説明

衝突検出装置および方法

本発明は、内部スペースを有し、その中の患者の身体におけるターゲットの治療のために内部スペースの放射線焦点に向かって放射ビームを放射する放射線ユニット(3)を含む放射線治療装置のための衝突検出装置に関する。この衝突検出装置は、衝突検出ユニット(1)を含み、これは少なくともその外面で導電性であり、そして放射線ユニットの内部スペースよりもわずかに小さい寸法を有し、したがって内部スペースに挿入可能であり、そしてスペーサ要素(5)によって放射線ユニットに関して電気絶縁状態で保持される。外側導電性表面(2)は、身体部位(7)またはそれに取り付けた任意の機器(6、8)により生じた衝突検出ユニットの変形または変位により衝突検出ユニットの外面が放射線ユニットの内面に当接したかどうかを検出するように電圧源(10)に接続可能である。本発明は、このような衝突検出を行う方法にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部スペースを有し、患者身体内のターゲットの治療のために内部スペースの放射線焦点に向かって放射ビームを放射する放射線ユニットを含む放射線治療装置のための衝突検出装置に関する。より正確に言うと、この衝突検出装置は、治療しようとしているターゲットを放射線焦点の位置に合わせるためにスペース内部で患者を移動させたときに、身体部分またはそれに接続したなんらかの機器が放射線ユニットの内部スペースを構成している表面と接触するかどうかを検出するように機能する。
本発明は、このような衝突検出を実施する方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、主として、放射ビーム、代表的にはガンマ線を組織内部の限られた領域、いわゆる放射線焦点に向かって合焦させるいわゆる放射線手術に関する。放射ビームを合焦させることによって放射線焦点において高い放射線量を達成し、この焦点領域内の組織を破壊できる。このようにして、たとえば、頭蓋骨を開くことなく脳内部の癌性腫瘍を破壊することが可能になる。
【0003】
しかしながら、本発明は、或る種の放射ビーム合焦を伴ういかなる放射線治療にも、たとえば、主目的が組織を直ちに破壊することになくて、繰り返し治療することで冒された組織を徐々に除去することにある放射線療法にも応用できる。本発明は、また、脳以外の身体部位の放射線手術または放射線療法にも関わるものではあるが、脳は、頭蓋骨に対して固定された位置にあり、これにより、高い精度の治療が可能になっているので、特にこの種の治療にさらに適している。これに対して、たとえば、体幹内の臓器は、骨格に対して移動しやすく、この種の高精度放射線治療を施すのがもっと難しくなる。治療機器に対する冒された組織の固定は、たとえば、腕、脚ではより簡単であり、または、脊柱付近でもより簡単であり、骨により、機器に対して組織を固定することが可能である。
【0004】
したがって、本発明は、或る形の放射ビーム合焦を伴うすべての放射線治療に適用できる。これらの状況下では、しばしば、治療しようとしているターゲット領域を放射線焦点の位置に合わせるべく、患者またはその身体部位を放射線ユニット内部の治療スペース内で変位させる必要がある。放射線ユニットは、多くの異なった形状を有する可能性があり、通常、空洞様に形成した治療スペースを持つボウルまたは球体の形態、または、治療スペースが単に貫通孔の形をとる円形、四角形その他の形を有するリングの形態を有する。したがって、治療しようとしている身体部位を治療スペースに挿入してから、治療しようとしているターゲット領域が放射線焦点内に入るまで変位させる。この治療プロセス中に患部全体を規則的かつ広範囲にわたって照射するために身体部位を変位させる必要すらあるかもしれない。この身体部位変位中、身体部位またはそれにつなげた任意の機器、たとえば、身体部位の固定のための固定デバイスが放射線ユニットの内部と衝突し、その結果、患者を傷つけたり、機器を損傷したりするおそれがあるというリスクが常にある。
【0005】
たとえば、放射線手術を脳に施す場合、患者の頭蓋骨にねじ止めした固定ピンによって頭蓋骨を固定フレーム、いわゆる定位フレームに固定する。次に、診断、治療中、この定位フレームを放射線デバイスの変位デバイスに固定する。このようにして、脳を基準座標系に位置決めし、治療中の移動経路を高い精度で予め算出できる。治療中の変位は、通常、医療職員が過剰な放射線に曝露するのを回避すると共に、移動経路ならびに移動速度、停止時間に関して充分な精度を持った治療を施すことができるようにするため、電動機によって自動的に行われる。
