説明

衛生洗浄装置システム

【課題】 衛生洗浄装置、及び、リモコン装置の消費電力を抑え、しかも、衛生洗浄装置はリモコン装置から送信される制御信号を確実に受信することのできる衛生洗浄装置システムを提供する。
【解決手段】 電波信号を複数回繰り返し送信するリモコン装置により衛生洗浄装置を遠隔操作する衛生洗浄装置システムにおいて、リモコン装置は衛生洗浄装置に着座中のみにその動作状態を変更可能な電波信号を送信する着座機能操作スイッチと、着座状態に係らずにその動作状態を変更可能な電波信号を送信する非着座機能操作スイッチとを有し、無線信号受信手段は、使用者を検出する人体検出手段が使用者を検出していない場合は使用者を検出している場合に比べて停止時間が長くなるように間欠的に動作すると共に、非着座機能操作スイッチの操作によって送信される電波信号の繰り返し送信回数は、着座機能操作スイッチの操作時より多く設定されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衛生洗浄装置システム、特に衛生洗浄装置を電波信号を用いたリモコン装置によって遠隔制御する衛生洗浄装置システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、トイレの便器には、その快適さから、局所洗浄機能、便器洗浄機能、乾燥機能、脱臭機能を有する衛生洗浄装置が取付けられている。そして、このような衛生洗浄装置の操作パネルに集約された操作スイッチを使用者が操作することによって、それらの機能が作動するようになっている。
【0003】
この操作パネルは、従来、衛生洗浄装置上に配置されるものが多かったが、最近は衛生洗浄装置とは別にリモコン装置を設けられるものが主流となってきている。そして、使用者がこのリモコン装置上に配置された操作スイッチを操作することによって、リモコン装置からの制御信号が赤外線により衛生洗浄装置へ送られ、その信号を受信した衛生洗浄装置によって制御信号に応じた制御を行っている。
【0004】
しかしながら、このようなリモコン装置においては、赤外線出力用のLEDによって、赤外線による通信を行っていたため、その通信による消費電力が大きかった。
【0005】
しかも、赤外線を用いた通信においては、リモコン装置と受光部の向きや障害物の存在により通信ができない場合が発生するため、複数の赤外線出力用のLEDを複数の方向に向けて配置し、さらにトイレブース内の側壁や、天井の赤外線の反射を利用して通信を行っており、最大1A程度の電流を流すため、それによって消費電力が大きくなってしまうという問題があった。
【0006】
以上のような赤外線による通信の問題点を解決するために、電波を用いた通信を利用するものが提案されている(例えば、特許文献1,2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許03775425号
【特許文献2】特開2007−315147
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このような先行文献1,2に記載された電波を用いた通信は、リモコン装置においては、赤外線通信と比較して消費電力を低減することができる一方で、衛生洗浄装置において電波通信を行う受信基板の消費電力は、赤外線通信を行う受光基板の消費電力と比較すると極めて大きい。
【0009】
一方、近年、衛生洗浄装置の待機時消費電力の省エネルギー化が求められている。
一般に待機時中の衛生洗浄装置の消費要因として、表示用LEDの発光動作による消費、人体検出センサの人体検出動作による消費等があるが、電波通信のための、受信基板の消費電力が占める割合が比較的大きい。
【0010】
このような問題の解決策として、衛生洗浄装置の着座検出手段を利用し、使用者の着座を非検出時は、受信基板の動作を停止させ、使用者の着座を検出時は受信基板を動作させる手法が考えられるものの、リモコン装置は、必ずしも使用者が着座した状態で操作されるスイッチばかりではない。例えば、リモコン装置には、使用者が衛生洗浄装置の洗浄ノズルの清掃を行う時に、洗浄ノズルを清掃しやすい状態に伸ばす制御を行うスイッチがあり、洗浄ノズルの清掃を行うというの目的から非着座時に使用するスイッチであり、本解決策を適用すると、洗浄ノズル清掃を行うための制御信号を受信できないこととなる。
