血管内治療装置
人間のまたは動物の体内の血管壁の目的エリアを治療するための収縮可能な治療装置(81)は、好ましくは環状の形状(82)を有するメッシュ部分を有し、血管内で目的エリアへの移動を可能とする収縮構成および目的エリアの治療を可能とする拡張構成を有する。治療器具は、メッシュ部分および隆起部上にあり、隆起部は、メッシュの一部であるかまたは被覆上に提供され、血管内で移動する間、治療器具と接触しないよう血管を保護する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療装置に関する。特に、本発明は、動脈/静脈等の血管または他の中空臓器を含む内部体腔を治療するためのカテーテルベースの医療装置に関する。
【背景技術】
【0002】
人体内に医療装置を挿入すべき医学的理由は多数ある。医療装置が挿入される間の手順の侵襲性を最小限とするためには、大きな外科的切開を必要としない装置を使用することが望ましい。体内の目的部位において、膨張すること、切断すること、刻むこと、または注入することを行う多数の装置が知られている。
【0003】
外傷を軽減するために、医療装置はしばしば体内の既存の血管を通して挿入される。特定の血管に対しては、切開が必要とされない。体内の脈管構造を形成する血管等の、他の血管に対しては、適切な血管に入るために、わずかな切開が必要となる。適切な血管内に挿入されると、次に、医療装置は血管に沿って進められ、目的部位へと達し得る。そうして、医療装置の機能を目的部位において使用することが可能となる。係る機能は、作用物質を送達すること、ステント等の医療装置を送達すること、拡張すること、刻むこと、摩擦すること、切断すること、注入すること等を含む。
【0004】
係る最小の侵襲性を有する装置を用いてしばしば治療される1つの目的部位が、石灰化病変を含む病変、部分閉塞、および完全閉塞である。目的部位は、分岐部位を含む、脈管構造の任意の部分で見出され得る。しばしが冠動脈または末梢動脈が、係る病変のための治療を受ける。
【0005】
上述した種類の医療装置が多数知られており、特定目的の機能のために生産されてきた。多くは、カテーテルベースの装置である。
【0006】
特定の状況では、ステントを埋め込むことは望ましくなく、スタンドアロンの拡張手順が好適となることもある。したがって、ステントの必要性を除去し得る装置を提供することが望ましい。長期にわたり失われる部位の治療の利益のために、治療された目的部位における改善された状況(例えば、改善された内腔径の増加等)の退行を防ぐことに効果的な装置を提供することが望ましい。加えて、他の状況においては、従来の血管形成術用拡張カテーテルは、石灰化された目的部位(または困難な目的部位)を拡張し得ず、血管形成力に焦点を合わせる専門医用の装置が、手順を成功させるために必要となり得る。
【0007】
米国特許公開第2004/0143287号には、先端部にバルーンを有する粥腫スコアリングカテーテルが記載されている。この装置は、非軸方向のスコアリングシェルを含むものである。ニチノールワイヤを備えるバルーンカテーテル装置であるこの装置は、Angioscore(登録商標)社からAngioSculpt(登録商標)という品名で商業的に入手可能である。なお、この装置はニチノールワイヤを備え、各ニチノールワイヤは、スコアリングエレメントを形成する角のあるコーナーを有する。この装置が脹らむと、血管を拡張させ、血管における病変を刻む。この装置は、標準的なバルーン拡張のみによるよりも、内腔径の増加が大きい。本特許文献には、この装置のスコアリング構造が、溝が施されたケージであり得ることが説明されている。1つの実施形態においては、バルーンの周囲で拡張するリングが説明されている。3つに別れた形のバルーン上にスコアリングエレメントが存在する、1つの実施形態が説明されている。それでもなお、ワイヤ、ケージ、切断器具、またはバルーン上のブレードによる意図しない創傷の危険性が存在する。
【0008】
米国特許公開第2007/0198047号には、カテーテルの先端部に固定された膨張可能なバルーンを有するカッティングバルーン組立体が記載されている。この装置はカバーを備え、このカバーは、展開可能であり、且つカッティングエッジのアレイを有する。このカバーは、バルーンの外側表面の周りに延長し、バルーンの外側表面の上方に盛り上がる。このカバーは、プラスチック、金属、または可撓性を有するポリウレタン繊維の織物から作られたものである。このカバーは、バルーンが脹らむとともに拡張し、バルーンが萎むとともに収縮する。このカバーは、鋭い外側表面を有し、鋭い外側表面により病変その他が引き裂かれる。カバーが鋭い性質を有するため、バルーンが萎んだ状態においてさえ、体内における装置の移動経路に沿って、創傷が生じる危険性が存在する。
【0009】
米国特許公開第2005/0080478号には、カッティングバーまたはカッティングブレードを有する、永久に埋め込まれるステントが記載されている。ブレードの端部が、角を有するかまたは斜面となっており、ブレードは閉塞箇所に切り込むことが可能である。依然として、ステントを挿入する際に、体内における移動経路に沿って創傷が生じる危険性が存在する。
【0010】
米国特許公開第2004/0215223号には、カッティングステントおよびバルーン装置が記載されており、このバルーンには、バルーンが脹らむ際の長手方向の成長を最小限にするために、液晶ポリマーフィブリルが提供されている。バルーンは、ステントを目的エリアに送達するために用いられる。
【0011】
米国特許第7,279,002号には、カッティングブレードを有する埋め込み可能なステント、カッティングブレードを有する膨張可能なバルーンを備えるカテーテル、およびカッティングブレードを備える被覆またはスリーブを含む、いくつかの装置が記載されている。ステントを包囲する被覆が説明されている。特定の実施形態において、ブレードの一部等の、ステントの少なくとも一部は、形状記憶材料製である。ブレードは、接着または溶接により、ステントに取り付けられる。あらかじめ設定された形状記憶は、ブレードを拡張構成から収縮することに有用であることが説明されている。ブレードが、バルーンの谷部すなわち溝部の内部に含まれ得ることも説明されている。特定の実施形態においては、バルーンが脹らむ際にブレードが尚早時に開くことを防ぐために、被覆が、バルーンとステントとの間に提供される。被覆が収縮されると、ステントを開くことが可能となる。カッティングブレードも、バルーンの周囲に嵌め込まれた被覆上に提供されてもよい。あるいは、被覆は、埋め込まれたステント上に残され、そこで生物分解してもよい。
【0012】
米国特許公開第2006/0085025号には、非展開式ステントを有する血管形成術用バルーンが記載されている。実質的に軸方向に配列された、いくつかのワイヤがバルーンの周囲に配置され、これらのワイヤは、それぞれが正弦波形状の湾曲を有する。接続する円周方向のワイヤはバルーンの周囲でワイヤと結合する。1つの実施形態においては、U字形状の連結具が近接するワイヤの間に提供される。バルーンが膨れると、ワイヤは拡張する。この装置、特にワイヤが、血管の閉塞に亀裂を生じさせるよう構成されている。
【0013】
米国特許公開第2005/0021070号には、ステントを操作するための装置、特に、1つの血管に埋め込まれているが、その血管の開口部を通って分岐する血管へと延長するステントの部分等において、ステントのセルを拡張するための装置が記載されている。この装置は、オーバーチューブをさらに備える他は、米国特許公開第2004/0143287号(上記を参照)に記載の装置と同様の構造を有する。なお、このオーバーチューブは、ステントのワイヤの近傍に位置し、装置のバルーン部品の追従を制御するために用いられる。
【0014】
欧州特許公開第1611920号には、永久埋め込み用に構成されたステントが記載されている。永久埋め込み用に構成されたものとして、このステントは、拡張構成に向かって付勢されるよう構成されている。このステントは一度拡張されると、収縮可能とならないよう設計されている。ブレードが取り付けられた1つの実施形態を含んで、他の部品は溶接によりステントの外部に取り付けられる。好適な実施形態においては、この装置は、埋め込んだ後に装置が人体に吸収されることを可能とする材料により構成される。この装置の側部構造に配置された可撓性を有する保護プレートが、この装置の保護機構として開示されている。保護プレートの、径方向における最外端は、構造の最外端部よりも高く構成される。その結果、装置が送達される間は装置は保護され、ステントが拡張する間は切断が可能となる。カテーテルに取り付けられた保護機構もまた記載されている。しかし、特定の構造については提供されていない。さらに、体内から装置を取り除くことに関しては、何ら考慮がなされていない。装置は、永久に、または体内に吸収されるまで、残る。
【0015】
欧州特許公開第0533511号には、自己拡張可能なメッシュを有する装置が記載されており、このメッシュは非拡張構成ではカテーテル内に保持され、カテーテルから押し出されると拡張する。このメッシュは、血管内で回転させられるかまたは擦られて、物質を取り除く。国際(PCT)公開第2008/036900号には、バルーンに基づく装置が記載されており、この装置は、2つの膨張圧力に応答して、バルーンの異なる部分を展開/拡張する。この動作は、マイクロニードルを展開するために用いられる。メッシュ状の金属またはナイロンの小片が、接着剤を用いて、マイクロニードルをバルーンの中心部分に連結するために用いられる。米国特許第5,653,684号には、拡張構成に向かって付勢される、拡張可能なワイヤメッシュチップを有するカテーテルが記載されている。ワイヤは、メッシュ位置および拡張形態の調節のために用いられる。米国特許第4,885,003号には、外側メッシュに対して回転可能である内側メッシュを有する二重メッシュバルーンが記載されており、この二重メッシュバルーンは、閉塞エリアの物質を切除する削り器具として機能する。欧州特許公開第1935376号には、バルーンカテーテルが記載されており、このバルーンカテーテルは、バルーンカテーテルの外側表面にカッティングブレードを有する。このブレードは弾性材料により覆われており、使用時は、弾性材料から露出する。強固な基部は、バルーンの広範囲の部分上で要求される切断力をブレードが分配するための強固な支持体として提供され得る。米国特許第6,626,861号には、織物状材料製の外側メッシュスリーブを有するバルーンカテーテル装置が記載されており、この外側メッシュスリーブは、研磨用具として機能する。この装置を移動させ、障害物の除去のために障害物を研磨し得る。米国特許第7,252,650号には、バルーンカテーテル用のバルーンが記載されている。このバルーンは管の周囲に形成され、この管はバルーンを脹らませるために用いられ得る。バルーンの壁部はファイバーにより補強され、その結果、バルーンの径方向の拡張が制限される。バルーンは、バルーンの畳まれていない構成を記憶するファイバーにより畳まれ得る。
【0016】
当該技術の現状にも関わらず、動脈/静脈等の血管または他の中空臓器を含む内部体腔治療用の代替的なカテーテル医療装置を提供することが望ましい。特に、永久に埋め込まれる装置に対する要求を避けることが望ましい。特に、1つまたは複数の部位における治療に使用して、治療完了後に除去することが可能な一時的装置を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0017】
1つの実施形態において、本発明は、人体または動物体の内部の血管の血管壁の目的エリアを治療するための収縮可能な治療装置に関し、(i)血管内における目的エリアへの移動を可能とする収縮構成と、目的エリアの治療を可能とする拡張構成とを有するメッシュ部分と、(ii)メッシュ部分上に坦持される少なくとも1つの治療器具と、を備え、さらに、(iii)少なくとも1つの(収縮可能な)隆起部と、を備え、この隆起部は、血管内における移動の際に、治療具が血管に接触しないよう血管を保護する。
【0018】
望ましくは、少なくとも1つの治療器具がメッシュ部分に固定される。治療器具がこのようにメッシュ上に固定されているため、治療器具は確実に定位置に固定され、切り離される可能性がより少なくなる。その結果、装置の移動の際の脱落による治療器具の紛失の問題が回避される。このように、治療器具の完全脱落または部分的脱落は、治療器具がメッシュにより定位置に直接保持されているため、実質的に低減される。機械形成により、溶接により、またはメッシュ部分上に形成された治療器具保持器へと固定されることにより、治療器具がメッシュ部分に固定され得ることが理解できるであろう。後者の選択肢が好適である。
【0019】
あるいは、治療器具は、治療器具をメッシュ部分に固定するために、治療器具をメッシュ部分に固定する寸法を有する張り出したヘッド部分または環部分を備えてもよい。メッシュには、1つまたは複数の挿入スロットが提供され、治療器具(単数または複数)は、この挿入スロットに挿入されて、メッシュに固定可能となることが望ましい。治療器具は、スナップフィット機構によりメッシュに固定されてもよい。この点に関して、例えば、治療器具上の凹部分にスナップフィットする寸法を有する、メッシュ上のペグ、またはその逆等の、任意の相互係合の形態が好適であろう。ペグが凹部分から脱出することを防ぐための制限具が、凹部分に提供されてもよく、および/または、ペグのヘッド部が、凹部分と係合するよう拡大されていてもよい。これにより、治療器具をメッシュに直接固定する必要がなくなり、メッシュと治療器具との様々な相対運動が可能となる。この様々な相対運動は、メッシュおよび治療器具のそれぞれに異なる材料を用いることにより、および/または、装置の拡張/収縮に応答する治療器具に対するメッシュの移動量が異なることにより、生じ得る。係る異なる相対運動により、望ましくない応力が装置において生じ得、治療器具が装置から分離することが潜在的に生じ得る。このように装置から治療器具が分離することは、極めて有害である。したがって、本発明の装置は、体内へと容易に挿入し、治療部位へと進めることが可能である。隆起部(単数または複数)は、治療器具から血管壁を保護するであろう。
【0020】
収縮可能であるため、本発明の装置は容易に展開され、血管から取り除くために、またはさらに他の治療を実施するようさらに他の治療部位へと移動するために、収縮される。本発明の装置は、ステント構造に基づく装置等の他の装置と異なり、拡張構成へと展開された後にも収縮可能である。他の装置は、収縮に抗する方向に(拡張に向かう方向に)弾性的に付勢される。したがって、拡張構成が保持され、収縮可能とはならない。
【0021】
少なくとも1つの隆起部が、メッシュ部分により形成されてもよい。本発明の装置は、メッシュ部分により形成された隆起部が複数存在することが望ましい。任意の隆起部が収縮可能であり、血管壁と接触しなくとも収縮することが望ましい。特に、装置が拡張構成に向かって動くにつれて、拡張力により印加される伸張力により隆起部が収縮するよう構成されることが望ましい。これは、遮蔽位置から1つまたは複数の治療器具を露出させるために、血管壁に対し圧力を印加する必要がないことを意味する。係る力を印加して血管を伸張させることは障害を生じさせ得るため、望ましいことである。
【0022】
メッシュ部分は、環状の本体を備えることが好ましい。メッシュ部分は、湾曲経路にしたがう少なくとも1つのエレメントを備え、このエレメントは、拡張時に、湾曲経路の湾曲度を減少させることにより、弾性的に変形することが、さらに望ましい。
【0023】
さらに他の実施形態において、本発明の装置は、血管内で移動する際に血管が治療器具に接触しないよう保護するための保護被覆を備えてもよい。血管内で移動の際に血管が治療器具と接触しないよう保護する、その少なくとも1つの隆起部は、被覆上に提供されることが望ましい。あらゆる事態において、隆起部は被覆上またはメッシュ上にあることが望ましい。1つの実施形態においてはそのような構成は可能であるが、治療器具(単数または複数)上に隆起部(単数また複数)が存在しないことが望ましい。
【0024】
装置の拡張構成において、少なくとも1つの隆起部が変形すると、治療具が露出され得る。装置の拡張構成においては、隆起部は治療器具を収容し、治療器具は隆起部を超えて伸び出ることが好ましい。
【0025】
本発明の装置のメッシュ部分は、被覆内に埋め込まれていてもよい。代替的な実施形態においては、メッシュ部分は被覆の上方にあってもよい。さらに他の実施形態においては、メッシュ部分の下方にあってもよい。メッシュ部分は被覆の上方にあり、隆起部は被覆からメッシュ部分を超えて延長することが望ましい。
【0026】
被覆は、エラストマ材料等の、弾性的に変形可能な材料から作られることが好ましい。メッシュが弾性的に拡張すると、非作動時構成に向かう追加的な付勢が提供される。したがって、本発明の装置は、非拡張構成に戻ると、血管内の移動のためのコンパクトな構成に戻る。被覆の弾性的拡張と組み合わさると、非作動時構成に向かう付勢は、さらに大きくなる。
【0027】
本発明の装置のメッシュ部分は管状部分から機械加工されてもよい。あるいは、メッシュ部分は成形により形成されてもよい。
【0028】
さらに他の実施形態においては、本発明の装置は、例えば、少なくとも2つの環状メッシュ部分を備えてもよい。少なくとも3つのメッシュ部分を備える装置も、本発明の範囲に含まれる。係る実施形態においては、本発明の装置のメッシュ部分は、一体形成されてもよい。各メッシュ部分は螺旋内で湾曲することが好ましい。あるいは、この環状メッシュ部分は、一体形成されるのではなく、1つまたは複数の別々のエレメントにより結合されてもよい。この1つまたは複数の別々のエレメントは、治療器具または治療器具のための担体を備えてもよい。治療器具は、例えば、機械形成により、溶接により、または、この別々のエレメント上もしくはこの担体上に形成された治療器具ホルダに固定されることにより、この別個のエレメントまたはこの担体に固定され得ることが理解できるであろう。治療器具ホルダが好適である。
【0029】
