行動追跡システム、行動追跡方法および行動追跡プログラム
【課題】個人が特別な装置を所持する必要がなく、かつ、プライバシーの侵害のおそれがなく、その個人の行動を追跡する。
【解決手段】行動追跡システム1は、制御部11と、識別情報読み取り部12と、人物情報記憶部13と、情報選択部14と、人物位置検知部15と、判定部16と、位置情報記憶部17と、を備える。識別情報読み取り部12は、ユーザ3の識別情報を読み取り、ユーザ3を認識する。判定部16は、複数のユーザ3に対して、人物位置検知部15で検知した位置と、情報選択部14に呼び出したユーザ3の個人性行で表す位置を比較し、距離が小さいユーザ3を、特定のユーザ3と判定する。
【解決手段】行動追跡システム1は、制御部11と、識別情報読み取り部12と、人物情報記憶部13と、情報選択部14と、人物位置検知部15と、判定部16と、位置情報記憶部17と、を備える。識別情報読み取り部12は、ユーザ3の識別情報を読み取り、ユーザ3を認識する。判定部16は、複数のユーザ3に対して、人物位置検知部15で検知した位置と、情報選択部14に呼び出したユーザ3の個人性行で表す位置を比較し、距離が小さいユーザ3を、特定のユーザ3と判定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、行動追跡システム、行動追跡方法および行動追跡プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、センシング技術の発展によって、人の位置を計測したり、人の行動を認識したりすることが可能となりつつある。深夜の駐車場や商店街などのセキュリティ対策のためのセンサ、エレベータのはさまり防止のためのセンサなどが挙げられる。また、人を検知し自動点灯するセンサライトは安全性だけでなく、利便性や省エネの効果があり、多く普及している。
【0003】
センシング技術のみでなくネットワーク技術も進歩しており、さまざまな場所にセンサが設置され、その目的も多様化している。集めた情報を時系列に関連付けてみることで過去に起こったことの追体験をしたり、現在までの情報と過去の情報のマッチングをとって未来を予測し、行動の提案を行うことができる。
【0004】
特許文献1では、データベース部に複数の移動体の識別情報と複数の移動体のそれぞれについての特徴を表すデータ(形状データ/音データ/重量データ)とを対応させて格納することで、発信器を携帯する必要がなく、また移動体が多数ある場合も追跡・識別可能なデータ相関処理を使用した移動体の識別・追跡装置を提供することが記載されている。
【0005】
特許文献2では、カメラにより画像を撮影し、ユーザ認識を行ったり、ユーザ作業行動などを推測し、ユーザごとのキッチン作業状況に応じて、調理設備機能に十分対応した作業支援を自動的に行うことができるキッチン作業支援システムを提供することが記載されている。
【0006】
特許文献3では、センサ群で活動をモニタリングして検知したユーザの活動状態または環境状況に基づいて、ユーザの目標を検出し、その目標を達成するためのユーザの活動を計画し、その計画した活動を示唆する有効な情報を環境や情動に合わせて呈示させることが記載されている。
【0007】
特許文献4では、所定の範囲における特定位置を監視する特定位置センサから、当該特定位置を通過する移動体の情報である移動体情報を取得し、特定位置センサによって取得される移動体情報と照合可能な情報として、追跡センサによる追跡結果を、特定位置を通過する移動体の情報である移動体情報に変換し、変換された移動体情報が特定位置センサによって取得された移動体情報に一致するか否かを照合して、追跡センサによる追跡結果の信頼度を判定することが記載されている。
【0008】
特許文献5では、第1の顔検出部による顔の検出結果と第2の顔検出部による顔の検出結果とに基づいて通行者を分類し、その分類結果に基づいて顔照合部による顔照合処理に用いられる認証用の閾値を調整し、顔照合部は登録者の顔の特徴情報との類似度を算出し、算出した類似度が調整された認証用の閾値以上であるか否かにより通行者が登録者であるか否かを判定する人物認識装置および人物認識方法について記載されている。
【0009】
特許文献6では、電子タグを用いた位置情報追跡システムに関し、GPS機能等に依存することなく、携帯電話に通信が不可能な状況に陥っても、移動体用電子タグは内蔵するバッテリを電源として電磁波を発生させ、識別番号を固定電子タグへ発信することで、児童等の管理対象者の位置情報を追跡することが記載されている。
【0010】
【特許文献1】特開平07−287781号公報
【特許文献2】特開2005−284408号公報
【特許文献3】特開2005−332309号公報
【特許文献4】特開2008−046927号公報
【特許文献5】特開2008−108243号公報
【特許文献6】特開2008−113308号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献1の識別・追跡装置では、備えるセンサを、方向センサ、距離センサ、重量センサ、音センサとしており、設置が困難となるおそれがある。特許文献2や特許文献5の技術では、設置されたカメラにより監視されるため、個人のプライバシーが侵害されてしまうおそれがある。特許文献3や特許文献6の技術では、電子タグやセンサをユーザが所持または装着し、移動に応じて位置を通知する必要があり、日常生活において不便であった。特許文献4の追跡信頼度判定では、移動体は主に車両を想定しており、人を想定した場合と行動パターンが異なる。
【0012】
本発明は上述の事情に鑑みてなされたもので、個人が特別な装置を所持する必要がなく、かつ、プライバシーの侵害のおそれがなく、その個人の行動を追跡できる行動追跡システム、行動追跡方法および行動追跡プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第1の観点に係る行動追跡システムは、
行動を追跡する対象の人について、その人に固有の識別符号と、その人の個人性行を表す情報とを対応づけて記憶する記憶手段と、
行動を追跡する対象の限られた空間に存在する人の前記識別符号を取得する認識手段と、
前記空間を区分した場所ごとに、人の存在を検知し、人が存在する場所を表す位置情報を取得する人検知手段と、
前記人検知手段で取得した位置情報と、前記認識手段で取得した前記空間に存在する人の識別符号に対応する個人性行を表す情報とを比較して、前記位置情報に最も近い個人性行を表す情報に対応する識別符号を、その場所に存在する人の位置情報に対応づける判定手段と、
を備えることを特徴とする。
【0014】
本発明の第2の観点に係る行動追跡方法は、
行動を追跡する対象の限られた空間に存在する人に固有の識別符号を取得する認識ステップと、
前記認識ステップで認識した識別符号に対応する人の個人性行を表す情報を取得する個人性行情報取得ステップと、
前記空間を区分した場所ごとに、人の存在を検知し、人が存在する場所を表す位置情報を取得する人検知ステップと、
前記人検知ステップで取得した位置情報と、前記個人性行情報取得ステップで取得した前記空間に存在する人の識別符号に対応する個人性行を表す情報とを比較して、前記位置情報に最も近い個人性行を表す情報に対応する識別符号を、その場所に存在する人の位置情報に対応づける判定ステップと、
を備えることを特徴とする。
【0015】
本発明の第3の観点に係る行動追跡プログラムは、
コンピュータに、
行動を追跡する対象の限られた空間に存在する人に固有の識別符号を取得する認識ステップと、
前記認識ステップで認識した識別符号に対応する人の個人性行を表す情報を取得する個人性行情報取得ステップと、
前記空間を区分した場所ごとに、人の存在を検知し、人が存在する場所を表す位置情報を取得する人検知ステップと、
前記人検知ステップで取得した位置情報と、前記個人性行情報取得ステップで取得した前記空間に存在する人の識別符号に対応する個人性行を表す情報とを比較して、前記位置情報に最も近い個人性行を表す情報に対応する識別符号を、その場所に存在する人の位置情報に対応づける判定ステップと、
を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、個人が特別な装置を所持する必要がなく、かつ、プライバシーの侵害のおそれがなく、その個人の行動を追跡することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明で、個人性行とは、行動的特徴(癖)が、何らかの場所と関連した行動を示すもののことをいう。例えば、タバコをよく吸う人は灰皿の近くに行く、コーヒーをよく飲む人は何度も販売機の前に立ち止まる、などである。また、本発明では、職場で決まった座席に着くなど、場所により本人が特定できる場合も含む。さらに、場所とは関連していないが、移動速度も個人性行に含む。
【0018】
本発明で、プライバシーの侵害とは、個人の行動の内容を知ることをいい、個人が行った場所を知ることを含まないものとする。
【0019】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付す。
【0020】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る行動追跡システム全体の構成例を示すブロック図である。行動追跡システム1は、制御部11と、識別情報読み取り部12と、人物情報記憶部13と、情報選択部14と、人物位置検知部15と、判定部16と、位置情報記憶部17と、を備える。制御部11で動作するプログラムで、識別情報読み取り部12、人物情報記憶部13、情報選択部14、人物位置検知部15、判定部16、位置情報記憶部17のそれぞれは自立的な動作が実現する。
【0021】
識別情報読み取り部12は、タグ31から識別情報を受信する。識別情報読み取り部12は、タグ31が送信する信号を受信し、タグ31の情報を検知する。タグ31は、ユーザが何らかの形で所持しているもので、例えば、入館カード、もしくは、携帯電話や腕時計などにICチップなどの形で組み込まれる。非接触型の無線通信が可能なタイプや、カードリーダに直接通すタイプなど、タグ31の種類により、信号の受信方法は様々である。
【0022】
人物情報記憶部13は、ユーザ3のタグ31の識別子と、そのタグ31を所持しているユーザ3の名前や識別番号などと個人性行について記憶する。名前や識別番号などと個人性行は、対応付けられて記憶される。人物情報記憶部13に記憶するユーザ3は、行動追跡システム1で行動を追跡する所定のユーザ3についてであり、ユーザ3は複数であってもよい。予め、キーボードなどの入力装置(図示せず)を用いて、情報を入力し、記憶しておく。
【0023】
図2に、人物情報記憶部13に記憶する個人情報の一例を示す。個人情報には、ユーザIDや氏名、その個人の個人性行を示す。個人性行の例として、部屋に入ってすぐに空調機やテレビを付けたり、蛍光灯の明かりを1つ暗めのものを使用したり、決まった椅子に座ったり、などの日常生活における行動が挙げられる。
【0024】
情報選択部14は、何らかの情報を入力された場合に、対応する情報を人物情報記憶部13から読み出す。例えば、個人性行を表す情報からユーザ3の名前を読み出したり、ユーザ3の識別番号から個人性行を表す情報を読み出したりすることができる。
【0025】
人物位置検知部15は、センサ2の情報を変換し、ユーザ3の位置を検知する。センサ2は、検知できる範囲を分割した部分のそれぞれに対して、存在する人を検知し、その情報を人物位置検知部15に送信する。例えばセンサ2は、赤外センサなどである。設定エリア内での人の動きを感知する場合、まず、物体から放射される赤外エネルギーの波長分布の変化を測定する。変化を検知した方向が、人の存在する方向であり、人の存在する位置としての情報となる。センサ2を回転させて受光した方位を検知する方法や、受光素子を並べる方法でもよく、センサ2とは異なるが、赤外線カメラで撮像した画像から人の位置を検出してもよい。センサ2の稼働は、識別情報読み取り部12で、タグ31の情報を検知した時から開始しておく。
【0026】
判定部16は、人物位置検知部15の検知した位置と、情報選択部14に呼び出されたユーザ3の個人性行を比較し、どのユーザ3であるかを判定する。ユーザ3の行動する範囲は、個人性行と深く結びついており、特徴がそれぞれ異なる。検知した位置から、そこに居る可能性が高いユーザ3が選択され、判定部16により判定される。
【0027】
位置情報記憶部17は、人物位置検知部15で検知した情報を記憶・保存する。このとき記憶する情報は、ユーザ3の位置情報などである。ユーザ3を判定できている場合は、位置情報だけでなく、名前や番号などの個人を特定する情報も合わせて記憶・保存する。
