説明

表刷り用グラビア印刷インキ

【課題】下地用インキをベタ刷りした基材にグラビア印刷により表刷りする際に、シャドウ部からハイライト部までの全領域において、網点面積率の高低に関わらず、各色のグラビアインキの安定した転移定着性を確保でき、表面平滑性の高い基材、例えばプラスチックフィルムなど、でも鮮明に印刷することができる、表刷り用グラビア印刷インキを提供する。
【解決手段】平均粒径0.5〜2.5μmの不活性微粒子フィラー、顔料、バインダー樹脂および溶剤を含有することを特徴とする表刷り用グラビア印刷インキ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グラビア印刷による表刷り印刷におけるプロセス刷りに使用されるグラビア印刷インキに関する。
【背景技術】
【0002】
グラビア印刷は従来から、プラスチックフィルム、紙等の様々の基材に精彩なイメージを滑らかな再現性をもって印刷でき、高級感のある印刷物が得られる印刷法として広く利用されているが、下地用インキをベタ刷りした基材に、写真などのようにグラデーション部分を含む精密なイメージを表刷り印刷する場合、でき上がりの印刷品質の面で種々問題があった。即ち、ベタ刷りした基材にグラビア印刷により表刷りする際には、例えば黄、紅、藍ないし黒の各色インキをこの順に重ね刷りされており、そのためベタ刷り表面の状態が各色のインキの転移定着性を大きく左右することになる。そして、一般にベタ刷り表面が後で印刷されるインキを反発するので、十分な転移定着性を確保することが困難であることに加え、ハイライト部を印刷する場合はベタ刷り表面が平滑であることが好ましいが、その一方でベタ部や網点面積率が90〜80%程度の網点部などで、網点同士がくっつき過ぎたり、離れ過ぎたりして、印刷面が不均一となり、印刷グレードが著しく損なわれるおそれがある。逆にベタ刷り表面が粗いと、シャドウ部でのインキ転移性は向上するが、ハイライト部ではインキが十分転移定着できなくなるおそれがあり、特に網点面積率が20%以下の網点部でインキが全く転移できないか、ないしは斑にしか転移できなくなり、写真を鮮明に再現することが困難となる場合があった。
【0003】
一方、グラビア印刷により表刷り印刷する際のインキの転移定着性を改善する一般的な方法として、バインダー樹脂、溶剤等のインキ組成を改良する方法のほか、インキ粘度を調整する、圧胴を変える、印圧を上げる、ドクターの掛け方を工夫する、印刷速度を調整するなどが提案されているが(例えば、非特許文献1参照)、必ずしも十分とはいえない。また、同様の目的には静電印刷方式も有効といわれているが(例えば、非特許文献2参照)、この方式の場合、特殊な装置が必要であったり、適応基材が制約されたりする上に、表面が平滑なプラスチックフィルムなどに印刷する場合に、ハイライト部でのインキの転移定着性が必ずしも満足できないという欠点もある。
【非特許文献1】加工技術研究会編集「グラビア印刷便覧」(昭和56年7月25日発行)p.121〜122
【非特許文献2】「コンバーテック 1991.1」p.12〜16
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、背景技術における前記諸問題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果見い出されたもので、その課題は、下地用インキをベタ刷りした基材にグラビア印刷により表刷りする際に、シャドウ部からハイライト部までの全領域において、網点面積率の高低に関わらず、各色のグラビアインキの安定した転移定着性を確保でき、表面平滑性の高い基材、例えばプラスチックフィルムなどでも鮮明に印刷することができる、表刷り用グラビア印刷インキを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、
平均粒径0.5〜2.5μmの不活性微粒子フィラー、顔料、バインダー樹脂および溶剤を含有することを特徴とする表刷り用グラビア印刷インキ、
からなる。
【0006】
以下、本発明の表刷り用グラビア印刷インキおよびその使用方法について、発明の実施の形態および実施例を含め、詳細に説明する。
〈不活性微粒子フィラー〉
