血管創傷を閉じるためのシステム
【課題】外科的介入処置で生じる脈管における刺創を密閉するための脈管創傷閉鎖システムを提供する。
【解決手段】脈管創傷閉鎖システム100は、挿入器110、挿入器内にスライド可能に配置される外側シース120、外側シース内にスライド可能に配置される内側シース130、外側シースおよび内側シースに接続されたハンドル140、ハンドル内を通るプランジャー150、密閉部材170、ならびに縫合糸によって密閉部材に接続されたアンカー部材180を備える。密閉部材は、外側シースが挿入器の遠位端部またはそれを越えた位置から部分的に引き戻された第3の位置にあるときに外側シースの遠位端部から展開される。アンカー部材は、プランジャーの押下によって内側シースの遠位端部から展開される。
【解決手段】脈管創傷閉鎖システム100は、挿入器110、挿入器内にスライド可能に配置される外側シース120、外側シース内にスライド可能に配置される内側シース130、外側シースおよび内側シースに接続されたハンドル140、ハンドル内を通るプランジャー150、密閉部材170、ならびに縫合糸によって密閉部材に接続されたアンカー部材180を備える。密閉部材は、外側シースが挿入器の遠位端部またはそれを越えた位置から部分的に引き戻された第3の位置にあるときに外側シースの遠位端部から展開される。アンカー部材は、プランジャーの押下によって内側シースの遠位端部から展開される。
【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔発明の背景〕
〔発明の分野〕
本発明は、脈管の創傷を閉じるための技術に関する。詳細には、本発明は、ある種のインターベンション処置(interventional procedure)によって生じる刺創などの血管の刺創を閉じるためのシステムおよび方法に関する。
【0002】
〔関連技術〕
例えば、経皮経管冠動脈形成術などの様々な治療および診断処置では、血管内に経皮的に器具を導入する。このような処置では、大抵、大腿動脈から目的の部位にアクセスする。理想的には、生じた血管の刺創の閉鎖および治癒で処置が終了する。
【0003】
従来、患者の体内への器具の進入部における皮膚に外部から圧力を加えて、創傷からの出血を止めた。例えば、看護士や医師が、凝固および組織の再生によって十分に孔が閉じるまで創傷部位に圧力を加える。場合によっては、このような外圧が1時間以上維持され、この間、患者は、動けず不快な思いをする。したがって、このような外圧技術が用いられると、患者の快適性および医師の効率が損なわれる。
【0004】
加えて、血管から出血している間、血腫のリスクが存在する。このような血腫のリスクは、創傷部位が十分に凝固するまで続く。さらに、大腿圧迫システムなどの外圧装置が、皮下脂肪の厚い患者などの特定の患者には不適切であろう。なぜなら、このような患者の場合、皮膚表面が、血管の刺創部位から相当の距離にある。不正確な皮膚の圧迫では、創傷治癒の効率が低下する傾向にある。
【0005】
ガーショニー(Gershony)らに付与された米国特許第5,383,896号に、一定時間、刺創部位に内部から圧力を加える装置が開示されている。この装置は、一定時間圧力を加えたら除去される。この装置は、膨張可能なバルーンを備えたシャフト、およびこのシャフトの遠位端部のガイドワイヤ先端部を有する。装置の遠位端部を、経皮的インターベンション処置に一般的に用いられる導入シースを介して血管内に導入する。次いで、バルーンを膨張させて血管の内面に係合させて止血し、止血したらバルーンを引き戻し、次いで挿入シースを除去する。シャフトに設けられた固定カラーにより、医学的に十分な時間、バルーンに張力を加え、次いでバルーンを収縮させ、全装置を体内から除去する。
【0006】
ブレネマン(Brenneman)らに付与された米国特許第5,645,566号に、バルーン、シート、およびフォームパッドを用いて刺創血管の外壁に外部から圧力を加える装置が開示されている。この加圧装置は、血管内のバルーン(ガーショニー(Gershony)らによる米国特許に類似)および放射線不透過性マーカーを用いて設置される。
【0007】
1998年3月26日に公開された、エス・バラク(S.Barak)に付与された国際特許出願第WO 98/11830号に、止血のための装置の様々な実施形態が開示されている。このような実施形態には、動脈壁の内面および動脈壁外側のバルーンに対してアンカーを位置付ける装置が含まれる。バルーンを膨張させて動脈壁を圧迫し、次いでアンカーを引き抜く。バルーンは、完全に止血されるまで、刺創を圧迫した状態に維持される。完全に止血されたら、アンカーおよびバルーンを取り除く。
【0008】
他の動脈閉鎖装置は、関連する米国特許第5,282,827号および同第5,441,517号と同様に、吸収されるまで体内に維持される生体吸収性材料を含む。これらの特許文献は、血管内に挿入されるアンカーを開示している。コラーゲンプラグを刺創部の外部に展開したら、アンカーを血管の内壁に圧迫して膨張させ、刺創部位に通じた組織通路を満たす。フィラメントでプラグをアンカーに取り付けて、プラグとアンカーをプーリーのように互いに対して移動させ、刺創部位を閉じる。この配置の後で、タンピング部材を用いて、外部から刺創部位に対してプラグを押し付けて刺創部位の閉鎖を助ける。
【0009】
米国特許第5,662,681号に、アンカーとプラグがフィラメントによって互いに取り付けられた動脈閉鎖装置が開示されている。アンカーを血管内に挿入して血管の内壁に押圧し、プラグを刺創部位の血管の外壁に押圧する。別個の固定手段が、プラグとアンカーを互いに移動させて、プラグとアンカーを刺創部位で密閉位置に維持する。
【0010】
ジャンセン(Janzen)らに付与された米国特許第5,391,183号に、組織通路を介して刺創部位付近の血管の外壁に止血剤を導入する装置が開示されている。
【0011】
ディアス(Diaz)付与された米国特許第5,690,674号に、実質的に平行な2枚のディスクがウエストによって中心で接続された生体分解性プラグが開示されている。このプラグは、遠位ディスクが血管の内壁、近位ディスクが血管の外壁、ウエストが血管の刺創部位に来るように位置付ける。
【0012】
他の既知の閉鎖装置には、ジャンセン(Janzen)らに付与された米国特許第5,741,223号に開示されている閉鎖装置が含まれる。この特許文献は、刺創部位を密閉するためのプラグの取付けを開示している。
【0013】
ボーダ(Voda)に付与された米国特許第5,354,271号に、鉤針端部を備えた縫合糸が開示されている。この縫合糸は、血管内に配備され、鉤針端部が組織壁内に刺入されて拡張され、この鉤針端部が血管内に戻るのを防止する。次に、縫合糸を、刺創部位に亘って結ぶかまたは他の方法で固定する。
【0014】
米国特許第5,324,306号に、刺創部位の血管の外壁に対して押圧される止血剤塊が開示されている。血流が確実に停止するように手作業で圧力が加えられる。
【0015】
米国特許第5,868,778号に、血管の刺創部位を密閉するために刺創部位に注入される凝血原と共に用いられるバルーンが開示されている。
【0016】
米国特許第5,792,152号に、血管の刺創部位に亘って配備される、縫合糸が取り付けられた可撓性針が開示されている。この可撓性針および縫合糸は、入口内腔から血管内に導入し、U型戻り内腔を経て出口内腔から血管の外に出す。次に、縫合糸をさらに血管の外に引き出し、刺創部位に亘って結ぶかまたは他の方法で固定する。
【0017】
米国特許出願公開第2004/0006352号に、縫合糸が取り付けられたクラスプアームが血管内に展開される組立体を含む動脈閉鎖装置が開示されている。各クラスプアームに対応する縫合糸を把持すなわち捕捉するために、縫合糸キャッチを含む刺入部材を別個に展開する。次に、血管の外に出た縫合糸キャッチを用いて刺入部材を引いて縫合糸を引き、刺創部位に亘って結ぶかまたは他の方法で固定する。次に、この組立体を患者の体から引き抜く。
【0018】
〔発明の概要〕
ここに開示する様々な実施形態は、標的脈管の刺創を閉じるための脈管創傷閉鎖システムおよび方法に関する。
【0019】
一部の実施形態では、このシステムは、外側シース、この外側シース内にスライド可能に配置された送達ロッド、この送達ロッドにスライド可能に接続されたガイドワイヤ、外側シース内に展開可能に受容された密閉部材、送達ロッド内に展開可能に受容されたアンカー部材、および密閉部材とアンカー部材を接続する接続縫合糸を含む。外側シースは、送達ロッドを取り囲んでおり、近位側に十分に移動されるまで、密閉部材、接続縫合糸、およびアンカー部材の展開を防止する。展開の際は、密閉部材を、標的脈管の内面に対して位置付け、アンカー部材を、標的脈管の外面に対して位置付け、脈管創傷を密閉するために接続縫合糸を引いて固定して、密閉部材とアンカー部材を互いに近づける。接続縫合糸の一部は、アンカー部材の近位側に延びており、送達ロッドの近位端部および外側シースの先で、医療行為者が、密閉部材とアンカー部材とを互いに対して締め付けるのを助けるためにアクセス可能である。
【0020】
送達ロッドは、本システムを標的脈管内に設置するために、ガイドワイヤがスライドする外面溝およびテーパ状遠位部分をさらに含む。送達ロッドは、第1の凹部であって、この中に密閉部材がこの中から展開するように方向付けられている第1の凹部、第2の凹部であって、この中にアンカー部材がこの中から展開するように方向付けられている第2の凹部、および第1の凹部と第2の凹部との間の開口した溝であって、この中に接続縫合糸がこの中から展開するように密閉部材とアンカー部材との間に延在している開口した溝をさらに含む。
【0021】
本システムは、展開の後に接続縫合糸を引くことにより密閉部材とアンカー部材とが締め付けられる際に、アンカー部材を所定の位置に押すまたは維持するのを助けるタンピング器具をさらに含むことができる。十分に締め付けて固定したら、別個の切断部材を送達ロッドを介して設けて、余分な縫合糸を切断してから、本システムを患者の体から除去する。
【0022】
密閉部材およびアンカー部材は、生体吸収性材料から形成するのが好ましく、密閉部材は、通常は、脈管創傷を密閉するためにアンカー部材よりも大きい。接続縫合糸は、密閉部材とアンカー部材を十分に締め付けて脈管創傷を密閉した後に、密閉部材とアンカー部材を互いに対して所定の位置に固定するのを助ける一方向棘を備えることもできる。
【0023】
実際には、送達ロッドを、外側シースからガイドワイヤを介して、脈管創傷から標的脈管内に挿入する。外側シースを部分的に引き戻して、密閉部材を標的脈管内に展開する。医療行為者が抵抗を感じるまで全システムを部分的に引き戻して、密閉部材を脈管の内壁に対して位置つける。次に、外側シースをさらに引き戻して、アンカー部材および接続縫合糸を配備する。次に、アンカー部材を脈管の外壁に対して位置つけ、送達ロッドおよび外側シースの近位側の接続縫合糸のアクセス可能な部分を医療行為者が操作して、脈管の両側に位置する密閉部材とアンカー部材を互いに引き寄せて締め付ける。締め付けたら、接続縫合糸を固定して、密閉部材およびアンカー部材によって脈管創傷の周りを密閉する。締付けの際にアンカー部材を所定の位置に押すまたは維持するのを助けるために、タンピング器具を用いることができる。締め付けて固定したら、余分な縫合糸を切断し、本システムを患者の体から除去する。
【0024】
他の実施形態では、脈管創傷閉鎖システムは、挿入器と、近位側の第1の位置から、前記挿入器の遠位端部にあるか、またはその遠位端部を越えた位置にある遠位側の第2の位置、および部分的に引き戻された第3の位置までスライド可能に挿入器内に配置された外側シースと、近位側の第1の位置と、第3の位置に位置する外側シースの遠位端部にあるか、またはその遠位端部を越えた位置にある遠位側の第2の位置との間でスライド可能に外側シース内に配置された内側シースと、外側シースおよび内側シースに接続されたハンドルと、アンカー部材と密閉部材の配置を制御するために、ハンドル内を通り、内側シース内に配置され、支持ロッドが接続されたプランジャーと、外側シースが第3の位置にあるときに外側シースの遠位端部から展開されるように構成された密閉部材と、内側シースの遠位端部から展開されるように構成されたアンカー部材と、密閉部材とアンカー部材を接続している縫合糸と、を含む。外側シースが第3の位置にある場合に、密閉部材は標的脈管内で展開し、内側シースが第2の位置にある場合に、プランジャーの押下によってアンカー部材は展開する。内側シース内に設けられた支持ロッドは、縫合糸の操作によってアンカー部材と密閉部材とが互いに締め付けられて固定される際にアンカー部材を所定の位置に押すまたは維持するのを助けるために、その遠位端部にタンパーを含む。支持ロッドは、凹部と、密閉部材とアンカー部材とが互いに締め付けられて固定されてから余分な縫合糸を切断するための切断部材をさらに含むことができる。
