衛生洗浄装置
【課題】複数の赤外線受光部を設けた場合において、リモコン装置からの赤外線制御信号に対する応答性を維持しつつ、ノイズの影響を低減することができる衛生洗浄装置を提供する。
【解決手段】衛生洗浄装置本体の左右側部に一対の赤外線受信部を設け、これら赤外線受信部それぞれから出力される制御信号をそれぞれ独立して検出する第1受信処理部と第2受信処理部とを設け、第1赤外線受信部及び第2赤外線受信部から出力される制御信号のうちいずれか一方の制御信号に基づいた制御を行う。
【解決手段】衛生洗浄装置本体の左右側部に一対の赤外線受信部を設け、これら赤外線受信部それぞれから出力される制御信号をそれぞれ独立して検出する第1受信処理部と第2受信処理部とを設け、第1赤外線受信部及び第2赤外線受信部から出力される制御信号のうちいずれか一方の制御信号に基づいた制御を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衛生洗浄装置に関し、さらに詳細には、利用者のおしりを洗浄する衛生洗浄装置本体と、利用者の操作により赤外線信号を送信して衛生洗浄装置本体を制御するリモコン装置とを有する衛生洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、便器を設置したトイレブースには、その快適さから、利用者のおしりを洗浄する機能などを有する衛生洗浄装置が広く取り付けられるようになっている。
【0003】
この衛生洗浄装置は、利用者のおしりを洗浄する衛生洗浄装置本体と利用者の操作により赤外線信号を送信して衛生洗浄装置本体を制御するリモコン装置とから構成される。また、衛生洗浄装置本体は便器に取り付けられ、リモコン装置は便器の前方右側壁面或いは前方左側壁面に取り付けられるのが一般的である(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
そして、衛生洗浄装置の利用者が便座に座っている状態で、前方右側壁面或いは前方左側壁面に取り付けられたリモコン装置を操作することによって、リモコン装置から赤外線による制御信号(以下、「赤外線制御信号」という。)が衛生洗浄装置本体へ送られ、衛生洗浄装置本体において受信した赤外線制御信号に応じた制御が行われる。
【0005】
ところで、赤外線を利用するリモコン装置においては、利用者の人体が赤外線の光路を遮ると受信できない。リモコン装置からの赤外線制御信号によって操作される衛生洗浄装置本体は、利用者の背部側に設けられていることから、リモコン装置からの赤外線制御信号は利用者の人体の影響を受けてしまい、衛生洗浄装置本体で赤外線制御信号が受信できないという問題が生じる。
【0006】
そこで、リモコン装置から出力される赤外線制御信号を受信する赤外線受光部を複数設けることによって、人体による影響を低減する衛生洗浄装置が提案されている。
【0007】
たとえば、特許文献1には、衛生洗浄装置の左右側部の一方に第1赤外線受光部を、他方に第2赤外線受光部を配置し、これらの赤外線受光部の出力を合成した後、増幅部及び復調部によってデコードしたデコード信号(リモコン装置において押下されたボタンに対応する制御信号)をマイクロプロセッサに入力して処理する衛生洗浄装置が開示されている。
【0008】
また、特許文献2には、複数の赤外線受光部からの出力を時間毎に切り替えて一つの赤外線受光部からの出力信号を選択するように構成するリモコン受信システムが提案されている。
【特許文献1】特開昭62−82136号公報
【特許文献2】特開2004−48463号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、衛生洗浄装置が設置されるトイレブースには蛍光灯が取り付けられていることが多く、蛍光灯からのインバータノイズが発生する。リモコン装置からの赤外線制御信号を受信する衛生洗浄装置本体の赤外線受信部の取付位置によっては、この蛍光灯からのインバータノイズに影響を受けて赤外線制御信号を正常に受信することができない恐れがある。
【0010】
特許文献1に記載の構成においても、複数の赤外線受光部の出力信号が合成されることになるため、一方の赤外線受光部でインバータノイズの影響を受けた場合であっても、増幅部から正常な信号が出力されない恐れがある。
【0011】
また、特許文献2に記載の技術を適用した衛生洗浄装置においても、複数の赤外線受光部からの出力信号を時間毎に切り替えて一つの赤外線受光部からの出力信号を選択しているために、最初に選択した出力信号が正常でないときには、他方の赤外線受光部からの出力信号が正常であった場合でも、他方の赤外線受光部からの出力信号が選択されるまで、衛生洗浄装置本体で正常な制御信号を受信することができない。したがって、リモコン装置から出力される赤外線制御信号を受信するために必要な時間が倍以上に延びてしまう恐れがある。
【0012】
そこで、本発明は、複数の赤外線受光部を設けた場合において、リモコン装置からの赤外線制御信号に対する応答性を維持しつつ、ノイズの影響を低減することができる衛生洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1に記載の発明は、利用者のおしりを洗浄する衛生洗浄装置本体と、利用者の操作により赤外線制御信号を送信して前記衛生洗浄装置本体を制御するリモコン装置とを有する衛生洗浄装置において、前記衛生洗浄装置本体は、当該衛生洗浄装置本体の左右側部のうち一方の側部に設けられ、前記赤外線制御信号を受信して電気的な制御信号に変換する第1赤外線受信部と、当該衛生洗浄装置本体の左右側部のうち他方の側部に設けられ、前記赤外線制御信号を受信して電気的な制御信号に変換する第2赤外線受信部と、前記第1赤外線受信部の出力の検出を行う第1受信処理部と、前記第1受信処理部とは独立して前記第2赤外線受信部の出力の検出を行う第2受信処理部とを有しており、前記第1赤外線受信部及び前記第2赤外線受信部から出力される制御信号のうちいずれか一方の制御信号に基づいた制御を行う制御部とを備えたことを特徴とする。
【0014】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記制御部は、前記第1赤外線受信部及び前記第2赤外線受信部から出力される制御信号のうち最も早く検出した赤外線受信部の制御信号に基づいた制御を行うことを特徴とする。
【0015】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記第1赤外線受信部又は前記第2赤外線受信部は、前記衛生洗浄装置本体の後端部に設けられるとともに、前記第1赤外線受信部又は前記第2赤外線受信部の受信面は衛生洗浄装置本体の背面に向かって傾斜して設けられることを特徴とする。
【0016】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記第1赤外線受信部又は前記第2赤外線受信部は、前記衛生洗浄装置本体の後端部に設けられるとともに、前記第1赤外線受信部又は前記第2赤外線受信部の受信面は、前記衛生洗浄装置本体の側方に向かって設けられることを特徴とする。
【0017】
また、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、前記第1赤外線受信部又は前記第2赤外線受信部の受信面は、前記衛生洗浄装置本体の側方かつ斜め上方に向かって設けられることを特徴とする。
【0018】
また、請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれか一項に記載の発明において、前記赤外線制御信号は、当該信号の先頭に配置されるリーダ部と、当該リーダ部に続いて配置されるデータ部とを含み、前記第1受信処理部は、前記リーダ部の検出を周期的なタイマー割込みで検出し、前記データ部を前記第1赤外線受信部から出力される制御信号の立ち上がりエッジ又は立ち下がりエッジによる割込み処理によって行い、前記第2受信処理部は、前記リーダ部の検出を周期的なタイマー割込みで検出し、前記データ部を前記第2赤外線受信部から出力される制御信号の立ち上がりエッジ又は立ち下がりエッジによる割込み処理によって行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
請求項1に記載の発明によれば、左右両側部に設けられた第1赤外線受信部と第2赤外線受信部とよりリモコン装置からの赤外線制御信号を受信し、第1赤外線受信部と第2赤外線受信部からの出力を独立して処理するため、一つの赤外線受信部で赤外線制御信号の受信が困難な状態であっても、他方の赤外線受信部で赤外線制御信号の受信ができれば、その赤外線制御信号に基づいた制御が可能となるため、リモコン装置からの赤外線制御信号に対する応答性を維持しつつ、ノイズの影響を低減することができる衛生洗浄装置を提供することができる。
【0020】
また、請求項2に記載の発明によれば、第1赤外線受信部及び第2赤外線受信部から出力される制御信号のうち最も早く検出した赤外線受信部の制御信号に基づいた制御を行うようにしているため、リモコン装置からの赤外線制御信号に対する応答性を高めることが可能となる。
【0021】
また、請求項3に記載の発明によれば、第1赤外線受信部又は第2赤外線受信部の受信面は衛生洗浄装置本体の後端部に背面に向かって傾斜して設けられるので、便蓋が大きく開いた状態で、利用者が衛生洗浄装置を利用している状態でも、衛生洗浄装置本体の背面方向からの赤外線制御信号を後方の壁面からの反射によって受けやすくなり、リモコン装置からの赤外線制御信号の受信性能を高めることが可能となる。
【0022】
また、請求項4に記載の発明によれば、第1赤外線受信部又は第2赤外線受信部の受信面は衛生洗浄装置本体の後端部に側方に向かって設けられるので、便蓋が大きく開いた状態で、利用者が衛生洗浄装置を利用している状態でも、衛生洗浄装置本体の側方向からの赤外線制御赤外線信号を反射によって受けやすくなり、リモコン装置からの赤外線制御信号の受信性能を高めることが可能となる。
【0023】
また、請求項5に記載の発明によれば、第1赤外線受信部又は第2赤外線受信部の受信面が前記衛生洗浄装置本体の側方かつ斜め上方に向かって設けられるので、衛生洗浄装置本体の上面又は側方向からの赤外線制御信号を受けやすくなり、リモコン装置からの赤外線制御信号の受信性能を高めることが可能となる。特に、衛生洗浄装置本体からトイレ室の側面壁の距離、天井面からの距離などを考慮してその距離の短い方向に対する受信面の傾きを小さくすれば、さらに赤外線制御信号の受信性能を向上させることができる。
【0024】
また、請求項6に記載の発明によれば、赤外線制御信号が送信されるまでは、処理負荷が少ないタイマー割込みで処理を行い、赤外線制御信号の先頭のリーダ部が検出されるとエッジ割り込み処理を行うようにしているため、制御部における処理負担を低減することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施態における衛生洗浄装置について、図面を参照しながら説明する。
【0026】
