説明

衣服を通い箱に収容して小売店に直納する方法

【課題】 衣服の製造元から移送先まで、徹底して、衣服を吊下げた状態で維持,管理及び、移送できるようにした衣服の品質維持方法を提供する。
【解決手段】 衣服製造元で衣服を仕立てて、プレス加工した後、当該衣服を折畳まずに吊下げた状態で通い箱に小分けして収容し、次いで、通い箱を移送用コンテナに収容して移送先まで移送することにより、衣服をプレス加工した後、衣服を折畳むことなく移送先まで直送することを特徴とするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣服を仕立ててプレス加工した後、衣服の品質維持を図りながら小売店へ直納する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来技術においては、例えば、中国等のような遠隔地の製造元で衣服を仕立ててプレス加工した後、衣服をコンテナに積み込んで、日本の倉庫等に向けて移送していた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来技術においては、製造元において衣服を仕立ててプレス加工した後、衣服を吊下げ管理することが徹底されてはいなかった。このため、衣服に畳みシワや型崩れが生じ易いという問題があった。特に、衣服を移送する過程の途中において、例えば、移送手段をトラック便から船便に変更する事態が生じる場合等のように、衣服の積み替え作業を行う場合には、その都度、衣服を吊下げて管理するための手法に問題があった。又、中国等のような遠隔地の製造元で製造された衣服を船便で日本に移送した場合等においては衣服が移送の途中で型崩れを起こしている場合が多いため、衣服を小売店に移送する前に、日本の問屋等において、衣服に対して再度プレス加工をし直して衣服の形態を整え直さなければならなかった。
【0004】
即ち、図8に示すように、中国の製造元1において、衣服を仕立てて、プレス加工を施す。次ぎに、衣服をトラック便2によって中国の港まで移送する。中国の港から日本の港まで船便3によって移送する。次ぎに、日本の港に上陸した後、衣服をトラック便4によって問屋等Tまで移送し、問屋等Tにおいて衣服に対して、プレス加工をし直して衣服の形態を整え直す。その後、トラック便等によって小売店5に移送する。
【0005】
このため、従来から、衣服を製造元1において仕立ててプレス加工をした後に、移送途中の問屋T等において衣服に対してプレス加工をし直して衣服の形態を整え直すことなく、衣服を小売店5に直送できるようにすることが従来から臨まれていた。
【0006】
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたもので、その目的は、衣服の製造元から小売店まで、徹底して、衣服を吊下げた状態で立体箱に収容して、移送することにより、衣服を製造元から小売店に型崩れを起こすことなく直送できるようにした衣服の品質維持方法を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、衣服製造元で衣服を仕立て、その後、プレス加工して、小売店に直納する方法であって、
衣服をプレス加工したした後、折畳まずに吊下げた状態で通い箱に小分けして収容し、次いで、通い箱を移送用コンテナに収容して小売店まで移送することにより、衣服をプレス加工した後、衣服を折畳むことなく小売店まで直送することを特徴とする衣服を通い箱に収容して小売店に直納する方法である。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の衣服を通い箱に収容して小売店に直送する方法において、衣服がメンズスーツであることを特徴とするものである。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の衣服を通い箱に収容して小売店に直送する方法において、衣服は、プレス加工後に、空調管理された室内に保存されて衣服の形態が安定した後に、通い箱内に収容されることを特徴とするものである。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至請求項3に記載の衣服を通い箱に収容して小売店に直送する方法において、室内は、衣服の形態安定にふさわしい温度,湿度に空調管理されていることを特徴とするものである。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の衣服を通い箱に収容して小売店に直送する方法において、衣服は乾燥過熱蒸気を照射されながらプレス加工されることを特徴とするものである。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の衣服を通い箱に収容して小売店に直送する方法において、コンテナは、その周面の全面、又は一部にセラミックが設けられていることを特徴とするものである。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載の衣服を通い箱に収容して小売店に直送する方法において、通い箱は、上面が開口し、衣服を吊下げできる深さのボックス本体と、ボックス本体の開口を開閉する蓋体と、開口を横切るようにボックス本体に設けられて衣服用ハンガーを吊下げできる支持体とを備えた構造であることを特徴とするものである。