【0025】
挿入器は、外側シースがその遠位側の第2の位置に配置されて標的脈管内に挿入される場合に外側シースのハブを受容するフレア端部をさらに含むことができる。ハンドルは、このハンドルから延出した除去可能なプルタブをさらに含むことができる。除去可能なプルタブは、除去されるまで、内側シースがその遠位側の第2の位置に移動するのを防止する。内側シースの遠位端部は、密閉部材またはアンカー部材が展開されることにより脈管創傷を閉じるために、密閉部材またはアンカー部材を方向付けるのを助ける傾斜出口ポートをさらに含むことができる。
【0026】
縫合糸の一部は、アンカー部材の近位側に延びており、展開の後に密閉部材とアンカー部材とを互いに対して締め付けるのを助けるために医療行為者がアクセスすることができる。次に脈管創傷の周りの所定の位置に密閉部材およびアンカー部材を維持するために縫合糸を固定し、内側シース内に設けられたカッターで余分な縫合糸を除去し、システムの固定されていない構成要素を患者の体から除去する。
【0027】
実際には、密閉部材を標的脈管内に展開するために、外側シースを、挿入器を介して挿入し、第3の位置まで部分的に引き戻す。次に、ハンドルを遠位側に移動させて、第2の位置にある内側シースを、外側シースの遠位端部またはその先に設置し、アンカー部材が標的脈管内に確実に展開されるのを助ける。次に、外側シース、内側シース、ハンドル、プランジャーおよび支持ロッドの組立体を、密閉部材が標的脈管の内面に方向付けられたことを示す抵抗を医療行為者が感じるまで部分的に引き戻す。次に、プランジャーを押してアンカー部材を内側シースから排出し、アンカー部材を、標的脈管の外面に沿って配置する。次に、縫合糸のアクセス可能な部分を医療行為者が操作して、密閉部材とアンカー部材とを互いに対して締め付けて固定し、脈管創傷を密閉する。次に、余分な縫合糸を切断し、システムの固定されていない部分を患者の体から除去する。
【0028】
部品の構造および組合せの様々な新規の詳細を含む本発明の上記の特徴および他の特徴は、添付の図面および特許請求の範囲でさらに詳細に説明する。ここに開示する本発明の様々な例示的な実施形態は、単なる例示であり、限定目的ではないことを理解されたい。本発明の原理および特徴は、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な代替の実施形態に用いることができる。
【0029】
本発明の装置および方法の上記および他の特徴、態様、および利点は、以降の説明、添付の特許請求の範囲、および添付の図面からより良く理解できるであろう。
【0030】
〔詳細な説明〕
図1は、脈管創傷閉鎖システムの一実施形態を例示している。本明細書において、「近位」またはその類語は、医療行為者に最も近いことを意味し、「遠位」またはその類語は、医療行為者から最も遠いことを意味する。
【0031】
図1に示されているように、このシステムは、外側シース10、この外側シース10内にスライド可能に配置された送達ロッド20、この送達ロッド20にスライド可能に結合されたガイドワイヤ30、送達ロッド20内に展開可能に受容された密閉部材40、送達ロッド20内に展開可能に受容されたアンカー部材50、および密閉部材とアンカー部材とアクセス可能部分62を接続する接続部分61およびアクセス可能な部分62を有する縫合糸60を含む。アクセス部分62は、送達ロッド20の近位端部および外側シース10を越えて延びている。外側シース10および送達ロッド20は、第1の位置(破線で図示)では、外側シース10が、密閉部材40、縫合糸60、およびアンカー部材50が展開されるのを防止し、外側シース10と送達ロッド20が互いに対して移動した第2の位置では、密閉部材40、縫合糸60、およびアンカー部材50を展開可能にするように構成されている。展開の際は、密閉部材40を、標的脈管Vを介してその内面に位置付けし、アンカー部材50を、標的脈管Vの外面に位置付けし、脈管創傷を密閉するために接続縫合糸60を引いて固定し、密閉部材40とアンカー部材50を互いに近づける。接続縫合糸60のアクセス可能部分62は、密閉部材40とアンカー部材50を互いに締め付けるべく医療行為者が操作するのを助けるために、アンカー部材50から近位側に送達ロッドの近位端部および外側シースの先まで延びている。
【0032】
図1および図2を参照すると、送達ロッド20は、システム1を標的脈管V内に設置するためにガイドワイヤ30がスライドする外面溝21およびテーパ遠位部分22をさらに含む。送達ロッド20は、第1の凹部23であって、この中に密閉部材40がこの中から展開されるように方向付けられている第1の凹部23、第2の凹部24であって、この中にアンカー部材50がこの中から展開されるように方向付けられている第2の凹部24、および第1の凹部23と第2の凹部24との間に設けられている開口した溝25をさらに含む。開口した溝25の中には、縫合糸60の接続部分61がこの中から展開されるように延在している。
【0033】
システム1は、タンピング器具80(図4G)をさらに含むことができる。タンピング器具80の少なくとも一部が、展開後に接続縫合糸60を引くことにより密閉部材40とアンカー部材50とを締め付ける際に、アンカー部材50を所定の位置に押すまたは維持するのを助けるべく、送達ロッド20内に配置されている。十分に締め付けて固定したら、少なくとも一部が送達ロッド20内に設けられた別個の切断部材70(図1)を用いて、余分な縫合糸を切断し、次に、システム1の固定されていない様々な構成要素を患者の体から除去する。
【0034】
密閉部材40およびアンカー部材50は、生体吸収性材料から形成するのが好ましい。密閉部材40は、通常は、脈管創傷を密閉するためにアンカー部材50よりも大きい。縫合糸60の接続部分61は、脈管創傷を密閉するために、密閉部材40とアンカー部材50を十分に締め付けた後に、密閉部材40およびアンカー部材50を互いに対して所定の位置に固定するのを助ける一方向棘65またはこの接続部分61に結合された他の自己固定部材をさらに含むことができる。一方向棘65を用いる場合、アンカー部材50は、少なくとも1つの通路51をさらに含む。この通路51を介して、脈管創傷を密閉するために、密閉部材40とアンカー部材50とを互いに対して締め付けて固定するべく縫合糸60を引く際に、棘65が前進することができる。
【0035】
図3A〜図3Fは、密閉部材40の様々なデザインおよび形状を例示している。図3Cの楕円形状および図3Dの円柱形状は、脈管創傷の脈管内密閉に好ましいデザインまたは形状である。理想的には、密閉部材40の幅(w)または直径(d)は、中からこの密閉部材40が展開される送達ロッド20または外側シース10の内径よりも小さい。また、理想的には、密閉部材40の長さ(l)または直径(d)は、展開の際に密閉部材40の不所望の位置付けを最小限にすると共に、内側脈管壁に対して良好な密閉を得るのに十分な大きさである。例えば、内径が2.7mmの8フレンチのシースを用いる場合は、長さ(l)が10.2mm、幅(w)が2.65mmであるのが好ましい。アンカー部材50は、同様のデザインおよび形状にすることができるが、通常は、密閉部材40よりも小さい。密閉部材40およびアンカー部材50を形成する材料は、標的脈管Vにおける塞栓症の発症を最小限にするべく、理想的に吸収または内皮化する生体吸収性の生体適合性材料である。
【0036】
図3A〜図3Fに示されている密閉部材40の様々なデザインおよび形状は、内部に縫合糸60が通される少なくとも1つの通路41をさらに含む。アンカー部材50は、密閉部材40の少なくとも1つの通路41に類似した少なくとも1つの通路51(図1)をさらに含む。したがって、これらの部材を接続してこれらの部材を引き寄せて締め付けるために、縫合糸60の接続部分61を、密閉部材40の通路41およびアンカー部材50の通路51に通す。別法では、縫合糸60の接続部分61の遠位端部を、例えば図1および図2に示されているように密閉部材40に取り付けて、密閉部材40とアンカー部材50を接続してこれらの部材を引き寄せて締め付けるために、アンカー部材50に設けられた少なくとも1つの通路51に通すことができる。
【0037】
実際には、図4A〜図4Gを参照すると、脈管創傷閉鎖システムの展開および脈管創傷(vw)の密閉が示されている。具体的には、図4Aでは、ガイドワイヤ30が、前の処置によって、脈管創傷を介して標的脈管V内の所定の位置に配置されている。標的脈管内の血流が、矢印aで示されている。図4Bでは、内部に受容された縫合糸によって接続された密閉部材およびアンカー部材を有する送達ロッド20が、外側シース10内に挿入され、ガイドワイヤ30を介して脈管創傷から標的脈管V内に挿入されている。図4Cでは、外側シース10が部分的に引き戻されて、密閉部材40が、標的脈管内に位置している。図4Dでは、密閉部材40が内側の脈管壁に当接したことを示す抵抗を医療行為者が感じるまで、送達ロッド20および外側シース10が部分的に引き戻されて、密閉部材40が脈管の内壁に対して位置付けられている。図4Eでは、外側シース10のさらなる引戻しによって、アンカー部材50および縫合糸60の接続部分61がそれぞれ、脈管の外側および脈管創傷内に位置付けられている。図4Fでは、アンカー部材50が、脈管の外壁に対して位置付けられており、脈管創傷を密閉するために、送達ロッド20および外側シース10の近位側の縫合糸60のアクセス可能な部分62が、医療行為者によって操作され、脈管の両側で密閉部材40とアンカー部材50が互いに引き寄せられて締め付けられている。締め付けられたら、一方向棘65または他の自己固定部材によって縫合糸60が固定され、密閉部材40およびアンカー部材50によって脈管創傷の密閉が維持される。図4Gでは、締付けおよび固定の際にアンカー部材50を所定の位置に押すまたは維持するのを助けるために用いることができるタンピング器具80が例示されている。例えば、図4Eに示されているように、アンカー部材50を展開した後にタンピングを行う。密閉部材、アンカー部材、および縫合糸の締付けおよび固定の後に、余分な縫合糸を切断して、システムの固定されていない部分を患者の体から除去する。
【0038】
図5〜図7は、脈管創傷閉鎖システム100およびこれに関連した方法の別の実施形態を例示している。図5〜図7の実施形態では、脈管創傷閉鎖システム100は、導入器110(例えば、前の処置から)およびこの導入器110内にスライド可能に配置された外側シース120を含む。外側シース120は、近位側の第1の位置、挿入器の遠位端部またはその先の遠位側の第2の位置、および部分的に引き戻された第3の位置を有する。図5〜図7の脈管創傷閉鎖システムは、近位側の第1の位置、および第3の位置にある外側シースの遠位端部またはその先の遠位側の第2の位置を有する、外側シース120内にスライド可能に配置された内側シース130(図6Aおよび図6Bに示されている図6の差込み図A)と、外側シース120および内側シース130に接続されたハンドルと、ハンドル140内を通るプランジャー150であって、このプランジャー150に接続された支持ロッド190の配置を制御する、プランジャー150と、外側シース120が第3の位置にある時に外側シース120の遠位端部から展開されるように構成された密閉部材170と、プランジャー150の押圧によって内側シース130の遠位端部から展開されるように構成されたアンカー部材180と、密閉部材170とアンカー部材180を接続する縫合糸160をさらに含む。縫合糸160の一部は、アンカー部材180の近位側に延びており、縫合糸160を操作するために、操作医療行為者がアクセスすることができる。標的脈管内での密閉部材170の展開は、通常は、外側シース120の遠位端部が、標的脈管内の挿入器110の遠位端部またはその先に到達するまで、外側シース120を挿入器110内に挿入して行う。次に、外側シース120を近位側に部分的に引き戻して、密閉部材170を標的脈管内に理想的に配置する。内側シース130の遠位端部が、第3の位置にある外側シース120の遠位端部またはその先に来るように、ハンドル140を遠位側に移動させて内側シース130をその第2の位置に合わせ、密閉部材170が標的脈管内に適切に展開されるのを助ける。次に、密閉部材170が標的脈管の内壁に当接したことを示す抵抗を感じるまで、全組立体、すなわちシステム100を近位側に部分的に引き戻す。次に、プランジャー150およびこのプランジャー150に接続された支持ロッド190を押して、アンカー部材180を、内側シース130の遠位端部の先の、外側シース120の遠位端部の先の、標的脈管の外面近傍に配置する。