図1は、トイレブースに設置された本発明の実施形態に係る衛生洗浄装置Sを示す図であり、図2は、衛生洗浄装置本体1の便蓋が開状態の様子を示す図である。
【0027】
図1に示すように、本発明の実施形態における衛生洗浄装置Sは、トイレブースに設置される衛生洗浄装置本体1と、赤外線制御信号によって衛生洗浄装置本体1を遠隔的に制御するために左壁面10に取り付けられるリモコン装置2とから構成される。
【0028】
衛生洗浄装置本体1は、便器3上に設置され、利用者のおしり等を洗浄する洗浄機能、利用者のおしり等を乾燥する乾燥機能、便器3内の臭いを除去する脱臭機能など、各種機能を実行する衛生洗浄主装置4と、衛生洗浄主装置4に回動可能に連結された便座5と、同じく衛生洗浄主装置4に回動可能に連結された便蓋6とから構成される。
【0029】
衛生洗浄装置本体1の便蓋6は、その支軸9を回転軸として、略90度の範囲を移動可能となっており、図2では、便蓋6を支軸9を中心として略90度上方に持ち上げた状態(便蓋6の開状態)を示している。
【0030】
次に、リモコン装置2の具体的構成について、図面を参照して具体的に説明する。図3はリモコン装置2のブロック構成図である。
【0031】
図3に示すように、リモコン装置2は、おしり洗浄ボタン、おしり乾燥ボタン、脱臭ボタンなどの各種ボタンを有する入力部22と、時刻や制御内容を表示するための表示部23と、各種設定内容などを記憶する記憶部24と、衛生洗浄装置本体1へ赤外線によって制御信号(赤外線制御信号)を送信するための赤外線送信部27と、リモコン装置2全体の制御を統括する制御部26とから構成される。
【0032】
おしり洗浄ボタン、おしり乾燥ボタン、脱臭ボタンなど種々のボタンは、リモコン装置2の前面に配置されており、利用者によってこれらのボタンが操作されると、リモコン装置2は、その操作に応じた赤外線制御信号を送信する。衛生洗浄装置本体1は赤外線制御信号を受信すると、受信した赤外線制御信号に応じた機能を実行する。
【0033】
例えば、利用者がリモコン装置2のおしり洗浄ボタンを押下すると、リモコン装置2は、おしり洗浄のための赤外線制御信号を送信する。衛生洗浄装置本体1はこの赤外線制御信号を受信すると、おしり洗浄機能を実行する。
【0034】
なお、図1に示す例では、リモコン装置2を左側壁面10に取り付けているが、右側壁面(図示せず)に取り付けるようにしてもよい。
【0035】
ここで、衛生洗浄装置本体1の構成(主に、衛生洗浄主装置4の構成)について、図4を参照して説明する。図4は、本発明の実施形態に係る衛生洗浄装置本体1のブロック構成図である。
【0036】
衛生洗浄装置本体1は、便座5を暖めるための便座ヒータ51と、この便座ヒータ51の温度を測定するための便座サーミスタ52と、便座ヒータ51が所定以上の高温になるとこの便座ヒータ51への通電を遮断するための便座温度ヒューズ53とを有しており、制御部81がこれらを用いることによって暖房便座機能が実行される。
【0037】
また、衛生洗浄装置本体1は、便座5に人が着座したことを検出する着座検知センサ71と、濡れた臀部等を乾燥させるために乾燥ヒータ73で熱した空気を吹き出すための乾燥モータ72と、乾燥ヒータ73の温度を検出するための乾燥サーミスタ74とを有しており、制御部81がこれらを用いることによって乾燥機能が実行される。
【0038】
さらに、衛生洗浄装置本体1は、おしり等を洗浄するために温水を噴出するための洗浄ノズル(図示せず)を動作させるノズルモータ77と、洗浄ノズルから噴出させる温水を作るために水を熱する温水ヒータ78と、温水ヒータ78で熱せられる水の温度を測定するための温水サーミスタ79とを有しており、制御部81がこれら及び着座検知センサ71を用いることによって洗浄機能が実行される。
【0039】
暖房便座機能、乾燥機能及び洗浄機能などの各種機能は、上述のように利用者がリモコン装置2を操作することによって実行することができるように、衛生洗浄装置本体1には、赤外線受信部60,61が設けられている。すなわち、利用者の操作によってリモコン装置2から出力される赤外線制御信号は、赤外線受信部60,61によって電気的な制御信号に変換され、制御部81に入力される。制御部81は、赤外線受信部60,61から出力される制御信号に応じた機能を実行する。
【0040】
以下、リモコン装置2から出力される赤外線制御信号を受信して処理する構成について、さらに具体的に説明する。
【0041】
衛生洗浄装置本体1の制御部81は、マイクロコンピュータからなり、衛生洗浄装置本体1全体を制御する。制御部81を構成するマイクロコンピュータは、CPU(Central Processing Unit)、ワーキングメモリなどに使用されるRAM(Random Access Memory)、ノズルモータ77や温水ヒータ78等を制御するための信号を出力する出力ポート、温水サーミスタ79の状態等を検出するための入力ポートのほか、赤外線受信部60,61から出力される制御信号を検出するための割込み入力ポートINTa,INTbなどから構成される。また、ROM(Read Only Member)などから構成される記憶部70には、衛生洗浄装置本体1を制御するためのプログラムが格納されており、CPUは記憶部70に格納されたプログラムを読み取って実行することにより、衛生洗浄装置本体1を制御する。
【0042】
衛生洗浄装置本体1には、上述したように、リモコン装置2から送信される赤外線制御信号を受信して電気的な制御信号に変換する第1赤外線受信部60及び第2赤外線受信部61が設けられている。
【0043】
ここで、第1赤外線受信部60及び第2赤外線受信部61の配置について図面を参照して説明する。図5(a)は衛生洗浄装置本体1の平面図、図5(b)は衛生洗浄装置本体1の側面図、図6は衛生洗浄装置本体1を側方背面側からみた衛生洗浄装置本体1の斜視図である。
【0044】
図5及び図6に示すように、第1赤外線受信部60は衛生洗浄装置本体1の左後端部40に設けられ、第2赤外線受信部61は衛生洗浄装置本体1の右後端部41に設けられている。衛生洗浄装置本体1の左後端部40及び右後端部41はそれぞれ衛生洗浄装置本体1の背面に向かって下方に傾斜した形状を有しており、第1赤外線受信部60及び第2赤外線受信部61における赤外線制御信号の受信面も左後端部40及び右後端部41に沿って設けられる。
【0045】
すなわち、第1赤外線受信部60の受信面と第2赤外線受信部61の受信面は衛生洗浄装置本体1の背面に向かって下方に傾斜して設けられる。従って、便蓋6が大きく開いた状態で、利用者が衛生洗浄装置Sを利用している状態でも、衛生洗浄装置本体1の背面方向からの赤外線制御信号を後方の壁面からの反射によって受けやすくなり、リモコン装置2からの赤外線制御信号の受信性能を高めることが可能となる。
【0046】
ここで、第1赤外線受信部60及び第2赤外線受信部61の受信面とは、第1赤外線受信部60及び第2赤外線受信部61がそれぞれ有するフォトダイオードPD10の受光面をいう。また、第1赤外線受信部60及び第2赤外線受信部61には、リモコン装置2から送信される赤外線制御信号をそれぞれ透過する第1透過面及び第2透過面が設けられており、第1透過面は第1赤外線受信部60の受信面と平行に、第2透過面は第2赤外線受信部61の受信面と平行に設けられる。
【0047】
また、衛生洗浄装置本体1には、便蓋6を回動可能に支持する支持軸9を左右から突出するとともに、衛生洗浄装置本体1の構成部品等を収納するスペースを有する隆起部42を形成され、さらにこの隆起部42の後端に連続的に連なる第2隆起部43が形成される。
【0048】
衛生洗浄装置本体1の左後端部40及び右後端部41は、この第2隆起部43の左右であって、便蓋6における支持軸9との係合部分の後下方側に位置する。従って、第1赤外線受信部60及び第2赤外線受信部61の受信面は、便蓋6の後端下方に位置することになり、衛生洗浄装置Sの利用者にとって視認しにくくなる。
【0049】
また、図5及び図6に示す構成に代えて、図7に示す構成とすることもできる。図7(a)は衛生洗浄装置本体1の平面図、図7(b)は衛生洗浄装置本体1の側面図、図7(c)は衛生洗浄装置本体1を側方背面側からみた衛生洗浄装置本体1の部分斜視図である。
【0050】
図7に示すように、第1赤外線受信部60は衛生洗浄装置本体1の左後端部40に設けられ、第2赤外線受信部61は衛生洗浄装置本体1の右後端部41に設けられている。衛生洗浄装置本体1の第1赤外線受信部60は衛生洗浄装置本体1の右側方に向かって衛生洗浄装置本体1の右後端部41の側面に配置され、衛生洗浄装置本体1の第2赤外線受信部61は衛生洗浄装置本体1の左側方に向かって衛生洗浄装置本体1の左後端部41の側面に配置される。
【0051】
このように図7に示す構成では、第1赤外線受信部又は第2赤外線受信部の受信面は衛生洗浄装置本体の後端部に側方に向かって設けられるので、便蓋が大きく開いた状態で、利用者が衛生洗浄装置を利用している状態でも、衛生洗浄装置本体の側方向からの赤外線制御赤外線信号を反射によって受けやすくなり、リモコン装置からの赤外線制御信号の受信性能を高めることが可能となる。
【0052】
また、図5及び図6や図7に示す構成に代えて、図8に示す構成とすることもできる。図8(a)は衛生洗浄装置本体1の平面図、図8(b)は衛生洗浄装置本体1の側面図、図8(c)は衛生洗浄装置本体1を側方背面側からみた衛生洗浄装置本体1の部分斜視図である。
【0053】
図8に示すように、第1赤外線受信部60は衛生洗浄装置本体1の左後端部40に設けられ、第2赤外線受信部61は衛生洗浄装置本体1の右後端部41に設けられている。衛生洗浄装置本体1の第1赤外線受信部60は衛生洗浄装置本体1の右側方かつ斜め上方に向かって衛生洗浄装置本体1の右後端部41の側面に配置され、衛生洗浄装置本体1の第2赤外線受信部61は衛生洗浄装置本体1の左側方かつ斜め上方に向かって衛生洗浄装置本体1の左後端部41の側面に配置される。
【0054】
このように図8に示す構成では、第1赤外線受信部又は第2赤外線受信部の受信面は衛生洗浄装置本体の後端部に側方かつ斜め上方に向かって設けられるので、衛生洗浄装置本体の上面又は側方向からの赤外線制御信号を受けやすくなり、リモコン装置からの赤外線制御信号の受信性能を高めることが可能となる。特に、衛生洗浄装置本体からトイレ室の側面壁の距離、天井面からの距離などを考慮してその距離の短い方向に対する受信面の傾きを小さくすれば、さらに赤外線制御信号の受信性能を向上させることができる。
【0055】
また、図5〜図8に示す構成に代えて、図9に示す構成とすることもできる。図9(a)は衛生洗浄装置本体1の平面図、図9(b)は衛生洗浄装置本体1の側面図、図9(c)は衛生洗浄装置本体1を側方背面側からみた衛生洗浄装置本体1の部分斜視図である。
【0056】
図9に示すように、第1赤外線受信部60は衛生洗浄装置本体1の左後端部40に設けられ、第2赤外線受信部61は衛生洗浄装置本体1の右後端部41に設けられている。衛生洗浄装置本体1の第1赤外線受信部60は衛生洗浄装置本体1の右側斜め背面側かつ斜め上方に向かって衛生洗浄装置本体1の右後端部41に配置され、衛生洗浄装置本体1の第2赤外線受信部61は衛生洗浄装置本体1の左側斜め背面側かつ斜め上方に向かって衛生洗浄装置本体1の左後端部41に配置される。
