説明

衛星ナビゲーションデータのサブフレームを収集する方法及び装置

【課題】 衛星通信の初期測位時間(TTFF)性能を改善するため、衛星ナビゲーションデータのサブフレームを収集する方法を提供する。
【解決手段】 方法は、(a)複数のサブユニットに分けられるワードを備えたサブフレームを受信するステップと、(b)各サブユニットが有効か否かを検査するステップと、(c)有効なサブユニットから所要のサブユニットを収集するステップと、(d)上記サブフレームの所要のサブユニットが収集されたか否かを判断するステップと、(e)上記サブフレームの所要のサブユニットが未だに全部収集されていない場合に、サブフレームの再送を待って欠落したサブユニットを収集するステップとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は衛星通信の初期測位時間(TTFF, time to
first fix)の短縮に関し、特に衛星ナビゲーションデータのサブフレームを収集する方法及びこの収集方法を実施するGNSS(全世界的衛星航法システム)受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
衛星測位は種々の分野に利用されている。GNSSなどの衛星測位システムでは、コールドスタートとは受信装置の位置、観測時間、衛星ナビゲーション情報(アルマナックまたはエフェメリス(精密暦))などの情報が何もない状態をいう。
【0003】
GNSS(例えばGPS(全地球測位システム))受信装置では感度が性能を判断する主要な基準であり、感度を判断する代表的な基準としてコールドスタート状態下のTTFFが利用される。3次元位置を測定するためには少なくとも4つの衛星が必要であり、TTFFは少なくとも4つの可視衛星から信号を取得する時間と、ナビゲーションデータを復調して所要のエフェメリスをダウンロードする時間によって決められる。受信信号の電力が十分に強ければ、衛星信号を取得するには数秒間、所要のエフェメリスを取得するには約27秒が必要である。信号電力が弱ければ、衛星信号を取得する時間と所要のエフェメリスを取得する時間は長くならざるを得ない。したがって、信号電力の強度にかかわらず、エフェメリスの取得にかかる所要時間はTTFFを決定する要因である。
【0004】
ナビゲーションデータはページごとに送信する。5つのサブフレームが1ページを形成し、各サブフレームの送信には6秒がかかるため、1ページを送信するには30秒がかかる。なお、サブフレームごとに10ワードが含まれ、詳しくは後に説明する。図1は、ナビゲーションデータの1ページのデータ構成を示している。衛星ナビゲーションデータはエフェメリスとアルマナックからなる。複数の衛星は各々のエフェメリスをブロードキャスト方式で送信する一方、エフェメリスの簡略版であるアルマナックを送信する。主要なエフェメリスとクロックパラメータはサブフレーム1、サブフレーム2及びサブフレーム3で送信され、アルマナックはサブフレーム4とサブフレーム5で送信される。図2はエフェメリスとアルマナックを含んだナビゲーションデータの構造を示す。図2に示すように、アルマナックは25ページのサブフレーム4とサブフレーム5に分散されており、25ページのナビゲーションデータを送信するには12.5分間が必要である。エフェメリスやアルマナックが更新されていなければ、サブフレーム1〜3で運ばれる情報は同一である。言い換えれば、サブフレーム1〜3の情報は30秒ごとにリピートされる。完全なエフェメリスを取得するためには、サブフレーム1〜3を収集しなければならない。通常、エフェメリスは2時間ごとに更新される。
【0005】
図3は、エフェメリスを収集する従来の方法のフローチャートである。同方法はステップS10から始まる。ステップS20では受信装置でサブフレーム SF(i)を受信し、ステップS30では受信装置で各ワードのパリティを検査することでサブフレーム SF(i)に含まれた10ワードが正確か否かを確認する。パリティ検査により10ワードにエラーが検出された場合にサブフレーム SF(i)を破棄し、10ワードがすべて正確であれば、ステップS40に進む。ステップS40では、サブフレーム SF(i)がサブフレーム1〜3のいずれに当たるかを判断する。