血管吻合装置
【課題】ヒール側に広いスペースを提供する血管吻合装置を提供する。
【解決手段】血管吻合装置100は、支持部材110と、支持部材110から延出している筒状部材120を有している。筒状部材120は、ほぼ直線状の貫通穴122を有している。貫通穴122は、グラフト180が通される空洞の一部を形成している。複数のガイド124から筒状部材120の表面に沿って貫通穴122の縁に至るまでの最短の距離は少なくとも1つが異なる。
【解決手段】血管吻合装置100は、支持部材110と、支持部材110から延出している筒状部材120を有している。筒状部材120は、ほぼ直線状の貫通穴122を有している。貫通穴122は、グラフト180が通される空洞の一部を形成している。複数のガイド124から筒状部材120の表面に沿って貫通穴122の縁に至るまでの最短の距離は少なくとも1つが異なる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血管吻合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2002ー282259号公報は、冠動脈バイパス手術に適した血管吻合装置を開示している。この血管吻合装置は、バイパス血管(グラフト)を保持する筒部の先端部に装着したU字状の複数のクリップを押しつぶし、各クリップの両先端が互いに向かい合ってグラフトと冠動脈を保持するようにすることにより、グラフトを冠動脈に吻合する。
【0003】
冠動脈バイパス手術では、グラフトは冠動脈に対して斜めに吻合されることが求められる。このため、前述の血管吻合装置では、グラフトを保持する筒部の先端は筒部の軸に対して斜めになっており、この筒部の先端が冠動脈に平行になるように血管吻合装置が位置決めされる。このため、いわゆるヒール側のスペースが狭くなるが、この血管吻合装置は、あらかじめ装着されたクリップによって吻合をおこなうので、作業に支障は生じない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002ー282259号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述の血管吻合装置において、クリップの押しつぶしが弱い場合、血管は非常に柔軟性と表面摩擦が少ないため、クリップが外れ、そこから血液が漏れてしまう可能性がある。このように、クリップの圧力の制御が非常に難しい。
【0006】
また、このようなことから、クリップによる吻合よりも針と糸を用いた縫合による吻合が好ましいが、前述の血管吻合装置を針と糸を用いた縫合に適用しようとすると、ヒール側のスペースが狭いため、縫合の作業に支障をきたすと予想される。
【0007】
本発明は、このような実状を考慮して成されたものであり、その目的は、ヒール側に広いスペースを提供する血管吻合装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、二本の血管を吻合する際に使用される血管吻合装置である。この血管吻合装置は、前記二本の血管の一方が通される空洞の一部を構成する貫通穴を有する筒状部材と、前記二本の血管を吻合するための吻合具を案内する複数のガイドを有している。前記複数のガイドは前記筒状部材の外周に配置されている。前記ガイドから前記筒状部材の表面に沿って前記貫通穴の縁に至るまでの最短の距離は少なくとも1つが異なる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ヒール側に広いスペースを提供する血管吻合装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第一実施形態の血管吻合装置の斜視図である。
【図2】図1の血管吻合装置の主装置半体の斜視図である。
【図3】図1の血管吻合装置の副装置半体の斜視図である。
【図4】図1に示された筒状部材を拡大して示している。
【図5】図2に示された筒状部材半体を拡大して示している。
【図6】図3に示された筒状部材半体を拡大して示している。
【図7】図1の血管吻合装置の断面を模式的に示している。
【図8】図7中の円内を拡大して示している。
【図9】図7に示されたガイドのレイアウトを示している。
【図10】吻合されたグラフトと血管を示している。
【図11】筒状部材の先端部の変形例を示している。
【図12】第二実施形態の血管吻合装置の断面を模式的に示している。
【図13】図12中の円内を拡大して示している。
【図14】図12に示されたガイドのレイアウトを示している。
【図15】吻合具の変形例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら実施形態について説明する。
【0012】
<第一実施形態>
図1は、第一実施形態の血管吻合装置の斜視図である。図2は、図1の血管吻合装置の主装置半体の斜視図である。図3は、図1の血管吻合装置の副装置半体の斜視図である。図4は、図1に示された筒状部材を拡大して示している。図5は、図2に示された筒状部材半体を拡大して示している。図6は、図3に示された筒状部材半体を拡大して示している。
【0013】
図1に示されるように、血管吻合装置100は、支持部材110と、支持部材110から延出している筒状部材120を有している。筒状部材120の基端部は支持部材110に接続されている。支持部材110は、たとえばL字状の貫通穴112を有している。
【0014】
支持部材110は、互いに着脱可能な2つの支持部材半体110a,110bから構成され、筒状部材120は、互いに着脱可能な2つの筒状部材半体120a,120bから構成されている。支持部材半体110aと筒状部材半体120aは一体化され、支持部材半体110bと筒状部材半体120bは一体化されている。