本発明における不活性微粒子フィラーは、表刷り用グラビア印刷インキを構成する他の成分や、ベタ刷り層上への印刷に使用されるグラビア印刷インキの構成成分、特に溶剤により侵されることがなく、また乾燥後の印刷物の使用環境下で十分安定である限り、特に制約されるものではないが、その例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂;ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体等のスチレン系樹脂;ポリメチルメタクリレート、スチレン−メチルメタクリレート共重合体等のアクリル系樹脂;ポリ塩化ビニル、エチレン−塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂;ポリテトラフルオロエチレン、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体等のフッ素樹脂類;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート等のポリエステル系樹脂;ポリイミド樹脂類;ポリシロキサン樹脂類などの樹脂材料や、シリカ、アルミナなどの無機材料を挙げることができる。
【0007】
これらの不活性微粒子フィラーのうち、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂等が好ましい。これらの好ましい不活性微粒子フィラーの市販品(商品名)としては、例えば、MXシリーズ、MPシリーズ(以上、綜研化学(株)製)等を挙げることができる。
【0008】
不活性微粒子フィラーの平均粒径は、0.5〜2.5μm、特に好ましくは1.0〜2.0μmである。本発明の表刷り用グラビア印刷インキでは、乾燥後のベタ刷り層表面に不活性微粒子フィラーが突出し、該表面が凹凸状であることにより、所期の効果が具現されるものと考えられる。したがって、使用される不活性微粒子フィラーの平均粒径と乾燥後のベタ刷り層の膜厚とは相互に関連させて適宜調整する必要があるが、乾燥後のベタ刷り層の膜厚が1μm程度の場合、不活性微粒子フィラーの平均粒径の特に好ましい範囲は、(1.5±0.4)〜(2.0±0.4)μm程度である。この場合、不活性微粒子フィラーの平均粒径が小さ過ぎても大き過ぎても、形成されたベタ刷り層のインキ転移定着性の改善効果が不十分となり、好ましくない。
【0009】
また、不活性微粒子フィラーは、粒度分布が可及的にシャープであることが望ましい。ここで、粒径を横軸に、それぞれの粒径より小さい粒子の重量%を縦軸にとった積算分布について、不活性微粒子フィラーの望ましい粒度分布の例を、平均粒径が1.91μmの場合、その粒径より小さい粒子が10重量%である粒径をd(0.1)、その粒径より小さい粒子が50重量%である粒径をd(0.5)、その粒径より小さい粒子が90重量%である粒径をd(0.9)として示すと、d(0.1)=1.10〜1.50μm(典型的には1.30〜1.40μm)、d(0.5)=1.60〜2.00μm(典型的には1.80〜1.90μm)およびd(0.9)=2.30〜2.80μm(典型的には2.40〜2.75μm)である。
【0010】
また、不活性微粒子フィラーの形状は、特に制約されるものではないが、球形ないしそれに近い形状が好ましい。
微粒子フィラーは、複数のメーカーから様々の材質およびグレードのものが販売されており、市販の微粒子フィラーを使用する際には、その材質および平均粒径以外にも、粒度分布や形状なども適切に選定することが望ましい。
本発明において、不活性微粒子フィラーは、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0011】
本発明における不活性微粒子フィラーの使用量は、インキ全体の、好ましくは0.5〜5.0重量%、特に好ましくは0.8〜2.0重量%である。この場合、不活性微粒子フィラーの使用量が少な過ぎると、形成されたベタ刷り層のインキ転移定着性の改善効果が不十分となり、一方多過ぎると、ベタ刷り層本来の特性、例えば基板への密着性、耐久性、色調などが損なわれるおそれがあり、好ましくない。
【0012】
〈顔料〉
本発明における顔料としては、特に制約されるものではなく、従来からグラビア印刷に使用されている適宜の顔料を使用することができ、無機顔料、有機顔料のいずれでもよい。