サブフレーム SF(i)がサブフレーム1〜3のいずれかであれば、ステップS50に示すようにサブフレーム SF(i) にフラグSF(i)_collectedを設定する上でバッファに保存する。ステップS60では、サブフレーム1〜3がすべて収集されたか、すなわち完全なエフェメリスが取得されたかどうかを判断する。そうであればステップS70に示すようにナビゲーションデータベースを更新し、そうでなければ実行中の収集を終了して最初からエフェメリスを収集しなおす。簡単に言えば、サブフレームに含まれた10ワードのいずれかが間違えばサブフレームごとに破棄される。この場合、次ページのサブフレームにもエラーが検出されれば、受信装置は更に30秒待たなければならないため、所要時間が延ばされ、受信装置のTTFF性能に大きな影響が出る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明は上記従来の問題を解決するため、必要な情報(例えばエフェメリス)を得る時間を減少し、衛星通信のTTFF性能を改善できる衛星ナビゲーションデータのサブフレームを収集する方法を提供することを課題とする。例えば、樹木または建物等の障害物の影響により衛星信号が暫く消える場合がある。本発明はこの場合に備えて、受信装置で短時間に必要な情報を得ることを可能にする。
【0007】
なお、この発明は前記収集方法を実施する衛星ナビゲーション装置を提供することを課題とする。該装置は、短時間に必要な情報を得ることができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、本発明者は従来の技術に見られる欠点に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、下記の装置によって、本発明の課題が解決される点に着眼し、かかる知見に基づき本発明を完成させた。
【0009】
請求項1に記載の衛星ナビゲーションデータのサブフレームを収集する方法は、(a)複数のサブユニットに分けられるワードを備えたサブフレームを受信するステップと、(b)各サブユニットが有効か否かを検査するステップと、(c)有効なサブユニットから所要のサブユニットを収集するステップと、(d)上記サブフレームの所要のサブユニットが収集されたか否かを判断するステップと、(e)上記サブフレームの所要のサブユニットが未だに全部収集されていない場合に、サブフレームの再送を待って欠落したサブユニットを収集するステップとを含む。
【0010】
請求項12に記載の衛星ナビゲーションデータのサブフレーム収集装置は、ナビゲーションデータのサブフレームを保存するナビゲーションデータベースと、上記サブフレームの有効サブユニットを保存するサブフレーム収集データベースと、ナビゲーションデータのサブフレームを検査し、該サブフレームが収集対象のサブユニットを含んだサブフレームであるかどうかを判断し、そうでなかった場合にサブフレームをナビゲーションデータベースに転送し、サブフレームに含まれたサブユニットが有効か否かを判定し、有効なサブユニットをサブフレーム収集データベースに保存する受信装置プロセッサーとを含む上記サブフレーム収集データベースで上記サブフレームのいずれかの所要のサブユニットをすべて収集すると、該サブフレームをナビゲーションデータベースに転送してデータベースを更新する。
【発明の効果】
【0011】
この発明によるサブフレームを収集する方法では、ナビゲーションデータのサブフレームは小さいサブユニットに分割される。各サブユニットを検査し、所要のサブユニットを含んだサブフレームをすべて収集してから、特定なサブフレームの収集を完成させる。
【0012】
この発明のサブフレームを収集する装置は前記サブフレームを収集する方法を実施する。複数のサブユニットを受信した後、サブフレーム収集装置で各サブユニットの有効性を判定し、有効なサブユニットを保存する。サブフレームの所要情報を備えたサブユニットをすべて収集してから、サブフレームの収集を完成させる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