【0015】
支持部材半体110bは、図3に示されるように、2本の位置決めピン114と、固定ネジ116を有している。また支持部材半体110aは、図2に示されるように、2本の位置決めピン114がそれぞれ挿入され得る2つの穴115と、固定ネジ116を受けるネジ穴117を有している。2本の位置決めピン114をそれぞれ2つの穴115に挿入することによって、支持部材半体110bが支持部材半体110aに対して位置決めされ、固定ネジ116を締めることによって、支持部材半体110bが支持部材半体110aに固定される。また、固定ネジ116を緩めることによって、支持部材半体110bが支持部材半体110aから取り外され得る。したがって、支持部材半体110aと筒状部材半体120aからなる装置主本体に対して、支持部材半体110bと筒状部材半体120bからなる装置副本体が着脱可能になっている。
【0016】
図4〜図6に詳しく示されるように、筒状部材120は、筒状部材120の外周に配置された複数のガイド124を有している。各ガイド124は、後述する血管190に別の血管である後述するグラフト180を縫合するための針と糸を案内するものであり、筒状部材120の内側に向かってへこむように湾曲している。各ガイド124は、たとえば、その中心軸が半円である円筒形状を有している。各ガイド124は、その全長にわたって延びているスリット126を有している。各スリット126の幅は、各ガイド124に通される針の太さよりも狭く、各ガイド124に通される糸よりも広く設定されている。これにより、各ガイド124に通された糸を、各スリット126を通して各ガイド124から横に取り外すことができる。
【0017】
筒状部材120は、複数のガイド124に支持された先端部128を有し、先端部128は、ほぼ直線状の貫通穴122を有している。この貫通穴122は、支持部材110の貫通穴112と共働して、グラフト180が通される空洞を構成している。言い換えれば、貫通穴112と貫通穴122は、それぞれ、グラフト180が通される空洞の一部を構成している。
【0018】
図5に示されるように、筒状部材半体120aは先端部半体128aを有し、図6に示されるように、筒状部材半体120bは先端部半体128bを有している。これら先端部半体128a,128bは、支持部材半体110bが支持部材半体110aに位置決めされ固定された際に面で接触して図4に示される先端部128を構成する。
【0019】
図7は、図1の血管吻合装置の断面を模式的に示している。図8は、図7中の円内を拡大して示している。図9は、図7に示されたガイドのレイアウトを示している。図7と図8は、図9中のA−A’線に沿った断面を示している。
【0020】
図7と図8に示されるように、筒状部材120の先端部128の端面は平たんで、筒状部材120の中心軸132にほぼ垂直になっている。複数のガイド124はいずれも、筒状部材120の中心軸132に沿った先端部128の端面からの位置がほぼ同じであるように配置されている。言い換えれば、複数のガイド124の同一点たとえばガイド124の先端を結んだ平面は、筒状部材120の先端部128の端面に平行な一つの平面上に位置している。
【0021】
図9に示されるように、筒状部材120の先端部128の端面は、中心軸132に垂直な一本の軸134に対して線対称な形状をしている。以下では軸134を対称軸と呼称する。筒状部材120の先端部128の端面は、たとえば卵形形状をしている。貫通穴122は、軸134と筒状部材120の先端部128の端面との交点の中心から対称軸134に沿って外れて配置されている。
【0022】
図7〜図9において、複数のガイド124から筒状部材120の表面に沿って貫通穴122の縁に至るまでの最短の距離は少なくとも1つが異なる。言い換えれば、複数のガイド124に関連するこれらの最短の距離は複数の値を含んでいる。さらに、これらの最短の距離は、対称軸134に対して対称的な位置にガイド124に関するものを除いて、互いに異なっている。また、これらの最短の距離は、対称軸134に沿った筒状部材120の一方の側において短く、その反対の側において長い。さらに、これらの最短の距離は、対称軸134に沿って少なくとも部分的に、単調または段階的に変化すなわち増加または減少している。
【0023】
続いて、吻合の手順について説明する。
【0024】
まず、支持部材半体110aと筒状部材半体120aからなる装置主本体の貫通穴112に、グラフト180を装着し、支持部材半体110bと筒状部材半体120bからなる装置副本体を取り付ける。装置主本体と装置副本体は、それぞれ、グラフト180が通される空洞の一部の形成する凹部を有している。装置主本体のこの凹部内にグラフト180を、グラフト180の先端部が筒状部材半体120aから適切に突出するように配置する。その後、装置主本体に装置副本体を取り付けて、グラフト180を装着した血管吻合装置100を得る。
【0025】
次に、筒状部材120から突出しているグラフト180の先端部を筒状部材120の周囲に180度ひっくり返し、筒状部材120の先端部128の全体とガイド124の一部をグラフト180で覆う。ガイド124の上側の開口を除いて、ガイド124のなるべく多くの部分がグラフト180で覆われるように調整する。ここで、上側とは、筒状部材120の基端側を意味している。また、下側とは、筒状部材120の先端側を意味している。
【0026】