【0028】
図3は、実施の形態1に係る行動追跡システムの設定エリアを示す一例である。図3の点線は、各々のユーザ3の行動の追跡を示したものである。設定エリア4の入口4D付近に、行動追跡システム1を設置しており、設定エリア4の片隅に、センサ2を設置する。例えば図3のように、屋内で、かつ、部屋の隅につける場合、平面で見たときに、中心角85度、半径12mの範囲を測定可能なセンサ2を用いる。
【0029】
ユーザ3は、ユーザ3Aとユーザ3Bの2人の場合を設定する。個人性行は、ユーザ3Aはタバコを吸うこと、ユーザ3Bは窓を開けること、が記載されているものとする。その個人情報の個人性行により、入室後に、ユーザ3Aは灰皿のある場所に向かい、ユーザ3Bは窓のある場所に向かうことが予測される。
【0030】
ユーザ3A、3Bは、入室時に行動追跡システム1にタグ31の読み取りをさせ、設定エリア4に入る。行動追跡システム1の識別情報読み取り部12は、タグ31の情報を検知する。タグ31の情報を検知し、設定エリア4にユーザ3の存在が認識され、センサ2は稼働を開始する。
【0031】
識別情報読み取り部12は、タグ31の情報を人物情報記憶部13に送り、ユーザ3は、ユーザ3A、3Bであることが分かる。人物位置検知部15は、測定する時間における分割された部分のエリアに対して、センサ2で人の存在の有無を検知し、ユーザ3の位置データを作成する。このとき、行動追跡システム1は、設定エリア4内に、ユーザ3は2人存在することと、位置データは2箇所を示すことの、情報を備える。
【0032】
2人のユーザ3A、3Bが設定エリア4内に入り、各々が別々に行動し、同時刻・同場所での接点がない場合は、各々のユーザ3をそのまま行動追跡することが可能である。同時刻・同位置に接触した場合、例えば、ほぼ同時刻で入室した場合は、どのユーザ3かは分からないまま、行動追跡を行う。
【0033】
情報選択部14は、設定エリア4に入ったユーザ3が誰であるかを判定でき次第、そのユーザ3の個人性行の表す情報を人物情報記憶部13から選択しておく。センサ2で検知した位置情報は人物位置検知部15に伝えられる。判定部16は、人物情報記憶部13から選択した個人性行の表す情報と、人物位置検知部15で検知した位置を比較し、検知した位置にいるユーザ3が、どちらのユーザ3であるかの判定を行う。
【0034】
例えば、人物位置検知部15の検知した位置が、徐々に灰皿に向かうのであれば、人物情報記憶部13の個人性行より、ユーザ3はユーザ3Aである可能性が高い。判定部16は、個人性行の表す情報から予測される範囲(閾値)内に、ユーザ3を検知した情報があれば、ユーザ3は、ユーザ3Aであると判断する。同様に判定部16は、窓付近にユーザ3を検知した情報と、個人性行に書かれた窓を開けるという情報を結び付け、個人性行からユーザ3を特定し、ユーザ3はユーザ3Bであると判断する。
【0035】
検知した位置をそれぞれのユーザ3について、位置情報記憶部17に記憶・保存する。所定時間経過毎に、センサ2による位置情報を人物位置検知部15で検知し、位置情報記憶部17に記憶し、行動追跡を行う。行動追跡の終了は、設定エリア4に入ったときのように、識別情報読み取り部12に、設定エリア4から出ることを情報として与えてもよい。識別情報の読み取りをせずに、センサ2の測定できる範囲から逸脱した場合や、設定エリア4から外に出た場合も、行動追跡を終了してもよい。また、設定エリア4に入ってから所定時間経過するまでや、ユーザ3が同じ位置に一定時間とどまっている場合など、目的に合わせて任意に設定できる。
【0036】
例えば、会社の場合であれば、勤務開始時刻から15分が経過するまで行動追跡するようにシステムを設定しておく。また、家の寝室であれば、同じ場所(ベッド)を5分以上示したら、行動追跡を止めるようにシステムを設定しておく。
【0037】
図4は、実施の形態1に係る行動追跡システムの動作の、在場認識の一例を示すフローチャートである。図5は、実施の形態1に係る行動追跡システムの動作の、個人位置判定の一例を示すフローチャートである。行動追跡システム1は、図1を参照する。ユーザ3および設定エリア4は、図3を参照する。
【0038】
まず、在場認識を行う。識別情報読み取り部12は常に信号の送受信を行い、タグ31の情報を読み取るなどして、ユーザ3の識別情報を読み取る(ステップS11)。そして、特定のユーザ3が設定エリア4内へ入ることを認識する(ステップS12;YES)。人物情報記憶部13にある個人情報と、タグ31から読み取りした情報を照合し、ユーザ3が在場することを、例えば人物情報記憶部13または位置情報記憶部17に記憶する(ステップS13)。同様にして情報を読み取り、設定エリア4内から外へ出ることが認識できると(ステップS14;YES)、そのユーザ3が在場する情報の記憶を消去する(ステップS15)。
【0039】
常に、識別情報読み取り部12はキャリアの送受信をしており、ユーザ3の識別情報の有無から、設定エリア4内のユーザ3の在場を認識する。設定エリア4内へユーザ3が入ってこない場合(ステップS12;NO)は、ユーザ3が在場する情報の記憶は行われない。また、設定エリア4からユーザ3が出ない場合(ステップS14;NO)は、ユーザ3が在場する情報の記憶の消去も行われない。在場認識で得られる情報から、設定エリア4内にどのユーザ3がいるのかが分かり、情報選択部14は在場認識されたユーザ3の個人性行に関する情報の選択を行う。
【0040】
次に、個人位置の判定を行う。個人性行を示す情報を選択するときの順番をユーザ3に振り分けたものをi番目、ユーザ3の存在する人数の数だけ示された位置に番号を振り分けたものをj番目とおく。このときi番目より、特定のユーザ3を特定することができる。
【0041】
ユーザ3はn人で、n箇所の位置を検知する。全てのユーザ3について、全ての検知した位置を、個人性行で示す位置から想定される行動範囲の閾値内にあるかを判定することで、ユーザ3の特定をすることができる。ユーザ3の位置を検知した状態(ステップS21)から、その位置にいるユーザ3が誰であるかの判定動作を開始する。在場認識されたユーザ3の個人性行に関する情報の、n人分の個人性行のi番目、ここでは1つ目を選択する(ステップS22)。複数箇所について検知した位置の、n箇所のj番目、ここでは1つ目を選択する(ステップS23)。また、Min(i)をとりうる最大値に設定する。そして、個人性行に示される位置と検知した位置との距離d(i、j)を算出する(ステップS24)。距離dは、例えば、空間上の距離(性行情報にある場所と検知位置との距離)と時間上の距離(性行情報のその場所に行く時間と現在時間の差)の線形和で表すことができる。その他、時空間における性行情報と検知位置・時刻との距離を表す何らかの評価関数を用いることができる。
【0042】
その算出した距離d(i、j)が、考え得る位置の距離Min(i)より小さければ(ステップS25;YES)、判定部16は、そのi番目のユーザ3の個人性行が示す位置と、j番目の位置が一致したとして、位置j番目にいる人をi番目のユーザ3と判定する(ステップS26)。すなわち、Min(i)をd(i,j)で置き換え、その位置のユーザ3を表す変数p(j)にi番目のユーザ3の識別符号ID(i)を対応づける。
【0043】
そして、位置j番の次の番号(j+1)である位置(j+1)番目に進む(ステップS27)。距離d(i、j)が、考え得る位置の距離Min(i)より大きければ(ステップS25;NO)、i番目のユーザ3の個人性行が示す位置とj番目の位置は不一致であるものとして、位置j番の次の番号(j+1)である位置(j+1)番目に進む(ステップS27)。
【0044】
位置番号jがnより小さい場合(ステップS28;NO)は、ステップS24に戻り、繰り返す。徐々に位置の番号を増やし、n箇所の位置全ての確認を終えるまで、繰り返し行う。最初のユーザ3であるi番目のユーザ3について、全ての位置の確認を行う。
【0045】
位置番号jがnより大きくなった場合(ステップS28;YES)は、次のユーザ3、すなわち(i+1)番目のユーザ3の個人性行の場合へ進む(ステップS29)。同様に、(i+1)番目の人についても、全ての位置の確認を行う。n人全ての確認を終えるまで、徐々に個人性行が示す位置の番号を増やしていくため、位置番号iがnより小さい場合は(ステップS30;NO)、ステップS23に戻り、繰り返す。nより大きい場合は(ステップS30;YES)は、全てのユーザ3について確認を終えており、個人位置の判定を終了する。
【0046】
フローチャートには記載していないが、2つの検知位置に同一のユーザ3が対応づけられる場合は、近い方の位置を優先し、他方の位置を他のユーザ3に対応づける。または、2つの検知位置に同一のユーザ3であるとされた場合、そのユーザ3の個人位置の判定結果を消去し、最後のn番目に個人位置の判定を行うように、プログラムしてもよい。どちらかの位置に、他のユーザ3の対応記録があれば、消去法により、残った方の位置にユーザ3が対応づけられる。
【0047】
全てのユーザ3について、その個人性行が示す位置と、検知した位置とを比較し、判定部16は、その位置にいる最も適したユーザ3を特定することができる。判定部16で判定を終え、特定のユーザ3と、人物位置検知部15で検知した位置情報を、位置情報記憶部17で併せて記憶する。性行で表す位置と検知した位置から、複数のユーザ3が特定された場合や、特に近い結果がなく、ユーザ3が未特定の場合は、ユーザ3は未特定として記憶する。
【0048】
特定のユーザ3と、その位置を記憶していくことで、ユーザ3の行動を追跡することができる。特定のユーザ3の行動を追跡できるにもかかわらず、ユーザ3は設定エリア4に入るときに識別情報を読み取らせるだけで、手間がかからない。複数のユーザ3がほぼ同時に設定エリア4内に入りユーザ3未特定となった場合や、追跡の途中に、接触により、ユーザ3未特定となった場合でも、個人位置判定を行うことで、ユーザ3を判定することができる。さらに、未特定の履歴があった場合でも、特定した時点から遡って、ユーザ3の行動を追跡できる場合がある。
【0049】
(実施の形態2)
図6は、本発明の実施の形態2に係る行動追跡システム全体の構成例を示すブロック図である。実施の形態2に係る行動追跡システム10は、基本的な構造は、実施の形態1に示す行動追跡システム1と同様である。実施の形態2では、センサ2が複数備えられ、そのセンサ2の位置を管理するセンサ位置管理部18が追加されている。また、位置情報記憶部17を設けた履歴記録管理部19が備えられる。また、実施の形態2では、ユーザ3はタグ31を所持しておらず、例えば指紋認証とパスワード入力などで、設定エリア4内へ出入りするものとする。
【0050】
図7は、実施の形態2に係る行動追跡システムの設定エリアを示す一例である。図7の点線は、各々のユーザ3(ユーザ3A、ユーザ3B)の行動の追跡を示したものである。ユーザ3は、ドア41D、42D、43Dを通り、設定エリア4に隣接する設定エリア41、42、43へ移動できる。設定エリア4内の、特にドア41D、42D、43D付近の人の動きを観測できる位置に、センサ21、22、23が取り付けられる。それぞれのセンサ21、22、23により、設定エリア41、42、43へ移動するときのユーザ3の行動を追跡することができる。
【0051】
行動追跡システム10は、識別情報を読み取りする読み取り装置32が別途備えられており、読み取り装置32で読み取られた情報が、行動追跡システム10の識別情報読み取り部12に通信により伝達される仕組みである。通信は、無線であっても、有線であってもよい。
【0052】
判定部16は、その内部に情報選択部14を備える。主に、情報選択部14は、識別情報読み取り部12で識別されたユーザ3の個人性行などの個人情報を選択する。判定部16は、その情報をもとに、人物位置検知部15の位置と情報を照合する。
【0053】
センサ位置管理部18は、複数のセンサ21、22、23の位置の情報を記憶する。設定エリア4が複雑な形状であったり、広い場合など、1つのセンサ2では、設定エリア4内を網羅することができず、複数のセンサ2を要する。センサ位置管理部18は、設定エリア4内の様々な場所に置かれた複数のセンサ2の、センサ2位置と設定エリア4を照合する。センサ位置管理部18により、設定エリア4全体におけるユーザ3の位置を把握し、ユーザ3の行動をスムーズに行動追跡することができる。
【0054】
履歴記録管理部19は、位置情報記憶部17の記録の他に、ユーザ3の行動に関する記録を保存する。位置情報記憶部17で記録している時間と位置の情報を、時間を軸にとり、位置の変化を記録してもよい。以下、時間と位置を経時変化で捉えたものを軌跡と称する。他に、人物情報記憶部13の個人性行と、実際のユーザ3の行動が一致しているかの履歴を記録しておき、個人情報の個人性行を更新する際に用いることができる。また、ユーザ3を行動により特定できなかった場合の、未特定のユーザ3の行動履歴を一時的に記憶・保存する。
