説明

衣料用ハンガー

【課題】一般に家庭ではクローゼットの中では洗濯後一度も着用していない衣類と一度でも着用した衣類とが混在している状態である。洗濯後時間が経過すると、しばしばその衣類を洗濯後使用したかどうか分からなくなり衣替えの際などに結局二度手間をかけて洗い直す無駄が生じている。これを改善し洗濯済かどうか一目で区別が付きしかも表示が簡単に変更できる様にする。
【解決手段】表示内容を簡単に変更できる機能を備えた表示部分を持つ衣料用ハンガー及び表示具を発明した。本発明の表示具は窓を持つことが特徴でありその窓に表示される情報を回転やスライドなどの操作によって簡単に変更できる仕組みを作った。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】

【技術分野】
【0001】
本発明は、衣料用ハンガー及びハンガー用表示具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の衣料用ハンガーには店頭でのサイズ表示用の表示具を備えた物は存在するがサイズや洗濯済かどうかなどの情報の表示を簡単に変更できる機能が付帯したものは見あたらない。
【特許文献1】特開2004−325737
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一般に家庭では洗濯した衣類はハンガーに装着してクローゼットなどにしまっておき、着用した後再度ハンガーにかけ直して元の位置に戻す。クローゼットの中では洗濯後一度も着用していない衣類と一度でも着用した衣類とが混在している状態である。衣替えの際には着用していない衣類については洗わずそのまま片付けることができるが、洗濯後時間が経過すると、しばしばその衣類を洗濯後使用したかどうか分からなくなり結局二度手間をかけて洗い直す無駄が生じている。また店舗などにおいては衣料用ハンガーのサイズ表示が変更出来ないあるいは変更しにくい為に余分にハンガーを保管しなくてはならず作業効率も悪い。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の問題点を改善するため、表示内容を簡単に変更できる機能を備えた表示部分を持つ衣料用ハンガー及び表示具を発明した。本発明の表示具は窓を持つことが特徴でありその窓に表示される情報を回転やスライドなどの操作によって簡単に変更できる仕組みを作った。尚、本発明における衣料用ハンガーには洗濯後乾燥のために使用するハンガーも含める。
【発明の効果】
【0005】
本発明によって洗濯や着用の際に簡単な操作をしておくとその服が洗濯済か着用後か一目で区別可能となりその結果家庭に於いては無駄な洗濯を省く事ができる。また店舗等においてはサイズ別に沢山のハンガーを保管する必要もなくなり場所と経費の有効利用が出来る。
【発明の実施するための最良の形態】
【0006】
ハンガーのフック5における開口部反対側6かあるいはフックの付け根部分12に使用者が見やすい向きに表示機能を付帯させると良い。家庭に於いては衣料用のハンガーは、洋服ダンスやクローゼットのパイプに吊す際フック開口部4を利用者の反対側に向けるので、フック5の当該位置は沢山衣類が並んでいても一目で確認でき、また操作が簡単に行える位置でもある。しかし本発明の表示位置は使用者から見える位置であればこれらに限定しない。
【0007】
ハンガーに吊持されている衣料が洗濯済か使用中かを表示することが目的である場合にはこの2種類の情報が表示できれば良い。しかし衣料のサイズや素材などを表示する場合には、3種類以上の情報を表示できる様に窓の数や位置を変化させる必要がある。
【0008】
洗濯済かどうかを表示する表示具を衣類に直接装着する事も考えられるが着用や洗濯のたびに表示具を探したり片付けたりしなくてはならず不便である。一方ハンガーは洋服の洗濯や着用のたびに必ず触れるものであり、探し回る必要も置き場所を見つける必要もない。従って表示具を付帯させるのには非常に便利である。しかしハンガーへの取り付け具を衣類用に、例えば鎖やピン、クリップなどに変更することによって衣類用の表示具として利用すること可能であり、またハンガーと衣服の双方に装着できる表示具を作ることも出来る。
【0009】
尚、本発明においては特に記載がない限り下記の通りとする。