【0039】
支持ロッド190(見やすくするために内側シース130および外側シース120が省かれた図7を参照)は、内側シース130内に設けられたプランジャー150に接続するのが好ましく、上記したように、プランジャー150が押された時にアンカー部材180を標的脈管の外壁近傍に配置するためのタンパー193をその遠位端部に含む。支持ロッド190は、縫合糸160の操作によってアンカー部材180と密閉部材170が締め付けられて固定される際に、アンカー部材180を所定の位置に押すまたは維持するのを助ける。支持ロッド190は、凹部191と、密閉部材170とアンカー部材180が締め付けられて固定された後に余分な縫合糸を切断するための切断部材192をさらに含むことができる。
【0040】
挿入器110は、外側シース120が挿入器110内に配置されると外側シース120のハブ121を受容するフレア端部111をさらに含むことができる。理想的には、外側シース120のハブ121が挿入器110のフレア端部111内に受容されたことは、外側シース120の遠位端部が、挿入器110の遠位端部またはその先、すなわち標的脈管内に位置付けられたことを示す。次に、外側シース120を部分的に引き戻して、密閉部材170を標的脈管内に展開する。次に、ハンドル140を遠位側に移動させて、内側シース130を外側シース120の遠位端部またはその先に設置し、密閉部材170が標的脈管内に確実に展開されるのを助ける。次に、密閉部材170が標的脈管の内壁に当接していることを示す抵抗を感じるまで、全システム100を部分的に引き戻す。次に、プランジャー150を押して、アンカー部材180を内側シース130の遠位端部から標的脈管の外壁に排出する。ハンドル140は、除去可能なプルタブ145をさらに含むことができ、このプルタブ145は、除去されるまで、ハンドル140と内側シース130の間の距離dの移動を防止する。この方式では、上記したように、外側シース120が近位側に引き戻されて、密閉部材180が標的脈管内に配置されるまで、内側シース130が移動しない。内側シース130の遠位端部は、傾斜出口ポート122をさらに含むことができる。この傾斜出口ポート22は、所望に応じて、内側シース130および外側シース120からの密閉部材170またはアンカー部材180の方向付けを助け、密閉部材170またはアンカー部材180が展開された時の脈管創傷の密閉を助ける。
【0041】
理想的には、外側シース120のハブ121が挿入器110のフレア端部111内に受容された時に、外側シース120の遠位端部が、挿入器110の遠位端部またはその先、すなわち標的脈管内に位置するように、外側シース120を、近位側の第1の位置から遠位側の第2の位置に移動させる。次に、外側シース120を、第3の位置まで近位方向に部分的に引き戻して、密閉部材170を標的脈管内に配置する。次に、内側シース130の遠位端部が、第3の位置にある外側シース120の遠位端部またはその先に位置して、密閉部材170が所望に標的脈管内に確実に展開されるのを助けるように、ハンドル140を遠位側に移動させて、内側シース130を近位側の第1の位置から遠位側の第2の位置に設置する。次に、密閉部材170が標的脈管の内壁に当接したことを示す抵抗を感じるまで、システム100を部分的に引き戻す。次に、プランジャー150およびこのプランジャー150に接続された支持ロッド190を押して、アンカー部材180を内側シース130の遠位端部から標的脈管の外面に沿って排出する。アンカー部材180が展開された状態で、密閉部材170を標的脈管の内面に対して所定の位置に維持するのを助けるために、プランジャー150の押下の前および最中に、縫合糸160のアクセス可能な部分を引くのが好ましい。
【0042】
縫合糸160のアクセス可能な部分は、アンカー部材180の近位側に延びており、密閉部材170およびアンカー部材180が展開された後に、医療行為者が、密閉部材170とアンカー部材180とを互いに対して締め付けるのを助けるためにアクセス可能である。次に、密閉部材170およびアンカー部材180を脈管創傷に維持するために縫合糸160を固定し、内側シース130内の支持ロッド190に設けられたカッター192(図7)で余分な縫合糸を切断し、システムの固定されていない構成要素を患者の体から除去する。
【0043】
実際には、挿入器および組立体を用意する。この組立体は、少なくとも、外側シース、内側シース、ハンドル、プランジャー、および支持ロッドを含む。密閉部材およびこの密閉部材に縫合糸によって接続されたアンカー部材を組立体内に配置する。挿入器を、患者の脈管創傷を介して標的脈管内に配置する。外側シースを、挿入器を介して近位側の第1の位置から遠位側の第2の位置まで挿入し、密閉部材を標的脈管内に展開するために、外側シースを第3の位置まで近位側に部分的に引き戻す。次に、ハンドルを遠位側に移動させて、内側シースの遠位端部を、第3の位置にある外側シースの遠位端部またはその先に設置し、密閉部材の標的脈管内での確実な展開を助ける。次に、密閉部材が標的脈管の内面に当接したことを示す抵抗を感じるまで、外側シース、内側シース、ハンドル、支持ロッド、およびプランジャーの組立体を部分的に引き戻す。密閉部材を脈管の内面に対して所定の位置に維持するために、縫合糸のアクセス可能な部分を引くことができる。次に、プランジャーを押して、アンカー部材を内側シースから排出し、アンカー部材を標的脈管の外面に沿って位置付けする。次に、医療行為者が、縫合糸のアクセス可能な部分を操作して、密閉部材とアンカー部材とを互いに対して締め付けて固定し、脈管創傷を密閉する。別法では、縫合糸に手作業で力を加えずに、密閉部材およびアンカー部材を締め付けるために縫合糸をバネ荷重することができる。いずれの場合も、余分な縫合糸を切断し、システムの固定されていない部分を患者の体から除去する。
【0044】
密閉部材170およびアンカー部材180は、図3A〜図3Fを用いて説明した形態にするか、または図8Aまたは図8Bのいずれかに示す形態にすることもできる。図8Aは、プロング181を有するアンカー部材180を示している。このプロング181を、標的脈管Vの外面に刺入し、締め付けてから、アンカー部材180を密閉部材170に固定する。図8Bは、m字型のアンカー部材180を示している。このm字型のアンカー部材180を、標的脈管Vの外面に刺入し、締め付けてから、アンカー部材180を密閉部材170に対して固定する。
【0045】
上記した本発明の様々な例示的な実施形態は、本発明のシステムおよび方法の異なる実施形態を限定するものではない。ここに開示する構成要素は、例示目的で参照した資料、設計、または形状に限定されるものではなく、当業者に理解できるように、ここに開示したシステムおよび方法に適した様々な他の構成要素、設計、または形状を含むことができる。
【0046】
本発明の好適な実施形態と思われる形態を図示および説明してきたが、もちろん、本発明の概念または範囲から逸脱することなく、形態または細部の様々な変更形態および変形が容易に可能であることを理解されたい。したがって、本発明は、ここに開示および例示した正確な形態に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲内に含まれうる全ての変更形態を含むと解釈すべきである。
【0047】
〔実施の態様〕
(1)脈管創傷閉鎖システムにおいて、
外側シースと、
前記外側シース内にスライド可能に配置された送達ロッドと、
前記送達ロッドにスライド可能に結合されたガイドワイヤと、
前記送達ロッド内に展開可能に受容された密閉部材(sealing member)と、
前記送達ロッド内に展開可能に受容されたアンカー部材と、
前記密閉部材と前記アンカー部材とを接続する縫合糸と、
を含み、
前記外側シースおよび前記送達ロッドは、第1の位置では、前記外側シースが、前記密閉部材、前記縫合糸、および前記アンカー部材が展開するのを防止し、前記外側シースと前記送達ロッドとが互いに対して移動した第2の位置では、前記密閉部材、前記縫合糸、および前記アンカー部材が展開可能となるように構成されている、脈管創傷閉鎖システム。
(2)実施態様(1)に記載の脈管創傷システムにおいて、
前記密閉部材は、脈管内密閉部材であり、前記アンカー部材は、脈管外アンカー部材である、脈管創傷閉鎖システム。
(3)実施態様(1)に記載の脈管創傷閉鎖システムにおいて、
前記送達ロッドは、前記システムを標的脈管内に設置するために前記ガイドワイヤがスライドする外面溝およびテーパ遠位部分をさらに含む、脈管創傷閉鎖システム。
(4)実施態様(3)に記載の脈管創傷閉鎖システムにおいて、
前記送達ロッドは、
第1の凹部であって、この中に、前記密閉部材が前記第1の凹部から展開するように方向付けられている、第1の凹部、
第2の凹部であって、この中に、前記アンカー部材が前記第2の凹部から展開するように方向付けられている、第2の凹部、および、
前記第1の凹部と前記第2の凹部との間に延在する開口した溝、
をさらに含み、
前記開口した溝は、この中に、前記密閉部材と前記アンカー部材とを接続する前記縫合糸が、前記開口した溝から展開するように、方向付けられている、脈管創傷閉鎖システム。
(5)実施態様(4)に記載の脈管創傷閉鎖システムにおいて、
少なくとも一部分が前記送達ロッド内に配置されたタンピング器具をさらに含む、脈管創傷閉鎖システム。
【0048】
(6)実施態様(4)に記載の脈管創傷閉鎖システムにおいて、
前記縫合糸は、
前記密閉部材を前記アンカー部材に接続する接続部分、および、
オペレータが操作するための、前記送達ロッドの近位側に延びたアクセス可能な部分、
をさらに含み、
前記縫合糸の前記接続部分は、前記送達ロッドの前記開口した溝内に方向付けられている、脈管創傷閉鎖システム。
(7)実施態様(6)に記載の脈管創傷閉鎖システムにおいて、
前記アンカー部材は、前記縫合糸の前記接続部分の一部が通る少なくとも1つの通路をさらに含む、脈管創傷閉鎖システム。
(8)実施態様(7)に記載の脈管創傷閉鎖システムにおいて、
前記縫合糸の前記接続部分は、前記アンカー部材を前記密閉部材に対して締め付けて所定の位置に固定するために、前記アンカー部材の前記少なくとも1つの通路を通る一方向棘をさらに含む、脈管創傷閉鎖システム。
(9)実施態様(1)に記載の脈管創傷閉鎖システムにおいて、
前記密閉部材および前記アンカー部材は、生体吸収性材料を含む、脈管創傷閉鎖システム。
(10)実施態様(1)に記載の脈管創傷閉鎖システムにおいて、
前記密閉部材は、前記アンカー部材よりも大きい、脈管創傷閉鎖システム。
【0049】
(11)実施態様(10)に記載の脈管創傷閉鎖システムにおいて、
前記密閉部材は、前記送達ロッドの内径よりも幅が小さい楕円形である、脈管創傷閉鎖システム。
(12)実施態様(10)に記載の脈管創傷閉鎖システムにおいて、
前記密閉部材は、前記送達ロッドの内径よりも直径が小さい円柱型である、脈管創傷閉鎖システム。
(13)実施態様(1)に記載の脈管創傷閉鎖システムにおいて、
前記縫合糸は、生体吸収性材料を含む、脈管創傷閉鎖システム。
(14)実施態様(5)に記載の脈管創傷閉鎖システムにおいて、
少なくとも一部が前記送達ロッド内に配置されている切断部材をさらに含む、脈管創傷閉鎖システム。
(15)患者の脈管創傷を閉じるための方法において、
縫合糸によって接続された密閉部材とアンカー部材とを内部に備えた送達ロッドを用意することと、
前記送達ロッドを、外側シースを介して標的脈管内にガイドワイヤを介して挿入することと、
前記外側シースを部分的に引き戻して、前記密閉部材を前記標的脈管内に展開することと、
前記外側シースおよび前記送達ロッドを部分的に引き戻して、前記密閉部材を前記標的脈管の内壁に方向付け(orient)ることと、
前記縫合糸を引いて、前記密閉部材を所定の位置に維持することと、
前記外側シースを引き戻して、さらに、前記アンカー部材を前記標的脈管の外側に展開(deploy)し、接続する前記縫合糸を、前記脈管創傷を介して配備(deploy)することと、
前記縫合糸をさらに引いて、前記アンカー部材を前記密閉部材に対して締め付けることと、
前記アンカー部材と前記密閉部材とによって前記脈管創傷を密閉するために、前記縫合糸を所定の位置に固定することと、
