説明

衛生洗浄装置

【課題】着座検知器の検知結果に基づいて所定の動作が行われない場合に使用者に不快感を与えないようにする。
【解決手段】使用者が着座する便座と、前記便座に使用者が着座しているか否かを検知する着座検知器と、を備え、前記着座検知器の検知結果に基づいて所定の動作を行う衛生洗浄装置において、使用者に前記便座に対する着座検知状態を報知する着座検知状態報知器と、前記着座検知器の検知結果に基づいて、前記着座検知状態を使用者に報知するよう前記着座検知状態報知器を制御する制御部と、をさらに備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衛生洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、衛生洗浄装置は、使用者が便座に着座したことを検知する着座検知手段を設け、当該着座検知手段によって使用者が便座に着座していないことを検知した場合には、洗浄水の噴出を行わないという制御を行っている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
なお、特許文献1に開示されるトイレ装置は、さらに、着座検知手段を無効に設定する無効設定手段を設けており、着座検知機能が故障した場合には、その故障を修理するまでの応急処置として、また、着座検知手段が正常に動作しにくい環境下での対応として、着座を検知したか否かに関らず、洗浄スイッチなどの操作手段に基づいて洗浄の制御を行っている。さらに、特許文献1に開示されるトイレ装置は、着座検知機能を無効に設定した場合には、当該無効を報知する無効設定報知手段を設けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−169452号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に開示されるトイレ装置では、例えば、着座検知手段が故障しており使用者の着座を検知できない場合であって、使用者が便座に着座して操作手段の洗浄スイッチを押したときには、洗浄手段は強制的に停止となっており洗浄水の噴出が行われない状態であるにも関らず、使用者はその状態を認識する手段がない。従って、使用者は、洗浄スイッチを押しても洗浄できないことの原因が分からず、イライラ感を募らせ、不快感を蒙るという課題があった。なお、特許文献1に開示された無効設定報知手段は、着座検知機能を無効に設定したことを報知するための手段であり、着座検知状態を報知するための手段ではない。
【0006】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、その目的は、使用者が着座する便座と、便座に使用者が着座しているか否かを検知する着座検知器と、を備え、着座検知器の検知結果に基づいて所定の動作を行う衛生洗浄装置において、着座検知器の検知結果に基づいて所定の動作が行われなくても使用者に不快感を与えないようにし、より快適な環境を使用者に享受させることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】

上記の目的を達成するために本発明の衛生洗浄装置は、使用者が着座する便座と、前記便座に使用者が着座しているか否かを検知する着座検知器と、を備え、前記着座検知器の検知結果に基づいて所定の動作を行う衛生洗浄装置において、使用者に前記便座に対する着座検知状態を報知する着座検知状態報知器と、前記着座検知器の検知結果に基づいて、前記着座検知状態を使用者に報知するよう前記着座検知状態報知器を制御する制御部と、をさらに備える衛生洗浄装置である。
【0008】
上記の構成により、使用者に便座に対する着座検知状態を報知することにより、着座検知器の検知結果に基づいて所定の動作が行われない原因を使用者に容易に把握せしめ、より快適な環境を使用者に享受させることができる。
【0009】
上記の衛生洗浄装置において、前記制御部は、前記着座検知器において前記便座に使用者が着座していることを検知した場合に操作が有効となる所定の操作具が操作されると、前記所定の動作を行うよう前記衛生洗浄装置を制御するものであり、前記着座検知器において前記便座に使用者が着座していないことを検知した場合であって、かつ前記所定の操作具が操作されたときには、前記便座に使用者が着座していない旨を報知するよう前記着座検知状態報知器を制御する、としてもよい。