本発明の装置は、バルーン等の拡張可能部分をさらに備え得、メッシュ部分は拡張可能部分上に被される。
【0030】
メッシュ部分は、バルーンカテーテルのバルーン等の、カテーテルの拡張可能部分上で、カテーテルに固定されてもよい。メッシュ部分は、拡張可能部分の両端部においてカテーテルに固定されてもよく、拡張可能部分の端部(単数または複数)を超える位置において固定されることが望ましい。カテーテル/拡張可能部分の周囲で噛み合う噛み合いリング構造が、メッシュをその箇所に固定するために、形成されてもよい。噛み合いリング構造はメッシュの一部であることが望ましい。メッシュ部分は、メッシュがカテーテルにおよび/または被覆に取り付けられる点の中間において一連の長手方向のストラットを提供するために、被覆から延長してもよい。ストラットは、ストラット上に被せられ得る被覆に対する追加的な支持を有利に提供し得る。ストラットが占める領域はカバーされてもよい。例えば、ストラットに容易に被せることができ、その後、収縮させてストラットに嵌まるかまたは結合される材料は、カバーとして使用され得る。カバーされたストラットを使用すると狭い病変を通過する際に移動が滑らかになるために、カバーは、病変を通過する際の援助となり得る。
【0031】
メッシュに坦持される治療器具は、長手方向ストラットを一連の治療器具に提供するために、装置の長手方向の軸に対して平行に、被覆から延長してもよい。治療エレメントストラットは、メッシュストラットの下方にあってもよい。すると、メッシュをカテーテルに固定することにより、治療器具もカテーテルに固定することができる。
【0032】
バルーン等の拡張可能部分は、実質的に円錐状の端部分を有する実質的に円筒状の本体を有することが望ましい。バルーン本体は、テーパー部分を備えてもよい。テーパー部分が存在することは、血管内での移動を容易とするプロファイルが提供されるため、有利である。このことにより、装置は、動的に且つ妨害が比較的少ない形で、体内の血管を通って目的部位へと移動することが可能となる。テーパー部分の小端部が動脈内の先端位置に配置されテーパー部分の大端部が動脈内の近接位置に配置された状態のテーパーバルーンは、動脈の解剖学的構造と一致し得る。したがって、動脈が心臓から遠ざかるにしたがって先細りになる、直径の自然な減少と一致する。さらなる実施形態においては、本発明は、被覆が拡張可能なバルーンを形成する装置を提供する。
【0033】
さらに他の実施形態においては、本発明は、人体または動物体の内部の血管の血管壁の目的エリアを治療するための収縮可能な治療装置を提供し、この治療装置は、目的エリアへの血管内の移動を可能とする収縮構成から、目的エリアの治療を可能とする拡張構成へと拡張可能であり、且つ収縮構成を記憶する形状記憶材料から作られた、拡張可能なメッシュ部分と、メッシュ部分上に坦持された少なくとも1つの治療器具とを備える。
【0034】
この収縮可能な治療装置が、本明細書で説明する(上記参照)本発明の装置の1つまたは複数の追加的な特徴を有し得ることは、当業者は理解するであろう。
【0035】
本明細書で用いられる形状記憶材料という用語は、材料に印加されている拡張力が除去されると元の縮小形状に戻ることができる材料を指すことを意図するものである。
【0036】
本発明は、人体または動物体の内部の血管の血管壁の目的エリアを治療するための収縮可能な治療装置とともに用いられる拡張可能なメッシュも提供し、この拡張可能なメッシュは、血管内での目的エリアへの移動を可能とする収縮構成から、目的エリアの治療を可能とする拡張構成へと拡張可能である拡張可能なメッシュ部分と、メッシュ部分上に坦持された少なくとも1つの治療器具とを備え、このメッシュ部分は、血管内を移動する間に治療器具と接触しないよう血管を保護する、少なくとも1つの(収縮可能な)隆起部をさらに備える。
【0037】
人体または動物体の内部における血管の血管壁の目的エリアを治療するための収縮可能な治療装置とともに用いられる拡張可能なメッシュも、本発明の範囲に含まれ、このメッシュは、(i) 血管内での目的エリアへの移動を可能とする収縮構成から、目的エリアの治療を可能とする拡張構成へと拡張可能であるメッシュ部分と、(ii)メッシュ部分上に坦持された少なくとも1つの治療器具と、(iii)メッシュ上に提供された被覆とを備え、この被覆は、血管内での移動の間に治療器具と接触しないよう血管を保護する、少なくとも1つの(収縮可能な)隆起部を備える。
【0038】
本発明の拡張可能なメッシュは、収縮構成を記憶する形状記憶材料製であることが望ましい。環状の構成においては、本発明の拡張可能なメッシュは、収縮状態に対して、正反対の方向に大幅な拡張ができることが好ましい。
【0039】
本発明のすべての実施形態においては、隆起部(単数または複数)はメッシュとともに移動すること、および、装置が収縮構成へと至ると、隆起部(単数または複数)はメッシュ上の治療器具を再び保護するよう機能することが明らかである。この点において、あらゆる隆起部が、収縮姿勢から保護(上向き)姿勢に向かって弾性的に付勢されることが好ましい。これが、カテーテル等の内部に収容され且つ装置の径方向への相対的動きにより展開されてカテーテルから露出する他の装置に対する明確な利点である。係る構成においては、装置は、血管壁が装置と接触しないよう遮蔽される前に、カテーテル内に再び収容されなければならない。本装置においては、治療器具の遮蔽は、装置が収縮位置に至ると同時に生じる。例えば、脹らんだバルーンが萎むにつれ、あらゆる隆起部は伸張力から徐々に解放され、上向き姿勢に向かって動くことにより、遮断姿勢を徐々に回復する。
【0040】
本発明の他の態様においては、治療器具には後退止め具が提供され、この後退止め具により、治療器具がメッシュおよび/または被覆および/または環状部分へと後退することが防がれる。例えば、治療器具が装置に据えられ、メッシュと同様の程度にまで移動しない場合もある。これは、治療器具が、メッシュを超えて可能な限度まで突き出ることがなく、血管内における動作の効率性が低下することを意味する。したがって、このような引き込まれた姿勢は望ましくない。後退止め具を提供することにより、係る部分的な後退が回避される。後退止め具は、メッシュと係合するよう構成されることが好ましい。次に、メッシュは、まったく逆戻りしないように、十分な支持を提供する。1つの実施形態において、後退止め具は1つまたは複数のタブの形を取る。他の構成においては、後退止め具はピンの形を取る。
【0041】
本発明の治療器具は、1つまたは複数の、ブレードまたは針であり得る。治療器具は、治療器具の作業端部が、少なくとも装置の作動時構成において、直接に径方向外側に向かうよう構成されることが望ましい。
【0042】
本発明の装置には、例えば、薬剤を含む治療液等の、所望の流体を血管に送達するための送達チューブが提供され得る。送達チューブは、装置の収縮/拡張に対して実質的にいかなる程度においても干渉しないよう、十分な可撓性を有する。送達チューブは本発明のメッシュ上に坦持されてもよい。例えば、送達チューブはメッシュの中を通ってもよい。これにより、送達チューブはメッシュの拡張および収縮にあわせて動くことが可能となる。送達チューブは、被覆の表面の下方に配置されてもよい。送達チューブは被覆の外側表面上に露出されてもよい。配管に一連の孔が提供されてもよい。それにより、配管内の治療剤または流体を周囲の血管へと放出することが可能となる。薬剤送達配管が被覆の下方に配置される実施形態においては、配管孔は一連の被覆孔と位置合わせして提供されてもよい。それにより、例えば、治療物質を配管から周囲の血管へと移動または拡散することが可能となる。
【0043】
配管を用いると、装置の位置において、治療剤を血管へと送達または注ぎ込むことができる。治療剤を注入するにあって針が必要とされないため、配管が表面に露出する実施形態において、配管を隠すための保護的隆起部の必要がなくなる。
【0044】
当業者に知られる任意の数の方法により、被覆はカテーテルに固定され得る。例えば、糸等の縫い目が被覆の端部の周りに堅く巻きつけられ、続いて、被覆がカテーテルに接着されてもよい。
【0045】
本発明は、添付の図面を参照して、且つこれらの図面に示されて本明細書で説明される装置、メッシュ、および様々な組立体にも及ぶ。本発明の主題である製品は、以下で説明されるように、バルーンカテーテルに被せることに適していることが理解されるであろう。本装置は、バルーンによる拡張に抗するよう弾性的に付勢されることが望ましい。したがって、バルーンにより印加される膨張力が取り除かれると、本装置は収縮構成へと容易に戻るであろう。本発明のメッシュは、バルーンの実質的な全体を包囲することが望ましい。被覆が存在する場合、バルーンの実質的全体はメッシュおよび被覆の両方により包囲されることが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の拡張可能なメッシュの端面(断面)図を示す図である。
【図2】本発明の装置に備わるメッシュおよび被覆を備える組立体の端面(断面)である。
【図3】図2に示す組立体のさらなる実施形態を示す、図2に示すのと同様の図である。
【図4】図2および図3に示す実施形態と同様の発明のさらなる実施形態の、図2および図3に示すのと同様の図である。
【図5】本発明のメッシュを示す平坦化された平面図である。
【図6】図5に示すメッシュに対する代替的なメッシュ構成を示す、平坦化された平面図である。
【図7】図6に示す装置の部分Aの拡大図である。
【図8】環状の形状を形成し、且つ一連のメッシュ部分を備える、本発明のメッシュの斜視図である。
【図9】図8に示す装置と同様の構造を有する装置の斜視図である。
【図10】図9に示す装置の部分Aの拡大図である。
【図11】拡張構成における、収縮可能な治療装置のさらなる実施形態の透視図である。
【図12】血管形成術用バルーン装置等のバルーンカテーテル装置に適用された、本発明のメッシュ装置の斜視図である。
【図13】ブレードが取り付けられた、本発明のメッシュ装置の端面断面図である。
【図14】針が取り付けられた、本発明のメッシュ装置の端面断面図である。
【図15】図15(a)〜(b)は拡張する(上から下)、および収縮する(下から上)、本発明の組み合わされた被覆/メッシュ装置の端面断面図である。
【図16】図16(a)〜(c)は本発明のブレードの側面図である。
【図17】図16(b)のブレードの部分を示す拡大図である。
【図18】図16(c)のブレードの部分を示す拡大図である。
【図19】図16(b)および図17のブレードがどのようにメッシュと係合するかを示す図である。
【図20】どのように図16(c)および図18に示すブレードがメッシュと係合するかを示す図である。
【図21】被覆を脹らませるために使用するテーパーバルーンカテーテルの断面図である。
【図22】図21に示す実施形態上にブレードを坦持する状態の、図21に示す実施形態を示す図である。
【図23】ストラットが被覆から延長する状態の、本発明に係る被覆を有するバルーンカテーテルを示す図である。
【図24】図23のストラットのクローズアップを示す図である。
【図25】図24のストラットがカバーされた状態の実施形態を示す図である。
【図26】図23のストラットのさらなる拡大を示す図である。
【図27】本発明の拡張可能なメッシュにブレードを取り付けるためのスナップフィット構成を示す図である。
【図28】図27に示すスナップフィット構成のクローズアップを示す図である。
【図29】本発明の拡張可能なメッシュとブレードとの噛み合いを示す概略図である。
【図30】複数の位置においてメッシュに取り付けられたブレードを示す図である。
【図31】薬剤送達チューブを有する、本発明に係る装置の水平断面図である。
【図32】図31に示す装置の3次元的斜視図である。
【図33】図31および図32に示す装置の水平断面図である。
【図34】メッシュに組み込まれた薬剤送達チューブおよびスナップフィット式のブレードを有する、本発明に係る拡張可能なメッシュを示す図である。
【図面の詳細な説明】
【0047】
本発明の主要な発明的概念の1つは、1つまたは複数の保護的隆起部と組み合わせて、(拡張可能部分を非作動時構成へと動かすよう)追加的な収縮力を拡張可能部分に対して提供するメッシュを提供することであり、この保護的隆起部は、目的部位への移動の間、1つまたは複数の(ブレードまたは針等の)治療器具を保護し、この装置が作動時構成へと拡張されるとき、平坦化されて、この治療器具を露出する。隆起部は被覆上またはメッシュ上にあることが望ましい。
【0048】
本発明の1つの実施形態が図1に示されている。図1は、本発明の拡張可能なメッシュの端面(断面)図を示す。メッシュ1はメッシュ部分を環状本体2の形で備え、この環状本体2はキャビティ3を画成する。バルーン等(例えば、血管形成術用バルーン等のバルーンカテーテルのバルーン)の拡張可能部分が、キャビティ3に挿入可能である。メッシュ1は形状記憶材料製であることが望ましい。この実施形態においては、メッシュには治療器具がブレード4の形で提供されている。メッシュ1は2つの隆起部5および6をさらに備え、隆起部5および6は、それぞれブレードの反対側にある。この実施形態に示されるように、隆起部は環状本体2と一体形成されることが望ましい。特に示されているように、隆起部もまたメッシュ状であることが望ましい。2つの隆起部5および6は、装置が挿入される間、血管壁と接触しないよう、ブレード4を保護する。下記で他の実施形態に対してより詳細に説明されるように、メッシュが装置上に被せられキャビティ3がバルーン等の拡張可能部分に占められているとき、バルーンが脹らむと、環状本体2は拡張されて平坦化し、耳形部または耳垂部5および6の形の隆起部は平坦化し、その結果、目的部位の治療のためにブレード4が露出されることとなる。収縮により逆のプロセスが生じると、隆起部5および6がもとの形状に戻って治療器具を遮蔽する。このように、隆起部5および6を含むメッシュ2の全体は、収縮構成に向かう付勢力により弾性的に変形する。所望により、この装置は、隆起部内に形成された、1つまたは複数の送達槽7をさらに備えることができる。送達槽7は、治療用溶液等の薬物を送達するためのものである。この装置は、隆起部が収縮すると治療用溶液が放出されるよう、構成することができる。図1に示す装置は、1つまたは複数の追加的治療器具を遮蔽する追加的な隆起部を有するよう構成することができる。これらの隆起部は、例えば、メッシュ2の周りで円周方向に配列されてもよい。例えば、約120度離れた3組が利用されてもよい。治療器具はメッシュと一体形成され得ることが理解できるであろう。しかし、係る構成は、望ましい一方で、高価なものとなり得る。代替的には、治療器具の少なくもと一部、例えば、治療器具の基部、がメッシュの下方に捕捉されてもよい。このことは、メッシュを通して部分的に挿入することにより、達成され得る。例えば、隆起部が、下方からメッシュを通って部分的に延長してもよい。治療器具がメッシュにより定位置に直接保持されるため、装置が移動する間に脱落することによる治療器具の紛失の問題がこのようにして実質的に低減される。
【0049】
本発明のさらなる実施形態が図2に示されている。図2は、本発明の装置の部分を形成する組立体の端面(断面)図を示す。この実施形態において、組立体20は、メッシュ(すなわちメッシュ部分)を環状本体22の形で備え、この環状本体22はキャビティ23を画成する。バルーン等(例えば、血管形成術用バルーン等のバルーンカテーテルのバルーン)の拡張可能部分が、キャビティ23に挿入可能である。メッシュ22は形状記憶材料製であることが望ましい。メッシュ22は、被覆27内に埋め込まれる。被覆27は、エラストマ材料等の弾性的に変形可能な材料から作られ、形状において略環状である。複数の治療器具が、装置の周りで円周方向に離間する。本実施形態においては、4つの治療器具が約90度離間して、ブレード24の形で存在する。ブレード24は、メッシュ22上に坦持され、メッシュ22により定位置に保持される。これは、上述の適した構成により、達成され得る。例えば、ブレードまたはブレード用の担体は、メッシュおよび治療器具が被覆27を通って延長する1つまたは複数の接続部分により接続されるよう、被覆27を通って延長する。
【0050】
本実施形態においては、被覆27は、4組の隆起部を耳形部または耳垂部25および26の形でさらに備え、これらの耳形部または耳垂部25および26は、それぞれ、各ブレード24の反対側に位置する。本実施形態に示されるように、隆起部25および26は、環状本体22の周りに一体形成されることが望ましい。本実施形態において、隆起部は非中空の耳垂部である。隆起部は、他の実施形態において説明されるよう、装置が拡張すると、収縮して、ブレード24を露出する。
【0051】
ブレードがメッシュに配置されているため、ブレードは定位置に確実に固定され、切り離される可能性は極めて小さくなる。さらに、メッシュが弾性的に拡張すると、非作動時構成に向かう追加的な付勢が提供される。このように、本発明の装置は、非拡張構成に帰ると、血管内の移動のためのコンパクトな構成に戻る。被覆の弾性的拡張と組み合わされると、非作動時構成に向かう付勢は、さらに大きくなる。
【0052】
図3は、図2に示す実施形態と同様な、本発明のさらに他の実施形態を示す。図3は、本発明の装置の部分を形成する組立体の端面(断面)図を示す。この実施形態において、組立体30は、メッシュ(すなわちメッシュ部分)を環状本体32の形で備え、この環状本体32はキャビティ33を画成する。バルーン等(例えば、血管形成術用バルーン等のバルーンカテーテルのバルーン)の拡張可能部分が、キャビティ33に挿入可能である。メッシュ32は形状記憶材料製であることが望ましい。メッシュ32は被覆37の下方に配置される。他の実施形態の場合と同様に、被覆37は、エラストマ材料等の弾性的に変形可能な材料から作られる。複数の治療器具が、装置の周りで円周方向に離間する。本実施形態においては、4つの治療器具が約90度離間して、ブレード34の形で存在する。ブレード34は、他の実施形態に対して上述したように、メッシュ32上に坦持される。例えば、各ブレードまたはブレード用の担体は、各治療器具およびメッシュが、被覆37を通って延長する1つまたは複数の接続部分により接続されるよう、被覆37を通って延長する。