【0011】
また、その他の解決策として、衛生洗浄装置の着座検出手段を利用し、使用者の着座を非検出時は、受信基板の動作を間欠的に動作させ、使用者の着座を検出時は受信基板を連続的に動作させる手法が考えられるものの、リモコン装置は使用者の着座情報を検出できないため、少なくとも間欠動作でも受信できる多くの信号数を、使用者が衛生洗浄便座に着座をしている、いないを問わず、送信する必要があり、結果的にリモコン装置の消費電力が増えてしまい、電波通信を行う利点が損なわれる。
【0012】
本発明は、上記の課題を解決するためのものであり、衛生洗浄装置は、使用者を非検出時は受信動作を間欠的に動作させることで、その受信待機時消費電力を抑えることが可能であり、また、リモコン装置は、使用者検出のための電子機器を追加せず、衛生洗浄装置の動作に応じた信号を送信することでリモコン装置の消費電力を抑えることが可能であり、しかも、衛生洗浄装置はリモコン装置から送信される制御信号を確実に受信することのできる衛生洗浄装置システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1に記載の発明は、電波信号を複数回繰り返し送信する無線信号送信手段を有するリモコン装置と、前記リモコン装置より送信される電波信号を受信する無線信号受信手段と、この無線信号受信手段により受信された電波信号に基いて使用者の局部に向けて洗浄水を噴射する局部洗浄手段と、便座と、この便座への人体の着座を検出する着座検出手段とを有する衛生洗浄装置と、を備えた衛生洗浄装置システムにおいて、前記リモコン装置は、前記衛生洗浄装置の前記着座検出手段が着座を検出中のみに前記衛生洗浄装置の動作状態を変更可能な電波信号を送信する着座機能操作スイッチと、前記衛生洗浄装置の前記着座検出手段による検出状態に係らずに前記衛生洗浄装置の動作状態を変更可能な電波信号を送信する非着座機能操作スイッチと、を有し、前記無線信号受信手段は、使用者を検出する人体検出手段が使用者を検出していない場合は使用者を検出している場合に比べて停止時間が長くなるように間欠的に動作すると共に、前記非着座機能操作スイッチの操作によって送信される電波信号の繰り返し送信回数は、前記着座機能操作スイッチの操作によって送信される電波信号の繰り返し送信回数より多く設定されていることを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、衛生洗浄装置の無線信号受信手段は、使用者を検出する人体検出手段が使用者を検出していない場合は使用者を検出している場合に比べて停止時間が長くなるように間欠的に動作させることで、その待機時消費電力を抑えることができる。
また、リモコン装置は、使用者検出のための電子機器を追加せずに、その送信される電波信号の種類に基づいて、非着座機能操作スイッチの操作によって送信される電波信号の繰り返し送信回数は、着座機能操作スイッチの操作によって送信される電波信号の繰り返し送信回数より多く設定されているため、衛生洗浄装置の無線信号受信手段が停止時間が長くなるように間欠的に駆動していたとしても、非着座機能操作スイッチの操作によって送信される電波信号を確実に受信して動作することができ、一方、その状態では受信して動作する必要のない着座機能操作スイッチ操作時の繰り返し送信回数は多くしていないので、リモコン装置の消費電力を抑えることができる。
【0015】
また、請求項2に記載の発明は、前記衛生洗浄装置システムにおいて、前記リモコン装置は、使用者の操作に係らずに前記衛生洗浄装置の動作状態を変更可能な電波信号を送信する自動送信手段を更に有し、この自動送信手段によって送信される電波信号の繰り返し送信回数は、前記着座機能操作スイッチの操作によって送信される電波信号の繰り返し送信回数より多く設定されていることを特徴とする。
【0016】
本発明によれば、リモコン装置は、使用者検出のための電子機器を追加せずに、その送信される電波信号の種類に基づいて、自動送信手段によって送信される電波信号の繰り返し送信回数は、着座機能操作スイッチの操作によって送信される電波信号の繰り返し送信回数より多く設定されているため、衛生洗浄装置の無線信号受信手段が停止時間が長くなるように間欠的に駆動していたとしても、自動送信手段によって送信される電波信号を確実に受信して動作することができ、一方、その状態では受信して動作する必要のない着座機能操作スイッチ操作時の繰り返し送信回数は多くしていないので、リモコン装置の消費電力を抑えることができる。