【0010】
上記の構成によれば、衛生洗浄装置の制御部は、着座検知器を通じて使用者が着座したことを検知できないにも関わらず、所定の操作具が操作されたことから使用者が便座に着座したことを検知して、便座に使用者が着座していない旨を報知する。その結果、便座に使用者が着座して所定の操作具を操作して初めて便座に使用者が着座していない旨が報知されるので、使用者は、便座に着座しているにも関らず、所定の操作具の操作をしても所定の動作が開始されない原因(着座検知器において便座に使用者が着座していないことが検知されたこと)を容易に把握することができる。
【0011】
上記の衛生洗浄装置において、前記制御部は、前記着座検知器において前記便座に使用者が着座していることを検知した場合に操作が有効となる所定の操作具が操作されると、前記所定の動作を行うよう前記衛生洗浄装置を制御するものであり、前記着座検知器において前記便座に使用者が着座していることを検知し、かつ前記所定の操作具が操作されて前記所定の動作が行われている場合に、前記着座検知器において前記便座に使用者が着座していないことを検知したときには、前記便座に使用者が着座していない旨を報知するよう前記着座検知状態報知器を制御する、としてもよい。
【0012】
上記の構成により、使用者は、便座に着座していて所定の動作が行われている最中に、着座検知器において着座が未検知となり所定の動作が停止したことの原因(着座検知器において便座に使用者が着座していないことが検知されたこと)を容易に把握することができる。
【0013】
上記の衛生洗浄装置において、前記制御部は、前記着座検知器において前記便座に使用者が着座していることを検知し、かつ前記所定の操作具が操作されて前記所定の動作が行われている場合に、前記着座検知器において前記便座に使用者が着座していないことを検知したときには、前記所定の動作を停止するよう前記衛生洗浄装置を制御するとともに前記便座に使用者が着座していない旨を報知するよう前記着座検知状態報知器を制御し、該制御をしてから所定時間内に、前記着座検知器において前記便座に使用者が着座していることを検知した場合には、前記所定の動作を再開するよう前記衛生洗浄装置を制御する、としてもよい。
【0014】
上記の衛生洗浄装置において、前記制御部は、さらに前記操作具が操作されることを条件として前記所定の動作を再開するよう前記衛生洗浄装置を制御する、としてもよい。
上記の構成により、使用者は、着座検知器において着座が未検知となり所定の動作が停止したことの原因(着座検知器において便座に使用者が着座していないことが検知されたこと)を把握した後、着座検知器において着座が検知されるように行動を起こした場合には、所定の動作を自動的に再開又は操作具の操作を条件として再開することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、着座検知器の検知結果に基づいて所定の動作が行われない場合に、使用者は着座検知状態報知器により自身の便座に対する着座検知状態を把握できるので、使用者に不快感を与えることのない衛生洗浄装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は本発明の実施の形態1に係る衛生洗浄装置を示す外観斜視図である。
【図2】図2は本発明の実施の形態1に係る衛生洗浄装置の便座本体部の構成を示した図である。
【図3A】図3Aは本発明の実施の形態1に係るコントローラ蓋部が閉じた状態の遠隔操作装置の正面図である。
【図3B】図3Bは本発明の実施の形態1に係るコントローラ蓋部が開かれた状態の遠隔操作装置の正面図である。
【図4】図4は本発明の実施の形態1に係る衛生洗浄装置の動作を示すフローチャートである。
【図5】図5は本発明の実施の形態1に係るその他の衛生洗浄装置の外観斜視図である。
【図6】図6は本発明の実施の形態1に係るその他の衛生洗浄装置の袖部の平面図である。
【図7】図7は本発明の実施の形態2に係る衛生洗浄装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下では全ての図を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。
【0018】