【0006】
従来技術では、電動機に供給した電力を測定することによって起こりうる衝突を検出することが知られている。電力供給量が所定値を超えると、電力供給が中断され、電動機が停止する。このような解決策には1つ問題がある。固有の干渉があったり、患者/身体部位が重かったりした場合に偶発的な中断の原因になる可能性があるために、電力供給中断点を低く設定することができないのである。一方、中断点を高く設定すると、機器の損傷、基準座標系に関する身体部位のずれの原因になる可能性があり、衝突時に患者を傷つける可能性すらあるのである。放射線手術を脳に施す場合には、治療中に患者の頭部を変位させるばかりか、同時に、機器における張力を回避すると共に患者に与える不快感を回避するために患者の身体全体を変位させることもある。患者の全身を変位させる場合、身体部位、たとえば頭部のみを変位させるときよりもかなり大きな力が必要である。したがって、中断点は相対的に高く設定しなければならないが、その場合、衝突時に、電動機が停止するまでに甚大な被害を与えることになる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、従来技術の欠陥、欠点をなくし、放射線治療ユニットと患者/身体部位またはそれにつないだなんらかの機器とのいかなる衝突をも検出することができ、信頼性があるばかりか製造、据え付け、使用が簡単であり、それ故に安価でもある衝突検出装置を提供することにある。この目的は、少なくとも、請求項1に記載の衝突検出装置によって達成される。
【0008】
本発明は、また、本質的に上記と同じ目的で衝突検出を実施するための方法にも関する。これは、請求項13に記載の方法によって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、少なくともその外面に導電層を含み、電気絶縁スペーサ要素によって放射線ユニットから短い距離を隔てて保持されている衝突検出ユニットを内部に備えた放射線ユニットを用意することによって、信頼性の高い衝突検出を達成できるという理解に基づいている。据え付けの後、衝突検出ユニットを電圧源に接続する。衝突検出ユニットの電圧レベルをモニタすることによって、患者の身体部位またはそれに取り付けた任意の機器と放射線ユニットの内面とのいかなる衝突も容易に検出できる。なぜならば、この場合、導電層が放射線ユニットと接触してアース接続し、電圧レベルを0ボルトまで低下させるように衝突検出ユニットの壁が変形するかまたは変位するからである。
【0010】
モニタリングは種々の方法で実施できる。最も簡単な方法は、作業者の目視読み取り用のゲージ・インジケータ上に衝突検出ユニットでの電圧を表示するか、電圧低下で或る種の視覚または聴覚警告デバイスを作動させるかすることである。衝突が検出された場合には、作業者は患者の変位を中断できる。しかしながら、或る種のモニタリング・デバイスによってモニタリングを自動的に実施し、たとえば、移動を行っている電動機への電力供給を中断することによって患者を動かしている機器が停止するようにすることが好ましい。
【0011】
衝突検出ユニットは、種々の方法で種々の材料から製造できる。一実施形態では、衝突検出ユニットは、所望の形状に押し出し成形または射出成形できるのが好ましい電気絶縁材料、たとえば、プラスチックで作ってある。その後、衝突検出ユニットの外面に導電層、たとえば、導電性ペイントまたは金属フォイルを設ける。このようにして、衝突検出ユニットの内部は電気的に絶縁されることになり、これにより、衝突時に患者を感電から守ることになる。
【0012】
さらに別の実施形態においては、先の実施形態とは異なり、衝突検出ユニットの本体を導電材料、好ましくは金属で作り、その後、内面を好ましくは電気絶縁材料、たとえば、ペイントまたはプラスチックで覆う。患者に不快感を与える可能性はあるが、患者には無害であるように電圧レベルを充分に低く、たとえば、15ボルトより低くするならば、衝突検出ユニットを導電材料で作り、内面になんら電気絶縁層も設けないということも確かに可能である。
【0013】