続いて、血管190の長手方向に沿って血管190の血管壁の一部を切開して開口192を形成し、血管190の開口192に、グラフト180を装着した血管吻合装置100の筒状部材120を挿入する。筒状部材120の挿入は、筒状部材120の先端部128の周囲のグラフト180が開口192の反対側の血管190の血管壁に当たるまでおこなう。その結果、たとえば、筒状部材120の先端部128の端面を覆うグラフト180の全体が血管190の血管壁に接触し、筒状部材120は血管190に対してほぼ垂直に配置される。この状態において、ガイド124の上側の開口は血管190の外側に位置し、ガイド124の下側の開口は血管190の内側に位置し、グラフト180の先端は血管190の外側に位置している。この状態が、図7と図8に描かれている。
【0027】
その後、針142をガイド124の基端側に挿入し、針142を前進させて、針142をグラフト180に貫通させ、続いてさらに血管190に貫通させる。針142を引き続き前進させ、針142を完全に血管190を通過させ、糸144をグラフト180と血管190に貫通させた後、スリット126を通してガイド124から糸144を取り外す。その後、グラフト180と血管190を貫通している糸144の両はしを結ぶ。このとき、ガイド124の下側の開口が血管190の内側に配置されるため、グラフト180と血管190は、内膜同士が触れ合った状態に自動的に導かれて吻合される。
【0028】
最後に、血管吻合装置100を分解して装置主本体と装置副本体を分離した後、装置主本体と装置副本体を取り去って吻合が完了する。吻合後のグラフト180と血管190を図10に示す。
【0029】
本実施形態では、吻合の際、血管吻合装置100の筒状部材120が血管190に対してほぼ垂直に配置されるので、全周にわたって広い視野と広い作業スペースが提供される。さらに、血管吻合装置100の位置決めは、筒状部材120の先端部128の端面を覆うグラフト180の全体を血管190の血管壁に押し付けることにより行われるので、容易に達成し得る。
【0030】
したがって、複数のガイド124から筒状部材120の表面に沿って貫通穴122の縁に至るまでの最短の距離が、対称軸134に沿った筒状部材120の一方の側において短く、その反対の側において長いため、図10に示されるように、グラフト180は血管190に斜めに吻合される。
【0031】
第一実施形態はさまざまな変更が施されてもよい。
【0032】
たとえば、吻合手順に関して、各ガイド124に針142と糸144を通すたびに、グラフト180と血管190を貫通している糸144の両はしを結ぶ例を示したが、これに代えて、ガイド124への針142と糸144の挿入、グラフト180と血管190に対する針142と糸144の貫通、ガイド124からの糸144の取り外しをすべてのガイド124について順番におこなったあとで、糸144の両はしを一個所で結んでもよい。
【0033】
また、筒状部材120の先端部128の端面の形状に関して、卵形形状である例を示したが、これに代えて、筒状部材120の先端部128の端面は、たとえば、図11(A)に示されるように、円形の一部が弦によって切り落とされた形状や、図11(B)に示されるように、円形の一部が突出した形状であってもよい。筒状部材120の先端部128の端面は、複数のガイド124から筒状部材120の表面に沿って貫通穴122の縁に至るまでの最短の距離にばらつきを与える形状であればよい。
【0034】
また、本実施形態においては、筒状部材120の挿入は、筒状部材120の先端部128の周囲のグラフト180が開口192の反対側の血管190の血管壁に当たるまで行うとしたが、筒状部材120のガイド124の上側の開口は血管190の外側に位置し、ガイド124の下側の開口は血管190の内側に位置していればよい。このようにすることで、血管壁に押し当てなくても筒状部材120が血管190に対してほぼ垂直に配置されていれば、吻合することができる。
【0035】
<第二実施形態>
図12は、第二実施形態の血管吻合装置の断面を模式的に示している。図13は、図12中の円内を拡大して示している。図14は、図12に示されたガイドのレイアウトを示している。図12と図13は、図12中のB−B線に沿った断面を示している。これらの図において、図1〜図9に示した部材と同一の参照符号を付した部材は同様の部材であり、その詳しい説明は省略する。以下、相違部分に重点をおいて説明する。つまり、以下の説明で触れない部分は、第一実施形態と同様である。
【0036】
図12と図13に示されるように、血管吻合装置200は、支持部材110と、支持部材110から延出している筒状部材220を有している。筒状部材220の先端部228の端面は平たんで、筒状部材220の中心軸232にほぼ垂直になっている。
【0037】
図14に示されるように、筒状部材220の先端部228の端面は、中心軸232に垂直な一本の軸234に対して線対称な形状をしている。以下では軸234を対称軸と呼称する。筒状部材220の先端部228の端面は、たとえば楕円形状や長円形状をしている。
貫通穴222は、筒状部材220の先端部228の端面の中心に配置されている。
【0038】
図12〜図14において、複数のガイド224から筒状部材220の表面に沿って貫通穴222の縁に至るまでの最短の距離は少なくとも1つが異なる。言い換えれば、複数のガイド224に関連するこれらの最短の距離は複数の値を含んでいる。さらに、これらの最短の距離は、対称軸234に対して対称的な位置にガイド224に関するものを除いて、互いに異なっている。たとえば、複数のガイド224は、対称軸234に対して対称的な位置にガイド224に関するものを除いて、筒状部材220の中心軸232に沿った先端部228の端面からの位置が異なるように配置されている。また、これらの最短の距離は、対称軸234に沿った筒状部材220の一方の側において短く、その反対の側において長い。さらに、これらの最短の距離は、対称軸234に沿って少なくとも部分的に、単調または段階的に変化すなわち増加または減少している。たとえば、複数のガイド224の同一個所たとえば中心は、筒状部材220の先端部228の端面に非平行な一つの平面上に位置している。