【0017】
また、請求項3に記載の発明は、前記衛生洗浄装置システムにおいて、前記無線信号受信手段は、前記人体検出手段として前記着座検出手段を利用するものであり、この着座検出手段が着座を検出していない場合は着座を検出している場合に比べて停止時間が長くなるように間欠的に動作することを特徴とする。
【0018】
本発明によれば、無線信号受信手段は、使用者を検知していない場合は勿論、便座に着座していない使用者を検知した場合でも停止時間が長い状態で間欠的に駆動するため、その待機時消費電力をより一層抑えることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の衛生洗浄装置システムにおいては、衛生洗浄装置は、使用者を非検出時は受信動作を間欠的に動作させることで、その受信待機時消費電力を抑えることができる。また、リモコン装置は、使用者検出のための電子機器を追加せずに、衛生洗浄装置の動作に応じた信号を送信することでリモコン装置の消費電力を抑えることができ、しかも、衛生洗浄装置はリモコン装置から送信される制御信号に基づいて確実に動作することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】衛生洗浄装置システム図
【図2】衛生洗浄装置の構成ブロック図
【図3】リモコン装置の外観図
【図4】リモコン装置のカバーを開けた状態の正面図
【図5】リモコン装置の構成ブロック図
【図6】リモコン装置の無線送信部の送信制御に関するフローチャート
【図7】従来の衛生洗浄装置システムにおける送信動作、受信動作のタイミングチャート
【図8】本発明の第一実施形態に係る衛生洗浄装置システムにおける送信動作、受信動作のタイミングチャート(使用者が着座中)
【図9】本発明の第一実施形態に係る衛生洗浄装置システムにおける送信動作、受信動作のタイミングチャート(使用者が非着座中)
【図10】本発明の第一実施形態に係る衛生洗浄装置システムにおける送信動作、受信動作のタイミングチャート(自動送信時)
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0022】
図1は、トイレブースに設置された本発明の実施形態に係る衛生洗浄装置及びそれを制御するリモコン装置からなる衛生洗浄装置システムを示す図、図2は衛生洗浄装置の構成ブロック図、図3は本発明の実施形態に係るリモコン装置の外観図、図4は本発明の実施形態に係るリモコン装置のカバーを開けた状態の正面図、図5は本発明の実施形態に係るリモコン装置の構成ブロック図、である。
【0023】
図1に示すように、本発明の実施形態における衛生洗浄装置システムSは、トイレブースに設置された衛生洗浄装置1とリモコン装置2から構成される。
【0024】
衛生洗浄装置1は、便器3上に設置され、各種機能を制御するための制御部等を有する衛生洗浄装置本体4と、衛生洗浄装置本体4に回動可能に連結された便座5と、同じく衛生洗浄装置本体4に回動可能に連結された便蓋6と、を備えている。
【0025】
そして衛生洗浄装置本体4には、トイレブース内の使用者を検出する人体検出手段として機能するセンサを備えている。
【0026】
このセンサは、トイレブースへの使用者の入室を検出する入室検出手段として機能する入室センサ71と、使用者の衛生洗浄装置1へ接近を検出する接近検出手段として機能する接近センサ72と、使用者の便座5への着座を検出する着座検出手段として機能する着座センサ7という3つのセンサにより構成されている。
【0027】
ここで入室センサ71は、人体などから発せられる赤外線を検出する焦電型赤外線センサを使用し、接近センサ72は接近する使用者へ向けて所定波長の光を照射し、その光が使用者に反射した反射光を受光して、使用者が接近しているか否かを検出する赤外線センサにより構成している。
【0028】