を含む、方法。
【0050】
(16)実施態様(15)に記載の方法において、
前記アンカー部材と前記密閉部材とを締め付ける際に、前記アンカー部材を前記標的脈管の前記外面に対して所定の位置にタンピングまたは維持することをさらに含む、方法。
(17)実施態様(16)に記載の方法において、
前記アンカー部材と前記密閉部材とを締め付ける際に、前記アンカー部材内を通る前記縫合糸に設けられた一方向棘を用いて前記縫合糸を所定の位置に固定することをさらに含む、方法。
(18)実施態様(17)に記載の方法において、
締め付けて固定した後、余分な縫合糸を切断し、前記送達ロッド、前記ガイドワイヤ、前記外側シース、および前記余分な縫合糸を患者の体から除去することをさらに含む、方法。
(19)脈管創傷閉鎖システムにおいて、
挿入器と、
外側シースであって、近位側の第1の位置、前記挿入器の遠位端部にあるか、またはその遠位端部を越えた位置にある遠位側の第2の位置、および、部分的に引き戻された第3の位置を有する、前記挿入器内にスライド可能に配置された、外側シースと、
内側シースであって、近位側の第1の位置、および、前記第3の位置に位置する前記外側シースの遠位端部にあるか、またはその遠位端部を越えた位置にある遠位側の第2の位置を有する、前記外側シース内にスライド可能に配置された、内側シースと、
前記外側シースおよび前記内側シースに接続されたハンドルと、
前記ハンドル内を通るプランジャーと、
前記外側シースが前記第3の位置にあるときに、前記外側シースの遠位端部から展開されるように構成された密閉部材と、
前記プランジャーの押下によって前記内側シースの遠位端部から展開されるように構成されたアンカー部材と、
前記密閉部材を前記アンカー部材に接続している縫合糸と、
を含む、脈管創傷閉鎖システム。
(20)実施態様(19)に記載の脈管創傷閉鎖システムにおいて、
前記内側シース内で前記プランジャーに接続された支持ロッドをさらに含む、脈管創傷閉鎖システム。
【0051】
(21)実施態様(20)に記載の脈管創傷閉鎖システムにおいて、
前記支持ロッドは、その遠位端部に位置するタンパー、凹部、および切断部材をさらに含む、脈管創傷閉鎖システム。
(22)実施態様(20)に記載の脈管創傷閉鎖システムにおいて、
前記挿入器は、フレア端部をさらに含み、前記外側シースは、ハブをさらに含み、
前記外側シースが前記近位側の第1の位置にある場合、前記外側シースの前記ハブが、前記挿入器の前記フレア端部内に受容される、脈管創傷閉鎖システム。
(23)実施態様(19)に記載の脈管創傷閉鎖システムにおいて、
前記内側シースは、傾斜出口ポートをさらに含む、脈管創傷閉鎖システム。
(24)実施態様(19)に記載の脈管創傷閉鎖システムにおいて、
前記密閉部材は、前記アンカー部材よりも大きい、脈管創傷閉鎖システム。
(25)実施態様(19)に記載の脈管創傷閉鎖システムにおいて、
前記縫合糸は、前記アンカー部材を通って、前記密閉部材に取り付けられた生体吸収性材料を含む、脈管創傷閉鎖システム。
【0052】
(26)実施態様(19)に記載の脈管創傷閉鎖システムにおいて、
前記縫合糸は、前記密閉部材と前記アンカー部材との間の接続部分をさらに含み、
前記接続部分は、前記アンカー部材と前記密閉部材とを互いに対して締め付けて固定するために、前記アンカー部材の少なくとも1つの通路内を通る一方向棘を有する、脈管創傷閉鎖システム。
(27)実施態様(19)に記載の脈管創傷閉鎖システムにおいて、
前記アンカー部材は、
プロングであって、脈管外から前記標的脈管内に刺入して、前記アンカー部材と前記密閉部材とを互いに固定して前記脈管創傷を密閉するためのプロング、
をさらに含む、脈管創傷閉鎖システム。
(28)実施態様(19)に記載の脈管創傷閉鎖システムにおいて、
前記アンカー部材は、
m字型部材であって、脈管外から前記標的脈管内に刺入して、前記アンカー部材と前記密閉部材とを互いに固定して前記脈管創傷を密閉するためのm字型部材、
をさらに含む、脈管創傷閉鎖システム。
(29)患者の脈管創傷を閉じるための方法において、
挿入器を用意することと、
外側シース、内側シース、ハンドル、およびプランジャーの組立体を用意することと、
前記組立体内に、縫合糸によってアンカー部材に接続された密閉部材を提供することと、
前記外側シースの遠位端部が、前記縫合糸の遠位端部またはその先に位置するように、前記外側シースを、前記挿入器を介して近位側の第1の位置から遠位側の第2の位置まで挿入し、前記外側シースを第3の位置まで近位側に部分的に引き戻して、前記密閉部材を標的脈管内に展開することと、
前記内側シースの遠位端部が、前記第3の位置にある前記外側シースの遠位端部またはその先に位置するように、前記ハンドルを遠位側に移動させて、前記内側シースを近位側の第1の位置から遠位側の第2の位置に設置することと、
前記組立体を部分的に引き戻して、前記密閉部材を前記標的脈管の内面に方向付けることと、
前記プランジャーを押して、前記アンカー部材を前記内側シースから排出し、前記アンカー部材を前記標的脈管の外側に配置することと、
前記密閉を維持するために前記アンカー部材と前記密閉部材とを互いに固定することと、
を含む、方法。
(30)実施態様(29)に記載の方法において、
前記内側シース内に、前記プランジャーに接続された支持ロッドを提供することと、
前記縫合糸を引いて前記アンカー部材と前記密閉部材とをさらに締め付ける際に、前記アンカー部材を、前記支持ロッドの遠位端部においてタンピングまたは維持することをさらに含む、方法。
【0053】
(31)実施態様(30)に記載の方法において、
前記アンカー部材と前記密閉部材とを締め付けて固定してから、余分な縫合糸を切断することをさらに含む、方法。
(32)実施態様(29)に記載の方法において、
前記固定することは、締め付けの際に前記アンカー部材を通る前記縫合糸の前記接続部分に設けられた一方向棘によって行われる、方法。
(33)実施態様(29)に記載の方法において、
前記固定することは、締め付けの際に脈管外から前記標的脈管の前記外面に刺入する前記アンカー部材のプロングによって行われる、方法。
(34)実施態様(29)に記載の方法において、
前記固定することは、締め付けの際に脈管外から前記標的脈管の前記外面に刺入するm字型アンカー部材によって行われる、方法。
(35)実施態様(29)に記載の方法において、
前記標的脈管内の前記挿入器の遠位端部またはその先の前記外側シースの前記遠位側の第2の位置を決定するために、前記外側シースを受容する前記挿入器のフレア端部を設けることをさらに含む、方法。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本開示に従った、脈管創傷閉鎖システムの実施形態を模式的に例示する図である。
【図2】本開示に従った、第1の凹部、第2の凹部、および第1の凹部と第2の凹部との間の開口した溝を備えた送達ロッドの実施形態を模式的に例示する部分図である。
【図3A】本開示に従った、遠位部材またはアンカー部材のデザインおよび形状を例示する図である。
【図3B】本開示に従った、遠位部材またはアンカー部材の別のデザインおよび形状を例示する図である。
【図3C】本開示に従った、遠位部材またはアンカー部材のさらに別のデザインおよび形状を例示する図である。
【図3D】本開示に従った、遠位部材またはアンカー部材のさらに別のデザインおよび形状を例示する図である。
【図3E】本開示に従った、遠位部材またはアンカー部材のさらに別のデザインおよび形状を例示する図である。
【図3F】本開示に従った、遠位部材またはアンカー部材のさらに別のデザインおよび形状を例示する図である。
【図4A】本開示に従った、図1の脈管創傷閉鎖システムを展開させるためのステップを例示する図である。
【図4B】本開示に従った、図1の脈管創傷閉鎖システムを展開させるためのステップを例示する図である。
【図4C】本開示に従った、図1の脈管創傷閉鎖システムを展開させるためのステップを例示する図である。
【図4D】本開示に従った、図1の脈管創傷閉鎖システムを展開させるためのステップを例示する図である。
【図4E】本開示に従った、図1の脈管創傷閉鎖システムを展開させるためのステップを例示する図である。
【図4F】本開示に従った、図1の脈管創傷閉鎖システムを展開させるためのステップを例示する図である。
【図4G】本開示に従った、図1の脈管創傷閉鎖システムを展開させるためのステップを例示する図である。
【図5】本開示に従った脈管創傷閉鎖システムの別の実施形態を例示する図である。
【図6】本開示に従った図5のシステムの差込み図Aを含む別の図である。
【図6A】本開示に従った図6の差込み図Aの拡大図である。
【図6B】本開示に従った図6の差込み図Aの別の拡大図である。
【図7】本開示に従った、見やすくするために外側シースおよび内側シースを省略した図5のシステムの態様を例示する図である。
【図8A】本開示に従った別のアンカー部材を例示する図である。
【図8B】本開示に従ったさらに別のアンカー部材を例示する図である。
【開示の内容】
【0001】
〔発明の背景〕
〔発明の分野〕
本発明は、脈管の創傷を閉じるための技術に関する。詳細には、本発明は、ある種のインターベンション処置(interventional procedure)によって生じる刺創などの血管の刺創を閉じるためのシステムおよび方法に関する。
【0002】
〔関連技術〕
例えば、経皮経管冠動脈形成術などの様々な治療および診断処置では、血管内に経皮的に器具を導入する。このような処置では、大抵、大腿動脈から目的の部位にアクセスする。理想的には、生じた血管の刺創の閉鎖および治癒で処置が終了する。
【0003】
従来、患者の体内への器具の進入部における皮膚に外部から圧力を加えて、創傷からの出血を止めた。例えば、看護士や医師が、凝固および組織の再生によって十分に孔が閉じるまで創傷部位に圧力を加える。場合によっては、このような外圧が1時間以上維持され、この間、患者は、動けず不快な思いをする。したがって、このような外圧技術が用いられると、患者の快適性および医師の効率が損なわれる。
【0004】
加えて、血管から出血している間、血腫のリスクが存在する。このような血腫のリスクは、創傷部位が十分に凝固するまで続く。さらに、大腿圧迫システムなどの外圧装置が、皮下脂肪の厚い患者などの特定の患者には不適切であろう。なぜなら、このような患者の場合、皮膚表面が、血管の刺創部位から相当の距離にある。不正確な皮膚の圧迫では、創傷治癒の効率が低下する傾向にある。
【0005】
ガーショニー(Gershony)らに付与された米国特許第5,383,896号に、一定時間、刺創部位に内部から圧力を加える装置が開示されている。この装置は、一定時間圧力を加えたら除去される。この装置は、膨張可能なバルーンを備えたシャフト、およびこのシャフトの遠位端部のガイドワイヤ先端部を有する。装置の遠位端部を、経皮的インターベンション処置に一般的に用いられる導入シースを介して血管内に導入する。次いで、バルーンを膨張させて血管の内面に係合させて止血し、止血したらバルーンを引き戻し、次いで挿入シースを除去する。シャフトに設けられた固定カラーにより、医学的に十分な時間、バルーンに張力を加え、次いでバルーンを収縮させ、全装置を体内から除去する。
【0006】
ブレネマン(Brenneman)らに付与された米国特許第5,645,566号に、バルーン、シート、およびフォームパッドを用いて刺創血管の外壁に外部から圧力を加える装置が開示されている。この加圧装置は、血管内のバルーン(ガーショニー(Gershony)らによる米国特許に類似)および放射線不透過性マーカーを用いて設置される。
【0007】
1998年3月26日に公開された、エス・バラク(S.Barak)に付与された国際特許出願第WO 98/11830号に、止血のための装置の様々な実施形態が開示されている。このような実施形態には、動脈壁の内面および動脈壁外側のバルーンに対してアンカーを位置付ける装置が含まれる。バルーンを膨張させて動脈壁を圧迫し、次いでアンカーを引き抜く。バルーンは、完全に止血されるまで、刺創を圧迫した状態に維持される。完全に止血されたら、アンカーおよびバルーンを取り除く。
【0008】
他の動脈閉鎖装置は、関連する米国特許第5,282,827号および同第5,441,517号と同様に、吸収されるまで体内に維持される生体吸収性材料を含む。これらの特許文献は、血管内に挿入されるアンカーを開示している。コラーゲンプラグを刺創部の外部に展開したら、アンカーを血管の内壁に圧迫して膨張させ、刺創部位に通じた組織通路を満たす。フィラメントでプラグをアンカーに取り付けて、プラグとアンカーをプーリーのように互いに対して移動させ、刺創部位を閉じる。この配置の後で、タンピング部材を用いて、外部から刺創部位に対してプラグを押し付けて刺創部位の閉鎖を助ける。