【0053】
上述のように、被覆37は、隆起部を、耳形部または耳垂部35および36の形でさらに備え、これらの耳形部または耳垂部35および36は、それぞれ、各ブレード24の反対側に位置する。実際に、この実施形態においては、2組の隆起部35および36が存在し、それぞれが2つのブレードの間で延長する。その結果、同時に2つのブレードに対して遮蔽が提供される。本実施形態に示されるように、隆起部25および26は被覆37と一体形成されることが望ましい。本実施形態においては、隆起部は、閉鎖空間38を提供する(閉鎖された)中空耳垂部である。そのため、与えられた閉鎖空間すなわち隆起部は、導管または槽を提供することができる。隆起部は、他の実施形態において説明されるように、装置が拡張すると、収縮して、ブレード34を露出する。収縮動作は、上述のように、治療液を放出するためにも用いられ得る。
【0054】
再び、ブレードがメッシュに配置されているため、ブレードは定位置に確実に固定され、切り離される可能性は極めて小さくなる。さらに、メッシュが弾性的に拡張すると、非作動時構成に向かう追加的な付勢が提供される。このように、本発明の装置は、非拡張構成に戻ると、血管内の移動のためのコンパクトな構成に戻る。被覆の弾性的拡張と組み合わさると、非作動時構成に向かう付勢は、さらに大きくなる。
【0055】
図4は、上述の実施形態と同様な実施形態を示す。組立体40は、メッシュ(すなわちメッシュ部分)を環状本体42の形で備え、この環状本体42は、バルーン等の拡張部分のためのキャビティ43を画成する。キャビティ43。メッシュ42は、被覆47の上方(および周囲)に配置される。他の実施形態の場合と同様に、被覆47は、エラストマ材料等の弾性的に変形可能な材料製である。複数の治療器具が、装置の周りで円周方向に離間する。本実施形態においては、4つの治療器具が約90度離間して、ブレード44の形で存在する。ブレード44は、他の実施形態に対して上述したように、メッシュ42上に坦持される。メッシュは、被覆47の周りに近接して着座する。
【0056】
上述のように、被覆47は、隆起部を、耳形部または耳垂部45および46の形で、さらに備え、これらの耳形部または耳垂部45および46は、それぞれ、各ブレード44の反対側に位置する。実際に、この実施形態においては、2組の隆起部45および46が存在し、それぞれが2つのブレードの間で延長する。その結果、同時に2つのブレードに対して遮蔽が提供される。本実施形態に示されるように、隆起部45および46は、被覆47と一体形成されることが望ましい。本実施形態においては、隆起部は、閉鎖空間48を提供する(閉鎖された)中空耳垂部である。そのため、与えられた閉鎖空間すなわち隆起部は、導管または槽を提供することができる。隆起部は、他の実施形態において説明されるように、装置が拡張すると、収縮して、ブレード44を露出する。収縮動作は、上述のように、治療液を放出するためにも用いられ得る。
【0057】
本実施形態においては、メッシュ42は、被覆の環状本体の外側にあるが、隆起部を超えて延長することはない。このように、治療器具44は、たとえメッシュが被覆の外側にあったとしても、依然として遮蔽される。所望により、メッシュは隆起部を通って延長し、そこで被覆と連結されることが可能である。しかし、多くの実施形態においては、メッシュは隆起部を通って延長するのではなく、ほぼ同程度に延長する。
【0058】
再び、ブレードがメッシュに配置されているため、ブレードは定位置に確実に固定され、メッシュが弾性的に拡張することにより、非作動時構成に向かう追加的な付勢が提供される。
【0059】
図5は、本発明のメッシュの1例を示す。特に、図5は、本発明のメッシュ52の平坦化された平面図を示す。メッシュ52はいくつかのエレメント59を備え、各エレメント59は湾曲経路にしたがう。本実施形態においては、湾曲経路は、一連のS字形湾曲部を有する経路である。メッシュは、弾性的に変形可能な材料製、特に形状記憶材料製である。各エレメントは、拡張下では、その経路の湾曲度を低下させることにより、弾性的に変形する。エレメントの端部と端部との間の距離は、エレメントが拡張するにつれ、大きくなる。
【0060】
一連のエレメント59は、メッシュ52が、一連のメッシュ部分512を含み、周方向および径方向に実質的に連続するよう、(並列構成で)提供される。係る構成は、バルーンカテーテルの拡張可能部分への適用に適している。メッシュ52は、係る拡張可能部分に被せるために、環状に配列され得ることが理解できるであろう。治療器具は、ブレード54の形で、メッシュ上に提供される。本実施形態においては、ブレード54は、エレメント59とともに、管状部分から切断されたものである。他の実施形態においては、治療器具はメッシュに溶接されることが可能である。あるいは、治療器具をメッシュ上に直接提供するかわりに、治療器具ホルダが提供されてもよい。係るメッシュは、本発明の任意の実施形態における使用に適している。図1に示す実施形態において利用される場合、このメッシュは、環状形状と、メッシュ上の、治療器具を遮蔽するための、1つまたは複数の隆起部との両方を提供するために形成されるであろう。
【0061】
図6は、図5に示すメッシュに対する代替的なメッシュ構成を示す。図6において、メッシュ62は、別々の、離間したメッシュ部分612を備える。特に、このメッシュ部分は一体形成されるのではなく、1つまたは複数の別のエレメントにより連結される。各メッシュ部分612は、湾曲エレメント69により形成される。本実施形態においては、治療器具は、ブレード64の形で、メッシュ部分を連結する支持具を形成する。図示された構成は、4つのメッシュの個別部分を含む。係る構成は本発明の任意の実施形態に用い得るが、係るメッシュ構成は、メッシュが被覆に埋め込まれた図2で説明される実施形態等を用いた構成に利用することが望ましい。メッシュの固定を支援するために、固定ポイント613がエレメント69の自由端に提供されることが好ましい。図5に関して説明されたように、メッシュ部分は、矢印610により示されるように、(装置の円周方向に)拡張することができる。
【0062】
図7は、図6に示す装置の部分Aの拡大図である。図7においては、メッシュ部分612は、エレメント69の湾曲経路として、より明らかに見ることができる。
【0063】
図8は、図5から図7に示す装置と同様の構造を有する装置81の斜視図である。図8は、環状部分82を備えるメッシュを示し、この環状部分82は、複数の構造部材813(本実施形態においては、90度離間する4つの構造部材813が存在する)により連結された一連のメッシュ部分89を備える。構造部材813はメッシュ部分を連結し、図示される環状構成を形成する。望ましい構成として、構造部材813は治療器具84を坦持する。
【0064】
図8に示す構成は、環状本体が、(i)図2に示すように、被覆に埋め込まれる、(ii)図3に示すように、被覆の下方にある、もしくは図4に示すように、被覆の上方にあるよう、構成されることが可能である。このメッシュ配列は、図5および図6に示す配列とは異なるが、これらのメッシュパターンも環状メッシュ構成を形成するに適したものであることが理解されるであろう。本発明の他の実施形態の場合と同様に、治療器具は収縮構成では隆起部により遮蔽されることが望ましい。
【0065】
図9は、図5から図7に示す装置の構造と、特に図8に示す装置の構造と同様の、装置91の斜視図である。図9は、環状部分92を備えるメッシュを示し、この環状部分92は、複数の構造部材913(本実施形態においては、90度離間する4つの構造部材)により連結された一連のメッシュ部分99を備える。構造部材913はメッシュ部分を連結し、図示される環状構成を形成する。望ましい構成として、構造部材913は治療器具を坦持する。本実施形態において、治療器具は針915、特に、装置が挿入された血管壁に流体を注入するに適したマイクロニードルの形を取る。部分Aの拡大図が図10に示される。
【0066】
図9に示す構成は、環状本体が、被覆に埋め込まれる、被覆の下方にある、または被覆の上方にあるよう、構成されることが可能である。本発明の他の実施形態の場合と同様に、治療器具は収縮構成では被覆上の隆起部により遮蔽されることが望ましい。
【0067】
図10でもっともよく見られるように、装置は導管を備え、この導管は、例えば、治療液を送達するために、針915と流体連通する。図9および図10に見られる簡単な構造において、導管916は、構造部材913上に、または構造部材913の一部として、形成される。
【0068】
図11は、人体または動物体の内部の血管の血管壁の目的エリアを治療するための収縮可能な治療装置1101のさらなる実施形態を示す。この装置は、前述した実施形態と同様の構造を有するが、拡張構成(作動時構成)で示されている。拡張構成においては、各(S字形状の)エレメント1109は、キャビティ1103内からの拡張圧力の下で開いた状態にある。これにより、部材1109により形成される湾曲経路における各ループ間の距離が増加し、その結果、パターンはよりジグザグ傾向が大きいものとなる。拡張構成においては、部材1109の付勢は、部材のループの締まりにより、収縮構成に向かうものとなる。
【0069】
再び、構造部材1113はメッシュ部分を連結するために提供され、構造部材1113は治療器具、この場合、ブレード1104を坦持する。したがって、治療器具はメッシュの構造エレメント上に坦持される。エレメント1109を形成する材料は、収縮構成を記憶する材料であることが望ましい。
【0070】
図12は、血管形成術用バルーン装置等のバルーンカテーテル装置に適用される、本発明のメッシュ装置を示す。このメッシュ装置は、カテーテル1220と、バルーン1221および収縮可能な治療装置1201の形をとるメッシュ装置上の拡張可能部分とを備え、この拡張可能部分は図11に示す装置と同様の形状を有する。図11の場合と同様に、図12に示す装置は、拡張構成で示されている。バルーンが拡張すると、装置は作動時構成に入る。バルーンカテーテル装置は隆起部を有する被覆を備え、その隆起部は、非作動時構成では治療器具を保護し、収縮すると(平坦化すると)、バルーンカテーテル装置の作動時構成で使用される治療器具を露出することが望ましい。
【0071】
本発明のすべての実施形態の場合と同様に、また、展開するよう(例えば、血管の狭窄部分において血管を開くようにステントを送達し展開するよう)構成された装置と対比して、本発明の装置、特にメッシュまたはメッシュ部分は、装置の永久部分を形成する(且つ離脱不可能である)。この装置は、目的部位へと移動し、作動時構成へと拡張され、目的部位を治療するために使用され、被覆およびメッシュからの付勢により非作動時構成または移動時構成へと戻り、さらなる目的部位を治療するために拡張されることが可能である。
【0072】
図13は、どのようにブレード1304をメッシュ1302に嵌めることができるかの1例を示す図である。メッシュは環状形状に配列されている。各ブレード1304の基部は、張り出したヘッド部分または環部分1325を有し、この張り出したヘッド部分または環部分1325は、ブレード1304をメッシュに保持する寸法を有する。
【0073】
図14は、どのように針1404をメッシュ1402に嵌めることができるかの1例を有する同様の構成を示す。メッシュは環状形状に配置されている。各針1404の基部は張り出したヘッド部分または環部分1425を有し、この張り出したヘッド部分または環部分1425は、針1404をメッシュ1402上に保持する寸法を有する。上述のように、これらの針には導管を通して流体を供給することができる。
【0074】
図15は、メッシュおよび被覆の拡張(上から下の順に(a)から(b)へ)と、収縮(下から上の順に(b)から(a)へ)の進行を示す。双頭矢印に示されるように、拡張に続く収縮は所望の回数だけ繰り返すことができる。
【0075】
図15においては、メッシュ1502および被覆1507が膨張力の下で拡張することが見られる。このことは、いくつかの効果を有する。すなわち、第1にキャビティ1503の直径dが大きくなり、被覆1507の壁厚が小さくなり、隆起部1505および1506が平坦化される。これらの効果は、ブレード1504の形の治療器具が、血管壁に近づき、より露出される((a)における遮蔽姿勢から(b)における完全露出まで)ことを意味する。
【0076】
図16(a)から(c)は、本発明の各ブレードの側面図である。図16(a)において、本発明とともに使用可能な一連のブレード164。ブレード164は、細長い治療器具支持具の形の共通担体上に坦持され、この治療器具支持具は、ロッド1631であり得る。ロッド1631は、(図8における構造部材813として示されるような)構造支持エレメントとしても追加的に機能し得る。しかし、図16(a)に示す治療器具の実施形態は、ブレード164がメッシュを通って延長する状態で、下方からメッシュに挿入されるよう構成される。係る構成においては、治療器具はメッシュに連結されることが可能であるが、ブレードがメッシュの下方に捕捉されているために、治療器具支持具は、ブレードがメッシュから脱落することを防ぐ。係る例では、メッシュおよび治療器具が並行して動けるよう、メッシュに連結されることが望ましい。図に見られるように、スロットまたは溝1633は、近傍の治療器具との間の空間を画成する。
【0077】
図16(b)は、ブレード164の形の治療器具のアレイを示し、これらの治療器具は、一体形成された接続ピース1632により連結された一体型ピースとして形成されている。タブ1630が、各治療器具間の空間に提供される。1組のタブ1630の拡大図が図17に示されている。図19に示されるように、治療器具164は下方からメッシュ部分の構造部材1613を通して挿入される。特に、治療器具164は、構造部材のスロット1640を通って延長し、隆起する。したがって、メッシュは治療器具の稼働動作に干渉しない。矢印1641が示すように、タブ1630は、例えば構造部材上で曲げることにより、回転させることができる。それにより、治療器具のアレイが構造部材へと固定される。これは、治療器具が構造部材エレメントと並行して動くことを意味する。これにより、治療器具の後退が防がれる。この後退は、さもなければ、治療器具が構造エレメント上に露出する度合いを低減させる。治療器具が直接メッシュに固定されている場合、構造部材は不要であることが理解できるであろう。所望により、追加的な固定(メッシュと治療器具および/またはタブとの間の固定)が、適切な接着剤を用いて達成され得る。
【0078】
図16(c)は、一体形成された接続ピース1632により連結された一体型ピースとして形成されたブレード164の形の治療器具のアレイを示す。再び、空間1633がブレード164の間に提供されている。この実施形態においては、孔1650がブレード164に形成される。これは、図18に示されるブレードの一部の拡大図から、もっともよく見ることができる。
【0079】
図20は、どのように図16(c)および図18に示すブレードがメッシュと係合するかを示す。治療器具164は、下方からメッシュ部分の構造部材を通って挿入される。特に、治療器具164は、構造部材のスロット1640を通って延長し、隆起する。ピン1651が各孔1650に挿入されることができる。その結果、治療器具のアレイは構造部材に確実に固定される。これは、治療器具が構造部材エレメントと並行して動くことを意味する。これにより、治療器具の後退が防がれる。この後退は、さもなければ、治療器具が構造エレメント上に露出する度合いを低減させる。治療器具が直接メッシュに固定されている場合、構造部材は不要であることが理解できるであろう。所望により、追加的な固定(メッシュと治療器具との間の固定、および/または、ピンを定位置に固定するための固定)が、適切な接着剤を用いて達成され得る。
【0080】
図21は、カテーテルチューブ、特にハイポチューブ2153に接続されたテーパーバルーン2151が被覆2107内で脹らむ実施形態の断面を示す。メッシュ(図示せず)は、この実施形態において、被覆2107内すなわち被覆2107の下方に存在し得る。テーパーバルーンは、包囲する被覆2107にテーパーしたプロファイルを提供する。装置が、被覆頂部2155から先端カテーテル端2154へとテーパーしていることは、血管内の移動を容易とするプロファイルを提供するため、特に有利である。このことにより、装置は、動的に且つ妨害が比較的少ない形で、体内の血管を通って目的部位へと動くことが可能となる。当業者に周知の任意の数の方法により、被覆はカテーテルに固定され得る。例えば、糸等の縫い目が被覆の端部の周りに堅く巻きつけられ、続いて、被覆がカテーテルに接着されてもよい。
【0081】
テーパーの小端部が動脈内の先端位置に配置されテーパーの大端部が動脈内の近接位置に配置された状態のテーパーバルーンは、動脈の解剖学的構造と一致し得る。したがって、動脈が心臓から遠ざかるにしたがって先細りになる、直径の自然な減少と一致する。
【0082】
図22において、テーパーバルーンには、テーパーバルーン上に坦持されるブレード2204が提供される。
【0083】
関連するテーパーバルーンカテーテル装置が図23に示されている。テーパーバルーン(図示せず)がカテーテルのハイポチューブ2353に接続されている。一連の径方向ストラット2357が、カテーテルのハイポチューブ2353と被覆2307の中間に(およびバルーンの基端部に)存在する。径方向ストラットは、メッシュをカテーテルに固定するための固定構造の一部を形成する。同様に、一連の径方向ストラット2356は、先端カテーテル端2354および被覆2307の中間にも配置される。ストラットは、メッシュを(その結果として被覆を)定位置に固定することを支援する構造支持を装置に対して提供する。被覆2307は、被覆2307上に坦持されるブレード2304を有する。メッシュ(図示せず)は、この実施形態において、被覆2107内すなわち被覆2107の下方に存在し得る。したがって、メッシュは、バルーンの基端部および先端部において、カテーテルに取り付けられる。これにより、カテーテルに対する取り付けが確実なものとなる。