また着座センサ7は、便座5に着座している使用者へ向けて所定波長の光を照射し、その光が使用者に反射した反射光を受光して、使用者が着座しているか否かを検出する赤外線センサにより構成している。
【0029】
そして、この衛生洗浄装置1は接近センサ72により使用者の便器3への接近を検出すると、便蓋6を自動的に開放状態にすると共に、使用者を検出しなくなると、便蓋6を自動的に閉塞状態とする便蓋自動開閉ユニット61による便蓋自動開閉機能を備えている。
【0030】
また、この衛生洗浄装置1は使用者の局部を自動洗浄する局部洗浄手段としての局部洗浄ユニット81による局部洗浄機能を備えており、局部を洗浄する際には、図1に示す洗浄ノズル8から洗浄水を使用者の局部へ向けて噴射することにより、局部洗浄を行う。
【0031】
他、この衛生洗浄装置1は便座5表面の温度を使用者が快適と感じる温度となるように制御する便座暖房ユニット51による便座暖房機能や、節電機能等、様々な機能を備えている。
【0032】
特に、この衛生洗浄装置1は衛生洗浄装置本体4の内部にリモコン装置2からの制御信号を受信する無線信号受信手段として機能する無線受信部9を備えている。
【0033】
そして、衛生洗浄装置1はリモコン装置2から受信した制御信号に対応した各種機能を作動させる。
【0034】
図2を用いて説明する。リモコン装置2から受信した制御信号はアンテナを含む無線受信回路91により電気信号へ変換される。ROM921とRAM922を持つ無線受信部9のCPU92は、電気信号がリモコン装置2からのどのような制御命令かを解読処理し、ROM111とRAM112を持つ衛生洗浄装置のCPU11へ制御信号を送り、衛生洗浄装置のCPU11は制御信号に対応した各種機能を作動させる。
【0035】
また、衛生洗浄装置のCPU11は、入室センサ71からの人体検出信号を受信し、衛生洗浄装置1の便蓋自動開閉機能を作動させたり、着座センサ7からの信号を受信し、局部洗浄機能を安全に作動させることを行う。
【0036】
リモコン装置2は図3に示すように薄型略矩形箱状の筐体211と、筐体211の上面及び前面に設けられ、衛生洗浄装置1の機能を遠隔制御するために使用者が操作する操作手段として機能する複数の操作スイッチと筐体211の略中央に設けられ、リモコン装置2の設定状態、時間等を表示する液晶表示部212と、この液晶表示部212の両側に設けられ、衛生洗浄装置1の各種機能を設定するための複数スイッチとを備えている。
【0037】
また、リモコンの内部は図5のとおり、各種設定内容などを記憶する記憶部24と、衛生洗浄装置本体4へ制御信号を電波信号として送信するアンテナを含む無線送信回路25と、それを制御するためのCPU26と、リモコン装置2全体の制御を統括し、ROM271と、RAM272を持つCPU27とから構成される。また無線送信回路25とそれを制御するためのCPU26、CPU26が持つROM261と、RAM262によって、無線信号送信手段としての無線送信部28が構成されている。
【0038】
リモコン装置のCPU27は、図3、図4に示す各種スイッチのうち、どのスイッチが操作されたかを検出し、操作されたスイッチに準じる制御信号を電波に変換して送信するよう無線送信部のCPU26へ命令し、無線送信部のCPU26は、あらかじめ決められた制御内容、送信信号数を衛生洗浄装置本体4へ、無線送信回路25にて電波に変換し送信する。
【0039】
ところで衛生洗浄装置1は前述したように、局部洗浄機能、便座暖房機能、節電機能等を持っている。これらの機能を大きく分けると、使用者が着座している時のみに作動する機能、使用者が着座・非着座時に関係なく作動する機能に分けられる。
【0040】
もちろん、リモコン装置2に備わっているスイッチも同じように分別される。使用者が衛生洗浄装置1を使用中、つまり着座中のみにその衛生洗浄装置1の動作状態を変更するためのスイッチは局部洗浄機能スイッチ、乾燥スイッチ、洗浄パワー制御スイッチ、マッサージスイッチ等各種洗浄に関する機能スイッチである。これらの着座中に使用する各種洗浄機能スイッチを着座機能操作スイッチ22と呼ぶ。この着座機能操作スイッチ22が操作された場合には、リモコン装置2の無線送信部28からは信号が送信されるが、衛生洗浄装置1の衛生洗浄装置のCPU11では、無線受信部9で受信した信号と着座センサ7による着座検出とのAND条件を満たさないと衛生洗浄装置1の動作状態を変更するための処理を行わないようになっている。