【0055】
未特定のユーザ3であっても、ある時間から、どのユーザ3であるかが分かれば、それまでの連続した軌跡は、そのユーザ3のものであることが分かる。また、ユーザ3全体の様子(設定エリア4内にいる人数など)を把握したり、他のユーザ3を特定していくことで、未特定のユーザ3を特定することが可能となる。
【0056】
図8は、実施の形態2に係る行動追跡の軌跡データの一例を示す図である。図中のハイフンは、記録データ無しを示す。図8(a)は、軌跡基本データである。センサ2で位置を検知した時間の時刻tと、そのときの検知した位置の座標(x、y)を記録していく。経時変化するときの、隣接した位置を連続して記録することで、軌跡を抽出することができる。軌跡基本データの最上列にあるID番号は、ユーザ3を特定したときに、ユーザ3を示す番号が入る。
【0057】
ユーザ3が接触するなどして、同時刻にほぼ同じ位置に存在し、次の隣接した位置を捉えることができなくなった場合に、図8(b)の軌跡保留データに記録が行われる。図8(a)の時刻tn1において、軌跡Aと軌跡Bが同じ座標を示したため、軌跡A、Bは、次の時刻tn2からの座標が、軌跡X、Yとして軌跡保留データに記録されていく。このとき、軌跡Aの続きは、軌跡Xもしくは軌跡Yとなるが、どちらであるか分からない。軌跡に対応する個人性行で表す位置から、ユーザ3の特定を行い、対応する軌跡A、および軌跡Aに連続する軌跡X、もしくはYを決定することで、保留データであった軌跡を併せて、ユーザ3の履歴として記録することができる。例えば、ID番号aを持つユーザ3の個人性行と、軌跡A、軌跡Yが対応づけられた場合、時刻tn1以前の座標の記録からなる軌跡Aと、時刻tn2以降の座標の記録からなる軌跡Yは、特定したユーザ3の軌跡として、まとめられ、履歴記録管理部19に保存される。
【0058】
図9は、実施の形態2に係る行動追跡システムの動作の、行動軌跡抽出の一例を示すフローチャートである。図10は、実施の形態2に係る行動追跡システムの動作の、個人軌跡判定の一例を示すフローチャートである。行動追跡システム10は、図6を参照する。ユーザ3および設定エリア4は、図7を参照する。また、個人情報の個人性行の1つとして、ユーザ3Aは設定エリア42内で作業をすること、ユーザ3Bは設定エリア43内で作業をすることが記載されているものとする。
【0059】
先に、図4に示す、在場認識をしておく。設定エリア4内に存在するユーザ3の認識をし、ユーザ3が在場することを、例えば人物情報記憶部13または位置情報記憶部17に記憶する。
【0060】
次に、行動軌跡抽出を行う。人物位置検知部15はセンサ2の情報を受け、ユーザ3の位置を検知し(ステップS31)、位置情報記憶部17はその位置を一旦記憶しておく(ステップS32)。時間経過毎にデータは増えていき、時間と位置との関係を示す軌跡を抽出することが可能となる。履歴記録管理部19は、位置情報記憶部17と時間のデータより、軌跡を抽出し(ステップS33)、軌跡を記録する(ステップS34)。
【0061】
次に、個人位置の判定を行う。個人性行を示す情報を選択するときの順番をユーザ3に振り分けたものをi番目、ユーザ3の存在する人数の数だけ示された軌跡に番号を振り分けたものをk番目とおく。このときi番目より、特定のユーザ3を特定することができる。
【0062】
ユーザ3はn人で、n通りの軌跡を抽出する。全てのユーザ3について、全ての抽出した軌跡を、個人性行で示す位置から想定される行動範囲の閾値内にあるかを判定することで、ユーザ3の特定をすることができる。ユーザ3の軌跡を抽出した状態(ステップS41)から、その軌跡がどのユーザ3であるかの判定動作を開始する。在場認識されたユーザ3の個人性行に関する情報の、n人分の個人性行のi番目、ここでは1つ目を選択する(ステップS42)。複数通りについて抽出した軌跡の、n通りのk番目、ここでは1つ目を選択する(ステップS43)。また、Min(i)をとりうる最大値に設定する。
【0063】
そして、個人性行に示される位置と抽出した軌跡との距離d(i、k)を算出する(ステップS44)。距離dは、例えば、軌跡の各位置と性行情報の各場所との間の、空間上の距離(性行情報にある場所と検知位置との距離)と時間上の距離(性行情報のその場所に行く時間と現在時間の差)の線形和の総和で表すことができる。その他、時空間における性行情報と軌跡との距離を表す何らかの評価関数を用いることができる。
【0064】
その算出した距離d(i、k)が、考え得る軌跡の距離Min(i)より小さければ(ステップS45;YES)、判定部16は、そのi番目のユーザ3の個人性行が示す位置と、k番目の軌跡が一致したとして、軌跡k番目にいる人をi番目のユーザ3と判定する(ステップS46)。すなわち、Min(i)をd(i,k)で置き換え、その軌跡のユーザ3を表す変数p(k)にi番目のユーザ3の識別符号ID(i)を対応づける。
【0065】
そして、軌跡k番の次の番号(k+1)の軌跡に進む(ステップS47)。距離d(i、k)が、考え得る軌跡の距離Min(i)より大きければ(ステップS45;NO)、i番目のユーザ3の個人性行が示す位置とk番目の軌跡は不一致であるものとして、軌跡k番の次の番号(k+1)の軌跡に進む(ステップS47)。
【0066】
軌跡番号kがnより小さい場合(ステップS48;NO)は、ステップS44に戻り、繰り返す。徐々に軌跡の番号を増やし、n通りの軌跡全ての確認を終えるまで、繰り返し行う。最初のユーザ3であるi番目のユーザ3について、全ての軌跡の確認を行う。
【0067】
軌跡番号kがnより大きくなった場合(ステップS48;YES)は、次のユーザ3、すなわち(i+1)番目のユーザ3の個人性行の場合へ進む(ステップS49)。同様に、(i+1)番目の人についても、全ての軌跡の確認を行う。n人全ての確認を終えるまで、徐々に個人性行が示す位置の番号を増やしていくため、位置番号iがnより小さい場合は(ステップS50;NO)、ステップS43に戻り、繰り返す。nより大きい場合は(ステップS50;YES)は、全てのユーザ3について確認を終えており、個人軌跡の判定を終了する。
【0068】
フローチャートには記載していないが、2つの軌跡に同一のユーザ3が対応づけられる場合は、近い方の軌跡を優先し、他方の軌跡を他のユーザ3に対応づける。または、2つの軌跡に同一のユーザ3であるとされた場合、そのユーザ3の個人位置の判定結果を消去し、最後のn番目に個人位置の判定を行うように、プログラムしてもよい。どちらかの軌跡に、他のユーザ3の対応記録があれば、消去法により、残った方の軌跡にユーザ3が対応づけられる。
【0069】
全てのユーザ3について、その個人性行が示す位置と、抽出した軌跡とを比較し、判定部16は、その軌跡にいる最も適したユーザ3を特定することができる。判定部16で判定した特定のユーザ3と、抽出した軌跡であって、位置情報記憶部17に仮に記憶しておいた軌跡の情報とを併せて履歴記録管理部19に記憶する。性行で表す位置と抽出した軌跡から、複数のユーザ3が特定された場合や、特に近い結果がなく、ユーザ3が未特定の場合は、ユーザ3は未特定として、履歴記録管理部19に記憶する。
【0070】
特定のユーザ3と、その軌跡を記憶していくことで、ユーザ3の行動を追跡することができる。特定のユーザ3の行動を追跡できるにもかかわらず、ユーザ3は設定エリア4に入るときに識別情報を読み取らせるだけで、手間がかからない。複数のユーザ3がほぼ同時に設定エリア4内に入りユーザ3未特定となった場合や、追跡の途中に、接触により、ユーザ3未特定となった場合でも、個人軌跡判定を行うことで、ユーザ3を判定することができる。さらに、未特定の履歴があった場合でも、特定した時点から遡って、ユーザ3の行動を追跡できる場合がある。
【0071】
特に、軌跡を用いてユーザ3の特定を行うので、位置を用いて特定する場合に比べて、信頼度が高くなる。また、軌跡そのものを行動追跡のデータとして用いることができる。軌跡のデータを、ユーザ3の個人性行のデータ更新に活用することで、より、信頼度の高い行動追跡が可能となり、ユーザ3未特定の場合が生じた場合であっても、再度、ユーザ3の特定を行うまでの時間を短縮することができる。
【0072】
性行で表す位置と軌跡が、最も近い場合のユーザ3の情報が設定されることになり、制御部11の指示を受け、判定部16は、ユーザ3の特定を行う。制御部11は、履歴記録管理部19に保存されている記録に、判定部16で判定した特定のユーザ3の記録を併せて記録する。軌跡と性行で表す位置から、複数のユーザ3が特定された場合や、どのユーザ3も該当しないなどの未特定の場合は、ユーザ3未特定として記録を行う。抽出した軌跡がn個の場合は、n個の軌跡について、それぞれ個人軌跡判定が行われる。
【0073】
以上説明したように、本実施の形態に係る行動追跡システムによれば、ユーザ3がタグなどを備えた装置を常に所持していなくても、行動追跡が可能である。それにより、ユーザ3は、設定エリア4内に入る時に入室時の認証手続き(例えば、入館カードを読み取り機に通したり、携帯電話を読み取り機にかざすなど)をするだけでよく、設定エリア4内の移動の際に、特別な装置などを持つことない。また、行動追跡の方法として、監視カメラを用いることなく位置情報のみで済み、プライバシーを保護することができる。
【0074】
本実施の形態では、ユーザ3が設定エリア4内へ出入りする際に、タグ31をICカードや携帯電話などを所持する場合、および、指紋による生体認証の場合について例を挙げて説明した。ユーザ3の識別情報の認証方法は、ユーザ3の認証が可能であればよく、生体認証の場合は、他に、瞳の中の虹彩、指静脈、音声など、様々な方法がある。また、パスワードを認証機械に直接入力する方法や、顔認識とパスワード入力、タグ31とパスワード入力など、認証方法を幾つか組み合わせて用いてもよい。
【0075】
本実施の形態では、個人性行について、特に本人の趣向と関連する行動についてのみ説明したが、上述した例に限らず、適用可能である。例えば、ユーザ3がよく利用する座席の位置を、ユーザ3を特定する情報に用いてもよい。会社であれば机の場所、家であればリビングに置かれたソファの1つの場所など、ユーザ3がよく利用する場所を個人性行の情報とすることができる。また、ユーザ3の行動追跡を軌跡として記録する際に、ユーザ3の移動速度を個人性行の1つにすることができる。
【0076】
また、人物位置検知部15で検知した位置情報を記憶する時間の間隔を短くしておくことで、ユーザ3の行動追跡が正確かつ高精度になる。測定する間隔が短い場合は、頻繁にユーザ3の位置情報が更新され、ユーザ3の予測される行動範囲も小さくて済み、かつ、予測と実際の位置の誤差も少なくなり、ユーザ3の行動追跡が行いやすい。また、ユーザ3の足取りも細かく測定できる。
【0077】
さらに、ユーザ3の履歴記録管理部19にある、過去の行動履歴と、人物情報記憶部13に記録された個人性行を比較し、個人性行のデータを、ユーザ3に合わせて更新してもよい。ユーザ3の行動に即した情報を記録しておくことで、より、ユーザ3の特定が行いやすくなる。特に行動追跡を行う対象のユーザ3が多いときなど、ユーザ3の個人性行などの特徴を細かく検知した位置に反映することで、ユーザ3の特定が行いやすくなる利点がある。また、ユーザ3の特定ができなくなった場合でも、そのユーザ3の行動パターンにより、再度ユーザ3を特定できるようになる。
【0078】
なお、センサ2は、赤外線センサを用いることで、人感知の精度が高いだけでなく、簡易に設置ができ便利である。赤外線センサは、感知距離や感知角度が大きいものが多く、使用するセンサ2の数を最小限にすることが可能である。赤外線センサは、熱による感知の精度が高いが、さらに人の体温に合わせた波長の6〜14μmを透過するフィルタを用いることで、他に動くものがあった場合であっても、人の動きのみを感知できる。但し、必ずしも赤外線センサに限らず、振動による感知を用いた超音波センサなどでもよい。また、赤外線カメラでもかまわない。プライバシーを侵害することなく、個人の行動追跡が可能であればよい。
【0079】
図11は、図1に示す活動記録文書作成システム1のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。図6に示す活動記録文書作成システム10のハードウェア構成も基本構造は同じである。行動追跡システム1は、図11に示すように、制御部21、主記憶部22、外部記憶部23、操作部24、表示部25、入出力部26および送受信部27を備える。主記憶部22、外部記憶部23、操作部24、表示部25、入出力部26および送受信部27はいずれも内部バス20を介して制御部21に接続されている。
