説明

表示システム

【課題】設置の自由度を向上させた表示システムを提供する。
【解決手段】表示システム1は、電力供給装置10と、表示装置20と、を備える。電力供給装置10は、太陽電池111と、太陽電池が上面に設けられる本体部と、を備える。表示装置20は、太陽電池から得られた電力により動作し、電力供給装置10と離間して設置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置を備えた表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルサイネージと呼ばれる、屋外等に配置され、広告や様々な情報を表示する大型の表示装置が普及しつつある(特許文献1、2など)。これらは主に電力系統から供給される電力により動作する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−294284号公報
【特許文献2】特開2009−296105号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
また、出願人は、太陽電池を備えた表示システムをデジタルサイネージ用に開発中である(例えば、特願2010−147775(2010年6月3日出願)、特願2010−266333(2010年11月30日出願))。これにより、電力系統が供給されていない場所でも表示装置の設置が可能となる。このシステムでは、表示装置(大型モニタ)の上部に太陽電池を設け、表示装置と太陽電池が一体化した構成としている。
【0005】
しかしながら、上記のようなシステムを、例えばバス停などの既存の公共施設に設置する場合、バス停の屋根が邪魔になり設置できない場合がある。また、太陽電池は大型なものとなるので、狭い場所への設置が困難である。
【0006】
そこで、本発明は、設置の自由度を向上させた表示システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明における表示システムは、太陽電池と、太陽電池が上面に設けられる本体部と、を備える電力供給装置と、太陽電池から得られた電力により動作する表示装置と、を備え、表示装置が電力供給装置と離間して設置されることを特徴とする。
【0008】
また、上記構成の表示システムにおいて、本体部に収容され、太陽電池から得られた電力を充電し、その後に放電することで表示装置に電力を供給する蓄電部を、さらに備えても構わない。
【0009】
このように構成すると、太陽電池から得られた電力を、蓄電部へ充電することで保持することができる。そのため、例えば太陽電池の発電電力の不足時(例えば夜間や雨天時)であっても、表示装置へ電力供給を行うことが可能になる。
【0010】
また、上記構成の電力供給装置において、本体部を四角柱状としても構わない。
【0011】
蓄電部として直方体状の汎用の蓄電池を用いる場合、本体部を四角柱状にすると、円柱状などの他の形状と比較して、本体部の断面積を小型化することができる。さらに、本体部を四角柱状にすると、蓄電部やコントローラなどのメンテナンス用の扉を、本体部の側面に容易に作り込むことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の構成とすると、電力供給装置及び表示装置は、電力供給装置が表示装置に電力を供給し得る限り、それぞれ任意の場所に配置することが可能になる。したがって、表示システムの設置の自由度を高くすることができる。
【0013】
本発明の意義ないし効果は、以下に示す実施の形態の説明によりさらに明らかとなろう。ただし、以下説明する実施の形態は、あくまでも本発明の実施の形態の一つであって、本発明ないし各構成要件の用語の意義は、以下の実施の形態に記載されたものに制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】は、表示システムの概略構造を示す斜視図である。
【図2】は、電力供給装置の概略構造を示す斜視図である。
【図3】は、電力供給装置の概略構造を示す斜視図である。
【図4】は、電力供給装置の概略構造を示す側面図である。
【図5】は、表示システムの概略構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の一形態である表示システムについて、図面を参照して説明する。最初に、表示システムの概略構造について、図1を参照して説明する。図1は、表示システムの概略構造を示す斜視図である。
【0016】
図1に示すように、表示システム1は、電力を供給する電力供給装置10と、コンテンツを表示する表示装置20と、を備える。例えば表示装置20は、バス停などに備えられる構造物Sの屋根rの下などに設けられる。図1では、構造物Sの屋根rの支柱pに表示装置20が取り付けられた場合を、例示している。
【0017】
電力供給装置10及び表示装置20は、電力ケーブルなどで電気的に接続されており、表示装置20は、電力供給装置10が供給する電力により動作する。電力供給装置10及び表示装置20は、電気的に接続し得る限り、それぞれ任意の場所に配置することが可能である。
【0018】
次に、電力供給装置の概略構造について、図2〜図4を参照して説明する。図2及び図3は、電力供給装置の概略構造を示す斜視図である。図2は、太陽電池111が向けられた側(以下、表側とする)から電力供給装置10を見た場合の斜視図であり、図3は、図2の反対側(以下、裏側とする)から電力供給装置10を見た場合の斜視図である。また、図4は、電力供給装置の概略構造を示す側面図である。
【0019】