【0057】
このように図9に示す構成では、第1赤外線受信部又は第2赤外線受信部の受信面は衛生洗浄装置本体の後端部に左右斜め背面側かつ斜め上方に向かって設けられるので、衛生洗浄装置本体の上面又は側方向からの赤外線制御信号を受けやすくなり、リモコン装置からの赤外線制御信号の受信性能を高めることが可能となる。特に、衛生洗浄装置本体からトイレ室の側面壁の距離、天井面からの距離などを考慮してその距離の短い方向に対する受信面の傾きを小さくすれば、さらに赤外線制御信号の受信性能を向上させることができる。また、便蓋が大きく開いた状態で、利用者が衛生洗浄装置を利用している状態でも、衛生洗浄装置本体の側方向からの赤外線制御赤外線信号を反射によって受けやすくなり、リモコン装置からの赤外線制御信号の受信性能を高めることが可能となる。
【0058】
以上のように本実施形態における衛生洗浄装置は、第1赤外線受信部60及び第2赤外線受信部61は、衛生洗浄装置本体1における衛生洗浄装置本体1の左右側部に設けられているため、リモコン装置2を左側壁面10に取り付けた場合であっても、右側壁面に取り付けた場合であっても、第1赤外線受信部60及び第2赤外線受信部61のいずれか一方が近接することになるため、リモコン装置2から送信される赤外線制御信号が衛生洗浄装置本体1によって受信しやすくなる。また、蛍光灯からのインバータノイズによる影響を避けやすくなる。
【0059】
ここで、第1赤外線受信部60及び第2赤外線受信部61の具体的構成について、図4及び図10を参照して説明する。
【0060】
赤外線受信部60,61は、リモコン装置2から送信される赤外線制御信号を受光して電流に変換するフォトダイオードPD10と、フォトダイオードPD10に流れる電流を電圧に変換する電流電圧変換器11と、電流電圧変換器11の出力を増幅する第1増幅器12と、第1増幅器12の出力から直流成分を除去するためのコンデンサC10と、コンデンサC10の出力される信号の振幅を制限するリミッタ13と、リミッタ13から出力される信号の低周波成分及び高周波成分を除去して、所定帯域成分を通過させるバンドパスフィルタ(BPF)14と、バンドパスフィルタ14の出力を検波する検波器15と、検波器15からの出力を所定のヒステリシスを持って増幅する第2増幅器16と、第2増幅器16から出力によりオン・オフして矩形波を出力するトランジスタTr10及び抵抗R10とから構成されており、トランジスタTr10のコレクタから出力される信号が赤外線受信部60,61が出力する制御信号となる。
【0061】
第1赤外線受信部60及び第2赤外線受信部61から出力される制御信号は、図4に示すように、それぞれ制御部81の割込み入力ポートINT-A及びINT-Bに入力されており、第1受信処理部82及び第2受信処理部83によって第1赤外線受信部60及び第2赤外線受信部61の出力の検出が行われる。
【0062】
すなわち、制御部81は、第1赤外線受信部60の出力の検出を、第1赤外線受信部60から出力される制御信号の立ち下がりエッジ及び周期的なタイマーによる割込み処理によって実行する第1受信処理部82と、第2赤外線受信部61の出力の検出を、第2赤外線受信部61から出力される制御信号の立ち下がりエッジ及び周期的なタイマーによる割込み処理によって実行する第2受信処理部83とを有している。なお、本実施形態の衛生洗浄装置本体1では、赤外線受信部60,61において赤外線制御信号における赤外線ON,OFFをそれぞれ制御信号のLow,Highに変換して出力しているため、立ち下がりエッジによる割込み処理を行うこととしているが、赤外線受信部60,61において赤外線制御信号における赤外線ON,OFFをそれぞれ制御信号のHigh, Lowに変換するように構成した場合には、立ち上がりエッジによる割込み処理を行ってもよい。
【0063】
そして、制御部81は、第1赤外線受信部60及び第2赤外線受信部61から出力される制御信号のうち最も早く検出した赤外線受信部60,61の制御信号に基づいた制御を行う。
【0064】
このように本実施形態における衛生洗浄装置本体1は、第1赤外線受信部60と第2赤外線受信部61とによりそれぞれ独立してリモコン装置2から送信される赤外線制御信号を電気的な制御信号へ変換し、第1受信処理部82と第2受信処理部83とによりそれぞれ第1赤外線受信部60と第2赤外線受信部61から出力される制御信号を独立して検出するようにしているため、第1赤外線受信部60及び第2赤外線受信部61で受信した赤外線制御信号をいずれも用いることができる。しかも、第1赤外線受信部60及び第2赤外線受信部61のうち、リモコン装置2から送信される赤外線制御信号を最も早く検出した赤外線受信部の制御信号に基づいた制御を行うようにしているため、利用者によるリモコン装置2の操作に対する制御を速やかに実行することができる。
【0065】
ここで、リモコン装置2から送信される赤外線制御信号について、図11を参照して具体的に説明する。
【0066】
図11に示すように、赤外線制御信号は、リーダ部A、データ部Bとから構成される。リーダ部Aは、リーダON部A1とリーダOFF部A2とから構成され、赤外線受信部60,61でこのリーダ部Aを検出することによって、リモコン装置2から赤外線制御信号が送信されたことを識別することができる。なお、リーダON部A1とデータ部Bのデータとは、データ長の相違によって識別している。
【0067】
また、データ部Bは、カスタムコード部B1とスイッチコード部B2とから構成される。カスタムコード部B1は、他のリモコン装置からの赤外線信号と区別するために特有のコードであり、衛生洗浄装置本体1の制御部81は、赤外線受信部60,61によって受信した制御信号のうち、カスタムコード部B1のコードを判別することによって、赤外線制御信号がリモコン装置2から送信されたことを判別する。
【0068】
スイッチコード部B2は、利用者が操作したボタン等に関する情報である操作情報C1と、この操作情報C1が正常か否かを判定するためのチェック情報C2とから構成される。このチェック情報C2は、操作情報C1のチェックサムである。
【0069】
第1受信処理部82は、第1赤外線受信部60から出力される制御信号が正常か否かをこの制御信号に含まれるチェック情報C2に基づいて判定する。すなわち、第1受信処理部82は、第1赤外線受信部60から出力される制御信号に含まれる操作情報C1を所定ブロックに分けて合計することによってチェックサムを求め、このチェックサムがチェック情報C2と一致するか否かを判定する。チェックサムがチェック情報C2と一致すると制御信号が正常と判定し、一方でチェックサムがチェック情報C2と一致しないと制御信号が正常でないと判定する。
【0070】
第2受信処理部83も同様に、第2赤外線受信部61から出力される制御信号が正常か否かを制御信号に含まれるチェック情報に基づいて判定する。
【0071】
衛生洗浄装置本体1の制御部81は、第1赤外線受信部60及び第2赤外線受信部61から出力される制御信号のうち最も早く検出した赤外線受信部の制御信号に基づいた制御を行う。例えば、第1赤外線受信部60から出力される制御信号が第2赤外線受信部61から出力される制御信号よりも早く制御部81(の第1受信処理部)によって検出されたとき、制御部81は、第1赤外線受信部60から出力される制御信号に基づいた制御を行い、第2赤外線受信部61から出力される制御信号は用いない。
【0072】
しかし、制御部81は、第1受信処理部82によって第1赤外線受信部60から出力される制御信号が正常でないと判定されると、第2赤外線受信部61の制御信号に基づいた制御を行う。なお、第2赤外線受信部61の制御信号も正常でないと判定すると、いずれの赤外線受信部60,61から出力される制御信号も用いない。
【0073】
このように、本実施形態における衛生洗浄装置本体1の制御部81は、第1赤外線受信部60及び第2赤外線受信部61のうち最も早く検出した赤外線受信部の制御信号であっても、その制御信号が正常でない場合には、他方の赤外線受信部の制御信号に基づいた制御を行うようにしているため、ノイズ等による誤動作を抑制することができる。
【0074】
以上のように構成された衛生洗浄装置本体1における制御部81の動作について、図12及び図13を参照して、さらに具体的に説明する。図12は制御部による赤外線制御信号検出の説明図であり、図13は衛生洗浄装置本体1の制御部81の動作フローチャートである。なお、上述のように、赤外線受信部60,61では、赤外線制御信号における赤外線ON,OFFに対応して、それぞれLow,Highの信号が制御信号として出力される。
【0075】
制御部81は、まず、第1割込み入力ポートINT−A及び第2割込み入力ポートINT−Bの電圧レベルを周期的なタイマー割込み処理(本実施形態においては、1ms間隔としている。)で検出を行う(図12参照)。また、制御部81は、後述するリーダ部検出処理(ステップS15,S25)において、制御信号のリーダ部を検出した後は、第1赤外線受信部60及び第2赤外線受信部61の出力の立ち下がりエッジによって割込み処理を行う(図12参照)。このように、制御部81は、制御信号のリーダ部を検出するまでは周期的なタイマー割込み処理を行い、制御信号のリーダ部を検出した後は立ち下がりエッジによる割込み処理を行うようにして、制御部81における負荷の軽減を図っている。
【0076】
制御部81は第1割込みが入ると(ステップS10:Yes)、第1赤外線受信部60から出力される制御信号のリーダ部を既に検出しているか否かを判定する(ステップS11)。制御信号のリーダ部を既に検出している場合、制御部81は、第1赤外線受信部60から出力される制御信号のデータ長taを検出する(ステップS12)。
【0077】
次に、制御部81は、ステップS12において測定した制御信号のデータ長taに基づいて、そのデータが示す情報「0」又は「1」を判定し、判定結果を記憶部に記憶する(ステップS13)。なお、制御部81は、t1≦ta<t2のときに「0」と判定し、t2≦ta<t3のときに「1」と判定する。なお、t1〜t3の関係は、t1<t2<t3である。
【0078】
その後、制御部81は、ステップS12においてデータ長が計測されたデータが最終データであるか否かを判定する(ステップS14)。本実施形態においては、データ部Bを39(bit)としており、制御部81は、データ部Bのデータを全て受信したか否か、すなわち39個のデータを受信したか否かを判定する。
【0079】
ステップS11において、第1赤外線受信部60から出力される制御信号のリーダ部を検出していないとき(ステップS11:No)、制御部81は、第1赤外線受信部60から出力される制御信号のリーダ部の検出を行う(ステップS15)。リーダ部の検出は、図12に示すように、まず周期的な割込み処理により第1割込みポートINTaにおいてLowレベルが連続して4回検出されることによって行われる。すなわち、第1割込み入力ポートINTaにおいてLowレベルが連続して4回検出されると、第1赤外線受信部60から出力される制御信号のリーダ部が検出されたと判定するのである。なお、制御部81によるデータ部の検出は、リーダ部を検出した後、第1赤外線受信部60から出力される制御信号が立ち下がったときから開始される。
