説明

表示パネル、表示パネルの製造方法

【課題】電気化学表示素子の間に隔壁を設けながら簡単な工程で電極間に電解液を空隙無く充填することができる表示パネルの製造方法、高精細な表示パネルを提供する。
【解決手段】第1の基板の少なくとも隔壁を形成する領域を覆うように隔壁の材料から成る隔壁材料層を形成する工程と、隔壁材料層の全ての領域の上に所定の密度で球状のスペーサを配置する工程と、隔壁材料層とスペーサとを接着する工程と、隔壁材料層を所定の形状にパターニングして、少なくとも1つの電気化学表示素子を囲む隔壁を形成する工程と、をこの順に行うことを特徴とする表示パネルの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像の表示に電気化学表示素子を用いた表示パネル、画像の表示に電気化学表示素子を用いた表示パネルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、視認性に優れ、低消費電力な表示素子が求められている。現在一般に用いられるCRT、プラズマディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)といった自発光もしくは自発光体から発せられる光を変調するような表示素子は、明るく見やすいが、消費電力が大きいという問題を抱える。
【0003】
低消費電力という観点からは、一旦表示した画像を電力を加えなくても保持し続けるメモリー特性を有することが望ましく、さらには駆動電圧が低いことが望まれる。このような特性を備える表示素子として、電極上の酸化還元反応による光吸収状態の可逆変化を利用したエレクトロクロミック表示素子(以下ECD素子)や、銀または銀を化学構造中に有する化合物を含む電解質から、電極上への銀の析出と電解液への溶解とを利用するエレクトロデポジション表示素子(以下ED素子)の開発が近年盛んに行われている。ECD素子およびED素子は、ともに表示原理としては電極上での酸化還元反応を利用し、反応物質単独での光吸収の変化を利用したものであり、LCDに比べ偏光板やバックライトといった追加部材も不要なので、低コスト化および省プロセス化に非常に有利な表示素子である(例えば、特許文献1、2参照)。
【0004】
しかしながら、ECD素子およびED素子は光吸収状態の変化にイオンの移動を必要とするため、ドットマトリクス型表示を行った場合、隣接画素の電位状態に影響され、本来移動すべきでない方向にイオンが移動することにより、書換え画素部以外の場所も表示が変化するという現象(以下、滲み現象と呼ぶ)が生じ、画像の精細度を落とす原因となっていた。
【0005】
このような現象を回避するため、一対の電極間に隔壁部材を設けることによりイオンの移動を抑制する試みがなされている(例えば、特許文献3、特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3428603号公報
【特許文献2】特開2003−241227号公報
【特許文献3】特開平10−143125号公報
【特許文献4】特開2007−178733号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献3および特許文献4に記載されている構成では、滲み現象を回避するため上下基板間に隔壁部材を配しているので、流体もしくはゲル状の電解液を上下基板間に空隙無く充填することが難しい。
【0008】
ECD素子およびED素子は、ともに表示原理としては電極上での酸化還元反応を利用しているので、電極、もしくは電極上に電極からの電子の供受可能な状態で接している変色材料と、電解液とは完全に接している必要がある。電解液と電極、もしくは変色材料との間に空隙が存在する場合、その部分は酸化もしくは還元反応が起きず、結果として表示の書換えが不可能な状態となる。
【0009】
そのため、隔壁構造を設けた構造では、電解液を流入させるための経路を設ける必要があるが、特許文献3、4には、経路のことは開示されていない。電解液を流入させるための経路を設けるため、隔壁構造頂部を凹凸形状にする方法、もしくは隔壁上にさらに構造物を形成する方法が考えられるが、製造プロセスが複雑になり好ましくない。
【0010】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、電気化学表示素子の間に隔壁を設けながら電極間に電解液を空隙無く充填することができる表示パネルの製造方法、高精細な表示パネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の目的は、下記構成により達成することができる。
【0012】
1.第1の基板と第2の基板の互いに対向する面に、複数の電気化学表示素子を構成する第1の電極を前記第1の基板に、前記電気化学表示素子を構成する第2の電極を前記第2の基板に、それぞれ形成した後、前記第1の基板に前記電気化学表示素子を囲む隔壁を形成し、前記隔壁と前記第2の基板との間に配置したスペーサにより形成された空隙から、対向する前記第1の電極と前記第2の電極との間に電解液を充填する表示パネルの製造方法であって、
前記第1の基板の少なくとも前記隔壁を形成する領域を覆うように前記隔壁の材料から成る隔壁材料層を形成する工程と、
