説明

血管孔閉塞器具のデリバリ器具

【課題】血管アクセス孔を閉塞すべく、閉塞器具を目標部位に定置するための有効なデリバリ器具を提供することにある。
【解決手段】孔カバーリング部材を備えた血管孔閉塞器具を血管内に定置する外科用デリバリ器具。デリバリ器具は、ハウジングと、該ハウジング内で移動できるアドバンサと、プランジャとを有し、アドバンサは、第1部分と、該第1部分にヒンジ連結されかつ孔カバーリング部材を支持するケーシングを形成する遠位側部分とを有している。アドバンサの遠位側への移動により、ケーシングが傾斜位置からよりリニアな位置へとピボットされ、カバーリング部材の方向が傾斜位置からより傾斜した位置へと変化される。プランジャは、カバーリング部材を血管内に前進させるべく前進できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2011年7月20日付米国仮特許出願第61/509,829号からの優先権を主張するものでありかつ2011年10月17日付米国特許出願第13/274,402号の一部継続出願である。該一部継続出願は、2011年11月3日付米国仮特許出願第61/409,599号からの優先権を主張するものでありかつ2011年8月12日付米国特許出願第12/854,988号の一部継続出願である。該一部継続出願は、2009年10月11日付米国仮特許出願第61/241,555号からの優先権を主張するものでありかつ2009年1月23日付米国特許出願第12/358,411号の一部継続出願である。また、該一部継続出願は、2008年2月15日付米国仮特許出願第61/066,072号からの優先権を主張する。これらの各出願の全内容は、本願に援用する。
本願は、血管器具のデリバリ器具に関し、より詳しくは血管孔閉塞器具のデリバリ器具に関する。
【背景技術】
【0002】
或る形式の血管手術中、患者の大腿動脈にアクセスすべく、皮膚および皮下組織の切開を通してカテーテルが挿入される。次にカテーテルは、大腿動脈の壁に形成されたアクセス開口を通して挿入されかつ動脈を通して所望部位まで案内されて、血管形成術またはプラーク除去を行う。手術が完了しかつカテーテルが患者から取出された後、アクセス孔は閉塞されなくてはならない。これは、動脈からの血流が多量であるだけでなく、大腿動脈に到達するのに貫入しなければならない組織が多く存在することから困難である。
【0003】
今日まで、大腿動脈アクセス孔を閉塞するための幾つかのアプローチがなされている。1つのアプローチでは、血液が凝固するまで、穿刺部位の手による押圧が、サンドバッグまたは重りにより増強される。このアプローチでは、血管孔が閉じて患者が歩くことができるまでに6時間ほどを要する。これは、手術時間並びに全手術コストを非効率的に増大させてしまう。なぜならば、病院スタッフが圧力を物理的に維持しなければならずかつ患者が歩けないために患者の解放が遅延してしまうからである。
【0004】
血管穿刺部位を閉塞する他のアプローチでは、手術台および患者の脚にクランプが取付けられる。クランプは血管の開口に圧力を加える。しかしながら、患者は、依然として、血液が確実に凝固したことをモニタリングする必要があり、このため病院スタッフの付加時間を必要としかつ手術コストを増大させる。
【0005】
手による加圧アプローチの上記欠点を回避するため、縫合器具が開発されている。Abbot社から販売されているこのような1つの縫合器具は、血管壁の開口に隣接して針を前進させかつ開口に隣接する壁を通して縫合材料を外方に引っ張る。次に、外科医が縫合糸を結んで開口を閉じる。この手術に付随する1つの困難性は、外科医が針を定置するのに、縫合糸を捕捉し、縫合糸を引出し、結び目を形成しかつ縫合糸を固定するという多くのステップを要することにある。また、大腿動脈が皮膚に対して深いため、外科医は縫合糸の視認が容易でなく、本質的に縫合糸を盲目的に結ぶか、予め結んだ結び目を盲目的に所定位置までスリップさせている。また、結び目を結ぶ技量は外科医によって異なるため、孔を閉塞する技および精度は外科医の技量によって定まる。この縫合器具の更に別の欠点は、器具の挿入のために血管開口が拡げられてしまい、閉塞システムのデリバリ(定置)に失敗した場合には、より大きい開口を閉じなくてはならなくなる。また、石灰化した血管に針を通すことも困難である。
【0006】
下記特許文献1には、拡大可能な閉塞部材を有し、血管壁に対して閉塞部材を引っ張るフィラメントを備えている器具の形態をなす血管穿刺部位をシールする他のアプローチが開示されている。閉塞部材が、皮膚上に置かれたテープのストリップにより所定位置に保持され、フィラメントを所定位置に保持する。しかしながら、閉塞器具は依然として移動を受け、このため穿刺部位を通って漏洩が生じる。また、縫合糸が緩むことがあると、閉塞部材は保持されなくなり、血管内を下流側に流れる。また、縫合糸は皮膚を通って延びているので、感染の可能性のある通路が形成される。下記特許文献2に開示の閉塞器具は、穿刺路内に配置される再吸収可能なコラーゲン発泡プラグを有している。しかしながら、一般に20分以内に凝固が生じかつ血液がプラグと組織路との間で漏洩するので、コラーゲンプラグが路内で拡大するまで、穿刺部位を一定時間手で押圧しなくてはならない。
【0007】
したがって、血管壁の開口(穿刺部位)を迅速かつ有効に閉塞する器具を提供することは有利である。このような器具は、手による押圧力を開口に加える上記時間および費用を有利に回避し、開口を閉塞するのに要するステップを簡単化し、開口の拡大を回避し、かつ閉塞器具を血管内に有効に保持できる。
【0008】
本件出願人の所有する下記特許文献3には、上記長所を備えた有効な血管孔閉塞器具が開示されている。更に有利なことは、種々の組織厚さに適合させるべく調節できかつ組織厚さの如何にかかわらず器具の血管内コンポーネントと血管外コンポーネントとの間に一定のクランプ力および保持力を加えることができる血管孔閉塞器具を提供することにある。このような調節可能性は、本件出願人の所有する係属中の下記特許文献4に開示の器具により達成される。尚、該特許文献4の全内容は本願に援用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第4,744,364号明細書
【特許文献2】米国特許第5,545,178号明細書
【特許文献3】米国特許第7,662,161号明細書
【特許文献4】米国特許出願第12/854,988号明細書(2010年8月12日付出願)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
血管アクセス孔を閉塞すべく、特許文献4に開示の閉塞器具を目標部位に定置するための有効なデリバリ器具が要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、その一態様により、孔カバーリング部材を備えた血管孔閉塞器具を血管内に定置する外科用デリバリ器具を提供する。デリバリ器具は、ハウジングと、該ハウジング内で移動できるアドバンサと、プランジャとを有している。アドバンサは、第1部分と、該第1部分にヒンジ連結されかつ孔閉塞部材を支持するケーシングを形成する遠位側部分とを有している。アドバンサの遠位側への移動により、ケーシングが傾斜位置からよりリニアな位置へとピボットされ、カバーリング部材の方向が傾斜位置からより傾斜した位置へと変化される。プランジャは、カバーリング部材を血管内に前進させるべく移動できる。
【0012】
或る実施形態では、孔閉塞器具は第1および第2フレキシブル部材を有し、第1フレキシブル部材は第1係合部材を有しかつ第2フレキシブル部材は第2係合部材を有し、プランジャは長手方向に延びている第1および第2開口および第1および第2係合部分を有している。これらの実施形態では、第1係合部分は第1係合部材の移動を制限しかつ第2係合部分は第2係合部材の移動を制限し、第1係合部材は、閉塞器具を目標部位に定置する間に所定の力が第1係合部材に加えられるまで第1係合部分により保持され、第2係合部材は、閉塞器具を目標部位に定置する間に所定の力が第2係合部材に加えられるまで第2係合部分により保持される。或る実施形態では、第1係合部分は、長手方向に延びている第1開口と整合される第1グロメットの第1開口を有し、前記第2係合部分は、長手方向に延びている第2開口と整合される第2グロメットの第2開口を有している。
【0013】
ハウジングには、ケーシングをよりリニアな位置にピボットさせるべくケーシングと係合できる傾斜内面を設けることができる。
【0014】
或る実施形態では、プランジャはチューブおよび該チューブの近位側に位置するハンドル部分を有し、該ハンドル部分の遠位側への移動により、チューブがアドバンサのルーメン内で前進される。器具には、アドバンサの遠位側への移動を制限する遠位側ストップを設けることができる。
【0015】
或る実施形態では、器具は、アドバンサを遠位側に移動させる第1アクチュエータを有し、該第1アクチュエータはプランジャとは独立して移動できる。他の実施形態では、プランジャの初期前進によりアドバンサが遠位側に移動され、プランジャの次の前進によりカバーリング部材が血管内に前進される。
【0016】
本発明の他の態様によれば、孔カバーリング部材を備えた血管孔閉塞器具を定置する外科用デリバリ器具が提供される。デリバリ器具は、ハウジングと、該ハウジング内で移動できるアドバンサと、プランジャとを有している。アドバンサは、ハウジング内でのカバーリング部材の位置を変化させるべく移動でき、次にプランジャは、カバーリング部材をハウジングから血管内に前進させるべく移動できる。
【0017】
或る実施形態では、プランジャの移動によりアドバンサが移動され、カバーリング部材の位置が変化される。他の実施形態では、アドバンサを移動させる第1アクチュエータが設けられ、該第1アクチュエータはプランジャとは独立して移動できる。
【0018】
器具にはアドバンサの移動を制限するストップを設けることができる。プランジャは、アドバンサがストップに接触すると、アドバンサ内で移動できる。
【0019】
或る実施形態では、第1および第2レールが、アドバンサおよびプランジャを作動連結する。第1および第2レールは、アドバンサが遠位側位置に移動してストップに接触するとプランジャとは作動しなくなるように分離される。
【0020】
本発明の他の態様によれば、第1フレキシブル部材および第2フレキシブル部材を有し、第1フレキシブル部材はこれから延びている第1係合部材を備え、第2フレキシブル部材はこれから延びている第2係合部材を備えている血管孔閉塞器具を定置する外科用デリバリ器具が提供される。デリバリ器具はハウジングを有し、該ハウジングは長手方向に延びている第1および第2ルーメンおよび第1および第2部材を備え、第1部材は第1ルーメンと整合した第1開口を備え、第2部材は第2ルーメンと整合した第2開口を備えている。第1係合部材は、所定の近位側への力が加えられると第1開口を通り、第2係合部材は、所定の近位側への力が加えられると第2開口を通り、第1係合部材は、閉塞器具を目標部位に定置する間に所定の近位側への力が第1係合部材に加えられるまで第1部材により保持される。