【0080】
ステップS14において、データ長が計測されたデータが最終データではないと判定したとき(ステップS14:No)、制御部81は、第2割込みが入ったか否か(ステップS20)を判定する。第2割込みが入ると(ステップS20:Yes)、制御部81は、第2赤外線受信部61から出力される制御信号のリーダ部を既に検出しているか否かを判定する(ステップS21)。制御信号のリーダ部を既に検出している場合、制御部81は、第2赤外線受信部61から出力される制御信号のデータ長taを検出する(ステップS22)。
【0081】
次に、制御部81は、ステップS22において測定した制御信号のデータ長taに基づいて、そのデータが示す情報「0」又は「1」を判定し、判定結果を記憶部に記憶する(ステップS23)。なお、制御部81は、t1≦ta<t2のときに「0」と判定し、t2≦ta<t3のときに「1」と判定する。なお、t1〜t3の関係は、t1<t2<t3である。
【0082】
その後、制御部81は、ステップS22においてデータ長が計測されたデータが最終データであるか否かを判定する(ステップS24)。本実施形態においては、データ部Bを39(bit)としており、制御部81は、データ部Bのデータを全て受信したか否かを判定する。
【0083】
ステップS21において、第2赤外線受信部61から出力される制御信号のリーダ部を検出していないとき(ステップS21:No)、制御部81は、第2赤外線受信部61から出力される制御信号のリーダ部の検出を行う(ステップS25)。リーダ部の検出は、図12に示すように、まず周期的な割込み処理により第2割込み入力ポートINTbにおいてLowレベルが連続して4回検出されることによって行われる。すなわち、第2割込み入力ポートINTbにおいてLowレベルが連続して4回検出されると、第2赤外線受信部61から出力される制御信号のリーダ部が検出されたと判定するのである。なお、制御部81によるデータ部の検出は、リーダ部を検出した後、第2赤外線受信部61から出力される制御信号が立ち下がったときから開始される。
【0084】
ステップS14において、データ長が計測されたデータが最終データであると判定すると、制御部81は、記憶部70に記憶した第1赤外線受信部60からのデータを読み込む(ステップS30)。
【0085】
次に、制御部30は、第1赤外線受信部60からのデータが正常か否かを判定する(ステップS31)。すなわち、第1赤外線受信部60から出力された制御信号に含まれるチェック情報C2に基づいて、この制御信号が正常か否かを判定する。なお、制御信号が正常か否かについては、上述で詳説しており、ここでの説明を省略する。
【0086】
ステップS31において、第1赤外線受信部60からのデータが正常であると判定したとき、制御部81は、第1赤外線受信部60から出力された制御信号に基づいて制御を行う(ステップS32)。
【0087】
一方、ステップS31において、第1赤外線受信部60からのデータが正常ではないと判定したとき、制御部81は、記憶部70に記憶した第2赤外線受信部61からのデータを読み込む(ステップS33)。制御部30は、第2赤外線受信部61からのデータが正常か否かを判定する(ステップS34)。すなわち、第2赤外線受信部61から出力された制御信号に含まれるチェック情報C2に基づいて、この制御信号が正常か否かを判定する。
【0088】
ステップS34において、第2赤外線受信部61からのデータが正常であると判定したとき、制御部81は、第2赤外線受信部61から出力された制御信号に基づいて制御を行う(ステップS35)。一方、ステップS34において、第2赤外線受信部61からのデータが正常ではないと判定したとき、受信処理を終了し、記憶部70に記憶した赤外線受信部60,61からのデータを削除し、再度S10からのリモコン受信処理を開始する。
【0089】
また、ステップS24において、データ長が計測されたデータが最終データであると判定すると、制御部81は、記憶部70に記憶した第2赤外線受信部61からのデータを読み込む(ステップS40)。
【0090】
次に、制御部81は、第2赤外線受信部61からのデータが正常か否かを判定する(ステップS41)。すなわち、第2赤外線受信部61から出力された制御信号に含まれるチェック情報C2に基づいて、この制御信号が正常か否かを判定する。
【0091】
ステップS41において、第2赤外線受信部61からのデータが正常であると判定したとき、制御部81は、第2赤外線受信部61から出力された制御信号に基づいて制御を行う(ステップS42)。
【0092】
一方、ステップS41において、第2赤外線受信部61からのデータが正常ではないと判定したとき、制御部81は、記憶部70に記憶した第1赤外線受信部60からのデータを読み込む(ステップS43)。制御部81は、ステップS31と同様に、第1赤外線受信部60からのデータが正常か否かを判定する(ステップS44)。
【0093】
ステップS44において、第1赤外線受信部60からのデータが正常であると判定したとき、制御部81は、第1赤外線受信部60から出力された制御信号に基づいて制御を行う(ステップS45)。一方、ステップS44において、第1赤外線受信部60からのデータが正常ではないと判定したとき、受信処理を終了し、記憶部70に記憶した赤外線受信部60,61からのデータを削除し、再度S10からのリモコン受信処理を開始する。
【0094】
上記ステップS10〜S14は第1受信処理部82による処理であり、ステップS20〜S24は第2受信処理部83による処理である。図13におけるフローチャートでは、割込みが発生したとき(ステップS10,S20)、それぞれの処理(ステップS11〜S15,S21〜S25)が行われ、その後次の割込みを処理する流れとなっているが、第1受信処理部82による処理と第2受信処理部83による処理は並列に処理することが望ましい。
【0095】
また、制御信号が正常か否かをチェック情報に加えカスタムコード部B1を用いて判定してもよい。すなわち、カスタムコード部B1のデータが所定のデータと一致しないときには正常ではないと制御部81に判定させるのである。
【0096】
また、第1赤外線受信部60及び第2赤外線受信部61から出力される制御信号に含まれる操作情報C1が一致するか否かを制御部81によって判定し、一致したときのみ第1赤外線受信部60或いは第2赤外線受信部61から出力される制御信号に基づいた制御を行うようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】トイレブースに設置された本発明の実施形態に係る衛生洗浄装置を示す図である。
【図2】図1における衛生洗浄装置本体1の便蓋が開状態の様子を示す図である。
【図3】図1におけるリモコン装置のブロック構成図である。
【図4】図1における衛生洗浄装置本体のブロック構成図である。
【図5】図1における衛生洗浄装置本体の外観図である。
【図6】図1における衛生洗浄装置本体の外観図である。
【図7】図1における衛生洗浄装置本体の外観図である。
【図8】図1における衛生洗浄装置本体の外観図である。
【図9】図1における衛生洗浄装置本体の外観図である。
【図10】図1における衛生洗浄装置本体の赤外線受信部のブロック構成図である。
【図11】図1におけるリモコン装置から出力される赤外線制御信号の説明図である。
【図12】図4における制御部による赤外線制御信号検出の説明図である。
【図13】図1における衛生洗浄装置本体の制御部の動作フローチャートである。
【符号の説明】
【0098】
S 衛生洗浄装置
1 衛生洗浄装置本体
2 リモコン装置
3 便器
4 衛生洗浄装置主装置
5 便座
6 便蓋
60 第1赤外線受信部
61 第2赤外線受信部
81 制御部
82 第1受信処理部
83 第2受信処理部
【技術分野】
【0001】
本発明は、衛生洗浄装置に関し、さらに詳細には、利用者のおしりを洗浄する衛生洗浄装置本体と、利用者の操作により赤外線信号を送信して衛生洗浄装置本体を制御するリモコン装置とを有する衛生洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、便器を設置したトイレブースには、その快適さから、利用者のおしりを洗浄する機能などを有する衛生洗浄装置が広く取り付けられるようになっている。
【0003】
この衛生洗浄装置は、利用者のおしりを洗浄する衛生洗浄装置本体と利用者の操作により赤外線信号を送信して衛生洗浄装置本体を制御するリモコン装置とから構成される。また、衛生洗浄装置本体は便器に取り付けられ、リモコン装置は便器の前方右側壁面或いは前方左側壁面に取り付けられるのが一般的である(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
そして、衛生洗浄装置の利用者が便座に座っている状態で、前方右側壁面或いは前方左側壁面に取り付けられたリモコン装置を操作することによって、リモコン装置から赤外線による制御信号(以下、「赤外線制御信号」という。)が衛生洗浄装置本体へ送られ、衛生洗浄装置本体において受信した赤外線制御信号に応じた制御が行われる。
【0005】
ところで、赤外線を利用するリモコン装置においては、利用者の人体が赤外線の光路を遮ると受信できない。リモコン装置からの赤外線制御信号によって操作される衛生洗浄装置本体は、利用者の背部側に設けられていることから、リモコン装置からの赤外線制御信号は利用者の人体の影響を受けてしまい、衛生洗浄装置本体で赤外線制御信号が受信できないという問題が生じる。
【0006】
そこで、リモコン装置から出力される赤外線制御信号を受信する赤外線受光部を複数設けることによって、人体による影響を低減する衛生洗浄装置が提案されている。
【0007】
たとえば、特許文献1には、衛生洗浄装置の左右側部の一方に第1赤外線受光部を、他方に第2赤外線受光部を配置し、これらの赤外線受光部の出力を合成した後、増幅部及び復調部によってデコードしたデコード信号(リモコン装置において押下されたボタンに対応する制御信号)をマイクロプロセッサに入力して処理する衛生洗浄装置が開示されている。
【0008】
また、特許文献2には、複数の赤外線受光部からの出力を時間毎に切り替えて一つの赤外線受光部からの出力信号を選択するように構成するリモコン受信システムが提案されている。
【特許文献1】特開昭62−82136号公報
【特許文献2】特開2004−48463号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、衛生洗浄装置が設置されるトイレブースには蛍光灯が取り付けられていることが多く、蛍光灯からのインバータノイズが発生する。リモコン装置からの赤外線制御信号を受信する衛生洗浄装置本体の赤外線受信部の取付位置によっては、この蛍光灯からのインバータノイズに影響を受けて赤外線制御信号を正常に受信することができない恐れがある。