前記隔壁材料層の上に所定の密度で球状の前記スペーサを配置する工程と、
前記隔壁材料層と前記スペーサとを接着する工程と、
前記隔壁材料層を所定の形状にパターニングして、少なくとも1つの前記電気化学表示素子を囲む前記隔壁を形成する工程と、
をこの順に行うことを特徴とする表示パネルの製造方法。
【0013】
2.前記隔壁材料層の上に所定の密度で球状の前記スペーサを配置する工程では、
散布法を用いて前記スペーサを配置することを特徴とする前記1に記載の表示パネルの製造方法。
【0014】
3.前記隔壁材料層の全ての領域の上に所定の密度で球状の前記スペーサを配置する工程では、
インクジェット法を用いて前記スペーサを配置することを特徴とする前記1に記載の表示パネルの製造方法。
【0015】
4.前記隔壁材料層の全ての領域の上に所定の密度で球状の前記スペーサを配置する工程は、
第3の基板に所定の密度で球状の前記スペーサを配置する工程と、
前記第3の基板に配置された前記スペーサを前記隔壁材料層に転写する工程と、
からなることを特徴とする前記1に記載の表示パネルの製造方法。
【0016】
5.前記第3の基板に所定の密度で球状の前記スペーサを配置する工程では、
散布法を用いて前記スペーサを配置することを特徴とする前記4に記載の表示パネルの製造方法。
【0017】
6.前記第3の基板に所定の密度で球状の前記スペーサを配置する工程では、
インクジェット法を用いて前記スペーサを配置することを特徴とする前記4に記載の表示パネルの製造方法。
【0018】
7.複数の電気化学表示素子を構成する第1の電極を形成した第1の基板と、
前記第1の電極と対向する面に前記電気化学表示素子を構成する第2の電極を形成した第2の基板と、
前記第1の基板に形成された前記電気化学表示素子を囲む隔壁と、
前記隔壁と前記第2の基板との間に挟まれ、互いの間隔を空けて配置された複数の球状のスペーサと、
対向する前記第1の電極と前記第2の電極との間に充填された電解液と、
を有することを特徴とする表示パネル。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、電気化学表示素子の間に隔壁を設けながら電極間に電解液を空隙無く充填することができる表示パネルの製造方法、高精細な表示パネルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態に係る電気化学表示素子1の基本的な構成を示す概略断面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る隔壁の形状例を示す平面図である。
【図3】第1の実施形態に係る表示パネルの製造方法を説明するための平面図である。
【図4】第1の実施形態に係る表示パネルの製造方法を説明するための断面図である。
【図5】ドライ散布法を説明するための説明図である。
【図6】第1の実施形態に係る表示パネルの製造方法を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面に基づき本発明の実施形態を説明する。
【0022】
図1は、電気化学表示素子の基本的な構成を示す概略断面図である。以降、図中のX、Y、Zで示す座標軸に基づいて説明する。
【0023】
電気化学表示素子20は、第1の基板1に成膜された第1の電極5と、透明な第2の基板10に成膜された透明な第2の電極11とで、電解液31を挟み込んだ構造である。本実施形態では、第1の電極5は、Y軸方向に所定の間隔でストライプ状に形成され、第2の電極11は、X軸方向に所定の間隔でストライプ状に形成されている。Z軸方向から見て、交差する第1の電極5と第2の電極11とに挟まれた領域が、一つの電気化学表示素子20を構成する。図1では、3つの電気化学表示素子20の断面を図示している。
【0024】
それぞれの電気化学表示素子20を構成する電解液31は、隔壁6により分離され、他の電気化学表示素子20を構成する電解液31と混合しないようにして滲み現象を防止している。
【0025】
本実施形態では、球状のスペーサ3を第2の基板10と隔壁6との間に設け、電気化学表示素子20の隔壁6により囲まれた領域に、電解液31を注入するための経路を確保している。図1では、第2の基板10と隔壁6との間が球状のスペーサ3により塞がれているように見えるが、後に説明するように、球状のスペーサ3は、互いの間隔を空くよう所定の密度で設けられているので、第2の基板10と隔壁6との間には電解液31を注入するための隙間が空いている。
【0026】
電気化学表示素子がECD素子の場合、電解液31は、エレクトロクロミック色素を含んだ電解液である。また、電気化学表示素子がED素子の場合、電解液31は、銀、もしくは銀を化学構造物中に有する化合物を含んだ電解液である。
【0027】
さらに、電解液31に白色度を向上させる目的でTiO等の微粒子を混入、もしくは、微粒子を水溶性高分子等のバインダを用いて多孔質化した層を配しても良い。
【0028】
電気化学表示素子の表示動作を、ED素子の場合を例に説明する。
【0029】
第1の電極5と第2の電極11との間に図示せぬ電源を接続し、第1の電極5から第2の電極11に電流を流すと、電解液31中に含まれる銀の析出反応が生じる。析出した銀は光を吸収し、第2の電極11から見た電気化学表示素子20の濃度が高くなる。
