説明

血管シーラーおよびディバイダ、ならびにその製造方法

【課題】新規な構成のバイポーラ鉗子を提供する。
【解決手段】バイポーラ鉗子は、その遠位端に対向する挟持部材を有するシャフトと、挟持部材を互いに対して、挟持部材が互いに対して離間配置される第1位置と、挟持部材が協働して組織を間に把持する第2位置との間で移動する駆動組立体とを有する。鉗子は、第1および第2の移動可能なアクチュエータと協働して、駆動組立体を別個に作動させて、挟持部材を移動させる第1および第2把持部分を有するハンドルも備える。鉗子は電気エネルギー源に接続され、その結果、挟持部材は、間に保持された組織を介してエネルギーを伝達し、組織をシールすることができる。鉗子は、選択的に前進可能で、組織を組織シールに沿って切断するためのナイフ組立体も備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、ダイカス(Dycus)等が2002年6月25日に出願した米国特許出願第10/179,863号「血管シーラーおよびディバイダ」(VESSEL SEALER AND DIVIDER)の一部継続出願であり、この出願は、ダイカス(Dycus)等が2002年5月16日に出願した米国特許出願第10/116,944号「血管シーラーおよびディバイダ」(VESSEL SEALER AND DIVIDER)の一部継続出願であり、この出願は、ダイカス等(Dycus)が2002年1月25日に出願したPCT出願PCT/US02/01890号「血管シーラーおよびディバイダ」(VESSEL SEALER AND DIVIDER)の一部継続出願であり、この出願は、ダイカス(Dycus)等が2001年4月6日に出願したPCT出願PCT/US01/111340号「血管シーラーおよびディバイダ」(VESSEL SEALER AND DIVIDER)の一部継続出願であり、これらの出願すべての内容は全体として、引用することにより本出願に援用する。
【0002】
(背景)
本発明の開示は、内視鏡手術を実施するための電子外科的器具および方法に関し、詳細には、開放または内視鏡的バイポーラ電子外科的鉗子、並びに組織をシールおよび/または切断するための方法に関する。
【0003】
(技術分野)
血管鉗子または鉗子は、単純なペンチ状のツールであり、その挟持部間の機械的作用を利用して血管を圧縮し、一般に、開放外科手術において組織を把持、剖出および/または把握するために使用される。電気外科的鉗子は、機械的把握作用および電気エネルギーの両方を使用して、組織および血管を加熱して組織を凝固させ、灼焼および/またはシールする。
【背景技術】
【0004】
最近の数十年間では、ますます多くの外科医が、穿刺上の切開部を介して組織に接近する内視鏡および内視鏡的な器具を用いて、生体組織および体腔に接近する従来の開放法を賞賛している。内視鏡的器具は、套管針で製造されたカニューレまたはポートを介して患者内に挿入される。代表的なカニューレのサイズは、3mm〜12mmの範囲である。通常は、比較的小型のカニューレが好ましく、これは、周知されるように、カニューレを貫通する手術器具を製造する方法を発見しなければならない器具メーカーに対して、最終的に設計上の問題を提示する。
【0005】
特定の内視鏡手術は、血管または脈管組織の切断を要する。しかし、空間の制約上、外科医は、血管を縫合するか、または出血を管理する従来のその他の方法を実行する場合、たとえば横切した血管を把握および/または結紮する場合に困難を感じる可能性がある。直径2mm未満の血管は、多くの場合、標準の電気外科的技術を用いて閉鎖される。しかし、比較的大きい血管を切断する場合、外科医は内視鏡手術を開放外科手術に切り換えて、その結果、腹腔鏡検査法の利益を放棄する必要がある場合がある。
【0006】
いくつかの学会誌は、電気外科療法を用いて小さい血管をシールするための方法を開示している。1991年7月の神経外科誌(J.Neurosurg.)第75巻の「凝固、および自動コンピュータ化バイポーラ凝集沈殿装置に関する研究」(AutomaticComputerized Bipolar Coagulator)(非特許文献1)には、小さい血管をシールために使用されるバイポーラ凝集沈殿装置が開示されている。この論文は、直径2〜2.5mmを超える動脈を安全に凝固させることは不可能であると述べている。第2の論文は、神経外科改定版(Neurosurg.Rev.)のpp.187〜190に記載の「自動制御バイポーラ電気凝固法」(BipolarElectrocoagulation−”COA−COMP”)というタイトル(非特許文献2)であり、血管に対する電気外科的力を終了させて、血管壁の炭化を防止する方法が記載されている。
【0007】
上記のとおり、電気外科的鉗子を使用することにより、外科医は、挟持部材を通して組織に印加される電気外科的エネルギーの強度、周波数および持続時間を制御することにより、出血を灼焼、凝固/脱水および/または単に減少させるか、または遅延させることができる。各々の挟持部材の電極は異なる電位まで充電され、挟持部材が組織を把持すると、電気エネルギーは組織を介して選択的に伝達される。
【0008】
比較的大きい血管を適切にシールするには、2つの主要な機械的パラメーター、つまり血管に印加される圧力および電極間の距離を正確に制御しなければならず、これらのパラメーターは共に、シールされる血管の太さによって影響を受ける。詳細には、圧力が正確に印加されることは、血管壁に対抗し、十分な電気外科的エネルギーが組織を通過することを可能にする十分に低い値まで、組織インピーダンスを減少させ、組織加熱時の膨張力を克服し、良好なシールの指標である最終的な組織の厚さに影響を与える点で重要である。典型的な融合血管は、0.001〜0.005インチの間であれば最適であると結論された。この範囲未満では、シールは切断または分裂し、この範囲を超えると、内腔適切または効果的にシールされなくなる。
【0009】
比較的小さい血管の場合、組織に印加される圧力はあまり関係がなくなる傾向があるのに対して、導電性表面間の隙間の距離は、効果的なシールの点でより重要になる。つまり、作動時に2つの導電性表面が接触する可能性は、血管が小さくなるほど増加する。
【0010】
電気外科的方法は、血管壁に大きい閉鎖力を印加することが可能な器具と共に、適切な電気外科的出力曲線を使用することにより比較的大きい血管をシールことができる。小さい血管を凝固させるプロセスは、基本的に電気外科的血管シール法とは異なると考えられる。本明細書の目的上、「凝固」とは、組織細胞が破裂および乾燥する組織脱水プロセスとして定義される。血管のシールは、組織中の膠原を液化させて、溶融塊に改質するプロセスとして定義される。したがって、小さい血管の凝固は、こうした血管を永久的に閉鎖する上で十分である。比較的大きい血管は、確実に永久的に閉鎖するためにシールする必要がある。
【0011】
ウィリス(Willis)の米国特許第2,176,479号、ヒルテブラント(Hiltebrおよびt)の米国特許4,005,714号および4,031,898号、ボイベル(Boebel)等の米国特許第5,827,274号、第5,290,287号および第5,312,433号、ロティックの米国特許第4,370,980号、第4,552,143号、第5,026,370号および第5,116,332号、スターン(Stern)等の米国特許第5,443,463号、エッガース(Eggers)等の米国特許第5,484,436号、リチャードソン(Richardson)等の米国特許第5,951,549号(非特許文献1〜13)はすべて、血管または組織を凝固、切断および/またはシールするための電子外科的器具に関する。しかし、これらの特許のいくつかは、均一に再現可能な圧力を血管に与えず、その結果、無効または不均一なシールが形成される。
【0012】
これらの器具の多くは、ブレード部材または剪断部材を備え、これらは、機械的および/または電気機械的方法で組織を単純に切断するもので、血管シール目的では比較的に効果的ではない。その他の器具は、把握圧力のみに頼って適切なシール厚さを確保し、適切に制御されれば一貫した効果的な組織シールを確保することが可能なパラメーターである隙間許容差および/または平行度および平面度要件を考慮に入れるように設計されていない。たとえば、以下の2つの理由から、把握圧力のみを制御して、結果として得られる組織の厚さを適切に制御することは難しいと周知されている:1)非常に大きい力が印加された場合、2つの電極が接触して、エネルギーは組織を介して伝達されず、その結果、シールが無効になる;または2)非常に小さい力が印加された場合、組織は、作動およびシール以前に早期に移動するか、および/または比較的厚く、信頼性が乏しいシールが形成される場合がある。
【0013】
上記のとおり、比較的大きい血管を適切かつ効果的にシールするには、対向する挟持部材間に比較的大きい閉鎖力が必要である。挟持部材間の大きい閉鎖力は、一般に、各々の挟持部の枢軸周囲に大きいモーメントを必要とすることが周知されている。これは、挟持部材が、一般にピンを使って取り付けられるために問題を呈しており、ピンは、各々の挟持部材の枢軸に対して小さいモーメントアームを有するように配置される。大きい力が小さいモーメントアームと結合することは、大きい力がピンを剪断する場合があるため望ましくない。したがって、設計者は、金属ピンを有する器具を設計するか、および/またはこうした閉鎖力を部分的にオフロードして、機械的不具合の可能性を減少させることにより、こうした大きい閉鎖力を補償しなければならない。理解され得るとおり、金属枢動ピンを使用する場合、金属ピンを絶縁して、ピンが、挟持部材間の交流経路として作用するのを防止しなければならず、これは、効果的なシールに不利益であることが実証される。
【0014】
電極間の閉鎖力を増加すると、その他の望ましくない影響が生じる場合があり、たとえば、対向する電極が互いに密接に接触し、その結果短絡が生じて、小さい閉鎖力により、圧縮時および作動前に問題の早期移動を引き起こす場合がある。したがって、対向する電極間に、好ましい圧力範囲内の適切な閉鎖力を一貫して提供する器具を用意することは、シールが成功する可能性を強化するであろう。理解され得るとおり、外科医に頼って、適切な範囲内の適切な閉鎖力を一貫した基準に従って手動で提供することは難しく、結果として得られる効果およびシールの質は異なる場合がある。さらに、効果的な組織シールの形成が成功するかどうかは、適切な閉鎖力を判断して、血管を均一に、一貫して効果的にシールする上での使用者の専門的知識、洞察力、器用さおよび経験によるところが大きい。つまり、シールの成功は、どちらかと言えば器具の効率性ではなく、外科医の最終的な能力に大幅に依存する。
【0015】
一貫した効果的なシールを確保するための圧力範囲は約3kg/cm〜約16kg/cm、好ましくは7kg/cm〜13kg/cmの動作範囲内である。この動作範囲内の閉鎖圧力を提供することが可能な器具を製造することは、動脈およびその他の維管束をシールするために効果的であることが分かった。
【0016】
様々な力作動組立体は、かつて、血管のシールに適する閉鎖力を提供するために開発された。たとえば、1つのこうした作動組立体は、タイコヘルスケアLP(Tyco Healthcare LP)の一部門であるヴァリーラブ・インク(Valleylab Inc.)により、一般にUGASURE ATLAS(登録商標)という商標の下に市販されているヴァリーラブの血管シールおよび分割器具に使用するために開発された。この組立体は、4本バーの機械式リンク機構、ばねおよび駆動組立体を備え、これらは協働して、上記の動作範囲内の組織圧を一貫して提供および維持する。
【0017】
組立て時、閉鎖圧力が、組織および維管束をシールするのに好ましい圧力範囲内になるように、シール表面間の閉鎖圧力をテストすることが望ましい。残念ながら、シール表面間の閉鎖圧力を測定することは特に難しいことが分かった。たとえば、閉鎖力を正確に測定する際の本質的な難しさの1つとして、非は快適な方法で閉鎖力を測定することが挙げられ、つまり、歪ゲージまたは圧力感知フィルムなどの測定デバイスを挟持部材間に配置すると、挟持部材の最終的な角度に干渉し、測定を妨げる。測定デバイスは、圧力を正確に測定するために、挟持部プロファイルのように正確に賦形する必要があるだろう。挟持部には停止部材があってはならず、さもなければ圧力のピークのみが測定されることになるだろう。さらに、ハンドル組立体および作動組立体の内部にある可動部品の製造公差は、シール表面間の閉鎖圧力に影響する場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】米国特許第2,176,479号明細書
【特許文献2】米国特許第4,005,714号明細書
【特許文献3】米国特許第4,031,898号明細書
【特許文献4】米国特許第5,827,274号明細書
【特許文献5】米国特許第5,290,287号明細書
【特許文献6】米国特許第5,312,433号明細書
【特許文献7】米国特許第4,370,980号明細書
【特許文献8】米国特許第4,552,143号明細書
【特許文献9】米国特許第5,026,370号明細書
【特許文献10】米国特許第5,116,332号明細書
【特許文献11】米国特許第5,443,463号明細書
【特許文献12】米国特許第5,484,436号明細書
【特許文献13】米国特許第5,951,549号明細書
【非特許文献】
【0019】
【非特許文献1】「凝固、および自動コンピュータ化バイポーラ凝集沈殿装置に関する研究」(AutomaticComputerized Bipolar Coagulator)、神経外科誌(J.Neurosurg.)第75巻、1991年7月
【非特許文献2】「自動制御バイポーラ電気凝固法」(BipolarElectrocoagulation−”COA−COMP”)、神経外科改定版(Neurosurg.Rev.)、187〜190頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
したがって、閉鎖圧力が、適切な組織シールのために、シール表面間で好ましい動作範囲内にあることを実証するための確実な方法を開発する必要がある。
【0021】
特定の外科手術時、外科医にとって問題になることが多い点の1つは、器具を特定位置で作動させるには多少扱いにくく、厄介および/または難しいことであり、つまりトリガは不便な位置に配置され、把持することが難しい。たとえば、カニューレチャネルが垂直軸を有する内視鏡手術時、外科医は、ツール組立体またはエンドエフェクタの所望の位置(または角度)を不注意で変更しないように、ピストル型の器具を容易に操作し、トリガを作動させることができない場合がある。
【0022】
したがって、器具を複数の向きで選択的に操作するために、複数の離間配置されたアクチュエータを備える手術器具を開発する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0023】
(発明の概要)
本開示は、バイポーラ鉗子であって、遠位端に対向する挟持部材を有するシャフトと、挟持部材を互いに対して、挟持部材が互いに対して離間配置される第1位置から、挟持部材が協働して組織を間に把持する第2位置に移動させるための駆動組立体を備えるバイポーラ鉗子に関する。鉗子は、それぞれ第1および第2の可動アクチュエータと協働して、駆動組立体を個々に作動させて挟持部材を移動させるための第1および第2の把持部分を有するハンドルを備える。鉗子は電気エネルギー源に接続され、その結果、挟持部材は、間に保持された組織を介してエネルギーを伝達し、組織シールを達成することができる。鉗子は、選択的に前進可能で組織を組織シールに沿って切断するためのナイフ組立体も備える。鉗子を第1位置に保持すると、第1移動可能アクチュエータの作動を促進し、鉗子を第2位置に保持すると、第2移動可能アクチュエータの作動を促進する。
【0024】
好ましくは、鉗子は、鉗子が第1位置に保持されている時にナイフ組立体を前進させるための第1トリガと、鉗子が第2位置に保持されている時にナイフ組立体を前進させるための第2トリガとを備える。第1および第2の変形可能な親指レストも備えられ、鉗子がそれぞれ第1および第2位置に保持されている時の鉗子の取り扱いを容易にする。親指レストも、鉗子から選択的に着脱可能である。
【0025】
回転組立体も、シャフトを貫通して画定された長手方向軸の周囲で挟持部材を回転させるために備えられる。さらに、少なくとも1個の連結部材が備えられ、第1および第2移動可能アクチュエータを接続して、駆動組立体および挟持部材を第1または第2位置から任意に移動させる。
【0026】
本開示は、鉗子の挟持部材間の閉鎖力を変更する方法にも関する。この方法は、効果的な組織シールに望ましい閉鎖圧力を指定するステップと、各挟持部材の仕様が許容可能な製造範囲内になるように挟持部材を製造するステップであって、仕様が、各挟持部材の表面積、各挟持部材の枢軸から、各挟持部材のシール表面の質量中心までの距離、各挟持部材のカムスロットと、各挟持部材のシール表面に垂直なラインとの間の角度、カムスロットから各挟持部材の枢軸までの距離、各挟持部材のカムスロットの幅から成る群から選択されるステップと、ばねに公知のばね定数および公知の自由長さを与えるステップと、鉗子を作動させて組織に係合させるステップと、ばねの圧縮長さを測定して、閉鎖圧力が指定範囲内であることを立証するステップとを含む。