【0080】
制御部21はCPU(Central Processing Unit)等から構成され、外部記憶部23に記憶されている制御プログラム30に従って、行動追跡システム1の人物情報記憶部13、情報選択部14、人物位置検知部15および判定部16等の各処理を実行する。
【0081】
主記憶部22はRAM(Random-Access Memory)等から構成され、外部記憶部23に記憶されている制御プログラム30をロードし、制御部21の作業領域として用いられる。
【0082】
外部記憶部23は、フラッシュメモリ、ハードディスク、DVD−RAM(Digital Versatile Disc Random-Access Memory)、DVD−RW(Digital Versatile Disc ReWritable)等の不揮発性メモリから構成され、行動追跡システム1の処理を制御部21に行わせるためのプログラムを予め記憶し、また、制御部21の指示に従って、このプログラムが記憶するデータを制御部21に供給し、制御部21から供給されたデータを記憶する。
【0083】
操作部24はキーボード及びマウスなどのポインティングデバイス等と、キーボード及びポインティングデバイス等を内部バス20に接続するインターフェース装置から構成されている。操作部24を介して、個人情報、特に個人情報の1つである個人性行などが入力され、制御部21に供給される。
【0084】
表示部25は、CRT(Cathode Ray Tube)又はLCD(Liquid Crystal Display)などから構成され、位置検出する対象の登録された人および個人性行を含む個人情報や、位置情報などを表示する。
【0085】
入出力部26は、シリアルインタフェースまたはパラレルインタフェースから構成されている。入出力部26は、タグの情報を読み取る装置が装置本体に内蔵されてなく外部取り付けの場合は、それと接続する。入出力部26は、人を感知して測定するセンサ2と接続する。
【0086】
送受信部27は、ネットワークに接続する網終端装置または無線通信装置、及びそれらと接続するシリアルインタフェース又はLAN(Local Area Network)インタフェースから構成されている。送受信部27は、ネットワークを介して、行動追跡した記録を送信し、また、個人性行などを受信する。
【0087】
図1に示す行動追跡システム1の人物情報記憶部13、情報選択部14、人物位置検知部15および判定部16等の処理は、制御プログラム30が、制御部21、主記憶部22、外部記憶部23、操作部24、表示部25、入出力部26および送受信部27などを資源として用いて処理することによって実行する。
【0088】
その他、本発明の好適な変形として、以下の構成が含まれる。
【0089】
本発明の第1の観点に係る行動追跡システムについて、
好ましくは、前記人検知手段で取得した人の存在場所とその時刻を含む位置情報を記憶する人位置記憶手段と、
前記人位置記憶手段で記憶した位置情報から、人の移動軌跡を抽出する軌跡抽出手段と、
を備え、
前記判定手段は、前記軌跡抽出手段で抽出した人の移動軌跡と、前記認識手段で取得した前記空間に存在する人の識別符号に対応する個人性行を表す情報とを比較して、人の移動軌跡に最も近い個人性行を表す情報に対応する識別符号を、その移動軌跡の人に対応づける、
ことを特徴とする。
【0090】
好ましくは、前記判定手段で判定した、位置情報と識別符号の対応を表す情報を記録する記録手段を備えることを特徴とする。
【0091】
好ましくは、前記人検知手段は、前記区分した場所ごとに配置される人検知センサを備え、前記人検知センサの検出情報によって人の存在を検知し、予め記憶された前記人検知センサの位置で、人の存在する場所を特定する。
【0092】
本発明の第2の観点に係る行動追跡方法について、
好ましくは、前記人検知ステップで取得した人の存在場所とその時刻を含む位置情報を記憶する人位置記憶ステップと、
前記人位置記憶ステップで記憶した位置情報から、人の移動軌跡を抽出する軌跡抽出ステップと、
を備え、
前記判定ステップは、前記軌跡抽出ステップで抽出した人の移動軌跡と、前記個人性行情報取得ステップで取得した前記空間に存在する人の識別符号に対応する個人性行を表す情報とを比較して、人の移動軌跡に最も近い個人性行を表す情報に対応する識別符号を、その移動軌跡の人に対応づける、
ことを特徴とする。
【0093】
好ましくは、前記判定ステップで判定した、位置情報と識別符号の対応を表す情報を記録する記録ステップを備えることを特徴とする。
【0094】
好ましくは、前記人検知ステップは、前記区分した場所ごとに配置される人検知センサから検出情報を受信することよって人の存在を検知し、予め記憶された前記人検知センサの位置情報から人の存在する場所を特定することを特徴とする。
【0095】
その他、前記のハードウエア構成やフローチャートは一例であり、任意に変更および修正が可能である。
【0096】
人物情報記憶部13、情報選択部14、人物位置検知部15、判定部16、等から構成される行動追跡する人の特定を行うシステムの中心となる部分は、専用のシステムによらず、通常のコンピュータシステムを用いて実現可能である。たとえば、前記の動作を実行するためのコンピュータプログラムを、コンピュータが読みとり可能な記録媒体(フレキシブルディスク、CD−ROM、DVD−ROM等)に格納して配布し、当該コンピュータプログラムをコンピュータにインストールすることにより、前記の処理を実行する活動記録作成システムを構成してもよい。また、インターネット等の通信ネットワーク上のサーバ装置が有する記憶装置に当該コンピュータプログラムを格納しておき、通常のコンピュータシステムがダウンロード等することで活動記録作成システムを構成してもよい。
【0097】
また、活動記録作成システムを、OS(オペレーティングシステム)とアプリケーションプログラムの分担、またはOSとアプリケーションプログラムとの協働により実現する場合等には、アプリケーションプログラム部分のみを記録媒体や記憶装置に格納してもよい。
【0098】
また、搬送波にコンピュータプログラムを重畳し、通信ネットワークを介して配信することも可能である。たとえば、通信ネットワーク上の掲示板(BBS, Bulletin Board System)に前記コンピュータプログラムを掲示し、ネットワークを介して前記コンピュータプログラムを配信してもよい。そして、このコンピュータプログラムを起動し、OSの制御下で、他のアプリケーションプログラムと同様に実行することにより、前記の処理を実行できるように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明の実施の形態1に係る行動追跡システム全体の構成例を示すブロック図である。
【図2】人物情報記憶部に記録する個人情報の個人性行を示す一例である。
【図3】実施の形態1に係る行動追跡システムの設定エリアの一例を示す図である。
【図4】実施の形態1に係る行動追跡システムの動作の、在場認識の一例を示すフローチャートである。
【図5】実施の形態1に係る行動追跡システムの動作の、個人位置判定の一例を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態2に係る行動追跡システム全体の構成例を示すブロック図である。
【図7】実施の形態2に係る行動追跡システムの設定エリアの一例を示す図である。
【図8】実施の形態2に係る行動追跡システムの軌跡データの一例を示す図である。(a)は軌跡基本データ、(b)は軌跡保留データを示す。
【図9】実施の形態2に係る行動追跡システムの動作の、行動軌跡抽出の一例を示すフローチャートである。
【図10】実施の形態2に係る行動追跡システムの動作の、個人軌跡判定の一例を示すフローチャートである。
【図11】本発明の実施の形態に係る行動追跡システムのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0100】
1、10 行動追跡システム
2 センサ
3 ユーザ
4 設定エリア
11 制御部
12 識別情報読み取り部
13 人物情報記憶部
14 情報選択部
15 人物位置検知部
16 判定部
17 位置情報記憶部
18 センサ位置管理部
19 履歴記録管理部
【技術分野】
【0001】
本発明は、行動追跡システム、行動追跡方法および行動追跡プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、センシング技術の発展によって、人の位置を計測したり、人の行動を認識したりすることが可能となりつつある。深夜の駐車場や商店街などのセキュリティ対策のためのセンサ、エレベータのはさまり防止のためのセンサなどが挙げられる。また、人を検知し自動点灯するセンサライトは安全性だけでなく、利便性や省エネの効果があり、多く普及している。
【0003】
センシング技術のみでなくネットワーク技術も進歩しており、さまざまな場所にセンサが設置され、その目的も多様化している。集めた情報を時系列に関連付けてみることで過去に起こったことの追体験をしたり、現在までの情報と過去の情報のマッチングをとって未来を予測し、行動の提案を行うことができる。
【0004】
特許文献1では、データベース部に複数の移動体の識別情報と複数の移動体のそれぞれについての特徴を表すデータ(形状データ/音データ/重量データ)とを対応させて格納することで、発信器を携帯する必要がなく、また移動体が多数ある場合も追跡・識別可能なデータ相関処理を使用した移動体の識別・追跡装置を提供することが記載されている。
【0005】
特許文献2では、カメラにより画像を撮影し、ユーザ認識を行ったり、ユーザ作業行動などを推測し、ユーザごとのキッチン作業状況に応じて、調理設備機能に十分対応した作業支援を自動的に行うことができるキッチン作業支援システムを提供することが記載されている。
【0006】
特許文献3では、センサ群で活動をモニタリングして検知したユーザの活動状態または環境状況に基づいて、ユーザの目標を検出し、その目標を達成するためのユーザの活動を計画し、その計画した活動を示唆する有効な情報を環境や情動に合わせて呈示させることが記載されている。
【0007】
特許文献4では、所定の範囲における特定位置を監視する特定位置センサから、当該特定位置を通過する移動体の情報である移動体情報を取得し、特定位置センサによって取得される移動体情報と照合可能な情報として、追跡センサによる追跡結果を、特定位置を通過する移動体の情報である移動体情報に変換し、変換された移動体情報が特定位置センサによって取得された移動体情報に一致するか否かを照合して、追跡センサによる追跡結果の信頼度を判定することが記載されている。
【0008】
特許文献5では、第1の顔検出部による顔の検出結果と第2の顔検出部による顔の検出結果とに基づいて通行者を分類し、その分類結果に基づいて顔照合部による顔照合処理に用いられる認証用の閾値を調整し、顔照合部は登録者の顔の特徴情報との類似度を算出し、算出した類似度が調整された認証用の閾値以上であるか否かにより通行者が登録者であるか否かを判定する人物認識装置および人物認識方法について記載されている。
【0009】
特許文献6では、電子タグを用いた位置情報追跡システムに関し、GPS機能等に依存することなく、携帯電話に通信が不可能な状況に陥っても、移動体用電子タグは内蔵するバッテリを電源として電磁波を発生させ、識別番号を固定電子タグへ発信することで、児童等の管理対象者の位置情報を追跡することが記載されている。
【0010】
【特許文献1】特開平07−287781号公報
【特許文献2】特開2005−284408号公報
【特許文献3】特開2005−332309号公報
【特許文献4】特開2008−046927号公報
【特許文献5】特開2008−108243号公報
【特許文献6】特開2008−113308号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献1の識別・追跡装置では、備えるセンサを、方向センサ、距離センサ、重量センサ、音センサとしており、設置が困難となるおそれがある。特許文献2や特許文献5の技術では、設置されたカメラにより監視されるため、個人のプライバシーが侵害されてしまうおそれがある。特許文献3や特許文献6の技術では、電子タグやセンサをユーザが所持または装着し、移動に応じて位置を通知する必要があり、日常生活において不便であった。特許文献4の追跡信頼度判定では、移動体は主に車両を想定しており、人を想定した場合と行動パターンが異なる。
【0012】
