説明

衛生洗浄装置

【課題】熱交換器に水位検知手段を設けることなく、熱交換器が満水になったことを確実に検知できる衛生洗浄装置を提供することを目的とする。
【解決手段】給水源から給水された水を吐水ノズルに供給する流路の途中に配設された開閉弁および瞬間加熱式の熱交換器と、前記熱交換器と前記吐水ノズルとの間の前記流路に配設され、前記流路を流れる水の流量を検出する流量検出手段と、前記流量検出手段により検出された水の流量に応じて前記熱交換器の加熱制御を実行する制御手段と、を備えたことを特徴とする衛生洗浄装置が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衛生洗浄装置に関し、具体的には洋式腰掛便座に腰掛けた使用者の「おしり」などを水で洗浄する衛生洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
衛生洗浄装置の中には、例えば、使用者に不快感を与えないようにするために、洗浄に用いる洗浄水を適当な温度に加熱する熱交換器を備えたものがある。熱交換器としては、例えば、瞬間式の熱交換器あるいは貯湯式の熱交換器などが挙げられる。このような衛生洗浄装置によれば、使用者の「おしり」などを温水で洗浄することができる。
【0003】
そこで、瞬間式加熱手段の上流側に設けられた流量検出手段により検出された流量に基づいて、瞬間式加熱手段を制御する衛生洗浄装置がある(特許文献1)。特許文献1に記載された衛生洗浄装置によれば、流量検出手段により洗浄水の流量を正確かつ容易に検出することができる。その結果、洗浄水の温度、圧力または流量を正確かつ容易に制御することができる。
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された衛生洗浄装置では、流量検出手段を熱交換器(瞬間式加熱手段)の上流側に配置しているため、例えば、製品を購入した直後あるいは熱交換器の水抜き栓が止水不良を起こした場合などのように熱交換器が満水になっていないときでも、熱交換器が満水になっていないことを検知できない。そのため、熱交換器が空焚きを起こすおそれがある。
【0005】
この問題を解消するためには、例えば、熱交換器にフロートスイッチなどの水位検知手段を設ける必要がある。しかしながら、そのような水位検知手段を熱交換器に設けると、コストがかさむ、あるいは熱交換器の小型化が困難となるなどの問題が生ずる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−100253号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、熱交換器に水位検知手段を設けることなく、熱交換器が満水になったことを確実に検知できる衛生洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、給水源から給水された水を吐水ノズルに供給する流路の途中に配設された開閉弁および瞬間加熱式の熱交換器と、前記熱交換器と前記吐水ノズルとの間の前記流路に配設され、前記流路を流れる水の流量を検出する流量検出手段と、前記流量検出手段により検出された水の流量に応じて前記熱交換器の加熱制御を実行する制御手段と、を備えたことを特徴とする衛生洗浄装置である。
この衛生洗浄装置によれば、制御手段は、熱交換器よりも下流側に設けられた流量検出手段により熱交換器よりも下流の流路を流れる水の流量、すなわち、熱交換器から流出する水の流量を検出し、熱交換器の加熱制御を実行するため、熱交換器が確実に満水になった状態で熱交換器の加熱ヒータの加熱を開始する。そのため、制御手段は、熱交換器に水位検知手段を設けることなく、熱交換器が満水になったことを確実に検知でき、熱交換器が空焚きを起こすことを確実に抑制することができる。
また、制御手段は、流量検出手段により検出された水の流量に基づいて水を適温に加熱するための加熱量を決定する。したがって、1つの流量検出手段が流路を流れる水の流量を検出することにより、熱交換器の「ON/OFF」の制御と、熱交換器の加熱ヒータの加熱量の制御と、を実行することができる。これにより、熱交換器に水位検知手段を設ける必要はなく、コストダウンを図ることができる。
【0009】
また、第2の発明は、第1の発明において、前記制御手段は、前記吐水ノズルからの吐水を実行する指令を受けると前記開閉弁を開き、前記流量検出手段が前記流路を流れる水の所定値以上の流量を検出すると、前記熱交換器の加熱を開始することを特徴とする衛生洗浄装置である。
この衛生洗浄装置によれば、流量検出手段が所定値以上の流量を検出すると、制御手段は、熱交換器が満水であると判断する。そのため、流路内の残留水が流量検出手段を通過しても、熱交換器が誤作動を起こすことを抑制することができる。これにより、熱交換器が空焚きを起こすことをより確実に抑制することができる。