より特定すれば、本願発明は以下の項目に関し得る。
(項目1)
バイポーラ鉗子であって
対向する挟持部材を遠位端に有するシャフトと、
上記挟持部材を互いに対して、挟持部材が互いに対して離間配置される第1位置から、挟持部材が協働して組織を間に把持する第2位置に移動させるための駆動組立体と、
ハンドルであって、
上記駆動組立体を独立して作動させて、上記挟持部材を移動させるための第1把持部分および第1移動可能アクチュエータと、
上記駆動組立体を独立して作動させて、上記挟持部材を移動させるための第2把持部分および第2移動可能アクチュエータとを有するハンドルと、
各挟持部材に接続され、挟持部材が、間に保持された組織を通してエネルギーを伝達して組織シールを達成するための電気エネルギー源と、
上記組織シールに沿って組織を切断するための選択的に前進可能なナイフ組立体とを備える、バイポーラ鉗子。
(項目2)
鉗子を第1位置に保持すると、上記第1移動可能アクチュエータの作動が促進され、鉗子を第2位置に保持すると、上記第2移動可能アクチュエータの作動が促進される、項目1に記載のバイポーラ鉗子。
(項目3)
上記鉗子が第1位置に保持されている時に上記ナイフ組立体を前進させるための第1トリガと、上記鉗子が上記第2位置に保持されている時に上記ナイフ組立体を前進させるための第2トリガとを備える、項目2に記載のバイポーラ鉗子。
(項目4)
上記鉗子がそれぞれ上記第1位置および第2位置に保持されている時に、上記鉗子の取り扱いを容易にする第1および第2の親指レストを備える、項目2に記載のバイポーラ鉗子。
(項目5)
上記親指レストが変形可能な材料から製造される、項目4に記載のバイポーラ鉗子。
(項目6)
上記親指レストが上記鉗子から選択的に取外し可能である、項目4に記載のバイポーラ鉗子。
(項目7)
少なくとも1個の上記トリガがプッシュボタンを備える、項目3に記載のバイポーラ鉗子。
(項目8)
上記鉗子が、第1および第2の移動可能アクチュエータを接続する少なくとも1個の連結部材を備える、項目1に記載のバイポーラ鉗子。
(項目9)
上記鉗子が、上記シャフトを貫通して画定された長手方向軸の周囲で挟持部材を回転させるための回転組立体を備える、項目1に記載のバイポーラ鉗子。
(項目10)
鉗子の挟持部材間の閉鎖圧力を検証するための方法であって、
効果的な組織シールに望ましい閉鎖圧力範囲を指定するステップと、
各挟持部材の仕様が許容可能な製造範囲内であるように各挟持部材を製造するステップであって、上記仕様が、各挟持部材の表面積;各挟持部材の枢軸から、各挟持部材のシール表面の質量中心までの距離;各挟持部材のカムスロットと、各挟持部材のシール表面に垂直なラインとの間の角度と;カムスロットから各挟持部材の枢軸までの距離と;各挟持部材のカムスロットの幅から成る群から選択される、ステップと、
ばねに公知のばね定数および公知の自由長さを与えるステップと、
鉗子を作動させて組織に係合させるステップと、
ばねの圧縮長さを測定して、閉鎖圧力が指定範囲内であることを立証するステップとを含む、方法。
【図面の簡単な説明】
【0027】
対象となる器具の様々な実施態様について、図面に関して本明細書で説明する。
【図1A】図1Aは、内視鏡バイポーラ鉗子の左斜視図であり、本開示による筐体、シャフトおよびエンドエフェクタ組立体を示す。
【図1B】図1Bは、本開示による開放バイポーラ鉗子の左斜視図である。
【図2】図2は、図1の鉗子の上面図である。
【図3】図3は、図1の鉗子の右側面図である。
【図4】図4は、図1の鉗子の右斜視図であり、長手方向軸「A」の周囲におけるエンドエフェクタ組立体の回転を示す。
【図5】図5は、図1の鉗子の前面図である。
【図6】図6は、図5の細部の指示領域の拡大図であり、1対の対向する挟持部材を詳細に示すエンドエフェクタ組立体の強調図を示す。
【図7】図7は、図1の細部の指示領域の拡大左斜視図であり、エンドエフェクタ組立体のもう1つの強調図を示す。
【図8】図8は、図3の細部の指示領域の拡大右側面図であり、エンドエフェクタ組立体の1対のカムスロットが仮想図で示されている。
【図9】図9は、図3の鉗子を多少拡大した断面図であり、筐体の内部可動部品を示す。
【図10】図10は、図9の細部の指示領域の拡大断面図であり、エンドエフェクタ組立体内に配置されたナイフ組立体の初期位置を示す。
【図11】図11は、カバープレートがなく、鉗子の可動部品が内部に配置された筐体を示す拡大左斜視図である。
【図12】図12は、エンドエフェクタ組立体、ナイフ組立体およびシャフトの分解斜視図である。
【図13】図13は、筐体および筐体内部の可動部品の分解斜視図であり、筐体に対するシャフトおよびエンドエフェクタ組立体の取付けは破線で示されている。
【図14】図14は、エンドエフェクタ組立体を著しく拡大した上面斜視図であり、部品を分離して、上部挟持部材を通る電気ケーブルの供給経路を示す。
【図15】図15は、図9の細部の指示領域の長手方向断面図である。
【図16】図16は、エンドエフェクタ組立体の拡大上面斜視図であり、対向する挟持部材を通る電気ケーブルの供給経路、およびシャフト内に配置された長手方向に往復運動する管に対するナイフ組立体の近位の取付け部を示す。
【図17】図17は、エンドエフェクタ組立体の拡大斜視図であり、シャフトの外周部内に画定された長手方向チャネルに沿った電気ケーブルの供給経路を示す。
【図18】図18Aは、カバープレートがない筐体の著しく拡大された側面斜視図であり、筐体の遠位端に隣接して回転組立体を通る電気ケーブルの供給経路を示す。図18Bは、カバープレートがない筐体の著しく拡大された側面斜視図であり、シャフトが筐体内に実装された回転組立体を通る電気ケーブルの供給経路を示す。
【図19】図19は、内部に配置された停止部材を示す回転組立体の著しく拡大された後面図である。
【図20】図20は、カニューレを通る血管または束状構造を把持およびシールする位置に示されている本開示による鉗子の斜視図である。
【図21】図21は、筐体内に配置された4本バーハンドル組立体であって、互いに対する挟持部材の運動を達成する組立体の内部協働運動を示す多少拡大された断面図である。
【図22】図22は、仮想図で示された4本バーハンドル組立体の作動後のフランジの初期運動を示す著しく拡大された断面図である。
【図23】図23は、4本バーハンドル組立体の運動に応じて結果として生じるコイルばねの圧縮運動を示す著しく拡大された側面図である。
【図24】図24は、図23のコイルばねの近位の圧縮の結果として生じたエンドエフェクタ組立体のカム状駆動ピンの近位の運動で、その結果、対向挟持部材を閉鎖構成状に移動させる運動を示す著しく拡大された側面図である。
【図25】図25は、カニューレ内で作動準備が整ったナイフ組立体を示す著しく拡大された断面図である。
【図26】図26は、管状の血管が間に圧縮された閉鎖構成の対向する挟持部材を示す上面斜視図である。
【図27】図27は、管状血管のシール部位の拡大斜視図であり、シール後に管状血管を分割するための好ましい切断線「B−B」を示す。
【図28】図28は、図27の線28−28に沿って切ったシール部位の長手方向断面図である。
【図29】図29は、カバープレートがない筐体の側面図であり、トリガ組立体の組み立て後のナイフ管の長手方向往復運動を示す。
【図30】図30は、器具の遠位端の著しく拡大された断面図であり、トリガ組立体の作動後のナイフ組立体の長手方向往復運動を示す。
【図31】図31は、図28の好ましい切断線「B−B」に沿ったシール部位を通るナイフ組立体の往復運動後の管状血管の長手方向断面図である。
【図32】図32は、予め画定された出口経路に沿ったハンドル組立体の再開始後のフランジの運動を示す著しく拡大された側面図であり、結果として、対向する挟持部材は開放され、管状血管は放出する。
【図33】図33は、1個の挟持部材の1つの血管シール表面上にある特定の1つの停止部材の構成を示す著しく拡大された斜視図である。
【図34A】図34Aは、本発明の開示物に使用されるハンドスイッチの一実施態様を示す筐体の内部側面図である。
【図34B】図34Bは、本開示によるハンドスイッチの別法による実施態様の略図である。
【図34C】図34Cは、本開示によるハンドスイッチのもう1つの実施態様の略図である。
【図35】図35Aおよび35Bは、本開示による加熱ブロックの略図である。図35Cおよび35Dは、中間シール表面パターンを有する挟持部材の略図である。
【図36】図36は、本発明による摺動式管切断機の一実施態様を示す。
【図37】図37Aは、図36の摺動式管切断機を有する腹腔鏡鉗子の一実施態様を示し、摺動式管切断機は、シール平面「B−B」に沿って血管を通過するU形ノッチ付きブレードの長手方向往復運動の準備が整った状態を示す。図37Bは、図36の摺動式管切断機を有する腹腔鏡鉗子のもう1つの実施態様を示し、摺動式管切断機は、シール平面「B−B」に沿って血管を通るU形ノッチ付きブレードの長手方向往復運動および回転の準備が整った状態を示す。
【図38】図38Aおよび38Bは、本開示による摺動式管切断機の2つの別法による実施態様を示す。
【図39A】図39Aは、一側性の閉鎖機構が開放構成で示されている腹腔鏡鉗子を示す。
【図39B】図39Bは、一側性の閉鎖機構が閉鎖構成で示されている腹腔鏡鉗子を示す。
【図39C】図39Cは、一側性の閉鎖機構が開放構成で示され、ナイフブレードおよび対応するナイフチャネルが仮想図で示されている腹腔鏡鉗子を示す。
【図39D】図39Dは、一側性の閉鎖機構が閉鎖構成で示され、ナイフブレードおよび対応するナイフチャネルが仮想図で示されている腹腔鏡鉗子を示す。
【図40A】図40Aは、2個の移動可能アクチュエータを有する本開示による鉗子の別法による実施態様の略図を示す。
【図40B】図40Bは、二重アクチュエータ構造を有する図40Aの鉗子に類似する鉗子の内部略図を示す。
【図41】図41は、閉鎖圧力の測定を単純化するために正確に制御するべき挟持部材の様々なパラメーターの略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(発明の詳細な説明)
図1〜図6を参照すると、様々な外科手術に使用されるバイポーラ鉗子の一実施態様が示されており、全体として筐体20、ハンドル組立体30、回転組立体80、トリガ組立体70、およびエンドエフェクタ組立体100を備え、これらは協働して、管状血管および脈管組織420を把持、シールおよび分割する。大多数の図面は、内視鏡手術に関連して使用されるバイポーラ鉗子10を示しているが、開放鉗子10’は、従来の開放外科手術に関連して使用することも想定され、一例として図1Aに示す。本明細書の目的上、内視鏡のバージョンについて詳細に述べるが、開放鉗子10’は、以下に記載するように同じかまたは類似の動作構成要素も備える。
【0029】
詳細には、鉗子10は、エンドエフェクタ組立体100と機械的に係合する寸法の遠位端14と、筐体20と機械的に係合する近位端16とを有するシャフト12を備える。好ましくは、シャフト12は、その遠位端14で分岐して、図7および図12に最も良く示されているように、エンドエフェクタ組立体100を収容する寸法の端部14aおよび14bを形成する。シャフト12の近位端16は、以下でさらに詳細に説明するように、回転組立体80の対応する戻り止め83a(図18A)および83b(図13の仮想図)に機械的に係合する寸法のノッチ17a(図23および図29)並びに17b(図11、図12および図13)を備える。図面および以下の説明では、「近位」という用語は、従来どおり、使用者に近い方の鉗子10の端部を意味し、「遠位」という用語は、使用者から離れている端部を意味する。
【0030】
図1Aに最も良く示されているように、鉗子10は、鉗子10を電気外科的エネルギー源、たとえば発電機(図示しない)に接続する電気的インターフェースまたはプラグ300も備える。好ましくは、コロラド州、ボールダーに所在のタイコヘルスケアLP(Tyco Healthcare LP)の一部門であるヴァリーラブ(Valleylab)が市販している類の発電機、たとえばFORCE EZTM電気外科的発電機、FORCE FXTM電気外科的発電機、FORCE FXTM電気外科的発電機、FORCE
1CTM、FORCE 2TM発電機、SurgiStatTMIIを電気エネルギー源として使用する。こうした1つのシステムは、本願と同一の所有権者による米国特許第6,033,399号「適応電源制御装置を有する電気外科的発電機」(ELECTROSURGICAL GENERATOR WITH ADAPTIVE POWERCONTROL)に記載されており、この特許は、本明細書で引用することにより本願に援用する。その他のシステムは、本願と同一の所有権者による米国特許第6,187,003号「血管をシールするためのバイポーラ電子外科的器具」(BIPOLAR ELECTROSURGICAL INSTRUMENT FOR SEALING VESSELS)に記載されており、この特許は、本明細書で引用することにより本願に援用する。
【0031】
好ましくは、発電機は、絶縁出力、付属品の単独作動を含む様々な安全および性能上の特徴、並びにValleylab REMTM接触品質監視システムを備え、これらは、患者の戻り電極下で燃焼する危険性を実質的に減少させる。
【0032】
好ましくは、電気外科的発電機は、バリーラブ(Valleylab)のInstantResponseTM技術の特徴を備え、この特徴は、毎秒200回の組織の変化を感知し、電圧および電流を調節し、適切な電力を維持する前進フィードバックシステムを提供する。InstantResponseTM技術は、1つまたは複数の以下の利益を外科手術に提供すると考えられる。
・ 全組織タイプに一貫する臨床効果、
・ 熱の拡散および偶発的な組織の損傷の危険性の減少、
・ 発電機の出力を上げる必要性の減少、
・ 最低限に侵襲的な環境のための設計。
【0033】
プラグ300は、鉗子10を電気外科的エネルギー源に機械的および電気的に接続する寸法である1対のプロング部材302aおよび302bを備える。電気ケーブル310は、プラグ300から、ケーブル310を鉗子10に固定するスリーブ99に延在する。図9、図11および図18Aに最も良く示されているように、ケーブル310は、内部でケーブルリード310aおよび310bに分割され、各々のケーブルは、以下で詳細に説明するとおり、電気外科的エネルギーを個々の供給経路を介して、鉗子10からエンドエフェクタ組立体100に伝達する。
【0034】
ハンドル組立体30は、固定ハンドル50および可動ハンドル40を備える。固定ハンドル50は筐体20と一体結合し、ハンドル40は、鉗子10の動作に関して以下で詳細に説明するように、固定ハンドル50に対して移動可能である。回転組立体80は、好ましくは筐体20の遠位端303(図18A)に取り付けられ、長手方向軸「A」の周囲で両方向に約180°回転可能である。
【0035】
図2および図13に最も良く示されているように、筐体20は、2個の筐体半体20aおよび20bから形成され、各々の半体は複数のインターフェース307a、307bおよび307c(図13)を備え、これらのインターフェースは、互いに機械的に整列および係合して筐体20を形成し、鉗子10の内部可動部品を包囲する寸法である。理解され得るとおり、上記のとおり筐体20と一体結合される固定ハンドル50は、筐体半体20aおよび20bの組み立て後に具体化される。
【0036】
複数の追加インターフェース(図示しない)は、超音波溶接の目的上、筐体半体20aおよび20bの外周部周囲の様々な位置に、たとえばエネルギー方向/偏向位置に配置できると想定される。また、筐体半体20aおよび20b(および、以下で説明するその他の構成要素)は、先行技術で公知の何らかの方法で互いに組み立てることができる。たとえば、整列ピン、スナップ状インターフェース、トングおよび溝インターフェース、係止タブ、接着ポートなどは、単独で使用するか、または組み立ての目的上組み合わせて使用することができる。
【0037】
同様に、回転組立体80は、2個の半体80aおよび80bを備え、これらは、組み立てると、シャフト12の近位端16を包囲して係合し、必要に応じてエンドエフェクタ組立体の回転を可能にする。半体80aは、半体80b内に配置された対応する1対のソケット89b(図13に仮想図で示す)に係合する寸法の1対の戻り止め89a(図13)を備える。可動ハンドル40およびトリガ組立体70は、好ましくは一体構成であり、組み立てプロセスで筐体20および固定ハンドル50に対して動作可能に接続される。
【0038】
上記のとおり、エンドエフェクタ組立体100は、シャフト12の遠位端14に取り付けられ、1対の対向する挟持部材110および120を備える。ハンドル組立体30の可動ハンドル40は、最終的に駆動ロッド32に接続され、これらは、共に機械的に協働して、挟持部材110および120を、挟持部材110および120が互いに離間配置される開放位置から、挟持部材110および120が協働して間に組織420(図20)を把持する把握または閉鎖位置に移動させる。この点に関して、図9〜図11および図20〜図29に関して、以下で詳細に説明する。
【0039】