本発明は上述の事情に鑑みてなされたもので、個人が特別な装置を所持する必要がなく、かつ、プライバシーの侵害のおそれがなく、その個人の行動を追跡できる行動追跡システム、行動追跡方法および行動追跡プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第1の観点に係る行動追跡システムは、
行動を追跡する対象の人について、その人に固有の識別符号と、その人の個人性行を表す情報とを対応づけて記憶する記憶手段と、
行動を追跡する対象の限られた空間に存在する人の前記識別符号を取得する認識手段と、
前記空間を区分した場所ごとに、人の存在を検知し、人が存在する場所を表す位置情報を取得する人検知手段と、
前記人検知手段で取得した位置情報と、前記認識手段で取得した前記空間に存在する人の識別符号に対応する個人性行を表す情報とを比較して、前記位置情報に最も近い個人性行を表す情報に対応する識別符号を、その場所に存在する人の位置情報に対応づける判定手段と、
を備えることを特徴とする。
【0014】
本発明の第2の観点に係る行動追跡方法は、
行動を追跡する対象の限られた空間に存在する人に固有の識別符号を取得する認識ステップと、
前記認識ステップで認識した識別符号に対応する人の個人性行を表す情報を取得する個人性行情報取得ステップと、
前記空間を区分した場所ごとに、人の存在を検知し、人が存在する場所を表す位置情報を取得する人検知ステップと、
前記人検知ステップで取得した位置情報と、前記個人性行情報取得ステップで取得した前記空間に存在する人の識別符号に対応する個人性行を表す情報とを比較して、前記位置情報に最も近い個人性行を表す情報に対応する識別符号を、その場所に存在する人の位置情報に対応づける判定ステップと、
を備えることを特徴とする。
【0015】
本発明の第3の観点に係る行動追跡プログラムは、
コンピュータに、
行動を追跡する対象の限られた空間に存在する人に固有の識別符号を取得する認識ステップと、
前記認識ステップで認識した識別符号に対応する人の個人性行を表す情報を取得する個人性行情報取得ステップと、
前記空間を区分した場所ごとに、人の存在を検知し、人が存在する場所を表す位置情報を取得する人検知ステップと、
前記人検知ステップで取得した位置情報と、前記個人性行情報取得ステップで取得した前記空間に存在する人の識別符号に対応する個人性行を表す情報とを比較して、前記位置情報に最も近い個人性行を表す情報に対応する識別符号を、その場所に存在する人の位置情報に対応づける判定ステップと、
を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、個人が特別な装置を所持する必要がなく、かつ、プライバシーの侵害のおそれがなく、その個人の行動を追跡することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明で、個人性行とは、行動的特徴(癖)が、何らかの場所と関連した行動を示すもののことをいう。例えば、タバコをよく吸う人は灰皿の近くに行く、コーヒーをよく飲む人は何度も販売機の前に立ち止まる、などである。また、本発明では、職場で決まった座席に着くなど、場所により本人が特定できる場合も含む。さらに、場所とは関連していないが、移動速度も個人性行に含む。
【0018】
本発明で、プライバシーの侵害とは、個人の行動の内容を知ることをいい、個人が行った場所を知ることを含まないものとする。
【0019】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付す。
【0020】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る行動追跡システム全体の構成例を示すブロック図である。行動追跡システム1は、制御部11と、識別情報読み取り部12と、人物情報記憶部13と、情報選択部14と、人物位置検知部15と、判定部16と、位置情報記憶部17と、を備える。制御部11で動作するプログラムで、識別情報読み取り部12、人物情報記憶部13、情報選択部14、人物位置検知部15、判定部16、位置情報記憶部17のそれぞれは自立的な動作が実現する。
【0021】
識別情報読み取り部12は、タグ31から識別情報を受信する。識別情報読み取り部12は、タグ31が送信する信号を受信し、タグ31の情報を検知する。タグ31は、ユーザが何らかの形で所持しているもので、例えば、入館カード、もしくは、携帯電話や腕時計などにICチップなどの形で組み込まれる。非接触型の無線通信が可能なタイプや、カードリーダに直接通すタイプなど、タグ31の種類により、信号の受信方法は様々である。
【0022】
人物情報記憶部13は、ユーザ3のタグ31の識別子と、そのタグ31を所持しているユーザ3の名前や識別番号などと個人性行について記憶する。名前や識別番号などと個人性行は、対応付けられて記憶される。人物情報記憶部13に記憶するユーザ3は、行動追跡システム1で行動を追跡する所定のユーザ3についてであり、ユーザ3は複数であってもよい。予め、キーボードなどの入力装置(図示せず)を用いて、情報を入力し、記憶しておく。
【0023】
図2に、人物情報記憶部13に記憶する個人情報の一例を示す。個人情報には、ユーザIDや氏名、その個人の個人性行を示す。個人性行の例として、部屋に入ってすぐに空調機やテレビを付けたり、蛍光灯の明かりを1つ暗めのものを使用したり、決まった椅子に座ったり、などの日常生活における行動が挙げられる。
【0024】
情報選択部14は、何らかの情報を入力された場合に、対応する情報を人物情報記憶部13から読み出す。例えば、個人性行を表す情報からユーザ3の名前を読み出したり、ユーザ3の識別番号から個人性行を表す情報を読み出したりすることができる。
【0025】
人物位置検知部15は、センサ2の情報を変換し、ユーザ3の位置を検知する。センサ2は、検知できる範囲を分割した部分のそれぞれに対して、存在する人を検知し、その情報を人物位置検知部15に送信する。例えばセンサ2は、赤外センサなどである。設定エリア内での人の動きを感知する場合、まず、物体から放射される赤外エネルギーの波長分布の変化を測定する。変化を検知した方向が、人の存在する方向であり、人の存在する位置としての情報となる。センサ2を回転させて受光した方位を検知する方法や、受光素子を並べる方法でもよく、センサ2とは異なるが、赤外線カメラで撮像した画像から人の位置を検出してもよい。センサ2の稼働は、識別情報読み取り部12で、タグ31の情報を検知した時から開始しておく。
【0026】
判定部16は、人物位置検知部15の検知した位置と、情報選択部14に呼び出されたユーザ3の個人性行を比較し、どのユーザ3であるかを判定する。ユーザ3の行動する範囲は、個人性行と深く結びついており、特徴がそれぞれ異なる。検知した位置から、そこに居る可能性が高いユーザ3が選択され、判定部16により判定される。
【0027】
位置情報記憶部17は、人物位置検知部15で検知した情報を記憶・保存する。このとき記憶する情報は、ユーザ3の位置情報などである。ユーザ3を判定できている場合は、位置情報だけでなく、名前や番号などの個人を特定する情報も合わせて記憶・保存する。
【0028】
図3は、実施の形態1に係る行動追跡システムの設定エリアを示す一例である。図3の点線は、各々のユーザ3の行動の追跡を示したものである。設定エリア4の入口4D付近に、行動追跡システム1を設置しており、設定エリア4の片隅に、センサ2を設置する。例えば図3のように、屋内で、かつ、部屋の隅につける場合、平面で見たときに、中心角85度、半径12mの範囲を測定可能なセンサ2を用いる。
【0029】
ユーザ3は、ユーザ3Aとユーザ3Bの2人の場合を設定する。個人性行は、ユーザ3Aはタバコを吸うこと、ユーザ3Bは窓を開けること、が記載されているものとする。その個人情報の個人性行により、入室後に、ユーザ3Aは灰皿のある場所に向かい、ユーザ3Bは窓のある場所に向かうことが予測される。
【0030】
ユーザ3A、3Bは、入室時に行動追跡システム1にタグ31の読み取りをさせ、設定エリア4に入る。行動追跡システム1の識別情報読み取り部12は、タグ31の情報を検知する。タグ31の情報を検知し、設定エリア4にユーザ3の存在が認識され、センサ2は稼働を開始する。
【0031】
識別情報読み取り部12は、タグ31の情報を人物情報記憶部13に送り、ユーザ3は、ユーザ3A、3Bであることが分かる。人物位置検知部15は、測定する時間における分割された部分のエリアに対して、センサ2で人の存在の有無を検知し、ユーザ3の位置データを作成する。このとき、行動追跡システム1は、設定エリア4内に、ユーザ3は2人存在することと、位置データは2箇所を示すことの、情報を備える。
【0032】
2人のユーザ3A、3Bが設定エリア4内に入り、各々が別々に行動し、同時刻・同場所での接点がない場合は、各々のユーザ3をそのまま行動追跡することが可能である。同時刻・同位置に接触した場合、例えば、ほぼ同時刻で入室した場合は、どのユーザ3かは分からないまま、行動追跡を行う。
【0033】
情報選択部14は、設定エリア4に入ったユーザ3が誰であるかを判定でき次第、そのユーザ3の個人性行の表す情報を人物情報記憶部13から選択しておく。センサ2で検知した位置情報は人物位置検知部15に伝えられる。判定部16は、人物情報記憶部13から選択した個人性行の表す情報と、人物位置検知部15で検知した位置を比較し、検知した位置にいるユーザ3が、どちらのユーザ3であるかの判定を行う。
【0034】
例えば、人物位置検知部15の検知した位置が、徐々に灰皿に向かうのであれば、人物情報記憶部13の個人性行より、ユーザ3はユーザ3Aである可能性が高い。判定部16は、個人性行の表す情報から予測される範囲(閾値)内に、ユーザ3を検知した情報があれば、ユーザ3は、ユーザ3Aであると判断する。同様に判定部16は、窓付近にユーザ3を検知した情報と、個人性行に書かれた窓を開けるという情報を結び付け、個人性行からユーザ3を特定し、ユーザ3はユーザ3Bであると判断する。
【0035】
検知した位置をそれぞれのユーザ3について、位置情報記憶部17に記憶・保存する。所定時間経過毎に、センサ2による位置情報を人物位置検知部15で検知し、位置情報記憶部17に記憶し、行動追跡を行う。行動追跡の終了は、設定エリア4に入ったときのように、識別情報読み取り部12に、設定エリア4から出ることを情報として与えてもよい。識別情報の読み取りをせずに、センサ2の測定できる範囲から逸脱した場合や、設定エリア4から外に出た場合も、行動追跡を終了してもよい。また、設定エリア4に入ってから所定時間経過するまでや、ユーザ3が同じ位置に一定時間とどまっている場合など、目的に合わせて任意に設定できる。
【0036】
例えば、会社の場合であれば、勤務開始時刻から15分が経過するまで行動追跡するようにシステムを設定しておく。また、家の寝室であれば、同じ場所(ベッド)を5分以上示したら、行動追跡を止めるようにシステムを設定しておく。
【0037】
図4は、実施の形態1に係る行動追跡システムの動作の、在場認識の一例を示すフローチャートである。図5は、実施の形態1に係る行動追跡システムの動作の、個人位置判定の一例を示すフローチャートである。行動追跡システム1は、図1を参照する。ユーザ3および設定エリア4は、図3を参照する。
【0038】
まず、在場認識を行う。識別情報読み取り部12は常に信号の送受信を行い、タグ31の情報を読み取るなどして、ユーザ3の識別情報を読み取る(ステップS11)。そして、特定のユーザ3が設定エリア4内へ入ることを認識する(ステップS12;YES)。人物情報記憶部13にある個人情報と、タグ31から読み取りした情報を照合し、ユーザ3が在場することを、例えば人物情報記憶部13または位置情報記憶部17に記憶する(ステップS13)。同様にして情報を読み取り、設定エリア4内から外へ出ることが認識できると(ステップS14;YES)、そのユーザ3が在場する情報の記憶を消去する(ステップS15)。
【0039】
常に、識別情報読み取り部12はキャリアの送受信をしており、ユーザ3の識別情報の有無から、設定エリア4内のユーザ3の在場を認識する。設定エリア4内へユーザ3が入ってこない場合(ステップS12;NO)は、ユーザ3が在場する情報の記憶は行われない。また、設定エリア4からユーザ3が出ない場合(ステップS14;NO)は、ユーザ3が在場する情報の記憶の消去も行われない。在場認識で得られる情報から、設定エリア4内にどのユーザ3がいるのかが分かり、情報選択部14は在場認識されたユーザ3の個人性行に関する情報の選択を行う。
【0040】