【0039】
本実施形態の血管吻合装置200は、第一実施形態とまったく同じ手順で、グラフト180と血管190の吻合に使用される。
【0040】
本実施形態の血管吻合装置200は、第一実施形態と同様の利点を有している。すなわち、吻合の際、血管吻合装置200の筒状部材220が血管190に対してほぼ垂直に配置されるので、広い視野と広い作業スペースがヒール側に提供される。血管吻合装置200の位置決めは、筒状部材220の先端部228の端面を覆うグラフト180の全体を血管190の血管壁に押し付けることにより行われるので、容易に達成し得る。
【0041】
したがって、複数のガイド224から筒状部材220の表面に沿って貫通穴222の縁に至るまでの最短の距離は対称軸234に沿った筒状部材220の一方の側において短く、その反対の側において長いため、グラフト180は血管190に斜めに吻合される。
【0042】
<変形例>
第一実施形態と第二実施形態では、ガイド124がスリット126を有し、グラフト180と血管190を吻合する吻合具が針142と糸144で構成される例を示したが、ガイド124はスリット126を有していなくてもよい。
【0043】
この場合、吻合具には、たとえば、商業的に入手可能な図15に示されるUクリップなどが適用され得る。図15(A)に示されるように、Uクリップ150は、針152とフレキシブルワイヤ154とリリーストリガー156とクリップ158から構成されている。クリップ158は、形状記憶機能を有する針状の部材で、リリーストリガー156に保持された状態では開いた状態に保たれている。リリーストリガー156から解放されると、クリップ158は、図15(B)に示されるように、丸まった閉じた状態に変形する。
【0044】
Uクリップ150の使用においては、Uクリップ150をガイドに挿入した後、押し進め、針152をグラフト180と血管190に貫通させる。その後、さらにUクリップ150を押し進めて、クリップ158の両端の間にグラフト180と血管190がある状態とし、クリップ158をリリーストリガー156から解放する。その結果、クリップ158が丸まった閉じた状態に変形して、グラフト180と血管190が吻合される。
【0045】
Uクリップの代わりに弾性の針を用いてもよい。弾性の針を用いると、Uクリップ同様、糸を結ぶ必要がなく、簡単に吻合できる。
【0046】
これまで、図面を参照しながら実施形態を述べたが、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において様々な変形や変更が施されてもよい。ここにいう様々な変形や変更は、上述した実施形態を適当に組み合わせた実施も含む。
【0047】
これまでに説明した血管吻合装置は冠動脈バイパス手術に適用され得る。この場合、グラフト180が吻合される対象である血管190は冠動脈となる。冠動脈は心筋によって比較的頑丈に支えられている。このため、図7と図8を参照しながら説明した筒状部材120の挿入の際に、筒状部材120の先端部128の端面を覆うグラフト180の全体を血管190(冠動脈)の血管壁に押し付けてもよく、これによって血管吻合装置100を位置決めすることも可能である。
【符号の説明】
【0048】
100…血管吻合装置、110…支持部材、110a,110b…支持部材半体、112…貫通穴、114…位置決めピン、115…穴、116…固定ネジ、117…ネジ穴、120…筒状部材、120a,120b…筒状部材半体、122…貫通穴、124…ガイド、126…スリット、128…先端部、128a,128b…先端部半体、132…中心軸、134…対称軸、142…針、144…糸、150…Uクリップ、152…針、154…フレキシブルワイヤ、156…リリーストリガー、158…クリップ、160…ガイド、162…突起、170…ばね針、172…針、174…保持部、176…溝、178…棒、180…グラフト、190…血管、192…開口、200…血管吻合装置、220…筒状部材、222…貫通穴、224…ガイド、228…先端部、232…中心軸、234…対称軸。
【技術分野】
【0001】
本発明は、血管吻合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2002ー282259号公報は、冠動脈バイパス手術に適した血管吻合装置を開示している。この血管吻合装置は、バイパス血管(グラフト)を保持する筒部の先端部に装着したU字状の複数のクリップを押しつぶし、各クリップの両先端が互いに向かい合ってグラフトと冠動脈を保持するようにすることにより、グラフトを冠動脈に吻合する。
【0003】
冠動脈バイパス手術では、グラフトは冠動脈に対して斜めに吻合されることが求められる。このため、前述の血管吻合装置では、グラフトを保持する筒部の先端は筒部の軸に対して斜めになっており、この筒部の先端が冠動脈に平行になるように血管吻合装置が位置決めされる。このため、いわゆるヒール側のスペースが狭くなるが、この血管吻合装置は、あらかじめ装着されたクリップによって吻合をおこなうので、作業に支障は生じない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002ー282259号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述の血管吻合装置において、クリップの押しつぶしが弱い場合、血管は非常に柔軟性と表面摩擦が少ないため、クリップが外れ、そこから血液が漏れてしまう可能性がある。このように、クリップの圧力の制御が非常に難しい。