鉗子10は、特定の目的に応じて、または特定の結果を達成するために、完全または部分的に使い捨て可能であるように設計することが想定される。たとえば、エンドエフェクタ組立体100は、シャフト12の遠位端14と選択的および解除自在に係合可能であるか、および/またはシャフト12の近位端16は、筐体20およびハンドル組立体30と選択的および解除自在に係合可能である。これらの2つの場合、鉗子10は、「部分的に使い捨て可能」または「再配置可能」であると考えられ、つまり、新しいかまたは別のエンドエフェクタ組立体100(またはエンドエフェクタ組立体100およびシャフト12)は、必要に応じて選択的に古いエンドエフェクタ組立体100と置き換えられる。
【0040】
次に、図1A〜図13に関して説明する本開示の詳細な特徴を参照すると、可動ハンドル40は、貫通して画定された開口42を備え、これは、使用者が固定ハンドル50に対してハンドル40を把持して移動させることを可能にする。ハンドル40は、開口42の内周縁部に沿って配置された人間工学的に強化された把持要素45も備え、これは、作動時に可動ハンドル40の把持を容易にするように設計される。把持要素45は、ハンドル40の把持を容易にするために、1個または複数の隆起部、スカラップおよび/またはリブ43a、43bおよび43cをそれぞれ備える。図11で最も良く分かるとおり、可動ハンドル40は、枢軸69の周囲で、固定ハンドル50に対して第1位置から固定ハンドル50にさらに近接する第2位置に選択的に移動可能であり、その結果、以下で説明するように、挟持部材110および120の互いに対する移動が与えられる。
【0041】
図11に最も良く示されているとおり、筐体20は駆動組立体21を包囲し、駆動組立体21は、可動ハンドル40と協働して、挟持部材110および120を、挟持部材110および120が互いに対して離間配置された開放位置から、挟持部材110および120が協働して、間に組織を把持する把握または閉鎖位置に移動させる。ハンドル組立体30は、以下の要素から成る4本バー機械式リンク機構として一般に特徴付けられる:可動ハンドル40、リンク65、カム状リンク36、固定ハンドル50並びに1対の枢動点37および67bにより具現されるベースリンク。ハンドル40の移動は、4本バー機械式リンク機構を作動させ、その結果駆動組立体21を作動させて、対向する挟持部材110および120を互いに対して移動させて、間に組織を把持する。4本バー機械式リンク機構を使用すると、駆動組立体21の動作パラメーターに関して以下で詳細に説明するとおり、使用者は、挟持部材110および120を組織420に対して圧縮する時に、著しい機械的利益が得られる。本開示は、4本バー機械式リンク機構として示されているが、先行技術で公知のとおり、挟持部材110および120の相対運動を達成するその他のリンク機構も想定される。
【0042】
好ましくは、固定ハンドル50は、内部に画定されたチャネル54を備え、これは、可動ハンドル40から近位に延在するフランジ92を収容する寸法である。好ましくは、フランジ92は、可動ハンドル40に取り付けられる固定端部90と、ハンドル50のチャネル54内に容易に収容される寸法のt形自由端部93とを備える。フランジ92は、使用者が、挟持部材110および120を互いに対して開放位置から閉鎖位置に選択的、前進的、および/または増加的に移動させることが可能な寸法にする。たとえば、フランジ92は、可動ハンドル40に、ひいては挟持部材110および120に、特定の目的に応じて互いに選択的かつ増加的な位置で錠止係合するラチェット状インターフェースを備える。ハンドル50に対するハンドル40の移動を制御および/または制限するために、その他の機構も使用することができ、たとえば油圧、半油圧、線形アクチュエータ、気体支援機構および/またはギヤシステムが挙げられる。
【0043】
図11に最も良く示されているように、筐体20の筐体半体20aおよび20bは、組み立てられると内部キャビティ52を形成し、これは、固定ハンドル50内にチャネル54を予め画定し、内部にt形フランジ端部93の往復運動のための入口通路53および出口通路58が形成される。2個のほぼ三角形の部材57aおよび57bは互いに対して近接して配置され、これらの間にレールまたは軌道59が画定される。それぞれ入口および出口通路53および58に沿ったフランジ92の移動時、t形端部93は、三角形部材57aおよび57bの特定の寸法による2個の三角形部材57aおよび57b間の軌道59に沿って乗って進行し、これは、理解され得るとおり、固定ハンドル50に対するハンドル40の全体的な枢動運動の部分を予め決定する。
【0044】
ハンドル40は、作動すると、枢軸69の周囲で固定ハンドル50方向にほぼ弓状に移動し、その結果、リンク65は枢軸67aおよび67bの周囲で近位に回転し、次に、カム状リンク36が、枢軸37および69の周囲でほぼ近位の方向に回転する。カム状リンク36は、以下で詳細に説明するとおり、駆動組立体21に運動を与える。さらに、枢軸67aおよび67b周囲におけるリンク65の近位の回転は、リンク65の遠位端を解放し、つまりトリガ組立体70を「開錠」して選択的に作動させる。この特徴について、図21〜図29およびナイフ組立体200の動作に関して詳細に説明する。
【0045】
次に、図12を参照すると、シャフト12およびエンドエフェクタ組立体100の分解図が示されている。上記のとおり、シャフト12は、それぞれ遠位端および近位端14および16を含む。遠位端14は分岐しており、エンドエフェクタ組立体100を収容するためのキャビティ18を共に画定する端部14aおよび14bを含む。近位端16は、回転組立体80の対応する戻り止め83aおよび83b(図13)に係合する寸法の1対のノッチ17a(図29)および17b(図11)を備える。理解され得るとおり、回転組立体80が作動するとシャフト12が回転し、次にエンドエフェクタ組立体100が回転して、組織420を処置および把持する。
【0046】
シャフト12は、1対の長手方向に向いたチャネル19a(図15)および19b(図12)も備え、これらは、以下で図14〜図17に関して詳細に説明するように、各挟持部材120および110に最終的に接続される電気外科的ケーブルリード310aおよび310bを内部にそれぞれ支持する寸法になっている。シャフト12は、それぞれ端部14aおよび14b上に配置された1対の長手方向に向いたスロット197aおよび197bも備える。スロット197aおよび197bは、内部におけるカムピン170の長手方向往復運動を可能にし、その結果、図23および図24に関して以下で詳細に説明するように、対向する挟持部材110および120を開放位置から閉鎖位置に移動させるのに好ましい寸法である。
【0047】
シャフト12は、対応する枢動ピン160を収容する寸法の遠位端14aおよび14bに配置された1対のソケット169aおよび169bも備える。以下で説明するとおり、枢動ピン160は、挟持部110および120をシャフト1212の分岐遠位端14および14b間に固定し、カムピン170の長手方向往復運動により、挟持部材110および120が枢動ピン160周囲で開放位置から閉鎖位置に移動するように、挟持部材110および120を取り付ける。
【0048】
シャフト12は、好ましくは、内部にナイフ管34を摺動的に収容し、ナイフ組立体200と係合する寸法であり、その結果、図29〜図31に関して以下で説明するように、ナイフ管34の長手方向の運動により、ナイフ組立体200が組織420を分割する。ナイフ管34は、その近位端に位置するリム35と、その遠位端229に位置する1対の対向するノッチ230aおよび230bとを備える。図13に最も良く示されているように、リム35は、トリガ組立体70の遠位端に配置された対応するスリーブ78に係合する寸法であり、その結果、スリーブ78の遠位の移動はナイフ管34を平行移動させ、次に、ナイフ組立体20を作動させる。シール193は、ナイフ管34の上に実装され、ナイフ管34とシャフト12との間に配置される。シール193は、シャフト12内におけるナイフ管34の往復運動を促進し、および/または鉗子の他の比較的敏感な内部で動作する構成要素に対して、外科手術時の望ましくない流体の充満を防止する。シール193は、さらに、外科手術時に鉗子10を通して気腹圧が漏出するのを制御/調整するために使用される。シール193は、好ましくは、1対の対向するブシュ195aおよび195bを備え、その結果、ナイフ管34は、シャフト12内で一貫して正確に確実に往復運動する(図15参照)。
【0049】
ノッチ230aおよび230bは、好ましくは、1対の対向する戻り止め212aおよび212bと、1対の対向するステップ214aおよび214bとを備えるナイフ組立体200の対応するキー状インターフェース211に係合する寸法である。図25および図30に最も良く示されているとおり、各々の戻り止めおよびステップ構成、たとえば212aおよび214aはそれぞれ、対応するノッチ、たとえば230aに確実に係合し、ステップ214aの遠位端は、ナイフ管34の遠位端229に当接する。この方法でナイフ管34がナイフ組立体200に係合すると、ナイフ管34は、組織420を通って一貫して正確に遠位に平行移動する。
【0050】
本開示から理解され得るとおり、ナイフ管34およびナイフ組立体200は、駆動組立体21の動作とは別に動作するように組み立てることが好ましい。しかし、以下で詳細に説明するとおり、ナイフ組立体200は、作動の目的上駆動組立体21に依存し、つまり、駆動組立体21の作動/移動(ハンドル組立体30およびその内部可動部品を介する)は、ナイフ組立体200を「開錠」して、組織を選択的に分離する。本明細書の目的上、駆動組立体21は、駆動ロッド32および圧縮機構24の両方から成り、圧縮機構24は、図13に関して以下で説明する多数の協働要素を備える。駆動組立体21をこの様式で配列することにより、組み立ての目的上、駆動ロッド32を圧縮機構24内に容易に選択的に係合させることができると考えられる。
【0051】
各々の図面は、現在開示されている鉗子10の使い捨て式バージョンを表しているが、筐体20は、使い捨ての目的上、駆動ロッド32の選択的な再配置を可能にする解除機構(図示しない)を備えることが考えられる。この様式では、鉗子は、「部分的に使い捨て可能」または「再配置可能」であると考えられ、つまり、シャフト12、エンドエフェクタ組立体100およびナイフ組立体200は使い捨て可能および/または再配置可能だが、筐体20およびハンドル組立体30は再利用可能である。
【0052】
図16および図17に最も良く示されているとおり、駆動ロッド32は、その遠位端に1対の面取りまたは斜面付き縁部31aおよび31bを備え、これらの把持部は、好ましくは、駆動ロッド32が、ナイフ組立体200の一部を構成するナイフ支持体またはガイド220を通って往復運動することが可能な寸法にする。ピンスロット39は、駆動ロッド32の遠位の先端に配置され、カムピン170を収容する寸法であり、ナイフ管34内における駆動ロッド32の長手方向往復運動はカムピン170を平行移動させ、次に、挟持部材110および120を枢動ピン160の周囲で回転させる。図23および図24に関して以下で詳細に説明するとおり、カムピン170は、挟持部材110および120のそれぞれスロット172および174内に乗り、その結果、挟持部材110および120は、組織420の周囲で開放位置から閉鎖位置に回転する。
【0053】
駆動ロッド32の近位端は、好ましくは圧縮機構24内に配置された対応する圧縮スリーブ28に係合する寸法のタブ33を備える。スリーブ28の近位の運動(図21〜図24に関して以下で説明するとおり)、駆動ロッド32を往復運動させ(つまり引っ張る)、次に、挟持部材110および120を開放位置から閉鎖位置に枢動させる。駆動ロッド32は、内視鏡手順時に気腹圧を維持する寸法のドーナッツ状スペーサまたはO−リング95も備える。また、O−リング95は、外科手術流体が充満するのを防止し、こうした充満は、鉗子10の動作構成要素に不利であることが実証される。また、O−リング95は、ナイフ管34内の駆動ロッド32の均一かつ正確な往復運動を促進するために、低摩擦係数の材料から製造される。
【0054】
上記のとおり、ナイフ組立体200は、エンドエフェクタ組立体100の対向する挟持部材110および120間に配置される。好ましくは、ナイフ組立体200およびエンドエフェクタ組立体100は別個に動作可能であり、つまり、トリガ組立体70はナイフ組立体200を作動させ、ハンドル組立体30はエンドエフェクタ組立体100を作動させる。ナイフ組立体200は、2個のフォーク210aおよび210b、並びにナイフ支持体またはガイド220を有する分岐ナイフバーまたはロッド210を備える。ナイフフォーク210aおよび210bは、その近位端に配置された上記のキー状インターフェース211(それぞれステップ214a、214bおよび戻り止め212a、212bから成る)を備え、これらは、ナイフ管34(上記のとおり)、および組織420を分離するために上にブレード205を支持する共通の遠位端206に係合する。好ましくは、各々のフォーク210a、210bは、収束して共通の遠位端206を形成するテーパ213aおよび213bをそれぞれ備える。テーパ213aおよび213bは、以下で詳細に説明するとおり、かつ図30に最も良く示されているとおり、エンドエフェクタ組立体100を通るナイフブレード205の往復運動を促進する。
【0055】
各々のフォーク210aおよび210bは、その外周部に沿って配置されたテーパ付き肩状部分221aおよび221bを備え、これらの部分は、ナイフ支持体またはガイド220(図16参照)内に配置されたそれぞれ対応するスロット223aおよび223bに係合する寸法になっている。この肩状部分221a、221bおよびスロット223a、223bの構成は、作動後のブレード205の全体的な遠位の運動を制限および/または調整するように設計される。各々のフォーク210aおよび210bは、その内縁に沿って配置された弓形に賦形されたノッチ215aおよび215bもそれぞれ備え、これらのノッチは、組み立て時に挟持部材110および120間に配置されるローラまたはブシュ216の挿入を容易にする寸法である。
【0056】
上記の通り、ナイフ組立体200は、ナイフ支持体またはガイド220も備え、これは、その近位端に対向するばねタブ222aおよび222bと、その遠位端にそれぞれ上部および下部ナイフガイド24aおよび224bを備える。各々のばねタブ、たとえば222bの内側に面する表面は、好ましくは駆動ロッド32(図16)の対応する面取り縁部、たとえば31bに嵌合する寸法であり、外側に面する表面は、好ましくはシャフト12の内周部と摩擦嵌合する寸法である。図12で最も良く分かるとおり、ナイフ支持体220は、このナイフ支持体を貫通して画定された駆動ロッドチャネル225を備え、これは、挟持部材110および120の開閉時に、駆動ロッド32の往復運動が可能な寸法である。ナイフガイド220は、このナイフガイドから側方に延在するレスト226aおよび226bも備え、これのレストは、閉位置に配置されると、挟持部材110および120の近位端132、134に当接する。
【0057】
ナイフガイド224aおよび224bは、それぞれ内部に配置されたスロット223aおよび223bを備えることが好ましく、これらのスロットは、作動時にナイフフォーク210aおよび210bをスロットに沿ってガイドし、組織420を通るナイフブレードの一貫した正確な往復運動を可能にする。スロット223aおよび223bは、作動時におけるナイフ組立体200の望ましくない側方運動も制限する。好ましくは、ナイフ支持体220は、組み立て時に肩状部分221aおよび221bをわずかに越える位置に配置される。
【0058】
ナイフ組立体200はローラまたはブシュ216も備え、これは、各々のフォーク210aおよび210bの内周縁部と嵌合する寸法であり、その結果、作動時に、フォーク210aおよび210bはローラまたはブシュ216上を滑走し、組織420を通るナイフ組立体200の往復運動は確実に容易かつ正確になる。ブシュ216は、対向する挟持部材110および120間に着座する寸法であり、好ましくは枢動ピン160により、これらの間に固定される。上記のとおり、正確に賦形されたノッチ215aおよび215bは、組み立て時におけるブシュ216の挿入を容易にする。
【0059】
エンドエフェクタ組立体100は対向する挟持部材110および120を備え、これらは、シャフト12の分岐端部14aおよび14b間に画定されたキャビティ18内に着座する。挟持部材110および120はほぼ対称であり、協働して枢動ピン160周囲における容易な回転を可能にし、組織420シールおよび分割を達成する類似の構成要素の特徴を備える。その結果、特記しない限り、本明細書では、挟持部材110および挟持部材110に関連して動作する特徴のみを説明する。ただし、理解され得るとおり、これらの多くの特徴は、挟持部材120にも適用される。
【0060】
詳細には、挟持部材110は、上記のとおり、駆動ロッド32の往復運動後に、ブシュ216および枢動ピン160の周囲における挟持部材110の回転が可能な寸法である弓形の内面167を有する枢動フランジ166を備える。枢動フランジ166はカムスロット172も備え、これは、カムピン170に係合する寸法であり、その結果、駆動ロッド32が長手方向に移動すると、カムピン170はカムスロット172に沿って乗る。カムスロット172は、特定の目的に応じて異なる回転経路を可能にするか、または特定の結果を達成する寸法にすることが想定される。たとえば、本願と同一出願人よる同時係属米国特許出願第09/177,950号は、本明細書で引用することにより全体を本願に援用するが、この特許出願は、2段カムスロット構成について説明しており、この構成は、理解され得るとおり、挟持部材の独自の回転経路を枢動点周囲に提供する。
