衝撃掘削用ドリルビットの硬質金属インサート及び硬質金属インサートを研磨する方法
本発明は、衝撃穿孔用ドリルビット内に設けるようにされた硬質金属インサート(1)を備え、インサートが摩耗面(2a)を備える摩耗部を構成するキャップ(2)と断面積(A)及び直径(D)のマウントを構成する円筒状部(3)とを備えている。キャップ(2)は、キャップの摩耗面(2a)の第一の部位(a)からキャップの第二の部位(b)までインサートの対称軸線(x)に沿った拡張部(H)を備えた正面部(4)を備えている。正面部(4)は、第一の部位(a)で対称軸線(x)に直交する第一の平面(I)と、第二の部位(b)で対称軸線(x)に直交する第二の平面(II)との間に体積(Vf)を構成し、体積(Vf)は0.6×第二の平面(II)の正面部の断面積(Af)×第一の部位(a)と第二の部位(b)の間の対称軸線(x)に沿った距離(H)に等しいか或いはより大きく、さらに第二の平面(II)の正面部の直径(Df)は0.5×マウントの直径(D)に等しいか或いはより大きく且つ0.6×マウントの直径(D)に等しいか或いはより小さい。本発明はまた摩耗したインサートを研磨する方法にも関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬質金属インサート、硬質金属インサートを少なくとも1つ備えるドリルビット、及び摩耗したインサートを再研磨する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
衝撃掘削には、複数の硬質金属インサートを備えるドリルビットが使用されている。硬質金属インサートの役割は、ドリルビットに対し繰り返される衝撃中に孔が掘削されようとする岩盤にいくつもの亀裂の形成を達成することにある。
【0003】
硬質金属インサートは、キャップ、円筒部及び底部から成っている。キャップは摩耗に晒される部分を構成し、円筒部は底部と共にドリルビットを備えたインサートの接触面を構成する。キャップは球面、半弾道、完全弾道などいくつかの形状を有することができる。ドリルビットの対称軸線に対する硬質金属インサートの方向付けはドリルビットにおけるインサート位置に依存して異なる。
【0004】
インサートのキャップは、削岩中摩耗に晒されてその形状は変化される。削岩中摩耗に晒されるインサートの部位は「摩耗相」として以下に参照される表面を形成する。ドリルビットから突き出し摩耗に晒されるインサートの部位は「摩耗面」として以下に参照される。
【0005】
摩耗相の面積がインサートの円筒部断面積の25%台を占めるに至るまで摩耗が進行した場合には、インサートを研磨することによって元のキャップ形状に復元することが適切である。インサートのキャップは、摩耗に晒される削岩中高さを消耗する。そのためインサートの全長は各掘削段階で短くなる。
【0006】
インサートと岩盤の間の接触面の大きさと浸入深度との間には直接的な相関関係が存在する。また浸入深度と衝撃波における力の大きさとの間にも直接的な相関関係が存在する。
【0007】
元の形状が同じであるインサートの場合、インサートを岩盤内に所定の距離打ち込むのに、摩耗の少ない硬質金属インサートより、比較的摩耗の進んだインサートの方がより多くの(強い)力を加える必要がある。このことは、摩耗が進んだ硬質金属インサートを備えるドリルビットを用いて所定のストレッチ孔を開けるためには、比較的多くの時間と大きな力を必要とすることを意味している。
【0008】
このことは、インサートの構成要素摩耗の程度に依存してすなわちインサートと岩盤との間の接触面の大きさに依存して、岩盤に打ち込まれるドリルビットの深さが異なることを意味している。接触面積が大きくなると、岩盤内へのドリルビットルの打ち込み深さが浅くなる。従って、同じドリルビット及びインサートで実行される掘削段階中、単位時間当り掘削された孔の長さとして定義される掘進速度は低下する。従って、インサートが再研磨される理由のうちの1つはビットの全寿命中に比較的高い掘進速度を保証するためである。
【0009】
硬質金属インサートは数回にわたり元のキャップ形状に再研磨され得る。インサートを再研磨できる回数は、インサートの長さ、キャップの高さ、さらにはインサートとドリルビットとの間の接触面積の必要寸法を含む多くの要因に依存している。
【0010】
ドリルビットの寿命は、穿孔メートル当りのインサート長の減少を計測した硬質金属インサートの摩耗率に依存する。岩盤穿孔の生産コストは、ドリルビットの寿命すなわち穿孔メートル当りの構成要素であるインサートの長さの減少に依存する。
【0011】
再研磨され得る硬質金属インサートによって岩盤衝撃穿孔の生産コストを最適化する必要性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の第一の目的は、衝撃穿孔に経済的に有利に使用される硬質金属インサートを提供することにある。本発明の第二の目的は、岩盤衝撃穿孔用の硬質金属インサートを必要形状に再研磨する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第一の発明によれば、第一の目的は、衝撃穿孔のためのドリルビットに装着するようにされた硬質金属インサートを提供することによって達成される。硬質金属インサートは、摩耗面を備える摩耗部を構成するキャップと、断面積A及び直径Dを備えたマウントを構成する円筒部とを有している。キャップは、キャップの摩耗面の第一地点からキャップの第二地点まで、インサートの対称軸線xに沿って拡張部Hを備えた正面部を有している。正面部は、第一地点で対称軸線に対して直角に交差する第一平面Iと、第二地点で対称軸線に対して直角に交差する第二平面IIとの間に体積体Vfを構成する。
【0014】
正面部4は、第一地点aで対称軸線xに対して直角に交差する第一平面Iと、第二地点bで対称軸線xに対して直角に交差する第二平面IIとの間に体積体Vfを構成する。
【0015】
正面部4を表す円筒状の体積体Vの大きさは次のように表すことができる:
V=Af×H
