説明

表示パネルおよび表示パネル用カバー材

【課題】 本発明は、継続的な積雪時であっても通行の安全が確保されると共に、堅牢で長期的な設置・運用ができ、しかも、安価で外観の体裁もよい表示パネルと表示パネルに備えるカバー材を提供することにある。
【解決手段】 複数のパネル構成部材を一列に係合して構成する表示パネルであって、連接するパネル構成部材1,2のいずれかの非表示面側に溝5を形成し、溝5の側壁対向位置に係止部1c,1cを配設し、溝5内にはT型金具4またはUバンド18を固定するボルト6が保持されており、溝5には、溝底側でボルト頭部6aが引掛かり且つ溝開口側でボルト6先部分を抜き出すボルト挿通孔8を備えるカバー材3を係止部1cに係止して嵌挿することによって、溝開口を塞いでいることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路案内や店舗看板などに使用される表示パネルと、表示パネル用カバー材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
平板状のホロー材からなる複数のパネル構成部材を一列に連結して表示パネルを形成するものであり、そのときに、パネル構成部材のいずれかにほぼ凹状の溝が形成され、その溝にはT型金具やUバンドなどを固定するためのボルトを保持するものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−162398号公報
【特許文献2】特開2004−68471号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような表示パネルでは、T型金具もしくはUバンドを固定するための溝が露出することで、パネルの非表示面が凹凸面を形成する。これにより降雪地域等では、前述したパネル構成部材の溝に雪が入り込むことで、付着した雪が気温の低下により氷結して纏まった雪塊となり、表示パネル下を走行する車や通行人に雪塊が落下する危険性があった。また、表示パネルへの着雪を防ぐために、パネル上部に屋根材を取り付けたものがあったが、このような表示パネルでは、支柱上部の重量の増加に伴って支柱構造部を大幅に補強する必要があり、このことからコスト増加を招く問題点もあった。さらに、表示パネルの非表示面に溝があることで外観の体裁が悪く、例えば、観光地などの景観を重要視する場所に表示パネルを設置したときには美観を損ねる懸念もあり、これらの不都合を解消する表示パネルの登場が望まれていた。
【0005】
本発明は以上に述べたような実情に鑑み、継続的な積雪時であっても通行の安全が確保されると共に、堅牢で長期的な設置・運用ができ、しかも、安価で外観の体裁もよい表示パネルと表示パネルに備えるカバー材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のうち請求項1記載の発明は、複数のパネル構成部材を一列に係合して構成する表示パネルであって、連接するパネル構成部材のいずれかの非表示面側に溝を形成し、溝の側壁対向位置に係止部を配設し、溝内にはT型金具またはUバンドを固定するボルトが保持されており、溝には、溝底側でボルト頭部が引掛かり且つ溝開口側でボルト先部分を抜き出すボルト挿通孔を備えるカバー材を係止部に係止して嵌挿することによって、溝開口を塞いでいることを特徴とする。
【0007】
本発明のうち請求項2記載の発明は、パネル構成部材の非表示面側に設けてあるT型金具またはUバンドを固定するボルトを保持する溝に挿入するものであり、溝の溝底側でボルト頭部を係止して溝開口側にボルト先端を抜き出すボルト挿通孔を有し、溝に挿入することにより溝開口を塞ぐものであることを特徴とする。
【0008】
本発明のうち請求項3記載の発明は、カバー材は、溝に挿入して溝開口を塞いだときに、パネル構成部材の非表示面側をほぼフラットに形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明のうち請求項1および2記載の発明によれば、T型金具またはUボルトを固定するボルトを保持する溝にカバー材を挿入することにより、表示パネルの非表示面側の溝による凹みが解消される。これにより、雪が降り続いても溝に入り込まずにそのまま滑落していくので、表示パネルの非表示面側でまとまった大きな雪塊を形成することがなく、結果、通行人の頭上の安全が確保できる。また、溝に雪が入り込まない構造であるから、金属腐食の不安もなく、長期的に安定した表示パネルの設置・運用が可能となる。さらに、カバー材のみを既設の表示パネルの溝に挿入して使用できることから、設置コストの抑制に寄与できる
【0010】
本発明のうち請求項3記載の発明によれば、カバー材を挿入したときに表示パネルの非表面側を凹凸のないほぼフラットな状態にできるので、一層の着雪防止効果とパネル外観の向上を図ることができ、付加価値の高い表示パネルを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1(a)(b)】(a)本実施による表示パネルの全体を示す背面図であり、(b)は、パネル構成部材同士の係合箇所を拡大して示す側面図である。
【図2(a)(b)(c)(d)(e)】(a)は、本実施によるカバー材の取付状態を示す一部を拡大した側面図であり、(b)は、縦断面図であり、(c)は、カバー材の側面図であり、(d)は、正面図であり、(e)は、平面図である。
【図3(a)(b)】(a)は、本実施によるカバー材の施工状態を示す斜視図であり、(b)は、カバー材のボルトを挿通した状態を示す一部を拡大した斜視図である。
【図4】本発明の表示パネルの他の実施形態の施工状態を示す背面視した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明による表示パネルの実施形態を図面に基づいて説明する。
本実施による表示パネルは、図1(a)のように、横長矩形のパネル構成部材1,2を上下に複数係合して構成するもので、地面から起立する支柱15上部から水平に突出した支持バー16に取り付けてある。そして、パネル構成部材1,2の表示面はフラットに形成してあり、また、表示パネルの非表示面(背面側)は、支持バー16に取り付けるT型金具4を固定するための溝5が複数形成される。
【0013】
次に本実施によるパネル構成部材1,2のうち、上記の溝5を有するものについてのみ説明する。
パネル構成部材1は、表示面側に位置する一方側壁部1aを、そして、非表示面側に位置する他方側壁部1bを平行に配置しており、一方側壁部1aと他方側壁部1bの上下方向の両端部には、一方側壁部1aと他方側壁部1bをつなぐように小口側壁部を各々設けてある。また、パネル構成部材1の非表示面側に設けてある溝5は、断面ほぼコ字型をなしており、図2(a)(b)に示すように、両側溝壁(図中では上下の溝壁)の溝開口側には、内向きに対向して突出する係止部1cが設けてある。また、本実施によるパネル構成部材1,2同士の係合箇所については、図1(b)のように、上下に連接して隣り合う一方および他方の両パネル構成部材1,2を係合したときに、両挿入孔形成溝21a,21bが上下に対面して合わさり、両パネル構成部材1,2間に略六角形状をなす棒材挿入孔22を形成し、この棒材挿入孔22に断面ほぼ円形状をなす棒材23を挿入して互いの接合強度を高めるものである。
【0014】
上記のパネル構成部材1の溝5に挿入するカバー材3は、図2(a)(b)のように、その断面形状がほぼ十字状をなすように形成してある。具体的に、図2(c)のように、溝5の溝側壁部(図中では上下の両溝壁)の内周面に各々が当接する係止突部3c,3cと、溝5の溝開口側に露出する閉塞突部3aと、溝5の溝底に当接するガイド突部3bとからなっている。また、図2(d)(e)のように、カバー材3の長手方向に沿って間隔をあけて複数のボルト挿通孔8が設けてあり、カバー材3を溝5に挿入する前の段階で、図3(b)のように、ボルト挿通孔8にT型金具4を取り付けるボルト6を挿通することで、カバー材3がボルト6の挿通により溝5内で位置決めされ、カバー材3が溝5から抜け落ちない構造となる。また、カバー材3のボルト挿通孔8の孔同士の間隔とT型金具4のボルト挿通孔9の孔同士の間隔は一致しており、カバー材3を溝5に挿通したパネル構成部材1にT型金具4を沿わせたときに、互いのボルト挿通孔8,9同士が一致するようになっている。
尚、符号10は、パネル構成部材1,2とナットとの緩衝材である。
【0015】
このように形成したカバー材3は、図3(a)のように、パネル構成部材1の溝5に挿入したとき、カバー材3におけるガイド突部3bが溝5の溝底に摺動しながら挿入されていき、カバー材3の両側にある係止突部3c,3cが溝5の溝開口側にある各係止部1c,1cの内周側にそれぞれ係止される。また、カバー材3の閉塞突部3aは、両係止部1c,1cの間に介在し、これにより、カバー材3を溝5に挿入することでパネル構成部材1の非表示面側がほぼフラットな状態となり、表示パネルの外観が良好なものとなる。
【0016】
また、図4は、パネル構成部材1と支柱15との取り付けにUバンド17を用いる態様の表示パネルである。
本実施のものでは、前述したT型金具4のものと同様に、Uバンド17の両端17a,17aにボルト挿通孔18が設けてあり、そのボルト挿通孔18にカバー材3に挿通したボルト6の先端を通し、さらに、ボルト6の先端にかけたナット7を締め付けることで、Uバンド17によるパネル構成部材1と支柱15との取り付けを果たしている。
【0017】
上記各実施形態で説明したカバー材3は、パネル構成部材1の溝5の溝開口側を閉塞して非表示面側をほぼフラットな状態にするものであれば、その形状については特に限定するものではない。また、カバー材3のガイド突部3bは、パネル構成部材1の溝5の溝底に当接して挿入を案内するものであれば、数や大きさは特に限定するものではない。また、本発明の表示パネルは、本実施形態で例示した道路標識の他に、例えば、店舗看板や案内標識等にも適用できる。さらに、本実施によるカバー材3は、上記実施形態によるパネル構成部材1,2以外のT型金具4を固定するための溝5を有する表示パネルにおいても適用できる。
【符号の説明】
【0018】
1 パネル構成部材(溝ありのもの)
1c 係止部
2 パネル構成部材(溝なしのもの)
3 カバー材
4 T型金具
5 溝
6 ボルト
6a ボルト頭部
7 ナット
8 ボルト挿通孔
17 Uバンド