【0061】
枢動フランジ166は凹部165も備え、これは、好ましくはブシュ216の一方の自由端を挟持部材110および120間に固定する寸法である。凹部165の内周部は、好ましくは、凹部を貫通して枢動ピンを収容し、挟持部材110をシャフト12に固定する寸法である。挟持部材120は、ブシュ216の対向端部および挟持部材120をシャフト12に固定する類似の凹部175を備える。
【0062】
挟持部材110は、挟持部筐体116と、絶縁基板または絶縁体114と、導電性表面112とをさらに備える。挟持部筐体116は、内部に画定された溝(図示しない−挟持部材120の溝179参照)を備え、この溝は、絶縁体114の外周部に沿って配置された隆起状インターフェース161に係合する寸法である。絶縁体114は、導電性シール表面112に確実に係合する寸法であることが好ましい。これは、型打ち、上乗せ成形、型打ちした導電性シールプレートの上乗せ成形、および/または金属射出成形したシールプレートの上乗せ成形により達成される。
【0063】
これらのすべての製造技術は、実質的に絶縁基板114により包囲される導電性表面112を有する電極を製造する。絶縁体114、導電性シール表面112および外側の非導電性挟持部筐体116は、好ましくは、組織シールに関連する公知の多くの望ましくない作用、たとえばフラッシュオーバ、熱の拡散および迷走電流の散逸を制限および/または減少させる寸法である。別法によると、挟持部材110および120はセラミック状材料から製造し、導電性表面112をセラミック状挟持部材110および120上にコーティングする。
【0064】
好ましくは、導電性シール表面112はピンチトリム119(図25)も備え、これは、導電性表面112を絶縁基板114に確実に係合させるのを促進し、全体的な製造プロセスを単純化する。導電性シール表面112は、半径を有する外周縁部も備え、絶縁体114は、半径にほぼ正接する隣接縁部に沿って導電性シール表面112と会合する、および/または半径に沿って会合すると想定される。好ましくは、界面では、導電性表面112は、絶縁体114に対して隆起する。上記および想定されるその他の実施態様は、現在出願中の、本願と同一の出願人のジョンソン(Johnson)等による同時係属出願PCT/US01/11411号「フラッシュオーバを減少させるように設計された電子外科的器具」(ELECTROSURGICAL INSTRUMENT WHICH IS DESIGNED TO REDUCE THE INCIDENCE OF FLASHOVER)に記載されている。
【0065】
絶縁体114は、内側に面する指状部162も備え、これは、枢動フランジ166に当接し、近位の組織の散在を制限/減少させるか、および/または作動時に、導電性シール表面112をその他のエンドエフェクタ組立体100から隔離するように設計される。好ましくは、導電性表面112および絶縁体114は、組み立てると、ナイフブレード205の往復運動のために、これらを貫通して画定される長手方向に向いたチャネル168a、168bを形成する。詳細には、図14に最も良く示されているとおり、絶縁体114は第1チャネル168bを備え、このチャネルは、導電性シール表面112上の第2チャネル168aと整列して、完全なナイフチャネルを形成する。ナイフチャネル168a、168bは、好ましい切断平面「B−B」に沿ったナイフブレード205の長手方向の往復運動を促進し、形成された組織シール425(図27、図28および図31参照)に沿って組織420を効果的かつ正確に分離する。
【0066】
上記のとおり、挟持部材120は類似の要素を備え、たとえば弓形の内面177、カムスロット174、および凹部175を有する枢動フランジ、絶縁体124の外周部に沿って配置された隆起状界面171に係合する寸法の溝179を含む挟持部筐体126、枢動フランジ176に当接する内側に面する指状部172を供える絶縁体124、並びに絶縁体124に確実に係合する寸法の導電性シール表面122を備える。同様に、導電性表面122および絶縁体124は、組み立てると、ナイフブレード205の往復運動のために、これらを貫通して画定される長手方向に向いたチャネル178a、178bを形成する。
【0067】
好ましくは、挟持部材110および120は互いに電気的に絶縁して、電気外科的エネルギーが組織420を通って伝達され、シール425を形成する。たとえば、図14および図15に最も良く示されているとおり、各挟持部材、たとえば110は、挟持部材を貫通して配置される独自に設計された電気外科的ケーブル経路を備え、この経路は、電気外科的エネルギーを導電性シール表面112、122に伝達する。詳細には、挟持部材110は、枢動フランジ166上に配置されたケーブルガイド181aを備え、このガイドは、ケーブルリード310aを、挟持部筐体116を貫通して配置された開口188方向に方向付ける。次に、開口188は、ケーブルリード310aを、絶縁体114内に配置されたウィンドウ182を通って導電性シール表面112方向に方向付ける。第2のケーブルガイド181bは、ウィンドウ182を通る予め画定されたケーブル経路に沿ってケーブルリード310aを固定し、ケーブルリード310aの端末側終端310aを、導電性シール表面112の対向側に配置されたクリンプ状電気コネクタ183内に方向付ける。好ましくは、ケーブルリード310aは大まかに保持されるが、ケーブル経路に沿って固定されて、枢軸169周囲の挟持部材110の回転を可能にする。
【0068】
理解され得るとおり、これは、導電性シール表面112をエンドエフェクタ組立体100およびシャフト12のその他の動作構成要素から隔離する。挟持部材120は、内部に貫通して配置された類似のケーブル経路を備え、この経路は、添付の図面に示されていない同様の寸法のケーブルガイド、開口および電気コネクタを備える。
【0069】
図15〜図17は、シャフト12の外周部に沿って、各挟持部材110および120を貫通する電気外科的ケーブルリード310aおよび310bの現在開示されている供給経路も示す。詳細には、図15は、シャフト12に沿ってチャネル19aおよび19b内にそれぞれ配置された電気外科的ケーブルリード310aおよび310bの断面を示す。図16および図17は、シャフト12の対向するチャネル19aおよび19bから、それぞれ挟持部材110および120の枢動フランジ166および176を通るケーブルリード310aおよび310bの供給経路を示す。ケーブルリード310aおよび310b用のケーブル供給経路で、シャフト12から挟持部材110および120までの供給路は、各挟持部材100および120を電気的に絶縁するのみならず、挟持部材110および120が、ケーブルリード310aおよび310bを過度に引っ張るか、または場合により交錯させることなく、枢動ピン160周囲で枢動することを可能にすると考えられる。さらに、クリンプ状電気コネクタ183(および、挟持部材120内の対応するコネクタ)は、製造および組み立てプロセスを著しく促進し、組織420を通るエネルギー伝達のために、一貫した緊密な電気接続を確保する。図17に最も良く示されているように、シャフト12の外面は、熱収縮管類500、またはケーブルリード310aおよび310bを過度な磨耗および裂傷から保護する類似物により被覆され、ケーブルリード310aおよび310bをそれぞれのチャネル19aおよび19b内に固定する。
【0070】
図18Aおよび図18Bは、回転組立体80を通るケーブルリード310aおよび310bの供給経路を示し、この供給経路はやはり、この供給経路の独自性により、使用者が鉗子10を使用する時に柔軟性を増すことが可能である。詳細には、図18Aは、回転組立体80の半体80a通るケーブルリード310aの供給経路を示し、図18Bはケーブルリード310aおよび310bの経路を示し、ケーブルリード310aおよび310bは、器具筐体20を通り、回転組立体80の半体80aを通ってシャフト12のチャネル19aおよび19bに供給される。図18Aは、回転組立体80の半体80aを通るケーブルリード310aの供給経路のみを示すが、理解され得るとおり、ケーブルリード310b(図19に点線で示す)は、回転組立体80の半体80b内に類似の方法で配置される。
【0071】
図18Aに最も良く示されているとおり、ケーブルリード310aおよび310bは、シャフト12が時計方向または半時計方向に回転可能であり(回転組立体80の回転を介して)、しかもケーブルリード310aおよび310bが過度に交錯または捻転しないように、回転組立体80のそれぞれの半体80aおよび80bを通って供給される。詳細には、各々のケーブルリード、たとえば310aは、回転組立体80の各々の半体80aを通ってループ状になり、長手方向軸「A」の一方の側を横断する弛緩ループ321aおよび321bを形成する。弛緩ループ321aは、軸「A」の一方の側を横断してケーブルリード310aの向きを変え、弛緩ループ321bは、軸「A」を横断してケーブルリード310aを返す。このようにして回転組立体80を通してケーブルリード310aおよび310bを供給することにより、使用者は、シャフト12およびエンドエフェクタ組立体100を回転させて、ケーブルリード310aおよび310bを過度に引っ張るかまたは交錯させる必要はないと想定され、こうした過度の引張りまたは交錯は、効果的なシールに不利益であることが分かっている。好ましくは、このループ状ケーブル供給経路は、使用者が、ケーブルリード310aおよび310bを引っ張ることなく、ケーブルリード310aおよび310bエンドエフェクタ組立体100をどちらかの方向に180°回転させることを可能にする。現在開示されているケーブルリード供給経路は、ケーブルリード310aおよび310bを何れかの方向に約178°回転させると想定される。
【0072】
図19は、その内部の特徴を強調するために、軸「A」に沿って見た回転組立体80の半体80aの内部図を示す。詳細には、少なくとも1個の停止部材88が好ましくは各々の回転半体80aおよび80b内に配置され、回転組立体80全体の回転運動を何れかの方向に約180°に制御するように動作する。停止部材88は、外側フランジ309の外周部に沿って配置された対応するノッチ309cと整合する寸法にして、回転組立体80の偶発的な過回転が生じて、ケーブルリード310aおよび310bの一方または両方が過度に引っ張られるのを防止する。
【0073】
図18Bは、筐体20aから、回転組立体80を通ってシャフト12に至る電気ケーブルリード310aおよび310bの供給経路を示す。ケーブルリード310aおよび310bは、鉗子10の各々の部分を通り、様々な位置に配置された一連のケーブルガイド部材311a〜311gを介して筐体20および回転組立体80に方向付けられると想定される。以下で説明するとおり、一連の機械的インターフェース、たとえば309a、309b(図13)および323a、323b(図13)も、ケーブル310aおよび310bを筐体20および回転組立体80にガイドするのに役立つ寸法に構成される。
【0074】
再び図13を参照すると、筐体20、回転組立体80、トリガ組立体70およびハンドル組立体30の分解図が示されており、これらの様々な構成部品のすべては、シャフト12およびエンドエフェクタ組立体100と共に、製造プロセスで組み立てられて、部分的および/または完全に使い捨て可能な鉗子10を形成する。たとえば、上記のとおり、シャフト12およびエンドエフェクタ組立体100は使い捨て可能であり、したがって、筐体20および回転組立体80と選択的/解除自在に係合して、部分的に使い捨て可能な鉗子10を形成するか、および/または鉗子10全体を使用後に使い捨てすることができる。
【0075】
筐体20は、好ましくは2個の筐体半体20aおよび20bから形成され、これらの筐体半体は、それぞれ一連の機械的インターフェース307a、307b、307cおよび308a、308b、308cを介して互いに係合し、鉗子10の本明細書に記載する内部可動部品を収容する内部キャビティ300を形成する。本明細書の目的上、筐体半体20aおよび20はほぼ対称であり、特記しない限り、筐体半体20aに関して記載する構成要素は、筐体半体20bの一部を形成する類似の構成要素を有する。
【0076】
筐体半体20aは、それぞれ近位端および遠位端301aおよび303aを備える。近位端301aは、電気外科的ケーブル310(図1)を筐体20内に固定する電気スリーブ00を収容する寸法であることが好ましい。図9および図21に最も良く示されているように、対のケーブル310は、2つの電気外科的ケーブルリード310aおよび310bに分割し、これらは、次に筐体20を通って供給され、最終的に異なる電位を対向する挟持部材110および120に伝達する。上記のとおり、様々なケーブルガイド311a〜311gは、筐体20および可ハンドル組立体全体に配置され、ケーブルリード310aおよび310bをシャフト12の外周部に沿って配置されたチャネル19aおよび19bに方向付ける。
【0077】
遠位端303aはほぼ弓形であり、組み立てた場合、遠位端303aおよび303bは、筐体20から遠位に延在するカラー303(図13)を形成する。カラー303の各々の遠位端は、外側フランジ309a、309bおよび凹部323a、323bを備え、これらは協働して、回転組立体80内に配置された対応する機械的肩状部84a、84b(図29)およびフランジ87a、87bにそれぞれ係合する。理解され得るとおり、フランジ309a、309bと肩状部84a、84bおよび凹部323a、323bとフランジ87a、87bとの連結は、組み立てた時に、回転組立体80がカラー303の周囲で自由に回転可能な寸法にする。上記のとおり、停止部材88および1個または複数のノッチは、機械的に協働して、回転組立体80の回転運動を制限して、ケーブルリード310aおよび310bの引張りを防止する。
【0078】
カラー303の各々の遠位端303a、303bは、内部に画定された内側キャビティ317aおよび317b(図9および図21)も備え、これらのキャビティは、内部に収容されたシャフト12、ナイフ管34およびケーブルリード310aおよび310bが自由に回転できる寸法に構成する。回転組立体80内に位置する複数の戻り止め89aは、回転半体80b内に配置された対応する複数のソケット89b(図13)に係合して、カラー303上で回転関係にある回転組立体80の平衡状態を保つ。
【0079】
筐体半体20aは、複数のハブ状枢動マウント329a、331aおよび333aも備え、これらは、器具の操作に関して以下で詳細に説明するとおり、筐体半体20b上に配置された対向するハブ状枢動マウント(図13に仮想図で示す)と協働して、以下に記載する様々な動作構成要素に結合する枢動ピン37、67bおよび77の自由端にそれぞれ係合する。好ましくは、これらのマウント329a、331aおよび333aの各々は、それぞれ各々の枢動要素、つまりカムリンク36、ハンドルリンク65およびトリガ組立体70の回転固定点を提供する。
【0080】
図11および図13で最も良く分かるとおり、筐体20の組み立て後に具体化される固定ハンドル50は、スカラップ状の外面51、およびその内部に画定された内部キャビティ52を備える。図11の説明に関して上記で述べたとおり、固定ハンドル50の上記の要素およびその他の内部要素は、可動ハンドル40と協働して4本バー機械式リンク機構を作動させ、次に、駆動組立体21を作動させて、対向する挟持部材110および120を互いに対して移動させて、これらの部材間に組織420を把持する。
【0081】
上記の固定ハンドル50および可動ハンドル40を備えるハンドル組立体30は、ほぼ三角形のカムリンク36も備える。カムリンク36は、上部ピストン38、固定枢軸37およびハンドル枢軸69を備える。カムリンク36は、筐体20の内部キャビティ内の筐体半体20aおよび20b間に組み立てられる。詳細には、固定枢軸37は、固定マウント329aおよび329bの対向する筐体半体20aおよび20b間に回転実装され、ハンドル枢軸69は、開口68aおよび68bを通してハンドル40の分岐端部内に回転実装される。カムピストン38は、駆動組立体70を貫通して画定された長手方向チャネル25c内で、圧縮タブ25と当接関係で平衡状態を維持され(駆動組立体70の考察に関して以下で詳細に説明する)、その結果、ハンドル40の運動により、ピストン38はコイルばね22に対して近位に回転する。操作上の特徴に関連する上記およびその他の詳細は、図21〜図29に関して以下で詳細に説明する。
【0082】
リンク65は、さらにハンドル組立体30に結合されて、4本バー機械式リンク機構の一体部分を形成する。リンク65は遠位端63および2個の枢動ピン67aおよび67bを備える。枢動ピン67aは、可動ハンドル40内に配置された開口68aおよび68bに係合し、枢軸67bは、筐体半体20aおよび20b間で、固定マウント331aおよび331bに係合し、その結果、ハンドル40が固定ハンドル50方向に移動すると、リンク65が枢軸67aおよび67bの周囲で枢動する。以下で詳細に説明するとおり、遠位端63はトリガ組立体70のロックアウトとして作用する。
【0083】