【0021】
好ましくは、第2係合部材は、閉塞器具を目標部位に定置する間に所定の近位側への力が第2係合部材に加えられるまで第2部材により保持される。
【0022】
或る実施形態では、閉塞器具の第1フレキシブル部材および第2フレキシブル部材は縫合糸であり、デリバリ器具は、縫合糸を自動的に切断するための、ハウジング内に配置された切断部材を更に有している。
【0023】
或る実施形態では、第1部材は第3開口を有しかつ第2部材は第4開口を有し、第1係合部材は、第1力が加えられると第1開口を通ることができ、その後、次の力が加えられると第3開口を通ることができる。第2係合部材は、第2力が加えられると第2開口を通ることができ、その後、次の力が加えられると第4開口を通ることができる。或る実施形態では、これらの力は変えることができる。第1力および第3力は実質的に等しくてもよいし、異ならせることもできる。第2力および第4力も、実質的に等しくてもよいし、異ならせることもできる。
【0024】
或る実施形態では、血管孔閉塞器具は、血管の内部に配置するための、遠位端のカバーリング部材と、血管の外部に配置するための第1および第2リテーナとを有し、第1フレキシブル部材はカバーリング部材と第1リテーナとの間に延び、第1係合部材は第1フレキシブル部材の近位側部分に配置され、第2フレキシブル部材はカバーリング部材と第2リテーナとの間に延び、第2係合部材は第2フレキシブル部材の近位側部分に配置され、デリバリ器具の近位側移動により、第1リテーナおよび第2リテーナがカバーリング部材の方向に前進される。
【0025】
上記器具を用いて血管孔閉塞器具を定置する方法も提供される。
下記図面を参照して、本発明の好ましい実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の孔閉塞器具デリバリ器具の第1実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1のデリバリ器具のアドバンサ(前進器)部分を示す分解図である。
【図2A】図1のデリバリ器具のハンドル(プランジャ)部分を示す分解図である。
【図2B】図2の詳細領域を示す拡大図である。
【図3】図1の3-3線に沿う縦断面図であり、アドバンサが初期位置にあるところを示すものである。
【図3A】図1の3A-3A線に沿う縦断面図であり、ハンドル部分が初期位置にあるところを示すものである。
【図3B】図3の詳細領域を示す拡大図である。
【図4】図3の4-4線に沿う横断面図である。
【図5】図3の5-5線に沿う横断面図である。
【図6】図3Aの6-6線に沿う横断面図である。
【図7】アドバンサ部分の斜視図であり、スライディングタブの初期移動を示すものである。
【図8】スライディングタブの初期移動を示す、図3Bと同様な図面である。
【図8A】図3と同様な縦断面図であり、アドバンサチューブを図7の位置に対応する位置に前進させるスライディングタブの初期移動および器具に連結されたシースを示すものである。
【図8B】ロックアウトに隣接するスライディングタブを示すものである。
【図8C】ロックアウトを通過して前進されたスライディングタブを示すものである。
【図9】図7と同様な斜視図であり、スライディングタブがアドバンサチューブを完全に前進させた遠位位置にあるところを示すものである。
【図10】図8Aと同様な縦断面図であり、スライディングタブがアドバンサチューブを完全に前進させた遠位位置であって図9の位置に対応する位置にあるところを示すものである。
【0027】
【図11】図9と同様な斜視図であり、孔閉塞器具を血管内に定置すべく、スライディングタブが遠位位置にありかつハンドル部分が遠位位置に前進されているところを示すものである。
【図12】図11の詳細領域を示す拡大図である。
【図13】図10と同様な縦断面図であり、スライディングタブが遠位位置にありかつハンドル部分が図11の位置に対応する遠位位置に前進されたところを示すものである。
【図14】孔閉塞器具を更に定置すべく、デリバリ器具を初期後退させたところを示す斜視図である。
【図15】ハンドル部分(プランジャ)の一部の分解図であり、第2係合部材が初期位置にありかつ第1係合部材が中央ハウジングの遠位側ブロッキング要素の下方開口と係合している状態の第1ハウジング半部を示すものである。
【図16】図15の位置に対応するデリバリ器具のハンドル部分の縦断面図であり、閉塞器具の第1リテーナをカバーリング部材の方向に前進させるべく、デリバリ器具がハンドル部分の近位側に移動しているところを示すものである。
【図17】ハンドル部分の一部の分解図であり、第1係合部材が中央ハウジングの下方チャネル内で更に前進しておりかつ第2係合部材が第1ハウジングの下方チャネル内の近位側ブロッキング要素と係合している状態の第1ハウジング半部を示すものである。
【図18】図17の位置に対応するデリバリ器具のハンドル部分の縦断面図であり、閉塞器具の第2リテーナをカバーリング部材の方向に前進させるためのデリバリ器具のハンドル部分の更なる近位側移動を示すものである。
【図19】図15と同様な図面であり、中央ハウジングの湾曲チャネル内の第1係合部材および上方開口で近位側ブロッキング部材と係合している第2係合部材を示すものである。
【図20】図19の位置に対応するデリバリ器具のハンドル部分の近位端の断面図であり、閉塞器具の第2リテーナのカバーリング部材の方向への更なる前進を示すものである。
【0028】
【図21】図19と同様な図面であり、遠位側ブロッキング部材の上方開口と係合している第1係合部材および中央ハウジングの上方チャネル内の第2係合部材を示すものである。
【図22】図21の位置に対応するデリバリ器具のハンドル部分の近位端の断面図であり、閉塞器具の第1リテーナをカバーリング部材の方向に更に前進させるためのデリバリ器具のハンドル部分の更なる近位側移動を示すものである。
【図23】ハンドル部分の領域の斜視図であり、カッティングブレードに隣接する縫合糸を示すものである。
【図24】図23の第2縫合糸の位置に対応する断面図である。
【図25】図23と同様な斜視図であり、カッティングブレードと係合している縫合糸を示すものである。
【図26】図25の第2縫合糸の位置に対応する図24と同様な断面図である。
【図27】本発明の他の実施形態による孔閉塞器具デリバリ器具を示す斜視図である。
【図28】図27の28-28線に沿う断面図である。
【図29】図27のデリバリ器具の正面図である。
【図30A】図27のデリバリ器具のアドバンサ部分の分解図である。
【図30B】図27のデリバリ器具のハンドル部分(プランジャ)の分解図である。
【0029】
【図31A】図27の31A-31A線に沿う断面図であり、デリバリ器具(ハンドル部分およびアドバンサ)が初期位置にあるところを示すものである。
【図31B】図27の31B-31B線に沿う断面図であり、デリバリ器具(ハンドル部分およびアドバンサ)が初期位置にあるところを示すものである。
【図31C】図27の31C-31C線に沿う断面図であり、デリバリ器具(ハンドル部分およびアドバンサ)が初期位置にあるところを示すものである。
【図32】図27のデリバリ器具の1セクションの斜視図であり、ロッキングタブを除去したところを示すものである。
【図33】アドバンサ部分の部分分解図であり、アドバンサが初期位置にあるところを示すものである(一方のハウジング半部のみを示す)。
【図34A】図31Aと同様な縦断面図であり、孔閉塞器具を整合させかつシース内に前進させるべくアドバンサを遠位側位置に移動させるハンドル部分(プランジャ)の初期遠位側移動を示すものである。
【図34B】図31Bと同様な縦断面図であり、孔閉塞器具を整合させかつシース内に前進させるべくアドバンサを遠位側位置に移動させるハンドル部分(プランジャ)の初期遠位側移動を示すものである。
【図34C】図31Cと同様な縦断面図であり、孔閉塞器具を整合させかつシース内に前進させるべくアドバンサを遠位側位置に移動させるハンドル部分(プランジャ)の初期遠位側移動を示すものである。
【図35】図34A-図34Cのハンドル部分およびアドバンサの位置に対応する図33と同様な部分分解図である。
【図36A】レールをハウジング内の空間内に移動させるべくハンドル部分を更に遠位側に移動させたところを示す図34Aと同様な縦断面図である。
【図36B】レールをハウジング内の空間内に移動させるべくハンドル部分を更に遠位側に移動させたところを示す図34Bと同様な縦断面図である。
【図37】図36Aおよび図36Bのハンドル部分およびアドバンサの位置に対応する図35と同様な部分分解図である。
【図38】遠位側位置に完全に前進されたハンドル部分を示す図37と同様な部分分解図である。
【図39A】遠位側位置に完全に前進されたハンドル部分を示す図34Aと同様な縦断面図である。
【図39B】遠位側位置に完全に前進されたハンドル部分を示す図34Bと同様な縦断面図である。
【図39C】遠位側位置に完全に前進されたハンドル部分を示す図34Cと同様な縦断面図である。
【図40】図39Aの40-40線に沿う断面図である。
【図41】孔閉塞器具を更に定置すべくハンドル部分を完全前進させた後にデリバリ器具を後退させたところを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図面を参照して、本発明の好ましい実施形態を説明する。 ここで図面(幾つかの図面を通して、同類のコンポーネンツには同じ参照番号が使用されている)を詳細に参照すると、本発明は、血管孔(穴)に定置(デリバリング)するデリバリ器具に関するものである。閉塞器具は、血管形成術または他の介入的手術を遂行するため血管壁を通して予め血管腔内に挿入されたカテーテルの除去後に一般に形成される血管壁の孔を閉塞するためのものである。孔は、血管の内腔に連通すべく、患者の皮膚および皮下組織を通り、血管の外壁を通り、血管壁を通り、かつ血管の内壁を通って延びている。本発明の閉塞器具は、血流を阻止するための血管内コンポーネントおよび該血管内コンポーネントを保持するための血管外コンポーネントを有している。
【0031】
