説明

衝突検知機構及び車両用衝突検知装置

【課題】物体への車両バンパ衝突時にチャンバ空間内に生じる負圧を低減もしくは無くすことができ、これによって衝突検知の応答遅れ並びに衝突検知精度の低下を無くし、衝突時に素早く衝突安全機能を作動させること。
【解決手段】車両バンパ内に配設されたチャンバ部材11並びにチャンバ部材11のチャンバ空間11a内の圧力変化を検出する圧力センサ8とを備える衝突検知機構10において、チャンバ部材11におけるチャンバ空間11aを有し且つ断面四角形状の車両前後方向に沿った水平な辺の長さが、当該水平な辺に対する垂直な辺の長さ以上である部分を、チャンバ部材11aの上下面何れか一方の面(例えば下面11b)がチャンバ空間11aに凹状に反って入り込む形状とした。また、この衝突検知機構10と、圧力センサ8に電気的に接続された電子制御ユニットとを備えて車両用衝突検知装置を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも車両バンパ内に搭載されるチャンバ部材を有して成る衝突検知機構、及び、その衝突検知機構のチャンバ空間内の圧力変化を圧力センサで検出することにより、歩行者(人)やその他の物などの物体が車両バンパに衝突したことを検知する車両用衝突検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、歩行者保護の目的で、車両バンパへの物体の衝突時に衝突物が歩行者か否かを判定し、歩行者と判定した場合は、歩行者を保護するための装置(例えば、アクティブフードやカウルエアバッグ)を作動させる技術が提案され、また実用化が検討されている。歩行者かそれ以外の物かを極力正確に判定するために、図1に示すように車両に車両用衝突検知装置1が搭載されている。但し、図1(a)は従来の車両用衝突検知装置1の構成を示す平面図であり、図1(b)は(a)に示すA1−A2断面図である。
【0003】
車両用衝突検知装置1は、車両バンパ2内に配設された従来例の衝突検知機構としてのチャンバ部材7並びに、チャンバ部材7に図示せぬブラケットにより取り付けられた圧力センサ8を備え、更に圧力センサ8に電気的に接続された図示せぬ電子制御ユニットを備えて構成されている。車両バンパ2は、バンパカバー3、バンパレインフォースメント4、サイドメンバ5、アブソーバ6、及びチャンバ部材7を主体として構成されている。
【0004】
バンパカバー3は、車両前端部にて車両左右方向(車両幅方向)に概略弓状に延びる長手状を成し、バンパレインフォースメント4、アブソーバ6及びチャンバ部材7を覆うように車体に取り付けられる樹脂(例えば、ポリプロピレン)製のカバー部材である。バンパレインフォースメント4は、バンパカバー3内に配設されて車両幅方向に延びる金属製の梁状部材である。
【0005】
サイドメンバ5は、車両の左右両側面近傍に位置して車両前後方向に長手状に延びる一対の金属製部材であり、その前端に上述したバンパレインフォースメント4が取り付けられている。アブソーバ6は、バンパカバー3内でバンパレインフォースメント4の前面下方側に取り付けられ、車両幅方向に長手状に延びる発泡樹脂製部材であり、車両バンパ2における衝撃吸収作用を発揮する。アブソーバ6の車両前後方向における長さは、車種によって異なるが、例えば、40〜100mm程度である。
【0006】
チャンバ部材7は、バンパカバー3内でバンパレインフォースメント4の前面上方側に取り付けられ、車両幅方向に概略弓状に延びる箱状の合成樹脂製部材であり、内部に厚さ数mmの壁面によって囲まれた密閉状のチャンバ空間7aが形成されている。チャンバ部材7は、車両バンパ2における衝撃吸収と圧力伝達との二つの作用を併せ持っている。
【0007】
圧力センサ8は、気体圧力を検出可能なセンサ装置であり、チャンバ部材7に図示せぬブラケットで組付けられてチャンバ空間7a内の圧力変化を検出可能に構成されており、その圧力変化を検出することにより得られる検出圧力信号を電子制御ユニットへ出力する。電子制御ユニットは、図示せぬ歩行者保護用エアバッグやポップアップフードの展開制御を行うための電子制御装置であり、圧力センサ8から出力される検出圧力信号に応じて車両バンパ2に歩行者が衝突したか否かを判別する処理を行う。なお、電子制御ユニットには、圧力センサ8からの検出圧力信号による検出圧力結果に加え、図示せぬ車速センサからの車速検出結果を入力し、これら圧力検出結果及び車速検出結果に基づき歩行者衝突の判定を行うようにすることが好ましい。
【0008】
このように歩行者を判別する理由は、車両バンパ2に衝突した障害物が歩行者でない場合、フード上の保護装置(例えばアクティブフード)を作動させると様々な悪影響が生じるからである。例えば三角コーンや工事中看板等の軽量落下物と衝突した場合に歩行者と区別できないと、保護装置を無駄に作動させて余分な修理費が発生する。また、コンクリートの壁や車両等の重量固定物と衝突した場合に歩行者と区別できなければ、フードが持ち上がった状態で後退していくのでフードが車室内に侵入し乗員に危害を与える恐れがある。このように、障害物が歩行者であるか否かを正確に分別することが要求されるようになっていることから、従来、車両バンパ2内でバンパレインフォースメント4の前面にチャンバ部材7を配設し、チャンバ空間7a内の圧力変化を圧力センサ8で検出することにより車両バンパ2への歩行者等の衝突を検知する車両用衝突検知装置1が提案されていた。この種のチャンバ部材を備えて衝突を検知する技術として特許文献1に記載のものがある。