(実施の形態1)
[衛生洗浄装置の構成]
図1は本発明の実施の形態1に係る衛生洗浄装置を示す外観斜視図である。図2は本発明の実施の形態1に係る衛生洗浄装置の便座本体部の構成を示した図である。以下では、図2を参照しつつ、図1を用いて実施の形態1に係る衛生洗浄装置の構成を説明する。
【0019】
衛生洗浄装置100は、トイレットルーム(toilet room)内に設置される便器700の上面に取り付けられる。衛生洗浄装置100は、便座本体部200、遠隔操作装置300、便座部400及び蓋部500を備えている。
【0020】
便座本体部200は、通信インタフェース202と、着座検知器610と、着座検知状態報知器612とを有する。また、便座本体部200には、便器ノズル40(図2に示さず)、洗浄ノズル20(図1に示さず)、洗浄水供給機構204、ノズル駆動機構206が設けられている。さらに、便座本体部200には、遠隔操作装置300、着座検知器610から送信される信号に基づいて、衛生洗浄装置100の全体の制御を司る制御部90が内蔵されている。
【0021】
通信インタフェース202は、便座本体部200と遠隔操作装置300との間で通信を行うためのインタフェースである。
【0022】
着座検知器610は、便座本体部200の正面上部に設けられている。着座検知器610は、本実施形態の場合、反射型の赤外線センサを採用している。赤外線センサを用いる場合には、使用者が便座に着座することで使用者の人体によって反射された赤外線の受光レベルを検知することにより、使用者の着座を検知する。
【0023】
なお、着座検知器610は、赤外線センサの他に、マイクロスイッチ、静電容量、又は超音波センサを用いることができる。マイクロスイッチを用いる場合には、使用者が便座に座ったときの体重に基づいて使用者の着座を検知する。例えば、便座の脚部が、複数箇所設けられている場合には、そのうちの一箇所の便器との接触面にマイクロスイッチを埋設し、荷重によりスイッチがONするような構造が採られる。若しくは、便座の回動軸の部分に設けられ、着座することで便座回動軸部に荷重がかかることによりスイッチがONするような構成が採られる。静電容量を用いる場合には、例えば便座の内部に配設されたアルミシートとトイレ床面とにより形成される静電容量は使用者が便座に着座すると変化するので、この静電容量の変化幅を検知することにより使用者の着座を検知するような構成が採られる。超音波センサを用いる場合には、例えば本体や遠隔操作手段に設けた超音波センサにより使用者が便座に着座することで使用者の人体によって反射した超音波を検知することにより、使用者の着座を検知する。
【0024】
着座検知状態報知器612は、着座検知器610により検知される使用者の着座検知状態を当該使用者に報知するものである。ここでは、便座本体の正面上方で、着座検知のためのセンサを配置した近傍に設けている。
【0025】
「着座検知状態」には、着座検知器610が正常である場合における使用者の着座の検知状態と着座検知器610が異常で使用者の着座を検知しない状態との双方を含む。具体的には、「着座検知状態」には、例えば、着座検知器610が正常である場合に使用者が着座しているか否か、着座検知器610によって検知される着座検知状態が異常(使用者が着座しているにも関らず着座検知器610が着座していないことが検知される場合)であるか否かである。なお、使用者が着座しているにもかかわらず着座を検知しない状態は、例えば、着座検知器610が反射型の赤外線センサであるとすると、使用者の洋服などで赤外線センサの入出力ポートを塞いでいるため正常な検知が行われない状況や、白色は検知しやすいが黒色は検知しにくいというセンサ固有の特性に基づいて正常な検知が行われない状況などが想定される。あるいは、着座検知器610がマイクロスイッチである場合、特に、便座脚部の便座本体側、もしくは便座回同軸にマイクロスイッチが配設された場合には、例えば、使用者が便座部400の前方に着座すると、使用者が便座部400に着座したときの体重が正確に検知されない状況などが想定される。また、後者の場合、着座検知器610自体が経年劣化によって正常でなくなった状況などを想定している。