【0009】
米国特許第5,662,681号に、アンカーとプラグがフィラメントによって互いに取り付けられた動脈閉鎖装置が開示されている。アンカーを血管内に挿入して血管の内壁に押圧し、プラグを刺創部位の血管の外壁に押圧する。別個の固定手段が、プラグとアンカーを互いに移動させて、プラグとアンカーを刺創部位で密閉位置に維持する。
【0010】
ジャンセン(Janzen)らに付与された米国特許第5,391,183号に、組織通路を介して刺創部位付近の血管の外壁に止血剤を導入する装置が開示されている。
【0011】
ディアス(Diaz)付与された米国特許第5,690,674号に、実質的に平行な2枚のディスクがウエストによって中心で接続された生体分解性プラグが開示されている。このプラグは、遠位ディスクが血管の内壁、近位ディスクが血管の外壁、ウエストが血管の刺創部位に来るように位置付ける。
【0012】
他の既知の閉鎖装置には、ジャンセン(Janzen)らに付与された米国特許第5,741,223号に開示されている閉鎖装置が含まれる。この特許文献は、刺創部位を密閉するためのプラグの取付けを開示している。
【0013】
ボーダ(Voda)に付与された米国特許第5,354,271号に、鉤針端部を備えた縫合糸が開示されている。この縫合糸は、血管内に配備され、鉤針端部が組織壁内に刺入されて拡張され、この鉤針端部が血管内に戻るのを防止する。次に、縫合糸を、刺創部位に亘って結ぶかまたは他の方法で固定する。
【0014】
米国特許第5,324,306号に、刺創部位の血管の外壁に対して押圧される止血剤塊が開示されている。血流が確実に停止するように手作業で圧力が加えられる。
【0015】
米国特許第5,868,778号に、血管の刺創部位を密閉するために刺創部位に注入される凝血原と共に用いられるバルーンが開示されている。
【0016】
米国特許第5,792,152号に、血管の刺創部位に亘って配備される、縫合糸が取り付けられた可撓性針が開示されている。この可撓性針および縫合糸は、入口内腔から血管内に導入し、U型戻り内腔を経て出口内腔から血管の外に出す。次に、縫合糸をさらに血管の外に引き出し、刺創部位に亘って結ぶかまたは他の方法で固定する。
【0017】
米国特許出願公開第2004/0006352号に、縫合糸が取り付けられたクラスプアームが血管内に展開される組立体を含む動脈閉鎖装置が開示されている。各クラスプアームに対応する縫合糸を把持すなわち捕捉するために、縫合糸キャッチを含む刺入部材を別個に展開する。次に、血管の外に出た縫合糸キャッチを用いて刺入部材を引いて縫合糸を引き、刺創部位に亘って結ぶかまたは他の方法で固定する。次に、この組立体を患者の体から引き抜く。
【0018】
〔発明の概要〕
ここに開示する様々な実施形態は、標的脈管の刺創を閉じるための脈管創傷閉鎖システムおよび方法に関する。
【0019】
一部の実施形態では、このシステムは、外側シース、この外側シース内にスライド可能に配置された送達ロッド、この送達ロッドにスライド可能に接続されたガイドワイヤ、外側シース内に展開可能に受容された密閉部材、送達ロッド内に展開可能に受容されたアンカー部材、および密閉部材とアンカー部材を接続する接続縫合糸を含む。外側シースは、送達ロッドを取り囲んでおり、近位側に十分に移動されるまで、密閉部材、接続縫合糸、およびアンカー部材の展開を防止する。展開の際は、密閉部材を、標的脈管の内面に対して位置付け、アンカー部材を、標的脈管の外面に対して位置付け、脈管創傷を密閉するために接続縫合糸を引いて固定して、密閉部材とアンカー部材を互いに近づける。接続縫合糸の一部は、アンカー部材の近位側に延びており、送達ロッドの近位端部および外側シースの先で、医療行為者が、密閉部材とアンカー部材とを互いに対して締め付けるのを助けるためにアクセス可能である。
【0020】
送達ロッドは、本システムを標的脈管内に設置するために、ガイドワイヤがスライドする外面溝およびテーパ状遠位部分をさらに含む。送達ロッドは、第1の凹部であって、この中に密閉部材がこの中から展開するように方向付けられている第1の凹部、第2の凹部であって、この中にアンカー部材がこの中から展開するように方向付けられている第2の凹部、および第1の凹部と第2の凹部との間の開口した溝であって、この中に接続縫合糸がこの中から展開するように密閉部材とアンカー部材との間に延在している開口した溝をさらに含む。
【0021】
本システムは、展開の後に接続縫合糸を引くことにより密閉部材とアンカー部材とが締め付けられる際に、アンカー部材を所定の位置に押すまたは維持するのを助けるタンピング器具をさらに含むことができる。十分に締め付けて固定したら、別個の切断部材を送達ロッドを介して設けて、余分な縫合糸を切断してから、本システムを患者の体から除去する。
【0022】
密閉部材およびアンカー部材は、生体吸収性材料から形成するのが好ましく、密閉部材は、通常は、脈管創傷を密閉するためにアンカー部材よりも大きい。接続縫合糸は、密閉部材とアンカー部材を十分に締め付けて脈管創傷を密閉した後に、密閉部材とアンカー部材を互いに対して所定の位置に固定するのを助ける一方向棘を備えることもできる。
【0023】
実際には、送達ロッドを、外側シースからガイドワイヤを介して、脈管創傷から標的脈管内に挿入する。外側シースを部分的に引き戻して、密閉部材を標的脈管内に展開する。医療行為者が抵抗を感じるまで全システムを部分的に引き戻して、密閉部材を脈管の内壁に対して位置つける。次に、外側シースをさらに引き戻して、アンカー部材および接続縫合糸を配備する。次に、アンカー部材を脈管の外壁に対して位置つけ、送達ロッドおよび外側シースの近位側の接続縫合糸のアクセス可能な部分を医療行為者が操作して、脈管の両側に位置する密閉部材とアンカー部材を互いに引き寄せて締め付ける。締め付けたら、接続縫合糸を固定して、密閉部材およびアンカー部材によって脈管創傷の周りを密閉する。締付けの際にアンカー部材を所定の位置に押すまたは維持するのを助けるために、タンピング器具を用いることができる。締め付けて固定したら、余分な縫合糸を切断し、本システムを患者の体から除去する。
【0024】
他の実施形態では、脈管創傷閉鎖システムは、挿入器と、近位側の第1の位置から、前記挿入器の遠位端部にあるか、またはその遠位端部を越えた位置にある遠位側の第2の位置、および部分的に引き戻された第3の位置までスライド可能に挿入器内に配置された外側シースと、近位側の第1の位置と、第3の位置に位置する外側シースの遠位端部にあるか、またはその遠位端部を越えた位置にある遠位側の第2の位置との間でスライド可能に外側シース内に配置された内側シースと、外側シースおよび内側シースに接続されたハンドルと、アンカー部材と密閉部材の配置を制御するために、ハンドル内を通り、内側シース内に配置され、支持ロッドが接続されたプランジャーと、外側シースが第3の位置にあるときに外側シースの遠位端部から展開されるように構成された密閉部材と、内側シースの遠位端部から展開されるように構成されたアンカー部材と、密閉部材とアンカー部材を接続している縫合糸と、を含む。外側シースが第3の位置にある場合に、密閉部材は標的脈管内で展開し、内側シースが第2の位置にある場合に、プランジャーの押下によってアンカー部材は展開する。内側シース内に設けられた支持ロッドは、縫合糸の操作によってアンカー部材と密閉部材とが互いに締め付けられて固定される際にアンカー部材を所定の位置に押すまたは維持するのを助けるために、その遠位端部にタンパーを含む。支持ロッドは、凹部と、密閉部材とアンカー部材とが互いに締め付けられて固定されてから余分な縫合糸を切断するための切断部材をさらに含むことができる。
【0025】
挿入器は、外側シースがその遠位側の第2の位置に配置されて標的脈管内に挿入される場合に外側シースのハブを受容するフレア端部をさらに含むことができる。ハンドルは、このハンドルから延出した除去可能なプルタブをさらに含むことができる。除去可能なプルタブは、除去されるまで、内側シースがその遠位側の第2の位置に移動するのを防止する。内側シースの遠位端部は、密閉部材またはアンカー部材が展開されることにより脈管創傷を閉じるために、密閉部材またはアンカー部材を方向付けるのを助ける傾斜出口ポートをさらに含むことができる。
【0026】
縫合糸の一部は、アンカー部材の近位側に延びており、展開の後に密閉部材とアンカー部材とを互いに対して締め付けるのを助けるために医療行為者がアクセスすることができる。次に脈管創傷の周りの所定の位置に密閉部材およびアンカー部材を維持するために縫合糸を固定し、内側シース内に設けられたカッターで余分な縫合糸を除去し、システムの固定されていない構成要素を患者の体から除去する。
【0027】
実際には、密閉部材を標的脈管内に展開するために、外側シースを、挿入器を介して挿入し、第3の位置まで部分的に引き戻す。次に、ハンドルを遠位側に移動させて、第2の位置にある内側シースを、外側シースの遠位端部またはその先に設置し、アンカー部材が標的脈管内に確実に展開されるのを助ける。次に、外側シース、内側シース、ハンドル、プランジャーおよび支持ロッドの組立体を、密閉部材が標的脈管の内面に方向付けられたことを示す抵抗を医療行為者が感じるまで部分的に引き戻す。次に、プランジャーを押してアンカー部材を内側シースから排出し、アンカー部材を、標的脈管の外面に沿って配置する。次に、縫合糸のアクセス可能な部分を医療行為者が操作して、密閉部材とアンカー部材とを互いに対して締め付けて固定し、脈管創傷を密閉する。次に、余分な縫合糸を切断し、システムの固定されていない部分を患者の体から除去する。
【0028】
部品の構造および組合せの様々な新規の詳細を含む本発明の上記の特徴および他の特徴は、添付の図面および特許請求の範囲でさらに詳細に説明する。ここに開示する本発明の様々な例示的な実施形態は、単なる例示であり、限定目的ではないことを理解されたい。本発明の原理および特徴は、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な代替の実施形態に用いることができる。
【0029】
本発明の装置および方法の上記および他の特徴、態様、および利点は、以降の説明、添付の特許請求の範囲、および添付の図面からより良く理解できるであろう。
【0030】
〔詳細な説明〕
図1は、脈管創傷閉鎖システムの一実施形態を例示している。本明細書において、「近位」またはその類語は、医療行為者に最も近いことを意味し、「遠位」またはその類語は、医療行為者から最も遠いことを意味する。
【0031】
図1に示されているように、このシステムは、外側シース10、この外側シース10内にスライド可能に配置された送達ロッド20、この送達ロッド20にスライド可能に結合されたガイドワイヤ30、送達ロッド20内に展開可能に受容された密閉部材40、送達ロッド20内に展開可能に受容されたアンカー部材50、および密閉部材とアンカー部材とアクセス可能部分62を接続する接続部分61およびアクセス可能な部分62を有する縫合糸60を含む。アクセス部分62は、送達ロッド20の近位端部および外側シース10を越えて延びている。外側シース10および送達ロッド20は、第1の位置(破線で図示)では、外側シース10が、密閉部材40、縫合糸60、およびアンカー部材50が展開されるのを防止し、外側シース10と送達ロッド20が互いに対して移動した第2の位置では、密閉部材40、縫合糸60、およびアンカー部材50を展開可能にするように構成されている。展開の際は、密閉部材40を、標的脈管Vを介してその内面に位置付けし、アンカー部材50を、標的脈管Vの外面に位置付けし、脈管創傷を密閉するために接続縫合糸60を引いて固定し、密閉部材40とアンカー部材50を互いに近づける。接続縫合糸60のアクセス可能部分62は、密閉部材40とアンカー部材50を互いに締め付けるべく医療行為者が操作するのを助けるために、アンカー部材50から近位側に送達ロッドの近位端部および外側シースの先まで延びている。
【0032】
図1および図2を参照すると、送達ロッド20は、システム1を標的脈管V内に設置するためにガイドワイヤ30がスライドする外面溝21およびテーパ遠位部分22をさらに含む。送達ロッド20は、第1の凹部23であって、この中に密閉部材40がこの中から展開されるように方向付けられている第1の凹部23、第2の凹部24であって、この中にアンカー部材50がこの中から展開されるように方向付けられている第2の凹部24、および第1の凹部23と第2の凹部24との間に設けられている開口した溝25をさらに含む。開口した溝25の中には、縫合糸60の接続部分61がこの中から展開されるように延在している。
