説明

血管吻合トレーニング装置

【課題】血流の拍動に伴う臓器の動きを模擬して血管モデル全体を上下動させることが可能で薄型の血管吻合トレーニング装置を低コストに提供する。
【解決手段】血管吻合トレーニング装置10は、血管モデル30が載置された載置プレート12と、載置プレート12を上下動させるプレート駆動装置20とを備える。プレート駆動装置20は、載置プレート12の下側に設けられ、膨張時には載置プレート12を押し上げ、収縮時には載置プレート12を引き下げるバルーン21a,21bと、バルーン21a,21b内への空気の出し入れを繰り返させるベローズポンプ23とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は血管吻合トレーニング装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、血管の吻合(縫合)手技の訓練時における手技評価に利用される血管動作シミュレータが提案されている(特許文献1〜4参照)。
特許文献1には、電動モータを用いて模擬血管を屈曲変位させる技術が開示されている。
特許文献2には、電動モータを用いて模擬血管をねじれ変形させる技術が開示されている。
特許文献3には、電動モータを用いて模擬血管を延出方向に伸縮させる技術が開示されている。
特許文献4には、模擬血管内の液圧を変動させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−18029号公報
【特許文献2】特開2008−18030号公報
【特許文献3】特開2008−20654号公報
【特許文献4】特開2008−20655号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
血管の吻合手技の訓練には、人体内の実際の血管の配置状態を模して模擬血管を配置した血管モデルを用い、血流の拍動に伴う血管の配置部位の動きを模擬して、血管モデル全体を上下動させることが要求されている。
しかし、特許文献1〜4の技術では、血管モデル全体を上下動させることはできない。
【0005】
特に、冠動脈手術では、心臓を取り囲むように冠状に配置された冠動脈が拍動に伴って大きく動くため、その冠動脈の動きを忠実に模擬して血管モデル全体を上下動させる必要がある。
また、脳外科手術では、顕微鏡下で細い血管の吻合を行うが、この際に、脳表の拍動に伴って脳血管全体が上下動するため、顕微鏡の焦点が一定せず、血管の吻合が著しく困難となることから、吻合手技を向上させるには、脳表の拍動を忠実に模擬して血管モデル全体を上下動させることが不可欠である。
そして、顕微鏡の対物レンズの下方の設置スペースに血管吻合トレーニング装置を設置する必要があるため、血管吻合トレーニング装置を薄型にすることが要求される。
【0006】
本発明は前記要求を満足させるためになされたものであって、その目的は、血流の拍動に伴う臓器の動きを模擬して血管モデル全体を上下動させることが可能で薄型の血管吻合トレーニング装置を低コストに提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは前記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、下記のように本発明の各局面に想到した。
【0008】
<第1の局面>
第1の局面は、
血管モデルが載置された載置プレートと、
前記載置プレートを上下動させるプレート駆動装置と
を備えた血管吻合トレーニング装置であって、
前記プレート駆動装置は、
前記載置プレートの下側に設けられ、膨張時には前記載置プレートを押し上げ、収縮時には前記載置プレートを引き下げるバルーンと、
前記バルーン内への空気の出し入れを繰り返させる空気ポンプと
を備えた血管吻合トレーニング装置である。
【0009】
第1の局面によれば、血流の拍動に伴う臓器の動きを模擬して血管モデル全体を上下動させることが可能な血管吻合トレーニング装置を提供できる。
また、載置プレートの下側にはバルーンが設けられているだけであり、複雑で嵩張る装置(例えば、電動モータを用いた昇降装置など)が設けられていないため、血管吻合トレーニング装置を薄型にできる。
そして、血管吻合トレーニング装置は構成部材が少なく構造が簡単であるため低コストに実現できる。
【0010】
<第2の局面>
第2の局面は、第1の局面において、前記載置プレートと前記バルーンとの間に設けられた軟質シートを備えた血管吻合トレーニング装置である。
そのため、軟質シートによって載置プレートとバルーンとを位置ズレやガタ付きを起こすことなく固定可能になるため、載置プレート上の血管モデルの位置ズレやガタ付きをも防止できる。
【0011】
<第3の局面>
第3の局は、第1または第2の局面において、前記バルーンは中空の略リング状である血管吻合トレーニング装置である。