【特許文献1】特開2007−290689号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、上述した特許文献1に記載のチャンバ部材や図1に示したチャンバ部材7は、図1(b)に示すように、当該チャンバ部材7を車両前後方向に沿った切断面が四角形状(断面四角形状)部分における車両前後方向の水平な辺の長さ(水平辺長)Hと、その水平に対して垂直な辺の長さ(垂直辺長)Vとの比率が車種等に応じて異なる。水平辺長Hが、垂直辺長Vの長さ以上の場合、物体への車両バンパ2の衝突時にバンパカバー3を介してチャンバ部材7及びアブソーバ6に、図2に矢印Y1で示す衝突による圧縮力が加わり、この圧縮力により、チャンバ部材7及びアブソーバ6の上下面を上下方向に突き出す応力(上下方向突出応力とも称す)が加わる。
【0010】
この応力のため、チャンバ部材7の上下面が上下方向に膨らみ、チャンバ空間7aの容積が大きくなるので、この間、チャンバ空間7a内の圧力が図3に矢印Y2で指示するように一時的に負圧となる部分が生じる。この負圧が生じると、この間、圧力センサ8で圧力変化が適切に検出できなくなる可能性があるので、衝突検知の応答遅れが生じるという問題がある。
【0011】
但し、アブソーバ6は発泡樹脂製部材でチャンバ部材7のような内部空間はないが、応力によってチャンバ部材7と同様に上下に突き出た断面が概略六角形状(概略断面六角形状)に変形する。また、図3はチャンバ空間7a内の圧力(kPa)と時間(ms)との特性曲線であり、破線C1は負圧が生じた際の負圧発生特性曲線、実線C2は負圧が生じない場合の負圧未発生特性曲線である。
【0012】
また、負圧が生じると、負圧発生特性曲線C1に矢印Y3で指示するように、チャンバ空間7a内の圧力のピーク値が、負圧未発生特性曲線C2に矢印Y4で指示するピーク値よりも低くなるので、圧力センサ8で本来検出すべき圧力変化が検出できない可能性がある。言い換えれば、衝突検知精度が低下する可能性があるという問題がある。
【0013】
上記のように衝突検知の応答遅れ並びに衝突検知精度の低下が生じると、電子制御ユニットによる歩行者かそれ以外の物かの判別や、エアバッグ等の人を保護する装置(衝突安全機能)の作動タイミングが遅くなり安全性が低下することになる。 本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、物体への車両バンパ衝突時にチャンバ空間内に生じる負圧を低減もしくは無くすことができ、これによって衝突検知の応答遅れ並びに衝突検知精度の低下を無くし、衝突時に素早く衝突安全機能を作動させることができるチャンバ部材及び車両用衝突検知装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、本発明による衝突検知機構は、車両バンパ内のバンパレインフォースメントの車両前方側に配置され、チャンバ空間を有するチャンバ部材と、このチャンバ部材のチャンバ空間の圧力変化を検出する圧力センサとを備える衝突検知機構において、前記チャンバ部材は、前記チャンバ空間を有し且つ車両前後方向に沿った切断面が略四角形を成し、この略四角形の少なくとも1つの辺は車両前後又は上下方向に平行に配置されており、当該チャンバ部材の上下面何れか一方の面の少なくとも一部が当該チャンバ空間に凹状に入り込む形状に形成されていることを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、物体への車両バンパの衝突時に水平方向に加わる圧縮力に応じてチャンバ部材に働く上下方向の応力によって、凹状に入り込む形状の面(例えば下面)が更にチャンバ空間内に入り込む。一方、他方の上面は、従来と同様に水平状なので上方向に突き出す応力によって上方に突き出して折れ曲がる形状に変形する。この場合、平面状の上面を上方に折り曲げる応力よりも、予め上方に凹状に反った形状の下面を更にチャンバ空間内に反らせる応力の方が大幅に小さくて済む。このため、衝突時に同じ応力が上下面に働いた場合、変形し難い上面が突き出して膨らむ量よりも、変形し易い下面がチャンバ空間内に入り込む量の方が大きくなる状態が生成された場合、チャンバ空間の容積が衝突前よりも減少することになる。従って、本発明のチャンバ部材は、物体への車両バンパの衝突初期時に、チャンバ空間の容積が減少する状態にも変形するので、チャンバ空間内の負圧が低減もしくは無くなることになる。これによって、従来のような負圧時に圧力センサで圧力変化が検出できず衝突検知の応答遅れが生じるといったことを無くすことができる。
【0016】
また、負圧を低減もしくは無くすことができるので、チャンバ空間内の圧力ピーク値が低下することが略無くなるか又は無くなり、その低下による圧力センサでの圧力変化の検出精度の低下を無くすことができる。言い換えれば、衝突検知精度の低下を無くすことができる。 また、本発明による衝突検知機構は、前記特定部分が、前記チャンバ部材の上下面の双方の面が前記チャンバ空間に凹状に入り込む形状に形成されていることを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、物体への車両バンパの衝突時にチャンバ部材の上面も下面と同様にチャンバ空間内に更に凹状に曲がる形状に変形するので、衝突初期時のチャンバ空間の容積が衝突検知機構よりも更に減少することになり、前述と同様に、衝突検知の応答遅れ並びに衝突検知精度の低下を無くす効果を、より確実に実現することができる。