【0033】
システム1は、タンピング器具80(図4G)をさらに含むことができる。タンピング器具80の少なくとも一部が、展開後に接続縫合糸60を引くことにより密閉部材40とアンカー部材50とを締め付ける際に、アンカー部材50を所定の位置に押すまたは維持するのを助けるべく、送達ロッド20内に配置されている。十分に締め付けて固定したら、少なくとも一部が送達ロッド20内に設けられた別個の切断部材70(図1)を用いて、余分な縫合糸を切断し、次に、システム1の固定されていない様々な構成要素を患者の体から除去する。
【0034】
密閉部材40およびアンカー部材50は、生体吸収性材料から形成するのが好ましい。密閉部材40は、通常は、脈管創傷を密閉するためにアンカー部材50よりも大きい。縫合糸60の接続部分61は、脈管創傷を密閉するために、密閉部材40とアンカー部材50を十分に締め付けた後に、密閉部材40およびアンカー部材50を互いに対して所定の位置に固定するのを助ける一方向棘65またはこの接続部分61に結合された他の自己固定部材をさらに含むことができる。一方向棘65を用いる場合、アンカー部材50は、少なくとも1つの通路51をさらに含む。この通路51を介して、脈管創傷を密閉するために、密閉部材40とアンカー部材50とを互いに対して締め付けて固定するべく縫合糸60を引く際に、棘65が前進することができる。
【0035】
図3A〜図3Fは、密閉部材40の様々なデザインおよび形状を例示している。図3Cの楕円形状および図3Dの円柱形状は、脈管創傷の脈管内密閉に好ましいデザインまたは形状である。理想的には、密閉部材40の幅(w)または直径(d)は、中からこの密閉部材40が展開される送達ロッド20または外側シース10の内径よりも小さい。また、理想的には、密閉部材40の長さ(l)または直径(d)は、展開の際に密閉部材40の不所望の位置付けを最小限にすると共に、内側脈管壁に対して良好な密閉を得るのに十分な大きさである。例えば、内径が2.7mmの8フレンチのシースを用いる場合は、長さ(l)が10.2mm、幅(w)が2.65mmであるのが好ましい。アンカー部材50は、同様のデザインおよび形状にすることができるが、通常は、密閉部材40よりも小さい。密閉部材40およびアンカー部材50を形成する材料は、標的脈管Vにおける塞栓症の発症を最小限にするべく、理想的に吸収または内皮化する生体吸収性の生体適合性材料である。
【0036】
図3A〜図3Fに示されている密閉部材40の様々なデザインおよび形状は、内部に縫合糸60が通される少なくとも1つの通路41をさらに含む。アンカー部材50は、密閉部材40の少なくとも1つの通路41に類似した少なくとも1つの通路51(図1)をさらに含む。したがって、これらの部材を接続してこれらの部材を引き寄せて締め付けるために、縫合糸60の接続部分61を、密閉部材40の通路41およびアンカー部材50の通路51に通す。別法では、縫合糸60の接続部分61の遠位端部を、例えば図1および図2に示されているように密閉部材40に取り付けて、密閉部材40とアンカー部材50を接続してこれらの部材を引き寄せて締め付けるために、アンカー部材50に設けられた少なくとも1つの通路51に通すことができる。
【0037】
実際には、図4A〜図4Gを参照すると、脈管創傷閉鎖システムの展開および脈管創傷(vw)の密閉が示されている。具体的には、図4Aでは、ガイドワイヤ30が、前の処置によって、脈管創傷を介して標的脈管V内の所定の位置に配置されている。標的脈管内の血流が、矢印aで示されている。図4Bでは、内部に受容された縫合糸によって接続された密閉部材およびアンカー部材を有する送達ロッド20が、外側シース10内に挿入され、ガイドワイヤ30を介して脈管創傷から標的脈管V内に挿入されている。図4Cでは、外側シース10が部分的に引き戻されて、密閉部材40が、標的脈管内に位置している。図4Dでは、密閉部材40が内側の脈管壁に当接したことを示す抵抗を医療行為者が感じるまで、送達ロッド20および外側シース10が部分的に引き戻されて、密閉部材40が脈管の内壁に対して位置付けられている。図4Eでは、外側シース10のさらなる引戻しによって、アンカー部材50および縫合糸60の接続部分61がそれぞれ、脈管の外側および脈管創傷内に位置付けられている。図4Fでは、アンカー部材50が、脈管の外壁に対して位置付けられており、脈管創傷を密閉するために、送達ロッド20および外側シース10の近位側の縫合糸60のアクセス可能な部分62が、医療行為者によって操作され、脈管の両側で密閉部材40とアンカー部材50が互いに引き寄せられて締め付けられている。締め付けられたら、一方向棘65または他の自己固定部材によって縫合糸60が固定され、密閉部材40およびアンカー部材50によって脈管創傷の密閉が維持される。図4Gでは、締付けおよび固定の際にアンカー部材50を所定の位置に押すまたは維持するのを助けるために用いることができるタンピング器具80が例示されている。例えば、図4Eに示されているように、アンカー部材50を展開した後にタンピングを行う。密閉部材、アンカー部材、および縫合糸の締付けおよび固定の後に、余分な縫合糸を切断して、システムの固定されていない部分を患者の体から除去する。
【0038】
図5〜図7は、脈管創傷閉鎖システム100およびこれに関連した方法の別の実施形態を例示している。図5〜図7の実施形態では、脈管創傷閉鎖システム100は、導入器110(例えば、前の処置から)およびこの導入器110内にスライド可能に配置された外側シース120を含む。外側シース120は、近位側の第1の位置、挿入器の遠位端部またはその先の遠位側の第2の位置、および部分的に引き戻された第3の位置を有する。図5〜図7の脈管創傷閉鎖システムは、近位側の第1の位置、および第3の位置にある外側シースの遠位端部またはその先の遠位側の第2の位置を有する、外側シース120内にスライド可能に配置された内側シース130(図6Aおよび図6Bに示されている図6の差込み図A)と、外側シース120および内側シース130に接続されたハンドルと、ハンドル140内を通るプランジャー150であって、このプランジャー150に接続された支持ロッド190の配置を制御する、プランジャー150と、外側シース120が第3の位置にある時に外側シース120の遠位端部から展開されるように構成された密閉部材170と、プランジャー150の押圧によって内側シース130の遠位端部から展開されるように構成されたアンカー部材180と、密閉部材170とアンカー部材180を接続する縫合糸160をさらに含む。縫合糸160の一部は、アンカー部材180の近位側に延びており、縫合糸160を操作するために、操作医療行為者がアクセスすることができる。標的脈管内での密閉部材170の展開は、通常は、外側シース120の遠位端部が、標的脈管内の挿入器110の遠位端部またはその先に到達するまで、外側シース120を挿入器110内に挿入して行う。次に、外側シース120を近位側に部分的に引き戻して、密閉部材170を標的脈管内に理想的に配置する。内側シース130の遠位端部が、第3の位置にある外側シース120の遠位端部またはその先に来るように、ハンドル140を遠位側に移動させて内側シース130をその第2の位置に合わせ、密閉部材170が標的脈管内に適切に展開されるのを助ける。次に、密閉部材170が標的脈管の内壁に当接したことを示す抵抗を感じるまで、全組立体、すなわちシステム100を近位側に部分的に引き戻す。次に、プランジャー150およびこのプランジャー150に接続された支持ロッド190を押して、アンカー部材180を、内側シース130の遠位端部の先の、外側シース120の遠位端部の先の、標的脈管の外面近傍に配置する。
【0039】
支持ロッド190(見やすくするために内側シース130および外側シース120が省かれた図7を参照)は、内側シース130内に設けられたプランジャー150に接続するのが好ましく、上記したように、プランジャー150が押された時にアンカー部材180を標的脈管の外壁近傍に配置するためのタンパー193をその遠位端部に含む。支持ロッド190は、縫合糸160の操作によってアンカー部材180と密閉部材170が締め付けられて固定される際に、アンカー部材180を所定の位置に押すまたは維持するのを助ける。支持ロッド190は、凹部191と、密閉部材170とアンカー部材180が締め付けられて固定された後に余分な縫合糸を切断するための切断部材192をさらに含むことができる。
【0040】
挿入器110は、外側シース120が挿入器110内に配置されると外側シース120のハブ121を受容するフレア端部111をさらに含むことができる。理想的には、外側シース120のハブ121が挿入器110のフレア端部111内に受容されたことは、外側シース120の遠位端部が、挿入器110の遠位端部またはその先、すなわち標的脈管内に位置付けられたことを示す。次に、外側シース120を部分的に引き戻して、密閉部材170を標的脈管内に展開する。次に、ハンドル140を遠位側に移動させて、内側シース130を外側シース120の遠位端部またはその先に設置し、密閉部材170が標的脈管内に確実に展開されるのを助ける。次に、密閉部材170が標的脈管の内壁に当接していることを示す抵抗を感じるまで、全システム100を部分的に引き戻す。次に、プランジャー150を押して、アンカー部材180を内側シース130の遠位端部から標的脈管の外壁に排出する。ハンドル140は、除去可能なプルタブ145をさらに含むことができ、このプルタブ145は、除去されるまで、ハンドル140と内側シース130の間の距離dの移動を防止する。この方式では、上記したように、外側シース120が近位側に引き戻されて、密閉部材180が標的脈管内に配置されるまで、内側シース130が移動しない。内側シース130の遠位端部は、傾斜出口ポート122をさらに含むことができる。この傾斜出口ポート22は、所望に応じて、内側シース130および外側シース120からの密閉部材170またはアンカー部材180の方向付けを助け、密閉部材170またはアンカー部材180が展開された時の脈管創傷の密閉を助ける。
【0041】
理想的には、外側シース120のハブ121が挿入器110のフレア端部111内に受容された時に、外側シース120の遠位端部が、挿入器110の遠位端部またはその先、すなわち標的脈管内に位置するように、外側シース120を、近位側の第1の位置から遠位側の第2の位置に移動させる。次に、外側シース120を、第3の位置まで近位方向に部分的に引き戻して、密閉部材170を標的脈管内に配置する。次に、内側シース130の遠位端部が、第3の位置にある外側シース120の遠位端部またはその先に位置して、密閉部材170が所望に標的脈管内に確実に展開されるのを助けるように、ハンドル140を遠位側に移動させて、内側シース130を近位側の第1の位置から遠位側の第2の位置に設置する。次に、密閉部材170が標的脈管の内壁に当接したことを示す抵抗を感じるまで、システム100を部分的に引き戻す。次に、プランジャー150およびこのプランジャー150に接続された支持ロッド190を押して、アンカー部材180を内側シース130の遠位端部から標的脈管の外面に沿って排出する。アンカー部材180が展開された状態で、密閉部材170を標的脈管の内面に対して所定の位置に維持するのを助けるために、プランジャー150の押下の前および最中に、縫合糸160のアクセス可能な部分を引くのが好ましい。
【0042】
縫合糸160のアクセス可能な部分は、アンカー部材180の近位側に延びており、密閉部材170およびアンカー部材180が展開された後に、医療行為者が、密閉部材170とアンカー部材180とを互いに対して締め付けるのを助けるためにアクセス可能である。次に、密閉部材170およびアンカー部材180を脈管創傷に維持するために縫合糸160を固定し、内側シース130内の支持ロッド190に設けられたカッター192(図7)で余分な縫合糸を切断し、システムの固定されていない構成要素を患者の体から除去する。
【0043】