【0084】
カテーテル先端部の拡大図が図24に提供される。先端カテーテル端2454および被覆2407の中間にあるストラット2456は、ストラットをカテーテルに固定するために、(カテーテル2454の先端部に取り付けられた)テーパーバルーン2452の外側周囲上において噛み合いリング構造2458を形成する。同様の構成が、図23のストラット2357をカテーテルに固定するために提供される。
【0085】
(例えば図23に示す構成において)露出されたストラット2356および2357により生じ得るあらゆる障害を最小限にするために、ストラットに占められる領域はカバーされてもよい。カバーされたストラットを使用すると狭い病変を通過する際に移動が滑らかになるために、カバーは、病変を通過する際の援助となる。例えば、ストラットに容易に被せることができ、その後、収縮させてストラットに嵌まるかまたは結合される材料は、カバーとして使用され得る。例えば、適切な熱可塑性材料等の適切な熱収縮材料がカバーとして使用され得る。あるいは、熱可塑性材料がストラット上で、さらに適切な場合は、カテーテル、例えば、その外側表面に熱接着されてもよい。掛かるカバーは、装置の円錐形プロファイルに一致するために、適切な形状を有することが望ましい。例えば、図25は、カテーテルの先端部2554と被覆2507との間に着座するテーパーの切頭円錐形の形状を有する熱収縮性の熱可塑性カバー2559を示す。同様の熱可塑性カバーが、例えば、貼り付けられて、図23のストラット2357をカバーするよう使用されることが望ましい。
【0086】
図24に示すストラット2456の拡大図が、図26に提供されている。ストラットは、2つの異なる材料から作られている。ストラットの下方部分は、ブレード固定材料2660から構成されている。ストラットの上方部分は、メッシュ固定材料2661により形成されている。この構成は、ブレードおよびメッシュが追加的な安全機能を有し、そのために他の取り付け様式が提供されるので、有利であり得る。これにより、潜在的な構造上の複雑さが制限されるであろう。
【0087】
図27は、ブレード2704をメッシュ2702に取り付けるために、発明的なスナップフィット機構を示す。この実施形態において、ブレードはメッシュに差し込まれて取り付けられる。メッシュ部分2709には、ペグ状の突起2762が提供される。ペグ状突起は、ブレード2704上の相補的形状の凹部分2763と係合するような形状を有する。ブレード2704の凹部分2763に近接するメッシュのペグ2762の拡大図が、図28に示されている。図28においては、2つの突起するペグ2862が存在し、これらのペグ2862は、ブレードの凹部分2863に嵌るような形状を有する。ブレードの凹部分2863には、保持部材が制限具2864の形で提供されている。そのため、ペグ2862が凹部分2863に一度押し込まれると、制限具2864の制限動作により、ペグ2862が凹部分2863から脱することが遮られる。
【0088】
図29は、メッシュ2902のメッシュペグ突起2962とブレード2904のブレード凹部分2963との噛み合い動作の2段階を示す。太い垂直方向矢印2965は、メッシュペグ2962が凹部分2963と噛み合うように、押し込み力がブレード2904の下側表面に印加される様子を示す。一度噛み合い構成に入ると、制限具2964はペグ2962を凹部分に固定し、凹部分から脱することを防ぐ。この形態の機械的取り付けは、治療器具(単数または複数)およびメッシュの異なる相対的動きを可能にし、これは、上述のように、望ましいことである。ペグ3062は拡張ヘッド部2966を有する。ペグ3062の拡張ヘッド部は、凹部分2963の制限具2964により、ブレード凹部分2963に固定される。
【0089】
図27から図29に示される実施形態は、2つのメッシュペグが2つのブレード凹部分と噛み合う様子を示す。当業者は、単一のペグが単一の凹部分と噛み合うことも等しく効果的であることを理解するであろう。図30においては、一連のメッシュ部分3009が提供されたメッシュ3002は、メッシュ3002上に坦持されたブレード3004を有する。ブレード3004は、単一のブレード凹部分3063と噛み合う単一のペグ突起3062により、メッシュに固定される。すべての実施形態において望ましくは、複数の、望ましくは少なくとも3つの、例えば、メッシュに沿った先端、中間、および隣接位置で、係る噛み合いポイントが、複数の異なる位置においてブレード3004をメッシュ3002に確実に取り付けるために、メッシュ3002およびブレード3004の長さに沿う協同位置において存在する。噛み合いポイントは、ブレードおよびメッシュの長さに沿って均等に離間してもよい。あるいは、近傍の各噛み合いポイント間の間隔が不規則であってもよい。近傍における各噛み合いポイント間の間隔は等距離であることが望ましい。
【0090】
図31は、装置埋め込み部位の近傍において薬剤を送達するよう構成された、本発明の実施形態を示す。本発明の装置の一部を形成する組立体の端面(断面)図は、キャビティ3103を画成する環状本体3102の形でメッシュ(またはメッシュ部分)を含む。バルーン等(例えば、血管形成術用バルーン等のバルーンカテーテルのバルーン)の拡張可能部分が、キャビティ3103に挿入可能である。メッシュ3102は形状記憶材料製であることが望ましい。メッシュ3102は、被覆3107内に埋め込まれている。被覆3107は、エラストマ材料等の弾性的に変形可能な材料から作られ、形状において略環状である。本実施形態において、ブレード3104の形で、正反対側に位置する2つの治療器具が存在する。ブレード3104は、メッシュ3102上に坦持され、メッシュ3102により定位置に保持される。これは、上述の適した構成により、達成され得る。
【0091】
本実施形態においては、被覆3107は、2組の隆起部を、耳形部または耳垂部3105および3106の形でさらに備え、これらの隆起部は、それぞれ、各ブレード3104の反対側に位置する。本実施形態に示されるように、隆起部3105および3106は、被覆3107と一体形成されることが望ましい。本実施形態において、隆起部は非中空の耳垂部である。隆起部は、他の実施形態において説明されるように、装置が拡張すると、収縮して、ブレード3104を露出する(膨張力が取り除かれると、上向き姿勢に戻る)。
【0092】
メッシュ上の2つのブレード配列は、3つまたは4つのブレードを有する装置よりも改善された湾曲特性を有する装置を提供するよう設計されたものである。
【0093】
本実施形態には、さらに配管3167が提供されている。2つの配管部材は、装置の周りで治療器具の近傍に提供されることが望ましく、互いに正反対側に提供されてもよい。配管3167は、治療剤を目的の血管に送達する。配管3167は、例えば、治療器具に関して説明されるように、メッシュ3102に取り付けられた構成部品であり得、または、メッシュ3102と一体化されていてもよい。配管3167は、本実施形態に示されるように、被覆3107内に収容されることが望ましい。なぜなら、これにより、血管内で装置が移動する際に配管と接触しないよう血管が保護されるからである。あるいは、配管3167は、被覆3107の外側表面上に露出され得る。配管3167を用いると、装置の位置において、血管へと治療剤を送達または注ぎ込むことができる。治療剤を注入するにあって針が必要とされないため、配管が表面に露出している実施形態においては、配管3167を隠すための保護的隆起部は必要ない。
【0094】
図31に示す実施形態の3次元的斜視図が図32に提供されている。この装置は、メッシュ(またはメッシュ部分)を、環状本体3202の形で備え、この環状本体3203はキャビティ3203を画成する。バルーン等(例えば、血管形成術用バルーン等のバルーンカテーテルのバルーン)の拡張可能部分が、キャビティ3203に挿入可能である。メッシュ3202は、被覆3107内に埋め込まれる。被覆3207は、エラストマ材料等の弾性的に変形可能な材料から作られ、形状において略環状である。本実施形態においては、ブレード3204は、メッシュ3202上に坦持され、メッシュ3202により定位置に保持される。ブレード3204は、隆起部3205および3206により隠される。2つの配管部材3265は、互いに対して直接反対側に配置される。
【0095】
被覆は、複数の薬剤送達孔3268を備え、これらの薬剤送達孔3268は、治療物質を周囲の血管に放出するために、配管3267の対応する放出孔からの直接流路を提供する。したがって、治療剤は、注射を必要とせずに、配管3267から周囲の血管へと薬剤送達孔3268を通って受動的に注入される。
【0096】
図32に示す装置の水平断面図が図33に提供されている。メッシュ3302は、配管3365およびブレード3304を正確な位置に保持する支持として機能する。ブレード3304および配管3367がメッシュ3302に取り付けられている場合、バルーンが収縮すると、ブレード3304および配管3367は元の位置に戻る。
【0097】
被覆3307は薬剤送達配管3367を隠す必要がない。しかし、図33に示す実施形態においては、配管3367は被覆3307の下方に配置されている。薬剤送達孔3368は、治療物質が配管3367に注入されることを可能にする。
【0098】
メッシュ内の孔を通すことにより取り付けられた配管3467を有するメッシュ3402が、図34に示されている。配管3467は(メッシュの上方または下方で)メッシュ3402に通されて、定位置に固定される。配管3467には、配管3467から治療物質を放出するための薬剤送達孔3469が提供される。図示の実施形態において、被覆は提供されず、配管3467は血管に露出している。被覆を有する実施形態においては、当業者は、薬剤送達孔3496が、直接下に配置された対応する被覆上の孔に合わせて配置され得ることを理解するであろう。図34には、図27から図30で説明された、スナップフィット式のブレード3404の構成も提供されている。
【0099】
用語「〜を含む」および用語「〜を有する/備える」は、本明細書において本発明に関して用いられる場合、陳述された特徴、整数、ステップ、構成部品が存在することを特定するために用いられるが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、構成部品、またはそれらの群の存在または追加を排除するものではない。
【0100】
明確にするために、別々の実施形態の文脈で説明された、本発明の特定の特徴も、単一の実施形態の中に組み合わされて提供され得ることが理解できるであろう。逆に、単一の実施形態の文脈で略して説明されている、本発明の様々な特徴もまた、別々に提供されてもよく、または任意の適切な小結合において提供されてもよい。
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療装置に関する。特に、本発明は、動脈/静脈等の血管または他の中空臓器を含む内部体腔を治療するためのカテーテルベースの医療装置に関する。
【背景技術】
【0002】
人体内に医療装置を挿入すべき医学的理由は多数ある。医療装置が挿入される間の手順の侵襲性を最小限とするためには、大きな外科的切開を必要としない装置を使用することが望ましい。体内の目的部位において、膨張すること、切断すること、刻むこと、または注入することを行う多数の装置が知られている。
【0003】
外傷を軽減するために、医療装置はしばしば体内の既存の血管を通して挿入される。特定の血管に対しては、切開が必要とされない。体内の脈管構造を形成する血管等の、他の血管に対しては、適切な血管に入るために、わずかな切開が必要となる。適切な血管内に挿入されると、次に、医療装置は血管に沿って進められ、目的部位へと達し得る。そうして、医療装置の機能を目的部位において使用することが可能となる。係る機能は、作用物質を送達すること、ステント等の医療装置を送達すること、拡張すること、刻むこと、摩擦すること、切断すること、注入すること等を含む。
【0004】
係る最小の侵襲性を有する装置を用いてしばしば治療される1つの目的部位が、石灰化病変を含む病変、部分閉塞、および完全閉塞である。目的部位は、分岐部位を含む、脈管構造の任意の部分で見出され得る。しばしが冠動脈または末梢動脈が、係る病変のための治療を受ける。
【0005】
上述した種類の医療装置が多数知られており、特定目的の機能のために生産されてきた。多くは、カテーテルベースの装置である。
【0006】
特定の状況では、ステントを埋め込むことは望ましくなく、スタンドアロンの拡張手順が好適となることもある。したがって、ステントの必要性を除去し得る装置を提供することが望ましい。長期にわたり失われる部位の治療の利益のために、治療された目的部位における改善された状況(例えば、改善された内腔径の増加等)の退行を防ぐことに効果的な装置を提供することが望ましい。加えて、他の状況においては、従来の血管形成術用拡張カテーテルは、石灰化された目的部位(または困難な目的部位)を拡張し得ず、血管形成力に焦点を合わせる専門医用の装置が、手順を成功させるために必要となり得る。
【0007】
米国特許公開第2004/0143287号には、先端部にバルーンを有する粥腫スコアリングカテーテルが記載されている。この装置は、非軸方向のスコアリングシェルを含むものである。ニチノールワイヤを備えるバルーンカテーテル装置であるこの装置は、Angioscore(登録商標)社からAngioSculpt(登録商標)という品名で商業的に入手可能である。なお、この装置はニチノールワイヤを備え、各ニチノールワイヤは、スコアリングエレメントを形成する角のあるコーナーを有する。この装置が脹らむと、血管を拡張させ、血管における病変を刻む。この装置は、標準的なバルーン拡張のみによるよりも、内腔径の増加が大きい。本特許文献には、この装置のスコアリング構造が、溝が施されたケージであり得ることが説明されている。1つの実施形態においては、バルーンの周囲で拡張するリングが説明されている。3つに別れた形のバルーン上にスコアリングエレメントが存在する、1つの実施形態が説明されている。それでもなお、ワイヤ、ケージ、切断器具、またはバルーン上のブレードによる意図しない創傷の危険性が存在する。
【0008】
米国特許公開第2007/0198047号には、カテーテルの先端部に固定された膨張可能なバルーンを有するカッティングバルーン組立体が記載されている。この装置はカバーを備え、このカバーは、展開可能であり、且つカッティングエッジのアレイを有する。このカバーは、バルーンの外側表面の周りに延長し、バルーンの外側表面の上方に盛り上がる。このカバーは、プラスチック、金属、または可撓性を有するポリウレタン繊維の織物から作られたものである。このカバーは、バルーンが脹らむとともに拡張し、バルーンが萎むとともに収縮する。このカバーは、鋭い外側表面を有し、鋭い外側表面により病変その他が引き裂かれる。カバーが鋭い性質を有するため、バルーンが萎んだ状態においてさえ、体内における装置の移動経路に沿って、創傷が生じる危険性が存在する。
【0009】
米国特許公開第2005/0080478号には、カッティングバーまたはカッティングブレードを有する、永久に埋め込まれるステントが記載されている。ブレードの端部が、角を有するかまたは斜面となっており、ブレードは閉塞箇所に切り込むことが可能である。依然として、ステントを挿入する際に、体内における移動経路に沿って創傷が生じる危険性が存在する。
【0010】
米国特許公開第2004/0215223号には、カッティングステントおよびバルーン装置が記載されており、このバルーンには、バルーンが脹らむ際の長手方向の成長を最小限にするために、液晶ポリマーフィブリルが提供されている。バルーンは、ステントを目的エリアに送達するために用いられる。
【0011】
米国特許第7,279,002号には、カッティングブレードを有する埋め込み可能なステント、カッティングブレードを有する膨張可能なバルーンを備えるカテーテル、およびカッティングブレードを備える被覆またはスリーブを含む、いくつかの装置が記載されている。ステントを包囲する被覆が説明されている。特定の実施形態において、ブレードの一部等の、ステントの少なくとも一部は、形状記憶材料製である。ブレードは、接着または溶接により、ステントに取り付けられる。あらかじめ設定された形状記憶は、ブレードを拡張構成から収縮することに有用であることが説明されている。ブレードが、バルーンの谷部すなわち溝部の内部に含まれ得ることも説明されている。特定の実施形態においては、バルーンが脹らむ際にブレードが尚早時に開くことを防ぐために、被覆が、バルーンとステントとの間に提供される。被覆が収縮されると、ステントを開くことが可能となる。カッティングブレードも、バルーンの周囲に嵌め込まれた被覆上に提供されてもよい。あるいは、被覆は、埋め込まれたステント上に残され、そこで生物分解してもよい。
【0012】
米国特許公開第2006/0085025号には、非展開式ステントを有する血管形成術用バルーンが記載されている。実質的に軸方向に配列された、いくつかのワイヤがバルーンの周囲に配置され、これらのワイヤは、それぞれが正弦波形状の湾曲を有する。接続する円周方向のワイヤはバルーンの周囲でワイヤと結合する。1つの実施形態においては、U字形状の連結具が近接するワイヤの間に提供される。バルーンが膨れると、ワイヤは拡張する。この装置、特にワイヤが、血管の閉塞に亀裂を生じさせるよう構成されている。
【0013】
米国特許公開第2005/0021070号には、ステントを操作するための装置、特に、1つの血管に埋め込まれているが、その血管の開口部を通って分岐する血管へと延長するステントの部分等において、ステントのセルを拡張するための装置が記載されている。この装置は、オーバーチューブをさらに備える他は、米国特許公開第2004/0143287号(上記を参照)に記載の装置と同様の構造を有する。なお、このオーバーチューブは、ステントのワイヤの近傍に位置し、装置のバルーン部品の追従を制御するために用いられる。
【0014】