前記無機顔料としては、例えば、酸化チタン、亜鉛華、酸化アンチモン、リトポン等の白色顔料;カーボンブラック、金属酸化物系ブラック等の黒色顔料;モリブデンレッド、カドミウムレッド、弁柄、硫化セリウム等の赤色顔料;黄鉛、カドミウムイエロー、ビスマスイエロー等の黄色顔料;酸化クロムグリーン、金属酸化物系グリーン等の緑色顔料;紺青、群青、金属酸化物系ブルー等の青色顔料や、金属酸化物被覆雲母等の真珠光沢様顔料のほか、例えば、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、クレー、シリカ、ホワイトカーボン等の体質顔料などを挙げることができる。
【0013】
また、前記有機顔料としては、例えば、モノアゾ系、ジアゾ系、アゾキレート系、ジアゾ縮合系、ベンズイミダゾロン系、β−ナフトール系、ナフトールAS系、イソインドリン系、イソインドリノン系、金属錯体系、フタロシアニン系、キナクリドン系、ジオキサジン系、ジケトピロロピロール系、キノフタロン系、ベリレン系、ペリノン系、チオインジゴ系、アントラキノン系等を挙げることができる。
【0014】
本発明の表刷り用グラビア印刷インキを用いてベタ刷りする場合のベタ刷り層の色調は、特に制約されるものではなく、白色でも有色(例えば、黄色)でもよいが、一般的には白色ないしそれに近い色が使用される。したがって、ベタ刷り用の顔料としては、白色顔料が好ましく、特に、酸化チタンが好ましい。なお、ベタ刷り層を有色とする場合は、従来からグラビア印刷インキに使用されている適宜の有色顔料を使用できるのはいうまでもない。
【0015】
使用される顔料の平均粒径は、不活性微粒子フィラーの平均粒径より十分小さいことが望ましく、好ましくは0.5μm未満、特に好ましくは0.2μm以下である。なお、顔料の平均粒径の下限値は、特に制約されるものではないが、入手ないし製造の容易性、取扱性、保管性、価格などを考慮して、適宜選択することができる。
本発明において、顔料は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができ、また場合により、顔料と共に、染料や天然色素を1種以上併用することもできる。
【0016】
〈バインダー樹脂〉
本発明におけるバインダー樹脂としては、従来からグラビア印刷インキに使用されている各種のバインダー樹脂を使用することができ、特に制約されるものではないが、その例としては、ロジンまたはその塩、多価アルコール変性ロジンまたはその塩等のロジン類;フェノール樹脂、ロジン変性フェノール樹脂またはその塩等のフェノール樹脂類;石油樹脂、ロジン変性石油樹脂またはその塩の石油樹脂類;アルキド樹脂、ロジン変性アルキド樹脂またはその塩等のアルキド樹脂類;尿素樹脂、メラミン樹脂等のアミノ樹脂類;硝化綿、酢酸セルロース、ニトロセルロース等のセルロース系樹脂;ポリε−カプロラクタム、ポリヘキサメチレンジアジペート等のポリアミド系樹脂;ポリウレタン系樹脂;ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリメチルメタクリレート、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体等のアクリル系樹脂;環化ゴム等を挙げることができ、これらのバインダー樹脂は、ワニスの形で使用することができる。なお、本発明においては、所望により、バインダー樹脂として、熱硬化性、光硬化性などの反応性を有するものを使用することもできる。
【0017】
これらのバインダー樹脂のうち、特に、硝化綿、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂等が好ましい。これらの好ましいバインダー樹脂の市販品(商品名)としては、例えば、ニトロン(大成テクノケミカル(株)製)、ニューマイド(ハリマ化成(株)製)等を挙げることができる。
本発明において、バインダー樹脂は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0018】
バインダー樹脂の使用量は、インキ全体の、好ましくは10〜25重量%、特に好ましくは15〜20重量%である。
【0019】
〈溶剤〉