エフェメリスの収集は、ナビゲーションデータのサブフレーム1〜3を収集することで行われる。前述のように、サブフレームは10ワードからなり、ワード誤り率(WER)は信号の受信強度と直接に関係する。図4を参照する。図4は搬送波対雑音比(CN比)とワード誤り率(WER)間の関係を示す図である。図4に示すように、CN比が低くなると、ワード誤り率が高くなる。CN比が30dB-Hz以下になると、ワード誤り率が一層高くなる。あるワードの誤り率をrとすれば、10ワードの誤り率は1-(1-r)10となる。例えば、CN比が30dB-Hzであった場合、単一ワードの誤り率は約0.04であって、10ワードの誤り率は1-(1-0.04)10=0.3352となる。10ワードを1つのサブユニットとした場合、ワード誤り率は相当に高い。したがって、サブフレームを複数のサブユニットに分割し、サブユニットごとに1ワード、2ワードまたは5ワードを組み入れることが可能である。例えば前述のように、単一ワードの誤り率を0.04とすれば、
10ワードのワードエラー率は1-(1-0.04)10=0.3352
5ワードのワードエラー率は1-(1-0.04)=0.1846
2ワードのワードエラー率は1-(1-0.04)=0.0784
1ワードのワードエラー率は1-(1-0.04)=0.04となる。
【0014】
図5を参照する。図5は10ワード、5ワード及び2ワードの誤り率と、単一ワードの誤り率との関係を示す図である。図5に示すように、ワード誤り率を一定にすれば、ワードセットに含まれたワード数が多ければ誤り率が高くなる。ワード誤り率を非常に低く抑えても10ワードのサブフレームの誤り率はやはり高い。したがって、従来の技術では正確なサブフレーム1〜3を収集するために30秒間の重複を複数回待たなければならない。
【0015】
そこで、本発明によるナビゲーションデータのサブフレームを収集する方法では、サブフレームを更に小さいサブユニットに分割し、例えばサブユニットごとに5ワード、2ワードまたは1ワードのみ組み入れる。受信装置はサブユニットを検査し、正確であればバッファーに保存する。サブフレーム1〜3のワードをすべて収集すると、サブフレーム1〜3の収集が完成する。もっとも、サブフレームの中で特定のワード(留保ワード)に何の情報も含まれていない場合があり、この特定のワードの収集は省略することができる。また、サブフレームの中で特定のワードに、他衛星でもナビゲーションデータとして伝送される共通情報が含まれた場合もあり、当該情報が既に取得されていれば、同様の情報を含んだワードを収集する必要がない。
【0016】
前述のように、ナビゲーションデータの送信はページごとに行われ、1ページは5つのサブフレームからなり、1サブフレームは10ワードからなる。ワードごとに6つのパリティビットが含まれる。各サブフレームの最初の2ワードはTLM(テレメトリー)とHOW(ハンドオーバーワード)である。図6ではTLMとHOWのデータ構成を示す図である。TLMには同期化に用いられるプリアンブルが含まれ、HOWには5つのサブフレームのいずれかを識別するサブフレームID(1、2、3、4、5または001、010、011、100、101)が含まれる。図7A〜7Cはナビゲーションデータのサブフレーム1〜3のデータ構成をそれぞれ示す図である。サブフレーム1のワード8には8ビットのパラメータIODC(送信日、クロック)が含まれ、サブフレーム2のワード3には8ビットのパラメータIODE(送信日、エフェメリス)が含まれ、サブフレーム3のワード10にも8ビットのパラメータIODEが含まれる。パラメータIODCとパラメータIODEは1つのIODとみなされる。サブフレーム2とサブフレーム3からのIODEと、サブフレーム1からのIODCの最下位ビットがマッチしなかった場合、即ちデータセットのカットオーバーが発生した場合に新データを収集しなければならない。言い換えれば、サブフレーム2とサブフレーム3からの2組のパラメータIODEと、サブフレーム1からのIODCの8つの最下位ビットは相互に一致する。この特性は、本発明による方法で収集したサブフレームの正確性確認に利用され、詳しくは後に説明する。
【0017】
図8は一般のGNSS受信装置(GPS、ガリレオ及びSBAS)の構造を示す図である。受信装置ではアンテナ10で衛星信号を受信し、プリアンプ(前置増幅器)12で信号を増幅し、逓降変換器14で増幅した信号を中間周波数(IF)信号に変換する。このとき、受信した信号はアナログ形式である。次に受信した信号をADC(アナログ/デジタル変換器)16でデジタル信号に変換する。受信装置は複数のチャネル相関器CH、CH、…CH18を具え、複数の衛星信号の信号相関性を同時に計算することができる。相関性計算後の信号は受信装置プロセッサー20に供給され、受信装置プロセッサー20で復調され、エフェメリスとアルマナックを含んだナビゲーションデータの取得・収集に用いられる。