【0018】
本発明による衝突検知機構は、車両バンパ内のバンパレインフォースメントの車両前方側に配置され、チャンバ空間を有するチャンバ部材と、このチャンバ部材の下方又は上方に配置されると共に当該チャンバ部材より硬質な部材で形成され、物体への車両バンパ衝突時の衝撃吸収用のアブソーバと、前記チャンバ空間の圧力変化を検出する圧力センサとを備える衝突検知機構において、前記チャンバ部材及び前記アブソーバの上下での配置間隔は、物体への車両バンパ衝突時に当該アブソーバが上下方向に突き出す応力により上下面が上下に突き出て変形した際に、この変形した部分の押圧力によって当該チャンバ部材の当該アブソーバへの対向面が前記チャンバ空間内に入り込むことが可能な長さとされていることを特徴とする。
【0019】
この構成によれば、例えばチャンバ部材の下方にアブソーバが配置されている場合に、チャンバ部材の下面が、衝突初期時のアブソーバの上面の変形力により上方へ僅かに変形し、この変形後はチャンバ部材自体に働く上下方向突出応力によっても上方へ変形する力が加わる。つまり、アブソーバの上面の変形力とチャンバ部材自体に働く上下方向突出応力との双方の力によって、チャンバ部材の下面が上方に突出してチャンバ空間内に入り込んで変形する。従って、チャンバ部材の下面が、上方へ変形する度合いが上面よりも大きくなり易いので、下面が上面よりも上方へ大きく変形した場合、上面が突き出して膨らむ量よりも、下面がチャンバ空間内に突き出して入り込む量の方が大きくなる。このような変形によって、チャンバ空間の容積が衝突前よりも減少した場合、衝突検知の応答遅れ並びに衝突検知精度の低下を無くす効果を、より確実に実現することができる。
【0020】
本発明による衝突検知機構は、車両バンパ内のバンパレインフォースメントの車両前方側に配置され、チャンバ空間を有するチャンバ部材と、このチャンバ部材のチャンバ空間の圧力変化を検出する圧力センサとを備える衝突検知機構において、前記チャンバ部材は、前記チャンバ空間を有し且つ車両前後方向に沿った切断面の形状が、水平状態の車両底面に対して垂直な2つの垂直辺と、前記アブソーバと反対側に傾倒して傾斜する互いに平行な2つの傾斜辺とから成る平行四角形に形成されていることを特徴とする。
【0021】
この構成によれば、物体への車両バンパの衝突時に水平方向の圧縮力がチャンバ部材及びアブソーバに加わると、チャンバ部材は、アブソーバと反対側の上方側に傾倒した断面平行四辺形を有するので、車両前後方向に圧縮されながらアブソーバと反対側により傾倒して傾斜辺がより傾いた形状に変形する。この変形では、チャンバ空間が従来のように膨らむことは無く、逆に車両前後方向に圧縮されながらより傾倒するので、チャンバ空間の容積が衝突前よりも減少することになる。従って、衝突検知の応答遅れ並びに衝突検知精度の低下を無くす効果を、より確実に実現することができる。
【0022】
本発明による衝突検知機構は、車両バンパ内のバンパレインフォースメントの車両前方側に配置され、チャンバ空間を有するチャンバ部材と、このチャンバ部材の下方又は上方に配置されると共に当該チャンバ部材より硬質部材で形成され、物体への車両バンパ衝突時の衝撃吸収用のアブソーバと、前記チャンバ空間の圧力変化を検出する圧力センサとを備える衝突検知機構において、前記アブソーバは、車両前後方向に沿った切断面の形状が、水平状態の車両底面に対して垂直な2つの垂直辺と、前記チャンバ部材側に傾倒して傾斜する互いに平行な2つの傾斜辺とから成る平行四辺形とされ、この平行四辺形のチャンバ部材側の傾斜辺の先端部が当該チャンバ部材に当接する状態又は当該アブソーバの傾倒時に当該チャンバ部材に当接可能な近傍位置に配置されていることを特徴とする。
【0023】
この構成によれば、物体への車両バンパの衝突時に水平方向の圧縮力がチャンバ部材及びアブソーバに加わると、アブソーバが、車両前後方向に圧縮されながらチャンバ部材により傾倒し、この傾倒する力がチャンバ部材の水平辺の先端部のみに加わる。ここで、アブソーバはチャンバ部材よりも硬質なので、アブソーバの傾倒する力によってチャンバ部材も傾倒し、チャンバ部材全体が上方側に傾いた断面平行四辺形に変形すると共に、圧縮力に応じて圧縮される。この変形では、チャンバ空間が従来のように膨らむことは無く、逆に車両前後方向に圧縮されながらより傾倒するので、チャンバ空間の容積が衝突前よりも減少することになる。従って、衝突検知の応答遅れ並びに衝突検知精度の低下を無くす効果を、より確実に実現することができる。
【0024】
また、本発明による衝突検知機構は、前記アブソーバの前記先端部が前記当接する状態又は前記近傍位置に配置される前記チャンバ部材の部分は、前記チャンバ空間を有し且つ車両前後方向に沿った切断面が略四角形を成し、この四角形の車両前後方向の水平辺の長さが当該水平辺に対して垂直な辺の長さ以上と成された特定部分であることを特徴とする。
【0025】
この構成によれば、アブソーバの傾倒する力によってチャンバ部材をより傾いた状態に傾倒させることができるので、チャンバ空間の容積が衝突前よりも、より減少することになる。