欧州特許公開第1611920号には、永久埋め込み用に構成されたステントが記載されている。永久埋め込み用に構成されたものとして、このステントは、拡張構成に向かって付勢されるよう構成されている。このステントは一度拡張されると、収縮可能とならないよう設計されている。ブレードが取り付けられた1つの実施形態を含んで、他の部品は溶接によりステントの外部に取り付けられる。好適な実施形態においては、この装置は、埋め込んだ後に装置が人体に吸収されることを可能とする材料により構成される。この装置の側部構造に配置された可撓性を有する保護プレートが、この装置の保護機構として開示されている。保護プレートの、径方向における最外端は、構造の最外端部よりも高く構成される。その結果、装置が送達される間は装置は保護され、ステントが拡張する間は切断が可能となる。カテーテルに取り付けられた保護機構もまた記載されている。しかし、特定の構造については提供されていない。さらに、体内から装置を取り除くことに関しては、何ら考慮がなされていない。装置は、永久に、または体内に吸収されるまで、残る。
【0015】
欧州特許公開第0533511号には、自己拡張可能なメッシュを有する装置が記載されており、このメッシュは非拡張構成ではカテーテル内に保持され、カテーテルから押し出されると拡張する。このメッシュは、血管内で回転させられるかまたは擦られて、物質を取り除く。国際(PCT)公開第2008/036900号には、バルーンに基づく装置が記載されており、この装置は、2つの膨張圧力に応答して、バルーンの異なる部分を展開/拡張する。この動作は、マイクロニードルを展開するために用いられる。メッシュ状の金属またはナイロンの小片が、接着剤を用いて、マイクロニードルをバルーンの中心部分に連結するために用いられる。米国特許第5,653,684号には、拡張構成に向かって付勢される、拡張可能なワイヤメッシュチップを有するカテーテルが記載されている。ワイヤは、メッシュ位置および拡張形態の調節のために用いられる。米国特許第4,885,003号には、外側メッシュに対して回転可能である内側メッシュを有する二重メッシュバルーンが記載されており、この二重メッシュバルーンは、閉塞エリアの物質を切除する削り器具として機能する。欧州特許公開第1935376号には、バルーンカテーテルが記載されており、このバルーンカテーテルは、バルーンカテーテルの外側表面にカッティングブレードを有する。このブレードは弾性材料により覆われており、使用時は、弾性材料から露出する。強固な基部は、バルーンの広範囲の部分上で要求される切断力をブレードが分配するための強固な支持体として提供され得る。米国特許第6,626,861号には、織物状材料製の外側メッシュスリーブを有するバルーンカテーテル装置が記載されており、この外側メッシュスリーブは、研磨用具として機能する。この装置を移動させ、障害物の除去のために障害物を研磨し得る。米国特許第7,252,650号には、バルーンカテーテル用のバルーンが記載されている。このバルーンは管の周囲に形成され、この管はバルーンを脹らませるために用いられ得る。バルーンの壁部はファイバーにより補強され、その結果、バルーンの径方向の拡張が制限される。バルーンは、バルーンの畳まれていない構成を記憶するファイバーにより畳まれ得る。
【0016】
当該技術の現状にも関わらず、動脈/静脈等の血管または他の中空臓器を含む内部体腔治療用の代替的なカテーテル医療装置を提供することが望ましい。特に、永久に埋め込まれる装置に対する要求を避けることが望ましい。特に、1つまたは複数の部位における治療に使用して、治療完了後に除去することが可能な一時的装置を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0017】
1つの実施形態において、本発明は、人体または動物体の内部の血管の血管壁の目的エリアを治療するための収縮可能な治療装置に関し、(i)血管内における目的エリアへの移動を可能とする収縮構成と、目的エリアの治療を可能とする拡張構成とを有するメッシュ部分と、(ii)メッシュ部分上に坦持される少なくとも1つの治療器具と、を備え、さらに、(iii)少なくとも1つの(収縮可能な)隆起部と、を備え、この隆起部は、血管内における移動の際に、治療具が血管に接触しないよう血管を保護する。
【0018】
望ましくは、少なくとも1つの治療器具がメッシュ部分に固定される。治療器具がこのようにメッシュ上に固定されているため、治療器具は確実に定位置に固定され、切り離される可能性がより少なくなる。その結果、装置の移動の際の脱落による治療器具の紛失の問題が回避される。このように、治療器具の完全脱落または部分的脱落は、治療器具がメッシュにより定位置に直接保持されているため、実質的に低減される。機械形成により、溶接により、またはメッシュ部分上に形成された治療器具保持器へと固定されることにより、治療器具がメッシュ部分に固定され得ることが理解できるであろう。後者の選択肢が好適である。
【0019】
あるいは、治療器具は、治療器具をメッシュ部分に固定するために、治療器具をメッシュ部分に固定する寸法を有する張り出したヘッド部分または環部分を備えてもよい。メッシュには、1つまたは複数の挿入スロットが提供され、治療器具(単数または複数)は、この挿入スロットに挿入されて、メッシュに固定可能となることが望ましい。治療器具は、スナップフィット機構によりメッシュに固定されてもよい。この点に関して、例えば、治療器具上の凹部分にスナップフィットする寸法を有する、メッシュ上のペグ、またはその逆等の、任意の相互係合の形態が好適であろう。ペグが凹部分から脱出することを防ぐための制限具が、凹部分に提供されてもよく、および/または、ペグのヘッド部が、凹部分と係合するよう拡大されていてもよい。これにより、治療器具をメッシュに直接固定する必要がなくなり、メッシュと治療器具との様々な相対運動が可能となる。この様々な相対運動は、メッシュおよび治療器具のそれぞれに異なる材料を用いることにより、および/または、装置の拡張/収縮に応答する治療器具に対するメッシュの移動量が異なることにより、生じ得る。係る異なる相対運動により、望ましくない応力が装置において生じ得、治療器具が装置から分離することが潜在的に生じ得る。このように装置から治療器具が分離することは、極めて有害である。したがって、本発明の装置は、体内へと容易に挿入し、治療部位へと進めることが可能である。隆起部(単数または複数)は、治療器具から血管壁を保護するであろう。
【0020】
収縮可能であるため、本発明の装置は容易に展開され、血管から取り除くために、またはさらに他の治療を実施するようさらに他の治療部位へと移動するために、収縮される。本発明の装置は、ステント構造に基づく装置等の他の装置と異なり、拡張構成へと展開された後にも収縮可能である。他の装置は、収縮に抗する方向に(拡張に向かう方向に)弾性的に付勢される。したがって、拡張構成が保持され、収縮可能とはならない。
【0021】
少なくとも1つの隆起部が、メッシュ部分により形成されてもよい。本発明の装置は、メッシュ部分により形成された隆起部が複数存在することが望ましい。任意の隆起部が収縮可能であり、血管壁と接触しなくとも収縮することが望ましい。特に、装置が拡張構成に向かって動くにつれて、拡張力により印加される伸張力により隆起部が収縮するよう構成されることが望ましい。これは、遮蔽位置から1つまたは複数の治療器具を露出させるために、血管壁に対し圧力を印加する必要がないことを意味する。係る力を印加して血管を伸張させることは障害を生じさせ得るため、望ましいことである。
【0022】
メッシュ部分は、環状の本体を備えることが好ましい。メッシュ部分は、湾曲経路にしたがう少なくとも1つのエレメントを備え、このエレメントは、拡張時に、湾曲経路の湾曲度を減少させることにより、弾性的に変形することが、さらに望ましい。
【0023】
さらに他の実施形態において、本発明の装置は、血管内で移動する際に血管が治療器具に接触しないよう保護するための保護被覆を備えてもよい。血管内で移動の際に血管が治療器具と接触しないよう保護する、その少なくとも1つの隆起部は、被覆上に提供されることが望ましい。あらゆる事態において、隆起部は被覆上またはメッシュ上にあることが望ましい。1つの実施形態においてはそのような構成は可能であるが、治療器具(単数または複数)上に隆起部(単数また複数)が存在しないことが望ましい。
【0024】
装置の拡張構成において、少なくとも1つの隆起部が変形すると、治療具が露出され得る。装置の拡張構成においては、隆起部は治療器具を収容し、治療器具は隆起部を超えて伸び出ることが好ましい。
【0025】
本発明の装置のメッシュ部分は、被覆内に埋め込まれていてもよい。代替的な実施形態においては、メッシュ部分は被覆の上方にあってもよい。さらに他の実施形態においては、メッシュ部分の下方にあってもよい。メッシュ部分は被覆の上方にあり、隆起部は被覆からメッシュ部分を超えて延長することが望ましい。
【0026】
被覆は、エラストマ材料等の、弾性的に変形可能な材料から作られることが好ましい。メッシュが弾性的に拡張すると、非作動時構成に向かう追加的な付勢が提供される。したがって、本発明の装置は、非拡張構成に戻ると、血管内の移動のためのコンパクトな構成に戻る。被覆の弾性的拡張と組み合わさると、非作動時構成に向かう付勢は、さらに大きくなる。
【0027】
本発明の装置のメッシュ部分は管状部分から機械加工されてもよい。あるいは、メッシュ部分は成形により形成されてもよい。
【0028】
さらに他の実施形態においては、本発明の装置は、例えば、少なくとも2つの環状メッシュ部分を備えてもよい。少なくとも3つのメッシュ部分を備える装置も、本発明の範囲に含まれる。係る実施形態においては、本発明の装置のメッシュ部分は、一体形成されてもよい。各メッシュ部分は螺旋内で湾曲することが好ましい。あるいは、この環状メッシュ部分は、一体形成されるのではなく、1つまたは複数の別々のエレメントにより結合されてもよい。この1つまたは複数の別々のエレメントは、治療器具または治療器具のための担体を備えてもよい。治療器具は、例えば、機械形成により、溶接により、または、この別々のエレメント上もしくはこの担体上に形成された治療器具ホルダに固定されることにより、この別個のエレメントまたはこの担体に固定され得ることが理解できるであろう。治療器具ホルダが好適である。
【0029】
本発明の装置は、バルーン等の拡張可能部分をさらに備え得、メッシュ部分は拡張可能部分上に被される。
【0030】
メッシュ部分は、バルーンカテーテルのバルーン等の、カテーテルの拡張可能部分上で、カテーテルに固定されてもよい。メッシュ部分は、拡張可能部分の両端部においてカテーテルに固定されてもよく、拡張可能部分の端部(単数または複数)を超える位置において固定されることが望ましい。カテーテル/拡張可能部分の周囲で噛み合う噛み合いリング構造が、メッシュをその箇所に固定するために、形成されてもよい。噛み合いリング構造はメッシュの一部であることが望ましい。メッシュ部分は、メッシュがカテーテルにおよび/または被覆に取り付けられる点の中間において一連の長手方向のストラットを提供するために、被覆から延長してもよい。ストラットは、ストラット上に被せられ得る被覆に対する追加的な支持を有利に提供し得る。ストラットが占める領域はカバーされてもよい。例えば、ストラットに容易に被せることができ、その後、収縮させてストラットに嵌まるかまたは結合される材料は、カバーとして使用され得る。カバーされたストラットを使用すると狭い病変を通過する際に移動が滑らかになるために、カバーは、病変を通過する際の援助となり得る。
【0031】
メッシュに坦持される治療器具は、長手方向ストラットを一連の治療器具に提供するために、装置の長手方向の軸に対して平行に、被覆から延長してもよい。治療エレメントストラットは、メッシュストラットの下方にあってもよい。すると、メッシュをカテーテルに固定することにより、治療器具もカテーテルに固定することができる。
【0032】
バルーン等の拡張可能部分は、実質的に円錐状の端部分を有する実質的に円筒状の本体を有することが望ましい。バルーン本体は、テーパー部分を備えてもよい。テーパー部分が存在することは、血管内での移動を容易とするプロファイルが提供されるため、有利である。このことにより、装置は、動的に且つ妨害が比較的少ない形で、体内の血管を通って目的部位へと移動することが可能となる。テーパー部分の小端部が動脈内の先端位置に配置されテーパー部分の大端部が動脈内の近接位置に配置された状態のテーパーバルーンは、動脈の解剖学的構造と一致し得る。したがって、動脈が心臓から遠ざかるにしたがって先細りになる、直径の自然な減少と一致する。さらなる実施形態においては、本発明は、被覆が拡張可能なバルーンを形成する装置を提供する。
【0033】
さらに他の実施形態においては、本発明は、人体または動物体の内部の血管の血管壁の目的エリアを治療するための収縮可能な治療装置を提供し、この治療装置は、目的エリアへの血管内の移動を可能とする収縮構成から、目的エリアの治療を可能とする拡張構成へと拡張可能であり、且つ収縮構成を記憶する形状記憶材料から作られた、拡張可能なメッシュ部分と、メッシュ部分上に坦持された少なくとも1つの治療器具とを備える。
【0034】
この収縮可能な治療装置が、本明細書で説明する(上記参照)本発明の装置の1つまたは複数の追加的な特徴を有し得ることは、当業者は理解するであろう。
【0035】
本明細書で用いられる形状記憶材料という用語は、材料に印加されている拡張力が除去されると元の縮小形状に戻ることができる材料を指すことを意図するものである。
【0036】
本発明は、人体または動物体の内部の血管の血管壁の目的エリアを治療するための収縮可能な治療装置とともに用いられる拡張可能なメッシュも提供し、この拡張可能なメッシュは、血管内での目的エリアへの移動を可能とする収縮構成から、目的エリアの治療を可能とする拡張構成へと拡張可能である拡張可能なメッシュ部分と、メッシュ部分上に坦持された少なくとも1つの治療器具とを備え、このメッシュ部分は、血管内を移動する間に治療器具と接触しないよう血管を保護する、少なくとも1つの(収縮可能な)隆起部をさらに備える。
【0037】
人体または動物体の内部における血管の血管壁の目的エリアを治療するための収縮可能な治療装置とともに用いられる拡張可能なメッシュも、本発明の範囲に含まれ、このメッシュは、(i) 血管内での目的エリアへの移動を可能とする収縮構成から、目的エリアの治療を可能とする拡張構成へと拡張可能であるメッシュ部分と、(ii)メッシュ部分上に坦持された少なくとも1つの治療器具と、(iii)メッシュ上に提供された被覆とを備え、この被覆は、血管内での移動の間に治療器具と接触しないよう血管を保護する、少なくとも1つの(収縮可能な)隆起部を備える。
【0038】
本発明の拡張可能なメッシュは、収縮構成を記憶する形状記憶材料製であることが望ましい。環状の構成においては、本発明の拡張可能なメッシュは、収縮状態に対して、正反対の方向に大幅な拡張ができることが好ましい。
【0039】
本発明のすべての実施形態においては、隆起部(単数または複数)はメッシュとともに移動すること、および、装置が収縮構成へと至ると、隆起部(単数または複数)はメッシュ上の治療器具を再び保護するよう機能することが明らかである。この点において、あらゆる隆起部が、収縮姿勢から保護(上向き)姿勢に向かって弾性的に付勢されることが好ましい。これが、カテーテル等の内部に収容され且つ装置の径方向への相対的動きにより展開されてカテーテルから露出する他の装置に対する明確な利点である。係る構成においては、装置は、血管壁が装置と接触しないよう遮蔽される前に、カテーテル内に再び収容されなければならない。本装置においては、治療器具の遮蔽は、装置が収縮位置に至ると同時に生じる。例えば、脹らんだバルーンが萎むにつれ、あらゆる隆起部は伸張力から徐々に解放され、上向き姿勢に向かって動くことにより、遮断姿勢を徐々に回復する。
【0040】
本発明の他の態様においては、治療器具には後退止め具が提供され、この後退止め具により、治療器具がメッシュおよび/または被覆および/または環状部分へと後退することが防がれる。例えば、治療器具が装置に据えられ、メッシュと同様の程度にまで移動しない場合もある。これは、治療器具が、メッシュを超えて可能な限度まで突き出ることがなく、血管内における動作の効率性が低下することを意味する。したがって、このような引き込まれた姿勢は望ましくない。後退止め具を提供することにより、係る部分的な後退が回避される。後退止め具は、メッシュと係合するよう構成されることが好ましい。次に、メッシュは、まったく逆戻りしないように、十分な支持を提供する。1つの実施形態において、後退止め具は1つまたは複数のタブの形を取る。他の構成においては、後退止め具はピンの形を取る。
【0041】
本発明の治療器具は、1つまたは複数の、ブレードまたは針であり得る。治療器具は、治療器具の作業端部が、少なくとも装置の作動時構成において、直接に径方向外側に向かうよう構成されることが望ましい。
【0042】
本発明の装置には、例えば、薬剤を含む治療液等の、所望の流体を血管に送達するための送達チューブが提供され得る。送達チューブは、装置の収縮/拡張に対して実質的にいかなる程度においても干渉しないよう、十分な可撓性を有する。送達チューブは本発明のメッシュ上に坦持されてもよい。例えば、送達チューブはメッシュの中を通ってもよい。これにより、送達チューブはメッシュの拡張および収縮にあわせて動くことが可能となる。送達チューブは、被覆の表面の下方に配置されてもよい。送達チューブは被覆の外側表面上に露出されてもよい。配管に一連の孔が提供されてもよい。それにより、配管内の治療剤または流体を周囲の血管へと放出することが可能となる。薬剤送達配管が被覆の下方に配置される実施形態においては、配管孔は一連の被覆孔と位置合わせして提供されてもよい。それにより、例えば、治療物質を配管から周囲の血管へと移動または拡散することが可能となる。
【0043】
配管を用いると、装置の位置において、治療剤を血管へと送達または注ぎ込むことができる。治療剤を注入するにあって針が必要とされないため、配管が表面に露出する実施形態において、配管を隠すための保護的隆起部の必要がなくなる。