図12、図16、図18、図20および図22には、種々のデリバリ段階の孔閉塞器具101が示されており、上記特許文献4(その全開示は本願に援用する)には該孔閉塞器具101がより詳細に説明されている。閉塞器具は、血管孔を通る血流を阻止すべく血管の内壁に当接して血管内に配置されるカバーリング部材すなわちパッチ104と、カバーリング部材104をその阻止位置に保持すべく血管壁の外部に配置される2つのリテーナ110、112とを有している。各リテーナ110、112は好ましくは球形でありかつそれぞれの縫合糸122、120に固定されており、それぞれの縫合糸を引っ張ると、取付けられたリテーナをカバーリング部材104の方向に前進させて、最終的に、血管壁の外面に当接または隣接する並置関係をなしてリテーナ110、112を配置する。
【0032】
図示のように、好ましくは細長い形状をなすカバーリング部材104は、血管に定置するため、長手方向位置でデリバリシース内に保持され、次に、内側で血管孔をカバー(パッチ)するように配向すべく、血管腔内の横断位置(孔を通って延びる軸線に対して実質的に垂直な位置)までピボットされる。この移動は、上記特許文献3(その全内容は本願に援用する)の図37A-図37Dに示されている。
【0033】
細長いカバーリング部材104は、血管壁の内部開口をカバー(パッチ)して、血液の流出を防止する機能を有している。カバーリング部材104は幾分楕円形であるのが好ましく、実質的に平行な細長い側壁106a、106bと、これらの側壁106a、106bを連結する端壁108a、108bとを有している。他の形状のカバーリング部材を考えることもできる。端壁106a、106bは、実質的に真直な壁部分または湾曲した壁部分にすることができる。カバーリング部材104は、第1および第2端領域よりも中央領域の方が厚いことが好ましい。他の寸法および形状を考えることもできる。
【0034】
カバーリング部材104の長手方向軸線は長手方向寸法を形成し、かつ横方向軸線は短い幅方向寸法を形成する。6Fr器具の場合、カバーリング部材104の幅方向寸法は約2.5mm-約3.5mmが好ましく、より好ましくは3.1mmである。有効に開口をカバーするには、幅は、少なくとも血管壁の内部開口の寸法に実質的に等しいのが好ましい。好ましい実施形態では、カバーリング部材104は、約7.5mm-約9mm(6フレンチ(French)系の場合)の範囲内の長さ、好ましくは約8mmの長さを有する。
【0035】
別の構成として、カバーリング部材は、特許文献3の図1の実施形態に示すように、大きい幅領域を設けることもできることに留意されたい。また、カバーリング部材は非対称に構成して、カバーリング部材が或る角度で引っ張られるときの孔の拡大に適合できるように、大きい領域が中心から外れるようにすることもできる。カバーリング部材はまた、特許文献3の図9B-図9Eに示すように、幅広領域に隣接して幅狭領域が設けられたパドル状に形成することもできる。本発明のリテーナには、特許文献3に開示されているものを含む他のカバーリング部材の形状を利用することができる。
【0036】
細長いカバーリング部材は、ポリカーボネートまたはポリウレタンのような材料で作ることができる。カバーリング部材は、一定時間経過後に体内に再吸収されるラクチド/グリコリドコポリマーのような再吸収性材料から作るのが好ましい。再吸収性材料からなる場合、カバーリング材料には、任意であるが、再吸収性が変化する領域を設けることができる。再吸収性の度合いの変化は、例えば、異なる再吸収性を有する異なる材料を使用することにより、またはカバーリング材料のマスを変えることにより達成できる(マスが大きいと、再吸収時間を増大できる)。
【0037】
球状リテーナ110、112は、再吸収性材料で作るのが好ましい。好ましい実施形態では、各リテーナ110、112の直径は約0.090インチ-約0.095インチであるが、他の寸法を考えることもできる。球形が示されているが、他の丸い形状を含む他の形状を考えることもできる。他の構成として、リテーナは、非吸収性ポリマー材料または金属材料で作ることもできる。
【0038】
リテーナ110、112がデリバリ器具から解放されると、リテーナはカバーリング部材104から更に引き離される。この場合、リテーナは、カバーリング部材104に向かって前進できるように構成される。より詳しくは、各リテーナ110、117は、縫合糸122、120のようなそれぞれのフレキシブル連結部材に固定される。縫合糸122、120は、好ましくはポリマー材料で作られ、好ましくはポリジオキサノーム(polydioxanome)のような再吸収性材料で作られる。また、別の構成として、金属材料の使用を考えることもできる。縫合糸、リテーナおよびカバーリング材料は、同じまたは異なる再吸収性材料で作ることができ、および/または同じまたは異なる再吸収時間をもつものとすることができる。
【0039】
孔閉塞器具並びに該器具の種々の実施形態の詳細は、本願に援用する特許文献4に示されかつ説明されている。
【0040】
縫合糸120は、第2端部120a(図2A)と、モールディング、接着、結び目の形成または他の方法によりリテーナ112に固定された反対側の第1端部とを有している。同様に、縫合糸122は、第2端部122aと、上記任意の方法でリテーナ110に固定された反対側の第1端部とを有している。特許文献4には、種々の取付け方法が示されている。
【0041】
リテーナ110、112を血管壁(およびカバーリング部材)の方向に前進させるため、各縫合糸122、120の端部122a、120aを近位側に引っ張る。これにより、それぞれのリテーナが反対方向に移動され、孔および血管壁に近づく。これは、デリバリ器具に関連して詳細に後述する。リテーナ110、112がひとたび組織に対して引き付けられると、充分な保持力が維持される。すなわち、カバーリング部材104に作用する近位側への引っ張り力により、カバーリング部材が血管壁に対して僅かに近位側に引っ張られる。したがって、リテーナ110、112は、カバーリング部材104が血管壁から離れること(例えば、血管壁とは反対方向に移動すること)を防止する。血管壁から離れると、カバーリング部材104と血管開口との間に好ましくないギャップが形成され、血液が流れ得るようになる。リテーナ110、112が壁の方向に移動する度合い(したがって、リテーナの最終配置位置における血管壁からの距離)は、組織の厚さに基づいて定められる。したがって、閉塞器具は、種々の組織厚さに対して調節でき、組織厚さの如何にかかわらず一定の保持力を加えることができる。
【0042】
図16に示すように、カバーリング部材104は、第1対の孔および第2対の孔を有している。第1対の孔116、117は縫合糸120を受入れ、第2対の孔119、114は縫合糸122を受入れている。孔114、117の直径は、孔116、119の直径より小さい。大きい方の孔116は、縫合糸120が拘束されることなく孔116を通って自由に移動でき、したがって球状リテーナ112の容易な適用を可能にするように縫合糸120を受入れる寸法を有している。同様に、大きい方の孔119は、縫合糸122が拘束されることなく孔119を通って自由に移動でき、したがって球状リテーナ112の容易な適用(移動)を可能にするように縫合糸122を受入れる寸法を有している。小さい方の孔114は、縫合糸122と摩擦係合して、縫合糸122に張力が加えられるようにする寸法を有している。孔114は、縫合糸122の第2端部122aを引っ張ることにより縫合糸122に充分な力が加えられた場合には縫合糸122を孔114を通して引っ張ることができるが、このような所定の力が加えられない場合には、縫合糸が孔114の壁と摩擦係合して移動しないように留まる寸法に定められる。この構成により、端部122aに引っ張り力が加えられなくなっても、縫合糸122したがって球状保持ボール110が所定位置に維持される。縫合糸120も同様に作動し、小さい方の孔(開口)117は、縫合糸120と摩擦係合して縫合糸120の移動を妨げ、球状保持ボール112を保持する。各孔114、117は、内方に傾斜して小径領域に移行する壁と、外方に傾斜して大径領域に戻る壁とを有している。これらの傾斜壁は、張力が加えられたときに縫合糸の移動を容易にし、小径領域は縫合糸を摩擦的に固定する。孔117も孔114と同様な形状を有し、したがって同様な傾斜壁を有している。この構成により、一端120aに加えられる張力が解放されても、縫合糸120したがって球状保持ボール112は所定位置に保持される。
【0043】
図16および図18に示すように、リテーナ110は小さい方の孔114の方向に引っ張られ、リテーナ112は小さい方の孔117の方向に引っ張られている。しかしながら、製造を容易にするため、リテーナ110が大きい方の孔116の方向に引っ張られかつリテーナ112が大きい方の孔119の方向に引っ張られるように、縫合糸を逆にすることを考えることもできる。
【0044】
それぞれの球状リテーナ110または112の移動を阻止するため、肩を形成するリテーナ内の部分の直径より大きい直径を形成するクリンプまたはビードを縫合糸に取付けるか、結び目を縫合糸に形成することができる。したがって、この摩擦係合は、それぞれのリテーナがカバーリング部材104から離れる方向にスライドすることを防止し、一方、肩は、リテーナがカバーリング部材104の方向にスライドすることを防止する。リテーナ112および縫合糸120は、リテーナ110および縫合糸122と同じ構造および係合/保持を有することが好ましい。
【0045】
デリバリ中、カバーリング部材104はデリバリシースから出て、シースの長手方向軸線と良く整合して(好ましい実施形態では実質的に整合して)、傾斜位置から血管内の横断位置へと移動することに留意されたい。これは、カバーリング部材を横断位置に維持する縫合糸のプリセットによるものである。
【0046】
理解されようが、カバーリング部材104は近位側に引っ張られて血管内面の内部開口に当接し、該開口をカバー(パッチ)する。また、縫合糸は血管壁の開口を通って延びる。デリバリ位置では、両リテーナ110、112がデリバリ器具内で重なり関係をなし、デリバリシステムの横断寸法を最小にするのが好ましい。
【0047】
次に、カバーリング部材104を血管壁に対して所定位置に保持し、これを通る血流を阻止するため、縫合糸120、122がこれらの端部120a、122aから近位側に引っ張られ、これにより、リテーナ112、110が血管壁およびカバーリング部材104の方向に前進される。リテーナ112、110は血管壁に接触する位置に移動されるか、組織の厚さに基づいて、リテーナと血管壁との間に介在される何らかの組織に隣接される。この位置で、リテーナ110、112は細長いカバーリング部材104に近位側への力を加え、血管内へのカバーリング部材の移動を制限する。この位置での両リテーナは、実質的に並んだ関係をなすことが好ましい。血管の開口を閉塞すべくこれらの要素を目標部位に定置(デリバリング)する器具を以下に詳細に説明する。
【0048】