【0018】
図9は、本発明によるサブフレーム収集装置を示すブロック図である。実際、このサブフレーム収集装置、特に保存装置(バッファ)以外の構成素子は、ハードウエアまたはハードウエア・ソフトウエア形式で受信装置プロセッサー20に統合することができる。図10を参考する。図10は本発明によるサブフレームを収集する方法のフローチャートである。この発明のサブフレームを収集する装置は、受信信号を復調してナビゲーションデータのサブフレームを取得する(図10のステップS200)ための復調器201を備える。サブフレームはその後フレームシンクロナイザ202に転送され、フレームシンクロナイザ202で復調された各サブフレームのIDを確認する。次に、判断装置203はサブフレームに含まれた各ワードのパリティビットを検査する(ステップS300)。この発明では、ナビゲーションデータの1ページの中のサブフレーム4、5はそのままナビゲーションデータベース205に転送され、サブフレーム1〜3のいずれかと判断されたサブフレームは判断装置203に転送される。判断装置203はサブフレームのサブユニットを検査する。前述のように、10ワードからなったサブフレームのサブユニットは1ワード、2ワードまたは5ワードである。換言するとサブユニットのサイズは自由に設定できる。望ましくは、サブフレームに含まれた複数のワードが長さ均一のサブユニットに分けられ、ここで1ワードのサブユニットを例にする。判断装置203は有効と判定されたワードをサブフレーム収集データベース204に送信する(ステップS400)。なお、ステップS300、ステップS400中に、サブフレーム収集装置はサブフレームに対して保護的な検査を行う(詳しくは後に説明する)。サブフレーム収集データベース204は3つの領域に分けられ、サブフレーム1〜3(SF1、SF2及びSF3)のワード収集にそれぞれ当てられる。SF1〜SF3のワードをすべて収集した後、すなわちサブフレーム1〜3で情報を含んだワードをすべて収集した後、SF1、SF2及びSF3をナビゲーションデータベース205に転送してデータベースを更新する(ステップS500)。
【0019】
前述のように、サブフレーム収集装置は各サブフレームに保護的な検査を行い、フレームシンクロナイザ202はサブフレームのTLMワード(ワード1)とHOWワード(ワード2)を検査する。TLMワード(ワード1)はプリアンブル情報を有し、プリアンブル情報に間違いがあれば、サブフレームを破棄してその中のワードを収集しない。HOWワード(ワード2)には、サブフレームがSF1〜SF5のいずれかを示すサブフレームIDを有する。この発明では、収集されたサブフレームがSF4かSF5の場合、フレームシンクロナイザ202はサブフレームに含まれたワードのパリティビットを検査し、ワードのすべてが有効と判定された場合にサブフレームをナビゲーションデータベース205に転送する。HOWワード(ワード2)のサブフレームIDを検査することで、収集したサブフレームがSF1〜SF3のいずれかあると判定すると、サブフレームを判断装置203に転送する。通常、判断装置203に転送されたサブフレームの順番はSF1、SF2、SF3、SF1、SF2…となる。例えば、サブフレームIDの順番がSF1、SF2、SF2…となった場合はエラーである。サブフレーム収集装置は、判断装置203でサブフレームのTLMワードとHOWワードがいずれも有効と判定された場合、同じサブフレームの他のワードを収集する。判断装置203で他のワードはパリティ検査により検査される。図7A〜7Cに関する前述のように、同一データセットのサブフレームSF1、SF2、SF3はIODCが一致しなければならず、一致しなかった場合はナビゲーションデータの更新と判断される。この場合、サブフレーム収集データベース204に保存されたワードを削除し、現サブフレームの有効ワードを収集してサブフレーム収集データベース204に保存する。なお、サブフレームには情報を載せない留保ワードがありうる。例えば、サブフレーム1のワード4〜6を留保ワードとし、そこに情報を保存しないことが可能である。
【0020】
