説明

衣服

本発明は、水及び/又は風を通さない生地から成る、特に肌に直接に着用するための衣服であって、空調膜と、サポータ材料とを有しており、該サポータ材料が肌に面している形式のものに関する。サポータ材料(12)には、複数の通路(13)が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水及び/又は風を通さない生地から成る、特に肌に直接に着用するための衣服であって、空調膜と、サポータ材料とを有しており、該サポータ材料が肌に面している形式のものに関する。
【0002】
衣服は主として、身体を外的影響から保護する、という課題を有している。外的影響とは、まず第1に天候の影響、つまり身体に対する風、湿気及び寒さの影響のことである。更に衣服は、各使用者に快適な着用感を与える、という課題を有している。この場合、特にスポーツ活動において、又は比較的高い外気温においても、身体によって生産されるエネルギ及び身体によって生産される汗の良好な熱導出が重要である。
【0003】
天候の影響に対する良好な保護を得るためには、空調膜を使用することが公知である。当該空調膜においては、身体によって生産されるエネルギ及び汗の熱導出を可能にするために、外部から身体に作用する風又は水は遮断するが、同時に、内側から外側に向かう蒸気透過性を供与する手段が得られる。この場合、最も知られている膜としては、「Goretex(登録商標)」又は「Sympatex(登録商標)」が挙げられる。
【0004】
空調膜の使用は基本的に、身体により生産される熱を外部に導出する手段を提供する。但し、このことは膜の技術的な条件に基づき、限定的にしか可能ではない。特に、身体的に極めて疲労する活動、例えば走行又はサイクリングにおいては、公知の膜は極めて限定的にしか、身体によって生産された熱若しくは湿分を外部に導出することができない。
【0005】
ここで本発明が対策を講じたい。本発明の根底を成す課題は、極めて激しい身体的負荷、延いては極めて多くの熱量及び発汗量においても、十分な熱及び汗導出を供与することのできる衣服を提供することにある。この課題は本発明に基づき、サポータ材料に複数の通路が形成されていることによって解決される。
【0006】
本発明によって、極めて大きな身体疲労においても規定された汗及び熱導出が生ぜしめられる、特に肌に直接に着用するための衣服が提供されている。同時に、前記の複数の通路によって、熱及び汗導出の別の手段が提供されており、この手段は膜によって供与される熱及び汗導出に加えて付加的に、身体空調の改善に寄与する。
【0007】
本発明の改良では、サポータ材料が伸長可能である。サポータ材料が伸長可能であることによって、スポーツ選手の運動に基づくスポーツ活動中の前記通路の寸法変化を可能にする手段が得られている。例えば伸長運動に基づいて、前記通路の伸長が生ぜしめられ、当該通路は伸長終了後には再び元の状態に戻る。これにより、連続的な運動において通路内にはポンプ作用が生ぜしめられており、このポンプ作用は通路における熱及び汗搬送の改善をもたらす。
【0008】
本発明の構成では、前記通路が一方の端部に開口を有している。これにより、身体によって生産された熱及び生産された汗を、一箇所で規定通りに衣服から導出する手段が得られている。
【0009】
本発明の別の改良では、前記通路が両端部に開口を有している。これにより、熱若しくは湿分を通路の両端部において衣服から導出する手段が得られており、これにより、通路の搬送性能が向上されている。
【0010】
本発明の有利な改良では、前記通路は中央に横断面収縮部を有している。この横断面収縮部は、通路内を搬送される空気の加速を生ぜしめる。この場合、通路はベンチュリ原理に従って働くので、熱制御の付加的な改善を可能にする。
【0011】
本発明の更に別の改良は、従属請求項に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】ズボン形の衣服を示した図である。
【図2】図1に示した衣服の部分拡大図である。
【図3】図2に示した衣服の部分断面図である。
【図4】別の構成のズボン形の衣服を示した図である。
【図5】図4に示した衣服の部分拡大図である。
【図6】図5に示した衣服の部分断面図である。
【図7】更に別の構成のズボン形の衣服を示した図である。
【図8】図7に示した衣服の部分拡大図である。
【図9】図8に示した衣服の部分断面図である。
【図10】付加的な構成を有するズボン形の衣服を示した図である。
【図11】図10に示した衣服の部分拡大図である。
【図12】図11に示した衣服の部分断面図である。
【0013】
以下に、本発明の実施の形態を図面につき詳しく説明する。
【0014】
実施例として選択された衣服1は、特に肌の上に直接に着用するために適している。この衣服1は、水及び風を通さない生地からなっており、この生地は、積層体から空調膜として製作されている。この空調膜11は、サポータ材料12上に配置されている。このサポータ材料12は、肌2に面しており且つ本実施例では肌2に載着されている。例えば衣服として、ランニングズボンが選択されている。