衝突検出ユニットの本体を電気絶縁材料で作るか又は導電材料で作るかに関係なく、衝突時に本体の壁が撓むことによって電気接触を達成できるように本体を薄くて可撓性があるように作っても、または、衝突時に患者の全身の変位によって電気接触を達成できるように本体を剛性に作ってもよい。前者の場合、スペーサ要素をテープストリップまたはプラスチック・ノブのような剛性材料で作るとよい。後者の場合、スペーサ要素は、それ自体が弾性であるか、または弾性的に、例えばゴム、気泡ゴムもしくはばねからなるスペーサ要素により、または、ばねによって保持されたプラスチック・ノブで保持されるかしなければならない。また、衝突検出ユニットまたは放射線ユニットに設けた凹所にスペーサ要素を設けることも必要である。弾性であるかまたは弾性的に保持されたスペーサ要素を設けるという利点の1つは、スペーサ要素付近でも衝突を検出できるということにある。衝突検出ユニットが機能する必要条件の1つは、衝突検出ユニットが放射線ユニットに関して電気的に絶縁された状態で保持されるということである。これは、スペーサ要素自体が電気絶縁材料で作られていなければならないということを必ずしも意味せず、電気絶縁状態で、たとえば、衝突検出ユニット上の絶縁性着座部に係合する金属性ばねで保持されていなければならないということである。
【0014】
また、衝突検出ユニットと放射線ユニットとの間のギャップが充分に小さいことが望ましいので、衝突検出ユニットの形状は放射線ユニットの内部スペースの形状に応じて異なる可能性がある。したがって、衝突検出ユニットは、たとえば、貫通孔を有するリングまたはシリンダとして、または、一端が閉じたボウルとして形成することができる。衝突検出ユニットの、全長にわたる断面寸法を変えてもよい。
【0015】
スペーサ要素の形態、材料は随意である。主たる必要条件は、スペーサ要素が、放射線ユニットの内面から短距離のところに電気絶縁状態で衝突検出ユニットをしっかりと保持することができなければならないということである。一実施形態では、スペーサ要素は、衝突検出ユニットの外面に留めたテープのストリップである。このようなスペーサ要素は、安価である上に、適切であればどこにでも容易かつ迅速に留めることができ、放射線ユニットの内面から非常に短い距離のところで衝突検出ユニットを保持できる。しかしながら、他の材料の、異なった形状を有するスペーサ要素、たとえば、先に述べたような弾性スペーサ要素を製造することは可能である。また、衝突検出ユニットに対してプラスチック本体を射出成形すると同時にスペーサ要素を形成することも可能である。この場合、スペーサ要素は、プラスチック本体と同じ材料で一体成形される。
【0016】
剛性スペーサ要素の場合、衝突検出ユニットは各スペーサ要素の位置で変形することができず、その位置ではなんらの衝突も検出できないので、衝突の可能性が最も低い場所にこのようなスペーサ要素を設けると最適である。頭部の治療の場合、これらの位置は、通常、頭部に対して真っすぐ前か、真っすぐ後か、真っすぐ側方にある。これは、通常、定位フレームの固定ピンがこれらの位置に関して「斜めに」取り付けられるという事実による。そして、固定ピンが、通常、頭部から或る距離まで突出しているので、たとえ頭部が真っすぐに前方、後方または側方に移動したとしても、固定ピンのいずれかが衝突検出ユニットと衝突することになる確率は大きい。
【0017】
好ましい実施形態において、衝突検出ユニットは、1つまたはそれ以上のばね負荷式タッチ・プローブを介して電圧源ならびにゲージ・インジケータまたはモニタリング・デバイスに接続している。これらのタッチ・プローブは、衝突検出ユニットの外面にある導電層と当接し、電圧をこの導電層に伝えたり、そこから受け取ったりする。この種の着脱可能なタッチ・プローブを使用すれば、衝突検出ユニットを取り付けたり、取り外したりするのが容易になる。しかしながら、電気接続がたとえば衝突検出ユニットにはんだ付けしたワイヤからなる固定接続であってもよいことは了解されたい。
【0018】
或る実施形態においては、本発明による衝突検出装置はタッチ・プローブを1つしか備えていない。すなわち、ただ1つのプローブだけが衝突検出ユニットを電圧源、ならびにゲージ・インジケータまたはモニタリング機器に接続しているのである。別の実施形態では、2つの別体のタッチ・プローブが設けてあり、1つのタッチ・プローブは衝突検出ユニットに電圧を伝えるためのものであり、もう1つのタッチ・プローブは衝突検出ユニットの電圧レベルをモニタするためのものである。このようにすれば、タッチ・プローブが接触から外れて衝突の発生を検出できないという可能性がなくなる。2つの別体のタッチ・プローブの場合、タッチ・プローブの1つが接触から外れている場合、ゲージ・インジケータまたはモニタリング機器が衝突を検出しており、これにより、作業員が操作前に機器を点検する機会を持てる。