可動ハンドル40はフランジ92を備え、このフランジ92は、好ましくはハンドル40内に配置された開口41aおよび41b並びにフランジ92内に配置された開口91aおよび91bに係合するピン46aおよび46bにより可動ハンドル40に実装される。その他の係合方法も考えられ、スナップロック、ばねタブなどが挙げられる。フランジ92はt形遠位端93も備え、この遠位端93は、図11に関する上記のとおり、固定ハンドル50内に配置された予め画定されたチャネル54内に乗る。t形端部93に関連するその他の特徴は、鉗子10の操作上の特徴の詳細な考察に関して以下で説明する。
【0084】
駆動組立体21は、好ましくは、筐体20内の筐体半体20aおよび20b間に配置する。上記のとおり、駆動組立体21は、上記の駆動ロッド32および圧縮機構24を備える。圧縮機構24は、ばねマウント26内に伸縮自在に、および/または摺動的に配置された圧縮スリーブ27を備える。圧縮スリーブ27の遠位端28は、好ましくはC形であり、駆動ロッド32の近位端に配置されたタブ33に係合する寸法に構成され、その結果、圧縮スリーブ27の長手方向の移動により、駆動ロッド32が作動する。圧縮スリーブ27の近位端は、ばねマウント26の長手方向スロット25s内に配置されたバーベル状圧縮タブ25に係合する寸法に構成される。圧縮スリーブ27は、長手方向スロットまたはチャネル25cも備え、これは、スロット25sと長手方向に整列し、上記のカムリンク36のカムピストン38を収容する寸法に構成される。
【0085】
ばねマウント26の近位端は円形フランジ23を備え、このフランジは、圧縮機構24が組み立てられた時に圧縮ばね22を付勢し、筐体20内に着座する寸法に構成される(図11)。ばねマウント26の遠位端はフランジ25fを備え、このフランジは、ばねマウント26のスロット25s内へのタブ25の遠位の移動を制限し、ばね22の対向端部を付勢する。
【0086】
図11で最も良く分かるとおり、ばね22は、組み立てられた時に平衡状態を維持し、ハンドル組立体30の作動後にばねマウント26上に圧縮される。詳細には、スロット25s内におけるカムピストン38の運動(ハンドル組立体30の運動を介する)により、タブ25はスロット25s上に移動し、圧縮スリーブ27はばねマウント26内で往復運動してばね22を圧縮する。圧縮スリーブ27の近位の運動は、駆動ロッド32に近位の運動を与え、挟持部材110および120を組織420の周囲で閉鎖する(図26)。ばね22の圧縮は、筐体半体、たとえば20b内に配置された1個または複数のウィンドウ340を通して観察することができる。
【0087】
図13は、図12に関して上記で説明したようにナイフ組立体200を作動させるトリガ組立体70も示す。詳細には、トリガ組立体70は、ナイフ管34近位のリム35を収容する寸法のカフス状遠位端78を有するアクチュエータ73を備える。駆動ピン74は、アクチュエータ73の近位端から側方に延在する。トリガ組立体70は、人間工学的に強化された指状タブ72であって、対向するウィング状フランジ72aおよび72bを有するタブも備え、このタブは、外科手術時におけるトリガ組立体の把持および点火を促進することが想定される。
【0088】
図11に最も良く示されているように、圧縮スリーブ27は、鉗子10が組み立てられた時に、アクチュエータ73の内部で摺動する寸法に構成される。同様に、アクチュエータ73は、作動すると、圧縮スリーブ27の外周部に沿って遠位に摺動可能であり、図12に関して上記で説明するとおり、ナイフ組立体200を作動させる。駆動ピン74は、それぞれ端部76aおよび76bを供える指状タブ72の分岐尾状部部分内に配置された1対のガイドレール71aおよび71bに沿って乗る寸法に構成される。
【0089】
ヒンジまたは枢動ピン77は、指状タブ72をマウント333aおよび333b内の筐体半体20aおよび20間に実装する。トーションばね75もトリガ組立体70内に組み込まれ、アクチュエータ73およびナイフ管34の漸進的かつ一貫した長手方向往復運動を促進し、組織シール425に沿って確実に分離する(図27および図28)。つまり、トリガ組立体70は、作動前に近位の「予荷重」構成で構成される。その結果、ナイフ組立体200の確実かつ意図的な往復運動が確保される。さらに、トーションばね75の「予荷重」構成は、ナイフ組立体の自動リコイルとして作用し、必要に応じて組織を通る往復運動の反復を可能にする。上記のとおり、複数の把持要素71は、好ましくは指状タブ72およびウィングフランジ72aおよび72b上に組み込まれ、指状タブ72の把持を強化する。
【0090】
好ましくは、トリガ組立体70は、最初に、ハンドル組立体30の作動前に、指状タブ72に当接すると共に、トリガ組立体70を「錠止」するリンク65の遠位端63の独特な構成により点火が生じるのを防止する。さらに、対向する挟持部材110および120は回転し、トリガ組立体70を開錠せずに部分的に開閉し、理解され得るとおり、使用者が、ナイフ組立体200を早期に作動させることなく、組織420を把持および操作することを可能にすることが想定される。以下に記載のとおり、フランジ92のt形端部93がチャネル54内で完全に往復運動し、予め画定された集水溝62内に着座する(以下に記載する)場合に限り、リンク65の遠位端63はトリガ組立体70の作動を可能にする位置に移動する。
【0091】
鉗子10の内部可動部品の動作特徴および相対運動は、仮想表現および方向矢印により示され、図21〜図29に最も良く示されている。上記のとおり、鉗子10を組み立てる場合、予め画定されたチャネル54は固定ハンドル50のキャビティ52内に形成される。チャネル54は、フランジ92および内部のt形端部93の往復運動のために、入口通路53および出口通路58を備える。2個のほぼ三角形の部材組み立てられると、57aおよび57bは、互いに対して近接して配置され、間に配置される軌道59を画定する。
【0092】
詳細には、図21および図22は、固定ハンドル50方向へのハンドル40の最初の作動を示し、その結果、フランジ92の自由端93は、入口通路53に沿ってほぼ近位かつ上方に移動する。フランジ92が、入口通路および出口通路53および58に沿って移動する時、t形端部93は、2個の三角形部材57aおよび57b間の軌道59に沿って乗る。
【0093】
ハンドル40が圧搾され、フランジ92が、固定ハンドル50のチャネル54内に組み込まれると、カムリンク36は、4本バー機械式リンク機構の機械的前進により、枢軸37および69の周囲でほぼ近位に回転し、その結果、カムピストン38がタブ25を付勢し、ばね22をばねマウント(図23)のフランジ23に対して圧縮する。同時に、駆動ロッド32は、圧縮スリーブ27により近位に引っ張られ、その結果、カムピン170はカムスロット172および174内で近位に移動し、挟持部材110および120を互いに対して閉鎖する(図24)。チャネル197は、エンドエフェクタ組立体100(図24)の様々な動作構成要素の製造公差に関する寸法の不一致を考慮して、必要な寸法より多少大きい寸法に構成する。
【0094】
4本バー機械式リンク機構の使用により、使用者は、コイルばね22を特定の距離だけ選択的に圧縮して、駆動ロッド32に特定の荷重を与えることができると想定される。駆動ロッド32の荷重は、カムピン170により挟持部の枢軸160周囲でトルクに変換される。したがって、特定の閉鎖力を対向する挟持部材110および120に伝達することができる。筐体20内に配置されたウィンドウ340が目盛り、視覚式標識、またはハンドル組立体30の圧縮時に使用者にフィードバックを行うその他の表示を含むことも想定される。したがって、理解され得るとおり、使用者は、組織420に付与される漸進的な閉鎖力を選択的に調整して、特定の目的または特定の結果を達成することができる。たとえば、使用者は、フランジ93を集水溝62内に錠止せずに、挟持部材110および120を組織の周囲で漸進的に開閉することが想定される。ウィンドウ340は、集水溝62内に係合する前のフランジ93の最も近位の位置に関連する特定の視覚式指標を含むことができる。
【0095】
上記のとおり、挟持部材110および120は、開放、閉鎖および回転させて、シールが望ましい時点まで組織420を処置することができ、トリガ組立体70を開錠する必要はない。その結果、使用者は、作動およびシール前に鉗子10を配置および再配置することができる。詳細には、図4に示すとおり、エンドエフェクタ組立体100は、回転組立体80を通る長手方向軸「A」の周囲で回転可能である。上記のとおり、シャフト12に沿って回転組立体80を通り、最終的に挟持部材110および120に至るケーブルリード310aおよび310bの独自の供給経路は、使用者が、ケーブルリード310aおよび310bを過度に交錯させたり引張ったりすることなく、エンドエフェクタ組立体100を時計方向および反時計方向に約180°回転させることを可能にすることが想定される。理解され得るとおり、これは、組織420の把持および処置を容易にする。
【0096】
一連の停止部材150a〜150fは、好ましくは、導電性シール表面112および122の内側に面する表面に使用され、組織のシールおよび切断時に、組織の把持および処置を容易にし、対向する挟持部材110および120間に隙間「G」(図24)を画定する。上記およびその他の想定される停止部材150a〜150f、並びに停止部材150a〜150fを導電性シール表面112、122に接着および/または付着させるための様々な製造および組み立てプロセスに関する詳細な説明は、本願と同一の出願人であるダイカス(Dycus)等による同時係属米国特許出願PCT/US01/11413号「非導電性停止部材を含む血管シーラーおよびディバイダ」(VESSEL SEALER AND DIVIDER WITH NON−CONDUCTIVE STOP MEMBERS)に記載されており、この出願は、本明細書で引用することにより、全体を本願に援用する。
【0097】
シール部位425の所望の位置が決定され、挟持部材110および120を適切に配置した後、ハンドル40を完全に圧縮すると、フランジ92のt形端部93は、三角形部材57aおよび57bの上面に位置する予め画定されたレール縁部61をクリアする。端部93が縁部61をクリアすると、ハンドル40およびフランジ92の遠位の運動、つまり解放は、縁部61により、出口通路58内に位置する集水溝62内に向きを変える。詳細には、ハンドル50に対するハンドル40の閉鎖圧力がわずかに減少すると、ハンドル40は、入口通路53方向にわずかに遠位に戻るが、出口通路58方向に向きを変える。この時点では、ハンドル40および50間の解放圧力または復帰圧力は、駆動組立体70の圧縮に関連する解放圧力に起因し、こうした解放圧力に正比例するが、これらの圧力により、フランジ92の端部93は集水溝62内に定着または係止する。次に、ハンドル40は、固定ハンドル50内の所定の位置に固定され、その結果、挟持部材110および120を組織420に対して閉鎖位置に係止する。
【0098】
この時点では、挟持部材100および120は、組織420の周囲に完全に圧縮される(図26)。さらに、鉗子10は、電気外科的エネルギーを選択的に印加され、その後組織420を分離する準備が整い、つまり、t形端部93が集水溝62内に着座すると、リンク65は、トリガ組立体70の作動を可能にする位置に移動する(図21および図29)。
【0099】
フランジ92のt形端部93が集水溝62内に着座すると、駆動ロッド32に対する比例軸力が維持され、次に、組織420に対する対向する挟持部材110および120間の圧縮力が維持される。エンドエフェクタ組立体100および/または挟持部材110および120は、エンドエフェクタ100の特定の内部動作要素の機械的損傷を防止するため、過度な把握力をある程度オフロードする寸法に構成することが想定される。
【0100】
理解され得るとおり、4本バーの機械的利益と、圧縮ばね22に関連する圧縮力との組合せは、組織420周囲の一貫した均一かつ正確な閉鎖圧力を促進および確保する。
【0101】
組織420に印加される電気外科的エネルギーの強度、周波数および持続時間を制御することにより、使用者は、出血を灼焼、凝固/脱水、シール、および/または単純に減少させるかまたは遅延させることができる。上記のとおり、2つの機械的要素は、結果として得られるシール組織の厚さおよびシール425の有効性を決定する上で重要な役割を果たし、つまり、こうした2つの要素は、対向する挟持部材110および120間に印加される圧力、およびシールプロセスで挟持部材110および120の対向するシール表面112、122間の隙間距離「G」である。しかし、結果として得られる組織シール425の厚さは、力単独では適切に制御することはできない。つまり、過度に大きい力並びに2個の挟持部材110および120は接触しておそらく短絡し、その結果、組織420を通って移動するエネルギーがごくわずかになり、結局不良な組織シール425が形成される。過度に小さい力およびシール425の場合、厚くなりすぎるであろう。
【0102】
正しい力を印加することは、その他の点でも重要である:つまり、血管壁部に対抗する;十分な電流を組織420に通すのに十分に低い値まで、組織インピーダンスを低下させる;良好なシール425の指標である所定の最終組織厚さの形成を促進するほかに、組織加熱時の膨張力を克服するために重要である。
【0103】
好ましくは、挟持部材110、120の導電性シール表面112、122はそれぞれ比較的平坦であり、鋭利な縁部における電流の集積を防止し、高い位置間におけるアーク放電を防止する。さらに、挟持部材110および120が係合した場合の組織420の反応力により、挟持部材110および120は屈曲に耐えるように製造することが好ましい。たとえば、挟持部材110および120は、その幅に沿ってテーパを付けると、次の2つの理由で有利である:1)テーパは、一定の組織厚さに対して一定の圧力を平行に与える;2)挟持部材110および120の比較的厚い近位部分は、組織420の反応力により屈曲に抵抗する。
【0104】
また、挟持部材110および120は、特定の解剖学的構造に達するように湾曲させることが想定される。たとえば、前立腺摘除術および膀胱切除術に関連する特定の解剖学的構造、たとえば背部静脈複合体および側茎に接近してシールするためには、挟持部材110および120は約50°〜約70°の角度で寸法を決定することが好ましいと想定される。また、ナイフ組立体200(または、その1つまたは複数の構成要素)は、半可撓性の材料から製造するか、またはマルチセグメント化すると、想定した上記の曲線状挟持部材110および120を貫通して一貫して容易かつ正確に切断することができる。
【0105】
上記のとおり、少なくとも1個の挟持部材、たとえば110は1個の停止部材、たとえば150aを備え、これは、対向する挟持部材110および120の互いに対する運動を制限する(図6および図7)。好ましくは、停止部材、たとえば150aは、シール表面112、122から、特定の材料特性(たとえば、圧縮強度、熱膨張など)に応じて予め決められた距離だけ延在し、シール時に一貫した正確な隙間距離「G」を生じるようにする(図24)。好ましくは、シール時の対向するシール表面112および122間の隙間距離は、約0.001インチ〜約0.005インチ、より好ましくは約0.002インチ〜約0.003インチの範囲である。
【0106】
好ましくは、停止部材150a〜150fは、絶縁材料、たとえばパリレン、ナイロンおよび/またはセラミックから製造し、挟持部材110および120の対向する運動を上記の隙間範囲に制限する寸法に構成する。停止部材150a〜150fは、特定の結果を達成するための特定の目的に応じて、挟持部材110および120の一方または両方に配置することが想定される。停止部材150a〜150fの多くの異なる構成は、本願と同一の出願人であるダイカス(Dycus)等による同時係属米国特許出願PCT/US01/11413号「非導電性停止部材を含む血管シーラーおよびディバイダ」(VESSEL SEALER AND DIVIDER WITH NON−CONDUCTIVE STOP MEMBERS)に記載されており、この出願は、本明細書で引用することにより、全体を本願に援用する。
【0107】
特定の停止部材構成を図33に示すが、この図は、単一の円形停止部材150dであって、1つのシール表面、たとえば112の最も近位の部分付近にあるナイフチャネル178aの何れかの側に配置された停止部材150dを示す。円形停止部材の対150eの2つの集合は、ナイフチャネル178aの何れかの側のシール表面112の中間部分に配置され、単一の円形停止部材150fは、ナイフチャネル178aの何れかの側のシール表面112の最も遠位の部分に配置される。本明細書で意図する様々な停止部材構成はどれも、特定の目的に応じて、または特定の結果を達成するために、シール表面112、122一方または両方の上に配置すると想定される。さらに、停止部材150a〜150fは、特定の目的に応じて、ナイフチャネル178aの一方の側に配置される。
【0108】