【0026】
本発明による衝突検知機構は、上述のいずれか1つに記載の衝突検知機構を、車両バンパ内のバンパレインフォースメントの車両前方側で且つ物体への車両バンパ衝突時における衝撃吸収用のアブソーバの上方に配置し、この配置されたチャンバ部材のチャンバ空間の圧力変化を圧力センサで検出し、この検出結果に基づいて電子制御装置で前記物体への車両バンパ衝突が人に対するものであるか否かを判別することを特徴とする。
【0027】
この構成によれば、上述のように衝突検知機構により衝突検知の応答遅れ並びに衝突検知精度の低下を無くすことができるので、言い換えれば、衝突を早く且つ精度よく検知することができるので、電子制御ユニットによる歩行者かそれ以外の物かの判別や、エアバッグ等の人を保護する衝突安全機能の作動タイミングを早くすることが出来る。従って、衝突時に素早く衝突安全機能を作動させることができる。
【発明の効果】
【0028】
以上説明したように本発明によれば、物体への車両バンパ衝突時にチャンバ空間内に生じる負圧を低減もしくは無くすことができ、これによって衝突検知の応答遅れ並びに衝突検知精度の低下を無くし、衝突時に素早く衝突安全機能を作動させることができるチャンバ部材及び車両用衝突検知装置を提供することができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。但し、本明細書中の全図において相互に対応する部分には同一符号を付し、重複部分においては後述での説明を適時省略する。
【0030】
(第1の実施形態)
図4は、本発明の第1の実施形態に係る衝突検知機構を示し、(a)は衝突検知機構の断面図、(b)は衝突時の衝突検知機構の状態を示す断面図である。
【0031】
但し、図4は前述で説明済みの図1(b)に示したA1−A2線で本実施形態の衝突検知機構を有する車両バンパ2を切断した際の断面図であり、衝突検知機構の構成要素である圧力センサ8も破線で記載した。
【0032】
図4(a)に示す第1の実施形態の衝突検知機構10は、車両バンパ2内のバンパレインフォースメント4の前面上方側に配設されたチャンバ部材11並びに、チャンバ部材11に図示せぬブラケットにより取り付けられた圧力センサ8を備えて構成されている。
【0033】
衝突検知機構10の特徴は、チャンバ部材11におけるチャンバ空間11aを有し、且つ断面四角形状の車両前後方向の水平辺長Hが垂直辺長Vの長さ以上である部分(特定部分)の形状にあり、従来のチャンバ部材7と異なる点は、バンパレインフォースメント4の前面側にチャンバ部材11の下方に並列に取り付けられたアブソーバ6側を向く下面11bを、チャンバ空間11aに上方に凹状に反って入り込む形状としたことにある。
【0034】
但し、チャンバ部材11は、上記のように、チャンバ空間11aを有する部分の断面四角形状における水平辺長Hが垂直辺長Vの長さ以上(H≧Vとも称す)であることを前提とするが、この前提はチャンバ部材11の長手状の全てがH≧Vの長さ関係となっていなくてもよい。水平辺長Hと垂直辺長Vとの長さ関係が、例えばチャンバ部材11の中央部分等の一部区間のみが上記長さ関係であり、両側部分は逆に水平辺長Hが垂直辺長Vよりも短くなっている構成であっても良い。
【0035】
チャンバ部材11を図4(a)に示す形状とした場合、図1に示した車両バンパ2が図示せぬ物体へ衝突した場合、図4(b)に矢印Y1で示すように、チャンバ部材11及びアブソーバ6にその衝突による圧縮力が加わる。この圧縮力により、アブソーバ6には従来と同様に上下面を上下方向に突き出す応力(上下方向突出応力)が加わり、上下に突き出た概略断面六角形状に変形する。
【0036】
この際、チャンバ部材11は、水平状態の下面11bがチャンバ空間11aの上方に凹状に反って入り込む形状とされているので、矢印Y1で示すように車両後方向に圧縮力が加わった場合、下面11bには当該下面11bを更に上方に反らせる応力が働く。従って、下面11bはチャンバ空間11aの上方側に更に反る。一方、チャンバ部材11の上面11cは、従来と同様に水平状態なのでアブソーバ6と同様に上方向に突き出す応力によって上方に突き出して折れ曲がる形状に変形する。
【0037】
ここで、上面11cと下面11bとが上記のように変形する際の応力について考察する。上面11cの場合は凹凸の無い平面状なので、上記のように上方に突出して折れ曲がるようにするには、かなりの応力が必要となる。これに対して、下面11bの場合は、予め上方に凹状に反った形状となっているので、この形状を更に上方側に反らせる応力は、上面11c側の応力よりも大幅に小さくて済む。
【0038】
この理由から、衝突時に同じ応力がチャンバ部材11の上面11c及び下面11bに働いた場合、変形し難い上面11cが突き出して膨らむ量よりも、変形し易い下面11bがチャンバ空間11a内に反って入り込む量の方が大きくなった場合、チャンバ空間11aの容積が衝突前よりも減少することになる。
【0039】
従って、第1の実施形態の衝突検知機構10を構成するチャンバ部材11によれば、物体への車両バンパ2の衝突初期時に、チャンバ空間11aの容積が減少する状態に変形するので、チャンバ空間11a内が負圧とならないか、若しくは負圧となっても当該負圧状態が従来よりも大幅に低減することになる。これによって、従来のような負圧時に圧力センサ8で圧力変化が検出できず衝突検知の応答遅れが生じるといったことを無くすことができる。