【0006】
また、このようなことから、クリップによる吻合よりも針と糸を用いた縫合による吻合が好ましいが、前述の血管吻合装置を針と糸を用いた縫合に適用しようとすると、ヒール側のスペースが狭いため、縫合の作業に支障をきたすと予想される。
【0007】
本発明は、このような実状を考慮して成されたものであり、その目的は、ヒール側に広いスペースを提供する血管吻合装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、二本の血管を吻合する際に使用される血管吻合装置である。この血管吻合装置は、前記二本の血管の一方が通される空洞の一部を構成する貫通穴を有する筒状部材と、前記二本の血管を吻合するための吻合具を案内する複数のガイドを有している。前記複数のガイドは前記筒状部材の外周に配置されている。前記ガイドから前記筒状部材の表面に沿って前記貫通穴の縁に至るまでの最短の距離は少なくとも1つが異なる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ヒール側に広いスペースを提供する血管吻合装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第一実施形態の血管吻合装置の斜視図である。
【図2】図1の血管吻合装置の主装置半体の斜視図である。
【図3】図1の血管吻合装置の副装置半体の斜視図である。
【図4】図1に示された筒状部材を拡大して示している。
【図5】図2に示された筒状部材半体を拡大して示している。
【図6】図3に示された筒状部材半体を拡大して示している。
【図7】図1の血管吻合装置の断面を模式的に示している。
【図8】図7中の円内を拡大して示している。
【図9】図7に示されたガイドのレイアウトを示している。
【図10】吻合されたグラフトと血管を示している。
【図11】筒状部材の先端部の変形例を示している。
【図12】第二実施形態の血管吻合装置の断面を模式的に示している。
【図13】図12中の円内を拡大して示している。
【図14】図12に示されたガイドのレイアウトを示している。
【図15】吻合具の変形例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら実施形態について説明する。
【0012】
<第一実施形態>
図1は、第一実施形態の血管吻合装置の斜視図である。図2は、図1の血管吻合装置の主装置半体の斜視図である。図3は、図1の血管吻合装置の副装置半体の斜視図である。図4は、図1に示された筒状部材を拡大して示している。図5は、図2に示された筒状部材半体を拡大して示している。図6は、図3に示された筒状部材半体を拡大して示している。
【0013】
図1に示されるように、血管吻合装置100は、支持部材110と、支持部材110から延出している筒状部材120を有している。筒状部材120の基端部は支持部材110に接続されている。支持部材110は、たとえばL字状の貫通穴112を有している。
【0014】
支持部材110は、互いに着脱可能な2つの支持部材半体110a,110bから構成され、筒状部材120は、互いに着脱可能な2つの筒状部材半体120a,120bから構成されている。支持部材半体110aと筒状部材半体120aは一体化され、支持部材半体110bと筒状部材半体120bは一体化されている。
【0015】
支持部材半体110bは、図3に示されるように、2本の位置決めピン114と、固定ネジ116を有している。また支持部材半体110aは、図2に示されるように、2本の位置決めピン114がそれぞれ挿入され得る2つの穴115と、固定ネジ116を受けるネジ穴117を有している。2本の位置決めピン114をそれぞれ2つの穴115に挿入することによって、支持部材半体110bが支持部材半体110aに対して位置決めされ、固定ネジ116を締めることによって、支持部材半体110bが支持部材半体110aに固定される。また、固定ネジ116を緩めることによって、支持部材半体110bが支持部材半体110aから取り外され得る。したがって、支持部材半体110aと筒状部材半体120aからなる装置主本体に対して、支持部材半体110bと筒状部材半体120bからなる装置副本体が着脱可能になっている。
【0016】
図4〜図6に詳しく示されるように、筒状部材120は、筒状部材120の外周に配置された複数のガイド124を有している。各ガイド124は、後述する血管190に別の血管である後述するグラフト180を縫合するための針と糸を案内するものであり、筒状部材120の内側に向かってへこむように湾曲している。各ガイド124は、たとえば、その中心軸が半円である円筒形状を有している。各ガイド124は、その全長にわたって延びているスリット126を有している。各スリット126の幅は、各ガイド124に通される針の太さよりも狭く、各ガイド124に通される糸よりも広く設定されている。これにより、各ガイド124に通された糸を、各スリット126を通して各ガイド124から横に取り外すことができる。
【0017】
筒状部材120は、複数のガイド124に支持された先端部128を有し、先端部128は、ほぼ直線状の貫通穴122を有している。この貫通穴122は、支持部材110の貫通穴112と共働して、グラフト180が通される空洞を構成している。言い換えれば、貫通穴112と貫通穴122は、それぞれ、グラフト180が通される空洞の一部を構成している。
【0018】