そのため、バルーンの直径を載置プレートの寸法形状に合わせて最適化すると共に、バルーンに対する載置プレートの水平方向の位置合わせを行えば、バルーン上に載置プレートを安定した状態で載せることが可能になり、載置プレート全体を均等に押し上げ又は引き下げることができる。
【0012】
<第4の局面>
第4の局面は、第1〜3の局面において、同一寸法形状の複数個の前記バルーンが、水平方向にズレ無く垂直方向に重ね合わされた状態で前記載置プレートの下側に配置された血管吻合トレーニング装置である。
そのため、空気ポンプにより個々のバルーンを均等に膨張・収縮させれば、載置プレートの上下方向のストローク量(上下動幅)は、個々のバルーンの収縮時と膨張時の高さ寸法の差に、バルーンの個数を乗算した値になる。
従って、第4の局面によれば、1個のバルーンのみを用いた場合に比べて、載置プレートの上下方向のストローク量を容易に大きくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明を具体化した第1実施形態の血管吻合トレーニング装置10の概略縦断面図であり、図2に示すX−X矢示断面図。図1(A)は、バルーン21a,21bが膨らんで載置プレート12が押し上げられ血管モデル30が上昇した状態を示す。図1(B)は、バルーン21a,21bが萎んで載置プレート12が引き下げられ血管モデル30が下降した状態を示す。
【図2】血管吻合トレーニング装置10の概略平面図。
【図3】血管吻合トレーニング装置10のバルーン21a,21bおよび接続チューブ22の平面図。
【図4】本発明を具体化した第2実施形態の血管吻合トレーニング装置100の概略縦断面図。図4(A)は、バルーン101a〜101cが膨らんで載置プレートが上昇した状態を示す。図4(B)は、バルーン101a〜101cが萎んで載置プレートが下降した状態を示す。
【図5】血管吻合トレーニング装置100のバルーン101a〜101cおよび接続チューブ102の平面図。
【図6】本発明を具体化した第3実施形態の血管吻合トレーニング装置10のバルーン201a,201bおよび接続部材202の斜視図。
【図7】バルーン201a,201bを重ね合わせた状態を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を具体化した各実施形態について図面を参照しながら説明する。尚、各実施形態において、同一の構成部材および構成要素については符号を等しくすると共に、同一内容の箇所については重複説明を省略する。
また、各図面では、説明を分かり易くするために、各実施形態の構成部材の寸法形状および配置箇所を誇張して模式的に図示してあり、各構成部材の寸法形状および配置箇所が実物とは異なっている。
【0015】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態の血管吻合トレーニング装置10の概略縦断面図であり、図2に示すX−X矢示断面図である。図2は、血管吻合トレーニング装置10の概略平面図である。
第1実施形態の血管吻合トレーニング装置10は、トレイ11、載置プレート12、軟質シート13、プレート駆動装置20(バルーン21a,21b、接続チューブ22、ベローズポンプ23)、血管モデル30などから構成されている。
血管吻合トレーニング装置10はテーブルT上に載置され、血管吻合トレーニング装置10の上方には顕微鏡の対物レンズLが配置され、ベローズポンプ23を除く血管吻合トレーニング装置10の各部材は、テーブルTと顕微鏡の対物レンズLとの間の設置スペースに設置されている。
尚、図2では、ベローズポンプ23および顕微鏡の対物レンズLの図示を省略してある。
【0016】
トレイ11は、深さが浅い矩形箱型を成し、無色透明な合成樹脂によって形成されている。
載置プレート(ステージ)12は、円盤状で白色の合成樹脂板によって形成されており、その直径は約10cmである。
軟質シート13は、正方形板状のシリコーンゲルによって形成されており、その一辺の長さは載置プレート12の直径と略同一である。
血管モデル30は、人体内の実際の血管の配置状態を模して模擬血管(図示略)を配置したものである。
【0017】
第1実施形態のプレート駆動装置20は、2個のバルーン(リングモデル)21a,21b、接続チューブ22、ベローズポンプ23から構成されている。
図3に示すように、同一寸法形状のバルーン21a,21bは中空リング状(ドーナツ状)のゴム質材料によって形成されており、接続チューブ22は可撓性を有する合成樹脂材料によって形成されて二股に分かれ、接続チューブ22の二股に分かれた先端部22a,22bはそれぞれバルーン21a,21bの側壁面に接続固定されて連通されている。
【0018】
図1に示すように、接続チューブ22の基端部22cはべローズポンプ23に接続されている。
べローズポンプ23は、接続チューブ22を介してバルーン21a,21b内へ均等に空気を出し入れし、その空気の出し入れを繰り返させることにより、バルーン21a,21bを均等に膨張と収縮を繰り返させる。