【0030】
一方、逆方向の第2の電極11から第1の電極5に電流を印加すると、電解液31中に含まれる銀の溶解反応が生じる。析出した銀は溶解し、一定時間電流を流すと第2の電極11から見た電気化学表示素子1の濃度は初期状態の白色になる。
【0031】
以下、本発明に係る電気化学表示素子20の各構成要素について、さらに説明する。
【0032】
[ECD素子に用いる材料]
ECD素子に用いられるエレクトロクロミック色素は、電子の供受により光吸収状態を変化させる化合物であり、有機化合物や金属錯体が使用可能である。有機化合物は、ピリジン化合物や導電性高分子、スチリル化合物が使用可能であり、特開2002−328401号公報に記載の各種ビオロゲン化合物、特表2004−537743号公報に記載の色素、その他知られている色素を用いることができる。ロイコ型色素を用いる場合には、必要に応じて顕色剤あるいは消色剤を併用してかまわない。
【0033】
これらエレクトロクロミック色素を電極上に直接塗布しても良いし、電子の供受をより効率的に行う目的でTiOに代表される酸化物半導体ナノ構造を電極上に形成し、その上にインクジェット法等を用いてエレクトロクロミック色素を塗布・含浸させた構造にしてもよい。
【0034】
[ED素子に用いる材料]
ED素子に用いられる銀、もしくは銀を化学構造物中に有する化合物とは、例えば、酸化銀、硫化銀、金属銀、銀コロイド粒子、ハロゲン化銀、銀錯体化合物、銀イオン等の化合物の総称であり、固体状態や液体への可溶化状態や気体状態等の相の状態種、中性、アニオン性、カチオン性等の荷電状態種は、特に問わない。
【0035】
本発明に係る電解質に含まれる銀イオン濃度は、0.2モル/kg≦[Ag]≦2.0モル/kgが好ましい。銀イオン濃度が0.2モル/kgより少ないと希薄な銀溶液となり駆動速度が遅延し、2モル/kgよりも大きいと溶解性が劣化し、低温保存時に析出が起きやすくなる傾向にあり不利である。
【0036】
〔電解液〕
「電解液」とは、一般には、水などの溶媒に溶けて、その溶液がイオン伝導性を示す物質(「狭義の電解液」)を指すが、本発明の説明では、電解質、非電解質を問わず他の金属、化合物等を含有させた混合物を電解液(「広義の電解液」)という。
【0037】
電解液31は、有機溶媒、イオン性液体、酸化還元活性物質、支持電解質、錯化剤、白色散乱物、高分子バインダー等を必要に応じて選択して含有させた混合物である。
【0038】
〔隔壁〕
隔壁6とは、ある特定の電極領域を取り囲む構造を有するものである。隔壁6が取り囲む電極領域は、一つの電気化学表示素子20の電極に限定されるものではなく、複数の電気化学表示素子20の電極を取り囲んでも良い。電極領域を取り囲む隔壁6の形状は、四角形、菱形、多角形など各種形状を用いることができる。
【0039】
隔壁6の形状例を図2に示す。図2は、隔壁6をZ軸正方向から見た平面図である。一般的には、図2(a)〜(f)に示す正方形、長方形、六画形、菱形等の形状が用いられるが、これらの形状に限定されるものではない。
【0040】
図3、図4は、第1の実施形態の表示パネルの製造方法を説明する説明図である。
【0041】
第1の実施形態の表示パネルの製造方法として、次の工程S1〜S6を説明する。
【0042】
S1・・・・・隔壁材料層を形成する工程
S2・・・・・隔壁材料層の上にスペーサを配置する工程
S3・・・・・隔壁材料層とスペーサとを接着する工程
S4・・・・・隔壁を形成する工程
S5・・・・・シール部を形成する工程
S6・・・・・電解液を充填する工程
図3、図4を用いて、表示パネルの製造方法について順を追って説明する。図3は、Z軸正方向から見た表示パネルの平面図、図4は、図3にA−Aで示す部分の断面図である。図3、図4では、3×3の電気化学表示素子20が配列された表示パネルを例に説明するが、本発明の適用はこの画素数に限定されるものではなく任意の画素数の表示パネルに適用できる。
【0043】
本実施形態では、予め第1の基板1には、銀、金、などの金属材料を成膜した後、フォトリソグラフィー法によりパターニング処理を行ってストライプ状の第1の電極5が形成されているものとする。また、第2の基板10はガラス基板などの透明基板であり、第2の基板10には、ITOなどの透明導電膜を成膜した後、フォトリソグラフィー法によりパターニング処理を行って第1の電極5と直交する方向にストライプ状の第2の電極11が形成されているものとする。
【0044】
なお、第1の電極5と第2の電極11の形状はこの例に限定されるものではなく、任意の形状にすることができる。
【0045】
S1・・・・・隔壁材料層を形成する工程
第1の電極5を備えた基板1の上層に、後の工程で形成する隔壁6の領域を少なくとも覆うように隔壁材料層2を形成する。図3(a)、図4(a)は、基板1の上層に隔壁材料層2を形成した状態である。
【0046】
隔壁材料層2は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂等の材料を、スピンコート法、スリットコート法等の方法で基板上に塗布して形成する。
【0047】