【0014】
請求項8に記載の発明は、請求項7の何れか1項に記載の衣服を通い箱に収容して小売店に直送する方法において、通い箱のボックス本体には把持部が形成されることにより、持ち運び可能なハンディータイプであることを特徴とするものである。
【0015】
請求項9に記載の発明は、請求項7又は請求項8に記載の衣服を通い箱に収容して小売店に直送する方法において、通い箱のボックス本体と蓋体との間は、密封可能であることを特徴とするものである。
【0016】
請求項10に記載の発明は、請求項1乃至請求項9の何れか1項に記載の衣服を通い箱に収容して小売店に直送する方法において、通い箱の周面には、衣服の移送先としての小売店の住所、及び店名が記載されたラベルが設けられ、各通い箱は住所,氏名の記載に基づき振り分けられて各小売店に移送され、各小売店において開封されることを特徴とするものである。
【0017】
請求項11に記載の発明は、請求項7乃至請求項10の何れか1項に記載の衣服を通い箱に収容して小売店に直送する方法において、通い箱のボックス本体、又は蓋体の少なくとも何れか一方が透過性の部材で形成されていることを特徴とするものである。
【0018】
請求項12に記載の発明は、請求項6乃至請求項11の何れか1項に記載の衣服を通い箱に収容して小売店に直送する方法において、通い箱のボックス本体に設けられた支持体には、衣服用ハンガーの滑りを防止して衣服用ハンガーの位置決めをする位置決め突起、又は位置決め孔が形成されていることを特徴とするものである。
【0019】
請求項13に記載の発明は、請求項5に記載の衣服を通い箱に収容して小売店に直送する方法において、ボイラから出力された飽和蒸気を取り込んで再加熱することにより、飽和蒸気を乾燥過熱蒸気に遷移させて、前記乾燥過熱蒸気を発生するようにしたことを特徴とするものである。
【0020】
請求項14に記載の発明は、請求項4乃至請求項13の何れか1項に記載の衣服を通い箱に収容して小売店に直送する方法において、蒸気を取り込むための蒸気取込口と、蒸気を排出するための蒸気排出口とが形成された加熱管を備え、ボイラから出力された飽和蒸気を前記蒸気取込口から取り込み、再加熱して乾燥した乾燥過熱蒸気に遷移させた後に、前記蒸気排出口から排出する構造の過熱蒸気発生装置によって乾燥した乾燥過熱蒸気を発生させ、この乾燥過熱蒸気を用いて衣服のプレス加工をすることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0021】
請求項1に記載の発明によれば、プレス加工が施された衣服は、通い箱に小分けされて吊下げられた状態で収容される。そして、通い箱はコンテナ等に積み込まれて、小売店まで移送される。又、移送路の途中において、例えば、衣服の移送手段をトラック便から船便に変更するような場合であっても、衣服は通い箱に吊下げられた状態で収容されたまま、通い箱をトラック便から船便に積み替えることができる。このように、衣服は、通い箱に吊下げられた状態で収容された後においては、小売店に到着して通い箱が開封されて衣服が通い箱から取出されるまでの間の全ての時期において、衣服は折畳まれずに、吊下げられた状態が保たれる。その結果、衣服を製造元で製造してから小売店に移送するまでの途中において、従来のように、衣服に対してプレス加工をし直す処理を省略しても、衣服を型崩れしない状態で小売店に直送することができる。
【0022】
請求項2に記載の発明によれば、メンズスーツを製造元から小売店まで型崩れを起こすことなく、品質を維持しながら直納することができる。
【0023】
請求項3に記載の発明によれば、プレス加工された衣服は、空調管理された室内に保存されることにより、衣服に残留している湿気を除去して衣服の形態が安定した後に通い箱内に収容されるため、通い箱内に収容された後において、衣服の型崩れが生じ難い。
【0024】
請求項4に記載の発明によれば、衣服の形態安定に適した環境下において自然乾燥することにより、形態が安定する。
【0025】
請求項5に記載の発明によれば、衣服は乾燥した乾燥過熱蒸気を照射されながらプレス加工されるため、衣服の繊維の細胞内に乾燥過熱蒸気が浸透性良く進入して、衣服に対するプレス加工は有効に行われる。又、仮に、乾燥過熱蒸気を用いずに、従来技術と同様に、飽和蒸気を用いてプレス加工した場合には、空調の効いた室内において、数日間、自然乾燥させることにより、衣服に残留している湿気を除去した後、衣服を通い箱内に収容しなければならない。しかし、乾燥過熱蒸気を用いて衣服にプレス加工を施した場合には、プレス加工後、衣服に湿気が残留しないため、いわゆる、衣服を寝かせる期間が短くて済む。
【0026】
