説明

衝撃波を利用した再生パルプの製造方法

【課題】本発明の課題は、再生パルプの製造工程において、異物の微細化を抑制しつつ、異物を繊維から剥離する方法を提供することである。
【解決手段】古紙に衝撃波を与えてパルプ繊維から異物を剥離させることを含む、再生パルプの製造方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パルプの製造方法、特に、古紙に対して衝撃波を与えることにより繊維素以外の異物の剥離を促進する、再生パルプの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、省資源あるいは地球規模での環境保護といった観点から、古紙の再生利用の促進が強く求められており、再生利用の範囲を拡大することが極めて重要な問題となっている。一方で、再生利用に適した古紙の種類は限られており、特に洋紙向けに利用可能な古紙はさらに種類が限られている。また、再生パルプを製造している工場においては、いわゆる禁忌品の混入が多くなっており、製造されたパルプの品質低下、操業トラブル等の問題が発生している。さらに、古紙の再生利用の促進により、再生パルプ配合紙の生産が増加していることから再生利用可能な古紙が不足してきており、更なる古紙の再生利用の促進には、これまでは禁忌品とされてきた古紙を再生利用可能とする技術の開発が必要となってきている。
【0003】
一般に、再生パルプの製造における禁忌品の例としては、石、ガラス、プラスチック、粘着テープなどの紙以外の物に加えて、カーボン紙、ノーカーボン紙、感熱紙、ラミネート紙などの紙類も含まれる(古紙ハンドブック2006:非特許文献1)。また、渡辺らの報告(非特許文献2)によると、金属インキによる印刷をされた紙や、蒸着加工法などにより金属箔の加工がなされた紙は、再生工程で金属が微細化されず除去しきれないため、製品の外観の悪影響を及ぼすため、洋紙向け再生パルプへのリサイクル適性を有していないとされている。さらに、「平成14年度 飲料用紙容器リサイクルの現状と動向に関する基本調査」(非特許文献3)によると、アルミ箔をラミネートした飲料用紙パックは、原紙使用量に対する回収率が9.7%となっており、ほとんどが廃棄されているのが実情である。
【0004】
一般的な再生パルプの製造方法は、パルパーなどによる離解工程、混練機などを用いて処理するインキ剥離工程、クリーナーやスクリーンなどによる除塵工程、離解工程やインキ剥離工程で繊維から剥離したインキを除くためのフローテーション工程、洗浄処理による脱インキ工程を有する。従来の技術では、離解工程やインキ剥離工程において流体力学的せん断力または繊維同士の摩擦力によって繊維から異物を剥離させるが、この際に異物が過度に微細化されてしまうため、スクリーンによる除塵が困難となる場合があった。
【0005】
従来技術とは異なる新規の再生パルプの製造方法は、種々検討されている。例えば、特許文献1には、円筒型回転体による衝撃波を利用して紙料中の空気や溶存空気を微細な気泡とし、異物の浮上化を促進するフローテーション技術が提案されている。しかし、この方法は異物をパルプ繊維から剥離させるものではない。
【0006】
また、特許文献2には、超音波を照射して繊維から着色汚染物質を分離する技術が提案されている。しかし、この技術では、超音波を利用して発生させた気泡の膨張・収縮により、繊維物質に付着している着色汚染物質を微粒状及び乳化状にして分離するため、異物を微細化させずに、異物をスクリーンで除去可能な大きさで繊維素から剥離することはできない。
【0007】
さらに、非特許文献4には、水中高圧放電によって生成するヒドロキシラジカルにより、インキやトナーが繊維表面に再付着することを抑制し、微細粘着異物を凝集させやすくすることが記載されている。しかし、この方法は、すでにパルプ繊維から分離された汚染物質を系外に除去しやすくするための技術にすぎず、また、この方法は、インキやトナー、微細粘着異物に特化した技術であり、金属箔のような異物を繊維素から剥離することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平06−272187号公報