【0019】
[血管吻合トレーニング装置10の組み立て方]
血管吻合トレーニング装置10の組み立て方について説明する。
トレイ11は、ベローズポンプ23を除く血管吻合トレーニング装置10の各部材(載置プレート12、軟質シート13、バルーン21a,21b、接続チューブ22、血管モデル30)の載置台および収納ケースとして機能する。
まず、トレイ11に収納しておいた前記各部材を取り出し、図1および図2に示すように、バルーン21a,21bを水平方向にズレ無く垂直方向に重ね合わせた状態でトレイ11内に載置する。
【0020】
次に、載置プレート12の裏面側に軟質シート13を貼り付ける。このとき、軟質シート13はシリコーンゲルから成るため、軟質シート13を載置プレート12の裏面に押し付けるだけで、軟質シート13を脱落不能に貼着させることができる。
続いて、貼着一体化された載置プレート12および軟質シート13を、軟質シート13が上側のバルーン21aに接するように(軟質シート13が載置プレート12と上側のバルーン21aとの間に介在するように)、載置プレート12の表面側を上方に向け、重ね合わせたバルーン21a,21b上に載置する。
このとき、バルーン21a,21b上に載置プレート12が安定した状態で載るように、バルーン21a,21bに対する載置プレート12の水平方向の位置合わせを行う。
【0021】
そして、トレイ11から外方へ延出された接続チューブ22の基端部22cを、べローズポンプ23に接続する。
続いて、載置プレート12の上面側を手のひらで上から押さえ、図1(B)に示すように、トレイ11と軟質シート13との間でバルーン21a,21bを押し潰すことにより、バルーン21a,21b内の空気を押し出させる。
その後、載置プレート12の上面(表面)に血管モデル30を載置すれば、血管吻合トレーニング装置10の組み立てが完了する。
【0022】
[血管吻合トレーニング装置10の使用方法]
血管吻合トレーニング装置10の使用方法について説明する。
血管モデル30の上方に顕微鏡の対物レンズLが位置するように、トレイ11または顕微鏡の位置決めを行う。
べローズポンプ23の電源を投入すると、べローズポンプ23は接続チューブ22を介してバルーン21a,21b内へ空気を出し入れし、バルーン21a,21bに膨張と収縮を所定の周期で繰り返させる。
【0023】
図1(A)に示すように、ベローズポンプ23により接続チューブ22へ矢印α方向に空気が流入されると、バルーン21a,21bが膨張して断面形状が略円形になり、軟質シート13を介して載置プレート12が押し上げられるため、載置プレート12上の血管モデル30が垂直上方向(矢印γ方向)に上昇する。
図1(B)に示すように、ベローズポンプ23により接続チューブ22から矢印β方向に空気が流出されると、バルーン21a,21bが収縮して断面形状が扁平状になり、軟質シート13を介して載置プレート12が引き下げられるため、載置プレート12上の血管モデル30が垂直下方向(矢印δ方向)に下降する。
【0024】
このとき、載置プレート12は白色であるため、血管モデル30を良好に視認することができる。
また、トレイ11は無色透明であるため、トレイ11の側壁をとおしてバルーン21a,21bの伸縮状態を視認することが可能であり、プレート駆動装置20が正常動作しているかどうかを確認できる。
訓練者は、周期的に上下動する血管モデル30を顕微鏡で観察しながら、血管の吻合手技の訓練を行う。
【0025】
[第1実施形態の作用・効果]
第1実施形態の血管吻合トレーニング装置10によれば、以下の作用・効果を得ることができる。
【0026】
[1]載置プレート12には血管モデル30が載置され、バルーン21a,21bが載置プレート12の下側に設けられている。そして、ベローズポンプ23によりバルーン21a,21b内への空気の出し入れを繰り返させることにより、バルーン21a,21bの膨張時には載置プレート12を押し上げ、バルーン21a,21bの収縮時には載置プレートを引き下げる。
【0027】
従って、第1実施形態によれば、血流の拍動に伴う臓器の動きを模擬して血管モデル30全体を上下動させることが可能な血管吻合トレーニング装置10を提供できる。
また、載置プレート12の下側にはバルーン21a,21bが設けられているだけであり、複雑で嵩張る装置(例えば、電動モータを用いた昇降装置など)が設けられていないため、血管吻合トレーニング装置10を薄型にできる。
そして、血管吻合トレーニング装置10は構成部材が少なく構造が簡単であるため低コストに実現できる。
【0028】
[2]載置プレート12と上側のバルーン21aとの間には、シリコーンゲルから成る軟質シート13が設けられている。
そのため、軟質シート13によって載置プレート12とバルーン21aとを位置ズレやガタ付きを起こすことなく固定可能になるため、載置プレート12上の血管モデル30の位置ズレやガタ付きをも防止できる。