ここで、Afは第二平面IIにおける正面部の断面積であり、Hは第一地点aと第二地点bとの間の対称軸線xに沿った距離である。
【0016】
比Vf/Vは、包囲する円筒部の体積の部分を正面部がどれほどの大きさで占めるかを特定する体積比である。
【0017】
本発明による解決策は、インサートの対称軸線に沿った所定の範囲及び所定の体積を備えた正面部を有するインサートを特定する。本発明に従って上記で定義した体積比により、比較的先端の丸い摩耗面を画定する正面部が提供される。
【0018】
体積比が0.6以上又は0.6に等しくなるように設計されたインサートは、キャップの正面部に比較的大きな体積の硬質金属物質すなわち岩盤内に貫通して岩盤を破砕する部分を有する。
【0019】
これは、第二平面IIにおける正面部の断面積Dfが次のようにマウントの直径Dに対し所定の長さを有する条件の場合である:
0.5×D≦Df≦0.6×D
ここで、Dfは正面部の断面直径である。
【0020】
ドリルビットの個々のインサートは削岩中岩盤との接触面を備えている。
【0021】
ドリルビットのインサートと岩盤との間の総接触面は、ドリルビットが所定の力で岩盤内に押し込まれ得る距離を画定する。インサートの強度及びインサートの耐摩耗性についての諸要件は、基本的にインサートが岩盤内に押し込まれる距離及び特定のインサートからどれくらい外へ離れて接触面が配置されているかで異なる。
【0022】
上述のように画定されたドリルビットのインサートの比較的大きな接触面は、削岩中比較的長い寿命を保証する。点で形成された接触面は所定の範囲を有する接触面よりも大きく摩耗する。
【0023】
上述の接触面は岩盤の破砕域を開始する。削岩時に岩盤破砕域が岩盤内に押し込まれるインサートの体積すなわち接触域より大きくなるのが目的である。
【0024】
本発明によるドリルビットの設計の目的は、その他の目的の中でもとりわけ、本発明によるインサートで達成される総岩盤破砕域がドリルビットの最大径より大きな直径の孔の破砕をもたらすことにある。
【0025】
破砕域は、当然、検討中の岩盤の種類が例えば硬質か、軟質か、延性か、脆性か、亀裂が浸透しているか、またはそれらの特性の組合せを有するかどうかで異なる。
【0026】
比較的大きな破砕域は、一撃或いは衝撃波ごとに比較的大きな体積の岩盤を処理することになる。このことにより、より大きいメートル数の孔をインサート及びドリルビットによって穿孔するのが可能となる。
【0027】
上記で画定された体積比Vf/Vに従って設計されたインサートは、削岩動作中インサートと岩盤の間の接触面を本質的に一定にさせることができる。その結果、岩盤内への浸入深度の変動は比較的小さくなり、掘進率すなわち単位時間当りの穿孔長の変動はほんの僅かにすぎない。
【0028】
キャップ正面部の硬質金属量が多いことにより、インサートの再研磨作業間の長い動作時間及び長い寿命が保証される。これによってドリルビットの寿命は比較的長くなり、このことはメートル当りの穿孔コストを低減することになる。
【0029】
さらに、キャップ正面部の硬質金属量が多いことにより、現在使用されているインサートを直径の小さなインサートに置き換えて、各インサートに対してより多くの空間を得する可能性が得られ、これによって掘進速度が増大し、掘削孔を作るのに要する時間が短縮できる。
【0030】
本発明による代わりの実施形態では、正面部は第一及び第二の球状部から成る摩耗面を備えている。本発明による第二の代わりの実施形態では、正面部は本質的に平坦な正面部及び球状部から成る摩耗面を備えている。本発明によるさらなる代わりの実施形態では、正面部は本質的に平坦な正面部及び円錐状部を備えている。
【0031】
本発明の革新的な概念の範囲内である全ての代わりの構成は、削岩中インサートから摩耗を受ける硬質金属物質の所定の量に対して、本発明によるインサートの高さの摩耗は、従来公知のインサートの場合よりも低い。用語「高さの摩耗」はここでは、インサートの対称軸線に沿ったキャップの構成要素である正面部の範囲の減少を表すのに使用される。
【0032】
本発明の一構成では、上記正面部の直径Dfはマウントの直径Dの0.5倍或いは代わりに0.6倍である。
【0033】
本発明の第二の発明によれば、第二の発明の目的は、摩耗面を備える摩耗部を構成するキャップと、断面領域A及び直径Dを備えたマウントを構成する円筒部とを備えている衝撃穿孔用インサートを研磨する方法を提供することによって達成される。かかる方法は、キャップを研磨し、そしてインサートの対称軸線に沿ってキャップの摩耗面の第一の部位からキャップの第二の部位まで伸張部Hを備えた正面部を形成して、正面部が第一の部位で対称軸線と直交する第一の平面と、第二の部位で対称軸線と直交する第二の平面との間に体積を構成するようにすることを含んでいる。この体積の大きさは、0.6×第二の平面IIにおける正面部の断面積Af×第一の部位aと第二の部位bの間の対称軸線に沿った距離Hに等しい。第二の平面における正面部の直径Dfは、マウントの直径のD×0.5以上或いはそれに等しく、且つマウントの直径D×0.6以下或いはそれに等しく、予定される硬質金属の最も低い可能な体積に一致する正面部の体積Vfは、インサートが再び研磨される前の削岩中に当然摩耗を受ける。
【0034】
キャップ正面部の上述の鈍さは、その形状が回復されるようインサートが再び研磨される際より少ない量の研磨を要することに貢献する。球面、完全弾道、及び半弾道など従来公知のインサートと比較すれば、本発明によるインサートは、研磨が必要になる前に摩耗を受けるようになる硬質金属の大きな有効体積を備えるように設計されている。研磨操作の前に摩耗されなければならない或いは摩耗され得るインサートの長さHは、例えば半弾道或いは標準のインサートに対応する長さより比較的短くなる。本発明によるインサートは、各再研磨操作時に従来のインサートが短くなるのに比べ少ない短さで研磨される。従ってインサートが配置されるドリルビットの寿命は比較的長くなる。
【0035】
再研磨操作の回数を制限する要因は、ドリルビット内への機能的な装着に必要とされるインサートの最小限の長さにある。キャップの高さは再研磨操作の可能な回数を制限する要因でもある。