図11Aと図11Bは、図10に示す方法の実施例のフローチャートを示す図である。図9も参考する。サブフレーム収集方法はステップS1000から始まる。復調器201は相関性計算が行われた信号を受信してデータサブフレームとして復調する(ステップS1010)。これらのサブフレームはフレームシンクロナイザ202に転送され、フレームシンクロナイザ202でサブフレームのTLMワードとHOWワードを検査し、TLMワードが正確でない場合にサブフレームを廃棄する(ステップS1021)。また、HOWワードの検査でサブフレームIDを確認し、収集したサブフレームがサブフレーム1〜5のいずれかを判断する。次に、サブフレームがサブフレーム1〜3のいずれかであるかを判断する(ステップS1023)。そうであればステップS1025に進み、そうでなければステップS1030でサブフレームの他ワード(ワード3〜10)を検査する。通常はパリティビットでワード3〜10を検査する。ワード3〜10がすべて正確であればサブフレーム(SF4かSF5)をナビゲーションデータベースに保存し(ステップS1080)、そうでなければサブフレームを破棄する。ステップS1023でサブフレームがサブフレーム1〜3(SF1〜SF3)のいずれかと判断されると、このサブフレームを判断装置203に転送してIODワードを検査する。IODワードの検査は、IOD情報を含んだワードの正確性検査と、SF1のIODCとSF2、SF3のIODEの相互一致性検査を含む。ステップS1025でIODワードが無効と検出されると、サブフレームのサブユニット収集(ワード収集)を実行しない。ステップS1026でIODが変更したと、すなわちIODCとIODEが一致しないと検出されると、ステップS1040に判断装置203でword_collectedフラグとSF_collectedフラグをリセットし、すなわちエフェメリスの収集はやり直すべく、前に収集したワードとサブフレームは破棄すべきである。ステップS1045では、サブフレームの前の2ワードが検査・収集されたのでカウントiを3と設定し、ステップS1050では、ワード[i](i=3〜10)を逐一検査して、正確ならサブフレーム収集データベース204に収集する(ステップS1050、S1052、S1054、S1056)。ワード[i]が収集されると、そのword_collectedフラグは自動的に設定されるので、ダミーワードを無視してもよい。例えば、サブフレームがSF1と判断されれば、ワード4、ワード5及びワード6が情報を保存しない留保ワードであることがわかる。そのため、これらのワードに対する検査を省略し、その代わりにワードのword_collectedフラグを初期化することができる。ステップS1060において、判断装置203はword_collectedフラグを検査することで、サブフレーム1〜3(SF1〜SF3)のワード3〜ワード10が収集されたかどうかを判断する。例えば、SF1のワード3〜ワード10が収集されたと判断すると、判断装置203はステップS1065でSF1のSF_collectedフラグを設定する。ステップS1060において、SF1のワード3〜ワード10が収集されてないと判断すると、ステップS1010に戻る。注意すべきは、本発明ではこのような検査は常に実行される。言い換えれば、サブフレームに含まれたすべてのワードが収集されると、そのSF_collectedフラグは設定される。ステップS1070において、判断装置はSF1〜SF3のSF_collectedフラグを検査することで、SF1〜SF3が全部収集されたか否かを判断する。SF1〜SF3が全部収集されると、収集したサブフレームをナビゲーションデータベース205に転送してデータベースを更新する。さもなければ、サブフレーム収集装置は次のサブフレームの入力を待つ。サブフレーム収集方法はステップS1100に終了する。上記方法は繰り返して行われる。注意すべきは、不合理的なサブユニットデータを排除するため、合理性検査もサブフレーム収集方法に取り入れることができる。
【0021】
この発明ではエフェメリスを収集する時間を著しく減少させ、受信装置のTTFF性能を改善することができ、特に信号が弱いか不安定な情況では効果が顕著である。
【0022】