図5に示されるように、筒状部材半体120aは先端部半体128aを有し、図6に示されるように、筒状部材半体120bは先端部半体128bを有している。これら先端部半体128a,128bは、支持部材半体110bが支持部材半体110aに位置決めされ固定された際に面で接触して図4に示される先端部128を構成する。
【0019】
図7は、図1の血管吻合装置の断面を模式的に示している。図8は、図7中の円内を拡大して示している。図9は、図7に示されたガイドのレイアウトを示している。図7と図8は、図9中のA−A’線に沿った断面を示している。
【0020】
図7と図8に示されるように、筒状部材120の先端部128の端面は平たんで、筒状部材120の中心軸132にほぼ垂直になっている。複数のガイド124はいずれも、筒状部材120の中心軸132に沿った先端部128の端面からの位置がほぼ同じであるように配置されている。言い換えれば、複数のガイド124の同一点たとえばガイド124の先端を結んだ平面は、筒状部材120の先端部128の端面に平行な一つの平面上に位置している。
【0021】
図9に示されるように、筒状部材120の先端部128の端面は、中心軸132に垂直な一本の軸134に対して線対称な形状をしている。以下では軸134を対称軸と呼称する。筒状部材120の先端部128の端面は、たとえば卵形形状をしている。貫通穴122は、軸134と筒状部材120の先端部128の端面との交点の中心から対称軸134に沿って外れて配置されている。
【0022】
図7〜図9において、複数のガイド124から筒状部材120の表面に沿って貫通穴122の縁に至るまでの最短の距離は少なくとも1つが異なる。言い換えれば、複数のガイド124に関連するこれらの最短の距離は複数の値を含んでいる。さらに、これらの最短の距離は、対称軸134に対して対称的な位置にガイド124に関するものを除いて、互いに異なっている。また、これらの最短の距離は、対称軸134に沿った筒状部材120の一方の側において短く、その反対の側において長い。さらに、これらの最短の距離は、対称軸134に沿って少なくとも部分的に、単調または段階的に変化すなわち増加または減少している。
【0023】
続いて、吻合の手順について説明する。
【0024】
まず、支持部材半体110aと筒状部材半体120aからなる装置主本体の貫通穴112に、グラフト180を装着し、支持部材半体110bと筒状部材半体120bからなる装置副本体を取り付ける。装置主本体と装置副本体は、それぞれ、グラフト180が通される空洞の一部の形成する凹部を有している。装置主本体のこの凹部内にグラフト180を、グラフト180の先端部が筒状部材半体120aから適切に突出するように配置する。その後、装置主本体に装置副本体を取り付けて、グラフト180を装着した血管吻合装置100を得る。
【0025】
次に、筒状部材120から突出しているグラフト180の先端部を筒状部材120の周囲に180度ひっくり返し、筒状部材120の先端部128の全体とガイド124の一部をグラフト180で覆う。ガイド124の上側の開口を除いて、ガイド124のなるべく多くの部分がグラフト180で覆われるように調整する。ここで、上側とは、筒状部材120の基端側を意味している。また、下側とは、筒状部材120の先端側を意味している。
【0026】
続いて、血管190の長手方向に沿って血管190の血管壁の一部を切開して開口192を形成し、血管190の開口192に、グラフト180を装着した血管吻合装置100の筒状部材120を挿入する。筒状部材120の挿入は、筒状部材120の先端部128の周囲のグラフト180が開口192の反対側の血管190の血管壁に当たるまでおこなう。その結果、たとえば、筒状部材120の先端部128の端面を覆うグラフト180の全体が血管190の血管壁に接触し、筒状部材120は血管190に対してほぼ垂直に配置される。この状態において、ガイド124の上側の開口は血管190の外側に位置し、ガイド124の下側の開口は血管190の内側に位置し、グラフト180の先端は血管190の外側に位置している。この状態が、図7と図8に描かれている。
【0027】
その後、針142をガイド124の基端側に挿入し、針142を前進させて、針142をグラフト180に貫通させ、続いてさらに血管190に貫通させる。針142を引き続き前進させ、針142を完全に血管190を通過させ、糸144をグラフト180と血管190に貫通させた後、スリット126を通してガイド124から糸144を取り外す。その後、グラフト180と血管190を貫通している糸144の両はしを結ぶ。このとき、ガイド124の下側の開口が血管190の内側に配置されるため、グラフト180と血管190は、内膜同士が触れ合った状態に自動的に導かれて吻合される。
【0028】
最後に、血管吻合装置100を分解して装置主本体と装置副本体を分離した後、装置主本体と装置副本体を取り去って吻合が完了する。吻合後のグラフト180と血管190を図10に示す。
【0029】
本実施形態では、吻合の際、血管吻合装置100の筒状部材120が血管190に対してほぼ垂直に配置されるので、全周にわたって広い視野と広い作業スペースが提供される。さらに、血管吻合装置100の位置決めは、筒状部材120の先端部128の端面を覆うグラフト180の全体を血管190の血管壁に押し付けることにより行われるので、容易に達成し得る。
【0030】
したがって、複数のガイド124から筒状部材120の表面に沿って貫通穴122の縁に至るまでの最短の距離が、対称軸134に沿った筒状部材120の一方の側において短く、その反対の側において長いため、図10に示されるように、グラフト180は血管190に斜めに吻合される。
【0031】