【0036】
図面は原寸に比例して描かれていないことが指摘されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明による硬質金属インサートを示す図。
【図2】図1のインサートの正面部を示す図。
【図3a】図1の硬質金属インサートを少なくとも1つ備えるドリルビットを示す斜視図。
【図3b】代わりのドリルビットによる削岩中におけるインサートと岩盤との間の接触面を示す斜視図。
【図4】本発明によるインサートの代わりの実施形態を示す図。
【図5】本発明によるインサートの代わりの実施形態を示す図。
【図6】本発明によるインサートの代わりの実施形態を示す図。
【図7】所定の度数に摩耗した図1のインサートを示す図。
【図8】図7のキャップ部を示す拡大図。
【図9】研磨体を示す概略図。
【図10】従来技術による半弾道型インサートを示す図。
【図11】図10のインサートの正面部を示す図。
【図12】所定の度数に摩耗した図11のインサートを示す図。
【図13】図12のキャップ部を示す拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明による硬質金属インサート1(図1)は、摩耗面2aを備える摩耗部を構成しているキャップ2と、直径D及び断面積Aを備えた円筒部3とを備えている。キャップ2は、キャップの摩耗面2aの第一の部位aからキャップの第二の部位bまでインサートの対称軸線xに沿った拡張部Hを備えた正面部4を備えている。
【0039】
図2における平面IIは、対称軸線xの部位bでキャップ2を通って交差し、キャップ2の断面Afは直径Dfを備えて円形である。図2に示されたインサートの断面の直径Dfは円筒部の直径Dの半分に設定されている。正面部の摩耗面4aは、キャップの摩耗面2aの一部を構成する。
【0040】
理想的なインサートは、円筒形のインサートすなわち上述のように体積比Vf/Vが1に等しい正面部を有するインサートである。そのようなインサートは浸入の一定深さを有するために再研磨する必要がない。問題点は、衝撃波が岩盤内にインサートを押圧するのに十分な力を有する必要があるため、面積が大きく成り過ぎることがないようにインサートの直径が、現在使用されているインサート直径の半分でなければならないことにある。そのような円筒状のインサートは機械的な負荷に耐えることができない。
【0041】
図3aは、本発明による硬質金属インサート1を多数備えるドリルビット6を示している。
【0042】
図3bは、所定の浸入深さにおいてドリルビットの個々のインサートと代わりのドリルビットにおける岩盤(図示していない)との間の接触面18を示している。図3bは、ドリルビットにおけるインサートの位置及びインサートの対称軸線とドリルビットの対称軸線との成す角度に依存して、接触面18の寸法及び形状が異なることを示している。
【0043】
ドリルビットにおける硬質金属インサートの方向決めは、ドリルビットの種類と寸法及びドリルビットにおけるインサートの位置に依存して大きく異なる。方向決めを説明する1つの方法は、角度V2を特定することにあり、かかる角度V2は、インサートの対称軸線/縦軸線がドリルビットの対象軸線/縦軸線と成す角度である。
【0044】
本発明による硬質金属インサートは、0から45度の間隔にある角度V2を成して配置されるようにされている。
【0045】
本発明の1つの利点は、角度がドリルビットの外周角に従うように角度V2を成して配置された図1による硬質金属インサートが、孔の壁と比較的大きな面積で接触を有することにある。岩盤の孔の壁と大きな面積で接触させることにより、ドリルビットの直径の摩耗を減少させることになる。角度V2はこの場合およそ35度である。
【0046】
図4は、上述で「鈍い」を表すように画定された本発明による形状の正面部を備えたインサートの実施形態を示している。正面部2は摩耗面2aを備えている。この摩耗面2は半径R1の第一の球面部7と、半径R2の第二の球面部8とを備え、半径R1は半径R2より大きい。
【0047】
図5は、本発明によるインサートの代わりの実施形態を示し、正面部4は、平面状正面9及び該正面9と円筒状部3との間の円錐状部10を備えている。正面部はこの実施形態ではキャップと一致している。
【0048】
図6は、本発明によるインサートの代わりの実施形態を示し、平面状正面部4は、正面11及び該正面11とキャップ2との間の球面部12を備えている。
【0049】
図7は、摩耗面5の直径Dwearが円筒状部の直径Dの50%となるような程度まで摩耗した本発明によるインサートを示している。
【0050】
図8は、図7に示す程度と一致する程度まで摩耗した摩耗面2aを備えたインサート1のキャップを示している。インサートを元の形状まで再研磨する間、図中ハッチングで示すように体積Vgrindが研磨によって除去される。図面では、インサートの対称軸線に沿ったキャップの範囲が再研磨操作中に影響を受けるものではないことを明確にしている。
【0051】
インサートの長さは当然再研磨操作によって影響を受けるものではないことは既に指摘した通りであるが、一方でインサートの作業体積の一部はインサートの所望の形状に再度達成するために研磨される。
【0052】
図9は、研磨機(図示していない)に使用されるようにされた回転軸線Yを備えた研磨体13を示している。研磨体は、図1による硬質金属インサートに適用するように設計された溝14を備えている。研磨ローラーが革新的な概念の範囲内である硬質金属インサートの代わりの設計と互換性があるよう形成されることは、本発明の革新的な概念の一部である。
【0053】
図10〜図14は、標準的な半弾道形インサートの形状を備えた従来技術を示している。図10は未使用の半弾道インサート14を示し、かかるインサート14はキャップ15と円筒状部16と底部17とを備えている。図11は、図10のインサート14の正面部15aを示している。図2と比較すると、対応する平面IIは対称軸線x上の部位bでキャップ15を通って交差し、キャップ15の断面Asemiは直径Dfsemiの円形である。図11に示インサートの断面の直径Dfsemiは、円筒状部の直径Dsemiの半分に設定されている。