着座検知状態報知器612は、例えば、使用者に着座検知状態を音声(聴覚的手段)により報知する場合にはスピーカ、使用者に着座検知状態を振動(触覚的手段)により報知する場合にはバイブレータ、使用者に着座検知状態を光学的手段(視覚的手段)により報知する場合にはランプ(例えばLED)などを採用することができる。若しくは、これらの二以上の組合せを採用してもよい。聴覚的手段を採用する場合には、便座本体の側面もしくは背面、または遠隔操作手段であるリモコンに双方向通信が可能な構成として、リモコンの一部に音発生のための手段を設けることができる。音声が発信されるために開口部を設ける必要があるので、洗浄水や汚水、掃除用の薬品洗浄水の影響を受けにくい位置に設けることが好ましい。また、触覚的手段を採用する際には、便座に限らず人体に直接接触する部位が振動するように振動子を設けることが好ましい。視覚的手段を採用する際には、使用者が着座した状態でも視認できる位置に光学的手段を配することが望ましく、便座本体であれば、袖部の操作部や、双方向通信の機能を持たせた遠隔操作手段(リモコン)に表示画面を設けて、メッセージを表示する、というような構成でもよい。
【0026】
「報知」の態様として、例えば、警告、メッセージ等が挙げられる。着座検知状態が正常でない旨を警告する場合には、例えば、スピーカからの警告音の出力、バイブレータによる警告を表す振動、便座本体部200に設けられる所定のディスプレイへの警告表示、便座本体部200に設けられるランプの点灯、点滅などを行う。あるいは、着座検知状態が正常である場合には、便座本体部200に設けられるランプを点灯させ、着座検知状態が正常でない旨を警告する場合には、当該ランプを消灯させるようにしてもよい。また、着座検知状態が正常でない旨をメッセージとして報知する場合には、スピーカからの警告メッセージ(例えば、着座検知できません。)の出力、便座本体部200に設けられる所定のディスプレイへの警告メッセージの表示などを行う。
【0027】
便器ノズル40は、便器700の内面に向けて洗浄水を噴出するノズルであり、便座本体部200の正面下部に設けられており、便器700の内側に突出している。便器プレ洗浄モードの場合には、便器ノズル40から便器700の内面の広い範囲に洗浄水が噴出される。便器後部洗浄モードの場合には、便器ノズル40から便器700の内面の背面側に洗浄水が噴出される。
【0028】
洗浄ノズル20は、用便後の使用者の人体局部に洗浄水(温水)を噴出するノズルであり、便座本体部200の正面下部に設けられている。洗浄ノズル20には、お尻洗浄ノズルやビデ洗浄ノズルなどが含まれる。
【0029】
洗浄水供給機構204は、便器ノズル40及び洗浄ノズル20に洗浄水を供給するための機構であり、水道配管や当該水道配管に設けられる制御弁などが含まれている。なお、洗浄水供給機構204は、水道配管から供給される洗浄水を不図示の加熱手段により温水に代えた上で各ノズル40、42に供給する。
【0030】
ノズル駆動機構206は、洗浄ノズル20を駆動するための機構であり、モータ、ラックギア、ピニオンギアなどが含まれる。洗浄ノズル20はノズル駆動機構206によって所定の初期位置から洗浄水の噴出位置まで延び縮みする。
【0031】
制御部90は、マイクロコンピュータやCPUなどのプロセッサとして構成されている。なお、制御部90は、一のプロセッサによる集中型の構成としてもよいし、複数のプロセッサによる分散型の構成としてもよい。
【0032】
制御部90は、着座検知器610により使用者が便座部400に着座したことを検知した場合には、当該着座の検知に連動して所定の動作を行う。なお、所定の動作には、例えば、洗浄ノズル20より使用者の局部に洗浄水を噴出させるお尻・ビデ洗浄動作、便器ノズル40より便器700内部に洗浄水を噴出する便器洗浄動作、洗浄後に濡れた局部を乾燥させる乾燥動作、洗浄ノズル20や洗浄水供給機構206の通水流路の内部を除菌する除菌動作、便器700内部の臭気を所定のフィルタで脱臭する脱臭動作などが含まれる。
また、制御部90は、着座検知器610により検知される使用者の着座検知状態を、着座検知状態報知器612を介して使用者に報知させる制御を行う。さらに、制御部90は、遠隔操作装置300の所定の操作具が操作されることによって当該所定の操作具の操作に対応づけられている所定の動作を行う。
【0033】
遠隔操作装置300は、便座本体部200を遠隔操作する装置であり、便座部400に着座する使用者が操作可能な場所に取り付けられる。使用者に対する遠隔操作装置300によって操作可能な機能については後述する。