本発明における溶剤としては、従来からグラビア印刷インキに使用されている各種の溶剤を使用することができ、特に制約されるものではないが、その例としては、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、t−ブタノール等のアルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−i−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−i−プロピルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等の他のエーテル類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル等のエステル類;3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート等のエステル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;アロマフリーの石油系溶剤等を挙げることができる。
【0020】
これらの溶剤のうち、アルコール類、エステル類等の、沸点が、好ましくは60〜120℃、特に好ましくは80〜100℃の範囲にある溶剤を含むものが望ましい。
本発明において、溶剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0021】
溶剤の使用量は、インキ中の固形分含量が、好ましくは10〜50重量%、特に好ましくは20〜40重量%となる量である。
【0022】
〈添加剤〉
本発明の表刷り用グラビア印刷インキは、前記した成分以外に、種々の添加剤を含有することができる。 前記添加剤としては、例えば、分散剤、消泡剤、滑剤、帯電防止剤、濡れ性改善剤、流動性調整剤、粘度調整剤、耐磨耗性改善剤、柔軟性付与剤、乾燥性調整剤、裏移り防止剤、硬化剤等を挙げることができる。
【0023】
〈表刷り用グラビア印刷インキの一般的特性〉
本発明の表刷り用グラビア印刷インキの全固形分濃度は、好ましくは10〜50重量%、特に好ましくは20〜40重量%であることが望ましい。
また、本発明の表刷り用グラビア印刷インキの粘度は、ザーンカップ #3で測定した場合、好ましくは10〜40秒、特に好ましくは15〜30秒の範囲にあることが望ましい。
【0024】
〈表刷り用グラビア印刷インキの調製法〉
本発明の表刷り用グラビア印刷インキの調製法としては、バインダー樹脂、顔料、溶剤等を含有するインキベース中に不活性微粒子フィラーが均一に分散できる限り、特に制約されるものではないが、より具体的には、
(ア) 顔料、バインダー樹脂、溶剤等を高速攪拌しつつ、不活性微粒子フィラーを徐々に加え混合後練肉機で練肉すると同時に不活性微粒子フィラーを均一に分散させる方法;(イ) 予め顔料、バインダー樹脂、溶剤等を練肉したインキベースに不活性微粒子フィラーを加えて混合したのち、高速攪拌して、不活性微粒子フィラーを均一に分散させる方法
等を挙げることができる。
この場合、不活性微粒子フィラーの分散に使用される分散機としては、例えば、インペラー攪拌機、ビーズミル等を用いることができる。なお、顔料以外の添加剤は、前記(ア)、(イ)の方法における適宜の段階で添加することができ、また溶剤をさらに追加して、インキの濃度や粘度を適宜調整することもできる。
【0025】
〈グラビア印刷法〉
本発明の表刷り用グラビア印刷インキを用いるグラビア印刷法は、所望の基材表面に、単層あるいは多層にベタ刷り層を形成したのち、常法によりグラビア印刷することにより、所定のイメージを印刷する工程を含んでいる。多層ベタ刷り層を形成する場合は、少なくとも最外層のベタ刷り層に、本発明の表刷り用グラビア印刷インキを用いることが必要である。多層ベタ刷り層の例としては、白色ベタ刷り層を2層以上形成したもの、白色ベタ刷り層の上に黄色ベタ刷り層を形成したものなどが挙げられる。
【0026】
前記基材としては、従来からグラビア印刷が適用されている適宜の基材を使用することができ、特に制約されるものではないが、例えば、プラスチック(フィルムないしシート)、紙(厚紙、薄紙)、再生紙(厚紙、薄紙)、アルミニウム(箔ないしシート)、銅(箔ないしシート)、ステンレススチール(箔ないしシート)や、これらの材料の2種以上を含むラミネート材ないしサンド材等を挙げることができる。