【0054】
インサート14についての本発明による体積比の計算では、比較的低い値が得られる。従ってインサート14の正面部は研磨の前に摩耗に晒される硬質金属物質の量(体積)は比較的低い。第一の部位aと第二の部位bとの間の対称軸線xに沿った距離は比較的大きい。従ってインサートは、より少ない体積の硬質金属が摩耗した後に再研磨されることになる、すなわち本発明によるインサートに比べてより頻繁に再研磨されることになるインサートとして説明され得る。
【0055】
図12は、摩耗面15aの直径Dwearsemiが円筒状部の直径Dsemiの50%となるような程度まで摩耗した従来技術による半弾道型インサートを示している。
【0056】
図13は、図12に示す程度と一致する程度まで摩耗した摩耗面14aを備えたインサート14のキャップを示している。インサートを元の形状まで再研磨する間、図中にハッチングで示されているように体積Vslipsemiが研磨によって除去される。図面には、インサートの対称軸線に沿ったキャップの範囲が研磨操作中に影響を受けるものではないことを明確にしているが、元の形状までの各研磨操作中に、本発明によるインサートを研磨する際の場合よりも多くの硬質金属の体積が研磨されることになる。
【符号の説明】
【0057】
1 インサート
2 キャップ
2a 摩耗面
3 円筒部
4 正面部
4a 摩耗面
5 摩耗面
6 ドリルビット
7 第一の球面部
8 第二の球面部
9 正面
10 円錐状部
11 正面
12 球面部
13 研磨体
14 溝;インサート
15 キャップ
15a 正面部
16 円筒状部
17 底部
18 接触面
a 第一の部位
b 第二の部位
x 縦軸線
A 断面積
Asemi 断面
D 直径
Df 直径
Dfsemi 直径
Dwear 直径
Dwearsemi 直径
H 拡張部
R1 半径
R2 半径
V2 角度
Vf 体積
Vgrind 体積
Y 回転軸線
I 第一の平面
II 第二の平面
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬質金属インサート、硬質金属インサートを少なくとも1つ備えるドリルビット、及び摩耗したインサートを再研磨する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
衝撃掘削には、複数の硬質金属インサートを備えるドリルビットが使用されている。硬質金属インサートの役割は、ドリルビットに対し繰り返される衝撃中に孔が掘削されようとする岩盤にいくつもの亀裂の形成を達成することにある。
【0003】
硬質金属インサートは、キャップ、円筒部及び底部から成っている。キャップは摩耗に晒される部分を構成し、円筒部は底部と共にドリルビットを備えたインサートの接触面を構成する。キャップは球面、半弾道、完全弾道などいくつかの形状を有することができる。ドリルビットの対称軸線に対する硬質金属インサートの方向付けはドリルビットにおけるインサート位置に依存して異なる。
【0004】
インサートのキャップは、削岩中摩耗に晒されてその形状は変化される。削岩中摩耗に晒されるインサートの部位は「摩耗相」として以下に参照される表面を形成する。ドリルビットから突き出し摩耗に晒されるインサートの部位は「摩耗面」として以下に参照される。
【0005】
摩耗相の面積がインサートの円筒部断面積の25%台を占めるに至るまで摩耗が進行した場合には、インサートを研磨することによって元のキャップ形状に復元することが適切である。インサートのキャップは、摩耗に晒される削岩中高さを消耗する。そのためインサートの全長は各掘削段階で短くなる。
【0006】
インサートと岩盤の間の接触面の大きさと浸入深度との間には直接的な相関関係が存在する。また浸入深度と衝撃波における力の大きさとの間にも直接的な相関関係が存在する。
【0007】
元の形状が同じであるインサートの場合、インサートを岩盤内に所定の距離打ち込むのに、摩耗の少ない硬質金属インサートより、比較的摩耗の進んだインサートの方がより多くの(強い)力を加える必要がある。このことは、摩耗が進んだ硬質金属インサートを備えるドリルビットを用いて所定のストレッチ孔を開けるためには、比較的多くの時間と大きな力を必要とすることを意味している。
【0008】
このことは、インサートの構成要素摩耗の程度に依存してすなわちインサートと岩盤との間の接触面の大きさに依存して、岩盤に打ち込まれるドリルビットの深さが異なることを意味している。接触面積が大きくなると、岩盤内へのドリルビットルの打ち込み深さが浅くなる。従って、同じドリルビット及びインサートで実行される掘削段階中、単位時間当り掘削された孔の長さとして定義される掘進速度は低下する。従って、インサートが再研磨される理由のうちの1つはビットの全寿命中に比較的高い掘進速度を保証するためである。
【0009】
硬質金属インサートは数回にわたり元のキャップ形状に再研磨され得る。インサートを再研磨できる回数は、インサートの長さ、キャップの高さ、さらにはインサートとドリルビットとの間の接触面積の必要寸法を含む多くの要因に依存している。
【0010】
ドリルビットの寿命は、穿孔メートル当りのインサート長の減少を計測した硬質金属インサートの摩耗率に依存する。岩盤穿孔の生産コストは、ドリルビットの寿命すなわち穿孔メートル当りの構成要素であるインサートの長さの減少に依存する。
【0011】