好ましくは、非導電性停止部材150a〜150fは、挟持部材110および120上に成形するか(たとえば、上乗せ成形、射出成形など)、挟持部材110および120上に型打ちするか、または挟持部材110および120上に付着させる(たとえば、蒸着)。たとえば、1つの技術は、セラミック材料を挟持部材110および120の表面上に熱噴射して、停止部材150a〜150fを形成することを含む。いくつかの熱噴射技術が考えられ、広範な耐熱および絶縁材料を様々な表面に付着させて停止部材を形成し、導電性表面112、122間の隙間距離を制御する。停止部材150a〜150fを導電性表面112および122上に付着させるためのその他の技術も考えられ、たとえば摺動式、スナップ式、接着、成形などが挙げられる。
【0109】
さらに、停止部材150a〜150fは、挟持部材110および120の内側に面する表面112、122から約0.001インチ〜約0.005インチ、好ましくは約0.002インチ〜約0.003インチ突出し、場合によっては、停止部材150a〜150fが特定の目的に応じてある程度突出することが好ましい。たとえば、停止部材150a〜150fに使用する材料の種類、および挟持部材110および120間で大きい圧縮閉鎖力を吸収する材料の能力は異なり、したがって、所望の隙間距離「G」を生成する点で、停止部材150a〜150fの全体的な寸法も異なる。
【0110】
つまり、効果的なシールに必要な(望ましい)材料の圧縮強度、および所望または最終的な隙間距離「G」は、停止部材150a〜150fを形成する時に、念入りに検討されるパラメーターであり、1つの材料は、同じ隙間距離または所望の結果を達成するために、他の材料とは別様に寸法を決定しなければならない。たとえば、ナイロンの圧縮強度はセラミックとは異なるため、ナイロン材料は、対向する挟持部材110および120の閉鎖力に対抗し、セラミック停止部材を使用する場合と同じ所望の隙間距離「G」を達成するためには、別様に寸法を決定し、つまり比較的厚くしなければならない。
【0111】
図27および図28に最も良く示されているように、エネルギーは、挟持部材110および120を横断し、組織420を通ってエンドエフェクタ組立体100に選択的に伝達され、組織シール425は2つの組織半体420aおよび420bを隔離する。この時点では、その他の公知の血管シール器具を使用して、使用者は、鉗子10を取り出し、切断器具(図示しない)と置き換え、組織半体420aおよび420bを組織シール425に沿って分割しなければならない。理解され得るとおり、これは、時間がかかって退屈であり、理想的な組織切断平面「B−B」に沿った切断器具の不整合または配置の誤りにより、組織シール425を横断する組織の分割が不正確になる。
【0112】
上記で詳細に説明したとおり、本開示はナイフ組立体200を含み、これは、トリガ組立体70を介して漸進的かつ選択的に作動されると、理想的な組織平面「B−B」に沿って正確かつ厳密に組織420を分割し、組織420を効果的かつ確実に、間に組織隙間430を有する2つのシール半体420aおよび420b(図31)状に分割する。往復運動するナイフ組立体200は、使用者が、シール直後に組織420を迅速に分離することを可能にし、カニューレまたは套管針ポート410から切断器具を置き換える必要はない。理解され得るとおり、組織420の正確なシールおよび分割は、同じ鉗子を使って行われる。ナイフブレード205は、同じかまたは別の電気外科的エネルギー源に結合して、組織シール425(図示しない)に沿って組織420の分離を促進することが想定される。
【0113】
さらに、ナイフブレード205のブレード先端207の角度は、特定の目的に応じてある程度強度な切断角度を提供する寸法にすることが想定される。たとえば、ブレード先端207は、切断に関連する「組織の断片」を減少する角度に配置する。さらに、ブレード先端207は、特定の目的に応じて、または特定の結果を達成するために、鋸歯状、ノッチ付き、穿孔付き、中空、凹状、凸状など、異なるブレード幾何学的形状を有するように設計することができる。
【0114】
ブレード先端207は比較的鋭利な前縁を有するが、ブレード先端207が実質的に鈍いかまたは切れ味が鈍いことも想定される。詳細には、挟持部材110および120間の閉鎖力と、独特に設計された停止部材150a〜150fとの組合せは、組織を挟持部材110と120との間に確実に把持および保持し、ブレードの先端207が実質的に鈍い場合にも、ブレード先端207による組織の切断を可能にすることが想定される。理解され得るとおり、ブレード先端207を鈍く設計すると、外科分野で鋭利な物体を使用することに関連する問題がなくなる。
【0115】
組織420が組織半体420aおよび420bに分割されると、挟持部材110および120は、以下で説明するとおり、ハンドル40を再度把持することにより開放される。ナイフ組立体200は一般に、漸進的に一方向に(つまり、遠位に)切断するが、ナイフブレードは、特定の目的に応じて双方向に切断するように寸法を決めることもできると想定される。たとえば、トリガばね75のリコイルに関連する力は、ナイフ組立体のリコイル後に散在する組織の断片またはぶら下がる組織を切断するように設計された第2ブレード(図示しない)に使用することができる。
【0116】
図32に最も良く示されているように、ハンドル40を再始動または再度把持すると、再びフランジ92のt形端部93が一般に近位に移動し、端部93は、出口通路58に沿って三角形の部材57a、57bの上に配置されたリップ61をクリアする。リップ61が十分にクリアされると、ハンドル40およびフランジ92は、把持/把持圧力が低下した後、出口通路58に沿ってハンドル50から完全に、かつ自由に解除可能であり、その結果、挟持部材110および120は開放予備作動位置に復帰する。
【0117】
上記から、様々な図面に関して、当業者は、本開示に範囲から逸脱せずに、本開示に特定の変更を加えることも可能であることを理解するであろう。たとえば、鉗子10にその他の特徴、たとえば関節組立体を追加して、長形のシャフト12に関連してエンドエフェクタ組立体100を軸方向に変位させることが好ましい。
【0118】
また、鉗子10(および/または鉗子10に関連して使用される電気外科的発電機)は、センサまたはフィードバック機構(図示しない)を備え、これは、適切な量の電気外科的エネルギーを自動的に選択し、挟持部材110および120間に把持された特定サイズの組織を効果的にシールすることも想定される。センサまたはフィードバック機構は、シール時に組織全体のインピーダンスも測定し、挟持部材110および120間に効果的なシールが形成されたという指標(視覚式および/または可聴式)を提供する。
【0119】
さらに、トリガ組立体70は、同じ目的を達成するために設計されたその他のタイプのリコイル機構を備えることができ、たとえば、気体作動リコイル、電気作動リコイル(つまり、ソレノイド)などが挙げられる。鉗子10は、組織に突進/切断してシールを行わないために使用することも想定される。別法によると、ナイフ組立体は、同じかまたは別の電気外科的エネルギー源に結合して、組織の切断を促進することができる。
【0120】
図面は、隔離された血管420を処置する鉗子10を示しているが、鉗子10は、隔離されていない血管にも使用することが想定される。理想的な組織平面「B−B」に沿って組織を切断するために、その他の切断機構も想定される。たとえば、1個の挟持部材は、1個の挟持部材内に着座するカム作動ブレード部材を備え、このブレード部材は、カム部材の往復運動後、長手方向軸「A」に実質的に垂直な平面に沿って組織を切断するように付勢されると考えられる。
【0121】
別法によると、形状記憶合金(SMA)は、温度または応力が変化してオーステナイト状態からマルテンサイト状態に転換した後に組織を切断するために使用される。詳細には、SMAは、記憶および訓練可能性という擬人化品質を有する合金族であり、医療器具に使用するのに特に良く適する。SMAは、制御システムのアクチュエータ、操縦可能なカテーテルおよびクランプなどの品目に応用される。最も一般的なSMAは、2つの異なる物理的構成の形状記憶を維持することが可能であり、温度の関数として形状を変化させるニチノールである。最近、その他のSMAが、銅、亜鉛およびアルミニウムに基づいて開発され、類似の形状記憶維持機構を有する。
【0122】
SMAは、温度および/または応力が変化すると、結晶相の遷移を生じる。SMAの特に有用な属性は、温度/応力により変形した後、元の温度に戻ると完全に元の形状を回復できる点である。この変形は、熱弾性マルテンサイト変態と呼ばれる。
【0123】
通常の条件下では、熱弾性マルテンサイト変態は、合金自体の組成、および合金が製造される熱機械的プロセスのタイプに応じて変化する温度範囲で生じる。つまり、SMAが形状を「記憶」する温度は、マルテンサイトおよびオーステンサイト結晶が特定の合金で形成される温度の関数である。たとえば、ニチノール合金は、形状記憶硬貨が広範な温度範囲、たとえば−270℃〜+100℃で生じるように製造することができる。
【0124】
本明細書で図示および説明する挟持部材は、互いに対して枢動可能に移動可能で、間に組織を把持する挟持部材を示しているが、鉗子は、一方または両方の挟持部材を互いに対する第1の並列位置から、組織に対する第2の接触位置に移動させる何らかの方法で、挟持部材を実装するように設計することも想定される。
【0125】
エンドエフェクタの外面は、ニッケルベースの材料、コーティング、型打ち、金属射出成形を含み、エンドエフェクタ(または、その構成要素)間の付着を減少させ、作動時およびシール時に組織を包囲するように設計することが想定される。さらに、エンドエフェクタの組織接触表面112および122は、以下の材料の1つ(または、1つもしくは複数)から製造される:ニッケル−クロム、窒化クロム、オハイオ州のエレクトロライジング・コーポレーション(The Electrolizing Corporation)が製造するMedCoat 2000、インコネル600およびスズ−ニッケル。組織接触表面には、同じ結果、つまり「不粘着性表面」を得るためにも、上記材料の1つまたは複数がコーティングされる。好ましくは、不粘着性材料は、機械的な歯の付着を防止するために、滑らかな表面を形成するクラスの材料である。理解され得るとおり、シール時に組織が「粘着」する量を減少させると、器具全体の効率が改善する。
【0126】
実験結果は、シール表面112および122により組織に加わる圧力の大きさは、適切な外科的結果を保証する上で重要であることを示唆している。約3kg/cm〜約16kg/cmの動作範囲内の、および好ましくは7kg/cm〜13kg/cmの動作範囲の組織圧は、動脈および維管束をシールする上で効果的であることが分かっている。好ましくは、4本バーハンドル組立体30、ばね22および駆動組立体は、これらの動作要素、つまり4本バーハンドル組立体30(および、その内部の可動部品)、ばね22および駆動組立体21の協働により、組織圧は動作範囲を超える範囲に維持されるように製造され、寸法を決定される。別法によると、ハンドル組立体30、ばね22または駆動組立体30は、これらのその他の動作要素の寸法および特性に関係なく、上記の動作範囲内の組織圧を生成するように製造され、寸法を決定される。
【0127】
上記のとおり、挟持部材110および120の組織シール表面112および122は、これらの不粘着性材料から製造するか、またはこうした材料をコーティングできることも想定される。これらの材料は、シール表面112および122上に使用する場合、部分的に表面組織による粘着性、並びに生物学的組織の存在下における電気的効果および腐食による表面破壊に対する感受性をなくすために最適な表面エネルギーを提供する。これらの材料は、ステンレス鋼上で比較的優れた不粘着性を示し、圧力および電気外科的エネルギーに対する暴露により、組織の付着に比較的敏感な局所的「ホットスポット」を形成する可能性がある領域において、鉗子10に使用するべきであると想定される。理解され得るとおり、組織がシール時に「粘着」する量を減少させると、器具全体の効率が改善される。
【0128】
上記のとおり、不粘着性材料は、以下の「不粘着性」材料の1つ(または1つまたは複数の組合せ)から製造される:ニッケル−クロム、窒化クロム、MedCoat 2000、インコネル600およびスズ−ニッケル。たとえば、高ニッケルクロム合金、Ni200、Ni201(〜100% Ni)は、金属射出成形、型打ち、機械加工または類似のプロセスにより、電極またはシール表面状に製造される。また、上記のとおり、組織シール表面112および122には、同じ結果、つまり「不粘着性表面」を得るために、1つまたは複数の上記材料も「コーティング」される。たとえば、窒化物コーティング(または、1つもしくは複数の上記材料)は、蒸着製造技術を用いて、コーティングとして別のベース材料(金属または非金属)上に付着される。
【0129】
本明細書に開示するある特定クラスの材料は、優れた不粘着特性、および場合により優れたシール品質が実証された。たとえば、窒化物コーティングは、不粘着目的に使用する好ましい材料であり、たとえばTiN、ZrN、TiAlNおよびCrNが挙げられるが、これらだけに限らない。CrNは、全体の表面特性および最適な性能の点で、不粘着目的に特に有用であることが分かっている。その他のクラスの材料も、全体的な粘着性を減少させることが分かった。たとえば、約5:1のNi/Cr比を有する高ニッケル/クロム合金は、バイポーラ器具類における粘着性を著しく減少させることが分かった。このクラスの特に有用な1つの不粘着性材料は、インコネル600である。Ni200、Ni201(〜100% Ni)から製造されたか、これらをコーティングされたシール表面112および122を有するバイポーラ器具類も、代表的なバイポーラステンレス鋼電極における不粘着性が改善されたことを示した。
【0130】
一例として、窒化クロムは、薄く均一なコーティングを電極全体の表面に塗布する物理的蒸着(PVD)プロセスを使用して塗布される。このコーティングは、いくつかの効果を生じる:1)コーティングは、金属表面上の微細構造内に充填され、組織を電極に機械的に付着させるのに役立つ;2)コーティングは非常に硬質であり、酸化および腐食を最低限にする非リアクタンス性材料である;3)コーティングは、ベース材料に比べて抵抗性で、電極表面の加熱を生じ、脱水およびシール品質をさらに強化する。
【0131】
インコネル600コーティングは、テキサス州、コンローに所在のスペシャル・メタルズ・インク(Special Metals,Inc.)が製造するいわゆる「超合金」である。この合金は、腐食および熱に対する抵抗性を要する環境で主に使用される。インコネルの高ニッケル成分は、材料を特に耐有機腐食性にする。理解され得るとおり、これらの特性は、当然高温、高RFエネルギーおよび有機物に暴露されるバイポーラ電子外科的器具に望ましい。さらに、インコネルの抵抗性は、一般に、脱水およびシール品質をさらに強化するベース電極材料より高い。
【0132】
本明細書に開示するとおり、本発明は、異なる電位を有する対向導電性シール表面を介して電気外科的エネルギーを伝達し、血管をシールする方法に関する。しかし、本明細書で考察する現在開示されている実施態様は、いわゆる「抵抗加熱」を用いて組織構造をシールするように設計され、表面112および122は、必ずしも導電性表面である必要はない。むしろ、各々の表面112および122は、従来の「ホットプレート」のように加熱され、したがって、表面112および122は協働して、接触後に、(または、作動後に各々の表面112および122を選択的に加熱するスイッチ(図示しない)の作動後に)組織をシールする。この実施態様では、抵抗加熱は、大きい加熱ブロック1500(図35Aおよび図35B)抵抗性加熱ワイヤ、可撓性箔ヒータ、抵抗性ワイヤ可撓性ヒータおよび/または外部加熱要素を使用して達成される。温度を約125℃〜約150℃の範囲で制御することにより、圧力は約100psi〜約200psiの範囲で制御され、隙間距離が調整される。
【0133】
また、組織は、無線周波(RF)エネルギーを使用してシールおよび/または溶融する。この実施態様では、RFエネルギーを伝達する電極は、大きい固体ブロック、または絶縁体で分離された複数の比較的小さいブロックとして構成される。詳細には、外科医は、1対の熱的に隔離された挟持部材110および120に対するRFエネルギーの伝達を電気的に調整し、その結果、抵抗媒体として作用する組織を通してRFエネルギーを伝達する。RFエネルギーを調整することにより、組織の温度は容易に制御される。さらに、上記の様々な実施態様に関して説明したように、挟持部材110および120間の閉鎖圧力は、やはりハンドル組立体30の1個または複数の要素、たとえば可動ハンドル40、固定ハンドル50、フランジ92、軌道54などを調節することにより、選択的に調整することができる。
【0134】
好ましくは、閉鎖圧力は、約100〜約200psiの範囲である。RFエネルギーおよび圧力を制御し、隙間距離「G」を導電性表面112および122間で約0.005mm〜約0.015mmの範囲に維持することにより、広範な組織タイプで効果的かつ一貫した組織シールを達成することができる。
【0135】
別法によると、鉗子10は、上記の1つまたは複数の技術の組合せ、および外科医が、異なる加熱技術を選択することを可能にするスイッチ(図示しない)を採用することができる。
【0136】
現在説明されている鉗子は、標準サイズのカニューレを通して組織をシールおよび分割するように設計されているが、本開示の想定される1つの実施態様は、5mmのカニューレに適合する寸法に特に構成される小径のシャフト12およびエンドエフェクタ組立体100を含む。理解され得るとおり、比較的小型の手術器具を使用すると、患者には非常に有益である可能性がある(つまり、外傷、治療中の瘢痕組織の減少)。