【0034】
[遠隔操作装置の構成]
図3は、遠隔操作装置300の正面図である。遠隔操作装置300は、コントローラ本体部301の下部にコントローラ蓋部302が開閉自在に設けられた構造を有する。
【0035】
図3Aに示すように、コントローラ蓋部302が閉じられた状態で、コントローラ本体部301の上部には乾燥スイッチ320、強さ調整スイッチ322、323及び位置調整スイッチ325、326が設けられ、コントローラ蓋部302には停止スイッチ311、おしりスイッチ312及びビデスイッチ313が設けられている。
【0036】
使用者により、上記各スイッチが操作される。これにより、遠隔操作装置300から便座本体部200に各スイッチに応じた所定の信号が無線送信される。便座本体部200の制御部90は、受信した信号に基づいて便座本体部200及び便座部400の各構成部の動作を制御する。
【0037】
例えば、使用者がおしりスイッチ312又はビデスイッチ313を操作することにより、洗浄ノズル20から使用者の局部に洗浄水が噴出される。また、使用者が停止スイッチ311を操作することにより、洗浄ノズル20から使用者の局部への洗浄水の噴出が停止される。
【0038】
また、使用者が乾燥スイッチ320を操作することにより、使用者の局部に便座本体部200に設けられる乾燥ユニット(図示せず)から温風が噴出される。また、使用者が強さ調整スイッチ322、323を操作することにより、使用者の局部に噴出される洗浄水の流量及び圧力等が調整される。
【0039】
さらに、使用者が位置調整スイッチ325、326を操作することにより、洗浄ノズル20の位置がノズル駆動機構206の駆動により調整される。それにより、使用者の局部への洗浄水の噴出位置が調整される。
【0040】
図3Bに、コントローラ蓋部302が開かれた状態の遠隔操作装置300の正面図が示されている。
【0041】
コントローラ蓋部302により覆われるコントローラ本体部301の下部には、停止スイッチ311、おしりスイッチ312及びビデスイッチ313に加えて、自動開閉スイッチ331、水温調整スイッチ332、便座温度調整スイッチ333、除菌スイッチ335及び便器洗浄スイッチ336が設けられている。これらのスイッチが操作される場合にも、遠隔操作装置300から便座本体部200に各スイッチに応じた所定の信号が無線送信される。これにより、便座本体部200の制御部90は、受信した信号に基づいて便座本体部200及び便座部400の各構成部の動作を制御する。
【0042】
自動開閉スイッチ331はつまみにより構成されている。使用者が自動開閉スイッチ331のつまみを操作することにより、蓋部500の開閉動作が設定される。すなわち、自動開閉スイッチ331のつまみがオンの位置にある場合、使用者のトイレットルームへの入室に応じて蓋部500が開閉される。
【0043】
使用者が水温調整スイッチ332を操作することにより、洗浄ノズル20から使用者の局部に噴出される洗浄水の温度が調整される。使用者が便座温度調整スイッチ333を操作することにより、便座部400の温度が調整される。
【0044】
また、使用者が除菌スイッチ335を操作することにより、便座本体部200の洗浄水供給機構204に銀イオンを含む洗浄水が流れて、除菌動作が行われる。この除菌動作は、除菌可能な温水による洗浄水の通水、排出を行ってもよい。
【0045】
自動開閉スイッチ331と同様に、便器洗浄スイッチ336はつまみにより構成されている。使用者が便器洗浄スイッチ336のつまみを操作することにより、便器ノズル40による便器プレ洗浄及び便器後部洗浄の動作が設定される。すなわち、便器洗浄スイッチ336のつまみがオンの位置にある場合には、使用者のトイレットルームへの入室に応じて便器ノズル40から便器700内部の広い範囲に洗浄水が噴出される。
【0046】
[衛生洗浄装置の動作]
図4は、本発明の実施の形態1に係る衛生洗浄装置100の動作を示すフローチャートである。なお、図4には、着座検知に連動した制御の一例として、遠隔操作装置300のおしりスイッチ312又はビデスイッチ313を押下した際に実行されるおしり・ビデ洗浄動作を例示している。
【0047】