再研磨され得る硬質金属インサートによって岩盤衝撃穿孔の生産コストを最適化する必要性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の第一の目的は、衝撃穿孔に経済的に有利に使用される硬質金属インサートを提供することにある。本発明の第二の目的は、岩盤衝撃穿孔用の硬質金属インサートを必要形状に再研磨する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第一の発明によれば、第一の目的は、衝撃穿孔のためのドリルビットに装着するようにされた硬質金属インサートを提供することによって達成される。硬質金属インサートは、摩耗面を備える摩耗部を構成するキャップと、断面積A及び直径Dを備えたマウントを構成する円筒部とを有している。キャップは、キャップの摩耗面の第一地点からキャップの第二地点まで、インサートの対称軸線xに沿って拡張部Hを備えた正面部を有している。正面部は、第一地点で対称軸線に対して直角に交差する第一平面Iと、第二地点で対称軸線に対して直角に交差する第二平面IIとの間に体積体Vfを構成する。
【0014】
正面部4は、第一地点aで対称軸線xに対して直角に交差する第一平面Iと、第二地点bで対称軸線xに対して直角に交差する第二平面IIとの間に体積体Vfを構成する。
【0015】
正面部4を表す円筒状の体積体Vの大きさは次のように表すことができる:
V=Af×H
ここで、Afは第二平面IIにおける正面部の断面積であり、Hは第一地点aと第二地点bとの間の対称軸線xに沿った距離である。
【0016】
比Vf/Vは、包囲する円筒部の体積の部分を正面部がどれほどの大きさで占めるかを特定する体積比である。
【0017】
本発明による解決策は、インサートの対称軸線に沿った所定の範囲及び所定の体積を備えた正面部を有するインサートを特定する。本発明に従って上記で定義した体積比により、比較的先端の丸い摩耗面を画定する正面部が提供される。
【0018】
体積比が0.6以上又は0.6に等しくなるように設計されたインサートは、キャップの正面部に比較的大きな体積の硬質金属物質すなわち岩盤内に貫通して岩盤を破砕する部分を有する。
【0019】
これは、第二平面IIにおける正面部の断面積Dfが次のようにマウントの直径Dに対し所定の長さを有する条件の場合である:
0.5×D≦Df≦0.6×D
ここで、Dfは正面部の断面直径である。
【0020】
ドリルビットの個々のインサートは削岩中岩盤との接触面を備えている。
【0021】
ドリルビットのインサートと岩盤との間の総接触面は、ドリルビットが所定の力で岩盤内に押し込まれ得る距離を画定する。インサートの強度及びインサートの耐摩耗性についての諸要件は、基本的にインサートが岩盤内に押し込まれる距離及び特定のインサートからどれくらい外へ離れて接触面が配置されているかで異なる。
【0022】
上述のように画定されたドリルビットのインサートの比較的大きな接触面は、削岩中比較的長い寿命を保証する。点で形成された接触面は所定の範囲を有する接触面よりも大きく摩耗する。
【0023】
上述の接触面は岩盤の破砕域を開始する。削岩時に岩盤破砕域が岩盤内に押し込まれるインサートの体積すなわち接触域より大きくなるのが目的である。
【0024】
本発明によるドリルビットの設計の目的は、その他の目的の中でもとりわけ、本発明によるインサートで達成される総岩盤破砕域がドリルビットの最大径より大きな直径の孔の破砕をもたらすことにある。
【0025】
破砕域は、当然、検討中の岩盤の種類が例えば硬質か、軟質か、延性か、脆性か、亀裂が浸透しているか、またはそれらの特性の組合せを有するかどうかで異なる。
【0026】
比較的大きな破砕域は、一撃或いは衝撃波ごとに比較的大きな体積の岩盤を処理することになる。このことにより、より大きいメートル数の孔をインサート及びドリルビットによって穿孔するのが可能となる。
【0027】
上記で画定された体積比Vf/Vに従って設計されたインサートは、削岩動作中インサートと岩盤の間の接触面を本質的に一定にさせることができる。その結果、岩盤内への浸入深度の変動は比較的小さくなり、掘進率すなわち単位時間当りの穿孔長の変動はほんの僅かにすぎない。
【0028】
キャップ正面部の硬質金属量が多いことにより、インサートの再研磨作業間の長い動作時間及び長い寿命が保証される。これによってドリルビットの寿命は比較的長くなり、このことはメートル当りの穿孔コストを低減することになる。
【0029】
さらに、キャップ正面部の硬質金属量が多いことにより、現在使用されているインサートを直径の小さなインサートに置き換えて、各インサートに対してより多くの空間を得する可能性が得られ、これによって掘進速度が増大し、掘削孔を作るのに要する時間が短縮できる。
【0030】
本発明による代わりの実施形態では、正面部は第一及び第二の球状部から成る摩耗面を備えている。本発明による第二の代わりの実施形態では、正面部は本質的に平坦な正面部及び球状部から成る摩耗面を備えている。本発明によるさらなる代わりの実施形態では、正面部は本質的に平坦な正面部及び円錐状部を備えている。
【0031】
本発明の革新的な概念の範囲内である全ての代わりの構成は、削岩中インサートから摩耗を受ける硬質金属物質の所定の量に対して、本発明によるインサートの高さの摩耗は、従来公知のインサートの場合よりも低い。用語「高さの摩耗」はここでは、インサートの対称軸線に沿ったキャップの構成要素である正面部の範囲の減少を表すのに使用される。
【0032】
本発明の一構成では、上記正面部の直径Dfはマウントの直径Dの0.5倍或いは代わりに0.6倍である。
【0033】
本発明の第二の発明によれば、第二の発明の目的は、摩耗面を備える摩耗部を構成するキャップと、断面領域A及び直径Dを備えたマウントを構成する円筒部とを備えている衝撃穿孔用インサートを研磨する方法を提供することによって達成される。かかる方法は、キャップを研磨し、そしてインサートの対称軸線に沿ってキャップの摩耗面の第一の部位からキャップの第二の部位まで伸張部Hを備えた正面部を形成して、正面部が第一の部位で対称軸線と直交する第一の平面と、第二の部位で対称軸線と直交する第二の平面との間に体積を構成するようにすることを含んでいる。この体積の大きさは、0.6×第二の平面IIにおける正面部の断面積Af×第一の部位aと第二の部位bの間の対称軸線に沿った距離Hに等しい。第二の平面における正面部の直径Dfは、マウントの直径のD×0.5以上或いはそれに等しく、且つマウントの直径D×0.6以下或いはそれに等しく、予定される硬質金属の最も低い可能な体積に一致する正面部の体積Vfは、インサートが再び研磨される前の削岩中に当然摩耗を受ける。