【0010】
特許文献1に記載の構成においても、複数の赤外線受光部の出力信号が合成されることになるため、一方の赤外線受光部でインバータノイズの影響を受けた場合であっても、増幅部から正常な信号が出力されない恐れがある。
【0011】
また、特許文献2に記載の技術を適用した衛生洗浄装置においても、複数の赤外線受光部からの出力信号を時間毎に切り替えて一つの赤外線受光部からの出力信号を選択しているために、最初に選択した出力信号が正常でないときには、他方の赤外線受光部からの出力信号が正常であった場合でも、他方の赤外線受光部からの出力信号が選択されるまで、衛生洗浄装置本体で正常な制御信号を受信することができない。したがって、リモコン装置から出力される赤外線制御信号を受信するために必要な時間が倍以上に延びてしまう恐れがある。
【0012】
そこで、本発明は、複数の赤外線受光部を設けた場合において、リモコン装置からの赤外線制御信号に対する応答性を維持しつつ、ノイズの影響を低減することができる衛生洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1に記載の発明は、利用者のおしりを洗浄する衛生洗浄装置本体と、利用者の操作により赤外線制御信号を送信して前記衛生洗浄装置本体を制御するリモコン装置とを有する衛生洗浄装置において、前記衛生洗浄装置本体は、当該衛生洗浄装置本体の左右側部のうち一方の側部に設けられ、前記赤外線制御信号を受信して電気的な制御信号に変換する第1赤外線受信部と、当該衛生洗浄装置本体の左右側部のうち他方の側部に設けられ、前記赤外線制御信号を受信して電気的な制御信号に変換する第2赤外線受信部と、前記第1赤外線受信部の出力の検出を行う第1受信処理部と、前記第1受信処理部とは独立して前記第2赤外線受信部の出力の検出を行う第2受信処理部とを有しており、前記第1赤外線受信部及び前記第2赤外線受信部から出力される制御信号のうちいずれか一方の制御信号に基づいた制御を行う制御部とを備えたことを特徴とする。
【0014】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記制御部は、前記第1赤外線受信部及び前記第2赤外線受信部から出力される制御信号のうち最も早く検出した赤外線受信部の制御信号に基づいた制御を行うことを特徴とする。
【0015】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記第1赤外線受信部又は前記第2赤外線受信部は、前記衛生洗浄装置本体の後端部に設けられるとともに、前記第1赤外線受信部又は前記第2赤外線受信部の受信面は衛生洗浄装置本体の背面に向かって傾斜して設けられることを特徴とする。
【0016】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記第1赤外線受信部又は前記第2赤外線受信部は、前記衛生洗浄装置本体の後端部に設けられるとともに、前記第1赤外線受信部又は前記第2赤外線受信部の受信面は、前記衛生洗浄装置本体の側方に向かって設けられることを特徴とする。
【0017】
また、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、前記第1赤外線受信部又は前記第2赤外線受信部の受信面は、前記衛生洗浄装置本体の側方かつ斜め上方に向かって設けられることを特徴とする。
【0018】
また、請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれか一項に記載の発明において、前記赤外線制御信号は、当該信号の先頭に配置されるリーダ部と、当該リーダ部に続いて配置されるデータ部とを含み、前記第1受信処理部は、前記リーダ部の検出を周期的なタイマー割込みで検出し、前記データ部を前記第1赤外線受信部から出力される制御信号の立ち上がりエッジ又は立ち下がりエッジによる割込み処理によって行い、前記第2受信処理部は、前記リーダ部の検出を周期的なタイマー割込みで検出し、前記データ部を前記第2赤外線受信部から出力される制御信号の立ち上がりエッジ又は立ち下がりエッジによる割込み処理によって行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
請求項1に記載の発明によれば、左右両側部に設けられた第1赤外線受信部と第2赤外線受信部とよりリモコン装置からの赤外線制御信号を受信し、第1赤外線受信部と第2赤外線受信部からの出力を独立して処理するため、一つの赤外線受信部で赤外線制御信号の受信が困難な状態であっても、他方の赤外線受信部で赤外線制御信号の受信ができれば、その赤外線制御信号に基づいた制御が可能となるため、リモコン装置からの赤外線制御信号に対する応答性を維持しつつ、ノイズの影響を低減することができる衛生洗浄装置を提供することができる。
【0020】
また、請求項2に記載の発明によれば、第1赤外線受信部及び第2赤外線受信部から出力される制御信号のうち最も早く検出した赤外線受信部の制御信号に基づいた制御を行うようにしているため、リモコン装置からの赤外線制御信号に対する応答性を高めることが可能となる。
【0021】
また、請求項3に記載の発明によれば、第1赤外線受信部又は第2赤外線受信部の受信面は衛生洗浄装置本体の後端部に背面に向かって傾斜して設けられるので、便蓋が大きく開いた状態で、利用者が衛生洗浄装置を利用している状態でも、衛生洗浄装置本体の背面方向からの赤外線制御信号を後方の壁面からの反射によって受けやすくなり、リモコン装置からの赤外線制御信号の受信性能を高めることが可能となる。
【0022】
また、請求項4に記載の発明によれば、第1赤外線受信部又は第2赤外線受信部の受信面は衛生洗浄装置本体の後端部に側方に向かって設けられるので、便蓋が大きく開いた状態で、利用者が衛生洗浄装置を利用している状態でも、衛生洗浄装置本体の側方向からの赤外線制御赤外線信号を反射によって受けやすくなり、リモコン装置からの赤外線制御信号の受信性能を高めることが可能となる。
【0023】
また、請求項5に記載の発明によれば、第1赤外線受信部又は第2赤外線受信部の受信面が前記衛生洗浄装置本体の側方かつ斜め上方に向かって設けられるので、衛生洗浄装置本体の上面又は側方向からの赤外線制御信号を受けやすくなり、リモコン装置からの赤外線制御信号の受信性能を高めることが可能となる。特に、衛生洗浄装置本体からトイレ室の側面壁の距離、天井面からの距離などを考慮してその距離の短い方向に対する受信面の傾きを小さくすれば、さらに赤外線制御信号の受信性能を向上させることができる。
【0024】
また、請求項6に記載の発明によれば、赤外線制御信号が送信されるまでは、処理負荷が少ないタイマー割込みで処理を行い、赤外線制御信号の先頭のリーダ部が検出されるとエッジ割り込み処理を行うようにしているため、制御部における処理負担を低減することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施態における衛生洗浄装置について、図面を参照しながら説明する。
【0026】
図1は、トイレブースに設置された本発明の実施形態に係る衛生洗浄装置Sを示す図であり、図2は、衛生洗浄装置本体1の便蓋が開状態の様子を示す図である。
【0027】
図1に示すように、本発明の実施形態における衛生洗浄装置Sは、トイレブースに設置される衛生洗浄装置本体1と、赤外線制御信号によって衛生洗浄装置本体1を遠隔的に制御するために左壁面10に取り付けられるリモコン装置2とから構成される。
【0028】
衛生洗浄装置本体1は、便器3上に設置され、利用者のおしり等を洗浄する洗浄機能、利用者のおしり等を乾燥する乾燥機能、便器3内の臭いを除去する脱臭機能など、各種機能を実行する衛生洗浄主装置4と、衛生洗浄主装置4に回動可能に連結された便座5と、同じく衛生洗浄主装置4に回動可能に連結された便蓋6とから構成される。
【0029】
衛生洗浄装置本体1の便蓋6は、その支軸9を回転軸として、略90度の範囲を移動可能となっており、図2では、便蓋6を支軸9を中心として略90度上方に持ち上げた状態(便蓋6の開状態)を示している。
【0030】
次に、リモコン装置2の具体的構成について、図面を参照して具体的に説明する。図3はリモコン装置2のブロック構成図である。
【0031】
図3に示すように、リモコン装置2は、おしり洗浄ボタン、おしり乾燥ボタン、脱臭ボタンなどの各種ボタンを有する入力部22と、時刻や制御内容を表示するための表示部23と、各種設定内容などを記憶する記憶部24と、衛生洗浄装置本体1へ赤外線によって制御信号(赤外線制御信号)を送信するための赤外線送信部27と、リモコン装置2全体の制御を統括する制御部26とから構成される。
【0032】
おしり洗浄ボタン、おしり乾燥ボタン、脱臭ボタンなど種々のボタンは、リモコン装置2の前面に配置されており、利用者によってこれらのボタンが操作されると、リモコン装置2は、その操作に応じた赤外線制御信号を送信する。衛生洗浄装置本体1は赤外線制御信号を受信すると、受信した赤外線制御信号に応じた機能を実行する。
【0033】
例えば、利用者がリモコン装置2のおしり洗浄ボタンを押下すると、リモコン装置2は、おしり洗浄のための赤外線制御信号を送信する。衛生洗浄装置本体1はこの赤外線制御信号を受信すると、おしり洗浄機能を実行する。
【0034】
なお、図1に示す例では、リモコン装置2を左側壁面10に取り付けているが、右側壁面(図示せず)に取り付けるようにしてもよい。
【0035】
ここで、衛生洗浄装置本体1の構成(主に、衛生洗浄主装置4の構成)について、図4を参照して説明する。図4は、本発明の実施形態に係る衛生洗浄装置本体1のブロック構成図である。
【0036】
衛生洗浄装置本体1は、便座5を暖めるための便座ヒータ51と、この便座ヒータ51の温度を測定するための便座サーミスタ52と、便座ヒータ51が所定以上の高温になるとこの便座ヒータ51への通電を遮断するための便座温度ヒューズ53とを有しており、制御部81がこれらを用いることによって暖房便座機能が実行される。
【0037】
また、衛生洗浄装置本体1は、便座5に人が着座したことを検出する着座検知センサ71と、濡れた臀部等を乾燥させるために乾燥ヒータ73で熱した空気を吹き出すための乾燥モータ72と、乾燥ヒータ73の温度を検出するための乾燥サーミスタ74とを有しており、制御部81がこれらを用いることによって乾燥機能が実行される。
【0038】
さらに、衛生洗浄装置本体1は、おしり等を洗浄するために温水を噴出するための洗浄ノズル(図示せず)を動作させるノズルモータ77と、洗浄ノズルから噴出させる温水を作るために水を熱する温水ヒータ78と、温水ヒータ78で熱せられる水の温度を測定するための温水サーミスタ79とを有しており、制御部81がこれら及び着座検知センサ71を用いることによって洗浄機能が実行される。
【0039】