【特許文献2】特開昭61−201093号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】古紙ハンドブック2006(財団法人古紙再生促進センター編)
【非特許文献2】渡辺篤史ら、紙パ技協誌第59巻第7号、p963−978、2005
【非特許文献3】平成14年度 飲料用紙容器リサイクルの現状と動向に関する基本調査(全国牛乳容器環境協議会、財団法人政策科学研究所編)
【非特許文献4】Stephen Makris et al., TAPPI Paper Summit Spring Tech. Int. Environ. Conf., 1149, 2004.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、再生パルプの製造において、パルプ繊維以外の異物が微細化することを抑制しつつ異物を剥離する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、パルプ繊維以外の異物が微細化することを抑制しつつ異物を剥離する方法について鋭意検討した結果、再生パルプの製造工程において古紙に対して衝撃波を与えることにより、パルプ繊維からの異物の剥離を促進できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
本発明はこれに限定されるものではないが、以下の発明を包含する。
(1) 古紙に衝撃波を与えてパルプ繊維から異物を剥離させることを含む、再生パルプの製造方法。
(2) 前記衝撃波を液体中で与える、(1)に記載の方法。
(3) 前記衝撃波処理の後に、剥離された異物を除去する除塵工程を行う、(1)または(2)に記載の方法。
(4) 前記衝撃波の圧力が0.1〜500MPaである、(1)〜(3)のいずれかに記載の方法。
(5) 前記衝撃波を爆薬により発生させる、(1)〜(4)のいずれかに記載の方法。
(6) 前記古紙が、多層構造を有する古紙である、(1)〜(5)のいずれかに記載の方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、古紙または古紙パルプスラリーに衝撃波を与えることにより、異物の微細化を抑えつつ異物をパルプ繊維から剥離できることから、繊維から剥離させた異物を効率的に除塵工程で除去することができる。また、本発明によれば、現状では洋紙向け再生パルプの原料には利用困難である古紙原料を、再生パルプの原料として利用できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施例1および比較例1に用いた古紙の断面模式図である。
【図2】実施例2および比較例2に用いた古紙の断面模式図である。
【図3】実施例1の試験片を撮影した写真である。
【図4】実施例2の試験片を撮影した写真である。
【図5】比較例1の試験片を撮影した写真である。
【図6】比較例2の試験片を撮影した写真である。
【図7】実施例において用いた衝撃波処理装置の概要を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明においては、古紙に衝撃波を与えることによって、パルプ繊維から異物を剥離させる。
衝撃波
本発明において衝撃波とは、伝達媒体において音速を超える速度で伝播する強い圧力変化の波である。衝撃波は、圧力、温度および密度などの物理的因子を瞬間的に急激に変化させる性質を有し、衝撃波が与えられた物質は、瞬間的に収縮・膨張する。その際に、物質の界面では、それぞれの物質の収縮・膨張の度合いが異なってくるので、衝撃波の作用が大きくなる。さらに、二つの物質の密度差が大きいほど、その作用は大きくなる。
【0016】
本発明の衝撃波の発生源として、化学的エネルギー、電気的エネルギー、機械的エネルギー等を利用することができ、化学的エネルギーとしては、例えば爆薬の爆発を利用したエネルギー等、電気的エネルギーとしては、例えば電気パルスを利用したエネルギー等、機械的エネルギーとしては、例えば液体中への金属球の打ち込みを利用したエネルギー等が挙げられる。
【0017】