図22に示すように、両リテーナ110、112は互いに並んだ関係をなして、カバーリング部材104に対して横方向(横断方向)に並んでいる。すなわち、両リテーナは、カバーリング部材104の幅に沿って配置されている。しかしながら、両リテーナは、長手方向(カバーリング部材の長手方向軸線に実質的に平行な方向)に配置することを考えることもできる。また、両リテーナは、長手方向軸線に対して或る角度をなして並べて配置することもできる。或いは、両リテーナは、配置位置において部分的に重ね合わせて配置することもできる。
【0049】
ここで本発明のデリバリ器具について最初に図1および図2を参照すると、デリバリ器具はその全体を参照番号10で示されており、ハンドル部分すなわちハンドルハウジング12と、ハンドル部分12から遠位側に延びている細長いアウターチューブ14と、アドバンサ部分16とを有している。図2Aに示すように、ハンドル部分12は、第1ハウジング半部40と、第2ハウジング半部42と、中央ハウジングサポート44とを有し、これらは協働して、縫合糸が通るチャネルを形成する。ハンドル部分12(プランジャ)の更なる詳細を以下に説明する。
【0050】
閉塞器具を挿入するデリバリ器具10は、患者の皮膚の開口を通り、皮下組織を通り、血管壁の開口を通り、血管壁の孔を通り、かつ血管壁の内面の内側開口を通って、血管腔内に延びる。
【0051】
デリバリ器具10は、孔閉塞器具101を多数の段階で定置する。第1段階では、アドバンサ部分16が、孔閉塞器具101を再設定(reorient)しかつ該孔閉塞器具101をデリバリ器具10からシース200(図10)の近位端内に前進させる。第2段階では、ハンドル部分12がアドバンサ部分16に対して前進され、孔閉塞器具101を、シース200を通して患者の血管腔内に前進させる。第3段階では、デリバリ器具10の全体が近位側に後退され、リテーナ110、112をカバーリング部材104の方向に移動させる。これらの多段階プロセスを以下に詳細に説明する。
【0052】
最初に図2および図3を参照して、デリバリ器具10のアドバンサ部分16について説明する。アドバンサ部分16は、翼型ハウジング22と、ガイドハウジング30と、アドバンサチューブ39とを有している。アドバンサチューブ39は、ガイドハウジング30内のルーメン内にスライド可能に配置される。翼型ハウジング22は半径方向に延びている翼22a、22bを有し、該翼は、例えば、孔閉塞器具101が血管内に定置された後に、デリバリ器具10を後退させるべく、使用中に使用者によりグリップされる。翼型ハウジング22の遠位端23aは、この上にキャップ20を受入れる寸法を有し(締り嵌めによる連結が好ましい)、近位端23bは、ガイドハウジング30のコネクタ部分34の開口35内に受入れられる寸法を有している(これも締り嵌めが好ましい)。翼型ハウジング22はまた、溝/突出部嵌合、ねじ係合または他の取付け方法によりハウジング30のコネクタ部分34に連結できる。同様に、キャップ20および翼型ハウジング22も、溝/突出部嵌合、ねじ係合または他の取付け方法により連結できる。キャップ20は1対のタブ21(ハウジングのカットアウトにより形成するのが好ましい)を有し、該タブ21は、図8Aに示すようにシース200と係合して、該シースを翼型ハウジング22に連結する。キャップ20の開口20aは、シース200のサイドチューブがシース200を通して流体を注入することを可能にする。
【0053】
ハウジング30のコネクタ部分34の開口35内には、流体の流入を防止するシール28が支持されている。シール8は、アドバンサチューブ39を受入れるように構成されかつ寸法を有する開口29を有している。
【0054】
アドバンサチューブ39は、翼型ハウジング22およびガイドハウジング30内でスライドできるチータチューブ(cheater tube)を形成している。アドバンサチューブ39は、ヒンジ39b(図2)を形成すべく遠位端が切断されたチューブの形態をなしており、切断された部分はケーシング26を形成している。ケーシング26は幾分円筒状をなしており、チューブの切断により形成されたベベル状端部26aを有している。ケーシング26は、孔閉塞器具101のカバーリング部材104のためのサポートハウジングを形成している。ケーシング26は、最初に、図3に示すように、翼型ハウジング22の長手方向軸線を実質的に横断する位置で、翼型ハウジング22のルーメン内に取付けられる。アドバンサチューブ39を遠位側に移動させると、ケーシング26が翼型ハウジング22内の湾曲壁22cに接触するため(図8A)、図10に示すようにヒンジ39bの回りで翼型ハウジング22の長手方向軸線と実質的に整合したリニア位置へとピボットする。これにより、細長いカバーリング部材104を、横断位置から、シース200を通って前進するより整合した位置へと位置変更すべくピボット運動させることができる。閉塞器具101の定置についてはより詳細に後述する。ケーシング26は、翼型ハウジング22の管状チャネル24内でピボットおよび移動され、開口249を出る。図10のケーシング26の実質的に整合した位置では、アドバンサチューブ39のベベル状遠位端39aがケーシング26のベベル状端部26aに当接する。
【0055】
アドバンサ部分16のガイドハウジング30は、その両側の外壁に形成された1対のスロット30aを有している。スロット30aはハウジング30に沿って長手方向に延びており、各スロットは、スライディングフィンガタブ37を受入れるように構成されかつ寸法を有している。より詳しくは、図2および図2Bに示すように、各スライディングタブ37はハウジング30の長手方向軸線の方向に半径方向内方に延びているポスト37aを有している。各ポスト37aは、アドバンサチューブ39の近位側端キャップ36の開口36a(種々の形状が考えられるが6角形が好ましい)に挿入される。これにより、スロット30a内でスライディングタブ37を移動させると、アドバンサチューブ39がガイドハウジング30を通ってスライド移動される。これは図7-図10に示されており、図7および図8Aでは、スライディングタブ37が図1に示すこれらの初期位置から僅かに遠位側に移動されており、アドバンサチューブ39をその初期位置から僅かに遠位側に移動させている。理解されようが、この位置では、ケーシング26が、アドバンサチューブ39の遠位端のヒンジ39bの回りでピボットし始めている。図9および図10では、スライディングタブ37がこれらの遠位側位置まで更に遠位側に移動されており、アドバンサチューブ39をその遠位端位置へと更に遠位側に移動させている。これにより、ケーシング26がその整合位置へと完全回転されかつシース200の近位側領域に移動される。
【0056】
アドバンサチューブ39のキャップ36の両側には、後述のハンドル部分12のキャップハウジング80(図2A)のタブ82を受入れるための1対の開口36bが設けられている。
【0057】
スライディングタブ37の初期近位側位置では、ストップ31がタブ37の遠位側への移動を制限する。ストップ31はハウジング30のカットアウトにより形成されたフィンガの形態をなしており、各タブ37について設けられている。或いは、一方のスライディングタブ37と係合する単一ストップを設けることもできる。フィンガ31はスロット30a内に突出していて、ポスト37を支持しているブロック37dの遠位側側面のフラット37b(図2B)がフィンガに当接すると、タブ37の移動を阻止する隆起部31aを形成する。すなわち、フラット37bがフィンガ(ストップ)31に接触すると、フィンガ31は、例えば輸送中にスライディングタブ37が不意に移動してしまうことを防止する。タブ37を遠位側に前進させるには、充分な力を加えてストップ31を乗り越えさせ(例えば、フィンガ31を撓ませてブロック37dの経路から外れさせ)、タブ37のブロック37dがスロット30aに沿って移動を続けることができるようにする。
【0058】
ストップ31の遠位側にはロックアウト32が配置されており、該ロックアウト32はスライディングタブ37をこれらの遠位側位置にロックする。ロックアウト32は、(各スロット30aの遠位端で)ハウジング30の各側に設けることができ、或いは1つのみのロックアウトを設けて、1つのスライディングタブ37をロックして両タブ37を有効にロックするように構成できる。より詳しくは、ロックアウトは、スロット30a内に突出するハウジング30のカットアウトにより形成された2つのフィンガ32の形態をなしており、このためスロット30aは領域30bで狭くなっている(図3)。タブ37を遠位側に移動させると、フラット37bがフィンガ32を経路から外れさせ、図8Bおよび図8Cに示すようにフィンガ32を通過させる。これにより、フラット37bとは反対側のフラット37cがフィンガ32の縁部32aと係合して、タブ37の後退を防止し、タブ37したがってアドバンサチューブ39を前方位置(遠位側位置)にロックする。
【0059】
図2に示すように、インナーチューブ15は、アウターチューブ14のルーメン14c内に同心状に取付けられる。アウターチューブ14は、ハンドルハウジング12から延びておりかつ開口84内でハウジング12のキャップ80(図2A)に連結されている。アウターチューブ14の遠位端14bはガイドハウジング30内に延びており、かつ孔閉塞器具101のリテーナに当接して該リテーナをシース200を通して前進させるように構成されている。インナーチューブ15は近位端I5aおよび遠位端15bを有し、近位端15aはコネクタ88(図2A)に連結されている。インナーチューブ15は、縫合糸120、122を受入れる第1チャネルI7aおよび第2チャネル17bを有している。
【0060】
ここで、孔閉塞器具101の前進における第2段階を行うハンドル部分12を説明する。最初に図2Aおよび図3Aを参照すると、ハンドル部分12はハウジングすなわちアウターケーシング13を有し、該アウターケーシング13は、中央ハウジング44および互いに鏡像関係をなす第1および第2チャネルハウジング半部40、42を有している。中央ハウジング44は、両ハウジング半部40、42の間に取付けられる。ハウジング半部40、42および中央ハウジング44の各々は、遠位端で小径部分にテーパしている。
【0061】
チャネルハウジング半部40は、中央ハウジング44の半径方向に延びているタブ56を受入れるための軸線方向に間隔を隔てた複数の開口45を有している。同様に、チャネルハウジング半部42は、中央ハウジング44の半径方向に延びているタブ55を受入れるための軸線方向に間隔を隔てている複数の開口51を有している。このタブ/開口係合により、ハウジング40、42、44が一体に連結される。
【0062】
第1チャネルハウジング40は、中央ハウジング44の第1側面(例えば、図2Aで見て左側側面)と協働して、縫合糸120が通るチャネルを形成し、またリテーナ112を孔閉塞器具101のカバーリング部材104の方向に前進させるため、係合部材125が縫合糸120に固定されている。第2チャネルハウジング42は、中央ハウジング44の第2側面(例えば、図2Aで見て右側側面)と協働して、縫合糸122が通るチャネルを形成し、またリテーナ110を孔閉塞器具101のカバーリング部材104の方向に前進させるため、係合部材123が縫合糸122に固定されている。