回転とは360度の完全に自由な回転に限定しない。情報の記載は印刷に限らず、配色、ステッカーの貼付、凹凸によるものなど全ての方法を含む。窓とは表示のための開口部を指し、扉とは平面に近い形状のものに限らず、突出した円柱形のボタンなど窓に配される移動可能な部品を全て含むものとする。扉のスライドとは周辺に対する平行的な移動のみをさすのではなくボタン状の突起を押す事や回転を伴う平行的な移動なども含め周辺に対しての相対位置が変化する動き全てを含むものとする。本文中の「使用中」の記載は「洗濯済」の記載と対を為すものでハンガーに吊持されている衣類が洗濯後一度でも袖を通した衣類であることを意味する。これらの記載は一例であって他に「洗った・着た」「きれい・使用済」など様々な表示に置き換えることが出来る。回転やスライドなどの操作時にはその停止位置を確定し更に再度の操作も容易となるようなバネ、樹脂製突起や凹凸を用いたロック機構などクリック感のあるものも含め既存のあらゆる技術を用いる。回転体や扉などの動作が及ぶ範囲には作業効率が上がるように突起や凹凸、持ち手などを設けたり滑りにくい素材を用いるなど必要に応じて工夫を凝らす。
【0010】
以下、本発明にかかる表示機能付きハンガー及び表示具を実施例により図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0011】
図1ーaは本発明実施例1の表示具2付きハンガー全体を示す。この表示具付きハンガー1は、ハンガー本体3と、このハンガー本体3の中央部分に開口部4が側方(図左方向)に向けられたフック5と、フック5の開口部反対側6に装着されたサイズ等の表示具2とを備える。
【0012】
図1−bは実施例1の開口部反対側6におけるハンガー本体記載内容を回転体7を取り除いた状態で示したものである。開口部反対側6の表示位置に「洗濯中」「使用中」の文字を対にして縦一列に印刷する。ハンガーのどちらの方向からも表示内容が見えるように全部で4列を表示位置の周囲に均等に印刷した。これらは隣り合う文字列の内容が互いに必ず上下逆になるように印刷する。
【0013】
窓8の開口部は文字列の上半分または下半分だけを表示できる大きさ、位置であり上下交互に回転体7の周囲4カ所に配置される。図1ーc、図1−dは回転体7の窓8の停止位置によって表示内容が変更される様子を表している。ここでは90度おきに停止位置を設定し90度回転させるたびに表示内容の「洗濯後」「使用中」が交互に表示される。文字の配置から4つの窓全てにおいて同一の内容が表示される。ここでは文字列を縦一組にしたが、横一組にして表示位置の周囲に何組かをぐるりと並べても良い。窓8を4カ所に配置する場合は4組の文字列をぐるりと並べる。窓8はその文字列の左半分が右半部分を表示できる大きさと停止位置である。この場合は隣合う文字列の内容を左右逆にはしないで同じ順序で記載する。尚ここでは縦に2つの情報を記載し窓には2つの高さがあるが例えばサイズをS、M、Lの3種類で表示したい場合には縦に3つの情報を並べ窓の高さは3種類にし文字列の数を3の倍数にすると上手くいく。3つ以上の情報を記載する場合も横一列に文字列を配置できる。
【0014】
図には記載されていないが、ハンガー本体側に回転体の回転を助ける溝を設け回転体7にはその溝を移動する突起を設けるなど回転体が上下に移動しないような構造を持たせる。
【実施例2】
【0015】
実施例2では扉9の開閉によって窓8の表示内容を変更する。この表示具2はボールペンなどによく用いられているバネを用いた仕組みを応用する。図2ーaには実施例2のフック5部分を示した。この例ではハンガー本体の内部にバネなどを用いた仕組みを組み込んであるが、ハンガー本体3ではなく表示具2にこの仕組みを組み込んで製造することも可能である。窓8の扉9表面に「使用中」、扉を開けたら見える面に「洗濯済」と印刷する。図2−aは扉9が閉じられている状態であり窓8には「使用中」と表示されている。図2−bは開口部反対側6の拡大図で、突起10が下に下げられ扉9が開いていて窓の表示は「洗濯済」となっている。
【0016】
尚、扉9の開閉はバネ式なので簡単な操作で表示を変更できる。扉9を開けるには突起10を下に動かし扉をその位置でロックする。これはハンガー内部に設けたロック機構によってなされる。扉9を閉じる際には突起10を再度下向けに押すと内部のロックがはずれてバネの力で閉じられる仕組みである。他にも、窓8の下部にロック解除の為の孔を設けてその孔から突出させた突起を押してロックをはずす仕組みや、ハンガーの左右に扉を開閉するためのボタンを突出させるなど既存の様々な技術を応用する。