これらの基材には、ベタ刷り層の密着性を改善するため、放電処理、塗装・塗布、薬品処理、サンドブラスト処理等の適宜の前処理を施しておくこともできる。
【発明の効果】
【0027】
本発明の表刷り用グラビア印刷インキを用いると、基材上のベタ刷り層表面に制御された均一で微細な凹凸が形成され、その結果グラビア印刷により表刷りする際に、シャドウ部からハイライト部までの全領域において、網点面積率の高低に関わらず、各色のグラビアインキの安定した転移定着性を確保でき、表面平滑性の高い基材、例えばプラスチックフィルムなど、でも鮮明に印刷することができるとともに、不活性微粒子フィラーの平均粒径や使用量等を調節することにより、ベタ刷り層の表面外観を高グロスからマット調まで適宜に調整することも可能で印刷物の表現幅が広がり、さまざまな印刷効果を得ることができる。
【実施例】
【0028】
実施例1
下記する組成のインキベース(合計100重量部)に、下記する不活性微粒子フィラー1重量部を添加したのち、高速攪拌して、白色の表刷り用グラビア印刷インキを調製した。

−インキベース−
白色顔料(合計25重量部):
酸化チタン(平均粒径0.1μm) 25重量部
バインダー樹脂(合計20重量部):
硝化綿 5重量部
ポリアミド樹脂(商品名ニューマイド838、ハリマ化成(株)製)
15重量部
溶剤(合計50重量部):
酢酸エチル 15重量部
i−プロパノール 30重量部
エチレングリコールモノ−i−プロピルエーテル
5重量部
添加剤(合計5重量部):
ワックス 2重量部
消泡剤 1重量部
チタンキレート(硬化剤) 2重量部
【0029】
−不活性微粒子フィラー−
成分:アクリル樹脂(商品名MX−180 TA、綜研化学(株)製)
レーザー回析・散乱法による体積基準平均粒径:1.91μm
粒径分布:d(0.1) 1.32μm
d(0.5) 1.85μm
d(0.9) 2.59μm
【0030】
その後、得られた表刷り用グラビア印刷インキをポリプロピレンフィルム(OPP)の表面にベタ刷りして、乾燥後の膜厚が1μmのベタ刷り層を形成した。次いで、網点面積率が3%、5%、8%、さらに10%から100%まで10%づつ異なる区域を有する試験用凹版(レーザー製版、175線、版深30μ)を用いて、白、黄、紅、藍、黒の各色に調製されたグラビア印刷インキ(インキ粘度:ザーンカップ #3 14秒、商品名 PIXESS(ピクセス)、(株)ティーアンドケイ東華製)を、各色毎に試験用凹版を替え、ベタ刷り層の表面にグラビア印刷(印刷速度:120m/分)して、評価を行った。
その結果、網点面積率が100%(ベタ部)から80%までの階調領域においても、段階的な濃度低下が確認され、また網点面積率が20%から3%までの領域においても、ヌケの発生は認められなかった。
【0031】
比較例1
実施例1において、不活性微粒子フィラーを添加しない以外は実施例1のものと同様のインキベースを用いて、ポリプロピレンフィルム(OPP)の表面にベタ刷りした以外は、実施例1と同様にして、グラビア印刷して、評価を行った。
その結果、網点面積率が100%(ベタ部)から80%までの階調領域において、濃度低下が大きくなり過ぎ、また網点面積率が20%以下の領域において、斑なヌケの発生が認められた。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明の表刷り用グラビア印刷インキを用いることにより、表面にベタ刷り層を形成した基材(例えば、プラスチック、紙、金属等)にグラビア印刷により表刷りする際に、シャドウ部からハイライト部までの全領域において、網点面積率の高低に関わらず、各色のグラビアインキの安定した転移定着性を確保でき、表面平滑性の高い基材、例えばプラスチックフィルムなど、でも鮮明に印刷することができるとともに、ベタ刷り層の表面外観を高グロスからマット調まで適宜に調整することも可能であり、幅広い基材に対して精細なイメージを再現性よく印刷することができ、グラビア印刷の用途拡大および印刷品質の向上に資するところが大きい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均粒径0.5〜2.5μmの不活性微粒子フィラー、顔料、バインダー樹脂および溶剤を含有することを特徴とする表刷り用グラビア印刷インキ。