【0063】
引き続き図2Aを参照すると、ハウジング40は、下方チャネル40aと、上方チャネル40bと、これらの近位端で両チャネル40a、40bを結合する湾曲チャネル40eを有している。上方チャネル40bの遠位端で、上方チャネル40bは傾斜チャネル40cに移行し、次に、ハウジング40の長手方向軸線に対して実質的に平行に延びているチャネル40dに移行している。傾斜チャネル40cは、より詳細に後述するように、縫合糸120の作動を容易にする。同じチャネル部分がハウジング半部42にも設けられている。したがって、ハウジング半部42は、上方チャネルと、下方チャネルと、近位端で両チャネルを結合する湾曲チャネルと、傾斜チャネルと、長手方向に延びているチャネルとを有している。
【0064】
中央サポート44は、その各側面に、ハウジング半部40、42のチャネルと協働するためのチャネルを有し、これにより、それぞれの縫合糸120、122のためのチャネル(通路)および係合部材125、123を形成している。これは図2Aから最も良く理解されよう。図2Aでは、中央ハウジング44は、下方チャネル58aと、上方チャネル58bと、近位端でこれらの両チャネル58a、58bとを結合する湾曲チャネル58cとを有している。中央サポート44は、下記の点を除き、反対側側面にも同じチャネル形状を有している。したがって、反対側側面で、中央ハウジング44の上方チャネル、下方チャネルおよび湾曲チャネルは、第1ハウジング42のチャネル40a、40b、40eと協働する。図2Aに示す側面では、ハウジング44のチャネル58a、58b、58cは、ハウジング42の上方チャネル、下方チャネルおよび湾曲チャネルと協働する。
【0065】
中央ハウジング44の両側面でのチャネルは、それぞれのグロメット48、49を受入れる凹部に僅かな相違がある。より詳しくは、中央ハウジング44は、遠位側グロメット49を取付けるための、ハウジング42の凹部と協働する遠位側凹部すなわち溝57を有している。中央ハウジング44の反対側側面には、近位側グロメット48を受入れる凹部すなわち溝を形成すべく、ハウジング40の近位側凹部47と協働する近位側凹部すなわち溝が形成されている。
【0066】
遠位側グロメット49は半円形断面のものが図示されており、中央ハウジング44の凹部57内で位置決めするための平らな表面を有している。例えば図30Bに示す非対称形のグロメットをキー止めする他の幾何学的形状を考えることができる。グロメット49は、縫合糸122の端部に取付けられた係合部材123のための当接部材すなわちブロッキング部材を形成する。グロメット49は、下方チャネル58a(およびハウジング半部42の対応下方チャネル)と整合する下方開放49aと、上方チャネル58b(およびハウジング半部42の対応上方チャネル)と整合する上方開口49bとを有している。係合部材123を通す大きい摩擦力を付与するため、上方開口49bは下方開口49aより小さいことが好ましい。
【0067】
近位側グロメット48は半円形断面のものが図示されており、中央ハウジング44の凹部内で位置決めするための平らな表面48dを有している。グロメット49と同様に、図30Bに示すように他のグロメットを考えることができる。グロメット48は、縫合糸120の端部に取付けられる係合部材125のための当接部材すなわちブロッキング部材を形成する。グロメット48は、下方チャネル40a(および中央ハウジング44の対応する下方チャネル)と整合する下方開口48aと、上方チャネル40b(および中央ハウジング44の対応する上方チャネル)と整合する上方開口48bとを有している。係合部材125を通す大きい摩擦力が得られるように、上方開口48bは下方開口48aより小さいことが好ましい。
【0068】
ハウジング40には細長いナイフスロット41が形成されており、同じナイフスロットがハウジング42にも形成されている。これらのナイフスロットは、ハウジング40、42の長手方向軸線に対して実質的に平行に延びている。これらのナイフスロットは中央ハウジング44のナイフスロット52と整合して、ナイフ54を受入れる。ナイフ54は、実質的に平らな表面54aと、詳細に後述するように縫合糸120、122を切断するための近位側方向を向いた鋭い切刃54bとを有している。
【0069】
ケーシング13の遠位端にはキャップ80が設けられ、該キャップ80は、アウターチューブ14および同心状のインナーチューブ15を受入れる中央開口84を有している。遠位側表面80aから遠位側に延びている1対のフィンガタブ82は、ハンドルハウジング12がその最遠位側位置(例えば図13参照)に前進されるときに、アドバンサチューブ39(図2)のキャップ36の開口36b内に嵌合される。コネクタ88は、アウターチューブ14および同心状のインナーチューブ15を受入れるための、管状部分87の開口87aを有している。スペーサとして機能するスプリング70を設けることもできる。
【0070】
アドバンサチューブ39が上記のようにしてタブ37により前進された後に、ハンドルハウジング12が遠位側に、好ましくは寸刻みに前進され、アウターチューブ15を孔閉塞器具101の近位側に配置されたリテーナ112に接触させかつ該リテーナをシース200を通して前進させその遠位端から外に出す。これは図11に示されている(図11では、明瞭化のためシースが除去されている)。図13に示すように、ハンドルハウジング12は、キャップ80のタブ82が開口36bを通って該開口内に嵌合するときにアドバンサチューブキャップ36とロッキング係合するまで前進される。ハウジング12がこのように完全前進した後、カバーリング部材104およびリテーナ110、112が血管内に配置され、カバーリング部材104は、縫合糸120、122のプリセットにより横断位置に移動される。すなわち、縫合糸120、122は、カバーリング部材104がシース200に閉じ込められないときに、カバーリング部材10が自動的に図11および図12の横断位置にピボットするように、約90°の角度でプリセットされている。
【0071】
ひとたびハンドル部分12が前進されかつアドバンサ部分16にロックされたならば、デリバリ器具10は図14の矢印の方向に後退される。ハンドルハウジング12を後退させると、縫合糸120、122および係合部材125、123が、詳細に後述するように、ハウジング40、42、44のチャネルを通って移動される。かくして、理解されようが、この多段階プロセスでは、使用時に、最初にアドバンサチューブ39が前進されてケーシング6を図10に示す位置に回転させかつケーシング6をシール00の近位側領域に移動させる。次に、ハンドル部分12が、固定(ロック)されたアドバンサ部分16に対して前進され、孔閉塞器具101をシース200を通して前進させその遠位端から外に出す。ひとたびハンドル部分12がその遠位側移動およびアドバンサ部分16との相互ロックを完了したならば、ハンドル部分12(およびデリバリ器具10の全体)が後退され、これにより、リテーナ110、112をカバーリング部材104の方向に向かって順次移動させることによりパッチ104が固定される。
【0072】
係合部材123、125はチャネル内で移動しかつグロメット48、49と相互作用する。グロメット48、49は、縫合糸120、122の移動に抵抗を付与する係合部分すなわち当接部材またはブロッキング部材を形成する開口を有している。この抵抗は、縫合糸120、122の端部に係合部材123、125を設けることにより達成される。より詳しくは、係合部材125(実質的に球形に示されているが、他の形状を考えることもできる)は、縫合糸120の端部I20aに配置される。同様に、係合部材123も実質的に球形に示されているが、他の形状を考えることができ、縫合糸122の端部I22aに配置される。係合部材125、123は、クリンピング、結び目の形成、オーバーモールディング等の方法により取付けられ、それぞれのグロメット48、49と係合して縫合糸の移動を妨げるように構成されている。
【0073】
孔閉塞器具101を定置するデリバリ器具10の使用について以下に説明する。デリバリ器具は、デリバリシース200に連結されることに留意されたい。デリバリシース200は、皮膚、血管壁まで延びている組織穿刺路および血管壁を通って血管腔内に挿入される。初期位置では、図3に示すように、リテーナ110、112は、翼型ハウジング22内のアドバンサチューブ39内に配置される。カバーリング部材104は、ケーシング26内の横断位置に維持される。この初期位置では、縫合糸120、122の係合部材125、123は、ハンドルハウジング12のそれぞれのグロメット48、49と係合してはいない。
【0074】
閉塞器具101を定置するため、アドバンサチューブ39はフィンガタブ37により遠位側に前進され、ケーシング36を、図3の初期位置から、図8Aの位置を通って、(湾曲壁22cにより)図10の位置までピボットさせる。これにより、カバーリング部材104を翼型ハウジング22およびシース200を通して長手方向に整合させ、ケーシング36をシース200の近位側領域内に移動させる。アドバンサ部分16のタブ37は、ガイドハウジング30のロッキングフィンガ32によりタブ37の遠位側位置にロックされることに留意されたい。
【0075】
次に、ハンドルハウジング12を、固定されたアドバンサ部分16に対して遠位側に移動させ、アウターチューブ15を、固定されたアドバンサチューブ39を通して前進させ、リテーナ112に接触させ、孔閉塞器具101をシース200を通して前進させ、図13(図11および図12も参照されたい)に示すようにシースの遠位端から外に出す。ハンドルハウジング12は、その遠位側位置において、キャップ80のタブ82とアドバンサチューブの端キャップ36の開口36bとの係合により、アドバンサ部分16と相互ロックすることに留意されたい。ひとたびカバーリング部材104が露出されると、カバーリング部材104は、血管腔内で、デリバリシースの長手方向軸線とより整合した第1デリバリ位置から、図11-図13に示す横断定置位置へとピボットする。
【0076】
次に、デリバリ器具10が図14の矢印の方向(近位側)に後退され、カバーリング部材104を血管壁の開口の内面に当接させ、血管壁開口をパッチすなわちカバーする。図11および図12は、閉塞器具101が最初に血管腔内に挿入されたときのリテーナ110、112の初期位置を示すものである。
【0077】