【0010】
また、第3の発明は、第1の発明において、前記制御手段は、前記吐水ノズルからの吐水を実行する指令を受けると前記開閉弁を開き、前記流量検出手段が前記流路を流れる水の流量を所定時間以上連続して検出すると、前記熱交換器の加熱を開始することを特徴とする衛生洗浄装置である。
この衛生洗浄装置によれば、流量検出手段が所定時間以上連続して流量を検出すると、制御手段は、熱交換器が満水であると判断する。そのため、流路内の残留水が流量検出手段を通過しても、熱交換器が誤作動を起こすことを抑制することができる。これにより、熱交換器が空焚きを起こすことをより確実に抑制することができる。
【0011】
また、第4の発明は、第1〜第3のいずれか1つの発明において、前記流量検出手段と前記吐水ノズルとの間の前記流路に配設され、前記水の流れに脈動を与える脈動発生装置と、前記流量検出手段と前記脈動発生装置との間の前記流路に配設され、前記脈動発生装置により与えられた水の脈動が上流側へ伝達することを抑制するアキュムレータと、をさらに備えたことを特徴とする衛生洗浄装置である。
この衛生洗浄装置によれば、アキュムレータは、脈動発生装置により与えれた水の脈動が上流側へ伝達することを抑制することができる。そのため、流量検出手段は、流路を流れる水の流量を正確に検出することができ、誤作動を起こしにくい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の態様によれば、熱交換器に水位検知手段を設けることなく、熱交換器が満水になったことを確実に検知できる衛生洗浄装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態にかかる衛生洗浄装置を備えたトイレ装置を例示する斜視模式図である。
【図2】本実施形態にかかる衛生洗浄装置の水路構成を表すブロック図である。
【図3】本実施形態にかかる衛生洗浄装置の動作の具体例を例示するタイムチャートである。
【図4】本実施形態にかかる衛生洗浄装置の動作の他の具体例を例示するタイムチャートである。
【図5】本実施形態の流量検出手段の一例を例示する断面模式図である。
【図6】本実施形態の流量検出手段の他の一例を例示する断面模式図である。
【図7】本実施形態の脈動発生装置およびアキュムレータの一例を例示する断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本発明の実施の形態にかかる衛生洗浄装置を備えたトイレ装置を例示する斜視模式図である。
【0015】
図1に表したトイレ装置は、洋式腰掛便器(以下説明の便宜上、単に「便器」と称する)800と、その上に設けられた衛生洗浄装置100と、を備える。衛生洗浄装置100は、ケーシング400と、便座200と、便蓋300と、を有する。便座200と便蓋300とは、ケーシング400に対して開閉自在にそれぞれ軸支されている。
【0016】
ケーシング400の内部には、例えば、便座200に座った使用者の「おしり」などの洗浄を実現する局部洗浄機能部などが内蔵されている。また、ケーシング400の上部には、使用者が便座に座ったことを検知する着座センサ451が設けられている。着座センサ451が便座に座った使用者を検知している場合において、使用者が例えばリモコンなどの設定手段600を操作すると、吐水ノズル421を便器800のボウル801内に進出させることができる。吐水ノズル421の先端部には、ひとつあるいは複数の吐水口421aが設けられている。
【0017】
続いて、吐水ノズル421は、その先端部に設けられた吐水口421aから水を噴射して、便座200に座った使用者の「おしり」などを洗浄することができる。なお、本願明細書において「水」という場合には、冷水のみならず、加熱されたお湯も含むものとする。
【0018】
また、図1に表した衛生洗浄装置100では、ケーシング400の上面に凹設部461が形成され、この凹設部461に一部が埋め込まれるように入室検知センサ453が設けられている。入室検知センサ453は、便蓋300が閉じた状態では、その基部付近に設けられた透過窓310を介して使用者の入室を検知する。
【0019】
またさらに、ケーシング400の内部には、便座200に座った使用者の「おしり」などに向けて温風を吹き付けて乾燥させる「温風乾燥機能」や「脱臭ユニット」や「室内暖房ユニット」などの各種の機構が適宜設けられていてもよい。この際、ケーシング400の側面には、脱臭ユニットからの排気口463及び室内暖房ユニットからの排出口465が適宜設けられる。ただし、本発明においては、入室検知センサ453やその他の付加機能部は必ずしも設けなくてもよい。