【0044】
当業者に知られる任意の数の方法により、被覆はカテーテルに固定され得る。例えば、糸等の縫い目が被覆の端部の周りに堅く巻きつけられ、続いて、被覆がカテーテルに接着されてもよい。
【0045】
本発明は、添付の図面を参照して、且つこれらの図面に示されて本明細書で説明される装置、メッシュ、および様々な組立体にも及ぶ。本発明の主題である製品は、以下で説明されるように、バルーンカテーテルに被せることに適していることが理解されるであろう。本装置は、バルーンによる拡張に抗するよう弾性的に付勢されることが望ましい。したがって、バルーンにより印加される膨張力が取り除かれると、本装置は収縮構成へと容易に戻るであろう。本発明のメッシュは、バルーンの実質的な全体を包囲することが望ましい。被覆が存在する場合、バルーンの実質的全体はメッシュおよび被覆の両方により包囲されることが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の拡張可能なメッシュの端面(断面)図を示す図である。
【図2】本発明の装置に備わるメッシュおよび被覆を備える組立体の端面(断面)である。
【図3】図2に示す組立体のさらなる実施形態を示す、図2に示すのと同様の図である。
【図4】図2および図3に示す実施形態と同様の発明のさらなる実施形態の、図2および図3に示すのと同様の図である。
【図5】本発明のメッシュを示す平坦化された平面図である。
【図6】図5に示すメッシュに対する代替的なメッシュ構成を示す、平坦化された平面図である。
【図7】図6に示す装置の部分Aの拡大図である。
【図8】環状の形状を形成し、且つ一連のメッシュ部分を備える、本発明のメッシュの斜視図である。
【図9】図8に示す装置と同様の構造を有する装置の斜視図である。
【図10】図9に示す装置の部分Aの拡大図である。
【図11】拡張構成における、収縮可能な治療装置のさらなる実施形態の透視図である。
【図12】血管形成術用バルーン装置等のバルーンカテーテル装置に適用された、本発明のメッシュ装置の斜視図である。
【図13】ブレードが取り付けられた、本発明のメッシュ装置の端面断面図である。
【図14】針が取り付けられた、本発明のメッシュ装置の端面断面図である。
【図15】図15(a)〜(b)は拡張する(上から下)、および収縮する(下から上)、本発明の組み合わされた被覆/メッシュ装置の端面断面図である。
【図16】図16(a)〜(c)は本発明のブレードの側面図である。
【図17】図16(b)のブレードの部分を示す拡大図である。
【図18】図16(c)のブレードの部分を示す拡大図である。
【図19】図16(b)および図17のブレードがどのようにメッシュと係合するかを示す図である。
【図20】どのように図16(c)および図18に示すブレードがメッシュと係合するかを示す図である。
【図21】被覆を脹らませるために使用するテーパーバルーンカテーテルの断面図である。
【図22】図21に示す実施形態上にブレードを坦持する状態の、図21に示す実施形態を示す図である。
【図23】ストラットが被覆から延長する状態の、本発明に係る被覆を有するバルーンカテーテルを示す図である。
【図24】図23のストラットのクローズアップを示す図である。
【図25】図24のストラットがカバーされた状態の実施形態を示す図である。
【図26】図23のストラットのさらなる拡大を示す図である。
【図27】本発明の拡張可能なメッシュにブレードを取り付けるためのスナップフィット構成を示す図である。
【図28】図27に示すスナップフィット構成のクローズアップを示す図である。
【図29】本発明の拡張可能なメッシュとブレードとの噛み合いを示す概略図である。
【図30】複数の位置においてメッシュに取り付けられたブレードを示す図である。
【図31】薬剤送達チューブを有する、本発明に係る装置の水平断面図である。
【図32】図31に示す装置の3次元的斜視図である。
【図33】図31および図32に示す装置の水平断面図である。
【図34】メッシュに組み込まれた薬剤送達チューブおよびスナップフィット式のブレードを有する、本発明に係る拡張可能なメッシュを示す図である。
【図面の詳細な説明】
【0047】
本発明の主要な発明的概念の1つは、1つまたは複数の保護的隆起部と組み合わせて、(拡張可能部分を非作動時構成へと動かすよう)追加的な収縮力を拡張可能部分に対して提供するメッシュを提供することであり、この保護的隆起部は、目的部位への移動の間、1つまたは複数の(ブレードまたは針等の)治療器具を保護し、この装置が作動時構成へと拡張されるとき、平坦化されて、この治療器具を露出する。隆起部は被覆上またはメッシュ上にあることが望ましい。
【0048】
本発明の1つの実施形態が図1に示されている。図1は、本発明の拡張可能なメッシュの端面(断面)図を示す。メッシュ1はメッシュ部分を環状本体2の形で備え、この環状本体2はキャビティ3を画成する。バルーン等(例えば、血管形成術用バルーン等のバルーンカテーテルのバルーン)の拡張可能部分が、キャビティ3に挿入可能である。メッシュ1は形状記憶材料製であることが望ましい。この実施形態においては、メッシュには治療器具がブレード4の形で提供されている。メッシュ1は2つの隆起部5および6をさらに備え、隆起部5および6は、それぞれブレードの反対側にある。この実施形態に示されるように、隆起部は環状本体2と一体形成されることが望ましい。特に示されているように、隆起部もまたメッシュ状であることが望ましい。2つの隆起部5および6は、装置が挿入される間、血管壁と接触しないよう、ブレード4を保護する。下記で他の実施形態に対してより詳細に説明されるように、メッシュが装置上に被せられキャビティ3がバルーン等の拡張可能部分に占められているとき、バルーンが脹らむと、環状本体2は拡張されて平坦化し、耳形部または耳垂部5および6の形の隆起部は平坦化し、その結果、目的部位の治療のためにブレード4が露出されることとなる。収縮により逆のプロセスが生じると、隆起部5および6がもとの形状に戻って治療器具を遮蔽する。このように、隆起部5および6を含むメッシュ2の全体は、収縮構成に向かう付勢力により弾性的に変形する。所望により、この装置は、隆起部内に形成された、1つまたは複数の送達槽7をさらに備えることができる。送達槽7は、治療用溶液等の薬物を送達するためのものである。この装置は、隆起部が収縮すると治療用溶液が放出されるよう、構成することができる。図1に示す装置は、1つまたは複数の追加的治療器具を遮蔽する追加的な隆起部を有するよう構成することができる。これらの隆起部は、例えば、メッシュ2の周りで円周方向に配列されてもよい。例えば、約120度離れた3組が利用されてもよい。治療器具はメッシュと一体形成され得ることが理解できるであろう。しかし、係る構成は、望ましい一方で、高価なものとなり得る。代替的には、治療器具の少なくもと一部、例えば、治療器具の基部、がメッシュの下方に捕捉されてもよい。このことは、メッシュを通して部分的に挿入することにより、達成され得る。例えば、隆起部が、下方からメッシュを通って部分的に延長してもよい。治療器具がメッシュにより定位置に直接保持されるため、装置が移動する間に脱落することによる治療器具の紛失の問題がこのようにして実質的に低減される。
【0049】
本発明のさらなる実施形態が図2に示されている。図2は、本発明の装置の部分を形成する組立体の端面(断面)図を示す。この実施形態において、組立体20は、メッシュ(すなわちメッシュ部分)を環状本体22の形で備え、この環状本体22はキャビティ23を画成する。バルーン等(例えば、血管形成術用バルーン等のバルーンカテーテルのバルーン)の拡張可能部分が、キャビティ23に挿入可能である。メッシュ22は形状記憶材料製であることが望ましい。メッシュ22は、被覆27内に埋め込まれる。被覆27は、エラストマ材料等の弾性的に変形可能な材料から作られ、形状において略環状である。複数の治療器具が、装置の周りで円周方向に離間する。本実施形態においては、4つの治療器具が約90度離間して、ブレード24の形で存在する。ブレード24は、メッシュ22上に坦持され、メッシュ22により定位置に保持される。これは、上述の適した構成により、達成され得る。例えば、ブレードまたはブレード用の担体は、メッシュおよび治療器具が被覆27を通って延長する1つまたは複数の接続部分により接続されるよう、被覆27を通って延長する。
【0050】
本実施形態においては、被覆27は、4組の隆起部を耳形部または耳垂部25および26の形でさらに備え、これらの耳形部または耳垂部25および26は、それぞれ、各ブレード24の反対側に位置する。本実施形態に示されるように、隆起部25および26は、環状本体22の周りに一体形成されることが望ましい。本実施形態において、隆起部は非中空の耳垂部である。隆起部は、他の実施形態において説明されるよう、装置が拡張すると、収縮して、ブレード24を露出する。
【0051】
ブレードがメッシュに配置されているため、ブレードは定位置に確実に固定され、切り離される可能性は極めて小さくなる。さらに、メッシュが弾性的に拡張すると、非作動時構成に向かう追加的な付勢が提供される。このように、本発明の装置は、非拡張構成に帰ると、血管内の移動のためのコンパクトな構成に戻る。被覆の弾性的拡張と組み合わされると、非作動時構成に向かう付勢は、さらに大きくなる。
【0052】
図3は、図2に示す実施形態と同様な、本発明のさらに他の実施形態を示す。図3は、本発明の装置の部分を形成する組立体の端面(断面)図を示す。この実施形態において、組立体30は、メッシュ(すなわちメッシュ部分)を環状本体32の形で備え、この環状本体32はキャビティ33を画成する。バルーン等(例えば、血管形成術用バルーン等のバルーンカテーテルのバルーン)の拡張可能部分が、キャビティ33に挿入可能である。メッシュ32は形状記憶材料製であることが望ましい。メッシュ32は被覆37の下方に配置される。他の実施形態の場合と同様に、被覆37は、エラストマ材料等の弾性的に変形可能な材料から作られる。複数の治療器具が、装置の周りで円周方向に離間する。本実施形態においては、4つの治療器具が約90度離間して、ブレード34の形で存在する。ブレード34は、他の実施形態に対して上述したように、メッシュ32上に坦持される。例えば、各ブレードまたはブレード用の担体は、各治療器具およびメッシュが、被覆37を通って延長する1つまたは複数の接続部分により接続されるよう、被覆37を通って延長する。
【0053】
上述のように、被覆37は、隆起部を、耳形部または耳垂部35および36の形でさらに備え、これらの耳形部または耳垂部35および36は、それぞれ、各ブレード24の反対側に位置する。実際に、この実施形態においては、2組の隆起部35および36が存在し、それぞれが2つのブレードの間で延長する。その結果、同時に2つのブレードに対して遮蔽が提供される。本実施形態に示されるように、隆起部25および26は被覆37と一体形成されることが望ましい。本実施形態においては、隆起部は、閉鎖空間38を提供する(閉鎖された)中空耳垂部である。そのため、与えられた閉鎖空間すなわち隆起部は、導管または槽を提供することができる。隆起部は、他の実施形態において説明されるように、装置が拡張すると、収縮して、ブレード34を露出する。収縮動作は、上述のように、治療液を放出するためにも用いられ得る。
【0054】
再び、ブレードがメッシュに配置されているため、ブレードは定位置に確実に固定され、切り離される可能性は極めて小さくなる。さらに、メッシュが弾性的に拡張すると、非作動時構成に向かう追加的な付勢が提供される。このように、本発明の装置は、非拡張構成に戻ると、血管内の移動のためのコンパクトな構成に戻る。被覆の弾性的拡張と組み合わさると、非作動時構成に向かう付勢は、さらに大きくなる。
【0055】
図4は、上述の実施形態と同様な実施形態を示す。組立体40は、メッシュ(すなわちメッシュ部分)を環状本体42の形で備え、この環状本体42は、バルーン等の拡張部分のためのキャビティ43を画成する。キャビティ43。メッシュ42は、被覆47の上方(および周囲)に配置される。他の実施形態の場合と同様に、被覆47は、エラストマ材料等の弾性的に変形可能な材料製である。複数の治療器具が、装置の周りで円周方向に離間する。本実施形態においては、4つの治療器具が約90度離間して、ブレード44の形で存在する。ブレード44は、他の実施形態に対して上述したように、メッシュ42上に坦持される。メッシュは、被覆47の周りに近接して着座する。
【0056】
上述のように、被覆47は、隆起部を、耳形部または耳垂部45および46の形で、さらに備え、これらの耳形部または耳垂部45および46は、それぞれ、各ブレード44の反対側に位置する。実際に、この実施形態においては、2組の隆起部45および46が存在し、それぞれが2つのブレードの間で延長する。その結果、同時に2つのブレードに対して遮蔽が提供される。本実施形態に示されるように、隆起部45および46は、被覆47と一体形成されることが望ましい。本実施形態においては、隆起部は、閉鎖空間48を提供する(閉鎖された)中空耳垂部である。そのため、与えられた閉鎖空間すなわち隆起部は、導管または槽を提供することができる。隆起部は、他の実施形態において説明されるように、装置が拡張すると、収縮して、ブレード44を露出する。収縮動作は、上述のように、治療液を放出するためにも用いられ得る。
【0057】
本実施形態においては、メッシュ42は、被覆の環状本体の外側にあるが、隆起部を超えて延長することはない。このように、治療器具44は、たとえメッシュが被覆の外側にあったとしても、依然として遮蔽される。所望により、メッシュは隆起部を通って延長し、そこで被覆と連結されることが可能である。しかし、多くの実施形態においては、メッシュは隆起部を通って延長するのではなく、ほぼ同程度に延長する。
【0058】
再び、ブレードがメッシュに配置されているため、ブレードは定位置に確実に固定され、メッシュが弾性的に拡張することにより、非作動時構成に向かう追加的な付勢が提供される。
【0059】
図5は、本発明のメッシュの1例を示す。特に、図5は、本発明のメッシュ52の平坦化された平面図を示す。メッシュ52はいくつかのエレメント59を備え、各エレメント59は湾曲経路にしたがう。本実施形態においては、湾曲経路は、一連のS字形湾曲部を有する経路である。メッシュは、弾性的に変形可能な材料製、特に形状記憶材料製である。各エレメントは、拡張下では、その経路の湾曲度を低下させることにより、弾性的に変形する。エレメントの端部と端部との間の距離は、エレメントが拡張するにつれ、大きくなる。
【0060】
一連のエレメント59は、メッシュ52が、一連のメッシュ部分512を含み、周方向および径方向に実質的に連続するよう、(並列構成で)提供される。係る構成は、バルーンカテーテルの拡張可能部分への適用に適している。メッシュ52は、係る拡張可能部分に被せるために、環状に配列され得ることが理解できるであろう。治療器具は、ブレード54の形で、メッシュ上に提供される。本実施形態においては、ブレード54は、エレメント59とともに、管状部分から切断されたものである。他の実施形態においては、治療器具はメッシュに溶接されることが可能である。あるいは、治療器具をメッシュ上に直接提供するかわりに、治療器具ホルダが提供されてもよい。係るメッシュは、本発明の任意の実施形態における使用に適している。図1に示す実施形態において利用される場合、このメッシュは、環状形状と、メッシュ上の、治療器具を遮蔽するための、1つまたは複数の隆起部との両方を提供するために形成されるであろう。
【0061】
図6は、図5に示すメッシュに対する代替的なメッシュ構成を示す。図6において、メッシュ62は、別々の、離間したメッシュ部分612を備える。特に、このメッシュ部分は一体形成されるのではなく、1つまたは複数の別のエレメントにより連結される。各メッシュ部分612は、湾曲エレメント69により形成される。本実施形態においては、治療器具は、ブレード64の形で、メッシュ部分を連結する支持具を形成する。図示された構成は、4つのメッシュの個別部分を含む。係る構成は本発明の任意の実施形態に用い得るが、係るメッシュ構成は、メッシュが被覆に埋め込まれた図2で説明される実施形態等を用いた構成に利用することが望ましい。メッシュの固定を支援するために、固定ポイント613がエレメント69の自由端に提供されることが好ましい。図5に関して説明されたように、メッシュ部分は、矢印610により示されるように、(装置の円周方向に)拡張することができる。
【0062】
図7は、図6に示す装置の部分Aの拡大図である。図7においては、メッシュ部分612は、エレメント69の湾曲経路として、より明らかに見ることができる。
【0063】
図8は、図5から図7に示す装置と同様の構造を有する装置81の斜視図である。図8は、環状部分82を備えるメッシュを示し、この環状部分82は、複数の構造部材813(本実施形態においては、90度離間する4つの構造部材813が存在する)により連結された一連のメッシュ部分89を備える。構造部材813はメッシュ部分を連結し、図示される環状構成を形成する。望ましい構成として、構造部材813は治療器具84を坦持する。
【0064】
図8に示す構成は、環状本体が、(i)図2に示すように、被覆に埋め込まれる、(ii)図3に示すように、被覆の下方にある、もしくは図4に示すように、被覆の上方にあるよう、構成されることが可能である。このメッシュ配列は、図5および図6に示す配列とは異なるが、これらのメッシュパターンも環状メッシュ構成を形成するに適したものであることが理解されるであろう。本発明の他の実施形態の場合と同様に、治療器具は収縮構成では隆起部により遮蔽されることが望ましい。
【0065】
図9は、図5から図7に示す装置の構造と、特に図8に示す装置の構造と同様の、装置91の斜視図である。図9は、環状部分92を備えるメッシュを示し、この環状部分92は、複数の構造部材913(本実施形態においては、90度離間する4つの構造部材)により連結された一連のメッシュ部分99を備える。構造部材913はメッシュ部分を連結し、図示される環状構成を形成する。望ましい構成として、構造部材913は治療器具を坦持する。本実施形態において、治療器具は針915、特に、装置が挿入された血管壁に流体を注入するに適したマイクロニードルの形を取る。部分Aの拡大図が図10に示される。