【実施例3】
【0017】
実施例3は実施例2とよく似ているが扉9は開く事はなくスライドさせて表示を変更する。扉9には中央に突起部10を設け、その上部と下部に「洗濯済」「使用中」の文字を記載する。突起部10を上下にスライドさせることによりどちらかの文字が窓8の中に表示される仕組みである。イメージとしては昔からあるこたつの「入・切」スイッチの形状に似ている。扉9の表示情報を例えばS,M,Lなどと増やして停止位置数も同様に増やし3つ以上の情報を窓8に表示させる事も出来る。
【実施例4】
【0018】
実施例4は既存のハンガーに取り付けるための表示具2であり、基本的な仕組みは実施例1と同様である。情報を印刷したステッカーと回転体7とのセットで構成される。回転体7はハンガー本体への取り付け具11を備えハンガー本体に固定された状態でも回転体7の本体部分は回転できる構造とする。フック5の開口部反対側6を表示具の取り付け位置とすると良いがフック付け根12にも装着する事も出来る。まずハンガー本体の取り付け位置にステッカーを貼付する。その上に回転体7を取り付け具11を介して取り付ける。本例により既存のハンガーを表示機能付きのハンガーとして使用することが出来る。回転体7は取り付け具11に対して回転するが何カ所かに設けられた停止位置でクリック感のあるロック機構が働き確実にに回転を停止できる。本例ではステッカーを例えば季節、素材、持ち主、サイズ、そして洗濯済か使用中かなど数種類をセットにして回転体と共に販売すれば、衣類の分類方法を必要に応じて好みで選ぶことが出来る。
【0019】
この例では表示具の取り付け位置の形状が回転体7の取り付け具11と丁度良く合致する必要があり、特にステッカーを貼る為には取り付ける部分が円柱状にまっすぐ伸びている事が望ましい。またフック5が金属製の場合はまっすぐの部分があったとしても太さが合わないためそのままステッカーを貼ることは難しい。一方樹脂製のハンガーは表示位置6がまっすぐの形状を備えたものの割合が高くこれらは実施例4にそのまま適合する。
【実施例5】
【0020】
実施例4における取り付け位置の形状に関する問題は回転体7に適合する外形を持つアダプター13を同時に製造する事によって解決する。いくつかの金属製フックで試してみた所、直径8mmの円柱形アダプターによって包含される長さは15mm以上あり表示具の大きさは十分確保出来ることが分かった。従って金属製のフック5を持つハンガーもアダプター13の内側にゴムや樹脂、接着剤、粘土、スポンジ、両面テープ、ネジ、アダプター13そのものに組み込んだロック機構などのあらゆる方法を単独または組み合わせて用いてアダプター13をフック5に固定すれば本発明表示具の適合対象とすることが出来る。一方樹脂製のフック5は円柱状でなく四角柱状のものもあったが、アダプター13を使用して適合させることが出来る。
【0021】
実施例5を図3に示す。図3ーaはアダプター13の外枠を示す斜視図であり「洗濯済」「使用中」と文字を印刷してある。空洞の2つの半円柱が片方の端で互いに連結されており連結されていない方の端にはロック機構が付帯していて互いに勘合させ2つを円柱状に閉じることが出来る(図3−a)。フック5の開口部反対側6部分をこの中に収容し必要があればウレタン、ゴム、スポンジ、両面テープ、接着剤などでフックの周囲を埋め、アダプター13を閉じて固定する(図3−c)。金属製のフック5の開口部反対側表示部分6にこのアダプターを装着した様子を図3−cに示した。フックとアダプターの隙間をスポンジで埋め両面テープで固定してある。一旦閉じたアダプターはフックに対して固定される。
【0022】
図3−bは実施例5の回転体7の斜視図である。実施例1のハンガー本体と同様にアダプターに文字が印刷され(図3−a)回転体7を回転させることで窓の表示内容を変更できる仕組みである。
【0023】
回転体をアダプターに対して上下方向に固定するため、ここでは回転体の上下にアダプター13の直径より内径が小さくなる様に縁を設けたが他にもアダプターと回転体7の間に溝と突起などを設けるなど、あらゆる方法で対応出来る。
【実施例6】
【0024】