【0041】
使用者が衛生洗浄装置1に着座している着座していないに係らずにその衛生洗浄装置1の動作状態を変更するためのスイッチは、時刻の設定スイッチ、衛生洗浄装置1の節電時間設定スイッチ、便蓋6の自動開閉設定スイッチ等、各種設定に関する機能スイッチがある。これらの各種設定機能スイッチを非着座機能操作スイッチ23と呼ぶ。この非着座機能操作スイッチ23が操作された場合には、リモコン装置2の無線送信部28からは信号が送信され、衛生洗浄装置1の衛生洗浄装置のCPU11では、無線受信部9で受信した信号に基いて衛生洗浄装置1の動作状態を変更するための処理を行うようになっている。即ち、着座センサ7からの信号は、衛生洗浄装置1の動作状態を変更するかどうかの判断には利用されない。
【0042】
次に、リモコン装置2の無線送信部28における送信制御について説明する。図6は、リモコン装置2の無線送信部28の送信制御に関するフローチャートである。このフローチャートに示すように、まずはリモコン装置のCPU27では、スイッチ操作が行われたかどうかが判断される(S61)。そして、スイッチ操作が行われたと判断すると(S61Y)、その操作されたスイッチが着座機能操作スイッチ22なのか、非着座操作スイッチ23なのかを判断する(S62)。ここで、着座機能操作スイッチ22が操作されたと判断すると(S62Y)、その情報を無線送信部28へ送り、無線送信部のCPU26はその操作されたスイッチに基く送信信号(フレーム信号)を生成して、第一の繰り返し送信回数で無線送信回路25から電波信号を送信する(S63)。一方、S62にて操作されたのが着座機能操作スイッチ22ではなく非着座機能操作スイッチであると判断すると(S62N)、無線送信部のCPU26はその操作されたスイッチに基く送信信号(フレーム信号)を生成して、第二の繰り返し送信回数で無線送信回路26から電波信号を送信する(S64)。なお、第二の繰り返し送信回数は第一の繰り返し送信回数に比べて多く設定されている。また、第一の繰り返し送信回数は1回でも構わない。
【0043】
なお、フレーム信号は、48bitの「通信規格情報ビット」、112bitの「制御情報ビット(IDビットや命令信号ビットを含む)」、16bitの「チェックサムビット」から構成された合計176bitから構成された1つの送信信号である。衛生洗浄装置1は、リモコン装置2から複数回繰り返し送信された信号の何れかのひとつのフレームを受信することで動作可能であるが、無線送信部28での電波信号生成時や無線受信部9での復号処理にエラーが生じても衛生洗浄装置1を確実に動作させることができるようにするために、また、後で述べる受信動作を間欠動作させた場合にその受信可能時期と合致させるために、複数回繰り返し送信を行っている。
【0044】
また、図6のフローチャートにおいて、S61でスイッチ操作が行われていないと判断されると(S61N)、リモコン装置のCPU27は時刻ユニット30からの信号に基いて、自動送信手段の作動時刻かどうかを判断する(S65)。そして、自動送信手段の作動時刻と判断すると(S65Y)、無線送信部のCPU26は現在のリモコン装置2の設定内容(リモコン設定状態信号)を第二の繰り返し送信回数で無線送信回路26から電波信号として送信する(S64)
【0045】
この自動送信手段の作動時刻は予め定められ時刻として設定されている。例えば、午前零時といった特定の時刻として設定されている。この自動送信は、衛生洗浄装置1の内部で認識している情報と、リモコン装置2で設定されて液晶表示部212に表示されている情報とを一致させるための送信であり、衛生洗浄装置1は、この自動送信の信号を受信すると、内部で記憶されている情報を受信信号に基いて強制的に変更する。
【0046】
次に、図6のフローチャートに基いてリモコン装置2から電波送信された場合の衛生洗浄装置1での受信動作について説明する。
最初に、図6に基かない従来の衛生洗浄装置システムSについて、その送信動作と受信動作のタイミングチャートである図7に基いて説明する。
【0047】