カバーリング部材104が血管内壁に当接するようにデリバリ器具10が更に後退されると、デリバリ器具10を更に後退させることによりリテーナ110、112が次のようにして定置される。図3の初期位置において、係合部材125はハウジング40(図2A)の下方チャネル40a内にあり、係合部材123は、近位側グロメット49(図3A)の下方開口49aの僅かに遠位側の中央ハウジング44の下方チャネル58a内にある。本願で説明するように、ハウジング42のチャネルは中央ハウジング44の一側のチャネルと協働し、ハウジング40のチャネルは中央ハウジング44の反対側のチャネルと協働することに留意されたい。かくして、簡単にいえば、協働するチャネルの一方のみを考えれば、チャネルはこれらのコンポーネンツの協働により形成されることが理解されよう。
【0078】
ハンドルハウジング12を更に近位側に後退させると、縫合糸122が近位側に引っ張られ、これにより、縫合糸122の係合部材123が引っ張られて、図15および図16に示すように、グロメット49の係合部分すなわちグロメット49の開口49aに当接する(血管壁に当接するカバーリング部材104の力により、デリバリ器具10および縫合糸120、122の近位側移動が縫合糸122、120に取付けられたリテーナ110、112の遠位側移動を引き起こす逆向き力を付与することに留意されたい)。縫合糸122の引っ張り(張力)は、図16に示すように、縫合糸122の反対側端部に取付けられたリテーナ110をカバーリング部材104の方向に移動させる。縫合糸120の係合部材125は未だ近位側グロメット48と係合していないことに留意されたい。この位置では、遠位側グロメット49は、縫合糸122の移動を制限するストップを形成する。この係合はまた、リテーナ110がカバーリング部材104の方向に実質的な距離を移動したことを表示する触覚を使用者に与える。
【0079】
デリバリ器具10がシース200に対して更に近位側に引っ張られると、デリバリ器具10は、図18に示すように、縫合糸120を引っ張ってリテーナ112をカバーリング部材104の方向(近位側)に移動させる。このような移動は、図17および図18に示すように、係合部材125が近位側グロメット48の係合部分すなわち近位側グロメット48の下方開口48aに当接/係合するまで続けられる。これにより、グロメット48は縫合糸120の移動を制限するストップを構成する。グロメット48はまた、リテーナ112がカバーリング部材104の方向に実質的距離を移動したことを表示する触覚を与える。係合部材123は、遠位側グロメット49に既に打勝って、その下方開口49aを通過しており、もはや張力が付与されていないことに留意されたい。理解されようが、リテーナ110、112はカバーリング部材104に隣接して移動しているが、未だ完全な遠位側固定位置にはないことが理解されよう。このデリバリ方法は力を分散させ、例えばパッチに作用する荷重を低減させることに留意されたい。
【0080】
デリバリ器具10の連続近位側移動により縫合糸120に充分な張力が付与され、これにより係合部材125がグロメット48の下方開口48aを通りかつ上方開口48bでグロメット48と係合するまで湾曲チャネル40eの回りを移動し続ける。これにより、リテーナ112がカバーリング部材104に向かって遠位側に更に移動され、カバーリング部材104に対してリテーナ112を緊締する。係合部材123は、(近位側湾曲チャネル58cの回りを通った後)、遠位側グロメット49の上方開口49bの方向に上方チャネル58bに沿うその移動を続けることに留意されたい。
【0081】
図21および図22に示すように、近位側に引き続き移動させると、縫合糸122が近位側に引っ張られ、係合部材123が移動されて上方開口49bと係合する。係合部材125は、近位側グロメット48との係合に打勝っている。縫合糸122の更なる移動により、リテーナ110がカバーリング部材14に向かって遠位側に更に移動され、カバーリング部材104を所定位置に固定する。カバーリング部材104に向かうリテーナ110、112の移動の度合い、すなわちリテーナ110、112とカバーリング部材104との間の最終距離は、患者の組織の厚さに基づいて定まる。
【0082】
血管開口に通じる組織路内(但し、血管開口の外側)にリテーナ110、112が配置されると、縫合糸122、120は、デリバリ器具10の切刃54により自動的に切断される。これは、図23-図26に示されている。
デリバリ器具10が更に近位側に引っ張られると、係合部材125、123および縫合糸120、122はチャネルのハウジング半部40の傾斜チャネル40cおよび反対側のチャネルのハウジング半部42の傾斜チャネルに入る。デリバリ器具10が更に後退されかつ縫合糸120、122が更に後退されると、係合部材123、125がハウジング40の長手方向チャネル40dおよびハウジング42の同じ長手方向チャネル内で移動する(図23および図24)。縫合糸120、122はこれらの長手方向チャネルの上方に留まってナイフ54の切刃54aと接触し、図26に示すように縫合糸120、122が切断される。係合部材123、125はもはや引っ張られていないので、チャネル内で浮くことができることに留意されたい。縫合糸120、122は更に引っ張られ、次に、患者の皮膚と同一面になるように外科医によりトリミングされる。
【0083】
図27-図41には、孔閉塞器具デリバリ器具の他の実施形態が示されている。この実施形態では、ハンドル部分は、孔閉塞器具101のカバーリング部材104を収容するアドバンサチューブの端部でヒンジ型ケーシングを回転させるべくアドバンサ(チータ)チューブを前進させる多くの段階を遂行し、並びに孔閉塞器具101をシースを通して前進させて血管に定置(デリバリ)する。デリバリ後に、器具は後退され、リテーナ110、112は、図1-図26の実施形態と同じ方法でカバーリング部材104の方向に前進される。
【0084】
先ず図27および図30Aを参照すると、デリバリ器具は、その全体が参照番号212により示されており、かつ翼型ハウジング214と、ハウジング半部240a、240bにより形成されたプランジャガイドハウジング216と、ハンドル部分すなわちプッシャ(プランジャ)260とを有している。プランジャ260はガイドハウジング216内にスライド可能に受入れられる。
翼型ハウジング214は、好ましくは、その遠位側端部219がその上に端キャッチ17を受入れる寸法を有する締り嵌めまたは嵌合により、端キャップ217に連結される。端キャップ217は、図1の実施形態の端キャップ20のロッキングタブ21と同様に、端キャップの両側にロッキングタブ218a、218b(図29)を有している。
翼型ハウジング214は、使用者が掴んでプランジャ260の移動を容易にしかつ孔閉塞器具101が血管腔に定置された後のデリバリ器具212の後退を補助するための半径方向に延びている1対の翼214a、214bを有している。キャップ217は開口217aを有し、該開口217aを通ってシース200のサイドアーム201が、端キャップ20の開口20aと同様に延びている。サイドアーム201は、シース200を通る流体の分配を行う。
【0085】
ガイドハウジング216の遠位端内には、アドバンサ220が支持されている。アドバンサは、ガイドハウジング216および翼型ハウジング214内でスライド可能なチータチューブを形成するチューブ220の形態をなしている。図1の実施形態のアドバンサチューブ39と同様に、アドバンサチューブ220は、ヒンジ228bを形成すべく遠位端が切断されたチューブの形態をなしている。切断部分はケーシング228を形成している。ケーシング228は、図31Aに示すように、幾分円筒状の形状を有し、チューブの切断により形成されたベベル状端部228aを有している。ケーシング228は、孔閉塞器具101のカバーリング部材104のサポートハウジングを形成している。ケーシング228は、図31Aに示すように、翼型ハウジング214の長手方向軸線を実質的に横断する位置で、最初に翼型ハウジング214内に取付けられる。アドバンサチューブ220の遠位側移動により、ケーシング228は、図8Aのケーシング28と同様に翼型ハウジング214内で湾曲表面214cと接触するため、図10に示すケーシング28と同様に翼型ハウジング214の長手方向軸線に実質的に整合するよりリニアな位置まで、ヒンジ228bの回りでピボットする。すなわち、ケーシング228は、図31Aおよび図33の初期横断位置から、図34Aおよび図35の整合位置までピボットする。これにより、細長いカバーリング部材104をピボット移動させ、カバーリング部材104をシール00を通して前進させるより整合した位置に位置修正する。また、ケーシング228の整合位置では、(図10のケーシング28におけるように)アドバンサチューブ220のベベル状遠位端221がケーシング228のベベル状端部228aに当接することに留意されたい。
【0086】
図30Aを参照すると、アドバンサチューブ220はオフセット翼220a、220bを有している。一方の翼、例えば翼220aには、ケーシング228の整合を表示する目盛を設けることができる。クリップ275(図29をも参照されたい)は、例えば輸送中にアドバンサチューブ220が不意に移動することを防止するストップを形成する。すなわち、翼220a、220bの遠位側縁部223a、223bがクリップ275のそれぞれの脚275a、275bに当接し、これにより、クリップを取外さない限りアドバンサチューブ220が遠位側に移動することが防止される。したがって、クリップ275は輸送用ロックを形成する。縁部223aの上縁部225a(図34Aの方向から見た場合)および縁部223bの下縁部225bは、ガイドハウジング216のそれぞれの内側壁248a、248bに当接し、より詳細に後述するように、アドバンサ220が更に遠位側に移動することを防止する。すなわち、アドバンサ220が図34aの位置まで遠位側に移動すると、壁248a、248bは更なる遠位側への移動を阻止する。内側壁248a、248bは2つのハウジング半部240a、240bにより形成される。
【0087】
アウターチューブ280を受入れる開口258aを備えたシール258は、流体の流入を防止する。シール258は、ガイドハウジング216の遠位側部分で、ャップ257の1対の側方開口257a内に延びる1対の横断ピン256によりハウジング216に固定されるキャップ257の開口内に取付けられる。
【0088】