請求項6に記載の発明によれば、衣服を移送するための移送用コンテナの周面の全面、又は一部にセラミックが設けられることにより、移送用コンテナ外の熱気が移送用コンテナ内に伝わらない。仮に、コンテナ外の熱気が、コンテナ内に伝熱した場合には、仮に、コンテナ内に水分が存在している場合には、この水分を蒸発させることにより、コンテナ内の衣服に湿気を与えることになって、衣服の型崩れを招く虞がある。しかし、請求項5に記載の発明によれば、移送用コンテナの周面にセラミックが設けられているため、コンテナ外の熱気がコンテナ内に伝熱せずに、コンテン内の水分が湿気となって衣服の型崩れを招く虞もない。
【0027】
請求項7に記載の発明によれば、ボックス本体内に衣服を吊下げた状態で収容できる。
【0028】
請求項8に記載の発明によれば、通い箱は、作業者によって持ち運ばれることができる。
【0029】
請求項9に記載の発明によれば、通い箱内に湿気が入らないため、湿気によって衣服が型崩れを起こす事態が生じない。
【0030】
請求項10に記載の発明によれば、各通い箱は、各通い箱の周面に設けられているラベルの記載内容に基づいて各小売店に直送される。
【0031】
請求項11に記載の発明によれば、透過性の部材で形成されたボックス本体、又は蓋体を通して、通い箱内の衣服が視認される。
【0032】
請求項12に記載の発明によれば、衣服を吊下げた衣服用ハンガーの位置決めがなされる。
【0033】
請求項13に記載の発明によれば、衣服をプレス加工する際に用いられる乾燥過熱蒸気は、ボイラから出力された飽和蒸気を再加熱することにより得ることができる。
【0034】
請求項14に記載の発明によれば、乾燥過熱蒸気発生装置によって発生した乾燥過熱蒸気を衣服のプレス加工に用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
図1は、本発明に係る衣服の品質維持方法の一実施形態の工程図を示す。図1中、工程1において、衣服製造元で衣服を仕立てて、プレス加工する。次ぎに、同図1中、工程2において、衣服を空調管理された室内に吊下げた状態で保存して、衣服を自然乾燥することにより、衣服の形態を安定させる。次ぎに、工程3において、複数の衣服を通い箱のボックス本体内に吊下げた状態で小分けして収容する。その後、工程4において、通い箱を移送用コンテナ内に積み込み、小売店等の移送先に移送する。このように、衣服に対して、プレス加工を施した後においては、衣服は通い箱に吊下げられた状態で収容されて移送されるため、衣服に対してプレス加工が施されてから小売店に到着するまでの間において、衣服には、畳みシワが付かない。前記衣服としては、メンズスーツ,レディーススーツが該当する。
【0036】
このため、図2に示すように、衣服を中国等のような遠隔地の製造元1において製造してプレス加工を施し、トラック便2や船便3を経由して、我が国に上陸した後において、衣服に対して移送途中の問屋等においてプレス加工をして衣服の形態を整え直すことなく、衣服をトラック便4によって小売店5に直送することができる。即ち、図8に示す従来技術と比較して、問屋等Tにおいて衣服に対してプレス加工し直して衣服の形態を整え直す処理を省略することができる。
【0037】
次ぎに、図1に示す各工程について順次説明する。先ず、工程1において、衣服の製造元で、仕立てられた衣服に蒸気を照射しながら衣服をプレス加工する。この工程1において、室内の気温と100℃以上の温度差の高温度で衣服にプレス加工することにより、衣服に対して、熱と蒸気とによって良好にプレス加工して衣服の形態安定を図ることができる。
【0038】
次ぎに、図1に示す工程2について説明する。工程2においては、衣服は空調管理された室内で自然乾燥されるのであるが、この室内は、衣服の形態安定にふさわしい温度,湿度に管理されている。衣服の形態安定にふさわしい湿度としては、湿度が50パーセントから55パーセントの範囲内であることが好ましい。湿度をこの範囲内に維持することは、多数の種類の繊維の内、特に、ウール繊維にとって好ましいものである。そして、湿度を50パーセントから55パーセントの範囲内に維持するためには、温度を20度から22度の範囲内に維持することが好ましい。この工程2において、衣服を自然乾燥させることにより、衣服をプレス加工する際に衣服に残留している湿気が除去されるため、湿気が衣服に残留することによる不都合、即ち、湿気が衣服に経時的に浸透することにより、衣服の繊維を軟化させて衣服を型崩れさせるという不都合を防止することができるものである。
【0039】