【0029】
[3]バルーン21a,21bは中空の略リング状である。
そのため、バルーン21a,21bの直径を載置プレート12の寸法形状に合わせて最適化すると共に、バルーン21a,21bに対する載置プレート12の水平方向の位置合わせを行えば、バルーン21a,21b上に載置プレート12を安定した状態で載せることが可能になり、載置プレート12全体を均等に押し上げ又は引き下げることができる。
【0030】
[4]同一寸法形状の2個のバルーン21a,21bが、水平方向にズレ無く垂直方向に重ね合わされた状態で、載置プレート12の下側に配置されている。
そのため、ベローズポンプ23により各バルーン21a,21bを均等に膨張・収縮させれば、載置プレート12の上下方向のストローク量(上下動幅)は、個々のバルーン21a,21bの収縮時と膨張時の高さ寸法の差の2倍分になる。
従って、1個のバルーンのみを用いた場合に比べて、載置プレート12の上下方向のストローク量を容易に大きくすることができる。
【0031】
[5]バルーン21a,21bの膨張・収縮の周期は、べローズポンプ23の駆動周期を調整することにより所望の周期に設定可能であり、その膨張・収縮の周期は血管モデル30の上下動の周期と同じである。
また、図1(A)に示すバルーン21a,21bの膨張時の高さh1は、べローズポンプ23の空気吐出量を調整することにより所望の高さに設定可能である。そのため、図1(B)に示すバルーン21a,21bの収縮時の高さh2と、膨張時の高さh1との差である上下動のストローク量(h1−h2)についても所望の長さに設定可能であり、そのストローク量は血管モデル30の上下動のストローク量と同じである。
【0032】
従って、べローズポンプ23の駆動周期および空気吐出量を調整することにより、血管の配置部位(例えば、冠動脈手術では心臓、脳外科手術では脳表など)の動きを忠実に模擬するように、血管モデル30の上下動の周期(例えば、60〜120回/分)およびストローク量(例えば、0〜2cm)を設定することができる。
【0033】
<第2実施形態>
図4は、第2実施形態の血管吻合トレーニング装置100の概略縦断面図である。
血管吻合トレーニング装置100は、トレイ11、載置プレート12、軟質シート13、プレート駆動装置20(バルーン101a〜101c、接続チューブ102、ベローズポンプ23)、血管モデル30などから構成されている。
【0034】
第2実施形態のプレート駆動装置20は、3個のバルーン101a〜101c、接続チューブ102、ベローズポンプ23から構成されている。
図5に示すように、同一寸法形状のバルーン101a〜101cは中空卵状のゴム質材料によって形成されており、接続チューブ102は可撓性を有する合成樹脂材料によって円弧状の部分とその円弧状の部分から延出された部分とが形成され、接続チューブ102から分岐された接続部102a〜102cはそれぞれバルーン101a〜101cの側壁面に接続固定されて連通され、各バルーン101a〜101cは略等角度間隔で配置されている。
【0035】
図4に示すように、接続チューブ102の基端部102dはべローズポンプ23に接続されている。
べローズポンプ23は、接続チューブ102を介してバルーン101a〜101c内へ均等に空気を出し入れし、その空気の出し入れを繰り返させることにより、バルーン101a〜101cを均等に膨張(図5に破線で表示)と収縮(図5に実線で表示)を繰り返させる。
【0036】
図4(A)に示すように、ベローズポンプ23により接続チューブ102へ矢印α方向に空気が流入されると、バルーン101a〜101cが膨張して断面形状が略円形になり、軟質シート13を介して載置プレート12が押し上げられるため、載置プレート12上の血管モデル30が垂直上方向(矢印γ方向)に上昇する。
図4(B)に示すように、ベローズポンプ23により接続チューブ102から矢印β方向に空気が流出されると、バルーン101a〜101cが収縮して断面形状が扁平状になり、軟質シート13を介して載置プレート12が引き下げられるため、載置プレート12上の血管モデル30が垂直下方向(矢印δ方向)に下降する。
従って、第2実施形態の血管吻合トレーニング装置100においても、第1実施形態の前記[1][2][5]と同様の作用・効果を得ることができる。
【0037】
<第3実施形態>
第3実施形態の血管吻合トレーニング装置10において、第1実施形態と異なるのは、バルーン21a,21bおよび接続チューブ22が、バルーン201a,201bおよび接続部材202に置き換えられている点だけである。
すなわち、第3実施形態の血管吻合トレーニング装置10は、トレイ11、載置プレート12、軟質シート13、プレート駆動装置20、血管モデル30などから構成されている。
そして、第3実施形態のプレート駆動装置20は、2個のバルーン(リングモデル)201a,201b、接続部材202、ベローズポンプ23から構成されている。