暖房便座機能、乾燥機能及び洗浄機能などの各種機能は、上述のように利用者がリモコン装置2を操作することによって実行することができるように、衛生洗浄装置本体1には、赤外線受信部60,61が設けられている。すなわち、利用者の操作によってリモコン装置2から出力される赤外線制御信号は、赤外線受信部60,61によって電気的な制御信号に変換され、制御部81に入力される。制御部81は、赤外線受信部60,61から出力される制御信号に応じた機能を実行する。
【0040】
以下、リモコン装置2から出力される赤外線制御信号を受信して処理する構成について、さらに具体的に説明する。
【0041】
衛生洗浄装置本体1の制御部81は、マイクロコンピュータからなり、衛生洗浄装置本体1全体を制御する。制御部81を構成するマイクロコンピュータは、CPU(Central Processing Unit)、ワーキングメモリなどに使用されるRAM(Random Access Memory)、ノズルモータ77や温水ヒータ78等を制御するための信号を出力する出力ポート、温水サーミスタ79の状態等を検出するための入力ポートのほか、赤外線受信部60,61から出力される制御信号を検出するための割込み入力ポートINTa,INTbなどから構成される。また、ROM(Read Only Member)などから構成される記憶部70には、衛生洗浄装置本体1を制御するためのプログラムが格納されており、CPUは記憶部70に格納されたプログラムを読み取って実行することにより、衛生洗浄装置本体1を制御する。
【0042】
衛生洗浄装置本体1には、上述したように、リモコン装置2から送信される赤外線制御信号を受信して電気的な制御信号に変換する第1赤外線受信部60及び第2赤外線受信部61が設けられている。
【0043】
ここで、第1赤外線受信部60及び第2赤外線受信部61の配置について図面を参照して説明する。図5(a)は衛生洗浄装置本体1の平面図、図5(b)は衛生洗浄装置本体1の側面図、図6は衛生洗浄装置本体1を側方背面側からみた衛生洗浄装置本体1の斜視図である。
【0044】
図5及び図6に示すように、第1赤外線受信部60は衛生洗浄装置本体1の左後端部40に設けられ、第2赤外線受信部61は衛生洗浄装置本体1の右後端部41に設けられている。衛生洗浄装置本体1の左後端部40及び右後端部41はそれぞれ衛生洗浄装置本体1の背面に向かって下方に傾斜した形状を有しており、第1赤外線受信部60及び第2赤外線受信部61における赤外線制御信号の受信面も左後端部40及び右後端部41に沿って設けられる。
【0045】
すなわち、第1赤外線受信部60の受信面と第2赤外線受信部61の受信面は衛生洗浄装置本体1の背面に向かって下方に傾斜して設けられる。従って、便蓋6が大きく開いた状態で、利用者が衛生洗浄装置Sを利用している状態でも、衛生洗浄装置本体1の背面方向からの赤外線制御信号を後方の壁面からの反射によって受けやすくなり、リモコン装置2からの赤外線制御信号の受信性能を高めることが可能となる。
【0046】
ここで、第1赤外線受信部60及び第2赤外線受信部61の受信面とは、第1赤外線受信部60及び第2赤外線受信部61がそれぞれ有するフォトダイオードPD10の受光面をいう。また、第1赤外線受信部60及び第2赤外線受信部61には、リモコン装置2から送信される赤外線制御信号をそれぞれ透過する第1透過面及び第2透過面が設けられており、第1透過面は第1赤外線受信部60の受信面と平行に、第2透過面は第2赤外線受信部61の受信面と平行に設けられる。
【0047】
また、衛生洗浄装置本体1には、便蓋6を回動可能に支持する支持軸9を左右から突出するとともに、衛生洗浄装置本体1の構成部品等を収納するスペースを有する隆起部42を形成され、さらにこの隆起部42の後端に連続的に連なる第2隆起部43が形成される。
【0048】
衛生洗浄装置本体1の左後端部40及び右後端部41は、この第2隆起部43の左右であって、便蓋6における支持軸9との係合部分の後下方側に位置する。従って、第1赤外線受信部60及び第2赤外線受信部61の受信面は、便蓋6の後端下方に位置することになり、衛生洗浄装置Sの利用者にとって視認しにくくなる。
【0049】
また、図5及び図6に示す構成に代えて、図7に示す構成とすることもできる。図7(a)は衛生洗浄装置本体1の平面図、図7(b)は衛生洗浄装置本体1の側面図、図7(c)は衛生洗浄装置本体1を側方背面側からみた衛生洗浄装置本体1の部分斜視図である。
【0050】
図7に示すように、第1赤外線受信部60は衛生洗浄装置本体1の左後端部40に設けられ、第2赤外線受信部61は衛生洗浄装置本体1の右後端部41に設けられている。衛生洗浄装置本体1の第1赤外線受信部60は衛生洗浄装置本体1の右側方に向かって衛生洗浄装置本体1の右後端部41の側面に配置され、衛生洗浄装置本体1の第2赤外線受信部61は衛生洗浄装置本体1の左側方に向かって衛生洗浄装置本体1の左後端部41の側面に配置される。
【0051】
このように図7に示す構成では、第1赤外線受信部又は第2赤外線受信部の受信面は衛生洗浄装置本体の後端部に側方に向かって設けられるので、便蓋が大きく開いた状態で、利用者が衛生洗浄装置を利用している状態でも、衛生洗浄装置本体の側方向からの赤外線制御赤外線信号を反射によって受けやすくなり、リモコン装置からの赤外線制御信号の受信性能を高めることが可能となる。
【0052】
また、図5及び図6や図7に示す構成に代えて、図8に示す構成とすることもできる。図8(a)は衛生洗浄装置本体1の平面図、図8(b)は衛生洗浄装置本体1の側面図、図8(c)は衛生洗浄装置本体1を側方背面側からみた衛生洗浄装置本体1の部分斜視図である。
【0053】
図8に示すように、第1赤外線受信部60は衛生洗浄装置本体1の左後端部40に設けられ、第2赤外線受信部61は衛生洗浄装置本体1の右後端部41に設けられている。衛生洗浄装置本体1の第1赤外線受信部60は衛生洗浄装置本体1の右側方かつ斜め上方に向かって衛生洗浄装置本体1の右後端部41の側面に配置され、衛生洗浄装置本体1の第2赤外線受信部61は衛生洗浄装置本体1の左側方かつ斜め上方に向かって衛生洗浄装置本体1の左後端部41の側面に配置される。
【0054】
このように図8に示す構成では、第1赤外線受信部又は第2赤外線受信部の受信面は衛生洗浄装置本体の後端部に側方かつ斜め上方に向かって設けられるので、衛生洗浄装置本体の上面又は側方向からの赤外線制御信号を受けやすくなり、リモコン装置からの赤外線制御信号の受信性能を高めることが可能となる。特に、衛生洗浄装置本体からトイレ室の側面壁の距離、天井面からの距離などを考慮してその距離の短い方向に対する受信面の傾きを小さくすれば、さらに赤外線制御信号の受信性能を向上させることができる。
【0055】
また、図5〜図8に示す構成に代えて、図9に示す構成とすることもできる。図9(a)は衛生洗浄装置本体1の平面図、図9(b)は衛生洗浄装置本体1の側面図、図9(c)は衛生洗浄装置本体1を側方背面側からみた衛生洗浄装置本体1の部分斜視図である。
【0056】
図9に示すように、第1赤外線受信部60は衛生洗浄装置本体1の左後端部40に設けられ、第2赤外線受信部61は衛生洗浄装置本体1の右後端部41に設けられている。衛生洗浄装置本体1の第1赤外線受信部60は衛生洗浄装置本体1の右側斜め背面側かつ斜め上方に向かって衛生洗浄装置本体1の右後端部41に配置され、衛生洗浄装置本体1の第2赤外線受信部61は衛生洗浄装置本体1の左側斜め背面側かつ斜め上方に向かって衛生洗浄装置本体1の左後端部41に配置される。
【0057】
このように図9に示す構成では、第1赤外線受信部又は第2赤外線受信部の受信面は衛生洗浄装置本体の後端部に左右斜め背面側かつ斜め上方に向かって設けられるので、衛生洗浄装置本体の上面又は側方向からの赤外線制御信号を受けやすくなり、リモコン装置からの赤外線制御信号の受信性能を高めることが可能となる。特に、衛生洗浄装置本体からトイレ室の側面壁の距離、天井面からの距離などを考慮してその距離の短い方向に対する受信面の傾きを小さくすれば、さらに赤外線制御信号の受信性能を向上させることができる。また、便蓋が大きく開いた状態で、利用者が衛生洗浄装置を利用している状態でも、衛生洗浄装置本体の側方向からの赤外線制御赤外線信号を反射によって受けやすくなり、リモコン装置からの赤外線制御信号の受信性能を高めることが可能となる。
【0058】
以上のように本実施形態における衛生洗浄装置は、第1赤外線受信部60及び第2赤外線受信部61は、衛生洗浄装置本体1における衛生洗浄装置本体1の左右側部に設けられているため、リモコン装置2を左側壁面10に取り付けた場合であっても、右側壁面に取り付けた場合であっても、第1赤外線受信部60及び第2赤外線受信部61のいずれか一方が近接することになるため、リモコン装置2から送信される赤外線制御信号が衛生洗浄装置本体1によって受信しやすくなる。また、蛍光灯からのインバータノイズによる影響を避けやすくなる。
【0059】
ここで、第1赤外線受信部60及び第2赤外線受信部61の具体的構成について、図4及び図10を参照して説明する。
【0060】
赤外線受信部60,61は、リモコン装置2から送信される赤外線制御信号を受光して電流に変換するフォトダイオードPD10と、フォトダイオードPD10に流れる電流を電圧に変換する電流電圧変換器11と、電流電圧変換器11の出力を増幅する第1増幅器12と、第1増幅器12の出力から直流成分を除去するためのコンデンサC10と、コンデンサC10の出力される信号の振幅を制限するリミッタ13と、リミッタ13から出力される信号の低周波成分及び高周波成分を除去して、所定帯域成分を通過させるバンドパスフィルタ(BPF)14と、バンドパスフィルタ14の出力を検波する検波器15と、検波器15からの出力を所定のヒステリシスを持って増幅する第2増幅器16と、第2増幅器16から出力によりオン・オフして矩形波を出力するトランジスタTr10及び抵抗R10とから構成されており、トランジスタTr10のコレクタから出力される信号が赤外線受信部60,61が出力する制御信号となる。
【0061】
第1赤外線受信部60及び第2赤外線受信部61から出力される制御信号は、図4に示すように、それぞれ制御部81の割込み入力ポートINT-A及びINT-Bに入力されており、第1受信処理部82及び第2受信処理部83によって第1赤外線受信部60及び第2赤外線受信部61の出力の検出が行われる。
【0062】
すなわち、制御部81は、第1赤外線受信部60の出力の検出を、第1赤外線受信部60から出力される制御信号の立ち下がりエッジ及び周期的なタイマーによる割込み処理によって実行する第1受信処理部82と、第2赤外線受信部61の出力の検出を、第2赤外線受信部61から出力される制御信号の立ち下がりエッジ及び周期的なタイマーによる割込み処理によって実行する第2受信処理部83とを有している。なお、本実施形態の衛生洗浄装置本体1では、赤外線受信部60,61において赤外線制御信号における赤外線ON,OFFをそれぞれ制御信号のLow,Highに変換して出力しているため、立ち下がりエッジによる割込み処理を行うこととしているが、赤外線受信部60,61において赤外線制御信号における赤外線ON,OFFをそれぞれ制御信号のHigh, Lowに変換するように構成した場合には、立ち上がりエッジによる割込み処理を行ってもよい。