【0015】
サポータ材料12には複数の通路13が形成されている。これらの通路13は、本実施例ではほぼ水平方向に延びている。図1〜図9に示した実施例において、前記通路13は平面図で見てほぼ三角形の構成を有している。図1〜図3及び図7〜9に示した実施例において、通路13は一方の端部のみに開口14を有しており、これにより、この端部においてのみ、空気が通路から流出可能であり、このことは矢印によって象徴的に図示されている。開いた端部に通路13の最大横断面が位置する図1〜図3に示した実施例とは異なり、図7〜図9に示した実施例の場合は、開いた端部に通路13の最小横断面が設けられている。
【0016】
図4〜図6に示した実施例では、通路の両端部に各1つの開口14が設けられている。これにより、通路13の両端部において空気が通路から流出することができ、このことはここでも矢印によって象徴的に図示されている。更に、図10〜図12に示した実施例においても、各通路13の両端部に開口14が設けられている。これにより、この実施例の場合も両端部からの空気流出が可能であり、このこともやはり矢印によって象徴的に図示されている。但し、図10〜図12に示した実施例の場合は、他の実施例とは異なり、異なる形状の通路13が設けられている。つまり、これらの通路13はほぼ三角形の構成を有してはいない。当該通路はむしろその中央に収縮部15を有している。この部分的な収縮部に基づき、搬送される空気の加速が生ぜしめられる。それというのも、当該通路13はベンチュリノズルの形式で機能するからである。
【0017】
次に、実施例として選択されたランニングズボンに基づき、本発明による衣服の機能形式を説明する:このランニングズボンを着用した場合は、走行中自然に足の曲げ伸ばしが行われる。足がまっすぐに伸ばされていると、サポータ材料は通常状態にある。膝が曲げられることによって、サポータ材料12は伸びるので、通路13の横断面は拡大する。足が曲げられた後で再び伸ばされると、サポータ材料12もやはりその初期位置に戻り、これにより、通路13の横断面もやはり初期寸法に戻る。このようにして、走行中にサポータ材料12の伸ばされた状態と伸ばされていない状態とが連続して交互に生ぜしめられるので、これによりやはり、通路13の横断面の連続的な拡大も、引き続く縮小を伴って生ぜしめられる。これにより、走行中に連続的なポンプ作用が生ぜしめられており、このポンプ作用は、熱及び湿分の搬出にポジティブな影響を及ぼす。
【0018】
肌2に接触しているサポータ材料12に基づいて、通路13は一方ではサポータ材料12によって取り囲まれており且つ他方では肌2によって取り囲まれているので、通路13の閉鎖された壁が形成されている。このようにして、端部だけが開いた通路が形成されており、この通路は、熱及び湿分の搬出に関して極めて良好な性能を可能にする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水及び/又は風を通さない生地から成る、特に肌に直接に着用するための衣服であって、空調膜と、サポータ材料とを有しており、該サポータ材料が肌に面している形式のものにおいて、サポータ材料(12)に複数の通路(13)が形成されていることを特徴とする、衣服。
【請求項2】
前記サポータ材料(12)が伸長可能である、請求項1記載の衣服。
【請求項3】
前記通路(13)が一方の端部に開口(14)を有している、請求項1又は2記載の衣服。
【請求項4】
前記通路(13)が両端部に開口(14)を有している、請求項1から3までのいずれか1項記載の衣服。
【請求項5】
前記通路(13)が、その中央に横断面収縮部(15)を有している、請求項1から4までのいずれか1項記載の衣服。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2012−514699(P2012−514699A)
【公表日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−544839(P2011−544839)
【出願日】平成22年1月5日(2010.1.5)
【国際出願番号】PCT/EP2010/000008
【国際公開番号】WO2010/079119
【国際公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【出願人】(504303687)エクス−テクノロジー スイス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (23)
【氏名又は名称原語表記】X−Technology Swiss GmbH
【住所又は居所原語表記】Samstagernstrasse 45, CH−8832 Wollerau, Switzerland
【Fターム(参考)】