【0040】
また、上述の通りチャンバ空間11a内が負圧とならない場合、チャンバ空間11a内の圧力(kPa)と時間(ms)との関係は、図3に示す負圧未発生特性曲線C2と成る。つまり、従来の負圧発生時の特性曲線C1で表されるような、チャンバ空間11a内の圧力ピーク値の低下による圧力センサ8での圧力変化の検出精度の低下を無くすことができる。言い換えれば、衝突検知精度の低下を無くすことができる。
【0041】
但し、上述では下面11bのみをチャンバ空間11aに凹状に反って入り込む形状としたが、上面11cのみを同様に凹状に反って入り込む形状としても同様の効果を奏すことができる。
【0042】
このような衝突検知機構10と、圧力センサ8に電気的に接続された図示せぬ電子制御ユニットとを備えた車両用衝突検知装置では次のような効果がある。即ち、衝突検知機構10で上述のように衝突検知の応答遅れ並びに衝突検知精度の低下を無くすことができるので、言い換えれば、衝突を早く且つ精度よく検知することができるので、電子制御ユニットによる歩行者かそれ以外の物かの判別や、エアバッグ等の人を保護する衝突安全機能の作動タイミングを早くすることが出来る。これによって、衝突時に素早く衝突安全機能を作動させることができる。 更に、衝突検知機構10の応用例として、図5(a)の衝突検知機構10−1に示すように、チャンバ部材11の下面11bに加え、上面11c−1も、チャンバ空間11aに下方に凹状に反って入り込む形状としてもよい。この場合、図5(b)に示すように、衝突時に上面11c−1も下面11bと同様にチャンバ空間11a内に更に反る。つまり、衝突検知機構10−1によれば、チャンバ部材11の上面11c−1及び下面11bの両面からチャンバ空間11a内に更に反って曲がる形状に変形するので、衝突初期時のチャンバ空間11aの容積が衝突検知機構10よりも更に減少することになり、上記同様の効果をより確実に実現することができる。
【0043】
(第2の実施形態)
図6は、本発明の第2の実施形態に係る衝突検知機構を示し、(a)は衝突検知機構の断面図、(b)は衝突時の衝突検知機構の状態を示す断面図である。
【0044】
但し、図6は前述で説明済みの図1(b)に示したA1−A2線で本実施形態の衝突検知機構を有する車両バンパ2を切断した際の断面図であり、衝突検知機構の構成要素である圧力センサ8も破線で記載した。
【0045】
図6(a)に示す第2の実施形態の衝突検知機構20は、車両バンパ2内のバンパレインフォースメント4の前面上方側に配設されたチャンバ部材7と、このチャンバ部材7の下方に配置されたアブソーバ6と、チャンバ部材7に図示せぬブラケットにより取り付けられた圧力センサ8とを備えて構成されている。なお、チャンバ部材7は、既に説明済みの図1(b)に示したものと同じであり、断面四角形状の部分の水平辺長Hが垂直辺長Vの長さ以上となっている。
【0046】
衝突検知機構20の特徴は、物体への車両バンパ衝突時の上下方向突出応力により上下面が上下に突き出て変形するアブソーバ6の上面6aの変形力に従って、チャンバ部材7の下面7bがチャンバ空間7a内に入り込む形状に変形するように、合成樹脂製のチャンバ部材7と、その合成樹脂よりも硬質の発泡樹脂製のアブソーバ6とをバンパレインフォースメント4の前面に配置したことにある。但し、この際のチャンバ部材7の下面7bとアブソーバ6の上面6aとのギャップ長Gは、5mm以下が望ましい。
【0047】
このような構成の衝突検知機構20を有する車両バンパ2が物体に衝突した場合、図6(b)に矢印Y1で示す水平方向の圧縮力に応じて上下方向突出応力がチャンバ部材7及びアブソーバ6に加わる。この際、アブソーバ6はチャンバ部材7よりも硬質なので、アブソーバ6の上下面が上下に突き出た概略断面六角形状に変形すると、この際の上面6aの上方突出変形力に従ってチャンバ部材7の下面7bがチャンバ空間7a内に入り込む形状に変形する。この際、チャンバ部材7の上面7cは、当該チャンバ部材7への上下方向突出応力に応じて上方に突き出る形状に変形する。
【0048】
更に説明すると、チャンバ部材7の下面7bは、衝突初期時のアブソーバ6の上面6aの変形力により上方へ僅かに変形するが、この変形後はチャンバ部材7自体に働く上下方向突出応力によっても上方へ変形する力が加わる。つまり、アブソーバ6の上面6aの変形力とチャンバ部材7自体に働く上下方向突出応力との双方の力によって、チャンバ部材7の下面7bが上方に突出してチャンバ空間7a内に入り込んで変形する。従って、チャンバ部材7の下面7bは、上面7cよりも上方への変形度合いが大きくなるので、上面7cが突き出して膨らむ量よりも、下面7bがチャンバ空間7a内に突き出して入り込む量の方が大きくなった場合、チャンバ空間7aの容積が衝突前よりも減少することになる。
【0049】
従って、第2の実施形態の衝突検知機構20によれば、物体への車両バンパ2の衝突初期時に、チャンバ空間7aの容積が減少する状態に変形するので、チャンバ空間7a内が負圧とならないか、若しくは負圧となっても当該負圧状態が従来よりも大幅に低減することになる。これによって、従来のような負圧時に圧力センサ8で圧力変化が検出できず衝突検知の応答遅れが生じるといったことを無くすことができる。