【0020】
図2は、本実施形態にかかる衛生洗浄装置の水路構成を表すブロック図である。
本実施形態にかかる衛生洗浄装置100は、水道管の端末(水道端末)501すなわち給水源から給水された水を吐水ノズル421に供給する流路を備える。流路の上流側には、まず、上流への水の逆流を防ぐ逆止弁401が接続されている。また、逆止弁401の下流側には、電磁弁(開閉弁)403と、調圧弁405と、が設けられている。
【0021】
電磁弁403は、好ましくはノーマリクローズすなわち非通電時において閉状態となる電磁バルブであり、制御手段430からの指令に基づいて下流側への水の供給を制御する。また、調圧弁405は、給水圧が高い場合に、所定の圧力範囲に調整する機能を有する。なお、制御手段430は、ケーシング400の内部に設けられている。
【0022】
調圧弁405の下流側には、瞬間式加熱手段409と、流量検出手段413と、流量調整手段415と、が設けられている。また、調圧弁405と、瞬間式加熱手段409と、の間には、瞬間式加熱手段409に流入する水の温度を検出する入水温検出手段407が設けられている。また、さらに、瞬間式加熱手段409と、流量検出手段413と、の間には、瞬間式加熱手段409から流出する水の温度を検出する出水温検出手段411が設けられている。
【0023】
瞬間式加熱手段409は、いわゆる瞬間加熱式の熱交換器であり、シーズヒータやセラミックヒータなどの加熱ヒータにより供給されて流動している状態の水を加熱する。そして、制御手段430は、入水温検出手段407および出水温検出手段411により検出された水の温度に基づいて瞬間式加熱手段409の加熱制御を実行し、瞬間式加熱手段409に供給された水を設定手段600により適宜設定された所定の温水にすることができる。また、流量検出手段413は、瞬間式加熱手段409よりも下流側に設けられ、瞬間式加熱手段409から流出し流路を流れる水の流量を検出することができる。また、流量調整手段415は、吐水ノズル421への給水の流量や水勢の調整を行う。
【0024】
流量調整手段415の下流側には、流路内の水の流れに脈動を与える脈動発生装置419と、便座200に座った使用者の「おしり」などに水を噴射する吐水ノズル421と、が設けられている。また、流量調整手段415と、脈動発生装置419と、の間には、脈動発生装置419により与えられた水の脈動が上流側へ伝達することを抑制するアキュムレータ417が設けられている。
【0025】
ここで、例えば、衛生洗浄装置100を設置した直後や、衛生洗浄装置100を購入した直後などでは、瞬間式加熱手段409は満水にはなっていない。このように瞬間式加熱手段409が満水状態ではない場合において、制御手段430が瞬間式加熱手段409の加熱ヒータを「ON」に設定すると、瞬間式加熱手段409は空焚きを起こすおそれがある。そのため、例えば、瞬間式加熱手段409にフロートスイッチなどの水位検知手段を設ける場合がある。しかしながら、瞬間式加熱手段409に水位検知手段を設けると、コストがかさむなどの問題が生ずる。
【0026】
これに対して、本実施形態にかかる衛生洗浄装置100では、瞬間式加熱手段409よりも下流側、すなわち瞬間式加熱手段409と吐水ノズル421との間に流量検出手段413が設けられている。流量検出手段413は、前述したように、瞬間式加熱手段409から流出した水の流量を検出することができる。そのため、流量検出手段413が流路を流れる水の流量を検出していることは、瞬間式加熱手段409が満水であることと同等である。これは、瞬間式加熱手段409が満水となり、瞬間式加熱手段409に適宜設けられた図示しない流出管から水が流出しない限り、流量検出手段413は、流路を流れる水の流量を検出できないためである。
【0027】
そこで、本実施形態にかかる衛生洗浄装置100では、制御手段430は、流量検出手段413が流路を流れる水の流量を検出すると、瞬間式加熱手段409が満水状態であると判断し、流量検出手段413により検出された水の流量に応じて瞬間式加熱手段409の加熱制御を実行する。つまり、制御手段430は、流量検出手段413が流路を流れる水の流量を検出すると、瞬間式加熱手段409の加熱ヒータを「OFF」から「ON」に切り替える。あるいは、制御手段430は、流量検出手段413により検出された水の流量に応じて瞬間式加熱手段409の加熱ヒータの加熱量(通電量)を制御する。
【0028】
これによれば、制御手段430は、瞬間式加熱手段409よりも下流側に設けられた流量検出手段413により瞬間式加熱手段409から流出する水の流量を検出し、瞬間式加熱手段409の加熱制御を実行するため、瞬間式加熱手段409が確実に満水になった状態で加熱ヒータの加熱を開始する。そのため、制御手段430は、瞬間式加熱手段409に水位検知手段を設けることなく、瞬間式加熱手段409が満水になったことを確実に検知でき、瞬間式加熱手段409が空焚きを起こすことを確実に抑制することができる。