熱可塑性樹脂、または熱硬化物の前駆体は、多官能性のアクリレートまたはメタクリレート、ビニルエーテル、エポキシド、それらのオリゴマー、またはポリマー等からなる群から選択することができる。そのなかでも、多官能性アクリレート、および多官能性アクリレートのオリゴマーが最も好ましい。また、多官能性エポキシド、および多官能性アクリレートの組み合わせも非常に有用であり、望ましい物理的機械的性質を達成できる。
【0048】
光硬化性樹脂の前駆体としては、エポキシアクリレート、ウレタンアクリオレート等のオリゴマー、反応性希釈剤、および光重合開始剤(ベンゾイン系、アセトフェノン系等)を混合したものを用いることができる。
【0049】
S2・・・・・隔壁材料層の上にスペーサを配置する工程
隔壁材料層2の上に、図3(b)、図4(b)に示すように所定の密度で球状のスペーサ3を配置する。
【0050】
スペーサ3は、市販のポリスチレン系、もしくはアクリル系のビーズを用いることができる。また、SiO、Al、TiO等の無機微粒子のファイバー、およびビーズを用いることも可能である。また、樹脂組成物を用い、パターニング工程を経て所望の形状のスペーサ3を形成しても良い。スペーサ3の直径は、後の工程で形成する隔壁6の幅Wより小さく、電解液31を注入する空隙を十分確保できる大きさにすることが望ましい。
【0051】
スペーサ3の配置は、公知のドライ散布法やウエット散布法などの散布法や、インクジェット法を用いることができる。
【0052】
図5は、ドライ散布法を説明するための説明図である。
【0053】
図5のように、隔壁材料層2を形成した基板1の全面上に、キャリアとなる気体に多数のスペーサ3を混合したものを、矢印のように旋回、または振動するノズル4から一様に散布して、スペーサ3を配置する。なお、図5には第1の電極5は図示していない。
【0054】
ウエット散布法では、隔壁材料層2を形成した基板1の全面上に、分散媒体である水や、水とアルコールの混合液、フロン溶剤などにスペーサ3を混合したものを塗布した後、分散媒体を乾燥させてスペーサ3を配置する。
【0055】
ドライ散布法、ウエット散布法の何れの方法でも、スペーサ3としては、ポリスチレン系のビーズを用いることが好ましい。散布するスペーサ3の密度は、後の工程で隔壁6にする領域に所定の数のスペーサ3が配置される密度に設定する。ドライ散布法やウエット散布法などの散布法を用いると、簡単な装置で短時間にスペーサ3を配置することができる。
【0056】
インクジェット法では、複数のノズルを持つヘッドを、隔壁材料層2を形成した基板1にノズルが対向するように配置し、ヘッドからスペーサ3を分散したインクを吐出して隔壁材料層2の上にスペーサ3を配置する。ヘッドを順次送ることにより、隔壁材料層2を形成した基板1の全面上にスペーサ3を配置する。スペーサ3としては、ポリスチレン系のビーズを用いることが好ましい。
【0057】
ノズルのピッチと、ヘッドの送りピッチは、後の工程で隔壁6にする領域に所定の数のスペーサ3が配置されるピッチにそれぞれ設定する。
【0058】
インクジェット法を用いると、均一な密度に分散してスペーサ3を配置することができる。
【0059】
S3・・・・・隔壁材料層とスペーサとを接着する工程
隔壁材料層2の上に配置したスペーサ3を接着する。接着は、例えば、スペーサ3を隔壁材料層2の上に配置した基板1を所定の温度のオーブンに入れ、スペーサ3と隔壁材料層2とが接着するまで所定時間加熱する方法で行う。
【0060】
S4・・・・・隔壁を形成する工程
隔壁材料層2を所定の形状にパターニングして、それぞれの電気化学表示素子20、または複数の電気化学表示素子20を囲む隔壁6を形成する。図3(c)、図4(c)は隔壁6を形成した状態である。本実施形態では図3(c)に示すように、後の工程で電解液31を充填して電気化学表示素子20を構成する9つの四角形の領域が、隔壁6に囲まれている。隔壁6の上にはスペーサ3が所定の密度で配置されている。図4(c)のWは隔壁6の幅、Hは隔壁6の高さ、である。
【0061】
隔壁6の形成方法としては、
1.感光性樹脂組成物を基板上に塗布して隔壁材料層2を形成し、露光・現像工程を経て所望の隔壁パターンを得る方法。
【0062】
2.非感光性樹脂組成物を基板上に塗布して隔壁材料層2を形成した後、レジストパターンをフォトプロセスもしくは印刷プロセスを用いて形成し、その後サンドブラストエッチング法にて樹脂組成物を除去していく方法。
【0063】
の何れかを用いることができる。隔壁材料層2の材料は、隔壁6の形成方法に合わせて適宜選択すれば良い。
【0064】
S5・・・・・シール部を形成する工程
図3(d)、図4(d)に示すように、電解液31を注入する注入口8を除いて、周縁部にシール部7を形成する。シール部7は、例えばディスペンサ法を用いてオレフィン系封止剤を塗布して形成する。
【0065】
S6・・・・・電解液を充填する工程
第2の電極11を予め形成した第2の基板10を図4(e)のように貼り合わせた後、加圧および押圧し、電解液31を注入する前の表示パネルを作製する。電解液31の注入は、いわゆる真空注入法を用いて、真空中で電解液31を満たした皿に注入口8を漬けた後、大気開放して表示パネルの内部に電解液31を充填する。電解液31を充填後、注入口8を封止する。
【0066】