次に、個人位置の判定を行う。個人性行を示す情報を選択するときの順番をユーザ3に振り分けたものをi番目、ユーザ3の存在する人数の数だけ示された位置に番号を振り分けたものをj番目とおく。このときi番目より、特定のユーザ3を特定することができる。
【0041】
ユーザ3はn人で、n箇所の位置を検知する。全てのユーザ3について、全ての検知した位置を、個人性行で示す位置から想定される行動範囲の閾値内にあるかを判定することで、ユーザ3の特定をすることができる。ユーザ3の位置を検知した状態(ステップS21)から、その位置にいるユーザ3が誰であるかの判定動作を開始する。在場認識されたユーザ3の個人性行に関する情報の、n人分の個人性行のi番目、ここでは1つ目を選択する(ステップS22)。複数箇所について検知した位置の、n箇所のj番目、ここでは1つ目を選択する(ステップS23)。また、Min(i)をとりうる最大値に設定する。そして、個人性行に示される位置と検知した位置との距離d(i、j)を算出する(ステップS24)。距離dは、例えば、空間上の距離(性行情報にある場所と検知位置との距離)と時間上の距離(性行情報のその場所に行く時間と現在時間の差)の線形和で表すことができる。その他、時空間における性行情報と検知位置・時刻との距離を表す何らかの評価関数を用いることができる。
【0042】
その算出した距離d(i、j)が、考え得る位置の距離Min(i)より小さければ(ステップS25;YES)、判定部16は、そのi番目のユーザ3の個人性行が示す位置と、j番目の位置が一致したとして、位置j番目にいる人をi番目のユーザ3と判定する(ステップS26)。すなわち、Min(i)をd(i,j)で置き換え、その位置のユーザ3を表す変数p(j)にi番目のユーザ3の識別符号ID(i)を対応づける。
【0043】
そして、位置j番の次の番号(j+1)である位置(j+1)番目に進む(ステップS27)。距離d(i、j)が、考え得る位置の距離Min(i)より大きければ(ステップS25;NO)、i番目のユーザ3の個人性行が示す位置とj番目の位置は不一致であるものとして、位置j番の次の番号(j+1)である位置(j+1)番目に進む(ステップS27)。
【0044】
位置番号jがnより小さい場合(ステップS28;NO)は、ステップS24に戻り、繰り返す。徐々に位置の番号を増やし、n箇所の位置全ての確認を終えるまで、繰り返し行う。最初のユーザ3であるi番目のユーザ3について、全ての位置の確認を行う。
【0045】
位置番号jがnより大きくなった場合(ステップS28;YES)は、次のユーザ3、すなわち(i+1)番目のユーザ3の個人性行の場合へ進む(ステップS29)。同様に、(i+1)番目の人についても、全ての位置の確認を行う。n人全ての確認を終えるまで、徐々に個人性行が示す位置の番号を増やしていくため、位置番号iがnより小さい場合は(ステップS30;NO)、ステップS23に戻り、繰り返す。nより大きい場合は(ステップS30;YES)は、全てのユーザ3について確認を終えており、個人位置の判定を終了する。
【0046】
フローチャートには記載していないが、2つの検知位置に同一のユーザ3が対応づけられる場合は、近い方の位置を優先し、他方の位置を他のユーザ3に対応づける。または、2つの検知位置に同一のユーザ3であるとされた場合、そのユーザ3の個人位置の判定結果を消去し、最後のn番目に個人位置の判定を行うように、プログラムしてもよい。どちらかの位置に、他のユーザ3の対応記録があれば、消去法により、残った方の位置にユーザ3が対応づけられる。
【0047】
全てのユーザ3について、その個人性行が示す位置と、検知した位置とを比較し、判定部16は、その位置にいる最も適したユーザ3を特定することができる。判定部16で判定を終え、特定のユーザ3と、人物位置検知部15で検知した位置情報を、位置情報記憶部17で併せて記憶する。性行で表す位置と検知した位置から、複数のユーザ3が特定された場合や、特に近い結果がなく、ユーザ3が未特定の場合は、ユーザ3は未特定として記憶する。
【0048】
特定のユーザ3と、その位置を記憶していくことで、ユーザ3の行動を追跡することができる。特定のユーザ3の行動を追跡できるにもかかわらず、ユーザ3は設定エリア4に入るときに識別情報を読み取らせるだけで、手間がかからない。複数のユーザ3がほぼ同時に設定エリア4内に入りユーザ3未特定となった場合や、追跡の途中に、接触により、ユーザ3未特定となった場合でも、個人位置判定を行うことで、ユーザ3を判定することができる。さらに、未特定の履歴があった場合でも、特定した時点から遡って、ユーザ3の行動を追跡できる場合がある。
【0049】
(実施の形態2)
図6は、本発明の実施の形態2に係る行動追跡システム全体の構成例を示すブロック図である。実施の形態2に係る行動追跡システム10は、基本的な構造は、実施の形態1に示す行動追跡システム1と同様である。実施の形態2では、センサ2が複数備えられ、そのセンサ2の位置を管理するセンサ位置管理部18が追加されている。また、位置情報記憶部17を設けた履歴記録管理部19が備えられる。また、実施の形態2では、ユーザ3はタグ31を所持しておらず、例えば指紋認証とパスワード入力などで、設定エリア4内へ出入りするものとする。
【0050】
図7は、実施の形態2に係る行動追跡システムの設定エリアを示す一例である。図7の点線は、各々のユーザ3(ユーザ3A、ユーザ3B)の行動の追跡を示したものである。ユーザ3は、ドア41D、42D、43Dを通り、設定エリア4に隣接する設定エリア41、42、43へ移動できる。設定エリア4内の、特にドア41D、42D、43D付近の人の動きを観測できる位置に、センサ21、22、23が取り付けられる。それぞれのセンサ21、22、23により、設定エリア41、42、43へ移動するときのユーザ3の行動を追跡することができる。
【0051】
行動追跡システム10は、識別情報を読み取りする読み取り装置32が別途備えられており、読み取り装置32で読み取られた情報が、行動追跡システム10の識別情報読み取り部12に通信により伝達される仕組みである。通信は、無線であっても、有線であってもよい。
【0052】
判定部16は、その内部に情報選択部14を備える。主に、情報選択部14は、識別情報読み取り部12で識別されたユーザ3の個人性行などの個人情報を選択する。判定部16は、その情報をもとに、人物位置検知部15の位置と情報を照合する。
【0053】
センサ位置管理部18は、複数のセンサ21、22、23の位置の情報を記憶する。設定エリア4が複雑な形状であったり、広い場合など、1つのセンサ2では、設定エリア4内を網羅することができず、複数のセンサ2を要する。センサ位置管理部18は、設定エリア4内の様々な場所に置かれた複数のセンサ2の、センサ2位置と設定エリア4を照合する。センサ位置管理部18により、設定エリア4全体におけるユーザ3の位置を把握し、ユーザ3の行動をスムーズに行動追跡することができる。
【0054】
履歴記録管理部19は、位置情報記憶部17の記録の他に、ユーザ3の行動に関する記録を保存する。位置情報記憶部17で記録している時間と位置の情報を、時間を軸にとり、位置の変化を記録してもよい。以下、時間と位置を経時変化で捉えたものを軌跡と称する。他に、人物情報記憶部13の個人性行と、実際のユーザ3の行動が一致しているかの履歴を記録しておき、個人情報の個人性行を更新する際に用いることができる。また、ユーザ3を行動により特定できなかった場合の、未特定のユーザ3の行動履歴を一時的に記憶・保存する。
【0055】
未特定のユーザ3であっても、ある時間から、どのユーザ3であるかが分かれば、それまでの連続した軌跡は、そのユーザ3のものであることが分かる。また、ユーザ3全体の様子(設定エリア4内にいる人数など)を把握したり、他のユーザ3を特定していくことで、未特定のユーザ3を特定することが可能となる。
【0056】
図8は、実施の形態2に係る行動追跡の軌跡データの一例を示す図である。図中のハイフンは、記録データ無しを示す。図8(a)は、軌跡基本データである。センサ2で位置を検知した時間の時刻tと、そのときの検知した位置の座標(x、y)を記録していく。経時変化するときの、隣接した位置を連続して記録することで、軌跡を抽出することができる。軌跡基本データの最上列にあるID番号は、ユーザ3を特定したときに、ユーザ3を示す番号が入る。
【0057】
ユーザ3が接触するなどして、同時刻にほぼ同じ位置に存在し、次の隣接した位置を捉えることができなくなった場合に、図8(b)の軌跡保留データに記録が行われる。図8(a)の時刻tn1において、軌跡Aと軌跡Bが同じ座標を示したため、軌跡A、Bは、次の時刻tn2からの座標が、軌跡X、Yとして軌跡保留データに記録されていく。このとき、軌跡Aの続きは、軌跡Xもしくは軌跡Yとなるが、どちらであるか分からない。軌跡に対応する個人性行で表す位置から、ユーザ3の特定を行い、対応する軌跡A、および軌跡Aに連続する軌跡X、もしくはYを決定することで、保留データであった軌跡を併せて、ユーザ3の履歴として記録することができる。例えば、ID番号aを持つユーザ3の個人性行と、軌跡A、軌跡Yが対応づけられた場合、時刻tn1以前の座標の記録からなる軌跡Aと、時刻tn2以降の座標の記録からなる軌跡Yは、特定したユーザ3の軌跡として、まとめられ、履歴記録管理部19に保存される。
【0058】
図9は、実施の形態2に係る行動追跡システムの動作の、行動軌跡抽出の一例を示すフローチャートである。図10は、実施の形態2に係る行動追跡システムの動作の、個人軌跡判定の一例を示すフローチャートである。行動追跡システム10は、図6を参照する。ユーザ3および設定エリア4は、図7を参照する。また、個人情報の個人性行の1つとして、ユーザ3Aは設定エリア42内で作業をすること、ユーザ3Bは設定エリア43内で作業をすることが記載されているものとする。
【0059】
先に、図4に示す、在場認識をしておく。設定エリア4内に存在するユーザ3の認識をし、ユーザ3が在場することを、例えば人物情報記憶部13または位置情報記憶部17に記憶する。
【0060】
次に、行動軌跡抽出を行う。人物位置検知部15はセンサ2の情報を受け、ユーザ3の位置を検知し(ステップS31)、位置情報記憶部17はその位置を一旦記憶しておく(ステップS32)。時間経過毎にデータは増えていき、時間と位置との関係を示す軌跡を抽出することが可能となる。履歴記録管理部19は、位置情報記憶部17と時間のデータより、軌跡を抽出し(ステップS33)、軌跡を記録する(ステップS34)。
【0061】
次に、個人位置の判定を行う。個人性行を示す情報を選択するときの順番をユーザ3に振り分けたものをi番目、ユーザ3の存在する人数の数だけ示された軌跡に番号を振り分けたものをk番目とおく。このときi番目より、特定のユーザ3を特定することができる。
【0062】
ユーザ3はn人で、n通りの軌跡を抽出する。全てのユーザ3について、全ての抽出した軌跡を、個人性行で示す位置から想定される行動範囲の閾値内にあるかを判定することで、ユーザ3の特定をすることができる。ユーザ3の軌跡を抽出した状態(ステップS41)から、その軌跡がどのユーザ3であるかの判定動作を開始する。在場認識されたユーザ3の個人性行に関する情報の、n人分の個人性行のi番目、ここでは1つ目を選択する(ステップS42)。複数通りについて抽出した軌跡の、n通りのk番目、ここでは1つ目を選択する(ステップS43)。また、Min(i)をとりうる最大値に設定する。
【0063】
そして、個人性行に示される位置と抽出した軌跡との距離d(i、k)を算出する(ステップS44)。距離dは、例えば、軌跡の各位置と性行情報の各場所との間の、空間上の距離(性行情報にある場所と検知位置との距離)と時間上の距離(性行情報のその場所に行く時間と現在時間の差)の線形和の総和で表すことができる。その他、時空間における性行情報と軌跡との距離を表す何らかの評価関数を用いることができる。
【0064】
その算出した距離d(i、k)が、考え得る軌跡の距離Min(i)より小さければ(ステップS45;YES)、判定部16は、そのi番目のユーザ3の個人性行が示す位置と、k番目の軌跡が一致したとして、軌跡k番目にいる人をi番目のユーザ3と判定する(ステップS46)。すなわち、Min(i)をd(i,k)で置き換え、その軌跡のユーザ3を表す変数p(k)にi番目のユーザ3の識別符号ID(i)を対応づける。
【0065】
そして、軌跡k番の次の番号(k+1)の軌跡に進む(ステップS47)。距離d(i、k)が、考え得る軌跡の距離Min(i)より大きければ(ステップS45;NO)、i番目のユーザ3の個人性行が示す位置とk番目の軌跡は不一致であるものとして、軌跡k番の次の番号(k+1)の軌跡に進む(ステップS47)。
【0066】