次ぎに、図1に示す工程3において、衣服を収容するための通い箱について説明する。図3に示すように、通い箱6は、ボックス本体7と蓋体8とから構成されている。ボックス本体7は、ポリプロピレンによって上面が開口7aした形状に形成されている。ボックス本体7は、衣服を吊下げできる深さに形成されている。ボックス本体7の開口7aを横切るように、支持体9が設けられている。この支持体9は、衣服を掛けた衣服用ハンガー10を掛け止めできる形状に形成されている。この支持体9には、位置決め突起や位置決め孔を設けて、衣服用ハンガー10を横滑りすることなく掛け止めすることができる。又、前記蓋体8は、前記ボックス本体7の開口7aを開閉するものである。蓋体8は、ボックス本体7の開口7aを密閉できるものである。又、ボックス本体7、又は蓋体8の少なくとも何れか一方を透過性の部材で形成することにより、通い箱6の内部を目視できるようにしても良い。又、通い箱6の周面にラベル11を設け、このラベル11に衣服を移送するべき小売店の住所、宛名をバーコード等によって記載するようにしても良い。又、通い箱6を断熱性の素材で形成した場合には、通い箱6外の熱気や冷気の影響を通い箱6内の衣服に及ぼすことがない。更に、通い箱6の内外を連通させる構造を通い箱6に設けることにより、通い箱6内の衣服に新鮮な外気を供給するようにしても良い。
【0040】
更に、ボックス本体7の側面に把持部7bを形成して通い箱6を持ち運び可能なハンディータイプにすることにより、作業者は容易に通い箱6を持ち運ぶことができる。
【0041】
前述のように、通い箱6を密閉できるようにすることにより、図1に示す工程2において、衣服を、空調管理された室内において通い箱6に収容した場合、通い箱6内には、空調管理された室内の空気がそのまま取り込まれて充填されるされることになって、以下の利点を有するものである。即ち、通い箱6内の空気の状態は、空調管理された室内の空気の状態と同じ状態に維持されるため、通い箱6内に収容された衣服は空調管理された室内と同条件下で保存されながら、小売店まで移送されることになって、衣服の移送途中において、衣服の型崩れが防止されるものである。つまり、衣服は、図1に示す工程2において自然乾燥されて、通い箱6に収容された後、小売店において通い箱6が開封されるまでの全ての期間において、自然乾燥された室内と同一の環境内に保存されたままの状態で小売店まで直納されることにより、衣服は移送途中において型崩れしないまま小売店まで直納されることができる。
【0042】
次ぎに、図1に示す工程4について説明する。図4に示すように、前記通い箱6を積み込むための移送用コンテナ12は、周面の全面、又は一部がセラミック13によって被われている。セラミック13は、塗布、又は貼り付け等の手段によって、移送用コンテン12の周面に設けられることができる。セラミック13は極めて断熱性の高い部材であって、セラミック13によって、移送用コンテナ12外の熱気が移送用コンテナ12の内部へ伝熱しないものである。
【0043】
前述のように移送用コンテナ12内へ外気が伝熱しないことにより以下の作用効果を奏するものである。即ち、例えば、夏季等のように外気の気温が上昇するような環境下においても、移送用コンテナ12外の熱気が、移送用コンテナ12内に伝熱して、密封状態にある通い箱6内の空気を膨張させて通い箱6を破裂させる虞がない。このため、通い箱6内に収容された衣服は、前述のように、空調管理された室内の空気に保護されて品質が維持された状態のまま小売店に直納される。
【0044】
又、コンテナ12がセラミック13によって断熱されて、コンテナ12外の熱気がコンテナ12内へ伝熱しないため、仮に、移送用コンテン12内に水分が存在していても、この水分は蒸発することがない。このため、水分が蒸発して湿気となって衣服の繊維に浸透して衣服の生地を軟化させることによって、衣服を型崩れさせる等の悪影響を衣服に与える虞がない。
【0045】
以上説明したように、本実施形態においては、図1に示す工程1において、衣服に対してプレス加工を施すことにより、衣服を鮮明に形態安定させた後、衣服を通い箱6内に吊下げた状態で小分けして、セラミック13が周面に施されたコンテナ12に積み込んで小売店に移送するようにしたため、形態安定させた衣服の高品質を維持したままの状態で、衣服を小売店に移送することができる。このため、図2に示すように、例えば、中国等の製造元1で仕立てられてプレス加工が施された衣服に対して、トラック便2や船便3を経由して、衣服を日本の港に上陸させた後、トラック便4によって衣服を小売店5に直送することができる。その結果、衣服を小売店に直送するまでの間において、プレス加工をし直して衣服の形態を整え直す手間や時間を省略して、衣服を製造元1から小売店5まで円滑に直送することができる。
【0046】
尚、図1に示す工程1において、衣服にプレス加工を施す際に用いる蒸気として、乾燥過熱蒸気を選択した場合には、以下の作用効果を奏することができるものである。
【0047】
先ず、乾燥過熱蒸気について説明する。乾燥過熱蒸気とは、衣服にプレス加工する際に、衣服に照射されても復水しない特性を有する蒸気である。乾燥過熱蒸気とは、図5に示すように、熱力学における蒸気の状態曲線A1上の過熱蒸気の領域Bに属する状態の蒸気である。尚、図5中、実線で示す状態曲線A1は、0.6MPAにおける蒸気の状態曲線を示し、点線は、一気圧における蒸気の状態曲線A2を示す。図5は縦軸が温度を示し、横軸が水に加えられる熱量であるエンタルピを示す。
【0048】