衛生洗浄装置1において、無線受信部9は着座センサ7が使用者の着座を検出している時、使用者の着座の検出をしていない時を問わず常時起動している。そして、使用者がリモコン装置2の着座機能操作スイッチ22、非着座機能操作スイッチ23のいずれのスイッチを操作しても、リモコン装置2の無線送信部28から送信される制御信号は同じ繰り返し送信回数である。本実施形態では3回(3フレーム)である。
【0048】
衛生洗浄装置システムSがこのような動作の場合、衛生洗浄装置1の無線受信部9が常時起動しているため、リモコン装置2の無線送信部28から送信された信号を確実に受信できるが、使用者が衛生洗浄装置1を使用していない場合にも無線受信部9の待機動作による電力を消費し続けることとなり、無駄に電力消費を行うこととなる。
【0049】
そこで、本実施形態に係る衛生洗浄装置システムSは、衛生洗浄装置1は非着座時には無線受信部9を間欠駆動させると共に、リモコン装置2を図6のフローに基いて動作することにより、衛生洗浄装置1において、リモコン装置2からの電波信号を確実に受信でき、かつ、消費電力を下げることを可能としている。
【0050】
以下、衛生洗浄装置システムSの低消費化について、図面を参照しつつ説明する。図8は、使用者が衛生洗浄装置1に着座中において、使用者によって着座機能操作スイッチ22を操作された時にリモコン装置2から送信される制御信号の数と衛生洗浄装置1での受信タイミング、及び、非着座機能操作スイッチ23を操作された時にリモコン装置2から送信される制御信号の数と衛生洗浄装置1での受信タイミングを示す図である。
【0051】
使用者が衛生洗浄装置1に着座中(着座センサ7が使用者を検出中)、衛生洗浄装置1の電波受信装置9は常時起動している(第1の受信動作を行っている)。使用者によりリモコン装置2の着座機能操作スイッチ22が操作された場合、リモコン装置2の無線送信部28からは第一の繰り返し回数である3回繰り返された電波信号が送信される(図6のS63参照)。無線受信部9は常時起動しているので、この無線送信部28からの信号を取りこぼすことなく受信可能である。本実施形態において、第1の繰り返し回数は、常時受信においても受信処理エラー等を懸念して、念のために3回と設定設定しているが、送信時の低消費化を追及して1回でも良いし、3回には限定されない。
【0052】
また、使用者が衛生洗浄装置1に着座中、使用者によりリモコン装置2の非着座機能操作スイッチ23を操作されることは着座機能操作スイッチ22が操作される割合より極めて少ないが、その場合、リモコン装置2の無線送信部28からは第二の繰り返し回数である15回繰り返された電波信号が送信される(図6のS64参照)。この繰り返し回数は15回に限定されるものではないが、非着座中の衛生洗浄装置1の電波受信装置9の間欠起動動作周期によって設定される。考え方については後に詳述する。
【0053】
図9は、使用者が衛生洗浄装置1に着座していない時(着座センサ7が使用者を検出していない時)において、使用者によって着座機能操作スイッチ22を操作された時にリモコン装置2から送信される制御信号の数と衛生洗浄装置1での受信タイミング、及び、非着座機能操作スイッチ23を操作された時にリモコン装置2から送信される制御信号の数と衛生洗浄装置1での受信タイミングを示す図である。
【0054】
使用者が衛生洗浄装置1に着座していない時、衛生洗浄装置1の電波受信装置9は間欠起動動作を行っている(第2の受信動作を行っている)。使用者は衛生洗浄装置1に着座していないので、使用者によりリモコン装置2の着座機能操作スイッチ22を操作されたとしても、衛生洗浄装置1はその受信信号に基いて動作状態を変えることはない。例えば、着座機能操作スイッチ22である局部洗浄開始スイッチが操作されたとしても、衛生洗浄装置1は局部洗浄動作を開始しない。従って、衛生洗浄装置1に着座されていないときに無線受信部9は、着座機能操作スイッチ22が押下されて無線送信部28から送信された信号を受信する必要が無い。従って、衛生洗浄装置1の電波受信装置9の間欠起動動作における停止時間は、着座機能操作スイッチ22が操作されて3回繰り返し送信される期間よりも長くしている。なお、タイミングが合致して受信したとしても、前述の通り、衛生洗浄装置1は着座を検知していないため、衛生洗浄装置1の動作が変更されることはない。
【0055】