まず、使用者が便座部400に着座して用便した際に遠隔操作装置300のおしりスイッチ312又はビデスイッチ313を押下した場合とする。すると、便座本体部200の制御部90は、通信インタフェース202を介して遠隔操作装置300の洗浄スイッチが押下された旨を検知する(ステップS401)。
【0048】
なお、便座本体部200の着座検知器610は、使用者が便座部400に着座しているか否かを常時検知している。着座検知器610が、使用者が便座部400に着座していることを検知した場合には(ステップS402:YES)、便座本体部200の制御部90は、着座検知状態報知器612より着座検知した旨を表す着座検知状態報知信号S1を出力する(ステップS403)。なお、着座検知状態報知信号S1によって行われる報知の態様は、例えば、着座検知状態報知器612がスピーカで構成される場合には当該スピーカの無音状態(ミュート状態)、着座検知状態報知器612がバイブレータで構成される場合には当該バイブレータの無振動、着座検知状態報知器612がLEDで構成される場合には当該LEDの点灯などである。
【0049】
そして、便座本体部200の制御部90は、おしりスイッチ312又はビデスイッチ313の押下に伴ったおしり・ビデ洗浄動作として、洗浄水供給機構204及びノズル駆動機構206の駆動を制御し、洗浄ノズルより使用者の局部に洗浄水を噴出させる(ステップS404)。
【0050】
使用者は、着座検知状態報知信号S1によって、衛生洗浄装置100において自身の着座が正常に認識されており、着座検知に連動した遠隔操作装置300の各機能が有効であることを把握できる。
【0051】
一方、着座検知器610が、使用者が便座部400に着座している(ステップS401)にも関らず、使用者が便座部400に着座していないことを検知した場合には(ステップS402:NO)、便座本体部200の制御部90は、着座検知状態報知器612より着座未検知を表す着座検知状態報知信号S2を出力する(ステップS405)。なお、着座検知状態報知信号S2によって行われる報知の態様は、例えば、着座検知状態報知器612がスピーカで構成される場合には当該スピーカより警告音の出力、着座検知状態報知器612がバイブレータで構成される場合には当該バイブレータの振動、着座検知状態報知器612がLEDである場合には当該LEDの消灯などである。
【0052】
従って、使用者は、着座検知状態報知器612より出力される着座検知状態報知信号S2によって、着座検知器610により使用者の着座が検知されない状態であり(ステップS402:NO)、おしりスイッチ312又はビデスイッチ313を押下した(ステップS401)にも関らず、着座検知に連動したおしり・ビデ洗浄が開始されないことの原因を容易に把握することができる。換言すると、使用者は、着座検知状態報知器612より出力される着座検知状態報知信号S2によって、衛生洗浄装置100において自身の着座が正常に認識されておらず、着座検知に連動した遠隔操作装置300の各機能が無効であることを容易に把握することができ、イライラ感を募らせず快適なトイレットルーム内の空間を享受することができる。
【0053】
[変形例]
上記の実施の形態では、着座の検知に連動させる所定の動作として、遠隔操作装置300のおしりスイッチ312又はビデスイッチ313の押下に伴うおしり・ビデ洗浄動作を例に挙げて説明しているが、当該おしり・ビデ洗浄動作に限定されるものではない。例えば、遠隔操作装置300の乾燥スイッチ320の押下に伴う乾燥動作、遠隔操作装置300の除菌スイッチ335の操作に伴う除菌動作、遠隔操作装置300の便器洗浄スイッチ336の操作に伴う便器洗浄動作などであってもよい。
【0054】
また、遠隔操作装置300のおしりスイッチ312、ビデスイッチ313などの各種のスイッチに限定されず、図5、図6に示すように、袖部250を具備した衛生洗浄装置100において、その袖部250に設けられる洗浄スイッチ252であってもよい。つまり、本発明の対象とする着座検知器において便座に使用者が着座していることを検知した場合に操作が有効となる所定の操作具は、使用者が便座部400に着座した際に操作が容易となる位置に配置されるものであればよい。
【0055】
また、本発明の対象とする所定の操作具は、スイッチの形態に限られず、便器洗浄スイッチ336のつまみのように使用者が操作するつまみの形態であってもよい。
【0056】