【0063】
そして、制御部81は、第1赤外線受信部60及び第2赤外線受信部61から出力される制御信号のうち最も早く検出した赤外線受信部60,61の制御信号に基づいた制御を行う。
【0064】
このように本実施形態における衛生洗浄装置本体1は、第1赤外線受信部60と第2赤外線受信部61とによりそれぞれ独立してリモコン装置2から送信される赤外線制御信号を電気的な制御信号へ変換し、第1受信処理部82と第2受信処理部83とによりそれぞれ第1赤外線受信部60と第2赤外線受信部61から出力される制御信号を独立して検出するようにしているため、第1赤外線受信部60及び第2赤外線受信部61で受信した赤外線制御信号をいずれも用いることができる。しかも、第1赤外線受信部60及び第2赤外線受信部61のうち、リモコン装置2から送信される赤外線制御信号を最も早く検出した赤外線受信部の制御信号に基づいた制御を行うようにしているため、利用者によるリモコン装置2の操作に対する制御を速やかに実行することができる。
【0065】
ここで、リモコン装置2から送信される赤外線制御信号について、図11を参照して具体的に説明する。
【0066】
図11に示すように、赤外線制御信号は、リーダ部A、データ部Bとから構成される。リーダ部Aは、リーダON部A1とリーダOFF部A2とから構成され、赤外線受信部60,61でこのリーダ部Aを検出することによって、リモコン装置2から赤外線制御信号が送信されたことを識別することができる。なお、リーダON部A1とデータ部Bのデータとは、データ長の相違によって識別している。
【0067】
また、データ部Bは、カスタムコード部B1とスイッチコード部B2とから構成される。カスタムコード部B1は、他のリモコン装置からの赤外線信号と区別するために特有のコードであり、衛生洗浄装置本体1の制御部81は、赤外線受信部60,61によって受信した制御信号のうち、カスタムコード部B1のコードを判別することによって、赤外線制御信号がリモコン装置2から送信されたことを判別する。
【0068】
スイッチコード部B2は、利用者が操作したボタン等に関する情報である操作情報C1と、この操作情報C1が正常か否かを判定するためのチェック情報C2とから構成される。このチェック情報C2は、操作情報C1のチェックサムである。
【0069】
第1受信処理部82は、第1赤外線受信部60から出力される制御信号が正常か否かをこの制御信号に含まれるチェック情報C2に基づいて判定する。すなわち、第1受信処理部82は、第1赤外線受信部60から出力される制御信号に含まれる操作情報C1を所定ブロックに分けて合計することによってチェックサムを求め、このチェックサムがチェック情報C2と一致するか否かを判定する。チェックサムがチェック情報C2と一致すると制御信号が正常と判定し、一方でチェックサムがチェック情報C2と一致しないと制御信号が正常でないと判定する。
【0070】
第2受信処理部83も同様に、第2赤外線受信部61から出力される制御信号が正常か否かを制御信号に含まれるチェック情報に基づいて判定する。
【0071】
衛生洗浄装置本体1の制御部81は、第1赤外線受信部60及び第2赤外線受信部61から出力される制御信号のうち最も早く検出した赤外線受信部の制御信号に基づいた制御を行う。例えば、第1赤外線受信部60から出力される制御信号が第2赤外線受信部61から出力される制御信号よりも早く制御部81(の第1受信処理部)によって検出されたとき、制御部81は、第1赤外線受信部60から出力される制御信号に基づいた制御を行い、第2赤外線受信部61から出力される制御信号は用いない。
【0072】
しかし、制御部81は、第1受信処理部82によって第1赤外線受信部60から出力される制御信号が正常でないと判定されると、第2赤外線受信部61の制御信号に基づいた制御を行う。なお、第2赤外線受信部61の制御信号も正常でないと判定すると、いずれの赤外線受信部60,61から出力される制御信号も用いない。
【0073】
このように、本実施形態における衛生洗浄装置本体1の制御部81は、第1赤外線受信部60及び第2赤外線受信部61のうち最も早く検出した赤外線受信部の制御信号であっても、その制御信号が正常でない場合には、他方の赤外線受信部の制御信号に基づいた制御を行うようにしているため、ノイズ等による誤動作を抑制することができる。
【0074】
以上のように構成された衛生洗浄装置本体1における制御部81の動作について、図12及び図13を参照して、さらに具体的に説明する。図12は制御部による赤外線制御信号検出の説明図であり、図13は衛生洗浄装置本体1の制御部81の動作フローチャートである。なお、上述のように、赤外線受信部60,61では、赤外線制御信号における赤外線ON,OFFに対応して、それぞれLow,Highの信号が制御信号として出力される。
【0075】
制御部81は、まず、第1割込み入力ポートINT−A及び第2割込み入力ポートINT−Bの電圧レベルを周期的なタイマー割込み処理(本実施形態においては、1ms間隔としている。)で検出を行う(図12参照)。また、制御部81は、後述するリーダ部検出処理(ステップS15,S25)において、制御信号のリーダ部を検出した後は、第1赤外線受信部60及び第2赤外線受信部61の出力の立ち下がりエッジによって割込み処理を行う(図12参照)。このように、制御部81は、制御信号のリーダ部を検出するまでは周期的なタイマー割込み処理を行い、制御信号のリーダ部を検出した後は立ち下がりエッジによる割込み処理を行うようにして、制御部81における負荷の軽減を図っている。
【0076】
制御部81は第1割込みが入ると(ステップS10:Yes)、第1赤外線受信部60から出力される制御信号のリーダ部を既に検出しているか否かを判定する(ステップS11)。制御信号のリーダ部を既に検出している場合、制御部81は、第1赤外線受信部60から出力される制御信号のデータ長taを検出する(ステップS12)。
【0077】
次に、制御部81は、ステップS12において測定した制御信号のデータ長taに基づいて、そのデータが示す情報「0」又は「1」を判定し、判定結果を記憶部に記憶する(ステップS13)。なお、制御部81は、t1≦ta<t2のときに「0」と判定し、t2≦ta<t3のときに「1」と判定する。なお、t1〜t3の関係は、t1<t2<t3である。
【0078】
その後、制御部81は、ステップS12においてデータ長が計測されたデータが最終データであるか否かを判定する(ステップS14)。本実施形態においては、データ部Bを39(bit)としており、制御部81は、データ部Bのデータを全て受信したか否か、すなわち39個のデータを受信したか否かを判定する。
【0079】
ステップS11において、第1赤外線受信部60から出力される制御信号のリーダ部を検出していないとき(ステップS11:No)、制御部81は、第1赤外線受信部60から出力される制御信号のリーダ部の検出を行う(ステップS15)。リーダ部の検出は、図12に示すように、まず周期的な割込み処理により第1割込みポートINTaにおいてLowレベルが連続して4回検出されることによって行われる。すなわち、第1割込み入力ポートINTaにおいてLowレベルが連続して4回検出されると、第1赤外線受信部60から出力される制御信号のリーダ部が検出されたと判定するのである。なお、制御部81によるデータ部の検出は、リーダ部を検出した後、第1赤外線受信部60から出力される制御信号が立ち下がったときから開始される。
【0080】
ステップS14において、データ長が計測されたデータが最終データではないと判定したとき(ステップS14:No)、制御部81は、第2割込みが入ったか否か(ステップS20)を判定する。第2割込みが入ると(ステップS20:Yes)、制御部81は、第2赤外線受信部61から出力される制御信号のリーダ部を既に検出しているか否かを判定する(ステップS21)。制御信号のリーダ部を既に検出している場合、制御部81は、第2赤外線受信部61から出力される制御信号のデータ長taを検出する(ステップS22)。
【0081】
次に、制御部81は、ステップS22において測定した制御信号のデータ長taに基づいて、そのデータが示す情報「0」又は「1」を判定し、判定結果を記憶部に記憶する(ステップS23)。なお、制御部81は、t1≦ta<t2のときに「0」と判定し、t2≦ta<t3のときに「1」と判定する。なお、t1〜t3の関係は、t1<t2<t3である。
【0082】
その後、制御部81は、ステップS22においてデータ長が計測されたデータが最終データであるか否かを判定する(ステップS24)。本実施形態においては、データ部Bを39(bit)としており、制御部81は、データ部Bのデータを全て受信したか否かを判定する。
【0083】
ステップS21において、第2赤外線受信部61から出力される制御信号のリーダ部を検出していないとき(ステップS21:No)、制御部81は、第2赤外線受信部61から出力される制御信号のリーダ部の検出を行う(ステップS25)。リーダ部の検出は、図12に示すように、まず周期的な割込み処理により第2割込み入力ポートINTbにおいてLowレベルが連続して4回検出されることによって行われる。すなわち、第2割込み入力ポートINTbにおいてLowレベルが連続して4回検出されると、第2赤外線受信部61から出力される制御信号のリーダ部が検出されたと判定するのである。なお、制御部81によるデータ部の検出は、リーダ部を検出した後、第2赤外線受信部61から出力される制御信号が立ち下がったときから開始される。
【0084】
ステップS14において、データ長が計測されたデータが最終データであると判定すると、制御部81は、記憶部70に記憶した第1赤外線受信部60からのデータを読み込む(ステップS30)。
【0085】
次に、制御部30は、第1赤外線受信部60からのデータが正常か否かを判定する(ステップS31)。すなわち、第1赤外線受信部60から出力された制御信号に含まれるチェック情報C2に基づいて、この制御信号が正常か否かを判定する。なお、制御信号が正常か否かについては、上述で詳説しており、ここでの説明を省略する。
【0086】
ステップS31において、第1赤外線受信部60からのデータが正常であると判定したとき、制御部81は、第1赤外線受信部60から出力された制御信号に基づいて制御を行う(ステップS32)。
【0087】
一方、ステップS31において、第1赤外線受信部60からのデータが正常ではないと判定したとき、制御部81は、記憶部70に記憶した第2赤外線受信部61からのデータを読み込む(ステップS33)。制御部30は、第2赤外線受信部61からのデータが正常か否かを判定する(ステップS34)。すなわち、第2赤外線受信部61から出力された制御信号に含まれるチェック情報C2に基づいて、この制御信号が正常か否かを判定する。
【0088】