一方で使用者により、リモコン装置2の非着座機能操作スイッチ23を操作されたことで送信された15回の繰り返し電波信号は、取りこぼすこと無く受信する必要がある。そのために、本実施形態では、衛生洗浄装置1の間欠起動動作の起動時間、すなわち電波を取り込むために電波受信装置9が動作している時間を10msec、電波受信装置9が動作を停止している時間を90msecとして間欠駆動している。リモコン装置2から送信される制御信号は、1つめの制御信号が送信されて、次の制御信号が送信されるまでの時間間隔を本具体例では5msecと設定しており、その時間を考慮すると、1つの制御信号の時間幅は5msecより小さく設定しないと、電波受信装置9の動作時間を越えるため、受信できない。本実施例では制御信号の時間幅は約2msecである。また、リモコン装置2から送信された制御信号を衛生洗浄装置1の電波受信装置9が確実に受信するには、少なくとも電波受信装置9が行う間欠起動動作の周期である100msecより長く設定する必要があるため、本具体例では制御信号を15発としている。本具体例の時間設定とすることで、衛生洗浄装置1は待機時の消費電力を約1/10とすることができる。
【0056】
使用者が、リモコン装置2の非着座機能操作スイッチ23を操作した時、送信される制御信号の繰り返し数を多くすることでリモコン装置2の消費電力が増えることが懸念されるが、前述したとおり、実使用において非着座機能操作スイッチ23が操作されることは、着座機能操作スイッチ22が操作される割合と比較すると極めて少なく、リモコン装置2の電池寿命に与える影響は極めて軽微である。
【0057】
なお、上記の図8において、使用者が衛生洗浄装置1に着座中の場合、衛生洗浄装置1の無線受信部9は常時起動としたが、着座中においても間欠起動動作としても良い。そのようにすることで衛生洗浄装置1の消費電力をより低減できる。但し、その場合はリモコン装置2の着座機能操作スイッチ22を操作された場合に送信される制御信号数を間欠起動動作においても受信できるよう、少なくとも衛生洗浄装置1の無線受信部9が常時起動している場合よりも多くの制御信号数を送信するよう設定する必要がある。
【0058】
次に、本発明の変形例について説明する。
最近のリモコン装置2には使用者の操作に係らずに衛生洗浄装置1の動作状態を変更する機能が付加されている。本機能を自動状態送信機能と呼ぶ。この自動状態送信機能は、リモコン装置のCPU27に内蔵された自動送信手段よって制御され、本機能が付加されている目的はリモコン装置2の設定状態と、衛生洗浄装置1の設定状態の不一致を解消するためである。自動状態送信機能にて送信される設定機能は、具体的には便蓋の自動開閉機能設定、衛生洗浄装置の自動脱臭機能設定、節電機能設定等である。
【0059】
リモコン装置2の自動状態送信機能の実施例について、図10にて詳細に説明する。自動状態送信は、電池投入から10分後の自動状態送信を除くと、24時間に1回のみ送信される。リモコン装置2は時計機能を備えているので、ほぼ正確に送信時間を計時する事ができる。リモコン装置2は自動状態送信を行う時、トイレブースに使用者が存在するか、存在しないかは特定できず、したがって、衛生洗浄装置1の電波受信装置9は常時起動動作か、間欠起動動作かも特定できない状態である。
【0060】
このような状態において、自動状態送信信号を取りこぼす事なく確実に衛生洗浄装置1に受信させる事と、24時間に1度という送信頻度は、着座機能操作スイッチ22の操作による送信回数と比較すると極めて低いので、自動状態送信信号は非着座機能操作スイッチ23で説明した繰り返し回数と同じ数としている。24時間に1度という送信頻度なので、電池寿命への影響は極めて軽微である。
【0061】
以上説明したように、着座機能操作スイッチ22、非着座機能操作スイッチを23操作された時に送信する信号の繰り返し回数を、また、使用者の操作に基く送信時と自動送信時に送信する信号の繰り返し回数を、衛生洗浄装置1に設けられた着座センサ7を利用して受信動作が切り替わる電波受信装置9の間欠動作に応じた設定にすることで、リモコン装置2に使用者検出のための電子機器を追加せず、衛生洗浄装置システムSの低消費化を行うことができる。
【0062】