以上はこの発明の好ましい実施例であって、この発明の実施の範囲を限定するものではない。よって、当業者のなし得る修正、もしくは変更であって、この発明の精神の下においてなされ、この発明に対して均等の効果を有するものは、いずれも本発明の特許請求の範囲に属するものとする。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】ナビゲーションデータの1ページのデータ構成を示す図である。
【図2】エフェメリスとアルマナックを含んだナビゲーションデータの構造を示す図である。
【図3】エフェメリスを収集する従来の方法のフローチャートである。
【図4】搬送波対雑音比(CN比)とワード誤り率(WER)間の関係を示す図である。
【図5】10ワード、5ワード及び2ワードの誤り率と、単一ワードの誤り率との関係を示す図である。
【図6】TLMワードとHOWワードのデータ構成を示す図である。
【図7A】サブフレーム1のデータ構成を示す図である。
【図7B】サブフレーム2のデータ構成を示す図である。
【図7C】サブフレーム3のデータ構成を示す図である。
【図8】一般のGNSS受信装置の構造を示す図である。
【図9】本発明によるサブフレーム収集装置を示すブロック図である。
【図10】本発明によるサブフレームを収集する方法のフローチャートである。
【図11A】図10に示す方法の実施例のフローチャートを示す図である。
【図11B】図10に示す方法の実施例のフローチャートを示す図である。
【符号の説明】
【0024】
10 アンテナ
12 プリアンプ
14 逓降変換器
16 ADC
18 チャネル相関器
20 受信装置プロセッサー
201 復調器
202 フレームシンクロナイザ
203 判断装置
204 サブフレーム収集データベース
205 ナビゲーションデータベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
衛星ナビゲーションデータのサブフレームを収集する方法であって、
(a)複数のサブユニットに分けられるワードを備えたサブフレームを受信するステップと、
(b)各サブユニットが有効か否かを検査するステップと、
(c)有効なサブユニットから所要のサブユニットを収集するステップと、
(d)上記サブフレームの所要のサブユニットが収集されたか否かを判断するステップと、
(e)上記サブフレームの所要のサブユニットが未だに全部収集されていない場合に、サブフレームの再送を待って欠落したサブユニットを収集するステップとを含むことを特徴とする衛星ナビゲーションデータのサブフレーム収集方法。
【請求項2】
前記サブユニットは少なくとも1ワードを含むこと特徴とする請求項1記載の衛星ナビゲーションデータのサブフレーム収集方法。
【請求項3】
前記ステップ(b)は更に、サブフレームのTLM(テレメトリー)ワードを検査し、TLMワードが無効の場合にサブフレームを破棄し、その中からサブユニットを収集しないステップを含むことを特徴とする請求項1記載の衛星ナビゲーションデータのサブフレーム収集方法。
【請求項4】
前記ステップ(b)は更に、受信したサブフレームのハンドオーバーワード(HOW)を検査し、該サブフレームのIDを識別するステップを含むことを特徴とする請求項1記載の衛星ナビゲーションデータのサブフレーム収集方法。
【請求項5】
前記方法は更に、サブフレームのIDを検査し、該サブフレームにエフェメリスが含まれるかを判断するステップを含むことを特徴とする請求項4記載の衛星ナビゲーションデータのサブフレーム収集方法。
【請求項6】
前記ステップ(d)は更に、エフェメリスを含んだサブフレームがすべて収集されたかを判断するステップを含むことを特徴とする請求項1記載の衛星ナビゲーションデータのサブフレーム収集方法。
【請求項7】
前記サブフレームの所要のサブユニットが収集されると、該サブフレームが収集されたものと見なすことを特徴とする請求項1記載の衛星ナビゲーションデータのサブフレーム収集方法。
【請求項8】
前記ステップ(d)は更に、ナビゲーションデータが更新されたかを判断し、更新された場合に、収集したサブユニットを破棄するステップを含むことを特徴とする請求項1記載の衛星ナビゲーションデータのサブフレーム収集方法。
【請求項9】
前記方法は更に、サブフレームのIOD(送信日)情報を検査して更新の有無を判断するステップを含むことを特徴とする請求項8記載の衛星ナビゲーションデータのサブフレーム収集方法。
【請求項10】
