説明

衝撃付与機構付き工具

【課題】位置決めをして衝撃を加えることで作業を行うような工具において、位置決め作業と衝撃を与える作業とを同時に正確に行えるようにすることを課題とする。
【解決手段】衝撃付与機構付き工具として、真直ぐな棒体からなる柄部10と、前記柄部10の外面に摺動可能に嵌る内面を有するパイプ体からなり、前記柄部10より短い長さを有する摺動体20と、前記摺動体20の後端に固定される槌体30と、前記柄部10の先端に固定される工具40とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘラやタガネなど工具後端から衝撃を加えることで、工具先端で対象物の剥離、切削、破砕等するための工具に関し、特に、衝撃を付与する機構が設けられた工具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ヘラなどの工具でプラスチックタイルを剥がすような作業を行う場合、一方の手で工具の柄を持って、工具先端を特定箇所に位置決めをし、体重を掛けたり、他方の手に持ったハンマーで工具の柄の後端を打ち付けて衝撃を加えたりすることで作業を行っていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、体重を掛けただけでは十分は力を付与できない場合が多く、ハンマーで打ち付ける場合は、工具の位置決め位置がずれたり、工具の柄を打ち損じたるする場合があり、怪我をしたり、作業に不具合が生じたりしていた。
本発明は、このような問題に鑑みて、位置決めをして衝撃を加えることで作業を行うような工具において、位置決め作業と衝撃を与える作業とを同時に正確に行えるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明は次のような構成を有する。
請求項1に記載の発明は、真直ぐな棒体からなる柄部と、前記柄部の外面に摺動可能に嵌る内面を有するパイプ体からなり、前記柄部より短い長さを有する摺動体と、前記摺動体の後端に固定される槌体と、前記柄部の先端に固定される工具とからなる衝撃付与機構付き工具である。このような構成を有する衝撃気功付き工具は、一方の手で工具先端を位置決めし、他方の手で槌体を摺動体とともに後方に引いた後に、先端側に当該槌体を柄部後端に打ち付けるようにして工具に衝撃を付与する。
請求項2に記載の発明は、前記衝撃付与機構付き工具において、前記摺動体及び/又は槌体には、前記摺動体内部と外部とを連通する空気穴が設けられるものである。なお、空気穴の形状は種々のものが考えられ、ここでは摺動体の全長に渡って切れ目が形成されるような場合も空気穴に該当する。
【発明の効果】
【0005】
請求項1に記載の発明は、槌体で柄部後端を打撃する場合、槌体は摺動体に導かれて必ず柄部後端に当たるので、作業者が位置決めに集中していても、柄部後端を打ち損じることがないので、位置決めと衝撃の付与とを同時に正確に行うことができる。
請求項2に記載の発明は、空気穴を設けることで摺動体がスムーズに移動し衝撃力が弱わまることが抑制される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1(a)に本実施形態に係る衝撃付与機構付き工具Xの正面図を示し、図1(b)に衝撃付与機構付き工具Xの分解図を示し、図1(c)に図1(a)のA-A断面図を示す。衝撃付与機構付き工具Xは、柄部10、摺動部20、槌部30、工具部40とから構成される。柄部10は丸棒からなり、先端部に工具部40が固定されている。摺動部20は柄部10が内周面に緩やかに嵌合する丸パイプ体であり、後端近傍に仕切り21が設けられている。摺動部20の内径は、空気が抜けるように柄部10の外径よりも十分に太いものが採用される。なお、摺動部20の側面や、摺動部20の後端から槌部30にかけて空気穴を開けることで空気を抜くようにしてもよい。槌部30は、鋼鉄製の円柱体から構成され、摺動部20の後端の仕切り21より後方に嵌合固定される。工具部40は、ここではヘラの先端部が工具として柄部10先端に固定されている。工具部40は、衝撃を加えることで作業を行うものであれば種々のものが採用でき、例えば、チスやタガネの先端部などに変更することができる。
【0007】
次に、以上のような構成を有する衝撃付与機構付き工具Xの使用方法について説明する。使用者はまず、図2(a)に示すように、片方の手で工具部40により加工したり、力を加えたりする対象点に位置決めをし、他方の手は槌部30をもって後方へ十分引く。次に、片方の手で位置決めした状態を維持しながら、他方の手を前方に勢いよく先端側に移動させて摺動部20を柄部10に摺動させ、図2(b)に示すように槌部30を柄部10の後端に打ち付ける。これにより、工具部40に衝撃が与えられ対象点に工具部40による加工等が行われる。以下、この作業を何度か繰り返すことで作業を行う。このように、本衝撃付与機構付き工具Xを用いれば、確実に槌部30で柄部10の後端を打ち付けることができるので、工具部40の位置決めに意識を集中させることができ、正確かつ効率のよい作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】(a)は実施形態に係る衝撃付与機構付き工具を示す正面図であり、(b)は実施形態に係る衝撃付与機構付き工具を示す分解図であり、(c)は(a)のA−A断面図である。
【図2】(a)は衝撃付与機構付き工具の第1の使用状態を示す斜視図であり、(b)は衝撃付与機構付き工具の第2の使用状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0009】
X 衝撃付与機構付き工具
10 柄部
20 摺動部
30 槌部
40 工具部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
真直ぐな棒体からなる柄部と、
前記柄部の外面に摺動可能に嵌る内面を有するパイプ体からなり、前記柄部より短い長さを有する摺動体と、
前記摺動体の後端に固定される槌体と、
前記柄部の先端に固定される工具と
からなる衝撃付与機構付き工具。
【請求項2】
前記摺動体及び/又は槌体には、摺動体内部と外部とを連通する空気穴が設けられる請求項1に記載の衝撃付与機構付き工具。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−113168(P2009−113168A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−290357(P2007−290357)
【出願日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【出願人】(507369475)
【Fターム(参考)】