また、自動状態送信信号数を少なくとも非着座機能操作スイッチ22を操作された時に送信される制御信号数と同じ数とすることで、リモコン装置2に使用者検出のための電子機器を追加せず、衛生洗浄装置システムSの低消費化を行うことができる。
【0063】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、リモコン装置2が送信する制御信号と制御信号の時間間隔、制御信号の数、制御信号の時間幅、また、衛生洗浄装置1の電波受信装置9が間欠動作を行う周期、動作している時間、停止している時間などは例示したものに限定されるわけではなく、適宜変更することができる。また、実施例においては着座センサ7の検出結果により、衛生洗浄装置1の無線受信部9の動作を、第1の受信動作(常時起動)と第2の受信動作(間欠駆動)とに切り替える事を例としたが、入室センサ71又は接近センサ72に基く人体検知・非検知の結果に基いて受信動作を切り替えても良い。また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0064】
S 衛生洗浄装置システム
1 衛生洗浄装置
2 リモコン装置
22 着座機能操作スイッチ
23 非着座機能操作スイッチ
27 リモコン装置のCPU(自動送信手段)
28 無線送信部(無線信号送信手段)
3 便器
4 衛生洗浄装置本体
5 便座
6 便蓋
7 着座検出センサ(着座検出手段,人体検出手段)
71 入室センサ(人体検出手段)
72 接近センサ(人体検出手段)
81 局部洗浄ユニット
9 無線受信部(無線信号受信手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電波信号を複数回繰り返し送信する無線信号送信手段を有するリモコン装置と、
前記リモコン装置より送信される電波信号を受信する無線信号受信手段と、この無線信号受信手段により受信された電波信号に基いて使用者の局部に向けて洗浄水を噴射する局部洗浄手段と、便座と、この便座への人体の着座を検出する着座検出手段とを有する衛生洗浄装置と、
を備えた衛生洗浄装置システムにおいて、
前記リモコン装置は、前記衛生洗浄装置の前記着座検出手段が着座を検出中のみに前記衛生洗浄装置の動作状態を変更可能な電波信号を送信する着座機能操作スイッチと、前記衛生洗浄装置の前記着座検出手段による検出状態に係らずに前記衛生洗浄装置の動作状態を変更可能な電波信号を送信する非着座機能操作スイッチと、を有し、
前記無線信号受信手段は、使用者を検出する人体検出手段が使用者を検出していない場合は使用者を検出している場合に比べて停止時間が長くなるように間欠的に動作すると共に、前記非着座機能操作スイッチの操作によって送信される電波信号の繰り返し送信回数は、前記着座機能操作スイッチの操作によって送信される電波信号の繰り返し送信回数より多く設定されていることを特徴とする衛生洗浄装置システム。
【請求項2】
前記衛生洗浄装置システムにおいて、前記リモコン装置は、使用者の操作に係らずに前記衛生洗浄装置の動作状態を変更可能な電波信号を送信する自動送信手段を更に有し、この自動送信手段によって送信される電波信号の繰り返し送信回数は、前記着座機能操作スイッチの操作によって送信される電波信号の繰り返し送信回数より多く設定されていることを特徴とする請求項1記載の衛生洗浄装置システム。
【請求項3】
前記衛生洗浄装置システムにおいて、前記無線信号受信手段は、前記人体検出手段として前記着座検出手段を利用するものであり、この着座検出手段が着座を検出していない場合は着座を検出している場合に比べて停止時間が長くなるように間欠的に動作することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の衛生洗浄装置システム。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−285838(P2010−285838A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−141972(P2009−141972)
【出願日】平成21年6月15日(2009.6.15)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】