説明

衝突混合の新工法

【課題】従来の衝突混合の塗材・工法は、2液の塗材を混合させ、高圧力で塗材を霧化し、吹き付けて塗装していた。そのため高圧力の塗装機が必要で、小面積の塗装、塗装機が搬入できない場所では塗装が困難であった。
【解決手段】ポリアスパラギン酸を混入した本塗材では、一般的なスプレイ、ローラー、刷毛での塗装ができ、小面積の場所、塗装機の搬入が困難な場所でも塗装ができる。従来の衝突混合と物性は同様で薄膜化が可能になった。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衝突混合の新工法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的にいわれる衝突混合は、高圧力で塗材(ポリウレタン、発泡ウレタン、ポリウレア等)を霧化し、被塗物に吹き付ける超速乾性塗材および工法である。塗材は2液で、吹き付けガンの手前で2種類の塗材を事前に混合する。衝突混合の長所は、超速乾性、強靭な塗膜形成、厚塗りができることである。超速乾性であるため短工期で、人件費の削減が可能である。100%リキッドであり、有害な有機溶剤は全く含有せず、VOC規制の観点からも優れており、耐久性においても優れた工法・塗材である。衝突混合の短所は、霧化し塗装するので塗装時にミストが発生すること、ミスト発生による塗材ロスが生じること、薄膜が困難であることである。吹き付け時に高圧力の機械を使用する必要があるが、最近では従来の機械に比べ、低圧力で吹き付ける機械もある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
通常の塗料は、スプレイ、ローラー、刷毛等、多種の塗装手段で塗装することが可能である。衝突混合はスプレイでの塗装であり、ローラー、刷毛での塗装は超速乾性のため困難である。スプレイ塗装する場合、高圧力の吹き付け機械が必要である。衝突混合は、短時間での塗装・硬化、厚塗りの塗膜が特長であるが、高圧力の吹き付け機械を使用する。高圧力の吹き付け機械を使用せず、簡単に塗装が可能で、適度なポットライフ(可使時間)のある塗材・工法が求められている。特に吹き付け機械を搬入できない場所、塗装面積の小さい場所や被塗物、吹き付け時のミスト発生が問題である場所での塗装等は、ローラーや刷毛での塗装が最適である。衝突混合は、厚膜が特長であるが、用途に応じた最適な膜厚に塗装でき且つ、衝突混合の塗膜の強靭性等を確保できることが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
適当なポットライフがあり、ローラーや刷毛での塗装ができ、衝突混合の特長である短時間での塗装・施工が可能な塗材が米国で開発された。当該塗材は、ポリアスパラギン酸誘導体と触媒を利用し、適当なポットライフを実現した。適当なポットライフがあるため、ローラーや刷毛、通常のスプレイでの塗装が可能になった。本発明は、吹き付け機械を搬入できない場所、塗装面積が小さい場所や被塗物、吹き付け時のミストが問題になる場所で、ローラーや刷毛での塗装が可能になるポリアスパラギン酸誘導体と触媒を利用した塗材の用途の開発結果である。衝突混合の特長は厚膜であるが、適度の膜厚でも塗膜物性が良好であれば、厚膜にする必要は無い。衝突混合の膜厚は通常0.3mm以上であるが、同塗材でローラーや刷毛で塗装すれば、10μ単位での塗装が可能である。塗膜物性が良好な膜厚は、150μ以上であることが望ましい。当該塗材で塗装した塗膜が強靭になる理由は、成膜メカニズムが架橋系であることに起因している。
【発明の効果】
【0005】
衝突混合で塗装する場合、高圧力の吹き付け機械の使用が必要であった。吹き付け機械の搬入が困難な場所、塗装面積が小さい場所や被塗物、吹き付け時のミストが問題になる場所、厚膜が必要でない場合、ローラーや刷毛での塗装が可能になった。例えば、浴槽、船舶、床、などに塗装が可能である。床であれば約2時間で歩行が可能であった。
【0006】
船舶の塗装では床と同様、約2時間で硬化した。但し、完全硬化するには24時間が必要であり、着水のタイミングは塗装後、24時間経過後が望ましい。船舶の船底塗料用に適している理由は、航海中、停船中に貝や海草が付着しにくい添加剤を混入していることと、成膜した塗膜が緻密であること、塗膜が強靭であることと推測する。当該塗材を船舶に使用するメリットは、従来の塗材での塗装は、年に何度か船舶を陸揚げし塗装していたが、本発明では年に1度の陸揚げ塗装でも性能が維持できることである。
【0007】
バスタブの補修に当該塗材を塗装した。前述の用途と同様、約2時間で指触乾燥した。バスタブの補修は、過去から速乾性を求められていたので、短時間の塗装・硬化は家庭のバスタブ利用者、ホテル等の営利を目的とする業者にとっても非常に大きいメリットである。従来は、溶剤系の補修塗料をバスタブ等に使用していた。狭い空間での溶剤系塗料の塗装は、溶剤臭気が残存する場合が多く、溶剤を人体が吸引することで健康にも悪く又、溶剤の悪臭を感じることがあった。当該塗材は無溶剤であり、溶剤の影響は全くなく、臭気も微臭であり、過去の溶剤系の問題が解決できた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリアスパラギン酸誘導体等を混入した衝突混合塗材の新工法。
【請求項2】
ローラーや刷毛・スプレイで塗装できる衝突混合の新工法。
【請求項3】
ポリアスパラギン酸誘導体等を混入した塗材の船舶への新工法。
【請求項4】
バスタブ等の小面積を塗装するのに適したポリアスパラギン酸誘導体等を混入した新塗材の新工法。