また、便座本体部200に着座検知状態報知器612を設けるようにしたが、図6に示すように、衛生洗浄装置100の袖部250に着座検知状態報知器254(着座検知状態報知器612と同一の機能を具備した報知器)を設けるようにしてもよい。あるいは、遠隔操作装置300又はその他の衛生洗浄装置100より分離した外部装置において着座検知状態報知器612と同一の機能を具備した報知器を備え、便座本体部200より遠隔操作装置300又は外部装置に着座検知状態報知信号S1、S2を送信してもよい。
【0057】
なお、除菌機能、便器洗浄機能については、使用者の着座中に行うと洗浄水や汚水が使用者へかかることが懸念されるため、使用者が着座していない状態で行うよう制御される。このほか、掃除の際に、着座のない状態で洗浄ノズル20(おしり、ビデ)を進出させる掃除モードの機能を搭載するものもあるが、着座検知器610による着座検知があればこれらの動作を行わないように制御が行われる。これらの非着座時にしか動作しない機能については、着座時に各機能に対応する操作具の操作があれば警告の報知を行うようにしてもよい。
【0058】
(実施の形態2)
[衛生洗浄装置の動作]
本発明の実施の形態2では、本発明の実施の形態1に係る衛生洗浄装置100の構成自体は同一であるが、衛生洗浄装置100の制御内容が異なっている。
【0059】
図7は、本発明の実施の形態2に係る衛生洗浄装置100の動作を示すフローチャートである。なお、図7には、着座検知に連動した制御の一例として、図4に示した例と同様に、遠隔操作装置300のおしりスイッチ312又はビデスイッチ313を押下した際に実行されるおしり・ビデ洗浄動作を例示している。
【0060】
まず、使用者が便座部400に着座して用便した際に遠隔操作装置300のおしりスイッチ312又はビデスイッチ313を押下した場合とする。さらに、便座本体部200の着座検知器610は、使用者が便座部400に着座したことを検知している場合とする。
【0061】
すると、便座本体部200の制御部90は、通信インタフェース202を介して遠隔操作装置300の洗浄スイッチが押下された旨を検知している。さらに、便座本体部200の制御部90は、着座検知状態報知器612より着座検知を表す着座検知状態報知信号S1を出力するとともに、洗浄ノズル20の噴出位置を所定位置に移動させて、おしりスイッチ312又はビデスイッチ313の押下に伴うおしり・ビデ洗浄動作を開始している(ステップS701)。
【0062】
かかる状態で、使用者が離座して立ち上がるか、若しくは座り直したり、姿勢の調整などのため腰を浮かせたりして、着座検知器610の着座検知が行われなくなってしまい、便座本体部200の着座検知器610は使用者が着座していないことを検知した場合とする(ステップS702:NO)。この場合、便座本体部200の制御部90は、着座未検知を表す着座検知状態報知信号S2を出力するとともに(ステップS703)、おしり・ビデ洗浄動作を一時的に停止(例えば、洗浄ノズル20から洗浄水の噴出を停止)することになる。
【0063】
そして、便座本体部200の制御部90は、おしり・ビデ洗浄途中で使用者が腰を浮かせる等して着座検知器610により着座未検知となったときから、使用者が座り直して着座が再び検知されるまでの時間が、所定時間を経過しているか否かを監視する(ステップS704)。上記の時間が所定時間を経過する前に着座検知して着座検知信号S1を出力すれば(ステップS705)、おしりスイッチ312又はビデスイッチ313が再び押下されなくても、便座本体部200の制御部90は、おしり・ビデ洗浄動作を自動的に再開する。例えば、洗浄ノズル20から洗浄水の噴出を再開する。
【0064】
一方、上記の時間が所定時間を経過していれば(ステップS704:YES)、便座本体部200の制御部900は、おしり・ビデ洗浄動作を完全に停止することになる(ステップS706)。例えば、便座本体部200の制御部90は、洗浄ノズル20から洗浄水の噴出を停止することのみならず、洗浄ノズル20を洗浄水を噴出させている位置から所定の初期位置に移動させるように制御を行う。
【0065】
しかし、使用者は、着座検知状態報知器612より出力される着座未検知を表す着座検知状態報知信号S2によって、衛生洗浄装置100にとって自身の着座が正常に認識されていないことを容易に把握することができる。従って、使用者は、おしりスイッチ312又はビデスイッチ313を再び押下する等の対応をとることができ、立ち上がってから座り直したにも関らず、おしり・ビデ洗浄が行われないという不快感を蒙らずに済む。