【0050】
また、上述の通りチャンバ空間7a内が負圧とならない場合、チャンバ空間7a内の圧力(kPa)と時間(ms)との関係は、図3に示す負圧未発生特性曲線C2と成る。つまり、従来の負圧発生時の特性曲線C1で表されるような、チャンバ空間7a内の圧力ピーク値の低下による圧力センサ8での圧力変化の検出精度の低下を無くすことができる。言い換えれば、衝突検知精度の低下を無くすことができる。
【0051】
但し、上述ではアブソーバ6の上方にチャンバ部材7が配置される構成を前提としたが、この逆の配置構成であってもアブソーバ6とチャンバ部材7の上下面の関係が上述と逆になるだけなので、上述と同様の効果を奏すことができる。
【0052】
このような衝突検知機構20と、圧力センサ8に電気的に接続された図示せぬ電子制御ユニットとを備えた車両用衝突検知装置では次のような効果がある。即ち、衝突検知機構20で上述のように衝突検知の応答遅れ並びに衝突検知精度の低下を無くすことができるので、言い換えれば、衝突を早く且つ精度よく検知することができるので、電子制御ユニットによる歩行者かそれ以外の物かの判別や、エアバッグ等の人を保護する衝突安全機能の作動タイミングを早くすることが出来る。これによって、衝突時に素早く衝突安全機能を作動させることができる。 (第3の実施形態)
図7は、本発明の第3の実施形態に係る衝突検知機構を示し、(a)は衝突検知機構の断面図、(b)は衝突時の衝突検知機構の状態を示す断面図である。
【0053】
但し、図7は前述で説明済みの図1(b)に示したA1−A2線で本実施形態の衝突検知機構を有する車両バンパ2を切断した際の断面図であり、衝突検知機構の構成要素である圧力センサ8も破線で記載した。
【0054】
図7(a)に示す第3の実施形態の衝突検知機構30は、車両バンパ2内のバンパレインフォースメント4の前面上方側に配設されたチャンバ部材31並びに、チャンバ部材31に図示せぬブラケットにより取り付けられた圧力センサ8を備えて構成されている。
【0055】
衝突検知機構30の特徴は、チャンバ部材31におけるチャンバ空間31aを有する部分の車両前後方向に沿ったA1−A2線での切断面の形状を、平行四辺形(断面平行四辺形)とした点にある。この断面平行四辺形は、水平状態の車両底面に対して垂直な2つの垂直辺31b,31cと、アブソーバ6と反対側の上方側に傾倒して傾斜する互いに平行な2つの傾斜辺31d,31eとから成る。
【0056】
このような断面平行四辺形のチャンバ部材31を有する車両バンパ2が物体に衝突した場合、図7(b)に矢印Y1で示す水平方向の圧縮力がチャンバ部材31及びアブソーバ6に加わる。この場合、アブソーバ6は、その圧縮力に応じて生じる上下方向突出応力によって第1の実施形態で説明したと同様に概略断面六角形状に変形する。
【0057】
一方、チャンバ部材31は、アブソーバ6と反対側の上方側に傾倒した断面平行四辺形を有するので、その圧縮力Y1が加わった際に、車両前後方向に圧縮されながらアブソーバ6と反対側により傾倒して傾斜辺31d,31eがより傾いた形状に変形する。このようにチャンバ部材31が変形した場合、チャンバ空間31aが従来のように膨らむことは無く、逆に車両前後方向に圧縮されながらより傾倒するので、チャンバ空間31aの容積が衝突前よりも減少することになる。
【0058】
従って、第3の実施形態の衝突検知機構30を構成するチャンバ部材31によれば、物体への車両バンパ2の衝突初期時に、チャンバ空間31aの容積が減少する状態に変形するので、チャンバ空間31a内が負圧とならないか、若しくは負圧となっても当該負圧状態が従来よりも大幅に低減することになる。これによって、従来のような負圧時に圧力センサ8で圧力変化が検出できず衝突検知の応答遅れが生じるといったことを無くすことができる。
【0059】
また、上述の通りチャンバ空間31a内が負圧とならない場合、チャンバ空間31a内の圧力(kPa)と時間(ms)との関係は、図3に示す負圧未発生特性曲線C2と成る。つまり、従来の負圧発生時の特性曲線C1で表されるような、チャンバ空間31a内の圧力ピーク値の低下による圧力センサ8での圧力変化の検出精度の低下を無くすことができる。言い換えれば、衝突検知精度の低下を無くすことができる。
【0060】
このような衝突検知機構30と、圧力センサ8に電気的に接続された図示せぬ電子制御ユニットとを備えた車両用衝突検知装置では次のような効果がある。即ち、衝突検知機構30で上述のように衝突検知の応答遅れ並びに衝突検知精度の低下を無くすことができるので、言い換えれば、衝突を早く且つ精度よく検知することができるので、電子制御ユニットによる歩行者かそれ以外の物かの判別や、エアバッグ等の人を保護する衝突安全機能の作動タイミングを早くすることが出来る。これによって、衝突時に素早く衝突安全機能を作動させることができる。 (第4の実施形態)
図8は、本発明の第4の実施形態に係る衝突検知機構を示し、(a)は衝突検知機構の断面図、(b)は衝突時の衝突検知機構の状態を示す断面図である。
【0061】
但し、図6は前述で説明済みの図1(b)に示したA1−A2線で本実施形態の衝突検知機構を有する車両バンパ2を切断した際の断面図であり、衝突検知機構の構成要素である圧力センサ8も破線で記載した。
【0062】