軌跡番号kがnより小さい場合(ステップS48;NO)は、ステップS44に戻り、繰り返す。徐々に軌跡の番号を増やし、n通りの軌跡全ての確認を終えるまで、繰り返し行う。最初のユーザ3であるi番目のユーザ3について、全ての軌跡の確認を行う。
【0067】
軌跡番号kがnより大きくなった場合(ステップS48;YES)は、次のユーザ3、すなわち(i+1)番目のユーザ3の個人性行の場合へ進む(ステップS49)。同様に、(i+1)番目の人についても、全ての軌跡の確認を行う。n人全ての確認を終えるまで、徐々に個人性行が示す位置の番号を増やしていくため、位置番号iがnより小さい場合は(ステップS50;NO)、ステップS43に戻り、繰り返す。nより大きい場合は(ステップS50;YES)は、全てのユーザ3について確認を終えており、個人軌跡の判定を終了する。
【0068】
フローチャートには記載していないが、2つの軌跡に同一のユーザ3が対応づけられる場合は、近い方の軌跡を優先し、他方の軌跡を他のユーザ3に対応づける。または、2つの軌跡に同一のユーザ3であるとされた場合、そのユーザ3の個人位置の判定結果を消去し、最後のn番目に個人位置の判定を行うように、プログラムしてもよい。どちらかの軌跡に、他のユーザ3の対応記録があれば、消去法により、残った方の軌跡にユーザ3が対応づけられる。
【0069】
全てのユーザ3について、その個人性行が示す位置と、抽出した軌跡とを比較し、判定部16は、その軌跡にいる最も適したユーザ3を特定することができる。判定部16で判定した特定のユーザ3と、抽出した軌跡であって、位置情報記憶部17に仮に記憶しておいた軌跡の情報とを併せて履歴記録管理部19に記憶する。性行で表す位置と抽出した軌跡から、複数のユーザ3が特定された場合や、特に近い結果がなく、ユーザ3が未特定の場合は、ユーザ3は未特定として、履歴記録管理部19に記憶する。
【0070】
特定のユーザ3と、その軌跡を記憶していくことで、ユーザ3の行動を追跡することができる。特定のユーザ3の行動を追跡できるにもかかわらず、ユーザ3は設定エリア4に入るときに識別情報を読み取らせるだけで、手間がかからない。複数のユーザ3がほぼ同時に設定エリア4内に入りユーザ3未特定となった場合や、追跡の途中に、接触により、ユーザ3未特定となった場合でも、個人軌跡判定を行うことで、ユーザ3を判定することができる。さらに、未特定の履歴があった場合でも、特定した時点から遡って、ユーザ3の行動を追跡できる場合がある。
【0071】
特に、軌跡を用いてユーザ3の特定を行うので、位置を用いて特定する場合に比べて、信頼度が高くなる。また、軌跡そのものを行動追跡のデータとして用いることができる。軌跡のデータを、ユーザ3の個人性行のデータ更新に活用することで、より、信頼度の高い行動追跡が可能となり、ユーザ3未特定の場合が生じた場合であっても、再度、ユーザ3の特定を行うまでの時間を短縮することができる。
【0072】
性行で表す位置と軌跡が、最も近い場合のユーザ3の情報が設定されることになり、制御部11の指示を受け、判定部16は、ユーザ3の特定を行う。制御部11は、履歴記録管理部19に保存されている記録に、判定部16で判定した特定のユーザ3の記録を併せて記録する。軌跡と性行で表す位置から、複数のユーザ3が特定された場合や、どのユーザ3も該当しないなどの未特定の場合は、ユーザ3未特定として記録を行う。抽出した軌跡がn個の場合は、n個の軌跡について、それぞれ個人軌跡判定が行われる。
【0073】
以上説明したように、本実施の形態に係る行動追跡システムによれば、ユーザ3がタグなどを備えた装置を常に所持していなくても、行動追跡が可能である。それにより、ユーザ3は、設定エリア4内に入る時に入室時の認証手続き(例えば、入館カードを読み取り機に通したり、携帯電話を読み取り機にかざすなど)をするだけでよく、設定エリア4内の移動の際に、特別な装置などを持つことない。また、行動追跡の方法として、監視カメラを用いることなく位置情報のみで済み、プライバシーを保護することができる。
【0074】
本実施の形態では、ユーザ3が設定エリア4内へ出入りする際に、タグ31をICカードや携帯電話などを所持する場合、および、指紋による生体認証の場合について例を挙げて説明した。ユーザ3の識別情報の認証方法は、ユーザ3の認証が可能であればよく、生体認証の場合は、他に、瞳の中の虹彩、指静脈、音声など、様々な方法がある。また、パスワードを認証機械に直接入力する方法や、顔認識とパスワード入力、タグ31とパスワード入力など、認証方法を幾つか組み合わせて用いてもよい。
【0075】
本実施の形態では、個人性行について、特に本人の趣向と関連する行動についてのみ説明したが、上述した例に限らず、適用可能である。例えば、ユーザ3がよく利用する座席の位置を、ユーザ3を特定する情報に用いてもよい。会社であれば机の場所、家であればリビングに置かれたソファの1つの場所など、ユーザ3がよく利用する場所を個人性行の情報とすることができる。また、ユーザ3の行動追跡を軌跡として記録する際に、ユーザ3の移動速度を個人性行の1つにすることができる。
【0076】
また、人物位置検知部15で検知した位置情報を記憶する時間の間隔を短くしておくことで、ユーザ3の行動追跡が正確かつ高精度になる。測定する間隔が短い場合は、頻繁にユーザ3の位置情報が更新され、ユーザ3の予測される行動範囲も小さくて済み、かつ、予測と実際の位置の誤差も少なくなり、ユーザ3の行動追跡が行いやすい。また、ユーザ3の足取りも細かく測定できる。
【0077】
さらに、ユーザ3の履歴記録管理部19にある、過去の行動履歴と、人物情報記憶部13に記録された個人性行を比較し、個人性行のデータを、ユーザ3に合わせて更新してもよい。ユーザ3の行動に即した情報を記録しておくことで、より、ユーザ3の特定が行いやすくなる。特に行動追跡を行う対象のユーザ3が多いときなど、ユーザ3の個人性行などの特徴を細かく検知した位置に反映することで、ユーザ3の特定が行いやすくなる利点がある。また、ユーザ3の特定ができなくなった場合でも、そのユーザ3の行動パターンにより、再度ユーザ3を特定できるようになる。
【0078】
なお、センサ2は、赤外線センサを用いることで、人感知の精度が高いだけでなく、簡易に設置ができ便利である。赤外線センサは、感知距離や感知角度が大きいものが多く、使用するセンサ2の数を最小限にすることが可能である。赤外線センサは、熱による感知の精度が高いが、さらに人の体温に合わせた波長の6〜14μmを透過するフィルタを用いることで、他に動くものがあった場合であっても、人の動きのみを感知できる。但し、必ずしも赤外線センサに限らず、振動による感知を用いた超音波センサなどでもよい。また、赤外線カメラでもかまわない。プライバシーを侵害することなく、個人の行動追跡が可能であればよい。
【0079】
図11は、図1に示す活動記録文書作成システム1のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。図6に示す活動記録文書作成システム10のハードウェア構成も基本構造は同じである。行動追跡システム1は、図11に示すように、制御部21、主記憶部22、外部記憶部23、操作部24、表示部25、入出力部26および送受信部27を備える。主記憶部22、外部記憶部23、操作部24、表示部25、入出力部26および送受信部27はいずれも内部バス20を介して制御部21に接続されている。
【0080】
制御部21はCPU(Central Processing Unit)等から構成され、外部記憶部23に記憶されている制御プログラム30に従って、行動追跡システム1の人物情報記憶部13、情報選択部14、人物位置検知部15および判定部16等の各処理を実行する。
【0081】
主記憶部22はRAM(Random-Access Memory)等から構成され、外部記憶部23に記憶されている制御プログラム30をロードし、制御部21の作業領域として用いられる。
【0082】
外部記憶部23は、フラッシュメモリ、ハードディスク、DVD−RAM(Digital Versatile Disc Random-Access Memory)、DVD−RW(Digital Versatile Disc ReWritable)等の不揮発性メモリから構成され、行動追跡システム1の処理を制御部21に行わせるためのプログラムを予め記憶し、また、制御部21の指示に従って、このプログラムが記憶するデータを制御部21に供給し、制御部21から供給されたデータを記憶する。
【0083】
操作部24はキーボード及びマウスなどのポインティングデバイス等と、キーボード及びポインティングデバイス等を内部バス20に接続するインターフェース装置から構成されている。操作部24を介して、個人情報、特に個人情報の1つである個人性行などが入力され、制御部21に供給される。
【0084】
表示部25は、CRT(Cathode Ray Tube)又はLCD(Liquid Crystal Display)などから構成され、位置検出する対象の登録された人および個人性行を含む個人情報や、位置情報などを表示する。
【0085】
入出力部26は、シリアルインタフェースまたはパラレルインタフェースから構成されている。入出力部26は、タグの情報を読み取る装置が装置本体に内蔵されてなく外部取り付けの場合は、それと接続する。入出力部26は、人を感知して測定するセンサ2と接続する。
【0086】
送受信部27は、ネットワークに接続する網終端装置または無線通信装置、及びそれらと接続するシリアルインタフェース又はLAN(Local Area Network)インタフェースから構成されている。送受信部27は、ネットワークを介して、行動追跡した記録を送信し、また、個人性行などを受信する。
【0087】
図1に示す行動追跡システム1の人物情報記憶部13、情報選択部14、人物位置検知部15および判定部16等の処理は、制御プログラム30が、制御部21、主記憶部22、外部記憶部23、操作部24、表示部25、入出力部26および送受信部27などを資源として用いて処理することによって実行する。
【0088】
その他、本発明の好適な変形として、以下の構成が含まれる。
【0089】
本発明の第1の観点に係る行動追跡システムについて、
好ましくは、前記人検知手段で取得した人の存在場所とその時刻を含む位置情報を記憶する人位置記憶手段と、
前記人位置記憶手段で記憶した位置情報から、人の移動軌跡を抽出する軌跡抽出手段と、
を備え、
前記判定手段は、前記軌跡抽出手段で抽出した人の移動軌跡と、前記認識手段で取得した前記空間に存在する人の識別符号に対応する個人性行を表す情報とを比較して、人の移動軌跡に最も近い個人性行を表す情報に対応する識別符号を、その移動軌跡の人に対応づける、
ことを特徴とする。
【0090】
好ましくは、前記判定手段で判定した、位置情報と識別符号の対応を表す情報を記録する記録手段を備えることを特徴とする。
【0091】
好ましくは、前記人検知手段は、前記区分した場所ごとに配置される人検知センサを備え、前記人検知センサの検出情報によって人の存在を検知し、予め記憶された前記人検知センサの位置で、人の存在する場所を特定する。
【0092】
本発明の第2の観点に係る行動追跡方法について、
好ましくは、前記人検知ステップで取得した人の存在場所とその時刻を含む位置情報を記憶する人位置記憶ステップと、
前記人位置記憶ステップで記憶した位置情報から、人の移動軌跡を抽出する軌跡抽出ステップと、
を備え、
前記判定ステップは、前記軌跡抽出ステップで抽出した人の移動軌跡と、前記個人性行情報取得ステップで取得した前記空間に存在する人の識別符号に対応する個人性行を表す情報とを比較して、人の移動軌跡に最も近い個人性行を表す情報に対応する識別符号を、その移動軌跡の人に対応づける、
ことを特徴とする。
【0093】
好ましくは、前記判定ステップで判定した、位置情報と識別符号の対応を表す情報を記録する記録ステップを備えることを特徴とする。
【0094】
好ましくは、前記人検知ステップは、前記区分した場所ごとに配置される人検知センサから検出情報を受信することよって人の存在を検知し、予め記憶された前記人検知センサの位置情報から人の存在する場所を特定することを特徴とする。
【0095】
その他、前記のハードウエア構成やフローチャートは一例であり、任意に変更および修正が可能である。
【0096】
人物情報記憶部13、情報選択部14、人物位置検知部15、判定部16、等から構成される行動追跡する人の特定を行うシステムの中心となる部分は、専用のシステムによらず、通常のコンピュータシステムを用いて実現可能である。たとえば、前記の動作を実行するためのコンピュータプログラムを、コンピュータが読みとり可能な記録媒体(フレキシブルディスク、CD−ROM、DVD−ROM等)に格納して配布し、当該コンピュータプログラムをコンピュータにインストールすることにより、前記の処理を実行する活動記録作成システムを構成してもよい。また、インターネット等の通信ネットワーク上のサーバ装置が有する記憶装置に当該コンピュータプログラムを格納しておき、通常のコンピュータシステムがダウンロード等することで活動記録作成システムを構成してもよい。