【0019】
別の実施形態において、衝突検出ユニットは、外側導電層に電気的に分離したセクタを備え、各セクタが上述したように1つまたは2つの別々の接続手段によって接続するようにしてもよい。このような配置の場合、放射線ユニットのどのセクタで衝突が生じたかを知ることができると共に、この衝突を避けるように自動変位デバイスを制御できる。
【0020】
以下、添付図面を参照しながら本発明を詳しく説明する。
図1は、本発明の好ましい実施形態による衝突検出ユニットの断面図である。
図2は、図1の衝突検出ユニットを通る縦断面図である。
図3は、本発明による組み立て済みの放射線ユニット・衝突検出ユニットを通る概略縦断面図であり、電圧供給・モニタリング・デバイスも示す図である。
図4は、図3のIV−IV線に沿った断面図である。
図5は、別の実施形態の、図4と同様の断面図である。
図6は、電圧供給・モニタリング・デバイスの概略拡大図である。
図7は、電圧供給・モニタリング・デバイスの別の実施形態の概略図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図1、2には、本発明による衝突検出ユニット1の一実施形態が示してある。衝突検出ユニットの形状は、それを挿入しようとしている放射線ユニットの内部スペースの形状で決まる。説明を簡潔にするために、衝突検出ユニットは、円形横断面を有し、一端が閉じている単純な円筒形のボウルとして示してある。しかしながら、実際には、衝突検出ユニットはもっと複雑な形状を有することがある。
【0022】
衝突検出ユニットは、好ましくは、プラスチックで作る。たとえば、射出成形または任意他の適当な製造方法で作るものであり、力が加わったときに容易に撓み得る薄い可撓性の壁を有する。
【0023】
したがって、衝突検出ユニットの本体は電気的に絶縁性である。しかしながら、本発明によれば、衝突検出ユニットの外面は、導電層2、好ましくは、導電性ペイントからなるものを備えているが、他のタイプの層、たとえば、薄い金属フォイルも可能である。
【0024】
図3、4において、衝突検出ユニット1は、概略的に示した放射線ユニット3に挿入した状態で示してある。衝突検出ユニットの外側導電層が放射線ユニットの内面と接触するのを防ぐべく衝突検出ユニットと放射線ユニットとの間に小さいギャップ4を形成するために、この好ましい実施形態では、4つの細長いテープストリップ5の形をしたスペーサ要素が衝突検出ユニットと放射線ユニットとの間に装着してある。しかしながら、テープストリップの数は随意であり、もっと多いまたはもっと少ないテープストリップも本発明の範囲内で考えることができる。テープストリップは、図3で最も良くわかるように、衝突検出ユニットの外面で、衝突検出ユニットのほぼ全長にわたって、端面のちょっと手前まで軸線方向に延びている。スペーサ要素が衝突の検出を妨げるのをできる限り避けるために、テープストリップは、最上方位置、最下方位置ならびに最側方位置に設置する。これは、特定の用途に応じて変わり得るが、ここに示す用途の場合、患者の頭部7を固定する定位フレーム6は、頭部に関して「斜めに」位置した固定ピン8を有する。したがって、定位フレームが固定ピンのうち1つの固定ピン領域において最初に衝突検出ユニットに衝突する可能性大であり、おそらく、図4からわかるように、このスペーサ要素の領域では衝突は起きない。
【0025】
また、図3には、組み合わせ電圧供給・モニタリング・デバイスも概略的に示してあり、これは、ただ1つのばね負荷式タッチ・プローブ9を介して衝突検出ユニット1上の導電層2に接続している。電圧は電圧源10から適切な抵抗器11を介して導電層まで送られる。ここには、タッチ・プローブとアースの間に接続したモニタリング・デバイス12が単純な電圧ゲージ・インジケータとして示してあるが、治療スペース内で患者の変位を自動的に行うか、または、衝突検出時に変位を行っているモータに対する電力供給を中断するかするための制御ユニットに信号を与えるようになっているモニタリング・デバイスであってもよいことは了解されたい。
【0026】
衝突が生じたとき、定位フレーム6または患者が衝突検出ユニット1を圧迫することになり、衝突検出ユニット1が撓み、外側導電層2が放射線ユニットの内面と係合することになる。したがって、衝突検出ユニットの電圧レベルが放射線ユニットと同じレベルまで低下することになる。放射線ユニットがアース接続されているので、この電圧は、通常、0ボルトである。この電圧低下は、ゲージ・インジケータに表示されて作業者が読み取ることができるか、または、モニタリング・デバイス12で検出できる。
