説明

衣服用装飾帯

【課題】
摩擦等の外力によって反射材が剥離し難い衣服用装飾帯を提供することを目的とする。
【解決手段】
入射した光をその入射方向に反射する衣服用装飾帯1において、該装飾帯は、長手方向に沿って凹溝111を形成した帯状布基材112と、帯状反射材12と、からなり、前記帯状反射材12は、前記帯状布基材112の凹11溝に沿って嵌め込まれることを特徴とする衣服用装飾帯1により、上記の課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣服の装飾用に使用され、入射した光をその入射方向に反射する衣服用装飾帯に関する。
【背景技術】
【0002】
夜間に歩行等する際に、自動車等の運転手に歩行者等の位置を知らせる目的で反射材が使用される。最近では、セーラー服の白線に反射材を使用する場合も見受けられる。
【0003】
例えば、特許文献1には着色樹脂層2の上に、光反射テープ5を積層し、さらにその上に透明樹脂層3を積層してなる反射材が開示されている。
【0004】
特許文献1に記載の反射材は、透明樹脂層を配しているので反射材が摩擦により剥がれ落ちることがなく、その点では優れたものであった。しかし、使用により透明樹脂層に傷がついて、光の乱反射を生じ、経時的に再帰性が損なわれてしまうことが避けられなかった。
【0005】
特許文献2には、基材フィルムの上に複数の凸部を設け、この凸部間の基材フィルム上に再帰性反射材を配してなる光反射材が開示されている。実施例1には、ガラスビーズ(再帰性反射材)を前記凸部間(溝)に擦り込むことが記載されている。
【0006】
引用文献2の反射材は、ガラスビーズを擦り込んで固定する構成であって、繰り返し洗濯やクリーニングを行う衣服の装飾帯として使用することを想定したものではない。同文献の反射材を帯状に切断して衣服に用いることができたとしても、ガラスビーズが剥離して衣服を汚すという問題を生じる。
【0007】
また、後述の図5に示す基材22に反射材21を積層した構造の衣服用装飾帯2が普及している。このタイプの衣服用装飾帯2は、衣服に装飾帯を縫い付けると、縫い目周辺に負荷が集中し、そこから反射材が剥離してしまう。縫着が難しいことから、装飾帯と飾り縫いを併用して、デザイン性を高めるといったことが難しく、面白みに欠けるものであった。また、反射材21の角部分は特に摩耗が激しく、問題であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−169009号公報
【特許文献2】特開2006−163239号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
摩擦等の外力によって反射材が剥離し難い衣服用装飾帯を提供することを目的とする。また、飾り縫い等を併用することを可能にし、様々なデザイン上の要求にも応え得る衣服用装飾帯を提供することも本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、入射した光をその入射方向に反射する衣服用装飾帯において、該装飾帯は、長手方向に沿って凹溝を形成した帯状布基材と、帯状反射材とからなり、前記帯状反射材は、前記帯状布基材の凹溝に沿って嵌め込まれることを特徴とする衣服用装飾帯により上記の課題を解決する。
【0011】
上述の帯状布基材は、短冊形状の帯の長手方向に沿って凹溝を形成したものである。凹溝の左右の凸部は、反射材を凹溝に嵌め込んだ状態において、凸部の表面が反射材の表面より若干高く(0.1〜0.2mm程度)なるように構成することが好ましい。このように帯状布基材を構成することで、反射材の表面が擦れることが少なくなり、効果的に反射材の剥離を防ぐことができる。
【0012】
帯状布基材は織編布又は不織布のいずれでもよく、用途に応じて適宜選択すればよい。また、帯状布基材を衣服に取り付けるに際しては、公知の衣服用接着剤を使用して衣服に接着してもよいし、反射材の両側の帯状布基材の部分で縫着してもよい。後者の場合、帯状布基材と異なる色の糸を使用したり、飾り縫いしたりすることが可能となるので好ましい。
【0013】
上述の反射材としては、公知の再帰性反射材を使用する。例えば、ガラスビーズを含有する塗料を基材に塗布した反射材や、マイクロプリズムを使用することができる。再帰性反射材の幅は、大とすると面積を大きくして強い再帰光を得ることができる。一方、幅を小とすると再帰光の強さは小さくなるが、上品なデザインとすることができる。目安として、再帰性反射材の幅は1.5〜3mm程度にすると、再帰光の強さと、優れたデザイン性とを両立することができる。
【0014】
帯状反射材を帯状布基材の凹溝に固定する方法は特に限定されない。例えば、公知のホットメルト接着剤を使用して熱圧着することにより固定することができる。凹溝に嵌め込んだ帯状反射材が、衣服の伸び縮みによって外れにくいように織編成と同時又は、織編成後に帯状反射基材を嵌め込んだ凹溝の左右の凸部同士に糸を掛け渡して補強してもよい。糸を掛け渡す場合は、接着を省略してもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の衣服用装飾帯は、凹溝に帯状反射材を嵌め込むものであるので、反射材が摩擦に晒されにくく、経時劣化に対して耐久性を有する。また、反射材の上に透明樹脂層等を配するものではないので、強い再帰性の反射光を得ることができる。帯状布基材の縁をレースにしたり、帯状布基材を飾り縫いで衣服に固定したり、帯状反射材の両側にワンポイントなる色付きステッチを施したりすることで、デザイン性の高い衣服を提供することができる。
【0016】
凹溝の左右の凸部同士に糸を掛け渡して補強することで、帯状反射材が帯状布基材から浮き上がってしまうおそれがない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の衣服用装飾帯の斜視図である。帯状布基材と帯状反射材を分離した状態で示した。