本発明において衝撃波を発生させる方法は、爆薬の爆発、電気パルス、液体中への金属球の打ち込み等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。また、衝撃波管のような装置を利用して衝撃波を発生させることもできる。すなわち、薄膜などの隔膜を設けた衝撃波管において、隔壁の両側に高圧と低圧の媒体を入れ、隔壁を破ると、高圧の媒体が急激に低圧の媒体に向かって膨張するため衝撃波が発生する。
【0018】
本発明において古紙に衝撃波を与える場としては空気などの気体中でも液体中でも良い。好ましくは液体中で処理した方が、衝撃波の減衰が少ないので、処理の効果が大きくなる。ここでいう液体とは、水でも良いがパルプ製造に用いる薬液でも良い。
【0019】
本発明での衝撃波に伴う圧力は0.1〜500MPaの範囲であることが好ましく、1〜300MPaの範囲であることがより好ましく、10〜300MPaの範囲であることがさらに好ましく、50〜300MPaの範囲であることがとりわけ好ましい。0.1MPa以下での圧力では、異物に与える影響が小さい。500MPa以上では、その圧力を得るためのコストが非常にかかること、衝撃波による作用が強く、異物の微細化が生じてしまい除塵工程で除けなかったり、パルプ繊維の損傷が生じて製造したパルプの品質に悪影響を及ぼす恐れがある。衝撃波に伴う圧力は、公知の圧力センサ(例えばPVDF圧力センサ)を用いて測定できるが、次のようにしても測定できる。まず、衝撃波発生源から任意の距離を隔てた箇所に、センサである金属丸棒の先端をセットする。この際、金属丸棒の長さ方向が、衝撃波の伝播方向に対して平行になるようにセットする。センサにおける先端部(X0)より数cmの位置(X2)にひずみゲージを取り付ける。次に、センサにおける前記X0とX2の間の位置(X1)にもひずみゲージを取り付ける。次いで、ひずみゲージを取り付けた二点間を応力波が通過するときの伝播速度を求める。さらに、衝撃波が伝播した媒体(水等)と金属とのインピーダンスを考慮した圧力換算式を用いて、定法により圧力値を算出することができる。
【0020】
衝撃波の強度を制御する方法としては、例えば、爆薬の量や、電気パルスの電圧、金属球の質量・打ち込み速度等を調節したり、衝撃波発生源から処理対象までの距離を調節する方法がある。
【0021】
本発明において古紙への衝撃波処理は1回のみでも良いが、必要に応じて複数回処理しても良い。本発明においては、処理する古紙や用途に応じて、例えば、比較的強い衝撃波で1回処理することもできるし、比較的弱い衝撃波で複数回処理することもできる。
【0022】
また、本発明の衝撃波は、衝撃波の伝播方向に対して波面が垂直な垂直衝撃波であってもよいし、波面が垂直でない斜め衝撃波であってもよい。
本発明により異物の微細化を抑制しつつパルプ繊維から異物を剥離できる理由の詳細は明らかでなく、本発明はこれに拘束されるものではないが、以下のように推測される。すなわち、通常、異物とパルプは強力に固着しているため、従来の方法では異物を剥離するために強い機械的負荷を与えていたが、その強い機械的負荷によって、異物の剥離だけでなく異物の微細化も同時に生じていた。一方、本発明における衝撃波は、密度差の大きい界面でより大きく作用することから、異物とパルプの界面に選択的に衝撃波が作用し、そのため、異物の微細化を抑制しつつ異物を繊維から効率的に剥離できるものと考えられる。
【0023】
古紙
本発明により再生パルプを製造する際の原料となる古紙とは、一度製造された紙・板紙などを回収したものを意味し、古紙であれば特に制限はない。本発明の古紙には、一度使用された古紙の他に、紙の製造工程で発生する損紙なども含まれる。古紙の例としては、新聞、チラシ、更紙系雑誌、コート系雑誌、感熱・感圧紙、模造・色上質紙、コピー用紙、コンピューターアウトプット用紙、これらの混合古紙などを挙げることができるが、上述のように本発明の衝撃波は界面において強く作用する特性があるため、多層構造を有する古紙に本発明を適用すると異物と繊維とを効率的に剥離させることができ、特に好適である。多層構造を有する古紙としては、例えば、原紙層の他に顔料塗工層を有する塗工紙、発色層を有する感熱紙や感圧紙などの発色紙、樹脂層や金属層を有する蒸着紙やラミネート紙などを挙げることができる。特に本発明によれば、従来、洋紙製造用の古紙原料として禁忌品とされた金属箔で加工された紙や、ラミネートが施された液体飲料用紙容器などが古紙原料に混入していても再生パルプを製造することができる。