【0097】
また、活動記録作成システムを、OS(オペレーティングシステム)とアプリケーションプログラムの分担、またはOSとアプリケーションプログラムとの協働により実現する場合等には、アプリケーションプログラム部分のみを記録媒体や記憶装置に格納してもよい。
【0098】
また、搬送波にコンピュータプログラムを重畳し、通信ネットワークを介して配信することも可能である。たとえば、通信ネットワーク上の掲示板(BBS, Bulletin Board System)に前記コンピュータプログラムを掲示し、ネットワークを介して前記コンピュータプログラムを配信してもよい。そして、このコンピュータプログラムを起動し、OSの制御下で、他のアプリケーションプログラムと同様に実行することにより、前記の処理を実行できるように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明の実施の形態1に係る行動追跡システム全体の構成例を示すブロック図である。
【図2】人物情報記憶部に記録する個人情報の個人性行を示す一例である。
【図3】実施の形態1に係る行動追跡システムの設定エリアの一例を示す図である。
【図4】実施の形態1に係る行動追跡システムの動作の、在場認識の一例を示すフローチャートである。
【図5】実施の形態1に係る行動追跡システムの動作の、個人位置判定の一例を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態2に係る行動追跡システム全体の構成例を示すブロック図である。
【図7】実施の形態2に係る行動追跡システムの設定エリアの一例を示す図である。
【図8】実施の形態2に係る行動追跡システムの軌跡データの一例を示す図である。(a)は軌跡基本データ、(b)は軌跡保留データを示す。
【図9】実施の形態2に係る行動追跡システムの動作の、行動軌跡抽出の一例を示すフローチャートである。
【図10】実施の形態2に係る行動追跡システムの動作の、個人軌跡判定の一例を示すフローチャートである。
【図11】本発明の実施の形態に係る行動追跡システムのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0100】
1、10 行動追跡システム
2 センサ
3 ユーザ
4 設定エリア
11 制御部
12 識別情報読み取り部
13 人物情報記憶部
14 情報選択部
15 人物位置検知部
16 判定部
17 位置情報記憶部
18 センサ位置管理部
19 履歴記録管理部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
行動を追跡する対象の人について、その人に固有の識別符号と、その人の個人性行を表す情報とを対応づけて記憶する記憶手段と、
行動を追跡する対象の限られた空間に存在する人の前記識別符号を取得する認識手段と、
前記空間を区分した場所ごとに、人の存在を検知し、人が存在する場所を表す位置情報を取得する人検知手段と、
前記人検知手段で取得した位置情報と、前記認識手段で取得した前記空間に存在する人の識別符号に対応する個人性行を表す情報とを比較して、前記位置情報に最も近い個人性行を表す情報に対応する識別符号を、その場所に存在する人の位置情報に対応づける判定手段と、
を備えることを特徴とする行動追跡システム。
【請求項2】
前記人検知手段で取得した人の存在場所とその時刻を含む位置情報を記憶する人位置記憶手段と、
前記人位置記憶手段で記憶した位置情報から、人の移動軌跡を抽出する軌跡抽出手段と、
を備え、
前記判定手段は、前記軌跡抽出手段で抽出した人の移動軌跡と、前記認識手段で取得した前記空間に存在する人の識別符号に対応する個人性行を表す情報とを比較して、人の移動軌跡に最も近い個人性行を表す情報に対応する識別符号を、その移動軌跡の人に対応づける、
ことを特徴とする請求項1に記載の行動追跡システム。
【請求項3】
前記判定手段で判定した、位置情報と識別符号の対応を表す情報を記録する記録手段を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の行動追跡システム。
【請求項4】
前記人検知手段は、前記区分した場所ごとに配置される人検知センサを備え、前記人検知センサの検出情報によって人の存在を検知し、予め記憶された前記人検知センサの位置で、人の存在する場所を特定することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の行動追跡システム。
【請求項5】
行動を追跡する対象の限られた空間に存在する人に固有の識別符号を取得する認識ステップと、
前記認識ステップで認識した識別符号に対応する人の個人性行を表す情報を取得する個人性行情報取得ステップと、
前記空間を区分した場所ごとに、人の存在を検知し、人が存在する場所を表す位置情報を取得する人検知ステップと、
前記人検知ステップで取得した位置情報と、前記個人性行情報取得ステップで取得した前記空間に存在する人の識別符号に対応する個人性行を表す情報とを比較して、前記位置情報に最も近い個人性行を表す情報に対応する識別符号を、その場所に存在する人の位置情報に対応づける判定ステップと、
を備えることを特徴とする行動追跡方法。
【請求項6】
前記人検知ステップで取得した人の存在場所とその時刻を含む位置情報を記憶する人位置記憶ステップと、
前記人位置記憶ステップで記憶した位置情報から、人の移動軌跡を抽出する軌跡抽出ステップと、
を備え、
前記判定ステップは、前記軌跡抽出ステップで抽出した人の移動軌跡と、前記個人性行情報取得ステップで取得した前記空間に存在する人の識別符号に対応する個人性行を表す情報とを比較して、人の移動軌跡に最も近い個人性行を表す情報に対応する識別符号を、その移動軌跡の人に対応づける、
ことを特徴とする請求項5に記載の行動追跡方法。
【請求項7】
前記判定ステップで判定した、位置情報と識別符号の対応を表す情報を記録する記録ステップを備えることを特徴とする請求項5または6に記載の行動追跡方法。
【請求項8】
前記人検知ステップは、前記区分した場所ごとに配置される人検知センサから検出情報を受信することよって人の存在を検知し、予め記憶された前記人検知センサの位置情報から人の存在する場所を特定することを特徴とする請求項5ないし7のいずれか1項に記載の行動追跡方法。
【請求項9】
コンピュータに、
行動を追跡する対象の限られた空間に存在する人に固有の識別符号を取得する認識ステップと、
前記認識ステップで認識した識別符号に対応する人の個人性行を表す情報を取得する個人性行情報取得ステップと、
前記空間を区分した場所ごとに、人の存在を検知し、人が存在する場所を表す位置情報を取得する人検知ステップと、
前記人検知ステップで取得した位置情報と、前記個人性行情報取得ステップで取得した前記空間に存在する人の識別符号に対応する個人性行を表す情報とを比較して、前記位置情報に最も近い個人性行を表す情報に対応する識別符号を、その場所に存在する人の位置情報に対応づける判定ステップと、
を実行させることを特徴とする行動追跡プログラム。
【請求項1】
行動を追跡する対象の人について、その人に固有の識別符号と、その人の個人性行を表す情報とを対応づけて記憶する記憶手段と、
行動を追跡する対象の限られた空間に存在する人の前記識別符号を取得する認識手段と、
前記空間を区分した場所ごとに、人の存在を検知し、人が存在する場所を表す位置情報を取得する人検知手段と、
前記人検知手段で取得した位置情報と、前記認識手段で取得した前記空間に存在する人の識別符号に対応する個人性行を表す情報とを比較して、前記位置情報に最も近い個人性行を表す情報に対応する識別符号を、その場所に存在する人の位置情報に対応づける判定手段と、
を備えることを特徴とする行動追跡システム。
【請求項2】
前記人検知手段で取得した人の存在場所とその時刻を含む位置情報を記憶する人位置記憶手段と、
前記人位置記憶手段で記憶した位置情報から、人の移動軌跡を抽出する軌跡抽出手段と、
を備え、
前記判定手段は、前記軌跡抽出手段で抽出した人の移動軌跡と、前記認識手段で取得した前記空間に存在する人の識別符号に対応する個人性行を表す情報とを比較して、人の移動軌跡に最も近い個人性行を表す情報に対応する識別符号を、その移動軌跡の人に対応づける、
ことを特徴とする請求項1に記載の行動追跡システム。
【請求項3】
前記判定手段で判定した、位置情報と識別符号の対応を表す情報を記録する記録手段を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の行動追跡システム。
【請求項4】
前記人検知手段は、前記区分した場所ごとに配置される人検知センサを備え、前記人検知センサの検出情報によって人の存在を検知し、予め記憶された前記人検知センサの位置で、人の存在する場所を特定することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の行動追跡システム。
【請求項5】
行動を追跡する対象の限られた空間に存在する人に固有の識別符号を取得する認識ステップと、
前記認識ステップで認識した識別符号に対応する人の個人性行を表す情報を取得する個人性行情報取得ステップと、
前記空間を区分した場所ごとに、人の存在を検知し、人が存在する場所を表す位置情報を取得する人検知ステップと、
前記人検知ステップで取得した位置情報と、前記個人性行情報取得ステップで取得した前記空間に存在する人の識別符号に対応する個人性行を表す情報とを比較して、前記位置情報に最も近い個人性行を表す情報に対応する識別符号を、その場所に存在する人の位置情報に対応づける判定ステップと、
を備えることを特徴とする行動追跡方法。
【請求項6】
前記人検知ステップで取得した人の存在場所とその時刻を含む位置情報を記憶する人位置記憶ステップと、
前記人位置記憶ステップで記憶した位置情報から、人の移動軌跡を抽出する軌跡抽出ステップと、
を備え、
前記判定ステップは、前記軌跡抽出ステップで抽出した人の移動軌跡と、前記個人性行情報取得ステップで取得した前記空間に存在する人の識別符号に対応する個人性行を表す情報とを比較して、人の移動軌跡に最も近い個人性行を表す情報に対応する識別符号を、その移動軌跡の人に対応づける、
ことを特徴とする請求項5に記載の行動追跡方法。
【請求項7】
前記判定ステップで判定した、位置情報と識別符号の対応を表す情報を記録する記録ステップを備えることを特徴とする請求項5または6に記載の行動追跡方法。
【請求項8】
前記人検知ステップは、前記区分した場所ごとに配置される人検知センサから検出情報を受信することよって人の存在を検知し、予め記憶された前記人検知センサの位置情報から人の存在する場所を特定することを特徴とする請求項5ないし7のいずれか1項に記載の行動追跡方法。
【請求項9】
コンピュータに、
行動を追跡する対象の限られた空間に存在する人に固有の識別符号を取得する認識ステップと、
前記認識ステップで認識した識別符号に対応する人の個人性行を表す情報を取得する個人性行情報取得ステップと、
前記空間を区分した場所ごとに、人の存在を検知し、人が存在する場所を表す位置情報を取得する人検知ステップと、
前記人検知ステップで取得した位置情報と、前記個人性行情報取得ステップで取得した前記空間に存在する人の識別符号に対応する個人性行を表す情報とを比較して、前記位置情報に最も近い個人性行を表す情報に対応する識別符号を、その場所に存在する人の位置情報に対応づける判定ステップと、
を実行させることを特徴とする行動追跡プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−108037(P2010−108037A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−276635(P2008−276635)
【出願日】平成20年10月28日(2008.10.28)
【出願人】(390001395)NECシステムテクノロジー株式会社 (438)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月28日(2008.10.28)
【出願人】(390001395)NECシステムテクノロジー株式会社 (438)
【Fターム(参考)】
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