本実施形態では、図3(d)のように、スペーサ3は隔壁6の上に間隔を空けて配置され、隔壁6と第2の基板10との間に間隙のある部分が多いので、隔壁6に囲まれた空間に容易に電解液31を充填し、第1の電極5と第2の電極11との間を隙間無く電解液31で満たすことができる。
【0067】
次に、図6を用いて、第2の実施形態の表示パネルの製造方法を説明する。
【0068】
図6は、図3にA−Aで示す部分の断面図である。第2の実施形態の表示パネルの製造方法では、S2の隔壁材料層の全面上にスペーサを配置する工程を、S21の第3の基板にスペーサを配置する工程と、S22の第3の基板に配置されたスペーサを隔壁材料層に転写する工程と、により行っている。その他の工程は、第1の実施形態と同じであり、詳細な説明は省略する。
【0069】
図6と対比させながら、第2の実施形態の表示パネルの製造方法の工程S1〜S6を説明する。
【0070】
S1・・・・・隔壁材料層を形成する工程
図6(a)のように、第1の電極5が形成された基板1の上層に隔壁材料層2を形成する。
【0071】
S2・・・・・隔壁材料層の上にスペーサを配置する工程
S21・・・・第3の基板にスペーサを配置する工程
第3の基板20に、予め散布法やインクジェット法を用いて、隔壁材料層より広い範囲に所定の密度でスペーサ3を配置する。スペーサ3は、第1の実施形態と同様のものを利用できるが、ポリスチレン系のビーズを用いることが好ましい。第3の基板20の材料は、ガラスや金属を用いることができる。第3の基板20のスペーサ3を配置する面は、離型処理を行うことが好ましい。
【0072】
なお、後の工程で用いる第2の基板10を、第3の基板20として用いても良い。
【0073】
S22・・・・第3の基板に配置されたスペーサを隔壁材料層に転写する工程
図6(b)のように、スペーサ3を配置した第3の基板20を、スペーサ3を配置した面を隔壁材料層2に対向するようにして、スペーサ3が隔壁材料層2に接するまで矢印方向に移動させる。スペーサ3は、第3の基板20にファンデルワールス力で付着しているが、柔らかい樹脂から成る隔壁材料層2に接すると、隔壁材料層2により強く付着する。
【0074】
次に、図6(c)の矢印のように、第3の基板20を隔壁材料層2から離れる方向に移動させると、スペーサ3は、隔壁材料層2に付着して残り、隔壁材料層2の全面上にスペーサ3を配置することができる。
【0075】
このようにすると、隔壁材料層2以外の領域にスペーサ3が付着することが無く、効率よく隔壁材料層2の全面上にスペーサを配置することができる。
【0076】
S3・・・・・隔壁材料層とスペーサとを接着する工程
第1の実施形態と同じ方法で、隔壁材料層2の上に配置したスペーサ3を接着する。
【0077】
S4・・・・・隔壁を形成する工程
第1の実施形態と同様の方法で、隔壁材料層2を所定の形状にパターニングして、それぞれの電気化学表示素子20、または複数の電気化学表示素子20を囲む隔壁6を形成する。図6(d)に隔壁6を形成した状態を示す。
【0078】
S5・・・・・シール部を形成する工程
図6(e)に示すように、電解液31を注入する注入口8を除いて、周縁部にシール部7を形成する。シール部7は、例えばディスペンサ法を用いてオレフィン系封止剤を塗布して形成する。
【0079】
S6・・・・・電解液を充填する工程
第2の電極11を予め形成した第2の基板10を図6(f)のように貼り合わせた後、加圧および押圧し、電解液31を注入する前の表示パネルを作製する。電解液31の注入は、いわゆる真空注入法を用いて、真空中で電解液31を満たした皿に注入口8を漬けた後、大気開放して表示パネルの内部に電解液31を充填する。電解液31を充填後、注入口8を封止する。
【実施例】
【0080】
以下、本発明の効果を確認するために行った実施例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0081】
以下説明する各実施例と各比較例では、下記の条件で作製した同じ第1の基板1と第2の基板10、および電解液を用いた。
【0082】
(第1の基板1の作製)
第1の基板1は、90mm×120mmのガラス基板上に、金属電極である銀パラジウム電極(Pd:2質量%)をスパッタ法にて200nmの膜厚となるように成膜し、フォトリソグラフィー法によりパターニング処理を行って、電極幅180μm、電極ピッチ200μmのストライプ状の第1の電極5を形成した。
【0083】
(第2の基板10の作製)
第2の基板10は、90mm×120mmのガラス基板上に、透明導電膜であるITOをスパッタ法にて150nmの膜厚となるように成膜し、フォトリソグラフィー法によりパターニング処理を行って、電極幅180μm、電極ピッチ200μmのストライプ状の第2の電極11を形成した。
【0084】
(電解液31の作製)
ジメチルスルホキシド2.5g中に、ヨウ化ナトリウム90mg、ヨウ化銀75mgを加えて完全に溶解させた後に、ポリビニルピロリドン(平均分子量15000)を150mg加えて120℃に加熱しながら1時間攪拌し溶液化した。この溶液に対して、さらにポリエチレングリコール(以下PEG)(分子量=10万)と酸化チタンの粉末を混合し、ゲル状の白色電解液を作成した。PEGは白色電解液の5質量%、酸化チタンの粉末は同30質量%とした。
【0085】
[実施例1]