前記ステップ(b)は更に、サブフレームのTLMワードとHOWワードを検査し、両者がすべて正確であればサブフレームの他の部分を検査し、さもなければサブフレームを破棄し、そこからサブユニットを収集しないステップを含むことを特徴とする請求項1記載の衛星ナビゲーションデータのサブフレーム収集方法。
【請求項11】
前記ステップ(b)は更に、留保ワードの検査を省略するステップを含むことを特徴とする請求項1記載の衛星ナビゲーションデータのサブフレーム収集方法。
【請求項12】
衛星ナビゲーションデータのサブフレームを収集する装置であって、各サブフレームは複数のサブユニットに分けられるワードからなり、該装置は、
ナビゲーションデータのサブフレームを保存するナビゲーションデータベースと、
上記サブフレームの有効サブユニットを保存するサブフレーム収集データベースと、
ナビゲーションデータのサブフレームを検査し、該サブフレームが収集対象のサブユニットを含んだサブフレームであるかどうかを判断し、そうでなかった場合にサブフレームをナビゲーションデータベースに転送し、サブフレームに含まれたサブユニットが有効か否かを判定し、有効なサブユニットをサブフレーム収集データベースに保存する受信装置プロセッサーとを含み、
上記サブフレーム収集データベースで上記サブフレームのいずれかの所要のサブユニットをすべて収集すると、該サブフレームをナビゲーションデータベースに転送してデータベースを更新することを特徴とする衛星ナビゲーションデータのサブフレーム収集装置。
【請求項13】
前記収集対象のサブユニットを含んだサブフレームは、サブフレームの所要のサブユニットがすべて収集された後に、他のサブフレームとともにナビゲーションデータベースに送信され更新されることを特徴とする請求項12記載のサブフレーム収集装置。
【請求項14】
前記サブフレームの留保サブユニットは所要のサブユニットとされないことを特徴とする請求項12記載のサブフレーム収集装置。
【請求項15】
前記受信装置プロセッサーは更に、ナビゲーションデータの更新の有無検査に用いられ、更新があった場合にサブフレーム収集データベースに保存されたサブユニットを破棄することを特徴とする請求項12記載のサブフレーム収集装置。
【請求項16】
前記受信装置プロセッサーは更に、サブフレームのIOD情報を検査して更新の有無を判断することを特徴とする請求項15記載のサブフレーム収集装置。
【請求項17】
前記受信装置プロセッサーは更に、サブフレームのHOWワードを検査し、該サブフレームが収集対象のサブユニットを含んだものであるか否かを判断することを特徴とする請求項12記載のサブフレーム収集装置。
【請求項18】
前記サブフレームにエフェメリスが含まれれば、前記受信装置プロセッサーで当該サブフレームが収集対象のサブユニットを含んだサブフレームであると判断することを特徴とする請求項12記載のサブフレーム収集装置。
【請求項19】
前記受信装置プロセッサーは更に、サブフレームのTLMワードとHOWワードを検査し、両方とも正確であればサブフレームの他の部分を検査し、さもなければサブフレームを破棄して、そこからサブユニットを収集しないことを特徴とする請求項12記載のサブフレーム収集装置。
【請求項20】
前記サブユニットには少なくとも1ワードが含まれることを特徴とする請求項12記載のサブフレーム収集装置。
【請求項21】
前記受信装置プロセッサーは、
サブフレームを検査して収集対象のサブユニットを含んだサブフレームであるか否かを判断し、そうでなかった場合に前記ナビゲーションデータベースに転送するフレームシンクロナイザと、
前記フレームシンクロナイザから収集対象のサブユニットを含んだサブフレームを受信し、該サブフレームに含まれた各サブユニットが有効か否かを判断し、サブフレームの有効サブユニットをサブフレーム収集データベースに保存する判断装置とを含むことを特徴とする請求項12記載のサブフレーム収集装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−170435(P2008−170435A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−333104(P2007−333104)
【出願日】平成19年12月25日(2007.12.25)
【出願人】(507420972)聯発科技股▲ふん▼有限公司 (2)
【Fターム(参考)】