第1および第2レール250、252が、プランジャ260と翼220a、220bとの間に延びている。より詳しくは、上方レール250(図30Aおよび図31A-図31Cの方向で見た場合)は、プランジャ260とアドバンサチューブ220の翼220aとの間でガイドハウジング216内に延びている。下方レール252(図30Aおよび図31-図31Cの方向で見た場合)は、レール250とは異なる平面上でガイドハウジング216内に配置され、プランジャ260とアドバンサチューブ220の翼220bとの間に延びている。図33に示すように、レール250は、遠位側フィンガ250aと、中間フィンガ250bと、上方に延びていて詳細に後述するようにガイドハウジング216の内壁と係合する近位側フィンガ250cとを有している。同様に、レール252は、遠位側フィンガ252aと、中間フィンガ252bと、下方に延びていて詳細に後述するようにガイドハウジング216の内壁と係合する近位側フィンガ252cとを有している。遠位側フィンガ250a、252aの遠位側縁部250d、252dは、ガイドハウジング216(図31A)の内方に延びている壁243a、243dおよび近位側フィンガ250c、252cの近位側縁部250e、252eに当接し、かつ初期位置でガイドハウジング216(図31B)の内方に延びている壁243c、243fに当接する。
【0089】
レール250のフィンガ250aの遠位端は翼型ハウジング220aのスロット220d内に受入れられ、レール252のフィンガ252bの遠位端も同様に翼型ハウジング220bのスロット内に受入れられる(図33および図37参照)。レール250の近位側フィンガ250cはプランジャハウジング260のスロット267a内に受入れられ、レール252の近位側フィンガ252cも同様にプランジャハウジング260の反対側のスロット内に受入れられる。両レール250、252は、プランジャ260が前進されるときに最初にアドバンサチューブ220を前進させるべく機能し、次に翼220a、220bとの作動係合から外れるように移動され、これにより、アウターチューブ280がアドバンサチューブ220内で前進されるときに、アドバンサチューブ220が静止状態に留まる一方、プランジャ260が前進する。
【0090】
図30Bを参照すると、プランジャ260はハウジング半部261a、261bを有している。ハウジング半部261a、261b内には、第1チャネルハウジング264と、第2チャネルハウジング266と、中央ハウジング268とが収容される。これらのチャネルハウジングは図1-図26のハウジング40、42、44と同じであり、孔閉塞器具101の縫合糸120、122およびこれらのそれぞれの係合部材を移動させて、孔閉塞器具101のリテーナ110、112を前進させる。したがって、ここではこれ以上説明しない。ナイフ274はチャネルハウジング264、266、268のスロット内に支持されている。ナイフ274は、図2Aのナイフ54と同じ構造および機能を有する。ナイフ274の上方(図30Bの方向で見た場合)にはシュラウド276が配置されており、縫合糸120、122がナイフ274と不意に接触して、孔閉塞器具101の縫合糸120、122の早期切断を引き起こすことを防止する(図1の実施形態でもナイフ54の上方にシュラウドを設けることができる)。孔閉塞器具101の縫合糸120、122の端部の係合部材125、123のブロッキング部材すなわち当接部材を形成する係合部分を備えたグロメット270、272は図2Aのそれぞれのグロメット49、48と同じであり、したがってここでは詳細に説明しない。なぜならば、グロメット48、49の機能の説明および係合部材125、123を通すことは図30Bのこの実施形態に完全に適用できるからである。したがって、血管への孔閉塞器具101の定置後に器具212が後退されると、縫合糸および係合部材は図1-図26の実施形態と同じ方法でハウジング264、266、268のチャネルを通って、リテーナをカバーリング部材の方向に前進させ、孔閉塞器具を固定しかつ縫合糸を切断する。
【0091】
図30Aを参照すると、インナーチューブ282の端キャップ281は嵌合または摩擦嵌めによりプランジャ260の開口260a内に固定される。インナーチューブ282はアウターチューブ280のルーメン内に受入れられる。インナーチューブ282とアウターチューブ280との間には、好ましくは剛性材料からなる補強チューブ284が同心状に介在されている。アウターチューブ280はプランジャ260の端キャップ281に取付けられており、プランジャ260の遠位側移動によりアウターチューブ280がアドバンサチューブ220のルーメンを通って前進され、孔閉塞器具101の球状リテーナ110と接触して、閉塞器具101をシール00を通して血管内に前進させる。インナーチューブ282は、それぞれの縫合糸120、122を受入れる1対のルーメンを有している。
【0092】
近位側および遠位側スリーブ247b、247aがガイドハウジング216のハウジング半部240a、240bを包囲して、これらを一体に固定する。
【0093】
使用時には、図31a-図31cの初期位置において、プランジャ260はその最近位位置にありかつアドバンサチューブ220も最近位位置にあって、翼220a、220bの縁部223a、223bがそれぞれクリップ275に当接している。かくして、この初期位置では、ロッキングクリップ275が所定位置にあり、プランジャ260の遠位側移動が阻止される。この位置では、ケーシング228(およびこの中に収容された孔カバーリング部材104)が横断位置にあることに留意されたい。プランジャ260と翼220a、220bとの間に延びているレール250、252は、図31Bに最も良く示すように、レール250の近位側フィンガ250cの縁部250eがハウジング216の近位側で半径方向内方に延びている内壁243cと接触しかつレール252の近位側フィンガ252cの縁部252eがハウジング216の近位側で半径方向内方に延びている壁243fと接触するように配置される。また、遠位側フィンガ250aの縁部250dはハウジング216の遠位側で半径方向内方に延びている内壁243aの縁部と接触しかつ遠位側フィンガ252aの縁部252dはハウジング216の遠位側で半径方向内方に延びている壁243dの縁部と接触する。かくして、レール250のフィンガ250a、250b、250cは、壁243a、243b、243c間の空間から間隔を隔てており、レール252のフィンガ252a、252b、252cは、壁243d、243e、243f間の空間から間隔を隔てている。
【0094】
作動の第1段階でデリバリ器具212を付勢してプランジャ260を前進させ、アドバンサチューブ220を遠位側に移動させるため、クリップ275がガイドハウジング216の開口251a、251bから手で取外され(図32)、プランジャ260が遠位側に前進される。このような遠位側への前進により、レール250、252がアドバンサチューブ220の翼220a、220bと係合するため、アドバンサチューブ220が前進される。アドバンサチューブ220の前進により、ケーシング228が内側湾曲壁214cに対して押圧されるため、ケーシング228がその横断位置から図34Aおよび図35の長手方向整合位置へとピボットされる。プランジャ260が前進されると、整合したケーシング28が翼型ハウジング214を通ってシース200の近位側領域に移動される。ケーシング228が長手方向に整合すると、孔閉塞器具101のカバーリング部材104が、シース200を通して血管腔に定置するより整合した位置にピボットされることに留意されたい。プランジャ260の両側のローラピン259(図34Bおよび図35)がハウジング240bの長手方向トラック253およびハウジング240aの同様な長手方向トラック内に載っているため、ガイドハウジング216内方のプランジャ260の滑らかな運動ができるようにするハウジング半部240a、240bのトラック内の低摩擦ベアリングとして機能する。チューブ220の前進位置およびプランジャ260の中間位置が図34A-図34Cおよび図35に示されている。
【0095】
プランジャ260は、図34Aに示すように、翼220a、220bの遠位側縁部225a、225bがハウジング216の縁部248a、248bに当接するまでアドバンサチューブ220を前進させることに留意されたい。この位置では、プランジャ260は、ガイドハウジング216の中間領域まで前進されている。かくしてアドバンサチューブ220は縁部248a、248bにより更なる遠位側への移動が阻止されるので、プランジャ260が更に遠位側に移動してもアドバンサチューブ220を前進させない。それどころか、プランジャ260が前進されると、レール50、252のそれぞれ遠位側縁部250d、252dおよびレール250の250gは、遠位側でそれぞれ半径方向に延びる壁243a、243dの遠位側縁部を通って移動しており、レール250、252のそれぞれ近位側縁部250e、252eは、それぞれ半径方向に延びる近位側壁243c、243fの遠位側縁部を通って移動している。しかしながら、遠位側フィンガ250aの近位側縁部250fおよび遠位側フィンガ252の近位側縁部252fは、壁243a、243dと係合した状態を維持する。中間フィンガ250b、252bの近位側縁部250g、252gは、それぞれ、壁243b、243e(図34B)の遠位側縁部と係合される。プランジャ260が更に遠位側に移動すると、レール250の近位側フィンガ250a、中間フィンガ250bおよび遠位側フィンガ250cは、壁243a、243b、243c間のそれぞれの空間内に延び、レール252の近位側フィンガ252a、中間フィンガ252bおよび遠位側フィンガ252cは、縁部250f、252f、250gがそれぞれの壁をクリアするので、図36A、36B、図37に示すように、壁243d、243e、243f間のそれぞれの空間内に延びる。このことが生じると、レール250は翼220aのスロット220dから出てきて、かつレール252は翼220bのスロットから出る。このため、レール250、252は翼220a、220bとは係合しなくなり、したがってアドバンサ220はもはやプランジャ260とは作動係合しなくなる。レール250、252は翼220、220bのランプ内に載っている。すなわち、レール250、252のこの位置では、プランジャ260の前進によってアドバンサ220が前進されることはなく、それどころか、プランジャ260の前進により、今や静止しているアドバンサ220に対してアウターチューブ280が移動される。
図39A-図39Cおよび図38に示すように、プランジャ260がその最遠位位置へと遠位側に更に前進すると、翼220a、220bが更に前進することが壁248a、248bにより阻止されるので、アウターチューブ280は静止アドバンサチューブ220内で移動し、レール250、252はもはや翼220a、220bと作動係合しなくなる。アウターチューブ280が翼型ハウジング214を通ってシール00内に前進されるので、孔閉塞器具101はリテーナ110と係合するのでシース200を通って血管内に前進し続ける。すなわち、プランジャ260の遠位側への完全前進により、孔閉塞器具101がシース200の遠位端から前進される。この位置が図35に示されている。この最遠位位置では、ピン259がロッキングタブ241a、241bによりロックされ、ピン259の近位側移動を防止する。すなわち、プランジャ260がそのストロークを完了すると、ピン259はロッキングタブ241a、241bをバイパスしており、今やこれらのタブ241a、241bにより近位側移動が阻止されている。