この状態曲線A1は、水が液体状態にある液体領域Cと、飽和蒸気の領域Dと、前述の過熱蒸気の領域Bとに大別される。前記液体領域Cとは、点aで示す定温(0℃)から点bで示す沸騰点(150℃)までの間の領域であって、水が液体状態にある領域である。又、前記飽和蒸気の領域Dとは、水が沸騰点bに到達した後に徐々に気化する領域である。
【0049】
前記過熱蒸気の領域Bとは、全ての水が蒸気に遷移した状態の領域である。この過熱蒸気の領域Bにおいては、液体状態の水を全く含まないため、この過熱蒸気の領域Bの蒸気は乾燥蒸気の状態にある。つまり、この過熱蒸気の領域Bの蒸気は、乾燥過熱蒸気の状態にある。
【0050】
図1の工程1において、衣服のプレス加工に用いられる乾燥過熱蒸気とは、前述の図5に示す状態曲線A1上の過熱蒸気の領域Bにおける蒸気である。
【0051】
次ぎに、図1の工程1において、前記乾燥過熱蒸気を衣服のプレス加工に用いる場合の作用について説明する。乾燥過熱蒸気を衣服に照射させるべく、乾燥過熱蒸気を大気圧中(一気圧)に噴出させることは、図5に示すように、過熱蒸気の領域Bの乾燥過熱蒸気が状態曲線A1上の点eの状態から断熱膨張して、図中、点線で示すように、状態曲線A2上の点fで示す状態に遷移することに相当する。
【0052】
そして、点fは、状態曲線A2上の過熱蒸気の領域B´に存在する。この過熱蒸気の領域B´においては、蒸気は乾燥過熱蒸気の状態であって液体状態の水を含まない状態である。このように、図5中、状態曲線A1上の点eで示す0.6MPAの乾燥過熱蒸気は空気中(一気圧)に断熱膨張しながら噴出しても、乾燥過熱蒸気のままである。換言すれば、0.6MPAの乾燥過熱蒸気は空気中に断熱膨張しながら噴出しても、水に復水することなく、乾燥過熱蒸気のままである。このため、図1の工程1において、衣服をプレス加工する際に、乾燥過熱蒸気を衣服に照射しても衣服には水滴が付着しない。
【0053】
前述のように、乾燥過熱蒸気は、大気中(一気圧)に断熱膨張させながら噴出しても、乾燥過熱蒸気の状態を維持するという特性を有するものである。
【0054】
前述のような特性を有する乾燥過熱蒸気を、図1の工程において、衣服のプレス加工に用いることは、以下の効果を奏するものである。前述のように、乾燥過熱蒸気は、水が気化した状態にあって、粒子が極めて小さな状態にある。このため、乾燥過熱蒸気は、衣服の繊維の細胞壁を容易に通過して、細胞内に容易に浸透することができるため、少量の乾燥過熱蒸気によって、繊維を効率よく軟化させることができる。その結果、このように、軟化した繊維にプレス加工を施すことにより、衣服に対して、効果的に且つ鮮明に形態安定させることができる。又、少量の乾燥過熱蒸気を用いるだけで衣服の繊維を効率よく軟化できるため、プレス加工の際に衣服に照射された乾燥過熱蒸気が衣服に湿気として残留し難い。このため、衣服に残留した湿気が、衣服の繊維に経時的に侵入して繊維を軟化させ、その結果、衣服の型崩れを経時的に招くという事態を防止できるものである。
【0055】
ところで、水滴は粒が大き過ぎて、繊維の細胞壁を通過することができないため、細胞内に効率よく侵入することができず、繊維を有効に軟化させることができない。このため、仮に、図1の工程1において、図5に示す飽和蒸気の領域Dの蒸気を用いて衣服をプレス加工した場合、蒸気が水滴となって衣服の繊維の表面に付着するだけで、衣服の繊維内に浸透できない。この状態において、衣服にプレス加工を施しても衣服を効率よく鮮明に形態安定させることができない。このため、衣服が経時的に型崩れを起こし易い。
【0056】
又、衣服を鮮明に形態安定させようとして、衣服を軟化させるべく、図5に示す飽和蒸気の領域Dの蒸気を多量に衣服に照射することにより、蒸気を繊維内に侵入させようとした場合には、プレス加工を実施した後にも水滴が衣服に付着したまま残留することになる。しかし、水滴が、衣服に付着したまま湿気として残留することは、残留した水滴が徐々に衣服の繊維内に侵入して繊維を軟化させ、その結果、衣服の型崩れを招く原因になるという問題がある。
【0057】
しかし、本実施形態においては、前述のように、衣服をプレス加工する際に、図5に示す過熱蒸気の領域Bの乾燥過熱蒸気を用いている。この乾燥過熱蒸気は、前述のように、衣服の繊維内に効率よく浸透して繊維を軟化させることができるという特性を有する。このため、衣服にプレス加工を施す際にこの乾燥過熱蒸気を用いることにより、衣服を効率良く、且つ鮮明に形態安定させることができる上に、衣服に水滴が残留しないため、衣服を経時的に型崩れさせる虞がない。
【0058】
前述の乾燥過熱蒸気は、図6に示すように、ボイラ12から供給された飽和蒸気を再加熱することにより、発生させることができるものである。
【0059】
ところで、メンズスーツは以下のようにレディーススーツと比較して特別の手法によって仕立てられるため、メンズスーツに対してプレス加工する場合、前記乾燥過熱蒸気を用いることにより、特に、以下の作用効果を奏するものである。先ず、メンズスーツに特有の仕立ての手法について説明する。一般に、メンズスーツを仕立てる場合、先ず、生地を平坦面上に平らに載置した状態で、いわゆる、平面裁断をする。そして、例えば、メンズスーツの肩の部分のような丸みを持った部分を仕立てる場合には、前述のように平面裁断された平坦な生地を縮めるようにしながら縫製することにより、生地に丸み付けてメンズスーツを仕立てるものである。