図8(a)に示す第4の実施形態の衝突検知機構40は、車両バンパ2内のバンパレインフォースメント4の前面上方側に配設された合成樹脂製のチャンバ部材7と、このチャンバ部材7の下方に配置された発泡樹脂製のアブソーバ41と、チャンバ部材7に図示せぬブラケットにより取り付けられた圧力センサ8とを備えて構成されている。なお、チャンバ部材7は、既に説明済みの図1(b)に示したものと同じであり、断面四角形状の部分の水平辺長Hが垂直辺長Vの長さ以上となっている。
【0063】
衝突検知機構40の特徴は、アブソーバ41の車両前後方向に沿ったA1−A2線での切断面の形状を、水平状態の車両底面に対して垂直な2つの垂直辺41a,41bと、チャンバ部材7側に傾倒して傾斜する互いに平行な2つの傾斜辺41c,41dとから成る平行四辺形(断面平行四辺形)とし、この断面平行四辺形のチャンバ部材7側の傾斜辺41cの先端部がチャンバ部材7の水平辺に当接する状態とした点にある。
【0064】
このような断面平行四辺形のアブソーバ41を用い、このアブソーバ41の先端部をチャンバ部材7の水平辺に当接した構成の衝突検知機構40を備えた車両バンパ2が物体に衝突した場合、図8(b)に矢印Y1で示す車両後方向の圧縮力がチャンバ部材7及びアブソーバ41に加わる。この場合、アブソーバ41が、車両前後方向に圧縮されながらチャンバ部材7側により傾倒し、この傾倒する力がチャンバ部材7の水平辺の先端部のみに加わる。ここで、アブソーバ41はチャンバ部材7よりも硬質なので、アブソーバ41の傾倒する力によってチャンバ部材7も傾倒し、チャンバ部材7全体が上方側に傾いた断面平行四辺形に変形する。この際、チャンバ部材7も圧縮力Y1に応じて圧縮される。
【0065】
このようにチャンバ部材7が変形した場合、チャンバ空間7aが従来のように膨らむことは無く、逆に車両前後方向に圧縮されながらより傾倒するので、チャンバ空間7aの容積が衝突前よりも減少することになる。
【0066】
従って、第4の実施形態の衝突検知機構40によれば、物体への車両バンパ2の衝突初期時に、チャンバ空間7aの容積が減少する状態に変形するので、チャンバ空間7a内が負圧とならないか、若しくは負圧となっても当該負圧状態が従来よりも大幅に低減することになる。これによって、従来のような負圧時に圧力センサ8で圧力変化が検出できず衝突検知の応答遅れが生じるといったことを無くすことができる。
【0067】
また、上述の通りチャンバ空間7a内が負圧とならない場合、チャンバ空間7a内の圧力(kPa)と時間(ms)との関係は、図3に示す負圧未発生特性曲線C2と成る。つまり、従来の負圧発生時の特性曲線C1で表されるような、チャンバ空間7a内の圧力ピーク値の低下による圧力センサ8での圧力変化の検出精度の低下を無くすことができる。言い換えれば、衝突検知精度の低下を無くすことができる。 更に、アブソーバ41の先端部が当接するチャンバ部材7の部分は、チャンバ空間11aを有し、且つ断面四角形状の水平辺長Hが垂直辺長Vの長さ以上である特定部分であることが好ましい。この場合、上述したアブソーバ41の傾倒する力によってチャンバ部材7をより傾いた状態に傾倒させることができるので、チャンバ空間7aの容積が衝突前よりも、より減少することになる。
【0068】
但し、上述ではアブソーバ41の先端部がチャンバ部材7の水平辺に当接している構成としたが、アブソーバ41の先端部は必ずしも当接している必要はなく、チャンバ部材7の水平辺に対して多少の間隔(5mm程度まで)を有する構成であっても、上述と同様の効果を奏すことができる。また、上述ではアブソーバ41の上方にチャンバ部材7が配置される構成を前提としたが、この逆の配置構成であってもアブソーバ41とチャンバ部材7との上下の関係が上述と逆になるだけなので、上述と同様の効果を奏すことができる。
【0069】
このような衝突検知機構40と、圧力センサ8に電気的に接続された図示せぬ電子制御ユニットとを備えた車両用衝突検知装置では次のような効果がある。即ち、衝突検知機構40で上述のように衝突検知の応答遅れ並びに衝突検知精度の低下を無くすことができるので、言い換えれば、衝突を早く且つ精度よく検知することができるので、電子制御ユニットによる歩行者かそれ以外の物かの判別や、エアバッグ等の人を保護する衝突安全機能の作動タイミングを早くすることが出来る。これによって、衝突時に素早く衝突安全機能を作動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】(a)は従来の車両用衝突検知装置の構成を示す平面図であり、図1(b)は(a)に示すA1−A2断面図である。
【図2】従来の衝突検知機構の衝突時の変形状態を示す断面図である。
【図3】チャンバ空間内の圧力(kPa)と時間(ms)との特性曲線を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る衝突検知機構を示し、(a)は衝突検知機構の断面図、(b)は衝突時の衝突検知機構の状態を示す断面図である。
【図5】第1の実施形態に係る衝突検知機構の応用例を示し、(a)は衝突検知機構の断面図、(b)は衝突時の衝突検知機構の状態を示す断面図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る衝突検知機構を示し、(a)は衝突検知機構の断面図、(b)は衝突時の衝突検知機構の状態を示す断面図である。