【0029】
また、制御手段430は、流量検出手段413により検出された水の流量に基づいて水を適温に加熱するための加熱量を決定する。したがって、1つの流量検出手段413が流路を流れる水の流量を検出することにより、瞬間式加熱手段409の「ON/OFF」の制御と、加熱ヒータの加熱量の制御と、を実行することができる。これにより、瞬間式加熱手段409に水位検知手段を設ける必要はなく、コストダウンを図ることができる。
【0030】
次に、本実施形態にかかる衛生洗浄装置100の動作の具体例について、図面を参照しつつ説明する。
図3は、本実施形態にかかる衛生洗浄装置の動作の具体例を例示するタイムチャートである。
【0031】
本具体例の動作では、流量検出手段413が流路を流れる水の所定値以上の流量を検出すると、制御手段430は、瞬間式加熱手段409の加熱ヒータの加熱(通電)を開始する。図3に表したタイムチャートを参照しつつ説明すると、まず、制御手段430は、リモコンなどの設定手段600により吐水ノズル421からの吐水を実行する指令を受けると、電磁弁403を開く(タイムt1)。このとき、制御手段430は、瞬間式加熱手段409の加熱ヒータを「OFF」に設定している。また、流路には水は流れていないため、流量検出手段413は、水を検出しない。
【0032】
続いて、電磁弁403が開いたことにより瞬間式加熱手段409に水が供給され、その瞬間式加熱手段409が満水となると、図示しない流出管から水が流出する。そうすると、流量検出手段413が、流路を流れる水の流量を検出し始める。そして、流量検出手段413が流路を流れる水の所定値以上の流量を検出すると、制御手段430は、瞬間式加熱手段409の加熱ヒータを「ON」に設定する(タイムt2)。その後、流量検出手段413は、適宜設定された水の流量を検出する。
【0033】
本具体例によれば、流量検出手段413が所定値以上の流量を検出すると、制御手段430は、瞬間式加熱手段409が満水であると判断する。そのため、流路内の残留水が流量検出手段413を通過しても、瞬間式加熱手段409が誤作動を起こすことを抑制することができる。これにより、瞬間式加熱手段409が空焚きを起こすことをより確実に抑制することができる。
【0034】
図4は、本実施形態にかかる衛生洗浄装置の動作の他の具体例を例示するタイムチャートである。
本具体例の動作では、流量検出手段413が流路を流れる水の流量を所定時間以上連続して検出すると、制御手段430は、瞬間式加熱手段409の加熱ヒータの加熱(通電)を開始する。図4に表したタイムチャートを参照しつつ説明すると、まず、制御手段430は、リモコンなどの設定手段600により吐水ノズル421からの吐水を実行する指令を受けると、電磁弁403を開く(タイムt1)。これは、図3に関して前述した具体例の動作と同様である。
【0035】
続いて、電磁弁403が開いたことにより瞬間式加熱手段409に水が供給され、その瞬間式加熱手段409が満水となると、図示しない流出管から水が流出する。そうすると、流量検出手段413が、流路を流れる水の流量を検出し始める。すなわち、流量検出手段413の検出下限を超える流量の水が流れ始める。そして、流量検出手段413が流路を流れる水の流量を所定時間以上連続して検出すると、制御手段430は、瞬間式加熱手段409の加熱ヒータを「ON」に設定する(タイムt2)。すなわち、流量検出手段413の検出下限を超える流量の水が、所定時間以上連続して流れると、制御手段430は、瞬間式加熱手段409の加熱ヒータを「ON」に設定する。
【0036】
本具体例によれば、流量検出手段413が所定時間以上連続して流量を検出すると、制御手段430は、瞬間式加熱手段409が満水であると判断する。そのため、図3に関して前述した具体例と同様に、流路内の残留水が流量検出手段413を通過しても、瞬間式加熱手段409が誤作動を起こすことを抑制することができる。これにより、瞬間式加熱手段409が空焚きを起こすことをより確実に抑制することができる。
【0037】
次に、本実施形態の流量検出手段413について、図面を参照しつつ説明する。
図5は、本実施形態の流量検出手段の一例を例示する断面模式図である。
図5に表した流量検出手段413は、本体部471と、本体部471の付設された回転数検知手段473と、本体部471の内部に設けられた羽根475と、を有する。回転数検知手段473は、例えばホールICなどと呼ばれ、ホール効果などと呼ばれる効果により起電力(ホール電圧)を検知できる。
【0038】