【0027】
図5には、本発明による衝突検出ユニットの別の実施形態が示してある。この実施形態においては、衝突検出ユニットの外面にある導電層は、互いに電気的に絶縁された4つの別々のセクタ2’〜2’’’’に分割してある。各セクタは、好ましくは、図面では点で示してある、上述したような1つまたは2つのタッチ・プローブ9’〜9’’’’を介して別々に電圧源およびモニタリング・デバイスに接続してある。このように構成した衝突検出デバイスにより、どのセクタで衝突が生じたかを検出することが可能になる。このような情報は、たとえば自動安全システムにとって非常に有用である。自動安全システムは、この情報を使用して、衝突検出後に患者を正しい方向に移動させることができる。
【0028】
図6、7は、衝突検出ユニットを電圧源およびモニタリング・デバイスに電気的に接続する2つの異なった実施形態の概略拡大断面図である。図6において、衝突検出ユニット1の接続は、1つの共通のタッチ・プローブ9を介して行っており、このタッチ・プローブ9が衝突検出ユニットを電圧源10、モニタリング・デバイス12の両方に接続している。このタッチ・プローブは、放射線ユニットに設けた孔に挿入してあるが、絶縁挿入体によって放射線ユニットからは電気的に絶縁してある。好ましくは、タッチ・プローブは、ばね負荷式であり(図示せず)、接触圧力によって衝突検出ユニットの外側導電層2と当接して確実に電気接触を行っている。タッチ・プローブ9は抵抗器11を経て電圧源10に接続している。ここでは、大きな内部抵抗を有する電圧ゲージ・インジケータとして示したモニタリング・デバイス12がタッチ・プローブとアースの間に接続している。また、放射線ユニット3もアースに接続している。通常、衝突検出ユニットは、放射線ユニットの電圧レベル(0ボルト)とは異なる電圧レベルを有する。これはモニタリング・デバイス12によって示される。しかしながら、衝突が生じて衝突検出ユニット1の導電層2が放射線ユニット3と接触することになると、衝突検出ユニットが放射線ユニットを経てアースに短絡する。このことは、モニタリング・デバイス12によって作業員に示されるか、制御回路によって検知される。抵抗器11は、電圧源10が衝突時にアースに短絡するのを防ぐ。
【0029】
しかしながら、上記タイプの電気回路で万が一にもタッチ・プローブ9と衝突検出ユニット1の接触が中絶したならば、モニタリング・デバイス12は、たとえ衝突があったとしても衝突を示すことはない。この問題は、図7に示す電気回路によって回避できる。ここでは、衝突検出ユニットまたはそれの各セクタは、互いに電気的に隔離されている2つのタッチ・プローブ9’〜9’’によって接続している。タッチ・プローブのうちの一方は、抵抗器11を経て衝突検出ユニット1を電圧源10と接続し、他方のタッチ・プローブは、衝突検出ユニットをモニタリング・デバイス12と接続している。万が一にもタッチ・プローブの一方または両方が衝突検出ユニットとの接触から外れた場合には、モニタリング・デバイスが衝突検出装置上の0ボルトを測定することになり、これが衝突の可能性を示す。したがって、作業員が、機器をチェックする機会を得て、あらゆる問題に対処することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の好ましい実施形態による衝突検出ユニットの断面図である。
【図2】図1の衝突検出ユニットを通る縦断面図である。
【図3】本発明による組み立て済みの放射線ユニット・衝突検出ユニットを通る概略縦断面図であり、電圧供給・モニタリング・デバイスも示す図である。
【図4】図3のIV−IV線に沿った断面図である。
【図5】別の実施形態の、図4と同様の断面図である。
【図6】電圧供給・モニタリング・デバイスの概略拡大図である。