【図7】本発明の第3の実施形態に係る衝突検知機構を示し、(a)は衝突検知機構の断面図、(b)は衝突時の衝突検知機構の状態を示す断面図である。
【図8】本発明の第4の実施形態に係る衝突検知機構を示し、(a)は衝突検知機構の断面図、(b)は衝突時の衝突検知機構の状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0071】
1 車両用衝突検知装置
2 車両バンパ
3 バンパカバー
4 バンパレインフォースメント
5 サイドメンバ
6,41 アブソーバ
7,11,31 チャンバ部材
7a,11a,31a チャンバ空間
8 圧力センサ
10,10−1,20,30,40 衝突検知機構
C1 負圧発生特性曲線
C2 負圧未発生特性曲線
H 水平辺長
V 垂直辺長

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両バンパ内のバンパレインフォースメントの車両前方側に配置され、チャンバ空間を有するチャンバ部材と、このチャンバ部材のチャンバ空間の圧力変化を検出する圧力センサとを備える衝突検知機構において、
前記チャンバ部材は、前記チャンバ空間を有し且つ車両前後方向に沿った切断面が略四角形を成し、この略四角形の少なくとも1つの辺は車両前後又は上下方向に略平行に配置されており、当該チャンバ部材の上下面何れか一方の面の少なくとも一部が当該チャンバ空間に凹状に入り込む形状に形成されていることを特徴とする衝突検知機構。
【請求項2】
前記特定部分が、前記チャンバ部材の上下面の双方の面が前記チャンバ空間に凹状に入り込む形状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の衝突検知機構。
【請求項3】
車両バンパ内のバンパレインフォースメントの車両前方側に配置され、チャンバ空間を有するチャンバ部材と、このチャンバ部材の下方又は上方に配置されると共に当該チャンバ部材より硬質な部材で形成され、物体への車両バンパ衝突時の衝撃吸収用のアブソーバと、前記チャンバ空間の圧力変化を検出する圧力センサとを備える衝突検知機構において、
前記チャンバ部材及び前記アブソーバの上下での配置間隔は、物体への車両バンパ衝突時に当該アブソーバが上下方向に突き出す応力により上下面が上下に突き出て変形した際に、この変形した部分の押圧力によって当該チャンバ部材の当該アブソーバへの対向面が前記チャンバ空間内に入り込むことが可能な長さとされていることを特徴とする衝突検知機構。
【請求項4】
車両バンパ内のバンパレインフォースメントの車両前方側に配置され、チャンバ空間を有するチャンバ部材と、このチャンバ部材のチャンバ空間の圧力変化を検出する圧力センサとを備える衝突検知機構において、
前記チャンバ部材は、前記チャンバ空間を有し且つ車両前後方向に沿った切断面の形状が、水平状態の車両底面に対して垂直な2つの垂直辺と、前記アブソーバと反対側に傾倒して傾斜する互いに平行な2つの傾斜辺とから成る平行四角形に形成されていることを特徴とする衝突検知機構。
【請求項5】
車両バンパ内のバンパレインフォースメントの車両前方側に配置され、チャンバ空間を有するチャンバ部材と、このチャンバ部材の下方又は上方に配置されると共に当該チャンバ部材より硬質部材で形成され、物体への車両バンパ衝突時の衝撃吸収用のアブソーバと、前記チャンバ空間の圧力変化を検出する圧力センサとを備える衝突検知機構において、
前記アブソーバは、車両前後方向に沿った切断面の形状が、水平状態の車両底面に対して垂直な2つの垂直辺と、前記チャンバ部材側に傾倒して傾斜する互いに平行な2つの傾斜辺とから成る平行四辺形とされ、この平行四辺形のチャンバ部材側の傾斜辺の先端部が当該チャンバ部材に当接する状態又は当該アブソーバの傾倒時に当該チャンバ部材に当接可能な近傍位置に配置されていることを特徴とする衝突検知機構。
【請求項6】
前記アブソーバの前記先端部が前記当接する状態又は前記近傍位置に配置される前記チャンバ部材の部分は、前記チャンバ空間を有し且つ車両前後方向に沿った切断面が略四角形を成し、この四角形の車両前後方向の水平辺の長さが当該水平辺に対して垂直な辺の長さ以上と成された特定部分であることを特徴とする請求項5に記載の衝突検知機構。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のいずれか1つに記載の衝突検知機構を、車両バンパ内のバンパレインフォースメントの車両前方側で且つ物体への車両バンパ衝突時における衝撃吸収用のアブソーバの上方に配置し、この配置されたチャンバ部材のチャンバ空間の圧力変化を圧力センサで検出し、この検出結果に基づいて電子制御装置で前記物体への車両バンパ衝突が人に対するものであるか否かを判別することを特徴とする車両用衝突検知装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−47170(P2010−47170A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−214280(P2008−214280)
【出願日】平成20年8月22日(2008.8.22)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)