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のパネル構成部材を一列に係合して構成する表示パネルであって、
連接するパネル構成部材のいずれかの非表示面側に溝を形成し、溝の側壁対向位置に係止部を配設し、溝内にはT型金具またはUバンドを固定するボルトが保持されており、溝には、溝底側でボルト頭部が引掛かり且つ溝開口側でボルト先部分を抜き出すボルト挿通孔を備えるカバー材を係止部に係止して嵌挿することによって、溝開口を塞いでいることを特徴とする表示パネル。
【請求項2】
パネル構成部材の非表示面側に設けてあるT型金具またはUバンドを固定するボルトを保持する溝に挿入するものであり、溝の溝底側でボルト頭部を係止して溝開口側にボルト先端を抜き出すボルト挿通孔を有し、溝に挿入することにより溝開口を塞ぐものであることを特徴とする表示パネル用カバー材。
【請求項3】
カバー材は、溝に挿入して溝開口を塞いだときに、パネル構成部材の非表示面側をほぼフラットに形成することを特徴とする請求項1記載の表示パネル。

【図1(a)(b)】
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【図2(a)(b)(c)(d)(e)】
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【図3(a)(b)】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−196252(P2010−196252A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−38942(P2009−38942)
【出願日】平成21年2月23日(2009.2.23)
【出願人】(000004592)日本カーバイド工業株式会社 (165)
【出願人】(000112185)ビニフレーム工業株式会社 (53)
【Fターム(参考)】