実施例1は、隔壁材料層の上にスペーサを配置する工程で散布法を用いた例である。
【0086】
S1・・・・・隔壁材料層を形成する工程
スピンコート法を用いて、第1の電極5を形成した第1の基板1の上に、ネガ型感光性フォトレジストであるSU−8 3050(化薬マイクロケム社製)を回転数4000rpmでスピンコートした後、100℃のホットプレート上にて30分間プリベーク処理を行って隔壁材料層2を形成した。
【0087】
S2・・・・・隔壁材料層の上にスペーサを配置する工程
積水化学社製の直径3μmの球状の固着スペーサー(湿式散布用(Semi−Dry))を、ドライ散布法を用いて隔壁材料層の全面上に250個/mm□となるように配置した。
【0088】
S3・・・・・隔壁材料層とスペーサとを接着する工程
隔壁材料層の上にスペーサ3を配置した基板1を、120℃のオーブンで30分加熱し、スペーサ3と隔壁6を接着した。
【0089】
S4・・・・・隔壁を形成する工程
隔壁材料層2を、平行光露光機を用い、形状パターンが形成されたフォトマスクを介して、400mJ/cmの紫外線を照射し、続いて100℃のホットプレート上で10分間熱処理を行った。形状パターンは、図2(a)の形状で、隔壁幅Wは20μm、隔壁の間隔はX方向、Y方向とも電極ピッチと同じ200μmのパターンを用いた。
【0090】
熱処理後、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)液を用いて現像処理を行い、紫外線の照射されていないフォトレジスト材料を除去した。イソプロピルアルコール(IPA)液にてリンス処理を行った後、IPA液を乾燥させて高さH=67μmの隔壁6を作製した。
【0091】
S5・・・・・シール部を形成する工程
ディスペンサ法を用いて、オレフィン系封止剤を塗布し、注入口8を除いた周縁部に高さ70μmのシール部7を形成した。
【0092】
S6・・・・・電解液を充填する工程
第2の電極11を予め形成した第2の基板10を図4(e)のように貼り合わせた後、加圧および押圧し、電解液31を注入する前の表示パネルを作製した。真空注入法を用いて該表示パネルに電解液31を充填後、注入口8を封止した。
【0093】
[実施例2]
実施例2は、隔壁材料層の上にスペーサを配置する工程でインクジェット法を用いた例である。
【0094】
S1・・・・・隔壁材料層を形成する工程
スピンコート法を用いて、第1の電極5を形成した第1の基板1の上に、ネガ型感光性フォトレジストであるSU−8 3050を塗布し、隔壁材料層2を形成した。
【0095】
S2・・・・・隔壁材料層の上にスペーサを配置する工程
コニカミノルタIJ社製のピエゾヘッドKM512Mを有するインクジェット装置を用い、積水化学社製の直径3μmの球状の固着スペーサー(湿式散布用(Semi−Dry))をエチレングリコール50、水50に0.5質量%添加した分散液をインクとして隔壁材料層2の全面上に250個/mm□となるように滴下し、スペーサ3を配置した。
【0096】
S3・・・・・隔壁材料層とスペーサとを接着する工程
隔壁材料層の全面上にスペーサ3を配置した基板1を、120℃のオーブンで30分加熱し、スペーサ3と隔壁6を接着した。
【0097】
S4・・・・・隔壁を形成する工程
隔壁材料層2を、平行光露光機を用い、形状パターンが形成されたフォトマスクを介して、400mJ/cmの紫外線を照射し、続いて100℃のホットプレート上で10分間熱処理を行った。形状パターンは、図2(a)の形状で、隔壁幅Wは20μm、隔壁の間隔はX方向、Y方向とも電極ピッチと同じ200μmのパターンを用いた。電極の交差部分の面積(反応部の面積)は10×10mmとした。
【0098】
熱処理後、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)液を用いて現像処理を行い、紫外線の照射されていないフォトレジスト材料を除去した。イソプロピルアルコール(IPA)液にてリンス処理を行った後、IPA液を乾燥させて高さH=67μmの隔壁6を作製した。
【0099】
S5・・・・・シール部を形成する工程
ディスペンサ法を用いて、オレフィン系封止剤を塗布し、注入口8を除いた周縁部に高さ70μmのシール部7を形成した。
【0100】
S6・・・・・電解液を充填する工程
第2の電極11を予め形成した第2の基板10を図4(e)のように貼り合わせた後、加圧および押圧し、電解液31を注入する前の表示パネルを作製した。真空注入法を用いて該表示パネルに電解液31を充填後、注入口8を封止した。
【0101】
[実施例3]
実施例3は、隔壁材料層の全面上にスペーサを配置する工程で転写法を用いた例である。
【0102】
S1・・・・・隔壁材料層を形成する工程
スピンコート法を用いて、第1の電極5を形成した第1の基板1の上に、ネガ型感光性フォトレジストであるSU−8 3050を塗布し、隔壁材料層2を形成した。
【0103】
S2・・・・・隔壁材料層の上にスペーサを配置する工程
S21・・・・第3の基板にスペーサを配置する工程
積水化学社製の直径3μmの球状の固着スペーサー(湿式散布用(Semi−Dry))を、ドライ散布法を用いて第3の基板20の全面上に250個/mm□となるように配置した。第3の基板20は、厚さ2mmのガラス基板を用い、スペーサ3を散布する面には離型処理を行った。