図2〜図4に示すように、電力供給装置10は、主として太陽光が照射されることで発電する太陽光発電部110と、四角柱状の本体部120と、本体部120の上面(鉛直方向上側の面、以下同じ)に配置されて太陽光発電部110を支持する支持部130と、を備える。
【0020】
太陽光発電部110は、照射される光のエネルギーを電力に変換する太陽電池(パネル)111と、太陽電池111を固定する固定部112と、太陽電池111及び固定部112が隣接して配置される筺体113と、を備える。また、太陽光発電部110は、略平板状(太陽電池111及び固定部112が配列される面が大きく、当該面と垂直な面が小さい直方体)である。以下では説明の簡略化のため、太陽光発電部110を平板として扱うとともに、太陽電池111が配置される面を表面、反対側の面を裏面とする。
【0021】
太陽電池111は、筺体113にボルト及びナット等によって固定される固定部112により、端部が筺体113に押圧されることで、固定される。なお、図1に示す太陽電池111の配置方法や固定方法は一例に過ぎず、太陽電池111をどのように配置及び固定しても構わない。
【0022】
支持部130は、本体部120の上面に配置され、太陽光発電部110を支持する。これにより、太陽光発電部110が、本体部120の鉛直上方に配置される。また、太陽光発電部110は、水平方向に対して所定の角度で、支持部130に支持される。
【0023】
例えば、太陽光発電部110は、水平面に対する角度が0°よりも大きい角度で(水平面に対して傾斜した状態で)、支持部130に支持される構造であると好ましい。この場合、太陽光発電部110の鉛直方向の射影面積を小さくすることができるため、電力供給装置10を容易に設置することが可能になる。
【0024】
また例えば、太陽光発電部110は、水平面に対する角度が、電力供給装置10の設置を予定する地域の緯度に応じた角度になるように、支持部130に支持される構造であると、好ましい。具体的に例えば、太陽光発電部110の表面が南向きに配置される状態を想定し、太陽の南中高度(90°−緯度+23.4°〜90°−緯度−23.4°を1年間で変動)に適した角度(南中する太陽から略垂直に光が照射される角度。例えば、緯度と略等しい角度)になるように、支持部130に支持される構造であると、好ましい。この場合、太陽の光を太陽光発電部110の太陽電池111に効率よく照射させることができるため、太陽光発電部110の発電により得られる電力を大きくすることが可能になる。
【0025】
支持部130は、本体部120の上面に固定される下面部131と、太陽光発電部110の裏面に固定される斜面部132と、下面部131及び斜面部132を接続する斜面接続部133と、を備える。下面部131は矩形の平板状であり、斜面部132は四辺が棒状で太陽光発電部110と相似の矩形である。斜面接続部133は、下面部131の四隅と斜面部132の四隅とで距離が最短になる組み合わせを、それぞれ接続する。したがって、本例では斜面接続部133が四つ設けられる。なお、支持部130の構造はこの例の限りではなく、太陽光発電部110を上述のように支持し得る限り、どのような構造としても構わない。
【0026】
本体部120は、太陽電池111から供給される電力を充電するとともに放電により電力を供給する蓄電部121と、電力供給装置10が表示装置20に供給する電力を制御するコントローラ122と、を備える。
【0027】
蓄電部121は、本体部120に収容され、太陽電池111が発電した電力を充電する。なお太陽電池111は、直流電圧を出力するようになっている。この直流電圧の大きさは、例えば50V前後であるが、発電量に応じて変動する。また、蓄電部121は、例えば複数のリチウムイオンバッテリー(バッテリーパック)から成る。
【0028】
コントローラ122は、太陽電池111が発電した電力を、蓄電部121及び表示装置20へ供給する。例えば、コントローラ122は、原則的に、太陽電池111が発電した電力の大部分をそのまま表示装置20へ供給し、余剰電力(太陽電池111による発電電力と表示装置20の消費電力の差分電力)を蓄電部121へ供給する。ただしコントローラ122は、発電電力の不足時(例えば夜間や雨天時)には、蓄電部121を放電させて、表示装置20へ電力供給がなされるようにする。
【0029】
上述のように、蓄電部121の放電により表示装置20へ供給される電力も、元は太陽電池111の発電により得られたものである。即ち、蓄電部121は、太陽電池111の発電により得られた電力を、表示装置20に供給する前に保持するものとしても、解釈され得る。
【0030】
なお、電力供給装置10が、表示装置20に供給する電力を直流から交流に変換するべく、必要に応じてインバータを備えても構わない。例えば、表示装置20が汎用のものであり、商用電力(例えば電圧が100V、周波数が60Hz)で動作する場合など、商用電力と同等の交流電力を出力可能なインバータを本体部120に備えると、好ましい。更に、電力供給装置10は、インバータにより変換された交流電力、又は直流電力(50V、100V等)の両方が出力可能であっても良い。これにより、電力供給装置10は様々な仕様の電子機器に対して電力を供給することができる。
【0031】
また、本体部120が、内部を冷却する冷却装置(例えば、送風を行うファン等)を備えても構わない。上述のインバータや蓄電部121、コントローラ122は、発熱し易く定格温度を超えると正常な動作ができなくなるおそれがある。しかしながら、冷却装置により本体部120の内部を冷却することで、これらを正常に動作させることが可能になる。
【0032】