【0024】
本発明の処理対象である古紙は、古紙に対してそのまま衝撃波を与えてもよいし、古紙を離解して得られるパルプスラリーに対して衝撃波を与えてもよい。また、本発明による衝撃波処理を、混合古紙全体に対して行うこともできるし、また、例えば現状では禁忌品とされる古紙に対して選択的に本発明の衝撃波処理を適用してもよい。また、本発明は、古紙を構成するパルプ構成にも特に制限はなく、古紙を構成するパルプ繊維が機械パルプであっても、化学パルプであってもよい。
【0025】
異物
本発明においては、古紙に衝撃波を与えることによって、パルプ繊維から異物を剥離させる。本発明において異物とは、原料である古紙に含まれるパルプ繊維以外の物質をいい、例えば、顔料塗工層などに含まれる顔料や接着剤、感熱紙や感圧紙などの発色紙における発色層、原紙上に付着した樹脂や金属の薄膜、印刷済の古紙であればインキやインクなどの着色成分などを挙げることができるが、これらに限定される訳ではない。本発明の衝撃波は繊維と異物の界面に選択的に作用するため、本発明によれば、異物の微細化や繊維自体の損傷を抑制しつつ、古紙から異物を剥離させることができる。
【0026】
再生パルプ
1つの態様において本発明は、古紙に衝撃波を与えることによってパルプ繊維から異物を剥離させることを含む再生パルプの製造方法である。本発明は、衝撃波処理工程を含んでいればよく、製紙業界において公知のそれ以外の工程を含んでいてよい。例えば、原料である古紙を水中に離解させて古紙スラリーを得る離解工程、古紙に機械的せん断力などを作用させてインキなどの異物と繊維を分離させるインキ剥離工程、パルプ繊維から剥離させた異物を除去するための除塵工程、繊維から剥離したインキなどの軽い異物を除去するためのフローテーション工程、繊維を水洗して異物を除去するための脱インキ工程(洗浄工程)などが挙げられ、本発明の再生パルプの製造方法は、これらの工程を適宜有することができる。特に本発明においては、異物の微細化を抑制しつつ異物を繊維から剥離させるため、スクリーンやクリーナーなどを用いる除塵工程の前に衝撃波処理によって異物を剥離させておくと効率的に異物を除去できるため好適である。
【0027】
また、本発明には、製紙業界において公知の種々の装置を用いることができ、例えば、離解工程であればパルパーなどの離解機、インキ剥離工程であればニーダーなどの混練機、除塵工程であれば遠心クリーナーやスクリーンなどの除塵機、フローテーション工程であればフローテーター(浮上分離機)、脱インキ工程(洗浄工程)であれば各種洗浄装置などを好適に使用することができる。
【0028】
本発明の方法により製造された再生パルプは、特に制限なく種々の用途に用いることができる。本発明によって得られる再生パルプは、例えば、公知の方法により抄紙して、印刷用紙、新聞用紙の他、塗工紙、情報用紙、加工用紙、衛生用紙等として使用することができる。情報用紙としてさらに詳しくは、電子写真用転写紙、インクジェット記録用紙、感熱紙、フォーム用紙等が挙げられる。加工用紙としてさらに詳しくは、剥離紙用原紙、積層板用原紙、成型用途の原紙等が挙げられる。衛生用紙としてさらに詳しくは、ティッシュペーパー、トイレットペーパー、ペーパータオル等が挙げられる。また、段ボール原紙等の板紙として使用することも可能である。
【0029】
特に本発明によって得られる再生パルプは、異物の混入が少なく、また、異物と繊維との界面に衝撃波が作用しやすいため繊維自体の損傷が少ない傾向があり、再生パルプとして優れたものである。また、本発明によれば、再生パルプの製造に従来から用いられていた古紙だけではなく、現状では洋紙向け再生パルプの原料には利用困難である古紙から再生パルプを製造できるため、本発明は環境的にも好適である。
【実施例】
【0030】