瞬間式加熱手段409から流出した水は、図5に表したように、流量検出手段413の本体部471の一方から内部に入水し、他方から外部に出水する。また、羽根475は、水の流れに略平行方向に設置された軸477を中心として回動可能に設けられている。そのため、瞬間式加熱手段409から流出した水が本体部471の一方から入水し他方から出水すると、羽根475は、図5に表した矢印Aのように、その水から力を受けて軸477を中心として回動する。
【0039】
ここで、羽根475には、図示しないセンサマグネットが適宜設けられている。そして、羽根475が回動すると、回転数検知手段473は、ホール電圧の変化を検知できる。その電圧の変化は、例えばパルス状の波形として現れる。そのため、回転数検知手段473は、例えばそのパルス数を検知することにより羽根475の回転数を検知することができる。これにより、流量検出手段413は、羽根475の回転数に基づいて本体部471の内部すなわち流路を流れる水の流量を検出することができる。そして、流量検出手段413は、検出した水の流量を制御手段430に出力できる。
【0040】
図6は、本実施形態の流量検出手段の他の一例を例示する断面模式図である。
図6に表した流量検出手段413aは、図5に表した流量検出手段413と同様に、本体部471aと、本体部471aに付設された回転数検知手段473aと、本体部471aの内部に設けられた羽根475aと、を有する。回転数検知手段473aは、例えばフォトインタラプタなどと呼ばれ、図示しない発光部と受光部とを有する。
【0041】
瞬間式加熱手段409から流出した水は、図6に表したように、流量検出手段413aの本体部471aの一部から内部に入水し、他部から外部に出水する。また、羽根475aは、水の流れに略垂直方向に設置された軸477aを中心として回動可能に設けられている。そのため、瞬間式加熱手段409から流出した水が本体部471aの一部から入水し他部から出水すると、羽根475aは、図6に表した矢印Bのように、その水から力を受けて軸477aを中心として回動する。
【0042】
ここで、回転数検知手段473aは、前述したように、図示しない発光部と受光部とを有し、発光部および受光部は、互いに対向するように設けられている。投光部は、常に受光部に向かって光を発し、受光部はその光を受光する。そして、回転数検知手段473aは、投光部から発せられた光が羽根475aにより遮光された回数を検知することで、羽根475aの回転数を検知することができる。これにより、流量検出手段413aは、羽根475aの回転数に基づいて本体部471aの内部すなわち流路を流れる水の流量を検出することができる。そして、流量検出手段413aは、検出した水の流量を制御手段430に出力できる。
【0043】
次に、本実施形態の脈動発生装置419およびアキュムレータ417について、図面を参照しつつ説明する。
図7は、本実施形態の脈動発生装置およびアキュムレータの一例を例示する断面模式図である。
【0044】
本実施形態の脈動発生装置419およびアキュムレータ417は、図7に表したように、一体的に形成されている。なお、脈動発生装置419およびアキュムレータ417は、これだけに限定されず、別体として形成されていてもよい。流量調整手段415から流出した水は、脈動発生装置419に設けられた入水口419aから内部に入水し、脈動発生装置419に設けられた出水口419bから出水する。
【0045】
脈動発生装置419は、内部に可動部419cを有する。可動部419cは、制御手段430からの制御信号により軸419dと平行方向、すなわち水の流れと平行方向に脈動することができる。これにより、脈動発生装置419は、内部を流れる水に脈動を与えることができ、吐水ノズル421から吐水される水に脈動を与えることができる。
【0046】
このとき、脈動発生装置419は、脈動発生装置419よりも下流側の水に脈動を与えるだけではなく、脈動発生装置419よりも上流側の水にも脈動を与える場合がある。そうすると、水の脈動が流量調整手段415や流量検出手段413に伝達され、流量調整手段415が吐水ノズル421への給水の流量や水勢の調整を正確に行うことができない場合や、流量検出手段413が流路を流れる水の流量を正確に検出することができない場合がある。
【0047】
これに対して、本実施形態では、流量調整手段415および流量検出手段413と、脈動発生装置419と、の間にアキュムレータ417が設けられている。アキュムレータ417は、図7に表したように、空気室417aと、ダンパ417bと、を有する。このアキュムレータ417は、脈動発生装置419により脈動が与えられた水の圧力に応じてダンパ417bが適宜作用することにより、その脈動を吸収あるいは緩衝することができる。そのため、アキュムレータ417は、脈動発生装置419により与えれた水の脈動が上流側へ伝達することを抑制することができる。