【0034】
キャップ正面部の上述の鈍さは、その形状が回復されるようインサートが再び研磨される際より少ない量の研磨を要することに貢献する。球面、完全弾道、及び半弾道など従来公知のインサートと比較すれば、本発明によるインサートは、研磨が必要になる前に摩耗を受けるようになる硬質金属の大きな有効体積を備えるように設計されている。研磨操作の前に摩耗されなければならない或いは摩耗され得るインサートの長さHは、例えば半弾道或いは標準のインサートに対応する長さより比較的短くなる。本発明によるインサートは、各再研磨操作時に従来のインサートが短くなるのに比べ少ない短さで研磨される。従ってインサートが配置されるドリルビットの寿命は比較的長くなる。
【0035】
再研磨操作の回数を制限する要因は、ドリルビット内への機能的な装着に必要とされるインサートの最小限の長さにある。キャップの高さは再研磨操作の可能な回数を制限する要因でもある。
【0036】
図面は原寸に比例して描かれていないことが指摘されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明による硬質金属インサートを示す図。
【図2】図1のインサートの正面部を示す図。
【図3a】図1の硬質金属インサートを少なくとも1つ備えるドリルビットを示す斜視図。
【図3b】代わりのドリルビットによる削岩中におけるインサートと岩盤との間の接触面を示す斜視図。
【図4】本発明によるインサートの代わりの実施形態を示す図。
【図5】本発明によるインサートの代わりの実施形態を示す図。
【図6】本発明によるインサートの代わりの実施形態を示す図。
【図7】所定の度数に摩耗した図1のインサートを示す図。
【図8】図7のキャップ部を示す拡大図。
【図9】研磨体を示す概略図。
【図10】従来技術による半弾道型インサートを示す図。
【図11】図10のインサートの正面部を示す図。
【図12】所定の度数に摩耗した図11のインサートを示す図。
【図13】図12のキャップ部を示す拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明による硬質金属インサート1(図1)は、摩耗面2aを備える摩耗部を構成しているキャップ2と、直径D及び断面積Aを備えた円筒部3とを備えている。キャップ2は、キャップの摩耗面2aの第一の部位aからキャップの第二の部位bまでインサートの対称軸線xに沿った拡張部Hを備えた正面部4を備えている。
【0039】
図2における平面IIは、対称軸線xの部位bでキャップ2を通って交差し、キャップ2の断面Afは直径Dfを備えて円形である。図2に示されたインサートの断面の直径Dfは円筒部の直径Dの半分に設定されている。正面部の摩耗面4aは、キャップの摩耗面2aの一部を構成する。
【0040】
理想的なインサートは、円筒形のインサートすなわち上述のように体積比Vf/Vが1に等しい正面部を有するインサートである。そのようなインサートは浸入の一定深さを有するために再研磨する必要がない。問題点は、衝撃波が岩盤内にインサートを押圧するのに十分な力を有する必要があるため、面積が大きく成り過ぎることがないようにインサートの直径が、現在使用されているインサート直径の半分でなければならないことにある。そのような円筒状のインサートは機械的な負荷に耐えることができない。
【0041】
図3aは、本発明による硬質金属インサート1を多数備えるドリルビット6を示している。
【0042】
図3bは、所定の浸入深さにおいてドリルビットの個々のインサートと代わりのドリルビットにおける岩盤(図示していない)との間の接触面18を示している。図3bは、ドリルビットにおけるインサートの位置及びインサートの対称軸線とドリルビットの対称軸線との成す角度に依存して、接触面18の寸法及び形状が異なることを示している。
【0043】
ドリルビットにおける硬質金属インサートの方向決めは、ドリルビットの種類と寸法及びドリルビットにおけるインサートの位置に依存して大きく異なる。方向決めを説明する1つの方法は、角度V2を特定することにあり、かかる角度V2は、インサートの対称軸線/縦軸線がドリルビットの対象軸線/縦軸線と成す角度である。
【0044】
本発明による硬質金属インサートは、0から45度の間隔にある角度V2を成して配置されるようにされている。
【0045】
本発明の1つの利点は、角度がドリルビットの外周角に従うように角度V2を成して配置された図1による硬質金属インサートが、孔の壁と比較的大きな面積で接触を有することにある。岩盤の孔の壁と大きな面積で接触させることにより、ドリルビットの直径の摩耗を減少させることになる。角度V2はこの場合およそ35度である。
【0046】
図4は、上述で「鈍い」を表すように画定された本発明による形状の正面部を備えたインサートの実施形態を示している。正面部2は摩耗面2aを備えている。この摩耗面2は半径R1の第一の球面部7と、半径R2の第二の球面部8とを備え、半径R1は半径R2より大きい。
【0047】
図5は、本発明によるインサートの代わりの実施形態を示し、正面部4は、平面状正面9及び該正面9と円筒状部3との間の円錐状部10を備えている。正面部はこの実施形態ではキャップと一致している。
【0048】
図6は、本発明によるインサートの代わりの実施形態を示し、平面状正面部4は、正面11及び該正面11とキャップ2との間の球面部12を備えている。
【0049】
図7は、摩耗面5の直径Dwearが円筒状部の直径Dの50%となるような程度まで摩耗した本発明によるインサートを示している。
【0050】
図8は、図7に示す程度と一致する程度まで摩耗した摩耗面2aを備えたインサート1のキャップを示している。インサートを元の形状まで再研磨する間、図中ハッチングで示すように体積Vgrindが研磨によって除去される。図面では、インサートの対称軸線に沿ったキャップの範囲が再研磨操作中に影響を受けるものではないことを明確にしている。
【0051】