実際には、挿入器および組立体を用意する。この組立体は、少なくとも、外側シース、内側シース、ハンドル、プランジャー、および支持ロッドを含む。密閉部材およびこの密閉部材に縫合糸によって接続されたアンカー部材を組立体内に配置する。挿入器を、患者の脈管創傷を介して標的脈管内に配置する。外側シースを、挿入器を介して近位側の第1の位置から遠位側の第2の位置まで挿入し、密閉部材を標的脈管内に展開するために、外側シースを第3の位置まで近位側に部分的に引き戻す。次に、ハンドルを遠位側に移動させて、内側シースの遠位端部を、第3の位置にある外側シースの遠位端部またはその先に設置し、密閉部材の標的脈管内での確実な展開を助ける。次に、密閉部材が標的脈管の内面に当接したことを示す抵抗を感じるまで、外側シース、内側シース、ハンドル、支持ロッド、およびプランジャーの組立体を部分的に引き戻す。密閉部材を脈管の内面に対して所定の位置に維持するために、縫合糸のアクセス可能な部分を引くことができる。次に、プランジャーを押して、アンカー部材を内側シースから排出し、アンカー部材を標的脈管の外面に沿って位置付けする。次に、医療行為者が、縫合糸のアクセス可能な部分を操作して、密閉部材とアンカー部材とを互いに対して締め付けて固定し、脈管創傷を密閉する。別法では、縫合糸に手作業で力を加えずに、密閉部材およびアンカー部材を締め付けるために縫合糸をバネ荷重することができる。いずれの場合も、余分な縫合糸を切断し、システムの固定されていない部分を患者の体から除去する。
【0044】
密閉部材170およびアンカー部材180は、図3A〜図3Fを用いて説明した形態にするか、または図8Aまたは図8Bのいずれかに示す形態にすることもできる。図8Aは、プロング181を有するアンカー部材180を示している。このプロング181を、標的脈管Vの外面に刺入し、締め付けてから、アンカー部材180を密閉部材170に固定する。図8Bは、m字型のアンカー部材180を示している。このm字型のアンカー部材180を、標的脈管Vの外面に刺入し、締め付けてから、アンカー部材180を密閉部材170に対して固定する。
【0045】
上記した本発明の様々な例示的な実施形態は、本発明のシステムおよび方法の異なる実施形態を限定するものではない。ここに開示する構成要素は、例示目的で参照した資料、設計、または形状に限定されるものではなく、当業者に理解できるように、ここに開示したシステムおよび方法に適した様々な他の構成要素、設計、または形状を含むことができる。
【0046】
本発明の好適な実施形態と思われる形態を図示および説明してきたが、もちろん、本発明の概念または範囲から逸脱することなく、形態または細部の様々な変更形態および変形が容易に可能であることを理解されたい。したがって、本発明は、ここに開示および例示した正確な形態に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲内に含まれうる全ての変更形態を含むと解釈すべきである。
【0047】
〔実施の態様〕
(1)脈管創傷閉鎖システムにおいて、
外側シースと、
前記外側シース内にスライド可能に配置された送達ロッドと、
前記送達ロッドにスライド可能に結合されたガイドワイヤと、
前記送達ロッド内に展開可能に受容された密閉部材(sealing member)と、
前記送達ロッド内に展開可能に受容されたアンカー部材と、
前記密閉部材と前記アンカー部材とを接続する縫合糸と、
を含み、
前記外側シースおよび前記送達ロッドは、第1の位置では、前記外側シースが、前記密閉部材、前記縫合糸、および前記アンカー部材が展開するのを防止し、前記外側シースと前記送達ロッドとが互いに対して移動した第2の位置では、前記密閉部材、前記縫合糸、および前記アンカー部材が展開可能となるように構成されている、脈管創傷閉鎖システム。
(2)実施態様(1)に記載の脈管創傷システムにおいて、
前記密閉部材は、脈管内密閉部材であり、前記アンカー部材は、脈管外アンカー部材である、脈管創傷閉鎖システム。
(3)実施態様(1)に記載の脈管創傷閉鎖システムにおいて、
前記送達ロッドは、前記システムを標的脈管内に設置するために前記ガイドワイヤがスライドする外面溝およびテーパ遠位部分をさらに含む、脈管創傷閉鎖システム。
(4)実施態様(3)に記載の脈管創傷閉鎖システムにおいて、
前記送達ロッドは、
第1の凹部であって、この中に、前記密閉部材が前記第1の凹部から展開するように方向付けられている、第1の凹部、
第2の凹部であって、この中に、前記アンカー部材が前記第2の凹部から展開するように方向付けられている、第2の凹部、および、
前記第1の凹部と前記第2の凹部との間に延在する開口した溝、
をさらに含み、
前記開口した溝は、この中に、前記密閉部材と前記アンカー部材とを接続する前記縫合糸が、前記開口した溝から展開するように、方向付けられている、脈管創傷閉鎖システム。
(5)実施態様(4)に記載の脈管創傷閉鎖システムにおいて、
少なくとも一部分が前記送達ロッド内に配置されたタンピング器具をさらに含む、脈管創傷閉鎖システム。
【0048】
(6)実施態様(4)に記載の脈管創傷閉鎖システムにおいて、
前記縫合糸は、
前記密閉部材を前記アンカー部材に接続する接続部分、および、
オペレータが操作するための、前記送達ロッドの近位側に延びたアクセス可能な部分、
をさらに含み、
前記縫合糸の前記接続部分は、前記送達ロッドの前記開口した溝内に方向付けられている、脈管創傷閉鎖システム。
(7)実施態様(6)に記載の脈管創傷閉鎖システムにおいて、
前記アンカー部材は、前記縫合糸の前記接続部分の一部が通る少なくとも1つの通路をさらに含む、脈管創傷閉鎖システム。
(8)実施態様(7)に記載の脈管創傷閉鎖システムにおいて、
前記縫合糸の前記接続部分は、前記アンカー部材を前記密閉部材に対して締め付けて所定の位置に固定するために、前記アンカー部材の前記少なくとも1つの通路を通る一方向棘をさらに含む、脈管創傷閉鎖システム。
(9)実施態様(1)に記載の脈管創傷閉鎖システムにおいて、
前記密閉部材および前記アンカー部材は、生体吸収性材料を含む、脈管創傷閉鎖システム。
(10)実施態様(1)に記載の脈管創傷閉鎖システムにおいて、
前記密閉部材は、前記アンカー部材よりも大きい、脈管創傷閉鎖システム。
【0049】
(11)実施態様(10)に記載の脈管創傷閉鎖システムにおいて、
前記密閉部材は、前記送達ロッドの内径よりも幅が小さい楕円形である、脈管創傷閉鎖システム。
(12)実施態様(10)に記載の脈管創傷閉鎖システムにおいて、
前記密閉部材は、前記送達ロッドの内径よりも直径が小さい円柱型である、脈管創傷閉鎖システム。
(13)実施態様(1)に記載の脈管創傷閉鎖システムにおいて、
前記縫合糸は、生体吸収性材料を含む、脈管創傷閉鎖システム。
(14)実施態様(5)に記載の脈管創傷閉鎖システムにおいて、
少なくとも一部が前記送達ロッド内に配置されている切断部材をさらに含む、脈管創傷閉鎖システム。
(15)患者の脈管創傷を閉じるための方法において、
縫合糸によって接続された密閉部材とアンカー部材とを内部に備えた送達ロッドを用意することと、
前記送達ロッドを、外側シースを介して標的脈管内にガイドワイヤを介して挿入することと、
前記外側シースを部分的に引き戻して、前記密閉部材を前記標的脈管内に展開することと、
前記外側シースおよび前記送達ロッドを部分的に引き戻して、前記密閉部材を前記標的脈管の内壁に方向付け(orient)ることと、
前記縫合糸を引いて、前記密閉部材を所定の位置に維持することと、
前記外側シースを引き戻して、さらに、前記アンカー部材を前記標的脈管の外側に展開(deploy)し、接続する前記縫合糸を、前記脈管創傷を介して配備(deploy)することと、
前記縫合糸をさらに引いて、前記アンカー部材を前記密閉部材に対して締め付けることと、
前記アンカー部材と前記密閉部材とによって前記脈管創傷を密閉するために、前記縫合糸を所定の位置に固定することと、
を含む、方法。
【0050】
(16)実施態様(15)に記載の方法において、
前記アンカー部材と前記密閉部材とを締め付ける際に、前記アンカー部材を前記標的脈管の前記外面に対して所定の位置にタンピングまたは維持することをさらに含む、方法。
(17)実施態様(16)に記載の方法において、
前記アンカー部材と前記密閉部材とを締め付ける際に、前記アンカー部材内を通る前記縫合糸に設けられた一方向棘を用いて前記縫合糸を所定の位置に固定することをさらに含む、方法。
(18)実施態様(17)に記載の方法において、
締め付けて固定した後、余分な縫合糸を切断し、前記送達ロッド、前記ガイドワイヤ、前記外側シース、および前記余分な縫合糸を患者の体から除去することをさらに含む、方法。
(19)脈管創傷閉鎖システムにおいて、
挿入器と、
外側シースであって、近位側の第1の位置、前記挿入器の遠位端部にあるか、またはその遠位端部を越えた位置にある遠位側の第2の位置、および、部分的に引き戻された第3の位置を有する、前記挿入器内にスライド可能に配置された、外側シースと、
内側シースであって、近位側の第1の位置、および、前記第3の位置に位置する前記外側シースの遠位端部にあるか、またはその遠位端部を越えた位置にある遠位側の第2の位置を有する、前記外側シース内にスライド可能に配置された、内側シースと、
前記外側シースおよび前記内側シースに接続されたハンドルと、
前記ハンドル内を通るプランジャーと、
前記外側シースが前記第3の位置にあるときに、前記外側シースの遠位端部から展開されるように構成された密閉部材と、
前記プランジャーの押下によって前記内側シースの遠位端部から展開されるように構成されたアンカー部材と、
前記密閉部材を前記アンカー部材に接続している縫合糸と、
を含む、脈管創傷閉鎖システム。
(20)実施態様(19)に記載の脈管創傷閉鎖システムにおいて、
前記内側シース内で前記プランジャーに接続された支持ロッドをさらに含む、脈管創傷閉鎖システム。
【0051】
(21)実施態様(20)に記載の脈管創傷閉鎖システムにおいて、
前記支持ロッドは、その遠位端部に位置するタンパー、凹部、および切断部材をさらに含む、脈管創傷閉鎖システム。
(22)実施態様(20)に記載の脈管創傷閉鎖システムにおいて、
前記挿入器は、フレア端部をさらに含み、前記外側シースは、ハブをさらに含み、
前記外側シースが前記近位側の第1の位置にある場合、前記外側シースの前記ハブが、前記挿入器の前記フレア端部内に受容される、脈管創傷閉鎖システム。
(23)実施態様(19)に記載の脈管創傷閉鎖システムにおいて、
前記内側シースは、傾斜出口ポートをさらに含む、脈管創傷閉鎖システム。
(24)実施態様(19)に記載の脈管創傷閉鎖システムにおいて、
前記密閉部材は、前記アンカー部材よりも大きい、脈管創傷閉鎖システム。
(25)実施態様(19)に記載の脈管創傷閉鎖システムにおいて、
前記縫合糸は、前記アンカー部材を通って、前記密閉部材に取り付けられた生体吸収性材料を含む、脈管創傷閉鎖システム。
【0052】
(26)実施態様(19)に記載の脈管創傷閉鎖システムにおいて、
前記縫合糸は、前記密閉部材と前記アンカー部材との間の接続部分をさらに含み、
前記接続部分は、前記アンカー部材と前記密閉部材とを互いに対して締め付けて固定するために、前記アンカー部材の少なくとも1つの通路内を通る一方向棘を有する、脈管創傷閉鎖システム。
(27)実施態様(19)に記載の脈管創傷閉鎖システムにおいて、
前記アンカー部材は、
プロングであって、脈管外から前記標的脈管内に刺入して、前記アンカー部材と前記密閉部材とを互いに固定して前記脈管創傷を密閉するためのプロング、
をさらに含む、脈管創傷閉鎖システム。
(28)実施態様(19)に記載の脈管創傷閉鎖システムにおいて、
前記アンカー部材は、
m字型部材であって、脈管外から前記標的脈管内に刺入して、前記アンカー部材と前記密閉部材とを互いに固定して前記脈管創傷を密閉するためのm字型部材、
をさらに含む、脈管創傷閉鎖システム。
(29)患者の脈管創傷を閉じるための方法において、
挿入器を用意することと、
外側シース、内側シース、ハンドル、およびプランジャーの組立体を用意することと、
前記組立体内に、縫合糸によってアンカー部材に接続された密閉部材を提供することと、
前記外側シースの遠位端部が、前記縫合糸の遠位端部またはその先に位置するように、前記外側シースを、前記挿入器を介して近位側の第1の位置から遠位側の第2の位置まで挿入し、前記外側シースを第3の位置まで近位側に部分的に引き戻して、前記密閉部材を標的脈管内に展開することと、
前記内側シースの遠位端部が、前記第3の位置にある前記外側シースの遠位端部またはその先に位置するように、前記ハンドルを遠位側に移動させて、前記内側シースを近位側の第1の位置から遠位側の第2の位置に設置することと、
前記組立体を部分的に引き戻して、前記密閉部材を前記標的脈管の内面に方向付けることと、
前記プランジャーを押して、前記アンカー部材を前記内側シースから排出し、前記アンカー部材を前記標的脈管の外側に配置することと、