そのため、第3実施形態の血管吻合トレーニング装置10の全体構成は、図1および図2に示す第1実施形態と略同一である。
従って、第3実施形態の血管吻合トレーニング装置10においても、第1実施形態と同様の作用・効果を得ることができる。
【0038】
図6は、バルーン201a,201bおよび接続部材202の斜視図である。
同一寸法形状のバルーン201a,201bは、円周上の一部が切れた略リング状(円弧状)で中空のゴム質材料によって形成されている。
接続部材202は、合成樹脂材料から成る三又管(三又コネクタ)202a〜202cと、可撓性を有する合成樹脂材料から成る接続チューブ202d〜202fとから構成されている。
【0039】
三又管202a,202bの第1の管および第2の管の先端部はそれぞれ、バルーン201a,201bの円弧状両端部に接続固定されて連通されている。三又管202a,202bの第3の管の先端部はそれぞれ、接続チューブ202d,202eを介して三又管202cの第1の管および第2の管の先端部に接続され、三又管202cの第3の管は接続チューブ202fを介してベローズポンプ23(図示略)に接続されている。
【0040】
図7は、バルーン201a,201bを重ね合わせた状態を示す平面図である。
2個のバルーン201a,201bは、水平方向にズレ無く垂直方向に重ね合わされた状態で、載置プレート12(図示略)の下側に配置される。
このとき、バルーン201a,201bの収縮を三又管202a,202bが妨害するのを防止するために、三又管202a,202bが垂直方向に重ならないように配置する必要がある。
【0041】
<別の実施形態>
本発明は前記各実施形態に限定されるものではなく、以下のように具体化してもよく、その場合でも、前記各実施形態と同等もしくはそれ以上の作用・効果を得ることができる。
【0042】
[A]第1実施形態(第3実施形態)では2個のバルーン21a,21b(201a,201b)を重ね合わせたが、1個のバルーンのみを設けてもよく、3個以上のバルーンを重ね合わせてもよい。
第2実施形態では、3個のバルーン101a〜101cを設けたが、4個以上のバルーンを設けてもよい。
【0043】
[B]軟質シート13は、載置プレート12とバルーン21a(101a〜101c、201a)とを位置ズレやガタ付きを起こすことなく固定可能であれば、シリコーンゲルに限らず、どのような軟質材料を用いて形成してもよい。
【0044】
[C]ベローズポンプ23に限らず、バルーン内への空気の出し入れを繰り返させることが可能であれば、どのような構造の空気ポンプを用いてもよい。
【0045】
本発明は、前記各局面および前記各実施形態の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様も本発明に含まれる。本明細書の中で明示した論文、公開特許公報、特許公報などの内容は、その全ての内容を援用によって引用することとする。
【符号の説明】
【0046】
10,100…血管吻合トレーニング装置
11…トレイ
12…載置プレート
13…軟質シート
20…プレート駆動装置
21a,21b,101a〜101c,201a,201b…バルーン
22,202d〜202f…接続チューブ
23…ベローズポンプ(空気ポンプ)
30…血管モデル
202…接続部材
202a〜202c…三又管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管モデルが載置された載置プレートと、
前記載置プレートを上下動させるプレート駆動装置と
を備えた血管吻合トレーニング装置であって、
前記プレート駆動装置は、
前記載置プレートの下側に設けられ、膨張時には前記載置プレートを押し上げ、収縮時には前記載置プレートを引き下げるバルーンと、
前記バルーン内への空気の出し入れを繰り返させる空気ポンプと
を備えた血管吻合トレーニング装置。
【請求項2】
前記載置プレートと前記バルーンとの間に設けられた軟質シートを備えた、請求項1に記載の血管吻合トレーニング装置。
【請求項3】
前記バルーンは中空の略リング状である、請求項1または請求項2に記載の血管吻合トレーニング装置。
【請求項4】
同一寸法形状の複数個の前記バルーンが、水平方向にズレ無く垂直方向に重ね合わされた状態で前記載置プレートの下側に配置された、請求項1〜3のいずれか一項に記載の血管吻合トレーニング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−83786(P2013−83786A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−223525(P2011−223525)
【出願日】平成23年10月10日(2011.10.10)
【出願人】(504139662)国立大学法人名古屋大学 (996)
【出願人】(511016028)ファインバイオメディカル有限会社 (2)
【Fターム(参考)】