【0104】
S22・・・・第3の基板に配置されたスペーサを隔壁材料層に転写する工程
スペーサ3を配置した第3の基板20を、スペーサ3を配置した面を隔壁材料層2に対向するようにして、スペーサ3が隔壁材料層2に接するまで移動させた後、第3の基板20を隔壁材料層2から離間させた。
【0105】
S3・・・・・隔壁材料層とスペーサとを接着する工程
隔壁材料層の全面上にスペーサ3を配置した基板1を、120℃のオーブンで30分加熱し、スペーサ3と隔壁6を接着した。
【0106】
S4・・・・・隔壁を形成する工程
隔壁材料層2を、平行光露光機を用い、形状パターンが形成されたフォトマスクを介して、400mJ/cmの紫外線を照射し、続いて100℃のホットプレート上で10分間熱処理を行った。形状パターンは、図2(a)の形状で、隔壁幅Wは20μm、隔壁の間隔はX方向、Y方向とも電極ピッチと同じ200μmのパターンを用いた。
【0107】
熱処理後、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)液を用いて現像処理を行い、紫外線の照射されていないフォトレジスト材料を除去した。イソプロピルアルコール(IPA)液にてリンス処理を行った後、IPA液を乾燥させて高さH=67μmの隔壁6を作製した。
【0108】
S5・・・・・シール部を形成する工程
ディスペンサ法を用いて、オレフィン系封止剤を塗布し、注入口8を除いた周縁部に高さ70μmのシール部7を形成した。
【0109】
S6・・・・・電解液を充填する工程
第2の電極11を予め形成した第2の基板10を図6(f)のように貼り合わせた後、加圧および押圧し、電解液31を注入する前の表示パネルを作製した。真空注入法を用いて該表示パネルに電解液31を充填後、注入口8を封止した。
【0110】
[比較例1]
比較例1は、実施例1から工程S2、S3を省略し、隔壁6の上にスペーサ3を配置せずに第1の基板1と第2の基板10とを貼り合わせ、電解液31を充填した例である。
【0111】
S1・・・・・隔壁材料層を形成する工程
スピンコート法を用いて、第1の電極5を形成した第1の基板1の上に、ネガ型感光性フォトレジストであるSU−8 3050を塗布し、隔壁材料層2を形成した。
【0112】
S4・・・・・隔壁を形成する工程
隔壁材料層2を、平行光露光機を用い、形状パターンが形成されたフォトマスクを介して、400mJ/cmの紫外線を照射し、続いて100℃のホットプレート上で10分間熱処理を行った。形状パターンは、図2(a)の形状で、隔壁幅Wは20μm、隔壁の間隔はX方向、Y方向とも電極ピッチと同じ200μmのパターンを用いた。
【0113】
熱処理後、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)液を用いて現像処理を行い、紫外線の照射されていないフォトレジスト材料を除去した。イソプロピルアルコール(IPA)液にてリンス処理を行った後、IPA液を乾燥させて高さH=67μmの隔壁6を作製した。
【0114】
S5・・・・・シール部を形成する工程
ディスペンサ法を用いて、オレフィン系封止剤を塗布し、注入口8を除いた周縁部に高さ70μmのシール部7を形成した。
【0115】
S6・・・・・電解液を充填する工程
第2の電極11を予め形成した第2の基板10を図6(f)のように貼り合わせた後、加圧および押圧し、電解液31を注入する前の表示パネルを作製した。真空注入法を用いて該表示パネルに電解液31を充填後、注入口8を封止した。
【0116】
[比較例2]
比較例2は、比較例1から工程S1、S4を省略し、隔壁6を形成せずに第1の基板1と第2の基板10とを貼り合わせ、電解液31を充填した例である。
【0117】
S5・・・・・シール部を形成する工程
ディスペンサ法を用いて、オレフィン系封止剤を塗布し、注入口8を除いた周縁部に高さ70μmのシール部7を形成した。
【0118】
S6・・・・・電解液を充填する工程
第2の電極11を予め形成した第2の基板10を図6(f)のように貼り合わせた後、加圧および押圧し、電解液31を注入する前の表示パネルを作製した。真空注入法を用いて該表示パネルに電解液31を充填後、注入口8を封止した。
【0119】
[評価方法]
実施例、比較例ともに下記測定条件でY値とコントラスト比の測定を行った。
【0120】
(Y値の測定)
全ての第1の電極5は0Vとし、全ての第2の電極10には1秒間−1.5Vの直流電圧を印加し、表示パネルの全画素に黒を表示させ、表示パネルのY値を測定した。
【0121】
(コントラスト比の測定)
奇数番目の第1の電極5に−1.5Vを、偶数番目の第1の電極5に0Vを印加するとともに、全ての第2の電極10に0Vを印加し、表示パネルに白と黒のストライプ画像を表示させた。白、黒に表示されている部分のY値をそれぞれ測定し、コントラスト比を求めた。
【0122】
いずれの場合もY値の測定は測色計により行った。測色計は、コニカミノルタセンシング社製分光測色計CM−3700dを用いて、D65光源、正反射除去モードで測定した。
【0123】
また、顕微鏡により表示パネルの画素の状態を目視で観察し、泡の発生と滲み現象の発生の有無を確認した。
【0124】
[評価結果]