【図2】本発明の衣服用装飾帯の断面図である。
【図3】凹溝の左右の凸部同士に糸を掛け渡して補強した衣服用装飾帯の斜視図である。
【図4】実施例1の白線である。
【図5】従来の一般的な反射材の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図面を参照しながら、本発明の衣服用装飾帯を説明する。
【0019】
本発明は、図1及び図2に示したように、入射した光をその入射方向に反射する衣服用装飾帯1であって、該装飾帯1は、長手方向に沿って凹溝111を形成した帯状布基材11と、帯状反射材12とからなる衣服用装飾帯1である。前記帯状反射材12は、前記帯状布基材11の凹溝111に沿って嵌め込まれるため、直接、摩擦等の外力に晒されることがない。図2に示したように、帯状布基材11の左右の凸部112の表面は、帯状反射材12の表面より少し高くなるように構成してあるので、反射材12が摩耗しにくい。
【0020】
図3に示したように、帯状反射材12を凹溝111に嵌め込んで、接着した後に、帯状布基材11の左右の凸部112に糸13を掛け渡して、帯状反射材12が浮き上がりにくくなるようにしてもよい。図3の場合は、透明の細糸を使ってジグザグ縫いにした。
【実施例】
【0021】
構造の衣服用服飾体を以下の実施例に示す衣服に適用した。
[実施例1]
実施例1では、図3に示した衣服用服飾体1でセーラー服の白線を作製した。作製した白線を図4に示す。具体的には、ポリエステルとウールの混紡糸で凹溝111を有する帯状布基材12(幅5.0mm、厚み1.0mm)を経編で編成した。帯状反射材12(幅2mm、厚み0.3mm)としては、ガラスビーズを含有する反射シートをスリッターで細幅に切断したものを使用した。
【0022】
作製した白線を、セーラー服の襟部分と、手首部分に縫着して、テスト着用した。照明下では、帯状反射材12部分はグレーに、帯状布基材11は白色に現れ、セーラー服の紺色と組み合わされて、美しいトリコロールカラーとなった。夜間の視認性は抜群であり、車のヘッドライトで照らしたところ、15m離れたところから、視認することができた。1シーズンの間に3回のクリーニングを行ったが、シーズン終わりにおいても、帯状反射材の視認性が損なわれることはなく、次のシーズンも問題なく使用可能であった。白線は、縫着糸によりセーラー服に固定したので、市販のリッパーで縫着糸を切断して生地を傷めることなく、白線を取り外すことができた。
【0023】
[実施例2]
実施例2では、図3に示した衣服用服飾体1でセーラー服の白線を作製した。具体的には、ポリエステルとウールの混紡糸で凹溝111を有する帯状布基材12(幅5.0mm、厚み1.0mm)を経編で編成した。帯状反射材12(幅2mm、厚み0.3mm)としては、ガラスビーズを含有する白色の反射シートをスリッターで細幅に切断したものを使用した。
【0024】
作製した白線を、セーラー服の襟部分と、手首部分に縫着して、テスト着用した。照明下では、帯状反射材12部分は白に、帯状布基材11も白色に現れ、セーラー服の紺色と組み合わされて、美しいツートンカラーとなった。夜間の視認性は抜群であり、車のヘッドライトで照らしたところ、15m離れたところから、視認することができた。1シーズンの間に3回のクリーニングを行ったが、シーズン終わりにおいても、帯状反射材の視認性が損なわれることはなく、次のシーズンも問題なく使用可能であった。白線は、縫着糸によりセーラー服に固定したので、市販のリッパーで縫着糸を切断して生地を傷めることなく、白線を取り外すことができた。
【0025】
[実施例3]
実施例3では、図1に示した衣服用服飾体1と同様の形状で警備員の制服の帽子の金モールを作製した。具体的には、金糸で凹溝111を有する帯状布基材12(幅6.0mm、厚み1.0mm)を織成した。帯状反射材12(幅3mm、厚み0.3mm)としては、ガラスビーズを含有する反射シートをスリッターで細幅に切断したものを使用した。
【0026】
作製した金モールを帽子の頭囲部分に縫着して、テスト着用した。照明下では、帯状反射材12部分は金色に、帯状布基材11も金色に現れ、帽子の紺色と組み合わされて、美しいツートンカラーとなった。夜間の視認性は抜群であり、車のヘッドライトで照らしたところ、15m離れたところから、視認することができた。1シーズンの間に3回のクリーニングを行ったが、シーズン終わりにおいても、帯状反射材の視認性が損なわれることはなく、次のシーズンも問題なく使用可能であった。金モールは、縫着糸により帽子に固定したので、市販のリッパーで縫着糸を切断して生地を傷めることなく、金モールを取り外すことができた。
【符号の説明】
【0027】
1 衣服用装飾帯
11 帯状布基材
12 帯状反射材
13 糸
111 凹溝
112 帯状反射材
2 衣服用装飾帯(従来例)
21 反射材(従来例)
22 基材(従来例)



【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射した光をその入射方向に反射する衣服用装飾帯であって、
該装飾帯は、長手方向に沿って凹溝を形成した帯状布基材と、帯状反射材と、からなり、
前記帯状反射材は、前記帯状布基材の凹溝に沿って嵌め込まれることを特徴とする衣服用装飾帯。
【請求項2】
凹溝に嵌め込まれた帯状反射材は、溝の左右の凸部同士に糸を掛け渡して補強される請求項1に記載の衣服用装飾帯。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図4】
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