【0137】
好ましくは、現在開示されている鉗子は、外科医が、組織に伝達される電気外科的エネルギーを選択的に制御することを可能にする足踏みスイッチ(図示しない)に電気的に結合するように設計される。図34Aおよび図34Bは、本開示の別法による実施態様を示し、鉗子は、トリガ組立体70上に位置するハンドスイッチ1200を介して作動する。詳細には、トリガ70の何れかの側に配置されたハンドスイッチ1200は、1対のウェハスイッチを備える。ウェハスイッチ1210は、筐体20内に配置された電気コネクタ1220と協働する。ウェハスイッチ1210は枢動ピン77に対して実装され、トリガ組立体70の作動後、ウェハスイッチ1210は、コネクタ1220との電気接点から意図的に移動されると想定される。理解され得るとおり、これは、切断時に、挟持部材110および120が偶発的に作動するのを防止する。別法によると、その他の安全機構を使用しても良く、たとえば、トリガ組立体70の作動後にコネクタ1220からスイッチ1210を絶縁するカバープレート、カットオフスイッチなどが挙げられる。
【0138】
上記のとおり、ナイフブレード205に通電することも想定される。ウェハスイッチは、ある位置では、作動後に挟持部材110および120を作動させ、別の位置では、ナイフブレード205を作動させるように再構成することができると想定される。別法によるとウェハスイッチは、上記のとおり、ブレード205および挟持部材110および120の両方に同時に通電するように設計される。この場合、ブレード205は、短絡を防止するために絶縁する必要がある。
【0139】
理解され得るとおり、ハンドスイッチ1200を鉗子10上に配置すると有利である。たとえば、ハンドスイッチは、手術室内の電気ケーブルの量を減少させ、「視野方向」作動により、外科手術時に誤った器具を作動させる可能性をなくす。さらに、トリガを作動させる時にハンドスイッチ1200を非作動状態にすると、切断プロセスでデバイスを不注意で作動させることがなくなる。
【0140】
また、ハンドスイッチ1200は、鉗子10の別の部分、たとえばハンドル組立体30、回転組立体、筐体20などの上に配置されることも想定される。さらに、ウェハスイッチを図示するが、外科医が、挟持部材またはブレード205に対する電気外科的エネルギーの量を選択的に制御することを可能にするその他のタイプのスイッチも使用され、たとえばトグルスイッチ、ロッカースイッチ、フリップスイッチなどが挙げられる。
【0141】
また、ナイフブレード205の代わりに、本開示は、挟持部材110および120間の中間に配置されたいわゆる「熱線」(図示しない)を備えることも想定され、これは、使用者が、シール後に組織を分割するために選択的に作動させることができる。詳細には、別個のワイヤが挟持部材、たとえば110および120間に実装され、トリガ組立体70、ハンドスイッチ1200などの作動後に選択的に移動可能かつ通電可能である。また、「熱線」は、使用者がワイヤを非作動状態または作動状態に移動させることができるように構成され、その結果、理解され得るとおり、使用者は、必要な場合、組織を逆行程で切断することが可能になることも想定される。たとえば、熱線は、挟持部材、たとえば110に固定され、他の挟持部材、たとえば120に対して摩擦嵌合で保持され、把持時および/または熱線を非作動状態で遠位に移動させる時に、組織または血管が挟持部材110、120間を通過することを可能にする。使用者は、シールした後、熱線に通電した状態でワイヤを引っ込めると、修正行程で組織を切断することができる。
【0142】
また、熱線は、各々の端部をそれぞれの挟持部材110、120に固定した状態でセグメント化し、挟持部材110、120に固定すると想定される。これは、2本の対向する熱線が、一方向に自由に枢動することを可能にし(つまり、組織が、挟持部材110、120間で一方向に、たとえば収縮して移動することを可能にする)、組織が対向方向に貫通して移動することを制限する。
【0143】
もう1つの実施態様では、熱線は、高温(つまり、非絶縁)前縁、および戻り行程における炭化を防止する絶縁後縁を含む。
【0144】
現在開示されている挟持部材110および120は、断続的なシールパターン1460a(図35C)および1460b(図35D)を含むことができると想定される。断続的なシールパターン1460a、1460bは、組織の生存能力を維持し、組織シール領域外における組織の付随的な損傷を減少させることにより、治癒を促進すると考えられる。組織の損傷が減少すると、連続的な脈管化により組織が壊死する可能性を減少させることにより、治癒を促進することが周知されている。図35Aおよび図35Bの断続的なシールパターン1460a、1460bは、それぞれ、隣接するシール領域から絶縁して隔離された制御領域に熱エネルギーを供給する。このパターンは、好ましくは、シール強度を最大限にし、しかも脈管化に実行可能な経路を提供するように設計される。
【0145】
図36〜図38Bは、本開示の別法による実施態様を示し、鉗子10は、シャフト12の外周部周囲に配置された長手方向に往復運動するチューブタイヤ切断機2000を備える。切断機2000は、好ましくは、組織がシールされた後に、上記の理想シール平面「B−B」に沿って組織420を切断するように設計することが好ましく、理解され得るとおり、一般的に、外科医は、組織420を再度把持して管切断機2000を整列させ、シール平面「B−B」の意図された切断経路に沿って長手方向に管切断機2000を往復運動させる必要がある。詳細には、管切断機2000は、シャフト12を摺動的に往復運動させる内部室2032を有する長形管2012と、ほぼU形のノッチ付きブレード2020を有する切断部分2014とを備える。好ましくは、管切断機2000は、一般に、約1.0〜5.0mm厚さの薄い壁を有する。
【0146】
陥凹または偏位した切断領域2018は、U形ブレード2020に隣接して設けられ、挟持部材110および120により把握された組織420を切断するために、1対の隣接する切断縁部2022aおよび2022bを備える。理解され得るとおり、隣接切断縁部2022aおよび2022bは、U形ブレード2020の内周部に沿って配置される。
【0147】
好ましくは、陥凹した切断領域2018、つまりU形ブレード2020は、面取りまたは傾斜付き表面2024を備え、この表面は、管2012の外面から内側に傾斜して、操作および取り扱い時に周囲組織と偶発的に接触するのを防止し、つまり、内側に角度が付いて傾斜した表面2024は、外科医が意図的に作動させる前に、望ましくないブレード2020が組織に接触するのを防止する。さらに、意図した切断領域2018は陥凹しているため、鉗子10は、挟持部材110および120間に保持される血管または組織420を配置するために使用され、使用時に組織または血管420を切断または損傷する恐れはない。一実施態様では、傾斜表面2024は、長形の管2012の外面から約30〜45°の角度で傾斜する。
【0148】
切断領域2014は、ブレード2020から遠位に延在する2個のアーム2025aおよび2025bも備える。好ましくは、2個のアーム2025aおよび2025bは、長形管2012の外周部と実質的に同じ平面に存在し、組織420を陥凹または偏位切断領域2018内に容易に導入または「供給」できる寸法に決定する。詳細には、各々のアーム2025aおよび2025bは、それぞれ直線部分2030aおよび2030bを備え、これらの部分は、共に協働して、管切断機が組織420方向に遠位に移動した時に、切断領域2018内に組織420を導入する。丸みのある遠位端2033aおよび2033bは、直線部分2030aおよび2030bの一方または両方の遠位端上にそれぞれ備えられ、切断領域2018内に組織420を精密に配置することを容易にする。たとえば、図36に最も良く示されているように、組織420は、最初、遠位端2033aおよび2033b間に切断領域2018内の遠位端2033aおよび2033b間に導入される。切断機2000が、以下で詳細に説明するように遠位に、つまり作動後に移動すると、組織420は、直線部分2030aおよび2030bにより切断領域2018内にガイドされ、切断領域2022aおよび2022bと接触する。
【0149】
好ましくは、切断機2000は機械的アクチュエータ2050を備え、このアクチュエータ2050は、組織420が挟持部材110および120間に把持されるか、および/または把持およびシールされると、切断機2000を作動させる。機械的アクチュエータ2050は、特定の目的に応じて、または特定事象もしくは時間系列の作動後に、手動(たとえばトリガ)または自動的に作動され得ることが想定される。機械的アクチュエータ2050は、1個または複数の安全機構、たとえばロックアウトタブ、電気回路、センサフィードバック機構(図示しない)を備え、把持またはシール時に切断機2000が偶発的に作動するのを防止する。単純に、切断機2000は、挟持部材110および120が開放構成で配置された場合に、作動を防止される。切断機2000は、特定の目的に応じて血管をシールする前後に作動させることができると想定される。さらに、図38Bに最も良く示されているとおり、切断機2000は、切断を容易にするために電気外科的エネルギー源、たとえばRF、超音波などに結合されるか、または抵抗加熱される。たとえば、挟持部材110および120に通電する第2電気外科的発電機2060(または同じ発電機)は、切断機2000電気外科的エネルギーを供給するリード2062に結合される。別法によると、切断機2000は、組織420を単純に機械的に切断する。
【0150】
図38Aに最も良く示されているとおり、切断機2000は、鋸歯状の切断縁部2128Aおよび2128bを備え、切断を強化すると想定される。別法によると、切断縁部2028aおよび2028bは実質的に鈍いが、それでもなお、シールされた組織420を切断すると考えられる。たとえば、切断機2000は、ばね状アクチュエータ(図示しない)を備え、このアクチュエータは、シール平面「B−B」または2つのシール間に沿って組織420を切断するのに十分な予め決められた力で、組織420を貫通して切断縁部2028aおよび2028b(または2022aおよび2022b)を迅速に前進させる。
【0151】
図38Bに最も良く示されているとおり、切断機は、組織420の切断を容易にするためのコーティング2222を含む。このコーティングは、機械的切断を容易にするために、Teflon(登録商標)という商標で市販されているポリマーまたはポリテトラフルオエチレン(またはTeflon状物質)を含有する樹脂状フッ素を含むことができるか、または電気外科的切断を促進するための導電性コーティングで良い。別法によると、コーティング2222は、作動時のフラッシュオーバまたは熱の拡散を減少させるために事実上導電性であるか、または粘着を減少させるように設計すると良い。これらのコーティングの多くは、本願の出願人の同時係属先出願、つまり米国特許出願第10/116,944号、PCT出願PCT/US02/01890号およびPCT出願PCT/US01/11340号に記載されており、これらのすべての出願は、引用することにより全体を本願に援用する。
【0152】
図37Aおよび図37Bを比較すると最も良く分かるとおり、管切断機2000は、長手方向軸「AA」に沿って長手方向に往復運動して、組織シール平面「B−B」に沿って挟持部材110および120に隣接して組織420を切断するように設計される。理解され得るとおり、これは、一般に、組織420を再度把持して、組織シール平面「B−B」が挟持部材110および120の切断側に配置する必要がある。別法によると、図37Bに示すように、切断機2000は、組織420を貫通して遠位に移動する時に、コルクスクリュー状に回転するように設計される。これは、切断プロセスを強化する。切断機2000は、2個の挟持部材の一方、たとえば110の陥凹部分内に配置され、切断機2000が組織420を貫通して、または挟持部材110の周囲で単純に回転し、長手方向軸「AA」に沿って移動しない(つまり、軸「AA」に沿って最小限にのみ移動する)ように設計されると想定される。
【0153】
管切断機2000は、u形ブレード2020の対向側に配置された長形のチャネル2040も備える。チャネル2040は、切断機2000が挟持部材110および120上を妨げられずに遠位に容易に遠位に移動し、組織420の対向(つまり未切断)端部が、切断プロセスで挟持部材110および120を通過して自由に近位に移動するのを可能にするために必要である。別法によると、切断機2000は、ほぼ弓形またはスリーブ状であり、流行の管状ではないように設計される。この構造は、未切断の組織420端部が、切断時に挟持部材110および120を通過して自由に近位に移動することも可能にする。
【0154】
図39Aおよび図39Bは、本開示の鉗子3000のさらにもう1つの実施態様を示し、一側性の挟持部の閉鎖機構3010が組織420を把持するために使用される。詳細には、鉗子3000は、長形シャフト3012の遠位端に配置された第1つまり上部挟持部材3110と、第2つまり可動部品挟持部材3120とを備える。この一側性の閉鎖機構3010は、本明細書に記載する腹腔鏡、バイポーラまたはモノポーラ電気外科的デバイスに使用するように設計される。
【0155】
一側性の閉鎖機構3010は、シャフト3012に実装された1個の静止挟持部材3120と、シャフト3012に取り付けられた枢動ピン3160の周囲に実装された枢動挟持部材3110とを備える。往復運動するスリーブ3130は、シャフト3012の外周部周囲に配置され、好ましくは、使用者が遠隔操作可能である。枢動挟持部3110は、挟持部材3110から、外側スリーブ3130内に配置された開口3150を通って延在する戻り止めまたは突出部3140を備える。枢動挟持部3110は、スリーブ3130をシャフト3012の外側に沿って軸方向に摺動させ、開口3150を枢動挟持部3110上の戻り止め3140に当接させることにより作動する。スリーブを近位に引っ張ると、挟持部材3110および3120は、間に把持された組織420の周囲で閉鎖し、スリーブ3130を遠位に押すと、挟持部材3110および3120は遠位に開放し、その後の接近に備える。
【0156】
本開示の図39Bおよび図39Cに最も良く示されているとおり、ブレードまたはナイフチャネル3170は、挟持部材3110および3120の中心を通過し、ブレード3190は、挟持部が閉鎖している時にのみ、挟持部材3110および3120間に把持された組織420を切断する。詳細には、ブレード3190は、挟持部材3110および3120が閉鎖し、その結果、組織420を貫通するブレード3190の偶発的または早期の作動が防止される場合、組織420を貫通して前進することのみ可能である。簡単に述べると、挟持部材3110および3120が開放して整列し、挟持部材3110および3120が閉鎖した時に作動する場合、ナイフチャネル3170は閉鎖される。さらに、一側性の閉鎖機構3010は、電気エネルギーが、スリーブ3130との突出接点3180においてスリーブ3130を通る経路を取ることができるか、または「ブラシ」またはレバー(図示しない)を使用して、挟持部が閉鎖する時に、移動する挟持3110の裏側に接触するように構成することができる。挟持部材3110は、別個のアクチュエータ(図示しない)により、同時または独立して閉鎖および通電されると想定される。
【0157】
詳細には、スリーブ3130が遠位に押されると、開口3150の最も近位の部分は突出部に当接して、挟持部材3110を枢動させて開放構成にする。好ましくは、開口と突出部3140との間の接点3155は、鉗子3000の早期の作動を防止するために絶縁される。スリーブが近位に引っ張られると、スリーブの最も遠位の部分は突出部3140に当接し、挟持部材3110を閉鎖する。好ましくは、最も遠位の接点3180は、シール目的で、スリーブ3130を通る挟持部材3110および3120を導通状態にする。
【0158】
理解され得るとおり、こうした構造は、少なくとも2つの重要な安全上の特徴を提供する:1)挟持部材3110および3120が開放されている時、ブレード3190は延在することはできない;および2)挟持部材3110および3120との導通状態は、挟持部が閉鎖された時に得られる。
【0159】
移動挟持部3110は、切断に使用される械的エネルギー、電気エネルギーまたはこれらの組合せとしても機能すると想定される。たとえば、ブレードチャネル3170は、挟持部材3110および3120が組織420の周囲で閉鎖した後、別個に作動する機械的切断機構または伝機械的切断機構(本明細書の何れかで説明する)を備える。また、スリーブ3130は、ばね組立体(図示しない)に対して付勢され、作動時の機械的利益を増加すると想定される。様々な機構は、挟持部材3110および3120間の閉鎖力を増加するための機械的利益を提供するために使用され、たとえば2本、3本および/または4本バー機械式リンク機構、油圧機構、電子支援アクチュエータ、カム機構、ギヤ組立体などがあると考えられる。
【0160】