【0060】
このように、メンズスーツを仕立てる場合においては、生地を縮めるようにして丸みを付けるため、仕立てられたメンズスーツを湿気に晒した場合には、生地の繊維が湿気を吸って軟化することにより、衣服の生地が特に、衣服の縫製部分において伸張し易く、その結果、特に縫製部分において型崩れを起こし易いという特性がある。このように、プレス加工する際に用いた蒸気がメンズスーツに湿気として残留している場合には、メンズスーツはレディーススーツに比較して湿気に対して過敏に反応するという特性がある。
【0061】
しかし、本実施形態においては、メンズスーツをプレス加工する際に、乾燥過熱蒸気を用いているため、前述のように、衣服の生地は、少ない量の乾燥過熱蒸気によって効率よく軟化する上に、乾燥過熱蒸気が復水しないという特性を有している。このため、乾燥過熱蒸気が衣服に湿気として残留する虞が少ない。このため、メンズスーツが、残留した湿気によって型崩れを起こす現象を防止することができる。
【0062】
次ぎに、前述の乾燥加熱蒸気を発生させる過熱蒸気発生装置16について説明する。図6に示すように、過熱蒸気発生装置16は、ボイラ15と衣料用蒸気プレス機17との間に配置される装置である。ボイラ15において、図5に示す状態曲線A1上の飽和蒸気の領域Dの蒸気が出力される。過熱蒸気発生装置16は、ボイラ15から供給された飽和蒸気を再加熱することにより、飽和蒸気を、図5に示す過熱蒸気の領域Bの過熱蒸気に状態変移させて衣料用蒸気プレス機17(図6に示す)に供給する装置である。図6に示すように、過熱蒸気発生装置16は、加熱ユニット18と、制御部Sとを備えている。
【0063】
図7に示すように、前記加熱ユニット18は、加熱管19と、加熱管19に電流を供給する電源部20とを備えている。加熱管19は一端が蒸気取込口21となり、他端が蒸気排出口22になっている。蒸気取込口21には図示しない配管が接続されて、ボイラ15(図6に示す)から出力された飽和蒸気を蒸気取込口21から加熱管19内へ取込むようになっている。又、蒸気排出口22には、図示しない配管が接続されて、乾燥過熱蒸気を衣料用蒸気プレス機17(図6に示す)に供給できるようになっている。加熱管19には、前記電源部20から電流が供給されて発熱する電熱変換部材によって形成されることにより、加熱管19は電源部20から電流が供給されて発熱するようになっている。
【0064】
前記電源部20は前記制御部Sによって制御されることにより、電源部20から加熱管19に供給される電流の増減を制御するものである。制御部Sは例えば、マイクロコンピュータ等によって構成することができる。
【0065】
次に、作用について説明する。図6に示すボイラ15を作動させ、水温を上昇させて、水を沸騰させることにより、図5中、点gで示す飽和蒸気を発生させ、この飽和蒸気gを図6に示す過熱蒸気発生装置16に供給する一方、図6に示すように、制御部Sによって電源部20(図7に示す)を制御することにより、図7に示す加熱管19に供給する電流を制御して、加熱管19の発熱量を調整する。
【0066】
そして、図7に示すケース19の蒸気取込口21から加熱管19内に取り込まれた飽和蒸気は、加熱管19内を流通する間に再加熱されて、乾燥過熱蒸気になると共に、乾燥過熱蒸気は図5中、点eで示すように、温度が例えば、300℃に上昇した状態で、図7に示す加熱管19の蒸気排出口22から取出されて、図6に示す衣料用蒸気プレス機17に供給される。
【0067】
そして、図6に示すように、乾燥過熱蒸気は、衣料用蒸気プレス機17から、衣料Xに向けて大気中に放出する。乾燥過熱蒸気は、大気中へ放出された際に、図5中、点線で示すように、点eで示す状態から点fで示す状態に断熱膨張するが、点fの状態は、乾燥過熱蒸気の状態であって水分を含まないために、水分が衣料Xに付着することに基づいて、経時的に衣料Xの布地にシワが発生したり、布地の型崩れ等の問題が発生しない。
【0068】
以上説明したように、図1に示す工程1において、衣服に対して、乾燥過熱蒸気を用いた場合には、乾燥過熱蒸気は衣服に対して浸透性が良く、その上、空気中に照射させても復水しないという特性を有しているため、衣服に対してプレス加工をする際に、衣服に湿気が残らないという利点がある。このため、衣服に対してプレス加工をした後、図2に示す工程2において、衣服を短期間で自然乾燥させることができて、衣服に対してプレス加工をした後、短期間で通い箱6に収容して小売店に向けて直送させることができるという利点を有する。尚、前述のように、図1に示す工程1において、乾燥蒸気を用いながら衣服に対してプレス加工した後、図2に示す工程2において、従来と同様の期間を経て衣服を自然に乾燥させた場合には、衣服を充分に自然乾燥させることができて、衣服の経時的型崩れを一層効果的に防止することができる。