【0066】
[変形例]
本発明の実施の形態2においても、本発明の実施の形態1と同様の変形例を採用することができる。
【0067】
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、着座検知器の検知結果に基づいて所定の動作を行う衛生洗浄装置にとって有用である。
【符号の説明】
【0069】
100 衛生洗浄装置
20 洗浄ノズル
90 制御部
200 便座本体部
202 通信インタフェース
204 洗浄水供給機構
206 ノズル駆動機構
250 袖部
252 洗浄スイッチ
254 着座検知状態報知器
300 遠隔操作装置
301 コントローラ本体部
302 コントローラ蓋部
311 停止スイッチ
312 おしりスイッチ
313 ビデスイッチ
320 乾燥スイッチ
322 調整スイッチ
325 位置調整スイッチ
331 自動開閉スイッチ
332 水温調整スイッチ
333 便座温度調整スイッチ
335 除菌スイッチ
336 便器洗浄スイッチ
400 便座部
40 便器ノズル
500 蓋部
610 着座検知器
612 着座検知状態報知器
700 便器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者が着座する便座と、
前記便座に使用者が着座しているか否かを検知する着座検知器と、を備え、
前記着座検知器の検知結果に基づいて所定の動作を行う衛生洗浄装置において、
使用者に前記便座への着座検知状態を報知する着座検知状態報知器と、
前記着座検知器の検知結果に基づいて、前記着座検知状態を使用者に報知するよう前記着座検知状態報知器を制御する制御部と、
をさらに備える衛生洗浄装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記着座検知器において前記便座に使用者が着座していることを検知した場合に操作が有効となる所定の操作具が操作されると、前記所定の動作を行うよう前記衛生洗浄装置を制御するものであり、
前記着座検知器において前記便座に使用者が着座したことを検知していない場合であって、かつ前記所定の操作具が操作されたときには、前記便座への使用者の着座を検知していない旨を報知するよう前記着座検知状態報知器を制御する、
請求項1に記載の衛生洗浄装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記着座検知器において前記便座に使用者が着座していることを検知した場合に操作が有効となる所定の操作具が操作されると、前記所定の動作を行うよう前記衛生洗浄装置を制御するものであり、
前記着座検知器において前記便座に使用者が着座していることを検知し、かつ前記所定の操作具が操作されて前記所定の動作が行われている場合に、前記着座検知器において前記便座に使用者が着座したことを検知しないときには、前記便座への使用者の着座を検知していない旨を報知するよう前記着座検知状態報知器を制御する、
請求項1に記載の衛生洗浄装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記着座検知器において前記便座に使用者が着座していることを検知し、かつ前記所定の操作具が操作されて前記所定の動作が行われている場合に、前記着座検知器において前記便座に使用者が着座したことを検知しないときには、前記所定の動作を停止するよう前記衛生洗浄装置を制御するとともに前記便座への使用者の着座を検知していない旨を報知するよう前記着座検知状態報知器を制御し、該制御をしてから所定時間内に、前記着座検知器において前記便座に使用者が着座していることを検知した場合には、前記所定の動作を再開するよう前記衛生洗浄装置を制御する、
請求項3に記載の衛生洗浄装置。
【請求項5】
前記制御部は、さらに前記操作具が操作されることを条件として前記所定の動作を再開するよう前記衛生洗浄装置を制御する、請求項4に記載の衛生洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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