本開示のもう1つの実施態様は、挟持部材3110および3120の一方または両方の非導電性構成要素(つまり、導電性表面を包囲する領域)に、Teflon(登録商標)という商標で市販されているポリマーまたはポリテトラフルオエチレン(またはTeflon状物質)を含有する樹脂状フッ素から製造される合成シールコーティング3300(図39Aおよび図39B参照)を使用するかどうかに関わらず、硬質陽極酸化アルミニウム3200を使用して、電気外科的作動時における2個の挟持部材3110および3120間の電気経路を制御し、粘着性を減少させることを含む。組織の粘着性を減少させる傾向があるその他の材料としては、ニッケル−クロム、窒化クロム、Ni200、Ni201、インコネル600、スズ−ニッケルが挙げられる。硬質陽極酸化アルミニウム3200を少なくとも1個の挟持部材3110の非シール表面に使用すると、挟持部材3110および3120を互いに電気的に隔離し、電気外科的エネルギーを導電性シール表面間に閉じ込めると想定される。不粘着性コーティング3300は、シールプロセスにおいて、挟持部に対する組織420の望ましくない付着を減少させる。
【0161】
好ましくは、硬質陽極酸化アルミニウム3200は、高度の絶縁耐力および良好な耐摩耗性を有し、約0.001〜約0.003インチの厚さを有する。アルミニウムの挟持部材3110および3120を周囲の他の構成要素から電気的に絶縁すると、電気経路を挟持部材3110および3120間に限定し、付随的な組織の損傷を生じる可能性がある代替電流路をなくすことが分かっている。
【0162】
主題の装置について、好ましい実施態様に関して説明してきたが、当業者には、主題の装置の精神または範囲を逸脱せずに、これらの実施態様に変更および修正を加えることが可能であることは容易に理解可能であろう。
【0163】
図40Aおよび図40Bは、本開示のもう1つの実施態様を示し、器具4000は、多位置ハンドル組立体4020、内視鏡シャフト4012および回転組立体4080を備える。開店可能な組立体4080は、公知の方法で、たとえば図1〜図39Cに関して説明したように、ハンドル組立体4020に関連して軸方向に固定および回転可能である。内視鏡シャフト4012は、回転可能組立体4080内に固定され、ハンドル組立体4020に関連する回転可能組立体4080の回転は、内視鏡シャフト4012の回転を生じる。エンドエフェクタ組立体100は、上記のとおりシャフト4012の端部に取り付けられる。
【0164】
ハンドル組立体4020は、第1固定把持部4050aおよび第2固定把持部4050bを含むほぼT形のハンドル部分4050を備える。第1固定把持部4050bは、器具4000を貫通して配置された長手方向軸「AA」とほぼ軸方向に整列する。以下で詳細に説明するとおり、これは、直列の器具4000、たとえば垂直に向いたカニューレ(図示しない)を貫通して配置された場合に器具4000の把持および操作を容易にする。第2固定把持部4050bは、好ましくは約90°の角度で器具4000を貫通して配置された長手方向軸「AA」とほぼ横断するように整列する。以下で詳細に説明するとおり、これは、使用者が、器具をピストル状に把持して操作することを可能にする。
【0165】
第1作動ハンドル4040aは、第1把持部4050aにほぼ隣接して配置されて、ハンドル組立体内に実装され、外科医が、組織を挟持部材110および120間に配置して接近することを可能にする最も遠位の第1位置(図20参照)と、外科医が、組織を対向する挟持部材110および120間に係合させて把持することを可能にする比較的近位の位置(図26参照)との間で移動する。組織に接近して把持するための挟持部材110および120の運動に関連する様々な内部構成要素の相互作用関係については、上記で詳細に説明する。第1作動ハンドル4040aは、固定把持部4050aと協働して、器具4000をピストル状に取り扱って作動させることを促進する。理解され得るとおり、器具をピストル状に取り扱うと、Z平面における手術領域内に器具の軌道を容易に再配置することができ、長手方向軸「AA」の周囲における軸方向の回転(つまり、Z平面に沿った、X軸周囲の回転)を容易にする。
【0166】
第2作動ハンドル4040bは、第2把持部4050bにほぼ隣接して配置されて、ハンドル組立体内に実装され、外科医が、組織を挟持部材110および120間に配置して接近することを可能にする第1位置(図20参照)と、外科医が、組織を対向する挟持部材110および120間に係合させて把持することを可能にする、把持部4050bに比較的近い第2位置(図26参照)との間で移動する。第2作動ハンドル4040bは、固定把持部4050bと協働して、器具4000を長手方向に整列するように取り扱って作動させることを促進する。理解され得るとおり、器具を長手方向に整列した位置で取り扱うと、手術領域のYおよびZ平面内に器具の軌道を容易に再配置することができる(つまり、YおよびZ平面に沿った、X軸周囲の軌道運動)。
【0167】
図40Bに最も良く示されているように、第1および第2作動ハンドル4040aおよび4040bは、作動リンク4075により共通に結合され、外科医は、何れかの作動ハンドル4040aおよび4040bを使用して、駆動組立体の上記の相互作用構成要素を作動させて、組織420の周囲に挟持部材110および120を接近させて閉鎖することができる。作動ハンドル4040aおよび4040bの組合せを使用すると、器具4000を動作キャビティ内に方向付けて組織420を把持することが容易になると想定される。
【0168】
ハンドル組立体は、一連の親指ガイドまたは親指レスト4090aおよび4090bを備え、これらは、器具4000の取り扱いおよび作動時に、外科医の親指をそれぞれ作動ハンドル4040aおよび4040bに対向して配置する(図40A)。詳細には、親指レスト4090aは、内部に画定された開口4092aであって、器具4000をピストル状に使用する時に、外科医の親指を配置する開口を備え、親指レスト4090bは、内部に画定された開口4092aであって、器具4000を長手方向に整列させて使用する場合に、外科医の親指を内部に配置する開口を備える。
【0169】
図40Aに最も良く示されているように、器具4000は、各々がナイフ組立体200を作動させる一連の第1および第2トリガ4070aおよび4070bも備える。ナイフ組立体の相互作用構成要素およびそれぞれの協働運動は、図16、図21〜図30および図34A〜図34Cに関して詳細に説明する。第1トリガ4070aは、ハンドル4040aにほぼ隣接して配置され、したがって、外科医は、自身の1本の指、たとえば人差し指を使用して容易かつ選択的にトリガ4070aを作動させることができる。図21〜図30に関して上記で述べたとおり、トリガ4070aの近位の運動は、組織420を貫通してナイフ205を遠位運動で移動させて、理想組織切断平面「B−B」(図27〜図30参照)に沿って組織420を分離する。トリガ4070aを解放すると、ナイフ205は、次の(または追加の)切断目的のために停止する。
【0170】
第2トリガ4070bは、好ましくは、ハンドル組立体4020の最も近位の部分付近に位置する。トリガ4070bは、長手方向に整列させて使用する場合、器具4000に使用するように配置される。トリガ4070aと違って、トリガ4070bは、作動後、組織420を貫通してナイフ205を遠位運動で移動させるプッシュボタントリガである(つまり、ハンドル組立体4020方向への前方プッシュボタン運動)。トリガ4070bは、好ましくは親指レスト4090bに隣接して位置し、外科医は、組織420が挟持部材110および120間に適切に配置された後、自身の親指を使ってナイフ205を容易に作動させることができる。
【0171】
トリガ4070aおよび4070bは、共にナイフ組立体200に機械的に接続され、何れかのトリガ4070aおよび4070bは、器具の特定の向き、または特定の目的に応じて、外科医が使用することができる。さらに、何れかのトリガは、何れかの作動ハンドル4040aまたは4040bを使用する時に使用される。
【0172】
上記の多位置器具4000およびハンドル4020は、開放または内視鏡手順の両方で使用することができると想定される。さらに、ハンドル構造4020は、他の手術器具と共に使用してその他の外科手術を達成することができ、たとえばエンドエフェクタ組立体100は、ステープラ、把持具、血管剖出および/または凝固ツール、または現在入手可能で、手動で作動する必要があるその他のツール組立体を含む。さらに、デバイスの個々の構成要素を構成するために使用される材料は、所望の結果を達成するために、公知の様々な材料から選択する。さらに、ハンドル4020は、様々な人間工学的に快適な特徴を備えて、取り扱いおよび使用時における器具の全体的な「感触」を強化する。たとえば、ハンドル4020は、外科手術に使用者の手に適合する輪郭を有する様々なスカラップまたは曲線を含む。さらに、ハンドルは、使用時に使用者の把持を強化するためにゴム状の表面を含む。
【0173】
親指レスト4090aおよび4090bは、使用者が、外科手術時に親指レストを使用することを好まない場合、変形する薄く柔軟なゴム材料から製造されることも想定される。この場合、使用者は、従来の方法でハンドルを単純に把持し、次に、ハンドルの外面にある陥凹領域内に親指レストを折り畳むか、または変形させる。親指レスト4090aおよび4090bは、必要な場合、ハンドル4020から選択的に取り外すことが可能であり、および/またはハンドル4020に対する別個に取り付けることができる。
【0174】
上記のとおり、約3kg/cm〜約16kg/cmの範囲の好ましい圧力で対向する電極間に適切な閉鎖力を与える器具を製造することは、特に、組み立て後に挟持部材110および120間の閉鎖力を正確に決定するという固有の問題により、困難であることが多い。理解され得るとおり、外科医が手動で、適切な範囲内の適切な閉鎖力を一貫して提供することに頼ることは難しく、結果として得られる各々のシールの有効性および品質は変動するであろう。たとえば、閉鎖力を正確に測定するという特有の問題は、非は快適な方法で閉鎖力を測定することを含む(つまり、歪ゲージまたは圧力感知フィルムなどの測定デバイスを挟持部材110および120のインターフェース間に、挟持部材の最終的な角度で配置すると、測定を妨げる)。測定デバイスは、圧力を正確に測定するために、挟持部のプロファイルのように正確に賦形する必要がある。挟持部は、停止部材をなくす必要があり、さもなければ圧力のピークのみが測定される。
【0175】
さらに、ハンドル組立体および作動組立体の内部の可動部品の製造公差は、シール表面間の全体的な閉鎖圧力に著しく影響する可能性があることが分かった。たとえば、ばね22を圧縮するために動作する上記の4本バー機械式リンク機構(つまり、可動ハンドル40、リンク65、固定ハンドル50により具現されるカム状リンク36およびベースリンク、および1対の枢動点37および67b−図13参照)の場合、各々のリンク機構とのわずかな不一致は、ばね22の全体的な圧縮長さに影響し、異なる閉鎖圧力を生じる可能性がある。さらに、ハンドル組立体30の他の相互作用要素、駆動組立体21およびカムリンク36との不一致も、ばね22の全体的な圧縮長さに影響し、異なる閉鎖圧力を生じる場合がある。
【0176】
現在開示されている方法は、組み立て後の閉鎖力を検証する単純かつ効果的な技術を提供し、鉗子は、効果的な血管シールに望ましい動作範囲内の所望の閉鎖力を挟持部材110および120間に提供することができる。この方法は、効果的な組織シールに望ましい閉鎖圧力範囲を指定するステップと、各々の挟持部材110および120の仕様が許容可能な測定範囲になるように、各々の挟持部材110および120を製造するステップであって、仕様が各挟持部材110および120の表面積、各挟持部材110および120の枢軸(つまり、枢軸凹部175−図14参照)から、各挟持部材のシール表面114および124の質量中心までの距離;各挟持部材110および120のカムスロット172および174間の角度、および各挟持部材110および120のシール表面114および124に垂直な線;カムスロット172および174から各挟持部材110および120の枢軸175までの距離;並びに各挟持部材110および120のカムスロット172および174の幅から成る群から選択されるステップと、ばね22に公知のばね定数および公知の自由長さを与えるステップと、組織400に係合する鉗子10を作動させるステップと、ばね22の圧縮長さを測定して、閉鎖圧力が指定の範囲内であるかどうかを検証するステップとを含む。
【0177】
たとえば、図41に示すように、許容可能な範囲+30%および−15%(つまり、7.225kg/cm〜11.05kg/cm)内の閉鎖圧力8.5kg/cmを得るには、エンドエフェクタ100の仕様およびばね22の仕様は、以下の範囲内であることを測定する:挟持部の表面積(SA)=0.156in;挟持部の枢軸から挟持部のシール表面の質量中心までの距離(¢)=0.693 インチ±0.005インチ;カムスロットと、シール表面に垂直な線との間の角度(β)=30°±1°;カムスロットから枢軸までの距離(CS−P)=0.156インチ±.002インチ;スロットの幅(SW)=0.065インチ±0.001インチ;ばね定数=325lb/in±10%;ばねの自由長さ=1.250インチ±0.010インチ。挟持部組立体の仕様およびばねの仕様が上記の好ましい範囲内であると決定した後、ばね22の圧縮長さを測定して、閉鎖圧力が上記の範囲内であることを検証する。
【0178】
鉗子は、視覚式または可聴式指標(図示しない)を備え、検証目的で、圧縮羽長さを容易かつ正確に検証することを可能にすることが想定される。たとえば、カラーガイドまたはタブ(図示しない)は、圧縮ばね長さをハンドル組立体20の外側に示すようにばね22と結合する。好ましい閉鎖圧力を検証するには、使用者は、単に鉗子10を作動させて、ばね22の圧縮長さが正確な範囲内であることを確認する。別法によると、一連の目盛りまたは表をハンドル組立体の外輪に含み、閉鎖圧力をばね22の圧縮長さと視覚的に関連付けることができる。
【0179】
本開示のいくつかの実施態様を図示したが、実施態様は、開示事項をこうした実施態様に限定することを意図するのではなく、開示事項を技術的に許容可能な広範な範囲にし、仕様が同様に解釈されることを意図する。したがって、上記の説明は、制限的であると解釈するのではなく、単に好ましい実施態様の例示であると考えるべきである。当業者は、本明細書に付随する請求の範囲の適用範囲および精神の範囲内で、その他の修正を想像するであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイポーラ鉗子であって
対向する挟持部材を遠位端に有するシャフトと、
前記挟持部材を互いに対して、挟持部材が互いに対して離間配置される第1位置から、挟持部材が協働して組織を間に把持する第2位置に移動させるための駆動組立体と、
ハンドルであって、
前記駆動組立体を独立して作動させて、前記挟持部材を移動させるための第1把持部分および第1移動可能アクチュエータと、
前記駆動組立体を独立して作動させて、前記挟持部材を移動させるための第2把持部分および第2移動可能アクチュエータとを有するハンドルと、
各挟持部材に接続され、挟持部材が、間に保持された組織を通してエネルギーを伝達して組織シールを達成するための電気エネルギー源と、
前記組織シールに沿って組織を切断するための選択的に前進可能なナイフ組立体とを備える、バイポーラ鉗子。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34A】
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【図34B】
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【図34C】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39A】
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【図39B】
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【図39C】
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【図39D】
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【図40A】
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【図40B】
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【図41】
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【公開番号】特開2010−131408(P2010−131408A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−3083(P2010−3083)
【出願日】平成22年1月8日(2010.1.8)
【分割の表示】特願2006−503372(P2006−503372)の分割
【原出願日】平成16年2月6日(2004.2.6)
【出願人】(300044528)コヴィディエン アクチェンゲゼルシャフト (87)
【Fターム(参考)】