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はかかる実施例に限定されるものではない。なお、特段の記載がないかぎり、本明細書において部および%は質量基準であり、数値範囲はその端点を含むものとして記載される。
【0031】
実施例1
古紙として、市販のアルミ蒸着紙((株)トッパンプロスプリント製:古紙A)を用いた。図1に示すように、古紙Aは、原紙上に、接着剤層、アルミニウム蒸着層、保護層を有する。この古紙Aを4×8cmの大きさに切り取り、試験に供した。
【0032】
衝撃波発生源(爆薬)を備える水槽にこの試験片を設置して、衝撃波処理を行った。古紙Aの試験片は、金属蒸着面を衝撃波発生源に向けて水槽に設置した。
衝撃波発生源としては、爆薬の爆発エネルギーを利用した。爆薬として導爆線(日本カーリット製、8g/m)を用い、6号電気雷管にて起爆し、衝撃波を発生させた。導爆線と古紙の距離(約70cm)は、衝撃波による圧力が150MPaとなるように調節した。
【0033】
このようにして発生させた衝撃波を、上記古紙に1回与えた。なお、試験片を水槽に設置してから回収するまでの時間は5分程度であった。衝撃波処理後の試験片の写真を図3に示す。
【0034】
実施例2
古紙として、アルミ箔をラミネートした飲料用紙パック(日本紙パック(株)製、古紙B)を用いた以外は、実施例1と同様にして古紙を衝撃波処理した。なお、衝撃波処理の際、古紙Bのアルミ箔をラミネートした面を衝撃波発生源に向けて設置した。図2に示すように、古紙Bは、原紙の一方に、ポリエチレン層、アルミ箔層、ポリエチレン層を有し、原紙のもう一方にポリエチレン層を有する。衝撃波処理後の試験片の写真を図4に示す。
【0035】
比較例1
衝撃波処理を行わず、古紙Aの試験片を水道水に5分間浸漬した。浸漬後の試験片の写真を図5に示す。
【0036】
比較例2
古紙として古紙Bを用いた以外は、比較例2と同様にして古紙を水道水に5分間浸漬した。浸漬後の試験片の写真を図6に示す。
【0037】
<結果>
図3から分かるとおり、実施例1(古紙A)ではアルミ層が微細化することなく原紙から剥離していることが分かる。また、図4から分かるとおり、実施例2(古紙B)ではアルミ層およびラミネート層が微細化することなく、原紙層より剥離していることが分かる。
【0038】
一方、図5から分かるとおり、比較例1(古紙A)ではアルミ層の剥離は観察されなかった。また、図6から分かるとおり、比較例2(古紙B)では試験片を水に浸漬しても大きな変化は認められなかった。
【0039】
このことから、本発明によって古紙を衝撃波処理することにより、アルミ層やラミネート層などの異物を微細化することなく原紙層から異物を剥離できることがわかった。すなわち、本発明によれば、剥離させた異物が微細化しにくいため、スクリーンなどを用いる除塵工程によって異物を容易に除去することができ、従来、再生パルプの原料には不適とされた古紙を用いて効率的に再生パルプを製造することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
古紙に衝撃波を与えてパルプ繊維から異物を剥離させることを含む、再生パルプの製造方法。
【請求項2】
前記衝撃波を液体中で与える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記衝撃波処理の後に、剥離された異物を除去する除塵工程を行う、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記衝撃波の圧力が0.1〜500MPaである、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記衝撃波を爆薬により発生させる、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記古紙が、多層構造を有する古紙である、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図7】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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