測定および評価した結果を表1に示す。
【0125】
【表1】

【0126】
実施例1、実施例2、実施例3で作製した表示パネルの黒Y値は、それぞれ4.1、3.9、4.2であり、電気化学表示素子のほぼ最高濃度の黒が表示されていた。また、コントラスト比はそれぞれ15であり、良好な値が得られた。
【0127】
実施例1、実施例2、実施例3で作製した表示パネルの全画素を顕微鏡で観察したところ、泡や滲み現象は観察されなかった。
【0128】
一方、比較例1と比較例2で作製した表示パネルの黒Y値は、それぞれ12.3と9.8であり、何れも黒の濃度が不足している。また、コントラスト比はそれぞれ4.5と6.1であり、各実施例のコントラスト比と比べて非常に低い値になっている。
【0129】
比較例1で作製した表示パネルの画素を顕微鏡観察したところ、多数の画素に泡が観察された。泡が観察された画素は、泡が観察されていない画素と比べて表示濃度が低くなっていた。比較例1で作製した表示パネルは、隔壁内に電解液が十分に充填されなかったため空隙が生まれ、泡が発生したと考えられる。なお、比較例1では滲み現象は発生していなかった。
【0130】
比較例2で作製した表示パネルの画素を顕微鏡観察したところ、泡は観察されなかったが、滲み現象により、白と黒のストライプ画像を表示させた時、0Vを印加した第1の電極1の上にも黒化銀が析出していた。比較例2で作製した表示パネルは、隔壁が無いので電解液は充填されているが、滲み現象が発生したと考えられる。
【0131】
以上このように、本発明によれば、電気化学表示素子の間に隔壁を設けながら簡単な工程で電極間に電解液を空隙無く充填することができる表示パネルの製造方法、高精細な表示パネルを提供することができる。
【符号の説明】
【0132】
1 第1の基板
2 隔壁材料層
3 スペーサ
5 第1の電極
6 隔壁
7 シール部
8 注入口
10 第2の基板
11 第2の電極
20 電気化学表示素子
31 電解液

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の基板と第2の基板の互いに対向する面に、複数の電気化学表示素子を構成する第1の電極を前記第1の基板に、前記電気化学表示素子を構成する第2の電極を前記第2の基板に、それぞれ形成した後、前記第1の基板に前記電気化学表示素子を囲む隔壁を形成し、前記隔壁と前記第2の基板との間に配置したスペーサにより形成された空隙から、対向する前記第1の電極と前記第2の電極との間に電解液を充填する表示パネルの製造方法であって、
前記第1の基板の少なくとも前記隔壁を形成する領域を覆うように前記隔壁の材料から成る隔壁材料層を形成する工程と、
前記隔壁材料層の上に所定の密度で球状の前記スペーサを配置する工程と、
前記隔壁材料層と前記スペーサとを接着する工程と、
前記隔壁材料層を所定の形状にパターニングして、少なくとも1つの前記電気化学表示素子を囲む前記隔壁を形成する工程と、
をこの順に行うことを特徴とする表示パネルの製造方法。
【請求項2】
前記隔壁材料層の上に所定の密度で球状の前記スペーサを配置する工程では、
散布法を用いて前記スペーサを配置することを特徴とする請求項1に記載の表示パネルの製造方法。
【請求項3】
前記隔壁材料層の全ての領域の上に所定の密度で球状の前記スペーサを配置する工程では、
インクジェット法を用いて前記スペーサを配置することを特徴とする請求項1に記載の表示パネルの製造方法。
【請求項4】
前記隔壁材料層の全ての領域の上に所定の密度で球状の前記スペーサを配置する工程は、
第3の基板に所定の密度で球状の前記スペーサを配置する工程と、
前記第3の基板に配置された前記スペーサを前記隔壁材料層に転写する工程と、
からなることを特徴とする請求項1に記載の表示パネルの製造方法。
【請求項5】
前記第3の基板に所定の密度で球状の前記スペーサを配置する工程では、
散布法を用いて前記スペーサを配置することを特徴とする請求項4に記載の表示パネルの製造方法。
【請求項6】
前記第3の基板に所定の密度で球状の前記スペーサを配置する工程では、
インクジェット法を用いて前記スペーサを配置することを特徴とする請求項4に記載の表示パネルの製造方法。
【請求項7】
複数の電気化学表示素子を構成する第1の電極を形成した第1の基板と、
前記第1の電極と対向する面に前記電気化学表示素子を構成する第2の電極を形成した第2の基板と、
前記第1の基板に形成された前記電気化学表示素子を囲む隔壁と、
前記隔壁と前記第2の基板との間に挟まれ、互いの間隔を空けて配置された複数の球状のスペーサと、
対向する前記第1の電極と前記第2の電極との間に充填された電解液と、
を有することを特徴とする表示パネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−210866(P2010−210866A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−56141(P2009−56141)
【出願日】平成21年3月10日(2009.3.10)
【出願人】(000001270)コニカミノルタホールディングス株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】