第一実施形態はさまざまな変更が施されてもよい。
【0032】
たとえば、吻合手順に関して、各ガイド124に針142と糸144を通すたびに、グラフト180と血管190を貫通している糸144の両はしを結ぶ例を示したが、これに代えて、ガイド124への針142と糸144の挿入、グラフト180と血管190に対する針142と糸144の貫通、ガイド124からの糸144の取り外しをすべてのガイド124について順番におこなったあとで、糸144の両はしを一個所で結んでもよい。
【0033】
また、筒状部材120の先端部128の端面の形状に関して、卵形形状である例を示したが、これに代えて、筒状部材120の先端部128の端面は、たとえば、図11(A)に示されるように、円形の一部が弦によって切り落とされた形状や、図11(B)に示されるように、円形の一部が突出した形状であってもよい。筒状部材120の先端部128の端面は、複数のガイド124から筒状部材120の表面に沿って貫通穴122の縁に至るまでの最短の距離にばらつきを与える形状であればよい。
【0034】
また、本実施形態においては、筒状部材120の挿入は、筒状部材120の先端部128の周囲のグラフト180が開口192の反対側の血管190の血管壁に当たるまで行うとしたが、筒状部材120のガイド124の上側の開口は血管190の外側に位置し、ガイド124の下側の開口は血管190の内側に位置していればよい。このようにすることで、血管壁に押し当てなくても筒状部材120が血管190に対してほぼ垂直に配置されていれば、吻合することができる。
【0035】
<第二実施形態>
図12は、第二実施形態の血管吻合装置の断面を模式的に示している。図13は、図12中の円内を拡大して示している。図14は、図12に示されたガイドのレイアウトを示している。図12と図13は、図12中のB−B線に沿った断面を示している。これらの図において、図1〜図9に示した部材と同一の参照符号を付した部材は同様の部材であり、その詳しい説明は省略する。以下、相違部分に重点をおいて説明する。つまり、以下の説明で触れない部分は、第一実施形態と同様である。
【0036】
図12と図13に示されるように、血管吻合装置200は、支持部材110と、支持部材110から延出している筒状部材220を有している。筒状部材220の先端部228の端面は平たんで、筒状部材220の中心軸232にほぼ垂直になっている。
【0037】
図14に示されるように、筒状部材220の先端部228の端面は、中心軸232に垂直な一本の軸234に対して線対称な形状をしている。以下では軸234を対称軸と呼称する。筒状部材220の先端部228の端面は、たとえば楕円形状や長円形状をしている。
貫通穴222は、筒状部材220の先端部228の端面の中心に配置されている。
【0038】
図12〜図14において、複数のガイド224から筒状部材220の表面に沿って貫通穴222の縁に至るまでの最短の距離は少なくとも1つが異なる。言い換えれば、複数のガイド224に関連するこれらの最短の距離は複数の値を含んでいる。さらに、これらの最短の距離は、対称軸234に対して対称的な位置にガイド224に関するものを除いて、互いに異なっている。たとえば、複数のガイド224は、対称軸234に対して対称的な位置にガイド224に関するものを除いて、筒状部材220の中心軸232に沿った先端部228の端面からの位置が異なるように配置されている。また、これらの最短の距離は、対称軸234に沿った筒状部材220の一方の側において短く、その反対の側において長い。さらに、これらの最短の距離は、対称軸234に沿って少なくとも部分的に、単調または段階的に変化すなわち増加または減少している。たとえば、複数のガイド224の同一個所たとえば中心は、筒状部材220の先端部228の端面に非平行な一つの平面上に位置している。
【0039】
本実施形態の血管吻合装置200は、第一実施形態とまったく同じ手順で、グラフト180と血管190の吻合に使用される。
【0040】
本実施形態の血管吻合装置200は、第一実施形態と同様の利点を有している。すなわち、吻合の際、血管吻合装置200の筒状部材220が血管190に対してほぼ垂直に配置されるので、広い視野と広い作業スペースがヒール側に提供される。血管吻合装置200の位置決めは、筒状部材220の先端部228の端面を覆うグラフト180の全体を血管190の血管壁に押し付けることにより行われるので、容易に達成し得る。
【0041】
したがって、複数のガイド224から筒状部材220の表面に沿って貫通穴222の縁に至るまでの最短の距離は対称軸234に沿った筒状部材220の一方の側において短く、その反対の側において長いため、グラフト180は血管190に斜めに吻合される。
【0042】
<変形例>
第一実施形態と第二実施形態では、ガイド124がスリット126を有し、グラフト180と血管190を吻合する吻合具が針142と糸144で構成される例を示したが、ガイド124はスリット126を有していなくてもよい。
【0043】
この場合、吻合具には、たとえば、商業的に入手可能な図15に示されるUクリップなどが適用され得る。図15(A)に示されるように、Uクリップ150は、針152とフレキシブルワイヤ154とリリーストリガー156とクリップ158から構成されている。クリップ158は、形状記憶機能を有する針状の部材で、リリーストリガー156に保持された状態では開いた状態に保たれている。リリーストリガー156から解放されると、クリップ158は、図15(B)に示されるように、丸まった閉じた状態に変形する。
【0044】