【0069】
尚、図1中の工程1と工程2とを夫々別々の工場で実施する場合、工程2を実施する前に、乾燥過熱蒸気を用いて再度プレス加工を実施するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の実施形態を示す工程図である。
【図2】本発明において衣服の移送の手法を示す図である。
【図3】通い箱の斜視図である。
【図4】コンテナの斜視図である。
【図5】乾燥過熱蒸気を説明するための水の状態曲線を示す図である。
【図6】乾燥過熱蒸気を発生する過熱蒸気発生装置である。
【図7】加熱ユニットの構成図である。
【図8】従来技術において衣服の移送の手法を示す図である。
【符号の説明】
【0071】
1 衣服の製造元
2 トラック便
3 船便
4 トラック便
5 小売店
6 通い箱
12 コンテナ
13 セラミック
15 ボイラ
16 過熱蒸気発生装置
19 加熱管
20 電源部
S 制御部
A1 状態曲線
A2 状態曲線
B,B´ 過熱蒸気の領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣服製造元で衣服を仕立て、その後、プレス加工して、小売店に直納する方法であって、
衣服をプレス加工したした後、折畳まずに吊下げた状態で通い箱に小分けして収容し、次いで、通い箱を移送用コンテナに収容して移送先まで移送することにより、衣服をプレス加工した後、衣服を折畳むことなく小売店まで直送することを特徴とする衣服を通い箱に収容して小売店に直納する方法。
【請求項2】
衣服はメンズスーツであることを特徴とする請求項1に記載の衣服を通い箱に収容して小売店に直納する方法。
【請求項3】
衣服は、プレス加工後に、空調管理された室内に保存されて衣服の形態が安定した後に、通い箱内に収容されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の衣服を通い箱に収容して小売店に直納する方法。
【請求項4】
室内は、衣服の形態安定にふさわしい温度,湿度に空調管理されていることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の衣服を通い箱に収容して小売店に直納する方法。
【請求項5】
衣服は乾燥した乾燥過熱蒸気を照射されながらプレス加工されることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の衣服を通い箱に収容して小売店に直納する方法。
【請求項6】
移送用コンテナは、その周面の全面、又は一部にセラミックが設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の衣服を通い箱に収容して小売店に直納する方法。
【請求項7】
通い箱は、上面が開口し、衣服を吊下げできる深さのボックス本体と、ボックス本体の開口を開閉する蓋体と、開口を横切るようにボックス本体に設けられて衣服用ハンガーを吊下げできる支持体とを備えた構造であることを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載の衣服を通い箱に収容して小売店に直納する方法。
【請求項8】
通い箱のボックス本体には把持部が形成されることにより、持ち運び可能なハンディータイプであることを特徴とする請求項7に記載の衣服を通い箱に収容して小売店に直納する方法。
【請求項9】
通い箱のボックス本体と蓋体との間は、密封可能であることを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の衣服を通い箱に収容して小売店に直納する方法。
【請求項10】
通い箱の周面には、衣服の移送先としての小売店の住所、及び店名が記載されたラベルが設けられ、各通い箱は住所,氏名の記載に基づき振り分けられて各小売店に移送され、各小売店において開封されることを特徴とする請求項1乃至請求項9の何れか1項に記載の衣服を通い箱に収容して小売店に直納する方法。
【請求項11】
通い箱のボックス本体、又は蓋体の少なくとも何れか一方が透過性の部材で形成されていることを特徴とする請求項7乃至請求項10の何れか1項に記載の衣服を通い箱に収容して小売店に直納する方法。
【請求項12】
通い箱のボックス本体に設けられた支持体には、衣服用ハンガーの滑りを防止して衣服用ハンガーの位置決めをする位置決め突起、又は位置決め孔が形成されていることを特徴とする請求項7乃至請求項11の何れか1項に記載の衣服を通い箱に収容して小売店に直納する方法。
【請求項13】
ボイラから出力された湿り飽和蒸気を取り込んで再加熱することにより、湿り飽和蒸気を乾燥過熱蒸気に遷移させて、前記乾燥過熱蒸気を発生するようにしたことを特徴とする請求項5に記載の衣服を通い箱に収容して小売店に直納する方法。
【請求項14】