【0096】
ひとたびプランジャ260が完全に前進されかつその遠位側位置にロックされる(すなわち近位側移動が阻止される)と、デリバリ器具212が図1-図26のデリバリ器具100と同様に後退され、リテーナ110、112がカバーリング部材104の方向に前進されかつ縫合糸120、122および係合部材が図30Bのハウジングのチャネル内でスライドするときにナイフ274により縫合糸120、122が自動的に切断される。
【0097】
上記説明は多くの特別形態を含んでいるが、これらの特別形態は開示の範囲を制限するものと解釈すべきではなく、本発明の好ましい実施形態の単なる例示であると解釈すべきである。当業者ならば、特許請求の範囲に記載された本発明の精神および範囲内に包含される他の多くの変形例を考えることができるであろう。
【符号の説明】
【0098】
10 デリバリ器具
12 ハンドル部分(ハンドルハウジング)
13 ハウジング(アウターケーシング)
14 アウターチューブ
15 インナーチューブ
16 アドバンサ部分
22 翼型ハウジング
30 ガイドハウジング
37 フィンガタブ
39 アドバンサチューブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
孔カバーリング部材を備えた血管孔閉塞器具を血管内に定置する外科用デリバリ器具において、デリバリ器具が、ハウジングと、該ハウジング内で移動できるアドバンサと、プランジャとを有し、アドバンサは、ハウジング内でカバーリング部材の位置を変えるべく移動でき、プランジャは、カバーリング部材をハウジングから血管内に前進させるべく移動できることを特徴とする外科用デリバリ器具。
【請求項2】
前記アドバンサは、第1部分と、該第1部分にヒンジ連結されかつ孔カバーリング部材を支持するケーシングを形成する遠位側部分とを有し、アドバンサの遠位側への移動により、ケーシングが傾斜位置からよりリニアな位置へとピボットされ、カバーリング部材の方向が傾斜位置からより傾斜した位置へと変化されることを特徴とする請求項1記載の外科用デリバリ器具。
【請求項3】
前記孔閉塞器具は第1および第2フレキシブル部材を有し、第1フレキシブル部材は第1係合部材を有しかつ第2フレキシブル部材は第2係合部材を有し、プランジャは長手方向に延びている第1および第2開口および第1および第2係合部分を有し、第1係合部分は第1係合部材の移動を制限しかつ第2係合部分は第2係合部材の移動を制限し、第1係合部材は、閉塞器具を目標部位に定置する間に所定の力が第1係合部材に加えられるまで第1係合部分により保持され、第2係合部材は、閉塞器具を目標部位に定置する間に所定の力が第2係合部材に加えられるまで第2係合部分により保持されることを特徴とする請求項2記載の外科用デリバリ器具。
【請求項4】
前記第1係合部分は、長手方向に延びている第1開口と整合される第1グロメットの第1開口を有し、前記第2係合部分は、長手方向に延びている第2開口と整合される第2グロメットの第2開口を有することを特徴とする請求項3記載の外科用デリバリ器具。
【請求項5】
前記ハウジングは、ケーシングをよりリニアな位置にピボットさせるべくケーシングと係合できる傾斜内面を有していることを特徴とする請求項2または3記載の外科用デリバリ器具。
【請求項6】
前記プランジャはチューブおよび該チューブの近位側に位置するハンドル部分を有し、該ハンドル部分の遠位側への移動により、チューブがアドバンサのルーメン内で前進されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の外科用デリバリ器具。
【請求項7】
前記アドバンサの遠位側への移動を制限する遠位側ストップを更に有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載の外科用デリバリ器具。
【請求項8】
前記アドバンサを遠位側に移動させる第1アクチュエータを更に有し、該第1アクチュエータはプランジャとは独立して移動できることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項記載の外科用デリバリ器具。
【請求項9】
前記プランジャの初期前進によりアドバンサが遠位側に移動され、プランジャの次の前進によりカバーリング部材が血管内に前進されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項記載の外科用デリバリ器具。
【請求項10】
前記アドバンサとプランジャとを作動連結する第1および第2レールを更に有し、第1および第2レールは、アドバンサが遠位側位置に移動されてストップと接触すると、プランジャとは作動しないように分離されることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項記載の外科用デリバリ器具。
【請求項11】
第1フレキシブル部材および第2フレキシブル部材を有し、第1フレキシブル部材はこれから延びている第1係合部材を備え、第2フレキシブル部材はこれから延びている第2係合部材を備えている血管孔閉塞器具を定置する外科用デリバリ器具において、デリバリ器具はハウジングを有し、該ハウジングは長手方向に延びている第1および第2ルーメンおよび第1および第2部材を備え、第1部材は第1ルーメンと整合した第1開口を備え、第2部材は第2ルーメンと整合した第2開口を備え、第1係合部材は、所定の近位側への力が加えられると第1開口を通り、第2係合部材は、所定の近位側への力が加えられると第2開口を通り、第1係合部材は、閉塞器具を目標部位に定置する間に所定の近位側への力が第1係合部材に加えられるまで第1部材により保持されることを特徴とする外科用デリバリ器具。
【請求項12】
第2係合部材は、閉塞器具を目標部位に定置する間に所定の近位側への力が第2係合部材に加えられるまで第2部材により保持されることを特徴とする請求項11記載の外科用デリバリ器具。
【請求項13】
前記第1フレキシブル部材および第2フレキシブル部材は縫合糸であり、デリバリ器具は、縫合糸を自動的に切断するための、ハウジング内に配置された切断部材を更に有していることを特徴とする請求項11または12記載の外科用デリバリ器具。
【請求項14】
前記第1部材は第3開口を有しかつ第2部材は第4開口を有し、第1係合部材は、第1力が加えられると第1開口を通ることができ、その後、次の力が加えられると第3開口を通ることができ、第2係合部材は、第2力が加えられると第2開口を通ることができ、その後、次の力が加えられると第4開口を通ることができることを特徴とする請求項11〜13のいずれか1項記載の外科用デリバリ器具。
【請求項15】
前記血管孔閉塞器具は、血管の内部に配置するための、遠位端のカバーリング部材と、血管の外部に配置するための第1および第2リテーナとを有し、第1フレキシブル部材はカバーリング部材と第1リテーナとの間に延び、第1係合部材は第1フレキシブル部材の近位側部分に配置され、第2フレキシブル部材はカバーリング部材と第2リテーナとの間に延び、第2係合部材は第2フレキシブル部材の近位側部分に配置され、デリバリ器具の近位側移動により、第1リテーナおよび第2リテーナがカバーリング部材の方向に前進されることを特徴とする請求項11〜14のいずれか1項記載の外科用デリバリ器具。

【図1】
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【図2】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30A】
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【図30B】
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【図31A】
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【図31B】
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【図31C】
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【図32】
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【図33】
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【図34A】
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【図34B】
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【図34C】
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【図35】
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【図36A】
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【図36B】
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【図37】
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【図38】
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【図39A】
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【図39B】
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【図39C】
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【図40】
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【図41】
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【公開番号】特開2013−22454(P2013−22454A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−153336(P2012−153336)
【出願日】平成24年7月9日(2012.7.9)
【出願人】(505301837)レックス メディカル リミテッド パートナーシップ (22)
【Fターム(参考)】