インサートの長さは当然再研磨操作によって影響を受けるものではないことは既に指摘した通りであるが、一方でインサートの作業体積の一部はインサートの所望の形状に再度達成するために研磨される。
【0052】
図9は、研磨機(図示していない)に使用されるようにされた回転軸線Yを備えた研磨体13を示している。研磨体は、図1による硬質金属インサートに適用するように設計された溝14を備えている。研磨ローラーが革新的な概念の範囲内である硬質金属インサートの代わりの設計と互換性があるよう形成されることは、本発明の革新的な概念の一部である。
【0053】
図10〜図14は、標準的な半弾道形インサートの形状を備えた従来技術を示している。図10は未使用の半弾道インサート14を示し、かかるインサート14はキャップ15と円筒状部16と底部17とを備えている。図11は、図10のインサート14の正面部15aを示している。図2と比較すると、対応する平面IIは対称軸線x上の部位bでキャップ15を通って交差し、キャップ15の断面Asemiは直径Dfsemiの円形である。図11に示インサートの断面の直径Dfsemiは、円筒状部の直径Dsemiの半分に設定されている。
【0054】
インサート14についての本発明による体積比の計算では、比較的低い値が得られる。従ってインサート14の正面部は研磨の前に摩耗に晒される硬質金属物質の量(体積)は比較的低い。第一の部位aと第二の部位bとの間の対称軸線xに沿った距離は比較的大きい。従ってインサートは、より少ない体積の硬質金属が摩耗した後に再研磨されることになる、すなわち本発明によるインサートに比べてより頻繁に再研磨されることになるインサートとして説明され得る。
【0055】
図12は、摩耗面15aの直径Dwearsemiが円筒状部の直径Dsemiの50%となるような程度まで摩耗した従来技術による半弾道型インサートを示している。
【0056】
図13は、図12に示す程度と一致する程度まで摩耗した摩耗面14aを備えたインサート14のキャップを示している。インサートを元の形状まで再研磨する間、図中にハッチングで示されているように体積Vslipsemiが研磨によって除去される。図面には、インサートの対称軸線に沿ったキャップの範囲が研磨操作中に影響を受けるものではないことを明確にしているが、元の形状までの各研磨操作中に、本発明によるインサートを研磨する際の場合よりも多くの硬質金属の体積が研磨されることになる。
【符号の説明】
【0057】
1 インサート
2 キャップ
2a 摩耗面
3 円筒部
4 正面部
4a 摩耗面
5 摩耗面
6 ドリルビット
7 第一の球面部
8 第二の球面部
9 正面
10 円錐状部
11 正面
12 球面部
13 研磨体
14 溝;インサート
15 キャップ
15a 正面部
16 円筒状部
17 底部
18 接触面
a 第一の部位
b 第二の部位
x 縦軸線
A 断面積
Asemi 断面
D 直径
Df 直径
Dfsemi 直径
Dwear 直径
Dwearsemi 直径
H 拡張部
R1 半径
R2 半径
V2 角度
Vf 体積
Vgrind 体積
Y 回転軸線
I 第一の平面
II 第二の平面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
摩耗面(2a)を備える摩耗部を構成するキャップ(2)と、断面積(A)及び直径(D)を備えたマウントを構成する円筒状部(3)とを備えた、衝撃穿孔用ドリルビット内に設けるようにされた硬質金属インサート(1)において、
キャップ(2)がキャップの摩耗面(2a)の第一の部位(a)からキャップの第二の部位(b)までインサートの対称軸線(x)に沿った拡張部(H)をもつ正面部(4)を備え、
正面部(4)が、第一の部位(a)で対称軸線(x)に直交する第一の平面(I)と、第二の部位(b)で対称軸線(x)に直交する第二の平面(II)との間の体積(Vf)を構成し、
該体積(Vf)が、0.6×第二の平面(II)の正面部の断面積(Af)×第一の部位(a)と第二の部位(b)の間の対称軸線(x)に沿った距離(H)に等しいか或いはより大きく、
さらに、第二の平面(II)における正面部の直径(Df)が、0.5×マウントの直径(D)に等しいか或いはより大きく且つ0.6×マウントの直径(D)に等しいか或いはより小さいこと
を特徴とする硬質金属インサート。
【請求項2】
摩耗面(2a)が、第一の球面部(7)及び第二の球面部(8)を備えることを特徴とする請求項1に記載の硬質金属インサート。
【請求項3】
摩耗面(2a)が、本質的に平坦な正面部(11)及び半径(R3)の球面部(12)を備えていることを特徴とする請求項1に記載の硬質金属インサート。
【請求項4】
摩耗面(2a)が、本質的に平坦な正面部(9)及び円錐状部(10)を備えていることを特徴とする請求項1に記載の硬質金属インサート。
【請求項5】
正面部の上記直径(Df)が、好ましくはマウントの直径(D)の0.5倍に等しいか或いはより大きく且つマウントの直径(D)の0.6倍に等しいか或いはより小さいことを特徴とする請求項1に記載の硬質金属インサート。
【請求項6】
正面部の上記直径(Df)が、マウントの直径(D)の0.5倍であることを特徴とする請求項1に記載の硬質金属インサート。
【請求項7】
正面部の上記直径(Df)が、マウントの直径(D)の0.6倍であることを特徴とする請求項1に記載の硬質金属インサート。
【請求項8】
硬質金属インサートが、再研磨可能なインサートであることを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載の硬質金属インサート。
【請求項9】
請求項1〜7の何れか一項に従って設計された硬質金属インサート(1)を少なくとも1つ備える衝撃穿孔用ドリルビット(6)。
【請求項10】
摩耗面(2a)を備える摩耗部を構成するキャップ(2)と、断面積(A)及び直径(D)のマウントを構成する円筒状部(3)とを備える衝撃穿孔用ドリルビット内に設けるようにされた硬質金属インサートを研磨する方法において、