ステップS34において、第2赤外線受信部61からのデータが正常であると判定したとき、制御部81は、第2赤外線受信部61から出力された制御信号に基づいて制御を行う(ステップS35)。一方、ステップS34において、第2赤外線受信部61からのデータが正常ではないと判定したとき、受信処理を終了し、記憶部70に記憶した赤外線受信部60,61からのデータを削除し、再度S10からのリモコン受信処理を開始する。
【0089】
また、ステップS24において、データ長が計測されたデータが最終データであると判定すると、制御部81は、記憶部70に記憶した第2赤外線受信部61からのデータを読み込む(ステップS40)。
【0090】
次に、制御部81は、第2赤外線受信部61からのデータが正常か否かを判定する(ステップS41)。すなわち、第2赤外線受信部61から出力された制御信号に含まれるチェック情報C2に基づいて、この制御信号が正常か否かを判定する。
【0091】
ステップS41において、第2赤外線受信部61からのデータが正常であると判定したとき、制御部81は、第2赤外線受信部61から出力された制御信号に基づいて制御を行う(ステップS42)。
【0092】
一方、ステップS41において、第2赤外線受信部61からのデータが正常ではないと判定したとき、制御部81は、記憶部70に記憶した第1赤外線受信部60からのデータを読み込む(ステップS43)。制御部81は、ステップS31と同様に、第1赤外線受信部60からのデータが正常か否かを判定する(ステップS44)。
【0093】
ステップS44において、第1赤外線受信部60からのデータが正常であると判定したとき、制御部81は、第1赤外線受信部60から出力された制御信号に基づいて制御を行う(ステップS45)。一方、ステップS44において、第1赤外線受信部60からのデータが正常ではないと判定したとき、受信処理を終了し、記憶部70に記憶した赤外線受信部60,61からのデータを削除し、再度S10からのリモコン受信処理を開始する。
【0094】
上記ステップS10〜S14は第1受信処理部82による処理であり、ステップS20〜S24は第2受信処理部83による処理である。図13におけるフローチャートでは、割込みが発生したとき(ステップS10,S20)、それぞれの処理(ステップS11〜S15,S21〜S25)が行われ、その後次の割込みを処理する流れとなっているが、第1受信処理部82による処理と第2受信処理部83による処理は並列に処理することが望ましい。
【0095】
また、制御信号が正常か否かをチェック情報に加えカスタムコード部B1を用いて判定してもよい。すなわち、カスタムコード部B1のデータが所定のデータと一致しないときには正常ではないと制御部81に判定させるのである。
【0096】
また、第1赤外線受信部60及び第2赤外線受信部61から出力される制御信号に含まれる操作情報C1が一致するか否かを制御部81によって判定し、一致したときのみ第1赤外線受信部60或いは第2赤外線受信部61から出力される制御信号に基づいた制御を行うようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】トイレブースに設置された本発明の実施形態に係る衛生洗浄装置を示す図である。
【図2】図1における衛生洗浄装置本体1の便蓋が開状態の様子を示す図である。
【図3】図1におけるリモコン装置のブロック構成図である。
【図4】図1における衛生洗浄装置本体のブロック構成図である。
【図5】図1における衛生洗浄装置本体の外観図である。
【図6】図1における衛生洗浄装置本体の外観図である。
【図7】図1における衛生洗浄装置本体の外観図である。
【図8】図1における衛生洗浄装置本体の外観図である。
【図9】図1における衛生洗浄装置本体の外観図である。
【図10】図1における衛生洗浄装置本体の赤外線受信部のブロック構成図である。
【図11】図1におけるリモコン装置から出力される赤外線制御信号の説明図である。
【図12】図4における制御部による赤外線制御信号検出の説明図である。
【図13】図1における衛生洗浄装置本体の制御部の動作フローチャートである。
【符号の説明】
【0098】
S 衛生洗浄装置
1 衛生洗浄装置本体
2 リモコン装置
3 便器
4 衛生洗浄装置主装置
5 便座
6 便蓋
60 第1赤外線受信部
61 第2赤外線受信部
81 制御部
82 第1受信処理部
83 第2受信処理部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者のおしりを洗浄する衛生洗浄装置本体と、利用者の操作により赤外線制御信号を送信して前記衛生洗浄装置本体を制御するリモコン装置とを有する衛生洗浄装置において、
前記衛生洗浄装置本体は、
当該衛生洗浄装置本体の左右側部のうち一方の側部に設けられ、前記赤外線制御信号を受信して電気的な制御信号に変換する第1赤外線受信部と、
当該衛生洗浄装置本体の左右側部のうち他方の側部に設けられ、前記赤外線制御信号を受信して電気的な制御信号に変換する第2赤外線受信部と、
前記第1赤外線受信部の出力の検出を行う第1受信処理部と、前記第1受信処理部とは独立して前記第2赤外線受信部の出力の検出を行う第2受信処理部とを有し、前記第1赤外線受信部及び前記第2赤外線受信部から出力される制御信号のうちいずれか一方の制御信号に基づいた制御を行う制御部と、
を備えたことを特徴とする衛生洗浄装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1赤外線受信部及び前記第2赤外線受信部から出力される制御信号のうち最も早く検出した赤外線受信部の制御信号に基づいた制御を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の衛生洗浄装置。
【請求項3】
前記第1赤外線受信部又は前記第2赤外線受信部は、前記衛生洗浄装置本体の後端部に設けられるとともに、前記第1赤外線受信部又は前記第2赤外線受信部の受信面は衛生洗浄装置本体の背面に向かって傾斜して設けられる
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の衛生洗浄装置。
【請求項4】
前記第1赤外線受信部又は前記第2赤外線受信部は、前記衛生洗浄装置本体の後端部に設けられるとともに、前記第1赤外線受信部又は前記第2赤外線受信部の受信面は、前記衛生洗浄装置本体の側方に向かって設けられる
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の衛生洗浄装置。
【請求項5】
前記第1赤外線受信部又は前記第2赤外線受信部の受信面は、前記衛生洗浄装置本体の側方かつ斜め上方に向かって設けられる
ことを特徴とする請求項4に記載の衛生洗浄装置。
【請求項6】
前記赤外線制御信号は、当該信号の先頭に配置されるリーダ部と、当該リーダ部に続いて配置されるデータ部とを含み、
前記第1受信処理部は、前記リーダ部の検出を周期的なタイマー割込みで検出し、前記データ部を前記第1赤外線受信部から出力される制御信号の立ち上がりエッジ又は立ち下がりエッジによる割込み処理によって行い、
前記第2受信処理部は、前記リーダ部の検出を周期的なタイマー割込みで検出し、前記データ部を前記第2赤外線受信部から出力される制御信号の立ち上がりエッジ又は立ち下がりエッジによる割込み処理によって行う
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1に記載の衛生洗浄装置。
【請求項1】
利用者のおしりを洗浄する衛生洗浄装置本体と、利用者の操作により赤外線制御信号を送信して前記衛生洗浄装置本体を制御するリモコン装置とを有する衛生洗浄装置において、
前記衛生洗浄装置本体は、
当該衛生洗浄装置本体の左右側部のうち一方の側部に設けられ、前記赤外線制御信号を受信して電気的な制御信号に変換する第1赤外線受信部と、
当該衛生洗浄装置本体の左右側部のうち他方の側部に設けられ、前記赤外線制御信号を受信して電気的な制御信号に変換する第2赤外線受信部と、
前記第1赤外線受信部の出力の検出を行う第1受信処理部と、前記第1受信処理部とは独立して前記第2赤外線受信部の出力の検出を行う第2受信処理部とを有し、前記第1赤外線受信部及び前記第2赤外線受信部から出力される制御信号のうちいずれか一方の制御信号に基づいた制御を行う制御部と、
を備えたことを特徴とする衛生洗浄装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1赤外線受信部及び前記第2赤外線受信部から出力される制御信号のうち最も早く検出した赤外線受信部の制御信号に基づいた制御を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の衛生洗浄装置。
【請求項3】
前記第1赤外線受信部又は前記第2赤外線受信部は、前記衛生洗浄装置本体の後端部に設けられるとともに、前記第1赤外線受信部又は前記第2赤外線受信部の受信面は衛生洗浄装置本体の背面に向かって傾斜して設けられる
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の衛生洗浄装置。
【請求項4】
前記第1赤外線受信部又は前記第2赤外線受信部は、前記衛生洗浄装置本体の後端部に設けられるとともに、前記第1赤外線受信部又は前記第2赤外線受信部の受信面は、前記衛生洗浄装置本体の側方に向かって設けられる
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の衛生洗浄装置。
【請求項5】
前記第1赤外線受信部又は前記第2赤外線受信部の受信面は、前記衛生洗浄装置本体の側方かつ斜め上方に向かって設けられる
ことを特徴とする請求項4に記載の衛生洗浄装置。
【請求項6】
前記赤外線制御信号は、当該信号の先頭に配置されるリーダ部と、当該リーダ部に続いて配置されるデータ部とを含み、
前記第1受信処理部は、前記リーダ部の検出を周期的なタイマー割込みで検出し、前記データ部を前記第1赤外線受信部から出力される制御信号の立ち上がりエッジ又は立ち下がりエッジによる割込み処理によって行い、
前記第2受信処理部は、前記リーダ部の検出を周期的なタイマー割込みで検出し、前記データ部を前記第2赤外線受信部から出力される制御信号の立ち上がりエッジ又は立ち下がりエッジによる割込み処理によって行う
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1に記載の衛生洗浄装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2007−315146(P2007−315146A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−148859(P2006−148859)
【出願日】平成18年5月29日(2006.5.29)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年5月29日(2006.5.29)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】
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