【0048】
これにより、本実施形態では、流量調整手段415は、吐水ノズル421への給水の流量や水勢の調整を正確に行うことができ、また、流量検出手段413は、流路を流れる水の流量を正確に検出することができる。つまり、流量調整手段415および流量検出手段413は、誤作動を起こしにくい。
【0049】
以上説明したように、本実施形態によれば、制御手段430は、瞬間式加熱手段409よりも下流側に設けられた流量検出手段413により瞬間式加熱手段409から流出する水の流量を検出し、瞬間式加熱手段409の加熱制御を実行するため、瞬間式加熱手段409が確実に満水になった状態で加熱ヒータの加熱を開始する。そのため、制御手段430は、瞬間式加熱手段409に水位検知手段を設けることなく、瞬間式加熱手段409が満水になったことを確実に検知でき、瞬間式加熱手段409が空焚きを起こすことを確実に抑制することができる。また、瞬間式加熱手段409に水位検知手段を設ける必要がないため、コストダウンを図ることができる。
【0050】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、流量検出手段413や脈動発生装置419などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などや衛生洗浄装置100の設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0051】
100 衛生洗浄装置、 200 便座、 300 便蓋、 310 透過窓、 400 ケーシング、 401 逆止弁、 403 電磁弁、 405 調圧弁、 407 入水温検出手段、 409 瞬間式加熱手段、 411 出水温検出手段、 413 流量検出手段、 413a 流量検出手段、 415 流量調整手段、 417 アキュムレータ、 417a 空気室、 417b ダンパ、 419 脈動発生装置、 419a 入水口、 419b 出水口、 419c 可動部、 419d 軸、 421 吐水ノズル、 421a 吐水口、 430 制御手段、 451 着座センサ、 453 入室検知センサ、 461 凹設部、 463 排気口、 465 排出口、 471、471a 本体部、 473、473a 回転数検知手段、 475、475a 羽根、 477、477a 軸、 501 水道端末、 600 設定手段、 800 便器、 801 ボウル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給水源から給水された水を吐水ノズルに供給する流路の途中に配設された開閉弁および瞬間加熱式の熱交換器と、
前記熱交換器と前記吐水ノズルとの間の前記流路に配設され、前記流路を流れる水の流量を検出する流量検出手段と、
前記流量検出手段により検出された水の流量に応じて前記熱交換器の加熱制御を実行する制御手段と、
を備えたことを特徴とする衛生洗浄装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記吐水ノズルからの吐水を実行する指令を受けると前記開閉弁を開き、前記流量検出手段が前記流路を流れる水の所定値以上の流量を検出すると、前記熱交換器の加熱を開始することを特徴とする請求項1記載の衛生洗浄装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記吐水ノズルからの吐水を実行する指令を受けると前記開閉弁を開き、前記流量検出手段が前記流路を流れる水の流量を所定時間以上連続して検出すると、前記熱交換器の加熱を開始することを特徴とする請求項1記載の衛生洗浄装置。
【請求項4】
前記流量検出手段と前記吐水ノズルとの間の前記流路に配設され、前記水の流れに脈動を与える脈動発生装置と、
前記流量検出手段と前記脈動発生装置との間の前記流路に配設され、前記脈動発生装置により与えられた水の脈動が上流側へ伝達することを抑制するアキュムレータと、
をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の衛生洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−58206(P2011−58206A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−207144(P2009−207144)
【出願日】平成21年9月8日(2009.9.8)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】