前記密閉を維持するために前記アンカー部材と前記密閉部材とを互いに固定することと、
を含む、方法。
(30)実施態様(29)に記載の方法において、
前記内側シース内に、前記プランジャーに接続された支持ロッドを提供することと、
前記縫合糸を引いて前記アンカー部材と前記密閉部材とをさらに締め付ける際に、前記アンカー部材を、前記支持ロッドの遠位端部においてタンピングまたは維持することをさらに含む、方法。
【0053】
(31)実施態様(30)に記載の方法において、
前記アンカー部材と前記密閉部材とを締め付けて固定してから、余分な縫合糸を切断することをさらに含む、方法。
(32)実施態様(29)に記載の方法において、
前記固定することは、締め付けの際に前記アンカー部材を通る前記縫合糸の前記接続部分に設けられた一方向棘によって行われる、方法。
(33)実施態様(29)に記載の方法において、
前記固定することは、締め付けの際に脈管外から前記標的脈管の前記外面に刺入する前記アンカー部材のプロングによって行われる、方法。
(34)実施態様(29)に記載の方法において、
前記固定することは、締め付けの際に脈管外から前記標的脈管の前記外面に刺入するm字型アンカー部材によって行われる、方法。
(35)実施態様(29)に記載の方法において、
前記標的脈管内の前記挿入器の遠位端部またはその先の前記外側シースの前記遠位側の第2の位置を決定するために、前記外側シースを受容する前記挿入器のフレア端部を設けることをさらに含む、方法。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本開示に従った、脈管創傷閉鎖システムの実施形態を模式的に例示する図である。
【図2】本開示に従った、第1の凹部、第2の凹部、および第1の凹部と第2の凹部との間の開口した溝を備えた送達ロッドの実施形態を模式的に例示する部分図である。
【図3A】本開示に従った、遠位部材またはアンカー部材のデザインおよび形状を例示する図である。
【図3B】本開示に従った、遠位部材またはアンカー部材の別のデザインおよび形状を例示する図である。
【図3C】本開示に従った、遠位部材またはアンカー部材のさらに別のデザインおよび形状を例示する図である。
【図3D】本開示に従った、遠位部材またはアンカー部材のさらに別のデザインおよび形状を例示する図である。
【図3E】本開示に従った、遠位部材またはアンカー部材のさらに別のデザインおよび形状を例示する図である。
【図3F】本開示に従った、遠位部材またはアンカー部材のさらに別のデザインおよび形状を例示する図である。
【図4A】本開示に従った、図1の脈管創傷閉鎖システムを展開させるためのステップを例示する図である。
【図4B】本開示に従った、図1の脈管創傷閉鎖システムを展開させるためのステップを例示する図である。
【図4C】本開示に従った、図1の脈管創傷閉鎖システムを展開させるためのステップを例示する図である。
【図4D】本開示に従った、図1の脈管創傷閉鎖システムを展開させるためのステップを例示する図である。
【図4E】本開示に従った、図1の脈管創傷閉鎖システムを展開させるためのステップを例示する図である。
【図4F】本開示に従った、図1の脈管創傷閉鎖システムを展開させるためのステップを例示する図である。
【図4G】本開示に従った、図1の脈管創傷閉鎖システムを展開させるためのステップを例示する図である。
【図5】本開示に従った脈管創傷閉鎖システムの別の実施形態を例示する図である。
【図6】本開示に従った図5のシステムの差込み図Aを含む別の図である。
【図6A】本開示に従った図6の差込み図Aの拡大図である。
【図6B】本開示に従った図6の差込み図Aの別の拡大図である。
【図7】本開示に従った、見やすくするために外側シースおよび内側シースを省略した図5のシステムの態様を例示する図である。
【図8A】本開示に従った別のアンカー部材を例示する図である。
【図8B】本開示に従ったさらに別のアンカー部材を例示する図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脈管創傷閉鎖システムにおいて、
挿入器と、
外側シースであって、近位側の第1の位置、前記挿入器の遠位端部にあるか、またはその遠位端部を越えた位置にある遠位側の第2の位置、および、部分的に引き戻された第3の位置を有する、前記挿入器内にスライド可能に配置された、外側シースと、
内側シースであって、近位側の第1の位置、および、前記第3の位置に位置する前記外側シースの遠位端部にあるか、またはその遠位端部を越えた位置にある遠位側の第2の位置を有する、前記外側シース内にスライド可能に配置された、内側シースと、
前記外側シースおよび前記内側シースに接続されたハンドルと、
前記ハンドル内を通るプランジャーと、
前記外側シースが前記第3の位置にあるときに、前記外側シースの遠位端部から展開されるように構成された密閉部材と、
前記プランジャーの押下によって前記内側シースの遠位端部から展開されるように構成されたアンカー部材と、
前記密閉部材を前記アンカー部材に接続している縫合糸と、
を含む、脈管創傷閉鎖システム。
【請求項2】
請求項1に記載の脈管創傷閉鎖システムにおいて、
前記内側シース内で前記プランジャーに接続された支持ロッドをさらに含む、脈管創傷閉鎖システム。
【請求項3】
請求項2に記載の脈管創傷閉鎖システムにおいて、
前記支持ロッドは、その遠位端部に位置するタンパー、凹部、および切断部材をさらに含む、脈管創傷閉鎖システム。
【請求項4】
請求項2に記載の脈管創傷閉鎖システムにおいて、
前記挿入器は、フレア端部をさらに含み、前記外側シースは、ハブをさらに含み、
前記外側シースが前記近位側の第1の位置にある場合、前記外側シースの前記ハブが、前記挿入器の前記フレア端部内に受容される、脈管創傷閉鎖システム。
【請求項5】
請求項1に記載の脈管創傷閉鎖システムにおいて、
前記内側シースは、傾斜出口ポートをさらに含む、脈管創傷閉鎖システム。
【請求項6】
請求項1に記載の脈管創傷閉鎖システムにおいて、
前記密閉部材は、前記アンカー部材よりも大きい、脈管創傷閉鎖システム。
【請求項7】
請求項1に記載の脈管創傷閉鎖システムにおいて、
前記縫合糸は、前記アンカー部材を通って、前記密閉部材に取り付けられた生体吸収性材料を含む、脈管創傷閉鎖システム。
【請求項8】
請求項1に記載の脈管創傷閉鎖システムにおいて、
前記縫合糸は、前記密閉部材と前記アンカー部材との間の接続部分をさらに含み、
前記接続部分は、前記アンカー部材と前記密閉部材とを互いに対して締め付けて固定するために、前記アンカー部材の少なくとも1つの通路内を通る一方向棘を有する、脈管創傷閉鎖システム。
【請求項9】
請求項1に記載の脈管創傷閉鎖システムにおいて、
前記アンカー部材は、
プロングであって、脈管外から前記標的脈管内に刺入して、前記アンカー部材と前記密閉部材とを互いに固定して前記脈管創傷を密閉するためのプロング、
をさらに含む、脈管創傷閉鎖システム。
【請求項10】
請求項1に記載の脈管創傷閉鎖システムにおいて、
前記アンカー部材は、
m字型部材であって、脈管外から前記標的脈管内に刺入して、前記アンカー部材と前記密閉部材とを互いに固定して前記脈管創傷を密閉するためのm字型部材、
をさらに含む、脈管創傷閉鎖システム。
【請求項1】
脈管創傷閉鎖システムにおいて、
挿入器と、
外側シースであって、近位側の第1の位置、前記挿入器の遠位端部にあるか、またはその遠位端部を越えた位置にある遠位側の第2の位置、および、部分的に引き戻された第3の位置を有する、前記挿入器内にスライド可能に配置された、外側シースと、
内側シースであって、近位側の第1の位置、および、前記第3の位置に位置する前記外側シースの遠位端部にあるか、またはその遠位端部を越えた位置にある遠位側の第2の位置を有する、前記外側シース内にスライド可能に配置された、内側シースと、
前記外側シースおよび前記内側シースに接続されたハンドルと、
前記ハンドル内を通るプランジャーと、
前記外側シースが前記第3の位置にあるときに、前記外側シースの遠位端部から展開されるように構成された密閉部材と、
前記プランジャーの押下によって前記内側シースの遠位端部から展開されるように構成されたアンカー部材と、
前記密閉部材を前記アンカー部材に接続している縫合糸と、
を含む、脈管創傷閉鎖システム。
【請求項2】
請求項1に記載の脈管創傷閉鎖システムにおいて、
前記内側シース内で前記プランジャーに接続された支持ロッドをさらに含む、脈管創傷閉鎖システム。
【請求項3】
請求項2に記載の脈管創傷閉鎖システムにおいて、
前記支持ロッドは、その遠位端部に位置するタンパー、凹部、および切断部材をさらに含む、脈管創傷閉鎖システム。
【請求項4】
請求項2に記載の脈管創傷閉鎖システムにおいて、
前記挿入器は、フレア端部をさらに含み、前記外側シースは、ハブをさらに含み、
前記外側シースが前記近位側の第1の位置にある場合、前記外側シースの前記ハブが、前記挿入器の前記フレア端部内に受容される、脈管創傷閉鎖システム。
【請求項5】
請求項1に記載の脈管創傷閉鎖システムにおいて、
前記内側シースは、傾斜出口ポートをさらに含む、脈管創傷閉鎖システム。
【請求項6】
請求項1に記載の脈管創傷閉鎖システムにおいて、
前記密閉部材は、前記アンカー部材よりも大きい、脈管創傷閉鎖システム。
【請求項7】
請求項1に記載の脈管創傷閉鎖システムにおいて、
前記縫合糸は、前記アンカー部材を通って、前記密閉部材に取り付けられた生体吸収性材料を含む、脈管創傷閉鎖システム。
【請求項8】
請求項1に記載の脈管創傷閉鎖システムにおいて、
前記縫合糸は、前記密閉部材と前記アンカー部材との間の接続部分をさらに含み、
前記接続部分は、前記アンカー部材と前記密閉部材とを互いに対して締め付けて固定するために、前記アンカー部材の少なくとも1つの通路内を通る一方向棘を有する、脈管創傷閉鎖システム。
【請求項9】
請求項1に記載の脈管創傷閉鎖システムにおいて、
前記アンカー部材は、
プロングであって、脈管外から前記標的脈管内に刺入して、前記アンカー部材と前記密閉部材とを互いに固定して前記脈管創傷を密閉するためのプロング、
をさらに含む、脈管創傷閉鎖システム。
【請求項10】
請求項1に記載の脈管創傷閉鎖システムにおいて、
前記アンカー部材は、
m字型部材であって、脈管外から前記標的脈管内に刺入して、前記アンカー部材と前記密閉部材とを互いに固定して前記脈管創傷を密閉するためのm字型部材、
をさらに含む、脈管創傷閉鎖システム。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【図3F】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図4F】
【図4G】
【図5】
【図6】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【図3F】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図4F】
【図4G】
【図5】
【図6】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【公開番号】特開2012−192193(P2012−192193A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−131751(P2012−131751)
【出願日】平成24年6月11日(2012.6.11)
【分割の表示】特願2008−547326(P2008−547326)の分割
【原出願日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【出願人】(597041828)コーディス・コーポレイション (206)
【氏名又は名称原語表記】Cordis Corporation
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年6月11日(2012.6.11)
【分割の表示】特願2008−547326(P2008−547326)の分割
【原出願日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【出願人】(597041828)コーディス・コーポレイション (206)
【氏名又は名称原語表記】Cordis Corporation
【Fターム(参考)】
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