キャップを研磨し、キャップにおける摩耗面(2a)の第一の部位(a)からキャップにおける第二の部位(b)までインサートの対称軸線(x)に沿った伸張部(H)を備えた正面部(4)を形成し、正面部(4)が、第一の部位(a)において対称軸線(x)と直交する第一の平面(I)と、第二の部位(b)で対称軸線(x)と直交する第二の平面(II)との間に体積(Vf)を構成するようにし、体積(Vf)が、0.6×第二の平面(II)の正面部の断面積(Af)×第一の部位(a)と第二の部位(b)の間の対称軸線(x)に沿った距離(H)に等しく、第二の平面(II)における正面部の直径(Df)が、0.5×マウントの直径(D)に等しいか或いはより大きく且つ0.6×マウントの直径(D)に等しいか或いはより小さく、さらに、正面部の体積(Vf)が、インサートが研磨される前、削岩中摩耗に晒されるようにされている硬質金属の最小体積に一致すること
を特徴とする方法。
【請求項1】
摩耗面(2a)を備える摩耗部を構成するキャップ(2)と、断面積(A)及び直径(D)を備えたマウントを構成する円筒状部(3)とを備えた、衝撃穿孔用ドリルビット内に設けるようにされた硬質金属インサート(1)において、
キャップ(2)がキャップの摩耗面(2a)の第一の部位(a)からキャップの第二の部位(b)までインサートの対称軸線(x)に沿った拡張部(H)をもつ正面部(4)を備え、
正面部(4)が、第一の部位(a)で対称軸線(x)に直交する第一の平面(I)と、第二の部位(b)で対称軸線(x)に直交する第二の平面(II)との間の体積(Vf)を構成し、
該体積(Vf)が、0.6×第二の平面(II)の正面部の断面積(Af)×第一の部位(a)と第二の部位(b)の間の対称軸線(x)に沿った距離(H)に等しいか或いはより大きく、
さらに、第二の平面(II)における正面部の直径(Df)が、0.5×マウントの直径(D)に等しいか或いはより大きく且つ0.6×マウントの直径(D)に等しいか或いはより小さいこと
を特徴とする硬質金属インサート。
【請求項2】
摩耗面(2a)が、第一の球面部(7)及び第二の球面部(8)を備えることを特徴とする請求項1に記載の硬質金属インサート。
【請求項3】
摩耗面(2a)が、本質的に平坦な正面部(11)及び半径(R3)の球面部(12)を備えていることを特徴とする請求項1に記載の硬質金属インサート。
【請求項4】
摩耗面(2a)が、本質的に平坦な正面部(9)及び円錐状部(10)を備えていることを特徴とする請求項1に記載の硬質金属インサート。
【請求項5】
正面部の上記直径(Df)が、好ましくはマウントの直径(D)の0.5倍に等しいか或いはより大きく且つマウントの直径(D)の0.6倍に等しいか或いはより小さいことを特徴とする請求項1に記載の硬質金属インサート。
【請求項6】
正面部の上記直径(Df)が、マウントの直径(D)の0.5倍であることを特徴とする請求項1に記載の硬質金属インサート。
【請求項7】
正面部の上記直径(Df)が、マウントの直径(D)の0.6倍であることを特徴とする請求項1に記載の硬質金属インサート。
【請求項8】
硬質金属インサートが、再研磨可能なインサートであることを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載の硬質金属インサート。
【請求項9】
請求項1〜7の何れか一項に従って設計された硬質金属インサート(1)を少なくとも1つ備える衝撃穿孔用ドリルビット(6)。
【請求項10】
摩耗面(2a)を備える摩耗部を構成するキャップ(2)と、断面積(A)及び直径(D)のマウントを構成する円筒状部(3)とを備える衝撃穿孔用ドリルビット内に設けるようにされた硬質金属インサートを研磨する方法において、
キャップを研磨し、キャップにおける摩耗面(2a)の第一の部位(a)からキャップにおける第二の部位(b)までインサートの対称軸線(x)に沿った伸張部(H)を備えた正面部(4)を形成し、正面部(4)が、第一の部位(a)において対称軸線(x)と直交する第一の平面(I)と、第二の部位(b)で対称軸線(x)と直交する第二の平面(II)との間に体積(Vf)を構成するようにし、体積(Vf)が、0.6×第二の平面(II)の正面部の断面積(Af)×第一の部位(a)と第二の部位(b)の間の対称軸線(x)に沿った距離(H)に等しく、第二の平面(II)における正面部の直径(Df)が、0.5×マウントの直径(D)に等しいか或いはより大きく且つ0.6×マウントの直径(D)に等しいか或いはより小さく、さらに、正面部の体積(Vf)が、インサートが研磨される前、削岩中摩耗に晒されるようにされている硬質金属の最小体積に一致すること
を特徴とする方法。
【図1】
【図2】
【図3a】
【図3b】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3a】
【図3b】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2013−506780(P2013−506780A)
【公表日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−533114(P2012−533114)
【出願日】平成22年10月1日(2010.10.1)
【国際出願番号】PCT/SE2010/051053
【国際公開番号】WO2011/043717
【国際公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(504429367)アトラス コプコ セコロック アクチボラゲット (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月1日(2010.10.1)
【国際出願番号】PCT/SE2010/051053
【国際公開番号】WO2011/043717
【国際公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(504429367)アトラス コプコ セコロック アクチボラゲット (1)
【Fターム(参考)】
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