【0066】
図9に示す構成は、環状本体が、被覆に埋め込まれる、被覆の下方にある、または被覆の上方にあるよう、構成されることが可能である。本発明の他の実施形態の場合と同様に、治療器具は収縮構成では被覆上の隆起部により遮蔽されることが望ましい。
【0067】
図10でもっともよく見られるように、装置は導管を備え、この導管は、例えば、治療液を送達するために、針915と流体連通する。図9および図10に見られる簡単な構造において、導管916は、構造部材913上に、または構造部材913の一部として、形成される。
【0068】
図11は、人体または動物体の内部の血管の血管壁の目的エリアを治療するための収縮可能な治療装置1101のさらなる実施形態を示す。この装置は、前述した実施形態と同様の構造を有するが、拡張構成(作動時構成)で示されている。拡張構成においては、各(S字形状の)エレメント1109は、キャビティ1103内からの拡張圧力の下で開いた状態にある。これにより、部材1109により形成される湾曲経路における各ループ間の距離が増加し、その結果、パターンはよりジグザグ傾向が大きいものとなる。拡張構成においては、部材1109の付勢は、部材のループの締まりにより、収縮構成に向かうものとなる。
【0069】
再び、構造部材1113はメッシュ部分を連結するために提供され、構造部材1113は治療器具、この場合、ブレード1104を坦持する。したがって、治療器具はメッシュの構造エレメント上に坦持される。エレメント1109を形成する材料は、収縮構成を記憶する材料であることが望ましい。
【0070】
図12は、血管形成術用バルーン装置等のバルーンカテーテル装置に適用される、本発明のメッシュ装置を示す。このメッシュ装置は、カテーテル1220と、バルーン1221および収縮可能な治療装置1201の形をとるメッシュ装置上の拡張可能部分とを備え、この拡張可能部分は図11に示す装置と同様の形状を有する。図11の場合と同様に、図12に示す装置は、拡張構成で示されている。バルーンが拡張すると、装置は作動時構成に入る。バルーンカテーテル装置は隆起部を有する被覆を備え、その隆起部は、非作動時構成では治療器具を保護し、収縮すると(平坦化すると)、バルーンカテーテル装置の作動時構成で使用される治療器具を露出することが望ましい。
【0071】
本発明のすべての実施形態の場合と同様に、また、展開するよう(例えば、血管の狭窄部分において血管を開くようにステントを送達し展開するよう)構成された装置と対比して、本発明の装置、特にメッシュまたはメッシュ部分は、装置の永久部分を形成する(且つ離脱不可能である)。この装置は、目的部位へと移動し、作動時構成へと拡張され、目的部位を治療するために使用され、被覆およびメッシュからの付勢により非作動時構成または移動時構成へと戻り、さらなる目的部位を治療するために拡張されることが可能である。
【0072】
図13は、どのようにブレード1304をメッシュ1302に嵌めることができるかの1例を示す図である。メッシュは環状形状に配列されている。各ブレード1304の基部は、張り出したヘッド部分または環部分1325を有し、この張り出したヘッド部分または環部分1325は、ブレード1304をメッシュに保持する寸法を有する。
【0073】
図14は、どのように針1404をメッシュ1402に嵌めることができるかの1例を有する同様の構成を示す。メッシュは環状形状に配置されている。各針1404の基部は張り出したヘッド部分または環部分1425を有し、この張り出したヘッド部分または環部分1425は、針1404をメッシュ1402上に保持する寸法を有する。上述のように、これらの針には導管を通して流体を供給することができる。
【0074】
図15は、メッシュおよび被覆の拡張(上から下の順に(a)から(b)へ)と、収縮(下から上の順に(b)から(a)へ)の進行を示す。双頭矢印に示されるように、拡張に続く収縮は所望の回数だけ繰り返すことができる。
【0075】
図15においては、メッシュ1502および被覆1507が膨張力の下で拡張することが見られる。このことは、いくつかの効果を有する。すなわち、第1にキャビティ1503の直径dが大きくなり、被覆1507の壁厚が小さくなり、隆起部1505および1506が平坦化される。これらの効果は、ブレード1504の形の治療器具が、血管壁に近づき、より露出される((a)における遮蔽姿勢から(b)における完全露出まで)ことを意味する。
【0076】
図16(a)から(c)は、本発明の各ブレードの側面図である。図16(a)において、本発明とともに使用可能な一連のブレード164。ブレード164は、細長い治療器具支持具の形の共通担体上に坦持され、この治療器具支持具は、ロッド1631であり得る。ロッド1631は、(図8における構造部材813として示されるような)構造支持エレメントとしても追加的に機能し得る。しかし、図16(a)に示す治療器具の実施形態は、ブレード164がメッシュを通って延長する状態で、下方からメッシュに挿入されるよう構成される。係る構成においては、治療器具はメッシュに連結されることが可能であるが、ブレードがメッシュの下方に捕捉されているために、治療器具支持具は、ブレードがメッシュから脱落することを防ぐ。係る例では、メッシュおよび治療器具が並行して動けるよう、メッシュに連結されることが望ましい。図に見られるように、スロットまたは溝1633は、近傍の治療器具との間の空間を画成する。
【0077】
図16(b)は、ブレード164の形の治療器具のアレイを示し、これらの治療器具は、一体形成された接続ピース1632により連結された一体型ピースとして形成されている。タブ1630が、各治療器具間の空間に提供される。1組のタブ1630の拡大図が図17に示されている。図19に示されるように、治療器具164は下方からメッシュ部分の構造部材1613を通して挿入される。特に、治療器具164は、構造部材のスロット1640を通って延長し、隆起する。したがって、メッシュは治療器具の稼働動作に干渉しない。矢印1641が示すように、タブ1630は、例えば構造部材上で曲げることにより、回転させることができる。それにより、治療器具のアレイが構造部材へと固定される。これは、治療器具が構造部材エレメントと並行して動くことを意味する。これにより、治療器具の後退が防がれる。この後退は、さもなければ、治療器具が構造エレメント上に露出する度合いを低減させる。治療器具が直接メッシュに固定されている場合、構造部材は不要であることが理解できるであろう。所望により、追加的な固定(メッシュと治療器具および/またはタブとの間の固定)が、適切な接着剤を用いて達成され得る。
【0078】
図16(c)は、一体形成された接続ピース1632により連結された一体型ピースとして形成されたブレード164の形の治療器具のアレイを示す。再び、空間1633がブレード164の間に提供されている。この実施形態においては、孔1650がブレード164に形成される。これは、図18に示されるブレードの一部の拡大図から、もっともよく見ることができる。
【0079】
図20は、どのように図16(c)および図18に示すブレードがメッシュと係合するかを示す。治療器具164は、下方からメッシュ部分の構造部材を通って挿入される。特に、治療器具164は、構造部材のスロット1640を通って延長し、隆起する。ピン1651が各孔1650に挿入されることができる。その結果、治療器具のアレイは構造部材に確実に固定される。これは、治療器具が構造部材エレメントと並行して動くことを意味する。これにより、治療器具の後退が防がれる。この後退は、さもなければ、治療器具が構造エレメント上に露出する度合いを低減させる。治療器具が直接メッシュに固定されている場合、構造部材は不要であることが理解できるであろう。所望により、追加的な固定(メッシュと治療器具との間の固定、および/または、ピンを定位置に固定するための固定)が、適切な接着剤を用いて達成され得る。
【0080】
図21は、カテーテルチューブ、特にハイポチューブ2153に接続されたテーパーバルーン2151が被覆2107内で脹らむ実施形態の断面を示す。メッシュ(図示せず)は、この実施形態において、被覆2107内すなわち被覆2107の下方に存在し得る。テーパーバルーンは、包囲する被覆2107にテーパーしたプロファイルを提供する。装置が、被覆頂部2155から先端カテーテル端2154へとテーパーしていることは、血管内の移動を容易とするプロファイルを提供するため、特に有利である。このことにより、装置は、動的に且つ妨害が比較的少ない形で、体内の血管を通って目的部位へと動くことが可能となる。当業者に周知の任意の数の方法により、被覆はカテーテルに固定され得る。例えば、糸等の縫い目が被覆の端部の周りに堅く巻きつけられ、続いて、被覆がカテーテルに接着されてもよい。
【0081】
テーパーの小端部が動脈内の先端位置に配置されテーパーの大端部が動脈内の近接位置に配置された状態のテーパーバルーンは、動脈の解剖学的構造と一致し得る。したがって、動脈が心臓から遠ざかるにしたがって先細りになる、直径の自然な減少と一致する。
【0082】
図22において、テーパーバルーンには、テーパーバルーン上に坦持されるブレード2204が提供される。
【0083】
関連するテーパーバルーンカテーテル装置が図23に示されている。テーパーバルーン(図示せず)がカテーテルのハイポチューブ2353に接続されている。一連の径方向ストラット2357が、カテーテルのハイポチューブ2353と被覆2307の中間に(およびバルーンの基端部に)存在する。径方向ストラットは、メッシュをカテーテルに固定するための固定構造の一部を形成する。同様に、一連の径方向ストラット2356は、先端カテーテル端2354および被覆2307の中間にも配置される。ストラットは、メッシュを(その結果として被覆を)定位置に固定することを支援する構造支持を装置に対して提供する。被覆2307は、被覆2307上に坦持されるブレード2304を有する。メッシュ(図示せず)は、この実施形態において、被覆2107内すなわち被覆2107の下方に存在し得る。したがって、メッシュは、バルーンの基端部および先端部において、カテーテルに取り付けられる。これにより、カテーテルに対する取り付けが確実なものとなる。
【0084】
カテーテル先端部の拡大図が図24に提供される。先端カテーテル端2454および被覆2407の中間にあるストラット2456は、ストラットをカテーテルに固定するために、(カテーテル2454の先端部に取り付けられた)テーパーバルーン2452の外側周囲上において噛み合いリング構造2458を形成する。同様の構成が、図23のストラット2357をカテーテルに固定するために提供される。
【0085】
(例えば図23に示す構成において)露出されたストラット2356および2357により生じ得るあらゆる障害を最小限にするために、ストラットに占められる領域はカバーされてもよい。カバーされたストラットを使用すると狭い病変を通過する際に移動が滑らかになるために、カバーは、病変を通過する際の援助となる。例えば、ストラットに容易に被せることができ、その後、収縮させてストラットに嵌まるかまたは結合される材料は、カバーとして使用され得る。例えば、適切な熱可塑性材料等の適切な熱収縮材料がカバーとして使用され得る。あるいは、熱可塑性材料がストラット上で、さらに適切な場合は、カテーテル、例えば、その外側表面に熱接着されてもよい。掛かるカバーは、装置の円錐形プロファイルに一致するために、適切な形状を有することが望ましい。例えば、図25は、カテーテルの先端部2554と被覆2507との間に着座するテーパーの切頭円錐形の形状を有する熱収縮性の熱可塑性カバー2559を示す。同様の熱可塑性カバーが、例えば、貼り付けられて、図23のストラット2357をカバーするよう使用されることが望ましい。
【0086】
図24に示すストラット2456の拡大図が、図26に提供されている。ストラットは、2つの異なる材料から作られている。ストラットの下方部分は、ブレード固定材料2660から構成されている。ストラットの上方部分は、メッシュ固定材料2661により形成されている。この構成は、ブレードおよびメッシュが追加的な安全機能を有し、そのために他の取り付け様式が提供されるので、有利であり得る。これにより、潜在的な構造上の複雑さが制限されるであろう。
【0087】
図27は、ブレード2704をメッシュ2702に取り付けるために、発明的なスナップフィット機構を示す。この実施形態において、ブレードはメッシュに差し込まれて取り付けられる。メッシュ部分2709には、ペグ状の突起2762が提供される。ペグ状突起は、ブレード2704上の相補的形状の凹部分2763と係合するような形状を有する。ブレード2704の凹部分2763に近接するメッシュのペグ2762の拡大図が、図28に示されている。図28においては、2つの突起するペグ2862が存在し、これらのペグ2862は、ブレードの凹部分2863に嵌るような形状を有する。ブレードの凹部分2863には、保持部材が制限具2864の形で提供されている。そのため、ペグ2862が凹部分2863に一度押し込まれると、制限具2864の制限動作により、ペグ2862が凹部分2863から脱することが遮られる。
【0088】
図29は、メッシュ2902のメッシュペグ突起2962とブレード2904のブレード凹部分2963との噛み合い動作の2段階を示す。太い垂直方向矢印2965は、メッシュペグ2962が凹部分2963と噛み合うように、押し込み力がブレード2904の下側表面に印加される様子を示す。一度噛み合い構成に入ると、制限具2964はペグ2962を凹部分に固定し、凹部分から脱することを防ぐ。この形態の機械的取り付けは、治療器具(単数または複数)およびメッシュの異なる相対的動きを可能にし、これは、上述のように、望ましいことである。ペグ3062は拡張ヘッド部2966を有する。ペグ3062の拡張ヘッド部は、凹部分2963の制限具2964により、ブレード凹部分2963に固定される。
【0089】
図27から図29に示される実施形態は、2つのメッシュペグが2つのブレード凹部分と噛み合う様子を示す。当業者は、単一のペグが単一の凹部分と噛み合うことも等しく効果的であることを理解するであろう。図30においては、一連のメッシュ部分3009が提供されたメッシュ3002は、メッシュ3002上に坦持されたブレード3004を有する。ブレード3004は、単一のブレード凹部分3063と噛み合う単一のペグ突起3062により、メッシュに固定される。すべての実施形態において望ましくは、複数の、望ましくは少なくとも3つの、例えば、メッシュに沿った先端、中間、および隣接位置で、係る噛み合いポイントが、複数の異なる位置においてブレード3004をメッシュ3002に確実に取り付けるために、メッシュ3002およびブレード3004の長さに沿う協同位置において存在する。噛み合いポイントは、ブレードおよびメッシュの長さに沿って均等に離間してもよい。あるいは、近傍の各噛み合いポイント間の間隔が不規則であってもよい。近傍における各噛み合いポイント間の間隔は等距離であることが望ましい。
【0090】
図31は、装置埋め込み部位の近傍において薬剤を送達するよう構成された、本発明の実施形態を示す。本発明の装置の一部を形成する組立体の端面(断面)図は、キャビティ3103を画成する環状本体3102の形でメッシュ(またはメッシュ部分)を含む。バルーン等(例えば、血管形成術用バルーン等のバルーンカテーテルのバルーン)の拡張可能部分が、キャビティ3103に挿入可能である。メッシュ3102は形状記憶材料製であることが望ましい。メッシュ3102は、被覆3107内に埋め込まれている。被覆3107は、エラストマ材料等の弾性的に変形可能な材料から作られ、形状において略環状である。本実施形態において、ブレード3104の形で、正反対側に位置する2つの治療器具が存在する。ブレード3104は、メッシュ3102上に坦持され、メッシュ3102により定位置に保持される。これは、上述の適した構成により、達成され得る。
【0091】
本実施形態においては、被覆3107は、2組の隆起部を、耳形部または耳垂部3105および3106の形でさらに備え、これらの隆起部は、それぞれ、各ブレード3104の反対側に位置する。本実施形態に示されるように、隆起部3105および3106は、被覆3107と一体形成されることが望ましい。本実施形態において、隆起部は非中空の耳垂部である。隆起部は、他の実施形態において説明されるように、装置が拡張すると、収縮して、ブレード3104を露出する(膨張力が取り除かれると、上向き姿勢に戻る)。
【0092】
メッシュ上の2つのブレード配列は、3つまたは4つのブレードを有する装置よりも改善された湾曲特性を有する装置を提供するよう設計されたものである。
【0093】
本実施形態には、さらに配管3167が提供されている。2つの配管部材は、装置の周りで治療器具の近傍に提供されることが望ましく、互いに正反対側に提供されてもよい。配管3167は、治療剤を目的の血管に送達する。配管3167は、例えば、治療器具に関して説明されるように、メッシュ3102に取り付けられた構成部品であり得、または、メッシュ3102と一体化されていてもよい。配管3167は、本実施形態に示されるように、被覆3107内に収容されることが望ましい。なぜなら、これにより、血管内で装置が移動する際に配管と接触しないよう血管が保護されるからである。あるいは、配管3167は、被覆3107の外側表面上に露出され得る。配管3167を用いると、装置の位置において、血管へと治療剤を送達または注ぎ込むことができる。治療剤を注入するにあって針が必要とされないため、配管が表面に露出している実施形態においては、配管3167を隠すための保護的隆起部は必要ない。
【0094】