【図7】電圧供給・モニタリング・デバイスの別の実施形態の概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部スペースを有し、その中の患者の身体内のターゲットを治療するためにこの内部スペースにある放射線焦点に向かって放射ビームを放射する放射線ユニットを含む放射線治療装置のための衝突検出装置であって、治療ターゲットを放射線焦点に位置させるべく患者を治療スペース内で移動させるときに、患者の身体部位またはそれに取り付けた定位フレームのような機器が放射線ユニットの内部スペースを構成している表面と接触したかどうかを検出するように機能する衝突検出装置において、該衝突検出装置が衝突検出ユニットを含み、これは少なくともその外面で導電性となっており、そして放射線ユニットの内部スペースよりも小さい寸法を有し、したがって内部スペース内に挿入することができ、そして放射線ユニットに関して電気絶縁状態に保持され、例えばこの衝突検出ユニットの外側導電性表面が放射線ユニットの内面から或る距離をおいて保持され、そして身体部位またはそれに取り付けた任意の機器によって生じた衝突検出ユニットの変形または変位により、衝突検出ユニットの外面が放射線ユニットの内面と当接したかを検出するように電圧供給源に接続できることを特徴とする衝突検出装置。
【請求項2】
衝突検出ユニットがスペーサ要素によって放射線ユニットの内面から或る距離をおいて保持されている、請求項1に記載の衝突検出装置。
【請求項3】
スペーサ要素が弾性材料で作ってある、請求項2に記載の衝突検出装置。
【請求項4】
衝突検出ユニットがその内面で電気的に絶縁してある、請求項1に記載の衝突検出装置。
【請求項5】
衝突検出ユニットがその外面に導電層を有する電気絶縁材料で作ってある、請求項4に記載の衝突検出装置。
【請求項6】
衝突検出ユニットがその内面に電気絶縁層を有する導電性材料で作ってある、請求項4に記載の衝突検出装置。
【請求項7】
外面上の導電層が、2つまたはそれ以上の別々のセクタに分割してあり、これらのセクタが、互いに電気的に絶縁してあり、また、各セクタが電圧源およびモニタリング・デバイスに別々に接続してあって、どのセクタに衝突が生じたかを検出できるようになっている、請求項5に記載の衝突検出装置。
【請求項8】
衝突検出ユニットの外面が導電性ペイントで塗装してある、請求項5に記載の衝突検出装置。
【請求項9】
衝突検出ユニットの内面が電気絶縁ペイントで塗装してある、請求項6に記載の衝突検出装置。
【請求項10】
衝突検出ユニットの外面がばね負荷式タッチ・プローブと電気的に接続している、請求項1に記載の衝突検出装置。
【請求項11】
衝突検出ユニットが、2つの別々のタッチ・プローブと接続しており、1つのタッチ・プローブが電圧源に接続しており、もう1つのタッチ・プローブがモニタリング・デバイスに接続している、請求項10に記載の衝突検出装置。
【請求項12】
衝突検出ユニットが自動モニタリング・デバイスに接続しており、この自動モニタリング・デバイスが、自動変位デバイスによる患者の変位を検知し、それを自動的に中断させる、請求項1に記載の衝突検出装置。
【請求項13】
放射線治療装置によって放射線治療を実施するときの、患者の身体の一部またはそれに取り付けたなんらかの機器、たとえば、定位フレームと放射線ユニットの内部スペースの内面との衝突を検出する方法であって、
少なくともその外面が導電性であり、放射線ユニットの内部スペースよりも小さい寸法を有する衝突検出ユニットを用意し、
放射線ユニットに関して電気的に絶縁した状態で、たとえば、衝突検出ユニットの外側導電性表面が放射線ユニットの内面から或る距離をおいて保持されるように衝突検出ユニットを放射線ユニットの内部スペースに挿入し、
衝突検出ユニットの導電性外面を電圧源に接続し、そして
身体部位またはそれに取り付けた任意の機器が放射線ユニットに当接することによって生じた衝突検出ユニットの変形または変位による衝突検出ユニットにおける電圧レベルのなんらかの変化をモニタすることによって、身体部位またはそれに取り付けた任意の機器と放射線ユニットの内面との間で起こり得る衝突を検出すること、
からなる方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2008−504864(P2008−504864A)
【公表日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−519158(P2007−519158)
【出願日】平成17年6月23日(2005.6.23)
【国際出願番号】PCT/SE2005/000991
【国際公開番号】WO2006/001768
【国際公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【出願人】(501376637)エレクタ・アクチエボラーグ (1)
【Fターム(参考)】