図4に実施例6の概略図を示す。実施例6は基本的な仕組みは実施例4,5と同様である。円柱状の棒には情報を印刷し、その外周の回転体7に窓が設けられている。回転体7よりやや高さの高い円柱状の棒にハンガー本体への取り付け具11を備える。取り付け具11の突起部分はC字型でありこれをフックの開口部反対側6に装着する。C型突起部分の根元を長くすると回転体7とハンガー本体との間に空間的余裕が生じハンガー本体の取り付け位置がカーブしていても取り付けが可能となる。取り付け具11は他に(イ)クリップ式でフックを挟む(ロ)取り付け具11の孔にフック5を押し込んで固定する(ハ)両面テープを用いる(ニ)実施例4のアダプターと同様の方法(ホ)実施例6の取り付け具と同様(ニ)面テープ(マジックテープの商標のもの)(ヘ)テープをスナップで止める(ト)樹脂製などのロック機構で止めるをなどあらゆる手段が考えられる。
【実施例7】
【0025】
実施例7の表示具は取り付け具11を備え既存のハンガーに取り付けることが出来るようになっているが、基本的な仕組みは実施例2と同様である。単純な一例を図5に示した。本例ではボールペンのボタン様の仕組みを応用している。回転式ではないので全体の形状が円柱状である必要はなく自由にデザインしやすい。側面に窓8と扉9を配し、扉9は情報を印刷する対象であり、またそのまま開閉の為のボタンの役割をも果たす。しかしボタンを扉から独立させ全体の一番上や左右など別の場所に配置しそのボタンの操作で側面に配した扉の開閉が出来るようにしてもよい。取り付け具11は実施例6と同様にあらゆる方法で実現できる。また実施例3の「入・切」ボタン状の表示方法も本例と同様に独立した表示具とすることが出来る。
【0026】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の表示具付きハンガー実施例1斜視図
【図2】本発明実施例2のハンガーのフック部分斜視図
【図3】本発明実施例5斜視図
【図4】本発明実施例6斜視図
【図5】本発明実施例7斜視図
【符号の説明】
1・・・表示具付きハンガー
2・・・表示具
3・・・ハンガー本体
4・・・フック開口部
5・・・フック
6・・・開口部反対側
7・・・回転体
8・・・窓
9・・・扉
10・・・突起
11・・・取り付け具
12・・・フック付け根部分
13・・・アダプター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣料のサイズや衣料が洗濯済みかどうか等を表示する表示部を有する衣料用ハンガーであって、ハンガー本体あるいは装着された部品に文字、記号、色柄、あるいは盲人用の凹凸などの情報が記載され、その記載部分の周囲に窓を配した回転体を備え、回転によりその窓の位置を移動させて記載された情報から必要な情報を選択して表示する事が出来る事を特徴とする衣料用ハンガー。
【請求項2】
衣料のサイズや衣料が洗濯済みかどうか等を表示する表示具であって、文字、記号、色柄、あるいは盲人用の凹凸などの情報が記載された部品とその外周の回転体とを備え、回転体は窓を有し、窓が回転体と共に回転する事によって窓に表示される情報を変更できる事を特徴とする衣料あるいは衣料用ハンガーに装着可能な表示具。
【請求項3】
衣料のサイズや衣料が洗濯済みかどうか等を表示する表示部を有する衣料用ハンガーであって、その表示部にはスライドできる扉を備えた窓を有し、扉をスライドさせる事によって窓に表示される文字、記号、色柄、あるいは盲人用の凹凸などの情報を変更できる仕組みを持つことを特徴とする衣料用ハンガー。
【請求項4】
衣料のサイズや洗濯済みかどうか等を表示する表示具であってスライドできる扉を備えた窓を有し、扉をスライドさせる事によって窓に表示される文字、記号、色柄、あるいは盲人用の凹凸などの情報を変更できる事を特徴とする衣料あるいは衣料用ハンガーに装着可能な表示具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−223795(P2006−223795A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−73878(P2005−73878)
【出願日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.マジックテープ
【出願人】(300056598)
【Fターム(参考)】