図31に示す実施形態の3次元的斜視図が図32に提供されている。この装置は、メッシュ(またはメッシュ部分)を、環状本体3202の形で備え、この環状本体3203はキャビティ3203を画成する。バルーン等(例えば、血管形成術用バルーン等のバルーンカテーテルのバルーン)の拡張可能部分が、キャビティ3203に挿入可能である。メッシュ3202は、被覆3107内に埋め込まれる。被覆3207は、エラストマ材料等の弾性的に変形可能な材料から作られ、形状において略環状である。本実施形態においては、ブレード3204は、メッシュ3202上に坦持され、メッシュ3202により定位置に保持される。ブレード3204は、隆起部3205および3206により隠される。2つの配管部材3265は、互いに対して直接反対側に配置される。
【0095】
被覆は、複数の薬剤送達孔3268を備え、これらの薬剤送達孔3268は、治療物質を周囲の血管に放出するために、配管3267の対応する放出孔からの直接流路を提供する。したがって、治療剤は、注射を必要とせずに、配管3267から周囲の血管へと薬剤送達孔3268を通って受動的に注入される。
【0096】
図32に示す装置の水平断面図が図33に提供されている。メッシュ3302は、配管3365およびブレード3304を正確な位置に保持する支持として機能する。ブレード3304および配管3367がメッシュ3302に取り付けられている場合、バルーンが収縮すると、ブレード3304および配管3367は元の位置に戻る。
【0097】
被覆3307は薬剤送達配管3367を隠す必要がない。しかし、図33に示す実施形態においては、配管3367は被覆3307の下方に配置されている。薬剤送達孔3368は、治療物質が配管3367に注入されることを可能にする。
【0098】
メッシュ内の孔を通すことにより取り付けられた配管3467を有するメッシュ3402が、図34に示されている。配管3467は(メッシュの上方または下方で)メッシュ3402に通されて、定位置に固定される。配管3467には、配管3467から治療物質を放出するための薬剤送達孔3469が提供される。図示の実施形態において、被覆は提供されず、配管3467は血管に露出している。被覆を有する実施形態においては、当業者は、薬剤送達孔3496が、直接下に配置された対応する被覆上の孔に合わせて配置され得ることを理解するであろう。図34には、図27から図30で説明された、スナップフィット式のブレード3404の構成も提供されている。
【0099】
用語「〜を含む」および用語「〜を有する/備える」は、本明細書において本発明に関して用いられる場合、陳述された特徴、整数、ステップ、構成部品が存在することを特定するために用いられるが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、構成部品、またはそれらの群の存在または追加を排除するものではない。
【0100】
明確にするために、別々の実施形態の文脈で説明された、本発明の特定の特徴も、単一の実施形態の中に組み合わされて提供され得ることが理解できるであろう。逆に、単一の実施形態の文脈で略して説明されている、本発明の様々な特徴もまた、別々に提供されてもよく、または任意の適切な小結合において提供されてもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体または動物体の内部の血管の血管壁の目的エリアを治療するための収縮可能な治療装置であって、
(i)前記血管内での前記目的エリアへの移動を可能とする収縮構成と、前記目的エリアの治療を可能とする拡張構成とを備えるメッシュ部分、
(ii)前記メッシュ部分上で坦持される、少なくとも1つの治療器具、および、
(iii)前記血管を移動する間に前記治療器具と接触しないように前記血管を保護する、少なくとも1つの隆起部をさらに備える、治療装置。
【請求項2】
前記隆起部は前記メッシュ部分により形成される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記メッシュ部分により形成される複数の隆起部を備える、請求項1または請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記メッシュ部分は環状の本体を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記メッシュ部分は、湾曲経路にしたがう少なくとも1つのエレメントを備え、前記エレメントは、前記湾曲経路の湾曲度を低減させることによる拡張下で弾性的に変形する、請求項1から請求項4のいずれかに記載の装置。
【請求項6】
前記血管内で移動する間、前記治療器具と接触しないよう前記血管を保護するための保護的被覆をさらに備える、請求項1から請求項5のいずれかに記載の装置。
【請求項7】
前記血管内で移動する間、前記治療器具と接触しないよう前記血管を保護する前記少なくとも1つの隆起部は、前記被覆上に形成される、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記隆起部は、前記装置の前記拡張構成において、変形して、前記治療器具を露出する、請求項1から請求項7のいずれかに記載の装置。
【請求項9】
前記隆起部は前記治療器具を収容し、前記治療装置は、前記装置の前記拡張構成において、前記隆起部を通って延長する、請求項1から請求項5に記載の装置。
【請求項10】
前記メッシュ部分は前記被覆内に埋め込まれる、請求項6から請求項9のいずれかに記載の装置。
【請求項11】
前記メッシュ部分は前記被覆上に存在する、請求項6から請求項9のいずれかに記載の装置。
【請求項12】
前記メッシュ部分は前記被覆の下方に存在する、請求項6から請求項9のいずれかに記載の装置。
【請求項13】
前記メッシュ部分は前記被覆上に存在し、前記隆起部は前記被覆から前記メッシュ部分を超えて延長する、請求項6から請求項9のいずれかに記載の装置。
【請求項14】
前記装置は、バルーン等の拡張可能部分を備え、前記メッシュ部分は前記拡張可能部分に被さる、請求項1から請求項13のいずれかに記載の装置。
【請求項15】
前記メッシュ部分は、前記メッシュおよび前記拡張可能部分の両方をカテーテルに固定するために、前記拡張可能部分に被さる、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記拡張可能部分はテーパーされている、請求項14または請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記メッシュ部分は環状部分から機械加工される、請求項1から請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記メッシュ部分は成形により形成される、請求項1から請求項17のいずれかに記載の装置。
【請求項19】
少なくとも2つの環状メッシュ部分を備える、請求項1から請求項18のいずれかに記載の装置。
【請求項20】
少なくとも3つの環状メッシュ部分を備える、請求項1から請求項19のいずれかに記載の装置。
【請求項21】
前記メッシュ部分は一体形成された、請求項19または請求項20に記載の装置。
【請求項22】
各メッシュ部分は螺旋内で湾曲する、請求項19から請求項21のいずれかに記載の装置。
【請求項23】
前記環状メッシュ部分は一体形成されるのではなく、1つまたは複数の別々のエレメントによって連結された、請求項19または請求項20に記載の装置。
【請求項24】
前記1つまたは複数の別々のエレメントは、治療器具または治療器具のための担体を備える、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記被覆は膨張可能なバルーンを形成する、請求項6から請求項24のいずれかに記載の装置。
【請求項26】
薬剤送達配管をさらに備える、請求項1から請求項25のいずれかに記載の装置。
【請求項27】
前記薬剤送達配管は前記被覆の外側表面上に配置された、請求項26に記載の装置。
【請求項28】
前記薬剤送達配管は前記被覆内に配置された、請求項26に記載の装置。
【請求項29】
前記薬剤送達配管は前記メッシュ上に坦持された、請求項26から請求項28のいずれかに記載の装置。
【請求項30】
人体または動物体の内部の血管の血管壁の目的エリアを治療するための収縮可能な治療装置であって、
前記血管内での前記目的エリアへの移動を可能とする収縮構成から、前記目的エリアの治療を可能とする拡張構成へと拡張可能であり、且つ
前記収縮構成を記憶する形状記憶材料から作られた、拡張可能なメッシュ部分と、
前記メッシュ部分上に坦持された少なくとも1つの治療器具とを備える治療装置。
【請求項31】
請求項1から請求項29に記載の追加的特徴の1つまたは複数を有する、請求項30に記載の装置。
【請求項32】
人体または動物体の内部の血管の血管壁の目的エリアを治療するための収縮可能な治療装置とともに使用するための拡張可能なメッシュであって、
前記血管内での前記目的エリアへの移動を可能とする収縮構成から、前記目的エリアの治療を可能とする拡張構成へと拡張可能である拡張可能メッシュ部分と、
前記メッシュ部分上に坦持された少なくとも1つの治療器具とを備え、
前記メッシュ部分は、前記血管内で移動する間、前記治療器具と接触しないよう前記血管を保護する少なくとも1つの隆起部を備える、メッシュ。
【請求項33】
人体または動物体の内部の血管の血管壁の目的エリアを治療するための収縮可能な治療装置とともに使用するための拡張可能なメッシュであって、
(i)前記血管内での前記目的エリアへの移動を可能とする収縮構成から、前記目的エリアの治療を可能とする拡張構成へと拡張可能である拡張可能メッシュ部分と、
(ii)前記メッシュ部分上に坦持された少なくとも1つの治療器具と、
(iii)前記メッシュ上に提供された被覆とを備え、
前記被覆は、前記血管内で移動する間、前記治療器具と接触しないよう前記血管を保護する少なくとも1つの隆起部を備える、メッシュ。
【請求項1】
人体または動物体の内部の血管の血管壁の目的エリアを治療するための収縮可能な治療装置であって、
(i)前記血管内での前記目的エリアへの移動を可能とする収縮構成と、前記目的エリアの治療を可能とする拡張構成とを備えるメッシュ部分、
(ii)前記メッシュ部分上で坦持される、少なくとも1つの治療器具、および、
(iii)前記血管を移動する間に前記治療器具と接触しないように前記血管を保護する、少なくとも1つの隆起部をさらに備える、治療装置。
【請求項2】
前記隆起部は前記メッシュ部分により形成される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記メッシュ部分により形成される複数の隆起部を備える、請求項1または請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記メッシュ部分は環状の本体を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記メッシュ部分は、湾曲経路にしたがう少なくとも1つのエレメントを備え、前記エレメントは、前記湾曲経路の湾曲度を低減させることによる拡張下で弾性的に変形する、請求項1から請求項4のいずれかに記載の装置。
【請求項6】
前記血管内で移動する間、前記治療器具と接触しないよう前記血管を保護するための保護的被覆をさらに備える、請求項1から請求項5のいずれかに記載の装置。
【請求項7】
前記血管内で移動する間、前記治療器具と接触しないよう前記血管を保護する前記少なくとも1つの隆起部は、前記被覆上に形成される、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記隆起部は、前記装置の前記拡張構成において、変形して、前記治療器具を露出する、請求項1から請求項7のいずれかに記載の装置。
【請求項9】
前記隆起部は前記治療器具を収容し、前記治療装置は、前記装置の前記拡張構成において、前記隆起部を通って延長する、請求項1から請求項5に記載の装置。
【請求項10】
前記メッシュ部分は前記被覆内に埋め込まれる、請求項6から請求項9のいずれかに記載の装置。
【請求項11】
前記メッシュ部分は前記被覆上に存在する、請求項6から請求項9のいずれかに記載の装置。
【請求項12】
前記メッシュ部分は前記被覆の下方に存在する、請求項6から請求項9のいずれかに記載の装置。
【請求項13】
前記メッシュ部分は前記被覆上に存在し、前記隆起部は前記被覆から前記メッシュ部分を超えて延長する、請求項6から請求項9のいずれかに記載の装置。
【請求項14】
前記装置は、バルーン等の拡張可能部分を備え、前記メッシュ部分は前記拡張可能部分に被さる、請求項1から請求項13のいずれかに記載の装置。
【請求項15】
前記メッシュ部分は、前記メッシュおよび前記拡張可能部分の両方をカテーテルに固定するために、前記拡張可能部分に被さる、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記拡張可能部分はテーパーされている、請求項14または請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記メッシュ部分は環状部分から機械加工される、請求項1から請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記メッシュ部分は成形により形成される、請求項1から請求項17のいずれかに記載の装置。
【請求項19】
少なくとも2つの環状メッシュ部分を備える、請求項1から請求項18のいずれかに記載の装置。
【請求項20】
少なくとも3つの環状メッシュ部分を備える、請求項1から請求項19のいずれかに記載の装置。
【請求項21】
前記メッシュ部分は一体形成された、請求項19または請求項20に記載の装置。
【請求項22】
各メッシュ部分は螺旋内で湾曲する、請求項19から請求項21のいずれかに記載の装置。
【請求項23】
前記環状メッシュ部分は一体形成されるのではなく、1つまたは複数の別々のエレメントによって連結された、請求項19または請求項20に記載の装置。
【請求項24】
前記1つまたは複数の別々のエレメントは、治療器具または治療器具のための担体を備える、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記被覆は膨張可能なバルーンを形成する、請求項6から請求項24のいずれかに記載の装置。
【請求項26】
薬剤送達配管をさらに備える、請求項1から請求項25のいずれかに記載の装置。
【請求項27】
前記薬剤送達配管は前記被覆の外側表面上に配置された、請求項26に記載の装置。
【請求項28】
前記薬剤送達配管は前記被覆内に配置された、請求項26に記載の装置。
【請求項29】
前記薬剤送達配管は前記メッシュ上に坦持された、請求項26から請求項28のいずれかに記載の装置。
【請求項30】
人体または動物体の内部の血管の血管壁の目的エリアを治療するための収縮可能な治療装置であって、
前記血管内での前記目的エリアへの移動を可能とする収縮構成から、前記目的エリアの治療を可能とする拡張構成へと拡張可能であり、且つ
前記収縮構成を記憶する形状記憶材料から作られた、拡張可能なメッシュ部分と、
前記メッシュ部分上に坦持された少なくとも1つの治療器具とを備える治療装置。
【請求項31】
請求項1から請求項29に記載の追加的特徴の1つまたは複数を有する、請求項30に記載の装置。
【請求項32】
人体または動物体の内部の血管の血管壁の目的エリアを治療するための収縮可能な治療装置とともに使用するための拡張可能なメッシュであって、
前記血管内での前記目的エリアへの移動を可能とする収縮構成から、前記目的エリアの治療を可能とする拡張構成へと拡張可能である拡張可能メッシュ部分と、
前記メッシュ部分上に坦持された少なくとも1つの治療器具とを備え、
前記メッシュ部分は、前記血管内で移動する間、前記治療器具と接触しないよう前記血管を保護する少なくとも1つの隆起部を備える、メッシュ。
【請求項33】
人体または動物体の内部の血管の血管壁の目的エリアを治療するための収縮可能な治療装置とともに使用するための拡張可能なメッシュであって、
(i)前記血管内での前記目的エリアへの移動を可能とする収縮構成から、前記目的エリアの治療を可能とする拡張構成へと拡張可能である拡張可能メッシュ部分と、
(ii)前記メッシュ部分上に坦持された少なくとも1つの治療器具と、
(iii)前記メッシュ上に提供された被覆とを備え、
前記被覆は、前記血管内で移動する間、前記治療器具と接触しないよう前記血管を保護する少なくとも1つの隆起部を備える、メッシュ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16(a)】
【図16(b)】
【図16(c)】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16(a)】
【図16(b)】
【図16(c)】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【公表番号】特表2012−504441(P2012−504441A)
【公表日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−529580(P2011−529580)
【出願日】平成21年10月5日(2009.10.5)
【国際出願番号】PCT/EP2009/062919
【国際公開番号】WO2010/037870
【国際公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【出願人】(509237767)ナショナル ユニバーシティー オブ アイルランド, ゴールウェイ (12)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年10月5日(2009.10.5)
【国際出願番号】PCT/EP2009/062919
【国際公開番号】WO2010/037870
【国際公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【出願人】(509237767)ナショナル ユニバーシティー オブ アイルランド, ゴールウェイ (12)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]