蒸気を取り込むための蒸気取込口と、蒸気を排出するための蒸気排出口とが形成された加熱管を備え、ボイラから出力された湿り飽和蒸気を前記蒸気取込口から取り込み、再加熱して乾燥した乾燥過熱蒸気に遷移させた後に、前記蒸気排出口から排出する構造の過熱蒸気発生装置によって乾燥した乾燥過熱蒸気を発生させ、この乾燥過熱蒸気を用いて衣服のプレス加工をすることを特徴とする請求項5乃至請求項13の何れか1項に記載の衣服を通い箱に収容して小売店に直納する方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣服製造元で衣服を仕立て、その後、プレス加工して、小売店に直納する方法であって、
衣服をプレス加工した後、折畳まずに吊下げた状態で通い箱に小分けして収容し、次いで、通い箱を移送用コンテナに収容して移送先まで移送することにより、衣服をプレス加工した後、衣服を折畳むことなく小売店まで直送することを特徴とする衣服を通い箱に収容して小売店に直納する方法。
【請求項2】
衣服はメンズスーツであることを特徴とする請求項1に記載の衣服を通い箱に収容して小売店に直納する方法。
【請求項3】
衣服は、プレス加工後に、空調管理された室内に保存されて衣服の形態が安定した後に、通い箱内に収容されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の衣服を通い箱に収容して小売店に直納する方法。
【請求項4】
室内は、衣服の形態安定にふさわしい温度,湿度に空調管理されていることを特徴とする請求項3に記載の衣服を通い箱に収容して小売店に直納する方法。
【請求項5】
衣服は乾燥した乾燥過熱蒸気を吹き付けられながらプレス加工されることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の衣服を通い箱に収容して小売店に直納する方法。
【請求項6】
移送用コンテナは、その周面の全面、又は一部にセラミックが設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の衣服を通い箱に収容して小売店に直納する方法。
【請求項7】
通い箱は、上面が開口し、衣服を吊下げできる深さのボックス本体と、ボックス本体の開口を開閉する蓋体と、開口を横切るようにボックス本体に設けられて衣服用ハンガーを吊下げできる支持体とを備えた構造であることを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載の衣服を通い箱に収容して小売店に直納する方法。
【請求項8】
通い箱のボックス本体には把持部が形成されることにより、持ち運び可能なハンディータイプであることを特徴とする請求項7に記載の衣服を通い箱に収容して小売店に直納する方法。
【請求項9】
通い箱のボックス本体と蓋体との間は、密封可能であることを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の衣服を通い箱に収容して小売店に直納する方法。
【請求項10】
通い箱の周面には、衣服の移送先としての小売店の住所、及び店名が記載されたラベルが設けられ、各通い箱は住所,氏名の記載に基づき振り分けられて各小売店に移送され、各小売店において開封されることを特徴とする請求項1乃至請求項9の何れか1項に記載の衣服を通い箱に収容して小売店に直納する方法。
【請求項11】
通い箱のボックス本体、又は蓋体の少なくとも何れか一方が光透過性の部材で形成されていることを特徴とする請求項7乃至請求項10の何れか1項に記載の衣服を通い箱に収容して小売店に直納する方法。
【請求項12】
通い箱のボックス本体に設けられた支持体には、衣服用ハンガーの滑りを防止して衣服用ハンガーの位置決めをする位置決め突起、又は位置決め孔が形成されていることを特徴とする請求項7乃至請求項11の何れか1項に記載の衣服を通い箱に収容して小売店に直納する方法。
【請求項13】
ボイラから出力された湿り飽和蒸気を取り込んで再加熱することにより、湿り飽和蒸気を乾燥過熱蒸気に遷移させて、前記乾燥過熱蒸気を発生するようにしたことを特徴とする請求項5に記載の衣服を通い箱に収容して小売店に直納する方法。
【請求項14】
蒸気を取り込むための蒸気取込口と、蒸気を排出するための蒸気排出口とが形成された加熱管を備え、ボイラから出力された湿り飽和蒸気を前記蒸気取込口から取り込み、再加熱して乾燥した乾燥過熱蒸気に遷移させた後に、前記蒸気排出口から排出する構造の過熱蒸気発生装置によって乾燥した乾燥過熱蒸気を発生させ、この乾燥過熱蒸気を用いて衣服のプレス加工をすることを特徴とする請求項5乃至請求項13の何れか1項に記載の衣服を通い箱に収容して小売店に直納する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−151470(P2006−151470A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−346207(P2004−346207)
【出願日】平成16年11月30日(2004.11.30)
【出願人】(000005913)三井物産株式会社 (37)
【Fターム(参考)】