Uクリップ150の使用においては、Uクリップ150をガイドに挿入した後、押し進め、針152をグラフト180と血管190に貫通させる。その後、さらにUクリップ150を押し進めて、クリップ158の両端の間にグラフト180と血管190がある状態とし、クリップ158をリリーストリガー156から解放する。その結果、クリップ158が丸まった閉じた状態に変形して、グラフト180と血管190が吻合される。
【0045】
Uクリップの代わりに弾性の針を用いてもよい。弾性の針を用いると、Uクリップ同様、糸を結ぶ必要がなく、簡単に吻合できる。
【0046】
これまで、図面を参照しながら実施形態を述べたが、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において様々な変形や変更が施されてもよい。ここにいう様々な変形や変更は、上述した実施形態を適当に組み合わせた実施も含む。
【0047】
これまでに説明した血管吻合装置は冠動脈バイパス手術に適用され得る。この場合、グラフト180が吻合される対象である血管190は冠動脈となる。冠動脈は心筋によって比較的頑丈に支えられている。このため、図7と図8を参照しながら説明した筒状部材120の挿入の際に、筒状部材120の先端部128の端面を覆うグラフト180の全体を血管190(冠動脈)の血管壁に押し付けてもよく、これによって血管吻合装置100を位置決めすることも可能である。
【符号の説明】
【0048】
100…血管吻合装置、110…支持部材、110a,110b…支持部材半体、112…貫通穴、114…位置決めピン、115…穴、116…固定ネジ、117…ネジ穴、120…筒状部材、120a,120b…筒状部材半体、122…貫通穴、124…ガイド、126…スリット、128…先端部、128a,128b…先端部半体、132…中心軸、134…対称軸、142…針、144…糸、150…Uクリップ、152…針、154…フレキシブルワイヤ、156…リリーストリガー、158…クリップ、160…ガイド、162…突起、170…ばね針、172…針、174…保持部、176…溝、178…棒、180…グラフト、190…血管、192…開口、200…血管吻合装置、220…筒状部材、222…貫通穴、224…ガイド、228…先端部、232…中心軸、234…対称軸。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二本の血管を吻合する際に使用される血管吻合装置であり、
前記二本の血管の一方が通される空洞の一部を構成する貫通穴を有する筒状部材と、
前記二本の血管を吻合するための吻合具を案内する複数のガイドを有し、
前記複数のガイドは前記筒状部材の外周に配置されており、前記ガイドから前記筒状部材の表面に沿って前記貫通穴の縁に至るまでの最短の距離は少なくとも1つが異なる、血管吻合装置。
【請求項2】
前記最短の距離は、前記筒状部材の一方の側において短く、その反対の側において長い、請求項1に記載の血管吻合装置。
【請求項3】
前記筒状部材の先端部の端面は平たんで、前記筒状部材の中心軸にほぼ垂直であり、前記複数のガイドの同一点を結んだ平面は、前記筒状部材の先端部の端面に平行な一つの平面上に位置している、請求項2に記載の血管吻合装置。
【請求項4】
前記筒状部材の先端部の端面は平たんで、前記筒状部材の中心軸にほぼ垂直であり、前記複数のガイドの同一個所の中心は、前記筒状部材の先端部の端面に非平行で段階的に位置している、請求項2に記載の血管吻合装置。
【請求項5】
前記複数のガイドの同一箇所の中心は、前記筒状部材の先端部の端面に非平行な一つの平面上に位置している、請求項4に記載の血管吻合装置。
【請求項6】
各ガイドは、その全長にわたって延びているスリットを有している、請求項1ないし5のいずれかひとつに記載の血管吻合装置。
【請求項1】
二本の血管を吻合する際に使用される血管吻合装置であり、
前記二本の血管の一方が通される空洞の一部を構成する貫通穴を有する筒状部材と、
前記二本の血管を吻合するための吻合具を案内する複数のガイドを有し、
前記複数のガイドは前記筒状部材の外周に配置されており、前記ガイドから前記筒状部材の表面に沿って前記貫通穴の縁に至るまでの最短の距離は少なくとも1つが異なる、血管吻合装置。
【請求項2】
前記最短の距離は、前記筒状部材の一方の側において短く、その反対の側において長い、請求項1に記載の血管吻合装置。
【請求項3】
前記筒状部材の先端部の端面は平たんで、前記筒状部材の中心軸にほぼ垂直であり、前記複数のガイドの同一点を結んだ平面は、前記筒状部材の先端部の端面に平行な一つの平面上に位置している、請求項2に記載の血管吻合装置。
【請求項4】
前記筒状部材の先端部の端面は平たんで、前記筒状部材の中心軸にほぼ垂直であり、前記複数のガイドの同一個所の中心は、前記筒状部材の先端部の端面に非平行で段階的に位置している、請求項2に記載の血管吻合装置。
【請求項5】
前記複数のガイドの同一箇所の中心は、前記筒状部材の先端部の端面に非平行な一つの平面上に位置している、請求項4に記載の血管吻合装置。
【請求項6】
各ガイドは、その全長にわたって延びているスリットを有している、請求項1ないし5のいずれかひとつに記載の血管吻合装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2013−46712(P2013−46712A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−186568(P2011−186568)
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
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