した組織の小束またはぶらさがる組織を切断するように設計されている。
【0107】
図32で最もよく示されているように、ハンドル40を再び始動または再び握ると、再度、末端93がリップ61(これは、出口通路58に沿って、三角形部材57a、57bの頂上に配置されている)を通り抜けるまで、出口通路58に沿って、ほぼ近位に、フランジ92のt形末端93を移動する。一旦、リップ61が十分に通り過ぎると、ハンドル40およびフランジ92は、握り/掴み圧力を低下させた際に、出口通路58に沿って、ハンドル50から完全かつ自由に解除可能であり、これは、次いで、ジョー部材110および120を起動前開放位置へと戻す。
【0108】
前述のことから、そして、種々の図面を参照して、当業者は、本開示の範囲から逸脱することなく、本開示に対して、特定の変更もまたなされ得ることを理解している。例えば、細長シャフト12に対してエンドエフェクタアセンブリ100を軸方向に移動させるために、鉗子10に他の機構(例えば、接合アセンブリ)を加えることが好ましくあり得る。
【0109】
鉗子10(および/または鉗子10と関連して使用される電気外科発生器)は、センサまたはフィードバック機構(図示せず)を備え得ることもまた企図され、これは、ジョー部材110と120との間で握られた特定の大きさの組織を効果的に封着するのに適当な量の電気外科エネルギーを自動的に選択する。このセンサまたはフィードバック機構はまた、封着中に組織を横切るインピーダンスを測定し得、ジョー部材110と120との間で有効な封着が作製されたという指標(視覚および/または聴覚)を与え得る。
【0110】
さらに、引き金アセンブリ70は、他の型の反跳機構(これらは、同じ目的を達成するように設計され、例えば、気体で起動する反跳、電気的に起動する反跳(すなわち、ソレノイド)などがある)を備え得ると企図される。鉗子10は、封着なしで、組織を分割/切断するのに使用され得るとも想定される。あるいは、このナイフアセンブリは、組織を切断し易くするために、同じかまたは代替の電気外科エネルギー源と連結され得る。
【0111】
これらの図面は、分離された血管420を操作する鉗子10を描写しているが、鉗子10は、分離されていない血管とも同様に併用され得ると企図される。理想的な組織平面「B−B」に沿って組織420を切断するために、他の切断機構もまた、企図される。例えば、これらのジョー部材の1本は、カム起動ブレード部材を含み得、これは、これらのジョー部材の1本の中に据え付けられ、これは、カム部材を往復運動させた際に、偏向されて、長手方向軸「A」と実質的に垂直な平面に沿って、組織を切断すると企図される。
【0112】
あるいは、温度または応力の変化と共に、オーステナイト状態からマルテニスティック(martenistic)状態へと変換する際に、組織を切断するのに、形状記憶合金(SMA)が使用され得る。より詳細には、SMAは、記憶および訓練性の擬人的な性質を有する一群の合金であり、医療用具と併用するのに特によく適している。SMAは、制御システム、操縦可能カテーテルおよびクランプ用のアクチュエータのような物品に適用されている。最も一般的なSMAの1つには、Nitinolがあり、これは、2つの異なる物理的形状について、形状記憶を保持でき、温度の関数として、形状を変えることができる。銅、亜鉛およびアルミニウムに基づいて、他のSMAもまた企図され、これらは、類似の形状記憶保持機能を有する。
【0113】
SMAは、加える温度および/または応力を変えると、結晶相の転移を受ける。SMAの特に有用な属性は、温度/応力で変形した後、最初の温度に戻すと、その初期形状に完全に回復できることにある。この変換は、熱弾性マルテニスティック変形と呼ばれている。
【0114】
通常の状態では、熱弾性マルテニスティック変形は、その合金自体の組成およびそれを製造した熱機械的処理の型と共に変わる温度範囲にわたって、起こる。言い換えれば、SMAによって形状が「記憶される」温度は、特定の合金において、そのマルテンサイト結晶およびオーステナイト結晶が形成される温度の関数である。例えば、Nitinol合金は、広範囲の温度(例えば、−270℃〜+100℃)にわたって形状記憶効果が起こるように、製作できる。
【0115】
本明細書中で示し記述したジョー部材は、その間で組織を握るために互いに対して旋回可能な様式で移動可能なジョー部材を描写しているが、その鉗子は、これらのジョー部材の1本または両方が互いに対して並置した第一位置から組織に接触する第二位置へと移動する任意の様式でジョー部材を取り付けるように設計され得ると想定される。
【0116】
本開示のいくつかの実施態様が図面で示されているが、本開示は、当業者が許容する広い範囲であり、本明細書も同様に読み取るように解釈されるので、本開示は、それに限定するようには解釈されない。従って、上記記述は、限定としてではなく、好ましい実施態様の例示として解釈すべきである。当業者は、添付の特許請求の範囲の範囲内および精神内で、他の変更を想定している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書中に記載される電気外科用器具。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18A】
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【図18B】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【公開番号】特開2010−57934(P2010−57934A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−244982(P2009−244982)
【出願日】平成21年10月23日(2009.10.23)
【分割の表示】特願2002−578822(P2002−578822)の分割
【原出願日】平成13年4月6日(2001.4.6)
【出願人】(300044528)コヴィディエン アクチェンゲゼルシャフト (87)
【Fターム(参考)】