また、表示システムの概略構成について、図5を参照して説明する。図5は、表示システムの概略構成を示すブロック図であり、表示システム1の全体的な動作に関する要部を示したものである。図1に示したように、表示システム1は、電力供給装置10と、表示装置20と、を備える。また、図2〜図4に示したように、電力供給装置10は、太陽電池111と、蓄電部121と、コントローラ122とを備える。
【0033】
表示装置20は、コンテンツを表示する液晶パネル201と、液晶パネル201を照明するバックライト202と、液晶パネル201の表示制御を行う表示制御部203と、ユーザが触れた位置を検出するタッチパネル204と、電力供給装置10から供給される電力を用いて表示装置20の各部に電力を供給する電源回路205と、表示装置20の動作を制御する制御部206と、を備える。
【0034】
表示制御部203は、液晶パネル201での表示制御を行う表示制御回路を有している。この表示制御回路は、コンテンツの画像処理などを実行し、液晶パネル201においてコンテンツが適切に表示されるようにする。例えば、表示制御部203は、表示装置20が外部から受信したコンテンツや、表示装置20に記録されているコンテンツを取得して、表示制御を行う。
【0035】
液晶パネル201は、表示制御部203による表示制御に従って、各画素に対応する液晶を変調する。これにより液晶パネル201は、バックライト202の光の透過度合を変化させ、全体としてコンテンツ(画像)を表示する。なおバックライト202は、液晶パネル201に白色光を照射するものであり、例えば冷陰極管(CCFL)やLEDが用いられる。
【0036】
タッチパネル204は、静電容量方式の透明なタッチパネルとして形成されており、液晶パネル201の前面側に(より詳細には、液晶パネル201の前面に配置された前面ガラスに)配置されている。タッチパネル204は、ユーザの指が触れた位置等を検出し、その情報を制御部206に伝送する。
【0037】
電源回路205は、電力供給装置10から供給された電力を用いて、表示装置20の各部に対し電力供給を行う。なお電源回路205は、商用電力等(例えば電圧が100V、周波数が60Hzの交流電源)が供給された場合にも、これを直流に変換して表示装置20の各部へ電力供給することが可能となっている。すなわち電源回路205は、外部から供給された交流電力を直流(例えば、24V、12V、5V等の直流電圧)に変換するようになっている。供給された電力は、コンテンツの表示など、各種動作の実行に用いられる。制御部206は、CPU[Central Processing Unit]等によって形成されており、表示装置20が適切に動作するように、表示装置20における各部の制御を行う。
【0038】
以上のように、電力供給装置10及び表示装置20は、電力供給装置10が表示装置20に電力を供給し得る限り、それぞれ任意の場所に配置することが可能である。具体的に例えば、図1に示したように、表示装置20を構造物Sの屋根rの下に配置し、電力供給装置10を構造物Sから離間して配置することも可能になる。したがって、表示システム1の設置の自由度を高くすることができる。
【0039】
また、蓄電部121を備えることにより、太陽電池111から得られた電力を、蓄電部121に充電することで保持することができる。そのため、例えば太陽電池111の発電電力の不足時(例えば夜間や雨天時)であっても、表示装置20へ電力供給を行うことが可能になる。
【0040】
なお、本体部120を、四角柱状以外の任意の形状としても構わない。ただし、蓄電部121として直方体状の汎用の蓄電池を用いる場合、本体部120を四角柱状にすると、円柱状などの他の形状と比較して、本体部120の断面積を小型化することができるため、好ましい。さらに、本体部120を四角柱状にすると、蓄電部121やコントローラ122などのメンテナンス用の扉を、本体部120の側面に容易に作り込むことができるため、好ましい。
【0041】
以上、本発明における実施の形態について説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実行することができる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、例えば街中などの屋外に設置される表示システムなどに、利用可能である。
【符号の説明】
【0043】
1 表示システム
10 電力供給装置
110 太陽光発電部
111 太陽電池
120 本体部
121 蓄電部
122 コントローラ
20 表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池と、太陽電池が上面に設けられる本体部と、を備える電力供給装置と、
太陽電池から得られた電力により動作する表示装置と、を備え、
表示装置が電力供給装置と離間して設置されることを特徴とする、表示システム。
【請求項2】
本体部に収容され、太陽電池から得られた電力を充電し、その後に放電することで表示装置に電力を供給する蓄電部を、
さらに備えることを特徴とする、請求項1に記載の表示システム。
【請求項3】
本体部が四角柱状であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の電力供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−132999(P2012−132999A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−283203(P2010−283203)
【出願日】平成22年12月20日(2010.12.20)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】